JP3830456B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関する。特に、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、アミューズメント機器、テレビジョン装置などの平面ディスプレイやシャッタ効果を利用した表示装置などに好適に用いられる広視野角特性を有する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述の広視角特性を有する液晶表示装置として、本発明者らは、液晶分子を各絵素ごとに軸対称状に配向させた表示モード(Axially Symmetric Aligned Microcell Mode:ASMモード)を特開平7−120728号公報に開示している。この方式は、液晶と光硬化性樹脂の混合物から相分離を利用して液晶分子を軸対称状に配向させる技術であり、電圧を印加することにより軸対称状に配向した液晶分子が基板に対して垂直に配向するNp型液晶材料を用いた表示モードである。
【0003】
この従来のASMモードの液晶表示装置においては、誘電率異方性Δεが正の液晶材料を使用している。この表示モードは、液晶分子が軸対称配向しているので全ての方向において優れた表示特性を有するが、偏光板の吸収軸を直交クロスニコル状態にした場合には視野角特性が低下する傾向がある。また、電圧OFF時の光抜けを防止するためにBM(ブラックマトリックス)の遮光部の面積を大きく設定しなければならないという問題があった。さらに、この従来のASMモードは、液晶分子の軸対称配向を得るために複雑な温度制御を必要とする相分離工程を使用するので製造が難しく、また、得られる軸対称配向が不安定であり、特に高温において信頼性に欠けるという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するための手段として、本発明者らは、特願平8−341590号において、絵素領域毎に液晶分子が軸対称配向した液晶領域を有し、全方位視角特性に優れた高コントラストの液晶表示装置およびそれを比較的簡単に製造できる製造方法を提案している。
【0005】
この提案の液晶表示装置においては、一対の基板間に負の誘電率異方性(Δε<0)の液晶分子からなる液晶層が挟持され、両基板の液晶層に接する表面に垂直配向層が設けられている。また、少なくとも一方の基板には絵素領域を取り囲むように凸部が設けられている。さらに、一対の基板を挟んで一対の偏光板が各々の吸収軸を直交させて配設されている。この液晶表示装置によれば、特に複雑な製造工程を必要とすることなく、電圧無印加時には液晶分子が一対の基板に対して略垂直に配向し、電圧印加時には液晶分子が絵素領域毎に軸対称状に配向する配向状態を実現することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の提案された液晶表示装置によれば、電圧無印加時には液晶分子が一対の基板に対してほぼ垂直な方向に配向しているので、基板の法線方向に平行な視角方向については良好な黒状態が得られ、高コントラストの表示が得られる。しかし、視角を変化させて観察した場合、(i)偏光板自身の特性により視角依存性が生じること、および(ii)垂直配向している液晶分子のリタデーション値は方向によって変化しているので、液晶層のリタデーション値に視角依存性が生じること、に起因して光漏れが観察され、コントラスト比の低下が起こる。
【0007】
このうち、偏光板自身の特性による視角依存性については、以下の通りである。上記広視角モードの液晶表示装置に対して、偏光板の偏光軸(透過軸)方向から入射された光が液晶層の屈折率楕円体を横切るときには常光のみまたは異常光のみの成分しか有さないが、偏光板の吸収軸から方位角が45゜ずれた斜め方向から入射された光が液晶層の屈折率楕円体を横切るときには常光と異常光との両成分を有するために楕円偏光となるため、見かけ上、互いに直交した偏光板の吸収軸が互いに開いた状態に対応して光の漏れが顕著になる。
【0008】
また、液晶層のリタデーション値による視角依存性については、以下の通りである。上記液晶表示装置においては、電圧無印加時に液晶分子が一対の基板に対してほぼ垂直な方向に配向しているので、斜めから観察したときに視角によってリタデーションの値が異なり、視角依存性が観測されるようになる。
【0009】
このような偏光板自身の視角依存性と液晶層の視角依存性との相乗効果により、互いに直交している偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向に視角特性の特に悪い領域が発生するのである。例えば、偏光板の吸収軸方向に対して45゜の方向においては、一定の方向の視角、例えば35゜〜50゜程度でコントラストが著しく低下し、さらには階調特性が反転するという問題があり、特に、中間階調表示時には表示特性の悪化が大きかった。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、吸収軸からのずれに伴う視野角特性の悪化を解消し、概ね軸対称の視野角特性を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、一対の基板に挟持され、負の誘電率異方性を有する液晶分子からなる液晶層を有する液晶セルと、該液晶セルを挟持し、偏光板の吸収軸が互いに直交する一対の偏光板と、該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた位相差補償素子とを備えた液晶表示装置であって、該液晶分子は電圧無印加時に該一対の基板に対してほぼ垂直な方向に配向し、該位相差補償素子はそれぞれ互いに直交するx、y、及びz軸方向に3つの主屈折率nx,ny,nzを有し、該液晶セルの面内方向の主屈折率をnx,nyとし、該液晶セルの厚み方向の主屈折率をnzとするとき、nx>ny>nzの関係を有し、該位相差補償素子は、該位相差補償素子のx軸方向が該位相差補償素子に隣接する偏光板の吸収軸にほぼ直交するように配置され、該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた該位相差補償素子のそれぞれについて、該位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比が2以上6以下であり、該液晶層のリタデーション値d LC ・Δnが300〜550nmの範囲にあり、該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた該位相差補償素子のそれぞれについて、該位相差補償素子の厚さ方向のリタデーション値d f (n x −n z )が該液晶層のリタデーション値d LC ・Δnの30%〜80%であり、そのことによって上記目的が達成される。
前記位相差補償素子は、面内方向と厚み方向にリタデーションを有する2軸性フィルム、又は面内方向にリタデーションを有する1軸性フィルムと厚み方向にリタデーションを有する1軸性フィルムとを貼り合わせた積層フィルムからなっていてもよい。
前記位相差補償素子のx軸方向と前記偏光板の吸収軸に直交する方向とのずれが1°以下であることが好ましい。
前記液晶分子の複屈折率をΔn、前記液晶層の平均厚さをdLC、および前記位相差補償素子の厚さをdfとするとき、該位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)が該液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さいことが好ましい。
前記位相差補償素子は、0.035≦{df(nx−ny)}/(dLC・Δn)≦0.15を満足することが好ましい。
前記一対の偏光板と前記液晶セルとの間に1つずつ設けられた前記位相差補償素子のそれぞれについて、前記位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比が3以上6以下であることが好ましい。
前記位相差補償素子の平均屈折率が1.4以上1.7以下であることが好ましい。
前記一対の偏光板のうち、観察者側の偏光板の表面にアンチグレア防眩層が設けられていることが好ましい。
前記アンチグレア防眩層の表面に反射防止膜が設けられていることが好ましい。
【0023】
以下に、本発明の作用を説明する。
【0024】
本発明によると、電圧無印加時に液晶分子が垂直配向し、電圧印加時には絵素領域毎に軸対称状または同心円状に配向する液晶表示装置において、直交クロスニコル状態に配置された一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板とそれに隣接する基板との間に、負の複屈折率を有し、面内方向の主屈折率nx,ny、および厚み方向の主屈折率nzについてnx>ny>nzの関係を有する位相差補償素子(典型的には位相差フィルムまたは位相差板)を設けることにより、偏光板自身の特性による視角依存性および液晶層のリタデーション値の視角依存性を補償して、観測方向によらずに等コントラスト・コンター曲線を円状にすることが可能である。また、液晶層は垂直配向と軸対称配向との間を電圧によって変化するので優れた視角特性を有する。さらに、誘電異方性が負の液晶材料を用いて電圧無印加時に垂直配向状態をとるノーマリーブラックモードの表示を行うので、高コントラストの表示が可能である。
【0025】
この位相差補償素子は、一対の偏光板のうちの一方の偏光板とそれに隣接する基板との間に設けてもよく、一対の偏光板の各々とそれに隣接する基板との間に1枚ずつ設けてもよい。
【0026】
この位相差補償素子は、面内方向と厚み方向とにリタデーションを有する2軸性のフィルムであっても、2枚の2軸性フィルムの積層フィルムであっても、或いは面内方向にリタデーションを有する1軸性フィルムと厚み方向にリタデーションを有する1軸性フィルムとを貼り合わせた積層構造のものであっても同様に用いることができる。
【0027】
この位相差補償素子は、その主屈折率のうちのnxの方向をその位相差補償素子に隣接する偏光板の吸収軸と互いに略直交させて配置させることにより、上記視角依存性の補償機能を充分発揮させることができる。
【0028】
尚、後述する実施形態に示すように、位相差補償素子の遅相軸と偏光板の吸収軸に直交する方向とのずれが1゜より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じ、充分な黒レベルやコントラストが得られないので、位相差補償素子の遅相軸と偏光板の吸収軸に直交する方向とは、そのずれが1゜以下であるのが望ましい。
【0029】
液晶分子の複屈折率Δn、液晶層の平均厚さdLC、および位相差補償素子の厚さdfに対して、位相差補償素子の面内リタデーション値df(nx−ny)を液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さくすることにより上記視角依存性の補償効果を大きくすることができる。特に、位相差補償素子の面内リタデーション値df(nx−ny)を液晶層のリタデーション値dLC・Δnの3.5%〜15%の範囲にすると、後述する図35に示すように高コントラストの表示を得ることが可能である。
【0030】
液晶分子の複屈折率Δn、液晶層の平均厚さdLC、および位相差補償素子の厚さdfに対して、位相差補償素子の厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)を液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さくすることにより上記視角依存性の補償効果を大きくすることができる。特に、位相差補償素子の厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)を液晶層のリタデーション値dLC・Δnの30%〜80%の範囲にすると、位相差補償素子の効果を大きくすると共に色特性が良好な表示を得ることが可能である。
【0031】
位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比(又は屈折率差比)は、0よりも大きいのが望ましい。後述する実施形態に示すように、両リタデーション値の比が0よりも大きい場合、即ち、厚さ方向のリタデーション値が0でない場合、視野角補償効果が生じるからである。特に、両リタデーション値の比を2以上にすると、コントラスト比10で視野角60゜以上の良好な表示状態を実現することができる。さらに、両リタデーション値の比を3以上6以下にすると、コントラスト比20で視野角60゜以上のさらに優れた表示状態を実現することができる。 尚、上記位相差補償素子の材料としては平均屈折率1.4以上1.7以下のポリカーボネイト等の高分子材料を用いることができ、可視光領域において透明(透過率90%以上)な位相差補償素子が得られる。
【0032】
ここで、液晶層のリタデーション値dLC・Δnを300〜550nmの範囲にすることにより、電圧印加時の視角特性を向上させると共に階調反転を防ぐことが可能であり、後述する実施形態に示すようにコントラスト比10で視野角60゜以上の良好な表示状態が得られる。
【0033】
一対の偏光板のうち、前面側の偏光板の表面に反射防止膜またはアンチグレア防眩層を設けることにより、上記視角依存性の補償効果を大きくすることができる。また、その上に反射防止膜を設けることにより、上記視角依存性の補償効果をさらに大きくすることができる。
【0034】
また、位相差補償素子を設けた場合には広視野角方向で色付きが生じることがあるが、前面側の偏光板の表面にアンチグレア防眩層を設け、さらにその表面に反射防止膜を設けることにより、この色付きを補償することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
(基本動作)
図1を参照しながら、本発明に係る液晶表示装置100の動作原理を説明する。図1(a)及び図1(b)は電圧無印加時の状態を示し、図1(c)及び図1(d)は電圧印加時の状態を示す。なお、図1(a)及び図1(c)は断面図であり、図1(b)及び図1(d)は上面をクロスニコル状態の偏光顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【0036】
この液晶表示装置100は、一対の基板32と34の間に、誘電異方性(Δε)が負(Nn型)の液晶分子42からなる液晶層40が挟持されている。一対の基板32と34の液晶層40に接する表面には、垂直配向層38a及び38bが形成されている。また、一対の基板32と34の少なくとも一方の液晶層40側の面には凸部36が形成されている。この凸部36によって、液晶層40はdoutとdinの2種類の異なる厚さを有する。その結果、後述するように、電圧印加時に軸対称配向を呈する液晶領域が凸部36によって包囲される領域に規定される。なお、図1において、液晶層40に電圧を印加するために一対の基板32と34に形成されている電極は省略してある。
【0037】
この液晶表示装置100において、電圧無印加時には図1(a)に示すように、液晶分子42が垂直配向層38a、38bの配向規制力によって基板に垂直な方向に配向している。電圧無印加状態の絵素領域をクロスニコル状態の偏光顕微鏡で観察すると、図1(b)に示すように暗視野を呈する(ノーマリーブラックモード)。
【0038】
一方、液晶表示装置100に電圧を印加すると、負の誘電異方性を有する液晶分子42に、液晶分子の長軸を電界の方向に対して垂直に配向させる力が働くので、図1(c)に示すように基板に垂直な方向から傾く(中間調表示状態)。なお、この図1(c)において、44は中心軸を示す。この状態の絵素領域をクロスニコル状態の偏光顕微鏡で観察すると、図1(d)に示すように吸収軸に沿った方向に消光模様が観察される。
【0039】
図2に、本発明に係る液晶表示装置100の電圧透過率曲線を示す。横軸は液晶層に印加される電圧を表し、縦軸は相対透過率を表す。
【0040】
電圧無印加時のノーマリーブラック状態から電圧を上昇していくと、透過率が徐々に増加する。ここで、相対透過率が10%となる電圧をVth(閾値電圧)と呼ぶ。更に電圧を上昇すると、透過率はさらに上昇して飽和に至る。この透過率が飽和する電圧をVstと呼ぶ。液晶層40に印加する電圧が1/2VthからVstの間にある場合には、透過率は図2に示した動作範囲内を可逆的に変化する。1/2Vth付近の電圧を印加した状態においては、液晶分子は基板に対してほぼ垂直配向しているが、軸対称配向の中心軸に対する対称性を記億しており、1/2Vthを越える電圧を印加すると可逆的に軸対称配向状態に戻ると考えられる。しかしながら、印加する電圧が1/2Vthよりも低くなると液晶分子がほぼ垂直配向状態に戻るので、再度電圧を印加すると液晶分子が倒れる方向が一意的に決まらないため、軸対称配向の中心軸が複数存在することになって透過率が安定しない。
【0041】
液晶セル中にNn型の液晶材料を注入した段階では、印加電圧が1/2Vthよりも低い場合と同様の挙動をする。そこで、一旦、1/2Vth以上の電圧を印加することにより、凸部36で包囲された領域内(絵素領域に対応)で複数の中心軸が1つになり、図2に示した電圧透過率特性を示すようになる。
【0042】
なお、「絵素」は一般に表示を行う最小単位として定義されており、本願明細書において「絵素領域」とは、「絵素」に対応する液晶表示素子の一部の領域を指す。縦横比が大きい絵素(長絵素)の場合、1つの長絵素に対して複数の絵素領域を形成してもよいが、各絵素に対応して形成される絵素領域の数は、軸対称配向が安定に形成され得る限り、できるだけ少ないほうが好ましい。また、本願明細書において「軸対称配向」とは、放射状、同心円状(タンジェンシャル状)、渦巻状等の配向状態を言う。
【0043】
(液晶材料)
本発明で用いられる液晶材料は、負の誘電率異方性(Δε<0)を有する、いわゆるNn型の液晶材料である。Δεの絶対値の大きさは用途により適宜設定でき、一般的には、駆動電圧を低下させるという観点から大きな絶対値を有することが好ましい。
【0044】
電圧印加時のdLC・Δn(リタデーション)は、装置の透過率や視角特性など装置特性の重要な特性を左右する重要な要素である。本発明の表示モードでは、液晶材料固有のΔnと液晶層厚dLCの積で決まる液晶セル固有のリタデーションを最適値に限定する必要は必ずしもない。
【0045】
図3に、リタデーションの最適値(透過率最大になるファーストミニマム条件:dLC・Δn=550nm)よりも大きなリタデーション値を有する液晶表示装置の電圧透過率曲線を示す。
【0046】
このような液晶表示装置については、相対透過率の最大点を越えた領域を使用する必要はなく、相対透過率が単調に増加する領域で液晶表示装置を駆動すればよい。すなわち、図3において相対透過率が最大となる電圧を最大駆動電圧(Vmax)と設定すればよい。
【0047】
本発明においては、使用する最大駆動電圧でのリタデーション値が重要である。ここで、液晶セルを作製したときの液晶分子の見掛け上のΔn(屈折率の異方性:最大駆動電圧での値)と液晶層の平均厚さdLCの積dLC・Δn(リタデーション値)が約300nm〜550nmであることが好ましく、さらに、300nm〜500nmであることが好ましい。この範囲では電圧印加時の透過率や電圧無印加時の視角特性が良好であり、視角によって印加電圧の大きさと透過率の関係が逆転する、いわゆる階調反転(コントラスト反転)現象が生じない。
【0048】
一方、透過率が極大となる点としてはセカンドミニマム条件(リタデーション値:1000nm〜1400nm)も存在するが、この範囲では電圧無印加時の視角特性が劣り、さらに、階調反転(コントラスト反転)現象を起こすことがある。
【0049】
以下、dLC・Δnについて、本発明者らが行った2つのシミュレーション結果を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0050】
(1)まず、液晶材料のΔnを約0.08に固定し、液晶セルのセル厚を4μmから8μmに変化させ、各々のdLC・Δnに対して等コンター視野角特性が最大となるように2軸性位相差補償素子を最適化するために、電気光学実験(シミュレーション)を行った。そして、視野角特性、階調反転及び透過率とリタデーションとの関係を評価した。尚、コントラスト比の算出においては、透過率が飽和する印加電圧(10V)時を100%とし、黒レベルには透過率0.1%の電圧を、白レベルには透過率95%の電圧を用いた。
【0051】
図4、図5はコントラスト比10及び20の視野角θ、図6はコントラスト反転角θ、図7は10V印加時の透過率を、各々液晶セルのリタデーションdLC・Δnに対してプロットした図である。ここで、位相差補償素子としては、面内屈折率差と厚さ方向(法線方向)の屈折率差との比を4.5としたものを用いた。ここで、方位角Φ=0を下偏光板の吸収軸方向とする。
【0052】
図4の結果から、コントラスト比が10の場合、全方位の視野角が60゜以上の特性を有するdLC・Δnの領域は300nm〜550nmであり、dLC・Δnがこの範囲内にあることが好ましいことがわかる。
【0053】
さらに、図5に示すようにコントラスト比が20の場合、dLC・Δnが増加すると共に視野角が減少することがわかる。また、図6から、反転角が全方位で60゜以上であり、ほぼ円形の視野角特性が得られる範囲は300nm〜400nmの領域であることがわかる。よって、コントラスト比20が要求されるような場合や、ほぼ円形の視野角特性が要求されるような用途に好ましい範囲としては、dLC・Δnが300nm〜400nmである。
【0054】
一方、液晶セルのリタデーションがファーストミニマム条件を超えると、表示性能(視野角、反転角特性)が著しく低下することが一般的に知られているが、図7に示すように、最大透過率が得られるdLC・Δnは550nmである。従って、この点が液晶材料のファーストミニマムであり、550nmを超える液晶セルの条件では充分な表示性能を得ることができないことがわかる。
【0055】
(2)次に、液晶セルのセル厚を5μmに固定し、材料のΔnを0.07から0.1に変化させ、各々のdLC・Δnに対して等コンター視野角特性が最大となるように2軸性位相差補償素子を最適化するために、電気光学実験(シミュレーション)を行った。そして、視野角特性、階調反転及び透過率とリタデーションの関係を評価した。尚、コントラスト比の算出においては、透過率が飽和する印加電圧(10V)時を100%とし、黒レベルには透過率0.1%の電圧を、白レベルには透過率95%の電圧を用いた。
【0056】
図8、図9はコントラスト比10及び20の視野角θ、図10はコントラスト反転角θ、図11は10V印加時の透過率を、各々液晶セルのリタデーションdLC・Δnに対してプロットした図である。ここで、位相差補償素子としては、面内屈折率差と厚さ方向(法線方向)の屈折率差との比を4.5としたものを用いた。
【0057】
図8の結果から、コントラスト比が10の場合、全方位の視野角が60゜以上の特性を有するdLC・Δnの領域は300nm〜550nmであり、dLC・Δnがこの範囲内にあることが好ましい。
【0058】
さらに、図9に示すようにコントラスト比が20の場合、dLC・Δnが増加すると共に視野角が減少することがわかる。また、図10から、反転角が全方位で60゜以上であり、ほぼ円形の視野角特性が得られる範囲は300nm〜400nmの領域であることがわかる。よって、コントラスト比20が要求されるような場合や、ほぼ円形の視野角特性が要求されるような用途に好ましい範囲としては、dLC・Δnが300nm〜400nmである。
【0059】
一方、図11に示すように、液晶セルのリタデーションが増加するに伴って10V印加時の透過率は増加している。
【0060】
以上の(1)及び(2)のシミュレーション結果から、本発明の液晶表示装置において最適なdLC・Δnの領域は300nm〜550nm、さらに好ましくは300nm〜400nmであると言える。
【0061】
液晶層における液晶分子のツイスト角も液晶表示装置の透過率を決定する重要な要素のひとつであり、本発明においてはリタデーション値と同様に、最大駆動電圧におけるツイスト角が重要である。
【0062】
最大駆動電圧印加時のツイスト角が45〜110°であるのが好ましく、透過率の観点からは100゜であるのがさらに好ましい。
【0063】
本発明はNn型の液晶分子を用いているので、液晶分子の見掛け上のツイスト角は電圧に依存する。電圧無印加時のツイスト角はほぼ0°であり、電圧の増加に伴いツイスト角が増加し、十分な電圧を印加すると液晶材料固有のツイスト角に近づく。
【0064】
最大駆動電圧におけるツイスト角とリタデーション値は、両者がともに好ましい範囲内にあるのが好ましく、この場合にはさらに効果的に透過率を最大値に近づけることができる。
【0065】
(光硬化性樹脂)
図2を参照しながら上述したように、本発明の液晶表示装置には1/2Vth以上の電圧を常に印加することが好ましい。
【0066】
基板に対して垂直に配向した液晶分子に電圧を印加すると、液晶分子が倒れる方向が一義的に決定されず、その結果、過渡的に複数の中心軸が形成される現象が起こる。一方、電圧を印加し続けると凸部で規定された領域内に唯一の中心軸が形成され、1/2Vth以上の電圧を印加している限り、この状態が安定に存在する。
【0067】
そこで、軸対称配向を安定化するために1/2Vth以上の電圧を印加した状態で、予め液晶材料中に混合しておいた光硬化性樹脂を硬化させることによって、液晶層に接する表面に軸対称配向固定層を形成することができ、これにより液晶分子の軸対称配向を安定化させることができる。光硬化性樹脂を硬化した後は、1/2Vth以上の電圧を取り除いても複数の中心軸が形成されることなく、再現性よく軸対称配向が形成される。
【0068】
この光硬化性樹脂としては、アクリレート系、メタアクリレート系、スチレン系、及びこれらの誘導体を使用することができる。これらの樹脂に光重合開始剤を添加することにより、より効率的に光硬化性樹脂を硬化させることができる。また、熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0069】
硬化性樹脂の添加量は、材料により最適値が異なるため、本発明では特に限定しないが、樹脂含有量(液晶材料を含む全体の重量に対する%)が約0.1%〜5%であることが好ましい。約0.1%より少ないと軸対称配向状態を硬化した樹脂によって安定化することができず、約5%を越えると垂直配向層の効果が阻害されて液晶分子が垂直配向からずれるので、透過率が上昇(光り抜け)して電圧OFF時の黒状態が劣化する。
【0070】
(位相差補償素子)
従来技術の項で説明したように、2枚の直交した偏光板間に垂直配向した液晶材料を挟んだ場合、正面方向では良好な黒状態が得られ、高コントラストの表示が得られる。しかし、視角を変化させて観察した場合、(i)偏光板自身の特性による視角依存性、および(ii)液晶層のリタデーションによる視角依存性に起因して光漏れが観測され、コントラスト比の低下が起こる。
【0071】
そこで、本発明にあっては、一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板とそれに隣接する基板との間に位相差補償素子を配置する。位相差補償素子は、位相差板や複数の位相差板から構成される。また、位相差板は位相差フィルムを含む。
【0072】
図12は本発明に用いる位相差補償素子の主屈折率の方向を示す斜視図である。ここで、位相差補償素子の表面に平行な面をx−y平面とする直交座標系を定義し、位相差補償素子の屈折率楕円体の3つの主屈折率をnx,ny,nzとする。面内方向の主屈折率はnx,nyと定義され、厚み方向の主屈折率はnzと定義される。この位相差補償素子は負の複屈折率を有し、面内方向の主屈折率nx,ny、および厚み方向の主屈折率nzについてnx>ny>nzの関係を有する。この関係を満たす位相差補償素子においては、最大の主屈折率であるnxの方向(x軸方向)が遅相軸の方向となる。
【0073】
このような位相差補償素子あるいはそれを構成する位相差板または位相差フィルムの材料としては、例えばポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、液晶性高分子、三酢酸セルロース等の可視光領域において透明(透過率90%以上)な高分子材料が挙げられ、これらの材料の平均屈折率は約1.4以上約1.7以下である。
【0074】
この位相差補償素子は、複数の位相差フィルムを各々の光学軸の方位角を異ならせて積層した積層型位相差フィルム等を用いてもよい。面内方向にリタデーションを有する1軸性フィルムと厚み方向にリタデーションを有する1軸性フィルムとを貼り合わせた積層型位相差フィルムを用いた場合でも、面内方向と厚み方向とにリタデーションを有する2軸性のフィルムを用いた場合でも同様に視野角特性改善の効果が得られる。或いは、2枚の2軸性位相差フィルムを積層したフィルムであってもよい。
【0075】
図13(a)に示すように、液晶セル134の両側を挟んで偏光板132a、132bを配置し、偏光板132a、132bと液晶セル134との間に2軸性位相差フィルム133a、133bを配置し、偏光板132aの背面側にバックライト131を配置した液晶表示装置においては、例えば、以下の様に構成であってもよい。
【0076】
図13(b)および図13(c)に示すように、偏光板132a、132bの少なくとも一方は、偏光層136a、136bがそれぞれ、一対の支持フィルム135aと137a、または支持フィルム135bと137bに挟持され、支持された構成を有し、偏光板132a、132bが面内または面法線方向にリタデーションを有する、一般的に市販されている偏光板(例えば、日東電工社や住友化学工業社から入手可能)を用いてもよい。この場合、本発明の液晶表示装置において視角補償に用いられる位相差補償素子のリタデーションは、偏光板132aおよび132bのリタデーションも含み、このリタデーションの値を本発明に従って調整することによって、視野角特性改善効果が得られる。なお、上記の例では、支持フィルムを偏光層の両側に設けたが、片側に設けても良い。
【0077】
支持フィルムとしては、例えば、TAC(triacetic acid cellulose)、PET(polyethylenetelephthalate)、PETG(polyethyleneglycol)、PMMA(polymethyl methacrylate)、PC(polycarbonate)、ARTON、ZENOXなどからなる一軸性または2軸性のフィルムを用いることができる。特に、TACは位相差フィルムと比較して硬いので、支持フィルムとして好適に用いられる。TACからなる支持フィルムは、例えば、法線方向に約50〜約60nm程度のリタデーションを、面内方向に約5〜約10nmのリタデーションを有する。
【0078】
この位相差補償素子は、一方の偏光板とそれに隣接する基板との間に設けてもよく、両方の偏光板とそれに隣接する基板との間に設けてもよい。
【0079】
この位相差補償素子の主屈折率のうちのnxの方向と位相差補償素子に隣接する偏光板の吸収軸とは45゜〜135゜の角度で配置するのが好ましく、67゜〜113゜の角度で配置するのがさらに好ましい。さらに、両者を互いに直交させると偏光板自身の特性による視角依存性および液晶層のリタデーションによる視角依存性を補償する機能を充分に発揮することができるので好ましい。
【0080】
尚、偏光板クロスニコル下で評価を行ったところ、図14に示すように、位相差補償素子の遅相軸と偏光板の吸収軸との直交精度が1゜より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じ、充分な黒レベルやコントラストが得られなかった。従って、位相差補償素子の主屈折率nxの方向と偏光板の吸収軸に直交する方向とは、そのずれが1゜以下であるのが望ましい。
【0081】
液晶分子の複屈折率Δn、液晶層の平均厚さdLC、位相差補償素子の厚さdfとすると、位相差補償素子の面内リタデーション値df(nx−ny)が液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さいことが好ましい。さらに好ましくは、液晶層のリタデーション値dLC・Δnの3.5%〜15%の範囲である。3.5%未満では視角特性の改善効果が低くなり、15%を超える場合には視角を倒した場合の色調の変化が大きくなることがある。
【0082】
また、位相差補償素子の厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)が液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さいことが好ましい。さらに好ましくは、液晶層のリタデーション値dLC・Δnの30%〜80%の範囲である。30%未満では位相差補償素子の効果が小さく、80%を超える場合には広視角方向で色付きが大きくなることがある。
【0083】
以下に、この位相差補償素子による視野角補償のメカニズムについて、ノーマリーブラックモードの場合を例に挙げて説明する。
【0084】
一般に、偏光板の偏光特性と液晶分子の軸対称配向の光学特性から、偏光板の吸収軸に対して方位角45゜方向においては、軸方向に比べて視野角特性が劣化することがわかっている。
【0085】
図15に示すように、位相差補償素子を設けずに偏光板のみが配置されている液晶セルに対して、電圧off時に視野角を正面から斜めに倒していくと、図16に示すように、屈折率楕円体のために見かけの屈折率が変化する。よって、光学特性が変化して良好な視野角特性が得られない。
【0086】
一方、図17に示すように、位相差補償素子を設けた液晶セルに対して、電圧off時に偏光板の吸収軸に対して45゜方向で視野角を正面から斜めに倒しても、図18に示すように、見かけの屈折率楕円体がほぼ球になるので、斜めから液晶セルを見ても光学特性が殆ど変化しない。よって、図19及び図20に示すように、電圧off時及び電圧on時において視野角を倒した場合でも、黒表示と白表示とが正面から見た場合と見かけ上は同じになるので、視野角特性が良好に補償される。さらに、偏光板の吸収軸方向に対しては、図21〜図24に示すように、位相差補償素子を設けても元々の視野角特性は劣化しない。従って、全方位で良好な視野角特性を得ることができる。
【0087】
上述したシミュレーション(1)及び(2)において、位相差補償素子(位相差フィルム)の面内方向の屈折率差と厚さ方向の屈折率差との比を4.5にした最適位相差フィルムの面内及び法線方向のリタデーションと液晶セルのリタデーションとの関係を評価した結果を各々図25及び図26に示す。これらの図から、dLC・Δnが増加するに従って面内方向及び厚さ方向の最適リタデーションが増加していることがわかる。
【0088】
ところで、位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比(又は屈折率差比)は、図27〜図30に示すように、0よりも大きいのが望ましい。両リタデーション値の比が0でない場合、即ち、厚さ方向(法線方向)のリタデーション値が0でない場合、視野角補償効果が生じるからである。
【0089】
さらに、図27及び図29に示すように、面内方向と厚さ方向の屈折率差比(リタデーション比)を2以上にすると、コントラスト比10で視野角60゜以上の良好な表示状態を実現することができる。
【0090】
ここで、視野角60゜以上を規定しているのは、現在、一般的に用いられているTNモードの液晶表示装置の視野角が60゜であることからである。一方、コントラスト比10を規定しているのは、一般的な広視野角モードのコントラスト比が10程度であるからである。さらに、コントラスト比10でIPSやVA等の液晶表示モードを考慮して視野角70゜以上を実現するためには、屈折率差比2.5以上とするのが好ましい。
【0091】
特に、図28に示すように、屈折率差比3以上6以下では、コントラスト比20で視野角60゜以上のさらに優れた視野角補償効果が得られる。このグラフにおいて、屈折率差比3〜6の部分は、視野角が45゜及び135゜の方向の特性がその他の方向の特性を超える部分である。よって、屈折率差比3以上6以下の範囲では、45゜及び135゜方向の視角特性が改善されると共に、ほぼ円状の視角特性が得られる。
【0092】
ここで、視野角60゜以上を規定しているのは、現在、一般的に用いられているTNモードの液晶表示装置の視野角が60゜であることからである。一方、コントラスト比20を規定しているのは、一般的な広視野角モードよりもさらに厳しい条件で良好な表示特性を実現することができるからである。
【0093】
(垂直配向層)
垂直配向層は、液晶分子を垂直に配向させる表面を有していればよく、その材料は無機材料でも有機材料でもかまわない。例えば、ポリイミドタイプ(JALS204(日本合成ゴム)や1211(日産化学))や無機系(EXP−OA003(日産化学工業))などが使用できる。
【0094】
(偏光板)
偏光板を直交ニコル状態に配置することにより、垂直配向した液晶材料を挟んだ場合にノーマリーブラックモードの良好な黒状態が得られ、高コントラストの表示が得られる。この偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリ(エチレン−酢酸)共重合体系ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムにヨウ素や親水性高分子を吸着配向せしめたヨウ素系偏光フィルムや染料系偏光フィルム等、およびポリビニルアルコール系フィルムを脱水処理したりポリ塩化ビニルフィルムを脱塩酸処理したりしてポリエンを配向せしめたポリエン系偏光フィルム等を用いることができる。
【0095】
また、偏光板の表面に反射防止膜またはアンチグレア防眩層を設けることにより、吸収軸方向に対して45゜ずれた方向の視野角特性をさらに改善することができる。特に、このアンチグレア防眩層は、ハードコート層に防眩処理がなされたものである。ハードコート層に用いるバインダー樹脂としては、ハード性能を有し、透明性のあるものであればどのような樹脂でも用いることができ、例えば熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。なお、本発明において、「ハード性能を有する」または「ハードコート」とは、JISK5400に示される鉛筆硬度試験によりH以上の硬度を示すものを言う。
【0096】
上記熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができる。
【0097】
上記電離放射線硬化型樹脂は、電子線または紫外線照射により硬化させることができるものである。この電離放射線硬化型樹脂はアクリレート系の官能基を有するものが好ましく、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂や多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートまたはメタアクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等を用いることができる。特に好ましくはポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物である。
【0098】
ハードコート層に施す防眩処理とは、表面に微細に凹凸を形成することにより外光を散乱させて観察者の眼に直接反射光が入らないようにする処理を言い、例えば賦型フィルムを用いる方法またはバインダー樹脂に微粒子を添加する方法等がある。
【0099】
賦型フィルムを用いる方法は、例えば以下のようにして行う。まず、偏光板表面に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、未硬化状態の塗膜上に、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートする。次に、このラミネートされた塗工物に電離放射線を照射して塗膜を完全に硬化させた後、賦型フィルムを剥離することにより表面に微細な凹凸が形成された防眩層が形成される。
【0100】
また、バインダー樹脂に添加される微粒子としては、ビーズやフィラー等が挙げられ、例えば無定形シリカ粉末、ポリカーボネート粒子、アクリレート系樹脂ビーズ、メタクリレート系樹脂ビーズ等が挙げられる。
【0101】
さらに、偏光板の表面に、上記アンチグレア防眩層に加えて反射防止膜(アンチリフレクションコーティング層)を設けることにより、吸収軸に対して45゜ずれた方向の視野角特性のさらなる改善を図ることができる。この反射防止膜は光の干渉を利用して反射光を軽減させるものであり、例えば無機材料からなる誘電体薄膜を積層したものを用いることができる。無機材料としては、例えばLiF、MgF2、3NaF・AlF3、AlF3、SiOx(x:1.8<x<2.2)等が挙げられる。無機材料からなる薄膜の形成方法は気相法が好ましく、例えば真空状着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等が挙げられる。
【0102】
以下、本発明の実施形態についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
(実施形態1)
図31を参照しながら、本実施形態1の液晶表示装置の製造方法について説明する。図31(a)は本実施形態1の液晶表示装置の断面図であり、図31(b)はその平面図である。
【0104】
まず、表面に透明電極63(ITO:100nm)が形成された基板62上に、感光性ポリイミドを用いて高さ約5μmのスペーサー65を絵素領域外を形成した。次に、アクリル系ネガレジストを用いて高さ約3μmの凸部66を形成した。ここで、凸部66で包囲される領域、すなわち絵素領域の大きさは100μm×100μmとした。その上に、JALS204(日本合成ゴム)をスピンコートして垂直配向層68を形成した。さらに、表面に透明電極64(ITO:100μm)が形成されたもう一方の基板61上にも同じ材料を用いて、垂直配向層67を形成した。その後、両者を貼り合わせて液晶セルを作製した。
【0105】
作製したセル中に、Nn型液晶材料(Δε=−4.0、Δn=0.08、セルギャップ5μmで90°ツイストとなるように液晶材料固有のツイスト角を設定、リタデーション値dLC・Δn=400nm)を注入し、電圧を7V印加した。電圧印加直後、初期状態では軸対称配向の配向軸が複数存在する状態となり、さらに、電圧印加状態を続けると絵素領域ごとに1つの軸対称配向領域(モノドメイン)が形成された。
【0106】
次に、図32に示すように、液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。図32(a)は本実施形態における液晶セル、偏光板および位相差補償素子の配置図であり、図32(b)は偏光板の吸収軸方向と位相差補償素子の3つの主屈折率のうちの最大の主屈折率であるnxの方向、すなわち遅相軸方向との関係を示す図である。この図32に示すように、液晶セル100の両外側に上側偏光板101および下側偏光板102を各々の吸収軸が直交するように配置した。また、上側偏光板101と液晶セル100との間に第1の位相差補償素子103を配置し、下側偏光板102と液晶セル100との間に第2の位相差補償素子104を配置した。第1の位相差補償素子103および第2の位相差補償素子104は共に、図12に示したような位相差補償素子であり、ここでは面内のリタデーション値df(nx−ny)を42nm、厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)を170nmとした。
【0107】
得られた液晶表示装置の構造は、垂直配向層68の断面形状が図31に示したようにすり鉢状となっており、その厚さの位置(絵素中央から周辺部に至る)による変化を示す曲線の微分係数は正であり、絵素領域内の液晶層厚さの変化を示す曲線の微分係数は負である。
【0108】
この実施形態1の液晶セルの軸対称配向は、1/2Vth以上の電圧を印加している状態では安定であり、電圧を1/2Vthより低くすると軸対称配向の状態が崩れて初期状態に戻ってしまった。再び電圧を印加すると初期の軸対称配向の中心軸が複数存在する状態を経て、絵素領域ごとに1つずつ中心軸を有する軸対称配向状態になった。この現象は、20回実施しても変化がなかった。ここで、実施形態1の液晶セルの電気光学特性を測定するために、1/2Vth以上の電圧を印加して軸対称状態を形成した後、電気光学特性の測定中は軸対称配向が安定な電圧範囲(1/2Vth以上)で測定した。
【0109】
図33に本実施形態1の液晶表示装置の電気光学特性を示す。図33から明らかなように、本実施形態1の液晶表示装置においては、OFF状態における透過率が低く、良好なコントラスト比(CR=300:1、5V)が得られた。
【0110】
また、図34に本実施形態1の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す。図34において、Φは方位角(表示面内の角度:下偏光板の吸収軸を0°とする)、θは視角(表示面法線からの傾き角)であり、ハッチングはコントラスト比が20:1以上の領域を示す。図34に示すように、従来の液晶表示装置においては視角特性が特に悪い領域である偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向をも含めた広い視角範囲において高いコントラスト比が得られており、ほぼ円状の視角特性を得ることができた。
【0111】
(実施形態2)
本実施形態2では、実施形態1と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、実施形態1と同様に、図32に示したような配置で液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。但し、この実施形態2では、Nn型液晶材料(Δε=−3.3、Δn=0.0773、セルギャップ6μmで90゜ツイストとなるように液晶材料固有のツイスト角を設定、リタデーション値dLC・Δn=450nm)を注入した。
【0112】
図35に本実施形態2の液晶表示装置の電気光学特性について、実施形態1と同様にして測定した結果を示す。ここでは、視角θ=40゜、方位角Φ=45゜に固定し、位相差補償素子の面内のリタデーション値df(nx−ny)を変化させて測定した。図35に示すように、コントラスト比が10以上となる位相差補償素子の面内のリタデーション値df(nx−ny)の範囲は16.0nm〜65.0nmであり、液晶層のリタデーション値dLC・Δnの3.5%〜15%であった。また、コントラスト比が最大となるのは面内のリタデーション値(nx−ny)・dfが約42.5nmの値を取るときであり、液晶層のリタデーション値dLC・Δnの約9.5%であった。さらに、視角θ=40゜、方位角Φ=135゜に固定し、位相差補償素子の面内のリタデーション値(nx−ny)・dfを変化させて測定した場合にも、図35と同様の結果が得られた。
【0113】
(比較例1)
比較例1では、実施形態1と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、液晶セルの両側に一対の偏光板を各々の吸収軸が直交するように配置して液晶表示装置を完成した。但し、この比較例1では位相差補償素子は設けなかった。 図36に比較例1の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す。図36において、Φは方位角(表示面内の角度)、θは視角(表示面法線からの傾き角)であり、ハッチングはコントラスト比が10:1以上の領域を示す。図36に示すように、偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向(図36の(イ)または(ロ)に示す方向)の視角特性が悪く、特に視角が35゜以上になるとコントラストが著しく低下していた。
【0114】
(比較例2)
比較例2では、実施形態1と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、液晶セルの両側に上側偏光板および下側偏光板を各々の吸収軸が直交するように配置した。また、上側偏光板と液晶セルとの間に第1の位相差補償素子を配置し、下側偏光板と液晶セルとの間に第2の位相差補償素子を配置した。但し、この比較例2では、第1の位相差補償素子および第2の位相差補償素子は共にフリスビー型と呼ばれる位相差補償素子で、nx=nyであり、厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)は150nmとした。
【0115】
図37に比較例2の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す。図37において、Φは方位角(表示面内の角度)、θは視角(表示面法線からの傾き角)であり、ハッチングはコントラスト比が10:1以上の領域を示す。位相差補償素子が設けられていない比較例1に比べると、偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向の視角特性がいくらか改善されているものの、特に視角が40゜以上になると依然コントラストが著しく低下していた。
【0116】
(実施形態3)
本実施形態3では、実施形態1と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、実施形態1と同様に、図32に示したような配置で液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。但し、この実施形態3では、上側偏光板101の表面にヘイズ3.5%、光沢度80%のアンチグレア防眩層を設けた。
【0117】
図38に本実施形態3の液晶表示装置について、4階調(液晶駆動電圧:2.77V、3.74V、4.8V、7.77V)の階調特性を示す。図38(a)は上側偏光板101の吸収軸方向における階調特性であり、図38(b)は上側偏光板101の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。また、比較のために、図39に実施形態1の液晶表示装置の4階調(液晶駆動電圧:2.77V、3.74V、4.8V、7.77V)の階調特性を示す。図39(a)は上側偏光板101の吸収軸方向における階調特性であり、図39(b)は上側偏光板101の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【0118】
この図38および図39に示すように、偏光板にアンチグレア防眩層を設けることにより、視角を倒していくと表れる黒レベルの上昇を押さえることができた。特に、吸収軸から45゜ずれた方向における視野角60゜のところでの黒レベルの上昇が顕著に押さえられており、コントラスト比を向上させて視角特性を改善することができた。
【0119】
(実施形態4)
本実施形態4では、実施形態3と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、実施形態3と同様に、図32に示したような配置で液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。但し、この実施形態4では、上側偏光板101の表面にヘイズ13%、光沢度40%のアンチグレア防眩層を設けた。
【0120】
図40に本実施形態4の液晶表示装置について、4階調(液晶駆動電圧:2.77V、3.74V、4.8V、7.77V)の階調特性を示す。図40(a)は上側偏光板101の吸収軸方向における階調特性であり、図40(b)は上側偏光板101の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【0121】
この図40に示すように、実施形態3と同様に、偏光板にアンチグレア防眩層を設けることにより、視角を倒していくと表れる黒レベルの上昇を押さえることができた。また、本実施形態4ではヘイズを大きくすることにより、実施形態3に比べて視野角60゜のところで特に吸収軸から45゜ずれた方向における黒レベルの上昇が顕著に押さえられており、さらにコントラスト比を向上させて視角特性を改善することができた。
【0122】
(実施形態5)
本実施形態5では、実施形態3と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、実施形態3と同様に、図32に示したような配置で液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。但し、この実施形態5では、上側偏光板101の表面にヘイズ3.5%、光沢度80%のアンチグレア防眩層を設けた上に、さらに反射防止膜を設けた。
【0123】
図41に本実施形態5の液晶表示装置について、4階調(液晶駆動電圧:2.77V、3.74V、4.8V、7.77V)の階調特性を示す。図41(a)は上側偏光板101の吸収軸方向における階調特性であり、図41(b)は上側偏光板101の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【0124】
この図41に示すように、反射防止膜を設けることにより、視角を倒していくと表れる黒レベルの上昇を実施形態3に比べてさらに押さえることができ、さらにコントラスト比を向上させて視角特性を改善することができた。
【0125】
(実施形態6)
本実施形態6では、実施形態3と同様にして図31に示した液晶セルを作製し、実施形態3と同様に、図32に示したような配置で液晶セル100の両側に偏光板101、102および位相差補償素子103、104を配置して液晶表示装置を完成した。但し、この実施形態6では、上側偏光板101の表面にヘイズ13%、光沢度40%のアンチグレア防眩層を設けた上に、さらに反射防止膜を設けた。
【0126】
図42に本実施形態6の液晶表示装置について、4階調(液晶駆動電圧:2.77V、3.74V、4.8V、7.77V)の階調特性を示す。図42(a)は上側偏光板101の吸収軸方向における階調特性であり、図42(b)は上側偏光板101の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【0127】
この図42に示すように、反射防止膜を設けることにより、視角を倒していくと表れる黒レベルの上昇を実施形態4に比べてさらに押さえることができ、さらにコントラスト比を向上させて視角特性を改善することができた。
【0128】
(実施形態7)
図43を参照しながら、実施形態7の液晶表示装置の製造方法について説明する。本実施形態の液晶表示装置の液晶セルは、図31の液晶セルと同様の構造を有しているので、図31を併せて参照しながら、説明する。
【0129】
まず、表面に透明電極(例えば、約100nmの厚さのITO膜)が形成された基板上に、感光性ポリイミドを用いて高さ約6μmのスペーサを絵素領域外に形成した。次に、アクリル系ネガレジストを用いて高さ約3μmの凸部66を形成した。ここで、凸部66で包囲される領域、すなわち絵素領域の大きさは100μm×100μmとした。その上に、JALS204(日本合成ゴム)をスピンコートして垂直配向層68を形成した。さらに、表面に透明電極64(ITO:100μm)が形成されたもう一方の基板61上にも同じ材料を用いて、垂直配向層67を形成した。その後、両者を貼り合わせて液晶セルを作製した。
【0130】
作製したセル中に、Nn型液晶材料(Δε=−3.0、Δn=0.073、セルギャップ6μmで90°ツイストとなるように液晶材料固有のツイスト角を設定、リタデーション値dLC・Δn=450nm)を注入し、電圧を7V印加した。電圧印加直後、初期状態では軸対称配向の配向軸が複数存在する状態となり、さらに、電圧印加状態を続けると絵素領域ごとに1つの軸対称配向領域(モノドメイン)が形成された。
【0131】
次に、図43に示すように、液晶セルの両側に偏光板および位相差補償素子を配置して液晶表示装置を完成した。図43は本実施形態における液晶セル、偏光板および位相差補償素子の配置図であり、偏光板の吸収軸方向と位相差補償素子の3つの主屈折率のうちの最大の主屈折率であるnxの方向、すなわち遅相軸方向との関係を示す図である。この図43に示すように、液晶セルの両外側に上側偏光板および下側偏光板を各々の吸収軸が直交するように配置した。また、上側偏光板と液晶セルとの間に位相差補償素子を配置した。本実施形態の位相差補償素子は、ポリカーボネート材料を用いて2軸延伸法で形成した。ここでは面内のリタデーション値df(nx−ny)を42nm、厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)を191nmとした。
【0132】
他の実施形態と異なる点は、位相差補償素子が液晶セルの片側(一方)にのみ設けられている点である。なお、位相差補償素子としては、本実施形態では一枚で2軸方向のリタデーションを有する位相差補償素子を用いたが、これに限定されるものではなく、液晶表示装置全体として、2軸方向のリタデーションを有するもの、すなわち、x,y及びz軸方向の屈折率nx,ny及びnzがnx>ny>nzなる条件を満足すれば良いことは、他の実施形態と同様である。
【0133】
図44に本実施形態の液晶表示装置のコントラスト比の視角特性を示す。ハッチングは、コントラスト比が10:1以上の領域を示す。本実施形態の液晶表示装置で、クロスニコル状態に配置された偏光板の影響により、視角特性が悪い領域である両偏光板の吸収軸に挟まれる45°方向において、位相差補償素子の無い場合に比べて1.7倍のコントラスト比10の視野角が広がり、全方位において高いコントラスト比が得ることができた。本実施形態7では、位相差補償素子を前面側の偏光板と液晶セルとの間に配置したが、後面側の偏光板と液晶セルとの間に配置しても同様の視野角特性が得られた。
【0134】
また、偏光板の吸収軸に対して45°方向の視野角補償において、位相差補償素子の無い場合に比べて、1倍よりの広い視野角補償効果が得られた位相差補償素子の面内と法線方向のリタデーションの条件は、それぞれ、約5nm〜約70nm、約60nm〜約280nmの範囲であった。
【0135】
(実施形態8)
本実施形態では、実施形態7と同じ液晶セルを用いて、位相差補償素子として2軸延伸法で作製した2枚の位相差板を、2枚の偏光板と液晶セルとの間にそれぞれ1枚ずつ配置した液晶表示装置について説明する。なお、本実施形態の位相差補償素子は、面内のリタデーション値df(nx−ny)が43nm、厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)が191nmのポリカーボネート材料からなる位相差補償素子を用いた。本実施形態における液晶セルも、電圧無印加時に液晶分子が基板に対して略垂直配向し、電圧印加時には基板に垂直な軸を中心に軸対称配向する液晶層を有する。
【0136】
本実施形態の液晶表示装置の構成を図45に示す。一対の位相差補償素子は、それぞれの遅相軸が互いに直交するように配置されている。また、偏光板は、一方の位相差補償素子の遅相軸が偏光板の吸収軸と直交するように配置されており、且つ、一対の偏光板は、それぞれの吸収軸が互いに直交するように(クロスニコル状態)配置されている。
【0137】
図46に本実施形態の液晶表示装置のコントラスト比の視角特性を示す。ハッチングは、コントラスト比が10:1以上の領域を示す。本実施形態の液晶表示装置で、クロスニコル状態に配置された偏光板の影響により、視角特性が悪い領域である両偏光板の吸収軸に挟まれる45°方向において、位相差補償素子の無い場合に比べて2.3倍のコントラスト比10の視野角が広がり、全方位において高いコントラスト比が得ることができた。
【0138】
また、偏光板の吸収軸に対して45°方向の視野角補償において、位相差補償素子の無い場合に比べて、1倍よりの広い視野角補償効果が得られた位相差補償素子の面内と法線方向のリタデーションの条件は、それぞれ、約5nm〜約70nm、約60nm〜約280nmの範囲であった。
【0139】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電圧無印加時に液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、電圧印加時には液晶分子が絵素毎に軸対称または同心円状に配向した液晶領域を有する液晶表示装置において、観測方向によらずに階調反転現象を防ぐことができるので、広い視野角領域で高コントラストの表示を得ることが可能である。なお、液晶領域は典型的には絵素毎に形成されるが、絵素内に複数の液晶領域を形成しても良い。
【0140】
このように優れた特性を有する本発明の液晶表示装置は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、アミューズメント機器、テレビジョン装置などの平面ディスプレイやシャッタ効果を利用した表示板、窓、扉、壁などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の動作原理を説明する図である。(a)及び(b)は電圧無印加時の状態を示し、(c)及び(d)は電圧印加時の状態を示し、(a)及び(c)は断面図を示し、(b)及び(d)は上面をクロスニコル状態の偏光顕微鏡で観察した結果を示す。
【図2】液晶表示装置の電圧透過率曲線を示す図である。
【図3】リタデーションの最適値よりも大きなリタデーション値を有する液晶表示装置の電圧透過率曲線を示す図である。
【図4】液晶のΔnを0.0773としてdLCを4μm〜8μmに変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比10の視野角との関係を示す図である。
【図5】液晶のΔnを0.0773としてdLCを4μm〜8μmに変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比20の視野角との関係を示す図である。
【図6】液晶のΔnを0.0773としてdLCを4μm〜8μmに変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜における反転角との関係を示す図である。
【図7】液晶のΔnを0.0773としてdLCを4μm〜8μmに変化させたdLC・Δnと、電圧10V印加時の透過率との関係を示す図である。
【図8】液晶層の厚みdLCを5μmとしてΔnを0.07〜0.1に変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比10の視野角との関係を示す図である。
【図9】液晶層の厚みdLCを5μmとしてΔnを0.07〜0.1に変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比20の視野角との関係を示す図である。
【図10】液晶層の厚みdLCを5μmとしてΔnを0.07〜0.1に変化させたdLC・Δnと、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜における反転角との関係を示す図である。
【図11】液晶層の厚みdLCを5μmとしてΔnを0.07〜0.1に変化させたdLC・Δnと、電圧10V印加時の透過率との関係を示す図である。
【図12】本発明に用いる位相差補償素子の主屈折率の方向を示す斜視図である。
【図13】(a)から(c)は、本発明に使用可能な他の位相差補償素子の例を示す断面図である。
【図14】位相差補償素子の遅相軸と偏光板の吸収軸の直交方向からのずれと、光の漏れ量との関係を示す図である。
【図15】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向を示す図である。
【図16】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向における屈折率楕円体のイメージを示す図である。
【図17】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向から45゜方向を示す図である。
【図18】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向から45゜方向における屈折率楕円体のイメージを示す図である。
【図19】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、電圧off時に図17の画面を斜めから見た場合を示す図である。
【図20】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、電圧on時に図17の画面を斜めから見た場合を示す図である。
【図21】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向を示す図である。
【図22】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、偏光板吸収軸方向における屈折率楕円体のイメージを示す図である。
【図23】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、電圧off時に図21の画面を斜めから見た場合を示す図である。
【図24】位相差補償素子による視野角補償のメカニズムを説明するための図であり、電圧on時に図21の画面を斜めから見た場合を示す図である。
【図25】液晶のΔnを0.0773としてdLCを4μm〜8μmに変化させたdLC・Δnと、面内屈折率差と厚さ方向の屈折率差との比を4.5とした最適位相差フィルムの面内及び法線方向のリタデーションとの関係を示す図である。
【図26】液晶層の厚みdLCを5μmとしてΔnを0.07〜0.1に変化させたdLC・Δnと、面内屈折率差と厚さ方向の屈折率差との比を4.5とした最適位相差フィルムの面内及び法線方向のリタデーションとの関係を示す図である。
【図27】位相差補償素子の面内屈折率差(0.001)に対する法線方向の屈折率差比と、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比10の視野角との関係を示す図である。
【図28】位相差補償素子の面内屈折率差(0.001)に対する法線方向の屈折率差比と、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜におけるコントラスト比20の視野角との関係を示す図である。
【図29】位相差補償素子の面内屈折率差(0.001)に対する法線方向の屈折率差比と、Φ=0゜、45゜、90゜及び135゜における反転角との関係を示す図である。
【図30】dLC・Δnが390nmの液晶セルにおいて、位相差補償素子の面内屈折率差(0.001)に対して法線方向の屈折率差比を変化させた場合の位相差補償素子の面内及び法線方向のリタデーションの関係を示す図である。
【図31】(a)は実施形態1の液晶表示装置の断面図であり、(b)はその平面図である。
【図32】(a)は実施形態1における液晶セル、偏光板および位相差補償素子の配置図であり、(b)は偏光板の吸収軸方向と位相差補償素子の最大の主屈折率であるnxの方向との関係を示す図である。
【図33】実施形態1の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図34】実施形態1の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す図である。
【図35】実施形態2の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図36】比較例1の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す図である。
【図37】比較例2の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す図である。
【図38】実施形態3の液晶表示装置について、4階調の階調特性を示す図である。(a)は上側偏光板の吸収軸方向における階調特性であり、(b)は上側偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【図39】実施形態1の液晶表示装置について、4階調の階調特性を示す図である。(a)は上側偏光板の吸収軸方向における階調特性であり、(b)は上側偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【図40】実施形態4の液晶表示装置について、4階調の階調特性を示す図である。(a)は上側偏光板の吸収軸方向における階調特性であり、(b)は上側偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【図41】実施形態5の液晶表示装置について、4階調の階調特性を示す図である。(a)は上側偏光板の吸収軸方向における階調特性であり、(b)は上側偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【図42】実施形態6の液晶表示装置について、4階調の階調特性を示す図である。(a)は上側偏光板の吸収軸方向における階調特性であり、(b)は上側偏光板の吸収軸から45゜ずれた方向における階調特性である。
【図43】実施形態7における液晶セル、偏光板および位相差補償素子の配置図である。
【図44】実施形態7の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す図である。
【図45】実施形態8における液晶セル、偏光板および位相差補償素子の配置図である。
【図46】実施形態8の液晶表示装置におけるコントラストの視角特性を示す図である。
【符号の説明】
100 液晶表示装置、液晶セル
101、102 偏光板
103、104 位相差補償素子
32、34、61、62 基板
38a、38b、67、68 垂直配向層
36、66 凸部
40 液晶層
42 液晶分子
63、64 透明電極
65 スペーサー

Claims (9)

  1. 一対の基板に挟持され、負の誘電率異方性を有する液晶分子からなる液晶層を有する液晶セルと、
    該液晶セルを挟持し、偏光板の吸収軸が互いに直交する一対の偏光板と、
    該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた位相差補償素子とを備えた液晶表示装置であって、
    該液晶分子は電圧無印加時に該一対の基板に対してほぼ垂直な方向に配向し、
    該位相差補償素子はそれぞれ互いに直交するx、y、及びz軸方向に3つの主屈折率nx,ny,nzを有し、該液晶セルの面内方向の主屈折率をnx,nyとし、該液晶セルの厚み方向の主屈折率をnzとするとき、nx>ny>nzの関係を有し、
    該位相差補償素子は、該位相差補償素子のx軸方向が該位相差補償素子に隣接する偏光板の吸収軸にほぼ直交するように配置され、
    該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた該位相差補償素子のそれぞれについて、該位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比が2以上6以下であり、
    該液晶層のリタデーション値d LC ・Δnが300〜550nmの範囲にあり、
    該一対の偏光板と該液晶セルとの間に1つずつ設けられた該位相差補償素子のそれぞれについて、該位相差補償素子の厚さ方向のリタデーション値d f (n x −n z )が該液晶層のリタデーション値d LC ・Δnの30%〜80%である、液晶表示装置。
  2. 前記位相差補償素子は、面内方向と厚み方向にリタデーションを有する2軸性フィルム、又は面内方向にリタデーションを有する1軸性フィルムと厚み方向にリタデーションを有する1軸性フィルムとを貼り合わせた積層フィルムからなる請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記位相差補償素子のx軸方向と前記偏光板の吸収軸に直交する方向とのずれが1°以下である請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記液晶分子の複屈折率をΔn、前記液晶層の平均厚さをdLC、および前記位相差補償素子の厚さをdfとするとき、
    該位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)が該液晶層のリタデーション値dLC・Δnより小さい請求項1に記載の液晶表示装置。
  5. 前記位相差補償素子は、
    0.035≦{df(nx−ny)}/(dLC・Δn)≦0.15を満足する請求項4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記一対の偏光板と前記液晶セルとの間に1つずつ設けられた前記位相差補償素子のそれぞれについて、前記位相差補償素子の面内方向のリタデーション値df(nx−ny)と厚さ方向のリタデーション値df(nx−nz)との比が3以上6以下である請求項1に記載の液晶表示装置。
  7. 前記位相差補償素子の平均屈折率が1.4以上1.7以下である請求項1に記載の液晶表示装置。
  8. 前記一対の偏光板のうち、観察者側の偏光板の表面にアンチグレア防眩層が設けられている請求項1に記載の液晶表示装置。
  9. 前記アンチグレア防眩層の表面に反射防止膜が設けられている請求項に記載の液晶表示装置。
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