JP3815870B2 - 磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイル、磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法、磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物、磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法、磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置、磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法、磁気浮上式鉄道システム、磁気浮上式鉄道の集電システム、及び磁気浮上式鉄道の集電方法 - Google Patents

磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイル、磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法、磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物、磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法、磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置、磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法、磁気浮上式鉄道システム、磁気浮上式鉄道の集電システム、及び磁気浮上式鉄道の集電方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁力により車両を推進又は浮上若しくは案内させる磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイル、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道システム、当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の集電システム、及び当該磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の集電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁力により車両を浮上させつつ進行方向へ推進させ、進行方向の左右方向に案内を行わせる磁気浮上式鉄道として、特公平6−69246号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この鉄道は、例えば略「U」字状断面を有する支持・案内用構造物(以下、「ガイドウェイ」という。)の2つの垂直壁の内壁面上の対向位置に、常電導コイルを進行方向に並設するとともに、対向する常電導コイルどうしを所定の配線方式(以下、「ヌルフラックス配線」という。)で接続し、地上側の常電導コイルに対応する車両側の位置に超電導コイルを配置することによって構成されている。
【0004】
上記の磁気浮上式鉄道において、車両側の超電導コイルに超電導電流を予め流して永久磁石化しておき、変電所等の送電装置により地上側の常電導コイルに送電を行い、超電導コイルの進行方向前方に位置する地上側常電導コイルに吸引磁界を発生させるとともに、超電導コイルの進行方向後方に位置する地上側常電導コイルに反撥磁界を発生させ、これらの磁界を進行方向に移動させる。このようにすると、車両側の超電導コイルは、地上側常電導コイルの吸引磁力と反撥磁力とによって進行方向に推進される。これが上記の磁気浮上式鉄道の推進原理であり、この場合には、地上側常電導コイルと車両側超電導コイルはリニアモータを構成している。
【0005】
また、上記のようにして、車両が進行方向に高速で移動すると、地上側常電導コイルには誘導電流が誘起される。このため、車両側超電導コイルが接近しつつある地上側常電導コイルには反撥磁力(浮上力)又は吸引磁力が発生し、車両側超電導コイルを地上側常電導コイルの上方の所定の位置で支持する力が発生する。これが上記した磁気浮上式鉄道の浮上原理である。
【0006】
また、進行方向の左右側で互いに対向する地上側常電導コイルは、所定の接続方式で接続されている。このため、車両が左右の垂直壁のいずれかに偏ると、偏った側の地上側常電導コイルには反撥磁力が発生して車両側超電導コイルを偏り方向とは逆方向へ押し戻すとともに、反対側の地上側常電導コイルには吸引磁力が発生して車両側超電導コイルを偏り方向とは逆方向へ引く。これにより、車両の中心はつねにガイドウェイ中央付近となるように制御される。これが上記した磁気浮上式鉄道の案内原理である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の磁気浮上式鉄道では、車両側超電導コイルが比較的大きく、発生する磁場のうち、地上側常電導コイルの磁場と相互作用する磁場以外の磁場が外部に漏洩していた。
【0008】
また、上記した従来の磁気浮上式鉄道では、車両側の超電導コイルの一方の超電導状態が壊れてクエンチ状態になると、左右の案内力の均衡が大きくくずれ、車両の案内が困難になるおそれがあった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、外部への磁場の漏洩が少なく、車両側超電導コイルのクエンチ時にも支障なく案内可能な磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内コイル等を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルは、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルであって、常電導材料からなり略環状に形成された常電導コイルを有するとともに前記常電導コイルは前記進行方向に沿いかつ前記超電導コイルに対応する位置に所定間隔で並設され前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、前記常電導コイルのうちの特定のものに電力が供給された場合に、前記超電導コイルと前記常電導コイルとでリニアモータを構成して前記車両を前記進行方向に推進させるとともに、前記推進に伴い前記常電導コイルに浮上用誘導電流を誘起させて少なくとも磁気反撥作用を含む磁気作用により前記車両を浮上させ、かつ、前記車両が進行中に前記進行方向の右側又は左側に偏位した場合には、前記1対の常電導コイルのそれぞれに案内用誘導電流が誘起され、磁気反撥作用及び磁気吸引作用により、前記常電導コイルにおける前記偏位の量を零に戻させるように、前記常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されることを特徴とする。
【0011】
上記の磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルにおいて、好ましくは、前記超電導コイルは略8字状に形成されるとともに、前記常電導コイルは略8字状に形成され前記超電導コイルに対応する状態で配置される。
【0012】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせることを目的とし、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記超電導コイルに対応する位置に所定間隔で並設され前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置された磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法であって、前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルのうちの特定のものに電力が供給された場合に、前記超電導コイルと前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルとでリニアモータを構成して前記車両を前記進行方向に推進させるように、前記進行方向に隣接するものどうしを結線するとともに、前記推進に伴い前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルに浮上用誘導電流を誘起させて少なくとも磁気反撥作用を含む磁気作用により前記車両を浮上させるように、前記1対となるものどうしを結線し、かつ、前記車両が進行中に前記進行方向の右側又は左側に偏位した場合に、前記1対の磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルのそれぞれに案内用誘導電流が誘起され、磁気反撥作用及び磁気吸引作用により、前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルにおける前記偏位の量を零に戻させるように、前記1対となるものどうしを結線するPLG接続を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物であって、前記推進・浮上・案内用地上コイルは、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記進行方向の右側又は左側の超電導コイルのうちのいずれか一方に対応する位置に所定間隔で並設され、前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、かつ相互間でPLG接続されることを特徴とする。
【0014】
上記の磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物において、好ましくは、前記車両が磁気浮上による進行を行わず接触走行による進行を行う場合に、前記接触走行又は停止を支持するための走行路と、前記車両が磁気による案内を行わず接触走行による案内を行う場合に、前記接触案内又は停止を支持するための案内路を備える。
【0015】
また、上記の磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物において、好ましくは、前記進行方向への延長が所定長さに設定され、前記所定長さに応じた個数の推進・浮上・案内用地上コイルと、前記推進・浮上・案内用地上コイルの両端に配置された接続端子が予め一体に形成される。
【0016】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法であって、前記推進・浮上・案内用地上コイルは、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記進行方向の右側又は左側の超電導コイルのうちのいずれか一方に対応する位置に所定間隔で並設され、前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、相互間でPLG接続され、前記推進・浮上・案内用地上コイルの両端に配置されるとともに前記推進・浮上・案内用地上コイルと予め一体に形成された接続端子を備えて構成されており、前記磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物を、前記進行方向に沿わせるとともに、前記進行方向の右側又は左側のうち前記推進・浮上・案内用地上コイルにより決定される側に並設して地盤上又は介在構造物上に固定し、隣接する前記接続端子どうしを相互に電気的接続することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせるための磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置であって、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備え、前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されることを特徴とする。
【0018】
上記の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、好ましくは、前記第1超電導コイルは前記車両の右側から水平右方向へ突設された略翼状部分にコイル面が水平になるように配設されるとともに、前記第2超電導コイルは前記車両の左側から水平左方向へ突設された略翼状部分にコイル面が水平になるように配設され、前記1対の第1常電導コイルはそれぞれ水平なコイル面を有し前記第1超電導コイルを上下に挟み、かつ前記1対の第2常電導コイルはそれぞれ水平なコイル面を有し前記第2超電導コイルを上下に挟むように配設される。
【0019】
また、上記の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、好ましくは、強磁性体からなり、前記1対の第1常電導コイルのうち上方に配置された第1上位常電導コイルの上方に配置されるとともに、前記進行方向に沿って水平方向に延設された第1浮上力支援部材と、強磁性体からなり、前記1対の第2常電導コイルのうち上方に配置された第2上位常電導コイルの上方に配置されるとともに、前記進行方向に沿って水平方向に延設された第2浮上力支援部材を有し、前記推進に伴い前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルにそれぞれ誘起される第1浮上用磁界及び第2浮上用磁界により前記第1浮上力支援部材及び前記第2浮上力支援部材をそれぞれ磁化させて前記第1超電導コイル及び前記第2超電導コイルとの間で磁気吸引作用を発揮させ、前記車両の浮上作用を支援させるように構成される。
【0020】
また、上記の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、好ましくは、前記第1浮上力支援部材及び前記第2浮上力支援部材は、前記車両に対する磁気遮蔽手段として利用される。
【0021】
また、上記の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、好ましくは、前記車両は、緊急時に滑走脚部材により制動を行う。
【0022】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両と、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備えた磁気浮上式鉄道において前記車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法であって、前記1対の第1常電導コイルを前記第1超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第1常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、かつ前記1対の第2常電導コイルを前記第2超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第2常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道システムは、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両と、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備えた磁気浮上式鉄道システムであって、前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の集電システムは、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルと、前記第1超電導コイル又は前記第2超電導コイルのうちのいずれか一方である対応超電導コイルと同じ側に配置された集電コイルを有する車両と、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、強磁性体からなり、前記集電コイルに対応する位置で、かつ前記対応超電導コイルと同じ側に配置された前記第1常電導コイル又は前記第2常電導コイルである対応常電導コイルの軸線の近傍位置に配置され、所定間隔で不連続に並設された集電用部材と、前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備えた磁気浮上式鉄道において、前記車両上で非接触状態で集電を行う磁気浮上式鉄道の集電システムであって、前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ前記推進に伴う前記対応超電導コイルからの変動磁界により前記対応常電導コイルに誘起される対応磁界に起因して前記集電用部材が生成する集電用磁界の変化を利用して前記集電コイルに集電用誘導電流を誘起させるように構成されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る磁気浮上式鉄道の集電方法は、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルと、前記第1超電導コイル又は前記第2超電導コイルのうちのいずれか一方である対応超電導コイルと同じ側に配置された集電コイルを有する車両と、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、強磁性体からなり、前記集電コイルに対応する位置で、かつ前記対応超電導コイルと同じ側に配置された前記第1常電導コイル又は前記第2常電導コイルである対応常電導コイルの軸線の近傍位置に配置され、所定間隔で不連続に並設された集電用部材と、前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備えた磁気浮上式鉄道において、前記車両上で非接触状態で集電を行うための磁気浮上式鉄道の集電方法であって、前記1対の第1常電導コイルを前記第1超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第1常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、前記1対の第2常電導コイルを前記第2超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第2常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、かつ前記推進に伴う前記対応超電導コイルからの変動磁界により前記対応常電導コイルに誘起される対応磁界に起因して前記集電用部材が生成する集電用磁界の変化を利用して前記集電コイルに集電用誘導電流を誘起させることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態である磁気浮上式鉄道におけるガイドウェイ及び車両の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1に示すガイドウェイの片側部分を形成するガイドビームの構成を示す斜視図である。
【0028】
図1,2に示すように、この第1実施形態の磁気浮上式鉄道は、2つのガイドビーム100,100からなるガイドウェイと車両200を備えて構成されている。ガイドビーム100,100は、支承301を介して橋脚300上に支持されている。ガイドビーム100,100からなるガイドウェイは、車両200が磁気浮上による進行を行わず接触走行による進行を行う場合に、接触走行又は停止を支持するための走行路と、車両200が磁気による案内を行わず接触走行による案内を行う場合に、接触案内又は停止を支持するための案内路を備えた構造物であり、磁気浮上式鉄道の支持・案内構造物に相当している。また、支承301,橋脚300は、介在構造物に相当している。
【0029】
車両200は、車体20の下部の断面形状が逆「T」字状に形成されており、左右両側に翼状部20aが突出している。また、各翼状部20aには、それぞれ車上コイル21が配設されている。各車上コイル21の巻線は、Nb−Ti,Nb3 Sn等の合金系超電導体やセラミックス系高温超電導体等を含む超電導材料によって形成されている。また、車上コイル21の巻線は、図4,図5及び図6(後述)に示すような略「8」字状のループ(環)をなすように形成されている。各車上コイル21の巻線は、クライオスタット等の断熱容器(図示せず)内に封入された液体ヘリウムや液体窒素等の冷却剤(図示せず)内に配置され、超電導コイルとして構成されている。
【0030】
上記のような構成により、車上コイル21の巻線は、冷却剤によって冷却され、電気抵抗がほぼ零となる超電導状態になっており、巻線にいったん電流を流すと、ほぼ永久的に電流(以下、「超電導電流」という。)が流れる。このため、車上コイル21は、強力な磁界を発生させる永久磁石となっている。
【0031】
また、車両200の下部、例えば床構造24の下方には、磁気遮蔽板23が設けられている。これにより、座席25等への磁場を低減させている。
【0032】
ガイドビーム100は、左側右側ともそれぞれ同一の構成を有している。このガイドビーム100は、断面形状が略「ロ」字状の梁状部材10を備えており、梁状部材10の一側に、断面形状が略「L」字状のオーバーハング部10aが形成されている。梁状部材10の上面10bには下部地上コイル11が配置され、オーバーハング部10aの下面には上部地上コイル12が配置されている。
【0033】
下部地上コイル11と上部地上コイル12の巻線は、それぞれ銅等の常電導材料によって形成されており、下部地上コイル11と上部地上コイル12は常電導コイルとして構成されている。また、下部地上コイル11と上部地上コイル12の巻線は、図4,図5及び図6(後述)に示すような略「8」字状のループ(環)をなすように形成されている。
【0034】
また、下部地上コイル11と上部地上コイル12は、ガイドウェイの進行方向に沿って所定間隔で並設されている。そして、下部地上コイル11と上部地上コイル12は、車上コイル21に対応する位置に設置され、車上コイル21を挟んで1対をなすように配置され、地上コイルペアを構成している。
【0035】
図3は、図1に示すガイドウェイのガイドビーム、及び推進・浮上・案内用地上コイルの接続構成を示す展開図であり、下部地上コイル11は上面のループパターンを示し、上部地上コイル12は下面のループパターンを示している。図3に示すように、隣接するガイドビームの各接続端子Tは、送電用配線15により接続されている。この送電用配線15は、送電用配線15a,15b,15cを有している。
【0036】
また、図3に示すように、ガイドビーム100内においては、互いに対向する下部地上コイル11と上部地上コイル12は、上下接続用配線13a,13bによって接続されている。また、上下接続用配線13a,13bによって接続された1対の下部地上コイル11と上部地上コイル12からなる地上コイルペアは、送電用配線15a,15b,15cにより、3個おきに接続され、送電装置(図示せず)と接続されている。したがって、各地上コイルペア11,12のうち任意のもの、あるいは特定のものに電力が供給可能な構成となっている。
【0037】
次に、この第1実施形態の磁気浮上式鉄道における車上コイル及び地上コイルのさらに詳細な構成、及び推進・浮上・案内の各作用について、図4,5,6を参照しつつ説明する。
図4,5,6に示すように、車上コイル21は、超電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に巻かれた2つの車上コイル素子21aと21bが略「8」字ループ状になるように接続されて構成されている。各車上コイル素子21a,21bは二重の巻線で形成されており、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、車上コイル素子21a内を流れるループ電流の方向と、車上コイル素子21b内を流れるループ電流の方向とが逆になるように、両者は接続されている。各車上コイル素子21a,21b内の巻線は、1本の線であってもよいし、三重以上に巻かれてもよい。
【0038】
また、図4,5,6に示すように、下部地上コイル11は、常電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に巻かれた2つの下部地上コイル素子11aと11bが略「8」字ループ状になるように点P1 ,P2 で接続されて構成されている。各下部地上コイル素子11a,11bは二重の巻線で形成されており、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、下部地上コイル11内のみに電流を流した場合、下部地上コイル素子11a内を流れるループ電流の方向と、下部地上コイル素子11b内を流れるループ電流の方向とが同一となるように、両者は接続されている。
【0039】
上部地上コイル12についてもまったく同様であり、常電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に巻かれた2つの上部地上コイル素子12aと12bが略「8」字ループ状になるように点P3 ,P4 で接続されて構成されており、各上部地上コイル素子12a,12bは二重の巻線で形成されており、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、上部地上コイル12内のみに電流を流した場合、上部地上コイル素子12a内を流れるループ電流の方向と、上部地上コイル素子12b内を流れるループ電流の方向とが同一となるように、両者は接続されている。
【0040】
また、上部地上コイル12は、下部地上コイル11を上方に平行移動させたものとまったく同一の配置となっている。そして、点P1 と点P3 が上下接続用配線13a(破線)によって接続されるとともに点P2 と点P4 が上下接続用配線13b(破線)によって接続され、上下接続用配線13a,13bには送電用配線15a,15a(破線)が接続され、図示しない送電装置と接続されている。各地上コイル素子11a,11b,12a,12b内の巻線は、1本の線であってもよいし、三重以上に巻かれてもよい。
【0041】
なお、図4〜6において、車両(車上コイル21)は、各図において図の左側から右側に向って進行するものとし、地上コイルペア11,12は車両の進行方向に向って左側の地上コイルペアを示すものとする。
【0042】
まず、推進の原理について、図4を参照しつつ説明する。
車上コイル21には、予め超電導電流i0 が図4において矢印で図示したように流され、各車上コイル素子21a,21bは永久磁石化されている。一方、外部の送電装置等から、送電用配線15a,15b,15cを介して、3相交流電流4i1 を送電すると、k番目の下部地上コイル11とk番目の上部地上コイル12からなるk番目の地上コイルペアにはそれぞれ電流2i1 が供給され、k番目の下部地上コイル11を構成する下部地上コイル素子11a,11bにはそれぞれ電流i1 が流れるとともに、k番目の上部地上コイル12を構成する上部地上コイル素子12a,12bにもそれぞれ電流i1 が流れ、下部地上コイル素子11a,11bと上部地上コイル素子12a,12bはそれぞれ電磁石となる。このようにして、各車上コイル素子21a,21bが、図4の上下の各地上コイル素子から吸引磁力を受けるようにすることができる。
【0043】
したがって、下部地上コイル11と上部地上コイル12からなる地上コイルペアを連続的に並設して、これらの地上コイルペアに3相交流電流を供給することにより、地上コイルペアの下部地上コイル11と上部地上コイル12に、同時に同方向(例えば、図4において矢印D1 で示す方向)への移動磁界を発生させることができる。超電導電流により永久磁石化している車上コイル21は、この移動磁界に吸引され、かつ移動磁界とともに移動しようとするので、車両200は移動磁界の方向(例えば、図4において矢印D1 で示す方向)に推進される。3相交流電流の周波数と位相を調整すれば、移動磁界の速度を車両の走行速度と同期させることができる。これにより、車両200の速度を調整することが可能である。この場合、各地上コイルペア11,12と車上コイル21はリニアモータを構成している。
【0044】
次に、浮上の原理について、図5を参照しつつ説明する。
車上コイル21には、予め超電導電流i0 が図5において矢印で図示したように流され、各車上コイル素子21a,21bは永久磁石化されている。この車上コイル21が、k番目の下部地上コイル11とk番目の上部地上コイル12からなるk番目の地上コイルペアの間に進入した場合について、車上コイル素子21aとk番目の下部地上コイル素子11a,k番目の上部地上コイル素子12aとに着目して説明する。まず、車上コイル素子21aが下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aに挟まれた空間の中央位置にある場合には、下部地上コイル素子11aに生じる誘起電圧と上部地上コイル素子12aに生じる誘起電圧とは互いに相殺されるため、下部地上コイル素子11a,上部地上コイル素子12aのいずれにも電流は流れない。したがって、この場合には車上コイル素子21aには浮上力は作用しない。
【0045】
これに対し、車上コイル素子21aが下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aの間の中央位置から、図5における垂直方向のうち上下いずれかの方向、例えば図5において矢印D2 で示される垂直下方へずれた場合には、下部地上コイル素子11aには接近してくる車上コイル素子21aの下面からの磁界と逆方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じる一方、上部地上コイル素子12aには遠ざかる車上コイル素子21aの上面からの磁界と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じるため、下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aに生じる誘起電圧には差が生じる。この結果、下部地上コイル素子11aと上下接続用配線13a,13bと上部地上コイル素子12aとの間を循環して流れる循環電流i2 が発生する。この循環電流i2 により、下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aはそれぞれ電磁石となり、下部地上コイル素子11aは接近してくる車上コイル素子21aの下面側に対し反撥磁力を作用させるとともに、上部地上コイル素子12aは遠ざかる車上コイル素子21aの上面側に対し吸引磁力を作用させる。
【0046】
また、車上コイル素子21aが、下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aの間の中央位置から、図5における矢印D2 の方向とは反対方向の垂直上方へずれた場合には、上記の作用とはまったく逆の作用により、下部地上コイル素子11aは車上コイル素子21aの下面側に対し吸引磁力を作用させるとともに、上部地上コイル素子12aは車上コイル素子21aの上面側に対し反撥磁力を作用させる。したがって、車上コイル素子21aには、下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aの間の中央位置からずれた場合に、この中央位置に戻そうとする復元力が作用することになる。この復元力は、下部地上コイル素子11aと上部地上コイル素子12aの間の中央位置からの車上コイル素子21aのずれ量にほぼ比例する。
【0047】
車上コイル素子21bとk番目の下部地上コイル素子11bとk番目の上部地上コイル素子12bとの間においても同様の作用がなされ、この場合には、車上コイル素子21bが、下部地上コイル素子11bと上部地上コイル素子12bの中央位置から垂直方向のいずれかの方向へずれた場合には、下部地上コイル素子11bと上部地上コイル素子12bの誘起電圧に差が生じ、下部地上コイル素子11bと上下接続用配線13a,13bと上部地上コイル素子12bとの間を循環して流れる循環電流(例えば、車上コイル素子21bが方向D2 へずれた場合にはi3 )によって、車上コイル素子21bを下部地上コイル素子11bと上部地上コイル素子12bの間の中央位置に戻そうとする復元力が作用することになる。このようにして、車上コイル21は、地上コイルペア11,12の中間において車両重量に見合った位置で磁気的に支持されるため、車両200は浮上することになる。
【0048】
次に、案内の原理について、図6を参照しつつ説明する。
車上コイル21には、予め超電導電流i0 が図6において矢印で図示したように流され、各車上コイル素子21a,21bは永久磁石化されている。この車上コイル21が、k番目の下部地上コイル11とk番目の上部地上コイル12からなるk番目の地上コイルペアの間に進入した場合について、車上コイル素子21a,21bとk番目の下部地上コイル素子11a,11bとに着目して説明する。まず、車上コイル素子21aと21bの間の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「車上コイル中心線」という。)が、下部地上コイル素子11aと11bの間の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「下部地上コイル中心線」という。)の上方位置にある場合には、下部地上コイル素子11aに生じる誘起電圧と下部地上コイル素子11bに生じる誘起電圧とは互いに相殺されるため、下部地上コイル素子11a,11bのいずれにも電流は流れない。したがって、この場合には車上コイル21には案内力は作用しない。
【0049】
これに対し、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から、図6における水平方向のうち車両進行方向に対して左右両側となる方向のうちいずれかの方向、例えば図6において矢印D3 で示される車両進行方向の右側方向へずれた場合には、下部地上コイル素子11aには遠ざかる車上コイル素子21aの下面からの磁界と逆方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じる一方、下部地上コイル素子11bには接近してくる上コイル素子21bの下面からの磁界と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じるため、下部地上コイル素子11aと11bに生じる誘起電圧には差が生じる。この結果、下部地上コイル素子11aと11bとの間を循環して流れる循環電流i4 が発生する。この循環電流i4 により、下部地上コイル素子11aと11bはそれぞれ電磁石となり、下部地上コイル素子11aは遠ざかる車上コイル素子21aの下面側に対し吸引磁力を作用させる。また、同時に、下部地上コイル素子11bは、接近してくる車上コイル素子21bの上面側に対し反撥磁力を作用させる。
【0050】
また、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から、図6における矢印D3 の方向とは反対方向である車両進行方向の左側方向へずれた場合には、上記の作用とはまったく逆の作用により、下部地上コイル素子11aは車上コイル素子21aの下面側に対し反撥磁力を作用させるとともに、下部地上コイル素子11bは車上コイル素子21bの上面側に対し吸引磁力を作用させる。したがって、車上コイル21には、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から車両進行方向の左右のいずれかへずれた場合に、車上コイル中心線を下部地上コイル中心線の上方位置に戻そうとする復元力が作用することになる。この復元力は、下部地上コイル中心線の上方位置からの車上コイル中心線のずれ量にほぼ比例する。
【0051】
車上コイル素子21a,21bとk番目の上部地上コイル素子12a,12bとの間においても同様の作用がなされ、この場合には、車上コイル中心線が上部地上コイル素子12aと12bの間の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「上部地上コイル中心線」という。)の下方位置から、図6における水平方向のうち車両進行方向に対して左右両側となる方向のうちいずれかの方向へずれた場合には、上部地上コイル素子12aと上部地上コイル素子12bの誘起電圧に差が生じ、上部地上コイル素子12aと上部地上コイル素子12bとの間を循環して流れる循環電流(例えば、車上コイル素子21a,21bが方向D3 へずれた場合にはi5 )によって、車上コイル21の車上コイル中心線を上部地上コイル中心線の下方位置に戻そうとする復元力が作用することになる。このようにして、車上コイル21は、地上コイルペア11,12の中間において、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方でかつ上部地上コイル中心線の下方となる位置をつねに維持するよう磁気的力により制御されるため、車両200は案内されることになる。
【0052】
上記のような各地上コイル11,12のコイル巻線形状、コイル素子どうしの接続、上下コイル11,12間の接続、及びコイルペア11,12と送電装置との接続により、車上コイル21には進行方向への推進力、浮上力、及び進行方向の左右側に関する案内力が作用する。上記のようなコイル巻線形状、コイル素子どうしの接続、上下コイル間の接続、及びコイルペアと送電装置との接続を、以下、「PLG接続」という。また、下部地上コイル11と上部地上コイル12は、磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルに相当している。
【0053】
したがって、上記の第1実施形態の磁気浮上式鉄道においては、以下に述べるような利点を有している。
▲1▼ まず、片側のガイドビームに設けられた上下2個の地上コイルペア11,12のみによっても進行方向の左右側に関する案内を行うことができるため、左右の車上コイル21,21のうちのいずれかがクエンチ状態となった場合でも、支障なく案内を行うことができる。
【0054】
▲2▼ また、車上コイル21を構成する車上コイル素子21aと21bは電流の流れる方向が逆方向となるように構成されているので、一方の車上コイル素子がN磁極となる場合には隣接する他方の車上コイル素子はS磁極となる。したがって、N磁極となる一方の車上コイル素子から出た磁力線は、外部へ向うことがなく、円弧状の曲線を描いて隣接する他方の車上コイル素子へ入る。このため、車上コイルから外部へ漏洩する磁場を低減させることができる。
【0055】
▲3▼ また、ガイドビーム100に下部地上コイル11と上部地上コイル12を装着し、上下に対向する1対の下部地上コイル及び上部地上コイルとの間、及び対になったコイルの間でPLG接続を行い、隣接するガイドビームとの接続を行う接続端子Tが一体形成された所定長さのプレハブ部材を作製しておけば、ガイドウェイ建設現場においては、ガイドビームを進行方向の左右に並設し、片側のガイドビームを進行方向に接続し、送電装置と接続すればよく、左右のガイドビーム間のヌルフラックス配線は必要がなくなるため、ガイドウェイの建設が簡素化される。また、ガイドビーム100内の接続は、すべて固定接続であり、可動部分等がないため、構成が簡素化され、製作費が低廉となるうえ、故障等も少なくなる、という利点がある。
【0056】
上記した第1実施形態の磁気浮上式鉄道は、磁気浮上力の強化についても特徴を有している。以下、この点について説明する。
図1,2に示すように、左右の各ガイドビーム100のオーバーハング部10aの上面10dには、軟鉄,鋼,コバルト,ニッケル,又はこれらの合金等を含む強磁性体からなり板状に形成された強磁性体板14が配置されている。強磁性体板14は、上部地上コイル12や車上コイル21の外形と同様の大きさの長方形状に形成され、上部地上コイル12の直上に位置するように並設されている。
【0057】
上記のような構成により、超電導電流により永久磁石化した車上コイル21は、推進走行により移動し、これにより、車上コイル21の付近の上部地上コイル12には浮上用磁界が発生する。この浮上用磁界は、上部地上コイル12の直上に位置する強磁性体板14を一時的に磁化させる。このため、車上コイル21は、この一時的に磁化された強磁性体板14により上方から強い吸引磁力を受ける。したがって、この吸引磁力を車両の浮上力の一部として利用することが可能となるため、その分だけ各地上コイル11,12を小型化することができる。この場合、上部地上コイル12は上位常電導コイルに相当し、強磁性体板14は浮上力支援部材に相当している。
【0058】
また、車両200の重量の一部は強磁性体板14により支持され、接地面圧が小さくなるため、緊急時の制動手段として滑走シュー(滑走脚部材)を使用することも可能となる。
【0059】
また、強磁性体板14は、車両200の側から見ると、上部地上コイル12や車上コイル21から座席25へ侵入する磁場を遮蔽する磁気遮蔽効果を有している。
【0060】
浮上力を支援することを目的として強磁性体部材の吸引磁力を利用する場合には、上記した強磁性体板14のかわりに、強磁性体からなり進行方向に延在する帯状に形成された部材を配置してもよい。
【0061】
上記した第1実施形態の磁気浮上式鉄道は、集電方法についても特徴を有している。以下、この集電方法について説明する。
図1に示すように、車両200の下部には、各強磁性体板14,14に対応する左右の各位置に、集電コイル22が設けられている。
【0062】
各強磁性体板14は、進行方向に並設されているが、板と板との間には、強磁性体が存在しない不連続な部分がある。上記したように、車両200が進行方向に高速で走行すると、車上コイル21の付近の強磁性体板14は一時的に磁化され、これに伴い磁界を発生させる。一方、強磁性体板14の中間の不連続部分には強磁性体は存在しないから、磁界は発生しない。このため、集電コイル22が強磁性体板14の中間の不連続部分の上を通過する際に磁界の変化が生じ、これにより集電コイル22内に誘導起電力が誘起される。すなわち、この誘導起電力により「誘導集電」を行うことが可能となる。また、この場合には、車両200の下部に配置された磁気遮蔽板23が、集電コイル22の誘導磁界を強める作用を発揮するため、集電性能はさらに向上する。
【0063】
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道について、図7,8,9を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び推進の原理を示す概念図である。また、図8は、本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び浮上の原理を示す概念図である。また、図9は、本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び案内の原理を示す概念図である。
【0064】
第2実施形態の磁気浮上式鉄道が第1実施形態と異なる点は、車上コイル及び地上コイルの構成であり、他の構成については第1実施形態とまったく同様である。以下、第2実施形態の車上コイルと地上コイルの構成、及び推進・浮上・案内の各作用について説明する。
【0065】
図7,8,9に示すように、車上コイル21′は、超電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に二重に巻かれて構成されている。また、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、車上コイル21′の巻線は、1本の線であってもよいし、三重以上に巻かれてもよい。
【0066】
また、図7,8,9に示すように、下部地上コイル11′は、常電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に巻かれた2つの下部地上コイル素子11a′と11b′が略「8」字ループ状になるように点P5 ,P6 で接続されて構成されている。各下部地上コイル素子11a′,11b′は二重の巻線で形成されており、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、下部地上コイル11′内のみに電流を流した場合、下部地上コイル素子11a′内を流れるループ電流の方向と、下部地上コイル素子11b′内を流れるループ電流の方向とが逆になるように、両者は接続されている。
【0067】
上部地上コイル12′についてもまったく同様であり、常電導材料からなる巻線が略「ロ」字ループ状に巻かれた2つの上部地上コイル素子12a′と12b′が略「8」字ループ状になるように点P7 ,P8 で接続されて構成されており、各上部地上コイル素子12a′,12b′は二重の巻線で形成されており、ループ上の同一箇所では、いずれの巻線にも同一方向に電流が流れるようになっている。また、上部地上コイル12′内のみに電流を流した場合、上部地上コイル素子12a′内を流れるループ電流の方向と、上部地上コイル素子12b′内を流れるループ電流の方向とが逆になるように、両者は接続されている。
【0068】
また、上部地上コイル12′は、下部地上コイル11′を上方に平行移動させたものとまったく同一の配置となっている。そして、点P5 と点P7 が上下接続用配線13a′(破線)によって接続されるとともに点P6 と点P8 が上下接続用配線13b′(破線)によって接続され、上下接続用配線13a′,13b′には送電用配線15a′,15a′(破線)が接続され、図示しない送電装置と接続されている。各地上コイル素子11a′,11b′,12a′,12b′内の巻線は、1本の線であってもよいし、三重以上に巻かれてもよい。
【0069】
なお、図7〜9において、車両(車上コイル21′)は、各図において図の左側から右側に向って進行するものとし、地上コイルペア11′,12′は車両の進行方向に向って左側の地上コイルペアを示すものとする。
【0070】
まず、推進の原理について、図7を参照しつつ説明する。
車上コイル21′には、予め超電導電流i0 ′が図7において矢印で図示したように流され、車上コイル21′は永久磁石化されている。一方、外部の送電装置等から、送電用配線15a′等(他の2本は図示せず。)を介して、3相交流電流4i1 ′を送電すると、k番目の下部地上コイル11′とk番目の上部地上コイル12′からなるk番目の地上コイルペアにはそれぞれ電流2i1 ′が供給され、k番目の下部地上コイル11′を構成する下部地上コイル素子11a′,11b′にはそれぞれ電流i1 ′が流れるとともに、k番目の上部地上コイル12′を構成する上部地上コイル素子12a′,12b′にもそれぞれ電流i1 ′が流れ、下部地上コイル素子11a′,11b′と上部地上コイル素子12a′,12b′はそれぞれ電磁石となる。このようにして、車上コイル21′が、図7の上下の各地上コイル素子から吸引磁力を受けるようにすることができる。
【0071】
したがって、下部地上コイル11′と上部地上コイル12′からなる地上コイルペアを連続的に並設して、これらの地上コイルペアに3相交流電流を供給することにより、地上コイルペアの下部地上コイル11′と上部地上コイル12′に、同時に同方向(例えば、図7において矢印D1 ′で示す方向)への移動磁界を発生させることができる。超電導電流により永久磁石化している車上コイル21′は、この移動磁界に吸引され、かつ移動磁界とともに移動しようとするので、車両は移動磁界の方向(例えば、図7において矢印D1 ′で示す方向)に推進される。3相交流電流の周波数と位相を調整すれば、移動磁界の速度を車両の走行速度と同期させることができる。これにより、車両の速度を調整することが可能である。この場合、各地上コイルペア11′,12′と車上コイル21′はリニアモータを構成している。
【0072】
次に、浮上の原理について、図8を参照しつつ説明する。
車上コイル21′には、予め超電導電流i0 ′が図8において矢印で図示したように流され、車上コイル21′は永久磁石化されている。この車上コイル21′が、k番目の下部地上コイル11′とk番目の上部地上コイル12′からなるk番目の地上コイルペアの間に進入した場合について、車上コイル21′とk番目の下部地上コイル素子11a′,k番目の上部地上コイル素子12a′とに着目して説明する。まず、車上コイル21′が下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′に挟まれた空間の中央位置にある場合には、下部地上コイル素子11a′に生じる誘起電圧と上部地上コイル素子12a′に生じる誘起電圧とは互いに相殺されるため、下部地上コイル素子11a′,上部地上コイル素子12a′のいずれにも電流は流れない。したがって、この場合には車上コイル21′には浮上力は作用しない。
【0073】
これに対し、車上コイル21′が下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′の間の中央位置から、図8における垂直方向のうち上下いずれかの方向、例えば図8において矢印D2 ′で示される垂直下方へずれた場合には、下部地上コイル素子11a′には接近してくる車上コイル21′の下面からの磁界と逆方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じる一方、上部地上コイル素子12a′には遠ざかる車上コイル21′の上面からの磁界と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じるため、下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′に生じる誘起電圧には差が生じる。この結果、下部地上コイル素子11a′と上下接続用配線13a′,13b′と上部地上コイル素子12a′との間を循環して流れる循環電流i2 ′が発生する。この循環電流i2 ′により、下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′はそれぞれ電磁石となり、下部地上コイル素子11a′は接近してくる車上コイル21′の下面側に対し反撥磁力を作用させるとともに、上部地上コイル素子12a′は遠ざかる車上コイル21′の上面側に対し吸引磁力を作用させる。
【0074】
また、車上コイル21′が、下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′の間の中央位置から、図8における矢印D2 ′の方向とは反対方向の垂直上方へずれた場合には、上記の作用とはまったく逆の作用により、下部地上コイル素子11a′は車上コイル21′の下面側に対し吸引磁力を作用させるとともに、上部地上コイル素子12a′は車上コイル21′の上面側に対し反撥磁力を作用させる。したがって、車上コイル21′には、下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′の間の中央位置からずれた場合に、この中央位置に戻そうとする復元力が作用することになる。この復元力は、下部地上コイル素子11a′と上部地上コイル素子12a′の間の中央位置からの車上コイル21′のずれ量にほぼ比例する。
【0075】
車上コイル21′とk番目の下部地上コイル素子11b′とk番目の上部地上コイル素子12b′との間においても同様の作用がなされ、この場合には、車上コイル21′が、下部地上コイル素子11b′と上部地上コイル素子12b′の中央位置から垂直方向のいずれかの方向へずれた場合には、下部地上コイル素子11b′と上部地上コイル素子12b′の誘起電圧に差が生じ、下部地上コイル素子11b′と上下接続用配線13a′,13b′と上部地上コイル素子12b′との間を循環して流れる循環電流(例えば、車上コイル21′が方向D2 ′へずれた場合にはi3 ′)によって、車上コイル21′を下部地上コイル素子11b′と上部地上コイル素子12b′の間の中央位置に戻そうとする復元力が作用することになる。このようにして、車上コイル21′は、地上コイルペア11′,12′の中間において車両重量に見合った位置で磁気的に支持されるため、車両は浮上することになる。
【0076】
次に、案内の原理について、図9を参照しつつ説明する。
車上コイル21′には、予め超電導電流i0 ′が図9において矢印で図示したように流され、車上コイル21′は永久磁石化されている。この車上コイル21′が、k番目の下部地上コイル11′とk番目の上部地上コイル12′からなるk番目の地上コイルペアの間に進入した場合について、車上コイル21′とk番目の下部地上コイル素子11a′,11b′とに着目して説明する。まず、車上コイル21′の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「車上コイル中心線」という。)が、下部地上コイル素子11a′と11b′の間の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「下部地上コイル中心線」という。)の上方位置にある場合には、下部地上コイル素子11a′に生じる誘起電圧と下部地上コイル素子11b′に生じる誘起電圧とは互いに相殺されるため、下部地上コイル素子11a′,11b′のいずれにも電流は流れない。したがって、この場合には車上コイル21′には案内力は作用しない。
【0077】
これに対し、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から、図9における水平方向のうち車両進行方向に対して左右両側となる方向のうちいずれかの方向、例えば図9において矢印D3 ′で示される車両進行方向の右側方向へずれた場合には、下部地上コイル素子11a′には遠ざかる車上コイル21′の下面からの磁界と逆方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じる一方、下部地上コイル素子11b′には接近してくる車上コイル21′の下面からの磁界と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じるため、下部地上コイル素子11a′と11b′に生じる誘起電圧には差が生じる。この結果、下部地上コイル素子11a′と11b′との間を循環して流れる循環電流i4 ′が発生する。この循環電流i4 ′により、下部地上コイル素子11a′と11b′はそれぞれ電磁石となり、下部地上コイル素子11a′は遠ざかる車上コイル21′の下面側に対し吸引磁力を作用させる。また、同時に、下部地上コイル素子11b′は、接近してくる車上コイル21′の上面側に対し反撥磁力を作用させる。
【0078】
また、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から、図9における矢印D3 ′の方向とは反対方向である車両進行方向の左側方向へずれた場合には、上記の作用とはまったく逆の作用により、下部地上コイル素子11a′は車上コイル21′の下面側に対し反撥磁力を作用させるとともに、下部地上コイル素子11b′は車上コイル21′の上面側に対し吸引磁力を作用させる。したがって、車上コイル21′には、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方位置から車両進行方向の左右のいずれかへずれた場合に、車上コイル中心線を下部地上コイル中心線の上方位置に戻そうとする復元力が作用することになる。この復元力は、下部地上コイル中心線の上方位置からの車上コイル中心線のずれ量にほぼ比例する。
【0079】
車上コイル21′とk番目の上部地上コイル素子12a′,12b′との間においても同様の作用がなされ、この場合には、車上コイル中心線が上部地上コイル素子12a′と12b′の間の中心線で車両の進行方向と平行な線(以下、「上部地上コイル中心線」という。)の下方位置から、図9における水平方向のうち車両進行方向に対して左右両側となる方向のうちいずれかの方向へずれた場合には、上部地上コイル素子12a′と上部地上コイル素子12b′の誘起電圧に差が生じ、上部地上コイル素子12a′と上部地上コイル素子12b′との間を循環して流れる循環電流(例えば、車上コイル21′が方向D3 ′へずれた場合にはi5 ′)によって、車上コイル21′の車上コイル中心線を上部地上コイル中心線の下方位置に戻そうとする復元力が作用することになる。このようにして、車上コイル21′は、地上コイルペア11′,12′の中間において、車上コイル中心線が下部地上コイル中心線の上方でかつ上部地上コイル中心線の下方となる位置をつねに維持するよう磁気的力により制御されるため、車両は案内されることになる。
【0080】
上記のような各地上コイル11′,12′のコイル巻線形状、コイル素子どうしの接続、上下コイル11′,12′間の接続、及びコイルペア11′,12′と送電装置との接続により、車上コイル21′には進行方向への推進力、浮上力、及び進行方向の左右側に関する案内力が作用する。上記のようなコイル巻線形状、コイル素子どうしの接続、上下コイル間の接続、及びコイルペアと送電装置との接続は、PLG接続に相当している。また、下部地上コイル11′と上部地上コイル12′は、磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルに相当している。
【0081】
したがって、上記の第2実施形態の磁気浮上式鉄道においては、片側のガイドビームの地上コイルペア11′,12′のみにより進行方向の左右側に関する案内を行うことができ、左右の車上コイルの一方がクエンチ状態となった場合でも支障なく案内を行うことができる利点と、構成が簡素で製作費が低廉なガイドウェイを提供できるという利点を有している。
【0082】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0083】
例えば、上記各実施形態においては、左右の各ガイドビームにおいて、2個の常電導コイルである地上コイルが、超電導コイルである車上コイルを上下に挟み込むように配置される例、すなわち各コイルの平面が水平面となる例について説明したが、本発明はこれには限定されず、他のコイル配置方式、例えば、2個の常電導コイルである地上コイルが、超電導コイルである車上コイルを左右に挟み込むような状態、すなわち各コイルの平面が垂直面となるように配置されてもよい。あるいは、2個の常電導コイルである地上コイルが、超電導コイルである車上コイルを斜めに挟み込むような状態、すなわち各コイルの平面が傾斜面となるように配置されてもよい。
【0084】
また、上記各実施形態においては、支持・案内用構造物であるガイドビームが、支承や橋脚等の介在構造物を介して地盤上に支持される例について説明したが、本発明はこれには限定されず、ガイドビームが直接地盤上に固定されるような構成であってもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地上側の1対の常電導コイルが、車両の左右において、車両側の超電導コイルをそれぞれ独立に挟み込むように配置されるので、車両側超電導コイルがクエンチ状態となっても、案内を支障なく行うことができる。また、左右の一方のみ固定接続した部材によりガイドウェイを構成可能であり、ガイドウェイ左右のヌルフラックス配線が不要となる。また、各コイルを8字状ループとすれば、特に車両側コイルの磁場のうち外部に漏洩する量を低減ことができる。また、地上側常電導コイルのうち上位のコイルの上方に強磁性体部材を配置することにより、磁気浮上性能を支援することができ、車両側に対する磁気遮蔽を行うこともできる。さらに、強磁性体部材を所定間隔で不連続に配置し、車両側に集電コイルを設け、車両の走行に伴う磁場の変化により集電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である磁気浮上式鉄道におけるガイドウェイ及び車両の構成を示す横断面図である。
【図2】図1に示すガイドウェイの片側部分を形成するガイドビームの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示すガイドウェイのガイドビーム、及び推進・浮上・案内用地上コイルの接続構成を示す展開図である。
【図4】図1に示す磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び推進の原理を示す概念図である。
【図5】図1に示す磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び浮上の原理を示す概念図である。
【図6】図1に示す磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び案内の原理を示す概念図である。
【図7】本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び推進の原理を示す概念図である。
【図8】本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び浮上の原理を示す概念図である。
【図9】本発明の第2実施形態である磁気浮上式鉄道における車上コイル、及び推進・浮上・案内用地上コイルの構成、及び案内の原理を示す概念図である。
【符号の説明】
10 梁状部材
10a オーバーハング部
10b 下部地上コイル配置面
10c 上部地上コイル配置面
10d 強磁性体板配置面
11,11′ 下部地上コイル
11a,11a′,11b,11b′ 下部地上コイル素子
12,12′ 上部地上コイル
12a,12a′,12b,12b′ 上部地上コイル素子
13a,13a′,13b,13b′ 上下接続用配線
14 強磁性体板
15,15a,15a′,15b,15c 送電用配線
20 車体
20a 翼状部
21 車上コイル
21a,21b 車上コイル素子
21′ 車上コイル
22 集電コイル
23 磁気遮蔽板
24 床構造
25 座席
100 ガイドビーム
200 車両
300 橋脚
301 支承
D1 〜D3 ,D1 ′〜D3 ′ 方向
i0 〜i5 ,i0 ′〜i5 ′ 電流
P1 〜P8 接続点

Claims (16)

  1. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルであって、
    常電導材料からなり略環状に形成された常電導コイルを有するとともに前記常電導コイルは前記進行方向に沿いかつ前記超電導コイルに対応する位置に所定間隔で並設され前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、
    前記常電導コイルのうちの特定のものに電力が供給された場合に、前記超電導コイルと前記常電導コイルとでリニアモータを構成して前記車両を前記進行方向に推進させるとともに、
    前記推進に伴い前記常電導コイルに浮上用誘導電流を誘起させて少なくとも磁気反撥作用を含む磁気作用により前記車両を浮上させ、
    かつ、
    前記車両が進行中に前記進行方向の右側又は左側に偏位した場合には、前記1対の常電導コイルのそれぞれに案内用誘導電流が誘起され、磁気反撥作用及び磁気吸引作用により、前記常電導コイルにおける前記偏位の量を零に戻させるように、
    前記常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイル。
  2. 請求項1記載の磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルにおいて、
    前記超電導コイルは略8字状に形成されるとともに、
    前記常電導コイルは略8字状に形成され前記超電導コイルに対応する状態で配置されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイル。
  3. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせることを目的とし、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記超電導コイルに対応する位置に所定間隔で並設され前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置された磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法であって、
    前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルのうちの特定のものに電力が供給された場合に、前記超電導コイルと前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルとでリニアモータを構成して前記車両を前記進行方向に推進させるように、前記進行方向に隣接するものどうしを結線するとともに、
    前記推進に伴い前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルに浮上用誘導電流を誘起させて少なくとも磁気反撥作用を含む磁気作用により前記車両を浮上させるように、前記1対となるものどうしを結線し、
    かつ、
    前記車両が進行中に前記進行方向の右側又は左側に偏位した場合に、前記1対の磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルのそれぞれに案内用誘導電流が誘起され、磁気反撥作用及び磁気吸引作用により、前記磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルにおける前記偏位の量を零に戻させるように、前記1対となるものどうしを結線するPLG接続を行うこと
    を特徴とする磁気浮上式鉄道用推進・浮上・案内用地上コイルの接続方法。
  4. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物であって、
    前記推進・浮上・案内用地上コイルは、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記進行方向の右側又は左側の超電導コイルのうちのいずれか一方に対応する位置に所定間隔で並設され、前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、かつ相互間でPLG接続されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物。
  5. 請求項4記載の磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物において、
    前記車両が磁気浮上による進行を行わず接触走行による進行を行う場合に、前記接触走行又は停止を支持するための走行路と、
    前記車両が磁気による案内を行わず接触走行による案内を行う場合に、前記接触案内又は停止を支持するための案内路を
    備えることを特徴とする磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物において、
    前記進行方向への延長が所定長さに設定され、
    前記所定長さに応じた個数の推進・浮上・案内用地上コイルと、前記推進・浮上・案内用地上コイルの両端に配置された接続端子が予め一体に形成されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物。
  7. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側又は左側となる部分に配置された超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる推進・浮上・案内用地上コイルを備えた磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法であって、
    前記推進・浮上・案内用地上コイルは、常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記進行方向の右側又は左側の超電導コイルのうちのいずれか一方に対応する位置に所定間隔で並設され、前記超電導コイルを挟んで1対をなすように配置され、相互間でPLG接続され、
    前記推進・浮上・案内用地上コイルの両端に配置されるとともに前記推進・浮上・案内用地上コイルと予め一体に形成された接続端子を備えて構成されており、
    前記磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物を、前記進行方向に沿わせるとともに、前記進行方向の右側又は左側のうち前記推進・浮上・案内用地上コイルにより決定される側に並設して地盤上又は介在構造物上に固定し、隣接する前記接続端子どうしを相互に電気的接続すること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の支持・案内用構造物の施工方法。
  8. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせるための磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置であって、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、
    前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を備え、
    前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ
    前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置。
  9. 請求項8記載の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、
    前記第1超電導コイルは前記車両の右側から水平右方向へ突設された略翼状部分にコイル面が水平になるように配設されるとともに、前記第2超電導コイルは前記車両の左側から水平左方向へ突設された略翼状部分にコイル面が水平になるように配設され、
    前記1対の第1常電導コイルはそれぞれ水平なコイル面を有し前記第1超電導コイルを上下に挟み、かつ前記1対の第2常電導コイルはそれぞれ水平なコイル面を有し前記第2超電導コイルを上下に挟むように配設されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置。
  10. 請求項9記載の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、
    強磁性体からなり、前記1対の第1常電導コイルのうち上方に配置された第1上位常電導コイルの上方に配置されるとともに、前記進行方向に沿って水平方向に延設された第1浮上力支援部材と、
    強磁性体からなり、前記1対の第2常電導コイルのうち上方に配置された第2上位常電導コイルの上方に配置されるとともに、前記進行方向に沿って水平方向に延設された第2浮上力支援部材を有し、
    前記推進に伴い前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルにそれぞれ誘起される第1浮上用磁界及び第2浮上用磁界により前記第1浮上力支援部材及び前記第2浮上力支援部材をそれぞれ磁化させて前記第1超電導コイル及び前記第2超電導コイルとの間で磁気吸引作用を発揮させ、前記車両の浮上作用を支援させるように構成されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置。
  11. 請求項10記載の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、
    前記第1浮上力支援部材及び前記第2浮上力支援部材は、前記車両に対する磁気遮蔽手段として利用されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置において、
    前記車両は、緊急時に滑走脚部材により制動を行うこと
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内装置。
  13. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両と、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、
    前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を
    備えた磁気浮上式鉄道において前記車両を、磁力により前記進行方向へ推進させ、又は浮上させ、若しくは案内させ、あるいはこれらの適宜の組合わせを行わせる磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法であって、
    前記1対の第1常電導コイルを前記第1超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第1常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、かつ
    前記1対の第2常電導コイルを前記第2超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第2常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続すること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の推進・浮上・案内方法。
  14. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルを有する車両と、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、
    前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を
    備えた磁気浮上式鉄道システムであって、
    前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ
    前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道システム。
  15. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルと、前記第1超電導コイル又は前記第2超電導コイルのうちのいずれか一方である対応超電導コイルと同じ側に配置された集電コイルを有する車両と、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、
    強磁性体からなり、前記集電コイルに対応する位置で、かつ前記対応超電導コイルと同じ側に配置された前記第1常電導コイル又は前記第2常電導コイルである対応常電導コイルの軸線の近傍位置に配置され、所定間隔で不連続に並設された集電用部材と、
    前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を
    備えた磁気浮上式鉄道において、前記車両上で非接触状態で集電を行う磁気浮上式鉄道の集電システムであって、
    前記1対の第1常電導コイルは前記第1超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第1常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、
    前記1対の第2常電導コイルは前記第2超電導コイルを挟むように配置されるとともに前記第2常電導コイル相互間及び前記送電装置との間でPLG接続され、かつ
    前記推進に伴う前記対応超電導コイルからの変動磁界により前記対応常電導コイルに誘起される対応磁界に起因して前記集電用部材が生成する集電用磁界の変化を利用して前記集電コイルに集電用誘導電流を誘起させるように構成されること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の集電システム。
  16. 超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し右側となる部分に配置された第1超電導コイルと、超電導材料からなり略環状に形成され超電導電流が流れた状態で維持されるとともに進行方向に対し左側となる部分に配置された第2超電導コイルと、前記第1超電導コイル又は前記第2超電導コイルのうちのいずれか一方である対応超電導コイルと同じ側に配置された集電コイルを有する車両と、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第1超電導コイルに対応する位置に第1の所定間隔で並設された1対の第1常電導コイルと、
    常電導材料からなり略環状に形成されるとともに前記進行方向に沿いかつ前記第2超電導コイルに対応する位置に第2の所定間隔で並設された1対の第2常電導コイルと、
    強磁性体からなり、前記集電コイルに対応する位置で、かつ前記対応超電導コイルと同じ側に配置された前記第1常電導コイル又は前記第2常電導コイルである対応常電導コイルの軸線の近傍位置に配置され、所定間隔で不連続に並設された集電用部材と、
    前記第1常電導コイル及び前記第2常電導コイルのうちの任意のものに電力を供給可能に構成された送電装置を
    備えた磁気浮上式鉄道において、前記車両上で非接触状態で集電を行うための磁気浮上式鉄道の集電方法であって、
    前記1対の第1常電導コイルを前記第1超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第1常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、前記1対の第2常電導コイルを前記第2超電導コイルを挟むように配置するとともに前記第2常電導コイルを相互間及び前記送電装置との間でPLG接続し、かつ
    前記推進に伴う前記対応超電導コイルからの変動磁界により前記対応常電導コイルに誘起される対応磁界に起因して前記集電用部材が生成する集電用磁界の変化を利用して前記集電コイルに集電用誘導電流を誘起させること
    を特徴とする磁気浮上式鉄道の集電方法。
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