JP3827928B2 - 機械部品の監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、転がり軸受や、等速ジョイント、ボールねじ等の転動体を有する機械部品を多数備える機械設備、例えば製鉄設備や製紙設備等において、上記機械部品の異常,寿命等の状態を監視する機械部品の監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄設備や製紙設備等では、多数のロールが使用され、これらの支持にロール支持軸受が使用されている。このようなロール支持軸受、特に連続鋳造設備の圧延ロール支持軸受は、負荷荷重が大きく、高温下で使用されるなど、使用条件が厳しく、また軸受異常による設備の突発停止は多大な損失を招くため、例えば数ケ月毎に定期交換されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、定期交換時に、安全を見込んで、まだ十分に寿命のある軸受を交換することになるため、不経済な軸受の使用となり、設備の保守コストが高くなっている。軸受の寿命状況を正確に知ることができれば、軸受の定期交換の期間を長くすることができるため、軸受の寿命状況を振動センサ等を用いて監視することも行われているが、軸受の使用個数が多いため、監視に多大な手間とコストが必要となる。
【0004】
この発明の目的は、転動体を有する機械部品の異常,寿命等の状態の監視が、簡単な構成で行えて、低コストで済み、また監視が精度良く、かつ効率的に行える機械部品の監視システムを提供することである。
この発明の他の目的は、比較的簡単に欠陥信号が抽出できて、波形異常の判定が容易に、かつ精度良く行えるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、判定器により、複数接続されたセンサのセンサ波形の波形処理結果および判定結果と、波形処理前のセンサ波形とを、任意時に取り出すことができるものとすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の監視システムは、転動体を有する機械部品を複数備えた機械設備における機械部品の監視システムであって、それぞれ複数のセンサが接続された複数の判定器を、互いに共通の制御手段に接続してなる。上記各センサは、上記各機械部品に設置されて機械部品に生じる転動体の通過による影響信号を、転動体に非接触で検出するものとする。上記各判定器は、接続された各センサの出力信号から、そのセンサに対応する機械部品の異常,寿命等の状態を処理設定条件に従って判定するものとする。上記制御手段は、各判定器の判定結果を収集するものとする。上記機械部品は、転がり軸受、等速ジョイント、またはボールねじである。
この構成によると、機械部品に生じる転動体の通過による影響信号が、その機械部品に設置されたセンサによって検出される。上記影響信号は、転動体の通過によって機械部品に生じる何らかの信号であり、例えば機械部品の所定部位に生じる歪み、荷重変化、振動等である。この影響信号は、機械部品に欠陥がある場合、その欠陥による信号成分を含んでいる。上記判定器は、このような欠陥信号成分を含む転動体の通過による影響信号から、機械部品の異常,寿命等の状態を処理設定条件に従って判定する。その判定結果は、制御手段で収集される。このように、各機械部品の状態がわかるため、余裕期間を余分に長く取ることが不要で、機械設備における定期交換の周期を長くすることができ、また万一の機械部品に異常の兆候がある場合は、機械停止等に至る前に異常を検出して対処することができる。
判定器は、複数のセンサが接続されて、各センサに対応する機械部品の判定を行うものであるため、少ない判定器個数で、多数の機械部品の判定が行える。上記機械設備における上記各機械部品が互いに同様な仕様のものである場合は、判定器は各センサの信号について、同様な処理設定条件で判定が行える。また、このような複数のセンサが接続された判定器が、共通の制御手段に複数台接続され、各判定器の判定結果が収集されるため、非常に多数のセンサの判定結果が1台の制御手段に収集されることになる。そのため、例えば、機械部品を非常に多数備える機械設備につき、1台の制御手段で各機械部品の監視が集中して行え、効率的に監視が行える。1台の判定器にあまり多くのセンサを接続すると、判定器に非常に高速の処理能力を持つものが必要となるうえ、大がかりな機械設備では、センサと判定器間の配線が長くなり、センサ信号の伝達に不都合が生じるが、この発明では、複数のセンサが接続される判定器を複数設け、複数の判定器を共通の制御手段に接続するため、判定器に高機能のものが要求されず、またセンサ信号の伝達にも信号劣化の不都合が生じない。そのため、簡単な構成の安価なシステムで、精度の良い判定が行える。なお、上記センサは、転動体の通過信号に欠陥信号が表れる影響信号を検出できるものであれば、何でも良い。センサは、機械部品に直接に接して設置することにより、上記のような欠陥信号成分を含む転動体の通過信号が得られる。
【0006】
上記判定器は、上記判定の処理として、センサの出力信号であるセンサ波形の異常有無を判定する機能を有するものとする。すなわち、判定器は、接続されたセンサの検出信号を処理設定条件に従って処理し、波形の異常有無を判定する。この波形の異常有無により、機械部品の異常,寿命等の状態が判定される。
【0007】
この場合に、上記判定器は、センサ波形に含まれる欠陥信号成分が規定範囲を外れたか否かを判定し、規定範囲を外れた場合に、上記センサ波形の異常として、欠陥波形異常が有りと判定するものとしても良い。
このように、欠陥信号成分が規定範囲を外れたか否かで判定することにより、簡単な処理で判定が行える。欠陥信号成分と規定範囲との比較は、振幅について行っても、また信号幅や、欠陥信号の表れる位相等につき行っても良いが、振幅について行うと、簡単な処理で精度の良い比較が行える。上記規定範囲は、一つの範囲に限らず、段階的に複数設けても良い。規定範囲を外れたか否かの判定は、例えば規定値を超えたか否かの判定としても良い。
【0008】
上記判定器は、この判定器に接続された複数のセンサから出力されるセンサ波形の主信号周期を比較し、主信号周期が規定範囲内にない場合に、上記センサ波形の異常として、回転異常が有りと判定するものとしても良い。
センサ波形の主信号周期は、例えば軸受では、軸受の回転周期を示す。そのため、センサ波形の主信号周期の相対比較を行うことにより、一つだけ回転が遅れているような機械部品を見つけることができる。本来は同じ回転数となるべき機械部品の回転数に違いが生じていると、その機械部品は何らかの異常を有することが分かる。
この回転異常の有無判定と、上記の欠陥波形異常の有無判定とは、同じ判定器で同じセンサ波形から行える。
【0009】
上記判定器は、判定器自体に起因する異常である判定器異常と、センサ波形に起因するセンサ波形異常とを検出するものとする。センサ波形異常には、上記の欠陥波形異常と回転異常とがある。判定器異常は、例えば制御手段と判定器との間の通信異常や、判定器にパラメータで設定する処理設定条件が適切でない場合のパラメータ異常や、判定器を構成する中央処理装置の機能異常等である。このように、判定器異常の検出機能を持つことで、判定器異常に対する迅速な処置が行え、誤った判定を続けることが避けられる。
【0010】
上記制御手段は、上記各判定器に送信要求を順次行い、上記各判定器は、上記送信要求に対して上記制御手段に判定結果を送信するものとしても良い。いわゆるポーリング制御で判定結果を収集するものとする。
このように、ポーリング制御を行うことにより、複数の判定器の判定結果の収集が、制御手段によって簡単に、効率良く行える。また、判定器は、送信要求に対して応答するものであれば良く、通信機能が簡単なもので済む。
【0011】
上記制御手段は、各判定器の上記処理設定条件の設定および変更の指令を行う機能を有し、上記判定器は、上記制御手段の指令に従って上記処理設定条件の変更が自在なものとしても良い。
このように、制御手段に、判定結果の収集の他に、各判定器の処理設定条件の設定および変更の指令を行う機能を持たせることにより、複数設けられる各判定器の処理設定条件の設定および変更が容易に行える。
【0012】
上記各判定器は、それぞれ異なる波形処理手法でセンサ波形を処理する複数の波形処理手段を有し、いずれの波形処理手段を用いるかの選択が自在なものであっても良い。この場合に、上記制御手段は、各判定器の波形処理手段の選択指令を与える機能を有するものとしても良い。
機械部品の種類や、仕様、使用条件等によって、センサ波形の異常を検出するための適切な波形処理手法が異なることがある。そのため、各判定器に波形処理手法の異なる複数の波形処理手段を設けておき、制御手段からの選択指令で波形処理手段を選択することにより、種々の種類、仕様、使用条件の機械部品に対応でき、汎用性が高いものとなる。また、採用する波形処理手段の選択が容易に行える。なお、入力されたセンサ波形を、両方の波形処理手段で処理して判定を行うようにしても良い。
【0013】
上記各判定器は、それぞれ異なる波形処理手法でセンサ波形を処理する複数の波形処理手段を有し、センサ毎に任意の波形処理手段の選択が可能なものとしても良い。
機械部品の種類が違えば、センサ波形の適切な波形処理方法が異なることがある。また、各機械部品は、同じ仕様のものであっても、機械設備における設置場所によって荷重条件や熱的条件等の使用条件が異なり、このような使用条件の違いによって、センサ波形の適切な波形処理方法が異なることがある。そのため、センサ毎に任意の波形処理手段の選択を可能とすることにより、同じ判定器で各機械部品に対して適切な波形処理を行って異常等の判定を行うことができる。
なお、判定器は、波形処理手法の異なる複数の波形処理手段を有するか否かにかかわらず、センサ毎に異なる処理設定条件の設定が可能なものとすることが好ましい。
【0014】
上記判定器とセンサとを接続する配線は、防水、防塵、防錆、防湿、および防油機能、並びに耐熱性、および帯電磁ノイズ性のある被覆を有するセンサケーブルを用いることが好ましい。
連続鋳造設備等の鉄鋼設備や、その他の機械設備において、ロール支持軸受等の転動体を有する機械部品は、水や埃、蒸気、油等の多い環境下で使用されることが多く、また高温下で使用される場合もある。そのため、センサケーブルを上記のような被覆を持つものとすることで、各種の設備に対応できる。なお、判定器は、防水、防塵、防錆、防湿、および防油機能、並びに耐熱性、および帯電磁ノイズ性のあるケースに電子部品等が収まったものとすることが好ましい。
【0015】
上記各判定器は、それぞれ中継端子を有し、これら判定器は、上記中継端子を介して順次配線接続しても良い。
このように、判定器の中継端子を介して順次接続することにより、配線が簡素なものとなる。機械設備では、配線を施す場所を得ることが難しい場合が多く、また配線が邪魔になる場合も多い。そのため、このような順次接続を採用することにより、配線が可能となる。
【0016】
上記機械設備が、上記機械部品を複数含む機械設備構成要素を複数個組み合わせたものである場合、上記判定器は、各機械設備構成要素に対して1個ずつ設けても良い。上記判定器に接続された各センサは、その判定器と対応する機械設備構成要素に備えられた上記機械部品に設けられる。
このような機械設備構成要素で構成される機械設備は、保守に際して機械設備構成要素単位で着脱される。そのため、機械設備構成要素毎に判定器を設けることにより、保守に際する判定器およびセンサの配線処理等が容易に行える。なお上記機械設備構成要素は、例えばセグメント等と呼ばれるものであっても良い。
【0017】
上記制御手段は、自動監視モードと端末操作モードの2つの動作モードを有するものとしても良い。自動監視モードは、各判定器に判定結果の送信要求を順次発行して各判定器から判定結果を取得するモードである。端末操作モードは、上記判定器に上記判定結果の他の情報の送信要求を行ってその応答を得るモードである。このような2つのモードを持つことにより、常時は自動モードとして判定結果を収集し、必要な時に、端末操作モードで種々の情報を判定器から得ることができる。
【0018】
上記判定器は、接続された各センサの出力信号であるセンサ波形をデジタルデータとして取り込むものとし、上記制御手段は、各判定器が取り込んだデジタルデータのセンサ波形を蓄積する波形データ蓄積手段を有するものとしても良い。このように、制御手段に波形データ蓄積手段を設けることにより、判定器で行う機械部品の個別の判定とは別に、センサ波形の蓄積結果を解析して各種の情報、例えば各部の機械部品が異常に至る傾向などを知ることができる。また、センサ波形をデジタルデータとして蓄積することにより、データの劣化がなく、正確なセンサ波形が再現できる。
【0019】
この発明の機械部品の監視システムにおいて、上記制御手段で収集した各判定器の判定結果から、機械部品に関する所定の保守情報を作成する保守情報作成手段を設けても良い。保守情報は、例えば機械部品の交換時期や、発注時期などの保守の予定の情報である。
【0020】
この発明の機械部品の監視システムにおいて、上記制御手段に対する遠隔地にあって上記制御手段と通信回線網を介して接続された情報処理手段を設け、上記制御手段は、各判定器から、判定結果の他に、判定器に入力されたセンサ波形を収集可能なものとし、上記情報処理手段に、上記制御手段が各判定器から収集した判定結果、およびセンサ波形を収集するリモートデータ収集手段を設けても良い。
このように、リモートデータ収集手段を設け、遠隔地で判定結果およびセンサ波形を収集可能とすることにより、機械部品の製造メーカ等の専門の技術者が、機械部品の状態や傾向について、より詳しい解析を行うことができる。
【0021】
この発明の機械部品の監視システムは、この発明の次の構成のセンサ・判定器ユニットを用いても良い。
このセンサ・判定器ユニットは、転動体を有する機械部品を複数備えた機械設備に用いられるセンサ・判定器ユニットであって、上記各センサは、上記各機械部品に設置されて機械部品に生じる転動体の通過による影響信号を検出可能なものとする。上記判定器は、接続された各センサの出力信号であるセンサ波形を処理して波形異常を検出するものであり、接続された各センサの出力信号であるセンサ波形から欠陥信号の成分を抽出するフィルタリング手段と、抽出された欠陥信号を規定範囲と比較して異常の判定を行う判定部とを有するものとする。上記フィルタリング手段は、センサ波形のデータ列に対して、一定の時間範囲データを取り出し、その取り出されたデータの中で最大値と最小値の差を求める処理を、上記時間範囲を順次ずらせて繰り返すことにより、欠陥信号成分を抽出するものとする。
このように、判定器にフィルタリング手段を設けたセンサ波形から欠陥信号成分を抽出し、その抽出された欠陥信号を規定範囲と比較することにより、波形異常の判定が容易に、かつ精度良く行える。また、欠陥信号成分を抽出する手法として、最大値と最小値の差を求める非線形フィルタリングを行うため、積和演算が不要で、比較的簡単に欠陥信号が抽出できる。
【0022】
この発明の機械部品の監視システムは、この発明の次の構成の判定器を用いることができる。
この発明の判定器は、アナログのセンサ波形信号がそれぞれ入力される複数の入力チャンネルを順次切替えるセレクタと、このセレクタの出力をA/D変換するA/D変換手段と、このA/D変換された波形信号を蓄積する第1のメモリと、この第1のメモリに蓄積された波形信号を設定処理条件に従って波形処理し、かつ波形処理結果から設定基準に従って所定の判定を行う処理部と、この処理部による波形処理結果および判定処理結果を蓄積する第2のメモリと、外部から与えられる要求指令に応じて上記第1のメモリおよび第2のメモリの記憶内容を送信するインタフェース部とを備えたものである。
この構成の判定器によると、第2のメモリに蓄積されたセンサ波形の波形処理結果および判定結果と、第1のメモリに蓄積された波形処理前のセンサ波形を、インタフェース部を通じて任意時に取り出すことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。この監視システムは、図1に示すように、転動体を有する機械部品1を複数備えた機械設備2における機械部品1の監視システムであって、それぞれ複数のセンサ3が接続された複数の判定器4を、互いに共通の制御手段5に接続してなる。センサ3は、各機械部品1に設置される。各判定器4は、接続された各センサ3の出力信号から、そのセンサ3に対応する機械部品1の異常,寿命等の状態を処理設定条件に従って判定するものである。制御手段5は、各判定器4の判定結果を収集する機能、および各判定器4に設定指令等を与える機能を備え、また判定器4に電源供給する電源ユニットを備えている。制御手段5は、単独の機器であっても良いが、この例では、専用機化された制御器6と、データ収集等に用いるパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と称す)等からなる汎用の情報処理装置7とで構成される。判定器4と各センサ3とで、センサ・判定器ユニット90が構成される。
【0024】
機械設備2は、一例を挙げると、図2に示すように多数本のロール8を備えたものであり、各ロール8が、両端でそれぞれ転がり軸受からなる機械部品1で支持されている。ロール8は、複数本が共通の構成要素フレーム(図示せず)に設置されて1組の機械設備構成要素9を構成し、機械設備構成要素9の単位で機械設備2の本体フレーム(図示せず)に着脱可能とされている。図示の例では、6本のロール8で一つの機械設備構成要素9が構成される。機械設備構成要素9は、例えばセグメント等と呼ばれる。機械設備2は、例えば圧延装置であり、ロール8はその圧延ロールである。ロール8は、上下2列に配列され、上下に対向するロール8,8間で、鋼材10が搬送されながら圧延される。機械設備構成要素9は、上下の各列毎に設けられ、隣合う複数本のロール8で一つの機械設備構成要素9が構成される。機械設備2が、このように複数の機械設備構成要素9で構成される場合、図1の判定器4は各機械設備構成要素9毎に設けられ、その判定器4に接続されるセンサ3は、対応する機械設備構成要素9の各機械部品1に設置される。
【0025】
転がり軸受からなる機械部品1は、図3に示すように内輪11と外輪12の間に、保持器(図示せず)に保持された転動体13を介在させたものである。図示の例では、機械部品1は、複列の軸受、具体的には、複列の調心ころ軸受とされている。転がり軸受からなる機械部品1は、外輪12がハウジング14に設置され、内輪11にロール8のロール軸8aが嵌合している。
【0026】
センサ3は、機械部品1に生じる転動体13の通過による何らかの影響信号、例えば機械部品1の所定部位に生じる歪み、荷重、振動等の変化を示す信号を検出するものであり、転動体13の通過信号に欠陥信号が表れる影響信号を検出できるものであれば、何でも良い。例えば、センサ3として、圧電センサ、光変位センサ、または歪みゲージ等が用いられる。図示の例では圧電センサが用いられている。
センサ3は、機械部品1に取付けられている。機械部品1が内輪回転の転がり軸受である場合、外輪12の外径面に設置される。また、機械部品1が複列の軸受である場合、同図のように、各列毎にセンサ3が設置される。センサ3の配線15は、ハウジング14に設けた切欠溝等からハウジング14の外部に引き出されている。センサ3の配線15は、防水、防塵、防錆、防湿、および防油機能、並びに耐熱性、および耐電磁ノイズ性のある被覆を有するセンサケーブルが用いられる。
【0027】
図1において、判定器4は、機械設備2の近傍に設置され、したがって工場における機械設備2を設置した機械設置室16内に配置される。制御手段5は、工場における機械設置室16とは別の監視室17等に配置され、あるいは機械設置室16に配置される。制御手段5が専用の制御器6と汎用の情報処理装置7とで構成される場合、制御器6を機械設置室16に配置し、情報処理装置7を監視室17に配置しても良い。
【0028】
各判定器4はそれぞれ中継端子20a,20bを有し、これら判定器4は、中継端子20a,20bを介して制御器6に順次配線接続されている。両中継端子20a,20bは、互いに接続されたものであり、またこれら中継端子20a,20bは、信号用と電源用の端子部(図示せず)を有している。判定器4同士および判定器4と制御器6を接続する配線21には、ディバイスネットケーブルが用いられている。ディバイスネットケーブルは、機器間をバス通信で接続すると同時に、電源を供給するケーブルである。また、この配線21は、複数の機器で伝送線路を共有するバス方式とした。バス方式にすることで、伝送線路配線を最小限にすることができる。具体的には、半二重方式(例えばRS−485)を用いる。全二重方式も可能であるが、伝送線路の必要線数を最低限にすること、および送受信処理の負荷の程度から、半二重方式が好ましい。
制御器6と情報処理装置7とを接続する配線22は、直列伝送(RS−232C等)のケーブルが用いられている。制御器6と情報処理装置7は、例えば図4に示すように、無線器18A,18Bを介して行っても良い。無線機18A,18Bを介することで、制御器6を機械設置室16に設置し、情報処理装置7を監視室17に設置する等、両者を離して設置することができる。図5は、制御器6および情報処理装置7を有線で接続し、両者を共に監視室17に設置した例を示す。
【0029】
判定器4および制御手段5の機能の概要を説明する。判定器4は、接続された各センサ3の出力信号をそれぞれ処理設定条件に従って処理し、センサ波形の異常有無を判定するものである。処理設定条件および判定結果は、バス接続される制御手段5からコマンドを介してアクセスされる。制御手段5に接続可能な判定器4の個数は、例えば数十台程度とされ、各判定器4は、基板上のディップスイッチ(図示せず)等で設定されるID(識別情報)により識別される。
【0030】
制御手段5における制御器6は、通信機能を用い、バス接続されている判定器4の状態、異常情報等を自動収集する。また、データ収集用の情報処理装置7とと接続され、情報処理装置7からの端末操作によるコマンド処理を行う。制御器6は、機械設備2の付近に配置する場合は、耐熱防水構造とする。
情報処理装置7は、制御器6を介して、判定器4の取得したセンサ波形データを収集する。収集したデータは、汎用の処理アプリケーションで処理し、視覚化する。情報処理装置7は、データ収集や確認等の必要時のみ起動する。
【0031】
つぎに各部の詳細を説明する。まず、センサ波形を説明する。機械部品1に取り付けられたセンサ3からの信号波形を、図6(A)に示す。このセンサ波形は、同図(B),(C)にそれぞれ示す主信号と欠陥信号とを含む。主信号は、転動体通過に伴い一定周期のサイン波状に現れる波形である。センサ信号に含まれる高周波ノイズ成分も主信号に含めて考える。欠陥信号は、転送面のフレーキングなどに起因して現れる主信号以外の信号成分であり、三角スパイク状の波形を成す。すなわち、センサ信号波形は、主信号に欠陥信号が加算された波形となる。
【0032】
図8は判定器4の構成を示す。判定器4は、センサ入力チャンネルを順次切替えるセレクタ25と、このセレクタ25の出力をA/D変換するA/D変換手段26と、このA/D変換された波形信号を蓄積する第1のメモリ27と、この第1のメモリ27に蓄積された波形信号を設定処理条件に従って波形処理し、かつ波形処理結果から設定基準に従って所定の判定を行う処理部29と、この処理部29による波形処理結果および判定処理結果を蓄積する第2のメモリ28と、外部から与えられる要求指令(コマンドの一種)に応じて第1のメモリ27および第2のメモリ28の記憶内容を送信するインタフェース部30とを備える。
セレクタ25は一対設けられ、A/D変換手段26は各セレクタ25に対して設けられる。各セレクタ25は、例えば、それぞれ8つのセンサ入力チャネルが設けられる。第1および第2のメモリ27,28は、ラム(RAM)等の同じ記憶素子において、論理的に区分された記憶領域である。一対のセレクタ25,25には、例えば機械部品1が図3に示すような複列軸受である場合、両列のセンサ3,3の出力を、一対のセレクタ3の同じチャネルに入力するように使用される。この場合、両列のセンサ3,3のセンサ波形が、第1のメモリ27に対応して記憶されるようにする。
【0033】
判定器4は、各センサ入力チャネルを順次切替えながら、A/D変換した波形信号を、第1のメモリ27に蓄積する。蓄積したセンサ波形信号は、処理設定条件に従って波形処理され、抽出された欠陥信号が規定外であれば、問題有りとして取り扱う。また、制御器6(図1)から与えられるコマンドを適時解析し、要求に応じて内部状況や異常情報、センサ波形データを制御器6に通知する。
【0034】
判定器4は、例えば、CPUボードに図9に示すCPUチップ(中央処理装置)31の他、セレクタ25、各インタフェース素子33,34、メモリ素子35、発光ダイオード36、ディップスイッチ37、およびスイッチ38を実装したものとされる。CPUチップ31は、A/D変換手段26(図7)を備える。メモリ素子35は、上記第1,第2のメモリ27,28を構成するものであり、バッテリバックアップされる。発光ダイオード36はCPUの処理状態を示すものである。また、判定器4は、圧延ラインの脇等に置かれるため、防水ボックスに収納し、コネクタ類も防水構造とする。
【0035】
図10に示すように、判定器4は、処理部29の構成要素として、センサ波形を処理する波形処理手段40と、この波形処理手段40で処理された波形から波形異常の判定を行う判定部41とを有している。波形処理手段40には、それぞれ異なる波形処理手法でセンサ波形を処理する第1および第2の波形処理手段40A,40Bが有り、いずれの波形処理手段40A,40Bを用いるかの選択が、制御手段5(図1)の選択指令によって選択可能とされている。また、センサ3(図1)毎に任意の波形処理手段40A,40Bの選択が可能とされている。第1,第2の波形処理手段40A,40Bは、いずれもセンサ波形から欠陥信号の成分を抽出するフィルタリング手段である。このうち第1の波形処理手段40Aは線形フィルタリングを行うものとされ、第2波形処理手段40Bは、非線形フィルタリングを行うものとされている。判定部41は、抽出された欠陥信号を規定範囲と比較して異常の判定を行う手段である。
【0036】
上記の線形フィルタリングは、センサ波形のデジタルデータに対し、デジタルのローパスフィルタ処理およびハイパスフィルタ処理を施し、欠陥信号を抽出する処理である。ローパスフィルタ処理は、主としてノイズである高周波成分を除去する目的で行う。ハイパスフィルタ処理は、センサ波形から主信号成分を除去する目的で行う。この2つのフィルタを用いることにより、欠陥信号成分のみが抽出される。演算量は、デジタルフィルタ次数に比例して増加する。
【0037】
非線形フィルタリングは、図7に示すように、センサ波形のデータ列に対して、一定の時間範囲Wのデータを取り出し、その取り出されたデータの中で最大値と最小値の差を求める処理を、上記一定の時間範囲Wを順次ずらせて繰り返すことにより、欠陥信号成分を抽出する処理である。すなわち、データ列からデータを取り出す時間範囲の窓を設定し、その窓中で最大最小フィルタリング処理を行う。
このように、一定窓内の最大値と最小値の差を求めることにより、窓長さによって、十分に長い範囲に渡って現れる変動成分(ここでは主信号に相当)を除去し、かつ、短い範囲を割って現れる変動成分(ここでは高周波ノイズ)の影響を軽減する。
最大最小の差を求めるので、欠陥信号の極性にかかわらずに正の値が得られる。線形処理手法がフィルタ特性の設計により作用するのに対し、データ切り出し窓長により除去される信号周波数成分が定性的に変化する。演算量は、最大,最小値演算アルゴリズムによるが、積和演算は不要であり、線形フィルタより有利である。
両手法は、どちらも一長,一短があるため、両手法のフィルタリングを行う波形処理手段40A,40Bを設けることが好ましい。次の表1は、両手法の特徴比較を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
シミュレーションの結果では、線形処理手法と比較して、非線形処理手法の方が欠陥信号部分の振幅が大きく得られていた。これは、線形フィルタリング処理において、欠陥信号に含まれる高周波、低周波信号成分も遮断されるためによるものと考えられる。これは、本質的な現象であり、避けられない。一方、非線形処理では、振幅は得られるものの、信号幅情報が広げられてしまう。これも、非線形処理の本質的な現象であり、避けられない。
【0040】
判定器4が検出する異常事項について説明する。判定器4は、図10に示すように、判定器異常判定手段42とセンサ波形異常判定手段43とを有している。判定器異常判定手段42は、判定器自体に起因する異常を判定する手段であり、センサ波形異常判定手段43は、センサ波形に起因する異常を検出する手段である。センサ波形異常判定手段43は、上記の波形処理手段40および判定部41で構成される。各異常の種類,状況,原因の関係を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
判定器異常は、通信異常(バス通信プロトコル上で発生する異常)、パラメータ異常(波形信号処理に使用する処理条件類のデータが不正)、CPU異常(割込み処理異常、システム異常など、主としてソフト上のバグ)に分けられる。判定器異常を検出した場合は、速やかに電源再投入をし、現象の再発生後、必要な措置を取る。
【0043】
センサ波形異常は、取り込んだセンサ波形をデータ処理した結果、センサ波形に何らかの問題があると判断した場合に発生する。センサ波形異常判定手段43は、複数回続けてセンサ波形の異常波形を検出した場合のみ異常状態とする。
センサ波形異常は、欠陥波形異常と回転異常異常とがあり、それぞれ判定部41に設けられた欠陥波形異常判定部41aと、回転異常判定部41bとで判定される。
【0044】
欠陥波形異常判定部41aは、例えば、欠陥信号の最大値が複数の判定処理回に連続してしきい値を超えて検出された場合に、欠陥波形検出と判定する。欠陥信号の位相、信号幅は考慮しない。しきい値は、複数種類定め、3種類の場合、それぞれ設定値の1倍、2倍、4倍とする。
機械部品1が転がり軸受である場合は、外輪12(図3)の転走面に傷があると、その傷を転動体13が通過するときに歪みが生じるため、欠陥信号異常となる。外輪12のどの円周方向位置に傷があるかは、欠陥信号の位相によってわかるが、位置を特定する必要がない場合は、位相の認識は不要である。連続鋳造設備等におけるロール支持軸受では、構成部品のうちで外輪12が最も使用条件が厳しく、また外輪12の最下点が殆どの転動寿命の要因となるため、この外輪最下点にセンサ3を配置することにより、効率良く異常検出が行える。
【0045】
回転異常判定部41bは、判定器4に接続された他のセンサ主信号周期と比較して、主信号周期が規定範囲内にない場合が複数回連続して検出された場合に、回転異常と判定する。ただし、全てのセンサ信号の主信号周期が規定範囲外の場合は、ラインの運転がされていないと判定し、連続回数のカウントをクリアする。上記の規定範囲は、誤差分を適宜定めて設定する。
主信号周期は、転動体13がセンサ3の位置を通過する周期であるため、機械部品1が軸受の場合、(軸受回転数)×(転動体13の個数)に対応する。そのため、回転異常の検出により、軸受回転数の異常が判定できる。すなわち、本来は同じ回転数となるべき機械部品1同士のセンサ波形を比較することで、回転の障害が生じている機械部品1が検出できる。例えば、連続して並ぶ一連のロール8を支持する軸受について、センサ波形の主信号周期を比較すると、一部のセンサ3のセンサ波形のみ回転が遅いような場合、何らかの原因で軸受の回転が妨げられていることがわかる。また、ロール8の両端の軸受同士や、複列軸受における両列の軸受のセンサ波形を比較した場合も、主信号周期に違いがあると、軸受に何らかの回転の障害が生じていることがわかる。
【0046】
判定器4の処理手順を説明する。図9のメモリ素子(拡張メモリ)35中には、CPUエラー、処理手順、処理条件、測定結果、判定結果、および取込センサ波形データを格納する。
処理は、図11の流れ図のように行う。概略を説明すると、まず、センサ波形の選択のチャンネル切替えを設定に従って行う(S5)。チャンネル切替えの後、データレベルが安定するまで数秒かかるので、この間に、直前でメモリ取り込みのセンサ波形のデータ処理を行う(S12)。その後、チャンネル切替が確定したところで、処理パラメータ類を更新し、データ取り込み処理を実行する(S10)。データ処理、データ取り込み中は、適宜送受処理(S7)を行って、受信済みコマンドの解析および送受データ準備を行う。センサ波形を、制御手段5に要求された場合は、割込み手順にデータ取り込み処理を登録し、自動処理手順に割り込ませる。A/D変換の開始・完了、バスランとの通信(バッファ取り込み掃出)は、割込処理で行う(S14)。
【0047】
図1の制御手段5と判定器4との通信制御方法を説明する。制御手段5が、図1の例のように制御器6と情報処理手段7とで構成される場合は、ここで述べる制御手段5と判定器4との間の通信は、制御器6と判定器4との間の通信制御のことである。
通信方式は、半二重通信とする。制御手段5を制御局とし、判定器4を従局とする。従局は、制御局からの指示がなければ、通信できないものとする。従局は、自分に対して送られた送信要求に対してのみ返答を行う。
【0048】
コマンドおよびレスポンスの構成を、図12と共に説明する。
制御手段5から判定器4に送られるコマンド列は、複数文字(例えば4文字)のアルファベッド等からなるコマンド文字列と、パラメータ数値(2桁のキャラクタ)、および必要ならばデータから成り立つ。データ区切り文字は存在しない。一方、コマンド列に対する判定器4から制御手段5へのレスポンス列は、受信したコマンド文字列とパラメータ数値、およびコマンド列が要求していればレスポンスデータから成り立つ。正しいコマンド列を受信した場合は、コマンド文字およびパラメータ数値に相当するレスポンスデータを返信する。不正なコマンド列を受信した場合は所定のレスポンスデータを返信する。
【0049】
コマンドは、大きくは、基本コマンドとメモリデータ転送コマンドに分けられる。基本コマンドは、判定器4の状態を問い合わせるか、または動作状態を変更するコマンドであり、データは、例えば、NULL文字で終了するASCII文字列である。メモリデータ転送コマンドは、ある一定範囲のメモリ27,28(図8)内のデータを一括して送受信するためのコマンドであり、送受信されるデータは、規定長のバイナリデータである。メモリデータ転送コマンドを用いることにより、制御手段5でのデータ解析の手続きは増えるが、判定器4側でのコマンド解析処理が軽減されるので、判定器4の処理動作を阻害する可能性が減少する。
【0050】
基本コマンドには、次の表3に示す各種のものがある。表中の操作の欄の「自」および「端」は、それぞれ後に述べる自動監視モードおよび端末操作モードで使用可能なコマンドを示す。
【0051】
【表3】
【0052】
メモリ転送コマンドは、メモリ27,28内のデータをそのままの形式で送受信するためのコマンドである。データはバイナリである。
基本コマンドには、次の表4に示す各種のものがある。
【0053】
【表4】
【0054】
コマンド列およびレスポンス列の格納方法を説明する。図13は、その概念を示す。
コマンド文字列(例えば4バイト)、およびパラメータ列(例えば2バイト)は、固定長なので、送受信バッファ(図示せず)とは別の格納領域に格納する。データ,レスポンスは、基本的に、送受信バッファを一度経由し、通信NGの際も、他の処理にできるだけ影響を与えないように配慮する。
基本コマンドの場合、データ,レスポンスは、送受信バッファ長を超えることはないので、全てを送受信バッファに一度可能し、送信処理が正常に行われたのを確認してからデータ(レスポンス)を格納する。
一方、メモリ転送コマンドは、基本コマンドの手続きに加え、送受信バッファとは別にメモリアドレス値で開始アドレス、終了アドレス、送信開始ポインタ値を算出し、記憶する。開始、終了アドレス値は、コマンド解析、もしくはレスポンス準備段階で確定する。これは、必要に応じてDMA転送を行う場合があるからである。また、データ(レスポンス)が一転送ブロック長より大きい場合は、通信が途中で中段された場合を考慮した上で、内部データ転送を行う。
【0055】
図1の制御手段5について説明する。制御手段5は、前述のように、バスラインに接続されて判定器4と通信する制御器6と、この制御器6と直列データ伝送回線で接続されるデータ収集用の情報処理手段7とで構成される。制御部6は、判定器4に前記のコマンドを発行し、判定器4のパラメータ設定や、判定器4からのレスポンスによる情報の取り出しを行う。
【0056】
制御手段5は、自動監視モードと端末操作モードの2つのモードを有する。図14(A),(B)は、これら自動監視モードおよび端末操作モードの様子を示す説明図である。
自動監視モードは、各判定器4に判定結果の送信要求を順次発行して各判定器4から判定結果を取得するモードである。異常情報は、常時、自動監視モードにより制御器6に集められる。
端末操作モードは、判定器4に判定結果の他の情報の送信要求を行ってその応答を得るモードである。すなわち、任意のコマンドを情報処理装置7から発行するモードであり、発行されたコマンドは、制御器6を経由し、必要ならばバスライン経由で判定器4に到達し、そのレスポンスを得るモードである。波形データの収集は端末操作モードにより行う。
【0057】
制御器6を、図15〜図17と共に説明する。制御器6は、バス接続されている判定器4の動作状態を、自動的にコマンドを発行して確認し、異常情報の有無を収集する。異常があれば、異常表示手段(例えば発光ダイオード)63aにより、簡易的にその旨を通知する。また、直列伝送接続された情報処理装置7からのコマンド指令を、必要に応じて半二重通信の形態に変換し、情報処理装置7と判定器4のデータ交換を行う。
【0058】
すなわち、制御器6は、図16に示すように、判定器間通信手段61、情報処理装置間通信手段62、ユーザインタフェース手段63、および電源供給手段64を有する。
判定器間通信手段61は、判定器4と制御器6との通信を行う手段である。この手段61は、例えば、判定器動作状況自動確認(すなわち異常情報収集)の処理と、判定器異常通知の処理を行う。すなわち、判定器間通信手段61は、判定結果を自動収集する判定結果収集手段61aを有する。判定結果収集手段61aは、上記のようにポーリングで各判定器4に送信要求を自動的に発行する自動送信要求発行部61aa、および応答された判定結果を格納する判定結果格納部61abを備える。
情報処理装置間通信手段62は、制御器6と情報処理装置7との間の通信を行う手段である。この手段62は、例えば、制御器状態通知(制御器専用コマンド、レスポンスの処理)と、判定器4への転送(コマンド、プロトコル変換)等を行う。
ユーザインタフェース手段63は、異常情報リセット手段63bと異常表示手段63aなどの簡単なユーザインタフェースである。異常情報リセット手段63bは、スイッチからなる(図5)。
電源供給手段64は、内蔵の電源ユニットで構成され、バスラインへの電源供給を行う。
【0059】
制御器6のハードウェア構成の内部ブロック図は、例えば、図17(A),(B)に示す2種類のいずれかとされる。
同図(A)は、監視室17に置かれる場合の例(無線区間無し)であり、ケース65内にCPUボード66と、AC−DCコンバータ67と、バスライン用、直列伝送用、および商用電源用の各端子を備える。
同図(B)は、工場の機械設置室16に置かれる場合の例であり、同図(A)の例の直列伝送用端子に変えて、無線モデム68とその電源となるDC−DCコンバータ69が設けられている。同図(B)では、同図(A)のAC−DCコンバータ67およびAC電源端子は図示を省略してある。
【0060】
制御器6の判定器4との通信は、上記のようにRS−485規格等の半二重通信とされる。すなわち、バスラインに接続されている複数の判定器4と、1:1で順に通信し(通信手順は前述)、その処理状態や異常情報を自動的に収集する。その結果、判定器4や制御器6自体に異常がある場合は、発光ダイオード等の異常表示手段63a(図15)で通知する。
具体的には、バス接続されている判定器4を制御器6に予め登録する。制御器6は、登録情報に従って、順に状況問い合わせコマンドを自動的に発行し、各判定器4の状況を把握する。また、情報処理装置7から判定器4に対するコマンドが入力された場合、自動処理を一時停止し、その受け渡し処理を行う。
【0061】
制御器6と情報処理装置7との通信は、直列伝送の通信プロトコル(RS−232C)で行われる。制御器6に入力されるコマンド(情報処理装置7から出力されるコマンド)は、判定器4に対するコマンドと、制御器専用のコマンドとがある。制御器6に入力されるコマンドは、次の表5に示す各コマンドがある。このうち、処理状況コマンドと、接続判定器コマンドが、制御器専用のコマンドである。
【0062】
【表5】
【0063】
図1において、情報処理装置7は、制御器6と直列伝送ケーブルで接続する。情報処理装置7は、必要に応じて、判定器4と通信する端末操作モードにより波形データを収集する。判定器4、制御器6の動作状態や異常の有無情報などもコマンドを用いて収集する。
【0064】
情報処理装置7によるデータ蓄積方法を説明する。波形データの収集は、パソコンが優れている。判定器4が取得するセンサ波形データをデジタルデータとしてそのまま取得でき、またファイル装置により大規模データでも簡単に収集できるからである。
パソコンからなる情報処理装置7をデータ収集手段とした場合の最大の利点は、判定器4が取り込んだセンサ波形の数値(デジタル)テータをそのま数値データとして収集できる点である。パソコンからなる情報処理装置7を用いれば、判定器4が判定処理に用いているデータを取得できるため、情報処理装置7上で判定器4と同一処理の再現や、処理条件のチューニングテストも可能である。処理の再現は、汎用のデータ処理アプリケーション(例えば、表計算ソフトウェア)等を用いる。
【0065】
情報処理装置7は、図18に示すように、各判定器が取り込んだデジタルデータのセンサ波形を蓄積する波形データ蓄積手段71を有する。この波形データ蓄積手段71は、センサ波形を蓄積する記憶部71aと、蓄積の処理を行う蓄積処理部71bとでなる。蓄積処理部71bは、図19に示す端末処理アプリケーション72の一部で構成される。端末処理アプリケーション72は、データ処理アプリケーション73を介して、蓄積した波形データの視覚化を可能とする。
【0066】
端末処理アプレケーション72は、判定器4、制御器6にコマンドを送り、レスポンスを得るプログラムであり、コマンド送信・応答処理手段74を構成する。情報処理装置7が行う上記の各コマンドの送信と、レスポンスの処理は、このコマンド送信・応答処理手段74が行う。図20は、端末処理アプレケーション72の処理の概念を示す。前述の通り、コマンドには基本コマンドとメモリ転送コマンドとがあるが、基本コマンドの場合、データ、レスポンスとも文字列であり、文字列の作成と解析作業が必要である。一方、メモリ転送コマンドは、判定器4の各種設定とよび波形のバイナリデータを取り扱うため、パラメータ値の編集,表示と、データ変換作業が必要になる。
【0067】
情報処理装置7は、さらに、収集した各判定器の判定結果から、機械部品に関する所定の保守情報を作成する保守情報作成手段74を設けても良い。この手段74で作成する保守情報は、例えば機械部品の交換時期や、発注時期などの保守の予定の情報である。
【0068】
この構成の機械部品の監視システムは、このようにして、転動体を有する機械部品1の異常,寿命等の状態の監視が、簡単な構成で行えて、低コストで済み、また監視が精度良く、かつ効率的に行える。
特に、判定器4は、この実施形態の構成の場合、判定器自体の動作状況がわかり、機械部品1の異常情報が分かり、通信状況が分かるなど、単独で動作し、また多数のセンサ3の信号が処理でき、処理パラメータを変更できるなど、センサ信号の判定が行える。また、判定器4は、制御手段5によりリモート操作を行って、情報の取り出し、情報の設定が行える。また、判定器4は、防水、耐熱構造になっていて着実に動作し、しかもネットワークにコネクタ一つで接続できて、簡単に設置できる。
【0069】
図21は、上記実施形態にかかる機械部品の監視システムの発展例を示す。この例は、リモートデータ収集手段81を設けたものである。すなわち、制御手段5に対する遠隔地にあって、制御手段5と通信回線網82を介して接続された情報処理手段83を設け、この手段83にリモートデータ収集手段81を設ける。制御手段5は、各判定器4から、判定結果の他に、上記のように判定器4に入力されたセンサ波形を収集可能なものとする。遠隔地の情報処理手段83は、パーソナルコンピュータであっても、大型汎用コンピュータであっても良く、中央処理装置(CPU)86と記憶手段87とを備える。リモートデータ収集手段81は、制御手段5が各判定器4から収集した判定結果、およびセンサ波形を収集する手段であり、中央処理装置(CPU)86と記憶手段87と、処理プログラム(図示せず)とで構成される。通信回線網82は、公衆電話回線や専用電話回線等であり、モデム84,85等によって、制御手段5と遠隔地の情報処理手段83とを接続する。
このように、リモートデータ収集手段81を設け、遠隔地で判定結果およびセンサ波形を収集可能とすることにより、機械部品の製造メーカ等の専門の技術者が、機械部品の状態や傾向について、より詳しい解析を行うことができる。
【0070】
なお、上記各実施形態では、監視対象となる機械部品1が転がり軸受である場合につき説明したが、監視対象となる機械部品1は、転動体を有するものであれば良く、例えば次のように等速ジョイントやボールねじあっても良い。
図22は、監視対象となる機械部品が等速ジョイントである例を示す。この機械部品である等速ジョイント1A,1Bは、軸91の両端に設けられており、いずれも内輪92A,92Bと、外輪93A,93Bと、その間に介在した転動体94A,94Bとを備える。センサ3は、外輪93A,93Bに対して配置されている。
図23は、監視対象となる機械部品がボールねじである場合を示す。この機械部品であるボールねじ1Cは、ねじ軸95とナット96との間にボールからなる転動体97を介在させたものであり、ナット96に転動体97の循環路98が設けてある。循環路98は、例えばリターンチューブからなる。センサ3は、ナット96に対して配置されている。
【0071】
【発明の効果】
この発明の機械部品の監視システムは、転動体を有する機械部品を複数備えた機械設備における機械部品の監視システムであって、上記機械部品は、転がり軸受、等速ジョイント、またはボールねじであり、それぞれ複数のセンサが接続された複数の判定器を、互いに共通の制御手段に接続してなり、上記各センサは、上記各機械部品に設置されて機械部品に生じる転動体の通過による影響信号を検出するものとし、上記各判定器は、接続された各センサの出力信号からそのセンサに対応する機械部品の異常,寿命等の状態を処理設定条件に従って判定するものとし、上記制御手段は、各判定器の判定結果を収集するものとしたため、転動体を有する機械部品の異常,寿命等の状態の監視が、簡単な構成で行えて、低コストで済み、また監視が精度良く、かつ効率的に行える。また、上記判定器は、上記判定の処理として、センサの出力信号であるセンサ波形の異常有無を判定する機能を有するものとしたため、この波形の異常有無により、機械部品の異常,寿命等の状態が判定される。さらに、上記判定器は、判定器自体に起因する異常である判定器異常と、センサ波形に起因するセンサ波形異常とを検出するものとしたため、判定器異常に対する迅速な処置が行え、誤った判定を続けることが避けられる。
この発明において、センサ波形から欠陥信号の成分を抽出する手段として、一定の時間範囲データを取り出して最大値と最小値の差を求める非線形フィルタリング手法を用いる場合は、比較的簡単に欠陥信号が抽出できて、波形異常の判定が容易に、かつ精度良く行える。
この発明おいて、上記判定器が、アナログのセンサ波形信号がそれぞれ入力される複数の入力チャンネルを順次切替えるセレクタと、このセレクタの出力をA/D変換するA/D変換手段と、このA/D変換された波形信号を蓄積する第1のメモリと、この第1のメモリに蓄積された波形信号を設定処理条件に従って波形処理し、かつ波形処理結果から設定基準に従って所定の判定を行う処理部と、この処理部による波形処理結果および判定処理結果を蓄積する第2のメモリと、外部から与えられる要求指令に応じて上記第1のメモリおよび第2のメモリの記憶内容を送信するインタフェース部とを備えたものである場合は、複数接続されたセンサのセンサ波形の波形処理結果および判定結果と、波形処理前のセンサ波形とを、任意時に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる機械部品の監視システムのシステム構成図である。
【図2】同システムを使用する機械設備の一例の側面図である。
【図3】同機械設備の機械部品とセンサの関係を示す断面図である。
【図4】同監視システムの無線使用例を示す説明図である。
【図5】同監視システムの有線接続の使用例を示す説明図である。
【図6】センサ波形とその主信号および欠陥信号を示す波形図である。
【図7】センサ波形と非線形フィルタリング処理のデータ切出時間間隔の関係を示す説明図である。
【図8】判定器の構成を示すブロック図である。
【図9】判定器のハードウェア構成例を示す説明図である。
【図10】判定器の概念構成を示すブロック図である。
【図11】判定器の処理手順を示す流れ図である。
【図12】判定器と制御手段間のコマンドおよびレスポンスの通信概念を示す説明図である。
【図13】制御手段における同コマンドおよびレスポンスの処理概念の説明図である。
【図14】制御器の各モードの概念図である。
【図15】制御器の概略構成の説明図である。
【図16】制御器の概念構成のブロック図である。
【図17】制御器の各種ハードウェア構成例の説明図である。
【図18】情報処理装置の概念構成のブロック図である。
【図19】情報処理装置の端末処理アプリケーションを主に示す概念図である。
【図20】情報処理装置の端末処理アプリケーションによる処理の具体例を示す説明図である。
【図21】同実施形態の機械部品の監視システムを発展例の説明図である。
【図22】監視対象となる機械部品の他の例となる等速ジョイントを示す断面図である。
【図23】監視対象となる機械部品のさらに他の例となるボールねじの断面図である。
【符号の説明】
1…機械部品
2…機械設備
3…センサ
4…判定器
5…制御手段
6…制御器
7…情報処理装置
8…ロール
9…機械設備構成要素
11…内輪
12…外輪
13…転動体
25…セレクタ
26…A/D変換手段
27,28…メモリ
29…処理部
30…インタフェース部
40A…第1の波形処理手段
40B…第2の波形処理手段
41…判定部
41a…欠陥波形判定部
41b…回転異常判定部
43…センサ波形異常判定手段
61a…判定結果収集手段
71…波形データ蓄積手段
72…端末処理アプリケーション
81…リモートデータ収集手段
83…遠隔地の情報処理手段
90…センサ・判定器ユニット
Claims (17)
- 転動体を有する機械部品を複数備えた機械設備における機械部品の監視システムであって、上記機械部品は、転がり軸受、等速ジョイント、またはボールねじであり、それぞれ複数のセンサが接続された複数の判定器を、互いに共通の制御手段に接続してなり、上記各センサは、上記各機械部品に設置されて機械部品に生じる転動体の通過による影響信号を、転動体に非接触で検出するものとし、上記各判定器は、接続された各センサの出力信号からそのセンサに対応する機械部品の異常,寿命等の状態を処理設定条件に従って判定するものとし、上記制御手段は、各判定器の判定結果を収集するものとし、上記判定器は、上記判定の処理として、センサの出力信号であるセンサ波形の異常有無を判定する機能を有し、かつ上記判定器は、判定器自体に起因する異常である判定器異常検出する機能を有するものとした機械部品の監視システム。
- 上記判定器は、センサ波形に含まれる欠陥信号成分が規定範囲を外れたか否かを判定し、規定範囲を外れた場合に、上記センサ波形の異常として、欠陥波形異常が有りと判定するものとした請求項1に記載の機械部品の監視システム。
- 上記判定器は、この判定器に接続された複数のセンサのセンサ波形主信号周期を比較し、主信号周期が規定範囲内にない場合に、上記センサ波形の異常として、回転異常が有りと判定するものとした請求項1または請求項2に記載の機械部品の監視システム。
- 上記制御手段は、上記各判定器に送信要求を順次行い、上記各判定器は、上記送信要求に対して上記制御手段に判定結果を送信するものとした請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記制御手段は、各判定器の上記処理設定条件の設定および変更の指令を行う機能を有し、上記判定器は、上記制御手段の指令に従って上記処理設定条件の変更が自在なものとした請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記各判定器は、それぞれ異なる波形処理手法でセンサ波形を処理する複数の波形処理手段を有し、いずれの波形処理手段を用いるかの選択が自在なものであり、上記制御手段は、各判定器の波形処理手段の選択指令を与える機能を有するものとした請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記各判定器は、それぞれ異なる波形処理手法でセンサ波形を処理する複数の波形処理手段を有し、センサ毎に任意の波形処理手段の選択が可能なものとした請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記判定器とセンサとを接続する配線に、防水、防塵、防錆、防湿、および防油機能、並びに耐熱性、および耐電磁ノイズ性のある被覆を有するセンサケーブルを用いた請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記各判定器はそれぞれ中継端子を有し、これら判定器は、上記中継端子を介して順次配線接続した請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記機械設備は、それぞれ上記機械部品を複数含む機械設備構成要素を複数個組み合わせたものであり、上記判定器は、各機械設備構成要素に対して1個ずつ設け、上記判定器に接続された各センサは、その判定器と対応する機械設備構成要素に備えられた上記機械部品に設けられる請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記制御手段は、自動監視モードと端末操作モードの2つのモードを有し、自動監視モードは、各判定器に判定結果の送信要求を順次発行して各判定器から判定結果を取得するモードであり、端末操作モードは、上記判定器に上記判定結果の他の情報の送信要求を行ってその応答を得るモードである請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記判定器は、接続された各センサの出力信号であるセンサ波形をデジタルデータとして取り込むものとし、上記制御手段は、各判定器が取り込んだデジタルデータのセンサ波形を蓄積する波形データ蓄積手段を有するものとした請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記制御手段で収集した各判定器の判定結果から、機械部品に関する所定の保守情報を作成する保守情報作成手段を設けた請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記制御手段に対する遠隔地にあって上記制御手段と通信回線網を介して接続された情報処理手段を設け、上記制御手段は、各判定器から、判定結果の他に、判定器に入力されたセンサ波形を収集可能なものとし、上記遠隔地の情報処理手段に、上記制御手段が各判定器から収集した判定結果、およびセンサ波形を収集するリモートデータ収集手段を設けた請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記各センサは、上記各機械部品に設置されて機械部品に生じる転動体の通過による影響信号を検出可能なものとし、上記判定器は、接続された各センサの出力信号であるセンサ波形から欠陥信号の成分を抽出するフィルタリング手段と、抽出された欠陥信号を規定範囲と比較して異常の判定を行う判定部とを有し、上記フィルタリング手段は、センサ波形のデータ列に対して、一定の時間範囲データを取り出し、その取り出されたデータの中で最大値と最小値の差を求める処理を、上記一定の時間範囲を順次ずらせて繰り返すことにより、欠陥信号成分を抽出するものとした請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 上記判定器は、アナログのセンサ波形信号がそれぞれ入力される複数の入力チャンネルを順次切替えるセレクタと、このセレクタの出力をA/D変換するA/D変換手段と、このA/D変換された波形信号を蓄積する第1のメモリと、この第1のメモリに蓄積された波形信号を設定処理条件に従って波形処理し、かつ波形処理結果から設定基準に従って所定の判定を行う処理部と、この処理部による波形処理結果および判定処理結果を蓄積する第2のメモリと、外部から与えられる要求指令に応じて上記第1のメモリおよび第2のメモリの記憶内容を送信するインタフェース部とを備えるものである請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の機械部品の監視システム。
- 前記異なる波形処理手法は、線形フィルタリングと非線形フィルタリングである請求項6または請求項7に記載の機械部品の監視システム。
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