JP3833338B2 - 管球の閉塞部構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水銀ランプやメタルハライドランプ、ハロゲンランプ等の各種管球の閉塞管を閉塞する閉塞部構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、傾斜機能材料が管球、中でもシリカガラス製の発光管内に一対の電極が対向配置された放電ランプの閉塞管の閉塞部構造体に使用され始めている。これは傾斜機能材料の持つ特性、すなわち一端が導電性である金属であり、他端が非導電性であるセラミックスであることが管球の給電構造および気密封止構造のために好都合であることによる。
図1に傾斜機能材料を放電ランプの閉塞部構造体として使用した例を示す。発光管1および閉塞管2はシリカガラス製であり、閉塞部構造体5は円柱状でありSiO2 とMoから形成されており、該閉塞部構造体5の一端はMoに富み導電性であり、他端はSiO2 に富み非導電性である。この閉塞部構造体5は、その非導電性側が放電ランプの発光管1の放電空間に面するよう、当該発光管1の両端部に形成された閉塞管2に配置され、当該閉塞管2は閉塞部構造体5のSiO2 に富む領域にて気密に溶着される。電極3、4は傾斜機能材料の非導電性側端面の中心位置に開けられた孔に挿入され、傾斜機能材料の導電性を示す部分まで到達して電気的に接合される。
しかし、傾斜機能材料の製造時の焼結後の冷却の際や、あるいは放電ランプの閉塞管に熱加工により傾斜機能材料よりなる閉塞部構造体を溶着して取り付ける際に、円柱状に成形された傾斜機能材料の胴部に亀裂が生じるなどの問題があった。
【0003】
円柱状の閉塞部構造体を形成する傾斜機能材料は、連続した導電性成分の濃度勾配をその軸方向に有する。従来の閉塞部構造体において、当該閉塞部構造体を形成する傾斜機能材料の構成材料がMoとSiO2 であるとき、当該閉塞部構造体のSiO2 側端部からの距離xmmの位置におけるMo濃度をCMox とすると、SiO2 側端部からの全ての1mm間隔の幅毎におけるMo濃度勾配ΔCMox (wt%/mm)の最大値は、5mmの長さの傾斜機能材料の場合、最大で22wt%/mm程度あった。傾斜機能材料の胴部の亀裂の発生は急激な濃度勾配による急激な熱膨張の差の発生が原因であって、それが亀裂を生じる応力の起源である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、管球の閉塞部構造体用に円柱状に成形した傾斜機能材料の胴部に傾斜機能材料の製造時の焼結後の冷却の際や、あるいは放電ランプの閉塞管に熱加工により取り付ける際に亀裂が生じることのない傾斜機能材料製閉塞部構造体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、シリカガラス製の発光管内に一対の電極が対向配置された管球またはシリカガラス製の発光管内にフィラメントが配置された管球の該発光管の両端部に形成された円筒状の閉塞管内に配置されて当該閉塞管を閉塞するための管球の閉塞部構造体において、
当該閉塞部構造体は、円柱状であって、シリカ(SiO 2 )粉末とモリブデン金属(Mo)粉末とが軸方向に連続的または段階的に異なる比率で混合されて成形されてなる、一端側が非導電性で他端側が導電性である傾斜機能材料よりなり、
当該閉塞部構造体は、直径をD(mm)、非導電性側端部から距離xmmの軸方向位置における軸方向幅1mmの部分のモリブデン金属の濃度勾配をΔC Mox (wt%/mm)とするとき、全てのΔC Mox が、条件ΔC Mox ≦69×D -0.773 を満たす管球の閉塞部構造体により、前記課題を解決する。
【0006】
【発明の実施の形態】
傾斜機能材料の製造においては、本焼結処理終了後に非導電性材料成分(SiO2 )の結晶化を避けるために約1750°Cから約1100°Cまでの温度域を数分間で冷却するという急冷処理を行う。1750°Cでは導電性材料(Mo)と非導電性材料(SiO2 )の混合体は流動状態にあり、応力の発生は全くないが、前記冷却時には導電性材質側、非導電性材質側の両方の部分に収縮が起こる。
その収縮の起こる程度はMoの多い導電性材質側の方が大きく、円柱状に形成された傾斜機能材料において、その胴部表面に軸方向に引っ張り歪みが発生する。
【0007】
また、傾斜機能材料を管球閉塞部構造体とする場合、非導電性材質側を加熱して、ランプの閉塞管と一部溶着させるが、この場合には傾斜機能材料は均温にゆっくりと加熱されるのではなく、局部的に急加熱されるため、瞬時熱膨張をひどく受ける。製造時の焼結後の冷却の際と同様に、引っ張り歪みが強烈に発生するのだが、傾斜機能材料は軸方向に順次、組成変化しており、歪みの発生量を決定するのはMoの絶対濃度勾配、Moの濃度勾配の変化量、そして傾斜機能材料の直径である。
【0008】
図2には円柱状の傾斜機能材料の軸方向での典型的なMo濃度プロファイルの例を示す。軸方向全域に渡って勾配は一様ではないことが分かる。この例の場合には、傾斜機能材料の全長を1とすると、最大濃度勾配はSiO2 側の端部からの距離が0.6の部分に位置している。傾斜機能材料内の熱的線膨張係数の変化は最大濃度勾配となる部分で最大になり、熱歪みによる応力発生の駆動力となる。
【0009】
よって、ある形の傾斜機能材料を考えた場合、濃度勾配をある値以下にすることで応力発生は小さくできると考えられる。また、熱的線膨張により発生する歪みが同じでも、導電性材質側より非導電性材質側の方が応力の発生量は大きくなる。これは、導電性材質側の延性による。
Mo濃度が80wt%以上の部分については絶対濃度勾配に関する制限はない。Mo濃度が80wt%以上であれば、vol%で50%を越え体積的に半分以上が金属成分となり傾斜機能材料全体が金属的性質を帯びるからである。
【0010】
傾斜機能材料は、軸方向全域に渡ってMo濃度勾配は一様ではないので、たとえ適当な長さ当たりの平均の濃度勾配が低くとも、局部的に大きな濃度勾配の部分がある場合にはその部分が臨界値を超えて熱歪みにより亀裂が発生する部分となる。濃度勾配の制限は微小間隔である1mm幅について求められた値に従って定めればよい。
【0015】
また、長さ方向に濃度勾配を有する円柱状の傾斜機能材料では、加熱したときの熱歪み量はその直径の大きさに関係する。
【0016】
本発明者は、亀裂の生じない傾斜機能材料の条件を見つけるために、濃度勾配条件と直径が種々異なる傾斜機能材料を作製して、Mo濃度勾配ΔCMox (wt%/mm)と傾斜機能材料の直径Dの関係を調べ、亀裂発生による不良品発生率を低減する範囲を突き止めた。この実験に用いたMoとSiO2 からなる傾斜機能材料はスリップキャスティング法を用いて製作した。作製した傾斜機能材料は、直径が3〜40mm、軸方向長さが20〜30mm円柱状であり、両端部のMo濃度は一端が20vol%、他端が0vol%(すなわち、SiO 2 濃度が100vol%)のものである。傾斜機能材料の軸方向のMo濃度勾配を変化させるために、異なる濃度のスラリーを用いた。すなわち、高濃度のスラリーを用いるとMo濃度勾配の傾斜は緩やかになり、低濃度のものを用いるとMo濃度勾配の傾斜は急になる。
【0017】
図3には傾斜機能材料の直径DとMo濃度勾配ΔCMox (wt%/mm)の関係で亀裂発生の有無を調べた結果を示す。プロットされた点はそれぞれの直径の傾斜機能材料において亀裂発生の限界値となった極限濃度勾配を示しており、プロットされた点を結んだ曲線の下側の領域が亀裂の発生しない安定な傾斜機能材料濃度勾配の値を示す。傾斜機能材料の良品が製作される濃度勾配ΔCMox と直径Dの関係は〔数3〕で表される。
【0018】
【数3】
ΔCMox ≦69×D-0.773
【0019】
ここで、CMox は、閉塞部構造体の非導電性側端部から距離xmmの軸方向位置におけるMo濃度(wt%/mm)であってエックス線マイクロアナライザー(EPMA)で測定されたものであり、ΔCMox は、閉塞部構造体の非導電性側端部から距離xmmの軸方向位置における軸方向幅1mmの部分(すなわち、非導電性側端部から距離xmmの位置から同じく距離x+1mmの位置に至る1mmの部分)のモリブデン金属の濃度勾配であって、上記CMox の値から求められたものである。
【0020】
上記の実験で用いたMoとSiO2 からなる傾斜機能材料はスリップキャスティング法を用いて製作したものであるが、濃度勾配が傾斜した材料を製造するための他の方法としては、混合粉体の粒度を変えて沈降の相対的場所を変えることによって濃度勾配をコントロールする方法や、またはキャスティング中に液体を吸引したり空圧をかけたりして強引に沈降させる方法、乾式法といって種々のMo濃度のグリーンシートを重ねて濃度傾斜状態を実現する方法がある。
【0021】
なお、本発明はMoとSiO2 からなる傾斜機能材料製の閉塞部構造体におけるMo濃度勾配を規定したものであり、該閉塞部構造体はシリカガラスを発光管材料とする水銀ランプやメタルハライドランプやハロゲンランプ、あるいはシリカガラス製の管に発熱体を封入したヒータなどにも使用される。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、管球の閉塞部構造体に使用する傾斜機能材料の軸方向の導電性材質であるMoの濃度勾配を所定の値以下にした傾斜機能材料とすることで、傾斜機能材料製造時の焼結後の冷却の際や、また管球の閉塞部に傾斜機能材料製閉塞部構造体を溶着する際において、傾斜機能材料に亀裂が発生することのない閉塞部構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 傾斜機能材料が閉塞部構造体に使用された放電ランプの外観図を示す。
【図2】 図2には円筒形状の傾斜機能材料の軸方向での典型的なMo濃度プロファイルの例を示す。
【図3】 本発明の実験結果である亀裂発生の限界値となった傾斜機能材料の軸方向でのMo極限濃度勾配曲線を示す。
【符号の説明】
1 発光管
2 閉塞管
3 電極
4 電極
5 傾斜機能材料製閉塞部構造体
Claims (1)
- シリカガラス製の発光管内に一対の電極が対向配置された管球またはシリカガラス製の発光管内にフィラメントが配置された管球の該発光管の両端部に形成された円筒状の閉塞管内に配置されて当該閉塞管を閉塞するための管球の閉塞部構造体において、
当該閉塞部構造体は、円柱状であって、シリカ(SiO 2 )粉末とモリブデン金属(Mo)粉末とが軸方向に連続的または段階的に異なる比率で混合されて成形されてなる、一端側が非導電性で他端側が導電性である傾斜機能材料よりなり、
当該閉塞部構造体は、直径をD(mm)、非導電性側端部から距離xmmの軸方向位置における軸方向幅1mmの部分のモリブデン金属の濃度勾配をΔC Mox (wt%/mm)とするとき、全てのΔC Mox が、条件ΔC Mox ≦69×D -0.773 を満たすことを特徴とする管球の閉塞部構造体。
Priority Applications (1)
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JP11507797A JP3833338B2 (ja) | 1997-03-21 | 1997-04-18 | 管球の閉塞部構造体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8554997 | 1997-03-21 | ||
JP9-85549 | 1997-03-21 | ||
JP11507797A JP3833338B2 (ja) | 1997-03-21 | 1997-04-18 | 管球の閉塞部構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10326595A JPH10326595A (ja) | 1998-12-08 |
JP3833338B2 true JP3833338B2 (ja) | 2006-10-11 |
Family
ID=26426556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11507797A Expired - Lifetime JP3833338B2 (ja) | 1997-03-21 | 1997-04-18 | 管球の閉塞部構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3833338B2 (ja) |
-
1997
- 1997-04-18 JP JP11507797A patent/JP3833338B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10326595A (ja) | 1998-12-08 |
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