JP3828819B2 - コンクリートの耐久性試験方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの耐久性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートの耐久性は、コンクリートに形成された劣化部位によって変化するため、コンクリートの耐久性を正確に把握するには、劣化部位の強度及び劣化程度を求め、経時変化する劣化部位がコンクリートの強度に与えている影響を把握する必要がある。
従来のコンクリートの耐久性試験方法としては、例えば、コンクリート供試体を硫酸ナトリウム水溶液などの評価の対象となる環境に浸漬させて内部に劣化部位を形成した後に、コンクリート供試体に圧縮力を付加して圧縮強度を計測する強度試験が存在する。また、劣化部位を形成した後に、コンクリート供試体を化学分析し、化学組成や鉱物組成が変化した部位を劣化部位として劣化深さを求める化学分析試験が存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のコンクリートの耐久性試験方法における強度試験では、コンクリート供試体全体の劣化程度を定量的に把握し、コンクリート供試体全体の強度特性を把握することができるが、劣化部位を特定することができない。また、化学分析試験では、劣化部位を特定することはできるが、劣化部位の強度特性を求めることができない。さらに、化学分析試験の結果から考察される劣化程度と強度特性の因果関係が不明確である場合には、両者を組み合わせてコンクリートの耐久性を考察することができない。したがって、従来のコンクリートの耐久性試験方法では、コンクリートの耐久性を正確に把握することができないという問題が存在している。
【0004】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、コンクリート供試体における非変質部位と変質部位との強度の関係及び変質部位の変質程度を求めることで、コンクリートの耐久性を正確に把握することができるコンクリートの耐久性試験方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1に記載の発明は、コンクリートの耐久性試験方法であって、(1)水平方向の長さが異なる複数の直方体であるコンクリート供試体を形成し、各コンクリート供試体を所定の環境に暴露することで、各コンクリート供試体における水平方向の一方又は両方の端面に暴露面を設け、暴露面から各コンクリート供試体の内部に変質部位を形成する供試体形成段階と、(2)各コンクリート供試体に垂直方向の圧縮力を付加して圧縮強度及び弾性係数の少なくとも一方を計測する圧縮強度計測段階と、(3)計測された各コンクリート供試体の圧縮強度又は弾性係数を目的変数、各コンクリート供試体の水平方向の長さの逆数を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析することで、回帰係数を求める回帰分析段階と、(4)回帰係数を用いて評価指標を求める評価指標算出段階とを含むことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリートの耐久性試験方法であって、回帰分析段階において求める回帰係数は、以下の式15又は式16の回帰係数であり、
σ=a+b/D (式15)
(式中、σは圧縮強度、a,bは回帰係数、Dはコンクリート供試体の水平方向の長さを表す。)
E=A+B/D (式16)
(式中、Eは弾性係数、A,Bは回帰係数を表す。)
評価指標算出段階において求める評価指標は、以下の式17、式18、式19又は式20による評価指標であることを特徴とする。
k1=b (式17)
k2=B (式18)
k3=b/a (式19)
k4=B/A (式20)
(式中、k1〜k4は評価指標を表す。)
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、コンクリートの耐久性試験方法であって、(1)水平方向の長さが異なる複数の直方体であるコンクリート供試体と、各コンクリート供試体と同一と見なすことができる通常供試体とから構成される2体一組の供試体を作成し、各コンクリート供試体を所定の環境に暴露することで、各コンクリート供試体における水平方向の一方又は両方の端面に暴露面を設け、暴露面から各コンクリート供試体の内部に変質部位を形成する供試体形成段階と、(2)各通常供試体及び暴露後の各コンクリート供試体に垂直方向の圧縮力を付加して圧縮強度及び弾性係数の少なくとも一方を計測する圧縮強度計測段階と、(3)計測されたコンクリート供試体の圧縮強度又は弾性係数を用いて、暴露後のコンクリート供試体の圧縮強度を、通常供試体の圧縮強度で除した圧縮強度比、又は、暴露後のコンクリート供試体の弾性係数を、通常供試体の弾性係数で除した弾性係数比を求め、圧縮強度比又は弾性係数比を目的変数、各コンクリート供試体の水平方向の長さの逆数を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析することで、回帰係数を求める回帰分析段階と、(4)回帰係数を用いて評価指標を求める評価指標算出段階とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコンクリートの耐久性試験方法であって、回帰分析段階において求める回帰係数は、以下の式21又は式22の回帰係数であり、
σ/σ0=a1+b1/D (式21)
(式中、σはコンクリート供試体の圧縮強度、σ0は通常供試体の圧縮強度、a1,b1は回帰係数、Dはコンクリート供試体の水平方向の長さを表す。)
E/E0=A1+B1/D (式22)
(式中、Eはコンクリート供試体の弾性係数、E0は通常供試体の弾性係数、A1,B1は回帰係数を表す。)
評価指標算出段階において求める評価指標は、以下の式23、式24、式25又は式26による評価指標であることを特徴とする。
k5=b1 (式23)
k6=B1 (式24)
k7=b1/a1 (式25)
k8=B1/A1 (式26)
(式中、k5〜k8は評価指標を表す。)
【0009】
ここで、本発明のコンクリートの耐久性試験方法を適用するコンクリートの材料、混練方法、打設方法及び養生方法は既存のものであり、限定されるものではない。さらに、形成された複数のコンクリート供試体の寸法は異なっていてもよい。
また、コンクリート供試体に変質部位を形成する方法としては、例えば、コンクリート供試体における水平方向の一方又は両方の端面を硫酸ナトリウム水溶液に浸漬させて暴露面を形成し、この暴露面からコンクリート供試体の内部に硫酸ナトリウム水溶液の硫酸イオンを浸入させることで変質部位を形成する方法がある。このとき、変質部位を均一な深さに形成するため、暴露面以外のコンクリート供試体の面をパラフィン等で被膜し、暴露面と隣接する面から変質部位が形成されることを防止することが好ましい。
【0010】
請求項1乃至請求項4に記載の発明によれば、算出した評価指標が正の値である場合には、変質部位の圧縮強度又は弾性係数が、非変質部位の圧縮強度又は弾性係数よりも大きいことが示され、評価指標が負の値である場合には、変質部位の圧縮強度又は弾性係数が、非変質部位の圧縮強度又は弾性係数よりも小さいことが示され、また、評価指標の絶対値が増加した場合には、変質部位と非変質部位の圧縮強度や弾性係数の差が大きくなることが示されているか、変質部位の変質深さが大きくなることが示されているため、複数の材齢のコンクリート供試体における評価指標を比較することで、経時変化する非変質部位と変質部位の強度の関係を把握することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、コンクリートの耐久性試験方法であって、(1)コンクリート大供試体を所定の環境に暴露することで、コンクリート大供試体における一面に暴露面を設け、暴露面からコンクリート大供試体の内部に変質部位を形成し、コンクリート大供試体から、暴露面が長手方向と一致する一面を形成する同一寸法の3体の柱体のコンクリート小供試体を作成する供試体形成段階と、(2)3体のコンクリート小供試体について、第一のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に対して下側になる向きに設置し、第二のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に一致する向きに設置し、第三のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面と直交する向きに設置した状態で、2点支持かつ中央1点載荷の曲げ強度試験を行い、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する3点曲げ強度試験段階と、(3)3体の各コンクリート小供試体の設置条件に応じて、各コンクリート小供試体が非変質部位のみを備えていると仮定した場合の等価断面を定め、コンクリート大供試体における変質部位の変質深さと、変質部位の弾性係数を非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比とを任意の数値によって組み合せて、等価断面に基づいた断面二次モーメントに代入することで、以下の式27によって各コンクリート小供試体の理論弾性係数を複数算出し、各理論弾性係数と、計測された各コンクリート小供試体において第三のコンクリート小供試体を含む少なくとも2体の計測弾性係数との差の二乗和をそれぞれ求め、その中で二乗和が最小となるように、数値解析手法により、コンクリート大供試体の変質深さと、変質部位の弾性係数を非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比を決定する数値解析段階とを含むことを特徴とする。
E=FL3/δ48I (式27)
(式中、Eは理論弾性係数、Fは計測荷重、Lはコンクリート供試体の軸方向の長さ、δは載荷点の計測たわみ、Iは断面二次モーメント。)
【00012】
また、請求項6に記載の発明は、コンクリートの耐久性試験方法であって、(1)コンクリート大供試体を所定の環境に暴露することで、コンクリート大供試体における一面に暴露面を設け、暴露面からコンクリート大供試体の内部に変質部位を形成し、コンクリート大供試体から、暴露面が長手方向と一致する一面を形成する同一寸法の3体の柱体のコンクリート小供試体と、コンクリート小供試体と同一寸法であり、暴露面を含まない柱体である通常供試体とから形成される4体一組のコンクリート供試体を作成する供試体形成段階と、(2)通常供試体と、3体のコンクリート小供試体について、第一のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に対して下側になる向きに設置し、第二のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に一致する向きに設置し、第三のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面と直交する向きに設置した状態で、2点支持かつ中央1点載荷の曲げ強度試験を行い、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する3点曲げ強度試験段階と、(3)3体の各コンクリート小供試体の設置条件に応じて、各コンクリート小供試体が非変質部位のみを備えていると仮定した場合の等価断面を定め、コンクリート大供試体における変質部位の変質深さと、変質部位の弾性係数を非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比とを任意の数値によって組み合せて、等価断面に基づいた断面二次モーメントに代入することで、以下の式28によって各コンクリート小供試体の理論弾性係数を複数算出し、各理論弾性係数と、計測された各コンクリート小供試体において第三のコンクリート小供試体を含む少なくとも2体に通常供試体を加えた少なくとも3体の計測弾性係数との差の二乗和をそれぞれ求め、その中で二乗和が最小となるように、数値解析手法により、コンクリート大供試体の変質深さと、変質部位の弾性係数を決定する数値解析段階とを含むことを特徴とする。
E=FL3/δ48I (式28)
(式中、Eは理論弾性係数、Fは計測荷重、Lはコンクリート供試体の軸方向の長さ、δは載荷点の計測たわみ、Iは断面二次モーメント。)
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のコンクリート耐久性試験方法であって、前記通常供試体にかえて、コンクリート大供試体と同一と見なすことができる条件で作成された他の通常供試体を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、コンクリート大供試体の変質深さ及び弾性係数比の近似値が示され、請求項6に記載の発明によれば、コンクリート大供試体の変質深さ、非変質部位の弾性係数及び変質部位の弾性係数の近似値が示される。したがって、請求項5乃至請求項7に記載の発明によれば、複数の材齢のコンクリート大供試体における各数値を比較することで、経時変化する変質部位の大きさとその変質程度を把握することができる。
【0015】
したがって、本発明のコンクリートの耐久性試験方法では、コンクリート供試体における非変質部位と変質部位の強度の関係及び変質部位の大きさとその変質程度を把握することができるため、複数の材齢のコンクリート供試体における各数値を比較することで、経時変化する変質部位がコンクリート供試体の強度に与えている影響を把握し、コンクリートの耐久性を正確に把握することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0017】
本発明の実施形態に係るコンクリートの耐久性試験方法は、コンクリート供試体において経時変化する健全部位(非変質部位)と劣化部位(変質部位)の強度の関係を求める圧縮強度試験と、コンクリート供試体において経時変化する劣化部位の大きさとその劣化程度を求める3点曲げ強度試験とから構成される。
【0018】
[圧縮強度試験の考え方]
本発明の実施形態に係る圧縮強度試験について説明する。
圧縮強度試験は、同一状態で形成された複数のコンクリート供試体の一面又は相対する二面に暴露面を設けることで内部に劣化部位を形成し、この各コンクリート供試体に、暴露面に平行な方向の圧縮力を付加して計測した圧縮強度を用いて、コンクリート供試体の健全部位と劣化部位の圧縮強度の大小関係を相対的に示す評価指標を求めるものである。
【0019】
ここで、コンクリート供試体が均質に形成され、一様の弾性係数を有し、暴露面から所定の深さにおいて劣化部位と健全部位に離散的に区別可能であると仮定すると、劣化深さは均一の深さで形成され、計測された各圧縮強度は以下の式29となる。なお、式29において、劣化深さは、コンクリート供試体の一面に形成された場合はdであり、相対する二面に形成された場合は各劣化深さをd/2とする。さらに、載荷面が支圧板で拘束され、平面性が保持されていると仮定している。
σ=σ0+(σ’―σ0)d/D (式29)
(式中、σは圧縮強度、σ0は健全部位の応力、σ’は劣化部位の応力、dは劣化深さ、Dはコンクリート供試体において暴露面に垂直な方向の幅を表す。)
【0020】
本発明では、前記式29のσ0及び(σ’―σ0)dを最小二乗法で求め、この値から以下の式30及び式31の評価指標を求める。
(σ’−σ0)d=k1 (式30)
(σ’/σ0−1)d=k2 (式31)
k1は、劣化部位と健全部位の圧縮強度の差と、劣化深さとの積であり、k2は、劣化部位の圧縮強度を健全部位の圧縮強度で除した圧縮強度比と、劣化深さとの積であり、k1とk2は劣化部位と健全部位の圧縮強度の大小関係を相対的に示している。すなわち、劣化深さであるdの値は0以上であるため、評価指標が正の値である場合には、劣化部位の圧縮強度が健全部位の圧縮強度よりも大きいことが示され、評価指標が負の値である場合には、劣化部位の圧縮強度が健全部位の圧縮強度よりも小さいことが示される。
【0021】
また、複数の材齢のコンクリート供試体における評価指標を算出して比較した場合に、他の材齢のコンクリート供試体の評価指標と比較して評価指標の絶対値が大きくなる場合は、劣化部位と健全部位の圧縮強度の差が他の材齢のコンクリート供試体よりも大きいことが示されているか、劣化深さが他の材齢のコンクリート供試体よりも大きいことが示されている。
【0022】
また、式29から式31において、弾性係数をE、コンクリート供試体の歪をεとした場合に、σ=εEと表すことができ、圧縮強度と弾性係数は比例関係にあるため、コンクリート供試体全体、劣化部位と健全部位の歪が等しいものと仮定すると、式29から式31は以下の式32から式34となる。すなわち、圧縮強度試験装置によって各コンクリート供試体の弾性係数を計測し、健全部位と劣化部位の弾性係数の大小関係を相対的に示す評価指標k3、k4を算出することができる。
E=E0+(E’―E0)d/D (式32)
(式中、Eは弾性係数、E0は健全部位の弾性係数、E’は劣化部位の弾性係数を表す。)
(E’−E0)d=k3 (式33)
(E’/E0−1)d=k4 (式34)
【0023】
k3は、劣化部位と健全部位の弾性係数の差と、劣化深さとの積であり、k4は、劣化部位の弾性係数を健全部位の弾性係数で除した弾性係数比と、劣化深さとの積であり、劣化深さであるdの値は0以上であるため、評価指標が正の値である場合には、劣化部位の弾性係数が健全部位の弾性係数よりも大きいことが示され、評価指標が負の値である場合には、劣化部位の弾性係数が健全部位の弾性係数よりも小さいことが示される。
【0024】
また、複数の材齢のコンクリート供試体における評価指標を算出して比較した場合に、他の材齢のコンクリート供試体の評価指標と比較して評価指標の絶対値が大きくなる場合は、劣化部位と健全部位の弾性係数の差が他の材齢のコンクリート供試体よりも大きいことが示されているか、劣化深さが他の材齢のコンクリート供試体よりも大きいことが示されている。
【0025】
[圧縮強度試験の実施例]
次に、本発明の実施形態に係る圧縮強度試験の実施例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る圧縮強度試験を示した図で、(a)は圧縮強度計測段階を示した側断面図、(b)は圧縮強度試験で求めた回帰曲線と圧縮強度比の関係を示したグラフである。
【0026】
ここで、本発明の実施形態に係る圧縮強度試験を適用するコンクリートは、セメント1重量部に対して0.6重量部の水を混練したものである。また、コンクリートの混練方法、打設方法及び養生方法は既存のコンクリートに用いられている方法である。
【0027】
次に、圧縮強度試験における各構成要素について説明する。
圧縮強度試験のコンクリート供試体1aは、図1(a)に示すように、軸方向(紙面に垂直な方向)の長さが5cmで、垂直方向の高さ(紙面の上下方向)が5cm、水平方向の幅(紙面の左右方向)が2.5cm,3.1cm,3.8cm,5.1cmに形成された4体一組の直方体のコンクリートであり、各コンクリート供試体1aを予め霧室で養生して湿潤させている。さらに、一組のコンクリート供試体1aごとに複数の材齢のものを作成している。
圧縮強度試験装置10は、図1(a)に示すように、既存のコンクリートの圧縮強度試験に用いられる装置であり、コンクリート供試体1aの上面に設けた支圧板11によってコンクリート供試体1aに圧縮力を付加し、コンクリート供試体1aの圧縮強度又は弾性係数を計測する装置である。
【0028】
次に、圧縮強度試験の各段階について説明する。
(1)供試体形成段階
まず、各コンクリート供試体1aの幅方向の両端面以外をパラフィンで被膜した後に、各コンクリート供試体1aを硫酸ナトリウム水溶液に浸漬する。これにより、図1(a)に示すように、暴露面である幅方向の両端面から各コンクリート供試体1aの内部に硫酸ナトリウム水溶液の硫酸イオンが浸入し、各コンクリート供試体1aの内部に劣化部位3が形成される。このとき、暴露面と隣接する面は被膜されており、硫酸イオンは暴露面からのみ浸入するため、コンクリート供試体1aが均質に形成されていると仮定すると、劣化部位3は均一の深さに形成される。
【0029】
(2)圧縮強度計測段階
次に、パラフィンを取り除いた各コンクリート供試体1aを順次に圧縮強度試験装置10に設置し、各コンクリート供試体1aの上面に圧縮力を付加して圧縮強度を計測する。計測された各圧縮強度は以下の式35となる。なお、劣化深さは、コンクリート供試体1aの両端面に形成された各劣化部位3の劣化深さをd/2としている。
σ=σ0+(σ’―σ0)d/D (式35)
(式中、σは圧縮強度、σ0は健全部位2の応力、σ’は劣化部位3の応力、dは劣化深さ、Dはコンクリート供試体1aの水平方向の幅を表す。)
【0030】
(3)回帰分析段階
計測された各コンクリート供試体1aの圧縮強度を目的変数、各コンクリート供試体1aの幅の逆数を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析して以下の式36の回帰係数を求め、式36における両辺を回帰係数aで除した場合の回帰曲線4を図1(b)に示す。
σ=a+b/D (式36)
(式中、a,bは回帰係数を表す。)
【0031】
(4)評価指標算出段階
次に、計測した各コンクリート供試体1aの圧縮強度を曝露前の各コンクリート供試体1aの圧縮強度で除した圧縮強度比5を図1(b)に示す。そして、図1(b)に示された数36式における両辺を回帰係数aで除した場合の回帰曲線4と圧縮強度比5は良い相関を示すため、試験対象となるコンクリートの強度変化を各コンクリート供試体1aによって評価可能であることが確認された。したがって、式35及び式36により、回帰係数は以下の式37及び式38となり、健全部位2と劣化部位3の圧縮強度の大小関係を相対的に示す評価指標であるk1とk2が求まる。
b=(σ’−σ0)d=k1 (式37)
b/a=(σ’/σ0−1)d=k2 (式38)
【0032】
また、圧縮強度と弾性係数の比例関係から、式35から式38は以下の式39から式42となり、健全部位2と劣化部位3の弾性係数の大小関係を相対的に示す評価指標k3、k4が求まる。
E=E0+(E’―E0)d/D (式39)
(式中、Eは各弾性係数、E0は健全部位2の弾性係数、E’は劣化部位3の弾性係数を表す。)
E=A+B/D (式40)
(式中、A,Bは回帰係数を表す。)
B=(E’−E0)d=k3 (式41)
B/A=(E’/E0−1)d=k4 (式42)
【0033】
また、4体のコンクリート供試体1aの底面積と高さ比が各々異なる場合には、各コンクリート供試体1aと同一と見なすことができる通常供試体を作成し、各通常供試体の圧縮強度又は弾性係数を予め計測することで、各コンクリート供試体1aの圧縮強度又は弾性係数を、別に求めた各通常供試体の圧縮強度又は弾性係数で除した圧縮強度比又は弾性係数比を用いて評価指標を求めることもできる。すなわち、回帰分析段階において、圧縮強度比又は弾性係数比を目的変数、各コンクリート供試体1aの水平方向の幅を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析して以下の式43及び式44を求める。
σ/σ1=a1+b1/D (式43)
(式中、σ1は通常供試体の圧縮強度、a1,b1は回帰係数を表す。)
E/E1=A1+B1/D (式44)
(式中、E1は通常供試体の弾性係数、A1,B1は回帰係数を表す。)
【0034】
本発明の実施形態に係る圧縮強度試験では、コンクリート供試体1aにおける健全部位2と劣化部位3の強度の関係を示した評価指標が求まるため、複数の材齢のコンクリート供試体1aにおける評価指標を比較することで、経時変化する健全部位2と劣化部位3の強度の関係を把握することができる。
【0035】
[3点曲げ強度試験の考え方]
本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験を示した図で、(a)は3点曲げ強度試験段階を示した斜視図、(b)は各コンクリート供試体における計測弾性係数を健全部位(非変質部位)の弾性係数に等価変換した等価断面を示した断面図である。
【0036】
3点曲げ強度試験は、図2(a)に示すように、コンクリート板(コンクリート大供試体)から4体一組のコンクリート供試体1b,1cを作成し、内部に劣化部位3(変質部位)を形成した3体のコンクリート供試体1b(コンクリート小供試体)に対して各々異なる設置状態で、2点支持かつ中央1点載荷の3点曲げ強度試験を行うとともに、劣化部位が形成されていないコンクリート供試体である通常供試体1cに3点曲げ強度試験を行い、その計測値から数値解析手法を用いてコンクリート板の劣化深さ、劣化部位の弾性係数及び健全部位の弾性係数の近似値を求めるものである。
【0037】
3点曲げ強度試験では、3体のコンクリート供試体1bを各々以下の3モードの状態で3点曲げ強度試験装置20に設置し、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する。
モード1は、コンクリート供試体1bの暴露面が下面になる向きに設置する。
モード2は、コンクリート供試体1bの暴露面が上面になる向きに設置する。
モード3は、コンクリート供試体1bの暴露面が幅方向の一方の側面になる向きに設置する。
さらに、通常供試体1cを3点曲げ強度試験装置20に設置し、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する。
【0038】
各コンクリート供試体1b及び通常供試体1cの理論弾性係数は以下の式45で求められる。
E=FL3/δ48I (式45)
(式中、Eは理論弾性係数、Fは計測荷重、Lはコンクリート供試体1bの軸方向の長さ、δは載荷点の計測たわみ、Iは断面二次モーメント。)
【0039】
各コンクリート供試体1bの理論弾性係数は、健全部位の弾性係数と、劣化部位の弾性係数との値を総合した値として求められることになる。しかし、本発明では、理論弾性係数を算出するに当たり、前記3モードの載荷条件に応じて、コンクリート供試体1bが健全部位2のみを備えていると仮定した場合の等価断面を定め、その等価断面に基づいて、理論弾性係数の算出を行うこととする。
等価断面は、図2(b)に示す断面として定められているものである。
モード1又はモード2では、劣化部位3の弾性係数を健全部位2の弾性係数で除した弾性係数比をa、健全部位2の幅をbとした場合に、劣化部位3の部分の幅がa・bとなるように定めるものである(但し、コンクリート供試体1bの高さh、劣化部位3の高さd)。
また、モード3では、劣化部位3の弾性係数を健全部位2の弾性係数で除した弾性係数比をa、健全部位2の幅をbとした場合に、コンクリート供試体1bの幅がa・d+(b−d)となるように定めるものである(但し、コンクリート供試体1bの高さh、劣化部位3の劣化深さd)。
この各モードにおける等価断面の断面二次モーメントは、以下の式46、式47となる。
【0040】
【数1】
Figure 0003828819
【0041】
【数2】
Figure 0003828819
【0042】
次に、理論弾性係数と各コンクリート供試体1bの計測弾性係数の差と、理論弾性係数と通常供試体1cの計測弾性係数の差との二乗和(以下の式48)の数値が最小となるような劣化深さ及び弾性係数比を求める。なお、通常供試体1cの断面二次モーメントは、一般的に用いられている算出方法により求める。
まず、理論弾性係数は、劣化深さ及び弾性係数比の数値を任意に定め(例えば、d=0、a=1)、この任意の数値を初期値として式45によって算出される。そして、劣化深さ及び弾性係数比の数値を変化させることで、理論弾性係数の数値を変化させ、式48の数値が最小となるように、数値解析手法(最尤推定法等)により、劣化深さ及び弾性係数比を決定する。これにより、コンクリート板の劣化部位3の大きさとその劣化程度を示す劣化深さ、弾性係数比の近似値が求まる。
【0043】
【数3】
Figure 0003828819
【0044】
さらに、弾性係数比は、劣化部位3の弾性係数を健全部位2の弾性係数で除した値であり、健全部位2は通常供試体1cの弾性係数を有するとみなすことで、コンクリート板の劣化部位3の弾性係数が求まる。
【0045】
なお、劣化深さ及び弾性係数比のみを求める場合には、式48に理論弾性係数と通常供試体1cの計測弾性係数の差を加えることなく、理論弾性係数と各モードにおける計測弾性係数の差の二乗和が最小になるような劣化深さ及び弾性係数比を求めてもよい。
また、理論弾性係数と各コンクリート供試体1bの計測弾性係数との差の二乗和が最小となるような劣化深さ及び弾性係数比を求める際に、全てのモード1,2,3における計測弾性係数と理論弾性係数の差の二乗和を用いることなく、理論弾性係数とモード3を含む二種のモードにおける計測弾性係数の差の二乗和が最小になるような劣化深さ及び弾性係数比を求めてもよい。
【0046】
[3点曲げ強度試験の実施例]
次に、本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験の実施例について説明する。
なお、本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験を適用するコンクリートは、前記圧縮強度に適用したものと同一状態である。
【0047】
次に、3点曲げ強度試験における各構成要素について説明する。
3点曲げ強度試験のコンクリート供試体1b,1cは、直径7.5cm、高さ1.5cmの円板であるコンクリート板から作成される4本一組の直方体であり、コンクリート板は2体ごとに複数の材齢を形成し、予め霧室で養生して湿潤させている。
3点曲げ強度試験装置20は、既存のコンクリートの3点曲げ強度試験に用いられる装置であり、コンクリート供試体1b,1cの下面における軸方向の両端部を支持し、コンクリート供試体1b,1cの上面における軸方向の中央に荷重を付加してコンクリート供試体1b,1cの弾性係数及び載荷点のたわみを計測する装置である。
【0048】
次に、3点曲げ強度試験の各段階について説明する。
(1)供試体形成段階
まず、一方のコンクリート板の上面以外をパラフィンで被膜した後に、一方のコンクリート板を硫酸ナトリウム水溶液に浸漬する。これにより、暴露面である上面から一方のコンクリート板の内部に硫酸ナトリウム水溶液の硫酸イオンが浸入し、一方のコンクリート板の内部に劣化部位3が形成される。このとき、暴露面以外は被膜されており、硫酸イオンは暴露面からのみ浸入するため、コンクリート板が均質に形成されていると仮定すると、劣化部位3は均一の深さで形成される。
【0049】
次に、暴露した一方のコンクリート板から、高さ1.5cm、幅1.5cm、軸方向の長さ7cmであり、暴露面を含む3体のコンクリート供試体1bを切り出すとともに、他方のコンクリート板から、3体のコンクリート供試体1bと同一寸法の通常供試体1cを切り出し、4体一組のコンクリート供試体1b,1cを作成する。なお、暴露前のコンクリート板から通常供試体1cを作成した後に、このコンクリート板を暴露して暴露面を含む3体のコンクリート供試体1bを作成することで、同一のコンクリート板から4体一組のコンクリート供試体を作成してもよい。
【0050】
(2)3点曲げ強度試験段階
次に、3体のコンクリート供試体1bを各々モード1,2,3の状態で3点曲げ強度試験装置20に設置し、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する。さらに、通常供試体1cを3点曲げ強度試験装置20に設置し、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する。
【0051】
(3)数値解析段階
次に、3点曲げ強度試験段階で求めた計測値を用いて前記数値解析手法により、コンクリート板の劣化深さ、健全部位2の弾性係数及び劣化部位3の弾性係数の近似値を求める。
【0052】
次に、求めた劣化深さ、健全部位2の弾性係数(通常供試体1cの弾性係数)及び劣化部位3の弾性係数を用いて、式45から式47より、各コンクリート供試体1bの近似弾性係数を求める。
同様にして複数の材齢のコンクリート供試体1bにおける近似弾性係数と測定弾性係数を求めて両者を比較した結果、両者は良い相関を示すため、3点曲げ強度試験によって求めた劣化深さ、健全部位2の弾性係数及び劣化部位3の弾性係数がコンクリート板の劣化部位3の劣化程度を示すことが確認された。
【0053】
本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験では、コンクリート板における劣化部位3の劣化程度を把握することができるため、複数の材齢のコンクリート板における劣化部位の劣化程度を比較することで、経時変化する劣化部位3の劣化程度を把握することができる。
【0054】
したがって、本発明の実施形態に係るコンクリートの耐久性試験方法では、複数の材齢のコンクリート供試体1a,1bにおける健全部位2と劣化部位3の強度関係及び劣化部位3の大きさとその劣化程度を把握して比較することで、経時変化する劣化部位3がコンクリート供試体1a,1bの強度に与えている影響を把握することができるため、コンクリートの耐久性を正確に把握することができる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のコンクリートの耐久性試験方法によれば、既存の試験方法によって計測されたコンクリート供試体の圧縮強度及び弾性係数の少なくとも一方を用いて、複数の材齢のコンクリート供試体における非変質部位と変質部位の強度の関係及び変質部位の大きさとその変質程度を把握して比較することで、経時変化する変質部位がコンクリート供試体の強度に与えている影響を把握することができるため、コンクリートの耐久性を容易かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧縮強度試験を示した図で、(a)は圧縮強度計測段階を示した側断面図、(b)は圧縮強度試験で求めた回帰曲線と圧縮強度比の関係を示したグラフである。
【図2】本発明の実施形態に係る3点曲げ強度試験を示した図で、(a)は3点曲げ強度試験段階を示した斜視図、(b)は各コンクリート供試体における計測弾性係数を健全部位の弾性係数に等価変換した等価断面を示した断面図である。
【符号の説明】
1a・・・・コンクリート供試体(圧縮強度試験)
1b・・・・コンクリート供試体(3点曲げ強度試験)
1c・・・・通常供試体(3点曲げ強度試験)
2・・・・健全部位
3・・・・劣化部位
4・・・・回帰曲線
5・・・・圧縮強度比
10・・・・圧縮強度試験装置
11・・・・支圧板(圧縮強度試験装置)
20・・・・3点曲げ強度試験装置

Claims (7)

  1. 以下の段階を含むことを特徴とするコンクリートの耐久性試験方法。
    (1)水平方向の長さが異なる複数の直方体であるコンクリート供試体を形成し、
    前記各コンクリート供試体を所定の環境に暴露することで、前記各コンクリート供試体における水平方向の一方又は両方の端面に暴露面を設け、
    前記暴露面から前記各コンクリート供試体の内部に変質部位を形成する供試体形成段階。
    (2)前記各コンクリート供試体に垂直方向の圧縮力を付加して圧縮強度及び弾性係数の少なくとも一方を計測する圧縮強度計測段階。
    (3)計測された前記各コンクリート供試体の前記圧縮強度又は前記弾性係数を目的変数、前記各コンクリート供試体の水平方向の長さの逆数を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析することで、回帰係数を求める回帰分析段階。
    (4)前記回帰係数を用いて評価指標を求める評価指標算出段階。
  2. 前記回帰分析段階において求める前記回帰係数は、以下の式1又は式2の回帰係数であり、
    σ=a+b/D (式1)
    (式中、σは前記圧縮強度、a,bは前記回帰係数、Dは前記コンクリート供試体の水平方向の長さを表す。)
    E=A+B/D (式2)
    (式中、Eは前記弾性係数、A,Bは前記回帰係数を表す。)
    前記評価指標算出段階において求める前記評価指標は、以下の式3、式4、式5又は式6による評価指標であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの耐久性試験方法。
    k1=b (式3)
    k2=B (式4)
    k3=b/a (式5)
    k4=B/A (式6)
    (式中、k1〜k4は前記評価指標を表す。)
  3. 以下の段階を含むことを特徴とするコンクリートの耐久性試験方法。
    (1)水平方向の長さが異なる複数の直方体であるコンクリート供試体と、前記各コンクリート供試体と同一と見なすことができる通常供試体とから構成される2体一組の供試体を作成し、
    前記各コンクリート供試体を所定の環境に暴露することで、前記各コンクリート供試体における水平方向の一方又は両方の端面に暴露面を設け、
    前記暴露面から前記各コンクリート供試体の内部に変質部位を形成する供試体形成段階。
    (2)暴露後の前記各コンクリート供試体及び前記各通常供試体に垂直方向の圧縮力を付加して圧縮強度及び弾性係数の少なくとも一方を計測する圧縮強度計測段階。
    (3)計測された前記コンクリート供試体の前記圧縮強度又は前記弾性係数を用いて、暴露後の前記コンクリート供試体の圧縮強度を、前記通常供試体の圧縮強度で除した圧縮強度比、又は、暴露後の前記コンクリート供試体の弾性係数を、前記通常供試体の弾性係数で除した弾性係数比を求め、
    前記圧縮強度比又は前記弾性係数比を目的変数、前記各コンクリート供試体の水平方向の長さの逆数を説明変数として、最小二乗法によって回帰分析することで、回帰係数を求める回帰分析段階。
    (4)前記回帰係数を用いて評価指標を求める評価指標算出段階。
  4. 前記回帰分析段階において求める前記回帰係数は、以下の式7又は式8の回帰係数であり、
    σ/σ0=a1+b1/D (式7)
    (式中、σは前記コンクリート供試体の圧縮強度、σ0は前記通常供試体の圧縮強度、a1,b1は前記回帰係数、Dは前記コンクリート供試体の水平方向の長さを表す。)
    E/E0=A1+B1/D (式8)
    (式中、Eは前記コンクリート供試体の弾性係数、E0は前記通常供試体の弾性係数、A1,B1は前記回帰係数を表す。)
    前記評価指標算出段階において求める前記評価指標は、以下の式9、式10、式11又は式12による評価指標であることを特徴とする請求項3に記載のコンクリートの耐久性試験方法。
    k5=b1 (式9)
    k6=B1 (式10)
    k7=b1/a1 (式11)
    k8=B1/A1 (式12)
    (式中、k5〜k8は前記評価指標を表す。)
  5. 以下の段階を含むことを特徴とするコンクリートの耐久性試験方法。
    (1)コンクリート大供試体を所定の環境に暴露することで、前記コンクリート大供試体における一面に暴露面を設け、前記暴露面から前記コンクリート大供試体の内部に変質部位を形成し、
    前記コンクリート大供試体から、前記暴露面が長手方向と一致する一面を形成する同一寸法の3体の柱体のコンクリート小供試体を作成する供試体形成段階。
    (2)前記3体のコンクリート小供試体について、
    第一のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に対して下側になる向きに設置し、
    第二のコンクリート小供試体は、その暴露面が前記載荷面に一致する向きに設置し、
    第三のコンクリート小供試体は、その暴露面が前記載荷面と直交する向きに設置した状態で、2点支持かつ中央1点載荷の曲げ強度試験を行い、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する3点曲げ強度試験段階。
    (3)前記3体の各コンクリート小供試体の設置条件に応じて、前記各コンクリート小供試体が非変質部位のみを備えていると仮定した場合の等価断面を定め、前記コンクリート大供試体における前記変質部位の変質深さと、前記変質部位の弾性係数を前記非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比とを任意の数値によって組み合せて、前記等価断面に基づいた断面二次モーメントに代入することで、以下の式13によって前記各コンクリート小供試体の理論弾性係数を複数算出し、
    前記各理論弾性係数と、前記計測された前記各コンクリート小供試体において前記第三のコンクリート小供試体を含む少なくとも2体の計測弾性係数との差の二乗和をそれぞれ求め、その中で前記二乗和が最小となるように、
    数値解析手法により、前記コンクリート大供試体の変質深さと、前記変質部位の弾性係数を前記非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比を決定する数値解析段階。
    E=FL3/δ48I (式13)
    (式中、Eは前記理論弾性係数、Fは前記計測荷重、Lは前記コンクリート供試体の軸方向の長さ、δは前記載荷点の計測たわみ、Iは断面二次モーメント。)
  6. 以下の段階を含むことを特徴とするコンクリートの耐久性試験方法。
    (1)コンクリート大供試体を所定の環境に暴露することで、前記コンクリート大供試体における一面に暴露面を設け、前記暴露面から前記コンクリート大供試体の内部に変質部位を形成し、
    前記コンクリート大供試体から、前記暴露面が長手方向と一致する一面を形成する同一寸法の3体の柱体のコンクリート小供試体と、前記コンクリート小供試体と同一寸法であり、前記暴露面を含まない柱体である通常供試体とから形成される4体一組のコンクリート供試体を作成する供試体形成段階。
    (2)前記通常供試体と、
    前記3体のコンクリート小供試体について、
    第一のコンクリート小供試体は、その暴露面が載荷面に対して下側になる向きに設置し、
    第二のコンクリート小供試体は、その暴露面が前記載荷面に一致する向きに設置し、
    第三のコンクリート小供試体は、その暴露面が前記載荷面と直交する向きに設置した状態で、2点支持かつ中央1点載荷の曲げ強度試験を行い、弾性係数、荷重及び載荷点のたわみを計測する3点曲げ強度試験段階。
    (3)前記3体の各コンクリート小供試体の設置条件に応じて、前記各コンクリート小供試体が非変質部位のみを備えていると仮定した場合の等価断面を定め、前記コンクリート大供試体における前記変質部位の変質深さと、前記変質部位の弾性係数を前記非変質部位の弾性係数で除した弾性係数比とを任意の数値によって組み合せて、前記等価断面に基づいた断面二次モーメントに代入することで、以下の式14によって前記各コンクリート小供試体の理論弾性係数を複数算出し、
    前記各理論弾性係数と、前記計測された前記各コンクリート小供試体において前記第三のコンクリート小供試体を含む少なくとも2体に前記通常供試体を加えた少なくとも3体の計測弾性係数との差の二乗和をそれぞれ求め、その中で前記二乗和が最小となるように、
    数値解析手法により、前記コンクリート大供試体の変質深さと、前記変質部位の弾性係数を決定する数値解析段階。
    E=FL3/δ48I (式14)
    (式中、Eは前記理論弾性係数、Fは前記計測荷重、Lは前記コンクリート供試体の軸方向の長さ、δは前記載荷点の計測たわみ、Iは断面二次モーメント。)
  7. 前記通常供試体にかえて、前記コンクリート大供試体と同一と見なすことができる条件で作成された他の通常供試体を用いることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のコンクリート耐久性試験方法。
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