JP3830644B2 - 燃料集合体の検認方法とその検認装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料集合体の検認方法と検認装置に係り、特に原子力発電所における燃料プール等の貯蔵施設に受け入れられた、MOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)新燃料集合体における燃料集合体の検認方法とその検認装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所の原子炉において燃焼されたウラン(U)燃料の使用済ウラン燃料を再処理することにより、プルトニウム(Pu)の酸化物が取り出されるが、このプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物(MOX)燃料の実規模実施が日本でも実用段階になっている。
【0003】
このMOX燃料は、新燃料集合体として製造工場で製造された後に、原子力発電所に納入されるが、その後直ぐには原子炉に装荷されずに原子炉の横にある使用済燃料貯蔵プールに暫く貯蔵され、その後、定期検査時等の燃料交換時に原子炉の炉心に装荷される。
【0004】
一方、MOX燃料に使用されるプルトニウム燃料は、ウラン燃料に比べて放射線レベルが高いので、その取扱いには注意を要する。このため、MOX燃料は極めて厳重に管理され、ウラン燃料の管理にはない規定、即ち、MOX燃料集合体の製造過程から原子力発電所へ納入するまでのプルトニウム量の管理に関する規定がある。
【0005】
さらに海外においては、保安上の観点から、MOX燃料集合体の製造過程から原子力発電所へ納入するまでだけではなく、燃料貯蔵プールから炉心に装荷されるまでの間においても、そのプルトニウム量の管理が厳格に規定されている。
【0006】
また、使用済燃料貯蔵プールに貯蔵されたMOX燃料集合体を炉心に装荷する際に、炉心に装荷すべきか否かの確認をすることも考えられる。
これは、例えば、ウラン燃料や使用済み燃料とMOX燃料では、燃焼特性が変わってしまい、燃料経済性が悪くなり、炉心の出力が低下することも生じるからである。
【0007】
通常、現在の燃料の管理体制からは、このようなことが起きることは考え難いが、先に述べた海外での管理規定もあり、今後は、原子力発電所に納入された後のMOX燃料集合体について、さらなる検査が行われることが考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この目的のために開発された方法として、MOX新燃料集合体を一体ずつ測定する方法が知られており、この方法の原理は「高未臨界軽水格子系における中性子増倍特性の応用に関する実験的研究」(1992年、東京大学博士論文P.302)に開示されている。
【0009】
しかしこの方法は、MOX新燃料集合体に対する測定に際して、疑わしい測定結果が生じたときに確認するための精密測定には適しているが、一般に原子力発電所の原子炉炉心には数百体の燃料集合体が装荷されていることから、多数のMOX新燃料集合体を一体ずつ測定するのは、長時間を要して作業能率が悪いという支障がある。
【0010】
本発明の目的とするところは、燃料集合体の外周または内部に小型の中性子検出器を挿入して、中性子計測値により燃料集合体の構成を検査確認する燃料集合体の検認方法とその検認装置を提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に係る燃料集合体の検認装置は、プルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認装置において、燃料ラックに収納された複数の被検査燃料集合体と、前記被検査燃料集合体の側面に挿入され各被検査燃料集合体の中性子計数率を計測する中性子検出器と、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認する検査確認手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明に係る燃料集合体の検認装置は、前記中性子検出器が、平板状に形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明に係る燃料集合体の検認装置は、前記中性子検出器が、平板状で長さ方向に複数の有感部を形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明に係る燃料集合体の検認装置は、前記中性子検出器が、平板状で一方の面に有感部を形成すると共に、対向する他の面に中性子吸収材を配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明に係る燃料集合体の検認装置は、プルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認装置において、燃料ラックに収納された複数の被検査燃料集合体と、前記被検査燃料集合体の内部に挿入され各被検査燃料集合体の中性子計数率を計測する中性子検出器と、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認する検査確認手段とを備え、前記中性子検出器が、光ファイバースコープの先端に中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータを塗布したことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明に係る燃料集合体の検認装置は、前記検査確認手段は、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、さらに、各被検査燃料集合体の中性子計数率を所定値と比較することにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の側面に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の内部に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の側面に中性子検出器を挿入し、前記被検査燃料集合体の前記中性子検出器が挿入された側に隣接する燃料集合体を前記中性子検出器から離間するごとく偏心させるとともに前記中性子検出器と前記隣接する燃料集合体との間に中性子吸収板およびガンマ線遮蔽板の少なくとも一方を挿入し、各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、前記被検査燃料集合体の構成を検査確認するに際して、前記中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、さらに、各被検査燃料集合体の中性子計数率を所定値と比較することにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の内部又は側面に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の燃料集合体の中性子計数率の相対分布を求めると共に、その相対分布と別途計算で求めた中性子計数率または中性子束の相対分布との比較から、被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、前記中性子計数率または中性子束の相対分布を別途計算で求めるに際して、被検査燃料集合体を燃料ラックに貯蔵する以前のデータを用いることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明に係る燃料集合体の検認方法は、燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、受け入れ時の貯蔵配列を変えることなく受け入れ時点および原子炉炉心装荷前に各被検査燃料集合体の側面又は内部に中性子検出器を挿入するとともに、各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、前記それぞれの中性子計数率分布の比較により被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下検査対象および貯蔵例として、複数のMOX新燃料集合体を、燃料プール中に据付けた燃料ラックに配列した場合について説明する。
第1実施の形態は請求項1および請求項2に係り、MOX新燃料集合体に対する検認方法とその検認装置で、図1(a)の要部横断面図と、(b)の図1(a)におけるA−A線に沿った縦断面図に示す。
【0035】
格子状の燃料ラック1に配列して貯蔵された複数のMOX新燃料集合体2に対して、検査対象の被検査MOX新燃料集合体2aを片寄せし、これにより被検査MOX新燃料集合体2aの外周と燃料ラック1との間に形成された間隙3aに、小型の中性子検出器4を挿入する。
【0036】
また、前記中性子検出器4と隣接したMOX新燃料集合体2bについても中性子検出器4と離隔する方向に片寄せして、これによりMOX新燃料集合体2bと燃料ラック1との間に形成された間隙3bに、必要に応じて中性子吸収板5およびガンマ線遮蔽板6の少なくとも一方を挿入する。
なお、前記中性子吸収板5には板材に形成したカドミウム等があり、ガンマ線遮蔽板6としては鉛やタングステンおよびステンレス鋼等がある。
【0037】
さらに、前記中性子検出器4には信号ケーブル7を介して、この中性子検出器4が検出する中性子数から中性子計数率を算出して、被検査MOX新燃料集合体2aの構成に相違がないかを確認するプリアンプとリニアアンプおよびカウンタ等による図示しない検査確認手段を接続した構成としている(請求項2)。
【0038】
次に、上記構成による作用について説明する。前記被検査MOX新燃料集合体2aの外周と、燃料ラック1との間に形成した間隙3aに挿入された中性子検出器4は、被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子を検出し、信号ケーブル7を介して前記図示しない検査確認手段におけるプリアンプとリニアアンプおよびカウンタ等に伝送し、算出した中性子計数率から被検査MOX新燃料集合体2aにおける構成の検査確認を行う。
【0039】
なお、算出した中性子計数率により、被検査MOX新燃料集合体2a内のMOX燃料量であるプルトニウム量の増減が判別できる。
即ち、前記算出された中性子計数率が所定より小さい場合には、例えば被検査燃料集合体がMOX燃料集合体ではなく、ウラン燃料集合体であったり、また、MOX燃料集合体内のMOXペレットが、所定量以上欠落していたりする被検査燃料集合体の構成の相違を知ることができる。
【0040】
もしもここで、前記被検査MOX新燃料集合体2aに構成の相違が確認された場合には、当該被検査MOX新燃料集合体にのみ、前記従来技術において開示したような精密測定を実施する。これにより、多数の燃料集合体に対し、簡易な検認装置と検認方法で容易に短時間で作業能率良く検査確認することができる(請求項1)。
なお、前記検認作業により構成に相違があるとされた燃料集合体については、その一体のみ別途精密測定することで、構成相違の詳細を知ることができる。
【0041】
また、MOX新燃料集合体2からの中性子束は、MOX新燃料集合体2の上面においては極めて低いことから測定に長時間を要するが、MOX燃料物質が存在する下部の側面に小型の中性子検出器4を挿入することにより、測定が短時間となり高い中性子検出効率が得られる。
【0042】
また、前記中性子吸収板5あるいはガンマ線遮蔽板6は、中性子検出器4と隣接したMOX新燃料集合体2bからの中性子やガンマ線を遮断するので、被検査MOX新燃料集合体2aの中性子検出器4による中性子検出に際し、雑音が低減して検出精度が向上する。
【0043】
なお、燃料ラック1とMOX新燃料集合体2との間隙3a,3bに余裕がある場合には、MOX新燃料集合体2を片寄せることなく、中性子検出器4および中性子吸収板5やガンマ線遮蔽板6を挿入することができる。
また、前記小型の中性子検出器4としては、マイクロBF3やマイクロフィッションチェンバ、および中性子反応型シンチレータと光ファイバの組み合わせ等がある。
【0044】
さらに、図2(a)の要部横断面図と、(b)の図2(a)におけるB−B線に沿った縦断面図は、上記第1実施の形態の変形例で、前記小型の中性子検出器として平板状シンチレータの中性子検出器8を用いたものを示す。
【0045】
燃料ラック1と片寄せした被検査MOX新燃料集合体2aとの間隙3aに、シンチレータとライトガイド等を組み合わせて平板状にしたシンチレータの中性子検出器8を挿入することにより、前記間隙3aを最大限に利用して中性子検出器8におけるのシンチレータによる有感部を大きくし、検出効率を向上させることができる。
【0046】
なお、上記図1と同様に燃料ラック1と片寄せした隣接燃料集合体2bとの間隙3bに挿入した中性子吸収板5およびガンマ線遮蔽板6は、中性子検出器8に対して隣接燃料集合体2bからの中性子やガンマ線による雑音を低減するのに有効である。
また、前記間隙3aに複数本のマイクロBF3およびマイクロフィッションチェンバを平行に配置することにより、検出効率を向上させることもできる。
【0047】
第2実施の形態は請求項3と請求項6に係り、平板状で小型の中性子検出器に関する。中性子検出器は図3(a)の縦断面図と、(b)の図3(a)におけるC−C線に沿った縦断面図に示すように、前記間隙3aに挿入可能な大きさとした小型のシンチレータ中性子検出器9としている。
【0048】
平板状で先端に中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータ10と、このシンチレータ10で発光したシンチレータ光を光ファイバケーブル11に伝送するライトガイド12および、これらを収納するステンレス鋼(SUS)等で作られた平板状の容器13とから構成されている(請求項3,6)。
【0049】
なお、前記シンチレータ10における中性子に感度を有する物質としては、Li-6を濃縮したLi化合物、B−10を濃縮したB化合物、核分裂性物質等がある。また、シンチレータ10としてはシンチレーション効率の高い硫化亜鉛(ZnS)等がある。
【0050】
次に、上記構成による作用について説明する。被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子が中性子検出器9のシンチレータ10に入射すると、シンチレータ10における中性子に感度を有する物質は、中性子との核反応により荷電粒子を放出する。
【0051】
この放出された荷電粒子は、シンチレータ10内でシンチレータ光に変換されることから、このシンチレータ光はライトガイド12を通り、光ファイバ入射口11aから光ファイバケーブル11へ伝送される。
さらに、光ファイバケーブル11により光信号として図示しない検査確認手段に伝送された信号は、この検査確認手段におけるプリアンプとリニアアンプおよびカウンタ等を通して中性子計数率が得られる。
【0052】
第3実施の形態は請求項3および請求項6乃至請求項8に係り、平板状で小型の中性子検出器に関する。なお、上記した第2実施の形態と同様の構成部分については説明を省略する。
中性子検出器は図4(a)の縦断面図と、(b)の図4(a)におけるD−D線に沿った縦断面図に示すように、小型のシンチレータ中性子検出器14としている。
【0053】
この小型のシンチレータ中性子検出器14におけるライトガイド15は、平板状で長さ方向に複数の中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータ16を一定の間隔で埋設した構成としている(請求項6,7)。
また、図4(c)の縦断面図に示すシンチレータ中性子検出器17は、上記図4(b)に示す平板状のライトガイド15で、一定の間隔で埋設したシンチレータ16と対向する他の面に、カドミウム等からなる中性子吸収材18を設けた構成としている(請求項6,8)。
【0054】
なお、前記ライトガイド15が平板状の容器13に収納されていることや、ライトガイド15に光ファイバケーブル11が接続されていること等、その他の部分の構成については、上記第2実施の形態と同様である(請求項3)。
【0055】
次に、上記構成による作用について説明する。たとえば、シンチレータにて発光したシンチレーション光をライトガイドを通して効率よく上部の光ファイバケーブル11に伝送するためには、シンチレータと光ファイバ入射口11aの間の光の経路に障害物がなく、直線上に配置されている必要がある。
【0056】
しかしながら、板面に広くシンチレーション物質を配置すると、発光面に対して光ファイバ入射口11aは垂直位置となり、光の伝送損失が大きくなることから好ましくない。従って、これを考慮すると上記第2実施の形態における図3に示すような構成とすれば良い。
【0057】
しかし、本中性子検出器14においては、図4(a),(b)に示すライトガイド15中に中性子感度を有する物質を混合したシンチレータ16を光の経路が確保できるように一定の間隔を保って埋設したことにより、光の伝送損失が低下して中性子検出の有感部が拡大するので検出効率が向上する。
【0058】
さらに、中性子検出器17では、平板状のライトガイド15の中性子検出の有感部で、シンチレータ16と対向する他の面に中性子吸収材18を配置したことにより、隣接した他のMOX新燃料集合体2からの中性子による雑音を低減することができるので、被検査MOX新燃料集合体2aにおける中性子検出の精度が高くなり信頼性が向上する。
【0059】
第4実施の形態は請求項4と請求項6および請求項8に係り、平板状で小型の中性子検出器は、図5(a)の縦断面図と、(b)の図5(a)におけるE−E線に沿った縦断面図に示すように、前記間隙3aに挿入可能な小型のシンチレータ中性子検出器19としている。
【0060】
この中性子検出器19は、平板状のプラスチックシンチレータ20の両面に光の伝送効率を高めるアルミ反射板21を設けると共に、片面に中性子に感度を有する物質22を塗布し、さらに、前記プラスチックシンチレータ20の両側には、光ファイバケーブル11と接続した蛍光体波長シフタ23を設けて構成している(請求項4,6)。
さらに、前記プラスチックシンチレータ20において中性子に感度を有する物質22と対向する面に中性子吸収材18を配置した構成としている(請求項8)。
【0061】
次に、上記構成による作用について説明する。小型のシンチレータ中性子検出器19におけるプラスチックシンチレータ20は、片面に中性子に感度を有する物質22が塗布され、両側の蛍光体波長シフタ23は光ファイバケーブル11に接続しているので、中性子を検出する有感部が拡大されて検出効率が向上する。
被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子により、中性子に感度を有する物質22は反応して荷電粒子を放出し、この荷電粒子はアルミ反射板21で反射して光伝送効率を高めると共に、プラスチックシンチレータ20内で光に変換される。
【0062】
この光は側面に配置された蛍光体波長シフタ23に伝送されて蛍光体波長シフタ23中で波長変換され、光ファイバケーブル11により光信号として図示しないプリアンプやリニアアンプ及びカウンタ等の検査確認手段において中性子計数率が得られる。
【0063】
また、中性子検出器19は、中性子に感度を有する物質22と対向する面に中性子吸収材18を配置したことから、隣接する他のMOX新燃料集合体2からの中性子による雑音を低減することができるので、中性子検出器19は高精度となり、被検査MOX新燃料集合体2aの検査確認に対する信頼性が向上する。
なお、中性子検出器19においては、前記プラスチックシンチレータ20の厚さを変化させることにより、ガンマ線バックグラウンドを低減することができる。
【0064】
即ち、中性子に感度を有する物質22で発生した荷電粒子は、プラスチックシンチレータ20中ではシンチレータ光を発して数mm程度の飛程で完全に吸収されるが、ガンマ線は荷電粒子に比べ透過力が大きいために、プラスチックシンチレータ20の厚さが薄いほど感度は低くなる。
【0065】
従って、荷電粒子の感度とガンマ線の感度の差が大きくなるようにプラスチックシンチレータ20の厚さを設定することにより、ガンマ線バックグラウンドを低減して中性子検出器19を高精度にすることができる。
なお、別途波高弁別により前記荷電粒子とガンマ線の信号を弁別して、さらに、ガンマ線バックグラウンドを低減することができる。
【0066】
第5実施の形態は請求項5と請求項6および請求項8に係り、平板状で小型の中性子検出器は、図6(a)の縦断面図と、(b)の図6(a)におけるF−F線に沿った縦断面図に示すように、前記間隙3aに挿入可能な小型のシンチレータ中性子検出器24としている。
【0067】
この小型の中性子検出器24は、平板状で中性子に感度を有する物質を含んだガラスシンチレータ25の両面に、光の伝送効率を高めるアルミ反射板21を設け、その両側に光ファイバケーブル11と接続した蛍光体波長シフタ23を設けて構成する(請求項5,6)。
また、前記ガラスシンチレータ25において図示しない被検査MOX新燃料集合体2aの中性子検出面と対向する面に中性子吸収材18を配置した構成としている(請求項8)。
【0068】
次に、上記構成による作用について説明する。小型のシンチレータ中性子検出器24におけるガラスシンチレータ25では、被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子により、中性子に感度を有する物質は反応して荷電粒子を放出し、この荷電粒子はアルミ反射板21で反射して光伝送効率を高めると共に、ガラスシンチレータ25中で光に変換される。
【0069】
このシンチレータ光は、側面に配置された蛍光体波長シフタ23に伝送されて蛍光体波長シフタ23中で波長変換され、光ファイバケーブル11により光信号として図示しないプリアンプやリニアアンプ及びカウンタ等の検査確認手段において中性子計数率が得られる。
【0070】
また、中性子検出器24は、中性子検出面と対向する面に中性子吸収材18を配置したことから、隣接した他のMOX新燃料集合体2からの中性子による雑音を低減することができるので、被検査MOX新燃料集合体2aの検査確認に対する信頼性が向上する。
【0071】
第6実施の形態は請求項9に係り、燃料集合体の検認方法であり、図7(a)の要部横断面図と、(b)の図7(a)におけるG−G線に沿った縦断面図に示す。
MOX新燃料集合体2における構成の検査確認に、燃料ラック1に貯蔵された複数のMOX新燃料集合体2の内で、被検査MOX新燃料集合体2aにおいて、多数本ある燃料棒26の相互の隙間27、または冷却材流路28に小型中性子検出器29を挿入する。
【0072】
次に、上記による作用について説明する。小型中性子検出器29を被検査MOX新燃料集合体2aの内部に挿入した場合には、この小型中性子検出器29の位置が隣接している他のMOX新燃料集合体2から離れている。
従って、小型の中性子検出器4を被検査MOX新燃料集合体2aの側面に挿入する場合に比べて、隣接燃料集合体2bからの中性子やガンマ線の影響による雑音が少ないので、被検査MOX新燃料集合体2aの中性子検出に対する信頼性が向上する。
【0073】
なお、上記図7に示したMOX新燃料集合体2,2a,2bは、沸騰水型原子炉用(BWR)を例としているが、加圧水型原子炉用(PWR)MOX新燃料集合体の場合を、図8(a)の要部横断面図と、(b)の図8(a)におけるH−H線に沿った縦断面図に示す。
【0074】
加圧水型原子炉用MOX新燃料集合体30の場合は、内部に図示しない制御棒を挿抜する制御棒シンブル31があるので、この制御棒シンブル31を利用して比較的容易に小型中性子検出器29を挿入することにより、上記沸騰水型原子炉用の場合と同様に、MOX新燃料集合体30における構成の検査確認ができる。
第7実施の形態は請求項10に係り、小型中性子検出器に関し、図9の正面図に示すように、中性子検出器29は光ファイバーケーブル11の先端に、中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータ32を塗布した構成としている。
【0075】
次に、上記構成による作用について説明する。上記第6実施の形態の図7および図8に示すように、MOX新燃料集合体2,30の内部に中性子検出器29を挿入する場合は、その挿入空間が極めてに狭隘な場合が多いので、MOX新燃料集合体2の側面に配置する場合に比べて、さらに小型化することが必要になる。
しかしながら、前記小型中性子検出器29は、細い光ファイバーケーブル11の先端に中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータ32を塗布した構成であることから、狭隘な隙間27にも容易に挿入して中性子検出をすることができる。
【0076】
これにより、基本的機能は上記図3乃至図6に示した小型のシンチレータ中性子検出器9,14,17,19,24と同じであるが、有感部分が小さいために出力は劣る。しかし、同じ被検査MOX新燃料集合体2a内に複数個の小型中性子検出器29を挿入することにより出力効率を改善することができる。
【0077】
また、前記隙間27に対して小型中性子検出器29の挿入と一緒に、図示しない光ファイバーケーブルを挿入し、ファイバーカメラにより観察することにより、小型中性子検出器29の挿入状態とその位置を同定することが可能であり、複数回測定時に測定値の再現性精度を向上することができる。
なお、MOX新燃料集合体2,30の内部で、小型中性子検出器29の挿入空間に余裕がある場合には、マイクロBF3やマイクロフィッションチェンバ等を利用することができる。
【0078】
第8実施の形態は請求項11に係り、雑音を低減した検認方法に関する。図10(a)の要部横断面図に示すように、燃料ラック1には複数のMOX新燃料集合体2を貯蔵している。
この内で被検査MOX新燃料集合体2aの側面に挿入した、たとえばシンチレータ中性子検出器8と隣接する燃料集合体2bを中性子検出器8の離隔方向に片寄せて、この片寄せにより生じた間隙3bに、中性子吸収板5およびガンマ線遮蔽板6の少なくとも一方を挿入した構成とする。
【0079】
また、図10(b)の横断面図に示すように、被検査MOX新燃料集合体2aの側面に挿入した、中性子検出器8と隣接する燃料集合体2bを片寄せて、この片寄せにより生じた間隙3bに、たとえばステンレス鋼等の容器33に収納した中性子吸収板5およびガンマ線遮蔽板6を挿入した構成としている。
なお、前記中性子吸収板5には板材に形成したカドミウム等があり、ガンマ線遮蔽板6としては鉛やタングステンおよびステンレス鋼等がある。
【0080】
次に、上記による作用について説明する。被検査MOX新燃料集合体2aの側面に、たとえば中性子検出器8挿入して被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子を検出して、この中性子計数率から被検査MOX新燃料集合体2aにおける構成の検査確認を行う。
【0081】
しかし、この際に前記被検査MOX新燃料集合体2aと同様に、隣接燃料集合体2bからも中性子およびガンマ線が放出されている。
従って、この隣接燃料集合体2bからの中性子およびガンマ線が前記中性子検出器8において検知されると、検出対象である被検査MOX新燃料集合体2aからの中性子による信号に対して大きな雑音源となる可能性がある。
【0082】
しかしながら、この雑音が大きい場合に、中性子検出器8と隣接する燃料集合体2bを当該燃料ラック1内で、中性子検出器8より離隔する方向で、間隙3bの距離Lと隣接燃料集合体2bの反対側の距離lをL>lとなるように、当該燃料ラック1内で片寄せる。
【0083】
さらに、この広い距離Lの間隙3bに、中性子吸収板5およびガンマ線遮蔽板6の少なくても一方を挿入することにより、隣接燃料集合体2bからの中性子またはガンマ線が中性子検出器8に到達することを阻止するので、中性子検出器8における雑音が低減し、検査精度が高く得られることから信頼性が向上する。
【0084】
なお、間隙3bへの挿入に際して、中性子吸収板5とするかガンマ線遮蔽板6とするかは、隣接燃料集合体2bからの中性子による雑音が大きい場合には中性子吸収板5を、ガンマ線による雑音が大きい場合にはガンマ線遮蔽板6を選択する。
【0085】
また、被検査MOX新燃料集合体2aに対する中性子検出器8における雑音で、中性子とガンマ線の両方が影響する場合には、前記ステンレス鋼等の容器33に収納した中性子吸収板5とガンマ線遮蔽板6を用いることにより、両方からの雑音が低減できる。
なおこの場合に、中性子吸収板5の厚さt1 とガンマ線遮蔽板6の厚さt2 を、中性子とガンマ線の影響に応じて案分することにより、限られた空間(間隙3b)内で効率よく雑音を低減することができる。
【0086】
第9実施の形態は請求項13に係り、雑音低減と検知作業が容易な検認方法に関する。図11の要部縦断面図に示すように、MOX新燃料集合体2における構成の検査確認をする際に、燃料ラック1に貯蔵した複数のMOX新燃料集合体2の内で、被検査MOX新燃料集合体2aだけを軸方向に所定高さまで引き抜く。
この状態で、当該被検査MOX新燃料集合体2aの側面に中性子検出器4を装着して検査を行う。
【0087】
上記による作用としては、被検査MOX新燃料集合体2aにおける中性子検出器4の装着位置が、隣接した他の燃料集合体2から離れて、周囲に広い空間があるので、中性子検出器4が比較的大型の場合でも被検査MOX新燃料集合体2aの側面に装着する作業が容易である。
【0088】
また、隣接した燃料集合体2から到達する中性子やガンマ線も極めて少ないので、中性子検出器4における雑音が小さくなり、測定精度は燃料ラック1とMOX新燃料集合体2との間隙3aに中性子検出器4を挿入する場合に比べて大幅に向上する。
【0089】
第10実施の形態は請求項14に係り、中性子計数率の分布形による検認方法に関する。図12の要部平面図はMOX新燃料集合体2の側面に小型の中性子検出器8を挿入する場合で、図13の要部平面図はMOX新燃料集合体2の内部に小型中性子検出器29を挿入する場合を示す。
【0090】
同一仕様で複数のMOX新燃料集合体2を、たとえば燃料ラック1に配列して貯蔵した場合に、各MOX新燃料集合体2に小型の中性子検出器8,29を挿入して、それぞれの中性子を検出すると共に中性子計数率分布を測定する。
さらに、この測定した各MOX新燃料集合体2における中性子計数率分布の形状と、予め測定した各MOX新燃料集合体2における正常状態の中性子計数率分布の形状と比較することにより、その後各MOX新燃料集合体2の構成に相違が生じたか否かの検査確認をする。
【0091】
次に、上記による作用について説明する。一般に複数のMOX新燃料集合体2を燃料ラック1等に配列した場合に、燃料ラック1の外側に近いMOX新燃料集合体2ほど検出される中性子計数率は低く、内側に配置されたMOX新燃料集合体2ほど、周囲のMOX新燃料集合体2からの中性子の影響を受けて中性子計数率は高くなる。
【0092】
図12および図13におけるMOX新燃料集合体2Aは、燃料ラック1の最外周に位置するMOX新燃料集合体であり、MOX新燃料集合体2Dは燃料ラック1の中央部寄りに位置するMOX新燃料集合体である。
従って、各MOX新燃料集合体2A〜2Dの測定点A〜Dに、小型中性子検出器8,29を挿入して中性子計数率を測定すると、図14の中性子計数率分布特性図に示す特性が得られる。
【0093】
即ち、各MOX新燃料集合体2A〜2Dに相違がない場合には、正常時計数率は黒丸印で示す弓形の分布形状となり、たとえばMOX新燃料集合体2Cにおいて、燃料棒26が欠落する等があった場合には、測定点Cの中性子計数率が×印で示すように、同じ測定点Cの黒丸印より離れた波状の分布形状となる。
【0094】
さらに、測定点Cの中性子計数率の他の正常なMOX新燃料集合体2A,2B2Dに対する測定点A,B,Dについても、MOX新燃料集合体2Cにおける影響が生じて、×印で示すように中性子計数率の分布形状が、前記黒丸印の場合と若干相違する。
【0095】
従って、前記測定した×印の分布形状と、黒丸印で示す正常時の分布形状との比較をすることにより、その形状の相違から、複数配列してMOX新燃料集合体2A〜2Dの内で、貯蔵中にMOX新燃料集合体2Cにおいて構成に相違があることを容易に検認することができる。
【0096】
なお、前記測定された中性子計数率の分布形状は、MOX新燃料集合体2Cにおける構成の相違を直接的に検出するだけでなく、前記測定点A〜Dにおいては、MOX新燃料集合体2A〜2Dに隣接した他のMOX新燃料集合体2における構成の相違についても、その程度によっては影響を受ける。
従って、この中性子計数率の分布形状から、予め隣接した他のMOX新燃料集合体2における構成の相違についても検知する可能性がある。
【0097】
第11実施の形態は請求項15および請求項16に係り、中性子計数率の相対分布による検認方法に関する。なお、小型中性子検出器8,29の挿入や中性子検出については上記第10実施の形態と同様であることから省略し、相違する部分について説明する。
本第11実施の形態においては、上記第10実施の形態と同様にして複数のMOX新燃料集合体2A〜2Dに対して、小型中性子検出器8,29を挿入して中性子計数率の測定を行い、中性子計数率の相対分布を測定する。
【0098】
また別途、当該MOX新燃料集合体2A〜2Dの仕様から、拡散計算等により上記図14の計算値曲線34に示す中性子計数率または中性子束の相対分布を求め、この相対分布と前記測定した中性子計数率の相対分布とを比較することで、各MOX新燃料集合体2A〜2Dにおける構成の検査確認を行う(請求項15)。
なお、当該MOX新燃料集合体2における製造場所にて発送時の中性子計数率が得られれば、このデータを用いて計算値を得ることができる(請求項16)。
【0099】
上記による作用については、上記第10実施の形態の場合とほぼ同様にして、各MOX新燃料集合体2A〜2Dの測定点A〜Dで検出した、×印で示す中性子計数率の相対分布を、上記図14に示す前記計算による相対分布の計算値曲線34と比較する。
これにより、複数配列したMOX新燃料集合体2A〜2Dの内で、貯蔵中にMOX新燃料集合体2Cにおいて構成に相違が生じたことを容易に、精度高く検査確認することができる。
【0100】
また、MOX新燃料集合体2の中性子計数率の測定を製造場所で実施する場合には、原子力発電所における燃料プール等の貯蔵施設の燃料ラック1で行う場合に比べて、一般に環境および測定計器等の測定条件に優れていることから、高精度のデータが容易に得られる。
従って、この中性子計数率データによる高精度の計算値を用いることにより、MOX新燃料集合体2における構成について精度の高い検査確認ができる。
【0101】
第12実施の形態は請求項16に係り、中性子計数率分布による検認方法に関する。なお、小型中性子検出器8,29の挿入や中性子検出については上記第10実施の形態と同様であることから省略し、相違する部分について説明する。
複数のMOX新燃料集合体2,30を、たとえば燃料ラック1に配列して貯蔵する場合に、当該MOX新燃料集合体2,30の受入れ時点で、小型中性子検出器8,29を挿入して、中性子計数率分布を測定して記録する。
【0102】
また、当該MOX新燃料集合体2,30については、この受入れ時の中性子計数率分布の測定以降は、燃料ラック1における配列を変更することなく貯蔵すると共に、原子炉の定期検査時等で炉心への装荷時に、再び受入れ時点と同様に小型中性子検出器8,29を挿入し、その挿入位置等の測定条件を同じとして当該MOX新燃料集合体2,30の中性子計数率分布の測定を行なう。
【0103】
さらに、この炉心装荷時の中性子計数率分布と、前記記録した受入れ時点の中性子計数率分布との比較をして、各MOX新燃料集合体2,30が貯蔵中に構成に相違が生じたか否かの検査確認をする。
【0104】
次に、上記による作用について説明する。図15の中性子計数率分布特性図に示すように、受入れ時点のMOX新燃料集合体2A〜2Dの測定点A〜Dにおける中性子計数率は、黒丸印で示す中性子計数率として記録する。
【0105】
また、炉心装荷時に前記MOX新燃料集合体2A〜2Dについて、再び中性子計数率測定を行うが、この際に、燃料ラック1に受入れてから炉心への装荷時の間に、当該MOX新燃料集合体2A〜2Dの貯蔵位置の変化がなければ、装荷時正常値の中性子計数率は白丸印で示すようになり、前記受入れ時点とほぼ同様の中性子計数率分布が得られる。
【0106】
しかしながら、もしもMOX新燃料集合体2Cにおいて、燃料棒26が欠落する等があった場合には、測定点Cの中性子計数率が×印で示すような装荷時異常値となり、さらに、他の正常なMOX新燃料集合体2A,2B,2Dにおける測定点A,B,Dについても影響が生じて、×印で示すように中性子計数率の分布形状が、前記黒丸印および白丸印の場合と相違する。
【0107】
従って、これらの中性子計数率分布形状を比較することにより、貯蔵された複数のMOX新燃料集合体2A〜2Dの内で、MOX新燃料集合体2Cの構成に相違があることを容易に検査確認することができる。
【0108】
なお、本第12実施の形態によれば、検査確認に際して計算値または仮定した中性子計数率分布を使用せず、小型中性子検出器8,29により検出した中性子率の測定値を比較して行うことから、高い精度の検認ができる。
しかも、この検認方法はMOX新燃料集合体2,30が受け入れられてから炉心に装荷されるまでに、比較的長期間仮置きされる場合でも構成の検査確認を能率よく実施するのに有効である。
【0109】
【発明の効果】
以上本発明によれば、小型の中性子検出器による中性子の検出により、燃料ラック等に配列して貯蔵された複数のMOX新燃料集合体に対して、作業効率よく構成の検査確認ができると共に、中性子検出に際して隣接するMOX新燃料集合体からの中性子やガンマ線による雑音を中性子吸収板やガンマ線遮蔽板の挿入により低減させて、高精度の中性子検出が行える。
【0110】
また、燃料ラックにおける複数のMOX新燃料集合体に対して、その中性子計数率分布の形状から、MOX新燃料集合体の構成が容易に検認できると共に、計算値およびMOX新燃料集合体発送時のデータ、あるいは、受け入れ時と炉心への装荷時の中性子計数率の比較により、高精度の確認が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法で、(a)は要部横断面図、(b)は(a)におけるA−A線に沿った縦断面図。
【図2】本発明に係る第1実施の形態の他のMOX新燃料集合体の検認方法で、(a)は要部横断面図、(b)は(a)におけるB−B線に沿った縦断面図。
【図3】本発明に係る第2実施の形態の中性子検出器で、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるC−C線に沿った縦断面図。
【図4】本発明に係る第3実施の形態の中性子検出器で、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるD−D線に沿った縦断面図、(c)は他の中性子検出器の縦断面図。
【図5】本発明に係る第4実施の形態の中性子検出器で、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるE−E線に沿った縦断面図。
【図6】本発明に係る第5実施の形態の中性子検出器で、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるF−F線に沿った縦断面図。
【図7】本発明に係る第6実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法で、(a)は要部横断面図、(b)は(a)におけるG−G線に沿った縦断面図。
【図8】本発明に係る第6実施の形態のPWR用MOX新燃料集合体の検認方法で、(a)は要部横断面図、(b)は(a)におけるH−H線に沿った縦断面図。
【図9】本発明に係る第7実施の形態の小型中性子検出器の正面図。
【図10】本発明に係る第8実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法で、(a)は要部横断面図、(b)は中性子吸収板およびガンマ線遮蔽板の横断面図。
【図11】本発明に係る第9実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法の要部縦断面図。
【図12】本発明に係る第10実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法の要部平面図。
【図13】本発明に係る第10実施の形態のMOX新燃料集合体の他の検認方法の要部平面図。
【図14】本発明に係る第10実施の形態および第11実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法の中性子計数率分布特性図。
【図15】本発明に係る第11実施の形態のMOX新燃料集合体の検認方法の中性子計数率分布特性図。
【符号の説明】
1…燃料ラック、2,2A〜2D…MOX新燃料集合体、2a…被検査MOX新燃料集合体、2b…隣接MOX新燃料集合体、3a,3b…間隙、4,8,29…小型中性子検出器、5…中性子吸収板、6…ガンマ線遮蔽板、7…信号ケーブル、9,14,17,19,24…シンチレータ中性子検出器、10,15,16,32…中性子に感度を有する物質を含むシンチレータ、11…光ファイバケーブル、11a…光ファイバ入射口、12…ライトガイド、13,33…容器、18…中性子吸収材、20…プラスチックシンチレータ、21…アルミ反射板、22…中性子に感度を有する物質、23…蛍光体波長シフタ、25…中性子に感度を有する物質を含むガラスシンチレータ、26…燃料棒、27…隙間、28…冷却材流路、30,30A〜30D…加圧水型原子炉用燃料集合体、31…制御棒シンブル、34…計算値曲線、A〜D…中性子検出器による測定点。
Claims (13)
- プルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認装置において、燃料ラックに収納された複数の被検査燃料集合体と、前記被検査燃料集合体の側面に挿入され各被検査燃料集合体の中性子計数率を計測する中性子検出器と、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認する検査確認手段とを備えることを特徴とする燃料集合体の検認装置。
- 前記中性子検出器が、平板状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の燃料集合体の検認装置。
- 前記中性子検出器が、平板状で長さ方向に複数の有感部を形成したことを特徴とする請求項2記載の燃料集合体の検認装置。
- 前記中性子検出器が、平板状で一方の面に有感部を形成すると共に、対向する他の面に中性子吸収材を配置したことを特徴とする請求項2記載の燃料集合体の検認装置。
- プルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認装置において、燃料ラックに収納された複数の被検査燃料集合体と、前記被検査燃料集合体の内部に挿入され各被検査燃料集合体の中性子計数率を計測する中性子検出器と、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認する検査確認手段とを備え、前記中性子検出器が、光ファイバースコープの先端に中性子に感度を有する物質を混合したシンチレータを塗布したことを特徴とする燃料集合体の確認装置。
- 前記検査確認手段は、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、さらに、各被検査燃料集合体の中性子計数率を所定値と比較することにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の燃料集合体の検認装置。
- 燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の側面に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする燃料集合体の検認方法。
- 燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の内部に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする燃料集合体の検認方法。
- 燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の側面に中性子検出器を挿入し、前記被検査燃料集合体の前記中性子検出器が挿入された側に隣接する燃料集合体を前記中性子検出器から離間するごとく偏心させるとともに前記中性子検出器と前記隣接する燃料集合体との間に中性子吸収板およびガンマ線遮蔽板の少なくとも一方を挿入し、各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求めることにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする燃料集合体の検認方法。
- 前記被検査燃料集合体の構成を検査確認するに際して、前記中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、さらに、各被検査燃料集合体の中性子計数率を所定値と比較することにより被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の燃料集合体の検認方法。
- 燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、各被検査燃料集合体の内部又は側面に中性子検出器を挿入するとともに、前記各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の燃料集合体の中性子計数率の相対分布を求めると共に、その相対分布と別途計算で求めた中性子計数率または中性子束の相対分布との比較から、被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする燃料集合体の検認方法。
- 前記中性子計数率または中性子束の相対分布を別途計算で求めるに際して、被検査燃料集合体を燃料ラックに貯蔵する以前のデータを用いることを特徴とする請求項11記載の燃料集合体の検認方法。
- 燃料ラックに複数の被検査燃料集合体が配列して貯蔵されたプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合した混合酸化物燃料の燃料集合体の検認方法において、受け入れ時の貯蔵配列を変えることなく受け入れ時点および原子炉炉心装荷前に各被検査燃料集合体の側面又は内部に中性子検出器を挿入するとともに、各被検査燃料集合体から放出される中性子計数率を計測し、前記計測された中性子計数率から前記複数の被検査燃料集合体の中性子計数率分布を求め、前記それぞれの中性子計数率分布の比較により被検査燃料集合体の構成を検査確認することを特徴とする燃料集合体の検認方法。
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