JP3819238B2 - バリスタ材料のウェーハを有する過電圧保護装置 - Google Patents

バリスタ材料のウェーハを有する過電圧保護装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電圧サージ保護装置に関し、さらに詳しくは、バリスタ材料のウェーハを有する電圧サージ保護装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
住居や商業あるいは社会施設に電力を送る供給線には、しばしば過電圧が印加される。そのような過電圧や電圧スパイクは、例えば落雷に起因することがある。電圧サージは、電圧サージにより惹起され時間のロスを伴う設備の損傷に非常に費用がかかる電気通信分配センター、病院及び他の施設では特に重要な問題である。
【0003】
特に、一つあるいはそれ以上のバリスタ(すなわち、電圧依存型抵抗)が電圧サージから設備を守るために使用されている。一般に、バリスタは保護された回路に並列にAC入力に直接接続される。バリスタは特徴のある制限電圧を持ち、所定の電圧を超える電圧上昇に応答して、バリスタは低抵抗の分路を形成し、過電圧電流に対し敏感な素子の損傷の危険性を減少する。典型的には、保護回路にヒューズを設けてもよく、このヒューズは、分路により形成された実質的な短絡回路により飛んだり弱体化する。
【0004】
バリスタは、異なる用途に応じて幾つかの設計に基づいて作製されていた。電気通信設備の保護のような高荷重の用途(例えば、約60〜100kAの範囲のサージ電流がかかるような場合)には、ブロックバリスタが普通採用される。ブロックバリスタは一般に、プラスチック容器に収容されたディスク状のバリスタ素子を備えている。バリスタディスクは、酸化亜鉛のような金属酸化物や炭化けい素のような他の適当な材料を圧力注型することにより形成される。銅や他の導電材料が、ディスクの両面に焔溶射される。リング状の電極がコーティングが施されたディスク両面に接合され、電極体はプラスチック容器に収容される。そのようなバリスタの例としては、シーメンス・マツシタ・コンポーネント社(Siemens Matsushita Components GmbH & Co. KG)から市販されている製品SIOV-B860K250とハリス社(Harris Corporation)から市販されている製品V271BA60がある。
別のバリスタ設計には、ディスクダイオードケースに収容された高エネルギバリスタディスクが含まれる。ダイオードケースは対向する電極プレートを有し、バリスタディスクはその間に配置されている。電極の一方あるいは両方には、バリスタを所定の位置に保持するために、電極プレートとバリスタディスクとの間に配置されたスプリング部材が設けられている。スプリング部材とバリスタディスクの接触面積は比較的小さい。
【0005】
上記したバリスタ構成は、しばしば不適切に取り扱われている。バリスタは時々加熱し発火している。加熱により電極はバリスタディスクから分離することがあり、弧光が発生し、さらに火災の原因にもなる。バリスタディスクにピンホールが発生することもあり、バリスタが所定の範囲外で作動する虞もある。高電流インパルスを受けると、従来のバリスタディスクは圧電効果により亀裂が発生することもあり、その性能が低下する。そのようなバリスタの欠陥により、最低性能の仕様を保証するための政府の新しい規則が生まれた。バリスタメーカーには、この新規則を満足するのは難しいように思われている。
【0006】
【発明の概要】
そこで、本発明の目的は、バリスタ装置に過電圧が印可された時に過熱や火災に対し耐性の向上したバリスタ装置を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、バリスタ装置に過電圧が印可された時に低インダクタンスと低抵抗を示すバリスタ装置を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の別の目的は、バリスタウェーハを含み、ウェーハを介して実質的に一様に電流を分布させ、高電流の熱点の発生を極力抑制するバリスタ装置を提供することである。
【0009】
上記及び他の目的を達成するために、本発明は、繰り返して起こる過度の過電圧状態に対し安全に持続してかつ確実に対処するための多くの利点を提供する過電圧保護装置を開示している。装置はバリスタ材料のウェーハと一対の電極部材を備え、電極部材の一つは容器であり、ウェーハの実質的に平坦な面と係合するための実質的に平坦な接触面を有している。
【0010】
好ましくは、バリスタウェーハの熱容量に比べ、電極は比較的大きい熱容量を持ち、バリスタウェーハからの相当量の熱を吸収する。このようにして、バリスタウェーハが火花や火炎を発生する機会を減少させるとともに、熱によるバリスタウェーハの破壊や劣化を減少する。電極の熱容量が比較的に大きいことや、電極とバリスタウェーハとの接触面積が十分なことで、バリスタウェーハの温度分布がより均一になり、熱点あるいはそれに起因するバリスタ材料の局部的消耗が極力減少する。
【0011】
好ましくは、電極はバリスタウェーハに対し機械的荷重を加えている。好ましくは、荷重を加え維持するために付勢手段が使用される。荷重を加えることで、バリスタウェーハの電流分布をより均一にするのがよい。その結果、装置はより効果的に前もって過電圧状態に対応し、ピンホールを惹起する虞のある高電流点の発生がほとんど回避される。また、高電流インパルスによりバリスタウェーハに反りが発生する傾向は、電極により提供される機械的強化により防止されたり減少する。さらに、バリスタウェーハの電流分布がより均一で効率的であることから、過電圧時の装置のインダクタンスと抵抗はより低くなると予想される。
【0012】
好ましくは、装置は、バリスタウェーハの過電圧時に、火炎、火花及び/又はバリスタ材料の排出を防止し、あるいは、極力低減するように構成された金属容器と他の部品を備えている。好ましくは、ウェーハは、バリスタ材料のロッドからウェーハを薄く切り取ることにより形成される。
【0013】
【実施の形態の詳細な説明】
以下、実施の形態が図示された添付図面を参照しながら、本発明を詳述する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化してもよく、ここに記載した実施の形態に限定されるものではない。むしろ、この実施の形態はこの明細書が十分かつ完全で、当業者に本発明の範囲を十分に知らせるためのものである。図面において、同一符号は同一部材を示している。
【0014】
図1〜3を参照すると、本発明の実施の形態1にかかる過電圧保護装置が図示されており、100で示されている。装置100には、略円筒形の容器120が設けられている。容器はアルミニウムで形成するのが好ましい。しかしながら、他の適当な導電性金属を使用してもよい。容器は、中央壁122(図3)、中央壁から反対方向に延びる円筒壁124、壁124から外側に延びる容器の電極タブ129を備えている。容器は、図示されているように一体的で軸方向に対称であるのが好ましい。円筒壁124と中央壁122は中央壁の両側にキャビティ121を形成し、各キャビティはそれぞれの開口部126と連通している。
【0015】
キャビティ121の各々には、ピストン状の電極130が配置されている。電極130の軸134はそれぞれの開口部126から外方に延出している。電極130はアルミニウムで形成するのがよい。しかしながら、他の適当な導電性金属を使用してもよい。さらに、以下に詳述するように、バリスタウェーハ110、スプリングワッシャ140、絶縁リング150及び端部キャップ160が各キャビティ121に配置されている。
【0016】
使用時、装置100は、例えば電気供給箱内のACあるいはDC入力に直接接続することができる。供給線は、電極130、バリスタウェーハ110、容器の中央壁122及び容器電極タブ129を介して電路が形成されるように、電極軸134と容器電極タブ129に直接あるいは間接的に接続される。過電圧状態でなければ、バリスタウェーハ110は高抵抗を示し、装置100は電気的に開路として作用するので、装置100に電流は流れない。過電圧状態(装置の設計電圧に比べて)のときには、バリスタウェーハの抵抗は急激に落ち、装置100を介して電流が流れ、電流の分路が形成されて関連する電気システムの他の部品を保護する。バリスタのような過電圧保護素子の一般的用途は当業者にはよく知られているので、ここではこれ以上詳述しない。
【0017】
図から分かるように、装置100は軸方向に対称で、装置100の上半分と下半分は同様に構成されている。したがって、装置100についての以下の説明は上半分のみに対して行い、同じ説明が下半分についても当てはまる。
【0018】
装置100の構成を詳述すると、電極130は頭部132と一体的に形成された軸134とを備えている。図3にもっとも良く図示されているように、頭部132は、容器中央壁122の実質的に平坦な接触面122Aと対向する実質的に平坦な接触面132Aを備えている。バリスタウェーハ110は接触面122、132間に介装されている。以下に詳述するように、頭部132と中央壁122はバリスタウェーハ110に対し機械的に荷重を加えており、表面112,132A間と表面114,122A間に安定した一様な係合を確保している。ねじ孔136が軸134の端部に形成されており、バスバーあるいは他の電気コネクタを電極130に固定するボルトが螺合される。
【0019】
図4を参照すると、バリスタウェーハ110は、実質的に平坦な第1の接触面112とその反対側の実質的に平坦な第2の接触面114とを備えている。ここで使用されている用語「ウェーハ」は、その直径、長さ、幅の寸法に比べて厚さが比較的薄い基板を意味している。バリスタウェーハ110はディスク状が好ましい。しかしながら、バリスタウェーハは他の形状に形成してもよい。バリスタ110の厚さTと直径Dは、特定の用途に適したバリスタ特性に依存する。好ましくは、図示されているように、バリスタウェーハ110は、その両側が導電性コーティング112A,114Aで被覆されたバリスタ材料のウェーハ111を備えており、コーティング112A,114Aの暴露面は接触面112,114として作用する。コーティング112A,114Aはアルミニウム、銅、はんだで形成するのがよい。
【0020】
バリスタ材料は、バリスタ用に従来から使用されている適当な材料、すなわち、印加電圧に対し非線形の抵抗特性を示す材料であってもよい。所定の電圧を超えると、抵抗が非常に小さくなるのが好ましい。バリスタ材料は、例えばドープされた金属酸化物あるいは炭化けい素であってもよい。好ましい金属酸化物には、酸化亜鉛化合物が含まれる。
【0021】
バリスタ材料のウェーハ111は、バリスタ材料のロッドあるいはブロック(図示せず)をまず形成し、それからダイアモンドカッタや他の適当な装置を使用してロッドからウェーハ111を薄く切り取るのがよい。ロッドは、バリスタ材料のロッドを押し出しあるいは注型し、それから酸素処理された環境で高温でロッドを焼結してもよい。この形成方法は、注型プロセスを使用して通常得られるものに比べて、面がより平坦でそりや形状変動のより少ないウェーハを形成することができる。コーティング112A,114Aはアルミニウムや銅で形成するのが好ましく、ウェーハ111の両面に焔溶射することができる。
【0022】
図1に示される装置100は二つのスプリングワッシャ140を備えているが、それ以上あるいはそれ以下を使用してもよい。各スプリングワッシャ140は、電極130の軸134を収容する孔142を持つ。各スプリングワッシャ140は、頭部132のすぐ近くの軸134の一部を囲繞し、頭部132の後面あるいは隣のスプリングワッシャ140と当接する。各孔142は、軸134の対応する直径よりも大きい約0.012〜0.015インチの直径を持つのがよい。スプリングワッシャ140は好ましくは弾性材料で形成され、さらに好ましくは、スプリングワッシャ140はばね鋼で形成された皿型ワッシャである。
【0023】
絶縁リング150は、外側のスプリングワッシャ140の上に配置されて、これと当接している。絶縁リング150には、軸134を収容する孔152が形成されている。孔152の直径は好ましくは、軸134の対応する直径よりも大きい約0.005〜0.007インチの範囲である。絶縁リング150は、高い融解及び燃焼温度を有する電気的絶縁材料で形成するのが好ましい。さらに好ましくは、絶縁リング150は、ポリカーボネート、セラミックあるいは高温ポリマーで形成される。
【0024】
端部キャップ160は絶縁リング150の上に配置されて、これと当接している。端部キャップ160には、軸134を収容する孔162が形成されている。孔162の直径は好ましくは、軸134の対応する直径よりも大きい約0.500〜0.505インチの範囲であり、十分なクリアランス165(図2)を設けて、非過電圧状態における端部キャップ160と電極軸134との電気的な弧光発生を防止している。端部キャップ160の周面のねじ168は、容器120に形成された相補形状のねじ128と螺合している。端部キャップには、容器120に対し端部キャップ160を回転させる工具(図示せず)を受け入れる孔163が形成されている。工具を受け入れる他の手段、例えば六角形の溝を孔163の代わりに、あるいは、孔163に加えて設けてもよい。端部キャップ160は、容器120の内径に収まる環状隆起部167を有する。容器120は、端部キャップ150の過度の挿入を防止するリム127を有する。好ましくは、端部キャップはアルミニウムで形成される。
【0025】
上述したように、また図3に最もよく示されているように、電極頭部132と中央壁122は、バリスタウェーハ110に対し荷重が加えられており、表面112,132A間と表面114,122A間に安定した一様な係合を確保している。装置100のこの特徴は、装置100を組み立てるための本発明にかかる方法を考えると、理解することができる。バリスタウェーハ110は、ウェーハ面114が接触面122Aと係合するようにキャビティ121内に配置される。電極130は、接触面132Aがバリスタウェーハ面112と係合するようにキャビティ121に挿入される。スプリングワッシャ140が軸134に沿って落下せしめられ、頭部132の上に配置される。絶縁リング150が軸134に沿って落下せしめられ、外側のスプリングワッシャ140の上に配置される。端部キャップ160が軸134に沿って落下せしめられ、ねじ168をねじ128に嵌合させ回転させることにより開口部126に螺合される。
【0026】
上述したように、装置100が一旦組み立てられると、端部キャップ160には選択的にトルクが加えられて絶縁リング150を下方に押圧し、スプリングワッシャ140を部分的に変形させる。端部キャップ160から絶縁リング150に、さらに絶縁リングからスプリングワッシャ140に荷重を加えると、続いて頭部132に伝達される。このようにして、バリスタウェーハ110は頭部132と中央壁122との間にサンドイッチ(挟持)される。
【0027】
好ましくは、スプリングワッシャ150が部分的にのみ変形した時に、さらに好ましくは、スプリングワッシャが50%変形した時に、所望の荷重が加わるように装置100は設計される。このようにして、装置100の他の部品の製造許容誤差の変動が吸収される。
【0028】
端部キャップ160に加えられるトルクの量は、バリスタウェーハ110と頭部132あるいは中央壁122との間の荷重の所望の大きさに依存する。好ましくは、頭部と中央壁のバリスタウェーハに対する荷重の量は少なくとも264ポンドである。さらに好ましくは、荷重は約528〜1056ポンドである。コーティング112A,114Aの初期形状はきめが粗く、荷重の圧縮力によりコーティングが変形して、コーティングと接触面122A,132Aとの係合をより連続的なものにするのが好ましい。
【0029】
あるいは、スプリングワッシャ140の数あるいはサイズを適宜選択することにより所望の荷重を得るようにしてもよい。スプリングワッシャの各々が所定量変形するためには所定量の荷重が必要となり、全荷重はスプリングの変形荷重の総和である。
【0030】
好ましくは、接触面132Aとバリスタウェーハ面112との係合面積は少なくとも1.46平方インチである。同様に、接触面122Aとバリスタウェーハ面114との係合面積は少なくとも1.46平方インチであるのが好ましい。電極頭部132は好ましくは、少なくとも0.50インチの厚みHを持つ。中央壁122は好ましくは、少なくとも0.25インチの厚みWを持つ。
【0031】
容器120と電極130の総熱容量は、バリスタウェーハ110の熱容量より実質的に大きいのがよい。ここで使用されている用語「熱容量」は、対象物(例えば、バリスタウェーハ110)の材料の比熱に対象物の材料の質量を掛けて得られた積を意味する。すなわち、熱容量は、対象物の材料1グラムを1℃上昇させるのに必要なエネルギを対象物の材料の質量倍した量である。好ましくは、電極頭部132と中央壁122の各々の熱容量は、バリスタウェーハ110の熱容量よりも実質的に大きい。好ましくは、電極頭部132と中央壁122の各々の熱容量は、バリスタウェーハ110の熱容量の少なくとも2倍であり、さらに好ましくは、少なくとも10倍大きい。
【0032】
過電圧保護装置100は、繰り返して起こる過度の過電圧状態に対し安全に持続してかつ確実に対処するための多くの利点を提供する。容器120と電極130の比較的大きい熱容量は、バリスタウェーハ110からの比較的多量の熱を吸収するように作用し、バリスタウェーハが火花や火炎を発生する機会を減少させるとともに、熱によるバリスタウェーハの破壊や劣化を減少する。熱容量が比較的に大きいことや、バリスタウェーハと電極あるいは容器との接触面積が十分なことで、バリスタウェーハの温度分布がより均一になり、熱点あるいはそれに起因するバリスタ材料の局部的消耗が極力減少する。
【0033】
接触面積が比較的大きいことに加えて、バリスタウェーハに対し電極と容器で荷重を加えたことで、バリスタウェーハ110の電流分布がより均一になる。その結果、装置100はより効果的に前もって過電圧状態に対応し、ピンホールを惹起する虞のある高電流点の発生がほとんど回避される。高電流インパルスによりバリスタウェーハ110に反りが発生する傾向は、荷重を加えた頭部132と中央壁122による機械的強化により減少する。スプリングワッシャは、バリスタウェーハが膨張すると一時的に変形し、バリスタウェーハが再び収縮すると元に戻るが、このことで、過電圧状態が何度発生しても、その間の荷重は維持される。さらに、バリスタウェーハの電流分布がより均一で効率的であることから、過電圧時の装置100のインダクタンスと抵抗はより低くなる。
【0034】
装置100はまた、バリスタウェーハ110の過電圧時に、火炎、火花及び/又はバリスタ材料の排出を防止し、あるいは、極力低減する。電極130、絶縁リング150及び端部キャップ160の形状のみならず金属容器の強度により、バリスタウェーハ障害の結果物を吸収するよう作用する。バリスタの破壊が激しく、電極130がバリスタから離反したり絶縁リング150が融解するような場合には、電極130が端部キャップ160と直接接触するように移動し、電極130と容器120を短絡して直列のヒューズ(図示せず)が飛ぶ。
【0035】
容器120は円筒状に図示されているが、容器は別の形状でもよい。装置100の下半分を除去し、上部容器壁124のみと、それぞれ一つのバリスタウェーハ、電極、スプリングワッシャあるいは一組のスプリングワッシャ、絶縁リング、及び、端部キャップを装置100に設けてもよい。
【0036】
上記内容を考慮すると、装置の構成部品を形成する方法は当業者には容易に理解できるところである。例えば、容器120、電極130及び端部キャップ160は機械加工、鋳造あるいは衝撃成形により形成してもよい。これらの部品の各々は、一体的に形成してもよく、例えば溶接によりしっかりと接合した複数の部材で形成してもよい。
【0037】
図5〜8には、本発明の実施の形態2にかかるバリスタ装置200が図示されている。バリスタ装置200は、バリスタ装置100の部品110,130,140,160にそれぞれ相当する部品210,230,240,260を備えている。バリスタ装置200は、この装置200が一つのバリスタウェーハ210と対応する部品のみを備えている点で、バリスタ装置100と相違している。バリスタ装置200は、以下のことを除いて容器120と同一の容器220を備えている。容器220は単一のキャビティ221のみを有し、その中央(あるいは端部)壁222から延びる単一の周囲壁224のみを有している。また、電極タブ129に相当し横方向に延びる電極タブの代わりに、中央(あるいは端部)壁222の下面から延びるねじ付きスタッド229(図7)が容器220に設けられている。スタッド229は、従来の電気供給箱等のねじ孔と嵌合すべく採用されたものである。
【0038】
さらに、バリスタ装置200は、絶縁リング251を設けた点でバリスタ装置100と相違している。絶縁リング251は、絶縁リング150に相当するリング本体252を備えている。リング251はさらに、リング本体252より上方に延びるカラー254を備えている。カラー254の内径は、好ましくはクリアランスを設けた状態で電極230の軸234を受け入れる寸法となっている。カラー254の外径は、端部キャップ260の孔262を通過する寸法となっており、カラー254の周囲には所定のクリアランス265(図6)が設けられている。このクリアランス265により軸134を挿入する余裕があるが、なくてもよい。リング本体252とカラー254は、絶縁リング150と同じ材料で形成するのが好ましい。リング本体252とカラー254は接合してもよく一体成形してもよい。
【0039】
図8には、電気供給箱10に取り付けられたバリスタ装置200が示されている。バリスタ装置200は、電気的にアースされた金属架台12に取り付けられている。電極スタッド229は、架台12のねじ孔12Aを貫通し、これと螺合している。ヒューズ14の第1端に電気的に接続されたバスバー16は、電極230のねじ孔236に挿入されたボルト18により電極軸234に固定されている。ヒューズ14の第2端は電気供給線等に接続することができる。図8に示されるように、複数のバリスタ装置200を便利箱10内で並列に接続してもよい。
【0040】
図9〜11を参照すると、本発明の実施の形態3にかかるバリスタ装置300が図示されている。バリスタ装置300は、部品210,230,240,251にそれぞれ相当する部品310,330,340,351を備えている。バリスタ装置300はまた、上部スプリングワッシャ340と絶縁リング351との間に介装された平坦な金属ワッシャ345を備えており、軸334はワッシャ345に穿設された孔346を貫通している。ワッシャ345は装置100,200に組み込むこともできるが、上部スプリングワッシャ340の機械的荷重を分配するように作用し、スプリングワッシャの絶縁リング351への食い込みを防止している。容器320は、以下のことを除いて容器220と同一である。
【0041】
装置300の容器320は、リム127に相当するリムや、ねじ128に相当するねじを持たない。また、容器320は、周囲の側壁324に形成され開口部326の近傍に延在する内部環状溝323を有している。
【0042】
バリスタ装置300は、電極330と中央壁322のバリスタウェーハ310への荷重の加え方においてバリスタ装置100,200と相違している。端部キャップ160,260に代えて、バリスタ装置300は端部キャップ360と弾性クリップ370を有している。クリップ370は部分的に溝323内に嵌入するとともに、容器320の内壁から半径方向内側に部分的に延在しており、端部キャップ360の外側への移動を規制している。クリップ370はばね鋼で形成するのが好ましい。端部キャップ360はアルミニウムで形成するのが好ましい。
【0043】
バリスタ装置300は、以下の点を除いてバリスタ装置100,200と同様に組み立てることができる。端部キャップ360は軸334とカラー354の上に配置され、これらは孔362に収容される。ワッシャ345は、絶縁リング351を取り付ける前に軸334の上に配置される。端部キャップ360を押下するには治具(図示せず)あるいは他の適当な装置が使用され、つづいてスプリングワッシャ340を変形させる。端部キャップ360が治具の荷重を受けている間に、好ましくはペンチあるいは他の適当な工具を孔372に嵌合させることによりクリップ370が圧縮され、溝323に挿入される。それから、クリップ370は解放され元の直径に戻ることで、部分的に溝と係合するとともに、部分的に溝323からキャビティ321に向かって半径方向内側に延びる。こうすることで、クリップ370と溝323は端部キャップ360にかかる荷重を維持するように作用する。
【0044】
上述した以外の手段を使用して、電極と容器を介してバリスタウェーハに荷重を加えてもよい。例えば、電極と端部キャップを組み付けて荷重を加えた後、立込みジョイントを使用して所定の位置に固定することもできる。
【0045】
上述した装置100,200,300の各々に、複数のバリスタウェーハ(図示せず)を積層して電極頭部と中央壁との間に挟持するようにしてもよい。最上部及び最下部のバリスタウェーハの外面はウェーハ接触面として作用する。しかしながら、バリスタウェーハの特性は、複数のバリスタウェーハを積層するよりもむしろ単一のバリスタウェーハの厚みを変えることにより改変するのが好ましい。
【0046】
上述したように、スプリングワッシャ140は、好ましくは皿型ワッシャである。皿型ワッシャは、軸方向のスペースが十分でなくても、比較的大きな荷重を加えるのに使用することができる。しかしながら、皿型ワッシャの代わりに、あるいは、皿型ワッシャに加えて、他の付勢手段を使用することもできる。適当な代替付勢手段には、一つもしくはそれ以上のコイルスプリング、波型ワッシャあるいはらせんワッシャが含まれる。
【0047】
上記は本発明を具体的に示したもので、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の幾つかの典型的な実施の形態を記載したが、本発明の新奇な教示内容及び利点から実質的に離脱することなく、典型的な実施の形態の多くの変形例が可能であることは当業者には容易に理解できるところである。したがって、すべてのそのような変形例は、請求の範囲に記載された発明の範囲に含まれるものとする。請求の範囲において、手段+機能の節(means-plus-function clauses)は、記載された機能を達成する構造と、構造的等価物のみならず等価構造物をも含むものである。したがって、上記は本発明を説明するためのもので、開示された特定の実施の形態に限定されるわけではなく、他の実施の形態や開示された実施の形態の変形例は添付した請求の範囲に含まれる。本発明は請求項により定義されるが、その等価物もここに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるバリスタ装置の分解斜視図である。
【図2】 図1のバリスタ装置の上方からの斜視図である。
【図3】 図2の線3−3に沿った図1のバリスタ装置の断面図である。
【図4】 バリスタウェーハの斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態2にかかるバリスタ装置の分解斜視図である。
【図6】 図5のバリスタ装置の上方からの斜視図である。
【図7】 図5のバリスタ装置の下方からの斜視図である。
【図8】 バリスタ装置が電気供給箱に収容された図5のバリスタ装置の図である。
【図9】 本発明の実施の形態3にかかるバリスタ装置の分解斜視図である。
【図10】 図9のバリスタ装置の上方からの斜視図である。
【図11】 図10の線11−11に沿った図9のバリスタ装置の断面図である。

Claims (34)

  1. (a)実質的に平坦な第1の電気的接触面と導電性金属側壁を有し、キャビティと該キャビティと連通する開口部を有する容器と、
    (b)上記キャビティ内に配置され、上記第1の電気的接触面と対向する実質的に平坦な第2の電気的接触面を有し、一部が上記キャビティから上記開口部を介して延出した電極部材と、
    (c)バリスタ材料で形成され、実質的に平坦で第1及び第2の対向するウェーハ面を有するウェーハとを備え、
    上記ウェーハは上記キャビティ内で上記第1及び第2の電気的接触面との間に配置され、上記第1及び第2のウェーハ面が上記第1及び第2の電気的接触面とそれぞれ係合している過電圧保護装置。
  2. 上記第1及び第2の電気的接触面が上記第1及び第2のウェーハ面に荷重を加えている請求項1の装置。
  3. 上記荷重が少なくとも264ポンドである請求項2の装置。
  4. 上記荷重の量が選択的に調節されるように上記荷重を維持する可調節手段を備えた請求項2の装置。
  5. 上記荷重を維持する付勢手段を備えた請求項2の装置。
  6. 上記付勢手段が、上記第1及び第2の電気的接触面の少なくとも一つを上記ウェーハに対して付勢するスプリング部材を備えた請求項5の装置。
  7. 上記第1及び第2の電極部材の少なくとも一つを上記ウェーハに対して付勢する複数のスプリング部材を備えた請求項6の装置。
  8. 上記スプリング部材がスプリングワッシャを備えた請求項6の装置。
  9. 上記スプリング部材が皿型ワッシャを備えた請求項6の装置。
  10. 上記開口部に配置され、上記荷重を維持する端部キャップを備えた請求項2の装置。
  11. 上記端部キャップと上記容器との移動を制限して上記荷重を維持するように作用するクリップを備えた請求項10の装置。
  12. 上記容器に溝が形成され、該溝と上記クリップが嵌合するようにした請求項11の装置。
  13. 上記容器がねじ部を持ち、上記端部キャップが上記容器のねじ部と螺合するねじ部を持ち、上記端部キャップが上記荷重を選択的に調節して維持するようにした請求項10の装置。
  14. 上記端部キャップと上記ウェーハとの間に介装されたスプリング部材を備えた請求項10の装置。
  15. 上記第2の接触面と上記開口部との間に介装された電気的な絶縁部材を備えた請求項1の装置。
  16. 上記開口部に配置され孔を有する端部キャップを備え、上記電極部材が上記キャビティ内で上記端部キャップと上記第1の電気的接触面との間に配置された頭部と上記端部キャップの孔を介して上記キャビティから延出する軸を備え、上記頭部は上記第2の電気的接触面を備えた請求項1の装置。
  17. 孔が形成された電気絶縁リング部材を備え、該リング部材は上記頭部と上記端部キャップとの間に介装され、上記軸が上記絶縁リング部材の孔を貫通して延びるようにした請求項16の装置。
  18. 上記絶縁リング部材がリング本体部と突出カラーを備え、該突出カラーが上記軸を囲繞するとともに上記端部キャップの孔を貫通する請求項17の装置。
  19. 孔が形成されたスプリングワッシャを備え、該スプリングワッシャは上記頭部と上記端部キャップとの間に介装され、上記軸が上記スプリングワッシャの孔を貫通する請求項16の装置。
  20. 電気絶縁リング部材とスプリングワッシャとを備え、上記電気絶縁リング部材は孔を有するとともに上記頭部と上記端部キャップとの間に介装される一方、上記スプリングワッシャは孔を有するとともに上記頭部と上記電気絶縁リング部材との間に介装され、上記軸が上記電気絶縁リング部材の孔と上記スプリングワッシャの孔の各々を貫通する請求項16の装置。
  21. 上記絶縁リング部材がリング本体部と突出カラーを備え、該突出カラーが上記軸を囲繞するとともに上記端部キャップの孔を貫通する請求項20の装置。
  22. 上記容器と上記電極部材の総熱容量が、上記ウェーハの熱容量より実質的に大きい請求項1の装置。
  23. 上記容器が電極壁を有する一方、上記電極部材が頭部を有し、上記電極壁と上記頭部の各々が上記ウェーハ面の一つと当接するとともに上記ウェーハの熱容量より実質的に大きい熱量を有する請求項22の装置。
  24. 上記電極壁と上記頭部の各々の熱容量は上記ウェーハの熱容量の少なくとも2倍である請求項23の装置。
  25. 上記電極壁と上記頭部の各々の熱容量は上記ウェーハの熱容量の少なくとも10倍である請求項23の装置。
  26. 上記容器が金属で一体的に形成されている請求項1の装置。
  27. 上記ウェーハがバリスタ材料のロッドを薄く切り取って形成される請求項1の装置。
  28. 上記ロッドが押し出し及び注型の少なくとも一つにより形成される請求項27の装置。
  29. 上記バリスタ材料が金属酸化物及び炭化けい素からなるグループより選択される請求項27の装置。
  30. 上記ウェーハが上記第1及び第2のウェーハ面の少なくとも一つに被覆された導電金属のコーティングを有する請求項27の装置。
  31. 上記第1及び第2の接触面の各々が連続しており、実質的に空所がない請求項1の装置。
  32. (a)容器は電極壁と導電性金属側壁を有し、該電極壁と側壁はキャビティと該キャビティと連通する開口部を区画し、上記電極壁は熱容量と実質的に平坦な第1の電気的接触面を有し、
    (b)電極部材は上記キャビティ内に配置された頭部と上記キャビティから上記開口部を介して延出した軸を有し、上記頭部は熱容量と上記第1の電気的接触面と対向する実質的に平坦な第2の電気的接触面を有し、
    (c)ウェーハはバリスタ材料で形成され、実質的に平坦で第1及び第2の対向するウェーハ面を有し、上記ウェーハは上記キャビティ内で上記第1及び第2の電気的接触面との間に配置され、上記第1及び第2のウェーハ面が上記第1及び第2の電気的接触面とそれぞれ係合するとともに、上記ウェーハは熱容量を有し、
    (d)端部キャップは上記開口部に配置されるとともに上記軸が貫通する孔を有し、
    (e)スプリング部材は上記端部キャップと上記頭部との間に介装されるとともに上記電極壁と頭部の少なくとも一つを上記ウェーハに対して付勢して上記第1及び第2のウェーハ面に荷重を加え、
    (f)上記頭部の熱容量と上記電極壁の熱容量の各々は上記ウェーハの熱容量より実質的に大きい、
    ことを特徴とする過電圧保護装置。
  33. (a)実質的に平坦な第1の電気的接触面を有する第1の電極部材と、
    (b)上記第1の電気的接触面と対向する実質的に平坦な第2の電気的接触面を有する第2の電極部材と、
    (c)バリスタ材料で形成され、実質的に平坦で第1及び第2の対向するウェーハ面を有するウェーハとを備え、
    上記ウェーハは上記第1及び第2の電気的接触面との間に配置され、上記第1及び第2のウェーハ面が上記第1及び第2の電気的接触面とそれぞれ係合し、
    (d)上記第1及び第2の接触面の少なくとも一つを上記ウェーハに対して付勢して上記第1及び第2のウェーハ面に荷重を加える皿型ワッシャを有する付勢手段と、
    を備えた過電圧保護装置。
  34. (a)実質的に平坦な第1の電気的接触面を有する第1の電極部材を用意し、
    (b)上記第1の電気的接触面と対向する実質的に平坦な第2の電気的接触面を有する第2の電極部材を用意し、
    (c)皿型ワッシャを有する付勢手段を用意し、
    (d)バリスタ材料で形成され、上記第1及び第2の電気的接触面との間に配置された実質的に平坦で第1及び第2の対向するウェーハ面を有するウェーハを、上記第1及び第2のウェーハ面が上記第1及び第2の電気的接触面とそれぞれ係合するように配置し、
    (e)上記付勢手段を付勢して上記第1及び第2の電気的接触面の間で上記第1及び第2のウェーハ面に対し荷重を加え、
    (f)過電圧発生時、荷重を維持する、
    ステップを有する過電圧保護装置の組立方法。
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