JP3817032B2 - プローブ及びその製造方法とプローブ型メモリ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型近接場顕微鏡および近接場光学を利用した、プローブ型メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学波長の限界を超えた超解像を実現する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM;Scanning−Near−field−Optical−Microscope)を利用し、従来の光記録や磁気記録の限界を超えた60Gbit/in2〜1Tbit/in2の高密度メモリ(SNOM型メモリ)を実現することを目的とした研究が始められている。
【0003】
近接場光学により超解像を実現するにはエバネッセント場と呼ばれる電磁場を利用することが必要である。SNOM型メモリにおいては、このエバネッセント場の生成及び検知手法として光ファイバープローブや誘電体物質で形成された中空のプローブなどがよく用いられる。これらのプローブは入射する光の波長よりも小さい端部を先端に有しており、該端部からエバネッセント場として光が出射される。プローブの分解能は端部とほぼ同程度の値が得られることが知られており、このようなプローブを利用することにより超解像が実現される。
【0004】
したがって高記録密度を狙うSNOM型メモリ用プローブとしては、求められる分解能とほぼ等しく設計された開口径が光学的に実現されることが必要である。それと同時に、プローブ先端から出射される光強度は信号の品質(S/N)や記録密度を決めるもう一つの大きな要因であるため、いかにして入射光をプローブ外に漏れ出る事なくプローブ先端まで到達させるかが高密度メモリ用プローブとしては重要な点になる。
【0005】
従来、これらのプローブにはプローブの外側に金属膜を形成することにより光が漏れ出ないようにする試みが行われてきた。高密度メモリ用の光源としては半導体レーザの使用が最も好ましいが、これら半導体レーザの波長は例えば、635nm、650nm、780nm、830nmと600nm以上の波長であるため、プローブを被覆する金属膜としては600nm以上の波長に対して高反射率を示す材料が望まれる。600nm以上の波長に対する反射率が高い金属膜としては例えば特開平8ー94649号公報に金(Au)や銅(Cu)が記載されているが、AuやCuが600nm以上の波長に対して高反射率を示すことは『新版物理定数表、表7.1.2.3、p.172』等に記載されているようによく知られた事実である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこの高い反射率を示すAu膜をプローブに形成し、プローブ他端からHe−Neレーザ(632.8nm)を入射してみたところ、入射光をプローブ外に漏れ出る事なくプローブ先端まで到達させることが出来ず、プローブ先端での光強度が著しく減少するため信号の品質(S/N)が劣り高密度記録が行えないという課題が明らかとなった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として、本発明では以下のプローブが有効である事を見い出した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、光源からの光を入射する第1の端部と、該入射光波長よりも直径が小さい第2の端部を有する誘電体物質で形成されたプローブ及び光ファイバープローブにおいて、第1及び第2の端部を除く表面に、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムの少なくとも一つから選択された窒化物薄膜を形成することを特徴とする。このようなプローブを用いることにより、600nm以上の波長に対して高反射率を示し、かつ光がプローブから漏れでることのないためプローブ先端での光強度減少の少ないプローブが実現できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記プローブにおいて、窒化物薄膜の膜厚が10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする。すなわち、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム膜は、600nm以上の波長に対して高反射率を示すばかりでなく、膜厚が10nm以上から均一な被覆が可能で、かつまた密着性に優れるために1000nmの膜厚まで剥離することなくプローブを被覆することが可能である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、光源からの光を入射する第1の端部と、該入射光波長よりも直径が小さい第2の端部を有する誘電体物質で形成されたプローブ及び光ファイバープローブにおいて、端部以外のプローブの表面に、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかの金属膜が形成され、該金属膜の表面に、該金属膜の窒化物膜が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のプローブにおいて、前記窒化物薄膜の膜厚は10nm以上1000nm以下、前記金属膜の膜厚は10nm以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3及び4に記載のプローブの製造方法で、前記金属膜と、前記窒化物薄膜を、同一真空中で連続的に形成することを特徴とする。
【0013】
窒化チタン/チタン、窒化ジルコニウム/ジルコニウム、窒化ハフニウム/ハフニウムの少なくとも一つから選択された窒化物薄膜及び該被窒化金属薄膜の2層構造を、同一真空中で連続的に形成することにより窒化物薄膜の応力を緩和し密着性を向上させることで、入射光強度を増強した際においても剥離がなくプローブ先端での光強度減少の少ないプローブが、窒化物薄膜の膜厚が上記と同様の範囲(10nm以上1000nm以下)で、かつ、被窒化金属薄膜層の膜厚が10nm以下において作製可能となる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、プローブによる微小ビットの記録を行うプローブ型メモリにおいて、請求項1〜4のいずれかに記載のプローブを備えたことを特徴とする。このようなプローブを備えることにより高記録密度のプローブ型メモリが実現可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による窒化物薄膜を用いたプローブ及びその製造方法とプローブ型メモリの有効性を示す為の比較例及び実施例を以下に述べる。
【0016】
(比較例)
比較として、Au膜及びCu膜を被覆した2種類のプローブの例を示す。
Au膜及びCu膜をガラス基板上に成膜し、反射率をHe−Neレーザ(632.8nm)を用いて測定したところAu膜では92%、Cu膜では89%と文献等でよく知られているように高い反射率が得られることを確認した。
【0017】
ところがこの高い反射率を示すAu膜及びCu膜を、端部を除く光ファイバ表面に形成し、プローブの一方の端部から5mWのHe−Neレーザ(632.8nm)を入射しプローブ先端での光強度をプローブをフォトディテクタに接近させ測定したところ約6pWと著しく減少していることがわかった。
【0018】
この原因を調べるために10nm〜1000nmと膜厚をかえて成膜しプローブの表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で調べたところ、30nm以下の膜厚では膜にピンホールが見られた。また、100nm〜1000nm程度の厚さの膜では、ピンホールは見られなかったもののいくつかの箇所で膜はがれがみられた。成膜直後には膜剥がれのなかったサンプルにおいても、数回使用したのちに再びSEMで観察したところ、同様に膜剥がれがみられた。この膜剥がれの原因はAu膜やCu膜のプローブに対する密着性が悪いこと、またプローブの使用に際しての熱履歴においてプローブとの間に生じる熱歪みが大きいことによるためと考えられる。
【0019】
プローブ先端での光強度が減少している要因としては、このようなAu膜あるいはCu膜に生じたピンホールや膜剥がれの箇所からプローブ内の光が漏れ出ることが考えられる。即ち、Au膜やCu膜は600nm以上の波長に対して高反射率を示すのだが、密着性が悪いためにピンホールや膜剥がれが生じ、その部位から光が漏れることによりプローブ先端での光強度が減少するため高密度メモリ用プローブとしては実用上問題があることがわかる。
【0020】
(実施例1)
プローブの基材として、外径が140μm、コア径が8μmの光ファイバを用いた。ウエットエッチングによりファイバの片側の先端径を100nm程度に加工している。
【0021】
この加工したファイバ先端の外側にTiN(窒化チタン)膜を反応性RFマグネトロンスパッタリング法により形成した(図1)。成膜までの手順としては、ターゲットにTiメタルターゲット(純度:4N)を用いて、ベースプレッシャー2×10-4Paまで真空排気した後、基板加熱を行う。その後スパッタガスを成膜室内に導入しスパッタを行う圧力に調整する。スパッタガスとしてはAr、及びN2ガスを用いた。なお、成膜直前にArあるいはN2ガスを用いた逆スパッタリングを行う場合もある。
【0022】
まず、はじめにTiN形成条件の検討を行った。成膜条件として、RFパワー100w、基板温度200℃、ガス圧0.6Pa、を固定して、ガス比をAr/N2=8/2、7/3、6/4、5/5、4/6、2/8と変えて成膜した。膜厚は成膜時間により制御を行い200nmとした。
【0023】
Ar/N2比が7/3よりN2が少ない条件ではいわゆる銀白色の膜が得られ、N2が多い条件では赤味がかった銅に似た色を示す膜が得られた。また、このガス比を境にして成膜速度がTi膜の約1/4程度に急激に低下し、これよりN2を増加しても成膜速度はほぼ一定であった。このように膜の色及び成膜速度の変化から、Ar/N2比=7/3よりN2が多い条件下においてはTiN膜が形成されていると判断した。この成膜速度の低下はターゲット上に窒化物が形成されることで見かけ上スパッタ率が低下したためと考えられる。
【0024】
反射率等の測定がプローブに形成したTiN膜では調べにくいことから、ガラス基板上に同様の条件(Ar/N2比=7/3よりN2が多い条件)でTiN膜を成膜し、He−Neレーザ(632.8nm)による反射率測定およびXRD(X線回折)測定を行い膜の特性を調べた。膜の反射率は約80%程度であり、同様にして測定したAu膜で得られた90%以上の反射率に比べ低い値が得られた。また、XRDの結果、膜はアモルファスであることがわかった。N2ガスを増加して場合においても膜の色および反射率に大きな変化はみられずアモルファスの膜であったことから、膜中にN2は取り込まれているものの実際にTiN形成に寄与している量が少ないことが考えられる。
【0025】
そこで、反射率の向上を目的としてさらに成膜条件を検討したところ、ガス圧が0.26Pa(2mTorr)以下の時に金色を示す膜が得られることがわかった。また、同一のガス比で成膜した場合には、ガス圧が低い方が成膜速度は大きい値が得られることもわかった。言い換えると、成膜速度が一定の場合には、ガス圧は低い方が良い。反射率および結晶性を調べたところ、反射率はほぼ90%にまで向上し、さらに膜は(111)配向していることがわかった。TiN膜の結晶化が十分に行われていることからアモルファス膜と比較して膜中に取り込まれたN2のTiN形成に寄与する量が増加を示し、このことがさらなる反射率向上に寄与したと考えられる。
【0026】
この高反射率を示す条件(RFパワー100w、基板温度200℃、ガス圧0.26Pa、ガス比Ar/N2=7/3)で膜厚を10nm〜1000nmまで変えてTiN膜をプローブに形成しプローブの表面をSEMで調べたところ、10nmの薄膜においてもピンホールなどは見られず膜剥離のない平坦な膜が均一に形成されていることが確認された。すなわち、これは形成したTiN膜の密着性が優れており被覆性が高いためであると考えられる。
【0027】
次に、5mWのHe−Neレーザ(632.8nm)をプローブに入射し光強度を測定したところプローブ先端で約20pWと比較例の3倍以上の光強度が得られた。
【0028】
ZrN膜、HfN膜を被覆したプローブにおいても密着性よく結晶化した膜が得られ、同様の膜厚範囲においてHe−Neレーザ(632.8nm)に対して高い反射率を示しプローブ先端での光強度も同様に十分大きな値が得られることを確認した。またTiN膜の被覆によりプローブの機械的強度が向上したためかプローブの損傷がAu膜を形成したプローブに比べほとんど無いことがわかった。
【0029】
被覆する膜の膜厚に関しては、走査型近接場光学顕微鏡や高密度メモリのプローブとして、試料や記録媒体に10〜20nm程度にまで接近させることを考慮することが重要となる。プローブ先端の開口径やテーパー角度にもよるが、被覆する膜厚が厚い場合には物理的なプローブ先端径が膜厚の2倍+開口径にほぼ等しくなり太い先端径を有するプローブを用いて媒体に10〜20nm程度まで接近させることになるため、プローブと記録媒体との間に振動などによる角度ぶれが生じた場合、プローブと媒体との衝突を防ぐクリアランスのマージン確保が難しくなることが考えられる。例えば、媒体の表面が平滑であると仮定し、プローブと媒体との距離を10nmに設定、開口径100nmのプローブに1000nmの膜を被覆した場合、ワーストケースで許される角度ぶれの大きさはθ=arctan{10/(2×1000+100)}から見積もることができ、その値は約0.27deg.と小さくマージン確保が難しくなり始める。
【0030】
このように被覆する膜厚としては、十分にプローブ内の光を閉じ込めるに足る厚さが必要であることは言うまでもないが、厚い場合には歪みに伴う膜剥がれの問題に加えて上述のプローブと媒体との衝突を防ぐクリアランスの問題が新たに発生するため、実用上は1000nm以下にすることが好ましい。
【0031】
以上述べたように、光源からの光を入射する第1の端部と、該入射光波長よりも直径が小さい第2の端部を有する誘電体物質で形成されたプローブ及び光ファイバープローブにおいて、第1及び第2の端部を除く表面に窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムの少なくとも一つから選択された窒化物薄膜を形成することにより、600nm以上の波長に対して高反射率を示し、かつ光がプローブから漏れでることのないためプローブ先端での光強度減少の少ないプローブが実現できることが示された。
【0032】
また、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム膜は、600nm以上の波長に対して高反射率を示すばかりでなく、膜厚が10nm以上から均一な被覆が可能で、かつまた密着性に優れるために1000nmの膜厚まで剥離することなく被覆したプローブを作製できることを示した。
【0033】
本実施例では、作製方法としてRF−マグネトロンスパッタリング法を用いたが、DC−マグネトロンスパッタリング法や蒸着、イオンプレーティングなどその他の物理的成膜方法やCVDなどの化学的成膜方法を用いても勿論構わない。また、プローブ基材として光ファイバを用いたがその他にも中空のプローブなどを用いても構わない。
【0034】
(実施例2)
実施例1で作製したプローブを用いて、He−Neレーザ(632.8nm)の入力パワーを40mWにまであげて長時間プローブを使用したところ、出射光強度が約6pWにまで減少していた。SEMによる観察を行ったところ、プローブに被覆した膜にクラックが生じていることが判明した。これは、長時間大きなパワーで光をプローブに入射し続けたことにより、膜を被覆したプローブ先端の温度が上昇し再び冷却する繰り返しの際の窒化物膜と光ファイバーあるいは誘電体プローブとの熱膨張差に起因するものであることを見い出した。そこで、この熱歪みを緩和しクラック発生を抑止する目的でプローブとTiN膜の間にTi膜を形成することを試みた。
【0035】
プローブ基材及び成膜条件は実施例1と同様のものを用いてTiN/Ti/プローブ構造を、TiN膜厚を10nm〜1000nm、Ti膜厚を10nmとして作製した。600nm以上の入射波長に対するTi膜の反射率はTiN膜ほどよくはなかったのだが、Ti膜厚が10nm程度に薄い場合にはTiN/Tiの反射率には実質的には影響が見られなかった。また、この時、同一真空中で連続的にTiN/Tiを形成したことによりTiN/Tiの界面は酸素の吸着などの影響をほとんど受けることがなく密着性のよい2層構造を形成することがわかった。
【0036】
このプローブに同様にHe−Neレーザ(632.8nm)の入力パワーを40mWにまであげて光を入射し使用したものをSEM観察したが、クラックの発生などは観測されず、プローブ先端での出射光強度も約120pWと大きな値が得られることが確認された。
【0037】
また、同様にZrN/Zr膜、HfN/Hf膜を被覆したプローブにおいても熱膨張差によるクラックの発生がないことを確認している。この理由を調べるために熱伝導性および熱膨張を測定したところ、ZrN膜の場合には、熱伝導性がTiN、HfNに比べて最もよく放熱性に優れているため温度上昇が抑制され熱膨張による歪みの発生が少ないことがその要因の一つであることがわかった。また、HfN膜の場合には、熱伝導性はZrN膜に及ばないものの熱膨張が小さくファイバー材料であるガラスの値に近いためにHfN/Hf膜との膜熱膨張差自体が小さく歪みの発生が少ないことがその要因の一つであることがわかった。
【0038】
このように、窒化チタン/チタン、窒化ジルコニウム/ジルコニウム、窒化ハフニウム/ハフニウムの少なくとも一つから選択された窒化物薄膜及び該被窒化金属薄膜の2層構造を、同一真空中で連続的に形成することにより窒化物薄膜の応力を緩和し密着性を向上させることで、入射光強度を増強した際においても剥離がなくプローブ先端での光強度減少の少ないプローブが、窒化物薄膜の膜厚が上記と同様の範囲(10nm以上1000nm以下)で、かつ、被窒化金属薄膜層の膜厚が10nm以下において作製可能となることが示された。
【0039】
本実施例では、作製方法としてRF−マグネトロンスパッタリング法を用いたが、DC−マグネトロンスパッタリング法や蒸着、イオンプレーティングなどその他の物理的成膜方法やCVDなどの化学的成膜方法を用いても勿論構わない。また、プローブ基材として光ファイバを用いたがその他にも中空のプローブなどを用いても構わない。
【0040】
(実施例3)
実施例1及び2で作製したプローブによる微小ビットの書き込みを行い、高密度メモリ用プローブとしての有効性を調べた。プローブには先端径を各々50nm、100nmに加工し膜厚200nmの窒化チタン/チタンを被覆した2種類を用いた。光源として波長λ=635nm、入射パワー20mWの半導体レーザを使用しプローブに光を入射し、プローブ先端から出射され媒体に反射した光の検出をフォトディテクターにより行う構成とした。このプローブを媒体との距離を約20nmに保ちながらXY走査させ、ビットの書き込みを試みた。媒体には相変化記録膜として一般的なGeSbTe膜をガラス基板上に形成しその上部に保護膜として膜厚15nmのC膜を形成したものを用いた。
【0041】
先端径100nmのプローブでは約100nm径のビット、先端径50nmのプローブを用いた場合には約50nm径のビット、とプローブ径にほぼ等しいサイズのビットが形成できていることがわかった。これは、上記プローブにおいては先端端部付近からの光漏れがないためその先端開口径のみから光が出射されていること、漏れ光の輻射熱によるビットサイズ拡大等の悪影響を抑制することができているためと考えられる。また、従来は光入射強度をあげると先端端部付近から光が漏れ、ビットサイズが大きくなるため小さいビットを形成するには光入射強度を落とすしかなく、その場合には光強度が弱いため媒体に不完全な記録しか行えず信号品質が低下するという問題があったが、上記プローブにおいては媒体に記録を行うに十分な強度の入射光においてもビットサイズの拡大などの問題がなく高密度でなおかつ信号品質の優れた記録を行うことが可能になる。各々ビット間隔としてビットサイズの2倍を仮定した場合、16Gb/in2、64Gb/in2の高記録密度に相当することになり上記プローブが高密度メモリ用として適していることがわかる。
【0042】
更に、実用的なメモリ用プローブとしてはそのアクセス回数に等しい熱履歴に対する耐久性、機械的強度などが要求されるが、上記プローブにおいて1000万回の光入力の繰り返し試験をおこなったところ劣化はなく、XY走査によるプローブ先端の損傷も見られないなど耐久性にも優れていることが明らかとなった。
【0043】
すなわち上記プローブを使用することで微小なビット形成が可能でかつ優れた信号品質に必要な記録を行うに十分な強度の光を入射することが可能であり、さらに実用上大切な耐久性にもすぐれたプローブを備えた高密度プローブ型メモリが実現されることがわかった。
【0044】
本実施例では、媒体の記録膜に相変化膜を用いたがその他光磁気膜など本プローブを用いた光記録、熱記録が可能であれば構わない。また、保護膜にC膜を用いているがその他SiO2膜などを用いても勿論構わない。また、構成として簡便のためフォトディテクターを配置したが本プローブにより信号検出を行うことも可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、近接場光学を利用した高密度メモリの実用化に必要とされる
600nm以上の波長に対して高反射率を示し、入射光をプローブ外に漏れ出る事なくプローブ先端まで到達させ、プローブ先端での光強度減少の少ないプローブ及びその製造方法が提供される。
【0046】
さらに、本発明によるプローブは実用上大切な機械的強度や耐久性にも優れておりプローブに大きな入射光強度を用いても熱膨張差による損傷なく出射光強度を向上することが可能であり、かつまたビットサイズの拡大などの問題がなく高密度でなおかつ信号品質の優れた記録ができるため、本プローブを用いることで高密度なプローブ型メモリが可能となる。また、原材料及び製造方法も安価であり、工業上極めて大きな価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプローブを示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ(クラッド)
2 光ファイバ(コア)
3 窒化物膜(TiN、ZrN、HfN、TiN/Ti、ZrN/Zr、HfN/Hf)
Claims (6)
- 光源からの光を入射する第1の端部と、該入射光波長よりも直径が小さい第2の端部を有する、誘電体物質で形成されたプローブ及び光ファイバープローブにおいて、
端部以外のプローブ表面に、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムの少なくとも一つから選択された窒化物薄膜を形成することを特徴とするプローブ。 - 前記プローブにおいて、窒化物薄膜の膜厚が10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
- 光源からの光を入射する第1の端部と、該入射光波長よりも直径が小さい第2の端部を有する誘電体物質で形成されたプローブ及び光ファイバープローブにおいて、
端部以外のプローブの表面に、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかの金属膜が形成され、該金属膜の表面に、該金属膜の窒化物膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。 - 前記窒化物薄膜の膜厚は10nm以上1000nm以下、前記金属膜の膜厚は10nm以下であることを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
- 請求項3及び4に記載のプローブの製造方法で、前記金属膜と、前記窒化物薄膜を、同一真空中で連続的に形成することを特徴とする請求項3または4に記載のプローブ製造方法。
- プローブによる微小ビットの記録を行うプローブ型メモリにおいて、請求項1〜4のいずれかに記載のプローブを備えたことを特徴とするプローブ型メモリ。
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