JP3814636B2 - 人間支え補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間の体を支えるための補助装置に関し、特に、老人および、腰やひざに痛みを持つ人の歩行や、立ち上がる際に使用する杖、手すりなどの、人間の体を支えることを補助するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の杖は一本足で、地面からの高さは腰までの長さだった。歩行時に使用していると疲れやすく、腰をおろしたくなり椅子が欲しくなる。それを補う為、椅子をつけたショッピングカーが出始めた。しかし、椅子を持ち歩く姿はきらわれ、困っている人が多い。また、杖の長さを伸縮できる杖もあるが、身長にあわせちょうど腰の高さになるように長さを調節できるだけであり、歩行時の姿勢や腰への負担、ひいては腰が曲がってしまう危険性に配慮が欠けていた。
【0003】
また、松葉杖は、松葉のように二股の形をし、中間に横木があり、両腕または片腕の脇で挟みながら横木に手をつき、体を支える杖であって、けが人が使用するものであった。
【0004】
また、特開2001−353192、特開2001−61914のように、使用時の扱いやすさ、安全性などから二本足の杖も提案されている。また、特開平11−318526や特開平11−318527、特開2000−93471のように、伸縮可能な杖の提案がなされている。
【0005】
さらに、電車やバスの中で立っている人の支えとして、つり革やドア付近の縦方向および横方向の握り棒、網棚の支柱、その柱を水平につなぐ横棒などがある。背の低い老人や腰が不自由な人にとって、つり革は手が届かない、握り棒や網棚の柱は握力が必要、横棒は位置が低すぎ不安定などの問題がある。さらに長時間使用していると、疲れやすい、腰が曲がり痛くなる、腰を曲げていると他の乗客の邪魔になるなどの問題があった。
【0006】
そのほか、エレベータ内の手すり、景色を眺めたり休息をとる場所にある障壁をかねた柵、家のベランダの手すり、映画館内の手すりなど、世の中にはたくさんの人間を支えるための補助装置があるが、それぞれの主目的はいずれも人間を支えるためのものではない。エレベータ内では車いす使用者が動かないようにつかまるためであり、柵やベランダなどの手すりは障壁を主目的としている。それらを人間が別の目的で、つまり体を支える道具として使用しているだけで、同じように疲れやすい、腰が曲がり痛くなるなどの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
年を重ね足腰が弱ってくると、杖で体を支えようとする。しかし、従来の短い一本足の杖は「転ばぬ先の杖」でしかない。使用を重ねると、だんだん姿勢が前かがみになる。特に女性の場合は体型から前かがみになりやすく腰に負担がかかりやすい。また、時には、上体が直立より約20度の角度で前にかがむと腰に激痛が走り、息がつけなくなる。さらに前かがみにすると、腰は楽になるが乳の重みも加わり、だんだん腰が曲がったままになってしまうという問題があった。
【0008】
また、人間が体を支える道具としていわば兼用している公共施設の手すりや家の中にある手すりなどにおいても、老人や腰、ひざなどに障害を持つ人にとって体を支えている間、体を前かがみにして楽な姿勢を取りがちで、ひいては腰が曲がってしまうという同様な問題があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みて、老人および、腰やひざに痛みを持つ人の歩行や、立ち上がる際に、腰やひざの痛みを最小限に押さえ、腰が曲がってしまうことを防ぐ人間支え補助装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、人間の体を支えるための杖であって、人間が把持する手段を備え、接地部分を二カ所備え、前記把持する手段と前記接地部分とを連結する二本の胴体を備え、直立時に前記把持する手段の相対的な高さを、おおよそ胸部の高さに固定したことを特徴とする人間支え補助装置を提供することにより達成される。このような手段によれば、老人や、体に腰やひざの障害を持つ人の歩行や、立ち上がる際に、腰やひざの痛みを最小限に押さえ、腰が曲がってしまうことを防ぐことができる。
【0011】
さらに、上記装置は、杖または、ステッキであれば、持ち運びに優れ、老人や、体に腰やひざの障害を持つ人が外出するときに限らず、家の中でも自由に、そして腰が曲がることなく歩けるようになる。また椅子などから立ち上がる際にも大きな補助になり、腰の痛みを最小限に押さえることができる。
【0012】
また、上記装置は、手すりであれば、公共施設や家の中などで人が立っているときの支えとして、腰部に疲労を蓄積しない楽な姿勢を保つことができ、腰が曲がってしまうのを防ぐことができる。さらに本来の目的に加え、老人や腰、ひざが痛い人々に対し、人間工学的な楽な姿勢を保つことを供給することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、以下においては杖における例を具体的に説明するが、本発明は一般的な手すりや、その他、人間がいつの間にか使ってしまっている体を支える補助装置全般にも広く適用することができる。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係る人間支え補助装置の構成を示す図である。図1に示されるように、本実施の形態に係る人間支え補助装置は、人間が把持する手段1と、杖の胴体2と、杖の接地部分3とを備える。人間が把持する手段1は、歩行時に体を支え歩行を助ける部分であり、歩行をやめ立っているときは、腰の曲がりを伸ばしながら疲れをとるために体を支える部分である。杖の胴体2は、人間が把持する手段1と杖の接地部分3とを連結し、椅子に座った状態から立ち上がるときに、体を支えその立ち上がりを助ける部分である。以下において、上記のような構成を有する人間支え補助装置を説明する。
【0015】
腰やひざに痛みを感じる76才になる発明者が試作品を手作りしてみた。地面から背丈ほどあるアルミパイプを二本買ってきて、立った状態でその長すぎる部分をどう切断しようかと考えていたところ、知らないうちに背筋が伸び、腰が楽になり、また息苦しさもすうっと消えていることを発見した。
【0016】
図2にその様子を示す。図2は、腰の痛みを感ずる様子を示す図である。直立に立った状態4、上体が直立より約20度の角度で前にかがみ、腰に激痛が走り、息がつけなくなることもある状態5、従来の一本足の杖を使い、息苦しさが消え腰の痛みも取れることに気がつく状態6である。状態6では使用を続けていると腰が曲がってしまう。状態4で使用するのが本発明の装置であり、状態5から状態4へ、上体を本発明装置を使って直立にすると、背筋が伸び、腰が楽になり、息苦しさも消えた。さらに、家中を歩き、立ったり、座ったり、腰をかけたり、一日中実験してみた。
【0017】
とくに、状態4で人間を支えるために実験を重ねたところ、杖全体の長さは、人間が直立に立った状態で、人間が把持する手段1の地面からの高さをおおよそ胸部の位置にすることが最適であることがわかった。人間が把持する手段1の高さを相対的におおよそ胸部の位置にすることで、背筋がピンと伸び、さらに、人間としてホッとする安堵感を覚えることもわかった。
【0018】
また、外出時に歩き疲れた場合、図3に示すように、おおよそ胸部の位置にある人間が把持する手段1の場所で両手をくむことで、姿勢を直立に保ちながら、はた目を気にせず疲れをとることができ、またさらに歩きを続けることができる。腰が曲がる部位をピンと伸ばす為には、体を支える杖の長さを長くする事によって解決する。せいぜい胸部の位置までで、長ければいいと云うものでもない。もちろん従来のように人間が把持する手段1が腰の高さになるような短さでもいけない。図3の姿勢をとれば、一気に解決することがわかった。
【0019】
また、おおよそ胸部の位置とは、人間の体の前面で首と腹の間の部分であるが、乳首の上下8cmの範囲に人間が把持する部分1があれば、一番安堵感が高いことも発見した。
【0020】
また、いすに座った状態から立ち上がる場合には、図4のように両手で二本の杖の胴体2をつかみ立ち上がることができる。一本足であれば、立ち上がる際にどうしても片手で立ち上がろうとし、片手に負担がかかるばかりでなく、力が弱ってきている老人には大変つらいものとなる。そのような光景は外でよく見かけられる。杖の足が二本であることで、両腕の力で立ち上がることができ、さらに安定感があり、立ち上がる際に左右へよろけてしまう危険も少ない。
【0021】
また、杖の設置部分3に接地部で滑ることを防ぐため、滑り止めのゴムキャップをつけたら、より安定した。
【0022】
また、上記のような二本足の杖の強度を保つために、それぞれの杖の胴体2の間を横方向に連結しても良い。
【0023】
また、一般に人それぞれ身長が違うように、おおよそ胸部の位置の相対的な高さも異なる。杖全体の高さをそれぞれの人に合うように調節できる仕組みを杖の胴体2に設けても良い。この仕組みについては、従来の伸縮する一本足の杖や、釣り竿、写真機の三脚などで周知の通りである。
【0024】
発明者は身長149cmであるが、実験する際に使用した試作品でもっとも発明者にとって適した杖の実施例を図5に示す。
【0025】
この杖を片手に持ち、1.8リッターの灯油缶を少しずつ運ぶことができた。腹部に力が入り、重い物も扱える自信がついた。これなら、歩けなくて悲観している人を助けられると考えた。外へ出て買い物もできる、多くの人に生気を取り戻してもらいたい。要介護者が減少すれば、社会的不安が一つ減ることになる。
【0026】
また、老人や、腰、ひざに障害を持つ人が世の中にはたくさんいることから、公共施設や家の中における体を支えることを主目的とはしていないが、いつの間にか人間が体を支える補助として使用している、手すり、障壁などにも応用することができる。
【0027】
【発明の効果】
上記の如く、人間の体を支えるための杖であって、人間が把持する手段を備え、接地部分を二カ所備え、上記把持する手段と上記接地部分とを連結する二本の胴体を備え、直立時に上記把持する手段の相対的な高さを、おおよそ胸部の高さに固定することとすれば、人は姿勢良く自分の体を支えることができ、腰やひざへの負担を未然に回避でき、腰が曲がってしまうことを避けることができる。
【0028】
また、上記の補助装置が、杖または、ステッキであれば、老人や、腰、ひざに障害を持つ人が歩行、あるいは立ち上がる際に、腰やひざへの負担を減らし、腰が曲がることを抑え、だんだん早足でも歩けるようになる。さらに、特に老人の行動範囲が広くなり、家のこもりがちもなくなるという世の中の社会福祉に大きく貢献できる。
【0029】
また、上記の補助装置が、手すりであれば、いつの間にか人間が体を支える補助として使用している際に、姿勢正しく自分の体を支えることができ、腰やひざへの負担やひいては腰が曲がってしまう恐れを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る人間支え補助装置の構成を示す図である。
【図2】腰の痛みを感ずる様子を示す図である。
【図3】胸部の位置にある人間が把持する手段1の場所で両手をくんだ状態を示す図である。
【図4】いすに座った状態から立ち上がる場合を示す図である。
【図5】身長149cmの人が使う場合の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 人間が把持する手段
2 杖の胴体
3 杖の接地部分
4 直立に立った状態
5 上体が直立より約20度の角度で前にかがみ、腰に激痛が走り、息がつけなくなることもある状態
6 従来の一本足の杖を使い、息苦しさが消え腰の痛みも取れることに気がつく状態
イ 9cm
ロ 8cm
ハ 7cm
ニ 長さ98cm
ホ 直径16mm
ヘ 重量300g
Claims (1)
- 人間の体を支えるための杖であって、人間が把持する手段を備え、接地部分を二カ所備え、前記把持する手段と前記接地部分とを連結する二本の胴体を備え、直立時に前記把持する手段の相対的な高さを、おおよそ胸部の高さに固定したことを特徴とする人間支え補助装置。
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2003
- 2003-02-27 JP JP2003100921A patent/JP3814636B2/ja not_active Expired - Fee Related
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