JP3821388B2 - N個の制御装置を制御するシステム、方法およびプログラム - Google Patents

N個の制御装置を制御するシステム、方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、複数の要素の少なくとも1つを制御するシステム、方法およびプログラムに関する。
従来のコンピュータシステムにおけるプログラミングの基本は、「if〜then〜else〜」形式で記述されるルールを用いる点にある。このようなルールは、予め予期することが可能なイベントに対処可能なように予め決定され得る。当業者であれば、どのようなイベントに対してどのように対処すべきかを示す仕様さえ与えられれば、その仕様を満たす1以上のルールを容易に設計することができる。ただし、予め予期することが不可能なイベントに対しては、このようなルール指向のプログラミングは無力である。予め予期することが不可能なイベントの発生条件をプログラムで記述することができないからである。
従来のコンピュータシステムは、予め予期することが不可能なイベントに対してあまりにも脆弱であり、そのようなイベントが発生してシステムが混乱した場合には、システム全体を停止させて復旧にあたる必要があった。しかし、現代のような高度情報化社会においてシステム全体を停止させることは社会への影響が甚大である。
本発明は、予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能なシステム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明のシステムは、複数の要素と、前記複数の要素を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部と、前記変数Actの値に応じて、前記複数の要素のうち少なくとも1つの要素の次の挙動を決定する決定部とを備え、前記決定部は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれてノイズより所定のルールに支配された形式で前記次の挙動を決定し、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて前記所定のルールより前記ノイズに支配された形式で前記次の挙動を決定する。これにより、上記目的が達成される。
前記決定部は、b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・N(Nは2以上の任意の整数)に従って前記次の挙動を決定し、b’は要素iがとるべき次の挙動を示し、bは要素iの現在の挙動を示し、fは所定のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす所定の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されていてもよい。
本発明の方法は、複数の要素と、前記複数の要素を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部とを備えたシステムにおいて、前記複数の要素のうちの少なくとも1つを制御する方法であって、前記方法は、前記変数Actの値に応じて、前記複数の要素のうち少なくとも1つの要素の次の挙動を決定するステップを包含し、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれてノイズより所定のルールに支配された形式で前記次の挙動が決定され、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて前記所定のルールより前記ノイズに支配された形式で前記次の挙動が決定される。これにより、上記目的が達成される。
前記決定するステップにおいて、前記次の挙動は、b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・N(Nは2以上の任意の整数)に従って決定され、b’は要素iがとるべき次の挙動を示し、bは要素iの現在の挙動を示し、fは所定のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす所定の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されていてもよい。
本発明のプログラムは、複数の要素と、前記複数の要素を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部とを備えたシステムにおいて、前記複数の要素のうちの少なくとも1つを制御する制御処理を実現したプログラムであって、前記制御処理は、前記変数Actの値に応じて、前記複数の要素のうち少なくとも1つの要素の次の挙動を決定するステップを包含し、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれてノイズより所定のルールに支配された形式で前記次の挙動が決定され、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて前記所定のルールより前記ノイズに支配された形式で前記次の挙動が決定される。これにより、上記目的が達成される。
前記決定するステップにおいて、前記次の挙動は、b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・N(Nは2以上の任意の整数)に従って決定され、b’は要素iがとるべき次の挙動を示し、bは要素iの現在の挙動を示し、fは所定のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす所定の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されていてもよい。
本発明によれば、予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能なシステム、方法およびプログラムを提供することができる。
本発明は、細胞における遺伝子の発現メカニズムに関する生物学的考察に基づいてなされたものである。細胞には、複数の遺伝子が含まれている。複数の遺伝子のそれぞれは、発現した状態と発現していない状態とのうちのいずれかの状態をとり得る。発現した状態は、複数の発現レベルに応じてさらに複数の状態に区分され得る。
細胞は、さまざまなレベルの活性度の状態をとり得る。各遺伝子が発現するかしないか、発現する場合にどの発現レベルで発現するかは、細胞内の活性度レベルの影響を受けて以下のように決定される。細胞内の活性度レベルが高い場合には、その細胞内の各遺伝子の挙動(各遺伝子が発現するかしないか、発現する場合にはどの発現レベルで発現するか)は、細胞内の所定のルールによって支配されている。ところが、細胞内の活性度レベルが低い場合には、その細胞内の各遺伝子の挙動(各遺伝子が発現するかしないか、発現する場合にはどの発現レベルで発現するか)が、その細胞内の所定のルールではなくノイズ(ゆらぎ)によって支配されている。このノイズ(ゆらぎ)は、各遺伝子に固有である(intrinsic)と考えられている。生物学的考察により、予め予期することができないイベント(例えば、環境の変化)にさらされても細胞が死にいたらないのは、遺伝子に固有のノイズ(ゆらぎ)に由来していることが明らかになってきた。
細胞内の活性度レベルが低い状態が永久に続くわけではない。例えば、細胞内の活性度レベルが低い場合でも、ノイズ(ゆらぎ)によって細胞内の各遺伝子の挙動が活性度レベルの低い安定状態から活性度レベルの高い安定状態に遷移することにより、細胞内の活性度レベルが増大することがあり得る。細胞内の活性度レベルが増大するにつれて細胞内の各遺伝子の挙動はノイズ(ゆらぎ)よりもその細胞内の所定のルールに支配された形式で決定される。逆に、細胞内の活性度レベルが減少するにつれて細胞内の各遺伝子の挙動はその細胞内の所定のルールよりもノイズ(ゆらぎ)に支配された形式で決定される。
本発明は、上述したような生物学的考察に基づいて、新発想のコンピュータシステムを提供する。従来のコンピュータシステムにおいては、ノイズはむしろ除去されるべきものであった。本発明では、あえてそのノイズの考え方を導入することにより、予め予期することができないイベントに対して対処することが可能なコンピュータシステムを実現しようとするものである。
本明細書では、以下の(実施の形態1)〜(実施の形態3)において新発想のコンピュータシステムの実現例について説明し、(実施の形態4)において生物学的考察について説明する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の交通制御システム1の構成の一例を示す。
交通制御システム1は、複数の信号機制御装置10、10、・・・、10を含む。ここで、Nは2以上の任意の整数である。
交通制御システム1の目的は、交通渋滞の発生を防止しもしくは抑制し、または、発生した交通渋滞を緩和することである。その目的を達成するために、複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれが自立分散的に制御される。
図2Aは、信号機制御装置10の構成の一例を示す。ここで、i=1,2,・・・,Nである。ここでは、説明を簡略化するために、信号機制御装置10は、2つの道路(X方向に延びる道路とY方向に延びる道路)が交差する交差点における交通を制御するものとする。
信号機制御装置10は、信号機12a〜12dと、信号機12a〜12dを制御する制御部14とを含む。制御部14は、任意のタイプのコンピュータを含み得る。信号機12a〜12dを制御する制御処理を実現したプログラムをそのコンピュータに実行させることにより、信号機12a〜12dを任意の態様で制御することが可能になる。
制御部14は、信号機12a〜12dのそれぞれが「青」信号、「黄」信号、「赤」信号をそれぞれ表示する時間を制御する。具体的には、制御部14は、信号機12a、12bが「青」信号もしくは「黄」信号である場合には信号機12c、12dが「赤」信号となるように信号機12a〜12dを制御し、信号機12c、12dが「青」信号もしくは「黄」信号である場合には信号機12a、12bが「赤」信号となるように信号機12a〜12dを制御する。
図1を再び参照して、交通制御システム1は、変数Actの値を保持する保持装置20をさらに含む。
ここで、変数Actの値は、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態の活性度(Activity)を示す。系の状態の活性度とは、その系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれぐらい近いかを反映した指標である。例えば、変数Actの値=1/|(評価値)−(所望の値)|である。ここで、評価値は計測可能な値である必要がある。所望の値は、その系の状態に基づいて決定される評価値の目標値として任意の設定される。
図1に示される例では、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態に基づいて決定される評価値とは、複数の信号機制御装置10〜10が配置されている地域における交通の状態を示す値(例えば、一定期間内に各交差点を通過する車両の数の合計)である。所望の値は、その地域における交通の任意の所望の状態を示す値(目標値)であり得る。例えば、所望の状態は、「その地域内のすべての交差点において渋滞なし」という状態であってもよいし、「その地域における1以上の所定の場所において渋滞なし」という状態であってもよい。
保持装置20に保持されている変数Actの値は、時間の経過につれて変化する交通の状態を反映するように更新され得る。変数Actの値を更新するタイミングは任意のタイミングであり得る。変数Actの値を更新する態様は問わない。
例えば、所望の状態が「その地域内のすべての交差点において渋滞なし」という状態であると仮定する。この場合には、変数Actの値の更新は、例えば、一定の期間(例えば、60秒)ごとに保持装置20が変数Actの値をリセットし、各交差点に設置された計測装置がその一定の期間内に交差点を通過する車両の数をカウントし、各計測装置がその一定の期間内にカウントされた車両の数を保持装置20に送信し、保持装置20が各計測装置から送信された値を積算し、その積算された値を評価値とし、その評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した値(例えば、評価値と所望の値との差の絶対値の逆数)を算出し、その算出された値を変数Actに書き込むことによって達成される。
例えば、所望の状態が「その地域内の1以上の所定の場所において渋滞なし」という状態であると仮定する。この場合には、変数Actの値の更新は、例えば、一定の期間(例えば、60秒)ごとに保持装置20が変数Actの値をリセットし、その1以上の所定の場所のそれぞれに設置された計測装置がその一定の期間内にその場所を通過する車両の数をカウントし、各計測装置がその一定の期間内にカウントされた車両の数を保持装置20に送信し、保持装置20が各計測装置から送信された値を積算し、その積算された値を評価値とし、その評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した値(例えば、評価値と所望の値との差の絶対値の逆数)を算出し、その算出された値を変数Actに書き込むことによって達成される。
一定の期間内に交差点(または、所定の場所)を通過する車両の数をカウントする計測装置としては、公知の任意のタイプの計測装置を使用することができる。計測装置は、信号機制御装置10とは別の装置であり得る。あるいは、計測装置の機能を複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれの内部に組み込むようにしてもよい。
図2Bは、計測装置の機能を組み込んだタイプの信号機制御装置10の構成の一例を示す。図2Bに示される例では、信号機制御装置10は、信号機12a〜12dと、信号機12a〜12dを制御する制御部14とに加えて、計測部16a〜16dをさらに含む。
計測部16a、16bは、Y方向に延びる道路に沿って一定の期間内に交差点を通過する車両の数をカウントする。制御部14は、計測部16a、16bによってその一定の期間内にカウントされた車両の数を保持装置20に送信する。
計測部16c、16dは、X方向に延びる道路に沿って一定の期間内に交差点を通過する車両の数をカウントする。制御部14は、計測部16c、16dによってその一定の期間内にカウントされた車両の数を保持装置20に送信する。
図3は、保持装置20の構成の一例を示す。
保持装置20は、変数Actの値を格納する格納部22と、格納部22に格納された変数Actを更新する更新部24とを含む。更新部24は、一定の期間ごとに変数Actの値をリセットするリセット部24aと、計測装置(または、信号機制御装置10に内臓された計測部16a〜16d)から送信された値を受信する受信部24bと、受信された値を積算し、その積算された値を評価値とし、その評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した値(例えば、評価値と所望の値との差の絶対値の逆数)を算出する算出部24cと、算出された値を変数Actに書き込む書き込み部24dとを含む。
図1に示される例では、保持装置20は、信号機制御装置10とは別の装置である。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、保持装置20の機能を有する保持部を複数の信号機制御装置10〜10のうちの1つ(例えば、信号機制御装置10)の内部に組み込むようにしてもよい。この場合には、信号機制御装置10と信号機制御装置10〜10のそれぞれとの間でデータを通信可能なように信号機制御装置10〜10を構成すればよい。データの通信の態様は問わない。データの通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
図4は、複数の信号機制御装置10〜10が配置されている地域30の一例を示す。図4に示される例では、N=7であるがこれに限定されない。地域30は、都道府県、市町村などの行政区分であり得るが、これに限定されない。地域30は、任意の手法に従って区分された任意の領域であり得る。複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれは、地域30における各交差点を担当するように配置され得る。複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれは、地域30における交通の状態が所望の状態に近づくように自立分散的に制御され得る。
なお、図4に示される例では、交差点は、2つの道路が十字状に交差する交差点であるとして説明したが、これに限定されない。例えば、交差点は、2つの道路がT字状に交差する交差点であってもよい。
上述した説明では、信号機制御装置10は、2つの道路が交差する交差点における交通を制御するものとして説明したが、信号機制御装置10を3以上の道路が交差する交差点における交通を制御するものとしてもよい。
信号機制御装置10の制御部14は、保持装置20に保持されている変数Actの値に応じて、信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定する。具体的には、信号機制御装置10の制御部14は、信号機制御装置10〜10を含む系の状態に基づいて決定される評価値(図1に示される例では、信号機制御装置10〜10が配置されている地域の交通の状態を示す値)が所望の値に近づくにつれて、ノイズηより所定のルールfに支配された形式で信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定し、信号機制御装置10〜10を含む系の状態に基づいて決定される評価値(図1に示される例では、信号機制御装置10〜10が配置されている地域の交通の状態を示す値)が所望の値から遠ざかるにつれて、所定のルールfよりノイズηに支配された形式で信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定する。
例えば、信号機制御装置10の制御部14は、式(1)に従って、信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定する。
b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・N ・・・(式1)
ここで、b’は信号機制御装置10がとるべき次の挙動を示し、bは信号機制御装置10の現在の挙動を示し、fは所定のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす所定の単調増加関数を示し、ηはノイズ(ゆらぎ)を示す。Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束する。変数Actの値は、その系の状態に基づいて決定される評価値(図1に示される例では、その地域における交通の状態を示す値)が所望の値に近づくにつれて大きくなり、その系の状態に基づいて決定される評価値(図1に示される例では、その地域における交通の状態を示す値)が所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されている。
図1に示される例では、b’は、信号機制御装置10がとるべき次の挙動として、信号機12a、12bが「青」信号を表示する時間と「黄」信号を表示する時間の合計に対する信号機12a、12bが「赤」信号を表示する時間の比を示す。例えば、信号機12a、12bが「青」信号を表示する時間をT’、「黄」信号を表示する時間をT’、「赤」信号を表示する時間をT’とすると、b’=T’/T’+T’である。あるいは、b’=log(T’/T’+T’)であってもよい。ここで、logは自然対数を示す。
同様にして、図1に示される例では、bは、 信号機制御装置10の現在の挙動として、信号機12a、12bが「青」信号を表示する時間と「黄」信号を表示する時間の合計に対する信号機12a、12bが「赤」信号を表示する時間の比を示す。例えば、信号機12a、12bが「青」信号を表示する時間をT、「黄」信号を表示する時間をT、「赤」信号を表示する時間をTとすると、b=T/T+Tである。あるいは、b=log(T/T+T)であってもよい。ここで、logは自然対数を示す。
所定のルールfは、例えば、公知の「if〜then〜else〜」形式で記述されたルールであり得る。このようなルールは、予め予期することが可能なイベントに対処可能なように予め決定され得る。当業者であれば、どのようなイベントに対してどのように対処すべきかを示す仕様さえ与えられれば、その仕様を満たす1以上のルールを容易に設計することができる。ただし、予め予期することが不可能なイベントに対しては、このようなルール指向のプログラミングは無力である。予め予期することが不可能なイベントの発生条件をプログラムで記述することができないからである。本発明は、このような予め予期することが不可能なイベントにも対処可能とする点で画期的なものである。
なお、所定のルールfが必ずしも最適なルールである必要はない。本発明は、与えられた所定のルールfの範囲内で最適化を図ろうとするものだからである。
また、所定のルールfが、信号機制御装置10〜10の現在の挙動b〜bのすべてに依存していることは必須ではない。所定のルールfは、信号機制御装置10〜10の現在の挙動b〜bの少なくとも1つに依存していればよい。あるいは、所定のルールfは、信号機制御装置10〜10の現在の挙動b〜bの少なくとも1つに加えて、系の状態に基づいて決定される少なくとも1つの変数に依存するようにしてもよい。図1に示される例では、fの値は、スカラー値で表現され得る。
所定の単調増加関数Fは、「任意のAct、Actに対して、もしAct<ActならばF(Act)≦F(Act)」という条件を満たす任意の関数であり得る。すなわち、所定の単調増加関数Fは、変数Actの値が増加するにつれてF(Act)の値が減少することがない(増加するもしくは等しい)任意の関数である。図1に示される例では、Actの値、F(Act)の値は、いずれも、スカラー値 で表現され得る。
ノイズηは、ルールとして表現することのできない任意のものであり得る。ノイズηは、例えば、ランダムノイズであり得る。図1に示される例では、ノイズηは、平均0、標準偏差1の正規分布(ガウシアン分布)によって表現され得る。このようなノイズηは、例えば、複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれの内部にノイズ生成器を設けることにより生成され得る。あるいは、ノイズ生成器によって生成されたノイズを複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれに供給するようにしてもよい。この場合、単一のノイズ生成器によって生成された単一のノイズηを複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれに供給するようにしてもよいし、複数のノイズ生成器によって生成された複数のノイズη〜ηを複数の信号機制御装置10〜10にそれぞれ供給するようにしてもよい。
なお、図1に示される例では、式(1)における「×」は、スカラーとスカラーとの乗算を示し、式(1)における「+」は、スカラーとスカラーとの加算を示す。しかし、「×」、「+」の意味は、これに限定されない。「×」、「+」は、演算の対象となる量がベクトル量であるかスカラー量であるかに応じて、数学における通常の意味で用いられ得る。
|f|×F(Act)の値がηの絶対値に比べて十分大きい場合には、次の挙動b’を決定するに際してノイズηは無視され得る。この場合には、次の挙動b’は、所定のルールfに実質的に支配された形式で決定される。その結果、信号機制御装置10の挙動は安定な状態(複数の安定な状態が存在する場合にはその複数の安定な状態のうちの1つ)に次第に収束する。ここで、安定な状態にある挙動は、f=0の解として求められ得る。
これに対し、|f|×F(Act)の値が0に十分近い場合には、次の挙動b’を決定するに際して|f|×F(Act)の値は無視され得る。この場合には、次の挙動b’は、ノイズηに実質的に支配された形式で決定される。その結果、信号機制御装置10の挙動は一時的に不安定となる。しかし、ノイズηの挙動(例えば、ランダムな挙動)をきっかけにして、信号機制御装置10の挙動が安定な状態に少しでも近づくとF(Act)の値が増加することになるから、次の挙動b’は、ノイズηに所定のルールfを少しだけ加味した形式で決定されることになる。このように、変数Actの値に応じてノイズηと所定のルールfとをバランスさせた形式で次の挙動b’が決定される。
図5は、信号機制御装置10の制御部14の構成の一例を示す。
制御部14は、CPU14aと、メモリ14bと、信号機インタフェース14cと、通信インタフェース14dとを含む。これらの構成要素は、内部バス14eを介して相互に接続されている。
メモリ14bには、信号機12a〜12dを制御する制御処理を実現したプログラムが格納されている。さらに、所定のルールf、所定の単調増加関数Fもメモリ14bに格納されている。CPU14aは、そのプログラムを実行する。
制御部14は、信号機インタフェース14cを介して信号機12a〜12dを制御することが可能なように構成されている。例えば、信号機インタフェース14cには、信号機12a、12bの「青」信号を表示する時間の長さを示す変数Bを格納するための領域RBと、信号機12a、12bの「黄」信号を表示する時間の長さを示す変数Yを格納するための領域RYと、信号機12a、12bの「赤」信号を表示する時間の長さを示す変数Rを格納するための領域RRとが設けられている。例えば、変数Bの値を領域RBに書き込み、変数Yの値を領域RYに書き込み、変数Rの値を領域RRに書き込んだ後に、トリガ信号を信号機インタフェース14cに与えることによって、信号機12a、12bにおいて、「青」信号を変数Bの値(秒)だけ表示した後に「青」信号を「黄」信号に遷移させ、「黄」信号を変数Yの値(秒)だけ表示した後に「黄」信号を「赤」信号に遷移させ、「赤」信号を変数Rの値(秒)だけ表示した後に「赤」信号を「青」信号に遷移させることができる。このように、変数Bと変数Yと変数Rとを用いて、信号機12a、12bの「青」信号→「黄」信号→「赤」信号の遷移を制御することができる。同様にして、変数Bと変数Yと変数Rとを用いて、信号機12c、12dの「青」信号→「黄」信号→「赤」信号の遷移を制御することができる。
制御部14は、通信インタフェース14dを介して信号機制御装置10の外部にある装置と通信することが可能なように構成されている。例えば、通信インタフェース14dは、データを保持装置20に送信する送信部として機能し得、保持装置20からデータを受信する受信部として機能し得る。
図6は、信号機制御装置10における信号機12a〜12dを制御する制御処理を実現したプログラムの手順の一例を示す。このプログラムは、例えば、CPU14aによって実行される。
ステップ61:保持装置20に保持されている変数Actの値が参照される。
変数Actの値を参照する態様は問わない。変数Actの値の参照は、例えば、信号機制御装置10から保持装置20にリクエストを送信し、そのリクエストに応答して保持装置20から送信された変数Actの値を示すデータを信号機制御装置10において受信することによって達成されるが、これに限定されない。例えば、一定の時間が経過するたびに保持装置20から送信される変数Actの値を示すデータを信号機制御装置10において受信するようにしてもよい。
ステップ62:変数Actの値に応じて、信号機制御装置10がとるべき次の挙動が決定される。
このような決定は、例えば、上述したように(式1)に従って行われる。信号機制御装置10〜10の現在の挙動b〜bを示すデータを入手する態様は問わない。現在の挙動bを示すデータの入手は、例えば、メモリ14bに格納されているデータを参照することによって達成される。現在の挙動b、b、・・・、bi−1、bi+1、・・・、bを示すデータの入手は、例えば、信号機制御装置10から信号機制御装置10、10、・・・、10i−1、10i+1、・・・、10のそれぞれにリクエストを送信し、そのリクエストに応答して信号機制御装置10、10、・・・10i−1、10i+1、・・・、10からそれぞれ送信された現在の挙動b、b、・・・、bi−1、bi+1、・・・、bを示すデータを信号機制御装置10において受信することによって達成されるが、これに限定されない。これらのデータは、例えば、メモリ14bに格納され得る。
ステップ63:ステップ62において決定された次の挙動が実行されるように信号機12a〜12dが制御される。
このような制御は、例えば、上述したように信号機インタフェース14cの所定の領域に値を書き込むことによって達成される。
このように、信号機制御装置10の制御部14内のCPU14aが図6に示されるプログラムを実行することにより、制御部14は、信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定する決定部として機能することができる。
信号機制御装置10〜10の少なくとも1つのそれぞれにおいて、制御部14内のCPU14aが図6に示されるプログラムを実行することにより、信号機制御装置10〜10の少なくとも1つのそれぞれがとるべき次の挙動を決定することができる。
このように、信号機制御装置10がとるべき次の挙動を変数Actの値に依存して決定することにより、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態に基づいて決定される評価値(例えば、複数の信号機制御装置10〜10が配置されている地域における交通の状態を示す値)が所望の値に近い状態(活性状態)にある場合には所定のルールfに従って信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定し、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態に基づいて決定される評価値(例えば、複数の信号機制御装置10〜10が配置されている地域における交通の状態を示す値)が所望の値から遠い状態(不活性状態)にある場合にはノイズηに従って信号機制御装置10がとるべき次の挙動を決定することが可能になる。その結果、予め予期することが不可能なイベントの発生により、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態が所望の状態から遠い状態(不活性状態)に陥った場合でも、システム全体を停止させることなく、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態を回復させることが可能になる。
ここで、複数の信号機制御装置10〜10を含む系の状態の回復は、ノイズηに依存するため、その系の状態が最適な状態にまで回復するとは限らないし、その回復には時間がかかる。しかし、本発明のシステムによれば、「予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能である」という従来のシステムでは得ることができない効果を得ることができる。このことは、特筆すべきことである。なぜなら、従来のシステムでは、「予め予期することが不可能なイベントが発生してシステムが混乱した場合には、システム全体を停止させて復旧にあたる」ということが技術常識だったからである。
本発明のシステムは、細胞における遺伝子の発現メカニズムについての深い洞察に基づいて従来の発想を転換することによってはじめて得られたものである。本発明のシステムは、従来の技術常識を覆すという点で、きわめて画期的であるといえる。さらに、本発明のシステムは、拡張性に優れたシステムであるといえる。なぜなら、複数の信号機制御装置10〜10が自立分散的に制御されるため、システムに新たな信号機制御装置を追加することが容易だからである。
このように、本発明によれば、予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能であるという対障害性や持続性に優れた”柔軟な”システムを構築することが可能になる。また、本発明によれば、拡張性に優れた”柔軟な”システムを構築することが可能になる。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、複数の信号機制御装置10〜10を含むシステムを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。複数の要素100〜100が下記の条件を満たすように構成されている限り、複数の信号機制御装置10〜10に代えて、その複数の要素100〜100を使用することができる。
条件:複数の要素100〜100のそれぞれが、系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値に近づくにつれてノイズより所定のルールに支配された形式で次の挙動を決定し、系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値から遠ざかるにつれて所定のルールよりノイズに支配された形式で次の挙動を決定する決定部を有していること。
このように、複数の要素100〜100を上記条件を満たすように構成することにより、予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能であるという対障害性や持続性に優れた”柔軟な”システムを構築することが可能になる。また、本発明によれば、拡張性に優れた”柔軟な”システムを構築することが可能になる。
本発明による”柔軟な”システムを実現する考え方は、様々なタイプのコンピュータシステム(例えば、インターネットシステム、携帯電話システムなど)に適用することができる。
インターネットシステムは、複数のコンピュータノードを有している。複数のコンピュータノードのそれぞれは、入力ポートと出力ポートとを有している。各コンピュータノードは、入力ポートに接続される複数のコンピュータノードのいずれかから受け取った情報を出力ポートに接続される複数のコンピュータノードのうちどのコンピュータノードに出力するかを決定し、その決定されたコンピュータノードに情報を出力するスイッチングノードとして機能する。各コンピュータノードにおけるスイッチングは排他的であり、当該コンピュータノードを通る複数のフローのうち1つのフローを選択すれば他のフローを選択することができない。
あるコンピュータノードを通るm個のフローが存在するとし、このコンピュータノードはm個のフローのうちの1つを選択するように動作するとする。ここで、mは2以上の任意の整数である。この場合、このコンピュータノードの挙動は、例えば、m個のフローのそれぞれを選択する確率の組(P,P,・・・,P)によって表現され得る。ここで、Pはm個のフローのうちi番目の特定のフローを選択する確率を示す(i=1,2,・・・,m)。
各コンピュータノードを上記条件を満たすように構成することにより、”柔軟な”インターネットシステムを構築することが可能になる。そのようなコンピュータノードの構成は、実施の形態1において説明した信号機制御装置10の構成と同様であるから、ここではその説明を省略する。
携帯電話システムもまた、スイッチングノードとして機能する複数のコンピュータノードを有している。従って、各コンピュータノードを上記条件を満たすように構成することにより、”柔軟な”携帯電話システムを構築することが可能になる。そのようなコンピュータノードの構成は、実施の形態1において説明した信号機制御装置10の構成と同様であるから、ここではその説明を省略する。
同様にして、本発明による”柔軟な”システムを実現する考え方は、スイッチングノードとして機能する複数のコンピュータノードを有する任意のシステムに適用することができる。各コンピュータノードを上記条件を満たすように構成することにより、”柔軟な”システムを構築することが可能になる。そのようなコンピュータノードの構成は、実施の形態1において説明した信号機制御装置10の構成と同様であるから、ここではその説明を省略する。
(実施の形態3)
上述した実施の形態1では、複数の信号機制御装置10〜10が自立分散的に制御される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。複数の信号機制御装置10〜10を制御する制御装置を交通制御システム1内に設け、その制御装置が複数の信号機制御装置10〜10を集中的に制御するようにしてもよい。この場合には、その制御装置が複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれの次の挙動を決定し、複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれについて決定された次の挙動を複数の信号機制御装置10〜10のそれぞれに伝達するようにすればよい。このような決定は、例えば、その制御装置内のメモリに式(1)を格納しておき、その制御装置内のCPUに複数の信号機制御装置10〜10を制御する制御処理を実現したプログラムを実行させることによって達成され得る。また、そのような伝達は、有線通信を利用してなされてもよいし、無線通信を利用してなされてもよい。このような制御装置は、保持装置20と別の装置であってもよいし、保持装置20の機能を組み込んだタイプのものであってもよい。このような”集中制御型”の交通制御システムによっても、図1に示される”自立分散制御型”の交通制御システム1と同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、実施の形態2で説明した”柔軟な”システムを”集中制御型”のシステムとして実現することも、”自立分散型”のシステムとして実現することも本発明の範囲内であるというべきである。
(実施の形態4)
細胞性生物は、不規則に変化する環境に対して、生存のためにそれらの遺伝子ネットワークを柔軟に調整する。いくつかの環境変化は、シグナル伝達機構により認識され、これが次にその情報を、DNA上の特定のプロモーター領域に伝達して、指定された環境に対して適応性の機能的分子を発現する。その一方で、生物は、予め予測することが不可能なイベントに対しても、適切に反応することにより、環境変化に対応することができる。
本発明者らは、特定のシグナル伝達機構が存在しない環境変化に対する生物の未知の適応性応答機構を実証するために、相互抑制性オペロンのみから構成される遺伝子ネットワークをE.coli細胞に組み込んだ。この遺伝子ネットワークを用いた実験は、細胞が所定の栄養素についてのシグナル伝達機構が存在しない場合であっても、その栄養素の利用可能性の変化に対して応答し、その結果、複数存在する遺伝子発現状態の中で、適切な酵素を産生する状態をもたらすことを示した。従って、生物が特定のシグナル伝達経路なしに環境変化に適応するように変化できることが示された。
さらに、そのオペロンからの遺伝子発現について鋭意研究した結果、本発明者らは、遺伝子ネットワーク内の遺伝子発現の複数の状態(複数のアトラクター)が細胞活性または活力と協働し、ノイズによる誘導を行い、そして、適応性のアトラクターが選択されることにより、細胞がシグナル伝達機構の対象ではない環境変化に対して適応性応答を生じることを見出した。このアトラクター選択は、シグナル伝達機構のように特定の閾値を有し、入力を出力にプロセシングする分子デバイスの連続的反応としてではなく、非線形ネットワークに固有のノイズにより誘導される制御系として作用する。
1.材料および方法
(プラスミド構築)
プラスミドpALL7を、標準的なクローニングマニュアル(J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, Molecular Cloning Alaboratory manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, ed. 2, 1989))に記載されるような基本的な分子クローニング技術を使用して構築した。遺伝子およびプロモーターを、以下のようにして得た:pTrc99A(Amersham Biosciences)よりPtrc;pASK−IBA3(Sigma−Genosys)よりPtetA;pTrc99AよりlacI;pcDNA6/TR(Invitrogen)よりtetR;pEGFP(BD Biosciences Clontech)よりegfp;dsRed.T4(B.J. Bevis, B. S. Glick, Nat Biotechnol 20, 83 (2002))(B.S.Glick博士(The University of Chicago)から寄贈);pQE16(Qiagen)よりmdhfr;pKGN−H 17よりgls−h。このプラスミドは、ColE1複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を含んでいた。T1ターミネーターおよびt0ターミネーターは、それぞれ、オペロン1およびオペロン2からの転写を終結させる。
(株、培地、および増殖条件)
OSU001株(DH1(D. Hanahan, J Mol Biol 166, 557 (1983))の誘導体)を、相同組換えによりcat遺伝子でglnA遺伝子を置き換えることにより構築した(K.A. Datsenko, B. L. Wanner, Proc Natl Acad Sci U S A 97, 6640 (2000))。培地Mは、100mg/lのアンピシリンおよび0.5μg/lのアンヒドロテトラサイクリン(aTc)を添加することにより培地Cの最少培地(A.Kashiwagi et al., J Mol Evol 52, 502 (2001))から作製した。PtetAの実質的な強度をPtrcの強度と同様に調整するために、aTc(Tetリプレッサを阻害する)もまた、培地NおよびTに等濃度で添加した。培地Nは、培地Mおよび0.1mMのグルタミンから構成される。培地Tは、培地Nおよび650μg/mlのトリメトプリムラクテートから構成される培地である。トリメトプリムラクテートは、E.coliゲノムにおいてコードされるDHFRを阻害するが、オペロン2にコードされるmDHFRに対してほとんど影響を有さない。全ての培養物を、37℃にてエアレーションしながら増殖させた。細胞数を、SD−2000粒子分析機(Sysmex)を使用して測定した。各集団からの細胞を、フローサイトメトリー分析を行うまで−80℃で貯蔵した。
(フローサイトメトリー)
−80℃で貯蔵されたサンプルを、25℃にて水浴中で解凍し、そして分析まで氷上に維持した。単一細胞蛍光測定を、488nmアルゴン励起レーザーならびにGFPの蛍光について525nm±25nmの帯域フィルターおよびRFPの蛍光について600nmの二色性フィルターを用いて、Coulter(登録商標)Epics(登録商標)ELITE Flow Cytometer(Beckman Coulter)で実行した。各培養物について、10,000の事象を収集した。全てのフローデータを、WinMDI バージョン2.8を使用してテキストフォーマットに変換し、そしてMicrosoft Excel(登録商標)(Microsoft Corp.)を使用して分析した。
(mRNA測定)
全細菌性RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen)を用いて調製した。ノーザンブロットおよびハイブリダイゼーションを、標準的方法に従って実行し、そしてAlkPhos DirectTM Labeling and Detection Systems(Amersham Biosciences)を用いて可視化した。オペロン1およびオペロン2からのmRNAのハイブリダイゼーションシグナルを、ImageJ 1.29を用いて定量した。
(顕微鏡分析)
細胞の顕微鏡試験を、Olympus IX70顕微鏡およびKEYENCE VB−6010 CCDカメラを使用して実行した。GFP−RFPチャネルについて、BA460−490励起フィルター、DM505二色性ビームスプリッター、およびBA515IF発光フィルターを使用した。GFPチャネルについて、BA470−490励起フィルター、DM505二色性ビームスプリッター、およびBA515−550発光フィルターを使用した。RFPチャネルについて、BA250−550励起フィルター、DM565二色性ビームスプリッター、およびBA580IF発光フィルターを使用した。
(モデル解析)
数値シミュレーションを、Microsoft Visual C++で開発したプログラムを使用するRunge−Kutta法により実行した。線形安定性分析を、Mathematica3.0(Wolfram Research)を用いて実行した。
2.結果
(プラスミドの構築)
本実施の形態において使用される遺伝子ネットワークを構築するためのプラスミド構造(pALL7、図7)は、遺伝子発現における複数のアトラクターの存在を実証するために、Collinsらにより研究された遺伝子ネットワークの誘導体である(T. S. Gardner, C. R. Cantor, J. J. Collins, Nature 403, 339 (2000))。このプラスミドのオペロン1を、tetAプロモーター(A.Skerra, Gene 151, 131 (1994))(Tetリプレッサにより抑制される)、Lacリプレッサ(lacI)遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子(egfp(B.P. Cormack, R. H. Valdivia, S. Falkow, Gene 173, 33 (1996))、E.coliにおいて高度に発現される)、および変異体グルタミンシンテターゼ(GLS−H)(W.-Z.Xu, J. Fukuhara, K. Yamamoto, T. Yomo, I. Urabe, J. Ferment. Bioeng. 77, 252(1994))遺伝子(gls−h;元々の翻訳後調節を排除した)を用いて構築した。このプラスミドのオペロン2を、trcプロモーター(E. Amann, B.Ochs, K. J. Abel, Gene 69, 301 (1988))(Lacリプレッサにより抑制される)、Tetリプレッサ(A. Skerra、前出)(tetR)遺伝子、赤色蛍光タンパク質(RFP)(B.J. Bevis, B. S. Glick, Nat Biotechnol 20, 83 (2002))遺伝子(dsred.T4)、およびマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(mDHFR)(J.R. Appleman, N. Prendergast, T. J. Delcamp, J. H. Freisheim, R. L. Blakley, JBiol Chem 263, 10304 (1988).)遺伝子(mdhfr)を用いて構築した。
このネットワークは、2つのオペロンから構成され、これらのオペロンは、互いに相互に抑制し、そして遺伝子発現の3つの状態を有する:両方のオペロンの弱い発現および抑制(アトラクターW)、オペロン1の強い発現およびオペロン2の強い抑制(アトラクター1)、およびその反対(アトラクター2)。緑色蛍光タンパク質(GFP)および赤色蛍光タンパク質(RFP)の蛍光の分析により、どの状態をネットワークがとったのかを観察することが可能となる。複数のアトラクターが、非線形遺伝子ネットワーク内に存在しており、そして細胞分化および同所的種形成に重要であることは、理論的に示されている(S. A. Kauffman, The origin of order (Oxford University Press, NewYork, 1993)、K. Kaneko, T. Yomo, Bull Math Biol 59, 139 (1997)、K. Kaneko, T.Yomo, Proc R Soc Lond B Biol Sci 267, 2367 (2000))。しかし、これらの細胞が、環境変化に適応するために、2つのコードされた酵素(変異型グルタミンシンターゼ(GLS−H)またはマウスジヒドロ葉酸還元酵素(mDHRF))のうちの1つを発現するように1つのアトラクターから別のアトラクターに切り替えることができるか否かについては、教示も示唆もされていない。
(E.coli株の形質転換および培養)
本発明者らは、E.coli株OSU001(ゲノムにおいてグルタミンシンテターゼ遺伝子を欠く)を、pALL7で形質転換し、そして培養条件を段階的に変化させながら一晩づつの継体培養をした(図8)。より詳細には、OSU001(pALL7)を、環境を変えながら、毎日1mlあたり6.7×10個の細胞の接種サイズで継体培養に供した。環境の変え方は以下のとおりである: 1日目から5日目 培地N、6日目〜7日目 培地T、8日目〜10日目 培地N、11日目〜13日目 培地M、14日目〜15日目培地N、および16日目 培地T。各日における最終細胞濃度は、2.8×10〜2.6×10細胞/mlであった。図中に示された日に、細胞を、フローサイトメトリー分析にかけた。図中の色は、GFPおよびRFPを示されたレベルまで発現する細胞の密度を示す。培地Tにおいて観察された弱い正の相関は、緑色蛍光ゲートへのRFP蛍光の漏出に起因し、これは、GFP発現には関係なかった。
酵素GLS−HまたはmDHRFをコードする遺伝子を含むオペロンの発現が、培地N(最少培地(培地M)および0.1mMグルタミン)中での生存のために必要ではないので、3日目まで、大部分の細胞は、GFPおよびRFPの弱い蛍光を示した(アトラクターWに対応する)。これらの細胞を、培地Nから、テトラヒドロ葉酸(mDHFRの産物)枯渇を生じる培地T(培地Nおよび650μg/mlトリメトプリムラクテート)に移した場合、これらの細胞は、強いRFP発現を示した。
次に、顕微鏡分析を行った(図9)。培地M、N、およびTにおける細胞のGFPおよびRFPの蛍光を、各チャネルについて異なるフィルターセットを用いた。露光時間およびISO値で表される感度を、図中に示す。目盛りは、5μmである。この顕微鏡分析は、培地T中のGFP蛍光が、培地N中よりも弱いことを示した。このことは、GFPの強い抑制を実証している(図9におけるGFPチャネル)。強いRFP発現および強いGFP抑制を示す状態は、アトラクター2に対応する。このアトラクターは、これらの細胞がテトラデヒドロ葉酸の枯渇を補うmDHFRを発現することを可能にし、そして培地Tにおける生存には必要でないGLS−Hを抑制するので、培地Tに対して適応性である。
培地Nに戻すと、これらの細胞は、再びアトラクターWを示し、必要性の緩和に応じて強いmDHFR発現が止まる。さらに、培地Nから培地M(グルタミン枯渇を引き起こした)へ変更すると、細胞は、アトラクター1の状態になり、この場合、これらの細胞は、グルタミン枯渇を補うために必要なGLS−Hを強く発現し、そして不必要な酵素であるmDHFRをコードするオペロン2の強い抑制を示した(図9におけるRFPチャネル)。これらの細胞を培地Nに戻した場合、GLS−Hを強く発現する必要性がなくなり、そしてこれらの細胞は、アトラクターWの状態に戻り、2つの必要ではない酵素GFPとRFPを最小限レベルで発現した。各培地におけるこれら3つのアトラクターの交互の出現を、mRNAの定量によっても確認した;細胞あたりのオペロン1およびオペロン2由来のmRNAコピー数は、それぞれ、培地Mにおいて10.0および検出不能であり、培地Tにおいて検出不能および6.0であり、そして培地Nにおいて検出不能および0.3であった。
同じ適応性応答は、継体培養に対して、異なる順序で培地変化を適用した場合にも観察された(図10)。この実験では、OSU001(pALL7)を、環境を変えながら、1mlたり6.7×10個の細胞の接種サイズで一晩ずつの継体培養に供した。環境の変え方は、以下のとおりである:1日目から5日目 培地N、6日目〜7日目 培地M、8日目〜9日目 培地T、10日目〜11日目 培地N、12日目〜13日目 培地M、および14日目 培地T。毎日の最終細胞濃度は、2.8×10〜2.6×10細胞/mlであった。図中に示された日に、増殖した細胞を、フローサイトメトリー分析に供した。図中の色は、示された領域におけるGFPおよびRFPを発現する細胞の密度を示す。培地Mから培地Tへの変化が、細胞をアトラクター1からアトラクター2へとシフトさせたことに注目すべきである。培地Tから培地Mへの変化は、反対方向の移行を生じず、そして細胞を増殖させなかった(データは示さず)。
これらの結果は、環境変化が必須の栄養素(グルタミンまたはテトラヒドロ葉酸)の枯渇を引き起こす場合、相互に抑制性のオペロンのネットワークを有する細胞は、その栄養素に対応するシグナル伝達機構を有さなくても、その枯渇を補うアトラクターを選択するということを明らかに示した。
なお、上記の適応性応答は、単に、培地Nにおいて偶然他のオペロンよりも強く1つのオペロンを発現する少数の細胞が培地TまたはMにおいて増殖したこと に起因するものではない。なぜなら、培地MまたはT中の全ての細胞ではないとしても、大部分の細胞が、培地N中の遺伝子発現における変動の範囲を超えて高度に偏った遺伝子発現を示したからである。むしろ大部分の細胞が、栄養素利用可能性における変化に対して適応性のアトラクターを選択するようにそれらの遺伝子発現を変えたのであろう。
(個々の細胞の遺伝子発現における適応)
その個々の細胞による遺伝子発現の適応的変化は、適応性応答の初期段階の試験によっても確認された。
大部分の細胞における遺伝子発現が栄養素利用可能性に対して適応性のアトラクターを選択するように変化したことに起因して、適応性応答が生じたことを示すために、この適応性応答の初期段階を、以下に記載のように試験した。 本明細書に示された遺伝子発現結果の解釈としての制御機構とは異なる、代替的な遺伝子発現結果の解釈としては、期せずして、培地TまたはMの栄養素利用可能性に対して適応性のアトラクターに近い培地N中の少数の細胞のみが増殖し、そして培地TまたはMのそれぞれに対して明らかに適応する集団を構成したとする解釈が可能である。この代替的な解釈に従うと、培地TまたはMに接種された細胞の大部分は増殖しないが、しばらくの間栄養素なしに生存するという結果を示すことになる(N. Banning, S. Toze, B.J. Mee, Journal of Applied Microbiology 93,69 (2002))。どの解釈が現実により近いかを調べるために、本発明者らは、培地Nで増殖した細胞を、培地TまたはMに接種した後の遺伝子発現における初期変化を調べた。その結果を図11に示す。図11において、黒色および灰色の曲線は、培地Nから培地TおよびMへの接種後0.5時間におけるそれぞれの細胞分布を示す。赤および緑は、培地TおよびMにおける11時間の培養後のそれぞれの細胞分布を示す。
GFP対RFPの蛍光比は、これらの細胞(培地Tにおける11時間の培養の間に6.3倍に増殖し、そして培地Mにおいて3.2倍に増殖した)が既に、他方のオペロンよりも一方のオペロンを強く発現し始めていたことを示した。接種直後の細胞平均位置の周囲には、11時間の培養後の細胞分布において明確なショルダーが存在しなかったことに注目すべきである。このことは、培地TまたはMにおける11時間の培養後に、ほとんどの細胞は、元の遺伝子発現パターンを残していなかったことを示している。従って、この適応性応答は、単に、培地TまたはMの接種前に期せずして適応性アトラクターの近くにある少数の細胞の増殖に起因するのではいことを示す。むしろ、大部分の細胞が、おそらく、栄養素利用可能性の変化に応じてそれらの遺伝子発現を変更する。
この適応性応答が、大部分の細胞によるアトラクターの選択に起因し、かつ予め高度に偏った遺伝子発現を有する少数の細胞集団の選択に起因しないことをさらに確認するために、本発明者らは、アトラクターWの周囲の細胞集団からの培地MまたはTにおける増殖を、アトラクター1またはアトラクター2の周囲の細胞集団からの増殖と比較した。培地N中で一晩増殖された細胞(アトラクターWの周囲にあった)を、培地TおよびMに接種し(6.7×10細胞/ml)、そして21時間の培養によりそれぞれ2.9×10細胞/mlおよび7.5×10細胞/mlまで増殖させた。増殖した集団(これらは、培地Tにおいてアトラクター2の周囲にあり、そして培地Mにおいてアトラクター1の周囲であった)を、同じ培地中に再び接種し(6.7×10細胞/ml)、そして22.5時間の培養により2.8×10細胞/mlおよび13×10細胞/mlまで増殖させた。その結果、培地Nから培地Mまたは培地Tへの最初の接種の直後にアトラクターWの周囲にあった細胞集団が、第2の接種直後にアトラクター1およびアトラクター2の周囲にあった集団と同じオーダーの増殖を示したことを示していた。例えば、最初の接種直後の細胞の1%のみ(全集団がアトラクターWの周囲にある)が遺伝子発現の変動によりたまたまアトラクター1またはアトラクター2の周囲にあり、そして培地MまたはTにおける増殖に寄与していた場合、それらの比増殖速度は、第2の接種の直後のアトラクター1またはアトラクター2の周囲の細胞の比増殖速度よりも大きく、それぞれ1.7倍または1.9倍と計算される。変動に起因してアトラクター1またはアトラクター2の周囲に存在した小数の細胞、および適応性応答に起因して同じアトラクターの周囲に存在した細胞は、同じ培地中では同じ遺伝子発現を示すはずであるので、それらの増殖速度に大きな差異はないと考えられる。従って、上記の結果は、第1の接種の直後にアトラクターWにあった周囲の大部分の細胞が、栄養素利用可能性に対して適応性のアトラクターを選択するようにそれらの遺伝子発現を変更し、これによりアトラクター選択による適応性応答が生じたことを示す。
(別の相互抑制性ネットワークをコードするプラスミドによる確認)
(gls−hおよびmdhfrが互いに置き換えられている別の相互抑制性ネットワークをコードするプラスミド(pALL8)を用いた実験)
栄養素利用可能性の変化に対する単細胞生物の適応性応答は、その変化を認識し、そしてその情報を特定のプロモーターへ伝達し、そして指定された栄養素の利用に適応性のタンパク質をコードする遺伝子の発現をもたらす分子機構により説明されている(F. Jacob, J. Monod, Journal of Molecular Biology 1961, 318 (1961))。本明細書において上記で示された適応性応答が、栄養素利用可能性の変化を相互抑制性ネットワーク内のプロモーターへとつなぐ特定の分子機構に起因するという可能性を排除するために、本発明者らは、gls−hおよびmdhfr以外の遺伝子はpAll7と同じ位置に残されるが、gls−hおよびmdhfrが互いに置き換えられている別の相互抑制性ネットワークをコードするプラスミド(pALL8)を設計した。具体的には、mdhfrとgls−hとを交換して、pALL8(図12a)を、pALL7から作製した。OSU001(pALL8)細胞を、培地N’で一晩増殖させ、そして6.7×10細胞/mlの接種サイズで、以下の一連の一晩の継体培養に供した:培地M’((図12b)赤)および培地N’((図12b)灰色)中で4日間、および培地T’((図12c)緑)および培地N’((図12c)灰色)において7日間。インキュベーションの終点において、これらの細胞をフローサイトメトリー分析に供した(合計10000ドット)。図12のx軸は、GFP発現対RFP発現の比を示し、y軸は、示された発現比での細胞の頻度を示す。培地M’は、アンヒドロテトラサイクリン濃度が0.5μg/lの代わりに0.8μg/lであることを除いて、培地Mと同じ組成を有していた。培地N’は、培地M’および0.1mM L−グルタミンであり、そして培地T’は、培地N’および3.25mg/mlトリメトプリムラクテートであった。グルタミンの枯渇を引き起こす培地M’において、これらの細胞は、培地N’(グルタミンまたはテトラヒドロ葉酸のいずれの枯渇も生じない)と比較した場合、GLS−H(グルタミンの枯渇を補う)をコードするオペロン2の増加した発現を示した。テトラヒドロ葉酸の枯渇を引き起こす培地T’において、これらの細胞は、培地N’と比較した場合、mDHFR(これは、この枯渇を補う)をコードするオペロン1の増加した発現を示した(図12)。従って、同じ栄養素枯渇に直面した場合、OSU001(pALL8)細胞は、OSU001(pALL7)において強く発現されるオペロンと反対のオペロンの強い発現を伴う適応性の応答を示した。これらの知見は、どのオペロンが強く発現されるかは、栄養素利用可能性における変化に対するそのプロモーターの特異性に起因しないことを示した。このことは、この適応性応答が、環境からプロモーターへのシグナル伝達の特定の分子機構に関与しないことを示す。この結果は、細胞が栄養素利用可能性の変化を感知し、そしてシグナル伝達についての特殊化した分子機構なしで必要な酵素の強い発現および不必要な酵素の強い抑制のためのアトラクターを選択し得る機能を有するという、従来、教示も示唆もされていなかったメカニズムの存在を示す。
(無次元モデルの分析)
アトラクター選択による適応性応答の基本的な機構を理解するために、本発明者らは、無次元モデルを分析した。このモデルは、相互抑制性オペロンのネットワークを有する細胞における遺伝子発現の本質的な動力学を示す:
ここで、m1およびm2は、オペロン1およびオペロン2から転写されたmRNA(またはそのタンパク質産物)の濃度である。syn(act)およびdeg(act)は、mRNA合成およびmRNA分解のそれぞれの速度係数であり、そして、これらは、細胞活性または活力を示すactに対して依存性である。一方のmRNAの、そこにコードされたリプレッサタンパク質(その結合形態で二量体構造を有する)を介する他方のmRNAの合成速度に対する抑制性効果は、2次の効果であると考えられる(より一般的な形態についてはT. S. Gardner, C. R. Cantor, J. J. Collins, Nature 403, 339 (2000)を参照のこと)。ηおよびηは、遺伝子発現に固有の独立したホワイトノイズである(M.B. Elowitz, A. J. Levine, E. D. Siggia, P. S. Swain, Science 297, 1183 (2002))(E.M. Ozbudak, M. Thattai, I. Kurtser, A. D. Grossman, A. van Oudenaarden, NatGenet 31, 69 (2002).)。これらの2つの等式の線形安定性分析は、syn(act)/deg(act)≦2の場合、アトラクターWが出現し、一方、アトラクター1およびアトラクター2は、syn(act)/deg(act)>2の場合に、m1=m2のセパラトリクスを持つ対称吸引域と共に出現する。actの動力学は、複数の基質に対する細胞増殖についての一般的なマルチパラメーターのモデル(J.Nielsen, J. Villadsen, Bioreaction Engineering Principles (Plenum Press, NewYork, 1994).)
に従うように規定され、ここでproおよびconsは、actの産生および消費の速度係数である。Nutrient1およびNutrient2は、2つの栄養素の外部補充を示し、これらはまた、それぞれオペロン1およびオペロン2にコードされる酵素の発現によっても供給される。Nut_threadおよびNut_threadは、actの産生に対する2つの栄養素の閾値を示し、そしてnおよびnは、2つの栄養素の感度である。本発明者らは、単純化のために、下付き文字のついたパラメーターについては同じ値を使用した。本発明者らは、mRNA合成および分解の速度係数が、以下の単純な関数であると仮定した:
このことは、actが1から減少するにつれて、syn(act)/deg(act)は、2を超えて増加し、オペロン1およびオペロン2由来の2つのmRNAの合計における増加をもたらすということを示唆する。この仮定が満足される限り、syn(act)およびdeg(act)について[数3]以外の関数形を用いても、基本的に同じ結果を与える。実験において、mRNAの定量は、培地N(栄養素枯渇を生じない)から培地TまたはM(グルタミンまたはテトラヒドロ葉酸の枯渇を引き起こす)へと環境が変化する場合に、オペロン1およびオペロン2由来の2つのmRNAの合計が増加するということを示した。
シミュレーションの結果を図13に示す。図13aにおいて、黒、緑、および赤は、それぞれact、m1およびm2を示す。本発明者らは、以下の環境変化を採用した:(Nutrient1,Nutrient2)=(10,10)(ステップ0〜2,000)、(0,10)(〜ステップ8,000)、(10,10)(〜ステップ10,000)、(10,0)(〜ステップ16,000)、(10,10)(〜ステップ20,000)。本発明者らは、以下のパラメーターを採用した。ηおよびηの標準偏差は0.05であった。Nut_thread=2;pro=con=0.01;n=5。図13bでは、x軸に示される標準偏差のノイズを使用して、本発明者らは、10,000回のシミュレーションを行い、この場合、環境を、2000回のステップで(10,10)から(0,10)まで変化させた。Y軸は、ステップ20000においてm2より大きなm1で終了するシミュレーションの頻度を示す。
2つの栄養素のうちの一方の外部補充を停止した場合、モデルでは、(m1およびm2の合計が増加している)、アトラクターWからアトラクター1またはアトラクター2のいずれかにシフトした。アトラクター1およびアトラクター2は、対称性吸引域を有するので、同じ頻度で出現するかもしれない。しかし、大部分の場合、栄養素の枯渇を補うアトラクターのみが出現した。すなわち、これが、アトラクター選択による適応性応答(ARAS;adaptive response by attractor selection)であった。栄養素枯渇の出現の直後に、actは減少し、そしてmRNA動力学についての2つの等式の決定性項は、syn(act)およびdeg(act)の小さな値に起因して小さくなった。代わりに、これらの動力学は、ノイズηおよびηにより引き起こされる確率変動により支配された。この変動により、栄養素枯渇をある程度まで補い得る遺伝子発現状態にこのモデルが達した場合、actが増加し、そして決定性項は、最終的にこのモデルを適応性アトラクターの状態にするように再び作用し始めた。従って、これは、モデルが、対称的吸引域を有する非適応性アトラクターよりも適応性アトラクターを選択することを可能にする、ノイズとactとの協働である。小さすぎるノイズがシミュレーションに適用された場合、2つのアトラクターは、その栄養素が枯渇しているにもかかわらず、同じ頻度で出現した。
本明細書において提案されるアトラクター選択による適応性応答(ARAS)は、ネットワーク全体の非線形性を模倣する単純な抑制性ネットワーク(D. Thieffry, A. M. Huerta, E. Perez-Rueda, J. Collado-Vides,Bioessays 20, 433 (1998))において実証されたので、本発明者らは、ARASが、ゲノムネットワークにおいても機能しており、生物を実際に制御し得ると考える。
分子認識および酵素反応に基づく普通のシグナル伝達は、一般的に、閾値を用いる一連のイフ−ゼン−エルス−プロトコルとして記述され、その効率は、ノイズレベルが増加するに従って減少する。対照的に、ARASは、所定の強度のノイズと共に出現する。細胞は、頻繁にかつ規則的に出現する環境変化に対する効率的適応のためのシグナル伝達機構を発展させたようであるが、これらの細胞は、まれで不規則な環境変化に対する丈夫な適応のために、非線形ネットワークに固有の能力であるARASを使用し得る。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、予め予期することが不可能なイベントに対してシステム全体を停止させることなく対処することが可能なシステム、方法およびプログラム等を提供するものとして有用である。
本発明の実施の形態1の交通制御システム1の構成の一例を示す図 信号機制御装置10の構成の一例を示す図 計測装置の機能を組み込んだタイプの信号機制御装置10の構成の一例を示す図 保持装置20の構成の一例を示す図 複数の信号機制御装置10〜10が配置されている地域30の一例を示す図 信号機制御装置10の制御部14の構成の一例を示す図 信号機制御装置10における信号機12a〜12dを制御する制御処理を実現したプログラムの手順の一例を示すフローチャート 相互抑制性オペロンから構成されるネットワークのプラスミド構造(pALL7)を示す図 遺伝子発現における適応性変化の結果を示す図 相互抑制性オペロンから構成されるネットワークを有する細胞の顕微鏡検査の結果を示す図 図8に結果を示す実験とは、別の順序で培地を変化させた、連続的な一晩の培養の結果を示す図 アトラクター選択による適応性応答における遺伝子発現の初期シフトの結果を示す図 相互抑制性オペロンから構成される別のネットワークをコードするpALL8を有する細胞の適応性応答を示す結果を示す図 相互抑制性オペロンから構成されるネットワークにおける遺伝子発現のシミュレーションの結果を示す図
符号の説明
1 交通制御システム
10、10、・・・、10 信号機制御装置
20 保持装置
30 地域

Claims (3)

  1. N個の制御装置を制御するシステムであって、
    前記システムは、
    前記N個の制御装置を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部と、
    前記変数Actの値と前記N個の制御装置のうちの1つである制御装置iの現在の挙動とに応じて、前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定する決定部と
    を備え、
    前記決定部は、
    b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・N
    に従って前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定し、
    Nは2以上の任意の整数であり、b’は、前記制御装置iがとるべき次の挙動を示し、bは、前記制御装置iの現在の挙動を示し、fは任意のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす任意の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されている、システム。
  2. システムを用いてN個の制御装置を制御する方法であって、
    前記システムは、前記N個の制御装置を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部と、前記変数Actの値と前記N個の制御装置のうちの1つである制御装置iの現在の挙動とに応じて、前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定する決定部とを備え、
    前記方法は、
    前記決定部が、b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・Nに従って前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定するステップを包含し、
    Nは2以上の任意の整数であり、b’は、前記制御装置iがとるべき次の挙動を示し、bは、前記制御装置iの現在の挙動を示し、fは任意のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす任意の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるように定義されている、方法。
  3. N個の制御装置を制御する制御処理をシステムに実行させるためのプログラムであって、
    前記システムは、前記N個の制御装置を含む系の状態に基づいて決定される評価値が所望の値にどれくらい近いかを反映した変数Actの値を保持する保持部と、前記変数Actの値と前記N個の制御装置のうちの1つである制御装置iの現在の挙動とに応じて、前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定する決定部とを備え、
    前記制御処理は、
    前記決定部が、b’=b+f(b,b,・・・,b)×F(Act)+η for i=1,2,・・・Nに従って前記制御装置iがとるべき次の挙動を決定するステップを包含し、
    Nは2以上の任意の整数であり、b’は、前記制御装置iがとるべき次の挙動を示し、bは、前記制御装置iの現在の挙動を示し、fは任意のルールを示し、Fは、F(0)=0かつF(Act)≧0を満たす任意の単調増加関数を示し、ηはノイズを示し、Actが0に収束するとき|f|×Fが0に収束し、変数Actの値は、前記評価値が前記所望の値に近づくにつれて大きくなり、前記評価値が前記所望の値から遠ざかるにつれて小さくなるようにシステムに実行させるプログラム。
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