JP3821260B2 - 建設機械の作業機制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械の作業機制御装置に関し、特に、ブーム、アーム、バケット等の各フロント部材からなる作業機を車体前方に設けてなる建設機械において、その作業機の駆動を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベルなどの建設機械では、複数のフロント部材から構成された多関節構造体の作業機が車体前方に設けられている。たとえば、図2に示すような油圧ショベル1であれば、車体3に対して第1ブーム5、第2ブーム7、オフセットブーム11、アーム12、バケット14が順次、回動自在に連結されており、これら作業機を、オペレータの操作レバー等による操作に応じて駆動することにより、掘削作業等が行われる。
【0003】
こうした構造の油圧ショベル1では、第2ブーム7用の操作ペダルあるいはス操作用スイッチを操作することで、第2ブーム7を回動させ、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行わせるようにしている。
【0004】
ところで、側溝掘り作業等を行うときには、バケット14が溝の中で比較的低速度で移動するように、第2ブーム7の動作を微操作にて行う必要がある。第2ブームの動作を微操作で行うことで作業性が向上する。
【0005】
そこで、従来は、オペレータとしては、第2ブーム用操作ペダル等の操作量を微調整することで、第2ブーム7の動作の速度を抑えつつ、溝の中でバケット14を低速度で移動させるようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第2ブーム用操作ペダルを足によって微調整して、溝の中でバケット14を低速度で移動させるという微操作作業は高度の技術を必要とし、熟練を要する。しかも、第2ブーム用操作ペダル以外にもバケット用操作レバー等他の操作レバーを同時に複合操作しなければならない状況下では、なおさらのことである。
【0007】
このため、未熟練なオペレータにとってはもちろんのこと、熟練したオペレータといえども、仕事の負担が大きく、疲労が大きいものとなっていた。
【0008】
一方、作業機が高い位置にあるときには、微操作は必要とせず、むしろ迅速に第2ブーム7を動作させたいとの要請がある。
【0009】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、作業機が高い位置にあるときの作業性を損なうことなく、側溝掘り作業等を行っている場合の微操作作業を、オペレータに負担なく行えるようにすることを解決課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明の第1発明では、上記解決課題達成のために、
車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、
前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記高さ位置検出手段で検出された作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下である場合に、前記第2のフロント部材の最大回動速度を所定値以下に制限する制御手段と
を具えるようにしている。
【0011】
第1発明によれば、作業機の高さ位置が、具体的には、第1ブーム5の回動角θ1を検出することによって、検出される。
【0012】
そして、図24に示すように、検出された作業機の高さ位置(第1ブーム回動角θ1)が所定の高さ位置Ha以下(所定の角度θ1a以下)である場合に、第2のフロント部材11の最大動作速度が所定値以下に制限される。
【0013】
したがって、第2ブーム用操作ペダルを足によって微調整しなくても、たとえペダルをフルストローク位置まで操作しても、第2ブームたる第2のフロント部材7の動作速度は、所定値以下の低速度に制限される。
【0014】
よって、オペレータとしては第2ブーム用操作ペダルあるいは操作スイッチを微操作する作業から解放され、仕事の負担、疲労が軽減される。一方、作業機が高い位置にあるときには、第2ブーム7の動作速度は低速度に制限されることはないので、作業効率を高めることができる。
【0015】
また、第2発明では、車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、
前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下である場合における前記第2のフロント部材の最大回動速度が、前記作業機の高さ位置が前記所定の高さ位置よりも大きい場合における前記第2のフロント部材の最大回動速度よりも小さくなるように、前記作業機の高さ位置に対する前記第2のフロント部材の最大回動速度の対応関係を設定する設定手段と、
前記高さ位置検出手段で検出された作業機の高さ位置に対応する前記第2のフロント部材の最大回動速度を、前記設定手段で設定された内容から求め、この求めた最大回動速度以下の範囲内で、前記第2のフロント部材の回動速度を制御する制御手段と
を具えるようにしている。
【0016】
第2発明によれば、第1発明と同様の効果が得られる。
【0017】
ただし、第2発明では、図24に示すように、作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下(第1ブーム回動角θ1がθ1a以下)である場合における第2のフロント部材7の最大動作速度(100%未満から60%までの速度)が、作業機の高さ位置が所定の高さ位置よりも大きい場合(第1ブーム回動角θ1がθ1aよりも大きい場合)における第2のフロント部材7の最大動作速度(100%の速度)よりも小さくなるように、作業機の高さ位置(第1ブーム回動角θ1)に対する第2のフロント部材7の最大動作速度の対応関係が設定されておかれる。
【0018】
そこで、検出された作業機の高さ位置(第1ブーム回動角θ1)に対応する第2のフロント部材7の最大動作速度が、上記設定された内容から求められ、この求めた最大動作速度以下の範囲内で、第2のフロント部材7がオフセット動作される。
【0019】
また、第3発明では、車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、
前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下である場合における前記第2のフロント部材の最大回動速度が、前記作業機の高さ位置が前記所定の高さ位置よりも大きい場合における前記第2のフロント部材の最大回動速度よりも小さくなるように、前記作業機の高さ位置に対する前記第2のフロント部材の最大回動速度の第1の対応関係を設定する第1の設定手段と、
前記操作手段の操作量に対する前記第2のフロント部材の回動速度の第2の対応関係を設定する第2の設定手段と、
前記高さ位置検出手段で検出された作業機の現在の高さ位置に対応する前記第2のフロント部材の最大回動速度を、前記第1の対応関係から求めるとともに、前記操作量検出手段で検出された操作手段の現在の操作量に対応する前記第2のフロント部材の回動速度を、前記第2の対応関係から求め、これら求めた回動速度のうちで小さい方の回動速度が得られるように、前記第2のフロント部材の回動速度を制御する制御手段と
を具えるようにしている。
【0020】
第3発明では、図24に示すように、作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下(第1ブーム回動角θ1がθ1a以下)である場合における第2のフロント部材7の最大動作速度(100%未満から60%までの速度)が、作業機の高さ位置が所定の高さ位置よりも大きい場合(第1ブーム回動角θ1がθ1aよりも大きい場合)における第2のフロント部材7の最大動作速度(100%の速度)よりも小さくなるように、作業機の高さ位置(第1ブーム回動角θ1)に対する第2のフロント部材7の最大動作速度の第1の対応関係が設定されておかれる。
【0021】
一方において、図25(a)、(b)に示すように、第2のフロント部材7の操作手段45U、45Dの操作量Stに対する第2のフロント部材7の動作速度(流量指令)の第2の対応関係が設定されておかれる。また、この操作手段45U、45Dの操作量Stが検出される。
【0022】
そこで、上記検出された作業機の現在の高さ位置(第1ブーム回動角θ1)に対応する第2のフロント部材7の最大動作速度が、上記記第1の対応関係(図24)から求められるとともに、上記検出された現在の操作量Stに対応する第2のフロント部材7の動作速度が、上記第2の対応関係(図25(a)、(b))から求められ、これら求められた動作速度のうちで小さい方の動作速度が得られるように、第2のフロント部材7が動作される(図26(a)、(b))。
【0023】
このため、第2ブームたる第2のフロント部材7は、図27に示すように、作業機の高さ位置が低く、側溝掘り差作業等を行っている場合には、操作手段45U、45Dの操作量Stいかんにかかわらずに、その動作速度は低くなるとともに(速度veD)、作業機の高さ位置が高い場合には、操作手段45U、45Dの操作量Stに応じた速度(速度veU(>veD))で第2ブーム7が高速に作動される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態の建設機械の作業機制御装置の全体構成を示している。また、図2は、本実施形態で建設機械として想定している油圧ショベルの外観を示している。
【0026】
図2(a)は、オフセットブームを備えた油圧ショベルの側面図であり、図2(b)は図2(a)の矢視A図である。
【0027】
同図2に示すように、この油圧ショベル1は、大きくは、図示しない走行モータにより履帯が回転することにより走行する下部走行体2と、この下部走行体2の上部にスイングサークル4を介して配置され、図示しない旋回モータにより旋回される上部旋回体3(車体3)と、この車体3に前方に装着され、第1ブーム5、第2ブーム7、オフセットブーム11、アーム12、バケット14の各フロント部材からなる作業機とから構成されている。上部旋回体3の運転室内には、図1に示すように、操作内容を指示するとともに、車両運行状況を表示するモニタを備えた操作盤25と、作業機の各フロント部材の駆動を操作する左右操作レバー45、46、操作スイッチ46U、46D、オフセットブーム操作用ペダル(オフセットペダル)47とが配置されている。
【0028】
この作業機は、車体3に対して第1ブーム5、第2ブーム7、オフセットブーム11、アーム12、バケット14が順次連結されるよう構成されている。
【0029】
第1ブーム5は、車体3の車体旋回フレームに、ブームフート5aを回動中心にして上下方向に回動自在に配設されている。第2ブーム7は、第1ブーム5の先端に、第1ブームトップピンを回動中心にして上下方向に回動自在に配設されている。同様に、アーム12は、第2ブーム7、オフセットブーム11、ブラケット9を介して、このブラケット9に、上下方向に回動自在に配設されており、バケット14は、アーム12に、上下方向に回動自在に配設されている。
【0030】
第1ブーム用油圧シリンダ6は、第1ブーム5を駆動する油圧アクチュエータであり、この第1ブーム用油圧シリンダ6のボトム側は車体3に配設され、そのロッド先端は第1ブーム5の上端部に配設されている。したがって、第1ブーム用油圧シリンダ6のボトム室に圧油が供給されると、ロッドが伸張され、またヘッド室に圧油が供給されると、ロッドが縮退され、これに応じて第1ブーム5が上方向、または下方向に回動される。
【0031】
第2ブーム7を駆動する第2ブーム用油圧シリンダ8についても同様に、この第2ブーム用油圧シリンダ8のボトム側が第1ブーム5に配設され、そのロッド先端が第2ブーム7の端部に配設されており、第2ブーム用油圧シリンダ8のボトム室またはヘッド室に圧油が供給されることで、ロッドが伸張または縮退され、これに応じて第2ブーム7が下方向または上方向に回動される。
【0032】
図1に示すように、第1ブーム用油圧シリンダ6のヘッド室内の圧油の圧力P1hは、圧力センサ21により検出され、コントローラ50に入力される。同様に、第1ブーム用油圧シリンダ6のボトム室内圧力、第2ブーム用油圧シリンダ8のヘッド室内圧力、ボトム室内圧力は、それぞれ圧力センサ22、23、243で検出され、コントローラ50に入力される。
【0033】
さて、アーム12を駆動するアーム用油圧シリンダ13は、オフセットブーム11先端に設けられたブラケット9に支承され、そのロッド先端がアーム12に配設されており、アーム用油圧シリンダ13のロッドが伸張駆動または縮退駆動されることにより、アーム12は掘削方向またはダンプ方向に回動される。
【0034】
バケット14を駆動するバケット用油圧シリンダ15のボトム側は、アーム12に配設され、そのロッド先端はリンク15a、リンク15bを介してバケット14に配設されている。バケット用油圧シリンダ15が伸縮駆動または縮退駆動されることにより、バケット14は掘削方向またはダンプ方向に回動される。
【0035】
図2(b)はオフセットブーム11が左右に回動(オフセット動作という)されることにより、第2ブーム7に対してアーム12が、車体3の左右方向にオフセットされる様子を示している。
【0036】
すなわち、オフセットブーム11の一端は、第2ブーム7に、回動自在に配設されており、他端はブラケット9を介してアーム12に連結している。このオフセットブーム11を駆動するオフセットブーム用油圧シリンダ10のボトム側は第2ブーム7に配設され、そのロッド先端はブラケット9に配設されている。ロッド11aは、オフセット動作に伴い第2ブーム7に対するブラケット9(アーム12)の姿勢が変化しないように設けられたロッドであり、このロッド11aの一端は第2ブーム7に配設され、他端はブラケット9に配設されている。したがって、オフセットブーム用油圧シリンダ10が伸張駆動または縮退駆動されると、オフセットブーム11は右方向または左方向に回動され、アーム12は、第2ブーム7に対して右方向または左方向に、回動量に応じたオフセット量だけオフセットされる。図2(b)の2点鎖線は、オフセットブーム11が右方向にオフセット動作されたときの様子を示している。オフセットブーム11の第2ブーム7に対する回転角度θ3はオフセット角θ3として、オフセットブーム用回転角センサ16により検出され、コントローラ50に入力される。
【0037】
図3は、図2に示す油圧ショベル1の作業機のみを取り出して、その幾何的関係を示している。図3(a)、(b)は図2(a)、(b)にそれぞれ対応している。
【0038】
X−Y−Z座標系の原点Oは、ブームフート5aの位置に定められている。また、第1ブーム5の車体3に対する回転角度θ1(第1ブーム回転角θ1)の極性は、第1ブーム5が上方向に回動されたときを+、下方向に回動されたときを−と定めている。この第1ブーム回転角θ1は、第1ブーム用回転角センサ17により検出される。同様に、第1ブーム5に対する第2ブーム7の回転角度θ2(第2ブーム回転角θ2)は、第2ブーム用回転角センサ18により検出され、オフセットブーム11に対するアーム12の回転角度θ4(アーム回転角θ4)は、アーム用回転角センサ19により検出される。これら各回転角センサ17、18、19の検出回転角は、コントローラ50に入力される。なお、回転角センサ16〜19は、たとえばポテンショメータが使用される。
【0039】
図3において、aは、第2ブーム7と第1ブーム5を連結する第1ブームトップピンの配設位置であり、bは、オフセットブーム11と第2ブーム7を連結する第2ブームトップピンの配設位置であり、cは、ブラケット9とオフセットブーム11を連結するオフセットブームトップピンの位置であり、dは、アーム12とブラケット9を連結するブラケットトップピン(アームボトムピン)の配設位置であり、eは、バケット14のアーム12を連結するアームトップピン12a(単にアームトップ12aという)の配設位置である。
【0040】
そこで、第1ブーム5の長さL1を、ブームフート5aとa点を結ぶ線分の長さで表し、第2ブーム7の鉛直方向の長さL22(第2ブーム長2)を、a点とb点の鉛直方向距離で表し、第2ブーム7の水平方向の長さL21(第2ブーム長1)を、a点とb点の水平方向距離で表し、オフセットブーム11の長さL3を、b点とc点を結ぶ線分の長さで表し、ブラケット9の長さL4(第3ブラケット長)を、c点とd点を結ぶ線分の長さで表し、アーム12の長さL5を、d点とe点を結ぶ線分の長さで表すものとする。なお、バケット刃先位置14aが、作業機全体の先端の位置となる(図1参照)。
【0041】
また、アームボトムd点から垂直におろした線分に対して線分de(アーム12)がなす角γを、アーム対地角γと定める。このアーム対地角γは、アーム12の姿勢を表す。
【0042】
すると、これらアームトップ12aの座標位置e(X5、Y5、Z5)は、各回転角度θ1、θ2、θ3、θ4が与えられると、既知の各長さL1、L21、L22、L3、L4、L5を用いて、下記演算式(1)〜(11)に示すように、一義的に定まる。
【0043】
また、アーム対地角γについても、各回転角度θ1、θ2、θ4が与えられると、下記演算式(12)に示すように、一義的に定まる。
【0044】
また、バケット14のバケット巾l、床面距離s、リスト半径rについても既知であり、バケット14の回転角がさらに与えられると、上記アームトップ12aの座標位置e(X5、Y5、Z5)を用いて、作業機先端14aの座標位置(X6、Y6、Z6)が一義的に定まる。なお、バケット14の回転角を無視して(バケット14は固定状態にあるものと仮定して)、アームトップ12aの座標位置e(X5、Y5、Z5)から作業機先端14aの座標位置(X6、Y6、Z6)を求めることもできる。
【0045】
以下、図3の各点a〜eの座標位置、アーム対地角γを求める演算式について、図4に示す表を併せ参照して説明する。
【0046】
まず、第1ブーム5のフート5a(原点0)の座標位置を、X0=0,Y0=0,Z0=0とする。
【0047】
すると、第1ブーム5のトップ(a点)のX,Y,Z座標位置は、
X1=L1× Cos θ1 … (1)
Y1=L1× Sin θ1 … (2)
Z1=0
となる。
【0048】
すると、第2ブーム7のトップ(b点)のX,Y,Z座標位置は、
X2=X1+L22×Sin(θ1+θ2)−L21×Cos(θ1+θ2)…(3)
Y2=Y1−L22×Cos(θ1+θ2)−L21×Sin(θ1+θ2)…(4)
Z2=0
となる。
【0049】
すると、オフセットブーム11のトップ(c点)のX,Y,Z座標位置は、
X3=X2−L3 Cos θ3×Cos(θ1+θ2) …(5)
Y3=Y2−L3 Cos θ3×Sin(θ1+θ2) …(6)
Z3=L3×Sin θ3 …(7)
となる。
【0050】
すると、ブラケット9のトップ(アームボトムd点)のX,Y,Z座標位置は、
X4=X3−L4×Cos(θ1+θ2) …(8)
Y4=Y3−L4×Sin(θ1+θ2) …(9)
Z4=Z3
となる。
【0051】
すると、アーム12のトップ12a(e点)のX,Y,Z座標位置は、
X5=X4+L5×Cos(θ1+θ2+θ4) … (10)
Y5=Y4+L5×Sin(θ1+θ2+θ4) … (11)
Z5=Z3
となる。
【0052】
一方、アーム対地角γは、
γ=θ1+θ2+θ4−270゜… (12)
と表される。
【0053】
このように、作業機の回転角θ1〜θ4が与えられると、既知の各長さを用いて上記(1)〜(11)式により、油圧ショベル1のアームトップ12aの座標位置(X5、Y5、Z5)を一義的に求めることができ、これより作業機先端14aの座標位置(X6、Y6、Z6)を一義的に求めることができる。また、作業機の回転角θ1、θ2、θ4が与えられると、アーム対地角γを一義的に求めることができる。θ1〜θ4は、各回転角センサ17、18、16、19の検出値として与えられる。
【0054】
本実施形態では、上記演算式を用いて、第1ブーム5の回転角θ1が操作レバーの操作により変化した場合に、作業機先端14aの座標位置(X6、Y6、Z6)
(アームトップ12aの座標位置(X5、Y5、Z5))が、目標とするライン上にのるように、第2ブーム7の回転角θ2を制御するものである。
【0055】
すなわち、図1に示すコントローラ50のメモリに、第1ブーム5の長さL1、第2ブーム7の長さL21,L22、オフセットブーム11の長さL3、ブラケット9の長さL4、アーム12の長さL5等既知の値が記憶されているとともに、
各ポイントa〜eの座標位置を求める演算式およびアーム対地角γの関数式が記憶されており、これら記憶した内容に基づきコントローラ50は、作業機先端14aが所望のラインに沿って移動するように、第2ブーム回転角θ2を制御する。
【0056】
なお、本実施形態では、オフセットブーム11を有した油圧ショベル1を想定しているが、オフセットブーム11を備えていない図5に示す油圧ショベル1に対しても適用可能である。
【0057】
この油圧ショベル1も、図2と同様に、大きくは、図示しない走行モータにより履帯が回転することにより走行する下部走行体2と、この下部走行体2の上部にスイングサークル4を介して配置され、図示しない旋回モータにより旋回される上部旋回体3(車体3)と、この車体3に前方に装着され、第1ブーム5A、第2ブーム7A、アーム12A、バケット14の各フロント部材からなる作業機とから構成されている。
【0058】
この作業機は、車体3に対して第1ブーム5A、第2ブーム7A、固定の作業機リンク7B、アーム12A、バケット14が順次連結されるよう構成されている。図2と異なるのは、オフセットブーム11の代わりに、固定の作業機リンク7Bを使用している点である。したがって、第2ブーム7Aとアーム12Aは作業機リンク7Bを介して連結されているが、第2ブーム7Aに対してアーム12Aは左右方向にオフセットされることはない。
【0059】
第1ブーム用油圧シリンダ6Aにより第1ブーム5Aが駆動され、第2ブーム用油圧シリンダ8Aにより第2ブーム7Aが駆動され、アーム用油圧シリンダ13Aによりアーム12Aが駆動され、第1ブーム5Aが回転角θ1をもって、第2ブーム7Aが回転角θ2をもって、アーム12Aが回転角θ4をもって、それぞれ回動される点は、図2に示す油圧ショベルと同じである。
【0060】
したがって、図3、図4と同様にして、各回転角θ1、θ2、θ4を与えることにより、作業機先端14aの座標位置を演算により、求めることができ、コントローラ50によって、作業機先端14aが所望のラインに沿って移動するように、第2ブーム回転角θ2を制御することができる。
【0061】
つぎに、かかる作業機制御装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0062】
すなわち、同図1に示すように、この作業機制御装置は、大きくは、エンジン31と、このエンジン31によって駆動され、各油圧シリンダ6、8、10、13駆動用の圧油を吐出する可変容量型の油圧ポンプ1と、同エンジン31によって駆動され、パイロット用の圧油を吐出するパイロットポンプ33と、操作レバー46、操作釦46U、46D、操作ペダル47、操作レバー45の操作に応じて開口面積が変化され、それにより油圧ポンプ32から吐出される圧油の流量を制御して、この流量が制御された圧油を各油圧アクチュエータ6、8、10、13にそれぞれ供給する流量制御弁34、35、36、37と、エンジン31の回転数Ne(r/min)を検出するエンジン回転数センサ27と、制御内容を指示するスイッチ26等が配置されるとともに、機器の状態が画面上に表示されるモニタ機能を備えた操作盤25と、各回転角センサ17、18、16、19の各検出回転角θ1、θ2、θ3、θ4を示す信号、各圧力センサ21〜24の各検出圧力P1h等を示す信号、エンジン回転数センサ27の検出回転数Neを示す信号および操作レバー46、操作釦46U、46D、操作ペダル47、操作レバー45の各操作量(操作ストローク)を示す信号V1、V2、V3、V4が入力され、これらに基づき、各流量制御弁34、35、36、37をそれぞれ駆動制御するための指令電流I1、I2、I3、I4を出力するとともに、警報器28を鳴動(あるいは点灯)させるための指令電流を出力するコントローラ50とから構成されている。このコントローラ50の機能ブロック図は、後述するように図13のように表される。なお、図面では、バケット14を駆動させるための機構、上部旋回体3を旋回させるための機構、下部走行体2を走行させるための機構は、本発明の趣旨と直接関係しないので省略している。
【0063】
さらに、具体的に説明する。
【0064】
図6(a)は、油圧ショベル1の運転室内における操作レバー45、46の配置態様を示している。オペレータが着座するシート48の前部には、左右の操作レバー45、46が設けられており、1本の操作レバーで異なるフロント部材を作動できるようになっている。
【0065】
すなわち、図6(a)に矢印で示すように、左操作レバー45の前方向操作または後方向操作に応じて、アーム12がダンプ方向に作動され、またアーム12が掘削方向に作動される。そして同じ左操作レバー45の左方向操作または右方向操作に応じて上部旋回体3が左旋回方向に作動され、また上部旋回体3が右旋回方向に作動される。同様に、右操作レバー46の前方向操作または後方向操作に応じて第1ブーム5が上げ方向に作動され、また下げ方向に作動され、同じ右操作レバー46の左方向操作または右方向操作に応じてバケット14が掘削方向、ダンプ方向に作動される(図6(b)参照)。
【0066】
図6(b)に示すように、右操作レバー46のノブ46Nの上部には、操作釦46U、46Dが配設されている。これら操作釦46U、46Dは、第2ブーム7の上方向への回動、下方向への回動を指示するスイッチであり、操作釦46Uが押操作されると、その押操作量(押した回数、押されている時間)に応じた分だけ、第2ブーム7が上方向へ作動される。同様に、操作釦46Dが押操作されると、その押操作量に応じた分だけ、第2ブーム7が下方向へ作動される。
【0067】
第2ブーム7を操作する釦を、第1ブーム5を操作する操作レバー46の上部に設けるようにしているので、第1ブーム5を操作しながら、第2ブーム7を操作する作業が迅速かつ容易に行われ、操作性が向上する。なお、右操作レバー46には、上記操作釦46U、46D以外に他の操作を指示する釦が配設されている。左操作レバー45についても同様である。
【0068】
オフセットペダルとしての操作ペダル47は、運転席48の左右に設けられており、それぞれの操作量(踏込み量)に応じて、オフセットブーム11が左右に作動される。
【0069】
操作レバー46は、電気レバーであり、操作レバー46で第1ブーム5を操作したときの操作ストローク量は、電気信号V1としてコントローラ50に入力される。同様に、操作釦46U、46Dの押操作量を示す電気信号V2、操作ペダル47の踏込量を示す電気信号V3、操作レバー45でアーム12を操作したときの操作量を示す電気信号V4が、それぞれコントローラ50に入力される。
【0070】
操作レバー46の操作量を示す信号V1は、コントローラ50で、流量制御弁34に対する指令電流I1に変換されて、これが電磁比例制御弁38または39に加えられる。これら電磁比例弁38、39には、パイロットポンプ33から吐出されるパイロット圧油がパイロット管路41を介して供給されている。そして、電磁比例弁38または39により制御されたパイロット圧油は、パイロット管路41または42を介して流量制御弁34の入力ポート34aまたは34bに、パイロット信号として加えられる。
【0071】
操作量V1が第1ブーム5の上げ方向を示す極性(+)を示しているときには、指令電流I1が電磁比例制御弁38に加えられ、操作量V1が第1ブーム5の下げ方向を示す極性(−)を示しているときには、指令電流I1が電磁比例制御弁39に加えられる。
【0072】
たとえば、操作レバー46が、第1ブーム5を上げる方向に操作されているときには、指令電流I1が電磁比例制御弁38に加えられる。電磁比例制御弁38では指令電流I1がパイロット圧に変換されて、指令電流I1に応じたパイロット圧のパイロット圧油が流量制御弁34の入力ポート34aに加えられる。これにより、流量制御弁34のスプールが左方向に駆動され、油圧シリンダ6のボトム室側に圧油が供給されることで、第1ブーム5は、操作レバー46の操作量に応じた速度で上方向に回動される。同様にして、操作レバー46が、第1ブーム5を下げる方向に操作されているときには、電磁比例制御弁39で指令電流I1がパイロット圧に変換されて、操作レバー46の操作量に応じた速度で第1ブーム5が下方向に回動される。
【0073】
同様にして、操作釦46U、46Dの押操作量を示す電気信号V2はコントローラ50で指令電流I2に変換され、図示せぬ電磁比例制御弁を介して流量制御弁35を駆動し、油圧シリンダ8を介して第2ブーム7を上下方向に回動する。同様に、操作ペダル47の踏込量を示す電気信号V3はコントローラ50で指令電流I3に変換され、図示せぬ電磁比例制御弁を介して流量制御弁36を駆動し、油圧シリンダ10を介してオフセットブーム11を左右方向に回動する。
【0074】
同様に、操作レバー45でアーム12を操作したときの操作量を示す電気信号V4はコントローラ50で指令電流I4に変換され、図示せぬ電磁比例制御弁を介して流量制御弁37を駆動し、油圧シリンダ13を介してアーム12を上下方向に回動する。
【0075】
操作盤25には、第2ブーム7の駆動を、第1ブーム5の回転角θ1の大きさに応じて自動的に制御する「自動モード」と、第2ブーム7の駆動を、第1ブーム5の回転角θ1如何にかかわらずに、手動で制御する「手動モード」のいずれかを選択し、切換える自動/手動モード切換スイッチ26が配設されている。このスイッチ26は、「自動モード」を含む各種作業モードを選択するモード切換スイッチ26aと、スイッチ26aで選択した内容を設定し、また解除するモード設定/解除スイッチ26bとから構成されている。モード切換スイッチ26aで「自動モード」が選択され、モード設定/解除スイッチ26bで「設定」が選択されると、「自動モード」を指示する信号がコントローラ50に入力される。モード切換スイッチ26aで「自動モード」が選択され、モード設定/解除スイッチ26bで「解除」が選択されると、「自動モード」が解除され、「手動モード」を指示する信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50は、これら入力された「自動モード」指示信号、「手動モード」指示信号のいずれかに応じた制御を実行する。
【0076】
つぎに、コントローラ50で行われる「自動モード」の制御内容について説明する。
【0077】
・第1の制御(第1ブーム回転角θ1に応じた第2ブーム回転角θ2の自動制御)
図7は、油圧ショベル1の作業半径を示す側面図である。
【0078】
同図7において、曲線aは、第2ブーム回転角θ2が最大角度になっているとき(第1ブーム回転角θ1、アーム回転角θ4についても最大角度)の作業機先端14a(バケット刃先)の移動軌跡を示している。このとき、軌跡aは弧状の軌跡を描き、油圧ショベル1の作業半径は最大となり、作業範囲は最大となる。
【0079】
曲線bは、作業機先端14aが最大作業半径の軌跡aを描くときに、アームトップ12aが移動する軌跡を示している。このとき、軌跡bは弧状の軌跡を描く。
【0080】
ただし、作業機先端14a、アームトップ12aが上記軌跡a、bに沿って移動した場合には、油圧ショベル1の転倒モーメントが大きく、転倒する可能性が大きい。
【0081】
曲線cは、油圧ショベル1が転倒しない限界のアームトップ12aの移動軌跡を示している。アームトップ12aがこの軌跡cよりも前方に位置されると、転倒モーメントの増大により油圧ショベル1が転倒する虞がある。
【0082】
点Cから点Bまでの曲線dは、アームトップ12aが上記軌跡cを描くときに、作業機先端14aが移動する軌跡を示している。このとき、軌跡dは弧状の軌跡を描く。なお、点Cは、第1ブーム用油圧シリンダ6がロッド伸張側でストロークエンドに達する位置である。
【0083】
作業機先端14aが上記軌跡dに沿って移動した場合には、油圧ショベル1が安定する範囲で最大の作業範囲をもって、高所掘削作業等の作業を行うことができる。
【0084】
さて、油圧ショベル1では、作業機を前方に伸張させて、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行う場合がある。こうした作業は、油圧ショベル1を安定させ転倒させないようにして行うことはもちろんのこと、作業機先端14aを車体3の前方において上下に直線移動させる必要がある。
【0085】
曲線dに連続する点Bから点Aまでの直線eは、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行う際の作業機先端14aの移動軌跡を示している。
【0086】
作業機先端14aが上記軌跡eに沿って移動した場合には、油圧ショベル1が安定する範囲で最大の作業範囲をもって、作業を行うことができる。
【0087】
直線eに連続する点Aから点Dまでの曲線gは、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行う際の作業機先端14aの移動軌跡を示している。この軌跡gは弧状の軌跡を描く。地表面GLよりも下面で穴等を掘削する場合に、作業機先端14aはこの軌跡gを描く。なお、点Dは、第1ブーム用油圧シリンダ6がロッド縮退側でストロークエンドに達する位置である。
【0088】
作業機先端14aが上記軌跡gに沿って移動した場合には、油圧ショベル1が安定する範囲で最大の作業範囲をもって、作業を行うことができる。
【0089】
本実施形態では、こうした曲線d、直線e、曲線gからなる軌跡(これを基準線R1という)に沿って作業機先端14aが移動するように、第2ブーム回転角θ2を制御するものである。
【0090】
図8は作業現場を例示した図である。作業機先端14aが上記基準線R1に沿って移動することで、溝HLを形成する作業を容易に行うことができる。なお、作業形態に応じて、作業機先端14aを、別のラインR2、R3に沿って移動させた方が好ましい場合がある。ただし、車体の転倒防止のため、いずれのラインR2、R3についても、基準線R1よりも前方(車体からみて)に位置しないことが必要である。
【0091】
図9は、図7ないしは図8に示す基準線R1を作業機先端14aが移動するときの、第1ブーム回転角θ1と第2ブーム回転角θ2の対応関係を示すグラフである。
【0092】
この対応関係を示すラインS1は、前述した演算式(1)〜(11)により求めることができる。
【0093】
すなわち、基準線R1が定まると、作業機先端14aの座標位置(X6、Y6、Z6)が定まり、これによりアームトップ12aの座標位置(X5、Y5、Z5)が定まる。そこで、アーム回転角θ4、オフセットブーム回転角θ3を固定すれば、第1ブーム回転角θ1に対応する第2ブーム回転角θ2が一義的に求められる。このようにして第1ブーム回転角θ1と第2ブーム回転角θ2の対応関係S1が得られる。コントローラ50は、記憶した既知の第1ブーム長L1等のデータに基づき、この対応関係S1の作成処理を行い、この作成された対応関係S1を、基準線図S1として、コントローラ50の「第1ブーム角に対する目標第2ブーム角基準線図メモリ58」(第13図)に記憶、格納する。
【0094】
この場合、対応関係S1を、θ1が与えられるとθ2を即時に読み出すことができるように記憶テーブルの形式で記憶させてもよく、θ2=f(θ1)なる関数を用いて、与えられたθ1からθ2を演算にて求めることができるように関数θ2=f(θ1)を記憶させておいてもよい。
【0095】
コントローラ50では、後述するように、回転角センサ17で検出した現在の第1ブーム回転角θ1に対応する第2ブーム目標回転角θ2を、記憶した対応関係S1から読み出すか、演算することによって求め、この目標回転角θ2が得られるように、回転角センサ17で検出した現在の第2ブーム回転角θ2をフィードバック量として、駆動制御する。すなわち、目標回転角θ2rと現在回転角θ2との偏差θdが零となるように、電流指令I2を出力し、第2ブーム7の回動を制御する。
【0096】
よって、オペレータとしては、アーム回転角θ4を最大角度に固定し、オフセットブーム回転角θ3を所定のオフセット角度θ3に固定しておけば、後は、操作レバー46で第1ブーム5の駆動を手動操作するだけで、自動的に第2ブーム7が駆動され(対応関係S1に従って駆動され)、作業機先端14aを基準線R1に沿って移動させることができる。これにより、側溝掘り作業、マス掘り作業等を、容易に行うことができる。
【0097】
図9における第1ブーム回転角θ1の区間θD〜θAは、図7における作業機先端14aの軌跡gの区間D〜Aに対応し、また図9における第1ブーム回転角θ1の区間θA〜θBは、図7における作業機先端14aの軌跡eの区間A〜Bに対応し、また図9における第1ブーム回転角θ1の区間θB〜θCは、図7における作業機先端14aの軌跡dの区間B〜Cに対応している。
【0098】
図9の区間θD〜θAでは、第2ブーム回転角θ2が最大値θ2max(第2ブーム用油圧シリンダ8のロッド縮退側ストロークエンド位置)となっており、図7に示すように、作業機先端14aは車体3に対して最も遠くなり、最も遠い位置、最も深い位置を掘削することが可能となる。
【0099】
つぎに、図9の区間θA〜θBでは、第1ブーム回転角θ1の増加に伴い第2ブーム回転角θ2が徐々に減少しており、図7に示すように、作業機先端14aは上下方向の直線eに沿って移動し、溝HLの壁を直線状に形成することができる(図8参照)。仮に、第1ブーム回転角θ1の増加にかかわらずに第2ブーム回転角θ2を最大値θ2maxにしたままとすると、作業機先端14aは、曲線aに沿って移動してしまうことになり、車体の安定性が確保されないとともに、作業効率も低下してしまうからである。
【0100】
つぎに、図9の区間θB〜θCでは、第1ブーム回転角θ1の増加に伴い第2ブーム回転角θ2が徐々に増加しており、図7に示すように、作業機先端14aは、車体が安定する範囲で、最も遠い位置を高所掘削することが可能となる。仮に、第1ブーム回転角θ1が増加したとしても第2ブーム回転角θ2を増加させないとすると、作業機先端14aは、曲線fに沿って移動してしまうことになり、作業範囲が狭くなり、高所で掘削を行う際の作業効率が低下してしまうからである。
【0101】
このように、対応関係S1に沿って、第2ブーム回転角θ2を制御することにより、車体が安定する範囲内で最大の作業範囲を確保でき、安全にしかも作業効率よく作業をすすめることができるようになる。
【0102】
以上のように、油圧ショベル1の作業機を前方に伸張させて側溝掘り作業、マス掘り作業等を行う場合に、一つの操作レバー46を操作するだけで、作業機先端14aを、車体が安定する範囲で、直線状の軌跡eに沿って自動的に移動させるようにしたので、油圧ショベル1を安定させ転倒させないことができるのはもちろんのこと、作業機先端14aを車体前方において上下に直線移動させるという複雑な複合操作が要求される作業であっても、熟練を必要とせずに、オペレータにかかる負担、労力が飛躍的に軽減される。また、狭小地で作業を行うときに、前方に電柱、建物の壁等の障害物があったとしても、ひとたび作業機先端14aをこれら障害物の手前に位置させれば、その位置より作業機先端14aを上下方向に直線状の軌跡eに沿って自動的に移動させることができるので、作業機先端14aが障害物に干渉することに常に注意を払い、作業機先端の移動を操作する必要はなくなる。このため、障害物に注意を払うことなく、作業機の操作に専念でき、作業効率が向上するとともに、作業機先端14aが障害物に干渉することがなく、安全に作業が行われる。
【0103】
なお、図8の基準線R1に対応するラインS1以外に、図8のラインR2に対応するラインS2、図8のラインR3に対応するラインS3を、作成しておき、コントローラ50のメモリ58に記憶、格納させておいてもよい。
【0104】
図9におけるラインS2の区間θE〜θFは、図8におけるラインR2の区間E〜Fに対応し、また図9におけるラインS2の区間θF〜θC´は、図8におけるラインR2の区間F〜C´に対応している。
【0105】
また、図9におけるラインS3の区間θG〜θFは、図8におけるラインR3の区間G〜Fに対応し、また図9におけるラインS3の区間θF〜θC´は、図8におけるラインR3の区間F〜C´に対応している。
【0106】
メモリ58にラインS1、S2、S3を記憶しておき、これらラインの中から作業機先端14aの現在位置に最も近いラインを選択して、この選択したラインに沿って第2ブーム回転角θ2を制御してもよく、メモリ58にラインS2、S3のいずれかを記憶しておき、この記憶したラインに沿って第2ブーム回転角θ2を制御してもよい。
【0107】
また、異なる形状の作業機先端ラインR1、R2、R3に対応するラインS1、S2、S3を設定しておくのではなく、図12に示すような基準線R1と同一形状の作業機先端ラインR1、R4、R5、R6にそれぞれ対応するラインS1、S4、S5、S6を図10に示すようにメモリ58に記憶させておいてもよい。作業機先端ラインR4、R5、R6は、図12に示すように基準線R1を車体3側に順次平行移動させて得られるラインであり、図10に示す各ラインS4、S5、S6は、基準となるラインS1を順次下方に平行移動させることにより求めることができる。ただし、第2ブーム回転角θ2が最小角度θ2min(第2ブーム用油圧シリンダ8のロッドの伸張側ストロークエンド位置)より下にはラインSを設定することはできない。
【0108】
この場合、メモリ58にラインS1、S4、S5、S6を記憶しておき、これらラインの中から作業機先端14aの現在位置に最も近いラインを選択して、この選択したラインに沿って第2ブーム回転角θ2を制御してもよく、メモリ58にラインS4、S5、S6のいずれかを記憶しておき、この記憶したラインに沿って第2ブーム回転角θ2を制御してもよい。
【0109】
図11は、メモリ58に、作業機先端14aの基準線R1に対応する基準ラインS1を記憶させておき、この基準ラインS1を下方に平行移動させることで、作業機先端14aの現在位置を通過する作業機先端ラインRに対応するラインSを作成する様子を示している。
【0110】
以下、かかる処理の内容を、図13に示すコントローラ50の機能ブロック図、図16に示すフローチャートを併せ参照して説明する。
【0111】
図16に示すステップ101では、まず、自動/手動モード切換スイッチ26の切換操作により、「自動モード」が選択されたか「手動モード」が選択されたかが判断される。「自動モード」が選択されたと判断されると(ステップ101の判断YES)、つぎに操作釦46U、46Dが操作されたか否か、つまり第2ブーム7が手動操作されているか否かが判断される(ステップ102)。
【0112】
ここで、第2ブーム7が手動操作されていないと判断されると(ステップ102の判断NO)、つぎに操作釦46U、46Dが操作された直後であるか否か、つまり第2ブーム7が手動操作された直後であるか否かが判断される(ステップ103)。
【0113】
ここで、「自動モード」開始時には、第1ブーム5、第2ブーム7の回転角θ1、θ2の初期値を求めるために、コントローラ50は立ち上がり時にステップ107〜109の処理を実行する。
【0114】
以後、第1ブーム5を手動操作しており、第2ブーム7を未だ手動操作していない状況の場合には、ステップ103の判断はNOとなり、手順はステップ106に移行される。
【0115】
たとえば、第1ブーム5、第2ブーム7の回転角θ1、θ2の初期値が、基準ラインS1上の角度θ1s、θ2sであるならば、図13に示すメモリ58に記憶された基準ラインS1に従って第2ブーム7を自動制御する処理が実行される。
【0116】
すなわち、図13において、コントローラ50には、回転角センサ17、18から第1ブーム回転角検出信号、第2ブーム回転角検出信号が、電圧値として入力されており、第1、第2ブーム角度演算部51では、この電圧値を工学単位変換する等の処理を施すことで、第1ブーム回転角θ1、第2ブーム回転角θ2を演算する。
【0117】
いま、操作レバー46が中立位置から所定量操作されており、操作量信号V1がコントローラ50に入力されているので、第1ブーム操作弁指令演算部54では、この操作量V1に応じた指令I1を演算し、電流出力部57から、指令電流I1を、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38または39に対し出力する。この結果、第1ブーム5としては、操作レバー46の操作量V1に応じた速度で、上方向または下方向に回動される。
【0118】
一方、第2ブーム角と目標第2ブーム角の差演算部52では、演算部51にて上記センサ17の検出結果から求められた現在の第1ブーム回転角θ1に対応する第2ブーム目標回転角θ2rを、メモリ58に記憶された対応関係S1から求める処理が実行される。
【0119】
すなわち、図11に示すように、現在の第1ブーム回転角θ1がθ1sであった場合には、この第1ブーム角θ1sに対応する第2ブーム角θ2sが、対応関係S1の記憶テーブルから第2ブーム目標回転角θ2rとして読み出される。
【0120】
そこで、補償要素演算部53では、上記読み出された第2ブーム目標回転角θ2rと現在の第2ブーム目標回転角θ2との偏差θdを、整定性よく迅速に零にもっていくための補償要素rdを演算する。
【0121】
すなわち、図11に示すように、オペレータが操作レバー46を操作することで第1ブーム7が回動され、第1ブーム回転角θ1がθ1Nからθ1Mへと変化したとする。このとき第2ブーム7は元の回転角θ2N(第1ブーム角θ1Nに対応する回転角)に回動停止されたままであり、目標回転角θ2M(第1ブーム角θ1Mに対応する回転角)との間に偏差θd=θ2M(目標回転角)−θ2N(現在回転角)を生じる。
【0122】
そこで、この偏差θdに対して比例要素、微分要素、積分要素等による補償が以下のようにしてなされる。
【0123】
rd=F1(θd) …(13)
ここで、関数F1は、θdを補償するための演算式である。
補償要素演算部53で、上記処理が実行されると、第2ブーム操作弁指令演算部56では、上記演算された補償要素演算値rdに対して、第2ブーム用流量制御弁35の不感帯の大きさに応じた補正値Isを用いて補正を施し、第2ブーム用流量制御弁35に対する指令I2を以下のように演算する。
【0124】
I2=Is+rd …(14)
第2ブーム操作弁指令演算部56で、上記指令I2が演算されると、電流出力部59では、これを指令電流I2に変換して、これを第2ブーム用流量制御弁35に対応する電磁比例制御弁に出力する。
【0125】
ただし、第2ブーム操作弁指令演算部56では、制御偏差θdの大きさを監視しており、制御偏差θdが、ほぼ零になったと判断される範囲(−θd1<θd<θdh)にあるときには、指令I2を、
I2=0 …(15)
として演算し、電流出力部59から出力される指令電流I2をオフにし(I2=0)、第2ブーム7の回動を停止させる。
【0126】
この結果、第2ブーム7の現在角度θ2は、常に目標回転角θ2rに一致する(制御偏差θdが零になる)。
【0127】
上記補償要素演算部53における補償要素演算処理、第2ブーム操作弁指令演算部56における指令演算処理は、第1ブーム用操作レバー46が中立位置より所定量だけ操作され、操作量信号V1が入力されている場合にのみ実行される。操作量信号V1が入力されていないとき(V1=0)には、第1ブーム5は停止したままであるので、これに応じて第2ブーム7の回動を停止させるべく、上記補償要素演算部53における補償要素演算処理、第2ブーム操作弁指令演算部56における指令演算処理は、実行されない。つまり、コントローラ50から出力される電流指令I2はオフされ(I2=0)、第2ブーム7を現在の回動位置に停止させたままとする。
【0128】
以上のようにして、基準ラインS1に従って第2ブーム7が制御されることで、作業機先端14aは、図7ないしは図8に示す基準線R1に沿って移動することになる。
【0129】
ところで、オペレータとしては、作業の形態によって、基準線R1に対して、より車体3に近いライン上に沿って作業機先端14aを移動させたい場合がある。例えば、車体3の前方に迫った壁等の障害物があり、この壁の手前で上下方向に作業機先端14aを移動させたい場合である。
【0130】
こうした状況下で、操作釦46Dが操作され、作業機が車体3寄りに引き寄せられ、作業機先端14aが車体3寄りに位置決めされたとする。
【0131】
すると、ステップ102の判断結果はYESとなり、「自動モード」実行中であっても、ステップ106の「自動制御」の処理は禁止され、手順は、ステップ105に移行される。ステップ105では、作業釦46Dの押操作量に応じた速度で、第2ブーム7が回動されることになる。すなわち、第1ブーム5の操作とは独立して、第2ブーム7が手動操作される(ステップ105)。
【0132】
そして、操作釦46Dの操作が終了すると、ステップ102の判断結果がNO、ステップ103の判断結果がYESとなり、手順はステップ107に移行される。
【0133】
以下、第1ブーム角に対する目標第2ブーム角線図作成部55では、操作釦46Dの操作によって位置決めされた作業機先端位置を通る作業機先端ラインRに対応するラインSを、基準ラインS1を下方に平行移動させることにより作成する処理を実行する(ステップ107、108、109)。
【0134】
すなわち、図11に示すように、現在、第1、第2ブーム角度演算部51で演算されている第1ブーム回転角θ1が、θ1Jであるとすると、この第1ブーム角θ1Jに対応する第2ブーム角θ2Jが、基準ラインS1の記憶テーブルから読み出し、求められる(ステップ107)。
【0135】
つぎに、現在、第1、第2ブーム角度演算部51で演算された第2ブーム回転角θ2kが取得される。図12に示すように、作業釦46Dの操作により、作業機先端14aは、現在、基準線R1上の点Jに対して、より車体3寄りの点Kに位置されているものとする(ステップ108)。
【0136】
つぎに、上記求められた基準ラインS1上の第2ブーム角θ2Jと現在の第2ブーム角θ2kとの偏差Δθ2が演算され、この偏差Δθ2(=θ2J−θ2k)が一旦記憶され、この偏差Δθ2に応じた分だけ基準ラインS1を下方に平行移動させることで、ラインS4を作成する(ステップ109)。
【0137】
以下、ステップ106では、こうして作成されたラインS4に従って第2ブーム7が自動制御される。よって、作業機先端14aは、図12に示すように、基準線R1に対して、より車体3寄りにずれた作業機先端ラインR4に沿って移動することになる。
【0138】
さらに、ステップ106における「自動制御」中に、オペレータが操作釦46Dを操作して、図11に示すように第2ブーム回転角をθ2Pからθ2Qに変化させれば、同様にして、「自動制御」の処理が一旦禁止され、このときの偏差θ2P−θ2Qだけ、さらにずらしたラインS5が、線図作成部55で作成されることになる(ステップ107、108、109)。よって、作業機先端14aは、図12に示すように、ラインR4に対して、さらに車体3寄りにずれた作業機先端ラインR5に沿って移動することになる。
【0139】
以上のように、本実施形態によれば、基準ラインS1を予め記憶しておくだけで、第2ブーム7を手動操作することによって位置決めされた作業機先端位置を通る作業機先端ラインRに対応するラインSを、自動的に作成することができる。 もちろん、車体が安定する範囲内であれば、第2ブーム下降用の操作釦46Dを操作するだけでなく、第2ブーム上昇用の操作釦46Uを操作することによって、基準ラインS1からずれた各ラインS4、S5、S6を任意に作成して、作業機先端14aを、各作業機先端ラインR4、R5、R6に沿って移動させることができる。
【0140】
なお、基準ラインS1をずらして各ラインS4、S5、S6を作成する処理は、作業の途中のみならず、作業の開始に行うようにしてもよい。作業開始時には、作業機がコンパクトに格納されており、作業に適した姿勢になっていないこともあるからである。作業開始時に、第1ブーム5と共に第2ブーム7を手動操作することで、オペレータが望む作業機姿勢となるように作業機先端14aを位置決めすれば(ステップ103の判断NO)、以後、その位置決めした作業機先端位置を通るラインR1、R4、R5、R6に沿って作業機先端14aを移動させることができる(ステップ107、108、109)。
【0141】
ただし、ステップ106で「自動制御」を実行している最中や作業開始時に、オペレータが、誤って第2ブーム上昇用の操作釦46Uを操作することで、作業機先端14aを、図12に仮想的に示すラインRe上に位置させてしまうことがある。
【0142】
ここで、仮にこのラインReに沿って作業機先端14aを移動させた場合には、転倒モーメントの増大により車体を転倒させかねない。
【0143】
そこで、図11に示すように、誤って第2ブーム上昇用操作釦46Uが操作され、基準ラインS1上の第2ブーム回転角θ2Lよりも大きな角度θ2eを指示する信号が入力された場合には、コントローラ50は、警報器28に対して警報指令信号を出力する。これにより、警報器28が作動され、鳴動あるいは点灯によりオペレータに注意を喚起する。また、この場合、安全のため、第2ブーム上昇用操作釦46Uによる操作信号V3がコントローラ50に入力されていたとしても、コントローラ50は、第2ブーム用流量制御弁35に対する指令電流I3をオフするものとする(I3=0)。
【0144】
オペレータは警報器28による警報を認識することにより、車体が安定する方向に、操作釦46U、46Dを操作することが可能となる。
【0145】
なお、図16において、自動/手動モード切換スイッチ26で、「手動モード」が選択されている場合には(ステップ101の判断NO)、ステップ104に移行され、作業釦46U、46Dの押操作量に応じた速度で、第2ブーム7が回動されることになる。すなわち、第1ブーム5の操作とは独立して、第2ブーム7が手動操作される(ステップ104)。
【0146】
なお、本実施形態では、図13のメモリ58に、基準ラインS1のみを記憶させ、他のラインを基準ラインS1をずれ量分だけ補正することで求めるようにしているが、図10に示すように、メモリ58に、最初から各ラインS1、S4S5、S6を複数記憶させておく実施も可能である。
【0147】
たとえば、操作釦46U、46Dの操作直後の第2ブーム7の回転角θ2がθ2Rであったとすれば、この現在の回転角θ2Rをライン上の目標角度とするラインS4が、複数のラインS1、S4、S5、S6の中から選択されることになる。そして、図12に示すように、上記選択されたラインS4に応じた作業機先端ラインR4に沿って作業機先端14aが移動される。他のラインS1、S5、S6を選択する場合も同様である。
【0148】
図9に示すように、形状が異なる作業機先端ラインR1、R2、R3に対応する各ラインS1、S2、S3を、メモリ58に記憶させて、同様にして複数のラインS1、S2、S3の中から、現在の第2ブーム回転角をライン上の角度とするラインを選択してもよい。
【0149】
ところで、以上説明した実施形態では、作業機先端14aが、軌跡g、軌跡e、軌跡dから成る弧と直線が組み合わせられたラインR1(あるいはR2、R3、R4、R5、R6)に沿って移動するように、第2ブーム7の回動を自動制御する場合について説明したが、自動制御すべき作業機先端ラインは、必ずしも弧状の軌跡gまたはdを含まなくてもよい。すなわち、少なくとも作業機先端14aが、直線状の軌跡eを含む作業機ラインに沿って移動するように、第2ブーム7の回動を自動制御するものであればよい。たとえば、図9において、全体の区間θD〜θCについて基準ラインS1を記憶する代わりに、区間θA〜θBのみについて基準ラインS1を記憶しておくような実施も可能である。
【0150】
また、本実施形態では、オフセットブーム回転角θ3が固定の角度であると想定し、X−Y2次元座標系上で、作業機先端14aを所望の作業機先端ライン(たとえば基準線R1)上に維持する制御を行うようにしているが、作業中に、オフセットブーム11が操作され、角度θ3が変化したとしても、これに対応して、X−Y−Z3次元座標系上で、作業機先端14aを所望の作業機先端平面(たとえば基準線R1をZ軸方向に延長させた平面)上に維持する制御を行うようにしてもよい。かかる制御がなされた場合には、たとえば、図12において、オフセットブーム11が操作され、角度θ3が変化したとしても、作業機先端14aの軌跡は、基準線R1(X−Y2次元座標系上のライン)を紙面に対して垂直に(Z軸方向に)延長させた平面(X−Y−Z3次元座標系上の平面)上を移動することになる。
【0151】
また、本実施形態では、第1ブーム5の操作に応じて第2ブーム7を自動制御する場合を想定しているが、作業機を構成するフロント部材であれば、手動操作されるべきフロント部材と、この手動操作に応じて自動制御されるべきフロント部材の組合せは任意に設定可能である。たとえば、油圧ショベル1のアーム12の手動操作に応じて第1ブーム5を自動制御してもよく、アーム12の手動操作に応じて第2ブーム7を自動制御してもよい。
【0152】
以上が「第1の制御」の内容である。
【0153】
・第2の制御(第2ブームの角度偏差が大きくなる場合(予測される場合)に、第1ブームの速度最大値を制限する制御)
上述した第1の制御が実行され、線図作成部55で作成された線図、たとえばS1に追従して第2ブーム7が回動され、作業機先端14aが図12に示すように、この線図S1に応じた軌跡R1に沿って精度よく移動されたならば、理想的な制御がなされたことになる。
【0154】
しかし、実際には、操作レバー46によって第1ブーム5が急激に操作されるなどして、第1ブーム5の角度変化が大きくなると、第2ブーム7を駆動する油圧シリンダ8の速度が飽和してしまい、上記線図S1に沿って制御することが困難となる。
【0155】
すなわち、第1ブーム5の単位時間あたりの角度変化が小さいときには、第2ブーム7の目標回転角θ2rと現在の回転角θ2(フィードバック量)との制御偏差θdは小さいか零なので、第2ブーム7は、上記線図S1に追従して理想的に駆動制御される。
【0156】
しかし、第1ブーム5の単位時間当たりの角度変化が大きくなると、この大きな角度変化に第2ブーム用油圧シリンダ8の速度が追従していけずに、上記制御偏差θdは増大してしまう。このため、第2ブーム7の回転角θ2は上記線図S1から外れてしまい、作業機先端14aは、所望する軌跡R1から外れてしまうことになる。このため、作業を精度よく行うことができないことがある。
【0157】
とりわけ、第1ブーム5を下方向に回動させる場合には、作業機に重力が加わることになり、第1ブーム5の角加速度は大きくなり、作業機先端14aの軌跡が所望する軌跡R1から外れてしまう場合が多い。
【0158】
この第2の制御では、第1ブーム5が急激に操作されたとしても(特に下方に第1ブーム5が回動されたとしても)、第2ブーム7の回転角θ2を常に目標回転角θ2rに一致させるようにして、作業機先端14aの軌跡を所望の軌跡R1(ないしはR2、R3、R3、R4、R5、R6)に沿って移動させ、作業を精度よく行えるようにするものである。
【0159】
また、油圧ショベル1では、図1に示すように、エンジン31によって油圧ポンプ32が駆動されており、この油圧ポンプ32から吐出される圧油が、各油圧シリンダ6、7等に供給される。そして、これら各油圧シリンダ6、7等が供給された圧油の流量に応じた速度で駆動されることによって、第1ブーム5、第2ブーム7等、作業機の各フロント部材が、その駆動速度に応じた回動速度で回動される。
【0160】
ここに、エンジン31の回転数Ne(rev/min)が、小さくなるということは、油圧ポンプ32から吐出される流量Q(l/min)が小さくなることを意味する。これは、流量Qは、エンジン31の回転数をNe(rev/min)、油圧ポンプ32の押し退け容積をq(cc/rev)として、Q=q・Neなる関係で表されるからである。そして、流量Qが小さくなれば、各油圧シリンダ6、8の駆動速度は小さくなり、第1ブーム5、第2ブーム7の回動速度は小さくなる。
【0161】
このため、エンジン31の回転数Neが小さくなった場合には、油圧ポンプ32から吐出される流量Qが小さくなり、これに応じて第2ブーム7を駆動する油圧シリンダ8に供給される流量も小さくなるので、この油圧シリンダ8の駆動速度が飽和されやすくなる。すなわち、エンジン回転数Neが小さくなった場合には、第1ブーム用操作レバー46を急激に操作したときと同様にして、第2ブーム駆動用油圧シリンダ8の速度の飽和が生じ、第2ブーム7は上記線図S1から外れてしまい、作業機先端14aは所望する軌跡R1から外れることになる。
【0162】
ひいては、油圧ポンプ32の吐出量Qそのものが小さくなった場合にも、同様にして、第2ブーム駆動用油圧シリンダ8の速度の飽和が生じ、第2ブーム7は上記線図S1から外れてしまい、作業機先端14aは所望する軌跡R1から外れることになる。
【0163】
この第2の制御では、エンジン回転数Neが低下した場合ひいては油圧ポンプ32の吐出量Qが低下した場合であったとしても、第2ブーム7の回転角θ2を常に目標回転角θ2rに一致させるようにして、作業機先端14aの軌跡を所望の軌跡R1(ないしはR2、R3、R3、R4、R5、R6)に沿って移動させるようにし、作業を精度よく行えるようにするものである。
【0164】
この第2の制御の実施形態では、図17に示すような偏差θdと第1ブーム下げ速度最大値I1maxとの対応関係が、コントローラ50に記憶テーブルとして記憶されておかれる。なお、θdからI1maxを求める演算式を記憶させておいてもよい。
【0165】
ここで、図17の縦軸のI1maxは、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対する電流指令I1の上限値を示している。すなわち、第1ブーム下げ方向の電流指令I1の最大値I1maxを設定することで、第1ブーム下げ方向の最大回動速度を制限することができる。
【0166】
図17に示す対応関係では、偏差θdが所定のしきい値θdaよりも小さい場合には、第1ブーム下げ速度最大値I1maxが100%に設定されている。そして、偏差θdがしきい値θda以上の場合には、θdの増加に応じて、第1ブーム下げ速度最大値I1maxが100%より漸次減少するように設定されている。ここで、しきい値θdaは、基準ラインS1に追従して第2ブーム7を制御することができないと判断される大きさに、予め設定しておかれる。
【0167】
そこで、図13に示すように、第2ブーム角と目標第2ブーム角の差演算部52で演算された現在の偏差θdが、第1ブーム操作弁指令演算部54に入力される。
【0168】
すると、この現在の偏差θdに対応する第1ブーム下げ速度最大値I1maxが、上記図17に示す対応関係から求められる。そして、この求められた第1ブーム下げ速度最大値I1maxを超えない範囲で、指令I1が生成され、電流出力部57を介して第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39に対して出力される。このため、第1ブーム5の下げ方向回動速度は、第1ブーム下げ速度最大値I1maxに応じた最大回動速度の範囲内に抑制される。
【0169】
すなわち、今、θdがしきい値θdaよりも小さく、これに応じてI1maxが100%である場合には、第1ブーム下げ方向の回動速度の制限がないということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1が生成され、指令電流I1としてそのまま第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられる。
【0170】
しかし、今、θdがしきい値θda以上であり、これに応じてI1maxが100%よりも下回った値である場合には、第1ブーム下げ方向の回動速度が制限されるということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1は、I1maxにより制限される。そして、その制限の度合いは、偏差θdが大きくなるほど大きくなる。たとえば、I1≦I1maxの場合には、I1がそのまま、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられるが、I1>I1maxの場合には、I1maxが第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられる。
【0171】
このようにして、この第2の制御によれば、第1ブーム用操作レバー46が下方に急激に操作され、第2ブーム7の角度偏差θdが実際に大きくなった場合には、第1ブーム5に対する速度指令I1に制限を加えるようにしたので、第1ブーム5の下げ方向の回動速度を抑制でき、これによって偏差θdを小さくさせることができる。これにより作業機先端14aの軌跡は所望の軌跡R1に移動し、作業を精度よく行うことができる。なお、本実施形態では、基準線R1を想定しているが、他のラインR2、R3、R3、R4、R5、R6に沿って作業機先端14aを移動させる場合についても同様である。
【0172】
また、本実施形態では、第1ブーム5が下げ方向に回動された場合に、第1ブームの下げ方向回動速度を制限するようにしているが、第1ブーム5が上げ方向に回動された場合に、第1ブームの上げ方向回動速度を制限するようにしてもよい。
【0173】
つぎに、偏差θdの代わりに、エンジン回転数Neを使用する実施形態について説明する。エンジン回転数Neの目標回転数を設定する設定ダイヤルが、低回転に設定されて、低速作業が行われる場合に、この実施形態は有用である。
【0174】
この実施形態では、図18に示すようなエンジン回転数Neと第1ブーム下げ速度最大値I1maxとの対応関係が、コントローラ50に記憶テーブルとして記憶されておかれる。なお、NeからI1maxを求める演算式を記憶させておいてもよい。
【0175】
ここで、図18の縦軸のI1maxは、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対する電流指令I1の上限値を示している。すなわち、第1ブーム下げ方向の電流指令I1の最大値I1maxを設定することで、第1ブーム下げ方向の最大回動速度を制限することができる。
【0176】
図18に示す対応関係では、エンジン回転数Neが所定のしきい値Neaよりも大きい場合には、第1ブーム下げ速度最大値I1maxが100%に設定されている。そして、エンジン回転数Neがしきい値Nea以下の場合には、Neの増加に応じて、第1ブーム下げ速度最大値I1maxが漸次増加し、100%に至るように設定されている。
【0177】
そこで、図14に示すように、エンジン回転数センサ27で検出された現在のエンジン回転数Neが、第1ブーム操作弁指令演算部54に入力される。
【0178】
すると、この現在のエンジン回転数Neに対応する第1ブーム下げ速度最大値I1maxが、上記図18に示す対応関係から求められる。そして、この求められた第1ブーム下げ速度最大値I1maxを超えない範囲で、指令I1が生成され、電流出力部57を介して第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39に対して出力される。このため、第1ブーム5の回動速度は、第1ブーム下げ速度最大値I1maxに応じた最大回動速度の範囲内に抑制される。
【0179】
すなわち、今、Neがしきい値Neaよりも大きく、これに応じてI1maxが100%である場合には、第1ブーム下げ方向の回動速度の制限がないということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1が生成され、指令電流I1としてそのまま第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられる。
【0180】
しかし、今、低速作業が行われている場合など、Neがしきい値Nea以下であり、これに応じてI1maxが100%よりも下回った値である場合には、第1ブーム下げ方向の回動速度が制限されるということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1は、I1maxにより制限される。そして、その制限の度合いは、回転数Neが小さくなるほど大きくなる。たとえば、I1≦I1maxの場合には、I1がそのまま、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられるが、I1>I1maxの場合には、I1maxが第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁39(ブーム下げ方向)に対して加えられる。
【0181】
このようにして、本実施形態によれば、低速作業が行われる場合に、エンジン回転数Neを検出することにより、第2ブーム7の角度偏差θdが大きくなることを予測して、第1ブーム5に対する速度指令I1に制限を加えるようにしたので、第1ブーム5の下げ方向の回動速度を抑制でき、これによって偏差θdを小さくさせることができる。これにより作業機先端14aの軌跡は所望の軌跡R1に移動し、作業を精度よく行うことができる。なお、本実施形態では、基準線R1を想定しているが、他のラインR2、R3、R3、R4、R5、R6に沿って作業機先端14aを移動させる場合についても同様である。
【0182】
また、この図14、図18に示す実施形態では、第1ブーム5が下げ方向に回動された場合に、第1ブームの下げ方向回動速度を制限するようにしているが、第1ブーム5が上げ方向に回動された場合に、第1ブームの上げ方向回動速度を制限するようにしてもよい。
【0183】
さらに、図18において、横軸のエンジン回転数Neを、油圧ポンプ32の吐出量Qとしてもよい。
【0184】
また、以上説明した実施形態では、第1ブーム5の操作に応じて第2ブーム7を自動制御する場合を想定し、第1ブーム5の最大速度を制限するようにしているが、作業機を構成するフロント部材であれば、手動操作されるべきフロント部材と、この手動操作に応じて自動制御されるべきフロント部材の組合せは任意に設定可能であり、それに応じて最大速度を制限すべきフロント部材を任意に設定することができる。たとえば、油圧ショベル1のアーム12の手動操作に応じて第1ブーム5または第2ブーム7を自動制御する場合において、アーム12の最大速度を制限してもよい。
【0185】
なお、図17、図18では、しきい値を境にしてI1maxを漸次減少ないしは増加させるような対応関係を設定しているが、しきい値の前後でI1maxの値が二値的に変化するような対応関係を設定する実施も可能である。
【0186】
以上が「第2の制御」の内容である。
【0187】
・第3の制御(第1ブームの負荷圧が大きくなる場合に、第1ブームの速度最大値を制限する制御))
前述した第1の制御では、たとえば図11のS1のごとく、第1ブーム5の回転角θ1に対する第2ブーム7の目標回転角θ2の対応関係を示す線図S1を設定し、この線図S1に追従するように、第1ブーム5の操作に応じて第2ブーム7を駆動制御するようにしている。
【0188】
すなわち、第2ブーム7は、第1ブーム5に対する操作量に応じて駆動される。
【0189】
第1ブーム5に対する操作量が大きければ、それに応じて線図S1に追従するように第2ブーム7は大きく回動される。
【0190】
ところで、オペレータとしては、作業機に大きな負荷がかかっている場合には、この負荷を除去すべく第1ブーム5を操作する操作レバーを大きく急操作することが多い。
【0191】
たとえば、作業現場では、第1ブーム5を下げ方向に操作して、バケット14を大地に接地させ、油圧ショベル1の履体を接地面から浮き上がらせる状態にして、上部旋回体3を旋回させ、旋回方向を変えるという旋回操作が行われる。
【0192】
この場合、作業機先端14aが大地に接地しており、作業機が「アウトリガ」の機能を果たしているため、作業機には大きな負荷がかかっている。
【0193】
そこで、上記旋回操作が終了すると、上記作業機にかかっている負荷を除去して、通常の掘削作業等を行わせるべく、オペレータとしては、第1ブーム5を上げ方向に大きく急操作することになる。
【0194】
すると、作業機が大地に接地していたため、それまで停止していた第2ブーム7は、作業機にかかる負荷が急激に除去されることによって、第1ブーム用操作レバーの大きな急操作に応じて急激に作動してしまうことになる。
【0195】
これは、オペレータの意思に反した予期せぬ動作であり、作業効率の低下を招来する。また、急激に第2ブーム7が作動されることによってバケット14が地面と激しく摺動し、バケット接地面、バケット本体に損傷を与えかねない。さらに、場合によっては急激な第2ブーム7の作動によって思わぬ事故を招きかねない。
【0196】
この第3の制御では、作業機に大きな負荷がかかっている場合に、オペレータがこの大きな負荷を除去すべく、フロント部材を大きく急操作した場合であっても、このフロント部材の動きに応じて駆動される他のフロント部材が急激に作動されてしまうことによって生じる不都合を除去するようにするものである。
【0197】
この第3の制御の実施形態では、負荷検出手段としての圧力センサ21により、作業機にかかる負荷P1h、つまり第1ブーム5を駆動する油圧シリンダ6のヘッド側圧力P1hが検出される。
【0198】
そこで、図19に示す対応関係に従い、この検出された負荷P1hが所定のしきい値P1ha以上である場合には、第1ブーム5の上げ方向最大回動速度が所定値以下に制限される。以下、具体的に説明する。
【0199】
この第3の制御の実施形態では、図19に示すような第1ブーム用油圧シリンダ6のヘッド側圧力P1hと第1ブーム上げ速度最大値I1maxとの対応関係が、コントローラ50に記憶テーブルとして記憶されておかれる。なお、P1hからI1maxを求める演算式を記憶させておいてもよい。
【0200】
ここで、図19の縦軸のI1maxは、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38(ブーム上げ方向)に対する電流指令I1の上限値を示している。すなわち、第1ブーム上げ方向の電流指令I1の最大値I1maxを設定することで、第1ブーム上げ方向の最大回動速度を制限することができる。
【0201】
図19に示す対応関係では、圧力P1hが所定のしきい値P1haよりも小さい場合には、第1ブーム上げ速度最大値I1maxが100%に設定されている。そして、圧力P1hが所定のしきい値P1ha以上の場合には、第1ブーム上げ速度最大値I1maxが100%よりも小さな値に設定されている。ここで、しきい値P1haは、たとえば100kg/cm2であり、第1ブーム5が急操作されると判断される負荷の大きさに、予め設定されておかれる。
【0202】
そこで、図15に示すように、圧力センサ21で検出された第1ブーム用油圧シリンダ6のヘッド側圧力P1hが、第1ブーム操作弁指令演算部54に入力される。
【0203】
すると、この現在の圧力P1hに対応する第1ブーム上げ速度最大値I1maxが、上記図19に示す対応関係から求められる。そして、この求められた第1ブーム上げ速度最大値I1maxを超えない範囲で、指令I1が生成され、電流出力部57を介して第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38に対して出力される。このため、第1ブーム5の上げ方向回動速度は、第1ブーム上げ速度最大値I1maxに応じた最大回動速度の範囲内に抑制される。
【0204】
すなわち、今、P1hがしきい値P1haよりも小さく、これに応じてI1maxが100%である場合には、第1ブーム上げ方向の回動速度の制限がないということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1が生成され、指令電流I1としてそのまま第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38(ブーム上げ方向)に対して加えられる。
【0205】
しかし、今、P1hがしきい値P1ha以上であり、これに応じてI1maxが100%よりも下回った値である場合には、第1ブーム上げ方向の回動速度が制限されるということであり、操作レバー46の操作量V1に応じた指令I1は、I1maxにより制限される。たとえば、I1≦I1maxの場合には、I1がそのまま、第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38(ブーム上げ方向)に対して加えられるが、I1>I1maxの場合には、I1maxが第1ブーム用流量制御弁34に対応する電磁比例制御弁38(ブーム上げ方向)に対して加えられる。
【0206】
このようにして、この第2の制御によれば、第1ブーム用操作レバー46が大きく急操作されたとしても、作業機にかかる負荷P1hが大きな場合には、第1ブーム5に対する速度指令I1に制限を加えるようにしたので、その後作業機にかかる負荷が急激に除去された場合に、操作レバー46の大きな急操作に応じて第2ブーム7が急激に作動してしまうことはなくなる。
【0207】
このため、オペレータの意思に反した予期せぬ動作が生じることがないので、作業効率が向上する。また、急激に第2ブーム7が作動されることによってバケット14が地面と激しく摺動し、バケット接地面、バケット本体に損傷が生じることが防止される。さらに、急激な第2ブーム7の作動によって思わぬ事故が招来することもない。
【0208】
なお、本実施形態では、作業機先端を大地に接地させ、作業機を「アウトリガ」として機能させた状態から、負荷を除去すべく、第1ブーム5を上方に操作するような状況下を想定しており、第1ブーム5が、上方に回動されている場合に、第1ブーム5の上げ速度最大値を制限するようにしているが、これに限定されることなく、負荷を除去すべく、第1ブーム5を大きく急操作するような状況下であれば、第1ブーム5が、下方に回動されている場合に、第1ブーム5の下方の速度最大値を制限するような実施も可能である。
【0209】
また、本実施形態では、作業機にかかる負荷を、油圧シリンダに設けた圧力センサにより検出しているが、圧力以外に負荷を検出できるものであれば、その検出方法、センサの種類は任意である。
【0210】
また、本実施形態では、第1ブーム5にかかる負荷P1hにより、作業機にかかる負荷を検出しているが、作業機にかかる負荷を検出できるのであれば、第1ブーム5に限定されることなく、第2ブーム7等、他のフロント部材にかかる負荷を検出することにより、作業機にかかる負荷を検出するようにしてもよい。
【0211】
また、以上説明した実施形態では、第1ブーム5の操作に応じて第2ブーム7を自動制御する場合を想定し、第1ブーム5の最大速度を制限するようにしているが、作業機を構成するフロント部材であれば、手動操作されるべきフロント部材と、この手動操作に応じて自動制御されるべきフロント部材の組合せは任意に設定可能であり、それに応じて最大速度を制限すべきフロント部材を任意に設定することができる。たとえば、油圧ショベル1のアーム12の手動操作に応じて第1ブーム5または第2ブーム7を自動制御する場合において、アーム12の最大速度を制限してもよい。
【0212】
なお、図19では、しきい値の前後でI1maxの値を二値的に変化させるような対応関係を設定しているが、しきい値を境にしてI1max値を漸次減少させるような対応関係を設定する実施も可能である。
【0213】
以上が「第3の制御」の内容である。
【0214】
・第4の制御(作業機高さ位置に応じてオフセット速度を制限する制御)
図2に示す構造の油圧ショベル1では、オフセットブーム用操作ペダル47を操作することで、図2(b)に示すように、オフセットブーム11を車体3に対して左右方向にオフセット動作させ、第2ブーム7に対してアーム12、バケット14をオフセットさせて、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行わせるようにしている。
【0215】
ところで、側溝掘り作業等を行うときには、バケット14が溝の中で左右に比較的低速度で移動するように、オフセットブーム11を微操作でオフセット動作させる必要がある。オフセット動作を微操作で行うことで、作業性が向上する。
【0216】
この場合、オペレータとしては、オフセットペダル47の操作量を微調整することで、オフセット動作の速度を抑えつつ、溝の中でバケット14を低速度で左右に移動させるようにしていた。
【0217】
しかし、オフセットペダル47を足によって微調整して、溝の中でバケット14を低速度で左右に移動させるという微操作作業は高度の技術を必要とし、熟練を要する。しかも、オフセットペダル47以外にもアーム用操作レバー45等他の操作レバーを同時に複合操作しなければならない状況下では、なおさらのことである。
【0218】
このため、未熟練なオペレータにとってはもちろんのこと、熟練したオペレータといえども、仕事の負担が大きく、疲労が大きいものとなっていた。
【0219】
一方、作業機が高い位置にあるときには、微操作は必要とせず、むしろ迅速に左右にオフセット動作させ、高所掘削作業等を行いたいとの要請がある。
【0220】
この第4の制御では、作業機が高い位置にあるときの作業性を損なうことなく、側溝掘り作業等を行っている場合の微操作作業を、オペレータに負担なく行えるようにするものである。
【0221】
この第4の制御の実施形態では、まず、作業機の高さ位置、具体的にはアームトップ12aの高さHが検出される。このアームトップ高さHは、前述した(1)〜(11)からアームトップ12aの座標位置(X5、Y5、Z5)を求め、求めたY5に、地表面GLからブームフート5aまでの既知の長さを加えることで、取得される。
【0222】
そして、図20に示すように、検出された作業機の高さ位置Hが所定のしきい値Ha以下である場合に、オフセットブーム11のオフセット最大動作速度が制限される。以下、具体的に説明する。
【0223】
この第4の制御の実施形態では、図20に示すようなアームトップ高さHとオフセットブーム11のオフセット最大速度ve3(Q3)との対応関係が、コントローラ50に記憶テーブルとして記憶されておかれる。なお、Hからve3(Q3)を求める演算式を記憶させておいてもよい。
【0224】
ここで、図20の縦軸のve3は、オフセットブーム11の回動速度であり、これはオフセットブーム用流量制御弁36からオフセットブーム用油圧シリンダ10に供給される流量Q3に比例し、オフセットブーム用流量制御弁36に対する電流指令I3に比例している。
【0225】
図19に示す対応関係では、アームトップ高さHが所定のしきい値Ha(たとえば1mに設定される)よりも大きい場合には、オフセット速度最大値ve3(Q3)は100%に設定されている。そして、アームトップ高さHが所定のしきい値Ha以下では、オフセット速度最大値ve3(Q3)は漸次減少し、地表面GL以下では70%になるように設定されている。ここで、しきい値Haは、その高さ以下ではオフセットブーム11を微操作すると判断される大きさに、予め設定されておかれる。
【0226】
一方において、図21(a)、(b)に示すように、オフセットペダル47の操作量Stに対するオフセットブーム11のオフセット動作速度(流量指令)Q3Pの対応関係が設定されておかれる。
【0227】
すなわち、オフセットペダル47の操作ストローク量Stと、この操作ストローク量を示す電気信号たるオフセット電圧V3とは比例関係にあり(図21(a))、このオフセット電圧V3と、オフセット動作速度(流量指令)Q3Pとは比例関係にある(図21(b))。
【0228】
そこで、現在のアームトップ高さHが演算され、これに対応するオフセットブーム11のオフセット速度最大値Q3が、図20の対応関係から求められる。
【0229】
一方、オペレータがオフセットペダル47を操作すると、その操作量V3がコントローラ50に入力され、この現在の操作量V1に対応するオフセットブーム11の速度Q3Pが、図21(b)に示す対応関係から求められる。
【0230】
そして、これら求められたオフセットブーム11の速度Q3、Q3Pのうちで小さい方のオフセットブーム11の速度Q0が選択される。
【0231】
そして、図22(a)に示す比例関係に従い、上記選択されたオフセットブーム11の速度Q0に比例した電流指令I3が生成され、これがオフセットブーム用流量制御弁36に対して加えられる。この結果、図22(b)に示す比例関係に従い、オフセットブーム11は、電流指令I3に比例した速度ve3で左右に回動される。
【0232】
図23は、オフセットペダル47の操作ストローク量Stとオフセットブーム11の回動速度ve3の対応関係を示している。
【0233】
今、アームトップ高さHが、しきい値Ha以下であったとする。
【0234】
すると、図23に示すように、オフセットペダル47の操作ストローク量Stが微操作領域(〜St1)にある場合には、ペダルの踏み込み量に比例してオフセットブーム11の速度が上昇する。やがて、オフセットペダル47の操作ストローク量Stがフル操作領域(St1〜St2)に達すると、ペダルを踏込んだとしても、オフセットブーム11の速度は、一定値veDのままとなり、それ以上上昇しない。この一定値veDはアームトップ高さHが低いほど小さい値とする。たとえば、Hが地表面GL以下ではveDを70%とする。
【0235】
このため、アームトップ12aが低い位置にあり、側溝掘り作業等を行っている場合には、オフセットペダル47の操作ストローク量Stいかんにかかわらずに、オフセットブーム11の動作速度ve3は低く抑えられることになる(速度veD以下)。
【0236】
今、アームトップ高さHが、しきい値Haよりも大きい値であったとする。
【0237】
すると、図23に示すように、オフセットペダル47の操作ストローク量Stが微操作領域(〜St1)にある場合には、ペダルの踏み込み量に比例してオフセットブーム11の速度が上昇する。やがて、オフセットペダル47の操作ストローク量Stがフル操作領域(St1〜St2)に達しても、ペダルの踏み込み量に比例してオフセットブーム11の速度が上昇して、最大速度veUに達する。
【0238】
よって、アームトップ12aが高い位置にあり、高所掘削作業等を行っている場合には、オフセットペダル47の操作ストローク量Stに応じた速度ve3でオフセットブーム11が高速に作動される。
【0239】
よって、オペレータとしては作業機が低い位置にあり側溝掘り作業等を行う場合にオフセットペダル47を微操作する作業から解放され、仕事の負担、疲労が軽減される。一方、作業機が高い位置にあり高所掘削作業等を行うときには、オフセットブーム11の動作速度は低速度に制限されることはないので、作業効率を高めることができる。
【0240】
なお、本実施形態では、アームトップ12aの高さHを検出することで、作業機の高さを検出するようにしているが、これに限定されることなく、バケット刃先位置14a等、作業機の高さを示す場所であれば、高さを検出すべき部位は任意に設定可能である。
【0241】
なお、オフセットブーム11を操作する手段は、ペダルを想定しているが、操作レバー、操作スイッチ等任意の操作手段を用いることができる。
【0242】
なお、図20では、しきい値を境にしてオフセット速度を漸次変化させるような対応関係を設定しているが、しきい値の前後でオフセット速度の値を二値的に変化させるような対応関係を設定する実施も可能である。
【0243】
なお、本実施形態では、オフセットペダル47の踏み込み操作量に比例したオフセット電圧V3が出力される場合(図21(a))を想定しているが、ペダルの操作のオン/オフによりオフセット電圧V3を二値的に変化させる場合にも適用可能である。この場合のペダルストロークSt(オン/オフ信号)とオフセット速度ve3の関係は図23に2点鎖線で表される。
【0244】
ペダルがオフされている場合(〜St1)には、オフセットブーム11の速度は零となる。ペダルがオンされているとき(St1〜St2)であって、アームトップ位置12aが低い位置(Hが地表面GLの上方1mより下方)にあり側溝掘り作業等を行っている場合には、オフセットブーム11の動作速度ve3は低い速度veDとなる。ペダルがオンされているとき(St1〜St2)であって、アームトップ12aが高い位置(Hが地表面GLの上方1m以上)にあり高所掘削作業等を行っている場合には、オフセットブーム11の動作速度ve3は高い速度veUとなる。
【0245】
以上が第4の制御の内容である。
【0246】
・第5の制御(作業機の高さ位置に応じて第2ブームの回動速度を制限する制御)
図2に示す構造の油圧ショベル1では、第2ブーム用操作釦46U、46Dを操作することで、第2ブーム7を回動させ、側溝掘り作業、マス掘り作業等を行わせるようにしている。
【0247】
ところで、側溝掘り作業等を行うときには、バケット14が溝の中で比較的低速度で移動するように、第2ブーム7の動作を微操作にて行う必要がある。第2ブーム7の動作を微操作で行うことで作業性が向上する。
【0248】
そこで、従来は、オペレータとしては、第2ブーム用操作釦46U、46Dの操作を微調整することで、第2ブーム7の動作の速度を抑えつつ、溝の中でバケット14を低速度で移動させるようにしていた。
【0249】
しかし、第2ブーム用操作釦46U、46Dの操作を微調整して、溝の中でバケット14を低速度で移動させるという微操作作業は高度の技術を必要とし、熟練を要する。しかも、第2ブーム用操作釦46U、46D以外にもバケット用操作レバー等他の操作レバーを同時に複合操作しなければならない状況下では、なおさらのことである。
【0250】
このため、未熟練なオペレータにとってはもちろんのこと、熟練したオペレータといえども、仕事の負担が大きく、疲労が大きいものとなっていた。
【0251】
一方、作業機が高い位置にあるときには、微操作は必要とせず、むしろ高所掘削作業を効率よく行うべく第2ブーム7を迅速に動作させたいとの要請がある。
【0252】
この第5の制御では、作業機が高い位置にあるときの作業性を損なうことなく、側溝掘り作業等を行っている場合の微操作作業を、オペレータに負担なく行えるようにするものである。
【0253】
この第5の制御の実施形態では、まず、作業機の高さ位置が検出される。具体的には、第1ブームの回転角θ1が、作業機の高さ位置を示す値として、回転角検出センサ17により検出される。
【0254】
そして、図24に示すように、検出された第1ブーム回転角θ1が所定のしきいθ1a以下である場合に、第2ブーム7の速度最大値が制限される。以下、具体的に説明する。
【0255】
この第5の制御の実施形態では、図24に示すような第1ブーム回転角θ1と第2ブーム7の最大速度ve2(Q2)との対応関係が、コントローラ50に記憶テーブルとして記憶されておかれる。なお、θ1からve2(Q2)を求める演算式を記憶させておいてもよい。
【0256】
ここで、図24の縦軸のve2は、第2ブーム7の回動速度であり、これは第2ブーム用流量制御弁35から第2ブーム用油圧シリンダ8に供給される流量Q2 に比例し、第2ブーム用流量制御弁35に対する電流指令I2に比例している。
【0257】
図24に示す対応関係では、第1ブーム回転角θ1が所定のしきい値θ1a(たとえば40°に設定される)よりも大きい場合には、第2ブーム速度最大値ve2(Q2)は100%に設定されている。そして、第1ブーム回転角θ1が所定のしきい値θ1a以下では、第2ブーム速度最大値ve2(Q2)は漸次減少し、所定の角度θ1b(たとえば10°)で60%に達し、それ以下では60%を維持するように設定されている。ここで、しきい値θ1aは、その角度以下では第2ブーム7を微操作すると判断される大きさに、予め設定されておかれる。
【0258】
一方において、図25(a)、(b)に示すように、第2ブーム用操作釦(スイッチ)46U、46Dの操作量Stに対する第2ブーム7の動作速度(流量指令)Q2Pの対応関係が設定されておかれる。
【0259】
すなわち、操作釦46U、46Dの操作量Stと、この操作量を示す電気信号たる第2ブーム電圧V2とは比例関係にあり(図25(a))、この第2ブーム電圧V2と、第2ブーム動作速度(流量指令)Q2Pとは比例関係にある(図25(b))。
【0260】
そこで、現在の第1ブーム回転角θ1が検出され、これに対応する第2ブーム7の速度最大値Q2が、図24の対応関係から求められる。
【0261】
一方、オペレータが操作釦46U、46Dを操作すると、その操作量V2がコントローラ50に入力され、この現在の操作量V2に対応する第2ブーム7の速度Q2Pが、図25(b)に示す対応関係から求められる。
【0262】
そして、これら求められた第2ブーム7の速度Q2、Q2Pのうちで小さい方の第2ブーム7の速度QBが選択される。
【0263】
そして、図26(a)に示す比例関係に従い、上記選択された第2ブーム7の速度QBに比例した電流指令I2が生成され、これが第2ブーム用流量制御弁35に対して加えられる。この結果、図26(b)に示す比例関係に従い、第2ブーム7は、電流指令I2に比例した速度ve2で回動される。
【0264】
図27は、第2ブーム用操作釦(スイッチ)46U、46Dの操作量Stと第2ブーム7の回動速度ve2の対応関係を示している。
【0265】
今、第1ブーム回転角θ1が、しきい値θ1a以下であったとする。
【0266】
すると、図27に示すように、操作釦46U、46Dの操作量Stが微操作領域(〜St1)にある場合には、操作釦の押操作量に比例して第2ブーム7の速度が上昇する。やがて、操作釦46U、46Dの操作量Stがフル操作領域(St1〜St2)に達すると、操作釦を押操作しても、第2ブーム7の速度は、一定値veDのままとなり、それ以上上昇しない。この一定値veDは第1ブーム回転角θ1が小さくほど低い値をとる。θ1がθ1b以下ではveDは60%となる。
【0267】
このため、第1ブーム回転角θ1が小さく、側溝掘り作業等を行っている場合には、操作釦46U、46Dの操作量Stいかんにかかわらずに、第2ブーム7の動作速度ve2は低く抑えられることになる(速度veD以下)。
【0268】
今、第1ブーム回転角θ1が、しきい値θ1aよりも大きい値であったとする。
【0269】
すると、図27に示すように、操作釦46U、46Dの操作量Stが微操作領域(〜St1)にある場合には、操作釦の押操作量に比例して第2ブーム7の速度が上昇する。やがて、操作釦46U、46Dの操作量Stがフル操作領域(St1〜St2)に達しても、操作釦の押操作量に比例して、第2ブーム7の速度が上昇して、最大速度veUに達する。
【0270】
よって、第1ブーム回転角θ1が大きく、高所掘削作業等を行っている場合には、操作釦46U、46Dの操作量Stに応じた速度ve2で第2ブーム7が高速に作動される。
【0271】
この結果、オペレータとしては作業機が低い位置にあり側溝掘り作業等を行う場合に操作釦46U、46Dを微操作する作業から解放され、仕事の負担、疲労が軽減される。一方、作業機が高い位置にあり高所掘削作業等を行うときには、第2ブーム7の動作速度は低速度に制限されることはないので、作業効率を高めることができる。
【0272】
なお、本実施形態では、第1ブーム回転角θ1を検出することにより、作業機の高さを検出しているが、これに限定されることなく、アームトップ12aの高さH、第1ブーム5または第2ブーム7の高さ等、作業機の高さを示す値であれば、角度以外に高さを用いてもよく、またその高さを検出すべき部位は任意に設定可能である。
【0273】
なお、第2ブーム7を操作する手段は、操作量に応じてコントローラ50に入力される電気信号V2が比例的に変化する釦46U、46Dを想定しているが、操作レバー、操作ペダル、操作スイッチ等任意の操作手段を用いることができる。
【0274】
なお、図24では、しきい値を境にして第2ブーム速度を漸次変化させるような対応関係を設定しているが、しきい値の前後で第2ブーム速度の値を二値的に変化させるような対応関係を設定する実施も可能である。
【0275】
なお、本実施形態では、操作釦46U、46Dの操作量に比例した第2ブーム電圧V2が出力される場合(図25(a))を想定しているが、スイッチのオン、オフにより二値的にオフセット電圧V2を変化させる場合にも適用可能である。この場合の第2ブーム操作用スイッチの操作量(オン/オフ信号)Stと第2ブーム速度ve2の関係は図27に2点鎖線で表される。
【0276】
第2ブーム操作用スイッチがオフされている場合(〜St1)には、第2ブーム7の速度は零となる。第2ブーム操作用スイッチがオンされているとき(St1〜St2)であって、第1ブーム角度が小さい角度(θ1が40°よりも小さい)であり側溝掘り作業等を行っている場合には、第2ブーム7の動作速度ve2は低い速度veDとなる。第2ブーム操作用スイッチがオンされているとき(St1〜St2)であって、第1ブーム角度が大きい角度(θ1が40°以上)であり高所掘削作業等を行っている場合には、第2ブーム7の動作速度ve2は高い速度veUとなる。
【0277】
以上が第5の制御の内容である。
【0278】
なお、上記第5の制御は、第1の制御、第2の制御、第3の制御、第4の制御と組み合わせてもよく、単独で実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る建設機械の制御装置の実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】図2(a)はオフセットブームを備えた油圧ショベルの側面図で、図2(b)は図2(a)の矢視A図である。
【図3】図3は図2に示す油圧ショベルの作業機の幾何的関係を示す図で、図3(b)は側面図で、図3(a)は上面図である。
【図4】図4は図3に示す油圧ショベルの作業機の各ポイントの座標位置、アーム対地角の関数式を示した表である。
【図5】図5はブームを2つ備えた油圧ショベルの側面図である。
【図6】図6(a)は左右のレバーの配置態様を示す図であり、図6(b)は図6(a)に示す左レバーの上部を示す斜視図である。
【図7】図7は油圧ショベルの作業機先端が描く軌跡を示す側面図である。
【図8】図8は油圧ショベルが作業現場において作業機先端が描く軌跡を示す側面図である。
【図9】図9は図1に示すコントローラに記憶されている第1ブーム角度と第2ブーム目標角度との対応関係を示す図である。
【図10】図10は図1に示すコントローラに記憶されている第1ブーム角度と第2ブーム目標角度との別の対応関係を示す図である。
【図11】図11は図1に示すコントローラに記憶されている第1ブーム角度と第2ブーム目標角度とのさらにまた別の対応関係を示す図である。
【図12】図12は作業機先端が描く軌跡を例示した側面図である。
【図13】図13は図1に示すコントローラの機能ブロック図を例示した図である。
【図14】図14は図1に示すコントローラの機能ブロック図を例示した図である。
【図15】図15は図1に示すコントローラの機能ブロック図を例示した図である。
【図16】図16は図1に示すコントローラで実行される処理の手順を例示したフローチャートである。
【図17】図17は、第2ブームの目標角度と現在角度との偏差と、第1ブームの下げ方向速度の最大値との対応関係を示すグラフである。
【図18】図18はエンジン回転数と、第1ブームの下げ方向速度の最大値との対応関係を示すグラフである。
【図19】図19は第1ブームシリンダのヘッド側圧力と、第1ブームの下げ方向速度の最大値との対応関係を示すグラフである。
【図20】図20はアームトップ高さと、オフセットブーム速度(流量指令)との対応関係を示すグラフである。
【図21】図21(a)はオフセットブーム用ペダルのストロークと、オフセットペダルの操作量に対応するオフセット電圧との対応関係を示すグラフであり、図21(b)はオフセット電圧と、オフセットブームに対する流量指令との対応関係を示すグラフである。
【図22】図22(a)はオフセットブームに対する流量指令と、オフセットブーム用流量制御弁に対する電流指令との対応関係を示すグラフであり、図22(b)はオフセットブーム用流量制御弁に対する電流指令と、オフセットブームの駆動速度との対応関係を示すグラフである。
【図23】図23は実施形態におけるオフセットブーム用ペダルのストロークと、オフセットブームの駆動速度との対応関係を示すグラフである。
【図24】図24は第1ブームの角度と、第2ブームの速度(流量指令)との対応関係を示すグラフである。
【図25】図25(a)は第2ブーム用スイッチの操作量と、第2ブーム用スイッチの操作量に対応する第2ブーム電圧との対応関係を示すグラフであり、図25(b)は第2ブーム電圧と、第2ブームに対する流量指令との対応関係を示すグラフである。
【図26】図26(a)は第2ブームに対する流量指令と、第2ブーム用流量制御弁に対する電流指令との対応関係を示すグラフであり、図26(b)は第2ブーム用流量制御弁に対する電流指令と、第2ブームの駆動速度との対応関係を示すグラフである。
【図27】図27は実施形態における第2ブーム用スイッチの操作量と、第2ブームの駆動速度との対応関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 油圧ショベル
3 車体(上部旋回体)
5、5A 第1ブーム
6、6A 第1ブーム用油圧シリンダ
7、7A 第2ブーム
7B 作業機リンク
8、8A 第2ブーム用油圧シリンダ
9、9A ブラケット
10 オフセット用油圧シリンダ
11 オフセットブーム
12、12A アーム
12a アームトップ位置
13、13A アーム用油圧シリンダ
12a アームトップ位置
14 バケット
14a バケット先端位置(作業機先端位置)
17 第1ブーム角度センサ
18 第2ブーム角度センサ
16 オフセット角度センサ
19 アーム角度センサ
21 第1ブーム用油圧シリンダヘッド圧センサ
22 第1ブーム用油圧シリンダボトム圧センサ
23 第2ブーム用油圧シリンダヘッド圧センサ
24 第2ブーム用油圧シリンダボトム圧センサ
25 操作盤(モニタ)
26 自動/手動モード切換スイッチ
27 エンジン回転数センサ
28 警報器
31 エンジン
32 油圧ポンプ
33 パイロットポンプ
34 第1ブーム用流量制御弁
35 第2ブーム用流量制御弁
36 オフセットブーム用流量制御弁
37 アーム用流量制御弁
45 左操作レバー
46 右操作レバー
46U、46D 第2ブーム用手動操作スイッチ
47 オフセットペダル用操作ペダル
50 コントローラ
51 第1、第2ブーム角度演算部
52 第1のブーム角と目標第2ブーム角の差演算部
53 補償要素演算部
54 第1ブーム操作弁指令演算部
55 第1ブーム角に対する目標第2ブーム角線図作成部
56 第2ブーム操作弁指令演算部
57、59 電流出力部
58 第1ブーム角に対する目標第2ブーム角基準線図メモリ
Claims (3)
- 車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、前記高さ位置検出手段で検出された作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下となる全領域において、第2のフロント部材の回動速度を、その最大回動速度が、前記所定の高さ位置よりも大きい場合における最大回動速度よりも小さくなるように制限する制御手段とを具えた建設機械の作業機制御装置。
- 車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、前記作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下となる全領域において、第2のフロント部材の回動速度を、その最大回動速度が、前記所定の高さ位置よりも大きい場合における最大回動速度よりも小さくなるように制限する、前記作業機の高さ位置に対する前記第2のフロント部材の最大回動速度の対応関係を設定する設定手段と、前記高さ位置検出手段で検出された作業機の高さ位置に対応する前記第2のフロント部材の最大回動速度を、前記設定手段で設定された内容から求め、この求めた最大回動速度以下の範囲内で、前記第2のフロント部材の回動速度を制御する制御手段とを具えた建設機械の作業機制御装置。
- 車体前方に、上下方向に回動自在に配設した第1のフロント部材と、この第1のフロント部材に対して上下方向に回動自在に連結した第2のフロント部材とを少なくとも有した作業機を具え、操作手段の操作量に応じて前記第2のフロント部材の回動速度を制御する建設機械の作業機制御装置において、前記作業機の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、前記作業機の高さ位置が所定の高さ位置以下となる全領域において、第2のフロント部材の回動速度を、その最大回動速度が、前記所定の高さ位置よりも大きい場合における最大回動速度よりも小さくなるように制限する、前記作業機の高さ位置に対する前記第2のフロント部材の最大回動速度の第1の対応関係を設定する第1の設定手段と、前記操作手段の操作量に対する前記第2のフロント部材の回動速度の第2の対応関係を設定する第2の設定手段と、前記高さ位置検出手段で検出された作業機の現在の高さ位置に対応する前記第2のフロント部材の最大回動速度を、前記第1の対応関係から求めるとともに、前記操作量検出手段で検出された操作手段の現在の操作量に対応する前記第2のフロント部材の回動速度を、前記第2の対応関係から求め、これら求めた回動速度のうちで小さい方の回動速度が得られるように、前記第2のフロント部材の回動速度を制御する制御手段とを具えた建設機械の作業機制御装置。
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