JP3822091B2 - 活性エネルギー線硬化性水系組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性水系組成物に関する。詳しくは、紫外線、電子線等の活性エネルギー線によって硬化する水系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性エネルギー線照射により硬化する組成物及びその技術は、各種レジスト、紫外線硬化塗料、紫外線硬化接着剤のような幅広い分野で用いられている。例えば紫外線硬化塗料の場合、基材表面へ数μm以下の薄膜で塗装されているが、このような薄膜を得るために10mPa・s以下といった低粘度の組成物が要求される。このような低粘度の組成物を得るために組成物の全重量の半分以上をトルエンやメチルエチルケトンといった有機溶剤が占める組成物が使用されている。
【0003】
しかしながら、近年環境問題から水系の感光性材料が求められている。有機溶剤の弊害を避けるためには水溶性の感光性組成物の設計が方策として考えられ、硬化成分及び光重合開始剤の水溶性化が必要となる。
【0004】
水溶性の硬化成分としては水酸基、ポリエチレングリコール鎖、四級アンモニウム塩やカルボン酸塩含有のアクリル系モノマーやアクリル系オリゴマーが知られている。また水溶性の光重合開始剤としては水酸基、ポリエチレングリコール鎖、四級アンモニウム塩やカルボン酸塩含有のアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系やベンゾイン系の光重合開始剤が知られている。しかしこれらの硬化成分と光重合開始剤の組み合わせでは充分な硬化速度は得られない。特にアクリレート系モノマー及びオリゴマーは薄膜にした場合、空気中の酸素による硬化阻害を受けるため表面のべたつきを完全に無くするまでにはかなり長時間の活性エネルギー線の照射が必要である。
【0005】
これを解決するために光重合開始剤を増量したり、N−ビニルピロリドンやN−ビニルホルムアミドのようなN−ビニル化合物を添加する方法が考えられるが、光重合開始剤の増量は得られた硬化物の物性低下を引き起こし、またコスト高となる。N−ビニル化合物の添加は、モノマーの毒性や酸に弱いという弊害がある。
【0006】
特開昭59−4609号公報には、プリプレグ等に有用な光硬化性組成物として、重合可能なエチレン性不飽和物質と、アセトフェノン光増感剤、染料及び還元剤を含むものが開示されている。この技術において、アセトフェノン光増感剤は、その構造が特定されており、これは水溶性のものではない。また、独国特許第4336299A1号明細書(1995)には、アクリレートモノマー、グリセロール、水、光増感剤及びトリエタノールアミンを含むドラッグデリバリー用紫外線硬化性アクリルゲルの製造方法が開示されている。この技術において、光増感剤としてはダロキュアー1173(商品名、チバ・ガイギー社製)が用いられており、これは水溶性のものではない。更に、特開2000−186242号公報には、色材、重合性オリゴマー、光重合開始剤及び水を含むインクジェット記録に用いるインクが開示されている。この技術において、光重合開始剤は、水に対する溶解度が3重量%以上のものが用いられている。しかしながら、これらの技術においても、環境に対する負荷が低減され、しかも硬化物の形成に適した低粘度と紫外線、電子線等の活性エネルギー線による充分な速硬化性とが発現されるようにすることにより、水系組成物を各種の用途に好適に適用することができるように工夫する余地があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、各種の用途に好適に適用することができる活性エネルギー線硬化性水系組成物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、各種の用途に好適に適用することができる活性エネルギー線硬化性水系組成物について種々検討した結果、水溶性アセトフェノン系重合開始剤、水溶性重合性化合物、水溶性三級アミン化合物及び水を含む組成物によって環境に対する負荷を低減し、硬化物の形成に適した低粘度と充分な速硬化性とを発現できることに着目し、各種の用途に好適に適用することができることを見いだした。また、水溶性重合体を含むことにより、該組成物を紙基材上に塗布したときのにじみを防止することができることも見いだした。また、着色剤を含む系においても充分な硬化性が得られることを見いだした。更に、水溶性重合体としてポリビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリビニルピロリドン共重合体を用いることによって硬化性の向上と得られた硬化物の物性の向上が達成されることを見いだし、本発明に想到した。なお水溶性アセトフェノン系重合開始剤はいわゆる自己開裂型の開始剤であり、通常では水素を引き抜く作用を有する三級アミン化合物等の還元剤と併用することはないが、本発明においては、上記のように組み合わせることにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、水溶性アセトフェノン系重合開始剤、水溶性重合性化合物、水溶性三級アミン化合物及び水を含む活性エネルギー線硬化性水系組成物である。
以下に、本発明を詳述する。
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物において、必須成分である水溶性アセトフェノン系重合開始剤、水溶性重合性化合物及び水溶性三級アミン化合物は、すべて水溶性のものである。すなわち水溶性となるように水に対する溶解度が特定されたものである。本明細書において、水に対する溶解度は、25℃の水に溶解する当該化合物の重量%により表される。なお水への溶解性は、溶液を目視したときに透明であれば溶解していると判断する。また、本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物は、このような必須成分と、必要に応じてその他の成分とを含むものであるが、その他の成分は水に溶解するものであってもよく、溶解しないで分散するものであってもよい。このように、本発明においては、必須成分は「水溶性」のものであるが、組成物としては「水系」すなわちすべてが水溶性であってもよく一部が水分散性等であってもよいものである。
【0011】
本発明の水溶性アセトフェノン系重合開始剤は、水に対する溶解度が0.1重量%以上のアセトフェノン系重合開始剤であれば特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュアー2959)又はそれの水酸基へ(ポリ)エチレングリコール鎖を導入したもの、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)の水酸基及び/又はフェニル基へ(ポリ)エチレングリコール鎖を導入したもの、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンのフェニル基へ−OCH2COO+Na-を導入したもの、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、ダロキュアー1173)の水酸基及び/又はフェニル基へ(ポリ)エチレングリコール鎖を導入したもの、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのフェニル基へ−OCH2COO+Na-を導入したもの等のα−ヒドロキシアルキルアセトフェノン類;2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュアー907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュアー369)等のα−アミノアルキルフェノン類のアミノ基を四級アンモニウム塩化したもの等が挙げられる。但し、本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物の中にはアニオン性の化合物が含まれることもあり、保存安定性の面からカチオン系のものよりもノニオン系のものの方が好ましい。
【0012】
上記水溶性アセトフェノン系重合開始剤の使用量は、水溶性重合性化合物や水溶性三級アミン化合物の量や種類によって適宜設定すればよいが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち0.01重量%〜20重量%とすることが好ましい。より好ましくは0.05重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%である。使用量が0.01重量%より少ない場合、充分な硬化性が得られないことがあり、また20重量%より多く使用すると経済性の点から不利となるおそれがある。
【0013】
本発明における水溶性重合性化合物は、水に対する溶解度が1重量%以上の重合性化合物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン等のモルホリノ基含有(メタ)アクリレート;ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価水酸基含有化合物の水酸基の一部に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加によって得られるエポキシアクリレート;イソシアネート基含有化合物へのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート付加によって得られるウレタンアクリレート;四級アンモニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩含有(メタ)アクリレート;カルボン酸又はカルボン酸塩含有(メタ)アクリレート;リン酸エステル含有(メタ)アクリレート;ピロリドンやオキサゾリン等の親水性ヘテロ環含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシル基含有ビニルエーテル;ポリエチレングリコールと無水マレイン酸等の不飽和酸の縮合によって得られる不飽和ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性等の点からポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、多価水酸基含有化合物の水酸基の一部に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加によって得られるエポキシアクリレートが特に好ましい。
【0014】
上記水溶性重合性化合物の使用量は、水溶性重合体や水溶性三級アミン化合物の量や種類、また系の粘度や硬化物の要求物性によって適宜設定すればよいが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち1重量%〜80重量%とすることが好ましい。より好ましくは2重量%〜50重量%、特に好ましくは5重量%〜20重量%である。使用量が1重量%より少ない場合、充分な硬化性や硬化物の物性が得られないことがあり、また80重量%より多く使用すると高粘度となり作業性が低下するおそれがある。
【0015】
本発明の水溶性三級アミン化合物は、1分子中に少なくとも1個の三級アミノ基を有するものであり、水に対する溶解度が0.1重量%以上の三級アミン化合物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、メチルジブタノールアミン、エチルジエタノールアミン、エチルジイソプロパノールアミン、エチルジブタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、プロピルジイソプロパノールアミン、プロピルジブタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ジエチルブタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジプロピルイソプロパノールアミン、ジプロピルブタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジブチルイソプロパノールアミン、ジブチルブタノールアミン、メチルエチルエタノールアミン、メチルエチルイソプロパノールアミン、メチルエチルブタノールアミン、ベンジルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトラプロパノールエチレンジアミン等が挙げられる。また、これら水酸基含有三級アミン化合物にエチレンオキサイドを付加させてポリエチレングリコール鎖を導入したもの、水酸基含有三級アミン化合物に水酸基と反応性を有する官能基を含有するモノマーを付加させて重合性二重結合を導入したもの、ポリマー又はオリゴマーに三級アミノ基を導入したもの等も用いることができる。
【0016】
上記水溶性三級アミン化合物の使用量は、水溶性アセトフェノン系重合開始剤や水溶性重合性化合物の量や種類、また硬化物の要求物性等によって適宜設定すればよいが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち0.01重量%〜20重量%とすることが好ましい。より好ましくは0.05重量%〜10重量%、最も好ましくは0.1重量%〜5重量%である。使用量が0.01重量%より少ない場合、十分な硬化性や硬化物の物性が得られないことがあり、また20重量%より多く使用すると着色や保存安定性が充分とはならないおそれがある。
【0017】
本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物は、更に、水溶性重合体を含むことが好ましく、該水溶性重合体は、水に対する溶解度が0.1重量%以上の重合体であれば特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの共重合体、ビニルピロリドンと(メタ)アクリレート類との共重合体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ヒドロキシアルキルセルロース及びその誘導体、ポリアクリルアミド、水溶性ポリアミド誘導体等が挙げられる。これらの中でもポリビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリビニルピロリドン共重合体が、硬化性の向上と得られた硬化物の物性の向上に有効であり、特に好ましい。
【0018】
上記水溶性重合体の使用量は、水溶性重合性化合物の量や種類、また系の粘度や硬化物の要求物性によって適宜設定すればよいが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち0.1重量%〜30重量%とすることが好ましい。より好ましくは0.2重量%〜20重量%、特に好ましくは0.3重量%〜10重量%である。使用量が0.1重量%より少ない場合、硬化性や硬化物物性の向上効果が得られないことがあり、また30重量%より多く使用すると高粘度となり作業性が低下するおそれがある。
【0019】
上記水溶性重合体の分子量は特に制限されないが、好ましくは、重量平均分子量で3000〜1000000、より好ましくは、10000〜200000、特に好ましくは、30000〜100000である。重量平均分子量が3000未満の場合、硬化性や硬化物物性の向上効果が得られないことがあり、1000000を越えると高粘度となり作業性が低下するおそれがある。
【0020】
本発明活性エネルギー線硬化性水系組成物は、更に、着色剤を含むことが好ましく、該着色剤は特に限定されず、染料及び/又は顔料の1種又は2種以上を用いることができる。それらの使用量は特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち0.1重量%〜30重量%とすることが好ましい。より好ましくは0.2重量%〜20重量%、特に好ましくは0.5重量%〜10重量%である。使用量が0.1重量%より少ない場合、充分な着色効果が得られないことがあり、また30重量%より多く使用すると経済性の点から不利となるおそれがある。
【0021】
本発明で用いられる溶媒としての水の量は特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち10重量%〜99重量%とすることが好ましい。より好ましくは50重量%〜95重量%、特に好ましくは70重量%〜90重量%である。使用量が10重量%より少ない場合、高粘度となって作業性が低下するおそれがあり、また99重量%より多く使用すると水を除去するために必要なエネルギーが大きくなり、経済性の点から不利となるおそれがある。
【0022】
また、これらの成分の他に希釈溶媒としての有機溶剤1種又は2種以上を使用してもよい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
本発明においては、更に、これらの成分以外に顔料分散安定剤、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤等を添加することもできる。また、硬化物の物性に悪影響を及ぼさない範囲でアセトフェノン系以外の重合開始剤を添加することも可能である。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物を硬化させるのに用いられる活性エネルギー線は特に限定されないが、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が好適に用いられる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を意味するものとする。
【0026】
実施例1
ビーカーに溶媒としての水900部、水溶性アセトフェノン系重合開始剤としてのイルガキュアー2959(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)4.3部、水溶性重合性化合物としての平均重合度9のポリエチレングリコールジアクリレート87部、水溶性三級アミン化合物としてのトリエタノールアミン8.7部を添加し、攪拌機にてよく攪拌した。得られた組成物は完全に透明な水溶液であった。
【0027】
得られた水溶液をよく脱脂したガラス板上に塗布して、80℃の熱風乾燥機中で20分乾燥した後、バーコーターにて厚みを14μmに調整した。続いて、これを紫外線照射機(ウシオ電機社製、PM25C−100、250W超高圧水銀灯使用、主波長365nm)に入れて1秒当たり43mJ/cm2のエネルギーを有する紫外線を照射し、1秒ごとに薄膜の表面乾燥性を指触にて調べたところ、4秒の照射で完全にタックフリーの状態となった。
【0028】
次に、上記水溶液を紙基材上に、厚み14μmになるようにバーコーターで塗布し、そのときの塗膜のにじみを目視にて判定した。更に、その塗布された紙を上記紫外線照射機にて10秒間紫外線照射し、得られた紙基材上の塗膜を硬化させて、その紙を3分間25℃の水の中に浸し、そのときの塗膜の状態を目視にて判定した。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0029】
実施例2〜6
実施例1と同様の操作にて表1に示すような配合の組成物を調合し、実施例1と同様の方法で紫外線硬化性、紙基材に塗布時のにじみの評価及び硬化塗膜の耐水性試験を行った。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0030】
比較例1〜4
実施例1と同様の操作にて表1に示すような配合の組成物を調合し、実施例1と同様の方法で紫外線硬化性、紙基材に塗布時のにじみの評価及び硬化塗膜の耐水性試験を行った。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1中の記載は、以下のとおりである。
イルガキュアー2959:1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
イルガキュアー907のヨードニウム塩化物:2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュアー907)とヨウ化メチルとの反応によって得られた化合物
PEGDA(n=9):平均重合度9のポリエチレングリコールのジアクリレート化物
ポリビニルピロリドン:重量平均分子量=4.5万
ポリエチレングリコール:重量平均分子量=7万
*:照射エネルギー=43mJ/cm2・sec
**:評価基準 ○=にじみなし、△=ややにじみあり、×=にじみ大
***:評価基準 ○=変化なし、△=ややにじみあり、×=塗膜が水に溶解
【0033】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化性水系組成物は、上述の構成よりなり、環境に対する負荷を低減し、硬化物の形成に適した低粘度と充分な速硬化性とを発現できるため、各種の用途に好適に適用することができるものである。
Claims (5)
- 水溶性アセトフェノン系重合開始剤、水溶性重合性化合物、水溶性三級アミン化合物、水及び水溶性重合体を含む活性エネルギー線硬化性水系組成物であって、
該水溶性重合体は、ポリビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリビニルピロリドン共重合体であり、
該活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち水の量は、50重量%〜95重量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性水系組成物。 - 更に、着色剤を含む
ことを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性水系組成物。 - 前記ポリビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリビニルピロリドン共重合体の使用量は、0.3重量%〜10重量%である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性水系組成物。 - 前記活性エネルギー線硬化性水系組成物全体のうち水の量は、70重量%〜90重量%である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性水系組成物。 - 前記活性エネルギー線硬化性水系組成物は、粘度が10mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性水系組成物。
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