JP3824023B2 - 生理活性ペプチドを含有する経粘膜投与製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理活性ペプチドに、下記一般式〔1〕
【0002】
【化2】
(なお式中、Rはアルキル基、mは2〜4の整数、nは1〜15の整数を示す。但しnが1〜3の場合にはRは炭素数5〜11のアルキル基を示す)で表されるアザシクロアルカン誘導体よりなる群から選ばれる1種または2種以上の吸収促進剤と血管拡張作用を持つ化合物とを配合することを特徴とする経粘膜投与製剤に関するもので、生理活性ペプチドを粘膜より効率よく吸収させることにより医療上有効な効果を有する生理活性ペプチドを含有する経粘膜投与製剤に関する。
【0003】
【従来の技術】
インシュリン、カルシトニンなどの生理活性ペプチドは通常注射剤の形態で投与されている。しかし、注射剤による投与は患者の通院を必要とし、苦痛を伴うことから、在宅投与のできる投与剤型が望まれている。
また、生理活性ペプチドの経口投与製剤では、消化管からの吸収が著しく低く、タンパク分解酵素による分解、肝臓による初回通過効果を受けるため実用化には至っていなかった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決すべく、経粘膜投与製剤として鼻粘膜また直腸粘膜から種々の吸収促進剤を用いて吸収を増加させることが試みられている。吸収促進剤としては、界面活性作用を持つ胆汁酸塩類、例えばタウロコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸リジン、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸リジンなど(特開昭59−130820号公報、EP公開第115627号明細書、特開平1−228919号公報、米国特許第5149537号明細書)、または例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルメチルアンモニウムブロミドのようなエチレンオキシド付加長鎖アミン縮合産物及び四級アンモニウム化合物の陽イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシル−n−アルキルタウリン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン高級アルコールエーテル、ポリアルキレンアルキルフェノール類のような非イオン界面活性剤などの界面活性剤(特開平4−247034号公報)等を用いた経鼻投与剤が多く報告されている。
【0005】
また、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸アルカリ塩(一または二ナトリウム、一または二カリウム)などのグリチルリチン酸類塩類(特開平2−42027号公報、特開平3−5427号公報)、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、モノまたはジメチル化シクロデキストリン(α−、β−またはγ−)などのシクロデキストリン類(特開昭58−189118号公報、EP公開94157号明細書)、炭素数8〜18のアシル基を有するO−アシル−L−カルニチン類(特開昭63−10735号公報、EP公開215697号明細書)やキレート剤、ポリアクリル酸ゲル基剤、カプリン酸ナトリウム(US4476116号明細書)を鼻粘膜または直腸粘膜からの吸収促進剤として用いた経膜投与剤が多く報告されている。
さらに、下記一般式〔1〕
【0006】
【化3】
(なお式中、Rはアルキル基、mは2〜4の整数、nは1〜15の整数を示す。但しnが1〜3の場合にはRは炭素数5〜11のアルキル基を示す)で表されるアザシクロアルカン誘導体(特開昭62−238261号公報)が優れた吸収促進作用をもつことが知られている。
【0007】
さらに例えば、胆汁酸塩類及びフシジン酸誘導体の使用例としてJ.Japan Diab.Soc.,20(2),146−152(1977)/Proc.Nati.Acad.Sci.USA,82,No.21:7419−7423(1985)/pharm.Res.,9(1),52−57(1992)などがある。しかしながら、これらの吸収促進剤は、鼻への刺激および粘膜への損傷を引き起こすため使用に耐えられないことが分かった。
このように、吸収促進剤を用いた製剤は吸収性あるいは局所刺激性の点では十分とは言えず、いまだ実用化されるに至っていないというのが実情であった。そこで、ペプチド医薬品の吸収性を上げることができるかが実用化の大きなカギを握っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は生理活性ペプチドを鼻粘膜、口腔粘膜、肺粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、眼粘膜及び消化管粘膜から全身に十分な薬効を期待するために吸収良く、しかも粘膜に対する障害性の少ない経粘膜吸収製剤を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、吸収性および安全性に優れ、副作用の少ない生理活性ペプチドを含有する経粘膜吸収製剤を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに公知の吸収促進剤と血管拡張作用を有する化合物、例えば、カルシウムチャネル阻害剤あるいはプロスタグランE1、硝酸イソソルビド、ニトログリセリンを配合することによって意外にもペプチド類の吸収性を著しく向上させることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は生理活性ペプチドに、前記一般式〔1〕
【0011】
【化4】
(なお式中、Rはアルキル基、mは2〜4の整数、nは1〜15の整数を示す。但しnが1〜3の場合にはRは炭素数5〜11のアルキル基を示す)で表される、アザシクロアルカン誘導体よりなる群から選ばれる1種または2種以上の吸収促進剤と血管拡張作用を持つ化合物の組み合わせからなる生理活性ペプチド含有経粘膜投与製剤を提供するものである。また、本発明に関連するものとしては生理活性ペプチドに、公知の吸収促進剤と血管拡張作用を持つ化合物の組み合わせからなる生理活性ペプチド含有経粘膜投与製剤がある。一方、血管拡張作用を有する化合物それ自身には粘膜からの吸収促進作用はほとんどないかあるいは促進されたとしてもほんのわずかであることから従来技術から全く予測し得ないことであった。
【0012】
本発明に用いられる吸収促進剤とは薬物の生体膜透過性を変化させ、吸収を著増し、バイオアベラビリティを増加させるものの総称であり、吸収促進剤としては、鼻粘膜または直腸粘膜に対して生理活性ペプチドの吸収促進作用を有するものであって、生理活性ペプチドとしてインシュリンを用いた鼻粘膜または直腸粘膜からの吸収改善率として吸収促進剤を用いない製剤に対して200%以上の吸収促進作用を有する吸収促進剤であればよく、好適には500%以上の吸収促進作用を有する吸収促進剤である。
【0013】
このような吸収促進剤としては、鼻粘膜または直腸粘膜に対して生理活性ペプチドの吸収促進作用を有するものとして公知の吸収促進剤が挙げられ、例えば界面活性作用を持つ胆汁酸塩類、例えばタウロコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸リジン、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸リジンなど、または例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルメチルアンモニウムブロミドのようなエチレンオキシド付加長鎖アミン縮合産物及び四級アンモニウム化合物の陽イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシル−n−アルキルタウリン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン高級アルコールエーテル、ポリアルキレンアルキルフェノール類のような非イオン界面活性剤などの界面活性剤、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸アルカリ塩(一または二ナトリウム、一または二カリウム)などのグリチルリチン酸類塩類、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、モノまたはジメチル化シクロデキストリン(α−、β−またはγ−)などのシクロデキストリン類炭素数8〜18のアシル基を有するO−アシル−L−カルニチン類やキレート剤、ポリアクリル酸ゲル基剤、カプリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0014】
さらに好ましい吸収促進剤としては例えば、胆汁酸類塩類、フシジン酸類塩類、グリチルリチン酸類塩類、O−アシル−L−カルニチン塩類、リン脂質、非イオン性界面活性剤、シクロデキストリン類、高級脂肪酸、1−アルキル−2−ピロリドン誘導体、1−ドデシルアザシクロヘプターン−2−オン(Azone)、バシトラシン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび下記一般式〔1〕
【0015】
【化5】
(なお式中、Rはアルキル基、mは2〜4の整数、nは1〜15の整数を示す。但しnが1〜3の場合にはRは炭素数5〜11のアルキル基を示す)で表されるアザシクロアルカン誘導体よりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0016】
また胆汁酸類塩類としては、例えばタウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
フシジン酸類塩類としては、例えばフシジン酸ナトリウム、タウロ−24、25−ジヒドロフシジン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0017】
グリチルリチン酸類塩類としては、例えばグリチルリチン酸塩、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸ジナトリウム(カルベニキソロン)よりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
O−アシル−L−カルニチン塩類としては、例えばアシル基の炭素数8〜18のO−アシル−L−カルニチン塩類が挙げられ、好適にはO−オクタノイル−L−カルニチン塩酸塩、O−ラウロイル−L−カルニチン塩酸塩、O−パルミトイル−L−カルニチン塩酸塩が挙げられる。
【0018】
リン脂質としては、例えばフォスファチジルコリン(レシチン)、リゾフォスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾフォスファチジルグリセロールよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類、ショ糖脂肪酸エステル類よりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられ、好適にはポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(Laureth−9)、ポリオキシエチレン(24)コレステリルエーテル(Choleth−24)が挙げられる。
【0019】
さらにシクロデキストリン類としては、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリンよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば炭素数16〜20の高級脂肪酸が挙げられ、好適にはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸よりなる群から選ばれる炭素数18の高級不飽和脂肪酸の1種または2種以上が挙げられる。
【0020】
1−アルキル−2−ピロリドン誘導体としては、そのアルキル基が炭素数4〜12よりなる群から選ばれる化合物の1種または2種以上が挙げられ、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基およびドデシル基よりなる群から選ばれるアルキル基を有する化合物が挙げられる。
【0021】
また、一般式〔1〕で表されるアザシクロアルカン誘導体としては、そのRで意味するアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ナノデシル、エイコシルなどの直鎖状または分岐鎖状アルキルが挙げられ、好適にはRが炭素数10のアルキル基、mが3、nが2で表される1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン(1−〔2−decylthio)ethyl〕azacyclopentane−2−one、一般名:ピリチオデカン、油状物)が挙げられる。
更に粘膜に対して吸収促進作用を持つ化合物であれば何れでも良く、上記具体例に限定されるものではない。
【0022】
本発明に配合される吸収促進剤は粘膜に対する刺激性が少なく、安全性が高いことが好ましく、1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン、グリココール酸ナトリウム、リゾレシチン、アズレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。本発明の経粘膜投与製剤中の特に好ましい吸収促進剤は1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン、リゾレシチンである。これらの製剤に対する配合量は0.01〜5重量%である。
尚、一般式〔1〕で表されるアザシクロアルカン誘導体、好適には1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オンを用いてエマルジョン溶液製剤とする場合には、適宜グリチルリチンまたはその塩、例えば二カリウム塩を製剤中0.01〜10%(w/v)、好ましくは0.1〜5%(w/v)濃度として用いてもよい。
【0023】
本発明に用いられる血管拡張作用を持つ化合物としては分子量200〜700の化合物が挙げられ、まずカルシウムチャネル阻害剤がある。一般にカルシウムチャネル阻害剤は細胞内へのCa流入を抑制することにより血管拡張作用および房室結節伝導時間の延長作用を示し、高血圧、不整脈に効果を示し、種々の循環器疾患の治療に広く使用されている。具体的には、ベンゾジアゼピン誘導体として塩酸ジルチアゼム等、フェニルアルキルアミン誘導体して塩酸ベラパミル、塩酸ベプリジル等、ジヒドロピリジン誘導体として塩酸ニフェジピン、塩酸ニカルジピン、塩酸ニモヂピン等、ピペラジン誘導体としてシンナリジン、フルナリジン等、その他、塩酸ファスジルが挙げられる。
【0024】
そのほか強力に血管拡張作用を持つ薬物としては硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、プロスタグランジンE1が挙げられる。これらの硝酸イソソルビド、ニトログリセリンは従来から注射剤、経口剤、テープ剤として虚血性心疾患・狭心症に広く用いられている。その作用は血管平滑筋に直接作用して血管を拡張するもので、また比較的太い冠動脈を拡張し、冠血管抵抗を減少させるとともに側副血行路も拡張し、虚血部心筋への酸素供給を増加させることにより心機能の改善をもたらす。更に、プロスタグランジンE1(PGE1)は強力な血管拡張作用および血小板凝集抑制作用を有し、慢性動脈閉塞症に伴う阻血性潰瘍などの治療に臨床応用されている。更に、血管拡張作用を持つ化合物であれば何れでも良く、上記具体例に限定されるものではない。
【0025】
本発明に配合される血管拡張作用を持つ化合物は通常、循環器疾患の治療に数多く市販されている医薬品であり、粘膜への局所投与のための製剤に添加される場合に、添加剤としての配合量は配合される血管拡張作用を持つ化合物が生理活性ペプチドを粘膜より効率よく吸収せしめる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは薬効成分としての最低常用量の1/2以下であれば良く、好適には1/5以下である。具体的には、例えば塩酸ジルチアゼム注射剤の1回最低常用量は10mgであるが、その1/2以下が好ましく、好適には1/5以下を配合することができる。またプロスタグランジンE1注射剤の1回最低常用量は20μgであるが、その1/2(10μg)以下が好ましく、好適には1/5(4μg)以下を配合することができ、下限濃度としては1回投与用の製剤中0.1μg以上、好適には1μg以上であればよい。
【0026】
本発明に用いられる生理活性を有するペプチドとしては3個以上のアミノ酸から構成される生理活性を持つペプチドが用いられる。その分子量は約300〜10,000のものが好ましい対象として挙げられる。上記のペプチドの例としては、インシュリン、カルシトニン、ヒトPTH(1→34)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、アンギオテンシンII、バゾプレシン、酢酸デスモプレシン、酢酸ブセレリン、酢酸ゴセレリン、酢酸ナファレリン、酢酸リュープロレリン、ソマトスタチン、グルカゴン、オキシトシン、セクレチン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびこれらの合成品および半合成品を含む誘導体などが挙げられる。
【0027】
また本発明のカルシトニンとしては、例えばウナギカルシトニン、サケカルシトニン、ヒトカルシトニン、ブタカルシトニン、ニワトリカルシトニンなどの天然型カルシトニン及びASU1-7ウナギカルシトニン(エルカトニン)、ASU1-7ニワトリカルシトニンなどの半合成カルシトニンが挙げられる。更にインシュリンとしてはヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシインシュリンなどが挙げられる。
本発明の経粘膜投与製剤中の特に好ましいペプチドはエルカトニンとヒトインシュリンである。
【0028】
以下に本発明の経粘膜投与製剤の製剤化について説明する。
本発明の製剤における生理活性ペプチドの配合量としては、該ペプチドの活性および治療量の必要性に応じて選択すれば良いが、鼻粘膜からのペプチドの吸収率の違いにより任意に変化させれば良い。例えば、本経粘膜投与製剤における生理活性ペプチドの水溶液にしたときの好ましい使用濃度は0.000001〜5%(w/v)が挙げられ、更に好ましくは0.00001〜1%(w/v)が挙げられる。
【0029】
本発明の経粘膜投与製剤は鼻粘膜、口腔粘膜、肺粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、眼粘膜などの製剤として使用でき、製剤化に当たっては溶液または固形、半固形であっても良く、一般に噴霧あるいは滴下に適する水溶液や坐剤の形態であることが便利であり、水溶液や坐剤の形態に調製するに当たって、簡便には基剤として蒸留水、グリセリン、プロピレングリコール、ウイテップゾール、カカオ脂、大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性または油溶性基剤を用いればよい。
【0030】
またこのような水溶液の製剤においては、生理活性ペプチドを含有し、上記の吸収促進剤の中から選ばれた1種または2種以上と上記の血管拡張作用を持つ化合物の中から選ばれた1種または2種以上、さらに必要に応じてpH調整剤、等張化剤、保存剤、安定化剤、可溶化剤、乳化剤などを添加して所定の濃度となるように適宜な量の蒸留水を用いて溶解あるいは懸濁して調製すれば良く、エマルジョン溶液にすることもできる。特に、溶液中での安定性が問題であるときは、更に凍結乾燥、噴霧乾燥等により固形にすることもできる。
【0031】
上記製剤のpHは、生理活性ペプチドの安定性に影響を与えず、鼻粘膜に対するダメージの少ない範囲で、沈殿物などを生じないpHを選択すれば良い。通常、pH4〜8であることが好ましく、pH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、硫酸あるいは適当な緩衝剤、例えばリン酸、酢酸、乳酸、クエン酸を加えることができる。また浸透圧は等張であるのが好ましく、等張化剤としてはグリセリン、塩化ナトリウム、マンニトール、ブドウ糖などを必要に応じて加えることができる。更に保存剤を添加しても良く、治療学上許容され得る保存剤が一般に使用される。例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、フェノール、クレゾール、チメロサール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。保存剤の適切な濃度は、選択された保存剤によって多少の差があるが、0.01%〜2%(w/v)である。
【0032】
本発明の製剤の製造法としてはそれ自体公知の手段に従って任意の順序で各成分を溶解して製造することができる。本発明製剤を製造するためには、水溶液製剤の製造法としては、例えばインシュリン、リゾレシチン、プロスタグランジンE1および本発明に係る上記添加物に適量な量の注射用蒸留水を加え攪拌しながら溶解した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸等のpH調整剤を加えて所定のpHに調整する。そこで得られた水溶液を例えば0.22μmのメンブランフィルターにより無菌ろ過され、サンゴバン社製(U−SAVE:バイアル瓶)に充填して水溶液製剤としての製品にすることができる。
【0033】
水溶液製剤の投与量は、投与目的により種々異なるが、鼻粘膜投与製剤として、例えばヒトにおいて定量噴霧器(0.05〜0.1ml/一押し)を用いて片方ないし両鼻腔内に各一回づつ1日1〜3回噴霧することにより確実に投与することができる。
直腸粘膜または膣粘膜投与用の坐剤製剤の製造法としてはウイテップゾール、カカオ脂、マクロゴール、プロピレングリコール、グリセリンなどが必要に応じて使用でき、常法に従って調整すればよい。
【0034】本発明の製剤の投与方法としては一般にスプレー噴霧装置によって霧状となして粘膜に投与し、全身作用を目的する。また本発明の製剤は粘膜の広範囲に付着させることにより確実に粘膜を透過して全身にペプチドを分布させることができる。従って、本発明のペプチド含有経粘膜投与製剤はペプチドの投与対象患者に対して注射投与による疼痛と苦痛等の問題点がなく且つ自己投与が可能であり、経粘膜投与製剤として、鼻粘膜、口腔粘膜、肺粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、眼粘膜投与製剤などとして提供できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例、参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。更に実験例を挙げて、本発明製剤の効果を具体的に示す。
【0036】
参考例1
グリココール酸ナトリウム(SGC:シグマ社製、米国)をpH6.0等張リン酸緩衝液1mlに対して5mgの割合で溶解した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤(対照1)を得た。
【0037】
参考例2
塩酸ジルチアゼム(DTZ:シグマ社製、米国)10mgをpH6.0等張リン酸緩衝液2mlに溶解した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤(対照2)を得た。
【0038】
実施例1
塩酸ジルチアゼム(DTZ:シグマ社製、米国)10mgを0.5%グリココール酸ナトリウム水溶液(pH6.0等張リン酸緩衝液)2mlに溶解して0.5%SGCと0.5%DTZを含む溶液を調製した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤を得た。
【0039】
実施例2
塩酸ベラパミル(VP:シグマ社製、米国)10mgを予めN−ビニル−2−ピロリドン(和光純薬社製、日本)とグリココール酸ナトリウム(SGC:シグマ社製、米国)をpH6.0等張リン酸緩衝液1mlに対してそれぞれ50mgと5mgの割合で溶解して得た0.5%グリココール酸ナトリウム溶液2mlに溶解して0.5%SGCと0.5%VPを含む溶液を調製した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤を得た。
【0040】
実施例3
塩酸ベプリジル(BP:シグマ社製、米国)10mgを予めN−ビニル−2−ピロリドン(和光純薬社製、日本)とグリココール酸ナトリウム(SGC:シグマ社製、米国)をpH6.0等張リン酸緩衝液1mlに対してそれぞれ100mgと5mgの割合で溶解して得た0.5%グリココール酸ナトリウム溶液2mlに溶解して0.5%SGCと0.5%BPを含む溶液を調製した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤を得た。
【0041】
実施例4
塩酸ファスジル(FS:旭化成社製、日本)10mgを0.5%グリココール酸ナトリウム水溶液(pH6.0等張リン酸緩衝液)2mlに溶解して0.5%SGCと0.5%FSを含む溶液を調製した。この溶液1mlをエルカトニン400単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してエルカトニン400単位/mlの液剤を得た。
【0042】
実験例1
ラットによるエルカトニンのin vivo吸収実験
〔in vivo吸収実験〕
一晩絶食したWistar系雄性ラット(日本SLC:体重200〜250g)を1群4匹、ペントバルビタール(ネンブタール注射液、大日本製薬社製、日本)で麻酔をし、頸部を切開して気管にポリエチレンチューブを挿入した。次に食道を切開し、チューブを後鼻腔に向けて挿入した。投与は右鼻孔にマイクロピベットを用いて用時調製した薬液を25μl注入した。薬物投与前および投与後、経時的に大腿静脈より200μl採血した。その後、血液は遠心分離(15,000rpm/10min/5℃)して、得た血漿を分析するまで−30℃に保存した。
また、吸収率の比較のためエルカトニン20単位/ml(生理食塩液)0.25ml(比較1)を皮下投与した。
【0043】
定量法
血中濃度の測定はRIA法に従って定量した。
【0044】
結果
血中エルカトニン濃度の時間推移を図1に示した。エルカトニンおよび0.5%グリココール酸ナトリウムを含む対照1の製剤投与群(■−■)に比較してエルカトニン、0.5%グリココール酸ナトリウムおよび0.5%塩酸ジルチアゼムを添加した実施例1の製剤投与群(▲−▲)は著しい血中エルカトニン濃度の上昇が観察され、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)は対照1投与群に比較してそれぞれ約3.6倍とエルカトニンの鼻粘膜からの著しい吸収の増加を示した。しかし、エルカトニンと塩酸ジルチアゼムを含む対照2の製剤投与群(●−●)はほとんどエルカトニンの鼻粘膜からの吸収は観察されなかった。
【0045】
すなわち、塩酸ジルチアゼムそれ自身には吸収促進作用を持たないことが分かった。このことから、吸収促進剤であるグリココール酸ナトリウムと血管拡張作用を有するカルシウムチャネル阻害剤の1種である塩酸ジルチアゼムとの併用により極めて良好な吸収促進作用を示すことが認められた。更に塩酸ベラパミル(図1中(○−○)にて示す)、塩酸ベプリジル(図1中(△−△)で示す)、塩酸ファスジル(図1中(□−□)で示す)を含む実施例2、実施例3、実施例4の製剤投与群も塩酸ジルチアゼム同様の吸収の増加を示した。
【0046】
また、図2は各種カルシウムチャネル阻害剤の吸収促進増強作用を示したものである。
吸収率は比較1の血中濃度−時間曲線下面積(AUC)値を用いて以下の計算式から求めた。
図2から明らかなように、吸収促進剤であるグリココール酸ナトリウム単独に比較してカルシウムチャネル阻害剤を共存させることにより、エルカトニンの鼻粘膜からの吸収が2倍以上促進されることが示された。
【0047】
参考例3
r−ヒトインシュリン(遺伝子組換え酵母由来:比活性26U/mg:ベーリンガーマンハイム社製、独国)10単位/バイアル(凍結乾燥)にpH7.4等張リン酸緩衝液1mlを加えて溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤(対照3)を得た。
【0048】
参考例4
L−α−リゾレシチン(LPC:シグマ社製、米国)をpH7.4等張リン酸緩衝液1mlに対して5mgの割合で溶解して0.5%LPCを含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤(対照4)を得た。
【0049】
実施例5
塩酸ジルチアゼム(DTZ:シグマ社製、米国)10mgを0.5%L−α−リゾレシチン水溶液(pH7.4等張リン酸緩衝液)2mlに溶解して0.5%LPCと0.5%DTZを含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0050】
実施例6
注射用プロスタンディンR20(プロスタグランジンE1:PGE1:小野薬品工業社製、日本)20μgを0.5%L−α−リゾレシチン(LPC)水溶液(pH7.4等張リン酸緩衝液)2mlに溶解して0.5%LPCと0.001%濃度PGE1を含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0051】
実験例2
ラットによるインシュリンのin vivo吸収実験
〔in vivo吸収実験〕
一晩絶食したWistar系雄性ラット(日本SLC:体重200〜250g)を1群4匹、ペントバルビタール(ネンブタール注射液、大日本製薬社製、日本)で麻酔をし、頸部を切開して気管にポリエレンチューブを挿入し、気道を確保した。次に食道を切開し、先端部を脱脂綿で閉じたチューブを後鼻腔に向けて挿入し、鼻腔から食道への薬液の漏れを防いだ。投与は、右鼻孔にマイクロピベットを用いて用時調製した薬液を25μl注入した。薬物投与前および投与後、経時的に大腿静脈より200μl採血した。その後、血液は遠心分離(15,000rpm/10min/5℃)して、得た血漿を分析するまで−30℃に保存した。
【0052】
定量法
血中濃度の測定は2種のモノクローナル抗体を用いた1ステップサンドイッチ法に基づくEIA法によるヒトインシュリン測定試薬(ベーリンガー・マンハイム社製、独国)により定量した。
【0053】
結果
血中インシュリン濃度の時間推移を図3に示した。図中、インシュリン水溶液である対照3の製剤投与群(●−●)は鼻粘膜からほとんど吸収されないことを示している。またインシュリンと0.5%L−α−リゾレシチン(LPC)を含む対照4の製剤投与群(○−○)に比較してインシュリンと0.5%塩酸ジルチアゼムおよび0.001%PGE1を添加した時、顕著な吸収の増加を示した。また、0.5%塩酸ジルチアゼムを添加した実施例5の製剤投与群(■−■)及び0.001%PGE1を添加した実施例6の製剤投与群(▲−▲)の血中濃度−時間曲線下面積(AUC)は対照4投与群に比較してそれぞれ約1.7倍、1.8倍と有意にインシュリンの鼻粘膜からの著しい吸収の増加を示した。
【0054】
実施例7
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.エルカトニン 1000単位
2.グリココール酸ナトリウム 5mg
3.塩酸ジルチアゼム 5mg
4.グリセリン 22mg
5.パラオキシ安息香酸メチル 1mg
6.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH5.5に調整
7.注射用蒸留水 全量1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0055】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、エルカトニンを1000単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより100単位を正確に噴霧投与することができる。
【0056】
実施例8
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.エルカトニン 1000単位
2.L−α−リゾレシチン 5mg
3.プロスタグランジンE1 10μg
4.グリセリン 22mg
5.パラオキシ安息香酸メチル 1mg
6.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH5.5に調整
7.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0057】
また得られ溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、エルカトニンを1000単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより100単位を正確に噴霧投与することができる。
【0058】
実施例9
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.エルカトニン 1000単位
2.L−α−リゾレシチン 5mg
3.硝酸イソソルビド 0.1mg
4.グリセリン 17.6mg
5.D−ソルビトール 10mg
6.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH5.5に調整
7.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0059】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、エルカトニンを1000単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより100単位を正確に噴霧投与することができる。
【0060】
実施例10
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.グリココール酸ナトリウム 5mg
3.塩酸ジルチアゼム 5mg
4.グリセリン 22mg
5.パラオキシ安息香酸メチル 1mg
6.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
7.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0061】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0062】
実施例11
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.L−α−リゾレシチン 5mg
3.プロスタグランジンE1 10μg
4.グリセリン 22mg
5.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
6.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
7.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0063】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0064】
実施例12
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.L−α−リゾレシチン 5mg
3.硝酸イソソルビド 0.1mg
4.グリセリン 17.6mg
5.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
6.D−ソルビロール 10mg
7.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
8.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0065】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0066】
参考例5
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン(1−〔2−(decylthio)ethyl〕azacyclopentane−2−one、久光製薬社製、日本)、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリンをメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、22mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカンとなる溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え、溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤(対照5)を得た。
【0067】
参考例6
メスアップ後の溶液1mlに対して、プロスタグランジンE1(PGE1:注射用プロスタンディンR20、小野薬品工業社製、日本)を0.05mgの割合で溶解し、等張化剤としてグリセリンを25.7mg添加し、最終的に1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調製後、メスアップを行い、0.005%PGE1を含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤(対照6)を得た。
【0068】
実施例13
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリン、血管拡張剤であるプロスタグランジンE1(PGE1:注射用プロスタンディンR20、小野薬品工業社製、日本)をメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、22mg、0.01mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカン、0.001%PGE1となる溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0069】
実施例14
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリン、血管拡張剤である硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製、日本)をメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、17.6mg、0.1mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカン、0.01%ISDNとなる溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン1.0単位/mlの液剤を得た。
【0070】
実施例15
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリン、血管拡張剤である硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製、日本)をメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、13.2mg、0.2mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカン、0.02%ISDNとなる溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0071】
実施例16
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリン、血管拡張剤であるニトログリセリン(ミリスロール注;日本化薬社製、日本)をメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、17.6mg、0.1mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカン、0.01%ニトログリセリンとなる溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0072】
実験例3
ラットによるインシュリンのin vivo吸収実験(2)
〔in vivo吸収実験〕
一晩絶食したWistar系雄性ラット(日本SLC:体重200〜250g)を1群4匹、ペントバルビタール(ネンブタール注射液、大日本製薬社製、日本)で麻酔をし、頸部を切開して気管にポリエチレンチューブを挿入し、気道を確保した。次に、食道を切開し、先端部を脱脂綿で閉じたチューブを後鼻腔に向けて挿入し、鼻腔から食道への薬液の漏れを防いだ。投与は右鼻孔にマイクロピベットを用いて用時調製した薬液を25μl注入した。薬物投与前および投与後、経時的に大腿静脈より200μl採血した。その後、血液は遠心分離(15,000rpm/10min/5℃)して、得た血漿を分析するまで−30℃に保存した。
【0073】
定量法
血中濃度の測定は2種のモノクローナル抗体を用いた1ステップサンドイッチ法に基づくEIA法によるヒトインシュリン測定試薬(ベーリンガー・マンハイム社製、独国)により定量した。
【0074】
結果
血中インシュリン濃度の時間推移を図4に示した。図中、インシュリン水溶液である対照3の製剤投与群(●−●)は鼻粘膜からほとんど吸収されないことを示している。同様にインシュリンと0.005%PGE1を含む対照6の製剤投与群(○−○)についてもほとんど吸収されないことを示している。また従来技術であるインシュリンと0.5%ピロチオデカンを含む対照5の製剤投与群(△−△)に比較して、本発明のインシュリンと0.5%ピロチオデカンに0.001%PGE1を添加した実施例13の製剤投与群(■−■)及び0.01%ISDNを添加した実施例14の製剤投与群(▲−▲)及び0.02%ISDNを添加した実施例15の製剤投与群(□−□)及び0.01%ニトログリセリンを添加した実施例16の製剤投与群(+−+)はインシュリンの鼻粘膜からの著しい吸収の増加を示し、これらの血中濃度−時間曲線下面積(AUC;0−2hr)は対照6投与群に比較してそれぞれ約1.7倍、1.9倍、2.0倍、2.4倍と有意に増加した。
【0075】
実施例17
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.ピロチオデカン 5mg
3.PGE1 0.005mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 22mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
7.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0076】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0077】
実施例18
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 500単位
2.ピロチオデカン 5mg
3.PGE1 0.01mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 22mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
8.注射用蒸留水 全 量1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0078】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品はr−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0079】
実施例19
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.ピロチオデカン 5mg
3.硝酸イソソルビド 0.1mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 17.6mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.D−ソルビトール 10mg
8.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
9.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0080】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0081】
実施例20
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.ピロチオデカン 5mg
3.硝酸イソソルビド 0.2mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 13.2mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.D−ソルビトール 20mg
8.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
9.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0082】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0083】
実施例21
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.ピロチオデカン 5mg
3.ニトログリセリン 0.1mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 17.6mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.D−マンニトール 10mg
8.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
9.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0084】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0085】
参考例7
メスアップ後の溶液1mlに対して、硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製を使用、日本)を0.1mgの割合で溶解し、等張化剤にグリセリンを25.7mg添加し、最終的に1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調製後、メスアップを行い、0.01%ISDNを含む溶液を調製した。この溶液1mlを黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH シグマ社製、米国)100μg/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してLH−RH100μg/mlの液剤(対照7)を得た。
【0086】
参考例8
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリンをメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、22mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカンとなる溶液を調製した。この溶液1mlを黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH;シグマ社製、米国)100μg/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してLH−RH100μg/mlの液剤(対照8)を得た。
【0087】
実施例22
蒸留水適当量に、吸収促進剤としてピロチオデカン、乳化剤としてグリチルリチン酸ジカリウム、等張化剤としてグリセリン、血管拡張剤である硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製を使用、日本)をメスアップ後の溶液1mlに対して、各々5mg、10mg、17.6mg、0.1mgとなるように溶かし、超音波処理を施し、均一な溶液になるように調製した。次に、1N水酸化ナトリウムにてpH6.0に調整後、メスアップを行い、0.5%ピロチオデカン、0.01%ISDNとなる溶液を調製した。この溶液1mlを黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH:シグマ社製、米国)100μg/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン100μg/mlの液剤を得た。
【0088】
実験例4
ラットによるLH−RHのin vivo吸収実験
〔in vivo吸収実験〕
一晩絶食したWistar系雄性ラット(日本SLC:体重200〜250g)を1群4匹、ペントバルビタール(ネンブタール注射液、大日本製薬社製、日本)で麻酔をし、頸部を切開して気管にポリエチレンチューブを挿入し、気道を確保した。次に食道を切開し、先端部を脱脂綿で閉じたチューブを後鼻腔に向けて挿入し、鼻腔から食道への薬液の漏れを防いだ。投与は右鼻孔にマイクロピベットを用いて用時調製した薬液を10μg/0.1mg/kg注入した。薬物投与前および投与後、経時的に大腿静脈より200μl採血した。その後、血液は遠心分離(15,000rpm/10min/5℃)して、得た血漿を分析するまで−30℃に保存した。
【0089】
定量法
血中濃度の測定は競合型EIA法によるLH−RH測定試薬(ペニンシュラ社製、米国)により定量した。
【0090】
結果
血中LH−RH濃度の時間推移を図5に示した。図中、LH−RHと0.01%ISDNを含む対照7の製剤投与群(●−●)は鼻粘膜からほとんど吸収されないことを示している。また従来技術であるLH−RHと0.5%ピロチオデカンを含む対照8の製剤投与群(▲−▲)に比較して、本発明のインシュリンと0.5%ピロチオデカンに0.01%ISDNを添加した実施例22の製剤投与群(■−■)は、LH−RHの鼻粘膜からの吸収の増加を示した。その血中濃度−時間曲線下面積(AUC;0−2hr)は対照8投与群に比較して約1.5倍に増加した。
【0091】
実施例23
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.LH−RH 5mg
2.ピロチオデカン 5mg
3.硝酸イソソルビド 0.1mg
4.グリチルリチン酸ジカリウム 10mg
5.グリセリン 17.6mg
6.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
7.D−ソルビトール 10mg
8.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
9.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0092】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、LH−RHを5mg/mlを含み、アダプターを一押しすることにより0.5mgを正確に噴霧投与することができる。
【0093】
参考例9
硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製、日本)をpH7.4等張リン酸緩衝液1mlに対して0.2mgの割合で溶解して0.02%ISDNを含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤(対照9)を得た。
【0094】
実施例24
硝酸イソソルビド(ISDN:ニトロール注、エーザイ社製、日本)0.1mgを0.5%L−α−リゾレシチン水溶液(pH7.4等張リン酸緩衝液)1mlに溶解して0.5%LPCと0.01%ISDNを含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0095】
実施例25
ニトログリセリン(ミリスロール注;日本化薬社製、日本)0.1mgを0.5%L−α−リゾレシチン水溶液(pH7.4等張リン酸緩衝液)1mlに溶解して0.5%LPCと0.01%ニトログリセリンを含む溶液を調製した。この溶液1mlをr−ヒトインシュリン10単位/バイアル(凍結乾燥)に加え溶解してヒトインシュリン10単位/mlの液剤を得た。
【0096】
実験例5
ラットによるインシュリンのin vivo吸収実験(3)
〔in vivo吸収実験〕
一晩絶食したWistar系雄性ラット(日本SLC:体重200〜250g)を1群4匹、ペントバルビタール(ネンブタール注射液、大日本製薬社製、日本)で麻酔をし、頸部を切開して気管にポリエチレンチューブを挿入し、気道を確保した。次に食道を切開し、先端部を脱脂綿で閉じたチューブを後鼻腔に向けて挿入し、鼻腔から食道への薬物の漏れを防いだ。投与は右鼻孔にマイクロピベットを用いて用時調製した薬液を25μl注入した。薬物投与前および投与後、経時的に大腿静脈より200μl採血した。その後、血液は遠心分離(15,000rpm/10min/5℃)して、得た血漿を分析するまで−30℃に保存した。
【0097】
定量法
血中濃度の測定は2種のモノクローナル抗体を用いた1ステップサンドイッチ法に基づくEIA法によるヒトインシュリン測定試薬(ベーリンガー・マンハイム社製、独国)により定量した。
【0098】
結果
インシュリン水溶液である対照3の製剤投与群は、鼻粘膜からほとんど吸収されないことを示している。同様にインシュリンと0.02%硝酸イソソルビド(ISDN)を含む対照9の製剤投与群についてもほとんど吸収されないことを示している。また従来技術であるインシュリンと0.5%L−α−リゾレシチン(LPC)を含む対照4の製剤投与群に比較して、本発明のインシュリンと0.5%LPCに0.01%ISDNまたは0.01%ニトログリセリンを添加した実施例24の製剤投与群及び0.01%ニトログリセリンを添加した実施例25の製剤投与群は著しい増加を示した。これらの血中濃度−時間曲線下面積(AUC;0−2hr)は対照4投与群に比較してそれぞれ約1.7倍、1.5倍に増加した。
【0099】
実施例26
経粘膜投与製剤1ml当たり、
1.r−ヒトインシュリン 100単位
2.L−α−リゾレシチン 5mg
3.ニトログリセリン 0.1mg
4.グリセリン 17.6mg
5.塩化ベンザルコニウム 0.1mg
6.D−マンニトール 10mg
7.塩酸/水酸化ナトリウム 適量 pH6.0に調整
8.注射用蒸留水 全量 1mlとした。
上記の組成を有する濃度に調製して得た。
【0100】
また得られた溶液を無菌ろ過(0.22μmのメンブランフィルター)し、鼻腔投与用定量メカニカルスプレー適用バイアルに無菌的に3ml充填して製品を得た。この製品は、r−ヒトインシュリンを100単位/mlを含み、アダプターを一押しすることにより10単位を正確に噴霧投与することができる。
【0101】
【発明の効果】
生理活性を持つペプチドを含有する本発明の経粘膜投与製剤は、吸収促進剤の使用量を最小にして、粘膜に障害性を示すことなく、鼻粘膜から吸収を増大できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エルカトニン経鼻投与後の血中濃度のプロファイルを示すものである。
【図2】エルカトニン皮下注(AUC)に対する吸収率(%)を示すものである。
【図3】ヒトインシュリン経鼻投与後の血中濃度のプロフィルを示すものである。
【図4】ヒトインシュリン経鼻投与後の血中濃度のプロフィルを示すものである。
【図5】LH−RH経鼻投与後の血中濃度のプロフィルを示すものである。
Claims (12)
- 一般式〔1〕で表されるアザシクロアルカン誘導体が、Rが炭素数10のアルキル基、mが3、nが2で表される1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オンである請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- 吸収促進剤が、経粘膜投与製剤中0.01〜5重量%の配合量である請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- 血管拡張作用を持つ化合物が、分子量200〜700のカルシウムチャネル阻害剤、プロスタグランジンE1、硝酸イソソルビドおよびニトログリセリンよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- カルシウムチャネル阻害剤が、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸ベプリジル、塩酸二フェジピン、塩酸二カルジピンまたは塩酸ファスジルである請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- 血管拡張作用を持つ化合物が、経粘膜投与製剤中当該化合物の薬効成分としての最低常用量の1/2以下の配合量である請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- 生理活性ペプチドの分子量が、300〜10000である請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- 生理活性ペプチドが、インシュリン、カルシトニン、ヒトPTH(1→34)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、アンギオテンシンII、バゾプレシン、酢酸デスモプレシン、酢酸ブセレリン、酢酸ゴセレリン、酢酸ナファレリン、酢酸リュープロレリン、ソマトスタチン、グルカゴン、オキシトシン、セクレチン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびこれらの合成品および半合成品を含む誘導体よりなる群から選択されたペプチドである請求項1記載の経粘膜投与製剤。
- カルシトニンが、ウナギカルシトニン、サケカルシトニン、ブタカルシトニン、ヒトカルシトニン、およびニワトリカルシトニンよるなる群から選ばれる請求項8記載の経粘膜投与製剤。
- ウナギカルシトニンが、ASU1-7ウナギカルシトニン(エルカトニン)である請求項9記載の経粘膜投与製剤。
- インシュリンが、ヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシインシュリンよりなる群から選ばれる請求項8記載の経粘膜投与製剤。
- 経粘膜投与製剤が、鼻粘膜、口腔粘膜、肺粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、眼粘膜投与製剤などのうちの少なくとも1種である請求項1記載の経粘膜投与製剤。
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1996
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