JP3818061B2 - 視覚障害者用情報処理装置ならびに触覚入出力装置 - Google Patents
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Description
技術分野
この発明は、レイアウト情報や階層構造を含んだ情報のレイアウトや階層構造を容易に認識しながらその情報を閲覧・修正したり、装置の動作状態を容易に認識しながら所定の機能を実行できる、視覚障害者用情報処理装置ならびにその装置に利用する触覚入出力装置に関する。
背景技術
視覚障害者のためにワードプロセッサにより作成した文書等をキートップなどの触覚ピンの配列で表現するとともに、そのキートップに接触することにより対応した文字を音声によって表示することで、レイアウトまで含めてテキストを確認できる技術として、特開平10−232600に示すものがある。(以下従来例Aと称する。)また、グラフィカルユーザーインターフェースを備えるシステムを視覚障害者が使用するための技術として、特開平10−69218に示すものがある。(以下従来Bと称する。)
ところが、上記した従来例には、下記に述べるような問題があった。
1.従来例Aでは、文章に含まれる文字数が多くなると、多数の表示ドット1aが必要となり、触覚入出力装置が高価で大型になるという問題あった。
2.表示ドット1aの操作は、対応した文字を音声で確認する操作しか行えないので、操作の態様に応じて閲覧する情報の種類を切換えるような使い方ができないという問題があった。
3.情報処理装置の機能は、画面に表示されるメニュー画面などで選択実行する。しかし、視覚障害者はその画面が見えないので、従来例Bでは、画面に出力されるウインドウや操作部品を複数の触覚ピン3を含む複数の触覚セル1を用いて表現している。しかし触覚セル1の配置は固定的であり、触覚セル1に対応している機能の親子関係などを表現できない。したがって階層的に構築されたプログラム機能の中から、利用者の所望の機能を選択して実行することはできないという問題があった。
4.従来の技術は、文字単位のレイアウト確認には有効であるが、文章全体のレイアウト構造をわかりやすく表示できないという問題がある。仮に表示ドット1aを小型で安価に製作できてすべての文字を表示したとしても、図11や図12に示す「時候の挨拶」「宛先」「本文」のように、文章を構成する適当なまとまりの構造とそれらのレイアウトを直感的に認識することができないし、必要に応じて下位の構造を展開して閲覧することもできない。したがって、文章を分かり易く閲覧することができないという問題があった。
5.視覚障害者が、自分の意志で必要な情報を選択して閲覧できるためには、図書館のように複数の文書が階層的に分類されている中から、所望の文章を適切に選択できる方法が提案されなければならない。また、文章の所望の部分を簡単に指定して、その詳細を閲覧する方法が提案されなけらばならない。しかしながら、従来例Aでは、1ないしは2の表示ドット1aに1つの文字を対応付けて複数行の文字列のレイアウトを確認できる技術が開示されているのみであり、従来例Bは、プログラムのウインドウの構造を表現するための技術が開示されているのみであり、上記の課題は達成されていない。
6.表示状況に応じてキートップの設定状態を変えると効果的な場合がある。例えばそのキートップを操作すると他のキートップに表示が展開可能であることを示したり、他のキートップに展開表示されているか否かを示すために、キートップの設定状態を変えると効果的である。しかしながら、従来例ではこれができない。
7.従来例Aでは、表を表示ドット1a表現する際に、文字と罫線を区別するために空白行を用いているが、この方式では多くの表示ドット1aが必要になるという問題があった。
8.従来例では、表示ドット1aや触覚ピン3の表示形態を確認しようと触るだけでテキストやウインドウ名称などの音声が発生するのでわずらわしいという問題があった。
9.従来例Aでは、文章の内容を修正するには、ワードプロセッサソフトで文章を編集し直す必要があり操作が煩雑である。触覚ディスプレイで閲覧している文章の修正箇所を指定して修正情報を簡単に入力する方法が求められているが従来例ではそれができない。
10.多数の触覚ピンで白黒写真をレリーフ状に表現するアイデアが従来から提案されているが、従来例Aのように比較的少ない表示ドット1aでは、写真の微細部分を表現するのは困難であるという問題があった。
11.従来例Bには、ウインドウ内の部品の階層構造を触覚セル1内の触覚ピン3により表示する技術が開示されているが、階層構造を有する情報を入力して触覚ディスプレイで表示するための情報処理方法が示されておらず達成方法が不明であるという問題があった。
12.従来例には、突出高さを独立して制御可能な表示ドット1aや触覚ピン3の具体的な構成が示されていないが、突出量を個別に駆動制御するためには、多数のアクチエータと複雑な機構が必要になり、コスト高で装置が大きくなるという問題があって、装置の普及の妨げになっている。
本発明は上記に掲げた従来の問題を解決できる、視覚障害者用情報処理装置及び触覚入出力装置を提供することを目的としている。
発明の開示
上記の技術課題を達成するために、本発明の請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置は、各別に設定された所定の領域における指先での触覚動作に基づく識別状態を2以上の状態に設定可能であるとともにその所定の領域への操作を検出可能に構成された行方向と列方向の2次元マトリックス状に配置された複数の触覚操作手段と、前記所定の領域における操作に基づき所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力する操作信号抽出手段と、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を複数のブロック単位情報で分割して記憶するとともに該ブロック単位情報と前記複数の触覚操作手段との対応関係を示す触覚操作手段対応関連情報を記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に所定の情報を設定する情報設定手段と、前記情報記憶手段の触覚操作手段対応関連情報を入力して前記触覚操作手段設定手段に触覚操作手段設定情報を供給する触覚操作手段設定情報供給手段と、触覚操作手段設定情報に基づき前記複数の触覚操作手段をそれぞれ所定の状態に設定する触覚操作手段設定手段と、音声関連情報を入力して音声を発生する音声発生手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段に対応したブロック単位情報を前記情報記憶手段から読み出して音声関連情報を抽出して前記音声発生手段に供給する音声関連情報供給手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段にもとづき前記情報記憶手段の内容を変更する情報変更手段とからなることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、2次元平面に展開可能な構造を有する情報を視覚障害者が閲覧する際に、情報をブロック単位情報に分割して記憶するとともに、触覚入出力装置の触覚操作手段にそれらのブロック単位情報を対応付け、操作に係る触覚操作手段に関連付けられたブロック単位情報を音声で表示することができるので、限られた数の触覚操作手段しか備えられない触覚入出力装置でその触覚操作手段の数よりはるかに多くの文字を含んだ情報でも、効果的に閲覧できるという優れた効果がある。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置において、1つ以上の前記ブロック単位情報は、表示に関する情報である表示情報と、その表示情報に関する属性情報である属性情報とを含むとともに、前記操作信号抽出手段は、表示情報を閲覧するための操作に基づく表示閲覧信号と、属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出するとともに、前記音声関連情報供給手段は、前記表示閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の表示情報に関連した音声を発生し、属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作された触覚操作手段に関連付けられているブロック単位情報の属性情報と表示情報を操作に対応して選択的に閲覧できるので、関心のある部分の属性情報を選択的に閲覧できる。したがって、いちいち全内容を閲覧しなくてもその情報の概要を効率よく閲覧できるという効果がある。特にその触覚操作手段が属するブロック単位情報に含まれる情報量として、ブロック単位情報に含まれる文字数や下位の階層に含まれるブロック単位情報の数を事前に把握するなどの応用が可能で、情報を効率的に閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報は複数の単位機能で構成される所定の装置の機能に関連する情報を含み、1つ以上の前記ブロック単位情報は、該単位機能の実行に関する単位機能情報と、単位機能の属性情報である属性情報とを含み、前記操作信号抽出手段は、単位機能を実行するための操作に基づく単位機能実行操作信号と属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出し、前記音声関連情報供給手段は属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生し、単位機能を実行する単位機能実行手段を備え、該単位機能実行手段は単位機能実行操作信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報に含まれる単位機能情報に基づいて単位機能を実行することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、所定の装置の階層的に分類された複数の単位機能の概要を閲覧しながら、所望の単位機能を適切に選択して実行させることができるという効果がある。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記ブロック単位情報は、1つのブロック単位情報が1つ以上の下位のブロック単位情報に関連付けられるように階層的に構成可能であるとともに、前記操作信号抽出手段は、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を展開する操作に基づく下位階層展開信号を抽出可能であるとともに、前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層のブロック単位情報が新しく触覚操作手段に対応されるように、少なくとも前記触覚操作手段対応関連情報を変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、所定の階層に属するブロック単位情報を選択して触覚操作手段に関連付けて表示できる。そのため、何階層にも及ぶ複雑な構造を有する情報も、認識しやすい表示形態の複数の画面で階層的に表示でき、複雑な情報も見通しよくわかりやすく閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段対応関連情報は、対応する階層に含まれる複数のブロック単位情報が表示ないしは印刷される際のレイアウトに対応して設定されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の位置が、その触覚操作手段に関連しているブロック単位情報の内容が記載ないしは印刷される場所を示すので、その情報に含まれるレイアウトを触覚操作手段の配置で直感的に把握できるという効果がある。
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段対応関連情報は、触覚操作手段の配列の一方向の並びにはデータの階層構造の深さ方向が対応付けられ、それに直行する方向の並びには同一の階層に含まれるブロック単位情報の列挙方向が対応付けられていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、図書館の図書分類のうに、閲覧すべき文書データが階層的に分類されている場合に、それらの階層構造を2次元的に表現できるので、所望の文章を簡単に分かりやすく選択できるという効果がある。
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を、操作された触覚操作手段以外の触覚操作手段に対応付けるように、前記触覚操作手段対応関連情報を変更するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、上位の階層の表示が維持されるので、新しく展開された階層の表示と、その上位の階層の表示の関係が理解しやすいという効果がある。
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項4から請求項7の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段が設定される識別状態は、少なくとも3以上の状態に設定可能であるとともに、少なくとも1つの識別状態は、所定の触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である旨またはすでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を示すために使用されることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、下位階層に対応付けられている触覚操作手段とそうでない触覚操作手段とを明確に識別できるという効果がある。
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、その触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である場合に、展開されていない状態と、すでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を別の識別状態に設定可能であることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、下位階層に展開されていることを前提としてその触覚操作手段を使用する場合に、すでに展開されているかそうでないかを、その触覚操作手段の設定状態によって示すことができるという効果がある。
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は複数の群に分類されるとともに、前記音声関連情報供給手段は、属性情報に関連した音声を発生する際に、操作された触覚操作手段が属するグループとそれ以外のグループとを識別するために各ブロック単位情報に割り当てられた領域識別音を出力することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、各ブロック単位情報が属する群が占めるレイアウト上の領域を、属性情報を聞くだけで正確に把握できるという効果がある。
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段設定手段は、設定動作状況を音声で認識可能なように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の設定動作中を聴覚で確認できるので、表示が正しくない状態の際に表示を誤認したり誤操作しないように、警告が行えるという効果がある。
また、本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、所定の基準平面からの操作部の突出高さの状態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚により直感的にその設定状態を識別できるし、設定状態を区別させるために高さ方向への変化で実現できるので、平面方向に見て少ないスペースで多数の設定状態を表現できるとという効果がある。
また、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に設定された操作部への押下操作に基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段を複数の設定状態に設定するために機械的な可動部材を必要とせず、単なるプッシュスイッチで構成でき、用途によっては安価な装置を製造できるという効果がある。
また、本発明の請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、各別に設定された所定の領域に触れる指先に振動を伝達可能な振動手段を備え、前記触覚操作手段は、該振動手段の振動態様により複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、識別状態を振動の態様で表現できるため、多数の触覚操作手段を備える装置を安価に製造できる可能性があるという効果がある。
また、本発明の請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に指先が接近したことを検出する指先検出手段を含み、前記振動手段は、該記指先検出手段が指先の接近を検出することに基づき前記振動動作を行うことを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段毎に振動手段を配設させた場合には振動させる必要がある振動手段を少なくできるので消費電力が少なく振動に伴う騒音が少ないという効果がある。また、複数の触覚操作手段を共通に振動させる振動手段を設け、触覚している触覚操作手段に設定されている識別状態に対応した振動態様で駆動させる構成を採用することで、少ない振動手段で構成することが可能になるという効果がある。
また、本発明の請求項16に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に配設された触覚で認知可能な突起などの触覚部と、該触覚部の近傍に指先が接近したことを検出する指先検出手段とを含み、該記指先検出手段が指先の近接を検出することに基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の触覚動作に基づく発音により設定されている識別状態を識別でき、機械的な可動部材を必要とせず、安価な装置を製造できるという効果がある。
また、本発明の請求項17に記載の発明は、請求項1から請求項16の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の押下操作を検出するように構成されていることを特徴としている。
このように構成したことにより、触覚操作手段の設定状態を確認するための触覚操作だけで対応付けられた情報に関する音声が再生されてしまうという不都合がないので、レイアウトの確認に集中できる上に、触覚して確認できた触覚操作手段から指を離さなくてもそのまま押すだけで操作を入力できるので使いやすいという効果がある。
また、本発明の請求項18に記載の発明は、請求項1から請求項17の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、操作された触覚操作手段の位置に応じて、複数の触覚操作手段の設定動作の順序を変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作された触覚操作手段の設定変更を後回しにして、触覚操作手段の設定動作に影響を与える不安定な状態をやりすごすことができるという効果がある。
また、本発明の請求項19に記載の発明は、請求項1から請求項18の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の存在を検出する指先検出手段を含み、該領域外に設定された領域での補助入力操作を検出する補助操作手段が設けられ、前記操作信号抽出手段は、指先検出手段の検出結果と補助操作手段からの補助入力操作に基づき、所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、複数の操作態様を検出するための検出装置が触覚操作手段毎に必要なくなり、装置を簡潔に構成できるという効果がある。
また、本発明の請求項20に記載の発明は、請求項1から請求項19の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、更新情報を入力する更新情報入力手段を備えるとともに、前記情報変更手段は、操作された触覚操作手段にもとづきその触覚操作手段に関連した前記情報記憶手段の記憶内容を該更新情報入力手段から入力した情報に基づき変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、修正したい部分を簡単に指示しながら、その内容を修正できるという効果がある。
また、本発明の請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記更新情報入力手段は、マイクから入力した音声信号からテキスト情報を抽出する音声入力手段を備えていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、修正する情報を音声で入力できるので、触覚入出力装置から手を離さずに情報が入力できて使いやすいという効果がある。
また、本発明の請求項22に記載の発明は、請求項1から請求項21の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、装置の使用時間情報を積算する使用時間積算手段を備え、積算時間情報に基づき装置の保守作業を指示する動作を起動することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、装置の外観を視覚で確認できない視覚障害者でも、装置の清掃など、適切なタイミングで保守作業が行えるという効果がある。
また、本発明の請求項23に記載の発明は、請求項1から請求項22の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記情報設定手段または前記情報変更手段は、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を入力する情報入力手段と、入力した情報に含まれる構造記述子に基づき情報を複数のグループに分割するグループ分割手段と、前記複数のグループ間に親子関係がある場合にその階層構造を抽出する階層構造抽出手段と、前記グループに含まれる情報が表示または印刷の際に領域を占める場合にその領域に関する情報を求めるグループ領域抽出手段と、グループ領域抽出手段と前記階層構造抽出手段の抽出結果に基づいて、前記複数のグループといずれかの階層の表示状態で使われる少なくとも1以上の触覚操作手段との対応関係を設定するマッピング手段とを備え、前記グループに含まれる情報ならびに前記マッピング手段で設定された情報に基づき前記ブロック単位情報ならびに対応関連情報を設定することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、閲覧したい情報があらかじめ記憶手段にブロック単位情報として記憶されていなくても、必要に応じ、2次元平面に展開可能な構造に着目してグループに分割され、階層構造やグループの領域情報を考慮しながらマッピング手段が触覚操作手段に関連付け、ブロック単位情報が設定されるので、すでに外部に存在する2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を効率よく閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項24に記載の触覚入出力装置は、1つの駆動モーターで複数の昇降式キートップを選択的に駆動するために駆動力の伝達経路の途中に機械的なクラッチ機構を含めるような構成を含む触覚入出力装置において、フレームと、モーター取り付けフレームと、前記モーター取り付けフレームに固定された複数の駆動モーターと、駆動モーター制御手段と、前記駆動モーターの出力軸に取り付けられた駆動力出力部と、操作入力部を有した昇降式キートップ、前記駆動力出力部と連結して駆動力を入力し前記昇降式キートップを昇降させる昇降式キートップ昇降手段、昇降式キートップを触覚する指先の押下操作を検出する操作検出手段で構成され、前記駆動モーター1つに対してそれぞれ複数フレームに配置されたキーユニットと、前記フレームと前記モーター取り付けフレームとを回転を伴わない平行方向に相対的に駆動して、前記駆動モーターに対応してフレームに配置された複数のキーユニットの中の任意のキーユニットの昇降式キートップ昇降手段に、該駆動モーターの駆動力出力部を連結させる位置決め駆動手段と、から構成されていることを特徴としている。
このように構成したことにより、位置決め駆動手段が、フレームとモーター取り付けフレームとを相対的に移動駆動して、複数の駆動モーターそれぞれに対応した複数のキーユニットの任意のキーユニットのキートップ昇降手段に駆動モーターの駆動力出力部を連結させるので、キーユトップの数より少ない数の駆動モーターで装置に備わる任意の位置のキートップを昇降制御できるという効果がある上、従来の装置のように駆動力を伝達するのにラックのような中間部材を必要とせず、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、位置決め駆動手段は、モーター取り付けフレームをフレームに対して相対的に移動させる機構のみで実現できるので、従来のように列毎に配置させたクラッチ機構を必要とせず、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、フレームとモーター取り付けフレームは、回転を伴わない平行方向に相対的に駆動されるので、複数の駆動モーターをモーター取り付けフレームへ適切な位置に固定しておけば、複数の駆動モーターにおける連結動作が、同時にかつ正確に行うことができるという効果がある。
また、本発明の請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の触覚入出力装置において、前記キーユニットは、対応した駆動モーターの駆動力出力部を中心とした四角形の頂点に配置されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、駆動力出力部が位置決め駆動手段の作用によりキートップ昇降手段に回転駆動力を直接伝達できるため、従来のように回転駆動力をラックなどで列方向に伝達する手段が不用であり、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、4つのキーユニットに1つの駆動モーターを必要とするだけであるとともにそれらがキーユニットの配置ピッチの倍のピッチで配置できるので、多少直径の大きい駆動モーターを使用しても、キーユニットの配置ピッチを狭くすることができ、特に縦横のピッチを等しくして正方形の頂点にキーユニットが配置される場合は、正方形の中心に駆動モーターを配置すると、一般に駆動モーターは円形なので、前後左右の隙間のバランスがよく駆動モーターを効率的に配置できるという効果がある。
また、本発明の請求項26に記載の発明は、請求項24または請求項25に記載の触覚入出力装置において、前記駆動モーターはパルスモーターであり、前記駆動力出力部は該駆動モーターの回転出力軸に固着された駆動歯車であり、前記昇降式キートップ昇降手段は該駆動歯車に噛合して回転駆動される被駆動歯車で構成され、前記キーユニットは、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車が正常に噛合する第1の取り付け状態と、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車の歯先の当接を吸収するためにフレームに対して変位した第2の取り付け状態との2つの状態を取り得るとともに、該第2の取り付け位置から弾性体の付勢力により該第1の取り付け位置へ復元させるように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、駆動力が歯車により同期伝達できるとともに、歯車の噛合が解除されているときに何らかの原因で被駆動歯車が盲動して被駆動歯車歯先どうしが当たる状況になっても、第2の取り付け位置に退避でき、かつ歯先どうしが当たらない状態になれば、弾性体により第1の取り付け位置に復帰されるので、歯先が破壊されないし、歯車の同期伝達が維持されるという効果がある。
また、本発明の請求項27に記載の発明は、請求項26に記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップは、その上部が前記フレームに形成されたガイド孔により上下方向に摺動可能にガイドされその下部は前記昇降式キートップ昇降手段に連結されるとともに、前記被駆動歯車の水平方向への退避動作に伴い該ガイド孔にガイドされた部分を中心に揺動するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、請求項26の構成を実現する上で、被駆動歯車がフレームに対して退避のために移動しても、昇降式キートップの上部を中心に僅かに揺動するだけで吸収でき、構成が簡潔にできるという効果がある。
また、本発明の請求項28に記載の発明は、請求項25から請求項27の何れかに記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップは上部に押下操作を入力する部分が形成され、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、ねじ結合またはカム接触により連結されて前記昇降式キートップ昇降手段の回転に伴い前記昇降式キートップが前記昇降式キートップ昇降手段に対して上下方向に昇降するように構成され、昇降式キートップ昇降手段の一部は、前記操作検出手段に接触して下側から支持され、前記昇降式キートップに入力された押下操作が昇降式キートップ昇降手段を介して操作検出手段により検出されるように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作検出手段は、昇降式キートップの昇降高さの基準を提供するとともに、昇降式キートップに入力された押下操作を検出する機能を提供できるという効果がある。
また、本発明の請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップ昇降手段は前記フレームに対して上方への移動を規制されているとともに、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、前記昇降式キートップが降下して昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さに達するのに伴い前記昇降式キートップ昇降手段の下面で前記操作検出手段と接触する部分で前記操作検出手段を押下する原点押下手段が突出するように構成され、該原点押下手段が前記操作検出手段を押下したことを検出することで前記昇降式キートップの昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さを検出するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作検出手段が昇降式キートップ昇降手段の作動に必要な基準位置を検出する手段を兼ねて、部品点数が減少し、装置の小型化が可能になるという効果がある。
また、本発明の請求項30に記載の発明は、請求項1から請求項23の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、少なくとも前記情報記憶手段に含まれる対応情報を含んだ情報であって、利用者の操作の履歴が反映された装置の状態を再現可能な状態情報を不揮発性の記憶手段に記憶する状態情報記憶手段と、記憶された状態情報を読み込んで装置の状態を再現する状態情報読込手段とを備えることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、情報を閲覧するために利用者が行った操作に基づいて変化した装置の状態を容易に再現できるという効果がある。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
図1は本発明のクレーム構成図であり、図2は本発明の視覚障害者用情報処理装置の構成を示すブロック構成図である。
図2において、触覚入出力装置100は、視覚障害者が触覚で情報のレイアウトを閲覧したり入力操作を行うための触覚入出力装置であり、信号ケーブル1aを介してパソコン200に接続されている。パソコン200は、内蔵する制御プログラムに基づき動作し、ワードプロセッサなどで作成された文章や表のデータを、交換可能な記録媒体であるフロッピーディスク(以下FDと称す。)から入力するとともに、後述する動作内容にしたがって所定の処理を行うように構成されている。情報は、インターネットのサーバーからモデム206を利用して入力してもよい。
また、音声合成回路208は音声を合成して、ヘッドフォン型のスピーカー300に出力する。このスピーカー300は、音場表現に優れた4チャンネルスピーカーであり、左前スピーカー300aと左後スピーカー300bが使用者の左耳に、右前スピーカー300cと右後スピーカー300dが使用者の右耳になるように配置されている。また、スピーカー300にはマイク400が取り付けられていて、信号線により音声入力回路209に接続されている。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例を説明する前に、本出願人により平成10年9月22日に日本国特許庁へ出願された、特願平10−268805(本出願の優先権主張に係る出願の一つである)に記載の触覚入出力装置(以下従来例と称する)の特徴と問題を簡単に説明する。
上記明細書の記載から明らかなように、従来例の特徴は、1個のパルスモーターにより列方向に直線的に駆動されるラックに沿って複数のキートップを配置し、任意のキートップのクラッチギアがラックに噛み合い可能にすることで、1つのパルスモーターで複数のキートップの高さ方向の駆動を可能にするとともに、複数のクラッチギアのラックへの噛み合いを、クラッチ板とソレノイドからなる切換機構で行っていることにある。
また、行方向にパルスモーター及びラックをそれぞれ複数配置し、同一の列に含まれるキートップに同時に切換機構が作用するようにクラッチ板を配置・構成することで、N行xM列の昇降式キートップを、N個のパルスモーターとM個のソレノイドの共同動作により、それぞれ独立的に駆動制御可能にしていることにある。
しかし残念ながら、従来例では1行毎に駆動力を伝達するためのラックが必要となる上、パルスモーターの駆動力を切換えるための機構が列数分必要になり、部品点数が多くなり、コスト高であるという問題があった。
また、従来例では、ラックの幅、クラッチギアの直径、切り換えのための間隔の合計寸法が、キーユニットの配置間隔を決定していたので、キーユニットを狭いピッチで配置するには、クラッチギアの直径を小さくし、ラックの幅を狭くする必要があった。しかしながら、クラッチギアの直径を小さくすると、駆動モータに必要なトルクが増大してモーターが大きくなるし、ラックの幅を狭くすると、列方向に長いラックの直線度が維持しにくいという問題がある。
また、クラッチ動作を確実に行うためには、ラックとクラッチギアの噛み合い位置は正確でなければならないが、従来例では、複数のラックや複数のクラッチギア、クラッチ板を、正確に位置決めして案内する必要があり、高い部品精度と組み付け精度が必要でありコスト高になるという問題がある。
従来例の特徴は、キートップの数が多いほど駆動モータを節約できる。しかし、キートップが比較的少ない場合はその利点よりも上述の欠点の方が顕著であった。
そこで発明人は、従来例に見られる問題点、すなわち、
1.部品点数が多くなりコスト高になるという問題点。
2.独立して案内駆動される部材が多いのでそれらの案内のための機構が複雑になり機械的なトラブルが発生する可能性が高く信頼性が低いという問題点。
3.昇降式キートップの配置ピッチを狭くしにくいという問題点。
4.高精度の部品と高い組み付け精度が必要であるという問題点。
を解決するために努力を重ね、下記に説明する触覚入出力装置を発明するに至った。
次に、図面に従って、触覚入出力装置の第1の実施例を説明する
図36は、触覚入出力装置の上面図である。図37は、図36のA−A断面図である。図38は、4つのキーグループを図37のA−A断面の上方から見た図である。図39は、4つのキーグループを図37のB−B断面の下方から見た図である。図40は、電子基板の4つのキーグループに対応する部分を図37のC−C断面の上方から見た図である。図41は、4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギアの位置関係を、図37のD−D断面の下方から見た図である。図42は、位置決め駆動手段の機構を示す図である。図43は、昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。図44から図48は、モーター取り付けフレームがそれぞれ、基準位置、左上位置、左下位置、右上位置、右下位置の際の4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギアの位置関係ならびに位置決め駆動手段の機構の位置関係を図37のD−D断面の下方から見た図である。図49は、操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
実施例では、図36に示すように64個の複数のキートップを8行x8列のマトリックス状に15mmピッチで配置している。そして、これらの複数のキートップはマトリックスの最小正方形を構成する4つのキートップで構成される複数のキーグループにグループ化されている。実施例では、行方向に4グループ、列方向に4グループ、合計16のキーグループの配列で構成されている。
フレーム2は、装置の基礎となる略平板状の部材であり、樹脂やアルミニウム、真鍮などの非磁性体で製作されていて、表面には図37に示すように、キートップの位置に対応して上面から下面に貫通するガイド孔3がそれぞれ形成されている。このガイド孔3は、フレームの上面から板厚中間部にかけて図38に示すように、平行幅w1、長さt1、半径r1=w1/2、深さD1からなる長孔Aが形成されていて、板厚中間部からフレーム下面にかけては図39に示すように、平行幅w2、長さt2、半径r2=w2/2、深さD2からなる長孔Bが形成されていて、長孔Aと長孔Bによりフレームの上面と下面に貫通するガイド孔3が形成され、後述する昇降ギア5と昇降ピン7が挿通される。
ここで、ガイド孔の長孔Aと長孔Bの長手方向は、そのガイド孔が属するキーグループにおける正方形中心(図38及び図39におけるX点)を中心として放射状に設定されている。フレームの下面には、図39に示すように、各キーグループに属する4つの長孔Bにそれぞれ交差する位置でX点を中心とする円周状の深さ1mmの溝4が形成されている。
昇降ギヤはボス部を有した平歯車であり、ガイド孔の長孔Bに昇降ギヤのボス部が挿通される。実施例の平歯車は、モジュール0.5mm、歯数24である。昇降ギヤの中心にはネジ穴6が形成されていて、図37に示すように上方から鉄などの磁性材料で製作された昇降ピンのネジ部がねじ込まれている。昇降ピンのネジ部長さは、昇降ギヤのボス上面から下面までの距離より1mm長く、昇降ピンをいっぱいねじ込むと、昇降ピンのネジ部先端7aが昇降ギヤの下面から1mm突出する。昇降ピンの頭部7bは、対辺幅がt1の六角形状をなし、図38に示すようにガイド孔の長孔Aの平行幅t1に嵌合して回転を規制されている。この昇降ギヤは、請求項24に記載の「昇降式キートップ昇降手段」に相当する。また、キートップと昇降ピンは同じく「昇降式キートップ」に相当する。
前記円周状の溝4の内部と昇降ギヤの歯部上面との隙間には、円環状のスプリング8が配置され、キーグループに属する4つの昇降ギヤのボス部に掛けられ、それぞれのボスを長孔Bの一方の側(点Xの方向)へ所定の力で付勢している。
フレームの下面には、電子基板11がスタッド9によりフレームに対向して平行に取り付けられている。図40に示すように、電子基板の上面には、複数のプッシュスイッチがその押下入力部の中心が昇降ギヤの中心と一致するような位置で、所定のプリント配線パターンにはんだ付けされている。図37に示すように、スタッドの高さはプッシュスイッチの非動作時の押下入力部の上面が昇降ギヤの下面に接するように設定されている。実施例では、プッシュスイッチの押下動作寸法は、0.5mmであるとする。
昇降ギヤはフレーム下面で上方への移動を規制されているので、昇降ピンが昇降ギヤにねじ込まれて昇降ギヤの下面から突出するとその突出にともないプッシュスイッチが押下され、0.5mm突出した位置でプッシュスイッチが作動する。以下この状態を、昇降ギヤの原点位置と称し、この際の昇降ピンの高さを、昇降ピンの基準位置と称する。
電子基板11には、所定のプリント配線パターンが形成され、パルスモーター駆動用の電子部品が配置され、パソコン200から制御されてパルスモーターが駆動される。この電子部品は外部の制御装置とともに機能して請求項24記載の「駆動モーター制御手段」を構成する。
電子基板11の下面には、絶縁シート13を挟んで、電子基板に平行に対向して、モーター取り付けフレーム14が配置されている。モーター取り付けフレーム14には、穴14aが形成されている。この穴を貫通してモーター取り付けフレーム支持軸10がフレームに取り付けられ、その先端部のE型止め輪15とモーター取り付けフレーム下面との間に、円錐圧縮ばね16が取り付けられ、モーター取り付けフレーム14を下側から支持してわずかな力で絶縁シートの方へ押圧するような所定の強さに設定されている。
またモーター取り付けフレーム支持軸10の下端面には、上面が開放した箱状の下カバー20がねじで固定され、フレーム2とともに箱状の装置形状をなしている。
モーター取り付けフレーム14の下面には、パルスモーター18が、4行x4列のマトリックス状に30mm間隔で、合計16個配置されている。それぞれのパルスモーターの回転出力軸18aは、モーター取り付けフレーム14及び電子基板11の逃がし穴を通過して電子基板11の上部へ突出し、ピニオンギア19が固着されている。実施例では、モジュール0.5mm、歯数12のギヤが使用されている。このピニオンギアの歯数は、パルスモーターを所定の励磁パターンで励磁した際に同じ歯車位相で停止するように、例えば24パルス/回転のパルスモーターを使用して、ピニオンギアの歯数を12歯とすると、パルスモーターの各コイルを順方向に励磁した基準励磁位置(ローターの停止位相は全周で6個所存在する)では、いつも同じ歯車位相となる。
パルスモーター18は、請求項24に記載の「駆動モーター」に相当し、ピニオンギア19は、請求項24に記載の「駆動力出力部」に相当する。
図41に示すように、パルスモーター18は、モーター取り付けフレーム14が基準位置に位置するときに、4つの昇降ギヤを頂点にした正方形の中心とピニオンギア19の中心が一致するように取り付けられ、昇降ギヤとピニオンギアの間に所定の隙間が確保されるようになっている。そして、モーター取り付けフレーム14を前後左右へ移動すると、図45から図48に示すように、ピニオンギアと4つの昇降ギヤのひとつの昇降ギヤとが噛合する。
次に、フレーム2とモーター取り付けフレーム14を相対的に移動駆動する位置決め駆動機構に付いて説明する。
図42に示すように、モーター取り付けフレーム14には、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22が取り付けられている。前後駆動用パルスモーター21の回転出力軸にはタイミングプーリ23が固定されていて、その上端部には回転軸とDYだけ偏心した位置に前後駆動軸24が形成され、フレームの下面に形成された横長の前後駆動溝2bに係合している。
左右駆動用パルスモーター22の回転出力軸には、左右駆動プーリ25が固定されていて、その上端部には回転軸とDXだけ偏心した位置に左右駆動軸26が形成され、フレームの下面に形成された縦長の左右駆動溝2cに係合している。
第2のタイミングプーリ30は、モーター取り付けフレーム14に立設されたプーリ軸28に回転自在に取り付けられ、タイミングベルト29がタイミングプーリ23と第2のタイミングプーリ30との間に張設される。
第2のタイミングプーリ30の上端部には、回転軸とDXだけ偏心した位置に第2の前後駆動軸31が形成され、フレームの下面に形成された横長の第2の前後駆動溝2dに係合する。
また、タイミングベルト29は、タイミングプーリ23及び第2のタイミングプーリ30の回転に伴い前後駆動軸24及び第2の前後駆動軸31により生じる前後方向の移動が同期して生じるように位相が調整されて張設されている。タイミングプーリ23と左右駆動プーリ25は、図示しない原点検出センサーに基づき原点位置へ位置付けされると、前後駆動軸24と左右駆動軸26が図44に示すような回転位置になるように取り付けられている。
以上のように、前後駆動溝2bならびに第2の前後駆動溝2dはともにガイド方向が平行な横長の溝なのでモーター取り付けフレーム14を左右方向へ回転を伴わずに平行にガイドするとともに前後方向の位置を規制する。また、左右駆動溝2cは縦長の溝なのでモーター取り付けフレーム14の前後方向の移動を許容しながら左右方向の位置を規制している。
従って、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を適当に駆動すると、モーター取り付けフレーム14をフレーム2に対して回転移動を伴わない平行移動させることができる。
ここで、DX及びDYを、ピニオンギア19と昇降ギア5を噛み合わせるのに必要な寸法に設定すれば、複数のパルスモーター18のピニオンギア19は、キーグループに属する4つのキーユニットの昇降ギア5に選択的に噛合させることができる。
このように、モーター取り付けフレーム14はフレーム2に対して回転移動を伴わずに前後左右に平行に移動駆動されるので、それぞれのパルスモーター18のピニオンギア19と昇降ギア5の噛合動作が、同時にかつ正確に行えるという作用があり、従来のように複数の案内機構を必要とせず、部品数が少なく、安価であるという優れた効果がある。
また、噛合の際にピニオンギア19と昇降ギア5の歯先が干渉しても、昇降ギア5のボス部が円環状のスプリング8に抗して長孔Bに沿って退避するので、歯車の歯先が破壊されることはない。また、ピニオンギア19の回転に伴い歯先の干渉が解除され、歯が噛合可能になるとスプリング8の作用で元の位置に復帰するので、噛合が不能になることもない。
次に、操作パネル32に付いて説明する。操作パネル32は、樹脂やアルミニウム、真鍮などの非磁性材料で製作され、フレーム2の上面に着脱可能に装着される平面状のパネル部材であり、表面にはキーユニットの配置位置に対応した位置に複数の貫通穴32aが形成れ、キートップ1がそれぞれ挿通されている。
キートップ1の内部には磁石33が埋め込まれている。昇降ピン7は鉄なので、誤って使用者が装置をひっくり返しても、キートップ1は昇降ピン7に吸着されて落下・散乱しないという作用がある。
操作パネル32の上面には、紙などの汚れ防止シートが貼付されていて、汚れたら交換できる。従って、いつもさらさらの触感が確保されるので、使用感が向上する。
次に、上記のように構成された触覚入出力装置の初期化動作に付いて説明する。
まず、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を原点位置へ駆動すると、モーター取り付けフレーム14はフレーム2に対して図44に示す基準位置に位置決めされる。次に、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を回転駆動させ図45に示す状態にする。すると複数のパルスモーター18のピニオンギア19が、それぞれ対応するキーグループの図中左上の昇降ギア5と噛み合う。
次に、パルスモーター18を駆動して昇降ギア5を回転させ、昇降ピン7が下降してプッシュスイッチ12を作動させて基準位置を検出したら、所定の角度逆方向に駆動して図43に示す平面位置にする。
この動作を、図45〜図48に示す噛み合い位置において同様に実施し、すべてのキーユニットを平面位置にする。部品の寸法誤差や使用者の感覚の違いにより、キートップ1が操作パネル2の上面と同じ高さに感じない場合は、後述する制御プログラムにより所定の補正値を設定して記録し、その値に応じて補正駆動すればよい。
次に、キーユニットのキートップ1を突出させる動作に付いて説明する。
まず初期化動作と同様に、図45に示す位置にモータ取り付けフレーム14を位置決めする。そして、パルスモーター18と噛合しているキーユニットで、突出させるキートップ1をそれぞれ所定の高さに突出させる。この動作を、図46〜図48に示す位置について実施する。
このように、パルスモータ18の回転駆動力を切換える動作を4回行うだけで、すべてのキーユニットを任意の位置に設定できる。
この際、何回に一回は、昇降ピンを基準位置へ移動し、噛み合いに伴う歯の位置ずれを解消させて位置ずれが累積しないようにするのが望ましい。
すべてのキートップ1が所定の高さに設定されると、使用者は、キートップ1の突出状態を触覚認知しながらキートップ1の上面を押下すると、昇降ギア5を介してプッシュスイッチ12が操作されてキー操作が入力できる。
次に、本発明の操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて図49を参照しながら説明する。フレーム2には、平行幅w1、長さt1、半径r1=w1/2、からなる長孔35がフレームの板厚の全体にかけて貫通形成されている。昇降ピン34の下部には、昇降ギア5のねじ穴に結合するねじ部を有し、上部には、鍔部34aと縦リブ34bが形成されたキートップ部34cを有している。
操作パネル32の貫通穴32aは、キートップ部34cと若干の隙間を持って挿入されるように縦リブ34bが嵌まる凹部を有し、昇降ピン34の回転を規制している。キートップ部34cは貫通穴32aにより上下方向に摺動ガイドされるとともに、昇降ギア5の退避動作にともなう昇降ピン34の揺動を許容するようになっている。
また、昇降ギア5の回転に伴い昇降ピン34が上昇すると、昇降ピン34の鍔部34aが操作パネル32の下面に当接し、昇降ピン34の上昇を規制する。さらに昇降ギア5が回転駆動されると、昇降ギア5が下方向に移動し、昇降ギア5の下面がプッシュスイッチ12の押下入力部の上面を押し、スイッチがONになり、昇降ピン34の高さ基準を検出できる。
なお、昇降機構を採用せず、操作平面から突出したキートップへの押下操作を検出するスイッチのみで構成し、所定のキートップが押下されたのに基づき、そのキートップに対応付けられた識別状態に応じた音声を出力することで、複数の識別状態を構成してもよい。その場合操作の入力は、補助入力スイッチを利用するなどの配慮が必要である。これは、請求項13に記載された発明に相当する。
次に図面にしたがって、請求項16、請求項19にそれぞれ対応した、触覚入出力装置の第2の実施例を説明する。
図50は触覚入出力装置の第2の実施例の構成を示す図であり、図51はワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図50に示した触覚入出力装置は、タッチパネル150とワンチップマイコン153を備え、タッチパネルの表面に触れる指先の押圧位置を検出してワンチップマイコン153へ出力されるようになっている。タッチパネル150は広く周知であるので詳細な説明は省略する。
タッチパネル150の表面には、所定の間隔で複数の凸状の突起151が形成され、指先で触ることでタッチパネル150の表面における位置を識別できるようになっている。凸状の突起151は、請求項16に記載の「触覚部」に相当する。
タッチパネル150の突起151を指先で触れると、指先の位置が検出されるので、利用者がどの突起151を触っているか検出できる。この構成と機能は、請求項16ならびに請求項19に記載の「指先検出手段」に相当する。
また、タッチパネル150の近傍には、操作信号を入力する際に同時に操作されるシフトスイッチ157及び第2のシフトスイッチ158が備わっている。シフトスイッチ157ならびに第2のシフトスイッチ158は、請求項19に記載の「補助操作手段」に相当する。
また、ワンチップマイコン153に内蔵されたROM154には、図51に示すフローチャートに基づき動作する制御プログラムが記憶されている。
まず、S300で、触覚操作手段設定情報供給手段から供給された触覚操作手段の設定情報が、パソコンのI/Oポートからワンチップマイコンに入力され、RAM155に記憶される。次にS301において、指先検出手段からの信号を入力して指先が接近した触覚操作手段の位置を判別し、続くS302においてその触覚操作手段の設定情報に応じてブザー156から所定の音声を出力させる。
次に、シフトスイッチ157を押しながら特定の突起151を触るか、特定の突起151を触りながらシフトスイッチ157を押すと、S303においてクリック動作を示す操作が検出され、クリック動作を示す操作信号がパソコン200へ出力される。
一方、特定の突起151を触りながら第2のシフトスイッチ158を押すと、S303でダブルクリック動作を示す操作が検出され、ダブルクリック動作を示す操作信号がパソコン200に出力される。次に処理はS300へ戻る。
上記のように構成された触覚入出力装置は、パルスモーターや駆動機構が不要であるので、装置が安価に製作できるという利点がある。
次に図面にしたがって、請求項14、請求項15にそれぞれ対応した、触覚入出力装置の第3の実施例を説明する。
図52は、第3の実施例の構成を示す図であり、図53は触覚操作手段を構成する振動ピン161の構成を示す断面図である。また図54はワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
この触覚入出力装置も、第2の実施例と同様に、タッチパネル150とワンチップマイコン153を備えていて、タッチパネル150は操作平面159の上面に取り付けられている。
また、操作信号を入力するためのシフトスイッチ157と第2のシフトスイッチ158が、タッチパネル150の近傍に配設されている。
タッチパネル150と操作平面159を貫く貫通穴160が、8x8のマトリックス状に所定の間隔で複数形成されていて、振動ピン161がそれぞれ挿通されている。振動ピン161は磁性体にメッキが施された棒状の部材であり、上部は指先に振動を伝える部分が形成され、胴部は貫通穴160により上下方向に案内され、胴部の中央部に固定された板バネ162により基板163に対して所定の高さの位置に支持され、胴部の下部は後述するコイル体164により駆動されるように磁化されている。
基板163は、操作平面159の下部に平行に取り付けられていて、振動ピン161に対応した位置にはコイル体164が取り付けられている。コイル体164はボビン165と巻線166から構成され、ボビン165の内部には振動ピン161の着磁された胴部下部が挿通され、図示しない駆動回路により巻線へ交流電流を通電することで振動ピン161を振動駆動できる構成となっている。
なお、実施例では振動ピン161毎にコイル体164を配設しているが、振動ピン161を操作平面159の下部で複数連結してバイブレータなどで全体を振動させる構成にしてもよい。
その場合は、下記に示す指先検出手段で指先が触覚している振動ピン161が振動させるべき振動ピンであった場合はバイブレータを振動させ、振動させる必要のない振動ピン161であった場合はバイブレータを振動させない。このような構成においても、触覚する指先が1つの振動ピン161のみを触覚している限り、その指先で触覚する振動ピン161に設定された識別状態を振動により正しく認識できる。
この原理をさらに応用すれば、タッチパネル150の表面に所定の間隔で複数の凸状の突起151を形成するとともに、タッチパネル150全体をバイブレータで振動させる構成であってもよい。すなわち、指先検出手段で指先が触覚している突起151が振動で識別されるべき突起であった場合はバイブレータを振動させ、識別させる必要のない突起であった場合はバイブレータを振動させない。凸状の突起を触覚している時にタッチパネル150全体がバイブレータにより振動されれば、その指先に触れる凸状の突起を介して、指先はその振動状態を認知できるからである。
上記に例をあげた、指先に振動を伝達可能な構成はいずれも、請求項14に記載の「振動手段」に相当する。また、振動ピン161を触れている指先の位置はタッチパネル150により検出されるので、利用者がどの振動ピン161を触っているか検出できる。この構成と機能は、請求項15に記載の「指先検出手段」に相当する。
また、ワンチップマイコン153に内蔵されたROM154には図54に示したフローチャートに基づき動作する制御プログラムが記憶されている。
まず、S700では、触覚操作手段設定情報供給手段から供給された触覚操作手段の設定情報が、パソコンのI/Oポート207からワンチップマイコン153に入力されて、ワンチップマイコン153の内蔵のRAM155に記憶される。次にS701において、指先検出手段からの信号を検出して指先が接近した振動ピン161(ないしは突起151)を判別し、続くS702においてその振動ピン(ないしは突起)の設定情報に応じて駆動回路によってコイル体(ないしはバイブレータ)を駆動して振動させる。
利用者は、特定の振動ピン161(ないしは突起)を触りながらシフトスイッチ157ないしは第2のシフトスイッチ158を押すと、S703においてクリック動作ないしはダブルクリック動作を示す操作が検出され、クリック動作ないしはダブルクリック動作を示す操作信号がパソコン200へ出力され、その後に、S700へ戻るようになっている。
上記のように、触覚入出力装置に備わるすべての振動ピン161を設定状況に応じて駆動するのではなく、指先が位置している振動ピン161のみを駆動するようにしたので、触覚されていない振動ピン161を駆動するための電力を節約でき、電源回路などが小型にできるという効果がある。また、振動ピン161の振動に伴う騒音を必要最小限にできるという効果がある。
なお、タッチパネル上の複数の指先の位置を独立して検出できるタッチパネルを使用するとともに、検出された複数の指先の位置する振動ピン161をそれぞれ駆動ようにすると使いやすいのは言うまでもない。
次に、パソコン200について図面に基づき説明する。パソコン200は、いわゆるパーソナルコンピュータであり、今や広く周知な装置であるので詳細な説明は省略するが、本実施例で使用するパソコン200には、CPU201、メモリ202、FDD203、HDD204、CD−ROMドライブ205(以下CDDと称す)、モデム206、I/Oポート207、音声合成回路208、音声入力回路209、ビデオカード210、を備えていて、制御バス212を介して電気的に接続されている。また、装置の使用が不慣れな視覚障害者に使い方などを指導する指導者(晴眼者である)が装置の動作状況を画面で確認できて適切に指導が行えるように、装置の使用方法などを表示するために、CRT211を使用する場合もある。
CPU201の動作は、HDD204に記憶されている制御プログラムによって定義されていて、CPU201はHDD204のプログラムをメモリ202に適当にロードして、これを実行するようになっていて、HDD204に記憶されたデータや、CDDに挿入されたCD−ROMの中に記載されているデータや、モデム206を介して接続されるインターネットのデータ提供サーバ(図示しない)から提供されるデータを読み込み、メモリ202や場合によってはHDD204に記録して処理を行うようになっている。
また、音声合成回路208は、CPU201により所定の情報を設定すると、音声信号をデジタル合成するとともに、接続されたスピーカー300から所定の音を発生させる。また、音声入力回路209は、マイク400から入力した音声信号を入力するとともに音声解析を行い、音声に含まれている情報を文字情報として出力する。これらのパソコン200の構成要素は、ともに現在では周知な技術であるとともに、本発明の本質には関係が無いのでその詳細な説明は省略する。
ここで、音声合成回路208は、いわゆる4チャンネルステレオの回路構成になっていて、CPU201から設定された音に関する情報の中には、左前スピーカー,左後スピーカ、右前スピーカー、右後スピーカーそれぞれに対する音の設定値が含まれていて、これらの設定値を変化させることで、音の発生している場所が変化しているように聞くことができる。
なお、視覚障害者にとって、聴覚は大変大切な残存能力であるので、この音声合成回路208には、あらかじめ設定された音圧以上の音がスピーカーから発生しないように、回路に多重の安全回路、例えば、電流制限回路などが組み込まれていて、CPU201の誤動作やプログラムのバグ、データの不良、電子部品の劣化その他により、異常に高い音圧がスピーカーから発生して使用者の聴覚に障害を与える事故が起きないようになっている。
次に、図面に基づき本実施例の説明で使用するデータファイルに付いて説明する。これらのデータは、パソコン200のOSが提供するファイルシステムの機能によって所定のファイル名が付けられてFDやHDD204、CD−ROMに読み出し可能に記録されているほか、電話回線に接続したモデム206を経由して、ネットワークに存在するデータサーバ(図示せず)からダウンロードしたものであってもよいし、パソコンの動作に伴って生成される各種動作状態を表すデータであってもよい。
一般的に、2次元的に展開可能な構造を持つデータのフォーマットは、画像データや表データ、レイアウト情報を含んだワープロデータ、インターネットホームページのHTMLフォーマットのデータ、階層構造をあらわすデータなど、さまざまなフォーマットのデータが存在するが、その内容に付いて逐一説明するのは本発明の本質を説明する趣旨から外れるので、本実施例では本発明の趣旨を説明するのに必要かつ十分な範囲で簡潔なフォーマット形式を規定し、そのフォーマットに従った具体的なデータを提示してそれに基づき以下の説明を行うこととする。
なお、当然ながら、本発明の範囲はこの実施例で示したフォーマットに係る2次元的に展開可能な構造を持つ情報への適用に限定されることはなく、前記のように広く利用されているデータのフォーマット毎に適宜アルゴリズムを適用すれば、本発明を適用してその効果と目的を達成できることは言うまでもない。そこで、本実施例の説明の前半では、使用者であり視覚障害者でもある特許一筋君が、すでに所持している多数の文書データの中から恩師のガンバ発明先生へあてた手紙を選択してその内容を閲覧して確認した後に、日付を入力し忘れたことに気づき、新しく日付を入力するという動作を想定して説明する。
また、本実施例の説明の後半では、特許一筋君が、触覚入出力装置を利用してインターネットにアクセスし、ガンバ先生のホームページを閲覧するという動作を想定して説明する。
図3から図7、及び図63は、本発明の実施例で表示される情報の例を示すデータ構成図であり、特に図3は閲覧する文章の階層的な管理構造を記録したデータ(以下文書管理データと称する。)を示す図であり、また図4は、管理データに記載されている「手紙」という名前のデータ(以下文書データと称する。物理的なファイル名は、”c:¥tegami.dat”である。)の編集作業終了後のデータを示す図である。また、図5は「手紙」の中に記載がある「スナップ」という名前のデータ(同様に”c:¥picture.dat”)であり、図6はそのイメージデータの元になった画像データ(同様に”c:¥picture.bmp”)を示す図である。また、図7は同様に「手紙」の中に記載がある「実験結果の表」という名前のデータ(同様に”c:¥result.dat”)を示す図である。また図63は、図55に示すパソコンの機能に関する情報に対応したデータであり、下記に示すプログラムでは、文書管理データとして扱われうる。
図からわかるように、管理データや文書データは、「<(大なり記号)」と「>(小なり記号)」でフォーマット記述子を囲んだ構造の「タグ」と呼ばれる情報と、それ以外の文字情報とから構成されている。参考に、本実施例で説明するデータに含まれるタグの定義を図8及び図9に示す。ここで、タグは、所定のフォーマット記述子である「開始記述子」と、開始記述子のフォーマット記述子の先頭に「/」文字を追加した「終了記述子」の対で構成される「ペアタグ」と、単に開始記述子だけの「シングルタグ」の2種類がある。
例えば図3に示した「特許君蔵書」の文書管理データで見ると、構造表示部分指定タグ(<TEXTFORM>〜</TEXTFORM>)により、2行目から36行目に記載されている情報がこの文書管理データの構造表示部分であることが示されている。また、2行目のルートタダ(<ROOT”特許君蔵書”>)により、この文書管理データが「特許君蔵書」をルートとする階層構造であることが示されている。また、3行目から20行目に記載されているディレクトリタグ(<DIRname,parent>)により、「name」で示される名前の階層は「parent」で示される名前の階層の下位の階層であることが示されている。
例えば「parent」が「特許君蔵書」であるタグ(合計3つある)により、この管理構造の最上位の概念である「特許君蔵書」のすぐ直下の階層は、1.研究関係、2.ボランティア、3.レシピ、の3つの名前のディレクトリにより構成されていることが示されている。同様に、他のディレクトリタグについても、その親ディレクトリの名前が「parent」により指示されている。
こうして構造表示部分のディレクトリタグの情報により、「特許君蔵書」をルートとするディレクトリの階層構造が表現され、具体的には図10に示されるものになる。
文章データに関しても同様にして、例えば図4に示した「手紙」の文書データで見ると、構造表示部分指定タグにより、2行目から44行目に記載されている情報がこの文書データの構造表示部分であることが示されている。また同様に2行目に記載されているページタグ(<PAGE”手紙”,”36”,”64”>)により、この文章データが「横36文字x縦64文字で作成されている「手紙」という名前の文章であることが示されている。また、3行目から20行目に記載されているフィールドタグにより、各フィールドの情報が手紙の上で占める領域(フィールド領域と称す。)を文字単位で表記した文字領域が示されている。また、各フィールドタグの「parent」のパラメータにより、フィールドは相対的な上下関係を結びながら階層的に指示されている。例えば「parent」が「手紙」であるタグ(合計7つある)では、この文章の最上位の概念である「手紙」のすぐ直下の階層に含まれるフィールドが示されていて、1.日付、2.受取人、3.差出人、4.時候の挨拶、5.本文、6.結文、7.追伸、の7つの名前のフィールドにより構成されていることが示されている。同様に、他のフィールドタグについても、その親フィールドの名前が「parent」に設定されるとともに、親フィールドの文字領域における原点位置を基準としてそのフィールドの文字領域の左上の位置が指示されている。
このようにして、構造表示部分のフィールドタグの情報により、この手紙のレイアウトとフィールドの階層構造が表現され、具体的に本実施例の「手紙」のフィールドは図11及び図12に示されるものになる。
また、キートップ数タグ(<INDEXFORM A,B>〜</INDEXFORM>)により、タグの間のインデックスタグ(<INDEX name,x,y,x1,y1,x2,y2>)は、A列xB行の触覚入出力装置用の情報であることが指定されるとともに、そのインデックスタグにより、「name」で示された名前のフィールドないしはディレクトリに対応する代表のキートップ位置(x,yによる。)以下インデックスポイントと称す。)と、矩形の領域(x1,x2,y1,y2による)(以下インデックス領域と称す)が指示される。本実施例では、8列x8行の触覚入出力装置用と16列x16行の触覚入出力装置用の値が指示されている。
なおフィールドに対するインデックスタグのX,Y,x1,x2,y1,y2の値は、インデックスタグの「parent」に示された名前のフィールドの文字領域を所定の触覚入出力装置のキートップの範囲に展開した状態における対応するキートップの位置が指定されている。またディレクトリに対するインデックスタグのX,Y,x1,x2,y1,y2の値は、X=x1=x2及びY=y1=y1であり、Xはルートからの階層の深さ、Yは同一階層内の列挙方向の順位が示されている。
このように指示された構造表示部分のインデックスタグの情報は、後述する制御プログラムの動作により参照され、ディレクトリ構造やレイアウトをキートップ1の配置で表現するための基本情報になる。キートップによりどのように表現されるかに付いては、後ほど詳しく説明する。
次に各データにおいては、内容表示部分指定タグ(<CONTENT>〜</CONTENT>)により内容表示部分が指定されていて、構造表示部分で指示されたフィールドの「name」で指示した名前に対応してその内容が指示されている。例えば「手紙」の「受取人住所」という名前のフィールドに対応する内容は、テキストタグ(<TEXT”受取人住所”>〜</TEXT>)により指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより音声合成されて出力されることになる「東京都発明村21番地」というテキストデータが指示されている。
また例えば「手紙」の14行目の「実験結果の表」というフィールドに対する内容は、リンクタグ(<LINK”実験結果の表”,”c:¥result.dat”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより新しく閲覧することになる「c:¥result.dat」という文書データのファイル名が指示されている。また例えば「手紙」の20行目の「スナップ」というフィールドに対する内容は、イメージデータタグ(<IMAGE”スナップ”,”c:¥picture.dat”,”c:¥picture.gif”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより新しく閲覧することになる「c:¥picture.dat」という文書データのファイル名と、画像表示装置で参考のために出力される「c:¥picture.bmp」という画像データのファイル名が指示されている。
また例えば「手紙」の19行目の「美声?」というフィールドに対する内容は、サウンドデータタグ(<SOUND”美声?”,”c:¥sound.wav”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより音声情報として演奏されることになる「c:¥sound.wav」というサウンドファイル(.wav形式のデータは、標準的なサウンドフォーマットのデータである。)が指示されている。また例えば「パソコン機能」の8行目の「電話番号」というディレクトリに対する内容は、33行目においてコマンドタグ(<CMD”電話番号”,”SetTelNo.bat”>)で支持されていて、具体的には指定されているファイルに記載されているデータに従って所定の単位機能(ここでは、電話番号をマイクから入力して設定する。)が実行される。
以上説明したフィールドやディレクトリという単位で分割された情報は、請求項1記載の「ブロック単位情報」に相当するものである。
次に、図13を参考に、メモリ202に設定された記憶領域について説明する。「KEY−X」「KEY−Y」は、使用する触覚入出力装置のキートップ1の列数と行数を記録する記憶領域である。「Mode」は、現在の動作モードを記憶する記憶領域である。「KeyName(X、Y)」は、X列Y行のキートップ1に対応付けられたフィールドの名前を記憶する記憶領域であり、「KeyMode(X、Y)」は、X列Y行のキートップ1の突出高さの設定情報を記憶する記憶領域である。これらKeyName(X,Y)とKeyMode(X,Y)に記憶される情報は、請求項1記載の「前記ブロック単位情報と前記複数の触覚操作手段との対応関係を示す触覚操作手段対応関連情報」に相当するものである。
また、「ClickMode」はキートップの操作状態を記憶する記憶領域、「Push−X」「Push−Y」は、押されたキートップの列と行をそれぞれ記憶する記憶領域である。また「Command」は音声により入力されたコマンドデータを記憶する記憶領域である。また、「TopType」は、触覚入出力装置で表示しているデータが後述する文書管理データであるか、文書データであるか、を記憶する記憶領域であり、「RootName」は文書管理データである場合の、管理データのルートの名前を記憶する記憶領域である。また「TopName」は現在表示されているデータの名前を記憶する記憶領域である。また「Family」は管理文書データを表示する際に、現在表示されているデータと上位方向に親子関係にあるディレクトリの名前を記憶する記憶領域である。「NewName」「NewX」「NewY」「NewX1」「NewY1」「NewX2」「NewY2」はともに、サブルーチン「NewIndex」で使用されるデータを記憶する記憶領域であり、詳細は後述する。
次に、図14と図16に記載したフローチャートにより本発明の実施例のメインルーチンについての説明を行う。まず、ステップS1(以下単純にS1などと称す。)で、パソコン200に電源が投入されると、所定の初期化が行われた後に、制御プログラムがメモリ202にロードされ、制御プログラムの動作が開始し、まずディップスイッチ106の設定状態が読み込まれ、使用する触覚入出力装置の仕様を判別して、キートップ1の個数を縦と横でそれぞれ「KEY−X」「KEY−Y」に記憶する。実施例では、縦8行x横8列の触覚入出力装置が使用されているので、KEY−X=8、KEY−Y=8と設定される。
続くS2では、HDD204に記録されている記憶領域(図示しない)「CallTimes」の値が一定値以上かチェックされ、−定以上の場合はサブルーチン「Cleaning」がコールされる。
続くS3では、キートップ1が強く押し込まれていると前述した初期動作が正しく行われないため、使用者に「初期化を行いますので、キートップから手を放してください。」という旨の音声を出力した後、前述したキートップの初期化動作を行って、全てのキートップ1の突出高さを0mmに駆動・設定する。また、Modeが閲覧モードを示す値として、0に初期化される。
続くS4では、「表示するデータのファイル名をマイクに向かって入力してください。」という内容の音声を音声合成回路208を介して出力する。
続くS5では音声入力回路209からファイル名を入力する。
続くS6ではそのファイル名のファイルが読み書き可能にオープンされるとともに、ルートタグ(<ROOT name>)の入力を試み、入力できたらS7へ進む。ルートタグが入力できなかった場合はS8に進む。
S7では、TopTypeに0を設定するとともにRootNameにルートタグの「name」が記録され、さらに「name」の値がTopNameに設定された後に、S10ヘジャンプする。
S8では、ページタグの入力を試み、入力できたらS9に進む。ページタグが入力できなかったら処理はS4へ戻る。
S9では、TopTypeに1を設定し、「name」の値をTopNameに設定した後に、S10へ進む。
次くS10では、後述するサブルーチン「DispIndex」が実行され、各キートップとフィールドないしはディレクトリとの対応付けが実施されるとともに、触覚入出力装置100のキートップ1が所定の状態に駆動設定される。
ここで、S4からS10の「DispIndex」内の所定の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「情報記憶手段に所定の情報を設定する情報設定手段」に相当するものである。
次に、図15に示すフローチャートにより、サブルーチン「DispIndex」の動作を説明する。
まず、S100では、HDD204の記憶領域「CallTimes」に記憶されている積算値がインクリメントされる。また、KeyName()の全ての要素が空文字に、KeyMode()の全ての要素が0に初期化される。
続くS101では、TopTypeが評価され、0の場合は文書管理データであるのでS102へ進み、1の場合は文書データであるのでS103へジャンプする。
S102では、ディレクトリデータが調査されてTopNameの親ディレクトリ、そのまた親ディレクトリとルーツをたどり、最終的にRootNameまでのいわゆる直系の祖先にあたるディレクトリデータが検索され、Familyに記憶された後、S103へ進む。実施例の「特許君蔵書」の例では、例えばRootName=”特許君蔵書”、TopName=”手紙”の場合は、Family=”特許君蔵書>研究関係>通信記録>手紙”という親子関係が抽出される。
続くS103では、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示するデータの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示するデータの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。キートップの数に対応するインデックスデータがない場合は、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータがデフォルトで採択される。
次にS104で再びTopTypeが評価され、0の場合は文書管理データであるのでS109へジャンプし、1の場合は文書データであるのでS105へ進む。
S105では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のフィールドデータが読み込まれ、S116へ進む。該当するフィールドデータが読み込めれなかった場合はS116へジャンプする。
S106では、S105で読み込まれたフィールドデータの「parent」に示されている名前が評価されTopNameに等しければS107へ進み、TopNameに等しくない場合は、S116ヘジャンプする。
S107では、インデックスデータのインデックス領域(x1,y1,x2,y2で示される)に指定されているキートップ1それぞれについて、KeyNameにはインデックスデータの「name」に設定されている名前が設定され、KeyModeには「領域」であることを示す値である1が設定される。
引き続きS108では、インデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップ1について、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」に設定されている名前が設定され、KeyMode(X,Y)には2が設定されたのち、S116ヘジャンプする。
S109ではまず、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前がFamilyに含まれている名前(すなわちTopNameの本人か直系の祖先である)か評価され、含まれている場合にはS110へ進み、含まれていない場合はS112へジャンプする。
S110では、そのインデックスデータのインデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップについて、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」で示される名前が設定され、続くS111では、KeyMode(X,Y)に3が設定されて、S116ヘジャンプする。
S112では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のディレクトリデータが読み込まれる。
続くS113で、そのディレクトリデータの「parent」の名前(すなわちそのディレクトリの親ディレクトリ)がFamilyに含まれているか評価され、含まれている場合はS114へ進み、含まれていない場合はS116へジャンプする。
S114では、読み込まれたインデックスデータのインデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップについて、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」で示される名前が設定され、続いてS115で、KeyMode(X,Y)に2が設定されて、S116へジャンプする。
次にS116では、全てのインデックスデータが処理されたか判断して、まだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S104へ戻る。全て処理されていたらS117へブレークする。
次にS117では、TopTypeが1の場合はS118へ進み、0の場合はS122へジャンプする。
S118では再び、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。
続くS119では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のフィールドデータが読み込まれてその「parent」に設定してある名前を抽出する。
次にS120でその名前がKeyNameに設定してある全てのキートップについて、KeyMode=3と設定される。
続くS121では、全てのインデックスデータが処理されたか判断してまだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S119へ戻る。全て処理されていたらS126へ進む。
一方、S122では再び、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。
続くS123では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のディレクトリデータが読み込まれてその「parent」に設定してある名前を抽出する。
次にS124でその名前がKeyNameに設定してあり、かつ、KeyModeが3以外の全てのキートップについて、KeyModeが4に設定される。
続くS125では、全てのインデックスデータが処理されたか判断してまだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S123へ戻る。全て処理されていたらS126へ進む。
以上S100からS125のステップにより、全てのキートップに対応してKeyName、KeyModeの値が設定される。
次にS126で、キートップの駆動設定に先立ち、利用者がキー操作を行わないようにキートップの突出状態を変更中である旨を音声で通知する。
次にS127では、使用してる触覚入出力装置のキートップ1の配列状態が、CRT211に表示される。そして、KeyModeに設定された値に基づき、1が設定されているキートップは表示を緑色に点灯表示させ、2及び4が設定されている場合は、そのキートップ1を0.8mmの高さに突出させるとともに、そのキートップの表示を赤色に点灯表示させ、3が設定されている場合は、そのキートップ1を2.0mmの高さになるように突出させるとともに、そのキートップの表示を赤色に点滅表示させる。
引き続きS128では、KeyNameに設定されているフィールドないしはディレクトリに関連する情報がCRT211に表示される。ここで、CRT211に表示される形態は、例えば文書全体を表示してキートップに関連付けられている領域の文字を色分けして表示したり、ディレクトリデータの階層構造を表示してキートップに関連付けられているディレクトリをあらわすアイコンを色分けして表示したりすればよい。このように、キートップの設定状態や閲覧している文書の内容などがCRT211で表示されるので、視覚障害者を指導する晴眼者が現在の使用状況を的確に把握でき、正しい指導が行えるという効果がある。
次にS129で、キートップ1の駆動設定が完了した旨を音声で通知する。ここで、S126でブザー音の発生を開始し、S129でそのブザー音を停止するようにしても良く、視覚障害者がキートップの駆動設定中であることが確認できればよい。こうしてサブルーチン「DispIndex」の処理は終了して元に戻る。
以上S126からS129の一連の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「前記情報記憶手段の触覚操作手段対応関連情報を入力して前記触覚操作手段設定手段に触覚操作手段設定情報を供給する触覚操作手段設定情報供給手段」及び「触覚操作手段設定情報に基づき前記複数の触覚操作手段をそれぞれ所定の状態に設定する触覚操作手段設定手段」に相当するものである。
次に、サブルーチン「DispIndex」から処理が戻るとS11へ進み、触覚入出力装置のキートップ1への操作信号を入力して、いずれのキートップ1も操作されていない「操作なし」と、いずれかのキートップ1が明示的に操作された「シングルクリック」と、一定時間の間に2回連続して操作された「ダブルクリック」との操作状態を検出し、「ClickMode」にそれぞれ「N」「S」及び「D」のいずれかの値を設定するとともに、いずれかのキートップ1が押されていた場合はその列と行の値を「Push−X」「Push−Y」にそれぞれ記憶した後にS12へ移る。
この操作入力の方法は、使用する触覚入出力装置のタイプによって具体的な実装方法は異なるので、実際に採用する触覚入出力装置の方式に対応したプログラムにすることは言うまでもない。
S11の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「前記所定の領域における操作に基づき所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力する操作信号抽出手段」に相当する。
次に、S12では、ClickModeが評価され、Nの場合はS13へ進み、SかDの場合は図16のS19へ進む。
S13では、音声入力回路209から利用者が発声したコマンドを入力し、有効なコマンドが発声されていた場合はその内容が文字情報に変換されて「Command」に設定される。
続いてS14では「Command」の内容が評価されて、「えつらん」の場合はS15へ進む。「へんしゅう」の場合はS16へ進む。「くりーにんぐ」の場合はS17へ進む。「キートップ1ちょうせい」の場合はS18へ進む。
S15では、「Mode」に閲覧モードであることを示す0が設定された後S11へ戻る。
S16では、「Mode」に編集モードであることを示す1が設定された後S11へ戻る。
S17では、サブルーチン「Cleaning」が実行された後S11へ戻る。
S18では、サブルーチン「Calibration」が実行された後S11へ戻る。
次に、図16のS19では、X=Push−X、Y=Push−Yとした場合の、KeyName(X,Y)に設定されている名前と同じ名前のフィールドデータないしはディレクトリデータと、同じ名前の内容情報(テキストデータ、サウンドデータ、イメージデータのいずれか)がそれぞれ読み込まれる。
続くS20では、「Mode」「KeyMode(X,Y)」「ClickMode」に基づき図17に示される動作対応表にしたがって動作内容が選択される。
図17に示されるように、動作内容は、「属性表示」「内容表示」「階層表示」「画面展開」「新規作成」「内容編集」の6種類の動作が定義されており、現在の動作モード(閲覧モードか編集モードか)や操作したキートップの設定状態(平面状態か、低い突出状態か、高い突出状態か)及び、操作の形態(シングルクリックかダブルクリックか)に応じて所定の動作が選択されて図に示されたステップに処理が分岐するようになっている。次に、各動作内容に付いてそれぞれの動作の説明を進める。
S20において選択された動作が「属性表示」の場合は、S21へ分岐する。
S21では、S19で読み込まれたフィールドデータの名前に関する情報と、内容表示部分に関する情報が、図18に示す発声パターンで音声合成回路208から音声で出力されるように設定された後、S31へ進む。ここで、音声は音声発声回路により非同期で発声され、前の音声の発声がまだ終了していない場合はその発声は中断され、新しい音声の発声が開始されるようになっている。
この発声パターン中、「領域識別音」は、そのキートップの属するフィールドの領域と、その隣接する別の領域とを区別するために割り当てられる固有の音であり、例えば地図の4色塗り分け問題のように、少なくとも4種類の領域識別音を用意しておき、図示しない4色塗り分けアルゴリズムにより触覚入出力装置でのフィールドの領域を分類すればよい。この「領域識別音」は、短くて識別しやすい音が望ましい。また、発声パターン中、「名前」は、そのキートップのKeyNameの値、すなわち属するフィールドの名前を読み上げる音声である。また、発声パターン中「データ量」は、内容表示部分の情報がテキストデータの場合はその文字数を、イメージデータの場合はイメージの大きさを、サウンドデータの場合は再生時間をそれぞれ読み上げる音声である。リンクデータの場合は何も発声しない。ここで、このキートップのKeyModeが3または4の場合、「parent」にこのフィールドの名前が指定されているいわゆる「子」のフィールドが存在するので、その場合は「子」のフィールドの数を計数した後にその数を読み上げる音声になる。
図からもわかるように、キートップのKeyModeが「未定義」でないかぎり、シングルクリック動作により属性表示が行われるので、内容表示部分の情報を閲覧する前に、簡単な操作によりそのキートップに関連付けられている情報の属性情報を音声で確認できるようになっている。特に、領域識別音が最初に簡潔に発声されるので、平面状態に設定されているキートップを操作することで、その領域が触覚入出力装置のキートップの配列の中で占める領域を簡単に識別できるという効果がある。さらに、そのキートップに対応付けられているフィールドの名前が簡潔に表示されるので、具体的な内容を閲覧する前にその概要が把握できるという効果がある。また、そのキートップが属するフィールドに含まれている文字数などが簡潔に表示されるので、内容を閲覧するために必要な時間などが事前に把握でき、また「親」になっているフィールドの場合、含まれる「子」のフィールドの数を簡潔に表示されるので、このキートップの下位の階層にどれほどの情報が分類されて含まれているかを事前に把握でき、効率的に情報を閲覧できるという優れた効果がある。
属性情報はこの例に限定されず、例えばグラフィカルユーザーインターフェースの入出力部品の種類を、簡潔な音で表現するなどしてもよい。
またS20において選択された動作が「内容表示」の場合は、S22へ分岐する。
S22では、S19で読み込まれた内容表示部分の情報が評価され、テキストデータの場合はS23へ進む。サウンドデータの場合はS24へ進む。イメージデータの場合はS25へ進む。リンクデータの場合はS26へ進む。コマンドデータの場合はS33へ進む。
S23では、内容表示部分の情報の内容を読み上げる音声が出力された後S11へ戻る。
S24では、内容表示部分で指定されたサウンドデータが読み込まれて音声として再生された後S11へ戻る。
S25では、内容表示部分で指定されたイメージデータファイルが新しく閲覧するデータとしてTopNameに指定された後S10へ戻る。
S26では、指定されたリンクファイルが新しく閲覧するデータとしてTopNameに指定された後S10へ戻る。
S33では、指定されたコマンド指定ファイルが読み込まれて、別途定める装置の機能を実行された後、S11へ戻る。
またS20において選択された動作が「画面展開」の場合、S27へ分岐する。
S27では、S19で読み込まれたフィールドデータないしはディレクトリデータの名前が新しく閲覧するデータとしてTopNameに設定された後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「新規作成」の場合、S28へ分岐する。
S28では、新規作成サブルーチン「NewIndex」が実行された後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「内容編集」の場合、S29へ分岐する。
S29では、使用者がマイク400を介して入力した編集文章を音声入力回路209を介して入力し、対応する内容表示部分の情報のテキストデータが入力された文字データに置き換えられた後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「階層表示」の場合はS30へ分岐する。
S30では、「子」のフィールドの名前を順に読み上げる音声が出力された後、S11へ戻る。
次に、S31では、触覚入出力装置のキートップ1の動作状態が再び入力される。そしてS32において、S19で入力した時と同じ状態であるか判定し、同じキートップが引き続き操作されていた場合は、ClickMode=Cとした後S20へ戻り、同じキートップが操作されていない場合は、S11へ戻る。
なお、S21、S22及び続くS23とS24、S30、S31の一連のステップで実現される機能は、請求項1記載の「前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段に対応したブロック単位情報を前記情報記憶手段から読み出して音声関連情報を抽出して前記音声発生手段に供給する音声関連情報供給手段」に相当する機能を含むものである。また、S25、S26、S27、S28、S29のいずれかのステップの実行後にS10に戻って「DispIndex」が実行することにより達成される機能は、請求項1記載の「前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段にもとづき前記情報記憶手段の内容を変更する情報変更手段」に相当する機能を含むものである。
なお、上記のように、操作に基づき音声が発生する場合は、前記音声回路の4チャンネルステレオの作用により、その操作がなされた触覚操作手段の位置に対応して所定の音源位置から音声が聞こえるように動作するので、触覚操作により閲覧する情報の位置を把握できるだけでなく、聴覚でもその位置を把握できるという優れた効果がある。
なお、文書データに含まれる「ページタグ」や「フィールドタグ」は、文書管理データに含まれる「ルートタグ」や「ディレクトリタグ」に相当する情報を含むスーパーセットのタグであるので、文書データの「ページタグ」を「ルートタグ」として、また、「フィールドタグ」を「ディレクトリタグ」として扱えば、文書管理データにおける処理(TopType=0として行われる処理)と同様に、文書データに含まれるフィールドの階層構造の深さ方向を触覚入出力装置のキートップの列方向の並びに対応付け、同一の階層に含まれるフィールドの列挙方向を行方向の並びに対応付けて表示させることができるので、図示しない手順により、TopTypeの値を1から0に変更すれば、同一の文書を閲覧する場合でも、レイアウトを確認するのに適した表示と、階層構造を確認するのに適した表示と、異なる表示方式で切換えて閲覧できるという効果がある。
次に、新規作成サブルーチン「NewIndex」の動作を、図20に基づき説明する。
まずS201では、押されたキートップの列と行をそれぞれ、NewXとNewYに記憶する。そして音声出力回路から「新しく作成する領域の名前をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS202において、利用者が発声した名前が音声入力回路209から入力されて、NewNameに記憶される。
次にS203では音声出力回路から「新しく作成する領域の左上のポイントにあたるキートップをクリックしてください。」という内容の音声が出力される。次にS204ではプッシュスイッチ21の状態が入力され、クリックされたキートップの列と行がそれぞれ、NewX1とNewY1に記憶される。
次にS205では音声出力回路から「次は右下のポイントにあたるキートップをクリックしてください。」という内容の音声が出力される。次にS206ではプッシュスイッチ21の状態が入力されて、クリックされたキートップの列と行がそれぞれ、NewX2とNewY2に記憶される。
次にS206では音声出力回路から「作成するデータの種類をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS207では利用者が発声したデータの種類が音声入力回路209から入力されて、NewTypeに記憶される。
次にS208ではNewTypeの内容が判別され、「ぶんしょう」の場合はS209へ進み、「さうんど」の場合はS211へ進み、「いめーじ」の場合はS213へ進む。
次にS209では、S204とS206で指定されたキートップ領域に対応する文章の文字数Nを演算した後、音声出力回路から[ピッという合図の後に、N文字程度の文章をマイクから入力してください。ピッ」という内容の音声が出力される。次にS210では利用者が発声した文章が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
一方S211では、音声出力回路から「追加するサウンドデータの格納されたファイル名をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS212では利用者が発声したサウンドデータのファイル名が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
またS213では、音声出力回路から「追加するイメージデータの格納されたファイル名をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS214では利用者が発声したイメージデータのファイル名が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
次に、S215では、文書データの構造表示部分の、現在の「Key−X」「Key−Y」に対応したインデックスフォームのタグの間に、新しいインデックタダが追加される。その際インデックスタグのパラメータは次のように設定される。
name=NewName
X=NewX、Y=NewY
X1=NewX1、Y1=NewY1
X2=NewX2、Y2=NewY
次に、S216では、文書データの内容表示部分に、NewTypeに対応したタグが追加される。すなわちNewTypeが「ぶんしょう」の場合は名前がNewNameなるテキストデータが追加され、ペアタグに挟まれた部分にNewDataが設定される。またNewTypeが「さうんど」の場合は名前がNewNameなるサウンドデータが追加され、ファイル名の部分にNewDataが設定される。同様にNewTypeが「いめーじ」の場合は名前がNewNameなるイメージデータが追加され、ファイル名の部分にNewDataが設定される。以上で、NewIndexの動作が終了する。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例に適用するのが望ましい、キートップの掃除準備用サブルーチン「Cleaning」の動作に付いて、図19に基づき説明する。
S400では、触覚入出力装置の全てのキートップを最高の高さに設定する。
続いてS401では「装置の掃除を行います。操作カバーを外して、操作カバーを掃除してください。キートップも掃除してください。掃除が終了したら操作カバーを取り付けた後に、「おわり」と発生してください。」という内容の音声が出力されて、S402へ進む。
S402では音声入力をチェックして「おわり」と入力されたらS403へ進む。
S403では、全てのキートップを平面状態に設定して、サブルーチンの動作を終了する。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例に適用するのが望ましい、キートップの高さ調節サブルーチン「Calibration」の動作に付いて、図21に基づき説明する。
S501では、「高さ調整したいキートップをクリックしてください。調節メニューを終了したい場合は「おわり」と話してください。」という内容の音声が出力される。
次にS502でプッシュスイッチ21の動作状態を入力する。
次にS503でクリック操作が行われたキートップを検出し、検出されたらS504へ進み、検出されなかったらS502へ戻る。
S504では、「キートップの高さ調整を行います。「うえ」「した」「おわり」「やめ」で指示してください。」と音声出力する。
続くS505では、マイク400から入力された音声が音声入力回路209で処理されてテキストデータで出力されるのでそれを入力して、S506へ進む。S505で入力が一定時間ない場合は、再びS504へ戻る。
次にS506でその入力データが評価され、「うえ」の場合はS507へ、「した」の場合はS508へ、「おわり」の場合はS509へ、「やめ」の場合は、このサブルーチンの動作を終了する。
S507ではそのキートップを若干突出方向に修正駆動して修正履歴を記憶した後S506へ戻る。S508ではそのキートップを若干引っ込む方向に修正駆動して修正履歴を記憶した後にS506へ戻る。S509では修正履歴に記憶されている修正値をHDD204などの非揮発性の記憶媒体に記憶した後、修正履歴をクリアしてS505へ戻る。
こうしてS504からS509の動作により、所定のキートップの修正値がHDD204などの非揮発性の記憶媒体に記録され、次から実行される処理ではこの値が反映されるので使用者が「同一平面の状態だ」と認識できる平面位置にそれぞれのキートップを位置決めできるので、部品の製造上の誤差を吸収でき、装置を安価に製造できるようになるとともに、使用者の触覚感覚のばらつきを吸収できるという効果がある。
なお、本実施例では2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報はあらかじめブロック単位情報に分割されて記憶手段に格納されていたが、視覚障害者が閲覧したい情報は必ずしも装置の記憶領域に記憶されていることわけではなく、以下に示すように情報設定手段が、閲覧する情報を所定の大きさのブロック単位に分割抽出して記憶手段に記憶するようにして、既存の文書データを閲覧できるようにするのが現実的である。
図22は、この情報設定手段の動作を示すサブルーチン「BlockData」のフローチャートであり、適宜後述する「メインルーチン」を修正してその中からこの動作をサブルーチンとして呼び出せばよい。
まずS601では、ワープロソフトなどで作成された文書を外部記憶媒体などの情報入力手段を介して入力する。または、モデムを使ってインターネットにアクセスし、サーバーからHTMLやXMLで記述されたホームページを読み込む。S601で実施される機能は、請求項23に記載の「情報入力手段」に相当する。
これらの情報は、実施例の「手紙」のように画面上に実際に表示される文書の場合や、実施例の「特許君蔵書」のように、情報の階層構造を扱う情報の場合、実施例の「パソコン機能」のように、装置の単位機能を階層的に構成した情報などがある。またプログラムの対応次第では、これらを複合した情報であってもよい。
これらの情報は、改ページコードで分割されるページ構造、改行コードなどで分割される段落構造、アウトラインデータで指定される段落間のアウトライン構造(階層構造とも呼ばれる)、レイアウト枠などで構成されるレイアウト構造、挿入個所を指定して文書中に挿入されているオブジェクトデータ(イメージデータや表、サウンドデータなと)などで構成されるデータ構造、リストコードを使って列挙表示されるリスト構造、テーブルコードで指定されるテーブル構造などが、それぞれ電子的に識別可能なように構造記述子で記述されているので、これに着目して情報を複数のグループに分割する。この機能は、請求項23に記載の「グループ分割手段」に相当する。
また、構造記述子の解析やグループ分割の過程で、グループ間の親子関係などの階層構造に関する情報が得られる場合はこれを記録する。この機能は、請求項23に記載の「階層構造抽出手段」に相当する機能である。
ここで、グループ分割に構造記述子を用いることは、文書の作成の段階で作者が同じグループに属する情報としてこれらの構造記述子を利用していることに由来しているからであり、記載内容、情報の種類、表示形式、表示される領域、グループの階層関係などの概念で同一のグループに属しているからである。むろん上記に列挙した以外の構造記述子に基づきグループに分割してもよいし、すでに他の規則により情報が構造的に格納してある場合はその結果を利用すれば良い。
次にS602では、表示する際の「領域」という概念がある情報に関しては、そのグループが文書中で占める領域に関する情報を求める。これは実施例のフィールドにおける「文字領域」に相当する概念の情報である。
具体的には、そのグループの情報が占める領域が構造記述子の中に指定されている場合はその情報に基づき求められる。または、実際に人が認識できる形で表示させた場合に文書中で占める領域を演算した結果に基づき求められる。
この際、文字の場合はフォントのサイズや書体を考慮すれば同じ文字数でもレイアウト上では少ない領域を占める場合もあるし、そのグループに文字と写真が混在している場合はそれらを考慮して表示される際の領域を求める必要がある。また、ホームページのように表示する画面の縦横比に応じて動的に表示領域が変化するように定義されている構造記述子の場合は、実際に使用する触覚ディスプレイの列数と行数の縦横比を採用して画面で表示された際の領域を求めるようにしても良い。S602で実行される機能は、請求項23に記載の「グループ領域抽出手段」の機能に相当する。
次にS603では、使用する触覚入出力装置に備わるキートップ1の列数Xと行数Yとで分割される2次元マトリックスに並ぶ各キートップ1と各グループとの対応関係を求める。実施例でのインデックスデータにおける「インデックスポイント」を決定することがこれに相当する。この際、前記ディップスイッチ106の設定情報から、使用する触覚入出力装置のキートップの列数や行数などの仕様を考慮して決定されるので、仕様によって分割処理は異なる結果になる場合があることは言うまでもない。
具体的には、グループ化された情報に対して利用者がキートップ1を介して選択的にアクセスできるために、1つのグループは少なくとも1つ以上のキートップに割付られるとともに、同じキートップには1つ以下のグループだけ割付けられるように、適宜次の処理を行う。
1.隣接する複数のグループの内容を1つのグループにまとめ、それを1つのキートップに割付ける。その結果、利用者がキートップの操作によりアクセスできる情報ブロックは統合ざれた内容の情報になる。(グループの統合)
2.階層的な構造を有する情報の場合、複数のキートップに割り付ける必要のあるグループ群の共通の上位階層のブロックを、1つのキートップに割付け直す。(上位階層のブロックの割付)
3.キートップに既に割付けられているグループを、隣接する未割付のキートップに割付け直して、新たに未割付になったキートップに未割付のグループを割付ける。(割付位置の移動)
ただし、移動する場合は、実際に表示される位置とかけ離れた位置に対応するキートップまで割付位置が移動されることは望ましくないので、その場合は、「グループの統合」か「上位階層のブロックの割付」を実施して割付に必要なキートップの数を減らし、実際に表示される位置に即した位置に表示できるようにして、むやみな移動は行わないほうが良い場合もある。
一方、割付できるキートップが余っていて個別にキートップに割付けられる場合でも、同時に表示すべき階層が構造記述子で明確に指定されている場合や、他のキートップに割付けられているグループの文章内の階層とのバランスを考慮する場合は、あえて下位のグループを割り付けないようにする場合もある。
実施例の「手紙」の「本文」のような場合はこれに相当し、「本文」という概念のフィールド(ここで言う「グループ」の実装の形といえる)は、手紙の構造として一般に認識しやすい他の「宛先」「時候の挨拶」「結文」などのフィールドと同じ表示で認識したほうが理解しやすいので、未割付のキートップが周囲に空いていても、あえて「本文」というフィールドを1つのキートップに割付けしたほうが望ましい。これは、HTMLやXMLのような構造記述言語を使って、情報の階層構造を記述したインターネットのホームページなどを表示する際には、特に考慮されるべきことである。
また、未割付のキートップの数が多い場合は、S602で求めたグループの占有領域に対応して複数のキートップに同一のグループを割り付けるとともに、隣接するグループとの識別が可能なように識別データを演算しておけば、使用者がキートップを触覚操作する際に発生する領域識別音で、そのグループがキートップの2次元マトリックス上でどの領域に渡って存在している情報であるかを把握できる。実施例における「インデックス領域」の概念がこれに相当する。
また、グループが階層構造を有する場合、所定の階層に含まれるグループのみではなく、下位グループの展開後のキートップへの割付も実施する。すなわち、展開操作によって新しく割付可能になったキートップを対象に下位の複数のグループを割り付けていく。その際使用されるキートップの領域は、全画面を使用する場合はすべてのキートップを対象とするが、実施例の「特許君蔵書」や「パソコン機能」のように上位の階層の情報をキートップに表示させたまま、別のキートップ領域で、下位の情報を展開するような場合は、そのキートップ以外のキートップ領域を使って割付ければよい。
その際、「特許君蔵書」のように、階層の深さ方向をX(ないしはY)方向に採用し、下位のグループはそれに直交するY(ないしはX)方向に並ぶキートップに割付けていけば、実施例の8x8の触覚ディスプレイでも、それぞれ8のブロックを含む8階層に及ぶ情報を展開表示でき、かつ展開表示されている情報の親子親戚関係の表示が維持されるので、現在選択しようとするブロックの階層構造上の位置を把握しやすい。
これらの処理を再帰的に行って、全てのグループがいずれかの展開画面において1つ以上のキートップに割り付けられるようになるまで処理を繰り返す。
S603で実行される機能は、請求項23に記載の「マッピング手段」の機能に相当する。
次にS604では、キートップに割り付けられた「グループ」に含まれる情報を、実施例で示した「フィールドタグ」や「テキストタグ」などの所定のフォーマットにより、ブロック単位情報として記録する。マッピング処理の過程で決定されたグループとキートップとの対応情報は、実施例で示した「インデックスタグ」などの所定のフォーマットで所定の記憶領域に記憶する。
以上のように構成された装置の実際の動作に付いて、以下説明する。
まず、視覚障害者である「特許一筋君」は、ヘッドフォンを装着して、パソコン200の電源を入れて使用を開始する。すると前述のように動作が進み、特にS2では「特許君」が使用している触覚入出力装置の仕様が自動的に読み込まれる。特許君は自宅で使用する装置として比較的安価な8列x8行の普及型の触覚入出力装置を購入してパソコン200に接続して使用しているので、S2ではKEY−X=8、KEY−Y=8と設定されることになり、以後インデックスデータは、特許君の使用する触覚入出力装置に適した表示がなされるようになる。
次にS3で「初期化を行いますので、キートップから手を放してください。」と出力されて特許君はキートップから手を離すので、キートップに不用意に指の力が加わらないのでパルスモーター18の駆動がスムースに行われ、結果、全てのキートップ1がいったん平面状態になる。
次にS4のメッセージにしたがって「特許君蔵書」とマイク400に向かって話すと、S6で図3に示した文書管理ファイルが開かれて、S7において、RootNameとTopNameに「特許君蔵書」がセットされる。
次に、S10で「DispIndex」が実行され、前記の動作にしたがってキートップ1とディレクトリとの対応付けが実施された後に、触覚入出力装置のキートップ1が最終的に図23に示す状態に駆動設定されるとともに、閲覧している文書の内容などがCRT211で表示される。図中「◎」印は高い突出状態に設定されてCRT211で赤く点滅して表示されているキートップ、「○」印は低い突出状態に設定されてCRT211で赤く点灯して表示されているキートップ、「・」印は平面状態に設定されているキートップのうちKeyModeが「領域」を示す1でありCRT211で緑色で点灯して表示されているキートップ、無印は、平面状態に設定されたキートップのうちKeyModeが「未定義」を示す0でありCRT211で非点灯の表示がされるキートップであることを示す。以下キートップの設定状態を示す図においては同様の表記方法とする。
このように、本発明によれば、そばにいる晴眼者の人が視覚障害者の触覚するキートップの設定状況を触覚しなくてもCRT211で確認できるので、操作にまごついている使用者に対して、正確で適切な助言が行えるという利点がある。
また、キートップが駆動されている間にはヘッドフォンから駆動中を示す効果音が聞こえるとともに駆動が完了すると効果音が終了する。
このように、本発明によれば、キートップの設定中の状態を音声で確認できるので、設定中のキートップを誤認して誤操作してしまうことがないという効果がある。
駆動が完了すると、効果音が終了するので、手で操作パネルの表面を触って、突出しているキートップを触覚する。すると、わずかに凸状の突起があるキートップの大部分は平面状態になっているが、一番左側の列の上から3つのキートップが低い高さで突出していることが識別できる。この触覚操作により、特許君の蔵書を管理している蔵書ファイルの一番上位の階層には、3つのフォルダが存在していることが把握できる。
次に、特許君は一番上のキートップを押した。すると、S11の処理により、1列1行のキートップがシングルクリックされたことが検出され、S20において「属性表示」動作が選択されて、次のような内容の音声が左上のあたりから聞こえるようにヘッドフォンから出力される。
「ぴっ、研究開発、4項目」
これにより、このキートップは「研究開発」という名前のディレクトリであり、下位に4つのディレクトリが存在していることが簡潔な表現で把握できたので、引き続き特許君はキートップを押しつづけた。すると処理はS31に至りClickMode=Cに設定されて次にはS20からの階層表示に進んで、今度はヘッドフォンから下位のディレクトリの名前が順次読み上げる音声が聞こえる。
「予算、設計図、通信記録、特許」
この音声により、特許君は閲覧したい手紙が格納されている「通信記録」のディレクトリがこのキートップに関連するディレクトリの下位に含まれていることがわかったので、引き続き同じキートップ1をダブルクリックした。
すると、S11においてダブルクリックが検出され、S17で「画面展開」が選択され、S27において新しくTopNameに「研究開発」とセットされ、再び「DispIndex」が実行され、今度は触覚入出力装置が図24に示す突出状態になる。
同様にして、第2列のキートップを操作し、3項目目のディレクトリである「通信記録」に割り付けられている3行目のキートップをダブルクリックすると、図25に示す状態になる。
図25のように、触覚入出力装置の列には、その階層に含まれるディレクトリに対応したキートップが突出し、中でも高い突出高さに設定されているキートップに関してはその一つ右側の列にその下位のディレクトリが展開されているとともに、左側の列には、その階層の上位のディレクトリが展開されている。
このように、本発明によれば、使用者はキートップの設定状態を触覚することにより、現在展開されている階層の深さや、展開されている項目が属する階層における他の項目との位置関係や、他の項目の名前などを、容易に認識できるという効果がある。
この実施例のような蔵書管理以外にも、図書館の書籍の分類管理データや辞書、パソコンメニュー構造、プログラムの動作状態など、階層的な構造を有する情報の構造を適切に把握しながら閲覧するのに本発明が有効であることは言うまでもない。
次に3列1行めのキートップをクリックすると、「ぴっ、手紙」とヘッドフォンから聞こえたので、目的の文書であることを判断して、引き続きダブルクリックする。すると「手紙」の文書ファイルが新たに読み込まれて、目的のガンバ先生への手紙が図26に示すように、触覚入出力装置のキートップ1に表示される。
図中「○」ないしは「◎」のキートップの部分は触覚するだけでそのキートップにフィールドが対応つけられていることが認識でき、特に「◎」のキートップには、下位の階層が割り付けられていることが容易に認識でき、それらのフィールドのレイアウト関係が容易に認識できる。
このように、本発明によれば、キートップの状態を、異なる3種類の識別状態に設定できるので、所定のキートップを他のキートップと区別して表示可能であり、文書管理データのディレクトリ表示において現在展開されているディレクトリをハイライト表示したり、文書データにおいて下位のフィールドが関連付けられている項目のキートップをハイライト表示したりすることが可能になり、音声による表示によらずに触覚で識別できるような表現が行えて、データのレイアウトや構造を理解しやすいという効果がある。
特に、本発明の触覚入出力装置の各実施例では、触覚操作手段の、突出高さ、振動態様、音声表示により、触覚操作に基づく触覚操作手段の設定状態を複数に表示できるので、触覚による認識が容易で、かつ、設定状態を区別させるために平面方向に見て少ないスペースで3以上の設定状態を表現できるという効果がある。
さらに、図中4列3行目の低い高さのキートップをシングルクリックすると、「ぴっ、時候の挨拶、36文字」と音声で表示され、手紙の「時候の挨拶」という概念の内容が手紙の上部の部分に記述されていることが的確に把握できる。さらに図で「・」で示されている平面状態に設定されている3行目にならんだキートップを指でシングルクリックして確認すると、「ぴっ、時候の挨拶、36文字」と表示されて、特に一番最初に発声される「ぴっ」という領域識別音は、4種類の、隣接する別の領域とは異なる音色で設定されているので(図ではdという種類の音色)、その音色を聞くだけでそのキートップは「時候の挨拶」と同じ領域に属することが識別でき、次々にシングルクリックしていけば「時候の挨拶」が割り付けられている領域を識別できる。
このように、本発明によれば、情報の大まかな構造と位置関係は、キートップ1の2次元マトリックス上での分布と設定状態で識別できる一方、キートップ1をシングルクリックするとそのキートップ1に関連付けられたフィールドの属性情報を音声で確認できるので、その属性情報に含まれる領域識別音により各フィールドの占める領域が確認可能で、文書の構造やレイアウトを理解しやすいという効果がある。特に実施例のように、機械的にキートップを駆動させる方式の触覚入出力装置では、キートップの駆動は少なくしたい。従って平面状態のままでも必要に応じてそ領域を識別できる方式は有利である。
次に、4列3行目のキートップをダブルクリックするかシングルクリックしてそのままキートップを押しつづけていれば、動作は「内容表示」に移り、「拝啓 初秋の空が…」という時候の挨拶の内容が音声で出力される。
このように、本発明によれば、例えば実際は多数の文字で構成される内容でも、それをフィールドというブロック単位情報でグループ化してそれを一つのキートップに割り付けるとともに、そのキートップを押下操作するとその内容が音声で出力されるので、従来のように文字数毎にキートップを設置する必要がなく、数が限られた安価な触覚入出力装置でも、文書をわかりやすく閲覧できるという優れた効果がある。また、レイアウトを確認する触覚操作だけで内容が発声してしまうという不都合がなく使いやすいという効果がある。
なお、本実施例では、8列x8行の触覚入出力装置を使用しているが、やや高価になるものの、16列x16行のキートップを備えた触覚入出力装置を使用しても良い。その場合、プログラムにより自動的にその仕様が判別されて、同じ「手紙」の文書を閲覧した場合でも、図27のような表示になる。この表示を図26と見比べれば、図26では7行目の「結文」と8行目の「追伸」には同じ「1行」で表現されていた領域が、表現能力が高い触覚入出力装置では、それぞれ1行、3行とより実際の文書に近い表現が可能であることがわかる。
このように、本発明によれば、触覚入出力装置の仕様を判別してその仕様に応じてキートップとフィールドなどの対応関係が適切に設定されて処理されるので、使用する触覚入出力装置に応じて適切に文書が閲覧できるという効果がある。
なお、本実施例で使用した文書は、8列x8行で表現できる文書データであったが、もっとレイアウトが精細な文書では、ひとつの階層の表示が8列x8行のキートップでは表現しきれない場合があり、その場合、インデックスデータは16列x16行用のデータのみで記憶されている場合がある。その場合は図35に示すように、16列x16行を4つの8列x8行に分割するとともに、4つのスクロール指定スイッチを配置し、その操作に基づき、表示する分割エリアを切り替えて表示させると、安価な触覚入出力装置でもレイアウトが精細な文書を閲覧できるようになるという効果が生まれる。
具体的には、図中左上のAのエリアを表示させる場合は、左上のスクロールスイッチを操作すればよい。この際、スクロールスイッチの操作状況を、図のようにキートップの突出高さで表示すれば、現在表示されている分割エリアがどこのエリアか識別できてさらに好適である。もちろん固定的なスイッチで構成しても良い。
次に、図26において、4行5列の高い突出状態のキートップをシングルクリックすると、「ぽっ、本文、4項目」と発声されて、このキートップには、4項目からなる本文が割り付けられていることが識別できるので、引き続きそのキートップをタブルクリックする。すると「画面展開」の動作が行われて「本文」の内容が詳しく表現されて、図28の状態になる。参考のために示せば、16列x16行の触覚入出力装置を使用している場合は図29の状態になる。
この状態でキートップを触覚すれば、「はじめに」「実験結果の表」「実験結果の説明」「実験の考察」が所定の位置で、所定の領域を占めていることが読み取れる。さらに8列4行の「実験結果の表」をダブルクリックすると、新しく図7に示した「c:¥result.dat」というデータが読み込まれ、TopNameに「実験結果の表」が設定されて所定の動作が行われ、結果的に図30(16列x16行の場合は図31)の状態になる。各図中それぞれのキートップには表題や表頭表側の項目、表のセルなどが対応付けられて、例えば所定の表のセルに対応したキートップをダブルクリックすると、そのセルのデータの内容を音声により確認できる。
このように、本発明によれば、表のようにフィールドが多くなりがちな情報で1画面ではキートップの数が不足する場合でも、データが階層的に構成されていてその階層構造に応じて適切にキートップとフィールドとの対応情報が設定されるので、文書を適切な階層に別けて表示することが可能で、文書を見通しよく閲覧できるという優れた効果がある。
このような閲覧方法により同様に「手紙」の「追伸」の中にある「スナップ」(図6に示すスナップ写真を表現したデータ)を閲覧することが出来る。具体的には図26で4列8行のキートップをダブルクリックすると図32に示す状態になるのでさらに6列2行のキートップをダブルクリックすると、「c:¥picture.dat」というデータが読み込まれて図33のように表示される。
視覚障害者にとって、図6に示したオリジナの写真を閲覧することは極めて困難である。狭いピッチで突出量をコントロールできる触覚ピンによりレリーフ状でイメージを触覚できる装置のアイデアも提案されてはいるが、どれも驚くほど装置が高価であるし、単にレリーフで写真の明暗を表示するだけでは内容が良く分からないという欠点があり実用になっていない。ところが、本発明をこのような「写真」や「絵画」を閲覧する目的で応用すれば、これらの課題が解決できる。
具体的には、晴眼者の協力により図6に示した写真を着目すべき領域に分割し、この分割された領域をフィールドとして登録するとともに、その部分の説明をテキストデータないしはその写真のイメージを表現するサウンドデータで記述するのである。
このようにして作成されたデータ(図5参照)を触覚入出力装置で表示すると、図33に示すようになる。参考のため各フィールドの名前を対応するキートップ領域に付してある。実施例では簡単のために、例えば「ガンバ先生」を説明するには単一のフィールドで表現しているが、「なさけない顔」や「寒そうな頭」などと複数の下位フィールドで構成してより詳細に表記することもむろん可能であり、これを実際に行うには、今まで説明した技術の概念を応用すれば容易であることは言うまでもない。
このように、視覚障害者にとって不可能であった写真や絵画の鑑賞も、本発明を利用して「2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報」としてとらえ、その写真や絵画の特徴ある部分を説明する情報をブロック単位情報として記録するようにして本発明を適用すれば、その写真や絵画の内容を容易に理解できるという効果がある。
図6に示す写真に関する実施例は、芸術センスのない出願人によるものであるのでつまらない内容ではあるが、ゴッホやルノアールなど、今まで視覚障害者にとっては縁のなかった名画も、その絵画を見て感じた感動を、音声や音楽を使って表現し直してくれる各分野の芸術家の協力があれば、その絵画の視覚的情報を超えた新の芸術性までも伝えることができるであろう。
なお、使用途中で、触覚入出力装置のキートップに所定の情報が展開されている状態を記憶するコマンドを用意して、それを実行し、任意の名前を指定してその状態の情報をHDD204に記憶しておくとともに、使用を再開した際にその名前を指示して読み出し、中断した状態に復帰させるようにすれば、操作性が向上する。記憶する情報の中には、その情報を表示させるに至った上位の階層の情報も合わせて記憶しておけば、再開時に上位の情報へ戻ることができるので便利である。
次に、特許君は手紙の日付を書き忘れたことに気づいたので、マイク400に向かって「へんしゅう」と話す。すると、S14でそれが評価され閲覧モードから編集モードに変更される。
次に、図26の状態で、新しく日付を書き込みたい場所の代表ポイントとして7列1行のキートップをダブルクリックする。すると、S20で「新規作成」が選択され、サブルーチン「NewIndex」が実行される。途中音声アナウンスに応じて、フィールドの名前は「日付」、左上と右下のポイントをそれぞれ「6列1行」「7列1行」、NewTypeを「ぶんしょう」と指定する。その後アナウンスにしたがって「へいせい、じゅうねん、くがつ、じゅうさんにち」とマイク400に入力すると、「手紙」の文書データに「日付」という名前のフィールドが追加されて図4に示した編集後のデータになり、触覚入出力装置も新しいデータにしたがって変更されて、図34に示す状態になる。
このように、修正したい部分をレイアウトを確認しながら所望の位置にキートップで指示できるとともに、使用者の声を入力してそこに含まれる情報を抽出して、操作されたキートップに関連したフィールドの記憶内容を更新することができるので、効率的に文書の内容を編集できるという効果がある。
また視覚障害者は、操作パネルの表面の汚れを視覚で確認できないので前述した掃除機能などのメンテナンスを行うタイミングを得にくい。したがってサブルーチン「DispIndex」をコールした回数を、HDD204などの不揮発性の記憶媒体に記憶しておき、一定回数コールされたら操作パネルの掃除を行う旨のメッセージを出力するようにすると、掃除のタイミングが得られて操作パネルをいつも清潔な状態に維持することが可能である。
また、所定の情報を閲覧していくと、図13に示したメモリ202に設定された記憶領域の記憶内容(以下、状態情報と称する。)は、閲覧操作に応じて逐次変更されていくので、例えば「DispIndex」をコールする毎に、その時点の状態情報を、HDD204の所定の記憶領域に記憶すると、停電で突然装置の電源が切れてしまったり、利用者が電源を突然切ってしまったりした時にも、HDD204に記録された状態情報に基づき最新の状態に復帰させることが可能である。
また、利用者が任意の時点での状態情報を、後から利用できるように名前を付けてHDD204に保存できるようにするとよい。実施例では、S14において「じょうたいきおく」コマンドを認識できるようにして、次のステップで利用者から保存する名前を入力し、その名前で、その時点の状態情報をHDD204に記録すればよい。また、HDD204に記憶された複数の状態情報の中から、再現させたい状態を名前で指定して読み出し、メモリ202に設定すれば、その状態に至るまでの操作を行わなくても、情報の閲覧状態を所望の状態にできる。
以上、本発明の実施例を説明するのに、例に上げた具体的なデータと、詳細なフローチャートを使って説明したが、以下には、この発明を応用すると効果のある形態に付いて、図面に基づいて簡単に説明する。以下の説明では、上記の説明で明確になった本発明の技術思想を適宜応用すれば達成できることから、具体的なデータと詳細なフローチャートは開示しない。
まず、パソコンなどの所定の装置の機能を選択的に実行するためのユーザーインターフェースに本発明を応用したものを説明する。
図55は、パソコンの所定の機能を階層的に表現したものであり、「ホームページ閲覧」「メール送受信」「文書閲覧」という最上位の機能から、それぞれの機能を構成する下位の機能に展開されている。このようにパソコンの機能は、単位機能の集まりとして階層的に扱うと、それらの単位機能を、本発明の触覚入出力装置を用いて階層的に表現しながら所望の機能を指定して実行させるという応用ができる。
また、図56は、図55のパソコンの機能へアクセスするのに適したユーザーインターフェースを提供する触覚入出力装置のキートップの使用例を示す図である。
図56の左下のキートップは、「スタートキー」としての機能が固定的に割り付けられている。この「スタートキー」は、現在パソコンの主流のOSで採用されている「スタート」キーに相当していて、視覚障害者は何はともあれ、このキーを操作することで、パソコンの機能にアクセスできるようになっている。
図57は、実際に利用者が「スタートキー」を操作して、図56の「デスクトップ領域」に、図55に示すパソコンの機能の階層構造(図63に対応するデータを示す。)を表示させて、「ホームページ閲覧」「設定」「アカウント」を順に選択した後、設定すべき「電話番号」「ユーザー名」「パスワード」という最終的に設定すべき入力項目に対応したキートップを表示させた状態を示している。
ここで「電話番号」をクリックすると、この項目がインターネットのアクセスポイントの電話番号を入力する項目である属性情報が表示され、ダブルクリックすると、S22でコマンドデータであると判断されてS33で、”SetTelNo.bat”に指定されているパソコンの単位機能が実行される。具体的には「電話番号を入力してください。」というメッセージの後に、マイクから電話番号を設定する機能が実行される。
このように、ブロック単位情報には、表示に関する情報のみならず、パソコンの単位機能に関する情報も含めるので、階層的に構成されたパソコンの単位機能の中から、所望の単位磯能を簡単に指定して、所望の単位機能を実行させることができる。
次に、利用者は、「ホームページ閲覧」の下位のキートップの中に「接続」という機能が割り付けられていることをクリックにより確認した後にダブルクリックする。すると、ホームページ閲覧プログラムはモデムを制御してパソコンをインターネットに接続させ、所定のアドレスのホームページデータをダウンロードして、HTMLデータに含まれる構造記述子を適宜解析して、デスクトップ領域で使用できるキートップの数に応じた適切な表示を行い、ホームページを、図58に示すようなキートップの設定状態として表示させる。利用者は、適宜キートップを操作しながら必要な情報を閲覧できる。
一方、図56に示すように、最下行の「スタートキー」の右に並ぶキートップ群は「タスクバー」であり、同様に主流のOSでも採用されている「タスクバー」に相当する。この「タスクバー」に属するキートップ1には、「スタートキー」に基づいて起動されたプログラムが生成するウインドウが割り付けられ、図58では、デスクトップ領域で表示中のホームページ閲覧ソフトのウインドウが割り付けられている。
このタスクバーに含まれるキートップは、後述する「デスクトップ領域」でそのキートップに対応しているウインドウに含まれる下位の情報が展開表示されている場合には、タスクバーに含まれるキートップの突出高さを高くするなどのハイライト表示が設定され、デスクトップ領域で展開表示されていない場合は、タスクバーに含まれるキートップは突出高さが低い表示が設定される。この表示形式は、請求項9に記載の発明に相当しており、すでに下位の情報が対応付けられていることが自明なタスクバーのキートップに関しては、その識別状態の設定を、展開済みか否かの識別に用いるのである。
また、タスクバーのキートップをダブルクリックするとデスクトップ領域への展開状態と非展開の状態とを交互に切換えられるように、適宜制御プログラムを実装すれば、限られたデスクトップ領域のキートップを、複数のウインドウで切換えながら利用できる。具体的には、図58のタスクバーの中のキートップをダブルクリックすれば、デスクトップ領域での表示が非表示となって、図59に示す状態になる
また、よく使う文書やプログラムを、デスクトップ領域の所望の位置のキートップに関連付けて「アイコン」として記憶しておいてもよい。図56の右上の2つのキートップは、別途所定の手順により前述の「手紙」と「スナップ」が対応付けられたキートップを示している。
キートップをアイコンとして利用すると、いずれのウインドウもデスクトップ領域で展開されていない時に、触覚入出力装置のいつもの場所のアイコンを操作するだけで、よく使う文章や機能に容易にアクセスできるようになる。具体的には、キートップをクリックするとそのキートップに対応付けられている文書名を簡潔に表示させ、ダブルクリックすることでその文章を展開表示できる。
このようにして、必要に応じてパソコンのスタートキーを操作してパソコンの機能を実行させ、デスクトップ領域を有効に使いながら、パソコンの所望の機能を利用して情報を閲覧したり編集することが可能になり、パソコン操作に不慣れな視覚障害者でも簡単に利用できるという効果がある。
最後に、視覚障害を持つ子どもが、算数を学習する場合に有効な応用例を上げておこう。図60は、子どもが苦手な分数の計算を学習するために用意された教材を示す図である。
図では、2分の1と3分の1の足し算が課題である。そしてその課題を達成するための道筋として、それぞれの分母を通分するステップと、通分した分数の分子を加えるステップに対応して、数字の部分が空白の式が記載されている。課題の用紙には、それぞれの式の空白の部分に、どんな数字を入れるのか説明が文章で記載されていて、子どもはそのアドバイスを見ながら、課題に取り組むのである。
図61は、同一の課題を、本発明の装置を使って表現した初期の図であり、図62は、学習の最終段階の図である。
図からわかるように、キートップは、それぞれ数字や分数の横棒、プラス記号や等号などに対応した位置に表示されている。例えば、左端に3つ並んだキートップは、上から「1」「−」「3」に対応していて、下から順にクリックすると「さん」「ぶんの」「いち」という音声が表示される。また、右端に3つ並んだキートップは同様に、下から順に「解答欄」「−」「解答欄」に対応し、「解答欄」のキートップはハイライト表示され、解答を記入する欄であることを示している。そこで、子どもが分母のキーを押しつづけると、解答を考える上でのヒントが次のように音声で表示される。「2分の1と3分の1を通分しようね。」
このヒントを聞いて、子どもは左辺の分母の数を触覚してそれぞれ、「3」と「2」であることを確認し、右辺のそれぞれの分母に「6」と解答すべきであると理解する。そして、右辺の分母のキートップをダブルクリックして、音声で「ろく」と入力することで、分母の空白の部分に、それぞれ解答の「6」を入力できる。
同様にして、子どもは、分子にも解答を入力すると、制御プログラムはその内容が正しいことを判断して次のステップに進み、図62に示す表示になる。
子どもは、新しく表示されたキートップの表示形態を触覚すると、右辺の分数を、1つの分数にまとめればよいというヒントを得て、空白のキートップの部分にそれぞれ同様な方法で「5」と「6」を入力する。すると、制御プログラムは課題が達成できたことを判断し、「よくできました。」と出力する。
以上のように、数字や記号の位置関係など、構造的な概念を用いた認識が不可欠な算数の学習課題に関して、本発明を応用することで、効率的な学習が行えることがわかる。
上記の分数計算の課題シートはあらかじめ定められた数式の空白部分に数字を埋めていく単純な例であったが、本発明を応用すれば、複雑な構造を有する方程式を、利用者が階層的に入力していくことで、より複雑な構造の方程式を用いた高度な学習に利用できることは言うまでもない。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかる視覚障害者用情報処理装置は、視覚障害者用の情報閲覧装置や文章作成装置として有用であり、また、本発明にかかる触覚入出力装置は、視覚障害者用情報処理装置などの入出力装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のクレーム構成図である。
図2は、本発明の視覚障害者用情報閲覧装置の構成を示すブロック構成図である。
図3は、閲覧する文章の階層的な管理構造を記録したデータを示す図である。
図4は、文書データの例を示す図である。
図5は、「スナップ」のデータを示す図である。
図6は、「スナップ」の画像データを示す図である。
図7は、「実験結果の表」のデータを示す図である。
図8は、タグの定義の説明図である。
図9は、タグの定義の説明図である。
図10は、「特許君蔵書」で示されるディレクトリの階層構造を示す図である。
図11は、「手紙」のフィールドの階層構造を示す図である。
図12は、「手紙」の文面とフィールドの階層構造との対応を示す図である。
図13は、メモリに設定された記憶領域のデータ構成を示す図である。
図14は、メインルーチンのフローチャート(前半)を示す図である。
図15は、サブルーチン「DispIndex」のフローチャートである。
図16は、メインルーチンのフローチャート(後半)を示す図である。
図17は、動作対応表を示す図である。
図18は、属性表示の発声パターンを示す図である。
図19は、サブルーチン「Cleaning」のフローチャートである。
図20は、サブルーチン「NewIndex」のフローチャートである。
図21は、サブルーチン「Calibration」のフローチャートである。
図22は、サブルーチン「BlockData」のフローチャートである。
図23は、「特許君蔵書」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図24は、「研究開発」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図25は、「通信記録」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図26は、「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図27は、16列x16行の触覚入出力装置における「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図28は、「本文」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図29は、16列x16行の触覚入出力装置における「本文」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図30は、「実験結果の表」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図31は、16列x16行の触覚入出力装置における「実験結果の表」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図32は、「追伸」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図33は、「スナップ」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図34は、「日付」挿入後の「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図35は、スクロール表示の説明図である。
図36は、触覚入出力装置の上面図である。
図37は、図36のA−A断面図である。
図38は、4つのキーグループを図37のA−A断面の上方から見た図である。
図39は、4つのキーグループを図37のB−B断面の下方から見た図である。
図40は、電子基板の4つのキーグループに対応する部分を図37のC−C断面の上方から見た図である。
図41は、4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギヤの位置関係を、図37のD−D断面の下方から見た図である。
図42は、位置決め駆動手段の機構を示す図である。
図43は、昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
図44から図48は、モーター取り付けフレームがそれぞれ、基準位置、左上位置、左下位置、右上位置、右下位置の際の4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギヤの位置関係ならびに位置決め駆動手段の機構の位置関係を図37のD−D断面の下方から見た図である。
図49は、操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
図50は、触覚入出力装置の第2の実施例の構成を示す図である。
図51は、触覚入出力装置の第2の実施例のワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図52は、触覚入出力装置の第3の実施例の構成を示す図である。
図53は、振動ピンの構造を示す断面図である。
図54は、ワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図55は、パソコンの機能の階層構造を示す図である。
図56は、図55のパソコンの機能へアクセスするのに適したユーザーインターフェースを提供する触覚入出力装置のキートップの使用例を示す図である。
図57は、図55に示すパソコンの機能の階層構造の表示例である。
図58は、ホームページを閲覧中のキートップの設定状態を示す図である。
図59は、図58で、タスクバーのキートップをダブルクリックした後のキートップの設定状態を示す図である。
図60は、算数のワークシートを示す図である。
図61は、図60に対応したキートップの表示状態を示す図である。
図62は、図61の次のステップのキートップの表示状態を示す図である。
図63は、図55に示すパソコン機能のデータを示す図である。
この発明は、レイアウト情報や階層構造を含んだ情報のレイアウトや階層構造を容易に認識しながらその情報を閲覧・修正したり、装置の動作状態を容易に認識しながら所定の機能を実行できる、視覚障害者用情報処理装置ならびにその装置に利用する触覚入出力装置に関する。
背景技術
視覚障害者のためにワードプロセッサにより作成した文書等をキートップなどの触覚ピンの配列で表現するとともに、そのキートップに接触することにより対応した文字を音声によって表示することで、レイアウトまで含めてテキストを確認できる技術として、特開平10−232600に示すものがある。(以下従来例Aと称する。)また、グラフィカルユーザーインターフェースを備えるシステムを視覚障害者が使用するための技術として、特開平10−69218に示すものがある。(以下従来Bと称する。)
ところが、上記した従来例には、下記に述べるような問題があった。
1.従来例Aでは、文章に含まれる文字数が多くなると、多数の表示ドット1aが必要となり、触覚入出力装置が高価で大型になるという問題あった。
2.表示ドット1aの操作は、対応した文字を音声で確認する操作しか行えないので、操作の態様に応じて閲覧する情報の種類を切換えるような使い方ができないという問題があった。
3.情報処理装置の機能は、画面に表示されるメニュー画面などで選択実行する。しかし、視覚障害者はその画面が見えないので、従来例Bでは、画面に出力されるウインドウや操作部品を複数の触覚ピン3を含む複数の触覚セル1を用いて表現している。しかし触覚セル1の配置は固定的であり、触覚セル1に対応している機能の親子関係などを表現できない。したがって階層的に構築されたプログラム機能の中から、利用者の所望の機能を選択して実行することはできないという問題があった。
4.従来の技術は、文字単位のレイアウト確認には有効であるが、文章全体のレイアウト構造をわかりやすく表示できないという問題がある。仮に表示ドット1aを小型で安価に製作できてすべての文字を表示したとしても、図11や図12に示す「時候の挨拶」「宛先」「本文」のように、文章を構成する適当なまとまりの構造とそれらのレイアウトを直感的に認識することができないし、必要に応じて下位の構造を展開して閲覧することもできない。したがって、文章を分かり易く閲覧することができないという問題があった。
5.視覚障害者が、自分の意志で必要な情報を選択して閲覧できるためには、図書館のように複数の文書が階層的に分類されている中から、所望の文章を適切に選択できる方法が提案されなければならない。また、文章の所望の部分を簡単に指定して、その詳細を閲覧する方法が提案されなけらばならない。しかしながら、従来例Aでは、1ないしは2の表示ドット1aに1つの文字を対応付けて複数行の文字列のレイアウトを確認できる技術が開示されているのみであり、従来例Bは、プログラムのウインドウの構造を表現するための技術が開示されているのみであり、上記の課題は達成されていない。
6.表示状況に応じてキートップの設定状態を変えると効果的な場合がある。例えばそのキートップを操作すると他のキートップに表示が展開可能であることを示したり、他のキートップに展開表示されているか否かを示すために、キートップの設定状態を変えると効果的である。しかしながら、従来例ではこれができない。
7.従来例Aでは、表を表示ドット1a表現する際に、文字と罫線を区別するために空白行を用いているが、この方式では多くの表示ドット1aが必要になるという問題があった。
8.従来例では、表示ドット1aや触覚ピン3の表示形態を確認しようと触るだけでテキストやウインドウ名称などの音声が発生するのでわずらわしいという問題があった。
9.従来例Aでは、文章の内容を修正するには、ワードプロセッサソフトで文章を編集し直す必要があり操作が煩雑である。触覚ディスプレイで閲覧している文章の修正箇所を指定して修正情報を簡単に入力する方法が求められているが従来例ではそれができない。
10.多数の触覚ピンで白黒写真をレリーフ状に表現するアイデアが従来から提案されているが、従来例Aのように比較的少ない表示ドット1aでは、写真の微細部分を表現するのは困難であるという問題があった。
11.従来例Bには、ウインドウ内の部品の階層構造を触覚セル1内の触覚ピン3により表示する技術が開示されているが、階層構造を有する情報を入力して触覚ディスプレイで表示するための情報処理方法が示されておらず達成方法が不明であるという問題があった。
12.従来例には、突出高さを独立して制御可能な表示ドット1aや触覚ピン3の具体的な構成が示されていないが、突出量を個別に駆動制御するためには、多数のアクチエータと複雑な機構が必要になり、コスト高で装置が大きくなるという問題があって、装置の普及の妨げになっている。
本発明は上記に掲げた従来の問題を解決できる、視覚障害者用情報処理装置及び触覚入出力装置を提供することを目的としている。
発明の開示
上記の技術課題を達成するために、本発明の請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置は、各別に設定された所定の領域における指先での触覚動作に基づく識別状態を2以上の状態に設定可能であるとともにその所定の領域への操作を検出可能に構成された行方向と列方向の2次元マトリックス状に配置された複数の触覚操作手段と、前記所定の領域における操作に基づき所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力する操作信号抽出手段と、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を複数のブロック単位情報で分割して記憶するとともに該ブロック単位情報と前記複数の触覚操作手段との対応関係を示す触覚操作手段対応関連情報を記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に所定の情報を設定する情報設定手段と、前記情報記憶手段の触覚操作手段対応関連情報を入力して前記触覚操作手段設定手段に触覚操作手段設定情報を供給する触覚操作手段設定情報供給手段と、触覚操作手段設定情報に基づき前記複数の触覚操作手段をそれぞれ所定の状態に設定する触覚操作手段設定手段と、音声関連情報を入力して音声を発生する音声発生手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段に対応したブロック単位情報を前記情報記憶手段から読み出して音声関連情報を抽出して前記音声発生手段に供給する音声関連情報供給手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段にもとづき前記情報記憶手段の内容を変更する情報変更手段とからなることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、2次元平面に展開可能な構造を有する情報を視覚障害者が閲覧する際に、情報をブロック単位情報に分割して記憶するとともに、触覚入出力装置の触覚操作手段にそれらのブロック単位情報を対応付け、操作に係る触覚操作手段に関連付けられたブロック単位情報を音声で表示することができるので、限られた数の触覚操作手段しか備えられない触覚入出力装置でその触覚操作手段の数よりはるかに多くの文字を含んだ情報でも、効果的に閲覧できるという優れた効果がある。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置において、1つ以上の前記ブロック単位情報は、表示に関する情報である表示情報と、その表示情報に関する属性情報である属性情報とを含むとともに、前記操作信号抽出手段は、表示情報を閲覧するための操作に基づく表示閲覧信号と、属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出するとともに、前記音声関連情報供給手段は、前記表示閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の表示情報に関連した音声を発生し、属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作された触覚操作手段に関連付けられているブロック単位情報の属性情報と表示情報を操作に対応して選択的に閲覧できるので、関心のある部分の属性情報を選択的に閲覧できる。したがって、いちいち全内容を閲覧しなくてもその情報の概要を効率よく閲覧できるという効果がある。特にその触覚操作手段が属するブロック単位情報に含まれる情報量として、ブロック単位情報に含まれる文字数や下位の階層に含まれるブロック単位情報の数を事前に把握するなどの応用が可能で、情報を効率的に閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報は複数の単位機能で構成される所定の装置の機能に関連する情報を含み、1つ以上の前記ブロック単位情報は、該単位機能の実行に関する単位機能情報と、単位機能の属性情報である属性情報とを含み、前記操作信号抽出手段は、単位機能を実行するための操作に基づく単位機能実行操作信号と属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出し、前記音声関連情報供給手段は属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生し、単位機能を実行する単位機能実行手段を備え、該単位機能実行手段は単位機能実行操作信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報に含まれる単位機能情報に基づいて単位機能を実行することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、所定の装置の階層的に分類された複数の単位機能の概要を閲覧しながら、所望の単位機能を適切に選択して実行させることができるという効果がある。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記ブロック単位情報は、1つのブロック単位情報が1つ以上の下位のブロック単位情報に関連付けられるように階層的に構成可能であるとともに、前記操作信号抽出手段は、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を展開する操作に基づく下位階層展開信号を抽出可能であるとともに、前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層のブロック単位情報が新しく触覚操作手段に対応されるように、少なくとも前記触覚操作手段対応関連情報を変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、所定の階層に属するブロック単位情報を選択して触覚操作手段に関連付けて表示できる。そのため、何階層にも及ぶ複雑な構造を有する情報も、認識しやすい表示形態の複数の画面で階層的に表示でき、複雑な情報も見通しよくわかりやすく閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段対応関連情報は、対応する階層に含まれる複数のブロック単位情報が表示ないしは印刷される際のレイアウトに対応して設定されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の位置が、その触覚操作手段に関連しているブロック単位情報の内容が記載ないしは印刷される場所を示すので、その情報に含まれるレイアウトを触覚操作手段の配置で直感的に把握できるという効果がある。
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段対応関連情報は、触覚操作手段の配列の一方向の並びにはデータの階層構造の深さ方向が対応付けられ、それに直行する方向の並びには同一の階層に含まれるブロック単位情報の列挙方向が対応付けられていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、図書館の図書分類のうに、閲覧すべき文書データが階層的に分類されている場合に、それらの階層構造を2次元的に表現できるので、所望の文章を簡単に分かりやすく選択できるという効果がある。
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を、操作された触覚操作手段以外の触覚操作手段に対応付けるように、前記触覚操作手段対応関連情報を変更するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、上位の階層の表示が維持されるので、新しく展開された階層の表示と、その上位の階層の表示の関係が理解しやすいという効果がある。
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項4から請求項7の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段が設定される識別状態は、少なくとも3以上の状態に設定可能であるとともに、少なくとも1つの識別状態は、所定の触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である旨またはすでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を示すために使用されることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、下位階層に対応付けられている触覚操作手段とそうでない触覚操作手段とを明確に識別できるという効果がある。
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、その触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である場合に、展開されていない状態と、すでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を別の識別状態に設定可能であることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、下位階層に展開されていることを前提としてその触覚操作手段を使用する場合に、すでに展開されているかそうでないかを、その触覚操作手段の設定状態によって示すことができるという効果がある。
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は複数の群に分類されるとともに、前記音声関連情報供給手段は、属性情報に関連した音声を発生する際に、操作された触覚操作手段が属するグループとそれ以外のグループとを識別するために各ブロック単位情報に割り当てられた領域識別音を出力することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、各ブロック単位情報が属する群が占めるレイアウト上の領域を、属性情報を聞くだけで正確に把握できるという効果がある。
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段設定手段は、設定動作状況を音声で認識可能なように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の設定動作中を聴覚で確認できるので、表示が正しくない状態の際に表示を誤認したり誤操作しないように、警告が行えるという効果がある。
また、本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、所定の基準平面からの操作部の突出高さの状態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚により直感的にその設定状態を識別できるし、設定状態を区別させるために高さ方向への変化で実現できるので、平面方向に見て少ないスペースで多数の設定状態を表現できるとという効果がある。
また、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に設定された操作部への押下操作に基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段を複数の設定状態に設定するために機械的な可動部材を必要とせず、単なるプッシュスイッチで構成でき、用途によっては安価な装置を製造できるという効果がある。
また、本発明の請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、各別に設定された所定の領域に触れる指先に振動を伝達可能な振動手段を備え、前記触覚操作手段は、該振動手段の振動態様により複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、識別状態を振動の態様で表現できるため、多数の触覚操作手段を備える装置を安価に製造できる可能性があるという効果がある。
また、本発明の請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に指先が接近したことを検出する指先検出手段を含み、前記振動手段は、該記指先検出手段が指先の接近を検出することに基づき前記振動動作を行うことを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段毎に振動手段を配設させた場合には振動させる必要がある振動手段を少なくできるので消費電力が少なく振動に伴う騒音が少ないという効果がある。また、複数の触覚操作手段を共通に振動させる振動手段を設け、触覚している触覚操作手段に設定されている識別状態に対応した振動態様で駆動させる構成を採用することで、少ない振動手段で構成することが可能になるという効果がある。
また、本発明の請求項16に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に配設された触覚で認知可能な突起などの触覚部と、該触覚部の近傍に指先が接近したことを検出する指先検出手段とを含み、該記指先検出手段が指先の近接を検出することに基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、触覚操作手段の触覚動作に基づく発音により設定されている識別状態を識別でき、機械的な可動部材を必要とせず、安価な装置を製造できるという効果がある。
また、本発明の請求項17に記載の発明は、請求項1から請求項16の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の押下操作を検出するように構成されていることを特徴としている。
このように構成したことにより、触覚操作手段の設定状態を確認するための触覚操作だけで対応付けられた情報に関する音声が再生されてしまうという不都合がないので、レイアウトの確認に集中できる上に、触覚して確認できた触覚操作手段から指を離さなくてもそのまま押すだけで操作を入力できるので使いやすいという効果がある。
また、本発明の請求項18に記載の発明は、請求項1から請求項17の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、操作された触覚操作手段の位置に応じて、複数の触覚操作手段の設定動作の順序を変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作された触覚操作手段の設定変更を後回しにして、触覚操作手段の設定動作に影響を与える不安定な状態をやりすごすことができるという効果がある。
また、本発明の請求項19に記載の発明は、請求項1から請求項18の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の存在を検出する指先検出手段を含み、該領域外に設定された領域での補助入力操作を検出する補助操作手段が設けられ、前記操作信号抽出手段は、指先検出手段の検出結果と補助操作手段からの補助入力操作に基づき、所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、複数の操作態様を検出するための検出装置が触覚操作手段毎に必要なくなり、装置を簡潔に構成できるという効果がある。
また、本発明の請求項20に記載の発明は、請求項1から請求項19の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、更新情報を入力する更新情報入力手段を備えるとともに、前記情報変更手段は、操作された触覚操作手段にもとづきその触覚操作手段に関連した前記情報記憶手段の記憶内容を該更新情報入力手段から入力した情報に基づき変更することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、修正したい部分を簡単に指示しながら、その内容を修正できるという効果がある。
また、本発明の請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記更新情報入力手段は、マイクから入力した音声信号からテキスト情報を抽出する音声入力手段を備えていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、修正する情報を音声で入力できるので、触覚入出力装置から手を離さずに情報が入力できて使いやすいという効果がある。
また、本発明の請求項22に記載の発明は、請求項1から請求項21の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、装置の使用時間情報を積算する使用時間積算手段を備え、積算時間情報に基づき装置の保守作業を指示する動作を起動することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、装置の外観を視覚で確認できない視覚障害者でも、装置の清掃など、適切なタイミングで保守作業が行えるという効果がある。
また、本発明の請求項23に記載の発明は、請求項1から請求項22の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、前記情報設定手段または前記情報変更手段は、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を入力する情報入力手段と、入力した情報に含まれる構造記述子に基づき情報を複数のグループに分割するグループ分割手段と、前記複数のグループ間に親子関係がある場合にその階層構造を抽出する階層構造抽出手段と、前記グループに含まれる情報が表示または印刷の際に領域を占める場合にその領域に関する情報を求めるグループ領域抽出手段と、グループ領域抽出手段と前記階層構造抽出手段の抽出結果に基づいて、前記複数のグループといずれかの階層の表示状態で使われる少なくとも1以上の触覚操作手段との対応関係を設定するマッピング手段とを備え、前記グループに含まれる情報ならびに前記マッピング手段で設定された情報に基づき前記ブロック単位情報ならびに対応関連情報を設定することを特徴としている。
このような構成にしたことにより、閲覧したい情報があらかじめ記憶手段にブロック単位情報として記憶されていなくても、必要に応じ、2次元平面に展開可能な構造に着目してグループに分割され、階層構造やグループの領域情報を考慮しながらマッピング手段が触覚操作手段に関連付け、ブロック単位情報が設定されるので、すでに外部に存在する2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を効率よく閲覧できるという効果がある。
また、本発明の請求項24に記載の触覚入出力装置は、1つの駆動モーターで複数の昇降式キートップを選択的に駆動するために駆動力の伝達経路の途中に機械的なクラッチ機構を含めるような構成を含む触覚入出力装置において、フレームと、モーター取り付けフレームと、前記モーター取り付けフレームに固定された複数の駆動モーターと、駆動モーター制御手段と、前記駆動モーターの出力軸に取り付けられた駆動力出力部と、操作入力部を有した昇降式キートップ、前記駆動力出力部と連結して駆動力を入力し前記昇降式キートップを昇降させる昇降式キートップ昇降手段、昇降式キートップを触覚する指先の押下操作を検出する操作検出手段で構成され、前記駆動モーター1つに対してそれぞれ複数フレームに配置されたキーユニットと、前記フレームと前記モーター取り付けフレームとを回転を伴わない平行方向に相対的に駆動して、前記駆動モーターに対応してフレームに配置された複数のキーユニットの中の任意のキーユニットの昇降式キートップ昇降手段に、該駆動モーターの駆動力出力部を連結させる位置決め駆動手段と、から構成されていることを特徴としている。
このように構成したことにより、位置決め駆動手段が、フレームとモーター取り付けフレームとを相対的に移動駆動して、複数の駆動モーターそれぞれに対応した複数のキーユニットの任意のキーユニットのキートップ昇降手段に駆動モーターの駆動力出力部を連結させるので、キーユトップの数より少ない数の駆動モーターで装置に備わる任意の位置のキートップを昇降制御できるという効果がある上、従来の装置のように駆動力を伝達するのにラックのような中間部材を必要とせず、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、位置決め駆動手段は、モーター取り付けフレームをフレームに対して相対的に移動させる機構のみで実現できるので、従来のように列毎に配置させたクラッチ機構を必要とせず、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、フレームとモーター取り付けフレームは、回転を伴わない平行方向に相対的に駆動されるので、複数の駆動モーターをモーター取り付けフレームへ適切な位置に固定しておけば、複数の駆動モーターにおける連結動作が、同時にかつ正確に行うことができるという効果がある。
また、本発明の請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の触覚入出力装置において、前記キーユニットは、対応した駆動モーターの駆動力出力部を中心とした四角形の頂点に配置されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、駆動力出力部が位置決め駆動手段の作用によりキートップ昇降手段に回転駆動力を直接伝達できるため、従来のように回転駆動力をラックなどで列方向に伝達する手段が不用であり、部品数が少なく、機械的にも簡易な構成で信頼性が高いという効果がある。
また、4つのキーユニットに1つの駆動モーターを必要とするだけであるとともにそれらがキーユニットの配置ピッチの倍のピッチで配置できるので、多少直径の大きい駆動モーターを使用しても、キーユニットの配置ピッチを狭くすることができ、特に縦横のピッチを等しくして正方形の頂点にキーユニットが配置される場合は、正方形の中心に駆動モーターを配置すると、一般に駆動モーターは円形なので、前後左右の隙間のバランスがよく駆動モーターを効率的に配置できるという効果がある。
また、本発明の請求項26に記載の発明は、請求項24または請求項25に記載の触覚入出力装置において、前記駆動モーターはパルスモーターであり、前記駆動力出力部は該駆動モーターの回転出力軸に固着された駆動歯車であり、前記昇降式キートップ昇降手段は該駆動歯車に噛合して回転駆動される被駆動歯車で構成され、前記キーユニットは、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車が正常に噛合する第1の取り付け状態と、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車の歯先の当接を吸収するためにフレームに対して変位した第2の取り付け状態との2つの状態を取り得るとともに、該第2の取り付け位置から弾性体の付勢力により該第1の取り付け位置へ復元させるように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、駆動力が歯車により同期伝達できるとともに、歯車の噛合が解除されているときに何らかの原因で被駆動歯車が盲動して被駆動歯車歯先どうしが当たる状況になっても、第2の取り付け位置に退避でき、かつ歯先どうしが当たらない状態になれば、弾性体により第1の取り付け位置に復帰されるので、歯先が破壊されないし、歯車の同期伝達が維持されるという効果がある。
また、本発明の請求項27に記載の発明は、請求項26に記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップは、その上部が前記フレームに形成されたガイド孔により上下方向に摺動可能にガイドされその下部は前記昇降式キートップ昇降手段に連結されるとともに、前記被駆動歯車の水平方向への退避動作に伴い該ガイド孔にガイドされた部分を中心に揺動するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、請求項26の構成を実現する上で、被駆動歯車がフレームに対して退避のために移動しても、昇降式キートップの上部を中心に僅かに揺動するだけで吸収でき、構成が簡潔にできるという効果がある。
また、本発明の請求項28に記載の発明は、請求項25から請求項27の何れかに記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップは上部に押下操作を入力する部分が形成され、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、ねじ結合またはカム接触により連結されて前記昇降式キートップ昇降手段の回転に伴い前記昇降式キートップが前記昇降式キートップ昇降手段に対して上下方向に昇降するように構成され、昇降式キートップ昇降手段の一部は、前記操作検出手段に接触して下側から支持され、前記昇降式キートップに入力された押下操作が昇降式キートップ昇降手段を介して操作検出手段により検出されるように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作検出手段は、昇降式キートップの昇降高さの基準を提供するとともに、昇降式キートップに入力された押下操作を検出する機能を提供できるという効果がある。
また、本発明の請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の触覚入出力装置において、前記昇降式キートップ昇降手段は前記フレームに対して上方への移動を規制されているとともに、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、前記昇降式キートップが降下して昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さに達するのに伴い前記昇降式キートップ昇降手段の下面で前記操作検出手段と接触する部分で前記操作検出手段を押下する原点押下手段が突出するように構成され、該原点押下手段が前記操作検出手段を押下したことを検出することで前記昇降式キートップの昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さを検出するように構成されていることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、操作検出手段が昇降式キートップ昇降手段の作動に必要な基準位置を検出する手段を兼ねて、部品点数が減少し、装置の小型化が可能になるという効果がある。
また、本発明の請求項30に記載の発明は、請求項1から請求項23の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置において、少なくとも前記情報記憶手段に含まれる対応情報を含んだ情報であって、利用者の操作の履歴が反映された装置の状態を再現可能な状態情報を不揮発性の記憶手段に記憶する状態情報記憶手段と、記憶された状態情報を読み込んで装置の状態を再現する状態情報読込手段とを備えることを特徴としている。
このような構成にしたことにより、情報を閲覧するために利用者が行った操作に基づいて変化した装置の状態を容易に再現できるという効果がある。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
図1は本発明のクレーム構成図であり、図2は本発明の視覚障害者用情報処理装置の構成を示すブロック構成図である。
図2において、触覚入出力装置100は、視覚障害者が触覚で情報のレイアウトを閲覧したり入力操作を行うための触覚入出力装置であり、信号ケーブル1aを介してパソコン200に接続されている。パソコン200は、内蔵する制御プログラムに基づき動作し、ワードプロセッサなどで作成された文章や表のデータを、交換可能な記録媒体であるフロッピーディスク(以下FDと称す。)から入力するとともに、後述する動作内容にしたがって所定の処理を行うように構成されている。情報は、インターネットのサーバーからモデム206を利用して入力してもよい。
また、音声合成回路208は音声を合成して、ヘッドフォン型のスピーカー300に出力する。このスピーカー300は、音場表現に優れた4チャンネルスピーカーであり、左前スピーカー300aと左後スピーカー300bが使用者の左耳に、右前スピーカー300cと右後スピーカー300dが使用者の右耳になるように配置されている。また、スピーカー300にはマイク400が取り付けられていて、信号線により音声入力回路209に接続されている。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例を説明する前に、本出願人により平成10年9月22日に日本国特許庁へ出願された、特願平10−268805(本出願の優先権主張に係る出願の一つである)に記載の触覚入出力装置(以下従来例と称する)の特徴と問題を簡単に説明する。
上記明細書の記載から明らかなように、従来例の特徴は、1個のパルスモーターにより列方向に直線的に駆動されるラックに沿って複数のキートップを配置し、任意のキートップのクラッチギアがラックに噛み合い可能にすることで、1つのパルスモーターで複数のキートップの高さ方向の駆動を可能にするとともに、複数のクラッチギアのラックへの噛み合いを、クラッチ板とソレノイドからなる切換機構で行っていることにある。
また、行方向にパルスモーター及びラックをそれぞれ複数配置し、同一の列に含まれるキートップに同時に切換機構が作用するようにクラッチ板を配置・構成することで、N行xM列の昇降式キートップを、N個のパルスモーターとM個のソレノイドの共同動作により、それぞれ独立的に駆動制御可能にしていることにある。
しかし残念ながら、従来例では1行毎に駆動力を伝達するためのラックが必要となる上、パルスモーターの駆動力を切換えるための機構が列数分必要になり、部品点数が多くなり、コスト高であるという問題があった。
また、従来例では、ラックの幅、クラッチギアの直径、切り換えのための間隔の合計寸法が、キーユニットの配置間隔を決定していたので、キーユニットを狭いピッチで配置するには、クラッチギアの直径を小さくし、ラックの幅を狭くする必要があった。しかしながら、クラッチギアの直径を小さくすると、駆動モータに必要なトルクが増大してモーターが大きくなるし、ラックの幅を狭くすると、列方向に長いラックの直線度が維持しにくいという問題がある。
また、クラッチ動作を確実に行うためには、ラックとクラッチギアの噛み合い位置は正確でなければならないが、従来例では、複数のラックや複数のクラッチギア、クラッチ板を、正確に位置決めして案内する必要があり、高い部品精度と組み付け精度が必要でありコスト高になるという問題がある。
従来例の特徴は、キートップの数が多いほど駆動モータを節約できる。しかし、キートップが比較的少ない場合はその利点よりも上述の欠点の方が顕著であった。
そこで発明人は、従来例に見られる問題点、すなわち、
1.部品点数が多くなりコスト高になるという問題点。
2.独立して案内駆動される部材が多いのでそれらの案内のための機構が複雑になり機械的なトラブルが発生する可能性が高く信頼性が低いという問題点。
3.昇降式キートップの配置ピッチを狭くしにくいという問題点。
4.高精度の部品と高い組み付け精度が必要であるという問題点。
を解決するために努力を重ね、下記に説明する触覚入出力装置を発明するに至った。
次に、図面に従って、触覚入出力装置の第1の実施例を説明する
図36は、触覚入出力装置の上面図である。図37は、図36のA−A断面図である。図38は、4つのキーグループを図37のA−A断面の上方から見た図である。図39は、4つのキーグループを図37のB−B断面の下方から見た図である。図40は、電子基板の4つのキーグループに対応する部分を図37のC−C断面の上方から見た図である。図41は、4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギアの位置関係を、図37のD−D断面の下方から見た図である。図42は、位置決め駆動手段の機構を示す図である。図43は、昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。図44から図48は、モーター取り付けフレームがそれぞれ、基準位置、左上位置、左下位置、右上位置、右下位置の際の4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギアの位置関係ならびに位置決め駆動手段の機構の位置関係を図37のD−D断面の下方から見た図である。図49は、操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
実施例では、図36に示すように64個の複数のキートップを8行x8列のマトリックス状に15mmピッチで配置している。そして、これらの複数のキートップはマトリックスの最小正方形を構成する4つのキートップで構成される複数のキーグループにグループ化されている。実施例では、行方向に4グループ、列方向に4グループ、合計16のキーグループの配列で構成されている。
フレーム2は、装置の基礎となる略平板状の部材であり、樹脂やアルミニウム、真鍮などの非磁性体で製作されていて、表面には図37に示すように、キートップの位置に対応して上面から下面に貫通するガイド孔3がそれぞれ形成されている。このガイド孔3は、フレームの上面から板厚中間部にかけて図38に示すように、平行幅w1、長さt1、半径r1=w1/2、深さD1からなる長孔Aが形成されていて、板厚中間部からフレーム下面にかけては図39に示すように、平行幅w2、長さt2、半径r2=w2/2、深さD2からなる長孔Bが形成されていて、長孔Aと長孔Bによりフレームの上面と下面に貫通するガイド孔3が形成され、後述する昇降ギア5と昇降ピン7が挿通される。
ここで、ガイド孔の長孔Aと長孔Bの長手方向は、そのガイド孔が属するキーグループにおける正方形中心(図38及び図39におけるX点)を中心として放射状に設定されている。フレームの下面には、図39に示すように、各キーグループに属する4つの長孔Bにそれぞれ交差する位置でX点を中心とする円周状の深さ1mmの溝4が形成されている。
昇降ギヤはボス部を有した平歯車であり、ガイド孔の長孔Bに昇降ギヤのボス部が挿通される。実施例の平歯車は、モジュール0.5mm、歯数24である。昇降ギヤの中心にはネジ穴6が形成されていて、図37に示すように上方から鉄などの磁性材料で製作された昇降ピンのネジ部がねじ込まれている。昇降ピンのネジ部長さは、昇降ギヤのボス上面から下面までの距離より1mm長く、昇降ピンをいっぱいねじ込むと、昇降ピンのネジ部先端7aが昇降ギヤの下面から1mm突出する。昇降ピンの頭部7bは、対辺幅がt1の六角形状をなし、図38に示すようにガイド孔の長孔Aの平行幅t1に嵌合して回転を規制されている。この昇降ギヤは、請求項24に記載の「昇降式キートップ昇降手段」に相当する。また、キートップと昇降ピンは同じく「昇降式キートップ」に相当する。
前記円周状の溝4の内部と昇降ギヤの歯部上面との隙間には、円環状のスプリング8が配置され、キーグループに属する4つの昇降ギヤのボス部に掛けられ、それぞれのボスを長孔Bの一方の側(点Xの方向)へ所定の力で付勢している。
フレームの下面には、電子基板11がスタッド9によりフレームに対向して平行に取り付けられている。図40に示すように、電子基板の上面には、複数のプッシュスイッチがその押下入力部の中心が昇降ギヤの中心と一致するような位置で、所定のプリント配線パターンにはんだ付けされている。図37に示すように、スタッドの高さはプッシュスイッチの非動作時の押下入力部の上面が昇降ギヤの下面に接するように設定されている。実施例では、プッシュスイッチの押下動作寸法は、0.5mmであるとする。
昇降ギヤはフレーム下面で上方への移動を規制されているので、昇降ピンが昇降ギヤにねじ込まれて昇降ギヤの下面から突出するとその突出にともないプッシュスイッチが押下され、0.5mm突出した位置でプッシュスイッチが作動する。以下この状態を、昇降ギヤの原点位置と称し、この際の昇降ピンの高さを、昇降ピンの基準位置と称する。
電子基板11には、所定のプリント配線パターンが形成され、パルスモーター駆動用の電子部品が配置され、パソコン200から制御されてパルスモーターが駆動される。この電子部品は外部の制御装置とともに機能して請求項24記載の「駆動モーター制御手段」を構成する。
電子基板11の下面には、絶縁シート13を挟んで、電子基板に平行に対向して、モーター取り付けフレーム14が配置されている。モーター取り付けフレーム14には、穴14aが形成されている。この穴を貫通してモーター取り付けフレーム支持軸10がフレームに取り付けられ、その先端部のE型止め輪15とモーター取り付けフレーム下面との間に、円錐圧縮ばね16が取り付けられ、モーター取り付けフレーム14を下側から支持してわずかな力で絶縁シートの方へ押圧するような所定の強さに設定されている。
またモーター取り付けフレーム支持軸10の下端面には、上面が開放した箱状の下カバー20がねじで固定され、フレーム2とともに箱状の装置形状をなしている。
モーター取り付けフレーム14の下面には、パルスモーター18が、4行x4列のマトリックス状に30mm間隔で、合計16個配置されている。それぞれのパルスモーターの回転出力軸18aは、モーター取り付けフレーム14及び電子基板11の逃がし穴を通過して電子基板11の上部へ突出し、ピニオンギア19が固着されている。実施例では、モジュール0.5mm、歯数12のギヤが使用されている。このピニオンギアの歯数は、パルスモーターを所定の励磁パターンで励磁した際に同じ歯車位相で停止するように、例えば24パルス/回転のパルスモーターを使用して、ピニオンギアの歯数を12歯とすると、パルスモーターの各コイルを順方向に励磁した基準励磁位置(ローターの停止位相は全周で6個所存在する)では、いつも同じ歯車位相となる。
パルスモーター18は、請求項24に記載の「駆動モーター」に相当し、ピニオンギア19は、請求項24に記載の「駆動力出力部」に相当する。
図41に示すように、パルスモーター18は、モーター取り付けフレーム14が基準位置に位置するときに、4つの昇降ギヤを頂点にした正方形の中心とピニオンギア19の中心が一致するように取り付けられ、昇降ギヤとピニオンギアの間に所定の隙間が確保されるようになっている。そして、モーター取り付けフレーム14を前後左右へ移動すると、図45から図48に示すように、ピニオンギアと4つの昇降ギヤのひとつの昇降ギヤとが噛合する。
次に、フレーム2とモーター取り付けフレーム14を相対的に移動駆動する位置決め駆動機構に付いて説明する。
図42に示すように、モーター取り付けフレーム14には、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22が取り付けられている。前後駆動用パルスモーター21の回転出力軸にはタイミングプーリ23が固定されていて、その上端部には回転軸とDYだけ偏心した位置に前後駆動軸24が形成され、フレームの下面に形成された横長の前後駆動溝2bに係合している。
左右駆動用パルスモーター22の回転出力軸には、左右駆動プーリ25が固定されていて、その上端部には回転軸とDXだけ偏心した位置に左右駆動軸26が形成され、フレームの下面に形成された縦長の左右駆動溝2cに係合している。
第2のタイミングプーリ30は、モーター取り付けフレーム14に立設されたプーリ軸28に回転自在に取り付けられ、タイミングベルト29がタイミングプーリ23と第2のタイミングプーリ30との間に張設される。
第2のタイミングプーリ30の上端部には、回転軸とDXだけ偏心した位置に第2の前後駆動軸31が形成され、フレームの下面に形成された横長の第2の前後駆動溝2dに係合する。
また、タイミングベルト29は、タイミングプーリ23及び第2のタイミングプーリ30の回転に伴い前後駆動軸24及び第2の前後駆動軸31により生じる前後方向の移動が同期して生じるように位相が調整されて張設されている。タイミングプーリ23と左右駆動プーリ25は、図示しない原点検出センサーに基づき原点位置へ位置付けされると、前後駆動軸24と左右駆動軸26が図44に示すような回転位置になるように取り付けられている。
以上のように、前後駆動溝2bならびに第2の前後駆動溝2dはともにガイド方向が平行な横長の溝なのでモーター取り付けフレーム14を左右方向へ回転を伴わずに平行にガイドするとともに前後方向の位置を規制する。また、左右駆動溝2cは縦長の溝なのでモーター取り付けフレーム14の前後方向の移動を許容しながら左右方向の位置を規制している。
従って、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を適当に駆動すると、モーター取り付けフレーム14をフレーム2に対して回転移動を伴わない平行移動させることができる。
ここで、DX及びDYを、ピニオンギア19と昇降ギア5を噛み合わせるのに必要な寸法に設定すれば、複数のパルスモーター18のピニオンギア19は、キーグループに属する4つのキーユニットの昇降ギア5に選択的に噛合させることができる。
このように、モーター取り付けフレーム14はフレーム2に対して回転移動を伴わずに前後左右に平行に移動駆動されるので、それぞれのパルスモーター18のピニオンギア19と昇降ギア5の噛合動作が、同時にかつ正確に行えるという作用があり、従来のように複数の案内機構を必要とせず、部品数が少なく、安価であるという優れた効果がある。
また、噛合の際にピニオンギア19と昇降ギア5の歯先が干渉しても、昇降ギア5のボス部が円環状のスプリング8に抗して長孔Bに沿って退避するので、歯車の歯先が破壊されることはない。また、ピニオンギア19の回転に伴い歯先の干渉が解除され、歯が噛合可能になるとスプリング8の作用で元の位置に復帰するので、噛合が不能になることもない。
次に、操作パネル32に付いて説明する。操作パネル32は、樹脂やアルミニウム、真鍮などの非磁性材料で製作され、フレーム2の上面に着脱可能に装着される平面状のパネル部材であり、表面にはキーユニットの配置位置に対応した位置に複数の貫通穴32aが形成れ、キートップ1がそれぞれ挿通されている。
キートップ1の内部には磁石33が埋め込まれている。昇降ピン7は鉄なので、誤って使用者が装置をひっくり返しても、キートップ1は昇降ピン7に吸着されて落下・散乱しないという作用がある。
操作パネル32の上面には、紙などの汚れ防止シートが貼付されていて、汚れたら交換できる。従って、いつもさらさらの触感が確保されるので、使用感が向上する。
次に、上記のように構成された触覚入出力装置の初期化動作に付いて説明する。
まず、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を原点位置へ駆動すると、モーター取り付けフレーム14はフレーム2に対して図44に示す基準位置に位置決めされる。次に、前後駆動用パルスモーター21と左右駆動用パルスモーター22を回転駆動させ図45に示す状態にする。すると複数のパルスモーター18のピニオンギア19が、それぞれ対応するキーグループの図中左上の昇降ギア5と噛み合う。
次に、パルスモーター18を駆動して昇降ギア5を回転させ、昇降ピン7が下降してプッシュスイッチ12を作動させて基準位置を検出したら、所定の角度逆方向に駆動して図43に示す平面位置にする。
この動作を、図45〜図48に示す噛み合い位置において同様に実施し、すべてのキーユニットを平面位置にする。部品の寸法誤差や使用者の感覚の違いにより、キートップ1が操作パネル2の上面と同じ高さに感じない場合は、後述する制御プログラムにより所定の補正値を設定して記録し、その値に応じて補正駆動すればよい。
次に、キーユニットのキートップ1を突出させる動作に付いて説明する。
まず初期化動作と同様に、図45に示す位置にモータ取り付けフレーム14を位置決めする。そして、パルスモーター18と噛合しているキーユニットで、突出させるキートップ1をそれぞれ所定の高さに突出させる。この動作を、図46〜図48に示す位置について実施する。
このように、パルスモータ18の回転駆動力を切換える動作を4回行うだけで、すべてのキーユニットを任意の位置に設定できる。
この際、何回に一回は、昇降ピンを基準位置へ移動し、噛み合いに伴う歯の位置ずれを解消させて位置ずれが累積しないようにするのが望ましい。
すべてのキートップ1が所定の高さに設定されると、使用者は、キートップ1の突出状態を触覚認知しながらキートップ1の上面を押下すると、昇降ギア5を介してプッシュスイッチ12が操作されてキー操作が入力できる。
次に、本発明の操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて図49を参照しながら説明する。フレーム2には、平行幅w1、長さt1、半径r1=w1/2、からなる長孔35がフレームの板厚の全体にかけて貫通形成されている。昇降ピン34の下部には、昇降ギア5のねじ穴に結合するねじ部を有し、上部には、鍔部34aと縦リブ34bが形成されたキートップ部34cを有している。
操作パネル32の貫通穴32aは、キートップ部34cと若干の隙間を持って挿入されるように縦リブ34bが嵌まる凹部を有し、昇降ピン34の回転を規制している。キートップ部34cは貫通穴32aにより上下方向に摺動ガイドされるとともに、昇降ギア5の退避動作にともなう昇降ピン34の揺動を許容するようになっている。
また、昇降ギア5の回転に伴い昇降ピン34が上昇すると、昇降ピン34の鍔部34aが操作パネル32の下面に当接し、昇降ピン34の上昇を規制する。さらに昇降ギア5が回転駆動されると、昇降ギア5が下方向に移動し、昇降ギア5の下面がプッシュスイッチ12の押下入力部の上面を押し、スイッチがONになり、昇降ピン34の高さ基準を検出できる。
なお、昇降機構を採用せず、操作平面から突出したキートップへの押下操作を検出するスイッチのみで構成し、所定のキートップが押下されたのに基づき、そのキートップに対応付けられた識別状態に応じた音声を出力することで、複数の識別状態を構成してもよい。その場合操作の入力は、補助入力スイッチを利用するなどの配慮が必要である。これは、請求項13に記載された発明に相当する。
次に図面にしたがって、請求項16、請求項19にそれぞれ対応した、触覚入出力装置の第2の実施例を説明する。
図50は触覚入出力装置の第2の実施例の構成を示す図であり、図51はワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図50に示した触覚入出力装置は、タッチパネル150とワンチップマイコン153を備え、タッチパネルの表面に触れる指先の押圧位置を検出してワンチップマイコン153へ出力されるようになっている。タッチパネル150は広く周知であるので詳細な説明は省略する。
タッチパネル150の表面には、所定の間隔で複数の凸状の突起151が形成され、指先で触ることでタッチパネル150の表面における位置を識別できるようになっている。凸状の突起151は、請求項16に記載の「触覚部」に相当する。
タッチパネル150の突起151を指先で触れると、指先の位置が検出されるので、利用者がどの突起151を触っているか検出できる。この構成と機能は、請求項16ならびに請求項19に記載の「指先検出手段」に相当する。
また、タッチパネル150の近傍には、操作信号を入力する際に同時に操作されるシフトスイッチ157及び第2のシフトスイッチ158が備わっている。シフトスイッチ157ならびに第2のシフトスイッチ158は、請求項19に記載の「補助操作手段」に相当する。
また、ワンチップマイコン153に内蔵されたROM154には、図51に示すフローチャートに基づき動作する制御プログラムが記憶されている。
まず、S300で、触覚操作手段設定情報供給手段から供給された触覚操作手段の設定情報が、パソコンのI/Oポートからワンチップマイコンに入力され、RAM155に記憶される。次にS301において、指先検出手段からの信号を入力して指先が接近した触覚操作手段の位置を判別し、続くS302においてその触覚操作手段の設定情報に応じてブザー156から所定の音声を出力させる。
次に、シフトスイッチ157を押しながら特定の突起151を触るか、特定の突起151を触りながらシフトスイッチ157を押すと、S303においてクリック動作を示す操作が検出され、クリック動作を示す操作信号がパソコン200へ出力される。
一方、特定の突起151を触りながら第2のシフトスイッチ158を押すと、S303でダブルクリック動作を示す操作が検出され、ダブルクリック動作を示す操作信号がパソコン200に出力される。次に処理はS300へ戻る。
上記のように構成された触覚入出力装置は、パルスモーターや駆動機構が不要であるので、装置が安価に製作できるという利点がある。
次に図面にしたがって、請求項14、請求項15にそれぞれ対応した、触覚入出力装置の第3の実施例を説明する。
図52は、第3の実施例の構成を示す図であり、図53は触覚操作手段を構成する振動ピン161の構成を示す断面図である。また図54はワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
この触覚入出力装置も、第2の実施例と同様に、タッチパネル150とワンチップマイコン153を備えていて、タッチパネル150は操作平面159の上面に取り付けられている。
また、操作信号を入力するためのシフトスイッチ157と第2のシフトスイッチ158が、タッチパネル150の近傍に配設されている。
タッチパネル150と操作平面159を貫く貫通穴160が、8x8のマトリックス状に所定の間隔で複数形成されていて、振動ピン161がそれぞれ挿通されている。振動ピン161は磁性体にメッキが施された棒状の部材であり、上部は指先に振動を伝える部分が形成され、胴部は貫通穴160により上下方向に案内され、胴部の中央部に固定された板バネ162により基板163に対して所定の高さの位置に支持され、胴部の下部は後述するコイル体164により駆動されるように磁化されている。
基板163は、操作平面159の下部に平行に取り付けられていて、振動ピン161に対応した位置にはコイル体164が取り付けられている。コイル体164はボビン165と巻線166から構成され、ボビン165の内部には振動ピン161の着磁された胴部下部が挿通され、図示しない駆動回路により巻線へ交流電流を通電することで振動ピン161を振動駆動できる構成となっている。
なお、実施例では振動ピン161毎にコイル体164を配設しているが、振動ピン161を操作平面159の下部で複数連結してバイブレータなどで全体を振動させる構成にしてもよい。
その場合は、下記に示す指先検出手段で指先が触覚している振動ピン161が振動させるべき振動ピンであった場合はバイブレータを振動させ、振動させる必要のない振動ピン161であった場合はバイブレータを振動させない。このような構成においても、触覚する指先が1つの振動ピン161のみを触覚している限り、その指先で触覚する振動ピン161に設定された識別状態を振動により正しく認識できる。
この原理をさらに応用すれば、タッチパネル150の表面に所定の間隔で複数の凸状の突起151を形成するとともに、タッチパネル150全体をバイブレータで振動させる構成であってもよい。すなわち、指先検出手段で指先が触覚している突起151が振動で識別されるべき突起であった場合はバイブレータを振動させ、識別させる必要のない突起であった場合はバイブレータを振動させない。凸状の突起を触覚している時にタッチパネル150全体がバイブレータにより振動されれば、その指先に触れる凸状の突起を介して、指先はその振動状態を認知できるからである。
上記に例をあげた、指先に振動を伝達可能な構成はいずれも、請求項14に記載の「振動手段」に相当する。また、振動ピン161を触れている指先の位置はタッチパネル150により検出されるので、利用者がどの振動ピン161を触っているか検出できる。この構成と機能は、請求項15に記載の「指先検出手段」に相当する。
また、ワンチップマイコン153に内蔵されたROM154には図54に示したフローチャートに基づき動作する制御プログラムが記憶されている。
まず、S700では、触覚操作手段設定情報供給手段から供給された触覚操作手段の設定情報が、パソコンのI/Oポート207からワンチップマイコン153に入力されて、ワンチップマイコン153の内蔵のRAM155に記憶される。次にS701において、指先検出手段からの信号を検出して指先が接近した振動ピン161(ないしは突起151)を判別し、続くS702においてその振動ピン(ないしは突起)の設定情報に応じて駆動回路によってコイル体(ないしはバイブレータ)を駆動して振動させる。
利用者は、特定の振動ピン161(ないしは突起)を触りながらシフトスイッチ157ないしは第2のシフトスイッチ158を押すと、S703においてクリック動作ないしはダブルクリック動作を示す操作が検出され、クリック動作ないしはダブルクリック動作を示す操作信号がパソコン200へ出力され、その後に、S700へ戻るようになっている。
上記のように、触覚入出力装置に備わるすべての振動ピン161を設定状況に応じて駆動するのではなく、指先が位置している振動ピン161のみを駆動するようにしたので、触覚されていない振動ピン161を駆動するための電力を節約でき、電源回路などが小型にできるという効果がある。また、振動ピン161の振動に伴う騒音を必要最小限にできるという効果がある。
なお、タッチパネル上の複数の指先の位置を独立して検出できるタッチパネルを使用するとともに、検出された複数の指先の位置する振動ピン161をそれぞれ駆動ようにすると使いやすいのは言うまでもない。
次に、パソコン200について図面に基づき説明する。パソコン200は、いわゆるパーソナルコンピュータであり、今や広く周知な装置であるので詳細な説明は省略するが、本実施例で使用するパソコン200には、CPU201、メモリ202、FDD203、HDD204、CD−ROMドライブ205(以下CDDと称す)、モデム206、I/Oポート207、音声合成回路208、音声入力回路209、ビデオカード210、を備えていて、制御バス212を介して電気的に接続されている。また、装置の使用が不慣れな視覚障害者に使い方などを指導する指導者(晴眼者である)が装置の動作状況を画面で確認できて適切に指導が行えるように、装置の使用方法などを表示するために、CRT211を使用する場合もある。
CPU201の動作は、HDD204に記憶されている制御プログラムによって定義されていて、CPU201はHDD204のプログラムをメモリ202に適当にロードして、これを実行するようになっていて、HDD204に記憶されたデータや、CDDに挿入されたCD−ROMの中に記載されているデータや、モデム206を介して接続されるインターネットのデータ提供サーバ(図示しない)から提供されるデータを読み込み、メモリ202や場合によってはHDD204に記録して処理を行うようになっている。
また、音声合成回路208は、CPU201により所定の情報を設定すると、音声信号をデジタル合成するとともに、接続されたスピーカー300から所定の音を発生させる。また、音声入力回路209は、マイク400から入力した音声信号を入力するとともに音声解析を行い、音声に含まれている情報を文字情報として出力する。これらのパソコン200の構成要素は、ともに現在では周知な技術であるとともに、本発明の本質には関係が無いのでその詳細な説明は省略する。
ここで、音声合成回路208は、いわゆる4チャンネルステレオの回路構成になっていて、CPU201から設定された音に関する情報の中には、左前スピーカー,左後スピーカ、右前スピーカー、右後スピーカーそれぞれに対する音の設定値が含まれていて、これらの設定値を変化させることで、音の発生している場所が変化しているように聞くことができる。
なお、視覚障害者にとって、聴覚は大変大切な残存能力であるので、この音声合成回路208には、あらかじめ設定された音圧以上の音がスピーカーから発生しないように、回路に多重の安全回路、例えば、電流制限回路などが組み込まれていて、CPU201の誤動作やプログラムのバグ、データの不良、電子部品の劣化その他により、異常に高い音圧がスピーカーから発生して使用者の聴覚に障害を与える事故が起きないようになっている。
次に、図面に基づき本実施例の説明で使用するデータファイルに付いて説明する。これらのデータは、パソコン200のOSが提供するファイルシステムの機能によって所定のファイル名が付けられてFDやHDD204、CD−ROMに読み出し可能に記録されているほか、電話回線に接続したモデム206を経由して、ネットワークに存在するデータサーバ(図示せず)からダウンロードしたものであってもよいし、パソコンの動作に伴って生成される各種動作状態を表すデータであってもよい。
一般的に、2次元的に展開可能な構造を持つデータのフォーマットは、画像データや表データ、レイアウト情報を含んだワープロデータ、インターネットホームページのHTMLフォーマットのデータ、階層構造をあらわすデータなど、さまざまなフォーマットのデータが存在するが、その内容に付いて逐一説明するのは本発明の本質を説明する趣旨から外れるので、本実施例では本発明の趣旨を説明するのに必要かつ十分な範囲で簡潔なフォーマット形式を規定し、そのフォーマットに従った具体的なデータを提示してそれに基づき以下の説明を行うこととする。
なお、当然ながら、本発明の範囲はこの実施例で示したフォーマットに係る2次元的に展開可能な構造を持つ情報への適用に限定されることはなく、前記のように広く利用されているデータのフォーマット毎に適宜アルゴリズムを適用すれば、本発明を適用してその効果と目的を達成できることは言うまでもない。そこで、本実施例の説明の前半では、使用者であり視覚障害者でもある特許一筋君が、すでに所持している多数の文書データの中から恩師のガンバ発明先生へあてた手紙を選択してその内容を閲覧して確認した後に、日付を入力し忘れたことに気づき、新しく日付を入力するという動作を想定して説明する。
また、本実施例の説明の後半では、特許一筋君が、触覚入出力装置を利用してインターネットにアクセスし、ガンバ先生のホームページを閲覧するという動作を想定して説明する。
図3から図7、及び図63は、本発明の実施例で表示される情報の例を示すデータ構成図であり、特に図3は閲覧する文章の階層的な管理構造を記録したデータ(以下文書管理データと称する。)を示す図であり、また図4は、管理データに記載されている「手紙」という名前のデータ(以下文書データと称する。物理的なファイル名は、”c:¥tegami.dat”である。)の編集作業終了後のデータを示す図である。また、図5は「手紙」の中に記載がある「スナップ」という名前のデータ(同様に”c:¥picture.dat”)であり、図6はそのイメージデータの元になった画像データ(同様に”c:¥picture.bmp”)を示す図である。また、図7は同様に「手紙」の中に記載がある「実験結果の表」という名前のデータ(同様に”c:¥result.dat”)を示す図である。また図63は、図55に示すパソコンの機能に関する情報に対応したデータであり、下記に示すプログラムでは、文書管理データとして扱われうる。
図からわかるように、管理データや文書データは、「<(大なり記号)」と「>(小なり記号)」でフォーマット記述子を囲んだ構造の「タグ」と呼ばれる情報と、それ以外の文字情報とから構成されている。参考に、本実施例で説明するデータに含まれるタグの定義を図8及び図9に示す。ここで、タグは、所定のフォーマット記述子である「開始記述子」と、開始記述子のフォーマット記述子の先頭に「/」文字を追加した「終了記述子」の対で構成される「ペアタグ」と、単に開始記述子だけの「シングルタグ」の2種類がある。
例えば図3に示した「特許君蔵書」の文書管理データで見ると、構造表示部分指定タグ(<TEXTFORM>〜</TEXTFORM>)により、2行目から36行目に記載されている情報がこの文書管理データの構造表示部分であることが示されている。また、2行目のルートタダ(<ROOT”特許君蔵書”>)により、この文書管理データが「特許君蔵書」をルートとする階層構造であることが示されている。また、3行目から20行目に記載されているディレクトリタグ(<DIRname,parent>)により、「name」で示される名前の階層は「parent」で示される名前の階層の下位の階層であることが示されている。
例えば「parent」が「特許君蔵書」であるタグ(合計3つある)により、この管理構造の最上位の概念である「特許君蔵書」のすぐ直下の階層は、1.研究関係、2.ボランティア、3.レシピ、の3つの名前のディレクトリにより構成されていることが示されている。同様に、他のディレクトリタグについても、その親ディレクトリの名前が「parent」により指示されている。
こうして構造表示部分のディレクトリタグの情報により、「特許君蔵書」をルートとするディレクトリの階層構造が表現され、具体的には図10に示されるものになる。
文章データに関しても同様にして、例えば図4に示した「手紙」の文書データで見ると、構造表示部分指定タグにより、2行目から44行目に記載されている情報がこの文書データの構造表示部分であることが示されている。また同様に2行目に記載されているページタグ(<PAGE”手紙”,”36”,”64”>)により、この文章データが「横36文字x縦64文字で作成されている「手紙」という名前の文章であることが示されている。また、3行目から20行目に記載されているフィールドタグにより、各フィールドの情報が手紙の上で占める領域(フィールド領域と称す。)を文字単位で表記した文字領域が示されている。また、各フィールドタグの「parent」のパラメータにより、フィールドは相対的な上下関係を結びながら階層的に指示されている。例えば「parent」が「手紙」であるタグ(合計7つある)では、この文章の最上位の概念である「手紙」のすぐ直下の階層に含まれるフィールドが示されていて、1.日付、2.受取人、3.差出人、4.時候の挨拶、5.本文、6.結文、7.追伸、の7つの名前のフィールドにより構成されていることが示されている。同様に、他のフィールドタグについても、その親フィールドの名前が「parent」に設定されるとともに、親フィールドの文字領域における原点位置を基準としてそのフィールドの文字領域の左上の位置が指示されている。
このようにして、構造表示部分のフィールドタグの情報により、この手紙のレイアウトとフィールドの階層構造が表現され、具体的に本実施例の「手紙」のフィールドは図11及び図12に示されるものになる。
また、キートップ数タグ(<INDEXFORM A,B>〜</INDEXFORM>)により、タグの間のインデックスタグ(<INDEX name,x,y,x1,y1,x2,y2>)は、A列xB行の触覚入出力装置用の情報であることが指定されるとともに、そのインデックスタグにより、「name」で示された名前のフィールドないしはディレクトリに対応する代表のキートップ位置(x,yによる。)以下インデックスポイントと称す。)と、矩形の領域(x1,x2,y1,y2による)(以下インデックス領域と称す)が指示される。本実施例では、8列x8行の触覚入出力装置用と16列x16行の触覚入出力装置用の値が指示されている。
なおフィールドに対するインデックスタグのX,Y,x1,x2,y1,y2の値は、インデックスタグの「parent」に示された名前のフィールドの文字領域を所定の触覚入出力装置のキートップの範囲に展開した状態における対応するキートップの位置が指定されている。またディレクトリに対するインデックスタグのX,Y,x1,x2,y1,y2の値は、X=x1=x2及びY=y1=y1であり、Xはルートからの階層の深さ、Yは同一階層内の列挙方向の順位が示されている。
このように指示された構造表示部分のインデックスタグの情報は、後述する制御プログラムの動作により参照され、ディレクトリ構造やレイアウトをキートップ1の配置で表現するための基本情報になる。キートップによりどのように表現されるかに付いては、後ほど詳しく説明する。
次に各データにおいては、内容表示部分指定タグ(<CONTENT>〜</CONTENT>)により内容表示部分が指定されていて、構造表示部分で指示されたフィールドの「name」で指示した名前に対応してその内容が指示されている。例えば「手紙」の「受取人住所」という名前のフィールドに対応する内容は、テキストタグ(<TEXT”受取人住所”>〜</TEXT>)により指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより音声合成されて出力されることになる「東京都発明村21番地」というテキストデータが指示されている。
また例えば「手紙」の14行目の「実験結果の表」というフィールドに対する内容は、リンクタグ(<LINK”実験結果の表”,”c:¥result.dat”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより新しく閲覧することになる「c:¥result.dat」という文書データのファイル名が指示されている。また例えば「手紙」の20行目の「スナップ」というフィールドに対する内容は、イメージデータタグ(<IMAGE”スナップ”,”c:¥picture.dat”,”c:¥picture.gif”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより新しく閲覧することになる「c:¥picture.dat」という文書データのファイル名と、画像表示装置で参考のために出力される「c:¥picture.bmp」という画像データのファイル名が指示されている。
また例えば「手紙」の19行目の「美声?」というフィールドに対する内容は、サウンドデータタグ(<SOUND”美声?”,”c:¥sound.wav”>)で指示されていて、具体的には後述する制御プログラムにより音声情報として演奏されることになる「c:¥sound.wav」というサウンドファイル(.wav形式のデータは、標準的なサウンドフォーマットのデータである。)が指示されている。また例えば「パソコン機能」の8行目の「電話番号」というディレクトリに対する内容は、33行目においてコマンドタグ(<CMD”電話番号”,”SetTelNo.bat”>)で支持されていて、具体的には指定されているファイルに記載されているデータに従って所定の単位機能(ここでは、電話番号をマイクから入力して設定する。)が実行される。
以上説明したフィールドやディレクトリという単位で分割された情報は、請求項1記載の「ブロック単位情報」に相当するものである。
次に、図13を参考に、メモリ202に設定された記憶領域について説明する。「KEY−X」「KEY−Y」は、使用する触覚入出力装置のキートップ1の列数と行数を記録する記憶領域である。「Mode」は、現在の動作モードを記憶する記憶領域である。「KeyName(X、Y)」は、X列Y行のキートップ1に対応付けられたフィールドの名前を記憶する記憶領域であり、「KeyMode(X、Y)」は、X列Y行のキートップ1の突出高さの設定情報を記憶する記憶領域である。これらKeyName(X,Y)とKeyMode(X,Y)に記憶される情報は、請求項1記載の「前記ブロック単位情報と前記複数の触覚操作手段との対応関係を示す触覚操作手段対応関連情報」に相当するものである。
また、「ClickMode」はキートップの操作状態を記憶する記憶領域、「Push−X」「Push−Y」は、押されたキートップの列と行をそれぞれ記憶する記憶領域である。また「Command」は音声により入力されたコマンドデータを記憶する記憶領域である。また、「TopType」は、触覚入出力装置で表示しているデータが後述する文書管理データであるか、文書データであるか、を記憶する記憶領域であり、「RootName」は文書管理データである場合の、管理データのルートの名前を記憶する記憶領域である。また「TopName」は現在表示されているデータの名前を記憶する記憶領域である。また「Family」は管理文書データを表示する際に、現在表示されているデータと上位方向に親子関係にあるディレクトリの名前を記憶する記憶領域である。「NewName」「NewX」「NewY」「NewX1」「NewY1」「NewX2」「NewY2」はともに、サブルーチン「NewIndex」で使用されるデータを記憶する記憶領域であり、詳細は後述する。
次に、図14と図16に記載したフローチャートにより本発明の実施例のメインルーチンについての説明を行う。まず、ステップS1(以下単純にS1などと称す。)で、パソコン200に電源が投入されると、所定の初期化が行われた後に、制御プログラムがメモリ202にロードされ、制御プログラムの動作が開始し、まずディップスイッチ106の設定状態が読み込まれ、使用する触覚入出力装置の仕様を判別して、キートップ1の個数を縦と横でそれぞれ「KEY−X」「KEY−Y」に記憶する。実施例では、縦8行x横8列の触覚入出力装置が使用されているので、KEY−X=8、KEY−Y=8と設定される。
続くS2では、HDD204に記録されている記憶領域(図示しない)「CallTimes」の値が一定値以上かチェックされ、−定以上の場合はサブルーチン「Cleaning」がコールされる。
続くS3では、キートップ1が強く押し込まれていると前述した初期動作が正しく行われないため、使用者に「初期化を行いますので、キートップから手を放してください。」という旨の音声を出力した後、前述したキートップの初期化動作を行って、全てのキートップ1の突出高さを0mmに駆動・設定する。また、Modeが閲覧モードを示す値として、0に初期化される。
続くS4では、「表示するデータのファイル名をマイクに向かって入力してください。」という内容の音声を音声合成回路208を介して出力する。
続くS5では音声入力回路209からファイル名を入力する。
続くS6ではそのファイル名のファイルが読み書き可能にオープンされるとともに、ルートタグ(<ROOT name>)の入力を試み、入力できたらS7へ進む。ルートタグが入力できなかった場合はS8に進む。
S7では、TopTypeに0を設定するとともにRootNameにルートタグの「name」が記録され、さらに「name」の値がTopNameに設定された後に、S10ヘジャンプする。
S8では、ページタグの入力を試み、入力できたらS9に進む。ページタグが入力できなかったら処理はS4へ戻る。
S9では、TopTypeに1を設定し、「name」の値をTopNameに設定した後に、S10へ進む。
次くS10では、後述するサブルーチン「DispIndex」が実行され、各キートップとフィールドないしはディレクトリとの対応付けが実施されるとともに、触覚入出力装置100のキートップ1が所定の状態に駆動設定される。
ここで、S4からS10の「DispIndex」内の所定の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「情報記憶手段に所定の情報を設定する情報設定手段」に相当するものである。
次に、図15に示すフローチャートにより、サブルーチン「DispIndex」の動作を説明する。
まず、S100では、HDD204の記憶領域「CallTimes」に記憶されている積算値がインクリメントされる。また、KeyName()の全ての要素が空文字に、KeyMode()の全ての要素が0に初期化される。
続くS101では、TopTypeが評価され、0の場合は文書管理データであるのでS102へ進み、1の場合は文書データであるのでS103へジャンプする。
S102では、ディレクトリデータが調査されてTopNameの親ディレクトリ、そのまた親ディレクトリとルーツをたどり、最終的にRootNameまでのいわゆる直系の祖先にあたるディレクトリデータが検索され、Familyに記憶された後、S103へ進む。実施例の「特許君蔵書」の例では、例えばRootName=”特許君蔵書”、TopName=”手紙”の場合は、Family=”特許君蔵書>研究関係>通信記録>手紙”という親子関係が抽出される。
続くS103では、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示するデータの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示するデータの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。キートップの数に対応するインデックスデータがない場合は、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータがデフォルトで採択される。
次にS104で再びTopTypeが評価され、0の場合は文書管理データであるのでS109へジャンプし、1の場合は文書データであるのでS105へ進む。
S105では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のフィールドデータが読み込まれ、S116へ進む。該当するフィールドデータが読み込めれなかった場合はS116へジャンプする。
S106では、S105で読み込まれたフィールドデータの「parent」に示されている名前が評価されTopNameに等しければS107へ進み、TopNameに等しくない場合は、S116ヘジャンプする。
S107では、インデックスデータのインデックス領域(x1,y1,x2,y2で示される)に指定されているキートップ1それぞれについて、KeyNameにはインデックスデータの「name」に設定されている名前が設定され、KeyModeには「領域」であることを示す値である1が設定される。
引き続きS108では、インデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップ1について、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」に設定されている名前が設定され、KeyMode(X,Y)には2が設定されたのち、S116ヘジャンプする。
S109ではまず、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前がFamilyに含まれている名前(すなわちTopNameの本人か直系の祖先である)か評価され、含まれている場合にはS110へ進み、含まれていない場合はS112へジャンプする。
S110では、そのインデックスデータのインデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップについて、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」で示される名前が設定され、続くS111では、KeyMode(X,Y)に3が設定されて、S116ヘジャンプする。
S112では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のディレクトリデータが読み込まれる。
続くS113で、そのディレクトリデータの「parent」の名前(すなわちそのディレクトリの親ディレクトリ)がFamilyに含まれているか評価され、含まれている場合はS114へ進み、含まれていない場合はS116へジャンプする。
S114では、読み込まれたインデックスデータのインデックスポイント(X,Yで示される)に指定されているキートップについて、KeyName(X,Y)にインデックスデータの「name」で示される名前が設定され、続いてS115で、KeyMode(X,Y)に2が設定されて、S116へジャンプする。
次にS116では、全てのインデックスデータが処理されたか判断して、まだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S104へ戻る。全て処理されていたらS117へブレークする。
次にS117では、TopTypeが1の場合はS118へ進み、0の場合はS122へジャンプする。
S118では再び、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。
続くS119では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のフィールドデータが読み込まれてその「parent」に設定してある名前を抽出する。
次にS120でその名前がKeyNameに設定してある全てのキートップについて、KeyMode=3と設定される。
続くS121では、全てのインデックスデータが処理されたか判断してまだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S119へ戻る。全て処理されていたらS126へ進む。
一方、S122では再び、「KEY−X」と「KEY−Y」の値が読み込まれて、KEY−X=8かつKEY−Y=8の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”8”,”8”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。KEY−X=16かつKEY−Y=16の場合は、表示する文書データの、<INDEXFORM”16”,”16”>と</INDEXFORM>の間のインデックスデータから最初のインデックスデータが読み込まれる。
続くS123では、読み込まれたインデックスデータの「name」で示される名前のディレクトリデータが読み込まれてその「parent」に設定してある名前を抽出する。
次にS124でその名前がKeyNameに設定してあり、かつ、KeyModeが3以外の全てのキートップについて、KeyModeが4に設定される。
続くS125では、全てのインデックスデータが処理されたか判断してまだ処理されていなければ引き続き次のインデックスデータが読み込まれ、S123へ戻る。全て処理されていたらS126へ進む。
以上S100からS125のステップにより、全てのキートップに対応してKeyName、KeyModeの値が設定される。
次にS126で、キートップの駆動設定に先立ち、利用者がキー操作を行わないようにキートップの突出状態を変更中である旨を音声で通知する。
次にS127では、使用してる触覚入出力装置のキートップ1の配列状態が、CRT211に表示される。そして、KeyModeに設定された値に基づき、1が設定されているキートップは表示を緑色に点灯表示させ、2及び4が設定されている場合は、そのキートップ1を0.8mmの高さに突出させるとともに、そのキートップの表示を赤色に点灯表示させ、3が設定されている場合は、そのキートップ1を2.0mmの高さになるように突出させるとともに、そのキートップの表示を赤色に点滅表示させる。
引き続きS128では、KeyNameに設定されているフィールドないしはディレクトリに関連する情報がCRT211に表示される。ここで、CRT211に表示される形態は、例えば文書全体を表示してキートップに関連付けられている領域の文字を色分けして表示したり、ディレクトリデータの階層構造を表示してキートップに関連付けられているディレクトリをあらわすアイコンを色分けして表示したりすればよい。このように、キートップの設定状態や閲覧している文書の内容などがCRT211で表示されるので、視覚障害者を指導する晴眼者が現在の使用状況を的確に把握でき、正しい指導が行えるという効果がある。
次にS129で、キートップ1の駆動設定が完了した旨を音声で通知する。ここで、S126でブザー音の発生を開始し、S129でそのブザー音を停止するようにしても良く、視覚障害者がキートップの駆動設定中であることが確認できればよい。こうしてサブルーチン「DispIndex」の処理は終了して元に戻る。
以上S126からS129の一連の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「前記情報記憶手段の触覚操作手段対応関連情報を入力して前記触覚操作手段設定手段に触覚操作手段設定情報を供給する触覚操作手段設定情報供給手段」及び「触覚操作手段設定情報に基づき前記複数の触覚操作手段をそれぞれ所定の状態に設定する触覚操作手段設定手段」に相当するものである。
次に、サブルーチン「DispIndex」から処理が戻るとS11へ進み、触覚入出力装置のキートップ1への操作信号を入力して、いずれのキートップ1も操作されていない「操作なし」と、いずれかのキートップ1が明示的に操作された「シングルクリック」と、一定時間の間に2回連続して操作された「ダブルクリック」との操作状態を検出し、「ClickMode」にそれぞれ「N」「S」及び「D」のいずれかの値を設定するとともに、いずれかのキートップ1が押されていた場合はその列と行の値を「Push−X」「Push−Y」にそれぞれ記憶した後にS12へ移る。
この操作入力の方法は、使用する触覚入出力装置のタイプによって具体的な実装方法は異なるので、実際に採用する触覚入出力装置の方式に対応したプログラムにすることは言うまでもない。
S11の動作により実現される機能は、請求項1記載の、「前記所定の領域における操作に基づき所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力する操作信号抽出手段」に相当する。
次に、S12では、ClickModeが評価され、Nの場合はS13へ進み、SかDの場合は図16のS19へ進む。
S13では、音声入力回路209から利用者が発声したコマンドを入力し、有効なコマンドが発声されていた場合はその内容が文字情報に変換されて「Command」に設定される。
続いてS14では「Command」の内容が評価されて、「えつらん」の場合はS15へ進む。「へんしゅう」の場合はS16へ進む。「くりーにんぐ」の場合はS17へ進む。「キートップ1ちょうせい」の場合はS18へ進む。
S15では、「Mode」に閲覧モードであることを示す0が設定された後S11へ戻る。
S16では、「Mode」に編集モードであることを示す1が設定された後S11へ戻る。
S17では、サブルーチン「Cleaning」が実行された後S11へ戻る。
S18では、サブルーチン「Calibration」が実行された後S11へ戻る。
次に、図16のS19では、X=Push−X、Y=Push−Yとした場合の、KeyName(X,Y)に設定されている名前と同じ名前のフィールドデータないしはディレクトリデータと、同じ名前の内容情報(テキストデータ、サウンドデータ、イメージデータのいずれか)がそれぞれ読み込まれる。
続くS20では、「Mode」「KeyMode(X,Y)」「ClickMode」に基づき図17に示される動作対応表にしたがって動作内容が選択される。
図17に示されるように、動作内容は、「属性表示」「内容表示」「階層表示」「画面展開」「新規作成」「内容編集」の6種類の動作が定義されており、現在の動作モード(閲覧モードか編集モードか)や操作したキートップの設定状態(平面状態か、低い突出状態か、高い突出状態か)及び、操作の形態(シングルクリックかダブルクリックか)に応じて所定の動作が選択されて図に示されたステップに処理が分岐するようになっている。次に、各動作内容に付いてそれぞれの動作の説明を進める。
S20において選択された動作が「属性表示」の場合は、S21へ分岐する。
S21では、S19で読み込まれたフィールドデータの名前に関する情報と、内容表示部分に関する情報が、図18に示す発声パターンで音声合成回路208から音声で出力されるように設定された後、S31へ進む。ここで、音声は音声発声回路により非同期で発声され、前の音声の発声がまだ終了していない場合はその発声は中断され、新しい音声の発声が開始されるようになっている。
この発声パターン中、「領域識別音」は、そのキートップの属するフィールドの領域と、その隣接する別の領域とを区別するために割り当てられる固有の音であり、例えば地図の4色塗り分け問題のように、少なくとも4種類の領域識別音を用意しておき、図示しない4色塗り分けアルゴリズムにより触覚入出力装置でのフィールドの領域を分類すればよい。この「領域識別音」は、短くて識別しやすい音が望ましい。また、発声パターン中、「名前」は、そのキートップのKeyNameの値、すなわち属するフィールドの名前を読み上げる音声である。また、発声パターン中「データ量」は、内容表示部分の情報がテキストデータの場合はその文字数を、イメージデータの場合はイメージの大きさを、サウンドデータの場合は再生時間をそれぞれ読み上げる音声である。リンクデータの場合は何も発声しない。ここで、このキートップのKeyModeが3または4の場合、「parent」にこのフィールドの名前が指定されているいわゆる「子」のフィールドが存在するので、その場合は「子」のフィールドの数を計数した後にその数を読み上げる音声になる。
図からもわかるように、キートップのKeyModeが「未定義」でないかぎり、シングルクリック動作により属性表示が行われるので、内容表示部分の情報を閲覧する前に、簡単な操作によりそのキートップに関連付けられている情報の属性情報を音声で確認できるようになっている。特に、領域識別音が最初に簡潔に発声されるので、平面状態に設定されているキートップを操作することで、その領域が触覚入出力装置のキートップの配列の中で占める領域を簡単に識別できるという効果がある。さらに、そのキートップに対応付けられているフィールドの名前が簡潔に表示されるので、具体的な内容を閲覧する前にその概要が把握できるという効果がある。また、そのキートップが属するフィールドに含まれている文字数などが簡潔に表示されるので、内容を閲覧するために必要な時間などが事前に把握でき、また「親」になっているフィールドの場合、含まれる「子」のフィールドの数を簡潔に表示されるので、このキートップの下位の階層にどれほどの情報が分類されて含まれているかを事前に把握でき、効率的に情報を閲覧できるという優れた効果がある。
属性情報はこの例に限定されず、例えばグラフィカルユーザーインターフェースの入出力部品の種類を、簡潔な音で表現するなどしてもよい。
またS20において選択された動作が「内容表示」の場合は、S22へ分岐する。
S22では、S19で読み込まれた内容表示部分の情報が評価され、テキストデータの場合はS23へ進む。サウンドデータの場合はS24へ進む。イメージデータの場合はS25へ進む。リンクデータの場合はS26へ進む。コマンドデータの場合はS33へ進む。
S23では、内容表示部分の情報の内容を読み上げる音声が出力された後S11へ戻る。
S24では、内容表示部分で指定されたサウンドデータが読み込まれて音声として再生された後S11へ戻る。
S25では、内容表示部分で指定されたイメージデータファイルが新しく閲覧するデータとしてTopNameに指定された後S10へ戻る。
S26では、指定されたリンクファイルが新しく閲覧するデータとしてTopNameに指定された後S10へ戻る。
S33では、指定されたコマンド指定ファイルが読み込まれて、別途定める装置の機能を実行された後、S11へ戻る。
またS20において選択された動作が「画面展開」の場合、S27へ分岐する。
S27では、S19で読み込まれたフィールドデータないしはディレクトリデータの名前が新しく閲覧するデータとしてTopNameに設定された後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「新規作成」の場合、S28へ分岐する。
S28では、新規作成サブルーチン「NewIndex」が実行された後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「内容編集」の場合、S29へ分岐する。
S29では、使用者がマイク400を介して入力した編集文章を音声入力回路209を介して入力し、対応する内容表示部分の情報のテキストデータが入力された文字データに置き換えられた後、S10へ戻る。
またS20において選択された動作が「階層表示」の場合はS30へ分岐する。
S30では、「子」のフィールドの名前を順に読み上げる音声が出力された後、S11へ戻る。
次に、S31では、触覚入出力装置のキートップ1の動作状態が再び入力される。そしてS32において、S19で入力した時と同じ状態であるか判定し、同じキートップが引き続き操作されていた場合は、ClickMode=Cとした後S20へ戻り、同じキートップが操作されていない場合は、S11へ戻る。
なお、S21、S22及び続くS23とS24、S30、S31の一連のステップで実現される機能は、請求項1記載の「前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段に対応したブロック単位情報を前記情報記憶手段から読み出して音声関連情報を抽出して前記音声発生手段に供給する音声関連情報供給手段」に相当する機能を含むものである。また、S25、S26、S27、S28、S29のいずれかのステップの実行後にS10に戻って「DispIndex」が実行することにより達成される機能は、請求項1記載の「前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段にもとづき前記情報記憶手段の内容を変更する情報変更手段」に相当する機能を含むものである。
なお、上記のように、操作に基づき音声が発生する場合は、前記音声回路の4チャンネルステレオの作用により、その操作がなされた触覚操作手段の位置に対応して所定の音源位置から音声が聞こえるように動作するので、触覚操作により閲覧する情報の位置を把握できるだけでなく、聴覚でもその位置を把握できるという優れた効果がある。
なお、文書データに含まれる「ページタグ」や「フィールドタグ」は、文書管理データに含まれる「ルートタグ」や「ディレクトリタグ」に相当する情報を含むスーパーセットのタグであるので、文書データの「ページタグ」を「ルートタグ」として、また、「フィールドタグ」を「ディレクトリタグ」として扱えば、文書管理データにおける処理(TopType=0として行われる処理)と同様に、文書データに含まれるフィールドの階層構造の深さ方向を触覚入出力装置のキートップの列方向の並びに対応付け、同一の階層に含まれるフィールドの列挙方向を行方向の並びに対応付けて表示させることができるので、図示しない手順により、TopTypeの値を1から0に変更すれば、同一の文書を閲覧する場合でも、レイアウトを確認するのに適した表示と、階層構造を確認するのに適した表示と、異なる表示方式で切換えて閲覧できるという効果がある。
次に、新規作成サブルーチン「NewIndex」の動作を、図20に基づき説明する。
まずS201では、押されたキートップの列と行をそれぞれ、NewXとNewYに記憶する。そして音声出力回路から「新しく作成する領域の名前をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS202において、利用者が発声した名前が音声入力回路209から入力されて、NewNameに記憶される。
次にS203では音声出力回路から「新しく作成する領域の左上のポイントにあたるキートップをクリックしてください。」という内容の音声が出力される。次にS204ではプッシュスイッチ21の状態が入力され、クリックされたキートップの列と行がそれぞれ、NewX1とNewY1に記憶される。
次にS205では音声出力回路から「次は右下のポイントにあたるキートップをクリックしてください。」という内容の音声が出力される。次にS206ではプッシュスイッチ21の状態が入力されて、クリックされたキートップの列と行がそれぞれ、NewX2とNewY2に記憶される。
次にS206では音声出力回路から「作成するデータの種類をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS207では利用者が発声したデータの種類が音声入力回路209から入力されて、NewTypeに記憶される。
次にS208ではNewTypeの内容が判別され、「ぶんしょう」の場合はS209へ進み、「さうんど」の場合はS211へ進み、「いめーじ」の場合はS213へ進む。
次にS209では、S204とS206で指定されたキートップ領域に対応する文章の文字数Nを演算した後、音声出力回路から[ピッという合図の後に、N文字程度の文章をマイクから入力してください。ピッ」という内容の音声が出力される。次にS210では利用者が発声した文章が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
一方S211では、音声出力回路から「追加するサウンドデータの格納されたファイル名をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS212では利用者が発声したサウンドデータのファイル名が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
またS213では、音声出力回路から「追加するイメージデータの格納されたファイル名をマイクから入力してください。」という内容の音声が出力される。次にS214では利用者が発声したイメージデータのファイル名が音声入力回路209から入力されて、NewDataに記憶された後、S215へ進む。
次に、S215では、文書データの構造表示部分の、現在の「Key−X」「Key−Y」に対応したインデックスフォームのタグの間に、新しいインデックタダが追加される。その際インデックスタグのパラメータは次のように設定される。
name=NewName
X=NewX、Y=NewY
X1=NewX1、Y1=NewY1
X2=NewX2、Y2=NewY
次に、S216では、文書データの内容表示部分に、NewTypeに対応したタグが追加される。すなわちNewTypeが「ぶんしょう」の場合は名前がNewNameなるテキストデータが追加され、ペアタグに挟まれた部分にNewDataが設定される。またNewTypeが「さうんど」の場合は名前がNewNameなるサウンドデータが追加され、ファイル名の部分にNewDataが設定される。同様にNewTypeが「いめーじ」の場合は名前がNewNameなるイメージデータが追加され、ファイル名の部分にNewDataが設定される。以上で、NewIndexの動作が終了する。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例に適用するのが望ましい、キートップの掃除準備用サブルーチン「Cleaning」の動作に付いて、図19に基づき説明する。
S400では、触覚入出力装置の全てのキートップを最高の高さに設定する。
続いてS401では「装置の掃除を行います。操作カバーを外して、操作カバーを掃除してください。キートップも掃除してください。掃除が終了したら操作カバーを取り付けた後に、「おわり」と発生してください。」という内容の音声が出力されて、S402へ進む。
S402では音声入力をチェックして「おわり」と入力されたらS403へ進む。
S403では、全てのキートップを平面状態に設定して、サブルーチンの動作を終了する。
次に、触覚入出力装置の第1の実施例に適用するのが望ましい、キートップの高さ調節サブルーチン「Calibration」の動作に付いて、図21に基づき説明する。
S501では、「高さ調整したいキートップをクリックしてください。調節メニューを終了したい場合は「おわり」と話してください。」という内容の音声が出力される。
次にS502でプッシュスイッチ21の動作状態を入力する。
次にS503でクリック操作が行われたキートップを検出し、検出されたらS504へ進み、検出されなかったらS502へ戻る。
S504では、「キートップの高さ調整を行います。「うえ」「した」「おわり」「やめ」で指示してください。」と音声出力する。
続くS505では、マイク400から入力された音声が音声入力回路209で処理されてテキストデータで出力されるのでそれを入力して、S506へ進む。S505で入力が一定時間ない場合は、再びS504へ戻る。
次にS506でその入力データが評価され、「うえ」の場合はS507へ、「した」の場合はS508へ、「おわり」の場合はS509へ、「やめ」の場合は、このサブルーチンの動作を終了する。
S507ではそのキートップを若干突出方向に修正駆動して修正履歴を記憶した後S506へ戻る。S508ではそのキートップを若干引っ込む方向に修正駆動して修正履歴を記憶した後にS506へ戻る。S509では修正履歴に記憶されている修正値をHDD204などの非揮発性の記憶媒体に記憶した後、修正履歴をクリアしてS505へ戻る。
こうしてS504からS509の動作により、所定のキートップの修正値がHDD204などの非揮発性の記憶媒体に記録され、次から実行される処理ではこの値が反映されるので使用者が「同一平面の状態だ」と認識できる平面位置にそれぞれのキートップを位置決めできるので、部品の製造上の誤差を吸収でき、装置を安価に製造できるようになるとともに、使用者の触覚感覚のばらつきを吸収できるという効果がある。
なお、本実施例では2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報はあらかじめブロック単位情報に分割されて記憶手段に格納されていたが、視覚障害者が閲覧したい情報は必ずしも装置の記憶領域に記憶されていることわけではなく、以下に示すように情報設定手段が、閲覧する情報を所定の大きさのブロック単位に分割抽出して記憶手段に記憶するようにして、既存の文書データを閲覧できるようにするのが現実的である。
図22は、この情報設定手段の動作を示すサブルーチン「BlockData」のフローチャートであり、適宜後述する「メインルーチン」を修正してその中からこの動作をサブルーチンとして呼び出せばよい。
まずS601では、ワープロソフトなどで作成された文書を外部記憶媒体などの情報入力手段を介して入力する。または、モデムを使ってインターネットにアクセスし、サーバーからHTMLやXMLで記述されたホームページを読み込む。S601で実施される機能は、請求項23に記載の「情報入力手段」に相当する。
これらの情報は、実施例の「手紙」のように画面上に実際に表示される文書の場合や、実施例の「特許君蔵書」のように、情報の階層構造を扱う情報の場合、実施例の「パソコン機能」のように、装置の単位機能を階層的に構成した情報などがある。またプログラムの対応次第では、これらを複合した情報であってもよい。
これらの情報は、改ページコードで分割されるページ構造、改行コードなどで分割される段落構造、アウトラインデータで指定される段落間のアウトライン構造(階層構造とも呼ばれる)、レイアウト枠などで構成されるレイアウト構造、挿入個所を指定して文書中に挿入されているオブジェクトデータ(イメージデータや表、サウンドデータなと)などで構成されるデータ構造、リストコードを使って列挙表示されるリスト構造、テーブルコードで指定されるテーブル構造などが、それぞれ電子的に識別可能なように構造記述子で記述されているので、これに着目して情報を複数のグループに分割する。この機能は、請求項23に記載の「グループ分割手段」に相当する。
また、構造記述子の解析やグループ分割の過程で、グループ間の親子関係などの階層構造に関する情報が得られる場合はこれを記録する。この機能は、請求項23に記載の「階層構造抽出手段」に相当する機能である。
ここで、グループ分割に構造記述子を用いることは、文書の作成の段階で作者が同じグループに属する情報としてこれらの構造記述子を利用していることに由来しているからであり、記載内容、情報の種類、表示形式、表示される領域、グループの階層関係などの概念で同一のグループに属しているからである。むろん上記に列挙した以外の構造記述子に基づきグループに分割してもよいし、すでに他の規則により情報が構造的に格納してある場合はその結果を利用すれば良い。
次にS602では、表示する際の「領域」という概念がある情報に関しては、そのグループが文書中で占める領域に関する情報を求める。これは実施例のフィールドにおける「文字領域」に相当する概念の情報である。
具体的には、そのグループの情報が占める領域が構造記述子の中に指定されている場合はその情報に基づき求められる。または、実際に人が認識できる形で表示させた場合に文書中で占める領域を演算した結果に基づき求められる。
この際、文字の場合はフォントのサイズや書体を考慮すれば同じ文字数でもレイアウト上では少ない領域を占める場合もあるし、そのグループに文字と写真が混在している場合はそれらを考慮して表示される際の領域を求める必要がある。また、ホームページのように表示する画面の縦横比に応じて動的に表示領域が変化するように定義されている構造記述子の場合は、実際に使用する触覚ディスプレイの列数と行数の縦横比を採用して画面で表示された際の領域を求めるようにしても良い。S602で実行される機能は、請求項23に記載の「グループ領域抽出手段」の機能に相当する。
次にS603では、使用する触覚入出力装置に備わるキートップ1の列数Xと行数Yとで分割される2次元マトリックスに並ぶ各キートップ1と各グループとの対応関係を求める。実施例でのインデックスデータにおける「インデックスポイント」を決定することがこれに相当する。この際、前記ディップスイッチ106の設定情報から、使用する触覚入出力装置のキートップの列数や行数などの仕様を考慮して決定されるので、仕様によって分割処理は異なる結果になる場合があることは言うまでもない。
具体的には、グループ化された情報に対して利用者がキートップ1を介して選択的にアクセスできるために、1つのグループは少なくとも1つ以上のキートップに割付られるとともに、同じキートップには1つ以下のグループだけ割付けられるように、適宜次の処理を行う。
1.隣接する複数のグループの内容を1つのグループにまとめ、それを1つのキートップに割付ける。その結果、利用者がキートップの操作によりアクセスできる情報ブロックは統合ざれた内容の情報になる。(グループの統合)
2.階層的な構造を有する情報の場合、複数のキートップに割り付ける必要のあるグループ群の共通の上位階層のブロックを、1つのキートップに割付け直す。(上位階層のブロックの割付)
3.キートップに既に割付けられているグループを、隣接する未割付のキートップに割付け直して、新たに未割付になったキートップに未割付のグループを割付ける。(割付位置の移動)
ただし、移動する場合は、実際に表示される位置とかけ離れた位置に対応するキートップまで割付位置が移動されることは望ましくないので、その場合は、「グループの統合」か「上位階層のブロックの割付」を実施して割付に必要なキートップの数を減らし、実際に表示される位置に即した位置に表示できるようにして、むやみな移動は行わないほうが良い場合もある。
一方、割付できるキートップが余っていて個別にキートップに割付けられる場合でも、同時に表示すべき階層が構造記述子で明確に指定されている場合や、他のキートップに割付けられているグループの文章内の階層とのバランスを考慮する場合は、あえて下位のグループを割り付けないようにする場合もある。
実施例の「手紙」の「本文」のような場合はこれに相当し、「本文」という概念のフィールド(ここで言う「グループ」の実装の形といえる)は、手紙の構造として一般に認識しやすい他の「宛先」「時候の挨拶」「結文」などのフィールドと同じ表示で認識したほうが理解しやすいので、未割付のキートップが周囲に空いていても、あえて「本文」というフィールドを1つのキートップに割付けしたほうが望ましい。これは、HTMLやXMLのような構造記述言語を使って、情報の階層構造を記述したインターネットのホームページなどを表示する際には、特に考慮されるべきことである。
また、未割付のキートップの数が多い場合は、S602で求めたグループの占有領域に対応して複数のキートップに同一のグループを割り付けるとともに、隣接するグループとの識別が可能なように識別データを演算しておけば、使用者がキートップを触覚操作する際に発生する領域識別音で、そのグループがキートップの2次元マトリックス上でどの領域に渡って存在している情報であるかを把握できる。実施例における「インデックス領域」の概念がこれに相当する。
また、グループが階層構造を有する場合、所定の階層に含まれるグループのみではなく、下位グループの展開後のキートップへの割付も実施する。すなわち、展開操作によって新しく割付可能になったキートップを対象に下位の複数のグループを割り付けていく。その際使用されるキートップの領域は、全画面を使用する場合はすべてのキートップを対象とするが、実施例の「特許君蔵書」や「パソコン機能」のように上位の階層の情報をキートップに表示させたまま、別のキートップ領域で、下位の情報を展開するような場合は、そのキートップ以外のキートップ領域を使って割付ければよい。
その際、「特許君蔵書」のように、階層の深さ方向をX(ないしはY)方向に採用し、下位のグループはそれに直交するY(ないしはX)方向に並ぶキートップに割付けていけば、実施例の8x8の触覚ディスプレイでも、それぞれ8のブロックを含む8階層に及ぶ情報を展開表示でき、かつ展開表示されている情報の親子親戚関係の表示が維持されるので、現在選択しようとするブロックの階層構造上の位置を把握しやすい。
これらの処理を再帰的に行って、全てのグループがいずれかの展開画面において1つ以上のキートップに割り付けられるようになるまで処理を繰り返す。
S603で実行される機能は、請求項23に記載の「マッピング手段」の機能に相当する。
次にS604では、キートップに割り付けられた「グループ」に含まれる情報を、実施例で示した「フィールドタグ」や「テキストタグ」などの所定のフォーマットにより、ブロック単位情報として記録する。マッピング処理の過程で決定されたグループとキートップとの対応情報は、実施例で示した「インデックスタグ」などの所定のフォーマットで所定の記憶領域に記憶する。
以上のように構成された装置の実際の動作に付いて、以下説明する。
まず、視覚障害者である「特許一筋君」は、ヘッドフォンを装着して、パソコン200の電源を入れて使用を開始する。すると前述のように動作が進み、特にS2では「特許君」が使用している触覚入出力装置の仕様が自動的に読み込まれる。特許君は自宅で使用する装置として比較的安価な8列x8行の普及型の触覚入出力装置を購入してパソコン200に接続して使用しているので、S2ではKEY−X=8、KEY−Y=8と設定されることになり、以後インデックスデータは、特許君の使用する触覚入出力装置に適した表示がなされるようになる。
次にS3で「初期化を行いますので、キートップから手を放してください。」と出力されて特許君はキートップから手を離すので、キートップに不用意に指の力が加わらないのでパルスモーター18の駆動がスムースに行われ、結果、全てのキートップ1がいったん平面状態になる。
次にS4のメッセージにしたがって「特許君蔵書」とマイク400に向かって話すと、S6で図3に示した文書管理ファイルが開かれて、S7において、RootNameとTopNameに「特許君蔵書」がセットされる。
次に、S10で「DispIndex」が実行され、前記の動作にしたがってキートップ1とディレクトリとの対応付けが実施された後に、触覚入出力装置のキートップ1が最終的に図23に示す状態に駆動設定されるとともに、閲覧している文書の内容などがCRT211で表示される。図中「◎」印は高い突出状態に設定されてCRT211で赤く点滅して表示されているキートップ、「○」印は低い突出状態に設定されてCRT211で赤く点灯して表示されているキートップ、「・」印は平面状態に設定されているキートップのうちKeyModeが「領域」を示す1でありCRT211で緑色で点灯して表示されているキートップ、無印は、平面状態に設定されたキートップのうちKeyModeが「未定義」を示す0でありCRT211で非点灯の表示がされるキートップであることを示す。以下キートップの設定状態を示す図においては同様の表記方法とする。
このように、本発明によれば、そばにいる晴眼者の人が視覚障害者の触覚するキートップの設定状況を触覚しなくてもCRT211で確認できるので、操作にまごついている使用者に対して、正確で適切な助言が行えるという利点がある。
また、キートップが駆動されている間にはヘッドフォンから駆動中を示す効果音が聞こえるとともに駆動が完了すると効果音が終了する。
このように、本発明によれば、キートップの設定中の状態を音声で確認できるので、設定中のキートップを誤認して誤操作してしまうことがないという効果がある。
駆動が完了すると、効果音が終了するので、手で操作パネルの表面を触って、突出しているキートップを触覚する。すると、わずかに凸状の突起があるキートップの大部分は平面状態になっているが、一番左側の列の上から3つのキートップが低い高さで突出していることが識別できる。この触覚操作により、特許君の蔵書を管理している蔵書ファイルの一番上位の階層には、3つのフォルダが存在していることが把握できる。
次に、特許君は一番上のキートップを押した。すると、S11の処理により、1列1行のキートップがシングルクリックされたことが検出され、S20において「属性表示」動作が選択されて、次のような内容の音声が左上のあたりから聞こえるようにヘッドフォンから出力される。
「ぴっ、研究開発、4項目」
これにより、このキートップは「研究開発」という名前のディレクトリであり、下位に4つのディレクトリが存在していることが簡潔な表現で把握できたので、引き続き特許君はキートップを押しつづけた。すると処理はS31に至りClickMode=Cに設定されて次にはS20からの階層表示に進んで、今度はヘッドフォンから下位のディレクトリの名前が順次読み上げる音声が聞こえる。
「予算、設計図、通信記録、特許」
この音声により、特許君は閲覧したい手紙が格納されている「通信記録」のディレクトリがこのキートップに関連するディレクトリの下位に含まれていることがわかったので、引き続き同じキートップ1をダブルクリックした。
すると、S11においてダブルクリックが検出され、S17で「画面展開」が選択され、S27において新しくTopNameに「研究開発」とセットされ、再び「DispIndex」が実行され、今度は触覚入出力装置が図24に示す突出状態になる。
同様にして、第2列のキートップを操作し、3項目目のディレクトリである「通信記録」に割り付けられている3行目のキートップをダブルクリックすると、図25に示す状態になる。
図25のように、触覚入出力装置の列には、その階層に含まれるディレクトリに対応したキートップが突出し、中でも高い突出高さに設定されているキートップに関してはその一つ右側の列にその下位のディレクトリが展開されているとともに、左側の列には、その階層の上位のディレクトリが展開されている。
このように、本発明によれば、使用者はキートップの設定状態を触覚することにより、現在展開されている階層の深さや、展開されている項目が属する階層における他の項目との位置関係や、他の項目の名前などを、容易に認識できるという効果がある。
この実施例のような蔵書管理以外にも、図書館の書籍の分類管理データや辞書、パソコンメニュー構造、プログラムの動作状態など、階層的な構造を有する情報の構造を適切に把握しながら閲覧するのに本発明が有効であることは言うまでもない。
次に3列1行めのキートップをクリックすると、「ぴっ、手紙」とヘッドフォンから聞こえたので、目的の文書であることを判断して、引き続きダブルクリックする。すると「手紙」の文書ファイルが新たに読み込まれて、目的のガンバ先生への手紙が図26に示すように、触覚入出力装置のキートップ1に表示される。
図中「○」ないしは「◎」のキートップの部分は触覚するだけでそのキートップにフィールドが対応つけられていることが認識でき、特に「◎」のキートップには、下位の階層が割り付けられていることが容易に認識でき、それらのフィールドのレイアウト関係が容易に認識できる。
このように、本発明によれば、キートップの状態を、異なる3種類の識別状態に設定できるので、所定のキートップを他のキートップと区別して表示可能であり、文書管理データのディレクトリ表示において現在展開されているディレクトリをハイライト表示したり、文書データにおいて下位のフィールドが関連付けられている項目のキートップをハイライト表示したりすることが可能になり、音声による表示によらずに触覚で識別できるような表現が行えて、データのレイアウトや構造を理解しやすいという効果がある。
特に、本発明の触覚入出力装置の各実施例では、触覚操作手段の、突出高さ、振動態様、音声表示により、触覚操作に基づく触覚操作手段の設定状態を複数に表示できるので、触覚による認識が容易で、かつ、設定状態を区別させるために平面方向に見て少ないスペースで3以上の設定状態を表現できるという効果がある。
さらに、図中4列3行目の低い高さのキートップをシングルクリックすると、「ぴっ、時候の挨拶、36文字」と音声で表示され、手紙の「時候の挨拶」という概念の内容が手紙の上部の部分に記述されていることが的確に把握できる。さらに図で「・」で示されている平面状態に設定されている3行目にならんだキートップを指でシングルクリックして確認すると、「ぴっ、時候の挨拶、36文字」と表示されて、特に一番最初に発声される「ぴっ」という領域識別音は、4種類の、隣接する別の領域とは異なる音色で設定されているので(図ではdという種類の音色)、その音色を聞くだけでそのキートップは「時候の挨拶」と同じ領域に属することが識別でき、次々にシングルクリックしていけば「時候の挨拶」が割り付けられている領域を識別できる。
このように、本発明によれば、情報の大まかな構造と位置関係は、キートップ1の2次元マトリックス上での分布と設定状態で識別できる一方、キートップ1をシングルクリックするとそのキートップ1に関連付けられたフィールドの属性情報を音声で確認できるので、その属性情報に含まれる領域識別音により各フィールドの占める領域が確認可能で、文書の構造やレイアウトを理解しやすいという効果がある。特に実施例のように、機械的にキートップを駆動させる方式の触覚入出力装置では、キートップの駆動は少なくしたい。従って平面状態のままでも必要に応じてそ領域を識別できる方式は有利である。
次に、4列3行目のキートップをダブルクリックするかシングルクリックしてそのままキートップを押しつづけていれば、動作は「内容表示」に移り、「拝啓 初秋の空が…」という時候の挨拶の内容が音声で出力される。
このように、本発明によれば、例えば実際は多数の文字で構成される内容でも、それをフィールドというブロック単位情報でグループ化してそれを一つのキートップに割り付けるとともに、そのキートップを押下操作するとその内容が音声で出力されるので、従来のように文字数毎にキートップを設置する必要がなく、数が限られた安価な触覚入出力装置でも、文書をわかりやすく閲覧できるという優れた効果がある。また、レイアウトを確認する触覚操作だけで内容が発声してしまうという不都合がなく使いやすいという効果がある。
なお、本実施例では、8列x8行の触覚入出力装置を使用しているが、やや高価になるものの、16列x16行のキートップを備えた触覚入出力装置を使用しても良い。その場合、プログラムにより自動的にその仕様が判別されて、同じ「手紙」の文書を閲覧した場合でも、図27のような表示になる。この表示を図26と見比べれば、図26では7行目の「結文」と8行目の「追伸」には同じ「1行」で表現されていた領域が、表現能力が高い触覚入出力装置では、それぞれ1行、3行とより実際の文書に近い表現が可能であることがわかる。
このように、本発明によれば、触覚入出力装置の仕様を判別してその仕様に応じてキートップとフィールドなどの対応関係が適切に設定されて処理されるので、使用する触覚入出力装置に応じて適切に文書が閲覧できるという効果がある。
なお、本実施例で使用した文書は、8列x8行で表現できる文書データであったが、もっとレイアウトが精細な文書では、ひとつの階層の表示が8列x8行のキートップでは表現しきれない場合があり、その場合、インデックスデータは16列x16行用のデータのみで記憶されている場合がある。その場合は図35に示すように、16列x16行を4つの8列x8行に分割するとともに、4つのスクロール指定スイッチを配置し、その操作に基づき、表示する分割エリアを切り替えて表示させると、安価な触覚入出力装置でもレイアウトが精細な文書を閲覧できるようになるという効果が生まれる。
具体的には、図中左上のAのエリアを表示させる場合は、左上のスクロールスイッチを操作すればよい。この際、スクロールスイッチの操作状況を、図のようにキートップの突出高さで表示すれば、現在表示されている分割エリアがどこのエリアか識別できてさらに好適である。もちろん固定的なスイッチで構成しても良い。
次に、図26において、4行5列の高い突出状態のキートップをシングルクリックすると、「ぽっ、本文、4項目」と発声されて、このキートップには、4項目からなる本文が割り付けられていることが識別できるので、引き続きそのキートップをタブルクリックする。すると「画面展開」の動作が行われて「本文」の内容が詳しく表現されて、図28の状態になる。参考のために示せば、16列x16行の触覚入出力装置を使用している場合は図29の状態になる。
この状態でキートップを触覚すれば、「はじめに」「実験結果の表」「実験結果の説明」「実験の考察」が所定の位置で、所定の領域を占めていることが読み取れる。さらに8列4行の「実験結果の表」をダブルクリックすると、新しく図7に示した「c:¥result.dat」というデータが読み込まれ、TopNameに「実験結果の表」が設定されて所定の動作が行われ、結果的に図30(16列x16行の場合は図31)の状態になる。各図中それぞれのキートップには表題や表頭表側の項目、表のセルなどが対応付けられて、例えば所定の表のセルに対応したキートップをダブルクリックすると、そのセルのデータの内容を音声により確認できる。
このように、本発明によれば、表のようにフィールドが多くなりがちな情報で1画面ではキートップの数が不足する場合でも、データが階層的に構成されていてその階層構造に応じて適切にキートップとフィールドとの対応情報が設定されるので、文書を適切な階層に別けて表示することが可能で、文書を見通しよく閲覧できるという優れた効果がある。
このような閲覧方法により同様に「手紙」の「追伸」の中にある「スナップ」(図6に示すスナップ写真を表現したデータ)を閲覧することが出来る。具体的には図26で4列8行のキートップをダブルクリックすると図32に示す状態になるのでさらに6列2行のキートップをダブルクリックすると、「c:¥picture.dat」というデータが読み込まれて図33のように表示される。
視覚障害者にとって、図6に示したオリジナの写真を閲覧することは極めて困難である。狭いピッチで突出量をコントロールできる触覚ピンによりレリーフ状でイメージを触覚できる装置のアイデアも提案されてはいるが、どれも驚くほど装置が高価であるし、単にレリーフで写真の明暗を表示するだけでは内容が良く分からないという欠点があり実用になっていない。ところが、本発明をこのような「写真」や「絵画」を閲覧する目的で応用すれば、これらの課題が解決できる。
具体的には、晴眼者の協力により図6に示した写真を着目すべき領域に分割し、この分割された領域をフィールドとして登録するとともに、その部分の説明をテキストデータないしはその写真のイメージを表現するサウンドデータで記述するのである。
このようにして作成されたデータ(図5参照)を触覚入出力装置で表示すると、図33に示すようになる。参考のため各フィールドの名前を対応するキートップ領域に付してある。実施例では簡単のために、例えば「ガンバ先生」を説明するには単一のフィールドで表現しているが、「なさけない顔」や「寒そうな頭」などと複数の下位フィールドで構成してより詳細に表記することもむろん可能であり、これを実際に行うには、今まで説明した技術の概念を応用すれば容易であることは言うまでもない。
このように、視覚障害者にとって不可能であった写真や絵画の鑑賞も、本発明を利用して「2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報」としてとらえ、その写真や絵画の特徴ある部分を説明する情報をブロック単位情報として記録するようにして本発明を適用すれば、その写真や絵画の内容を容易に理解できるという効果がある。
図6に示す写真に関する実施例は、芸術センスのない出願人によるものであるのでつまらない内容ではあるが、ゴッホやルノアールなど、今まで視覚障害者にとっては縁のなかった名画も、その絵画を見て感じた感動を、音声や音楽を使って表現し直してくれる各分野の芸術家の協力があれば、その絵画の視覚的情報を超えた新の芸術性までも伝えることができるであろう。
なお、使用途中で、触覚入出力装置のキートップに所定の情報が展開されている状態を記憶するコマンドを用意して、それを実行し、任意の名前を指定してその状態の情報をHDD204に記憶しておくとともに、使用を再開した際にその名前を指示して読み出し、中断した状態に復帰させるようにすれば、操作性が向上する。記憶する情報の中には、その情報を表示させるに至った上位の階層の情報も合わせて記憶しておけば、再開時に上位の情報へ戻ることができるので便利である。
次に、特許君は手紙の日付を書き忘れたことに気づいたので、マイク400に向かって「へんしゅう」と話す。すると、S14でそれが評価され閲覧モードから編集モードに変更される。
次に、図26の状態で、新しく日付を書き込みたい場所の代表ポイントとして7列1行のキートップをダブルクリックする。すると、S20で「新規作成」が選択され、サブルーチン「NewIndex」が実行される。途中音声アナウンスに応じて、フィールドの名前は「日付」、左上と右下のポイントをそれぞれ「6列1行」「7列1行」、NewTypeを「ぶんしょう」と指定する。その後アナウンスにしたがって「へいせい、じゅうねん、くがつ、じゅうさんにち」とマイク400に入力すると、「手紙」の文書データに「日付」という名前のフィールドが追加されて図4に示した編集後のデータになり、触覚入出力装置も新しいデータにしたがって変更されて、図34に示す状態になる。
このように、修正したい部分をレイアウトを確認しながら所望の位置にキートップで指示できるとともに、使用者の声を入力してそこに含まれる情報を抽出して、操作されたキートップに関連したフィールドの記憶内容を更新することができるので、効率的に文書の内容を編集できるという効果がある。
また視覚障害者は、操作パネルの表面の汚れを視覚で確認できないので前述した掃除機能などのメンテナンスを行うタイミングを得にくい。したがってサブルーチン「DispIndex」をコールした回数を、HDD204などの不揮発性の記憶媒体に記憶しておき、一定回数コールされたら操作パネルの掃除を行う旨のメッセージを出力するようにすると、掃除のタイミングが得られて操作パネルをいつも清潔な状態に維持することが可能である。
また、所定の情報を閲覧していくと、図13に示したメモリ202に設定された記憶領域の記憶内容(以下、状態情報と称する。)は、閲覧操作に応じて逐次変更されていくので、例えば「DispIndex」をコールする毎に、その時点の状態情報を、HDD204の所定の記憶領域に記憶すると、停電で突然装置の電源が切れてしまったり、利用者が電源を突然切ってしまったりした時にも、HDD204に記録された状態情報に基づき最新の状態に復帰させることが可能である。
また、利用者が任意の時点での状態情報を、後から利用できるように名前を付けてHDD204に保存できるようにするとよい。実施例では、S14において「じょうたいきおく」コマンドを認識できるようにして、次のステップで利用者から保存する名前を入力し、その名前で、その時点の状態情報をHDD204に記録すればよい。また、HDD204に記憶された複数の状態情報の中から、再現させたい状態を名前で指定して読み出し、メモリ202に設定すれば、その状態に至るまでの操作を行わなくても、情報の閲覧状態を所望の状態にできる。
以上、本発明の実施例を説明するのに、例に上げた具体的なデータと、詳細なフローチャートを使って説明したが、以下には、この発明を応用すると効果のある形態に付いて、図面に基づいて簡単に説明する。以下の説明では、上記の説明で明確になった本発明の技術思想を適宜応用すれば達成できることから、具体的なデータと詳細なフローチャートは開示しない。
まず、パソコンなどの所定の装置の機能を選択的に実行するためのユーザーインターフェースに本発明を応用したものを説明する。
図55は、パソコンの所定の機能を階層的に表現したものであり、「ホームページ閲覧」「メール送受信」「文書閲覧」という最上位の機能から、それぞれの機能を構成する下位の機能に展開されている。このようにパソコンの機能は、単位機能の集まりとして階層的に扱うと、それらの単位機能を、本発明の触覚入出力装置を用いて階層的に表現しながら所望の機能を指定して実行させるという応用ができる。
また、図56は、図55のパソコンの機能へアクセスするのに適したユーザーインターフェースを提供する触覚入出力装置のキートップの使用例を示す図である。
図56の左下のキートップは、「スタートキー」としての機能が固定的に割り付けられている。この「スタートキー」は、現在パソコンの主流のOSで採用されている「スタート」キーに相当していて、視覚障害者は何はともあれ、このキーを操作することで、パソコンの機能にアクセスできるようになっている。
図57は、実際に利用者が「スタートキー」を操作して、図56の「デスクトップ領域」に、図55に示すパソコンの機能の階層構造(図63に対応するデータを示す。)を表示させて、「ホームページ閲覧」「設定」「アカウント」を順に選択した後、設定すべき「電話番号」「ユーザー名」「パスワード」という最終的に設定すべき入力項目に対応したキートップを表示させた状態を示している。
ここで「電話番号」をクリックすると、この項目がインターネットのアクセスポイントの電話番号を入力する項目である属性情報が表示され、ダブルクリックすると、S22でコマンドデータであると判断されてS33で、”SetTelNo.bat”に指定されているパソコンの単位機能が実行される。具体的には「電話番号を入力してください。」というメッセージの後に、マイクから電話番号を設定する機能が実行される。
このように、ブロック単位情報には、表示に関する情報のみならず、パソコンの単位機能に関する情報も含めるので、階層的に構成されたパソコンの単位機能の中から、所望の単位磯能を簡単に指定して、所望の単位機能を実行させることができる。
次に、利用者は、「ホームページ閲覧」の下位のキートップの中に「接続」という機能が割り付けられていることをクリックにより確認した後にダブルクリックする。すると、ホームページ閲覧プログラムはモデムを制御してパソコンをインターネットに接続させ、所定のアドレスのホームページデータをダウンロードして、HTMLデータに含まれる構造記述子を適宜解析して、デスクトップ領域で使用できるキートップの数に応じた適切な表示を行い、ホームページを、図58に示すようなキートップの設定状態として表示させる。利用者は、適宜キートップを操作しながら必要な情報を閲覧できる。
一方、図56に示すように、最下行の「スタートキー」の右に並ぶキートップ群は「タスクバー」であり、同様に主流のOSでも採用されている「タスクバー」に相当する。この「タスクバー」に属するキートップ1には、「スタートキー」に基づいて起動されたプログラムが生成するウインドウが割り付けられ、図58では、デスクトップ領域で表示中のホームページ閲覧ソフトのウインドウが割り付けられている。
このタスクバーに含まれるキートップは、後述する「デスクトップ領域」でそのキートップに対応しているウインドウに含まれる下位の情報が展開表示されている場合には、タスクバーに含まれるキートップの突出高さを高くするなどのハイライト表示が設定され、デスクトップ領域で展開表示されていない場合は、タスクバーに含まれるキートップは突出高さが低い表示が設定される。この表示形式は、請求項9に記載の発明に相当しており、すでに下位の情報が対応付けられていることが自明なタスクバーのキートップに関しては、その識別状態の設定を、展開済みか否かの識別に用いるのである。
また、タスクバーのキートップをダブルクリックするとデスクトップ領域への展開状態と非展開の状態とを交互に切換えられるように、適宜制御プログラムを実装すれば、限られたデスクトップ領域のキートップを、複数のウインドウで切換えながら利用できる。具体的には、図58のタスクバーの中のキートップをダブルクリックすれば、デスクトップ領域での表示が非表示となって、図59に示す状態になる
また、よく使う文書やプログラムを、デスクトップ領域の所望の位置のキートップに関連付けて「アイコン」として記憶しておいてもよい。図56の右上の2つのキートップは、別途所定の手順により前述の「手紙」と「スナップ」が対応付けられたキートップを示している。
キートップをアイコンとして利用すると、いずれのウインドウもデスクトップ領域で展開されていない時に、触覚入出力装置のいつもの場所のアイコンを操作するだけで、よく使う文章や機能に容易にアクセスできるようになる。具体的には、キートップをクリックするとそのキートップに対応付けられている文書名を簡潔に表示させ、ダブルクリックすることでその文章を展開表示できる。
このようにして、必要に応じてパソコンのスタートキーを操作してパソコンの機能を実行させ、デスクトップ領域を有効に使いながら、パソコンの所望の機能を利用して情報を閲覧したり編集することが可能になり、パソコン操作に不慣れな視覚障害者でも簡単に利用できるという効果がある。
最後に、視覚障害を持つ子どもが、算数を学習する場合に有効な応用例を上げておこう。図60は、子どもが苦手な分数の計算を学習するために用意された教材を示す図である。
図では、2分の1と3分の1の足し算が課題である。そしてその課題を達成するための道筋として、それぞれの分母を通分するステップと、通分した分数の分子を加えるステップに対応して、数字の部分が空白の式が記載されている。課題の用紙には、それぞれの式の空白の部分に、どんな数字を入れるのか説明が文章で記載されていて、子どもはそのアドバイスを見ながら、課題に取り組むのである。
図61は、同一の課題を、本発明の装置を使って表現した初期の図であり、図62は、学習の最終段階の図である。
図からわかるように、キートップは、それぞれ数字や分数の横棒、プラス記号や等号などに対応した位置に表示されている。例えば、左端に3つ並んだキートップは、上から「1」「−」「3」に対応していて、下から順にクリックすると「さん」「ぶんの」「いち」という音声が表示される。また、右端に3つ並んだキートップは同様に、下から順に「解答欄」「−」「解答欄」に対応し、「解答欄」のキートップはハイライト表示され、解答を記入する欄であることを示している。そこで、子どもが分母のキーを押しつづけると、解答を考える上でのヒントが次のように音声で表示される。「2分の1と3分の1を通分しようね。」
このヒントを聞いて、子どもは左辺の分母の数を触覚してそれぞれ、「3」と「2」であることを確認し、右辺のそれぞれの分母に「6」と解答すべきであると理解する。そして、右辺の分母のキートップをダブルクリックして、音声で「ろく」と入力することで、分母の空白の部分に、それぞれ解答の「6」を入力できる。
同様にして、子どもは、分子にも解答を入力すると、制御プログラムはその内容が正しいことを判断して次のステップに進み、図62に示す表示になる。
子どもは、新しく表示されたキートップの表示形態を触覚すると、右辺の分数を、1つの分数にまとめればよいというヒントを得て、空白のキートップの部分にそれぞれ同様な方法で「5」と「6」を入力する。すると、制御プログラムは課題が達成できたことを判断し、「よくできました。」と出力する。
以上のように、数字や記号の位置関係など、構造的な概念を用いた認識が不可欠な算数の学習課題に関して、本発明を応用することで、効率的な学習が行えることがわかる。
上記の分数計算の課題シートはあらかじめ定められた数式の空白部分に数字を埋めていく単純な例であったが、本発明を応用すれば、複雑な構造を有する方程式を、利用者が階層的に入力していくことで、より複雑な構造の方程式を用いた高度な学習に利用できることは言うまでもない。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかる視覚障害者用情報処理装置は、視覚障害者用の情報閲覧装置や文章作成装置として有用であり、また、本発明にかかる触覚入出力装置は、視覚障害者用情報処理装置などの入出力装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のクレーム構成図である。
図2は、本発明の視覚障害者用情報閲覧装置の構成を示すブロック構成図である。
図3は、閲覧する文章の階層的な管理構造を記録したデータを示す図である。
図4は、文書データの例を示す図である。
図5は、「スナップ」のデータを示す図である。
図6は、「スナップ」の画像データを示す図である。
図7は、「実験結果の表」のデータを示す図である。
図8は、タグの定義の説明図である。
図9は、タグの定義の説明図である。
図10は、「特許君蔵書」で示されるディレクトリの階層構造を示す図である。
図11は、「手紙」のフィールドの階層構造を示す図である。
図12は、「手紙」の文面とフィールドの階層構造との対応を示す図である。
図13は、メモリに設定された記憶領域のデータ構成を示す図である。
図14は、メインルーチンのフローチャート(前半)を示す図である。
図15は、サブルーチン「DispIndex」のフローチャートである。
図16は、メインルーチンのフローチャート(後半)を示す図である。
図17は、動作対応表を示す図である。
図18は、属性表示の発声パターンを示す図である。
図19は、サブルーチン「Cleaning」のフローチャートである。
図20は、サブルーチン「NewIndex」のフローチャートである。
図21は、サブルーチン「Calibration」のフローチャートである。
図22は、サブルーチン「BlockData」のフローチャートである。
図23は、「特許君蔵書」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図24は、「研究開発」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図25は、「通信記録」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図26は、「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図27は、16列x16行の触覚入出力装置における「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図28は、「本文」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図29は、16列x16行の触覚入出力装置における「本文」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図30は、「実験結果の表」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図31は、16列x16行の触覚入出力装置における「実験結果の表」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図32は、「追伸」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図33は、「スナップ」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図34は、「日付」挿入後の「手紙」閲覧時のキートップの設定状態を示す図である。
図35は、スクロール表示の説明図である。
図36は、触覚入出力装置の上面図である。
図37は、図36のA−A断面図である。
図38は、4つのキーグループを図37のA−A断面の上方から見た図である。
図39は、4つのキーグループを図37のB−B断面の下方から見た図である。
図40は、電子基板の4つのキーグループに対応する部分を図37のC−C断面の上方から見た図である。
図41は、4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギヤの位置関係を、図37のD−D断面の下方から見た図である。
図42は、位置決め駆動手段の機構を示す図である。
図43は、昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
図44から図48は、モーター取り付けフレームがそれぞれ、基準位置、左上位置、左下位置、右上位置、右下位置の際の4つのキーグループの昇降ギヤ及びピニオンギヤの位置関係ならびに位置決め駆動手段の機構の位置関係を図37のD−D断面の下方から見た図である。
図49は、操作パネル及び昇降ピンの第2の例に付いて昇降ピンの複数の昇降高さについて図36のA−A断面により示した図である。
図50は、触覚入出力装置の第2の実施例の構成を示す図である。
図51は、触覚入出力装置の第2の実施例のワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図52は、触覚入出力装置の第3の実施例の構成を示す図である。
図53は、振動ピンの構造を示す断面図である。
図54は、ワンチップマイコンに内蔵されたプログラムのフローチャートである。
図55は、パソコンの機能の階層構造を示す図である。
図56は、図55のパソコンの機能へアクセスするのに適したユーザーインターフェースを提供する触覚入出力装置のキートップの使用例を示す図である。
図57は、図55に示すパソコンの機能の階層構造の表示例である。
図58は、ホームページを閲覧中のキートップの設定状態を示す図である。
図59は、図58で、タスクバーのキートップをダブルクリックした後のキートップの設定状態を示す図である。
図60は、算数のワークシートを示す図である。
図61は、図60に対応したキートップの表示状態を示す図である。
図62は、図61の次のステップのキートップの表示状態を示す図である。
図63は、図55に示すパソコン機能のデータを示す図である。
Claims (30)
- 各別に設定された所定の領域における指先での触覚動作に基づく識別状態を2以上の状態に設定可能であるとともにその所定の領域への操作を検出可能に構成された行方向と列方向の2次元マトリックス状に配置された複数の触覚操作手段と、前記所定の領域における操作に基づき所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力する操作信号抽出手段と、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を複数のブロック単位情報で分割して記憶するとともに該ブロック単位情報と前記複数の触覚操作手段との対応関係を示す触覚操作手段対応関連情報を記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に所定の情報を設定する情報設定手段と、前記情報記憶手段の触覚操作手段対応関連情報を入力して前記触覚操作手段設定手段に触覚操作手段設定情報を供給する触覚操作手段設定情報供給手段と、触覚操作手段設定情報に基づき前記複数の触覚操作手段をそれぞれ所定の状態に設定する触覚操作手段設定手段と、音声関連情報を入力して音声を発生する音声発生手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段に対応したブロック単位情報を前記情報記憶手段から読み出して音声関連情報を抽出して前記音声発生手段に供給する音声関連情報供給手段と、前記操作信号を入力するとともに操作された触覚操作手段にもとづき前記情報記憶手段の内容を変更する情報変更手段と、からなることを特徴とした視覚障害者用情報処理装置。
- 1つ以上の前記ブロック単位情報は、表示に関する情報である表示情報と、その表示情報に関する属性情報である属性情報とを含むとともに、前記操作信号抽出手段は、表示情報を閲覧するための操作に基づく表示閲覧信号と、属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出するとともに、前記音声関連情報供給手段は、前記表示閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の表示情報に関連した音声を発生し、属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生することを特徴とした請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報は複数の単位機能で構成される所定の装置の機能に関連する情報を含み、1つ以上の前記ブロック単位情報は、該単位機能の実行に関する単位機能情報と、単位機能の属性情報である属性情報とを含み、前記操作信号抽出手段は、単位機能を実行するための操作に基づく単位機能実行操作信号と属性情報を閲覧するための操作に基づく属性閲覧信号とを少なくとも抽出し、前記音声関連情報供給手段は属性閲覧信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報の属性情報に関連した音声を発生し、単位機能を実行する単位機能実行手段を備え、該単位機能実行手段は単位機能実行操作信号を入力するとその触覚操作手段に関連つけられたブロック単位情報に含まれる単位機能情報に基づいて単位機能を実行することを特徴とした請求項1に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記ブロック単位情報は、1つのブロック単位情報が1つ以上の下位のブロック単位情報に関連付けられるように階層的に構成可能であるとともに、前記操作信号抽出手段は、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を展開する操作に基づく下位階層展開信号を抽出可能であるとともに、前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層のブロック単位情報が新しく触覚操作手段に対応されるように、少なくとも前記触覚操作手段対応関連情報を変更することを特徴とした、請求項1から請求項3の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段対応関連情報は、対応する階層に含まれる複数のブロック単位情報が表示ないしは印刷される際のレイアウトに対応して設定されていることを特徴とした、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段対応関連情報は、触覚操作手段の配列の一方向の並びにはデータの階層構造の深さ方向が対応付けられ、それに直行する方向の並びには同一の階層に含まれるブロック単位情報の列挙方向が対応付けられていることを特徴とした、請求項4に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記情報変更手段は、前記下位階層展開信号を入力すると、操作された触覚操作手段に対応するブロック単位情報の下位の階層の情報を、操作された触覚操作手段以外の触覚操作手段に対応付けるように、前記触覚操作手段対応関連情報を変更するように構成されていることを特徴とした、請求項6に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段が設定される識別状態は、少なくとも3以上の状態に設定可能であるとともに、少なくとも1つの識別状態は、所定の触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である旨またはすでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を示すために使用されることを特徴とした、請求項4から請求項7の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、その触覚操作手段が対応するブロック単位情報が下位の階層のブロック単位情報に関連して展開可能である場合に、展開されていない状態と、すでに他の触覚操作手段によって展開表示されている旨を別の識別状態に設定可能であることを特徴とした、請求項8に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は複数の群に分類されるとともに、前記音声関連情報供給手段は、属性情報に関連した音声を発生する際に、操作された触覚操作手段が属するグループとそれ以外のグループとを識別するために各ブロック単位情報に割り当てられた領域識別音を出力することを特徴とした、請求項1から請求項9の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段設定手段は、設定動作状況を音声で認識可能なように構成されていることを特徴とした、請求項1から請求項10の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、所定の基準平面からの操作部の突出高さの状態で、複数の識別状態を構成することを特徴とした、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に設定された操作部への押下操作に基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴とした、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 各別に設定された所定の領域に触れる指先に振動を伝達可能な振動手段を備え、前記触覚操作手段は、該振動手段の振動態様により複数の識別状態を構成することを特徴とした、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に指先が接近したことを検出する指先検出手段を含み、前記振動手段は、該記指先検出手段が指先の接近を検出することに基づき前記振動動作を行うことを特徴とした、請求項14に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域に配設された触覚で認知可能な突起などの触覚部と、該触覚部の近傍に指先が接近したことを検出する指先検出手段とを含み、該記指先検出手段が指先の近接を検出することに基づき出力される音声の形態で、複数の識別状態を構成することを特徴とした、請求項1から請求項11の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の押下操作を検出するように構成されていることを特徴とした、請求項1から請求項16の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 操作された触覚操作手段の位置に応じて、複数の触覚操作手段の設定動作の順序を変更することを特徴とした、請求項1から請求項17の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記触覚操作手段は、各別に設定された所定の領域内の指先の存在を検出する指先検出手段を含み、該領域外に設定された領域での補助入力操作を検出する補助操作手段が設けられ、前記操作信号抽出手段は、指先検出手段の検出結果と補助操作手段からの補助入力操作に基づき、所定の操作方法に対応した操作信号を抽出して出力するように構成されていることを特徴とした、請求項1から請求項18の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 更新情報を入力する更新情報入力手段を備えるとともに、前記情報変更手段は、操作された触覚操作手段にもとづきその触覚操作手段に関連した前記情報記憶手段の記憶内容を該更新情報入力手段から入力した情報に基づき変更することを特徴とした、請求項1から請求項19の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記更新情報入力手段は、マイクから入力した音声信号からテキスト情報を抽出する音声入力手段を備えていることを特徴とした、請求項20に記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 装置の使用時間情報を積算する使用時間積算手段を備え、積算時間情報に基づき装置の保守作業を指示する動作を起動することを特徴とした、請求項1から請求項21の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 前記情報設定手段は、2次元平面に展開可能なデータ構造を有する情報を入力する情報入力手段と、入力した情報に含まれる構造記述子に基づき情報を複数のグループに分割するグループ分割手段と、前記複数のグループ間に親子関係がある場合にその階層構造を抽出する階層構造抽出手段と、前記グループに含まれる情報が表示または印刷の際に領域を占める場合にその領域に関する情報を求めるグループ領域抽出手段と、グループ領域抽出手段と前記階層構造抽出手段の抽出結果に基づいて、前記複数のグループといずれかの階層の表示状態で使われる少なくとも1以上の触覚操作手段との対応関係を設定するマッピング手段とを備え、前記グループに含まれる情報ならびに前記マッピング手段で設定された情報に基づき前記ブロック単位情報ならびに触覚操作手段対応関連情報を設定することを特徴とした、請求項1から請求項22の何れかに記載の視覚障害者用情報処理装置。
- 1つの駆動モーターで複数の昇降式キートップを選択的に駆動するために駆動力の伝達経路の途中に機械的なクラッチ機構を含めるような構成を含む触覚入出力装置において、フレームと、モーター取り付けフレームと、前記モーター取り付けフレームに固定された複数の駆動モーターと、駆動モーター制御手段と、前記駆動モーターの出力軸に取り付けられた駆動力出力部と、操作入力部を有した昇降式キートップ、前記駆動力出力部と連結して駆動力を入力し前記昇降式キートップを昇降させる昇降式キートップ昇降手段、昇降式キートップを触覚する指先の押下操作を検出する操作検出手段で構成され、前記駆動モーター1つに対してそれぞれ複数フレームに配置されたキーユニットと、前記フレームと前記モーター取り付けフレームとを回転を伴わない平行方向に相対的に駆動して、前記駆動モーターに対応してフレームに配置された複数のキーユニットの中の任意のキーユニットの昇降式キートップ昇降手段に、該駆動モーターの駆動力出力部を連結させる位置決め駆動手段と、から構成されていることを特徴とする触覚入出力装置。
- 前記キーユニットは、対応した駆動モーターの駆動力出力部を中心とした四角形の頂点に配置されていることを特徴とする請求項24に記載の触覚入出力装置。
- 前記駆動モーターはパルスモーターであり、前記駆動力出力部は該駆動モーターの回転出力軸に固着された駆動歯車であり、前記昇降式キートップ昇降手段は該駆動歯車に噛合して回転駆動される被駆動歯車で構成され、前記キーユニットは、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車が正常に噛合する第1の取り付け状態と、前記被駆動歯車と前記被駆動歯車の歯先の当接を吸収するためにフレームに対して変位した第2の取り付け状態との2つの状態を取り得るとともに、該第2の取り付け位置から弾性体の付勢力により該第1の取り付け位置へ復元させるように構成されていることを特徴とした請求項24または請求項25に記載の触覚入出力装置。
- 前記昇降式キートップは、その上部が前記フレームに形成されたガイド孔により上下方向に摺動可能にガイドされその下部は前記昇降式キートップ昇降手段に連結されるとともに、前記被駆動歯車の水平方向への退避動作に伴い該ガイド孔にガイドされた部分を中心に揺動するように構成されていることを特徴とした、請求項26に記載の昇降式キートップを備えた入力装置。
- 前記昇降式キートップは上部に押下操作を入力する部分が形成され、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、ねじ結合またはカム接触により連結されて前記昇降式キートップ昇降手段の回転に伴い前記昇降式キートップが前記昇降式キートップ昇降手段に対して上下方向に昇降するように構成され、昇降式キートップ昇降手段の一部は、前記操作検出手段に接触して下側から支持され、前記昇降式キートップに入力された押下操作が昇降式キートップ昇降手段を介して操作検出手段により検出されるように構成されていることを特徴とした請求項25から請求項27の何れかに記載の触覚入出力装置。
- 前記昇降式キートップ昇降手段は前記フレームに対して上方への移動を規制されているとともに、前記昇降式キートップと前記昇降式キートップ昇降手段は、前記昇降式キートップが降下して昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さに達するのに伴い前記昇降式キートップ昇降手段の下面で前記操作検出手段と接触する部分で前記操作検出手段を押下する原点押下手段が突出するように構成され、該原点押下手段が前記操作検出手段を押下したことを検出することで前記昇降式キートップの昇降式キートップ昇降手段に対する基準高さを検出するように構成されていることを特徴とした、請求項28に記載の触覚入出力装置。
- 少なくとも前記情報記憶手段に含まれる対応情報を含んだ情報であって、利用者の操作の履歴が反映された装置の状態を再現可能な状態情報を不揮発性の記憶手段に記憶する状態情報記憶手段と、記憶された状態情報を読み込んで装置の状態を再現する状態情報読込手段とを備えることを特徴とした、請求項1から請求項23の何れかに記載の視覚障害者用情報処理置。
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