JP3825545B2 - 半導体レーザ駆動装置及びそれを用いた光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザを用いて情報の記録・再生・消去を行う装置においてそのレーザ光強度を制御する半導体レーザ駆動装置に関し、さらに、かかる半導体レーザ駆動装置を利用した光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置は、レーザ光を記録媒体に照射し、情報の記録・再生・消去を行うことの可能な情報記録装置である。この装置では、情報の記録・消去は、レーザ光を記録媒体に照射し、情報媒体である光ディスクの所定の部分を局所的に加熱することにより行い、また、媒体からの情報の再生は、一定出力のレーザ光を記録媒体に照射し、その反射光を検出することにより行う。これらの諸動作を安定に行うためには、媒体側、光ヘッド側において多くの条件が存在するが、レーザ光の強度を所定の値になるよう制御することは、かかる条件の内の一つである。例えば、レーザの駆動電流が一定の時のレーザの発光強度は、温度により変化することとなるので、この変化分を補正する必要がある。
【0003】
ところで、従来、かかるレーザ光の強度を所定の値に安定に制御するために、半導体レーザからの光出力をモニターし、そのモニター信号の所定の値からのずれをレーザ駆動電流値にフィードバックするという手法が既に考案されている。これは、記録媒体からの情報の再生時においてレーザの出力を安定化するために用いられており、APC(Automatic power control)回路と呼ばれているものである。
【0004】
一方、情報の記録・消去時の光出力は、上記した再生時の光出力に比べて大きな出力を必要とする。しかしながら、従来、この時のレーザの発光強度の制御は行われていなかった。この理由としては、レーザの駆動電流対発光強度特性から説明することができる。すなわち、半導体レーザは、その発光閾値電流が温度により変化するが、この閾値電流以上の駆動電流に対しては、駆動電流対発光強度の傾きが、ほとんど変わらないからである。また、さらに、記録・消去光の発光指令は、再生光に上乗せする形でレーザに加えられるので、電流対発光強度の傾きが一定ならば、記録・再生時の光出力は一定になるからである。
【0005】
ところが、最近開発が進められている短波長の赤色レーザ(波長≦660nm)では、上記従来の半導体レーザとは異なり、この電流対発光強度の傾きが、必ずしも一定であるとは言えないことがわかっている。また、かかる短波長の赤色レーザの特性の中には、上述の閾値電流値が変わるだけのものだけではなく、その傾きが変わるもの、さらには、特性曲線が途中で折れ曲がる特性を持つものがあることがわかってきている。
【0006】
このような特性を持つ赤色レーザを用いて、光ディスク装置を実現するためには、再生時だけでなく、さらには、記録・消去時においても、このレーザ光の発光強度の制御が必要になる。特に、記録・消去時のレーザ光は、ナノ秒オーダーのパルス光として発光されるので、この制御を行う回路としては、そのパルス光に追従するほど速い帯域を持つ必要がある。
【0007】
ところで、かかる制御を行う為の高速のAPC回路は、すでに提案されており、例えば、東芝からTA8546AFNという型式のLSIが、光ディスク用高速APC回路として既に開発されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来よりも短波長の赤色レーザ光を利用する光ディスク装置においては、情報の検出時だけでなく、その記録・消去時にもレーザ光の強度を制御するためのAPC回路が開発されているが、しかしながら、ここで問題となることは、この記録・消去時のレーザ光の強度を制御するAPC回路は、高速である必要があることである。これを実現するためには、高速で動作する電子部品からなる装置、すなわち、高速のレーザ光検出装置を使う必要があることである。その為、このような高速のレーザ光検出装置を用いた半導体レーザ駆動装置を作るには、多大のコストがかかるということである。
【0009】
そこで、本発明では、上記の従来技術における問題点に鑑みて、すなわち、比較的低い周波数で動作する電子部品を使ってパルス発光するレーザの発光強度の制御を行うことが可能であり、もって、低価格で構成することの可能な半導体レーザ駆動装置及びそれを用いた光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記の課題を解決するため、光ディスク装置に組み込まれる半導体レーザ駆動装置であって、半導体レーザに電流を供給する電流源を備えたレーザ駆動装置と、該半導体レーザの発光強度を検出する光検出装置と、上記低減通過フィルターと、情報を記録または消去する時の上記低域通過フィルターの出力から、情報を再生する時の上記低域通過フィルターの出力を減算した差の値をもとに、情報を記録あるいは消去するのに必要な強度で半導体レーザを発光させるよう、前記レーザ駆動装置から前記半導体レーザに供給する電流を制御する制御回路とを具備した半導体レーザ駆動装置が提供される。
加えて、本発明では、前記に記載した半導体レーザ駆動装置において、前記減算した差の値をもとに、情報を記録または消去する時の前記低域通過フィルターの出力からオフセット分を除いた値を算出し、該値により前記電流を制御する。
【0011】
また、本発明によれば、前記に記載した半導体レーザ駆動装置において、上記低域通過フィルターの遮断数波数が、記録媒体のセクターの繰り返し周波数以上であり、且つ、データ列中に現れる信号の最大周波数以下である。また、情報を記録または消去する時の上記低域通過フィルターの出力は、再生タイミング検出用信号を記録する時の上記低域通過フィルターの出力である。
【0012】
さらに、本発明によれば、前記に記載の半導体レーザ駆動装置において、前記記録媒体に情報を記録あるいは消去するのに必要な強度で前記半導体レーザを発光させるよう、前記レーザ駆動装置の電流源の出力を制御する前記制御回路が、上記低域通過フィルターの出力から算出した発光強度の補正量を、適当な割合で、記録光強度の補正量と消去光強度の補正量に配分する。
【0013】
また、本発明によれば、前記に記載の半導体レーザ駆動装置において、前記記録媒体に情報を記録あるいは消去するのに必要な強度で前記半導体レーザを発光させるよう、上記光検出装置の出力をもとに、上記電流源の出力を制御する制御回路が、使用するレーザの駆動電流対発光出力特性曲線を適当な曲線と仮定し、その曲線に従って記録光強度と消去光強度の補正量を算出する。
【0014】
加えて、本発明では、上記の課題を解決するため、少なくとも光ディスク媒体の回転手段と、前記光ディスク媒体にレーザ光を照射する光ヘッドと、該光ヘッドに搭載された半導体レーザの駆動手段とを備える光ディスク装置であって、前記半導体レーザ駆動手段として前記に記載の半導体レーザ駆動回路を搭載した光ディスク装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いながら詳細に説明する。
【0016】
まず、図1は本発明の一実施の形態である半導体レーザ駆動装置のブロック図であり、ここでは、本装置を光ディスク装置のレーザ駆動回路として利用した場合について説明する。
【0017】
まず初めに、記録媒体から情報を再生する時のレーザ駆動回路の動作を説明する。半導体レーザ1は、レーザ駆動回路4からの駆動電流により発光する。この半導体レーザ1からの光は図示しない集光手段により情報記録媒体である光ディスク上に照射され、その一部は光検出器2により検出される。この光検出器2の出力は、比較器3に入り、この比較器3は、上記光検出器2からの信号が再生目標電圧50と等しくなるよう、レーザ駆動回路4に所定の信号をフィードバックする。このフィードループにより、情報の再生時のレーザの発光強度は一定に制御される。なお、かかるフィードバックループを構成する半導体レーザの駆動回路部分は既知のものである。
【0018】
次に、上記図1において、情報の再生動作から、記録・消去動作へ移行する過程について説明する。この情報の再生から、記録・消去動作への移行、及び、その逆の、情報の記録・消去動作から情報の再生への移行は、マイクロコンピュータ(以下、単に「マイコン」と言う)6により行われる。
【0019】
情報の再生動作から、記録・消去動作へ移行する時、マイコン6は、その出力である電気信号によりスイッチ51を開く。このスイッチ51を開くと、上記比較器3の入力は、コンデンサ52により一定に保持(ホールド)される。このように、比較器3の入力が一定になることから、この比較器3の出力、レーザ駆動回路4の入力、及び、レーザ駆動回路4から半導体レーザ1に送られる再生光の駆動電流も一定になる。この状態で、上記マイコン6は、記録、消去光の発光指令をレーザ駆動回路4に送り、記録、消去光を発光させる。
【0020】
一方、半導体レーザ1の記録光、消去光の強度の制御は、同様に上記マイコン6から、レーザ駆動回路4にアナログ信号として送られる。この発光強度制御信号は、上記図1に示す低域通過フィルター(ローパスフィルター)5、及び、ADC(アナログ・ディジタル・コンバータ)7を経由してマイコン6へ送られる光検出器2の出力信号を基に制御される。
【0021】
ここで、この発光強度制御信号を発生する上記の低域通過フィルター5、ADC7、及びマイコン6による、レーザの記録・消去時の発光強度制御の機構について、以下に説明する。
【0022】
まず、上記半導体レーザ1からの光を検出する上記光検出器2からの検出信号は、上記比較器3と共に、低域通過フィルター5へも入力される。この低域通過フィルター5は、その遮断周波数が、上記の記録・消去のパルスレーザ光の周波数よりも遅く設定されており、そのため、上記記録・消去時に、光検出器2から低域通過フィルター5へ入力されるパルス波形を平均化する効果を奏する。この平均化された信号の値は、記録・消去の時間配分を考慮して、レーザ発光強度を平均した値になる。
【0023】
具体的に記述すると、例えば、半導体レーザ1が、図2に示す波形の連続波形を発光した時には、上記光検出器2の出力は、その記録時にはpw(V)、消去時にはpe(V)になる。また、その発光時間は、時間周期8Tの間に、上記記録光(pw(V))と消去光(pe(V))とが、それぞれ、2T(=1T+1T)及び4.5T(=1T+3.5T)の期間だけ発光し、残りの1.5T(=1T+0.5T)の期間が、両者に比べほとんど無発光の状態となる。
【0024】
すると、この時、上記の低域通過フィルター5は、入力電圧を時間的に平均化し、図に破線で示すように、(2pw+4.5pe)/8(V)の一定電圧を出力する。一方、情報の再生時には、レーザの発光強度は一定(=pr)であることから、この低域通過フィルター5は、情報の検出(再生)時には、上記(2pw+4.5pe)/8(V)よりも低いpr(V)(但し、図示せず)を出力することとなる。そして、ADC7は、この低域通過フィルター5からの信号をディジタル信号に変換し、この変換したディジタル信号をマイコン6へ送る。
【0025】
マイコン6は、上記記録・消去時に検出した(2pw+4.5pe)/8(V)から、この時の記録光及び消去光の変化分を見積もり、発光強度制御信号に補正をかけ、レーザ駆動回路4に与える。ここで、マイコン6は、補正量を見積もる前に、上記(2pw+4.5pe)/8(V)のオフセット分(即ち、情報再生時の低域通過フィルター5の出力)を除くため、まず、情報再生時での低域通過フィルター5からの出力電圧(2pw+4.5pe)/8(V)と、情報再生時での低域通過フィルター5からの出力信号pr(V)との差分信号、すなわち、(2pw+4.5pe)/8−pr(V)を算出する。そして、マイコン6は、その内容は後に述べるが、この算出した差分信号の変化分を基にして、上記記録光と消去光の補正量の見積もりを行う。なお、以上の記録・消去時の発光量の制御は、必ずしも上述のマイコン6及びADC7を用いることなく、これを電子回路によりアナログ的に制御してもよいことは当業者にとって当然であろう。
【0026】
ここで、さらに、本発明の特徴をなす上記低域通過フィルター5の遮断周波数の設定について説明を加える。
すなわち、この低域通過フィルター5の遮断周波数は、情報検出時の一定入力信号がフィルター通過後、記録・消去時のパルス光の検出信号により変動しない程度に高く、且つ、記録・消去時のパルス光の検出信号を平均化して一定電圧を出力できる程度に低くなければならない。
【0027】
かかる低域通過フィルター5の遮断周波数の領域は、具体的には、情報を記録・再生する光ディスク等の、いわゆる記録媒体のセクタ−の繰り返し周波数以上で、且つ、その記録されたデータ列中に現れる信号の最大周波数以下の範囲に含まれる。
【0028】
ここで、実際に試作した2次の低域通過フィルター5から、遮断周波数に対する再生時のフィルター出力、及び、記録・消去時のフィルター出力の変動量を、レーザ光強度に換算して測定した。その結果、このフィルター5では、再生時のフィルター出力の変動を5%以内に、且つ、記録・消去時のフィルター出力の変動を3%以内に抑える為には、実験的に、その遮断周波数を約20kHz以上で100kHz以下に設定すればよいことがわかった。
【0029】
さらに、上記に試作した2次の低域通過フィルター5の遮断周波数を50kHzに設定し、情報再生時、及び、図2の波形の繰り返し波形による発光時の、上記フィルター5への入力信号及び出力信号を実際に測定した。その結果、図示はしないが、情報の再生時には、当然のことながら、上記フィルター5への入力信号及びそれからの出力信号は、両者とも一定値になる。
【0030】
また、上記図2の波形の繰り返し波形発光時における上記に試作した2次の低域通過フィルター5の入力信号及び出力信号を実際に測定した実測結果を図4及び図5に示す。これら図4と図5をを比較すると明らかなように、低域通過フィルター5の平均化により、発光強度に応じて変動する入力信号(図4)が一定値として出力される(図5)ことがわかる。なお、ここでは、情報の記録・消去の波形を図2の繰り返し波形として説明した。また、この波形は、情報の記録・消去を行うのに先立ち、再生タイミングをとる信号を記録媒体に記録するための波形の一例である。そして、上記マイコン6が記録・消去パルスの光強度を検出するタイミングは、情報の記録・消去時であってもよいが、これを特に再生タイミング検出用信号の記録時、すなわち、上記図2の波形の繰り返し波形発光時に光強度を検出するようにすることにより、ここでは記録・消去光の発光時間比率が等しい為、より補正精度がよくなる。
【0031】
次に、マイコン6により、上記低域通過フィルター5の出力から記録光、消去光の補正量を見積もる方法について、以下に幾つか実例を基にして説明する。
ところで、記述のように、最近開発が進められている短波長の赤色レーザ(波長≦660nm)では、従来の半導体レーザとは異なり、その電流対発光強度の傾きが必ずしも一定であるとは言えず、閾値電流値が変わるだけのものだけではなく、その傾きが変わるもの、さらには、特性曲線が途中で折れ曲がる特性を持つものがあることがわかってきている。
【0032】
すなわち、本発明の実施の形態では、実際のレーザの駆動電流対発光強度特性は、温度によって変化し、その変化の様子にはばらつきがあり、それらは大きく分けると添付の図7、8、9に示す3通りに分類されるものとしている。ここでは、駆動電流対発光強度の傾き(量子効率ともいう)の変化をΔη、さらに、高パワー側での折り曲がりがある特性に対して、高パワー側でのパワーをΔpとして表している。具体的には、図7の例は、駆動電流対発光強度の傾きが変化するケース(Δη≠0、Δp=0)、図8は曲線が途中で折れ曲がるケース(Δη=0、Δp≠0)、そして、図9は、傾きが変化し、且つ、途中で折れ曲がるケースである(Δη≠0、Δp≠0)。
【0033】
そして、これらレーザの駆動電流対発光強度特性が図6に示す曲線になると仮定し、この特性曲線をもとに補正を行う方法を案出したものである。なお、この特性曲線は、レーザの駆動電流対発光出力の傾きが、図6中の適当な点Aで折れ曲がると仮定した仮想曲線である。
【0034】
なお、ここで、使用するレーザの駆動電流対発光強度特性の温度変化が既知であれば、その特性をもとに制御を行うことができる。しかしながら、任意のレーザを使用した場合、そのレーザの駆動電流対発光強度特性の温度変化がどのようになるかは不明である。そこで、本発明では、上記の図6に示す仮想曲線を用い、この曲線の傾きが変わる点Aを適当に設定し、この曲線をもとに補正を行うものである。
【0035】
上記の仮想曲線を用いた補正手順を、以下に説明する。
図1の低域通過フィルター5へ入る信号を図2の波形の連続波形とすると、情報の記録・消去時と再生時の低域通過フィルター5の出力の差分は、{(2pw+4.5pe)/8}−prとなる。この値をI1とする。
【0036】
ここで、半導体レーザの温度が変化して駆動電流対発光強度特性が変化し、情報の記録・消去時と再生時における低域通過フィルター5の出力の差分がI2に変化したとする。そこで、レーザの駆動電流対発光強度特性が上記の図6の曲線に従うものとすると、このI2は、以下のように表される。
I2={(2pw’+4.5pe’)/8}−pr
【0037】
そこで、図6中、OA:OB=a:1、(iw−ith)/(ie−ith)=m、そして、変化前の直線の傾きをαとおくと、幾何学的な計算により、記録・消去時の補正量ΔiwとΔieは、それぞれ、以下のように計算される。
Δiw=8(ie−ith)(m−a)(I1−I2)/{2(m−a)+4.5(1−a)}{(ie−ith)α−(I1−I2)}
Δie=8(ie−ith)(1−a)(I1−I2)/{2(m−a)+4.5(1−a)}{(ie−ith)α−(I1−I2)}
【0038】
すなわち、この分だけ駆動電流を増やすよう、マイコン6からレーザ駆動回路4に信号が送られる。
【0039】
次に、上記の制御法による補正誤差の最大値を見積もる。補正後、記録・消去時の発光強度は、それぞれ、pw”、pe”になったとする。実際のレーザの発光強度の変化は、上記の図7、8、9の何れかに従うものであることから、上記図7、8、9中の強度変化ΔP、傾き変化Δηが最大で、それぞれ、±10%、±20%変動するとして、α=1、m=2.4とし、上記の補正による補正誤差、すなわち、(pw”−pw)/pwと(pe”−pe)/peとの絶対値を計算した。
【0040】
以上のように算出された誤差の最大値をa(=OA/OB)の値に対して図示すると、図10に示すグラフのようになる。この図10から、a=50%の時、補正誤差を最小にでき、常に、この誤差を5%以内にできることがわかった。以上のように、上記図6に示す点Aで折れ曲がると仮定した仮想曲線を設定することにより、低い値の誤差精度で誤差補正を行うことが可能になる。レーザの発光特性の経時変化等によって、こうしたモデルによって、常に補正誤差が小さくできるわけではない。本補正方法では、a=0.5付近、すなわち、消去パワーpeの1/2程度で折れ曲がりが発生すると仮定すると、仮定可能なレーザに対しては、本補正方法が非常に有効であることが分る。
【0041】
図11は、本発明の別の実施の形態になる補正手段の別の一例である。すなわち、この例では、上記の低域通過用のローパスフィルター5で平均化したフロントモニタである光検出器2の出力Iは、
I=(2pw+4.5pe)/8
と表されるため、このΔIの変化を適当な比率βでiw、ieに配分し、次式で補正を行うことが特徴である。
Δiw/iw=−β(ΔI/I)8/2
Δie/ie=−(1−β)(ΔI/I)8/4.5
レーザの特性によっては、こうした差分(ΔI/I)に対する比例補正が簡便で高精度に得られる場合がある。本補正方法による補正誤差を前述と同じ前提に基づいて計算した結果を以下に説明する。
【0042】
そして、上記図11は、上記のβと補正誤差の関係を表すグラフであり、この図からも分かるように、強度変化ΔP、傾き変化Δηが最大でそれぞれ、±10%、±20%変動しても、このβの値を約0.6とすることにより、上記の全ての場合においてその補正誤差を4%以下にすることが可能である。
【0043】
このように、上記の低域通過フィルター5は、入力されるパルス波形を平均化する効果を奏するように、その遮断周波数が、上記の記録・消去のパルスレーザ光の光周波数よりも遅く設定されており、かつ、前記光検出装置からの入力信号を、当該半導体レーザの駆動電流対発光出力の傾きが途中で折れ曲がって変化する仮想曲線と仮定し、この曲線に従って光強度の補正量を算出して前記半導体レーザに供給する電流を制御している。そのため、比較的低い周波数で動作する電子部品を使い、高速で動作する電子部品からなる装置を使う必要がないことから、比較的安価にレーザ光強度を高精度に検出して制御することの可能な半導体レーザ駆動装置を提供することが可能となる。
【0044】
最後に、上記にその詳細な構造と動作について説明した半導体レーザ駆動装置を実装した光ディスク装置、すなわち、情報記録再生装置の一例を図12を用いて説明する。かかる装置では、情報記憶媒体である光ディスク媒体8はモータ162により回転される。光ディスク媒体8への情報の記録あるいは消去は、以下のように行われる。
【0045】
まず、半導体レーザ駆動回路171は、中央制御手段151(上記のマイコン6と兼用することも可能である)によって指令された光強度になるように、半導体レーザ131を制御してレーザ光122を発生させる。このレーザ光122は、例えば光学レンズなどの集光手段132によって集光され、これにより、光ディスク媒体8上に光スポット9を形成する。この光スポット9により光ディスク媒体8は局所的に加熱され、この加熱された部分に情報の記録、消去が行われる。一方、情報の再生は、上記光スポット9からの反射光123を、光検出手段133で検出して行われる。この光検出手段は、通常、複数に分割された光検出器から構成されており、再生手段191は、この光検出器からの再生信号130を用いて、光ディスク媒体8上に記録された情報を再生することとなる。
【0046】
そして、かかる光ディスク装置では、上記した本発明の半導体レーザ駆動装置を実装することにより、駆動電流対発光強度特性の温度依存が異なるレーザを用いた場合でも、常に、一定の光強度での記録・消去光を発光させることができる為、安定して高密度の情報の記録再生が可能になる。また、光ディスク装置全体としても、比較的低コストで構成することが可能になる。
【0047】
【発明の効果】
上記の詳細な説明からも明らかなように、本発明になる半導体レーザ駆動装置及びそれを利用した光ディスク装置によれば、短波長の赤色レーザを使用した場合にも、比較的低い周波数で動作する電子部品を使ってパルス発光するレーザの発光強度の制御を行うことが可能であることから、情報の記録・再生時のレーザの発光強度の制御を、比較的安価な電子部品を用いて行い、もって、低価格で半導体レーザ駆動装置を構成し、かつ、かかる半導体レーザ駆動装置を光ディスク装置に用いることにより、駆動電流対発光強度特性の温度依存が異なるレーザを用いた場合でも、常に、一定の光強度での記録・消去光を発光させることができ、安定した高密度の情報の記録再生が可能な光ディスク装置を提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる半導体レーザ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記半導体レーザ駆動装置における情報記録時のレーザの発光強度の時間変化の一例を示す図である。
【図3】低域通過フィルターの遮断周波数対再生時のフィルター出力レベル及び記録・消去時のフィルター出力レベルの変動量を示す特性図である。
【図4】上記低域通過フィルターの特性を説明するため、入力信号の実際の波形の一例を示す図である。
【図5】上記低域通過フィルターの特性を説明するため、出力信号の実際の波形の一例を示す図である。
【図6】本発明において、半導体レーザの発光強度の補正に用いる、仮想的なレーザの駆動電流対発光強度を示す説明図である。
【図7】本発明における半導体レーザレーザの駆動電流対発光強度特性の温度変化の一例を示す図である。
【図8】本発明における半導体レーザレーザの駆動電流対発光強度特性の温度変化の他の一例を示す図である。
【図9】本発明における半導体レーザレーザの駆動電流対発光強度特性の温度変化の更に他の一例を示す図である。
【図10】上記半導体レーザの発光強度の補正誤差における最大値を示すための特性図である。
【図11】本発明の他の実施の形態になる半導体レーザ駆動装置を説明するため、半導体レーザの発光強度の補正誤差の最大値を示す特性図である。
【図12】上記本発明の半導体レーザ駆動装置を用いた光ディスク装置の構成図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 光検出器
3 比較器
4 レーザ駆動回路
5 低域通過フィルター(ローパスフィルター)
6 マイコン
7 ADC
50 再生目標電圧
51 スイッチ
52 コンデンサ
8 光ディスク媒体
9 光スポット
122 レーザ光
131 半導体レーザ
151 中央制御手段
162 モータ
171 半導体レーザ駆動回路
Claims (7)
- 光ディスク装置に組み込まれる半導体レーザ駆動装置であって、半導体レーザに供給する電流源を備えたレーザ駆動装置と、前記半導体レーザの発光強度を検出する光検出装置と、該光検出装置からの信号を入力とする低域通過フィルターと、情報を記録または消去する時の前記低域通過フィルターの出力から、情報を再生する時の前記低域通過フィルターの出力を減算した差の値をもとに、情報を記録あるいは消去するのに必要な強度で、前記半導体レーザを発光させるよう、前記レーザ駆動装置から前記半導体レーザに供給する電流を制御する制御回路とを具備し、更に、前記低域通過フィルターの遮断周波数を、情報の記録又は消去するためのパルスレーザ光の周波数よりも遅く、かつ、情報検出時の一定入力信号が当該フィルターを経過後、当該情報の記録又は消去するためのパルスレーザ光の検出信号により変動しない程度に高く設定し、かつ、前記光検出装置からの入力信号を、当該半導体レーザの駆動電流対発光出力の傾きが途中で折れ曲がって変化する仮想曲線と仮定し、この曲線に従って光強度の補正量を算出して前記半導体レーザに供給する電流を制御することを特徴とする半導体レーザ駆動装置。
- 前記請求項1に記載した半導体レーザ駆動装置において、前記減算した差の値をもとに、情報を記録または消去する時の前記低域通過フィルターの出力からオフセット分を除いた値を算出し、該値により前記電流を制御することを特徴とする半導体レーザ駆動装置。
- 前記請求項1に記載した半導体レーザ駆動装置において、上記低域通過フィルターの遮断数波数が、記録媒体のセクターの繰り返し周波数以上であり、且つ、データ列中に現れる信号の最大周波数以下であることを特徴とした半導体レーザ駆動装置。
- 前記請求項2に記載の半導体レーザ駆動装置において、前記情報を記録または消去する時の前記低域通過フィルターの出力は、再生タイミング検出用信号を記録する時の前記低域通過フィルターの出力であることを特徴とした半導体レーザ駆動装置。
- 前記請求項2に記載の半導体レーザ駆動装置において、前記記録媒体に情報を記録あるいは消去するのに必要な強度で前記半導体レーザを発光させるよう、前記レーザ駆動装置の電流源の出力を制御する前記制御回路が、上記低域通過フィルターの出力から算出した発光強度の補正量を、適当な割合で、記録強度の補正量と消去光の補正量に配分することを特徴とした半導体レーザ駆動装置。
- 少なくとも光ディスク媒体の回転手段と、前記光ディスク媒体にレーザ光を照射する光ヘッドと、該光ヘッドに搭載された半導体レーザの駆動手段とを備える光ディスク装置であって、前記半導体レーザの駆動手段として請求項1から6のいずれかに記載の半導体レーザ駆動回路を搭載していることを特徴とする光ディスク装置。
- 前記請求項1において、前記低域通過フィルターの遮断周波数を、約20kHz以上で100kHz以下に設定したことを特徴とする半導体レーザ駆動装置。
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