JP3814538B2 - 埋め込み型補聴器の改良された位置決め装置および方法 - Google Patents

埋め込み型補聴器の改良された位置決め装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めするための装置および方法に関し、より詳細には、取付容易性、応用範囲、アクチュエータ装入、および深度位置決めの利点を有する位置決め装置および方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
埋め込み型補聴器としていくつかのタイプのものが提案されている。主たるものとしては、耳小骨連鎖および/または卵円窓を刺激するために埋め込まれた電気機械変換器を使用する補聴器や(たとえば、米国特許第5,702,342号を参照)、埋め込まれた励磁コイルを用いて、中耳内に固定された磁石を電磁的に刺激する補聴器(たとえば、米国特許第5,897,486号を参照)などが挙げられる。このような目的における、上記のような電気機械変換器や励磁コイル、ならびに耳小骨連鎖および/または卵円窓を刺激する他の埋め込まれた機器は、「埋め込み型補聴アクチュエータ」と総称することにする。
【0003】
上記の性質を有する補聴器においては、ほとんどの場合、所与の埋め込み型アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めする必要がある。多くの手法において、患者の頭蓋内に外科的に開口部を画定し、この開口部から埋め込み型アクチュエータを挿入して乳様突起内に支持可能に位置決めする。上記のような埋め込み手法に関連して、埋め込み型アクチュエータを正確に配置、配向することは、最良の結果を得るために最も重要なことでもある。
【0004】
これまでに、正確な位置決めを行うための多数の構成が提案されており、そうした構成においては、埋め込み型アクチュエータを支持可能に配置して、その場所で、頭蓋取付素子に対する多次元での選択的位置決めを行えるようにしている。こうした構成は技術の進歩をもたらしたが、多数の個別で扱いにくい部品を位置決めしなければならない場合が多く、ただでさえ複雑な埋め込み手法をさらに複雑にすることになる。さらに本願発明者は、とりわけ患者毎に顕著に異なりうる深度プロファイルに関して、埋め込み型アクチュエータの位置決めを強化できるものと確信している。
【0005】
(発明の概要)
上述のことに鑑みて、本発明の主たる目的は、埋め込み型補聴アクチュエータを、より容易に所望の位置に支持可能に位置決めするための装置および方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、埋め込み型補聴アクチュエータの位置決めにおける精度および/または応用範囲の利点を向上させる埋め込み装置および方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、患者の耳小管に対して電気機械変換器を正確に接触装入することを容易にする装置および方法を提供することである。
【0006】
上述の1つまたは複数の目的ならびにさらなる利点は、第1端部に埋め込み型補聴アクチュエータを担持するための担持素子と、この担持素子を回動可能に支持するための回動素子とを含む本発明の装置によって提供される。このような回動可能に支持により、担持素子の第1端部は、回動素子に対して、第1次元および第2次元において横方向に回動させることができる。本装置は、患者の頭蓋に装置を取り付けるための取付素子をさらに含み、回動素子は取付素子に固定することもできる。
【0007】
本発明の1つの態様において、回動要素は一体状で提供される。すなわち、回動要素は取付要素に対して選択的に位置決め可能であるか、若しくは取付要素に一体物として固定される。このような構成により、補聴器の埋め込みに関連した設置手順を簡略化することができる。さらに、アクチュエータの深度位置決めを強化するために、担持要素および回動要素は、担持要素が回動要素に対して第3次元において選択的に位置決めされるように構成することが好ましい。
【0008】
好ましくは、一体化回動要素は、相互に連結された対向する第1保持部材と第2保持部材とを含み、該第1保持部材と第2保持部材の間にはピボット部材(たとえば、回転可能なボール)が捕捉されている。ピボット部材は、担持要素を支持可能に受容するための開口部を含んでいてもよく、この場合、担持要素は、第3次元において線形の連続位置に沿ってこの開口部内に摺動可能に位置決めされる。担持要素が回動すると、これに対応して、相互連結された第1保持部材と第2保持部材に対してピボット部材が回転することが理解されよう。
【0009】
後者に関して、第1保持部材および第2保持部材は該部材間で限られた範囲の相対移動を許容するように相互連結して、これにより担持要素の回動によるピボット部材の選択的回転を容易にすることもできる。このことに関して、本発明の装置は、取付要素に相互連結可能であって、第1保持部材と第2保持部材に選択的に圧縮力を与えることにより該部材間の相対移動を抑止するロック部材をさらに含んでいてもよく、この場合、担持要素と取付要素の間の選択された角度位置は、ロック部材によって維持することができる。
【0010】
さらに、ロック部材は、回動要素に対しての担持要素の選択された直線位置を錠止するために利用することもできる。より詳細には、ピボット部材は、該ピボット部材の上側部分に延設されてピボット部材の複数の別個の上側部分を画定する複数のスリットを含んでいてもよい。これに対応して、第1保持部材は、ピボット部材のスリットを設けた部分の周りに当接されるような大きさの開口を含んでいてもよい。結果として、ロック部材が取付要素に相互に連結されて第1保持部材および第2保持部材に圧縮力を与えると、この力によって複数の別個の上側部分が内方に移動し、担持要素と拘束可能に係合する。
【0011】
本発明の他の態様において、担持要素が回動要素に対して選択的に前進して、第1の度合いのアクチュエータ深度位置決め許容範囲を与えるように、担持要素を回動要素に相互に連結することもできる。また、担持要素は少なくとも第1担持部材と、アクチュエータに連結可能な末端部を有する相互連結された第2担持部材とを有してもよく、この場合、第2担持部材は、第1担持部材に対して選択的に前進して、第2の度合いの深度位置決め許容範囲を与える。このような複数の深度位置決め機能は、埋め込み型補聴アクチュエータの正確な配置を容易にするだけでなく、より広範の患者への適応に対するより広範な深度位置決めを容易にする。1つの構成例において、第1担持部材と第2担持部材とは、第2担持部材が第1担持部材に対して選択的に入れ子式に前進できるように、同軸線上に配置し、相互に連結することができる。
【0012】
好ましくは、第1担持部材と第2担持部材とは螺合によって相互連結してもよく、この場合、第1担持部材の従動回転により、第2担持部材による所定の度合いの直線移動が行われる。これに関連して、回動要素は担持要素を支持可能に受容するための開口部を含んでいてもよく、この場合、第1担持部材の上端部は回動要素から突出して、付属工具による従動回転を可能にしている。
【0013】
第1担持部材と第2担持部材とに加えて、担持要素は、第2担持部材の回転運動を抑止するための、第1担持部材に回転可能に相互連結された第3の担持部材をさらに含んでいてもよい。1つの構成例において、第2担持部材は線形のスロットを含み、第3の担持部材は該第2担持部材のスロット内に配置される突出した拘束ピンを有していてもよい。一例として、第3の担持部材が回転可能に固定されており(たとえば、上述のロック部材を用いて)、第1担持部材を回転させる場合、第3の担持部材は第2担持部材の回転を制限し、これにより第2担持部材を第1担持部材および第3の担持部材の両方から入れ子式に離す。
【0014】
1つの実施形態において、回動要素と該回動要素に相互連結された担持要素とを支持可能に受容するための円筒形の胴部を備えた取付要素が提供される。この胴部は、底端板を含むとともに、内ねじが切られており、外ねじが切られたロック部材とこの底端板の間に回動要素を錠止することができる。回動要素は、相互連結された天板部材と底板部材とを含んでいてもよく、該天板部材と該底板部材は、球状ピボット部材を受容するために斜切した縁面を有する対向する中央開口を有する。ピボット部材の内部には担持要素の外側支持部材を摺動可能に受容するための中央開口部が設けられている。担持要素は、上端部において外側支持部材の上端部と回転可能に相互連結され、下端部において入れ子式部材に相互連結された内側軸部材をさらに含んでいる。そして、入れ子式部材の先端部は電気機械変換アクチュエータに相互連結される。
【0015】
担持要素全体は、回動要素に対して線形の連続位置のうちの一位置に選択的に配置して、深度位置決め制御の第1距離を与えることができる。さらに、担持要素は取付要素に対して回動させて、電気機械変換アクチュエータの横方向位置決めを行うようにしてもよい。担持要素の所望の深度および角度位置が確立されたところで、錠止リングを回動アセンブリ上に緊締することによって、この位置を錠止することができる。次に、担持要素の入れ子式部材を選択的に前進させて、電気機械変換アクチュエータを耳小骨連鎖(たとえば砧骨と接触させる)または卵円窓との所望の当接位置に位置決めすることができる。
【0016】
上述のことに鑑みて、埋め込み型補聴アクチュエータを位置決めするための新奇な方法が提供されることも明らかであろう。本発明の方法は、患者の頭蓋に取付要素を装着する工程と回動要素を取付要素上に支持する工程とを含み、回動要素は埋め込み型補聴アクチュエータが相互連結された担持要素を回動可能に支持する。本方法は、埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内の所望の位置に配置するために、担持要素を位置決めする工程も設けている。
【0017】
好ましくは、上記支持工程は、回動要素を一体物として取付要素上の支持位置に配置することによって達成される。1つの実施形態において、このことは回動要素を一体物として取付要素の胴部に挿入し、胴部の底端板と支持可能に係合させることによって達成される。
【0018】
本発明方法の位置決め工程は、担持要素および相互連結された埋め込み型補聴アクチュエータを、患者の頭蓋内の取付要素に対して所望の角度位置に回動させる小工程と、回動要素に対して担持要素を前進させる小工程とを含むことが好ましい。さらに、担持要素が少なくとも第1担持部材と第2担持部材とを含む構成においては、位置決め工程は、第2担持部材を第1担持部材に対して前進させる小工程をさらに含んでいてもよい。
【0019】
電気機械変換アクチュエータが用いられる場合、所望の当接位置は、患者の頭蓋内の耳小骨連鎖(たとえば砧骨)あるいは卵円窓上に定めることができ、この場合、電気機械変換アクチュエータのプローブチップは、位置決めの間に当接位置に徐々に接触される。この点に関して、本発明方法は、当接位置上にプローブチップが所定の度合で装入されるように、第1担持部材に対して第2担持部材を前進させる工程を設けてもよい。
【0020】
本発明の多数の追加の態様および利点は、以下のさらなる説明を考慮すれば当業者によって明らかになるであろう。
(発明の詳細な説明)
次に図1に示される取付装置の実施形態10を参照して、本発明をより詳細に説明する。本明細書は本発明の理解を容易にすることのみを目的としており、他の実施形態は当業者にとって明らかであろう。
【0021】
取付装置10は、担持アセンブリ20と、回動アセンブリ40と、取付アセンブリ60とを備えている。上記アセンブリは容易に相互連結できるとともに、協働して例示的アクチュエータ80などの埋め込み型補聴アクチュエータを、患者の頭蓋内の所望の位置に選択的に三次元位置決めできるように配置される。
【0022】
全体的なことから説明すると、例示的アクチュエータ80は担持アセンブリ20の第1端部22に支持可能に連結することができる。次に担持アセンブリ20は回動アセンブリ40内に設けられた開口部42に支持可能に受容され得、この組み立て後の担持アセンブリ20/回動アセンブリ40は、(たとえば、取付脚部63の開口65を介して頭蓋装着要素70を頭蓋内に挿入することによって)患者の頭蓋に装着された取付装置62に支持可能に相互連結することができる。後で詳しく説明するが、担持アセンブリ20と回動アセンブリ40との間の相互連結により、担持アセンブリ20の第1端部22、およびこれに相互連結されたアクチュエータ80を横方向(側面方向)に回動可能に位置決めすることができる。さらに、担持アセンブリ20および回動アセンブリ40は、担持アセンブリ20が回動アセンブリ30の開口部42内の連続位置に沿って選択的に固定可能なように設けられ、これにより担持アセンブリ20および相互連結されたアクチュエータ80の奥行次元における前進/後退を容易にすることもできる。さらに、担持アセンブリ20は、その第1端部22が、該端部への外方支持部材24に対して、奥行次元において選択的に前進/後退可能できるように定めることもできる。
【0023】
図1に示されるように、回動アセンブリ40は、担持アセンブリ20の外方支持部材24の周囲に容易に位置決め可能なように、一体型または相互連結された形で提供することができ、これにより、回動アセンブリ40の取付装置62内への位置決めおよび相互連結を容易にすることができる。後者に関して、図示した実施形態において、回動アセンブリ40は、取付装置62の複雑な構造を有した胴部64により所定の配向で嵌受されるように構成されていることに留意すべきである。さらに、一体状の回動アセンブリ40は、取付装置62の端板部66上に支持可能に載るような寸法にされている。後で詳しく説明するが、担持アセンブリ20が前進/後退され、所望の直線および角度位置に回動されたところで、取付装置62の胴部64の上端部内に配置可能なロック部材68を回動アセンブリ40の上部に対して固締して、担持アセンブリ22の所望の直線および角度位置を錠止することができる。
【0024】
このような機能を容易にするために、回動アセンブリ40の一実施形態について図2A〜図2Dを参照しながら検討する。図示したように、回動アセンブリ40は対向する天板部材44aおよび底板部材44bを備え、これらの板部材は、該部材間に回転可能なボール部材46を捕捉するように相互に連結される。特に、天板部材44aおよび底板部材44bは、対向する斜切された環状縁面41a,41bを有した同心上の開口45a,45bを含み、ボール部材46は斜切面41aおよび斜切面41bの間に着座される。回転可能なボール部材46は該部材を貫通する開口47を含み、該開口47は開口45aおよび45bとともに回動アセンブリ40の開口部42を画定する。これに関して、開口47は、外方支持部材24との間での自由相対運動を抑止しつつ、該部材を摺動可能に受容するような寸法とすることができる。担持アセンブリ20が開口部42内に配置されると、担持アセンブリ20の回動によってボール部材46が回転することが理解されるであろう。このような運動に関して、開口45aおよび45bは、担持アセンブリ20の所定移動範囲内での回動を許容するように、開口47よりも大きく形成されている。一例を挙げると、回動アセンブリ20は、担持アセンブリ20が開口45aおよび45bを通る中心軸の周りを該中心軸に対して上方30°まで回動できるように設けられ得る。
【0025】
天板部材44aおよび底板部材44bは、それぞれ天板部材44aおよび底板部材44bの開口50aおよび開口50bを通して挿入される頭付ピンによって相互に連結される。底板部材44b内に画定される開口50bは、頭付ピン48の下端部を保持圧嵌により受容するような寸法にされている。一方、天板部材44a内に画定される開口50aは、頭付ピン48に対してわずかに直線移動できるような寸法にされており(たとえば、約0.254mm(0.01”))、回動アセンブリ40に対して圧縮力を与えなくとも、ボール部材46が天板部材44aおよび底板部材44bに対して回転できるようにしている。部材46の回転可能性/錠止可能性を説明するために、図2Cおよび図2Dは、それぞれ天板部材44aが「持ち上げられた」位置および「圧縮された」位置にある場合の回動アセンブリ40を描いたものである。
【0026】
後者に関して、図1の実施形態に関して上述したように、ロック部材68は、天板部材44aに力をかけて図1に示される担持アセンブリ20を所望の直線および角度位置に錠止するように設置することができる。この目的のために、回転可能なボール部材46は、開口47からボール部材46の頂部を通って延び、4つのわずかに分離された上側部分を画定する4本のスリットを含んでいる。特に重要なこととして、スリット52は回転可能なボール部材46の一部に延設されている。結果として、図2Dに示されるように、天板部材44aの上面に力がかかると(たとえば、上述のロック部材68によって)、天板部材44aの斜切面41aが、ボール部材46の4つの上側部分を内方に付勢するように、ボール部材46の上端部の周囲に内方への力をかける働きをする。一例を挙げると、担持アセンブリ20を回動アセンブリ40の開口部42内に位置決めする場合、ボール部材46の上側部分の内方への移動は、担持アセンブリ20を回動アセンブリ40に対して所与の直線位置に錠止する働きをなしうる。さらに、天板部材44aに下向きの力がかかると、天板部材44aの斜切された環状面41aが、ボール部材46の当接した環状部分の周りに下向きの力を与える働きをし、これにより、ボール部材46を天板部材44aおよび底板部材44bに対して所与の回転位置に錠止することができる。上述のように、担持アセンブリ20を回動アセンブリ42の開口部42内に位置決めする場合、このようにボール部材46を所与の回転位置に錠止できることにより、担持アセンブリ20を所望の角度位置に配置することが可能になる。
【0027】
次に、図1に示した担持アセンブリ20の一実施形態を描いた図3A〜図3Cを参照する。図示された担持アセンブリ20は、外側の支持部材24と、内側の軸部材26と、担持アセンブリ22の第1端部22を画定する足形の伸張可能あるいは入れ子式軸部材28とを含んでいる。図示の実施形態において、内側の軸部材26は、入れ子式の支持部材28内の内ねじが切られた面に従動係合するようにねじ切りされている。このことに関して、内側の軸26の上端部には環状部分30が設けられ、上部および下部の環状部材32aおよび32bによって画定されるブッシング機構内において回転可能な位置決めを行えるような大きさにされている。より詳細には、上部環状部材32aおよび底部環状部材32bは、それらの環状の周縁に沿って内側軸部材26の環状部分30を捕捉するように相互連結され得る。これらの連結された環状部材32aおよび32bは外側管状部材24の上端部34内に固定することができる。このような構成では、内側軸部材26を外側支持部材24に対して同軸線上に固定するが、内側軸部材26を外側支持部材24に対して回転させることは、たとえば、付属工具による内側軸部材26の上端部に設けられた6角形の端部36との従動係合によって可能である。
【0028】
上記のように、入れ子式支持部材28には、内側軸部材26と係合させるための内側にねじ切りされた表面を設けてもよい。さらに、入れ子式支持部材28は、入れ子式支持部材28の長手方向に沿って延びる外側溝38を含んでいてもよい。この溝38は、外側支持部材24から突出する抑止部材39と協働するように設けられている。より詳細には、外側支持部材24が上述のように錠止位置にある場合、抑止部材39は、入れ子式支持部材28が内側軸24の従動回転によって外側支持部材24に対して回転することを抑止する。一例を挙げると、内側軸部材26が従動回転すると、入れ子式支持部材28と、足形の第1端部22に相互連結された埋め込み型アクチュエータとを、外側支持部材24および内側軸部材26に対して選択的に前進/後退させることができる。
【0029】
次に図1、図4および図5を参照しながら、上述の実施形態の一適応例における様々な部品の相互連結および使用についてまとめる。まず最初に、図5に示されるように、患者の頭蓋の乳状突起における開口部100は、穿孔または他の適切な処理によって画定することができる。開口部100は、該開口部内に取付装置62の円筒形の胴部64を挿入して受容できだけの十分な大きさを有していなければならない。この点に関して、図1は、取付アセンブリ60を示しており、この取付アセンブリ60については、取付装置62の頭蓋への装着は、取付装置62の上端部の放射状の取付脚部内に設けられた開口65に挿入される装着要素70を用いて行われる。代替の実施形態において、図4および図5に示されるように、円筒形の胴部64には、患者の頭蓋の開口部100内に画定される雌ねじを切った孔部と螺合するように外ねじ67を設けてもよい。
【0030】
取付装置62を患者の頭蓋に固定した後、位置決め実施形態10の様々な部品を、相互連結されたアクチュエータ80とともに取付装置62を介して位置決めすることができる。この点に関して、位置決めアセンブリ10の様々な部品の相互連結、ならびにアクチュエータ80への位置決めアセンブリ10の相互連結は、埋め込み手技と組み合わせて完了させてもよいし、あるいは、出荷前の製造/組立作業の一部として少なくとも部分的に完了させておいてもよい。いずれの場合も、取付装置62内に位置決めする前に、担持アセンブリ20の入れ子式支持部材28の足形の第1端部22を、アクチュエータ80の本体部84の上端部に設けられた溝部88内に摺動可能に配置することができるとともに、回動アセンブリ40を一体物として担持アセンブリ20の外側支持部材24の周りに配置することができる。後者に関して、上述のように、回動アセンブリ40の内部に画定される開口部42は、回動アセンブリ40が担持アセンブリ20から単純に抜けてしまうことを抑止するある程度の保持力を持たせつつ、両アセンブリを摺動可能に相対位置決めできるように、支持部材24の外面と摺動可能に摩擦嵌合するような大きさにすることができる。
【0031】
相互連結された位置決めアセンブリ10およびアクチュエータ80を取付装置62内に位置決めする際には、回動アセンブリ40の天板部材44aと底板部材44bのタブ状の延長部、ならびに足形の第1端部22およびアクチュエータ80の矩形部分、ならびにアクチュエータ80を含む信号伝達ケーブル86はすべて、取付装置62の胴部64の一方側に沿って設けられる相補開口部69に対して位置合わせすることができる。相互連結された位置決めアセンブリ10およびアクチュエータ80は、取付装置62の胴部64内を、回動アセンブリ40の底板部材44bが取付装置62の底端板66に支持可能に係合するまで、直線的に前進される。ここで錠止リング68を回動アセンブリ40に対してはまだ固締しないままで、胴部64の上端部内に配置することができる。この時点で位置決め装置10は、アクチュエータ80を選択的に位置決めすることができるようになる。
【0032】
特に、付属工具200を錠止リング68内の開口を介して挿入し、担持アセンブリ20の内側軸部材26の6角形の端部36と係合させる。付属工具200を用いて、補聴アクチュエータ80は、回動アセンブリ40の開口部42内の担持アセンブリ20の外側支持部材24の摺動可能な前進/後退によって、所望の深度位置に選択的に前進/後退させることができる。さらに、アクチュエータ80の角度位置は、付属工具200を用いて、担持アセンブリ20を回動させ、ボール部材46を回動アセンブリ40の天板部材44aおよび底板部材44bに対して回転させるように、選択的に調節することができる。
【0033】
この点に関して、アクチュエータ80が電気機械変換器(たとえば図1、図4および図5に示すような)から成る場合、アクチュエータ80のプローブチップ82を、該プローブチップが砧骨110上の所望の当接位置120に対向するような位置に回動させることができる。さらにこの点に関して、位置決め装置10を取付装置60を介して挿入する前に、砧骨110表面の所望の当接位置120に(たとえば、レーザガイド装置を用いて)小さい穴を画成してもよい。ただし、この当接位置は他の耳小骨上あるいは卵円窓上に画定することもできる。
【0034】
電気機械変換アクチュエータ80のプローブチップ82が、所望の当接位置120に向かって角度的に案内される場合、錠止リング68は、担持アセンブリ20の設定された角度位置および深度設定に錠止するために、取付装置60の胴部64内にさらに前進させることができる。次にプローブチップ82をさらに高い精度で位置決めするために、別の付属工具(図示せず)を、取付/錠止リング68の開口を介して挿入し、担持アセンブリ20の内側軸部材26の6角形の端部36と嵌合させて該端部を従動回転させることができる。この点に関して、内側軸部材26および入れ子式軸部材28上のねじは、6角形の端部36の所与の従動回転の量に対して、入れ子式軸部材28の第1端部22による対応する所望の直線移動が行われるように(たとえば、一回転するごとに1/4mm移動)、画定することができる。一例を挙げると、プローブチップ82が前進されて砧骨110に最初に当接した後、6角形の端部36を所定の回数だけ従動回転させることにより、所定の装入度を選択的に確立することができる。位置決めと耳小骨連鎖に対するアクチュエータ80の挿入を正確に実現できることにより、音響信号伝達が高められ全体としての補聴性能も向上することが理解できよう。アクチュエータ89の位置決めを行った後、所与の補聴システムの他の埋め込み部品の配置と部品同士の連結を完了してから、システム試験と外科的縫合を行う。
【0035】
上述の説明は、本発明の1つの実施形態の理解を容易にすることだけを目的としている。さらなる実施形態が当業者によって明らかであろう。たとえば、上記実施形態では、電気機械変換アクチュエータ80を採用してもよいとしたが、本発明の態様は他のタイプの埋め込み型補聴アクチュエータを位置決めするためにも採用される。そのような代替の用途、ならびに上述の実施形態の変更および修正は、請求項によって定義される本発明の範囲内で行われるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めするための本発明装置の一実施形態の分解組立図。
【図2A】 図1の実施形態で示した回動アセンブリの実施形態の分解組立図。
【図2B】 図1の実施形態で示した回動アセンブリの実施形態の組立側面図。
【図2C】 図1の実施形態で示した回動アセンブリの実施形態の(図2Bの断面線A−Aに沿った)2つの側面図。
【図2D】 図1の実施形態で示した回動アセンブリの実施形態の(図2Bの断面線A−Aに沿った)2つの側面図。
【図3A】 図1の実施形態で示した担持アセンブリの実施形態の分解組立図。
【図3B】 図1の実施形態で示した担持アセンブリの実施形態の組立側面図。
【図3C】 図1の実施形態で示した担持アセンブリの実施形態の(図3Bの断面線A−Aに沿った)2つの側面図。
【図3D】 図1の実施形態で示した担持アセンブリの実施形態の(図3Bの断面線A−Aに沿った)2つの側面図。
【図4】 使用のために相互に連結された図1に描かれた様々な部品の断面図。
【図5】 例示的埋め込み手順における図1に示される様々な部品の位置決めを示した図。

Claims (12)

  1. 埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めするための装置であって、
    埋め込み型補聴アクチュエータを当該担持要素の第1端部で担持するための担持要素と、前記担持要素の前記第1端部が第1次元および第2次元において回動可能であることと、
    前記装置を患者の頭蓋に取り付けるための取付要素と、
    前記担持要素を前記取付け要素に対して回動可能に支持するための、予め組立てられた単一回動要素と、前記単一回動要素は、
    相互に連結され、かつ対向する第1保持部材および第2保持部材と、
    前記第1保持部材と第2保持部材の間に捕捉されたピボット部材とを含むことと、
    前記回動要素は前記取付要素に対して一体物として選択的に固定可能であることとを備える装置。
  2. 前記ピボット部材は、前記担持要素を支持可能に受容するための開口部を含み、前記担持要素は、前記第3次元において連続した位置に沿って前記開口部内に摺動可能に位置決め可能である請求項1に記載の装置。
  3. 前記第1保持部材および第2保持部材は該部材間での相対移動が可能なように相互に連結されており、かつ前記第1保持部材と第2保持部材との間の相対移動を選択的に抑止するように、前記取付要素に相互連結可能なロック部材をさらに含み、該ロック部材によって前記担持要素と前記取付要素の間の選択された角度位置が維持され得る請求項1に記載の装置。
  4. 埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めするための装置であって、
    埋め込み型補聴アクチュエータを当該担持要素の第1端部において担持するための担持要素と、該担持要素は第1担持部材と、前記第1担持部材に支持可能に連結されるとともに、第1次元において前記第1担持部材に対して選択的に前進可能な第2担持部材とを備えることと、
    前記担持要素を回動可能に支持するための回動要素と、前記担持要素の第1の担持部材および第2の担持部材はともに前記第1次元において前記回動要素に対して直線的に前進可能であり、前記担持要素の前記第1端部は前記回動要素に対して第2次元および第3次元において回動可能であることと、
    前記回動要素を支持し、かつ前記装置を患者の頭蓋に取り付けるための取付要素とを備える装置。
  5. 前記第1担持部材および前記第2担持部材は、前記第1担持部材に対する前記第2担持部材の選択的かつ入れ子式の前進および後退を行うために、同軸線上に配置されて相互に連結される請求項4に記載の装置。
  6. 前記担持要素は、
    前記第1担持部材に回転可能に相互連結される第3の担持部材をさらに備え、該第3の担持部材は、前記回動要素と直接係合し、前記第2担持部材の回転運動を抑止するためのものである請求項4に記載の装置。
  7. 前記第2担持部材は線形スロットを備え、前記第3の担持部材は、前記第2担持部材の前記スロット内に配置される突出した抑止部材ピンを有する請求項6に記載の装置。
  8. 前記回動要素は、
    相互連結され、かつ対向する第1保持部材および第2保持部材と、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材の間で捕捉され、かつ前記第3の担持部材と摺動可能に直接係合するための開口部が貫設されたピボット部材とを含む請求項7に記載の装置。
  9. 埋め込み型補聴アクチュエータを患者の頭蓋内に支持可能に位置決めするための装置であって、該装置は、
    埋め込み型補聴アクチュエータを当該担持要素の第1端部において担持するための担持要素と、
    前記装置を患者の頭蓋に取り付けるための取付要素と、
    前記担持要素を回動可能に支持する単一回動要素とを備え、該回動要素は前記担持要素との一体物として、前記取付要素に選択的に固定可能であり、前記担持要素の前記第1端部は前記回動要素によって第1次元および第2次元において回動可能であり、前記回動要素は、
    複数のスリットを含むピボット部材と、該複数のスリットはピボット部材の一部分に延設され、該ピボット部材の複数の別個の上側部分を画定することと、
    前記取付要素に相互連結可能なロック部材と、該ロック部材は前記ピボット部材の前記上側部分を内方に移動させることにより、前記担持部材を前記回動要素内に抑止可能に係合させることとを備える装置。
  10. 記担持要素は、第3次元において前記回動要素に対して選択的に位置決めされる請求項9に記載の装置。
  11. 前記回動要素は、相互に連結された対向する第1保持部材と第2保持部材とを含み、ピボット部材が前記第1保持部材と第2保持部材との間に捕捉される請求項9に記載の装置。
  12. 前記担持要素は、
    第1担持部材と、
    前記第1担持部材に支持可能に相互連結され、かつ前記第3次元において前記第1担持部材に対して選択的に前進可能である第2担持部材とを備える請求項9に記載の装置。
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