JP3828022B2 - 四日熱マラリア原虫とその診断 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、新規な四日熱マラリア原虫と、その診断に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マラリアは、1種以上のマラリア原虫(Plasmodium)の感染により発症する。マラリア原虫には、熱帯熱マラリア(P. falciparum)、三日熱マラリア(P. vivax)、四日熱マラリア(P. malariae)および卵型マラリア(P. ovale)が知られている。これらの原虫は、ハマダラカ属(Anopheles)の雌カの刺咬により、その唾液腺からsporozoiteの状態でヒト体内に侵入し感染する。
【0003】
マラリアは世界において、急性下気道感染症、エイズおよび下痢症に次ぐ多発感染症であり、WHO(World Health Organization)の推計によれば、1999年の罹患は約4,500万例、そのうち約110万例が死亡している(The World Health Report 2000, p.164 and p.170, WHO 2000)。
【0004】
マラリアの対策においてはその早期発見、早期治療が最も重要であり、そのための集団診断が実施されている。
【0005】
マラリア診断には、血液塗抹標本をギムザ染色して検境する顕微鏡法や、マラリア原虫感染後に産生される抗体を検出する血清診断法が広く採用されている。しかしながら、これらの繁用方法は、検査手続が煩雑であったり、判定結果が必ずしも正確でないなどの問題があった。
【0006】
これに対し、分子生物学的手法を応用して、マラリア原虫に特異的な遺伝子配列をオリゴヌクレオチドプローブを用いて検出したり、あるいは特定のマラリア原虫のSSU rRNA遺伝子をPCR増幅するDNA診断法が提案され(例えば、特開平05-227998号公報)、簡便かつ高精度のマラリア診断が期待されつつある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、マラリア対策として様々な診断方法が開発されおり、特にプローブ法やPCR法を用いたDNA診断は、その利便性や判定の正確性によってマラリア診断の主流をなすものと期待されている。
【0008】
しかしながら、このようなDNA法による診断においても、その判定精度をさらに向上するためには、解決すべき課題がのこされている。すなわち、前記のとおりの4種類のマラリア原虫にはそれぞれに異なった型が存在し、それぞれに異なった遺伝子配列を有している。そして、現時点でDNA診断に利用されている遺伝子配列は、全てのマラリア原虫のそれぞれに対応するものではない。既知の遺伝子配列とは異なる遺伝子配列を有する未知のマラリア原虫に対しては、DNA診断は全く無力である。
【0009】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、従来全く知られていない、新しい型の四日熱マラリア原虫を、その遺伝子配列とともに提供することを課題としている。
【0010】
またこの出願の発明は、この新型四日熱マラリア原虫の診断方法と、そのための遺伝子材料を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この出願、前記の課題を解決するための発明として、2種類の新型四日熱マラリア原虫、すなわち、SSU rRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1である四日熱マラリア原虫と、SSU rRNA遺伝子の塩基配列が配列番号2である四日熱マラリア原虫を提供する。
【0012】
この出願の発明はまた、配列番号1の塩基配列からなる精製ポリヌクレオチドと、配列番号2の塩基配列からなる精製ポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
さらにこの発明は、前記の精製ポリヌクレオチドのそれぞれにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供する。そしてこのオリゴヌクレオチドは、標識物質を結合したものであることを好ましい態様としている。
【0014】
この発明はさらに、前記の精製ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを備えたマイクロアレイ(DNAチップ)を提供する。
【0015】
さらにまた、この出願の発明は、前記2種類の四日熱マラリア原虫に対する抗体を提供する。
【0016】
この発明は、さらにまた、被検試料における前記四日熱マラリア原虫の存在を検出することを特徴とするマラリア診断方法を提供する。
【0017】
この発明において、「SSU rRNA遺伝子」とは、四日熱マラリア原虫のリボソーム構成要素の一つである小サブユニットrRNA(SSU rRNAまたは18S rRNA)の遺伝子である。また、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」とは、それぞれ長鎖および単鎖のヌクレオチド鎖(DNA鎖またはRNA鎖)であり、ポリヌクレオチドが100bp以上、オリゴヌクレオチドが100bp未満を一応の基準とするが、例外も存在する。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の新型四日熱マラリア原虫(以下、「新型1株」および「新型2株」と記載することがある)は、前記のとおり、それぞれSSU rRNAが配列番号1および配列番号2の塩基配列を有している。これら新型1株および新型2株のSSU rRNA遺伝子の塩基配列は、公知の四日熱マラリア原虫Uganda-1株(Mol. Biochem. Parasitol. 45:281-299, 1991; GenBank Accession No. M54897)をはじめ、Greek株、LSTMH株およびPNG(Papua New Guinea)株のそれぞれのSSU rRNA遺伝子配列とは幾つかの塩基が異なっている(図1)。
【0019】
これらの新型1株および新型2株の四日熱マラリア原虫は、例えば、マラリア感染患者の血液等から公知の手段によって候補菌体を単離し、この菌体から公知のフェノール:クロロフォルム抽出法等によって染色体DNAを単離し、この染色体DNAのSSU rRNA遺伝子領域の塩基配列を決定し、その配列が新型1株の配列(配列番号1)または新型2株の配列(配列番号2)である候補菌体を、この発明の四日熱マラリア原虫新型1株または新型2株として特定することによって、取得することができる。また、候補菌体のSSU rRNA遺伝子配列が配列番号1または配列番号2と同一であるか否かは、この発明によって提供されるオリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーション法、あるいはこの発明によって提供されるオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いたPCR(Polymerase Chain Reaction)法によっても確認することができる。
【0020】
この発明の精製ポリヌクレオチドは、前記の四日熱マラリア原虫新型1株および新型2株のそれぞれのSSU rRNA遺伝子配列から単離精製されたポリヌクレオチド(DNA鎖およびRNA鎖)であり、その1本鎖形態とその相補鎖、およびそれらが対合した2本鎖形態が含まれる。このような精製ポリヌクレオチドは、例えば、前記の新型1株または新型2株から抽出した染色体DNAを鋳型として、この発明によって提供されるオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いたPCR法等の公知の手段によって取得することができる。得られた精製ポリヌクレオチドは、例えば、PCR法、NASBN(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription-mediated amplification)法およびSDA(Strand Displacement Amplification)法などの通常行われる遺伝子増幅法により増幅して使用することができる。
【0021】
この発明のオリゴヌクレオチドは、具体的には、前記の精製ポリヌクレオチドをスクリーニングする場合等に使用するオリゴヌクレオチドプローブ、または前記の精製ポリヌクレオチドをPCR増幅する際に使用するオリゴヌクレオチドプライマーセット等である。
【0022】
この発明のオリゴヌクレオチドプライマーセットは、前記の精製ポリヌクレオチドをPCR増幅するための少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのセットである。そしてこのプライマーセットは、新型1株および新型2株のSSU rRNA遺伝子をそれぞれ別個にPCR増幅するととも、新型1株および新型2株と他のマラリア原虫株のSSU rRNA遺伝子配列の異なる配列領域をそれぞれ別個にPCR増幅することのできるプライマーセットであることが好ましい。さらには、他の四日熱マラリア原虫(Uganda-1株、Greek株、LSTMH株およびPapua New Guinea株)のそれぞれのSSU rRNA遺伝子配列の異なる配列領域を別個にPCR増幅することのできるプライマーセットであることが特に好ましい。そのうような配列領域は、例えば図1に示した塩基置換等を参考にして、適宜に選択することができる。
【0023】
プライマーセットは、配列番号1および2と、他のマラリア原虫SSU rRNA遺伝子配列のそれぞれの塩基配列に基づき設計し、合成・精製の各工程を経て調製することができる。なお、プライマー設計の留意点として、例えば以下を指摘することができる。プライマーのサイズ(塩基数)は、鋳型DNAとの間の特異的なアニーリングを満足させることを考慮し、15-40塩基、望ましくは15-30塩基である。ただし、LA(long accurate)PCRを行う場合には、少なくとも30塩基が効果的である。センス鎖(5'末端側)とアンチセンス鎖(3'末端側)からなる1対(2本)のプライマーが互いにアニールしないよう、両プライマー間の相補的配列を避けると共に、プライマー内のヘアピン構造の形成を防止するため自己相補配列をも避けるようにする。さらに、鋳型DNAとの安定な結合を確保するためGC含量を約50%にし、プライマー内においてGC-richあるいはAT-richが偏在しないようにする。アニーリング温度はTm(melting temperature)に依存するので、特異性の高いPCR産物を得るため、Tm値が55-65℃で互いに近似したプライマーを選定する。また、PCRにおけるプライマー使用の最終濃度が約0.1〜約1μMになるよう調整する等を留意すうことも必要である。また、プライマー設計用の市販のソフトウェア、例えばOligoTM[National Bioscience Inc.(米国)製]、GENETYX[ソフトウェア開発(株)(日本)製]等を用いることもできる。
【0024】
また、オリゴヌクレオチドプローブは、前記の精製ポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA断片またはRNA断片である。例えば、配列番号1または2の塩基配列の一部領域に相補的な連続10〜99塩基のDNA断片等である。ここで、ストリンジェント条件とは、前記の遺伝子またはポリヌクレオチドプローブとの特異的なハイブリッド形成を可能とする条件であり、ハイブリダイゼーションおよび洗浄工程における塩濃度、有機溶媒(ホルムアミド等)の濃度、温度条件によって規定される。詳しくは、米国特許No. 6,100,037等に詳しく規定されている。そしてこのオリゴヌクレオチドプローブは、新型1株および新型2株のSSU rRNA遺伝子の異なる配列領域にそれぞれハイブリダイズするととも、新型1株および新型2株と他のマラリア原虫株のSSU rRNA遺伝子配列の異なる配列領域にそれぞれ別個にハイブリダイズすることが好ましい。さらには、他の四日熱マラリア原虫(Uganda-1株、Greek株、LSTMH株およびPapua New Guinea株)のそれぞれのSSU rRNA遺伝子配列の異なる配列領域に特異的にハイブリダイズするものであることが特に好ましい。なお、公知の四日熱マラリア原虫Uganda-1株およびPapua New Guinea株、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵型熱マラリア原虫のそれぞれの配列の一部は図2に示したとおりであり、この図2の小文字で示した塩基配列からなるプローブが既に公知である。従って、この発明のプローブは、この図2に示した公知プローブとは異なる配列領域から適宜に選択して設計することができる。
【0025】
さらに、この発明のオリゴヌクレオチド(プローブまたはプライマー)は、公知の方法によって標識物質を結合させることもできる。このような標識物質をプローブまたはプライマーに結合することによって、プローブがハイブリダイズしたポリヌクレオチドの有無、またはプライマーによってPCR増幅したポリヌクレオチドの有無を、標識シグナルの検出によって容易に判定することが可能となる。標識物質としては非放射性物質および放射放射性物質を使用することができるが、非放射性物質による標識が好ましい。非放射性物質としては、直接測定可能なものとして、蛍光物質[フルオレセインおよびその誘導体(フルオレセインイソチオシアネート等)、ローダミンおよびその誘導体(テトラメチルローダミンイソチオシアネート、テキサスレッド等)]、化学発光物質(アクリジン等)、遅延蛍光物質(DTTA等)などを使用することができる。また、標識物質と特異的に結合する物質を介して、間接的に標識シグナルを検出することもできる。このような場合の標識物質としては、ビオチンやハプテン等を例示することができ、ビオチンの場合にはこれに特異的に結合するアビジンまたはストレプトアビジンが、が、ハプテンの場合は抗ハプテン抗体等が利用できる。ハプテンとしては2,4-ジニトロフェニル基を有する化合物等を使用することができ、さらにはビオチンや蛍光物質等もハプテンとして利用することができる。また、プライマーの場合には、緑色蛍光タンパク質(GFP)等をコードするポリヌクレオチドを結合するようにしてもよい。
【0026】
この発明のマイクロアレイ(DNAチップ)は、前記の精製ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを基盤上に直接合成したものであってもよく、あるいはヌクレオチドが結合するような素材でコーティングした基盤上にオリゴヌクレオチドをスポットしたものであってもよい。また、このマイクロアレイは、他のマラリア原虫由来のプローブを備えていることが好ましい。
【0027】
この発明の抗体は、四日熱マラリア原虫新型1株または新型2株を認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり、それぞれの菌株と特異的に認識する全体分子、およびFab、F(ab')2、Fv断片等が全て含まれる。このような抗体は、前記菌株を抗原として動物を免役した後、血清から得ることができる。あるいは、上記の精製ポリヌクレオチドを注射や遺伝子銃によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによって作製することができる。動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用いられる。免疫した動物の脾臓から採取したB細胞をミエロ−マと融合させてハイブリド−マを作製すれば、モノクロ−ナル抗体を産生することができる。
【0028】
この発明のマラリア診断方法は、被検試料における四日熱マラリア原虫新型1株および新型2株の存在を検出することを特徴とする。被検試料は、マラリア感染者または患者、あるいはマラリア感染のハイリスク地域の住人から得られる血液等の生体試料である。
【0029】
被検試料中の標的マラリア原虫の検出は、例えば、血液から血清成分、血球成分を除去して原虫菌体を単離し、この菌体から公知の手段で染色体DNAを抽出し、このDNAを対象として、前記のプローブを用いたハイブリダイゼーション法によって実施することができる。標識DNAプローブを用いたハイブリダイゼーション法としては、具体的には、例えばAllele-specific Oligonucleotide Probe法、Oligonucleotide Ligation Assay法、Invader法等の公知の方法を採用することができる。
【0030】
また、染色体DNAをテンプレートとし、前記のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、PCR産物の塩基配列を配列番号1または2、もしくはそれらの一部配列と比較判定することによって診断を行うことができる。さらに、このような判定は、PCR産物を直接シークエンシングする方法の他に、例えばPCR-SSCP法、PCR-CFLP法、PCR-PHFA法等を行ってもよい。また、Rolling Circle Amplification法、Primer Oligo Base Extension法の公知の方法を採用することもできる。
【0031】
さらにまた、被検試料から単離した染色体DNAまたはその断片を標識し、これを前記のマイクロアレイに適用して、標識化した被験サンプルDNAと基盤上のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの有無を指標として、被験サンプルDNAの型を判定するようにしてもよい。
【0032】
また、この発明の診断方法は、前記の抗体を用いて、間接蛍光抗体法やELIZA法等の公知の方法によって実施することもできる。
【0033】
以下、この発明の新型1株および新型2株を同定した研究の経緯について詳しく説明する。また、以下の研究において実施したPCR法等はこの発明のオリゴヌクレオチドプライマーの一実施例を示すものであるが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
1:材料と方法
1-1:研究地域
ミャンマーでのマラリアフィールド調査は、1998年9月から2000年2月までの期間、Dawei(Tanintharyi管区、南ミャンマー)、Myithyina(Kachin州、北部)、TachilekおよびMuse(Shan州、北東部)、ThatonおよびKyaikto(Mon州、南部)、Pyin Oo Lwin(Mandalay管区、中央部)、およびThan Dwe(Rakhine州、西部)の各地域で行った。インフォームドコンセントは全患者から取得した。
1-2:アクリジンオレンジ(AO)染色による現場診断
単一の指穿刺により薄層および濃厚塗末標本を作製し、AO法(Kawamoto, 1991, Lancet 337: 200-202; Kawamoto and Billingsley, 1992, Parasitology Today 8: 69-71)を用いて検査を行った。AO染色後の薄層塗末標本の検査は、400倍の拡大率で、光学顕微鏡およびハロゲン灯(MDM-K-DC; Tokyo Optics社)にAO染料励起のための干渉フィルタを装備したものを用いて行った。6歳以上のマラリア陽性患者から静脈血を2-3ml採血した。凝固血またはヘパリン添加血は、追加の薄層および濃厚塗末標本と共に、冷却状態で日本に送付した。
1-3:マラリア原虫DNAの単離
原虫DNAテンプレートの調製はメタノール固定濃厚塗末標本から公知の方法(Kawamoto et al., 1996, Journal of Clinical Microbiology 34: 2287-2289; Liu et al., 1998, Journal of Clinical Microbiology 36: 3378-3381; Zhou et al., 1998, Tropical Medicine and International Health 3: 304-312)に従い、また血液からDNA単離キット(High Pure PCR Templete Preparation Kit, Boeringer Mannheim GmBH社)を用いて行った。
1-4:フルネステッドPCRおよびマイクロタイタープレートハイブリダイゼーション(MPH)を用いた分子診断
セミネステッドPCR法を修正したフルネステッドPCR診断(Kimura et al., 1997, Parasitology International 46: 91-95)を、SSU rRNA遺伝子のブロック9領域(Qari et al., 1994, Gene 150: 43-49)をターゲットにしたユニバーサルプライマのP1F-UpおよびP1R(図2参照)を用いて行った。PCR増幅は、AmpliTaq gold polymerase(PE Applied Biosystems社)を用いて、96℃10分、94℃30秒で36サイクル、55℃30秒および72℃60秒、次に最終伸張として72℃8分の条件で行った。PCR産物を2.5%アガロースゲル上で電気泳動して、増幅を確認した。
【0034】
一次PCR産物をTE緩衝液中で1:100に希釈し、これをテンプレートとして用いて二次PCRによる種別診断を行った。二次PCRでは、4個の種(PrnR、PfR、PvRおよびPoR2;図3の囲み箱部分)に関して用意した種特異的な3'プライマをP1Fと組み合わせて用いた。PoR2は文献方法(Kimura et al., 1997, Parasitology International 46: 91-95)を修正したものを使用した。二次PCRは、AmpliTaq gold polymeraseを用いて以下のサイクルパラメータにより行った:94℃10分、94℃30秒で21サイクル、55℃30秒および72℃60秒、次に最終伸張として72℃8分。すべての実験で水を用いたネガティブコントロールをサンプルと共に走らせた。擬陽性または交叉反応は、4種類のヒトマラリア種を含み、存在しなかった。
【0035】
MPH診断(Kawamoto et al, 1996, Journal of Clinical Microbiology 34: 2287-2289; Liu et al., 1998, Journal of Clinical Microbiology 36: 3378-3381; Kawamoto et al., 1999, Parasitology Today 15: 442-426)において、PCRの実施は5'-ビオチン化プライマー、MPH-1およびMPH-2(図3参照)を用い、ネステッドPCR診断における初期PCR反応と同一条件で行った。次にPCR産物を55℃1時間の条件で、マイクロタイタープレート(PCR-MPH plate, Wakunaga Pharmaceutical社)ウェルに固定化した4種類の種特異的プローブ(図3の小文字部分を参照;Pf, 5'-GTC ACC TCG AAA GAT GAC TT-3'; Pv, 5'-TAA ACT CCG AAG AGA AAA TTC-3'; Pm, 5'-ACT CAT ATA TAA GAA TGT CTC-3'; Po, 5'-AAT TTC CCC GAA AGG AAT TTT C-3')およびPlasmodium属に対する一般的プローブ(5'-CGG CAT AGT TTA TGG TTA AG-3')に対するハイブリダイゼーションを行い、これを用いてアルカリホスファターゼ共役ストレプトアビジン系による比色アッセイを行った。A405nm測定はマイクロプレートリーダー(MPR-A4; Tosyo社)を用いて行った。
1-5:二つのPCR分析の標的領域およびSSU rRNA遺伝子の全配列分析
ネステッドPCR法によりP. malariae陽性と診断されたサンプル15個の標的シーケンスを分析した。P1Fおよび特異的リバース(PmR)プライマーを用いた増幅DNA産物をTA clining system(Invitrogen社)のプラスミドpCRII中にクローニングした。各サンプルの陽性クローン5個中の標的フラグメントのシーケンス分析は、両方のDNA鎖について、ABI310 Sequencerを用いたBig-dye Terminator Sequencing kit(PE Applied Biosystems社)を用いて行った。
【0036】
全シーケンス分析には、P. malariae様原虫による単一感染のみのサンプル6個を用いた。PCR増幅の実施は96℃10分、94℃30秒で36サイクル、55℃60秒および72℃60秒、次に最終伸張として72℃10分の条件で行った。使用プライマは次のとおり:18S F(5'-AAC CTG GTT GAT CTT GCC AGT AGT-3')、18S F1(5'-CGA TTC CGG AGA GGG AGC CTG-3')、および18S F2(5'-GGT AAT TCC AGC TCC AAT AG-3')、P1F-Up、PmR、18S F3(5'-TGG ATG GTG ATG CAT GGC CCG T-3')および18S R(5'-TAA TGA CCT TCC GCA GGT TCA CC-3')。PCR産物はpCRIIプラスミド中にクローニングし、各サンプルのクローン5個について、ABI377 Sequencerを用いて両方のDNA鎖のシーケンス分析を行った。
【0037】
得られたシーケンスを、データベースに報告されている以下のシーケンスと比較した:すなわち、P. malariae Uganda-1/CDCの全シーケンス(M54897; Goman et al., 1991, Molecular and Biochemical Parasitology 45: 281-288)、ギリシア由来(AF014942; Vinetz et al., 1998, The New England Journal of Medicine 338: 367-371)、パプア・ニューギニア(PNG; AF145336; Mehlotra et al., 2000, American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 62: 225-231)由来および起源不明(London Sch. Trop. Med. Hyg株; U78741; Li et al., 1995, Experimental Parasitology 81: 182-190)の単離体の部分シーケンス、ならびにP. brasilianum(AF130735; Fandeur et al., 2000, Parasitology 120: 11-21)、およびP. falciparum(M19172; McCutchan et al., 1988, Molecular and Biochemical Parasitology 28: 63-68)、P. vivax(X13926; Qari, Goldman et al., 1994, Gene 150: 43-49)およびP. ovale(L48987; Qari et al., 1996, Molecular Phylogenetic Evolution 6: 157-165)のA遺伝子の全シーケンス。
1-6:CS遺伝子のシーケンス分析
CS(スポロゾイト周辺タンパク質)遺伝子の分析はプライマーセットとしてPmCS F(5'-ATG AAG AAG TTA TCT GTC TTA-3')、PmCS F1(5'-GCT GTT GAA AAT AAA TTG AA-3')、PmCS F2(5'-AAT AAA AGG ACA ATC AGG G-3')、PmCS F3(5'-AAA GTG GAT GCA AAT ACG AA-3')、PmCS R(5'-TGA AAG AGT ATT AAG ACT AA-3')およびPmCS R2(5'-TTC GTA TTT GCA TCC ACT TT-3')を用い、96℃10分、94℃30秒で36サイクル、50℃60秒および72℃60秒、次に最終伸張として72℃10分の条件下で行った。PCR産物はpCRIIプラスミド中にクローニングし、8個の各サンプルのクローン5個について、ABI377 Sequencerを用いて両方のDNA鎖のシーケンス分析を行った。
【0038】
得られたシーケンスを、データベースに報告されている以下のシーケンスと比較した。すなわちUganda-1/CDC(J03992; Lal, de la Crutz, Campbell et al., 1988, Molecular and Biochemical Parasitology 30: 291-294)、China-1/CDC(U09766l Qari, Collins et al., 1994, American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 50: 45-51)、カメルーンおよびコートジボワール(AJ001523-26およびAJ002576-83; Tahar et al., 1998, Molecular and Biochemical Parasitology 92: 71-78)のP. malariae単離体、およびP. brasilianum(J03203; Lal, de la Cruz, Collins et al., 1988, Experimental Parasitology 81: 182-190)。
2:結果
2-1:形態学的知見
合計3,294例のボランティアを調査し、マラリア原虫がそのうち1,416例から検出された。1998年9月のマラリア調査時に、この出願の発明者はP. malariae様原虫の特異形態をDaweiの患者3例(DW166, 187, 330)およびMyitkyinaの患者9例(MK101, 112, 140, 169, 180, 196, 214, 301, 470)に見いだした。全事例の原虫形態学的特徴のうち最も顕著なものは、初期トロフォゾイト段階での核および細胞質の特異的形態であった。これらはAおよびBの二つの形態学的タイプにグループ分けが可能であった。
【0039】
A型(図4A)の核はほとんどが棒状または点状の形態をとり、2-3個のフラグメントに分割されている(図4、A2)。細胞質は密であり、典型的なP. malariaeのリングより幾分大きい(図4、A2-3)。4例のヒトマラリア種に観察されるような典型的なリング形態は見いだせない。感染した赤血球細胞の拡大は見られない。ギムザ染色により(図4、A3)、同様な上記の形態学的特性が確認された。Schuffner斑点は全く観察されない。総じて、A型の寄生虫は形態学的にEmin(1914, Bulletin de la Societe de Pathologie Exotique 7: 385-387)の報告したP. v. v. minuta(図4、A1)に非常に類似している。
【0040】
対照的に、B型の初期トロフォゾイト(図4B)の細胞質は非常に薄く、アメーバ状で非定形である。染色質は一般的に棒状、桿状、または湾曲状であり(図4、B2)、ほとんど点状にならない。多くのマラリア原虫で、染色質はやはり二つのフラグメントに分割されている。感染した赤血球細胞の拡大は見られず、Schffner斑点はギムザ染色によって全く観察されない(図4、B3)。従ってこの型はStephens(1914, Proceedings of the Royal Society of London (Series B) 87: 375-377; 1915, Annals of Tropical Medicine and Parasitology 9: 169-172)により報告されたP. tenue(図4、B1)に類似している。
【0041】
これらの初期知見に続き、同様なP. malariae様原虫の特異的形態に感染した追加事例34例を1998年11月から2000年2月までの期間に検出した。これらの事例はミャンマーの全域、すなわちMandalay管区(KM141, MM277, M18, 24, 29, 37, 43, 74, 117, 123, 133, 138, 145, 151, 163, 168, 180, 183, 196, 199, 328, 333, 359, 369)、Thaton(TA138)、Dawei(DW199, 200)、Muse(MS1)およびThan Dwe(TD60, 120, 145, 195, 205, 234)において発見された。このうちいくつかの事例では1個の赤血球中に2個のマラリア原虫感染を観察したが(図4、A4、B4)、これは通常のP. malariae感染とは異なる特徴であり、しかしながらEmin(1914)およびStephens(1914, 1915; 図4、B1参照)による報告に類似している。顕微鏡的には46例中5例(DW166, MK140, KM141, M18, TD60)がP. malariae様原虫に単独感染しているようであった。典型的なP. malariaeバンド形態、シゾントおよび/あるいはガメトシストがこれらの塗末標本においても観察され、この事実から、この特異的形態を持つ原虫がP. malariae群に属している可能性、および早期トロフォゾイト段階のみ典型的なP. malariaeの形態学と異なっている可能性が示唆される。P. falciparumおよび/またはP. vivaxを用いた混合感染では、P. falciparumおよびP. vivax原虫は共に正常な形態学的特性を示した(未発表データ)。
2-2:PCR診断
P. malariae様原虫に対する感染が疑われた46個のサンプルは全て、フルネステッドPCR診断によりP. malariae陽性であることが確認された。9例(DW166, 330, MK140, 180, KM141, M18, TD60, 195, 234)がP. malariae単独感染であったが、他の37例はP. falciparum、P. vivax、P. ovale、またはこれらの組み合わせにより同時感染していた。単独感染は従来のP. malariae感染と比較して新しいタイプの方により頻繁にみられた。46例中の28例について、ネステッドPCR産物を用いて2.5%アガロースゲル上でゲル電気泳動を行ったが、その結果他のP. malariae陽性サンプルと比較して4-5bp短い断片が現れた。さらに3個のサンプル(DW330, MK140, MK470)には異なるサイズのバンドが2個存在し、1個は正常で1個は短かった。これらの結果は4%長アガロースゲル上で確定された。
【0042】
ヒトマラリア4種に対する他のPCR診断、すなわちマイクロタイタープレートハイブリダイゼーション(MPH)アッセイでは、比較的短いPCR産物を有するサンプル28個のみが全てP. malariae陰性であった。これらのうち3個のサンプル(DW166, MK180, KM141)はヒトマラリア4種のプローブとの間にハイブリダイゼーションを生じず、Plasmodium属の一般プローブのみに反応した。他の18個のサンプル(DW166, MK140およびMK470を含む)はP. malariaeに対してMPH陽性であった。これらの結果から、28個のサンプルにはMPH診断に用いるプローブ領域においてシーケンス変異が存在することが示唆された。
2-3:2種のPCR診断を用いた標的領域におけるPCR産物のシーケンス分析
PCR診断に用いる標的領域のシーケンス分析を、P. malariae様原虫単独感染者のサンプル9個を用いて行ったが、うち3個はゲル電気泳動により2個の異なるサイズのバンドを生じたもの、他の3個はランダムに選んだサンプルを用いた。全サンプルで両方のDNA鎖から得たシーケンスは、各サンプル中5クローンにおいて同一であり、2種のシーケンス型が見いだされた(図3)。1型は全てMPH陰性サンプルに由来し(N=5, DW166, 187, MK180, KM141, TD145)、P. malariae Uganda-1株配列のプローブ領域に4bpの欠失(TTAT)がある。2型は全てMPH陽性サンプルに由来し(N=7, TA138, M18, TD60, 120, 195, 205, 234)、同様にUganda-1のものとは異なるシーケンスを持ち、プローブ領域に1塩基分の置換(ATAT)がみられる。4bpの欠失は、発明者らが以前ベトナムにおける調査(Kimura et al., 1997, Parasitology International 46: 91-95)で検出したP. malariae単離体に見られるものと同一であり、一方、他のシーケンス変異は他のベトナム由来の単離体(SB61)、パプア・ニューギニア由来の単離体の一つ、そしてP. brasilianumにみられるものと同一であることが分かった(図3)。DW330、MK140およびMK470は1型および2型のシーケンスを両方とも含んでおり、このために、これらのサンプルではゲル電気泳動上で2個の異なるサイズのバンドが現れていると考えられる。以上の結果から、これらのマラリア原虫は分子レベルで、既知のP. falciparumやP. vivaxの形態や単離体とは無関係であることが明確に確認された。形態学関連では、1型配列はA型原虫(P. v. v. minuta様)の使用事例で現れ、一方2型配列はB型原虫(P. tenue様)の使用事例に現れる。以下では、1型(A型)および2型(B型)を、それぞれP. minuta様およびP. tenue様原虫と記載する。
2-4:SSU rRNA遺伝子の配列分析
SSU rRNA遺伝子の全配列分析を、単独感染のサンプル6個について行った(P. minuta様:DW166, MK180, KM141;P. tenue様:M18, TD195, 234)。両方のDNA鎖に対する配列分析は、各サンプル中の6クローンにおいて同一であり、これらの原虫がP. malariae群に属することを再確認した(図1)。P. minutaおよびP. tenue様原虫の間では、それぞれの配列において互いに相違しているのはわずか2個の領域(合計5bp)のみである。Uganda-1配列と比較すると、それぞれ27および28個の領域が異なる。しかしながらこれらの領域のうち12個が、他の3種において保存的または半保存的であり、このためUganda-1のオリジナル配列が誤読されている可能性が示唆される。P. malariae特異的配列において、新型は図1に示す位置で他の3種のP. malariae単離体およびP. brasilianumのいずれとも異なっている。総合すると、2例のPCR診断時において標的領域(第9ブロック)を含むP. malariae(Uganda-1およびパプア・ニューギニア単離体)およびP. brasilianumに対する報告配列に関して、P. minuta様原虫には他と異なる4bpの欠失(TTAT)があり、P. tenue様原虫はP. brasilianumに対してP. malariaeパプア・ニューギニア(7bpの差異)またはUganda-1単離体より近い関係にある。
2-5:CS遺伝子の分析
P. malariae(Lal, de la Cruz, Campbell et al., 1988; Qari, Collins et al., 1994; Tahar et al., 1998)およびP. brasilianum(Lal, de la Cruz, Collins et al., 1988)のCS遺伝子は、3つの領域、すなわち反復前領域、4個のアミノ酸(NDAG/NAAGおよびChina-1ではNEDGが1コピー)の49-61回の反復領域、および反復後領域により構成されている。CS遺伝子の分析のために8個のサンプルを選んだが、うち5個は単独感染(DW166, MK180, TD60, 195, 234)、3個はP. vivaxとの同時感染(TD120, 145, 205)によるものであった。
【0043】
反復前領域において被験サンプルはUganda-1、China-1およびサハラ以南の単離体のものと同一であった。しかし反復領域の開始部が異なっており、DW166およびMK180(共にP. minuta様原虫)ではNDEG NDAG NDAG(China-1およびP. brasilianum)、TD145(P. minuta様原虫)ではNDAG NDAG NDAG(Uganda-1およびカメルーン産の単離体6個)、そしてTD60、120、195、205、234(全てP. tenue様原虫)ではNDAG NDAG NAAG(カメルーン産の単離体6個およびコートジボワール産単離体)であった。
【0044】
反復領域では、P. malariae単離体およびP. brasilianumにおいて報告されたような反復長に関する多形現象も観察された(図5)。3個のサンプル(DW166, MK180, TD145、全てP. minuta様原虫)にUganda-1と同一の51個の反復ユニットが存在したが、5個のサンプル(TD60, 120, 195, 205, 234、全てtenue様原虫)のシーケンス長は96、108および132bpほど長くなっていた(それぞれ59、60および62回反復)。
【0045】
反復後領域ではそれぞれの新型株に同一シーケンスが存在し、2個の非沈黙核酸変異がみられた。335番アミノ酸において、Uganda-1およびP. brasilianumにみられるEがGに変異しているが、これはChina-1およびカメルーン402に観察されている。382番アミノ酸においてはUganda-1でのGがDに変化しており、これはその他多数のP. malariae単離体およびP. brasilianumにおいて報告されているものと同じである。
【0046】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、全く新しい型の四日熱マラリア原虫2株が、それぞれのSSU rRNA配列とともに提供される。これによって、DNA診断等によるマラリア診断の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0047】
【配列表】
Figure 0003828022
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【図面の簡単な説明】
【図1】 Plasmodium malariae(Pm)、P. brasilianum(Pb)、2種類の新型、および4種類のヒトマラリア種のSSU rRNA遺伝子における異なる配列。ヌクレオチドの数はUganda-1配列内の位置を示す。太字はそれぞれの種において異なるヌクレオチドを示す。P. malariae単離体にはUganda-1、ギリシア、London Sch. Trop. Med. Hyg株(LSTMH)、およびパプア・ニューギニア(PNG)を含む。Pf; P. falciparum; Pv, P. vivax; Po, P. ovale。
【図2】四日熱マラリア原虫の公知配列と、日本で市販されているヒトマラリア診断用プローブ配列(小文字部分)。
【図3】ネステッドPCRおよびMPH診断に用いたSSU rRNA遺伝子の標的配列。配列はPlasmodium malariae(Pm)Uganda-1株のシーケンスならびにパプア・ニューギニア(PNG)株およびP. brasilianum(Pb)の部分シーケンスと共に示した。新型1および新型2はP. v. v. minuta様およびP. tenue様原虫に対応する2種類の新しいタイプを示す。SB41およびSB61はベトナム由来の株である(Kawamoto et al., 1996, Journal of Clinical Microbiology 34: 2287-2289; Kimura et al., 1997, Parasitology International 46: 91-95)。ボックスで囲まれた配列はネステッドPCRに用いた種特異的な3'-プライマー(PmR, PfR, PvRおよびPoR2)の標的である。小文字部分はMPH診断に用いるPlasmodiumの一般的プローブと同様に種特異的なプローブ領域を示す。Pf; P. falciparum; Pv, P. vivax; Po, P. ovale。
【図4】 EminおよびStephensの原虫ならびにA型(Plasmodium vivax, variety minuta様)およびB型(P. tenue様)原虫の初期トロフォゾイトをアクリジンオレンジ(AO)およびギムザ染色により観察したもの。バーは6μMを示す。A1:P. v. v. minutaの初期トロフォゾイト、Eminによる描画(1914)。A2:A型原虫(DW166)のAO染色;折り込みは非常に初期のトロフォゾイト(MK180)。A3:A型原虫(DW166)のギムザ染色。A4:赤血球内の2個のA型原虫(KM141)のAO染色。B1: P. tenueの初期トロフォゾイト、Stephensによる描画(1914)。B2-3: B型原虫(それぞれDW330およびMK214)のAOおよびギムザ染色。B4: 赤血球内の2個のB型原虫(M29)のAO染色。
【図5】新型四日熱マラリア原虫でのCS遺伝子反復領域における反復長に関する多形現象。TD60および120(共にP. tenue様原虫)のPCR産物は、TD145、DW166およびMK180(全てP. minuta様原虫)のものと比べて長い配列を示す。

Claims (4)

  1. 四日熱マラリア原虫のSSU rRNA遺伝子に由来し、配列番号1の塩基配列からなる精製ポリヌクレオチド。
  2. 四日熱マラリア原虫のSSU rRNA遺伝子に由来し、配列番号2の塩基配列からなる精製ポリヌクレオチド。
  3. 配列番号1または2の塩基配列のうち、該配列に特異的にハイブリダイズする塩基配列からなるプローブを備えたマイクロアレイ。
  4. 被験者から採取した被検試料において、SSU rRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1または2である四日熱マラリア原虫の存在を検出することを特徴とするマラリア検出方法。
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