JP3819471B2 - 焼却炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラスチックや木材など可燃性廃棄物を焼却処理するさいに使用する簡易な焼却炉に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
近時、日常生活および経済社会活動など活発な都市活動に伴い、一般廃棄物(家庭系・事業系)や産業廃棄物の種類を問わず量的に拡大しているものである。そして、かかる廃棄物のうち、比較的簡便に焼却処理することが出来る可燃性の廃棄物については、一般に家庭や事業所などにおいて簡易な焼却炉により焼却処理せしめられているものである。
【0003】
ところで、家庭や事業所などにおいて使用される簡易な焼却炉としては、一般に、略ドラム状とされた金属製炉本体の内部にロストルを介して燃焼室が区画形成されると共に、該燃焼室に連通して所要高の単筒状煙突が設けられたものが知られている。
【0004】
上述の如く構成された従来の焼却炉は、可燃性廃棄物を簡便に焼却処理することが出来る反面、次の問題点を有するものである。
まず第1に、炉本体は単に金属板により形成されているにすぎないため、廃棄物の焼却時における炉本体内の燃焼温度保持が不十分となり、燃焼効率の低下を招来せしめるのみならず、炉本体の外表面も加熱されて高温化し、非常に危険である。また、経時的な使用
・不使用による高温化・常温化の繰り返しによって生起する熱応力、歪、膨張収縮、水分など燃焼に伴う破壊力や侵蝕を受けて非常に損傷されやすく、炉の寿命が短命化しやすいものである。
第2に、略ドラム状とされた炉本体の側壁は、その水平断面が円形状に形成されているため、燃焼に伴う膨張収縮の歪みや応力が炉本体の一番歪みやすい個所、あるいは一番割れやすい個所に集中的に作用し、非常に損傷されやすいものである。
第3に、煙突は単筒状に形成されているにすぎないため、二次燃焼せしめるアフタ−バ−ニング機能はないものである。このため、燃焼室内における廃棄物の燃焼により酸素不足状態で発生する可燃性ガスについても単に外方へ排気するに留まり、廃棄物の完全燃焼化には程遠いものである。
【0005】
この発明は、従来の問題点を一挙に解決し、焼却処理時に燃焼室内の燃焼温度を高温保持せしめて非常に効率よく焼却することが出来るのみならず、極めて丈夫で長期の使用に充分耐えることが出来、しかも、廃棄物の燃焼時に発生する酸素不足状態の可燃性ガスについても煙突内で完全燃焼せしめて排気することが出来る簡易な焼却炉を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、略ドラム状とされた炉本体の内部にロストルを介して燃焼室が形成されると共に、該燃焼室に連通して所要高の煙突が設けられてなる焼却炉であって、上記炉本体は金属製外郭と、該外郭の内面にラス部材を介して内張りされた耐火部材と、該耐火部材の表面に被覆形成された遠赤外線セラミック部材とより構成されてなることを特徴とする焼却炉を要旨とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、略ドラム状とされた請求項1記載の炉本体の側壁部が、正面体を有する所要数の金属製外郭部材を連結して外郭が正多角形状に形成されると共に、該外郭の内面に沿って所要の耐火部材を内張りすることにより水平断面正多角形状に構成されてなることを特徴とする焼却炉を要旨とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、煙突の基端部内には二次燃焼用内筒が同心円状に内設され、該内筒には所定ピッチでもって所要数の外気供給孔が形成されると共に、該外気供給孔に連通すべく煙突の基端部に外気導入口が形成されてなることを特徴とする請求項1及び2記載の焼却炉を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に係る発明は、耐火部材でもって伝熱を防ぐと共に炉本体内の保温性を著しく向上せしめ、燃焼により発生する短波長の熱線を遠赤外線セラミック部材でもって長波長の遠赤外線に波長変換して放射せしめる遠赤外線放射機能とも相まって、炉本体内における廃棄物の燃焼を非常に効率よく行うことが出来る。また、耐火部材はラス部材に絡ませた状態で外郭の内面に内張りするため、強固に取付けることが出来る。このさい、外郭と耐火部材との間に粘度やケイ酸ソ−ダ、あるいは石灰乳など公知のバインダ−を介装せしめるとよい。また、耐火部材の外表面には遠赤外線セラミック部材が被覆形成せしめられ
、前記の遠赤外線放射機能のみならず、耐火部材の外表面を有効に保護せしめている。
なお、上記外郭の材質としては、鋼板やステンレス板などの金属板が用いられ、また、ラス部材としては、エキスパンドメタルやラスワイヤ−などラス構造を有する公知のものを採択使用する。さらに、耐火部材としては、ムライト系・スポジュメン系・コ−ジュライト系など耐熱性や耐熱衝撃性、あるいは機械的強度に優れた耐火物にセラミックファイバ−やグラスファイバ−の短繊維を混入して生成せしめたものを使用するとよい。
【0010】
請求項2に係る発明は、炉本体の側壁部が正面体を有する所要数の外郭部材を連結して形成された外郭と、該外郭の内面に沿って内張りされた所要の耐火部材でもって水平断面多角形状に形成されているため、燃焼に伴う膨張収縮の歪みや応力を外周に均等に配分して分散化せしめることができ、炉本体の損傷を有効に防止することが出来る。
即ち、例えば、図1〜3に示すように、3面の正面体を有する6個の外郭部材でもって外郭を正十八角形に形成せしめると共に、該外郭の内面に沿って耐火部材を内張りして炉本体の外周を18分割せしめることにより、周長の伸びや縮みを一辺に対して1/18に小さくすることが出来るもので、換言すれば、炉本体側壁の厚さのために発生する膨張率の違いが側壁の内外においてズレとして生起しないように1/18に小さくすることが出来るものである。しかも、側壁面が6個の外郭部材でもって6辺に分割され、かつ、その一辺一辺が所定角度に折曲されているため、各1/18の伸縮が外郭のズレとして現われることはないものである。
もし、大きく伸縮しようとする場合には、各辺の折曲個所に角度のズレとして現われ、その3辺の合成された6個の外郭部材は各々分散しているため、全体の周長が伸縮するも
、連結個所における連結面は殆んど狂うおそれはないものである。ここで、一辺の長さを100mm、側壁厚を3mm、線膨張係数を5×10−6/℃とし、温度差400℃における膨張差を計算すると、側壁部の外面においては
100mm×5×10−6×400℃=0.2mm
側壁部の内面においては
97mm×5×10−6×800℃=0.38mm
であって、僅かに0.18mmの差を生じるにすぎないものである。
これに対し、炉本体を一体形成せしめて直径600mmの円筒形状に形成せしめたさいには、その周長が約2mとなり、膨張差は
2000mm×5×10−6×400℃=20mm
となって破壊を生起するものであり、かかる計算例からも、膨張収縮による歪みや応力に強いことが理解し得るものである。
なお、炉本体の側壁部の形状は、少くとも正八角形以上の正多角形状に形成せしめるのが好ましく、かかる形状に応じて正面体を有する外郭部材でもって外郭を形成し、その内面に所要の耐火部材を内張りするとよい。
【0011】
請求項3に係る発明は、煙突の基端部に形成された外気導入口より外気供給孔を通して内筒に外気を自動的に供給、即ち、燃焼室内の廃棄物を燃焼せしめるさいに発生する排ガスや可燃性ガスなどの上昇気流が速い流速でもって内筒内に流入するため、エジェクション作用を呈して外気を内筒内に自動的に供給することができ、上昇気流中に混入する酸素不足状態の可燃性ガスを完全に二次燃焼せしめることが出来る。なお、外気導入口に所要の風量調節部材を取付け、廃棄物の種類や量などに応じて外気導入量を適正に調節せしめてもよい。また、外気供給孔を内筒の長手方向に沿ってスリット状に形成せしめ、乱流状に外気を供給せしめるとよい。
【0012】
【実施例】
以下に、この発明を図面に示す一実施例について説明する。
1は側壁部が水平断面正十八角形とされた略ドラム状の炉本体、2は該炉本体1を構成する外郭で、該外郭2は3面の正面体を有する6個の外郭部材3をボルト・ナット等の締結部材でもって連結することにより正十八角形状に形成されている。4は各外郭部材3の内面にエキスパンドメタル5を介して内張りされた所要の厚さを有する耐火部材、6は該耐火部材4の外表面にコ−テイングして被覆形成された遠赤外線セラミック部材である。7・8は炉本体1を構成する頂壁と底壁、9・10は炉本体1内にロストル11を介して上下に区画形成された燃焼室と灰だめ室、12は該灰だめ室10に連通すべく炉本体1の側壁下端に形成された一次空気導入口、13は該一次空気導入口12を開閉せしめるべく挿脱自在に設けられた把手つき下部蓋体、14は燃焼室9内に所要の廃棄物を側方より投入すべく炉本体1の側壁中位に形成された側部投入口、15は該側部投入口14を開閉作動せしめるべくハンドル16を介して開閉自在に取付けられた側部蓋体、17は燃焼室9内に廃棄物を上方から投入すべく頂壁7に形成された上部投入口、18は該上部投入口17を開閉作動せしめるべくハンドル19を介して開閉作動自在に取付けられた上部蓋体である。20は燃焼室9に連通すべく頂壁7の外周縁よりに形成された排気口、21は該排気口20に連通せしめるべく垂直状に接続された先細状の二次燃焼用内筒で、該内筒21の外周面には長手方向に沿って定ピッチ毎にスリット状の外気供給孔22が形成されている。23は内筒21に同心円状に嵌装された所要高の煙突、24は内筒21の外気供給孔22に連通すべく該煙突23の基端部に形成された外気導入口である。
【0013】
次に、上述の如く構成された実施例の作動について説明する。
まず、下部蓋体13を外方に引出して一次空気導入口12を開口すると共に、適宜側部蓋体15や上部蓋体18を開作動せしめ、所要の投入口14・17より廃棄物を燃焼室9内に投入し、着火せしめる。すると、一次空気導入口12より順次外気が燃焼室9内に導入されつつ、燃焼を開始する。そして、廃棄物の燃焼に伴って順次高温の火炎、排ガス、酸素不足状態の可燃性ガスなどの混合物が勢いよく上昇して内筒21内に流入すると共に
、エジェクション作用により外気導入口24より外気供給孔22を通して外気が内筒21内に自動的に供給されるため、内筒21内で酸素不足状態の可燃性ガスが燃焼する。このため、廃棄物をほぼ完全に燃焼せしめた状態で煙突23より外方に排気せしめ得る。また
、燃焼室9内においても、耐火部材4により燃焼熱を外部へ伝熱することなく燃焼室9内を保温せしめ、また、遠赤外線セラミック部材6の遠赤外線放射機能とも相まって廃棄物の燃焼を非常に効率よくなし得る。
以下、順次所要の投入口14・17より廃棄物を燃焼室9に投入して燃焼せしめ、焼却処理せしめるものである。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は上述のように構成されているから、耐火部材でもって伝熱を防ぐと共に炉本体内の保温性を著しく向上せしめ、燃焼により発生する短波長の熱線を遠赤外線セラミック部材でもって長波長の遠赤外線に波長変換して放射せしめる遠赤外線放射機能とも相まって、炉本体内における廃棄物の燃焼を非常に効率よく行うことが出来る。また、耐火部材はラス部材に絡ませた状態で外郭の内面に内張りするため、強固に取付けることが出来るのみならず、耐火部材の外表面には遠赤外線セラミック部材が被覆形成せしめられているから、耐火部材の外表面を有効に保護せしめ、耐火部材の寿命を長命化することが出来る。
【0015】
請求項2に係る発明は、炉本体の側壁部が正面体を有する所要数の外郭部材を連結して形成された外郭と、該外郭の内面に沿って内張りされた所要の耐火部材でもって水平断面多角形状に形成されているため、燃焼に伴う膨張収縮の歪みや応力を外周に均等に配分して分散化せしめることができ、炉本体の損傷を有効に防止することが出来る。
【0016】
請求項3に係る発明は上述のように構成されているから、廃棄物の燃焼に伴って燃焼室より高温の火炎、排ガス、可燃性ガスなどの混合物が勢いよく上昇して内筒内に流入するため、エジェクション作用により外気導入口より外気供給孔を通して外気を自動的に供給せしめ、内筒内において酸素不足状態の可燃性ガスを完全に燃焼せしめて煙突より外方へ排気せしめることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1の垂直断面図である。
【図3】 図1の水平断面図である。
【図4】 炉本体1の側壁構造を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 外郭
3 外郭部材
4 耐火部材
5 エキスパンドメタル
6 遠赤外線セラミック部材
9 燃焼室
11 ロストル
21 内筒
22 外気供給孔
23 煙突
24 外気導入口
Claims (3)
- 略ドラム状とされた炉本体の内部にロストルを介して燃焼室が形成されると共に、該燃焼室に連通して所要高の煙突が設けられてなる焼却炉であって、上記炉本体は金属製外郭と、該外郭の内面にラス部材を介して内張りされた耐火部材と、該耐火部材の表面に被覆形成された遠赤外線セラミック部材とより構成されてなることを特徴とする焼却炉。
- 略ドラム状とされた請求項1記載の炉本体の側壁部は、正面体を有する所要数の金属製外郭部材を連結して外郭が正多角形状に形成されると共に、該外郭の内面に沿って所要の耐火部材を内張りすることにより水平断面正多角形状に構成されてなることを特徴とする焼却炉。
- 煙突の基端部内には二次燃焼用内筒が同心円状に内設され、該内筒には所定ピッチでもって所要数の外気供給孔が形成されると共に、該外気供給孔に連通すべく煙突の基端部に外気導入口が形成されてなることを特徴とする請求項1及び2記載の焼却炉。
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JP05693396A JP3819471B2 (ja) | 1996-02-19 | 1996-02-19 | 焼却炉 |
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- 1996-02-19 JP JP05693396A patent/JP3819471B2/ja not_active Expired - Lifetime
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