JP3828449B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像表示装置に用いる基板を試験、モニタリング、あるいは処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、陰極線管に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な画像表示装置が開発されている。例えば、多数の電子放出素子を用いた画像表示装置は、薄型で大画面化できる上、消費電力が低く、時間応答に優れ、さらに、コントラストが高いなどの利点を有することから、盛んに研究されている。特に、近年では、電子放出素子として表面放出型素子を用いた表示装置や、カーボンナノチューブ陰極を用いた表示装置が開発され、実用化されつつある。
【0003】
この種の画像表示装置は、基本構成として、電子放出素子が設けられた背面基板、および陽極として機能する前面基板を備え、両基板は数mmの真空ギャップを挟んで対向配置されている。そして、基板間に10kV程度の高電圧を印加することにより、電子放出素子から放出された高エネルギー電子を陽極上に設けられた蛍光体に照射し発光させる。
【0004】
しかしながら、このように構成された画像表示装置では、前面基板および背面基板間に規格値の電圧を印加すると、基板に付着していた塵、埃等の微粒子が放出され、あるいは基板に蒸着された金属箔そのものが剥がれて、対向電極に衝突し、絶縁破壊を生じる原因となる。一旦絶縁破壊を生じると、基板間に大電流が流れて基板を損傷してしまうことになる。特に、導電体粉末(金属粉末)が基板上に存在する場合、耐電圧が大幅に低減することが確認された。従って、画像表示装置の耐電圧特性を改善し歩留まりを向上させることが難しいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような要因を取り除き、耐電圧特性を向上するには、基板を表示装置として組みあげる前に、基板処理用電極を用いて電圧を印加し基板のコンディショニングを行うことが効果的であると考えられる。しかし、従来では基板がどの程度コンディショニングされているかを知る簡便な方法がなく、処理時間や印加電圧を経験に基づいて決めることになる。したがって、基板の処理が不完全で絶縁破壊を生じたり、逆に、基板処理に必要以上の時間を掛けて処理効率を低下させてしまうという問題がある。
【0006】
基板の状態を評価する方法としては、いくつかの例を文献に見ることができる。例えば、第1の文献「J.Phys.D:Appl.Phys.,10(1977)p.1693」では、ドリフトディテクタと呼ばれる検出器によって、検出器表面の金属メッシュを通過した粒子の電荷量と質量を求めている。
また、第2の文献「IEEE rans.Elec.Insul.,28(1993)P.481 」では、部分放電計様の装置で微粒子の電荷移動を検知している。
【0007】
このように、コンディショニングの状態を評価する方法はあるが、これらは何れも微粒子の移動を電気信号として検出するものである。しかしながら、出力される電気信号量は微小であってS/Nが悪く、精度良い検出をすることが困難であった。
【0008】
また、第1の文献で示された検出器は大型化が困難であり、大画面の画像表示装置に使用する基板の処理、試験には不適当である。更に、基板上でどの地点の微粒子付着量が多いか、あるいは蒸着膜の蒸着具合が良くないかを知ることは工程を管理する上で重要である。しかし、第2の文献の方法では、発光地点を知ることができない。
【0009】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、画像表示装置に用いる基板の効率的な処理および基板状態のモニタリングが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の形態に係る基板処理方法は、真空雰囲気内に基板および対向電極を対向配置し、前記対向配置された基板と対向電極との間に高電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させ、前記微粒子の放出に起因する発光を光検出部により検知することを特徴としている。
【0011】
また、この発明の他の態様に係る基板処理装置は、基板が載置される基板載置部と、前記基板載置部に載置された基板と対向するように配置された対向電極と、前記基板載置部および対向電極が収納された真空処理槽と、前記対向電極と前記基板載置部に載置された基板との間に電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させる電圧供給部と、前記基板から放出された微粒子に起因する発光を検出する複数の光検出器と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記のように構成された基板処理方法および基板処理装置によれば、基板表面に付着した微粒子は、電圧を印加された対向電極により引きつけられ、対向電極に衝突したときに発光を生じる。光検出部は、この発光を検出することにより、微粒子が存在したこと、あるいは基板上の蒸着膜がはがれたことを等を検知する。また、光検出部が複数個取り付けられている場合、光検出部が検知する光量は、発光点と各光検出部の距離に従う分布となる。よって、複数個の光検出部の波高値を用いて演算を行うことにより発光点を求めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に基板処理装置について詳細に説明する。初めに、処理対象およびモニタリング対象となる基板を備えた画像表示装置の一例として、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)について説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11および背面基板12を備え、これらの基板は例えば約1.6mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板11および背面基板12は、ほぼ矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。側壁18は、封着材20として、例えばインジウムを介して前面基板11の周辺部内面および背面基板12の周辺部内面にそれぞれ接着されている。
【0015】
真空外囲器10の内部には、前面基板11および背面基板12に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の短辺と平行な方向に配置されているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については、板状に限定されるものではなく、例えば、柱状の支持部材等を用いることもできる。
【0016】
前面基板11の内面上には、蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青のストライプ状の蛍光体層、およびこれらの蛍光体層間に位置した非発光部としてのストライプ状の黒色光吸収層を並べて構成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、たとえばアルミニウム層からなるメタルバック層17が蒸着されている。
【0017】
背面基板12の内面上には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電子放出素子22が設けられている。これらの電子放出素子22は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデンやニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内にはモリブデンなどからなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。
【0018】
上記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、単純マトリックス方式に形成された電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子22を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。これにより、電子放出素子22から電子ビームが放出される。そして、電子放出素子22から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
【0019】
次に、FEDの製造に使用する基板上に存在した塵、埃等の微粒子を取り除くとともに基板上における微粒子の有無を検出する、第1の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0020】
図3に示すように、基板処理装置30は、真空処理槽32およびこの真空処理槽内を真空排気する排気装置33を備えている。真空処理槽32内には、処理対象あるいはモニタリング対象となる基板34が載置される矩形板状の基板載置部36、および基板載置部と隙間を置いて対向配置された矩形板状の処理用対向電極38が配設されている。基板載置部36および処理用対向電極38は、基板34よりも大きな平面積を有している。また、処理用対向電極38は、例えば、表面にITOがコーティングされたガラス板上に、ポリイミド膜を貼り付けて構成されている。更に、基板処理装置30は、電圧供給部として機能し基板34および処理用対向電極38に電圧を印加する高圧電源40を備えている。
【0021】
図3および図4に示すように、真空処理槽32の天井壁上には光検出器として複数の光電子増倍管42が配設され、処理用対向電極38と対向している。すなわち、光電子増倍管42は、処理用対向電極38に対し基板34と反対側に配置されている。これらの光電子増倍管42は、例えば、6列、4行に配列され、基板載置部36に載置された基板34のほぼ全域をカバーするように配置されている。また、各光電子増倍管42は、処理対象となる基板34の表面に対して垂直方向に延びて設けられている。
【0022】
なお、各光電子増倍管42は、真空処理槽32の天井壁に形成された図示しない透孔に対向して配置され、この透孔を介して処理用対向電極38と対向している。また、光電子増倍管42の感度を上げるため、真空処理槽32全体は所望の遮光処理が施されている。
【0023】
各光電子増倍管42は電源ケーブル44を介して電源46に接続されているとともに、信号ケーブル48を介して信号処理部50に接続されている。この信号処理部50は、制御部としてのパーソナルコンピュータ51に接続されている。
【0024】
次に、この基板処理装置を用いた基板処理方法について説明する。
まず、処理対象となる基板34を基板載置部36の上に載置した後、排気装置33により真空処理槽32の内部を10−5Torr程度の真空度に排気し真空雰囲気とする。この状態で、高圧電源40により基板34と処理用対向電極38との間に定格以上の電圧を印加し、基板34をコンディショニングする。すなわち、基板34に電圧を印加することにより、基板34上に付着した微粒子が基板から剥がれて放出し、処理用対向電極38に捕捉される。
【0025】
そして、微粒子が処理用対向電極38に捕捉される際、微粒子は衝突によってプラズマを形成し、あるいは処理用対向電極38を励起することによって、微小な光を発する。ここで、処理用対向電極はITOとポリイミドという光を透過する材料で構成されているため、光電子増倍管42により微小光を検出することができる。検出された微小光は電気信号に変換され、信号処理部50へ送られる。
【0026】
図5に示すように、信号処理部50において、各光電子増倍管42の出力信号は増幅器122を経由して3つに分岐し、1つはトリガ生成部116に、もう1つはアナログ処理部117に入力される。トリガ生成部116において、各光電子増倍管42の出力信号は、それぞれディスクリミネータ123を経由してトリガ発生器124に入力される。トリガ発生器124は、出力信号レベルがしきい値以上となる光電子倍増管の数が、予め設定された個数以上である場合にトリガ信号を発生する。
【0027】
なお、このトリガ生成方法は1例であり、トリガ生成部116は、例えば、光電子増倍管42からの出力信号すべてを、あるいは一部を加算回路により加算し、この加算された信号レベルがしきい値以上であるときにトリガパルス信号を発生するように構成されていてもよい。
【0028】
アナログ処理部117に入力された各光電子増倍管42の出力信号は、波形整形部(シェーバ:shaper)125により波形整形された後、ピークホールド回路126により信号のピーク値が求められる。更に、この信号は、マルチプレクサ(MPX)127によってA/Dコンバータ部128に送られデジタル信号に変換され、記録部としてのメモリ129に記憶される。そして、演算器(CPU)130により、光電子増倍管42の出力信号レベルの総和と、各光電子増倍管の出力信号レベルと位置座標とに基づく重心計算値とが求められ、メモリ129に記録される。更に、演算器130は検出した微小光の数、つまり、事象数をカウントする。
【0029】
前述の生成されたトリガパルスはピークホールド回路に送られ、トリガパルスのタイミングにしたがって波形整形後のアナログ信号の波高値がホールドされる。さらに、ピークホールドが完了したタイミングでマルチプレクス処理が行われ、波高値がA/Dコンバータ部128によりデジタル値へ変換され、メモリ129に記憶される。なお、単に微小光の数を測定するだけなら、トリガパルスの数をカウンタ回路にて測定すればよい。
【0030】
光電子増倍管42個々の出力は、発光量と発光地点に依存するが、光電子増倍管の出力信号の総和は、発光地点に対する依存性が小さく、発光量に対応すると考えてよい。発光量の大きさは、基板から放出された微粒子の大きさ、あるいは耐圧に対する影響度の大きさを表すものであり、耐圧特性を評価する上で重要な情報を与える。
【0031】
ある位置で発光が生じる、光子は全方向(4π方向)に放出され、発光点に近い光電子増倍管42には多くの量の光子が、また、遠い光電子増倍管には少ない量の光子が到達する。これら光子が到達する数の割合は、統計的なばらつきを無視すれば、発光点からみた光電子増倍管42個々の光電面の立体角に依存する。より厳密に言えば、反射の寄与を含めた立体角に依存する。つまり、光子が到達する割合、すなわちPMTの出力値の割合は、発光量(最初の光子の数)によらず、発光点により決まるものである。
【0032】
このような性質を利用すると、例えば
x=Σ(Pi・Xi)/ΣPi ;Xiはi番目のPMTの座標、Piはi番目のPMTの出力;
で得られる重心計算結果は、発光点を表すよい指標となる。実際には、発光点と計算から得られる重心値(ここではx)はずれるので、あらかじめ、LEDなどの発光素子を用いて、発光位置を走査し、発光点と重心値との対応をテーブル化するか応答関数を求めておき、重心値から発光点を逆変換(校正)すると、位置精度を高くすることができる。
【0033】
発光点を測定した結果、特定の領域から発光が検知されているなら、これはこの部位が耐圧上の問題箇所を示していることになるので、この領域に関する工程を重点的に調査することになる。
【0034】
一方、信号処理部50内で分岐されたもう1つの信号は、DC発光検出部131に送られる。連続発光検出部を構成するDC発光検出部131において、分岐信号はそれぞれローパスフィルタ(LPF)132を経由してコンパレータ(Cmp)133およびレコーダ(Rec)134へ送られる。コンパレータ133により信号出力が一定値以上であることが判断されると、コンパレータからCPU130にDC発光検出信号が送られる。
【0035】
以上のように、微小光を検出することにより、微粒子が基板34から放出された、あるいは基板上に蒸着された膜が剥がれた事象数を検出する。そして、基板34と処理用対向電極38との間に一定電圧を印加し続けると、検出される事象数は時間と共に減少する。単位時間当たりの事象数が一定値以下になった場合、基板34が十分にコンディショニングがなされたと判断して、印加電圧を落としコンディショニングを終了する。
【0036】
上記ように構成された基板処理装置30によれば、検出した光強度分布、すなわち光信号の波高値分布に基づき、耐電圧特性に対する微粒子の重要度を判断することができる。波高値と事象数を同時にモニタすることで、微粒子の数、大きさ、発生場所、分布等を検知することができ、総合的に基板34のコンディショニング状態を把握することができる。また、複数の光電子増倍管42で検出した出力信号の波高値に基づき、基板34の発光地点を検出することができる。発光地点は、基板の製造工程上の問題個所を示しているので、この情報をもとに製造工程管理を行うことが可能となる。従って、歩留まりの高い画像表示装置用の基板、および画像表示装置を提供することができる。
【0037】
また、信号処理部50はDC発光を検出するDC発光検出部131を備えているため、パルス状信号ではないDC発光、つまり、連続的な発光の検出信号も検出することができる。さらに、DC発光を生じているときでも、一定間隔毎にトリガ信号を発生させてアナログ処理部117に入力することで、基板34のDC発光位置を計算および記憶し、制御部51に表示させることが可能となる。
なお、微小光の発光位置は検出信号の重心計算により精度よく求めることができるが、簡便には出力信号が最も大きい光電子増倍管42と対向する領域にあると判断することもできる。
【0038】
また、前述した基板処理装置30では、光を透過する処理用対向電極38を使用し、光検出部としての光電子増倍管42を基板34に対して垂直方向に配置している。そのため、光電子増倍管42を基板34に対し接近させて配置することができ、光検出効率および発光地点の位置分解能を高くすることができる。
【0039】
ここでは、上述した装置を基板処理装置に使用した例を示したが、基板試験装置あるいは基板を組上げるディスプレイ製造装置に使用することができる。すなわち、図3において、処理用対向電極の代わりに、画像表示装置に用いる対向基板を模擬した対向模擬基板を配置することにより、基板試験装置として使用することができる。このような基板試験装置は、例えば表示装置装置組み立ての前工程として、対向する2枚の基板が一定の耐電圧を持つか否かを確認するために用いられる。
【0040】
一定の耐電圧を持たなかった基板は、絶縁破壊を生じて基板が損傷し、この基板は商品として使用できなくなる。しかしこのとき、基板の状態を評価することができれば、絶縁破壊を生じる前に耐電圧試験を終了し、基板の再処理や修復を行うことで、基板を修復することが可能となる。また、製造工程上の問題点を把握し、工程改善に役立てることができる。
【0041】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る基板処理装置によれば、ほぼ円柱状の光電子増倍管42は、ほぼ円筒形状の磁気シールド54内に挿入され、マウント56を介して真空処理槽32に取り付けられている。そして、光電子増倍管42は、真空処理槽32の壁部に形成された透孔60と対向している。ここで、磁気シールド54内において、光電子増倍管42の前面には、バンドパスフィルタを用いた波長選択機構58が配置されている。他の構成は、上述した第1の実施の形態と同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0042】
上記のように構成された基板処理装置は、除去しようとする微粒子の種類が判明している場合、つまり、耐圧特性に有害でありコンディショニングによって悪影響を低減すべき微粒子の種類が判明している場合に好適である。
【0043】
例えば、検出あるいは除去対象をアルミニウム、炭素とした場合、波長選択機構58を設け、検出対象以外の波長をもつ光を排除することにより、光電子増倍管42による検出信号のS/Nを大幅に改善することができる。その結果、目的とする微小光の検出感度が向上し、一層適切な基板のコンディショニングおよびモニタリングを行うことができる。また、基板から放出された微粒子の種類を検出することができ、製造工程向上のための対策に対する有益な情報を得ることができる。
【0044】
また、例えば真空処理槽に取り付けた複数個の光電子増倍管を複数のグループに分け、それぞれのグループの光電子増倍管に対して異なる波長領域のバンドパスフィルタを使用する構成としてもよい。この場合、2つ以上の粒子種の存在比を相対的に判別することができる。これによって、耐圧に対して影響を与えている粒子種を識別することが可能となり、製造工程向上のための対策に対する有益な情報を得ることができる。
【0045】
図7に示す第3の実施の形態によれば、基板処理装置30は、真空処理槽32およびこの真空処理槽内を真空排気する排気装置33を備えている。真空処理槽32内には、処理対象あるいはモニタリング対象となる基板34が載置される矩形板状の基板載置部36、および基板載置部と隙間を置いて対向配置された矩形板状の処理用対向電極38が配設されている。基板載置部36および処理用対向電極38は、基板34よりも大きな平面積を有している。また、処理用対向電極38は、例えば、表面にITOがコーティングされたガラス板上に、テフロン(登録商標)板を貼り付けて構成されている。更に、基板処理装置30は、基板34および処理用対向電極38に電圧を印加する高圧電源40を備えている。
【0046】
また、基板処理装置30は、光検出器として複数の光電子増倍管42を備えている。本実施の形態によれば、これらの光電子増倍管42は、真空処理槽32の両側壁に設けられ、基板載置部36とほぼ同一平面上に並んで配置され、且つ、基板34方向に向けられている。
【0047】
各光電子増倍管42は電源ケーブル44を介して電源46に接続されているとともに、信号ケーブル48を介して信号処理部50に接続されている。この信号処理部50は第1の実施の形態と同一であり、また、制御部としてのパーソナルコンピュータ51に接続されている。
なお、上記基板処理装置を用いた基板の処理方法およびモニタリング方法は第1の実施の形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0048】
第3の実施の形態によれば、不透明な処理用対向電極38を用いた場合でも、基板34の微粒子等に起因する微小発光を検知することができる。また、第1の実施の形態に比較して、光電子増倍管42の個数および信号処理部50の構成部品の個数を削減することができ、コストの低減を図ることが可能となる。ただし、第1の実施の形態に比較して、発光地点と光電子増倍管42との距離が大きくなり、発光地点に対する位置分解能は低下する。
【0049】
また、第1の実施の形態と同様に、第3の実施の形態に係る基板処理装置も基板処理に限らず、基板試験装置あるいは基板を組上げるディスプレイ製造装置に使用することができる。
【0050】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、光電子増倍管の設置数は、上述した実施の形態に限定されることなく、必要に応じて増減可能である。また、光電子増倍管に代えて、APD(アバランシュ・フォト・ダイオード)、ハープ管等の他の光検出器を用いることもできる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、基板表面に付着した微粒子や基板表面から剥離した金属箔等に起因する微小光の発光の数および光量分布を検出することができ、基板のコンディショニングの状態を正確に把握し、良好で、かつ時間的に効率のよい基板処理およびモニタリングが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することができる。同時に、発光位置分布を得ることができ、基板の製造工程上の問題点を管理し、歩留まりの高い画像表示装置用の基板、および画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像表示装置の一例を示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿った断面図。
【図3】この発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を概略的に示す斜視図。
【図4】上記基板処理装置における光電子増倍管の配列を示す平面図。
【図5】上記基板処理装置における信号処理部を示すブロック図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の光電子増倍管部分を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置を概略的に示す斜視図。
【符号の説明】
30…基板処理装置
33…真空排気装置
32…真空処理槽
34…基板
36…基板載置部
38…処理用対向電極
40…高電圧電源
42…光電子増倍管
46…電源
50…信号処理回路
58…波長選択機構
116…トリガ生成部
117…アナログ処理部
131…DC発光検出部
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像表示装置に用いる基板を試験、モニタリング、あるいは処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、陰極線管に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な画像表示装置が開発されている。例えば、多数の電子放出素子を用いた画像表示装置は、薄型で大画面化できる上、消費電力が低く、時間応答に優れ、さらに、コントラストが高いなどの利点を有することから、盛んに研究されている。特に、近年では、電子放出素子として表面放出型素子を用いた表示装置や、カーボンナノチューブ陰極を用いた表示装置が開発され、実用化されつつある。
【0003】
この種の画像表示装置は、基本構成として、電子放出素子が設けられた背面基板、および陽極として機能する前面基板を備え、両基板は数mmの真空ギャップを挟んで対向配置されている。そして、基板間に10kV程度の高電圧を印加することにより、電子放出素子から放出された高エネルギー電子を陽極上に設けられた蛍光体に照射し発光させる。
【0004】
しかしながら、このように構成された画像表示装置では、前面基板および背面基板間に規格値の電圧を印加すると、基板に付着していた塵、埃等の微粒子が放出され、あるいは基板に蒸着された金属箔そのものが剥がれて、対向電極に衝突し、絶縁破壊を生じる原因となる。一旦絶縁破壊を生じると、基板間に大電流が流れて基板を損傷してしまうことになる。特に、導電体粉末(金属粉末)が基板上に存在する場合、耐電圧が大幅に低減することが確認された。従って、画像表示装置の耐電圧特性を改善し歩留まりを向上させることが難しいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような要因を取り除き、耐電圧特性を向上するには、基板を表示装置として組みあげる前に、基板処理用電極を用いて電圧を印加し基板のコンディショニングを行うことが効果的であると考えられる。しかし、従来では基板がどの程度コンディショニングされているかを知る簡便な方法がなく、処理時間や印加電圧を経験に基づいて決めることになる。したがって、基板の処理が不完全で絶縁破壊を生じたり、逆に、基板処理に必要以上の時間を掛けて処理効率を低下させてしまうという問題がある。
【0006】
基板の状態を評価する方法としては、いくつかの例を文献に見ることができる。例えば、第1の文献「J.Phys.D:Appl.Phys.,10(1977)p.1693」では、ドリフトディテクタと呼ばれる検出器によって、検出器表面の金属メッシュを通過した粒子の電荷量と質量を求めている。
また、第2の文献「IEEE rans.Elec.Insul.,28(1993)P.481 」では、部分放電計様の装置で微粒子の電荷移動を検知している。
【0007】
このように、コンディショニングの状態を評価する方法はあるが、これらは何れも微粒子の移動を電気信号として検出するものである。しかしながら、出力される電気信号量は微小であってS/Nが悪く、精度良い検出をすることが困難であった。
【0008】
また、第1の文献で示された検出器は大型化が困難であり、大画面の画像表示装置に使用する基板の処理、試験には不適当である。更に、基板上でどの地点の微粒子付着量が多いか、あるいは蒸着膜の蒸着具合が良くないかを知ることは工程を管理する上で重要である。しかし、第2の文献の方法では、発光地点を知ることができない。
【0009】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、画像表示装置に用いる基板の効率的な処理および基板状態のモニタリングが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の形態に係る基板処理方法は、真空雰囲気内に基板および対向電極を対向配置し、前記対向配置された基板と対向電極との間に高電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させ、前記微粒子の放出に起因する発光を光検出部により検知することを特徴としている。
【0011】
また、この発明の他の態様に係る基板処理装置は、基板が載置される基板載置部と、前記基板載置部に載置された基板と対向するように配置された対向電極と、前記基板載置部および対向電極が収納された真空処理槽と、前記対向電極と前記基板載置部に載置された基板との間に電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させる電圧供給部と、前記基板から放出された微粒子に起因する発光を検出する複数の光検出器と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記のように構成された基板処理方法および基板処理装置によれば、基板表面に付着した微粒子は、電圧を印加された対向電極により引きつけられ、対向電極に衝突したときに発光を生じる。光検出部は、この発光を検出することにより、微粒子が存在したこと、あるいは基板上の蒸着膜がはがれたことを等を検知する。また、光検出部が複数個取り付けられている場合、光検出部が検知する光量は、発光点と各光検出部の距離に従う分布となる。よって、複数個の光検出部の波高値を用いて演算を行うことにより発光点を求めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に基板処理装置について詳細に説明する。初めに、処理対象およびモニタリング対象となる基板を備えた画像表示装置の一例として、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)について説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11および背面基板12を備え、これらの基板は例えば約1.6mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板11および背面基板12は、ほぼ矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。側壁18は、封着材20として、例えばインジウムを介して前面基板11の周辺部内面および背面基板12の周辺部内面にそれぞれ接着されている。
【0015】
真空外囲器10の内部には、前面基板11および背面基板12に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の短辺と平行な方向に配置されているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については、板状に限定されるものではなく、例えば、柱状の支持部材等を用いることもできる。
【0016】
前面基板11の内面上には、蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青のストライプ状の蛍光体層、およびこれらの蛍光体層間に位置した非発光部としてのストライプ状の黒色光吸収層を並べて構成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、たとえばアルミニウム層からなるメタルバック層17が蒸着されている。
【0017】
背面基板12の内面上には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電子放出素子22が設けられている。これらの電子放出素子22は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデンやニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内にはモリブデンなどからなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。
【0018】
上記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、単純マトリックス方式に形成された電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子22を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。これにより、電子放出素子22から電子ビームが放出される。そして、電子放出素子22から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
【0019】
次に、FEDの製造に使用する基板上に存在した塵、埃等の微粒子を取り除くとともに基板上における微粒子の有無を検出する、第1の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0020】
図3に示すように、基板処理装置30は、真空処理槽32およびこの真空処理槽内を真空排気する排気装置33を備えている。真空処理槽32内には、処理対象あるいはモニタリング対象となる基板34が載置される矩形板状の基板載置部36、および基板載置部と隙間を置いて対向配置された矩形板状の処理用対向電極38が配設されている。基板載置部36および処理用対向電極38は、基板34よりも大きな平面積を有している。また、処理用対向電極38は、例えば、表面にITOがコーティングされたガラス板上に、ポリイミド膜を貼り付けて構成されている。更に、基板処理装置30は、電圧供給部として機能し基板34および処理用対向電極38に電圧を印加する高圧電源40を備えている。
【0021】
図3および図4に示すように、真空処理槽32の天井壁上には光検出器として複数の光電子増倍管42が配設され、処理用対向電極38と対向している。すなわち、光電子増倍管42は、処理用対向電極38に対し基板34と反対側に配置されている。これらの光電子増倍管42は、例えば、6列、4行に配列され、基板載置部36に載置された基板34のほぼ全域をカバーするように配置されている。また、各光電子増倍管42は、処理対象となる基板34の表面に対して垂直方向に延びて設けられている。
【0022】
なお、各光電子増倍管42は、真空処理槽32の天井壁に形成された図示しない透孔に対向して配置され、この透孔を介して処理用対向電極38と対向している。また、光電子増倍管42の感度を上げるため、真空処理槽32全体は所望の遮光処理が施されている。
【0023】
各光電子増倍管42は電源ケーブル44を介して電源46に接続されているとともに、信号ケーブル48を介して信号処理部50に接続されている。この信号処理部50は、制御部としてのパーソナルコンピュータ51に接続されている。
【0024】
次に、この基板処理装置を用いた基板処理方法について説明する。
まず、処理対象となる基板34を基板載置部36の上に載置した後、排気装置33により真空処理槽32の内部を10−5Torr程度の真空度に排気し真空雰囲気とする。この状態で、高圧電源40により基板34と処理用対向電極38との間に定格以上の電圧を印加し、基板34をコンディショニングする。すなわち、基板34に電圧を印加することにより、基板34上に付着した微粒子が基板から剥がれて放出し、処理用対向電極38に捕捉される。
【0025】
そして、微粒子が処理用対向電極38に捕捉される際、微粒子は衝突によってプラズマを形成し、あるいは処理用対向電極38を励起することによって、微小な光を発する。ここで、処理用対向電極はITOとポリイミドという光を透過する材料で構成されているため、光電子増倍管42により微小光を検出することができる。検出された微小光は電気信号に変換され、信号処理部50へ送られる。
【0026】
図5に示すように、信号処理部50において、各光電子増倍管42の出力信号は増幅器122を経由して3つに分岐し、1つはトリガ生成部116に、もう1つはアナログ処理部117に入力される。トリガ生成部116において、各光電子増倍管42の出力信号は、それぞれディスクリミネータ123を経由してトリガ発生器124に入力される。トリガ発生器124は、出力信号レベルがしきい値以上となる光電子倍増管の数が、予め設定された個数以上である場合にトリガ信号を発生する。
【0027】
なお、このトリガ生成方法は1例であり、トリガ生成部116は、例えば、光電子増倍管42からの出力信号すべてを、あるいは一部を加算回路により加算し、この加算された信号レベルがしきい値以上であるときにトリガパルス信号を発生するように構成されていてもよい。
【0028】
アナログ処理部117に入力された各光電子増倍管42の出力信号は、波形整形部(シェーバ:shaper)125により波形整形された後、ピークホールド回路126により信号のピーク値が求められる。更に、この信号は、マルチプレクサ(MPX)127によってA/Dコンバータ部128に送られデジタル信号に変換され、記録部としてのメモリ129に記憶される。そして、演算器(CPU)130により、光電子増倍管42の出力信号レベルの総和と、各光電子増倍管の出力信号レベルと位置座標とに基づく重心計算値とが求められ、メモリ129に記録される。更に、演算器130は検出した微小光の数、つまり、事象数をカウントする。
【0029】
前述の生成されたトリガパルスはピークホールド回路に送られ、トリガパルスのタイミングにしたがって波形整形後のアナログ信号の波高値がホールドされる。さらに、ピークホールドが完了したタイミングでマルチプレクス処理が行われ、波高値がA/Dコンバータ部128によりデジタル値へ変換され、メモリ129に記憶される。なお、単に微小光の数を測定するだけなら、トリガパルスの数をカウンタ回路にて測定すればよい。
【0030】
光電子増倍管42個々の出力は、発光量と発光地点に依存するが、光電子増倍管の出力信号の総和は、発光地点に対する依存性が小さく、発光量に対応すると考えてよい。発光量の大きさは、基板から放出された微粒子の大きさ、あるいは耐圧に対する影響度の大きさを表すものであり、耐圧特性を評価する上で重要な情報を与える。
【0031】
ある位置で発光が生じる、光子は全方向(4π方向)に放出され、発光点に近い光電子増倍管42には多くの量の光子が、また、遠い光電子増倍管には少ない量の光子が到達する。これら光子が到達する数の割合は、統計的なばらつきを無視すれば、発光点からみた光電子増倍管42個々の光電面の立体角に依存する。より厳密に言えば、反射の寄与を含めた立体角に依存する。つまり、光子が到達する割合、すなわちPMTの出力値の割合は、発光量(最初の光子の数)によらず、発光点により決まるものである。
【0032】
このような性質を利用すると、例えば
x=Σ(Pi・Xi)/ΣPi ;Xiはi番目のPMTの座標、Piはi番目のPMTの出力;
で得られる重心計算結果は、発光点を表すよい指標となる。実際には、発光点と計算から得られる重心値(ここではx)はずれるので、あらかじめ、LEDなどの発光素子を用いて、発光位置を走査し、発光点と重心値との対応をテーブル化するか応答関数を求めておき、重心値から発光点を逆変換(校正)すると、位置精度を高くすることができる。
【0033】
発光点を測定した結果、特定の領域から発光が検知されているなら、これはこの部位が耐圧上の問題箇所を示していることになるので、この領域に関する工程を重点的に調査することになる。
【0034】
一方、信号処理部50内で分岐されたもう1つの信号は、DC発光検出部131に送られる。連続発光検出部を構成するDC発光検出部131において、分岐信号はそれぞれローパスフィルタ(LPF)132を経由してコンパレータ(Cmp)133およびレコーダ(Rec)134へ送られる。コンパレータ133により信号出力が一定値以上であることが判断されると、コンパレータからCPU130にDC発光検出信号が送られる。
【0035】
以上のように、微小光を検出することにより、微粒子が基板34から放出された、あるいは基板上に蒸着された膜が剥がれた事象数を検出する。そして、基板34と処理用対向電極38との間に一定電圧を印加し続けると、検出される事象数は時間と共に減少する。単位時間当たりの事象数が一定値以下になった場合、基板34が十分にコンディショニングがなされたと判断して、印加電圧を落としコンディショニングを終了する。
【0036】
上記ように構成された基板処理装置30によれば、検出した光強度分布、すなわち光信号の波高値分布に基づき、耐電圧特性に対する微粒子の重要度を判断することができる。波高値と事象数を同時にモニタすることで、微粒子の数、大きさ、発生場所、分布等を検知することができ、総合的に基板34のコンディショニング状態を把握することができる。また、複数の光電子増倍管42で検出した出力信号の波高値に基づき、基板34の発光地点を検出することができる。発光地点は、基板の製造工程上の問題個所を示しているので、この情報をもとに製造工程管理を行うことが可能となる。従って、歩留まりの高い画像表示装置用の基板、および画像表示装置を提供することができる。
【0037】
また、信号処理部50はDC発光を検出するDC発光検出部131を備えているため、パルス状信号ではないDC発光、つまり、連続的な発光の検出信号も検出することができる。さらに、DC発光を生じているときでも、一定間隔毎にトリガ信号を発生させてアナログ処理部117に入力することで、基板34のDC発光位置を計算および記憶し、制御部51に表示させることが可能となる。
なお、微小光の発光位置は検出信号の重心計算により精度よく求めることができるが、簡便には出力信号が最も大きい光電子増倍管42と対向する領域にあると判断することもできる。
【0038】
また、前述した基板処理装置30では、光を透過する処理用対向電極38を使用し、光検出部としての光電子増倍管42を基板34に対して垂直方向に配置している。そのため、光電子増倍管42を基板34に対し接近させて配置することができ、光検出効率および発光地点の位置分解能を高くすることができる。
【0039】
ここでは、上述した装置を基板処理装置に使用した例を示したが、基板試験装置あるいは基板を組上げるディスプレイ製造装置に使用することができる。すなわち、図3において、処理用対向電極の代わりに、画像表示装置に用いる対向基板を模擬した対向模擬基板を配置することにより、基板試験装置として使用することができる。このような基板試験装置は、例えば表示装置装置組み立ての前工程として、対向する2枚の基板が一定の耐電圧を持つか否かを確認するために用いられる。
【0040】
一定の耐電圧を持たなかった基板は、絶縁破壊を生じて基板が損傷し、この基板は商品として使用できなくなる。しかしこのとき、基板の状態を評価することができれば、絶縁破壊を生じる前に耐電圧試験を終了し、基板の再処理や修復を行うことで、基板を修復することが可能となる。また、製造工程上の問題点を把握し、工程改善に役立てることができる。
【0041】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る基板処理装置によれば、ほぼ円柱状の光電子増倍管42は、ほぼ円筒形状の磁気シールド54内に挿入され、マウント56を介して真空処理槽32に取り付けられている。そして、光電子増倍管42は、真空処理槽32の壁部に形成された透孔60と対向している。ここで、磁気シールド54内において、光電子増倍管42の前面には、バンドパスフィルタを用いた波長選択機構58が配置されている。他の構成は、上述した第1の実施の形態と同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0042】
上記のように構成された基板処理装置は、除去しようとする微粒子の種類が判明している場合、つまり、耐圧特性に有害でありコンディショニングによって悪影響を低減すべき微粒子の種類が判明している場合に好適である。
【0043】
例えば、検出あるいは除去対象をアルミニウム、炭素とした場合、波長選択機構58を設け、検出対象以外の波長をもつ光を排除することにより、光電子増倍管42による検出信号のS/Nを大幅に改善することができる。その結果、目的とする微小光の検出感度が向上し、一層適切な基板のコンディショニングおよびモニタリングを行うことができる。また、基板から放出された微粒子の種類を検出することができ、製造工程向上のための対策に対する有益な情報を得ることができる。
【0044】
また、例えば真空処理槽に取り付けた複数個の光電子増倍管を複数のグループに分け、それぞれのグループの光電子増倍管に対して異なる波長領域のバンドパスフィルタを使用する構成としてもよい。この場合、2つ以上の粒子種の存在比を相対的に判別することができる。これによって、耐圧に対して影響を与えている粒子種を識別することが可能となり、製造工程向上のための対策に対する有益な情報を得ることができる。
【0045】
図7に示す第3の実施の形態によれば、基板処理装置30は、真空処理槽32およびこの真空処理槽内を真空排気する排気装置33を備えている。真空処理槽32内には、処理対象あるいはモニタリング対象となる基板34が載置される矩形板状の基板載置部36、および基板載置部と隙間を置いて対向配置された矩形板状の処理用対向電極38が配設されている。基板載置部36および処理用対向電極38は、基板34よりも大きな平面積を有している。また、処理用対向電極38は、例えば、表面にITOがコーティングされたガラス板上に、テフロン(登録商標)板を貼り付けて構成されている。更に、基板処理装置30は、基板34および処理用対向電極38に電圧を印加する高圧電源40を備えている。
【0046】
また、基板処理装置30は、光検出器として複数の光電子増倍管42を備えている。本実施の形態によれば、これらの光電子増倍管42は、真空処理槽32の両側壁に設けられ、基板載置部36とほぼ同一平面上に並んで配置され、且つ、基板34方向に向けられている。
【0047】
各光電子増倍管42は電源ケーブル44を介して電源46に接続されているとともに、信号ケーブル48を介して信号処理部50に接続されている。この信号処理部50は第1の実施の形態と同一であり、また、制御部としてのパーソナルコンピュータ51に接続されている。
なお、上記基板処理装置を用いた基板の処理方法およびモニタリング方法は第1の実施の形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0048】
第3の実施の形態によれば、不透明な処理用対向電極38を用いた場合でも、基板34の微粒子等に起因する微小発光を検知することができる。また、第1の実施の形態に比較して、光電子増倍管42の個数および信号処理部50の構成部品の個数を削減することができ、コストの低減を図ることが可能となる。ただし、第1の実施の形態に比較して、発光地点と光電子増倍管42との距離が大きくなり、発光地点に対する位置分解能は低下する。
【0049】
また、第1の実施の形態と同様に、第3の実施の形態に係る基板処理装置も基板処理に限らず、基板試験装置あるいは基板を組上げるディスプレイ製造装置に使用することができる。
【0050】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、光電子増倍管の設置数は、上述した実施の形態に限定されることなく、必要に応じて増減可能である。また、光電子増倍管に代えて、APD(アバランシュ・フォト・ダイオード)、ハープ管等の他の光検出器を用いることもできる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、基板表面に付着した微粒子や基板表面から剥離した金属箔等に起因する微小光の発光の数および光量分布を検出することができ、基板のコンディショニングの状態を正確に把握し、良好で、かつ時間的に効率のよい基板処理およびモニタリングが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することができる。同時に、発光位置分布を得ることができ、基板の製造工程上の問題点を管理し、歩留まりの高い画像表示装置用の基板、および画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像表示装置の一例を示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿った断面図。
【図3】この発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を概略的に示す斜視図。
【図4】上記基板処理装置における光電子増倍管の配列を示す平面図。
【図5】上記基板処理装置における信号処理部を示すブロック図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の光電子増倍管部分を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置を概略的に示す斜視図。
【符号の説明】
30…基板処理装置
33…真空排気装置
32…真空処理槽
34…基板
36…基板載置部
38…処理用対向電極
40…高電圧電源
42…光電子増倍管
46…電源
50…信号処理回路
58…波長選択機構
116…トリガ生成部
117…アナログ処理部
131…DC発光検出部
Claims (13)
- 真空雰囲気内に基板および対向電極を対向配置し、
前記対向配置された基板と対向電極との間に高電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させ、
前記微粒子の放出に起因する発光を光検出部により検知することを特徴とする基板処理方法。 - 真空雰囲気内に基板および対向電極を対向配置し、
前記対向配置された基板と対向電極との間に高電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させ、
前記微粒子の放出に起因する発光を複数の光検出部により検知し、
前記複数の光検知器の出力信号の波高値を演算して発光位置を検出することを特徴とする基板処理方法。 - 基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に載置された基板と対向するように配置された対向電極と、
前記基板載置部および対向電極が収納された真空処理槽と、
前記対向電極と前記基板載置部に載置された基板との間に電圧を印加し、前記基板上の微粒子を前記対向電極に向けて放出させる電圧供給部と、
前記基板から放出された微粒子に起因する発光を検出する複数の光検出器と、
を備えた基板処理装置。 - 前記各光検出部からの出力信号の波高値を記録する記録部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
- 前記光検出部の出力信号に対してトリガパルスを発生するトリガ発生部と、発生したトリガパルス数を数えるカウント部とを備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の基板処理装置。
- 前記複数の光検出部から出力された出力信号の波高値を演算し、発光点を算出する演算部を備えたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記基板と各光検出部との間に配置され任意の波長の光を透過する波長選択機構を備えたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記波長選択機構は、バンドパスフィルタを備えていることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
- 前記光検出部は、光電子増倍管を備えていることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記複数の光検出部は、前記基板載置部に載置された基板とほぼ同一面に配置されていることを特徴とする請求項3ないし9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記対向電極は光透過性を有し、前記光検出器は、前記対向電極に対し前記基板と反対側に配置されていることを特徴とする請求項3ないし9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記光検出器は、前記基板載置部に載置された基板の表面に対し、ほぼ垂直な方向に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
- 前記光検出器からの出力信号に基づき連続発光を検出する連続発光検出部を備えていることを特徴とする請求項3ないし12のいずれか1項に記載の基板処理装置。
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