JP3833490B2 - データ伝送において発生する遅延ジッタを吸収する装置および方法 - Google Patents

データ伝送において発生する遅延ジッタを吸収する装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インターネットなど伝送経路を介して一連の時系列データを受け取り、個々のデータを適切な時間だけ遅延させることにより、個々のデータの伝送過程において生じた遅延ジッタを吸収し、遅延ジッタの影響が除去された時系列データを得る遅延ジッタ吸収装置および遅延ジッタ吸収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信の一形態として、例えば音声信号などの時間的に連続した信号の時系列サンプルを複数の連続したパケットに載せ、インターネットなどのネットワークを介して送信ノードから受信ノードへ伝送するリアルタイム通信がある。このようなリアルタイム通信において、個々のパケットの伝送に要する遅延時間が等しければ、受信ノードでは、個々のパケットの受信時にパケット中の時系列サンプルの再生を行うことにより、送信ノードにおける音声信号と同じ波形の音声信号を得ることができる。
【0003】
しかし、インターネットなどのネットワークでは、複数のパケットが同じ送信ノードから同じ受信ノードに伝送される場合であっても、個々のパケットの伝播遅延時間(Propagation Delay)が同じになるとは限らず、パケット間で伝播遅延時間がばらつく。この伝播遅延時間のパケット間のばらつきは一般に遅延ジッタと呼ばれている。
【0004】
このような遅延ジッタが発生する場合、受信ノードにおいて個々のパケットの受信時に受信パケットから時系列サンプルを再生する処理を行うと、元の送信信号と同じ波形の信号を受信パケットから再生することができる保証はない。
そこで、受信ノードでは、バッファを用いて遅延ジッタを吸収し、遅延ジッタの影響が除去された時系列データを得るという手段が採られる。
【0005】
図12から図17を参照しながらこの遅延ジッタを吸収するための技術について具体的に説明する。
図12は、リアルタイム音声伝送システムの構成例を示すブロック図である。このシステムにおいて、送信側端末10では、送信すべき音声信号が音声エンコーダ11により符号化され、音声信号の符号化データを載せた時系列の音声パケットが生成される。送信部12は、これらの個々の音声パケットを受信側端末30宛に送信する。各音声パケットは、ネットワーク20を通過して受信側端末30に到着する。受信側端末30では、送信側端末10からの音声パケットが受信部31によって受信され、バッファ32に蓄積される。そして、バッファ32に蓄積された音声パケットは、送信ノードでの生成順序と同じ順序でバッファ32から読み出され、音声デコーダ33に送られる。音声デコーダ33は、このようにして送られてくる音声パケットを受け取り、音声パケット内の符号化データから音声信号を復号する。
【0006】
このリアルタイム音声伝送システムにおいて、送信側端末10内において生成された各音声パケットは、各々の発生時間間隔と同じ送信時間間隔でネットワーク20に送出される。しかし、既に説明したように、これらの個々の音声パケットが受信側端末30に到着するまでに要する伝播遅延時間は、各音声パケット間で一定ではない。そこで、受信側端末30では、受信された個々の音声パケットを音声デコーダ33に送るタイミングの調整が行われる。図17には、このタイミング調整の例が示されている。図17に示す例において、送信側端末10から送信された音声パケットP0、P1およびP2は、各々伝播遅延時間d0、d1およびd2を要して受信側端末30に到着している。図示のように、各音声パケットP0、P1およびP2を各々適切な時間D0、D1およびD2だけ遅延させることができれば、各音声パケットが送信側端末10から音声デコーダ33に伝送されるまでの総遅延時間Tを一定に調整することが可能である。図12におけるバッファ32は、このように各音声パケットの総遅延時間を一定にするための遅延調整に用いられる装置である。ネットワーク20における音声パケットの最小遅延時間をdmin、最大遅延時間をdmaxとした場合、便宜上、その差分D=dmax−dminを遅延ジッタ幅という。図12におけるバッファ32には、この遅延ジッタ幅の範囲の遅延時間のばらつきを調整する能力(遅延ジッタを吸収する能力)が求められる。
【0007】
ここで、図13を参照し、バッファ32による音声パケットの遅延調整について説明する。
図13には、9個のボックスを横に並べたストライプが上下方向に4段並べられている。最上段のストライプは、ある時刻t1におけるバッファ32の状況を表しており、2段目のストライプは、時刻t1から時間1sだけ後の時刻t2におけるバッファ32の状況を表している。同様に、3段目、4段目の各ストライプは、時刻t2から時間1sだけ後の時刻t3および時刻t3から時間1sだけ後の時刻t4におけるバッファ32の状況を表している。
【0008】
図13に示す例では、バッファ32は、9個の音声パケットを格納可能な容量を有している。各ストライプにおける9個のボックスは、各々音声パケットを格納するエリアを表しており、各ボックス内の表記#1〜#9は、各エリアのアドレスを表している。
【0009】
受信側装置30では、時間1s毎に1個ずつ音声パケットがバッファ32から読み出されて音声デコーダ33に送られる。なお、sはデータの属性に応じて数ミリ秒や数十ミリ秒など、それぞれに適した単位となる。また、音声パケットの読み出しを行うエリアのアドレスも一定時間1s毎に1アドレスずつ更新される。図13では、現在音声パケットの読み出しが行われているエリアが各ストライプの最も右側に示されており、その左隣には1s後に読み出しが行われるエリアが、さらにその左隣には2s後に読み出しの行われるエリアが図示されている。以下同様であり、ストライプの最も左側に図示されているエリアは、8s後に音声パケットの読み出しが行われるエリアである。
【0010】
図13に示す例では、時刻t1においてアドレス#1のエリアから音声パケットが読み出され、時刻t2においてアドレス#2のエリアから音声パケットが読み出され、時刻t3においてアドレス#3のエリアから音声パケットが読み出され、時刻t4においてアドレス#4のエリアから音声パケットが読み出される。従って、時刻t1において受信された音声パケットをアドレス#4のエリアに書き込めば、その音声パケットは3s後の時刻t4にバッファ32から音声デコーダ33に出力される。また、時刻t1において受信された音声パケットをアドレス#9に書き込めば、その音声パケットは8s後にバッファ32から音声デコーダ33に出力される。このように、受信した音声パケットの書き込みアドレスを調整することにより、その音声パケットに対し、0〜8sの範囲内の任意の遅延を施すことが可能である。
【0011】
ここで、各音声パケットが送信側端末30によって送信されてから受信側端末30に到着するまでの絶対遅延時間が分かれば、吸収すべき最大遅延時間(図17に示すdmax)から絶対遅延時間を引き算した時間だけ音声パケットをバッファ32によって遅延させることができれば、送信側端末30から音声デコーダ33に伝送されるまでの各音声パケットの総遅延時間を一定にし、しかも、その総遅延時間を最小にすることができる。
【0012】
ところが、受信側端末30は、各音声パケットが如何なる伝播遅延時間を要して届いたかを知ることができない。そこで、次のような方法により各音声パケットの遅延調整が行われていた。なお、以下では説明を簡単にするため、送信側端末10から一定の時間間隔で送信された一連の音声パケットがその送信順序と同じ順序で受信側端末30に到着した場合を想定する。
【0013】
まず、受信側端末30は、ネットワーク20を介して最初の音声パケットを受信すると、その音声パケットをバッファ32の初期入力位置に書き込む(S1,S2)。図13に示す例では、最初の音声パケットの受信時点において音声パケットの読み出しが行われるエリアから1アドレスだけ大きなアドレスに対応したエリアが初期入力位置となっている。
そして、2番目以降の音声パケットについては、当該音声パケットの受信時点において空いているエリアのうち最も早く読み出しが行われるエリアに書き込む(S3)。
【0014】
図13に示す例では、時刻t1において受信された最初の音声パケットP1が、初期入力位置であるアドレス#2のエリアに書き込まれる。そして、時刻t2において音声パケットは受信されず、アドレス#2のエリアから音声パケットP1が読み出されて音声デコーダ33に送られる。時刻t3になると、2番目の音声パケットP2が受信される。この音声パケットP2は、音声パケットP1よりも1sだけ長い遅延時間を要して伝送されたと考えられる。そして、音声パケットP2は、その受信時刻t3において空いているエリアのうち最も早く読み出しの行われるエリア、すなわち、アドレス#3のエリアに書き込まれる。そして、時刻t3においては、このアドレス#3のエリアに書き込まれた音声パケットP2が書き込み後直ちに読み出され、音声デコーダ33に供給される。
【0015】
このように音声パケットP1およびP2の伝播遅延時間に1sの差があると、両パケットが1sの時間間隔で送信側端末10から送信されたとしても、受信側端末30には2sの時間間隔で到着する。しかし、そのような場合でも、上記のようにバッファ32の初期入力位置を定め、バッファ32による遅延処理を行えば、送信側端末10における送信間隔と同じ時間間隔で音声パケットP1およびP2を音声デコーダ33に供給することができる。すなわち、最初の音声パケットP1の初期入力位置をその受信時刻における読み出しエリアから1s相当手前のエリアにしておくことにより、1sの大きさの遅延ジッタを吸収することができるのである。
【0016】
送信側端末10から受信側端末30に伝送される一連の音声パケット群に着目すると、それらの伝播遅延時間は、図17に例示するように、最小値dminから最大値dmaxまでばらつく。そこで、従来は、受信側端末30において最初に音声パケットP1が受信されたとき、その受信時刻における読み出しアドレスから遅延ジッタ幅D=dmax−dminに相当する個数だけ手前のアドレスに対応したエリアを初期入力位置とし、この初期入力位置に音声パケットP1を書き込むようにしていた。このように初期入力位置を定めることにより、事前に想定したすべての遅延ジッタを完全に吸収することができる。
【0017】
ここで、図14から図16を参照し、その詳細を説明する。以下の説明では、遅延ジッタ幅が4sである場合を想定している。また、説明を簡単にするため、最小の遅延時間dminが0sであり、ネットワーク20の遅延ジッタ幅が最大遅延時間dmaxと等しい場合を想定している。
【0018】
図14(a)において、音声パケットP11およびP12は送信側端末10の音声エンコーダ11から連続して出力されたパケットである。同様に、音声パケットP21およびP22も送信側端末10の音声エンコーダ11から連続して出力されたパケットである。図14(b)には、受信側端末30の受信部31に到着した各音声パケットが例示されている。図示の例では、音声パケットP11およびP12は、いずれも最大遅延時間dmax=4sだけ遅延されて受信部31に到着している。一方、音声パケットP21およびP22は、前者が最小遅延時間dmin=0sだけ遅延され、後者が最大遅延時間dmax=4sだけ遅延され、各々受信部31に到着している。そして、図14(c)には、バッファ32による遅延処理を経て、音声デコーダ33に供給される各音声パケットが例示されている。
【0019】
図15は、バッファ32によりパケットP11およびP12に対して行われる遅延処理の様子を示しており、図16は、バッファ32によりパケットP21およびP22に対して行われる遅延処理の様子を示している。
【0020】
図15に示すように、時刻t5に受信部31に到着した音声パケットP11は、初期入力位置であるアドレス#5のエリアに書き込まれ、4sの遅延時間だけ遅延され、時刻t9においてバッファ32から音声デコーダ33に出力される。そして、時刻t6に受信部31に到着した音声パケットP12は、その受信時刻において空いているエリアのうち最も早く読み出しが行われるエリアであるアドレス#6のエリアに書き込まれ、音声パケットP11の出力時刻の次の時刻t10においてバッファ32から出力される。
【0021】
一方、音声パケットP21およびP22に対しては次のような遅延処理が行われる。まず、図16に示すように、時刻t1に受信部31に到着した音声パケット21は、初期入力位置であるアドレス#5のエリアに書き込まれ、4sの遅延時間だけ遅延され、時刻t5においてバッファ32から出力される。そして、時刻t6に受信部31に到着した音声パケットP22は、その受信時刻において空いているエリアのうち最も早く読み出しが行われるエリアであるアドレス#6のエリアに書き込まれ、書き込み後直ちにバッファ32から出力される。
【0022】
以上のように、受信側端末30において最初に受信された音声パケットの初期入力位置をその受信時刻における読み出しアドレスから遅延ジッタ幅に相当する個数だけ手前のアドレスのエリアにしておけば、最小値dminから最大値dmaxまでのあらゆる遅延ジッタを吸収することができる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の技術では、受信側端末10に受信された最初の音声パケットに対し、遅延ジッタ幅Dに相当する遅延時間だけ遅延処理が施されると、後続の音声パケットに対しても同様な遅延処理が施される。ここで、最初の音声パケットがネットワークを通過するのに要した遅延時間をd0とすると、各音声パケットが送信側端末10の音声エンコーダ11から出力された後、受信側端末30の音声デコーダ33に供給されるまでの総遅延時間Tは、D+d0となる。しかしながら、最初の音声パケットの遅延時間は、最小値dminから最大値dmaxまでばらつき、総遅延時間Tは、この最初の音声パケットの遅延時間d0によって左右されてしまう。最初の音声パケットの遅延時間d0が最小遅延時間dminである場合には、総遅延時間Tは最小になるが、最初の音声パケットの遅延時間d0が最大遅延時間dmaxであった場合には、総遅延時間Tは、最大遅延時間dmaxの2倍程度の長時間になってしまう。近年ではVoIP(Voice over IP)技術を用いたインターネット電話などが普及して高い通話品質が要求されるようになっており、総遅延時間を短縮することが要求されるようになってきた。従って、遅延ジッタの吸収のために総遅延時間Tが長くなってしまうことは好ましいことではない。
【0024】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、総遅延時間を短縮することが可能な遅延ジッタ吸収装置および遅延ジッタ吸収方法を提供することを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、この発明は、ネットワークを介して時系列のデータセグメントを順次受信する受信部と、前記受信部によって受信された各データセグメントの受信時刻を求める時刻検出部と、前記受信部によって受信された各データセグメントの送信時刻を推定する送信時刻推定手段と、前記各データセグメントの受信時刻および送信時刻の推定値に基づいて各データセグメントの伝送に要した遅延時間を推定する遅延時間推定部と、前記遅延時間推定部から得られた複数のデータセグメントの遅延時間の推定値からネットワークを介したデータセグメントの伝送における最小遅延時間を推定する最小遅延時間推定部と、前記遅延時間推定部によって推定されたデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を引き算して相対遅延時間を求める相対遅延時間測定手段と、吸収すべき最大遅延量から各データセグメントの相対遅延時間を引き算して各データセグメントに対応した付加遅延量を求め、各データセグメントを各々に対応した付加遅延量だけ遅延させて出力する遅延手段とを備えることを特徴とする遅延ジッタ吸収装置を提供する。
【0026】
かかる遅延ジッタ吸収装置によれば、パケットなどのデータセグメントの伝送に要する遅延時間の最小値が推定され、この最小値に基づいて遅延ジッタ吸収のための遅延処理の遅延量が決定される。この結果、受信されるデータセグメント群の遅延ジッタが吸収されるとともにそれらのデータセグメントの総遅延時間が短縮される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
A.第1実施形態
図1は、この発明の第1実施形態であるリアルタイム音声伝送システムの構成を示すブロック図である。このリアルタイム音声伝送システムにおいて、送信側端末10と、従来技術と同様に音声エンコーダ11および送信部12を備えている。送信側端末10および受信側端末100は、いずれもVoIP端末である。このリアルタイム音声伝送シスエムは、インターネット電話サービスをユーザに提供するものである。
【0029】
図2は、受信側端末100の構成を示すブロック図である。この図において、受信部101は、送信側端末10からインターネット20を介して音声パケットを受信する装置である。パケット終端部102は、インターネット20におけるプロトコルを終端する装置である。受信部101によって受信された音声パケットは、このパケット終端部102を介してタイムスタンプ検出部108および遅延時間推定部106に送られる。また、パケット終端部102は、受信した音声パケットのペイロード部から符号化音声データを取り出して遅延付加部103に供給する。
【0030】
内部クロックジェネレータ107は、一定周波数の内部クロックを発生し、遅延時間推定部106と遅延付加部103に供給する。
【0031】
遅延付加部103には、付加遅延量設定部104から付加遅延量データdaが与えられる。なお、付加遅延量データの生成方法については後述する。遅延付加部103は、パケット終端部102から供給された符号化音声データを遅延させて音声デコーダ110に供給する装置である。この遅延付加部103は、図3に例示するように、RAM103Aと、パケット終端部102から供給された符号化音声データをRAM103Aに書き込む書込回路103Bと、このRAMから符号化音声データを読み出す読出回路103Cとにより構成されている。ここで、読出回路103Cは、内部クロックジェネレータ107から供給される内部クロックをカウントし、そのカウント値を読出アドレスとしてRAM1Aに供給し、RAM103Aのその読出アドレスに対応したエリアから符号化音声データを読み出して音声デコーダ110に出力する。書込回路103Bは、パケット終端部102から音声パケットの符号化音声データが出力されたとき、その時点において読出回路103Cから出力されている読出アドレスと付加遅延量設定部104から出力されている付加遅延量データとから書込アドレスを求める。そして、この書込アドレスをRAM103Aに供給し、RAM103Aのその書込アドレスに対応したエリアに音声パケットの符号化音声データを書き込む。RAM103Aに書き込まれた符号化音声データは、その後、付加遅延量データに相当する時間が経過したときにRAM103Aから読み出され、音声デコーダ110に出力される。
【0032】
音声デコーダ110は、遅延付加部103から出力される符号化音声データから音声データを復号する装置である。
【0033】
タイムスタンプ検出部108と、遅延時間推定部106と、最小遅延時間推定部105と、付加遅延量設定部104は、付加遅延量データを生成するための手段を構成している。
【0034】
既に説明したように、タイムスタンプ検出回路108には、受信部101によって受信された音声パケットが供給される。この音声パケットの送信元である送信側端末10(図1)は、所定周波数のクロックをカウントして、現在時刻を表す時刻データを出力するカウンタを内蔵しており、音声パケットの生成時に時刻データをカウンタから読み取り、タイムスタンプとして音声パケットのヘッダに含める。図4は、このようなタイムスタンプをヘッダに含んだ音声パケットの例を示すものである。タイムスタンプ検出回路108は、受信部101によって受信された音声パケットからこのタイムスタンプを取り出して遅延時間推定部106に送る。
【0035】
内部クロックジェネレータ107は、送信側端末10において用いられているクロックと同じ周波数の内部クロックを出力する。遅延時間推定部106は、この内部クロックジェネレータ107から出力される内部クロックをカウントして、現在時刻を表す時刻データを生成する。この時刻データは、送信側端末10において生成される時刻データと大体一致しているが、完全に一致している保証はない。しかし、いずれの時刻データも周波数が一致したクロックをカウントすることにより生成される。従って、両時刻データ間の誤差は、時間的に一定である。遅延時間推定回路106は、音声パケットのタイムスタンプがタイムスタンプ検出回路108から供給されたとき、このタイムスタンプを音声パケットの受信時点における時刻データから減算することにより、音声パケットの伝送に要した遅延時間の推定値を求める。
【0036】
最小遅延時間推定部105は、音声パケットの伝送に要する最小遅延時間を推定する装置である。最小遅延時間推定部105は、受信部101によって順次受信される音声パケットの遅延時間の推定値を遅延時間推定部106から順次受け取る。そして、最小遅延時間推定部105は、この遅延時間の推定値を受け取る度に、それまでの遅延時間の推定値の中から最小のものを選択し、最小遅延時間の推定値とする。
【0037】
付加遅延量設定部104は、音声パケットPi(i=0、1、2、…)が受信される度に、下記式によりその音声パケットPiに対応した付加遅延量データdaを演算して遅延付加部103に出力する装置である。
da=dmin+D−di ……(1)
【0038】
ここで、diは遅延時間推定部106によって推定された音声パケットPiの遅延時間、dminは音声パケットPiまでの全音声パケットの最小遅延時間、Dは予め設定された最大遅延時間である。
【0039】
この付加遅延量データdaは、上述したように、音声パケットの符号化音声データをRAM103Aに書き込むときの書込アドレスの演算に用いられる。
【0040】
図5は本実施形態の動作を示す図である。以下、この図を参照し、本実施形態の動作について説明する。受信側端末100では、最初の音声パケットP0が受信されたとき、遅延時間推定部106は、その受信時刻c0と、音声パケットP0から取り出されたタイムスタンプが示す時刻t0とから、次式に従って遅延時間の推定値d0を求める。
d0=c0−t0 ……(2)
図示の例では、最初の音声パケットP0の遅延時間として7が求められている。
【0041】
そして、最小遅延時間推定部105は、このd0=7を最小遅延時間の推定値dminの初期値とする。そして、付加遅延量設定部104は、次の演算により音声パケットP0に対応した付加遅延量データdaを求める。
Figure 0003833490
なお、この例ではD=12としている。
【0042】
付加遅延量設定部104により求められた付加遅延量データdaは遅延付加部103に送られる。遅延付加部103は、音声パケットP0の符号化音声データを付加遅延量データdaに相当する時間だけ遅延させて、音声デコーダ110に供給する。
【0043】
その後、後続の音声パケットPiが受信されたとき、遅延時間推定部106は、その受信時刻ciと、音声パケットPiから取り出されたタイムスタンプが示す時刻tiとから、次式に従って遅延時間の推定値diを求める。
di=ci−ti ……(4)
【0044】
そして、最小遅延時間推定部105は、このdiとその時点における最小遅延時間の推定値dminとを比較し、di≧dminである場合には現状の最小遅延時間の推定値dminをそのまま維持し、di<dminである場合には、diによってdminを置き換える。
【0045】
付加遅延量設定部104は、音声パケットPiに対応した付加遅延量データdaを前掲式(1)により演算する。そして、遅延付加部103は、音声パケットPiの符号化音声データを付加遅延量データdaに相当する時間だけ遅延させて、音声デコーダ110に供給する。
以上の動作が全ての音声パケットについて行われる。
【0046】
通信開始当初は、最小遅延時間の推定値dminが比較的頻繁に更新される。しかし、音声パケットの受信および最小遅延時間の推定が数を重ねてゆくと、最小遅延時間の推定値dminは次第に真の最小遅延時間に近づいてゆく。このため、最小遅延時間の推定値dminが更新される時間間隔が次第に長くなってゆき、やがて最小遅延時間の推定値dminは安定化する。図示の例では、最小遅延時間の推定値dminは、音声パケットP0の受信時に7、音声パケットP2の受信時に6、音声パケットP6の受信時に4、音声パケットP12の受信時に3というように推移している。
【0047】
音声パケットが送信側端末10の音声エンコーダ11から出力され、受信側端末100の音声デコーダ110にその符号化音声データが出力されるまでの総遅延時間Tは、次式により与えられる。
Figure 0003833490
【0048】
図5に例示されているように最小遅延時間の推定値dminは、音声パケットの受信が数を重ねるにつれて、次第に小さな値に収束して行く。このため、音声パケットの総遅延時間Tも次第に小さな値へと収束してゆく。総遅延時間Tは、最小遅延時間の推定値dminに依存するので、通信開始当初は総遅延時間Tの変更が比較的頻繁に起こる。しかし、音声パケットの受信が数を重ねるにつれて、総遅延時間Tが更新される時間間隔は次第に長くなり、やがて最小の総遅延時間Tに落ち着く。
【0049】
B.第2実施形態
図6は、この発明の第2実施形態に係る受信側端末100の構成を示すブロック図である。本実施形態における受信側端末100は、上記第1実施形態のものに加えて、さらに無音区間検出部109を有している。この無音区間検出部109は、順次受信される音声パケットのペイロードを監視し、無音区間を検出する装置である。さらに詳述すると、本実施形態において送信側端末10は、その使用者が発声を停止し、送るべき音声がない無音区間が始まったときに、図7に例示するように無音区間の開始を示す情報をペイロードに含む音声パケットを受信側端末100に送信する。受信側端末100の無音区間検出部109は、この音声パケットの受信により無音区間の開始を検知する。その後、何らかの符号化音声データをペイロードに含む音声パケットが受信側端末100によって受信されたとき、無音区間検出部109は、無音区間の終了を検知する。
【0050】
そして、本実施形態における付加遅延量設定部104は、無音区間検出部109により無音区間の終了が検知されたとき、遅延時間推定部106から得られる有音区間の最初の音声パケットの遅延時間の推定値と、その時点において最小遅延時間推定部105から得られている最小遅延時間の推定値と、既知の遅延ジッタ幅とから付加遅延量データdaを演算し、遅延付加部103に出力する。この付加遅延量データの演算および遅延付加部103への供給は、無音区間が発生すると、その都度行われる。
【0051】
図8は本実施形態に係る受信側端末100の動作を示すタイムチャート、図9は本実施形態に係る受信側端末100の動作を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0052】
送信側端末10と受信側端末100との間で通話が開始されると、図8に例示されているように、通話者の音声を表す音声パケットが受信側端末100によって受信される有音区間と、音声パケットが受信されない無音区間とが交互に繰り返される。
【0053】
上記第1実施形態と同様、遅延時間推定部106は、受信部101によって音声パケットが受信される度に、その音声パケットの遅延時間の推定値を求める(ステップS101,S102)。
【0054】
最初の有音区間SP0では、最小遅延時間推定部105は、最初の音声パケットP0の遅延時間の推定値を最小遅延時間の推定値dminとする(ステップS103、S104)。そして、最初の有音区間SP0内の各受信音声パケットについては、この推定値dmin前掲式(1)により付加遅延量データdaが演算され、遅延付加部103に設定される(ステップS105)。遅延量付加部103では、この付加遅延量データdaとその時点におけるRAM103Aの読出アドレスとから書込アドレアスが求められる。そして、この書込アドレスに対応したRAM103Aのエリアに音声パケットの符号化音声データが書き込まれる。この符号化音声データは、付加遅延量データdaに相当する時間だけ経過した後、RAM103Aから読み出され、音声デコーダ110に供給される(ステップS106)。
【0055】
そして、図7に例示されるような音声パケットが受信部101によって受信されると、無音区間検出部109は無音区間NP0の開始を検知する。なお、このように無音区間の開始を告げるパケットを送信側端末10から受信側端末100に送信する代わりに、受信側端末100において一定期間以上に亙り音声パケットが受信されないときに無音区間が開始されたことを検知するようにしてもよい。
【0056】
有音区間SP0から無音区間NP0になり、その後、次の有音区間SP1が始まったとする。この有音区間SP1の最初の音声パケットP0が受信部101によって受信されると、遅延時間推定部106は、その音声パケットP0の遅延時間の推定値d0を求める(図6におけるステップS101、S102)。
【0057】
次に最小遅延時間推定部105は、その時点までに受信された全ての音声パケットの遅延時間の推定値の中から最小遅延時間dminを推定する(ステップS104)。本実施形態において、最小遅延時間の推定値dminが更新される可能性があるのは、有音区間の最初の音声パケットが受信されたときのみである。一旦、有音区間が始まると、その開始時点での最小遅延時間よりも小さい遅延時間が推定されたとしても最小遅延時間の推定値の更新は行われない。更新が行われるのは、その有音区間が終わって無音区間となり、新たな有音区間が始まったときである。
【0058】
付加遅延量設定部104は、この有音区間SP1の最初の音声パケットP0の受信時に最小遅延時間の推定値dminを最小遅延時間推定部105から入手する(ステップS104)。そして、付加遅延量設定部104は、前掲式(1)により付加遅延量データdaを演算し、遅延付加部103に供給する(ステップS105)。
【0059】
遅延量付加部103では、この付加遅延量データdaとその時点におけるRAM103Aの読出アドレスとから書込アドレスが求められる。そして、この書込アドレスに対応したRAM103Aのエリアに音声パケットP0の符号化音声データが書き込まれる(ステップS106)。
【0060】
有音区間SP0と同様、有音区間SP1においても、受信部101によって受信される音声パケットPiの遅延時間の推定値diの算出が行われる(ステップS102)。この有音区間SP1において求められた遅延時間の推定値diは、その後、有音区間SP2が開始されたとき、最小遅延時間の推定に利用される(ステップS103、S104)。
【0061】
次に具体例を挙げ、本実施形態の動作をさらに詳細に説明する。
図10(a)は、送信側端末10の音声エンコーダ11から順次出力される音声パケットを示し、図10(b)は受信側端末100の受信部101によって順次受信される音声パケットを示している。また、図10(c)は遅延付加部103から音声デコータ110に出力される音声パケットを示している。図10(b)に示すように、音声エンコーダ11から順次出力された音声パケットP0、P1、P2、P3は、各々遅延時間d0(=3s)、d1(=4s)、d2(=2s)、d3(=2s)だけ遅れて受信部101に到着する。この間、遅延時間推定部106が出力する遅延時間の推定値di、最小遅延時間推定部105における最小遅延時間の推定値dminは、次のように推移する。
Figure 0003833490
【0062】
最初の有音区間SP0においては、最小遅延時間の推定値dminが得られていないため、ネットワークの遅延ジッタ幅Dに1sを加えたものが付加遅延量データdaとして用いられる。従って、仮に遅延ジッタ幅Dを3sとすると、付加遅延量データdaは4sとなる。そして、図示の例ではd0=3sであることから、一連の音声パケットP0〜P2の総遅延量はd0+da=4s+3s=7sとなる。
【0063】
しかし、次の有音区間SP1ではそれまでに得られた遅延時間の推定値から最小遅延時間の推定値dmin(=2s)が求められ、これに基づいて付加遅延量が求められる。
【0064】
従って、仮に有音区間SP1において図10(a)および(b)に示されるように音声パケットP3が遅延d3=1sを伴って伝送されたとすると、その際に適用される付加遅延量データdaは次のようになる。
Figure 0003833490
従って、音声パケットP3から始まる有音区間SP1の各音声パケットの総遅延量は、d3+da=1s+4s=5sとなる。
【0065】
図11(a)および(b)は、本実施形態の効果を示すものである。まず、最初の有音区間において、最初の音声パケットの遅延時間がd0であったとすると、この有音区間における各音声パケットの総遅延時間はd0+Dとなる。そして、有音区間において最小遅延時間dmin=d3を伴って音声パケットが受信されると、その後の有音区間において、この最小遅延時間に基づいて定められた付加遅延が適用される。この結果、総遅延時間はd3+Dとなる。
【0066】
このように、本実施形態によれば、受信パケットの遅延時間推定値を基に推定した最小遅延時間に基づいて、付加遅延量を設定することにより、総遅延量を軽減することができる。また、無音区間後の先頭音声パケット受信時に最小遅延時間の更新を行うことにより音声品質の劣化を抑えることができる。このため、本遅延ジッタ吸収装置および吸収方法は、インターネット電話のようなリアルタイム性と高い音声品質が要求されるアプリケーションに好適である。
【0067】
C.変形例
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような各種の変形が可能である。
【0068】
(1)上記実施形態においては、インターネットを介してパケットなどのデータセグメントを受信する装置に本発明を適用した。しかし、インターネットに限らず、例えばフレームリレーなどの広域網を介してデータセグメントを受信する装置に本発明を適用してもよい。また、移動網などのように無線区間において遅延ジッタの発生するネットワークを介してデータセグメントを受信する装置に本発明を適用してもよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、データセグメントの例としてパケットを挙げた。しかし、データセグメントの形式はパケットに限らない。データセグメントは、その送信時刻または送信時刻を求める手掛かりとなる情報を含むものであればどのようなものでもよい。データセグメントは、伝送経路や用いるプロトコルに応じてフレームやセルなどの単位であってもかまわない。プロトコルとしては、例えば上述したようなVoIPでもよいし、VoFR(Voice over Frame Relay)などでもよい。
【0070】
(3)上記実施形態では、ネットワークを介して音声パケットを受信する装置に本発明を適用した。しかし、本発明は音声に限らず、動画像などリアルタイムに伝送する必要がある情報の伝送に好適である。
【0071】
(4)上記第2の実施形態では、音声パケットが連続的に伝送される有音区間と、音声パケットの伝送が継続して行われない無音区間が交互に繰り返されるリアルタイム音声伝送に本発明を適用し、有音区間において求めた最小遅延時間の推定値を利用して次の有音区間における付加遅延量を決定した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えばデータ伝送の一形態として、例えば動画のような連続性が要求される情報を伝送する第1区間と静止画のような連続性が要求されない情報を伝送する第2区間とを交互に繰り返す形態がある。このようなデータ伝送の形態に本発明を適用してもよい。この場合の適用例において、受信側装置では次の手順で遅延ジッタ吸収のための処理が行われる。
i.連続性が要求されない第2区間の情報を含むデータセグメントが受信される間、個々のデータセグメントの遅延時間の推定および最小遅延時間の推定を行う。
ii.第2区間の直後の第1区間の最初のデータセグメントの受信時にその最初のデータセグメントの遅延時間を推定する。
iii.上記の最小遅延時間の推定値と、上記ii.において求めた最初のデータセグメントの遅延時間の推定値を用いて、最初のデータセグメントに適用する付加遅延量データdaを演算する。演算方法は、上記各実施形態において説明したものと同じである。
【0072】
(5)上記第2実施形態では、無音区間ではパケットの伝送を行わなかったが、無音区間であることを示すデータを送信しつづけるようにしてもかまわない。
【0073】
(6)上記各実施形態において、遅延ジッタ幅Dは予め計測を行うことにより得られた固定値であった。しかし、遅延ジッタ幅Dが当初想定していた値よりも大きいことが明らかになったときには、そのような大きな遅延ジッタ幅の遅延ジッタを吸収することができるように、付加遅延量データの演算に用いる遅延ジッタ幅Dを更新してもよい。例えば上記第2実施形態において、ある有音区間SPkにおける最初の音声パケットの遅延時間の推定値doと、その前の有音区間SPk−1において求められた最小遅延時間の推定値dminと、遅延ジッタ幅Dとを用いて、式(1)により付加遅延量データdaを演算したところ、daが例えば−3sになったとする。これは実際の遅延ジッタ幅が当初想定していた遅延ジッタ幅Dよりも少なくとも3sだけ大きかったためであると考えられる。そこで、遅延ジッタ幅Dを3sだけ増加させ、付加遅延量データdaが0sになるようにする。その後の有音区間SPk+1において式(1)を用いて付加遅延量データdaの演算をするときには、この新たな遅延ジッタ幅Dが用いられる。
【0074】
(7)本発明に係る遅延ジッタを吸収するための装置は、上記実施形態に開示したような端末内に設ける以外に、例えばネットワーク内の中継器やルータに設けてもよい。伝送経路が長くなると、遅延ジッタ幅が長くなるので、伝送経路の途中において遅延ジッタを吸収する趣旨である。
【0075】
(8)ある限定された期間内に最小遅延時間の推定を行うようにしてもよい。例えば次のような例が考えられる。まず、通話開始当初、音声パケットの送信を開始する前に、タイムスタンプを含んだトレーニングパケットを送信側端末から受信側端末に繰り返し送信する。受信側端末ではこれらの個々のトラーニングパケットの遅延時間の推定値から最小遅延時間dminを推定する。その後の音声パケットに適用される付加遅延量データdaは、このdminを用いて前掲式(1)により求められる。
【0076】
(9)上記実施形態では、パケットの送信時刻をタイムスタンプから推定したが、タイムスタンプがパケットに含まれていないような場合には例えばパケットに含まれているシリアル番号などから送信時刻を推定してもよい。
【0077】
(10)本発明の実施の形態には、上記実施形態において開示した遅延ジッタの吸収を行う装置を生産し、販売するといった形態の他、ネットワークに接続されたコンピュータを上記実施形態に開示された遅延ジッタ吸収装置として機能させるプログラムを電気通信回線を介して配布する形態や、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して頒布するという形態が含まれる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遅延ジッタを吸収しつつ総遅延時間を短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施形態に係るリアルタイム音声伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態における受信側端末の構成を示すブロック図である。
【図3】 同実施形態における遅延付加部の構成を示すブロック図である。
【図4】 同実施形態における音声パケットを示す図である。
【図5】 同実施形態における受信側端末の動作を説明するタイムチャートである。
【図6】 この発明の第2実施形態に係る受信側端末の構成を示すブロック図である。
【図7】 無音区間の開始を告げるパケットを示す図である。
【図8】 同実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図9】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図10】 同実施形態の動作の具体例を説明するタイムチャートである。
【図11】 同実施形態の効果を説明する図である。
【図12】 リアルタイム音声伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図13】 同システムの動作例を示すタイムチャートである。
【図14】 同システムの動作例を示すタイムチャートである。
【図15】 同システムの動作例を示す図である。
【図16】 同システムの動作例を示す図である。
【図17】 同システムの動作例を示す図である。
【符号の説明】
10……送信側端末、11……音声エンコーダ、12……送信部、20……インターネット、100……受信側端末、101……受信部、102……パケット終端部、103……遅延付加部、104……付加遅延量設定部、105……最小遅延時間推定部、106……遅延時間推定部、107……内部クロックジェネレータ、108……タイムスタンプ検出部、109……無音区間検出部、110……音声デコーダ。

Claims (9)

  1. ネットワークを介して時系列のデータセグメントを順次受信する受信部と、
    前記受信部によって受信された各データセグメントの受信時刻を求める時刻検出部と、
    前記受信部によって受信された各データセグメントの送信時刻を推定する送信時刻推定手段と、
    前記各データセグメントの受信時刻および送信時刻の推定値に基づいて各データセグメントの伝送に要した遅延時間を推定する遅延時間推定部と、
    前記遅延時間推定部から得られた複数のデータセグメントの遅延時間の推定値からネットワークを介したデータセグメントの伝送における最小遅延時間を推定する最小遅延時間推定部と、
    前記遅延時間推定部によって推定されたデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を引き算して相対遅延時間を求める相対遅延時間測定手段と、
    吸収すべき最大遅延量から各データセグメントの相対遅延時間を引き算して各データセグメントに対応した付加遅延量を求め、各データセグメントを各々に対応した付加遅延量だけ遅延させて出力する遅延手段と
    を備えることを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  2. 請求項1に記載の遅延ジッタ吸収装置において、
    前記受信部は、前記遅延手段の処理の対象となるデータセグメントの受信前に、複数のトレーニングデータセグメントを受信し、
    前記最小遅延時間推定部は、前記複数のトレーニングデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を推定することを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  3. 請求項1に記載の遅延ジッタ吸収装置において、
    前記最小遅延時間推定部は、ある期間内に受信された複数のデータセグメントの遅延時間の推定値を前記遅延時間推定部から取得し、これらの推定値から前記最小遅延時間を推定することを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  4. 請求項3に記載の遅延ジッタ吸収装置において、
    前記データセグメントは音声を表すデータであることを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  5. 請求項1に記載の遅延ジッタ吸収装置において、
    前記受信部は、連続性を要求する第1区間に属するデータセグメントと連続性を要求しない第2区間に属するデータセグメントとを交互に受信し、
    前記最小遅延時間推定部は、第1区間に属する最初のデータセグメントの受信時、それまでに受信されたデータセグメントの前記最小遅延時間を推定することを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  6. 請求項1に記載の遅延ジッタ吸収装置において、
    前記遅延時間推定部は、前記データセグメントに付随した送信時刻情報または送信時刻の手掛かりになる情報と前記データセグメントの受信時刻とに基づいて前記データセグメントの遅延時間を推定することを特徴とする遅延ジッタ吸収装置。
  7. ネットワークを介して時系列のデータセグメントを順次受信する受信処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの受信時刻を求める時刻検出処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの送信時刻を推定する送信時刻推定処理と、
    前記各データセグメントの受信時刻および送信時刻の推定値に基づいて各データセグメントの伝送に要した遅延時間を推定する遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定処理において得られた複数のデータセグメントの遅延時間の推定値からネットワークを介したデータセグメントの伝送における最小遅延時間を推定する最小遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定処理において推定されたデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を引き算して相対遅延時間を求める相対遅延時間測定処理と、
    吸収すべき最大遅延量から各データセグメントの相対遅延時間を引き算して各データセグメントに対応した付加遅延量を求め、各データセグメントを各々に対応した付加遅延量だけ遅延させて出力する遅延処理と
    を備えることを特徴とする遅延ジッタ吸収方法。
  8. ネットワークを介して時系列のデータセグメントを順次受信する受信処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの受信時刻を求める時刻検出処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの送信時刻を推定する送信時刻推定処理と、
    前記各データセグメントの受信時刻および送信時刻の推定値に基づいて各データセグメントの伝送に要した遅延時間を推定する遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定処理において得られた複数のデータセグメントの遅延時間の推定値からネットワークを介したデータセグメントの伝送における最小遅延時間を推定する最小遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定部によって推定されたデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を引き算して相対遅延時間を求める相対遅延時間測定処理と、
    吸収すべき最大遅延量から各データセグメントの相対遅延時間を引き算して各データセグメントに対応した付加遅延量を求め、各データセグメントを各々に対応した付加遅延量だけ遅延させて出力する遅延処理と
    を前記ネットワークに接続されたコンピュータに実行させるプログラム。
  9. ネットワークを介して時系列のデータセグメントを順次受信する受信処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの受信時刻を求める時刻検出処理と、
    前記受信処理によって受信された各データセグメントの送信時刻を推定する送信時刻推定処理と、
    前記各データセグメントの受信時刻および送信時刻の推定値に基づいて各データセグメントの伝送に要した遅延時間を推定する遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定処理において得られた複数のデータセグメントの遅延時間の推定値からネットワークを介したデータセグメントの伝送における最小遅延時間を推定する最小遅延時間推定処理と、
    前記遅延時間推定処理において推定されたデータセグメントの遅延時間の推定値から前記最小遅延時間を引き算して相対遅延時間を求める相対遅延時間測定処理と、
    吸収すべき最大遅延量から各データセグメントの相対遅延時間を引き算して各データセグメントに対応した付加遅延量を求め、各データセグメントを各々に対応した付加遅延量だけ遅延させて出力する遅延処理と
    を前記ネットワークに接続されたコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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