JP3820569B2 - センター治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管又は筒形の被加工物を旋盤加工するに際して、旋盤の主軸によって回転する被加工物の軸心の振れを防止するセンター治具に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、管又は筒形の被加工物の外周面を旋盤を用いて加工するには、この被加工物の一端を三つ爪チャック等で挟持して旋盤の主軸に接続し、被加工物の他端に、同旋盤の心押台に取付けたセンター又は傘形センターを押し当てることにより、上記の主軸と共に回転する被加工物の軸心が振れないようにしていた。これは、旋盤加工中に被加工物の軸心が僅かでも振れると、バイト等で切削した仕上面が荒れたり、被加工物が真円から大きく外れた形に仕上がるので、これを防止するためである。
【0003】
また、被加工物の端面又はその付近の内周面を加工するには、被加工物の他端の開口部にバイト等を接近させて行うので、被加工物の他端の開口を塞いでしまうようなセンター等は使用できない。このため、木材等をV字谷又は円弧状の谷形に成形した受け材(ブリョウと称する治具)を準備し、このような受け材で、被加工物を摺接させつつ支持することにより、被加工物の軸心の振れを抑止するようにしていた。或いは、被加工物の内径が、センター等の直径より著しく広い場合は、センター等は使用できないので、上記の受け材を使用していた。
【0004】
しかしながら、センター又は傘形センターは、種々の被加工物を加工するに際して、被加工物の内径に応じた適切なものを選択して心押台に付替えなければならず、加工に伴う付帯作業(前段取り)が煩雑であった。しかも、多種のセンター等を一通り揃えるのは不経済でもあった。また、上記の受け材は、回転する被加工物に摺接するため、被加工物が僅かでも楕円形であったり外周面に凹凸が有ると、その軸心が簡単に振れてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、管又は筒形の被加工物にその内径に係わらず自在に着脱できるセンター治具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るセンター治具は、一端面にセンター穴が形成され、前記一端面のセンター穴の周りに複数のボルト挿通孔が形成され、胴部に複数のピン挿通孔が形成されたハウジングと、前記ハウジングの複数のボルト挿通孔に、それぞれ挿通された複数の加圧ボルトと、前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングのラジアル方向へ立上がる傾斜面を有するスライド中子と、前記複数のピン挿通孔に、それぞれの端部が差し込まれた複数のプレッシャピンとを備え、前記複数の加圧ボルトを前記スライド中子にそれぞれ螺合し、前記複数のプレッシャピンの端部を、前記スライド中子の前記傾斜面に接触させ、前記スライド中子が、前記ハウジング内をそのスラスト方向に変位するとき、前記複数のプレッシャピンが前記スライド中子の傾斜面にそれぞれ従動するものである。
【0007】
本発明に係るセンター治具は、ボルト挿通孔が形成されたエンドブロックと、一端面を前記エンドブロックで塞がれ、胴部に複数のピン挿通孔が形成されたハウジングと、センター穴が形成され、前記エンドブロックにラジアル方向にスライド自在に取付けられるセンタブロックと、前記センタブロックを前記エンドブロックに締結するボルトと、前記エンドブロックのボルト挿通孔に挿通された複数の加圧ボルトと、前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングのラジアル方向へ立上がる傾斜面を有するスライド中子と、前記複数のピン挿通孔に、それぞれの端部が差し込まれた複数のプレッシャピンとを備え、前記加圧ボルトを前記スライド中子に螺合し、前記複数のプレッシャピンの端部を、前記スライド中子の前記傾斜面に接触させ、前記スライド中子が、前記ハウジング内をそのスラスト方向に変位するとき、前記複数のプレッシャピンが前記スライド中子の傾斜面にそれぞれ従動するものである。
【0008】
更に、本発明に係るセンター治具は、前記プレッシャピンの端部に、前記スライド中子の前記傾斜面に沿った面取りが施されたものである。
【0009】
更に、本発明に係るセンター治具は、前記スライド中子が、その周面に前記傾斜面を複数形成した角錐であり、前記複数のプレッシャピンの端部が、前記複数の傾斜面にそれぞれ接触するものである。
【0010】
更に、本発明に係るセンター治具は、前記スライド中子が、第1のスライド中子と、該第1のスライド中子に前記ハウジングのスラスト方向に縦列し連結した第2のスライド中子とを備え、前記複数の加圧ボルトを前記第1のスライド中子に螺合したものである。
【0011】
更に、本発明に係るセンター治具は、前記複数のピン挿通孔と前記複数のプレッシャピンが、それぞれ、前記ハウジングの胴部に120度以下の等ピッチで配置されたものである。
【0012】
更に、本発明に係るセンター治具は、プレッシャーピンが、ハウジングに着脱自在に設けられているものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るセンター治具1は、円形の一端面2の中心にセンター穴3を形成し他端を開放した短筒形のハウジング4と、一端面2を貫いた複数のボルト挿通孔5に挿通した複数の加圧ボルト6と、これらの加圧ボルト6に螺合してハウジング4内に挿入された第1のスライド中子7と、これに連結した第2のスライド中子8と、ハウジング4の胴部9を貫いた複数のピン挿通孔10に各々挿通した複数のプレッシャピン11とを備えるものである。
【0014】
センター穴3は、センタードリルを用いて穿孔されている。ハウジング4は、座繰りを有するボルト挿通孔5を、一端面2のセンター穴3の周りに90°のピッチで4カ所穿孔している。胴部9には、その周方向に90°の角ピッチでピン挿通孔10を4カ所ずつ合計8カ所穿孔している。詳しくは、図1中の上下に対向する2対のプレッシャピン11のうち、同図の左寄り(一端面2に近い方)の1対のプレッシャピン11は、図2中のハウジング4から上下に突出する1対のプレッシャピン11に相当する。
【0015】
つまり、図2中のハウジング4から左右に突出する1対のプレッシャピン11とそれを挿通させるピン挿通孔10は、図1において省略しているが、ピン挿通孔10は、第1のスライド中子7に対応する位置に4箇所と、これらにスラスト方向(矢印Aに沿う方向)に位置を違えて、第2のスライド中子8に対応する位置に4箇所の合計8箇所に配置されている。これら8箇所のピン挿通孔10には、プレッシャピン11が出没自在に各々挿通している。
【0016】
図1及び図3に示すように、第1,第2のスライド中子7,8は、その全周を傾斜面12とした略コーン形のブロックであり、ハウジング4の内径よりも僅かに直径が小さい周縁部7a,8aをハウジング4の内周に接面しつつ、ハウジング4内をスラスト方向に自由に滑動できる。第1のスライド中子7は、ハウジング4の一端面2のボルト挿通孔5に対応する位置に、4本の加圧ボルト6を各々螺合する4つのネジ穴7bを形成している。傾斜面12のスラスト方向に対する傾斜角度は、約15°乃至45°の範囲で設定してもよいが、約35°と定めるのが力の損失が少なく望ましい。
【0017】
第1,第2のスライド中子7,8の間には、これらの間隔を規定する筒形のカラー13が介在する。第2のスライド中子8の芯を貫く軸穴8bとカラー13の内孔13aとに挿通する連結ボルト14を、第1のスライド中子7の中芯ネジ孔7cに締結することにより、第1,第2のスライド中子7,8を縦列させ一組に連結した構造(タンデム)としている。カラー13は、その両端部を第1,第2のスライド中子7,8に各々形成した凹部16に嵌入し、第1,第2のスライド中子7,8を相互に位置決めする役割も果たす。
【0018】
図4に示すように、プレッシャピン11は、ハウジング4の内部に差し込んだ端部の周縁に面取りを施すことにより、第1,第2のスライド中子7,8の傾斜面12に沿った摺動面17を形成している。プレッシャピン11のハウジング4の外方に突出した端部には、糸面取りが施され、更に、この端部内方には、プレッシャピン11自身がハウジング4内へ没落するのを防止するために、Eリング等のクリップからなるストッパ18が固定されている。
【0019】
上記のスラスト方向とは、ハウジング4の軸心に沿った方向であり、図1と図4においては水平方向と定めた。このスラスト方向は、管又は筒状の被加工物15の軸心に一致し、更に、被加工物15を旋盤等に取付けた場合には、その送り方向にも一致する。そして、スラスト方向に直交する向きを、以下の説明においてラジアル方向と称し、矢印Bで表した。但し、これらの呼称は、ハウジング4の向き又はセンター治具1の使用状態を限定するものではない。
【0020】
次に、センター治具1の動作と使用手順について、図1及び図4に基づき説明する。また、以下で、旋盤又はセンター等に係る自明の物品については、図示を省略した。
【0021】
即ち、被加工物15の端面、外周面又は内周面を旋盤を用いて加工するには、この被加工物15の適当な部位、例えば図示を省略した右側の端部を、三つ爪チャック等で挟着して旋盤の主軸に接続する。この状態で、被加工物15の心押台に向いた側の端部15aから、加圧ボルト6を予め緩めたセンター治具1を被加工物15の内部へと進入させる。
【0022】
センター治具1を被加工物15の内部の何処に配置するかは、作業者が任意に定められるが、被加工物15の端部15aの近傍やその内周面を加工する場合に、端部15aにバイト等を接近、或いは、端部15aからバイト等を差し込むためのスペースを確保するのに、同図に表したように、ハウジング4の一端面2を端部15aよりも奥方へ挿入させるのが好ましい。
【0023】
センター治具1の配置が定まったところで、第1のスライド中子7に各々螺合した4本のうちの任意に1本の加圧ボルト6を、手回し又はレンチ等を用いて徐々に締め付けると、第1,第2のスライド中子7,8が、ハウジング4内をそのスラスト方向に変位、即ち図4の矢印Aで指した一端面2側へ移動する。これに伴って、総てのプレッシャピン11が、それぞれ、第1,第2のスライド中子7,8の傾斜面12に従動し、ハウジング4の胴部9から同図の矢印Bで指したラジアル方向へ突出することになる。
【0024】
これらの突出したプレッシャピン11の端部が被加工物15の内周面に軽く突き当たったところで、更に4本の加圧ボルト6をレンチ等を用いて順次強く締め付けると、総てのプレッシャピン11が被加工物15の内周面に強く押し付けられる。このように、加圧ボルト6と第1,第2のスライド中子7,8とは、プレッシャピン11を被加工物15の内周面に押付ける加圧手段30(図1)を構成する。これにより、センター治具1が被加工物15の内部のラジアル方向の中心に強固に固定され、センター治具1の芯合わせが完了する。
【0025】
この状態で、一端面2のセンター穴3の位置は、被加工物15を回転させたときの軸心に一致するため、このセンター穴3に心押台に取付けたセンターを差し込めば、被加工物15の軸心の振れを確実に防止できる。しかも、センター治具1は、バイト等による切削の反力を受けても、被加工物15の内部で揺動することがない。尚、被加工物15を回転させたとき、ハウジング4がセンター穴3をセンターに摺接しながら回転し、或いは、センター穴3に接触したセンターがハウジング4と共に回転することになる。
【0026】
センター治具1を被加工物15から取り外す場合、4本の加圧ボルト6を順次緩めれば、総てのプレッシャピン11が被加工物15の内周面を押し付ける圧力を除去できるので、センター治具1を被加工物15の内部から手で引き出す等して容易に取り出せる。この場合、加圧ボルト6を緩めるに従い第1,第2のスライド中子7,8は一端面2から離れる方向へ移動するのであるが、目に見える程大きなストロークは必要なく、加圧ボルト6を僅かに緩めれば足りる。
【0027】
上述したように、プレッシャピン11に摺動面17を形成しているので、プレッシャピン11が傾斜面12に従動する過程においては、摺動面17が傾斜面12に摺接しつつ、プレッシャピン11の全体が傾斜面12によってラジアル方向へ押圧される。このように、摺動面17が傾斜面12に摺接するため、プレッシャピン11と傾斜面12とが接触する面積が比較的増大し、プレッシャピン11が傾斜面12に食い込むといった所謂かじりを防止できる。
【0028】
以上の説明で、第1,第2のスライド中子7,8を略コーン形とし、8本のプレッシャピン11を、ハウジング4の胴部9に90度の等ピッチで各々配置していることを述べたが、図5に示すように、第1,第2のスライド中子7,8は、90°の等ピッチで配置されるプレッシャピン11の各位置に対応する傾斜面12を4面備えた略四角錐であってもよい。
【0029】
或いは、ピン挿通孔10と複数のプレッシャピン11を、それぞれ、ハウジング4の胴部9の周方向に90度以下、例えば45°の等ピッチで配置してもよい。つまり、図6及び図7に示すように、ピン挿通孔10を16箇所に、プレッシャピン11を16本に、それぞれ増設してもよい。この場合、第1,第2のスライド中子7,8は、45°の等ピッチで配置されるプレッシャピン11の各位置に対応する傾斜面12を8面備えた略八角錐であってもよい。
【0030】
このように、第1,第2のスライド中子7,8を多角柱に形成することにより、略コーン形に形成した場合に比較して、プレッシャピン11の摺動面17と傾斜面12との接触する面積を更に増大して、所謂かじりを確実に防止できるという利点が得られる。上記に例示した他、ピン挿通孔10とプレッシャピン11のピッチは、60°や30°以下に設定してもよく、或いは、プレッシャピン11の本数を減らすのに120°と設定してもよい。
【0031】
また、各プレッシャピン11は、ハウジング4のピン挿通綱孔10及び第1,第2のスライド中子7,8に接触するだけで、これらに機構的に接続していないので、ハウジング4に対して着脱自在である。このため、プレッシャピン11を全長の長いものと短いものとを幾種か揃えておけば、被加工物15の内径が大きい場合には長いプレッシャピン11を、小さい場合には短いものを、適宜選択して取り替えられ、被加工物15の内径の大きさに迅速に対応できる。
【0032】
尚、図8に示すように、ハウジング4の一端面2の内側と第1のスライド中子7との間に、第1,第2のスライド中子7,8を一端面2から離れる方向へ付勢するコイルバネ19を介在してもよい。この場合、コイルバネ19の反力を圧力ボルト6が常時受けるので、圧力ボルト6を緩めた際に、圧力ボルト6が一端面2から浮き上がることがない。このため、圧力ボルト6をレンチ等を用いて締結する作業が安定して行える。
【0033】
また、同図に示すように、ハウジング4の一端面2に形成した小ネジ孔2aにフック4aを締結してもよい。この場合、センター治具1を被加工物15に取付け、或いは、被加工物15から取り外すに際して、作業者がフック4aを把持したり、センター治具1を搬送するに際して、これをクレーン等で吊り下げられる。フック4aは、ねじ込み式のため旋盤加工を行う際には簡単に取り外すことができる。
【0034】
また、図4に示すように、ハウジング4からプレッシャピン11が抜け落ちないように、プレッシャピン11に掛止機構を設けてもよい。例えば、プレッシャピン11の摺動面17付近に小孔11aを形成し、この小孔11a内に、鋼球20とこれを外方へ付勢するコイルバネ21を装填した後で、鋼球20が脱落しないように小孔11aの口縁を塑性的に絞ったものでもよい。
【0035】
また、以上に説明した各部材は、工具用炭素鋼(S55C)を主体に構成するのが好ましいが、被加工物15の硬度や旋盤加工に際して受ける負荷の大きさを予想して適宜選択されるものであり、ステンレス、アルミニウム、合成樹脂又はハイブリッド複合材料でもよい。また、各部材の加工方法や熱処理等についても説明を省略したが、特に、第1,第2のスライド中子7,8の傾斜面12と、プレッシャピン11の摺動面17には、高周波焼入れを施すのが望ましい。
【0036】
更にまた、以上の説明では、加圧手段30(図1,8)を構成する第1,第2のスライド中子7,8を互いに別体としたが、これらは一塊の鋼材から彫り出して形成した一体物でもよい。或いは、第1,第2のスライド中子7,8に代えて、図9に示すように、略円錐形又は略角錐形の比較的長尺なスライド中子を適用してもよい。
【0037】
この場合、スライド中子の周面に形成した傾斜面12に接触した総てのプレッシャピン11のハウジング4からの突出寸法が均等になるように、ハウジング4の一端面2寄りのプレッシャピン11よりも一端面2から離れた側のプレッシャピン11の全長を短く設定する。或いは、一端面2から離れた側のプレッシャピン11を省略してもよい。
【0038】
上記センター治具1の使用手順の説明において、センター治具1の芯合わせが完了した時点で、センター治具1のセンター穴3は、被加工物15の軸心に対して偏心量が0.3mm以下である。更に、被加工物15の周面を砥石等で研削する場合のように、偏心量を0.1mm以下に抑える必要がある場合には、以下に述べる芯合せ機構を採用することが望ましい。
【0039】
即ち、図10及び図11に示すように、本発明の他の実施の形態に係るセンター治具23は、両端を開放した短筒形のハウジング40と、ハウジング40の一端面41を塞ぐエンドブロック50と、エンドブロック50に取付けられ外面31にセンター穴3を形成したセンタブロック32と、エンドブロック50を貫いたボルト挿通孔5に挿通した加圧ボルト6と、加圧ボルト6に螺合した第1のスライド中子7と、ハウジング40の複数のピン挿通孔10に各々挿通した複数のプレッシャピン11とを備える。この他の構成は、上記センター治具1と同様であるので、同符号を付して説明を省略する。
【0040】
エンドブロック50は、図11及び図12に示すように、ハウジング40と略外径が同じ円盤であり、その中心を貫く円形孔であるル−ズホール51、上記のボルト挿通孔5、別のボルト挿通孔52、及び、雌ねじを形成したネジ孔53を各々形成している。これらの孔は、互いに位置を違えてル−ズホール51の周りに90°の角ピッチでそれぞれ4カ所ずつ形成されている。エンドブロック50のハウジング40側の周縁部54は、ハウジング40内に殆ど隙間無く嵌入できるように、ハウジング40の内径より僅かに細径である。
【0041】
センタブロック32は、図10及び図13に示すように、センター穴3を中心に設けた円形フランジ部33と、エンドブロック50のル−ズホール51に隙間を開けつつ挿入される円柱状の遊嵌部34とからなる。円形フランジ部33は、エンドブロック50のボルト挿通孔5に対応する位置に、加圧ボルト6の頭部が通過可能な開口35を形成し、エンドブロック50のネジ孔53に対応する位置に、ボルト挿通孔36を穿孔している。
【0042】
外面31側から開口35に挿入したレンチ等により、ボルト挿通孔5に挿通した加圧ボルト6を第1のスライド中子7に締め付け又は緩めることができる。これにより、第1,第2のスライド中子7,8がハウジング40内をスラスト方向に移動する点は、既述の通りである。ボルト挿通孔36には、図11に示すように、外面31側からボルト60が挿通され、ボルト60を図12に示したネジ孔53に締め付けることにより、センタブロック32をエンドブロック50に固定できる。
【0043】
ボルト60を緩めれば、センタブロック32がエンドブロック50に対して、そのラジアル方向に1〜4mmの遊びの範囲で自由にスライド(揺動)できる。上記のル−ズホール51と遊嵌部34とを備えることは必須ではない。これらは、ボルト60を総て緩めてエンドブロック50から抜き取った際に、センタブロック32がエンドブロック50から不意に脱落するのを予防するものである。
【0044】
以上のようにセンタブロック32がエンドブロック50に取付けられ、更に、エンドブロック50がハウジング40にボルト止めされている。即ち、図12に示したボルト挿通孔52には、図11に示すようにボルト55が挿通され、ハウジング40の一端面41には、ボルト55を締め付ける雌ねじ(図に表れず)が形成されている。エンドブロック50をハウジング40に一旦ボルト止めした後は、これらを分解することは通常は殆どない。
【0045】
このようにハウジング40とエンドブロック50とを別体としたのは、ハウジング40自体の製造が上記のハウジング4に比べ安定して行えるからである。即ち、上記のハウジング4を旋盤等を用いて成形する場合、ハウジング4の内周面を切削するバイトを、ハウジング4の他端側から奥方(一端面2側)へ向けて送るのであるが、この切削に伴う切り屑がハウジング4内に詰まり仕上がりが劣悪になることがある。そこで、当該ハウジング40は、その他端からバイトを挿入しつつ一端から切り屑を逃がせるようにしている。
【0046】
次に、センター治具23の使用手順を説明する。即ち、上記同様に、被加工物15の端面、外周面又は内周面を旋盤を用いて加工するものとし、センター治具23を被加工物15の内部へと進入させる迄の工程は上記のセンター治具1と同様である。そして、加圧ボルト6をレンチ等を用いて強く締め付けることにより、総てのプレッシャピン11が被加工物15の内周面に強く押し付けられると、当該センター治具23のハウジング40が被加工物15の内部のラジアル方向の中心に強固に固定される。
【0047】
この時点で総てのボルト60を緩めても良いが、予めボルト60を緩めたままにしてセンター治具23を被加工物15の内部へ進入させても良い。総てのボルト60を緩めることで、ハウジング40にボルト55によって締結したエンドブロック50に対して、センタブロック32を上記例示の1〜4mmの範囲でラジアル方向にスライドできる。
【0048】
この状態で、センタブロック32のセンター穴3に心押台に取付けたセンターを差し込めば、このセンターに従ってセンタブロック32が位置決めされることになる。つまり、センタブロック32のセンター穴3の位置は、被加工物15を回転させたときの軸心に極めて正確に一致する。この後、総てのボルト60を強固に締め付ければ、センタブロック32をエンドブロック50に固定できるので、旋盤等の主軸を回転させて、被加工物15を砥石等で研削又はバイト等で切削することができる。
【0049】
センター治具23を被加工物15から取り外す場合は、加圧ボルト6を緩めれば、既述のようにして行える。以上の手順は、被加工物15にセンター治具23を一度だけ固定する場合に限らず、例えば一旦旋盤で切削した被加工物15からセンター治具23を取り外し、再度、被加工物15にセンター治具23を固定する場合でも、以上の手順を繰り返すことにより、被加工物15に対して一旦定めたセンター穴3の位置を容易に再現できる。
【0050】
尚、第1,第2のスライド中子7,8として、上記例示の略コーン形、略四角錐、又は略八角錐のものが、センター治具23にも適用できる。また、ピン挿通孔10と複数のプレッシャピン11を設ける位置及び個数も適宜増減できる。また、図4に示した掛止機構又は、図9に示した加圧手段30を、センター治具23に適用しても良い。また、加圧ボルト6又はボルト55,60の本数は、図示の4本に限定されず、2本、3本又は5本以上でも良い。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係るセンター治具によれば、管又は筒形の被加工物の内外周面を旋盤等を用いて加工する場合に、被加工物の内部に当該センター治具を挿入し、その加圧ボルトを締結するだけで、簡単に被加工物に当該センター治具を固定できる。更に、この状態で旋盤等の心押台に取付けたセンターをセンター穴に押し込めば、被加工物の軸心が振れるのを確実に防止できる。
【0052】
特に、センター穴を形成したセンタブロックを、ハウジングの一端面にボルトで締結して成る芯合せ機構を採用した場合、ボルトを緩めることにより、センタブロックと共にセンター穴の位置を、被加工物に固定したハウジングに対して微調整できるので、被加工物とセンター治具軸心との軸心を更に厳密に一致させることができる。
【0053】
従って、種々の被加工物を加工するに際して、被加工物の内径に応じた適切なセンター又は傘形センターを選択して心押台に取付ける手間が省ける。このため、加工に伴う付帯作業を、従来に比較して飛躍的に簡素化できる。しかも、被加工物の内径に応じた各種のセンター等を多数揃える必要がなくなる。
【0054】
また、被加工物の外周及び端面付近の内周のいずれを加工する場合でも、当該センター治具は使用できるので、従来のようにな受け材で回転する被加工物を摺接させつつ支持することはない。従って、被加工物の外形が多少楕円であったり外周面に凹凸があっても、被加工物の軸心が振れることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るセンター治具の使用例を示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るセンター治具の正面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るセンター治具の一要部の分解斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係るセンター治具の他の要部の断面図。
【図5】(a)は本発明の実施の形態に係るセンター治具に適用したスライド中子の一変形例の側面図、(b)はその正面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るセンター治具に適用したスライド中子の他の変形例の正面図。
【図7】本発明の実施の形態に係るセンター治具の変形例の正面図。
【図8】本発明の実施の形態に係るセンター治具の変形例の断面図。
【図9】本発明の実施の形態に係るセンター治具の他の変形例の断面図。
【図10】本発明の他の実施の形態に係るセンター治具の使用例を示す断面図。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るセンター治具の斜視図。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るセンター治具の要部の正面図及び断面図。
【図13】本発明の他の実施の形態に係るセンター治具の別の要部の正面図及び断面図。
【符号の説明】
1,23:センター治具
2:一端面
3:センター穴
4,40:ハウジング
5:ボルト挿通孔
6:加圧ボルト
7:第1のスライド中子
8:第2のスライド中子
9:胴部
10:ピン挿通孔
11:プレッシャピン
12:傾斜面
17:摺動面
30:加圧手段
31:スライド中子
32:センタブロック
50:エンドブロック
60:ボルト
Claims (7)
- 一端面にセンター穴が形成され、前記一端面のセンター穴の周りに複数のボルト挿通孔が形成され、胴部に複数のピン挿通孔が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの複数のボルト挿通孔に、それぞれ挿通された複数の加圧ボルトと、
前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングのラジアル方向へ立上がる傾斜面を有するスライド中子と、
前記複数のピン挿通孔に、それぞれの端部が差し込まれた複数のプレッシャピンとを備え、
前記複数の加圧ボルトを前記スライド中子にそれぞれ螺合し、前記複数のプレッシャピンの端部を、前記スライド中子の前記傾斜面に接触させ、前記スライド中子が、前記ハウジング内をそのスラスト方向に変位するとき、前記複数のプレッシャピンが前記スライド中子の傾斜面にそれぞれ従動するセンター治具。 - ボルト挿通孔が形成されたエンドブロックと、
一端面を前記エンドブロックで塞がれ、胴部に複数のピン挿通孔が形成されたハウジングと、
センター穴が形成され、前記エンドブロックにラジアル方向にスライド自在に取付けられるセンタブロックと、
前記センタブロックを前記エンドブロックに締結するボルトと、
前記エンドブロックのボルト挿通孔に挿通された複数の加圧ボルトと、
前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングのラジアル方向へ立上がる傾斜面を有するスライド中子と、
前記複数のピン挿通孔に、それぞれの端部が差し込まれた複数のプレッシャピンとを備え、
前記加圧ボルトを前記スライド中子に螺合し、前記複数のプレッシャピンの端部を、前記スライド中子の前記傾斜面に接触させ、前記スライド中子が、前記ハウジング内をそのスラスト方向に変位するとき、前記複数のプレッシャピンが前記スライド中子の傾斜面にそれぞれ従動するセンター治具。 - 前記プレッシャピンの端部に、前記スライド中子の前記傾斜面に沿った面取りが施された請求項1又は2に記載のセンター治具。
- 前記スライド中子が、その周面に前記傾斜面を複数形成した角錐であり、前記複数のプレッシャピンの端部が、前記複数の傾斜面にそれぞれ接触する請求項1乃至3の何れかに記載のセンター治具。
- 前記スライド中子が、第1のスライド中子と、該第1のスライド中子に前記ハウジングのスラスト方向に縦列し連結した第2のスライド中子とを備え、前記複数の加圧ボルトを前記第1のスライド中子に螺合した請求項1乃至4の何れかに記載のセンター治具。
- 前記複数のピン挿通孔と前記複数のプレッシャピンとが、それぞれ、前記ハウジングの胴部に120度以下の等ピッチで配置された請求項1乃至5の何れかに記載のセンター治具。
- 前記プレッシャピンが、前記ハウジングに着脱自在に設けられている請求項1乃至6の何れかにセンター治具
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