JP3829465B2 - 炭酸ジアルキルの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ジアルキルを製造する方法、特にシュウ酸ジアルキルを脱カルボニル反応させて炭酸ジアルキルを製造する方法に関する。
即ち、本発明は、第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを接触反応させて、シュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させ、
第2工程で、そのシュウ酸ジアルキルを脱CO反応させて、炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させる(そして、第2工程で生成する一酸化炭素を回収して第1工程の原料として再使用する)という、工業的に全く新規な製造プロセスによる、炭酸ジメチル等の炭酸ジアルキルの製造法に関する。
炭酸ジメチル等の炭酸ジアルキルは、医薬、農薬、ウレタン、ポリカーボネート等の製造原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
シュウ酸ジアルキルを脱カルボニル反応させて炭酸ジアルキルを製造する方法としては、シュウ酸ジアルキルをアルコラート触媒の存在下に50〜150℃で液相で加熱する方法が知られている(米国特許第4544507号)。しかしながら、この方法は、目的物の収率が低い上に、種々の副生物が生成することから目的物の選択率も低いという問題を有していて、工業的には満足できるものではない。更に、このシュウ酸ジアルキルの脱カルボニル反応による方法については、原料の製造なども含めた工業的に好適なプロセスは全く知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シュウ酸ジアルキルを脱カルボニル反応させて炭酸ジアルキルを製造する方法において、炭酸ジアルキルを高収率及び高選択率で製造することができると共に、原料の製造も含めた、工業的に好適な製造プロセスを提供することを課題とする。更に、生成物及び触媒の分離回収が容易な気相法による、原料の製造も含めた、工業的に好適な炭酸ジアルキルの製造プロセスを提供することも課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを気相で接触反応させてシュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させ、
第2工程で、そのシュウ酸ジアルキルを脱CO反応させて炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させ、第2工程において生成した炭酸ジアルキルを回収すると共に、生成した一酸化炭素を回収してシュウ酸ジアルキル製造のために第1工程に供給することを特徴とする炭酸ジアルキルの製造法などによって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、概略、図1に示すような、一酸化炭素と亜硝酸アルキルからシュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させる第1工程、及びそのシュウ酸ジアルキルから炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させる第2工程を経る、プロセスに従って行われる。
【0006】
本発明では、例えば、
第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキル(特に亜硝酸メチル)を白金族金属触媒の存在下で接触反応させて、シュウ酸ジアルキル(特にシュウ酸ジメチル)と一酸化窒素を生成させ、シュウ酸ジアルキルを回収すると共に、一酸化窒素を回収して別に設けられている亜硝酸アルキルの再生工程に供給し、亜硝酸アルキルを再生して第1工程に供給し、
第2工程で、そのシュウ酸ジアルキルを脱CO触媒の存在下で気相又は液相で脱CO反応させて炭酸ジアルキル(特に炭酸ジメチル;DMC)と一酸化炭素を生成させ、炭酸ジアルキルを回収すると共に、一酸化炭素を回収して第1工程又は亜硝酸アルキルの再生工程に供給することによって、炭酸ジアルキル(特に炭酸ジメチル;DMC)を製造する方法が工業的に好適に行われる。
【0007】
本発明の第1工程では、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを白金族金属触媒の存在下で気相で接触反応させて、シュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させることが工業的に特に好ましい。
そして、第1工程の反応において、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを接触反応させた際に生成する一酸化窒素を分子状酸素及び低級アルコールと反応させて亜硝酸アルキルに再生し、その再生された亜硝酸アルキルを第1工程の原料の供給ラインへ供給して第1工程の反応に再利用することが工業的に特に好ましい。
【0008】
本発明の第1工程では、例えば、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを気相で接触反応させる場合は、反応式(1)に従って、白金族金属触媒の存在下、一酸化炭素(CO)と亜硝酸アルキル(RONO)からシュウ酸ジアルキルが生成する。
【0009】
【化1】
【0010】
前記の亜硝酸アルキルは式(1)に示す化学式(RONO)で表すことができ、Rは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基を示す。亜硝酸アルキルとしては、Rがこれらアルキル基であるものがあげられるが、中でも亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸i−プロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸i−ブチルなどの炭素数1〜4の亜硝酸アルキルが好ましい。
【0011】
本発明の第2工程では、例えば、反応式(2)に従って、必要であれば脱CO触媒の存在下、シュウ酸ジアルキルから脱CO反応により炭酸ジアルキルと一酸化炭素が生成する。生成した一酸化炭素は第1工程又は亜硝酸エステルの再生工程に供給されることが好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】
第1工程について更に詳しく説明する。
第1工程で使用される白金族金属触媒としては、白金族金属又はその化合物が挙げられるが、白金族金属化合物は還元されて白金族金属の形態で使用されることが好ましい(特公昭56−28903号公報、特公昭56−28904号公報、特公昭61−6057号公報、特公昭61−26977号公報など)。
白金族金属としては、例えば、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属等が挙げられ、その化合物としては、これら金属の無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩等)、錯体などが使用される。白金族金属又はその化合物の中では、パラジウム金属又はその化合物が特に好ましい。
【0014】
パラジウム化合物としては、例えば、パラジウムの無機酸塩(硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、リン酸パラジウム等)、パラジウムのハロゲン化物(塩化パラジウム、臭化パラジウム等)、パラジウムの有機酸塩(酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム、安息香酸パラジウム等)、或いはパラジウムの錯体(トリメチルホスフィン等のアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン等のアルキルアリールホスフィン、又はトリフェニルホスファイト等のアリールホスファイトなどを配位子として有する錯体)などが具体的に挙げられる。
【0015】
前記の白金族金属触媒は、白金族金属又はその化合物が不活性な担体に白金族金属換算で好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.2〜2重量%担持されている固体触媒の形態で使用されることが工業的に好ましい。例えば、パラジウム金属又はその化合物が、活性炭、アルミナ(α−アルミナ等)、シリカ、珪藻土、軽石、ゼオライト、モレキュラーシーブ、スピネル(リチウムアルミネートスピネル等)などの不活性な担体に前記担持量で担持されたものが好ましい。
白金族金属化合物が担体に担持された固体触媒を使用する場合は、白金族金属化合物を、予め水素等の還元性物質で白金族金属に還元するか、又は反応前に反応器内で一酸化炭素等の還元性物質で白金族金属に還元して使用することが好ましい。なお、白金族金属触媒は公知の方法(含浸法、蒸発乾固法など)により調製される。
【0016】
第1工程で使用される白金族金属触媒には、例えば、鉄又はその化合物を含有させることができる(特開昭59−80630号公報)。
鉄又はその化合物としては、金属鉄、鉄(II)化合物又は鉄(III) 化合物が使用される。鉄(II)化合物としては、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、乳酸第一鉄、水酸化第一鉄等が使用され、鉄(III) 化合物としては、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、乳酸第二鉄、水酸化第二鉄、クエン酸第二鉄等が使用される。鉄又はその化合物は、白金族金属:Fe(原子比)が好ましくは10000:1〜1:4、更に好ましくは5000:1〜1:3の範囲内になるように使用される。なお、鉄又はその化合物を含有する触媒は公知の方法により調製される。
【0017】
第1工程で使用される一酸化炭素は純粋なものでもよいが、窒素のような不活性ガスで希釈されていてもよく、或いは少量の水素ガス又はメタンを含んでいてもよい。更に、本発明では、第2工程で生成する一酸化炭素も第1工程で好適に使用することができる。例えば、第1工程が気相連続プロセスで行われる場合、この第2工程で生成する一酸化炭素は、反応で消費された一酸化炭素や循環ガスのパージにより失われる一酸化炭素を補うため、例えば、後述する再生ガスに混合して第1工程に供給されるか、又は後述する非凝縮ガスに混合して再生工程に供給される。
【0018】
第1工程の反応は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを白金族金属触媒の存在下で気相で接触反応させることによって好適に行われる(特公昭61−6057号公報、特公昭61−26977号公報など)。このとき、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを含有する原料ガスと白金族金属触媒との接触時間は10秒以下、更には0.2〜5秒であることが好ましく、反応温度は50〜200℃、更には80〜150℃であることが好ましい。また、反応圧力は常圧ないし10kg/cm2 G、更には常圧ないし5kg/cm2 G、特に2〜5kg/cm2 Gの範囲であることが好ましい。なお、反応器としては、単管式あるいは多管式の熱交換型反応器が有効である。
【0019】
前記原料ガス中の一酸化炭素の濃度は2〜90容量%の範囲で選ばれることが好ましい。また、原料ガス中の亜硝酸アルキルの濃度は広い範囲で変えられるが、満足できる反応速度を得るためには、原料ガス中の濃度が1容量%以上となるように亜硝酸アルキルを存在させることが好ましい。原料ガス中の亜硝酸アルキルの濃度は、例えば、5〜30容量%の範囲で選ばれることが好ましい。
【0020】
前記の気相接触反応によって、シュウ酸ジアルキルを含有する反応生成物(反応ガス)が得られる。
気相接触反応が連続プロセスで行われる場合、この反応生成物(反応ガス)は次に凝縮器に導かれてシュウ酸ジアルキルが凝縮する温度に冷却され、シュウ酸ジアルキルを含有する凝縮液と一酸化窒素を含有する非凝縮ガスに分離される。このとき、シュウ酸ジアルキルが非凝縮ガスに同伴することを防ぐため、反応生成物を低級アルコールに接触させながら、その低級アルコールの沸点以下の温度で冷却して凝縮させることが好ましい。例えば、目的物がシュウ酸ジメチルの場合、前記反応生成物100重両部を30〜60℃でメタノール0.001〜0.1容量部と接触させることが好ましい。また、このときの操作圧力は常圧から10kg/cm2 、更には常圧から5kg/cm2 、特に2〜5kg/cm2 の範囲であることが好ましい。
【0021】
なお、低級アルコールとしては、亜硝酸アルキル及びシュウ酸ジアルキルの構成成分である低級アルコールを使用することが好ましい。低級アルコール(ROH)としては、Rが前記の亜硝酸アルキルと同様のものが挙げられるが、中でもメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノールなどの炭素数1〜4の脂肪族アルコールが好ましい。
【0022】
前記凝縮液は、目的物のシュウ酸ジアルキルの他に、炭酸ジアルキル、ギ酸アルキル等の副生物を少量含有しているが、公知のように蒸留などの簡単な操作によって、シュウ酸ジアルキルを容易に分離して回収することができる。回収されたシュウ酸ジアルキルは第2工程に供給される。
【0023】
一方、前記非凝縮ガスは、未反応の一酸化炭素及び亜硝酸アルキル以外に、前記の接触反応で生成した一酸化窒素を含んでいるので、この一酸化窒素を亜硝酸アルキルに再生して、第1工程に供給することが工業的に好ましい(特公昭61−6057号公報、特公昭61−26977号公報など)。
この再生は、例えば、非凝縮ガスを再生塔へ導いて、非凝縮ガス中の一酸化窒素を分子状酸素及び低級アルコールと接触させることによって行われる。このとき、低級アルコールとしては、前記の亜硝酸アルキルの構成成分である低級アルコールが使用され、分子状酸素としては、酸素ガス又は空気などが使用される。また、反応で消費された一酸化炭素や循環ガスのパージで失われる一酸化炭素を補うため、第2工程で生成する一酸化炭素が回収されてこの非凝縮ガスに混合されてもよい。なお、再生塔としては、充填塔、気泡塔、スプレー塔、段塔などの通常の気液接触装置が用いられる。
【0024】
亜硝酸アルキルの再生においては、再生塔から導出されるガス(再生ガス)中の一酸化窒素の濃度が2〜7容量%になるように反応が制御される。
このため、再生塔に導入される非凝縮ガス中の一酸化窒素1モルに対して、分子状酸素を0.08〜0.2モル供給して、再生時の圧力における低級アルコールの沸点以下(例えば、0℃から低級アルコールの沸点まで)の温度で、一酸化窒素を分子状酸素及び低級アルコールと接触させることが好ましい。低級アルコールの供給量は非凝縮ガス中の一酸化窒素1容量部に対して1〜5容量部であることが好ましく、接触時間は0.5〜20秒であることが好ましい。操作圧力は常圧から10kg/cm2 、更には常圧から5kg/cm2 、特に2〜5kg/cm2 の範囲であることが好ましい。なお、第1工程が連続プロセスで実施される場合は、系外に損失する窒素分を補うために、再生塔に亜硝酸アルキル、窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素等)、又は硝酸が導入される。
【0025】
このようにして、一酸化窒素の濃度が2〜7容量%で、実質的に二酸化窒素と酸素を含有しない、再生された亜硝酸アルキルを含有するガス(再生ガス)が第1工程に供給される。また、反応で消費された一酸化炭素や循環ガスのパージで失われる一酸化炭素を補うため、第2工程で生成する一酸化炭素が回収されてこの再生ガスに混合されることが好ましい。
【0026】
第1工程の反応は液相で行うこともできる。この場合、その反応は、一酸化炭素と分子状酸素を含有するガスと、白金族金属触媒を含有する低級アルコールと亜硝酸アルキルの混合液とを加圧下で液相で接触させることによって行われる(特公昭56−28903号公報、特公昭56−28904号公報など)。
【0027】
液相接触反応の場合、前記の接触時間は5〜60分であることが好ましく、反応温度は40〜200℃、更には60〜150℃であることが好ましく、反応圧力は5〜250kg/cm2 G、更には10〜200kg/cm2 Gであることが好ましい。また、一酸化炭素と分子状酸素は、酸素1容量%当たり、一酸化炭素が5〜80容量%になるように供給され、亜硝酸エステルは混合液中に8〜50重量%であるように供給される。白金族金属触媒は、気相接触反応と同様に、活性炭、アルミナ(α−アルミナ等)、シリカ等の担体に担持されて使用されることが好ましく、前記の混合液に対して、白金族金属換算で0.1重量ppm〜2重量%、更には10〜200重量ppm使用されることが好ましい。なお、反応器としては、中空筒状塔、充填塔、棚段塔などが有効である。
【0028】
液相接触反応で得られる反応液は、目的物のシュウ酸ジアルキルの他に、水、炭酸ジアルキル、ギ酸アルキル等の副生物を含有しているため、公知のように、脱水塔で蒸留により水が除去された後、蒸留などの操作によってシュウ酸ジアルキルが回収される。また、液相接触反応が連続プロセスで行われる場合は、反応で消費された一酸化炭素や循環ガスのパージで失われる一酸化炭素を補うため、第2工程で生成する一酸化炭素は第1工程に供給されることが好ましい。
【0029】
次に、第2工程について更に詳しく説明する。
本発明の第2工程は、第1工程で得られたシュウ酸ジアルキルを脱CO反応させて、炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させ、その反応混合物から炭酸ジアルキルを回収すると共に、一酸化炭素を回収して第1工程へ供給する工程である。この脱CO反応は、脱CO触媒の存在下、液相又は気相で行われることが好ましいが、特に脱CO触媒の存在下に気相で行われることが好ましい。
【0030】
脱CO触媒としては、シュウ酸ジアルキルの脱CO反応を比較的低温(約100〜350℃)で行うことができ、かつ炭酸ジアルキルを高い選択率(少なくとも50%以上、更には60〜100%、特に80〜100%)で得ることができる触媒が好ましい。脱CO触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、有機ホスホニウム塩、有機アンモニウム塩などが好ましく挙げられる。
【0031】
前記のアルカリ金属化合物としては、有機酸のアルカリ金属塩、無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルカリ金属化合物では、有機酸のアルカリ金属塩や無機酸のアルカリ金属塩が好ましいが、その中でも脂肪族ジカルボン酸のアルカリ金属塩(特にシュウ酸のアルカリ金属塩)や、肪族ジカルボン酸モノエステルのアルカリ金属塩(特にシュウ酸モノエステルのアルカリ金属塩)や、アルカリ金属の炭酸塩がより好ましい。また、アルカリ金属としては、カリウムが最も好ましい。
【0032】
有機酸のアルカリ金属塩の例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等の炭素数1〜10の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ金属塩や、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ルビジウム、シュウ酸セシウム等の炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸のアルカリ金属塩や、シュウ酸メチルナトリウム、シュウ酸メチルカリウム、シュウ酸メチルルビジウム、シュウ酸メチルセシウム等の炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸モノエステルのアルカリ金属塩や、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ルビジウム、安息香酸セシウム等の炭素数7〜12の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0033】
無機酸のアルカリ金属塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等の炭酸のアルカリ金属塩や、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化水素酸のアルカリ金属塩や、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム等の硝酸のアルカリ金属塩や、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸セシウム等のリン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
また、アルカリ金属の水酸化物の例としては、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。
【0034】
前記の有機ホスホニウム塩としては、少なくとも1個の炭素−リン結合を有する有機ホスホニウム塩が好ましく、次式で表される有機ホスホニウム塩を好ましく挙げることができる。
【0035】
【化3】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、炭素数7〜22のアラルキル基、複素環基、又はアリールオキシ基を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、Xは対イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。)
【0036】
R1 〜R4 で表される基としては、例えば、炭素数1〜16のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基等)、炭素数6〜16のアリール基(フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロロナフチル基等)、炭素数7〜22のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、p−メチルフェネチル基等)、炭素数4〜16の複素環基(チエニル基、フリル基等)、炭素数6〜16のアリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基等)を挙げることができる。
【0037】
前記のアリール基、アラルキル基、複素環基、及びアリールオキシ基は、その芳香環又は複素環を形成している炭素と直接に結合する置換基として、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、ニトロ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していてもよい。
【0038】
有機ホスホニウム塩としては、R1 〜R4 の全てがアリール基であるもの(テトラアリールホスホニウム塩)が好ましいが、その1〜3個がアリール基であって、残りが他の基であるものであってもよい。例えば、R1 〜R4 の全てがアリール基であって、対イオンX- がハロゲンイオン、ハイドロジェンジハライドイオン、カルボキシレート、フルオロボレートイオン、アリールオキシイオン、又はチオラートイオンなどであるホスホニウム塩が好適であるが、
R1 〜R4 の1〜3個、特に2〜3個がアリール基であって、残りが他の基であり、対イオンX- がハロゲンイオン、ハイドロジェンジハライドイオン、カルボキシレート、フルオロボレートイオン、アリールオキシドイオン、又はチオラートイオンであるものであってもよい。
【0039】
R1 〜R4 の全てがアリール基であるホスホニウム塩(テトラアリールホスホニウム塩)としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、4−クロロフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−クロロフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、4−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラアリールホスホニウムハライドが挙げられる。
【0040】
また、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジブロマイド等のテトラアリールホスホニウムハイドロジェンジハライドも挙げられる。
その他、例えば、テトラフェニルホスホニウムアセテート、テトラフェニルホスホニウムベンゾエート等のテトラアリールホスホニウムカルボキシレートや、テトラフェニルホスホニウムフルオロボレート等のテトラアリールホスホニウムフルオロボレートや、テトラフェニルホスホニウムフェノキシド等のテトラアリールホスホニウムアリールオキシドや、テトラフェニルホスホニウム2−チオナフトキシド等のテトラアリールホスホニウムチオラートなどが挙げられる。
【0041】
R1 〜R4 の3個がアリール基で、残りが他の基である有機ホスホニウム塩としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド、メチルトリフェニルホスホニウムアセテート、メチルトリフェニルホスホニウムフルオロボレート、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、2−チオフェントリフェニルホスホニウムクロライド、フェノキシトリフェニルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
【0042】
前記の有機アンモニウム塩としては、次式で表される有機アンモニウム塩を好ましく挙げることができる。
【0043】
【化4】
(式中、R5 、R6 、R7 、R8 は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、Yは対イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。)
【0044】
R5 〜R8 で表される基としては、有機ホスホニウム塩におけるR1 〜R4 と同様のものが挙げられる。また、対イオンY- も有機ホスホニウム塩における対イオンX- と同様のものが挙げられる。
有機アンモニウム塩としては、R5 〜R8 の全てがアルキル基であるもの(テトラアルキルアンモニウム塩)が好ましいが、その1〜3個がアルキル基であって、残りが他の基であるものであってもよい。例えば、R5 〜R8 の全てがアルキル基であって、対イオンX- がハロゲンイオン又はカルボン酸イオンなどであるアンモニウム塩が好適である。
【0045】
有機アンモニウム塩の例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド等のテトラアルキルアンモニウムハライドや、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート等のテトラアルキルアンモニウムカルボキシレートなどが挙げられる。
【0046】
脱CO反応が気相で行われる場合、脱CO反応は、例えば、脱CO触媒(好ましくはアルカリ金属化合物)が充填された反応器に、シュウ酸ジアルキル(及び必要に応じて窒素ガス等の不活性ガスや低級アルコール等の反応に不活性な有機溶媒)を含有する原料ガスを供給して、シュウ酸ジアルキルを気相で加熱することによって、好ましくは連続式で行われる。このとき、前記反応式に従って、シュウ酸ジアルキルから炭酸ジアルキルが生成すると共に一酸化炭素が発生する。シュウ酸ジアルキルは、固体状態、溶融状態、又は溶液状態(溶媒に溶解されていてもよい)のものを気化器又は気化層等で気化させることによって、反応器に供給される。
【0047】
気相脱CO反応において、反応温度は170〜450℃、更には200〜400℃、特に200〜300℃であることが好ましい。反応圧は気相で反応を行うことができれば特に制限されず、例えば、10mmHg〜10kg/cm2 Gの範囲であればよいが、第2工程で生成する一酸化炭素を第1工程に供給することを考慮すれば、常圧から10kg/cm2 G、更には常圧から5kg/cm2 G、特に2〜5kg/cm2 Gであることが好ましい。また、前記の原料ガスは100〜5000hr-1、更には400〜3000hr-1の空間速度で反応器に供給されることが好ましい。
【0048】
気相脱CO反応において、アルカリ金属化合物は、粉末、粒状、破砕状、ビーズ状もしくは成型体でそのまま使用することもできるが、必要に応じて、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ等の担体に、アルカリ金属として好ましくは0.01〜80重量%、更に好ましくは0.1〜50重量%担持させて使用することが好ましい。担体は、例えば、20〜100μmφ程度の粉末、4〜200メッシュの粒状、破砕状、ビーズ状、もしくは長さ0.5〜10mm程度の成型体で使用され、そのBET比表面積は0.1〜3000m2 /g程度であることが好ましい。なお、アルカリ金属化合物を担体に担持させる方法は特に制限されるものではなく、例えば、含浸法、蒸発乾固法等の通常の触媒調製法を採用することができる。
【0049】
気相脱CO反応で反応器から導出される反応ガスを凝縮させて得られる凝縮液には未反応のシュウ酸ジアルキル等が含有されているが、ある程度の理論段数を有する充填塔や多段蒸留塔を用いて蒸留する一般的な方法により、凝縮液から炭酸ジアルキルを容易に回収することができる。
【0050】
脱CO反応は脱CO触媒の存在下で液相で行うこともできる。
脱CO反応が液相で行われる場合、脱CO反応は、例えば、シュウ酸ジアルキルと脱CO触媒(好ましくはリチウム及びナトリウム以外のアルカリ金属の化合物、有機ホスホニウム塩、又は有機アンモニウム塩)を反応器に入れ、シュウ酸ジアルキルを液相で加熱することによって、バッチ式又は連続式で行われる。このとき、前記反応式に従って、シュウ酸ジアルキルから炭酸ジアルキルが生成すると共に一酸化炭素が発生する。
【0051】
液相脱CO反応において、反応温度は100〜450℃、更には140〜350℃、特に160〜300℃であることが好ましい。反応圧は反応温度がシュウ酸ジアルキルの沸点を越える場合は加圧とすることが好ましいが、特に制限されるものではない。反応圧は、例えば、10mmHg〜10kg/cm2 Gの範囲であればよいが、第2工程で生成する一酸化炭素を第1工程に供給することを考慮すれば、常圧から10kg/cm2 G、更には常圧から5kg/cm2 G、特に2〜5kg/cm2 Gであることが好ましい。
【0052】
液相脱CO反応で、脱CO触媒は、単独であってもまた二種以上の混合物であってもよく、更に反応液中に均一に溶解及び/又は懸濁されていてもよい。第2工程で使用される脱CO触媒の量はシュウ酸ジアルキルに対して0.001〜50モル%、更には0.01〜20モル%程度であることが好ましい。
なお、液相での反応に特別の溶媒は必要とされないが、必要に応じて、ジフェニルエーテル、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリドン等の非プロトン性の溶媒を適宜使用してもよい。
【0053】
第2工程における液相脱CO反応では、得られる反応液に未反応のシュウ酸ジアルキル及び脱CO触媒が含有されているので、この反応液から炭酸ジアルキルを回収するには、蒸発器、薄膜蒸発器などの蒸発装置で触媒を分離して回収した後、この蒸発留分をある程度の理論段数を有する充填塔や棚段塔などの蒸留装置を用いて蒸留する一般的に用いられる方法が好適に用いられる。
また、反応液を前記の充填塔や棚段塔などの蒸留装置で蒸留して、塔頂部から炭酸ジアルキルを抜き出すと共に、塔底部から未反応のシュウ酸ジアルキルや脱CO触媒を含有する缶液を抜き出す方法も用いられる。抜き出された缶液は脱CO反応の反応器へ循環供給される。
このようにして、上記の反応液から炭酸ジアルキルを回収して高純度の炭酸ジアルキルを得ることができる。
【0054】
なお、第2工程における反応装置(反応器)としては、シュウ酸ジアルキルを(必要であれば脱CO触媒の存在下で)脱CO反応させて、一酸化炭素と共に炭酸ジアルキルを生成させることができるものであれば、どのような形式の反応器でも使用することができる。
この反応器としては、脱CO反応が気相で行われる場合は、単管式又は多管式の熱交換式管型反応器などを用いることができ、脱CO反応が液相で行われる場合は、1槽又は多槽式の完全混合型反応器(攪拌槽)、塔型反応器などを用いることができる。反応器の材質は脱CO反応における充分な耐熱性があれば特に制限されるものではなく、例えば、ガラス、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金、ニッケル合金等が適宜使用される。
【0055】
本発明では、第1工程が連続プロセスで行われる場合、第2工程で生成する一酸化炭素が、シュウ酸ジアルキル製造のために第1工程に供給されて原料として再使用されることが好ましい。この一酸化炭素は、ほぼ100%の純度であるので、特に精製することなく第1工程に供給することができるが、第3工程の触媒種や反応条件により、不純物が含まれる場合は、吸収塔やスクラバーなどの簡単な精製装置を通した後に第1工程に供給されることが好ましい。このとき、第1工程よりも第3工程の反応圧力が低い場合は圧縮機で昇圧されて供給される。
また、第1工程が気相連続プロセスで行われる場合、第2工程で生成する一酸化炭素は、必要であれば簡単な精製装置を通した後に、前記の亜硝酸エステルの再生工程(再生塔)に供給して、同様に第1工程の原料として再使用することもできる。即ち、第1工程で生成する一酸化窒素を回収すると共に、第2工程で生成する一酸化炭素を回収して、その一酸化炭素を供給しながら、該一酸化窒素を分子状酸素及び低級アルコールと反応させて亜硝酸アルキルを生成させ、その亜硝酸アルキルを該一酸化炭素と共に第1工程に供給することもできる。
【0056】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、分析はガスクロマトグラフィーにより行った。また、シュウ酸ジメチルの空時収量及び選択率、炭酸ジメチルの空時収量及び選択率はそれぞれ下式により求めた。
【0057】
【数1】
(Lはリットルを示す。以下、同様。)
【0058】
【数2】
(aはシュウ酸ジメチル、bは炭酸ジメチル、cは二酸化炭素の生成モル数を示す。)
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】
実施例1
〔シュウ酸ジメチルの製造1〕
内径27.1mm、高さ500mmのチューブよりなるステンレス製反応器に、ペレット状α−アルミナ(直径5mm、長さ3mm)にパラジウム(金属)が0.5重量%担持された固体触媒を充填した。次いで、反応器のシェル側に熱水を通して触媒層の温度を103〜115℃に保持した後、触媒層の上部から、ダイアフラム式ガス循環ポンプにより、予め熱交換器で90℃に加熱した原料ガス(組成:一酸化炭素22.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.0容量%、メタノール5.2容量%、二酸化炭素1.7容量%、窒素57.1容量%)を、1.15Nm3 /hr、2kg/cm2 Gで供給して、シュウ酸ジメチルを製造した。
【0062】
触媒層を通過したガスを、ラシヒリングを充填した気液接触吸収塔(内径43mm、高さ1000mm)の塔底に導いて、その塔頂から導入したメタノール0.42L/hrと約35℃(塔頂温度30℃、塔底温度40℃)で向流接触させた。そして、塔底から、凝縮液(組成:シュウ酸ジメチル42.6重量%、炭酸ジメチル1.8重量%、ギ酸メチル0.03重量%、メタノール42.6重量%)0.3kg/hrを得て、塔頂から、非凝縮ガス(組成:一酸化炭素16.2容量%、亜硝酸メチル4.9容量%、一酸化窒素8.1容量%、メタノール15.9容量%、二酸化炭素1.8容量%、窒素53.1容量%)1.23Nm3 /hrを得た。シュウ酸ジメチルの空時収量は450g/L−hrで、選択率は96.3%であった。
【0063】
この非凝縮ガスに酸素13.8NL/hr及び一酸化炭素0.5NL/hrを混合したガスを、気液接触式再生塔(内径83mm、高さ1000mm)の塔底に導いて、その塔頂から導入したメタノール0.33L/hrと塔頂温度30℃、塔底温度40℃で接触させ、ガス中の一酸化窒素を亜硝酸メチルに再生した。再生塔の塔頂から導出された再生ガス(組成:一酸化炭素18.2容量%、亜硝酸メチル10.4容量%、一酸化窒素4.2容量%、メタノール5.4容量%、二酸化炭素2.0容量%、窒素53.0容量%)1.1Nm3 /hrは、前記循環ポンプに導いて2.1kg/cm2 に昇圧し、一酸化炭素49NL/hr(2.1kg/cm2 )を補給した後、前記反応器に供給した。その結果、反応成績は長時間(200時間以上)安定していた。
【0064】
なお、再生塔の塔底から導出された、5.7重量%の水を含有するメタノール0.48L/hrは、蒸留により水を除去した後、再生塔におけるメタノール源として再使用した。
一方、前記の凝縮液は、その50時間分を、内径150mm、高さ7500mmの蒸留塔(塔底部容量100L)でバッチ蒸留した(塔底温度140℃、圧力350mmHg)。そして、純度99.9重量%のシュウ酸ジメル5.8kgを得た。
【0065】
〔炭酸ジメチルの製造〕
前記で得られたシュウ酸ジメチルを用いて、以下のように炭酸ジメチルを製造した。
内径18mm、長さ400mmの石英製反応器に、ペレット状活性炭(直径2mm、長さ5mm)にシュウ酸カリウムが10重量%担持された固体触媒5mlを充填した。触媒層の温度を210℃に加熱制御し、触媒層上部の気化層の温度を180℃に加熱制御した後、反応器の上部から、予め加熱融解させておいたシュウ酸ジメチルを97.4mmol/hr(LHSV:2.3g/ml−hr)で供給し、常圧下、210℃で反応を行った。
反応開始24時間後から2時間の間にトラップに補集された液を分析したところ、炭酸ジメチルの空時収量は1702g/L−hrで、選択率は97.1%であった。この補集液からは蒸留により純度99.5%の炭酸ジメチルを得た。一方、反応器から抜き出されたガス(約2.4L/hr)には一酸化炭素が95.0%含有されていた。
【0066】
〔シュウ酸ジメチルの製造2〕
シュウ酸ジメチルの製造1の再生ガスに補給する一酸化炭素として、前記の炭酸ジメチルの製造で発生した一酸化炭素25NL/hrをダイアフラム式圧縮機で2.1kg/cm2 Gまで昇圧して、一酸化炭素24NL/hr(2.1kg/cm2 G)と共に再生ガスに補給したほかは、シュウ酸ジメチルの製造1と同様にシュウ酸ジメチルを製造した。その結果はシュウ酸ジメチルの製造1と同様であった。
【0067】
実施例2
〔シュウ酸ジメチルの製造3〕
実施例1のシュウ酸ジメチルの製造1と同様にシュウ酸ジメチルを製造した。
【0068】
〔炭酸ジメチルの製造〕
前記で得られたシュウ酸ジメチルを用い、シュウ酸カリウムをシュウ酸メチルカリウムに代えたほかは、実施例1と同様に炭酸ジメチルを製造した。但し、シュウ酸メチルカリウムは公知の方法〔J.Am.Chem.SOoc.,71,2532(1949)〕に従って合成したものを使用し、担体及び担持量は実施例1と同様とした。その結果は実施例1と同様であった。
【0069】
〔シュウ酸ジメチルの製造4〕
シュウ酸ジメチルの製造3の再生ガスに補給する一酸化炭素として、前記の炭酸ジメチルの製造で発生した一酸化炭素と更なる一酸化炭素を実施例1のシュウ酸ジメチルの製造2と同様に再生ガスに補給したほかは、シュウ酸ジメチルの製造3と同様にシュウ酸ジメチルを製造した。その結果はシュウ酸ジメチルの製造3と同様であった。
【0070】
【発明の効果】
本発明の、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを接触反応させてシュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させ、そのシュウ酸ジアルキルを脱CO反応させて、炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させる方法により、公知の方法による炭酸ジアルキルの製造法における問題点を解決できる、全く新規な炭酸ジアルキルの製造法を提供できる。
即ち、本発明により、シュウ酸ジアルキルを脱カルボニル反応させて炭酸ジアルキルを製造する方法において、炭酸ジアルキルを高収率及び高選択率で製造することができると共に、シュウ酸ジアルキルの脱CO反応で反応系外へ除去される一酸化炭素を回収してシュウ酸ジアルキルを生成させる反応のために再使用することができるので、原料の製造も含めた、工業的に好適な製造プロセスを提供することができる。更に、本発明により、生成物及び触媒の分離回収が容易な気相法による、原料の製造も含めた、工業的に好適な炭酸ジアルキルの製造プロセスも提供することができる。本発明は、工業的に優れた炭酸ジアルキルの製造法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造プロセスの一例を概略示す図である。
Claims (8)
- 第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを気相で接触反応させてシュウ酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させ、
第2工程で、そのシュウ酸ジアルキルを脱CO反応させて炭酸ジアルキルと一酸化炭素を生成させ、
第2工程で生成する一酸化炭素を回収して第1工程に供給することを特徴とする炭酸ジアルキルの製造法。 - 一酸化炭素と亜硝酸アルキルの接触反応を白金族金属触媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- 第1工程で生成する一酸化窒素を回収し、その一酸化窒素を分子状酸素及び低級アルコールと反応させて亜硝酸アルキルを生成させ、その亜硝酸アルキルを第1工程に供給することを特徴とする請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- 亜硝酸アルキルが亜硝酸メチルであることを特徴とする請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- シュウ酸ジアルキルの脱CO反応を脱CO触媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- 脱CO触媒がアルカリ金属化合物であることを特徴とする請求項5記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- アルカリ金属化合物が、有機酸のアルカリ金属塩、無機酸のアルカリ金属塩、又はアルカリ金属の水酸化物であることを特徴とする請求項6記載の炭酸ジアルキルの製造法。
- 脱CO触媒が有機ホスホニウム塩又は有機アンモニウム塩であることを特徴とする請求項5記載の炭酸ジアルキルの製造法。
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