JP3823291B2 - 平均キュー長演算処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平均キュー長演算処理装置に関し、特に、インターネットプロトコル(IP)ネットワークノード等に使用される能動的キュー管理アルゴリズムであるRED(Random Early Detection)アルゴリズムにおけるに平均キュー長演算処理をハードウェアにより実現する平均キュー長演算処理装置に関する。
【0002】
近年、インターネット通信の利用者の急激な増加に伴い、インターネット通信網は定常的な輻輳状態にある。今後更なるインターネット通信の普及・発展には、QoS(Quality Of Service)つまりサービス品質の維持・確保の観点から、輻輳を極力回避する手段を講ずることが必須であり、重要な技術的主題となっている。
【0003】
【従来の技術】
現在、輻輳回避手段として最も期待されるパケットキュー管理アルゴリズムにRED(Random Early Detection)アルゴリズムがある。REDアルゴリズムは、平均キュー長を基に輻輳の前兆を感知し、輻輳に陥る前にパケットを能動的かつパケットキュー長に応じて所定の確率で廃棄し、輻輳の回避を図るアルゴリズムである。
【0004】
REDアルゴリズムは、伝統的なパケットキュー管理アルゴリズムであるテールドロップアルゴリズム(Tail Drop:パケットキューが溢れるまでパケットを受け入れ、パケットキューが溢れると新規到着パケットを廃棄するアルゴリズム)の問題点であるグローバル同期問題(TCPプロトコル等において一斉にパケット廃棄があるとネットワークが輻輳中であると判断して送信レートを一斉に下げるフィードバック制御に起因して、広い範囲で輻輳と非輻輳とが同期して発生し、フローのグローバルな集中と疎空の繰返しによるリンク利用率の低下をもたらす問題)、及びロックアウト現象(Lock−Out:数個のコネクションがキュースペースを独占し、他のコネクションのパケットがキューに入力されるのを妨げる現象)を回避することが可能であり、今後、インターネットプロトコル(IP)ネットワークノードにおいて広く利用が拡大されるものと予想されている。
【0005】
このREDアルゴリズムにおける平均キュー長演算において、エンキュー要求パケットが発生したとき、それまでパケットキューがアイドル状態であったとすると、平均キュー長avgは以下の式1により算出される。
avg←avg・(1−Wq)(time-qtime)/s …(式1)
【0006】
上記式1は平均キュー長avgの減衰式を表し、ここで、Wqは0<Wq<1の重み係数で、平均キュー長avgを緩やかに変化させるローパスフィルタの時定数である。なお、ここで(1−Wq)を減衰時定数と称する。timeはエンキュー要求パケットが発生した現在時刻、qtimeはキューがアイドル状態へ遷移したときの時刻、sは最小パケットの転送時間である。
【0007】
上記式1は、キューがアイドル状態の現時刻までの期間(time−qtime)に最小パケットが到着する個数(m=(time−qtime)/s)に相当する回数(m)だけ、平均キュー長avgを減衰させる演算を行うものである。従来、平均キュー長avgの演算は、エンキュー要求パケットが発生した時に上記式1による演算をソフトウェア処理によって行うのが一般的であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のソフトウェア処理によるREDアルゴリズムの実現手段でのスループットは、プロセッサの性能に依存するところが多く、低速ネットワークへの適用のみに留まっていた。しかしながら、近年のネートワーク高速化に対し、ソフトウェア処理による実現手段では処理速度に限度があり、高速化が困難であった。
【0009】
本発明は、ネートワークの高速化に伴う処理速度向上に対応するため、ハードウェアによる回路構成によって平均キュー長演算処理を高速化すると共に、回路規模の増大を抑え、演算精度を向上し、小型化することができる平均キュー長演算処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の平均キュー長演算処理装置は、(1)インターネットプロトコルに従ったネートワーク内に設けられるノードにおけるパケットキューの管理に使用する平均キュー長演算処理装置管理であって、一定周期毎に演算起動信号を出力する更新タイミング生成手段と、該更新タイミング生成手段から演算起動信号が入力されたとき、1未満の正の数を前周期の平均キュー長に乗じてアイドル状態のときの平均キュー長を演算する平均キュー演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、(2)前記演算起動信号の周期及び前記正の数を、パケットキューの出力レートに応じて変化させることを特徴とする。
また、(3)複数のパケットキューに対して、前記更新タイミング生成手段及び平均キュー演算手段を巡回的に割り当て、該更新タイミング生成手段及び平均キュー演算手段を共用して複数の各パケットキューの各平均キュー長を算出することを特徴とする。
【0012】
また、(4)前記平均キュー演算手段は、前記正の数を前周期の平均キュー長に乗じた値とパケットキュー長に漸増時定数を乗じた値とを加算した値と等価な値を算出して、アイドル状態及び非アイドル状態のパケットキューの平均キュー長を算出することを特徴とする。
【0013】
また、(5)前記平均キュー演算手段は、今周期のパケットキュー長から前周期の平均キュー長を減じた値のビット値を所定のビット数右にシフトした値に、前周期の平均キュー長の値を加えて平均キュー長を算出する手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】
図1に本発明の平均キュー長演算処理装置の構成を示す。同図に示すように、平均キュー長演算処理装置は、更新時刻記憶部1−1、評価タイミング生成部1−2、更新タイミング生成部1−3、平均キュー長演算部1−4、平均キュー長記憶部1−5、タイマ1−6を備える。
【0016】
図1に示す平均キュー長演算処理装置の構成は、パケットキューがアイドル(空き)状態の期間において平均キュー長avgを周期的に演算して減衰させる処理回路の構成を示し、エンキュー要求パケットが到着した時に前述の式1による平均キュー長avgを演算するのではなく、最小パケット転送時間s毎に下記の式2による平均キュー長avgを算出する処理回路の構成を示している。
avg←avg・(1−Wq) …(式2)
【0017】
なお、上記式2におけるWqは前述の式1における時定数Wqと等価である。キューがアイドル状態に遷移した後、パケットが到来して再びキューがパケットに占有されるまでの期間の本発明による平均キュー長avgの算出処理動作を以下に説明する。
【0018】
デキュー指示の発生によりキューがアイドル状態へ遷移すると、キューが空き状態であることを示すEmptyFlag信号が更新時刻記憶部1−1へ送出される。更新時刻記憶部1−1は、EmptyFlag信号を受信した時点の、自走タイマであるタイマ1−6から得られる現在時刻TimeNowを、更新時刻として記憶する。
【0019】
評価タイミング生成部1−2は、最小パケットの転送時間s以下の一定周期で、更新タイミング生成部1−3に対してキューがアイドル状態へ遷移してからの経過時間の判定指示信号JudgeEnを送出する。更新タイミング生成部1−3は、本発明の周期的演算処理を行うための根幹部であり、その詳細な機能ブロックを図2に示す。
【0020】
図2に示すように、更新タイミング生成部1−3は、更新時刻記憶部1−1に保持されているキューがアイドル状態へ遷移した更新時刻(又は直前の更新時刻)TimeOldを読み出し、その更新時刻TimeOld(b)とタイマ1−6から得られる現在時刻TimeNow(a)との差分(a−b)から経過時間(c)を減算部2−1により算出する。
【0021】
次に比較部2−2により経過時間(c)と所定の更新時間RenewTime(d)とを比較する。更新時間RenewTime(d)は最小パケット転送時間sである。経過時間(c)が更新時間RenewTime(d)以上である場合には、更新時間経過を示す信号(e)を論理積部2−3へ出力する。
【0022】
論理積部2−3は、評価タイミング生成部1−2からの判定指示信号JudgeEn(f)と更新時間経過を示す信号(e)との論理積(e・f)の出力信号を、演算起動信号CalcEnとして平均キュー長演算部1−4へ送出すると共に、更新起動信号RenewEnとして更新時刻記憶部1−1へを送出する。更新時刻記憶部1−1は、更新起動信号RenewEnを受信すると、現在の保持しているキューがアイドル状態へ遷移した更新時刻(又は直前の更新時刻)TimeOld時刻を現在時刻TimeNowに更新する。
【0023】
図1において、平均キュー長演算部1−4は、更新タイミング生成部1−3から演算起動信号CalcEnを受信すると、平均キュー長記憶部1−5に保持されている前回算出した平均キュー長AvgOldを読み出し、その前回算出した平均キュー長AvgOldと時定数Wqとを用いて、前述の式2による新平均キュー長AvgNewを算出する。算出された新平均キュー長AvgNewは、平均キュー長記憶部1−5へ送出され、更新される。この一連の処理をキューがアイドル状態の期間中に行う。
【0024】
このように、キューがアイドル状態の期間の平均キュー長を、更新時間RenewTime(=s)毎に周期的に演算することにより、タイマ1−6を含む時刻情報を記憶するメモリ等のビット長を、有限長かつ実現可能な予め定めた所定長以下のものとすることができる。
【0025】
これに対し、従来のようにエンキュー要求パケットが発生した時点で前述の式1による平均キュー長演算を行う方式では、エンキュー要求パケットの発生時点が予測不可能であるため、エンキュー要求パケットの発生時刻までのキューのアイドル状態期間(time−qtime)を記録して演算する処理部のビット長を十分大きなものとしておかなけらばならなかったが、本発明によれば、それらのビット長を予め定められた有限長のものとすることができる。
【0026】
次に、平均キュー長の算出における更新周期を可変にする実施形態について説明する。更新時間RenewTimeを最小パケット転送時間sとすると、更新周期sはキューの出力レートに依存する。出力レートと更新周期sとの関係を式で表すと式3のようになる。
s=Pmin×freq/Rateo …(式3)
【0027】
式3において、Pminは最小パケットのビット長[bit]、freqは動作クロック周波数[Hz]、Rateoは出力レート[bps]を表す。出力レートRateoはキューに予め設定する帯域の値である。式3から明らかなように、出力レートRateoが高いほど更新周期sは短くなる(出力レートRateoが高いほどパケットの転送時間sは短い)。
【0028】
つまり、出力レートRateoが高いときには、評価タイミング生成部1−2から経過時間判定指示信号JudgeEnが出力される評価周期uより、本来の更新周期sが短くなることが起こり得る。この場合には、本来の更新周期s毎にm回行うべき式2の平均キュー長の演算を、m回未満しか実行することができず、実際の更新周期となる評価周期uの粗さに起因して演算精度の劣化が生ずる。そのため、本来の平均キュー長の減衰率よりも小さな減衰率になり、平均キュー長に誤差が生じる。
【0029】
そこで、本来の更新周期sが評価周期u未満となる場合においても、ローパスフィルタの時定数Wq及び実際の更新時間RenewTime(更新周期s)を補正して設定することにより、平均キュー長の演算精度の劣化を抑えるようにする。時定数Wq、本来の更新時間s、補正設定するローパスフィルタの時定数Wq2と評価周期(実際の更新周期)uとの関係式を式4に記す。
avg・(1−Wq)(time-qtime)/s
=avg・(1−Wq2)(time-qtime)/u …(式4)
更に式4を整理すると式5のようになる。
avg・(1−Wq)=avg・(1−Wq2)1/(u/s) …(式5)
【0030】
式5から、式2の時定数Wqの代わりに時定数Wq2を用い、u/s倍の評価周期で平均キュー長avgの更新を行っても、同じ結果が得られることになる。式5において、評価周期uには本来の更新周期s以上で且つ最小値を選択設定する。代替時定数Wq2は評価周期uにより以下の式6により定まる。
Wq2=1−(1−Wq)u/s …(式6)
【0031】
図3は、更新時間sを更新周期uへ、ローパスフィルタの時定数WqをWq2へ補正設定することによる演算精度の向上をタイムチャートで示している。図の(a)は補正設定を行わなかった場合を示し、図の(b)は補正設定を行った場合を示している。図の(a)では時定数Wqを用いた場合、本来の更新時間s毎に8回演算を行うべき平均キュー長の更新を、実際には更新時間u毎に5回しか行うことができないため演算精度が劣化する。
【0032】
これに対し、図の(b)において、u/s倍の周期で補正した時定数Wq2を使用して平均キュー長を演算することにより、5回目の更新時に式2による演算を8回行ったことと同じ演算結果を得ることができる。このように、本来の更新周期sが評価周期u未満となった場合においても、出力レートに応じて減衰時定数及び更新周期を変化させることにより、平均キュー長の演算精度の劣化を抑えることが可能となる。
【0033】
次に、複数のキューを巡回的に評価し、平均キュー長を減衰演算する平均キュー長演算処理装置の実施形態について説明する。図4にこの実施形態の構成を示す。なお、この実施形態における巡回的演算処理の根幹をなす評価キュー選択部4−1の動作の詳細なタイムチェートを図5に示す。
【0034】
この実施形態の構成は、図1に示した平均キュー長演算処理装置の構成に、評価キュー選択部4−1、キュー状態管理部4−2及びパラメータ記憶部4−3を追加したものである。更新時刻記憶部1−1、平均キュー長記憶部1−5、キュー状態管理部4−2及びパラメータ記憶部4−3は、平均キュー長演算対象のキューの個数と同数の情報記憶領域をそれぞれ備えるが、評価タイミング生成部1−2、更新タイミング生成部1−3、平均キュー長演算部1−4、タイマ1−6及び評価キュー選択部4−1は、平均キュー長演算対象の各キューに共通に使用される。
【0035】
キュー状態管理部4−2は、キューが空き状態か否かの状態を管理し、キューが空き状態であることを示すEmptyFlag信号又はキューが空きでないことを示すNotEmptyFlag信号を受信すると、キュー識別番号QueueNoで指定されるキューに対して、そのキューの状態を2値(空きか否か)で記憶する。
【0036】
更新時刻記憶部1−1は、キューが空き状態であることを示すEmptyFlag信号を受信すると、キュー識別番号QueueNoにより指定される記憶領域に、その時点の自走タイマ1−6の値(現在時刻TimeNow)を記憶する。
【0037】
評価タイミング生成部1−2は、一定周期で評価キュー選択部4−1に対して評価対象キューの選択を要求する信号NextEnを送出する(図5(a)参照)。評価キュー選択部4−1は、評価対象キューの選択要求信号NextEnを受信すると、評価対象キューQueue_aを選択する。選択自体はフリーランカウンタを用いて行うことができる。
【0038】
フリーランカウンタは、評価対象キューの選択要求信号NextEnをカウントアップ信号としてカウントし、そのカウント値がキュー識別番号を表す。カウンタは1巡内に任意カウント値の出現が1回のみとする必要はなく、特定カウント値が2回以上出現するといった重み付けされたものであってもよい。
【0039】
その後、評価キュー選択部4−1は、評価対象キューQueue_aを指定してそのキューの状態情報を得るために、キュー状態管理部4−2へ状態取得要求信号StGetEnを送出する(図5(b),(c)参照)。キュー状態管理部4−2は、状態取得要求信号StGetEnを受信すると、評価対象キューQueue_aのキュー状態情報Qstateを評価キュー選択部4−1へ返送する(図5(d)参照)。
【0040】
評価キュー選択部4−1は、返送されたキュー状態情報Qstateが空き状態を示していれば、更新タイミング生成部1−3へ経過時間の判定指示信号JudgeEn及び評価対象キュー識別番号Queue_b(=Queue_a)を送出する(図5(e)参照)。キュー状態情報Qstateが空き状態でないことを示していれば何も行わない。
【0041】
更新タイミング生成部1−3は、更新時刻記憶部1−1から、評価対象キュー識別番号Queue_d(=Queue_b)の指すキューがアイドル状態へ遷移した時刻(又は直前の更新時刻)TimeOldを読み出し、タイマ1−6から得た現在時刻TimeNowとの差分(TimeNow−TimeOld)から経過時間を算出する。
【0042】
また、パラメータ記憶部4−3からキュー識別番号Queue_c(=Queue_b)の指すキューの演算パラメタである更新時間RenewTimeを読出し、また、ローパスフィルタの時定Wqを平均キュー長演算部1−4へ送出させる。
【0043】
経過時間が更新時間RenewTime以上である場合には、平均キュー長演算部1−4へ演算起動信号CalcEn及びキュー識別番号Queue_e(=Queue_b)を送出すると共に、更新時刻記憶部1−1へ更新起動時刻RenewEnを送出する。更新時刻記憶部1−1は、更新時間RenewEnを受信すると、キュー識別番号Queue_dの指すキューの更新時刻を現在時刻TimeNowに更新する。
【0044】
平均キュー長演算部1−4は、更新タイミング生成部1−3から演算起動信号CalcEnを受信すると、平均キュー長記憶部1−5からキュー識別番号Queue_f(=Queue_e)の指すキューの現在の平均キュー長AvgOldを読み出し、その平均キュー長AvgOldとパラメータ記憶部4−3から得た時定数Wqとから新平均キュー長AvgNewを算出する。
【0045】
算出された新平均キュー長AvgNewは、平均キュー長記憶部1−5へ送出され、キュー識別番号Queue_fの指すキューに対して記憶される。この一連の処理を、複数キューに対して巡回的に行う。このように、複数キューの平均キュー長の減衰演算を巡回的に時分割処理することにより、各キュー個別の演算回路が不要となり、平均キュー長演算対象の各キューに平均キュー長演算部1−4等を共通に利用し、キューの個数の増加に対してハードウェア規模の増大を抑えて装置を構成することが可能となる。
【0046】
次に、平均キュー長演算部1−4を、キューがアイドル状態と非アイドル状態の両方のときに共通に利用する平均キュー長演算処理装置の実施形態について説明する。エンキュー要求パケットが発生したとき、それまでキューが非アイドル状態であった場合、平均キュー長avgは式7により算出される。
avg←avg・(1−Wq)+Lq・Wq=avg+Wq・(Lq−avg)
…(式7)
式7において、Wqは前述のローパスフィルタの時定数、Lqはキュー長を示す。ここで、(1−Wq)を減衰時定数と称したのに対してWqを漸増時定数と称する。
【0047】
図6に非アイドル状態時とアイドル状態時とで共通に平均キュー長を演算するフローを示す。なお、図6におけるステップ6−2からステップ6−4の処理は、図1の構成における平均キュー長演算部1−4において行う演算処理であり、式7を3つの演算フェーズに分割して示したものである。
【0048】
ステップ6−1の演算パラメータ選択にて選択された時定数Wqが、平均キュー長演算部1−4の入力信号である。さらに、キュー長Lqは、アイドル状態時では“0”であるため、平均キュー長演算部1−4へ入力する必要はないが、非アイドル状態時では“0”を超える値となるために、キュー長Lqを平均キュー長演算部1−4へ入力する。
【0049】
演算要求が発生した場合にこのフローは活性化される。演算要求はエンキュー要求パケット又は前述の更新周期毎にで発生する。処理ステップは演算パラメータ選択ステップ6−1と平均キュー長演算ステップ6−2〜6−4とに分かれる。演算パラメータ選択ステップ6−1では、アイドル時と非アイドル時とでローパスフィルタの時定数Wqを選択決定する。Wq_idle及びWq_normalは、それぞれアイドル時及び非アイドル時の時定数である。
【0050】
平均キュー長演算ステップは、減算ステップ6−2、算術シフト演算ステップ6−3及び加算ステップ6−4から成る。減算ステップ6−2ではキュー長Lqと平均キュー長avgの減算処理行い、その結果を一時変数tmp1として保持する。この演算は式7における第2項の(Lq−avg)の演算に相当する。アイドル時ではキュー長Lq=0であるため、一時変数tmp1は(−avg)となる。
【0051】
算術シフト演算ステップ6−3では、減算ステップ6−2で得られた第1の一時変数tmp1をnビット右シフトし、第2の一時変数tmp2を得る。ここで、算術シフト演算ステップ6−3は、2-n・(Lq−avg)を算出したことになり、これは式7における第2項のWqを2の負のべき乗(2-n)の値に近似して式7の第2項を算出したことに相当する。即ち、
Wq=2-n …(式8)
【0052】
このWqを2の負のべき乗(2-n)に近似することにより、nビット右シフトという簡単な回路構成で高速演算が可能となる。加算ステップ6−4は、式7の第1項と第2項との和の演算に相当する。このステップにて最終的な平均キュー長avgを得る。このように、平均キュー長演算部1−4において、アイドル時と非アイドル時とで平均キュー長演算回路を個別に備えるのではなく、共通化して演算することによりハードウェア規模の増大を防ぐことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パケットキューがアイドル状態の期間の平均キュー長を、所定の更新時間毎に周期的に演算することにより、タイマを含む時刻情報を記憶するメモリ等のビット長を、有限長かつ実現可能な予め定めた所定長以下のものとすることができ、演算精度を維持したままハードウェア規模の増大を抑えることが可能となる。
【0054】
また、キューがアイドル状態期間の平均キュー長演算において、本来の更新周期が、実際の更新周期となる評価周期未満の場合であっても、平均キュー長演算における時定数及び更新周期を変化させることにより、平均キュー長の演算精度を向上させることができる。
【0055】
また、平均キュー長演算対象の複数パケットキューに対して巡回的に各パケットキューのキュー長を評価し、平均キュー長を演算することにより、各パケットキュー個別の演算回路が不要となり、各パケットキューの平均キュー長演算に共通の演算回路を共用することで、パケットキューの個数が増加してもハードウェア規模の増大を回避することが可能となる。
【0056】
また、平均キュー長演算部を、アイドル状態時及び非アイドル状態時の何れであっても、共通の演算式により平均キュー長を算出し得る構成とすることにより、アイドル状態時及び非アイドル状態時の平均キュー長演算部を共通化し、ハードウェア規模の縮小を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平均キュー長演算処理装置の構成を示す図である。
【図2】更新タイミング生成部の機能ブロックを示す図である。
【図3】更新時間及び時定数の補正設定による演算精度の向上を示すタイムチャートである。
【図4】複数のキューの各平均キュー長を演算する平均キュー長演算処理装置の構成を示す図である。
【図5】複数のキューの各平均キュー長を演算する平均キュー長演算処理動作のタイムチャートを示す図である。
【図6】非アイドル状態時とアイドル状態時とで共通に平均キュー長を演算するフローを示す図である。
【符号の説明】
1−1 更新時刻記憶部
1−2 評価タイミング生成部
1−3 更新タイミング生成部
1−4 平均キュー長演算部
1−5 平均キュー長記憶部
1−6 タイマ
Claims (5)
- インターネットプロトコルに従ったネートワーク内に設けられるノードにおけるパケットキューの管理に使用する平均キュー長演算処理装置管理であって、
一定周期毎に演算起動信号を出力する更新タイミング生成手段と、該更新タイミング生成手段から演算起動信号が入力されたとき、1未満の正の数を前周期の平均キュー長に乗じてアイドル状態のときの平均キュー長を演算する平均キュー演算手段とを備えたことを特徴とする平均キュー長演算処理装置。 - 前記演算起動信号の周期及び前記正の数を、パケットキューの出力レートに応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の平均キュー長演算処理装置。
- 複数のパケットキューに対して、前記更新タイミング生成手段及び平均キュー演算手段を巡回的に割り当て、該更新タイミング生成手段及び平均キュー演算手段を共用して複数の各パケットキューの各平均キュー長を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の平均キュー長演算処理装置。
- 前記平均キュー演算手段は、前記正の数を前周期の平均キュー長に乗じた値とパケットキュー長に漸増時定数を乗じた値とを加算した値と等価な値を算出して、アイドル状態及び非アイドル状態のパケットキューの平均キュー長を算出することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の平均キュー長演算処理装置。
- 前記平均キュー演算手段は、今周期のパケットキュー長から前周期の平均キュー長を減じた値のビット値を所定のビット数右にシフトした値に、前周期の平均キュー長の値を加えて平均キュー長を算出する手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の平均キュー長演算処理装置。
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