JP3824727B2 - 種子の発芽を促進する方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業や園芸等の分野での種子の発芽を促進する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、貝割れ大根、芥子菜、チンゲン菜などビタミン、ミネラルが豊富な葉菜ものの野菜は、人々の健康指向を反映して需要が増加しているので、これらの大量栽培技術の開発が切望されている。その一環として種子の発芽促進技術があるが、一般に種子の発芽促進は、外的条件すなわち水量、酸素濃度、温度及び光を最適値に組み合わせることにより行われている。
【0003】
多くの種子の採取時の含水量は20%以下と低く、その低い水分量が発芽を抑制しているので種子の長期保存が可能になっている。しかし、発芽には十分な水が必須である。種子が十分に吸水すると胚乳や子葉に貯蔵されている澱粉、蛋白質が分解するが、その過程で酸素が必要になり種子が呼吸することになる。一般に酸素が不足すると発芽は抑制され、また多すぎても成長抑制に働くこともある。適切な濃度は個々の植物により異なるが、ほとんどの種子に対して大気中の酸素濃度である21%の環境下で発芽をさせれば問題はない。
【0004】
特別の種子を除いて、温度は15から40°Cが最適発芽温度であることから、冬季においては適宜加温することで温度調節を行い、夏期においては異常に高温にならない環境を設定する必要がある。光は植物が生育するうえで必要不可欠な光合成に大いに関わるが、普通の種子の発芽に対してほとんど影響しない。例外としてレタス、南瓜など一部の作物と野性植物の多くの種類で発芽に影響し、光照射のもとで発芽が促進される明発芽性種子がある。その種子には波長660nmを中心とする赤色光を照射した後で、暗所に置くと発芽が一層促進される。反対に、暗所で発芽が促進される暗発芽性種子もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
種子の発芽は、上記した外的条件が整い成熟胚が成長を開始したことを意味する。そのため、最適な外的条件を整備することが従来の種子の発芽促進方法であった。
【0006】
しかし、最適条件下でも、種子の発芽には最低2日から3日かかるのが一般的であり、特に葉菜ものは生育期間の1/3から1/20を発芽に費やすため、発芽の促進が生産効率の向上、およびコスト低減を図るために重要な課題となっている。
【0007】
本発明は、種子の発芽促進に関する上記課題を解決するものであって、発芽期間を短縮し発芽率を向上させることにより生産効率を向上させ、コスト低減を可能とする種子の発芽を促進する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の種子の発芽を促進する方法では、炭酸ガスを含有した水を水電解装置の陽極室に給液して電解し、電解によって得られる酸化水のpHを4.0以上、酸化還元電位を900から1050mVに調節し、この酸化水に種子を浸漬することにより種子の発芽を促進する。
【0009】
酸化水製造のための電解は、イオン交換膜を介して形成した水電解装置の陽極室及び陰極室に配置されている陽極と陰極との間に4〜25Vの極間電圧をかけて行う。この時、陽極室からは電解によりpHが5.5以下、酸化還元電位900mV以上の炭酸イオンを含む酸化水が得られる。
【0010】
発芽促進にはpHが4.0以上、酸化還元電位が900から1050mVの酸化水が好ましい。酸化還元電位が900から1050mVの電位を持つ酸化水は、種子の胚を被覆している種皮に対する水の浸透性が良くなり、その結果種皮の脱皮が促進される。また、酸化水中に含有している炭酸イオンは、種子の酵素を活性化して胚乳や子葉に蓄えられている澱粉、脂肪、蛋白質の分解に関与し、それらを糖質、グリコーゲン、脂肪酸やアミノ酸などに変えることにより細胞組織の早期育成に寄与するものと考えられる。また、発芽時にはより多くの酸素を必要とするが、普通の水に比較して本発明の酸化水にはより多くの酸素を溶存しているので呼吸を補助すると考えられる。
【0011】
酸化還元電位が900mV未満の酸化水では、これらの作用が具現されない。一方、酸化還元電位が1050mVを超える酸化水では、種子の発芽は促進されるが、発芽後の芽の成長が極端に抑制される。
【0012】
酸化水のpHが4.0未満である場合には、多くの種子で細胞破壊を来し、ついには腐敗に至る。またpHを4.0以上にすることにより陰極で生成するアルカリイオン水のpHが高くならないので、アルカリイオン水をそのまま放流することができるとともに、陰極表面上へ原水中に含有されているカルシウム、マグネシウムの水酸化物が析出するのが抑制される結果として、電解装置の寿命が伸長するという副次的な効果もある。
【0013】
本発明の酸化水の製造時に水に添加する物質は、炭酸ガスである。その添加量は、できるだけ少ない方がコスト、陰極水の処理あるいは安全性の観点から好ましく、50から1000ppm添加するのが良い。
【0014】
添加物質が炭酸ガスであることから、この酸化水には従来の酸化水に含有されている塩素、次亜塩素酸やナトリウムイオンが含まれない。このことは、発芽後の排水の処理が容易であるばかりでなく、種子に対する悪影響が非常に少ないという長所がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する酸化水は、炭酸ガスを含有した水を水電解装置の陽極室に給液し、これを電解することにより製造する。
【0016】
酸化水製造用の電解装置の電極や材質は、特に限定されない。一般に、アルカリイオン水、脱酸素水、あるいはオゾンやオゾン水の製造に使用されている電極であれば問題なく使用できる。電極の基本構造は、ナフィオンなどの陽イオン交換膜を挟んで陰陽両極にチタン、ステンレス、あるいはそれらに白金メッキした材料のグリッド、エキスパンド、打ち抜き板、多孔板等を積層あるいは多層で密着させ、積層板あるいは多層板の一枚または数枚に集電体を取り付けたのち、プラスチック、アルミニウム、あるいはステンレス製のケースに収納する。電極には炭素系の材料も使用できる。
【0017】
陰極室に少量の水道水あるいはイオン交換水を給水しながら、陽極室に炭酸ガスを50から1000ppm含有する溶液を供給し、極間電圧4から25Vで電気分解することで、好適な酸化水を製造することができる。陰極室に供給する水は、陰極を構成する金属材料の表面上に水に含有されているカルシウムやマグネシウム塩が析出するのを防止するうえからイオン交換水が好ましい。水道水の使用によりカルシウムやマグネシウム塩が析出したら、適宜酢酸などの酸類か極性変換により溶出除去して使用しないと電極間の抵抗が上昇して連続運転することが不可能になる。
【0018】
炭酸ガスを添加する場合の添加量は、50から1000ppmが好ましく、100から500ppmがより好適である。炭酸ガスの添加は、ボンベから気体で添加してもよく、固体のドライアイスで添加してもよい。炭酸ガス含有液から酸化水を製造するのは、生成する酸化水の物性の制御がし易く、且つ電気分解が容易であるという特長もある。
【0019】
極間電圧は、前述の陰極表面への塩類の析出による電極間の抵抗の増大と酸化水に要求する酸化還元電位により制御する。通常の極間電圧は4から25Vであり、電極表面に塩類の析出がない時、あるいは酸化水に要求する酸化還元電位が低い時には、4から15Vでよい。
【0020】
製造されたpHが4.0以上、酸化還元電位が900から1050mVの酸化水に種子を24から72時間浸漬することにより発芽を促進する。浸漬に先立って、良質な種子を比重選別することおよび酸化水で洗浄することが好ましい。また、種子の表皮が硬い場合は、物理的な発芽促進方法である表皮に僅かに亀裂を入れることも何ら問題なく併用することができる。
【0021】
種子と酸化水の量的な比率は、酸化水を多めに使って種子を浸漬した後でも酸化水のpHや酸化還元電位の変化がないようにする必要がある。
種子を酸化水に浸漬する時間は、使用する種子の発芽のし易さ、表皮の硬さ、酸化水の温度や物理的な発芽促進の有無など多くの要因に依存する。一般的に、催芽が開始する直前に、あるいは催芽が開始したら酸化水から種子を取り出すことが好ましい。酸化水の温度が高く、且つ発芽し易い種子の場合には、24時間の浸漬で十分である。反対に、72時間以上の浸漬は好ましくなく、種子の腐敗を惹起することがある。
【0022】
なお、種子を浸漬している間、おおよそ24時間毎に新鮮な酸化水に置換することが好ましい。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に15Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH4.7、酸化還元電位940mVの酸化水が得られた。
【0024】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0025】
〔比較例1〕
シャレー内に酸化水の代わりに十分な量の水道水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0026】
〔比較例2〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に25Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH2.7、酸化還元電位1120mVの酸化水が得られた。
【0027】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0028】
〔比較例3〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に12Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH4.9、酸化還元電位820mVの酸化水が得られた。
【0029】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から、実施例1の貝割れ大根の種子の発芽率がきわめて高く、ひとめぼれの稲籾についての催芽後の芽の成長度も大で成長が良好であることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の種子の発芽を促進する方法によれば、発芽誘芽期間を短縮でき、発芽率が向上するので生産効率が向上し、コスト低減が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業や園芸等の分野での種子の発芽を促進する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、貝割れ大根、芥子菜、チンゲン菜などビタミン、ミネラルが豊富な葉菜ものの野菜は、人々の健康指向を反映して需要が増加しているので、これらの大量栽培技術の開発が切望されている。その一環として種子の発芽促進技術があるが、一般に種子の発芽促進は、外的条件すなわち水量、酸素濃度、温度及び光を最適値に組み合わせることにより行われている。
【0003】
多くの種子の採取時の含水量は20%以下と低く、その低い水分量が発芽を抑制しているので種子の長期保存が可能になっている。しかし、発芽には十分な水が必須である。種子が十分に吸水すると胚乳や子葉に貯蔵されている澱粉、蛋白質が分解するが、その過程で酸素が必要になり種子が呼吸することになる。一般に酸素が不足すると発芽は抑制され、また多すぎても成長抑制に働くこともある。適切な濃度は個々の植物により異なるが、ほとんどの種子に対して大気中の酸素濃度である21%の環境下で発芽をさせれば問題はない。
【0004】
特別の種子を除いて、温度は15から40°Cが最適発芽温度であることから、冬季においては適宜加温することで温度調節を行い、夏期においては異常に高温にならない環境を設定する必要がある。光は植物が生育するうえで必要不可欠な光合成に大いに関わるが、普通の種子の発芽に対してほとんど影響しない。例外としてレタス、南瓜など一部の作物と野性植物の多くの種類で発芽に影響し、光照射のもとで発芽が促進される明発芽性種子がある。その種子には波長660nmを中心とする赤色光を照射した後で、暗所に置くと発芽が一層促進される。反対に、暗所で発芽が促進される暗発芽性種子もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
種子の発芽は、上記した外的条件が整い成熟胚が成長を開始したことを意味する。そのため、最適な外的条件を整備することが従来の種子の発芽促進方法であった。
【0006】
しかし、最適条件下でも、種子の発芽には最低2日から3日かかるのが一般的であり、特に葉菜ものは生育期間の1/3から1/20を発芽に費やすため、発芽の促進が生産効率の向上、およびコスト低減を図るために重要な課題となっている。
【0007】
本発明は、種子の発芽促進に関する上記課題を解決するものであって、発芽期間を短縮し発芽率を向上させることにより生産効率を向上させ、コスト低減を可能とする種子の発芽を促進する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の種子の発芽を促進する方法では、炭酸ガスを含有した水を水電解装置の陽極室に給液して電解し、電解によって得られる酸化水のpHを4.0以上、酸化還元電位を900から1050mVに調節し、この酸化水に種子を浸漬することにより種子の発芽を促進する。
【0009】
酸化水製造のための電解は、イオン交換膜を介して形成した水電解装置の陽極室及び陰極室に配置されている陽極と陰極との間に4〜25Vの極間電圧をかけて行う。この時、陽極室からは電解によりpHが5.5以下、酸化還元電位900mV以上の炭酸イオンを含む酸化水が得られる。
【0010】
発芽促進にはpHが4.0以上、酸化還元電位が900から1050mVの酸化水が好ましい。酸化還元電位が900から1050mVの電位を持つ酸化水は、種子の胚を被覆している種皮に対する水の浸透性が良くなり、その結果種皮の脱皮が促進される。また、酸化水中に含有している炭酸イオンは、種子の酵素を活性化して胚乳や子葉に蓄えられている澱粉、脂肪、蛋白質の分解に関与し、それらを糖質、グリコーゲン、脂肪酸やアミノ酸などに変えることにより細胞組織の早期育成に寄与するものと考えられる。また、発芽時にはより多くの酸素を必要とするが、普通の水に比較して本発明の酸化水にはより多くの酸素を溶存しているので呼吸を補助すると考えられる。
【0011】
酸化還元電位が900mV未満の酸化水では、これらの作用が具現されない。一方、酸化還元電位が1050mVを超える酸化水では、種子の発芽は促進されるが、発芽後の芽の成長が極端に抑制される。
【0012】
酸化水のpHが4.0未満である場合には、多くの種子で細胞破壊を来し、ついには腐敗に至る。またpHを4.0以上にすることにより陰極で生成するアルカリイオン水のpHが高くならないので、アルカリイオン水をそのまま放流することができるとともに、陰極表面上へ原水中に含有されているカルシウム、マグネシウムの水酸化物が析出するのが抑制される結果として、電解装置の寿命が伸長するという副次的な効果もある。
【0013】
本発明の酸化水の製造時に水に添加する物質は、炭酸ガスである。その添加量は、できるだけ少ない方がコスト、陰極水の処理あるいは安全性の観点から好ましく、50から1000ppm添加するのが良い。
【0014】
添加物質が炭酸ガスであることから、この酸化水には従来の酸化水に含有されている塩素、次亜塩素酸やナトリウムイオンが含まれない。このことは、発芽後の排水の処理が容易であるばかりでなく、種子に対する悪影響が非常に少ないという長所がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する酸化水は、炭酸ガスを含有した水を水電解装置の陽極室に給液し、これを電解することにより製造する。
【0016】
酸化水製造用の電解装置の電極や材質は、特に限定されない。一般に、アルカリイオン水、脱酸素水、あるいはオゾンやオゾン水の製造に使用されている電極であれば問題なく使用できる。電極の基本構造は、ナフィオンなどの陽イオン交換膜を挟んで陰陽両極にチタン、ステンレス、あるいはそれらに白金メッキした材料のグリッド、エキスパンド、打ち抜き板、多孔板等を積層あるいは多層で密着させ、積層板あるいは多層板の一枚または数枚に集電体を取り付けたのち、プラスチック、アルミニウム、あるいはステンレス製のケースに収納する。電極には炭素系の材料も使用できる。
【0017】
陰極室に少量の水道水あるいはイオン交換水を給水しながら、陽極室に炭酸ガスを50から1000ppm含有する溶液を供給し、極間電圧4から25Vで電気分解することで、好適な酸化水を製造することができる。陰極室に供給する水は、陰極を構成する金属材料の表面上に水に含有されているカルシウムやマグネシウム塩が析出するのを防止するうえからイオン交換水が好ましい。水道水の使用によりカルシウムやマグネシウム塩が析出したら、適宜酢酸などの酸類か極性変換により溶出除去して使用しないと電極間の抵抗が上昇して連続運転することが不可能になる。
【0018】
炭酸ガスを添加する場合の添加量は、50から1000ppmが好ましく、100から500ppmがより好適である。炭酸ガスの添加は、ボンベから気体で添加してもよく、固体のドライアイスで添加してもよい。炭酸ガス含有液から酸化水を製造するのは、生成する酸化水の物性の制御がし易く、且つ電気分解が容易であるという特長もある。
【0019】
極間電圧は、前述の陰極表面への塩類の析出による電極間の抵抗の増大と酸化水に要求する酸化還元電位により制御する。通常の極間電圧は4から25Vであり、電極表面に塩類の析出がない時、あるいは酸化水に要求する酸化還元電位が低い時には、4から15Vでよい。
【0020】
製造されたpHが4.0以上、酸化還元電位が900から1050mVの酸化水に種子を24から72時間浸漬することにより発芽を促進する。浸漬に先立って、良質な種子を比重選別することおよび酸化水で洗浄することが好ましい。また、種子の表皮が硬い場合は、物理的な発芽促進方法である表皮に僅かに亀裂を入れることも何ら問題なく併用することができる。
【0021】
種子と酸化水の量的な比率は、酸化水を多めに使って種子を浸漬した後でも酸化水のpHや酸化還元電位の変化がないようにする必要がある。
種子を酸化水に浸漬する時間は、使用する種子の発芽のし易さ、表皮の硬さ、酸化水の温度や物理的な発芽促進の有無など多くの要因に依存する。一般的に、催芽が開始する直前に、あるいは催芽が開始したら酸化水から種子を取り出すことが好ましい。酸化水の温度が高く、且つ発芽し易い種子の場合には、24時間の浸漬で十分である。反対に、72時間以上の浸漬は好ましくなく、種子の腐敗を惹起することがある。
【0022】
なお、種子を浸漬している間、おおよそ24時間毎に新鮮な酸化水に置換することが好ましい。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に15Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH4.7、酸化還元電位940mVの酸化水が得られた。
【0024】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0025】
〔比較例1〕
シャレー内に酸化水の代わりに十分な量の水道水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0026】
〔比較例2〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に25Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH2.7、酸化還元電位1120mVの酸化水が得られた。
【0027】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0028】
〔比較例3〕
水電解装置の陽極室に炭酸ガスを500ppm添加した水道水(塩素イオン濃度30ppm)を毎分5リッター給液し、陽極と陰極の間に12Vの極間電圧をかけ酸化水を製造した。陽極室からpH4.9、酸化還元電位820mVの酸化水が得られた。
【0029】
その後、シャレー内に十分な量の酸化水を満たし、比重選別により抽出した良質な貝割れ大根の種子50粒とひとめぼれの稲籾30粒を浸漬した。25から27°Cの温度で2日静置、浸漬したときの貝割れ大根の発芽率、ひとめぼれの稲籾については催芽後の芽の成長度を調べた。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から、実施例1の貝割れ大根の種子の発芽率がきわめて高く、ひとめぼれの稲籾についての催芽後の芽の成長度も大で成長が良好であることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の種子の発芽を促進する方法によれば、発芽誘芽期間を短縮でき、発芽率が向上するので生産効率が向上し、コスト低減が可能となる。
Claims (1)
- 炭酸ガスを含有した水を水電解装置の陽極室に給液して電解し、電解によって得られる酸化水のpHを4.0以上、酸化還元電位を900から1050mVに調節し、この酸化水に種子を浸漬することを特徴とする種子の発芽を促進する方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP03224897A JP3824727B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 種子の発芽を促進する方法 |
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JP03224897A JP3824727B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 種子の発芽を促進する方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10229709A JPH10229709A (ja) | 1998-09-02 |
JP3824727B2 true JP3824727B2 (ja) | 2006-09-20 |
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ID=12353718
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CN103621219A (zh) * | 2013-12-18 | 2014-03-12 | 陇西县效德中药材有限责任公司 | 黄芩种子的处理方法 |
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1997
- 1997-02-17 JP JP03224897A patent/JP3824727B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10229709A (ja) | 1998-09-02 |
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