JP3811404B2 - 誘電泳動フィルター装置及び誘電泳動による懸濁微粒子除去方法 - Google Patents

誘電泳動フィルター装置及び誘電泳動による懸濁微粒子除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電泳動によって液体から細菌や微生物のような微粒子を捕集する誘電泳動フィルター装置と、液体からこのような微粒子を捕集する誘電泳動による懸濁微粒子除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バイオ技術の発達には目を見張るものがあり、有用菌や酵母、その他の微生物、あるいは生体由来物質や遺伝子を利用して各種の物を生産したり、医療に役立てる等の場面が増加してきている。これにともなってこれら微粒子の分離、回収を行う技術、検査技術等が改めて注目されるようになってきている。例えば酒類や発酵食品等の食品・飲料製造の分野においては、有用菌や酵母を用いて発酵させ、場合によっては処理後にこの菌や酵母類、あるいは混入異物を酒類や食品等から除去し、回収することが行われる。またこれらの製造工程においては、品質管理のため製品中の微生物や混入異物の有無や数がチェックされる。同様、回収後の物質も再利用のため品質管理の観点から検査される。こうした場面においては、特定の微粒子を選択的に高精度で分離することが要求されるが、微細なため普通のフィルターで濾過するのは難しいし、頻繁に目詰まりが起こるのでは実用性の点で問題となる。
【0003】
同様に医療関係でも、医薬品や体液から確実に細菌、他の微生物、ウィルス等を除去したり、あるいは透析のように汚濁物質を除去することが求められる。これはまた、水や油等の液体中から懸濁した微細な汚濁物質を除去したり、分散した有用物質を回収するような分野でも同様であり、液から微粒子を高精度で分離する技術に大きな期待が寄せられている。
【0004】
水処理関係においても、衛生面から上下水道に含まれる微生物を除去することが必要であるが、最近、水質の悪化によって水道水の強い塩素臭が嫌われるとともに、原水に含まれる有機物とこの塩素とが反応して発癌性の高いトリハロメタン等が発生するため、薬品処理によらない新たな除菌技術、すなわち細菌等の除去が切望されている。
【0005】
このように、液中に懸濁している微粒子を液体から分離する技術は最近益々重要性を増してきている。しかし、従来の捕集技術はもっぱら濾過器を用いるものであった。従来の濾過器として、特開平10−257880号で提案された微生物を捕集するメンブラン濾過器について説明する。図10(a)は従来の微生物を捕集するメンブラン濾過器の構成図、図10(b)は(a)のメンブラン濾過器に接続する流量制御装置の構成図である。
【0006】
まず、特開平10−257880号で提案された従来のメンブラン濾過器は、図10(a)(b)に示すようにメンブランフィルター22が上側メンブランホルダー23と下側メンブランホルダー24の間に設置された構成となっている。このメンブランフィルター22は、細菌や酵母程度の大きさの粒子を濾しわけることのできる膜からなり、セルロースの酢酸−硝酸混合エステル、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニルなどのポリマー材質で作られている。
【0007】
この上側メンブランホルダー23は入口ノズル23aを有し、周囲に円筒部23bを有するカップ形状をなしている。また、開口部には、網目状のメンブランサポート23cが配設されている。下側メンブランホルダー24も出口ノズル24aを有するカップ形状をなし、周囲に円筒部24bを備えている。また、下側メンブランホルダー14の開口部にも網目状のメンブランサポート24cが配設されており、メンブランフィルター22は円形をなし、上側メンブランホルダー23のメンブランサポート23cと、下側メンブランホルダー24のメンブランサポート24cとの間に挟持され、その周囲はパッキンで密封されている。上側メンブランホルダー23の入口ノズル23aにはホース接続具27が、また、下側メンブランホルダー24にはホース接続具28が取り付けられて使用される。
【0008】
そして、メンブラン濾過器の出力側には、図10(b)に示すように、メンブランフィルター22を通過する液体の流量を制御して連続濾過時における単位時間当たりの出力流量をほぼ一定にし、フィルターにかかる液圧を所定以下にする流量制御装置29が設けられる。これにより、連続濾過時における単位時間当たりの出力流量をほぼ一定にするとともにメンブランフィルター22にかかる液圧を所定以下にすることができ、メンブランフィルター22がメンブラン濾過器の下側のフィルターサポート24cに密着することを防止することができ、メンブランフィルター22を通過する液体の安定した流速が得られ、また、総流量を増加することが可能となるものである。
【0009】
この特開平10−257880号で提案された従来のメンブラン濾過器は、流量制御装置29を設けることにより、メンブランフィルター22を通過する微生物によって急速に目詰まりするのを流量制御装置29によって抑えるものである。しかし、濾過比率が1時間目で0.75、2時間目で0.15、3時間目で0.07、4時間目で0.03と急速に低下する目詰まりの激しい特性の濾過器を、最初の1時間目で0.27、2時間目で0.28、3時間目で0.27、4時間目で0.20いった変化の少ない濾過比率にするだけもので、連続運転には効果が認められるが、捕集性能は従来のままで、十分とはいえないものであった。すなわち、メンブラン濾過器は、基本的に微生物等の微細粒子をフィルターの小さな目で機械的にトラップするもので、急速な目詰まりは避けられないし、ましてや微粒子を選択的にトラップすることは無理なものである。そして、捕集した微粒子はフィルターに強く捕捉されており、これを分離して回収するのは難しく、必要なものだけを選択的に回収すること等はほとんど不可能である。
【0010】
以上説明したように、従来の微粒子の捕集は、微粒子をフィルターの小さな目で機械的にトラップするもので、目詰まりは避けられず、選択的に捕集することも回収することもできないため、誘電泳動を利用して捕集する技術が提案された(G.H.Markx,et al., Biotechnology and Bioengineering,Vol.45,pp.337-343(1995))。
【0011】
この誘電泳動によって懸濁微粒子を分離する技術の原理について説明する。懸濁微粒子に作用する誘電泳動力FDEPは複素数表現すると、理論的に以下の(数1)で与えられる。
【0012】
【数1】
Figure 0003811404
ここで、複素誘電率KはClausius-Mossotti関数と呼ばれ(数2)で表され、
【0013】
【数2】
Figure 0003811404
また、懸濁液の複素誘電率ε ならびに懸濁微粒子の複素誘電率ε はそれぞれ(数3)、(数4)で表され、
【0014】
【数3】
Figure 0003811404
【0015】
【数4】
Figure 0003811404
ε :懸濁液の複素誘電率
ε :懸濁微粒子の複素誘電率
ε :懸濁液の誘電率
ε :懸濁粒子の誘電率
σ 懸濁液の導電率
σ 懸濁粒子の導電率
ω :電界の角周波数
また、
a :球形近似したときの懸濁微粒子の半径
Re[K] :懸濁微粒子と懸濁液の複素誘電率に依存するパラメータ
E :電界強度
である。この(数1)(数2)(数3)(数4)から明らかなように、懸濁液と、懸濁微粒子の大きさが一定であれば、誘電泳動力FDEPはパラメータRe[K]に比例することがわかる。
【0016】
図11は懸濁微粒子の比誘電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図である。図11において、懸濁微粒子の比誘電率をパラメータとして、誘電泳動力を誘電泳動に用いる電界の周波数fの関数として表している。図11によると、おおよそ周波数100kHzを境界にそれ以下の周波数では正の誘電泳動力が働き、それ以上の周波数では負の誘電泳動力が働くのがわかる。懸濁微粒子の比誘電率と周波数fによっては負の誘電泳動力が働き、誘電泳動力FDEPが懸濁微粒子に作用しても、高電界方向には捕集できない場合があることが分かる。併せて液体の粘性力も作用する。
【0017】
従って、懸濁微粒子(誘電率ε)の種類に応じて周波数fを選択すると、正の誘電泳動力を作用させて捕集したり、負の誘電泳動力を作用させて排除することも可能である。この負の誘電泳動力は、低電界方向に安定な点があれば捕集することが可能である。(数1)から明らかなように、懸濁粒子は正の誘電泳動では電界が強度が最大となる位置、負の誘電泳動では電界が強度が最小となる位置に向かって運動され、最終的にはその位置で捕集される。
【0018】
ところで、この原理を応用した技術として提案された誘電泳動フィルター装置というのは、ガラス基板の上にフォトリソグラフィーで作った櫛歯状電極の表面に沿って処理液体を流し、電極薄膜のエッジ及び櫛歯状電極ギャップ間に形成される局所的な不平等電界を利用して誘電泳動力を発生させるものである。しかし、このような薄膜電極では誘電泳動力が作用する領域が電極近傍に限られるため、フィルターとして大量の液体を連続的に処理するには適していないため、実用性がなく実験室段階の提案であった。
【0019】
次いで、電極ギャップ間のガラス基板をエッチングしてスリットを作成し、このスリットを通して処理液体を流し、負の誘電泳動を利用して選択的に懸濁微生物を分離する誘電泳動フィルター装置が提案された(A.Docoslis,et al.,Biotechnology and Bioengineering,Vol.54,pp.239-250(1997))。この誘電泳動フィルター装置は負の誘電泳動力を利用するため目詰まりはしにくいが、誘電泳動力が弱く、また大量の液体を処理できず実用性が乏しいものであった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来のメンブラン濾過器は、メンブランフィルターを使用することによって細菌や酵母程度の大きさの粒子を濾しわけることができ、連続濾過時における単位時間当たりの出力流量をほぼ一定にすることができるものであるが、目詰まりが生じるのは避けられないし、微細粒子を選択的にトラップするのは原理的に無理なものであった。そして捕集された微粒子はフィルターに強く捕捉されており、これを分離して回収するのは難しく、選択的な回収もほとんど不可能であった。
【0021】
そして、この問題を解決しようとして提案された従来の誘電泳動フィルター装置は、いわば試験的な装置にすぎず、実用性のないものであった。薄膜電極を用いるのでは、誘電泳動フィルター装置は誘電泳動力が作用する領域が電極近傍に限られるため、大量の液体を連続的に処理することはできないものであった。電極ギャップ間のガラス基板にスリットを作成し、このスリットを通して処理液体を流す誘電泳動フィルター装置は、目詰まりはしにくいが、誘電泳動力が弱く実用性の乏しいものであった。
【0022】
そこで、本発明は、懸濁微粒子を高分離効率で選択的に分離でき、目詰まりを起こし難く、回収が容易な実用性の高い誘電泳動フィルター装置を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、懸濁微粒子を高分離効率で選択的に分離でき、目詰まりを起こし難く、回収が容易な実用性の高い誘電泳動による懸濁微粒子除去方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために本発明の誘電泳動フィルター装置は、フィルター室内の電極間に充填され該電極間に形成される電界を局所的に集中または低下させるための複数の誘電体粒子と、懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加する電源部を備え、誘電体粒子が、周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させられると共に、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部が形成され、第 1 電界特異部には懸濁微粒子に正の誘電泳動力が作用させられ、第2の電界特異部においては懸濁微粒子に負の誘電泳動力が作用させられて、第1または第2の電界特異部に誘電泳動で懸濁微粒子が集められることを特徴とする。
【0025】
これにより、懸濁微粒子を高分離効率で選択的に分離でき、目詰まりを起こし難く、回収が容易で高い実用性を確保できる。
【0026】
また、本発明の誘電泳動による懸濁微粒子除去方法は、フィルター室内の電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、対象とする懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加し、第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって懸濁微粒子を集めて捕集する誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であって、誘電体粒子の数に比例して第1、第2の電解特異部の数を増加させると共に、誘電体粒子の平均径を小さくして誘電泳動力を増して捕集することを特徴とする。
【0027】
これにより、懸濁微粒子を高分離効率で選択的に分離でき、目詰まりを起こし難く、回収が容易で実用性を確保できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、懸濁液を収容して懸濁微粒子を捕集することができるフィルター室と、フィルター室内に設けられた対向する1対の電極と、フィルター室内の電極間に充填され該電極間に形成される電界を局所的に集中または低下させるための複数の誘電体粒子と、懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加する電源部を備え、誘電体粒子が、周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させられると共に、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部が形成され、第 1 電界特異部には懸濁微粒子に正の誘電泳動力が作用させられ、第2の電界特異部においては懸濁微粒子に負の誘電泳動力が作用させられて、第1または第2の電界特異部に誘電泳動で懸濁微粒子が集められることを特徴とする誘電泳動フィルター装置であるから、誘電体粒子の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置において隣接する別の誘電体粒子間に第1、第2の電界特異部が多数形成され、電界最大位置付近の 1 電界特異部のとき正の誘電泳動力、または電界最小位置付近の第2の電界特異部のとき負の誘電泳動力を作用させて懸濁微粒子を高効率で捕集でき、目詰まりを起こし難く、電気的に捕集するため回収が容易で、実用性の高いフィルター装置を提供できる。なお、本発明の懸濁微粒子は、細菌や酵母、その他の微生物、細胞等の生体由来物質、ガラス,高分子,金属の微粒子等であって、固体に限らず液体も含むものである。
【0029】
本発明の請求項2に記載の発明は、捕集対象とする懸濁微粒子に対しては誘電泳動力を作用させるとともに、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動力を作用させないような周波数の交流電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の誘電泳動フィルター装置であるから、捕集対象としない異物微粒子には作用せず、捕集対象とする懸濁微粒子だけに選択的に誘電泳動力が作用して、選択的な捕集が可能になる。
【0030】
本発明の請求項3に記載の発明は、懸濁微粒子を誘電泳動させるための設定入力ができる入力部と、電源部を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の誘電泳動フィルター装置であるから、入力部から懸濁微粒子を誘電泳動するための設定をすることができ、実用性が高い誘電泳動フィルター装置とすることができる。
【0031】
本発明の請求項4に記載の発明は、懸濁液を収容して懸濁微粒子を捕集することができるフィルター室と、フィルター室内に設けられた対向する1対の電極と、フィルター室内の電極間に充填され該電極間に形成される電界を局所的に集中または低下させるための100μm以下の平均径を有する複数の誘電体粒子と、懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加する電源部を備えた誘電泳動フィルター装置であって、誘電体粒子が周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させられると共に、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部が形成され、第1、第2の電界特異部が誘電体粒子の数に比例して形成され、平均径が100μm以下のため電界特異部に大きな誘電泳動力で懸濁微粒子が集められることを特徴とする誘電泳動フィルター装置であるから、平均径が100μm以下のため多くの電界特異部を形成して懸濁微粒子を大きな誘電泳動力で捕捉でき、機械的に捕捉するのではないため、圧力損失が小さく、効率的な懸濁微粒子の分離を行うことができる。
【0032】
本発明の請求項5に記載の発明は、誘電体粒子が球形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘電泳動フィルター装置であるから、電界特異部の数を多くするとともに、圧力損失が小さく、対称であるため扱うのがきわめて容易であり、製造も容易である。
【0033】
本発明の請求項6に記載の発明は、懸濁液と懸濁微粒子に対して該懸濁微粒子を誘電泳動させるための情報を格納した捕集データテーブルをメモリ部内に備え、
入力部から懸濁液と懸濁微粒子を入力すると、制御部が捕集データテーブルから情報を読み出して制御することを特徴とする請求項記載の誘電泳動フィルター装置であるから、懸濁液と懸濁微粒子を入力すれば、捕集データテーブルから誘電泳動させるための情報を読み出し、自動的に懸濁微粒子を分離することができる。
【0034】
本発明の請求項7に記載の発明は、懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、フィルター室内の電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、対象とする懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加し、第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって懸濁微粒子を集めて捕集する誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であって、誘電体粒子の数に比例して第1、第2の電解特異部の数を増加させると共に、誘電体粒子の平均径を小さくして誘電泳動力を増して捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であるから、多くの電界特異部を形成して懸濁微粒子を大きな誘電泳動力によって高効率に捕捉でき、機械的に捕捉するのではないため、圧力損失が小さく、効率的な懸濁微粒子の分離を行うことができる。
【0035】
本発明の請求項8に記載の発明は、懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、フィルター室内の電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、対象とする懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を電極間に印加し、 1 電界特異部には正の誘電泳動力、第2の電界特異部には負の誘電泳動力を作用させ、第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって懸濁微粒子を集めて捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であるから、誘電体粒子の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置において隣接する別の誘電体粒子間に第1、第2の電界特異部が多数形成され、電界最大位置付近の第1の電界特異部のとき正の誘電泳動力、または電界最小位置付近の第2の電界特異部のとき負の誘電泳動力を作用させて懸濁微粒子を高効率で捕集でき、目詰まりを起こし難く、電気的に捕集するため回収が容易で、実用性の高い分離を行うことができる。
【0036】
本発明の請求項9に記載の発明は、懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、フィルター室内の電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、捕集対象とする懸濁微粒子に対しては誘電泳動力を作用させるとともに、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動力を作用させない周波数の交流電圧を印加し、 1 電界特異部には正の誘電泳動力、第2の電界特異部には負の誘電泳動力を作用させ、第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって捕集対象とする懸濁微粒子を選択的に集めて捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であるから、捕集対象としない異物微粒子には作用せず、捕集対象とする懸濁微粒子だけを選択的に捕集することができる。
【0037】
図1において、1は懸濁したさまざまの微粒子、例えば細菌やその他の微生物、細胞等の生体由来物質、ガラス,高分子,金属微粒子、あるいは油中の微細な水滴等を懸濁液から分離する誘電泳動フィルター部、1A,1Bは誘電泳動フィルター部1内に設けられ誘電泳動現象を生成するための1対の電極、1Cは誘電泳動フィルター部1内の電界が局所的に集中または低下する電界特異部を作るための誘電体粒子である。具体的な構成については後述する。2は誘電泳動フィルター部1で処理する懸濁液を収容する懸濁液容器、3は誘電泳動フィルター部1で懸濁微粒子が捕集された後の処理液を収容する処理液容器、4は誘電泳動フィルター部1で捕集された懸濁微粒子を回収するための回収容器、5は誘電泳動フィルター部1に適当な大きさで誘電泳動力を誘起可能な周波数の交流電圧を印加する電源部である。なお、ここで交流というのは一般的な正弦波交流だけでなく、正負で交番に変化する電圧全般のことである。
【0038】
6は懸濁液容器2内の懸濁液を誘電泳動フィルター部1に送り込むポンプ、7は誘電泳動フィルター部1で処理した液体の流量を測定するための流量検出部、8Aは誘電泳動フィルター部1の流入する懸濁液の圧力を検出する圧力検出部、8Bは誘電泳動フィルター部1で処理後の処理液の圧力を検出する圧力検出部である。9は、捕集、分離の終了した時点に処理液を処理液容器3に送り、その時点以降に誘電泳動フィルター部1内で捕集された懸濁微粒子を回収容器4に回収するために流路の切り換えを行う三方切換弁である。
【0039】
10は誘電泳動フィルター装置全体の制御を行う制御部である。制御部10は電源部5を制御して電極1A,1Bに印加する交流電圧の大きさと周波数を変化させることができ、流量検出部7、圧力検出部8A,8Bで検出した検出信号によってポンプ6の回転数を制御するものである。11は、懸濁液の種類と捕集する懸濁微粒子の種類で電界強度や周波数を変化させるために、懸濁液の種類と懸濁微粒子の種類の設定が行える入力部であり、12はこの懸濁液の種類と懸濁微粒子の種類に対応した印加電圧の大きさや誘電泳動力を誘起可能な周波数をテーブルにして格納したメモリ部である。12aはこの捕集データテーブルである。なお、入力部11から印加電圧と周波数を直接入力して電源部5を制御することもできる。13は時間的経過とともに流量変化,圧力変化,濃度を表示する表示部、14は濾過開始からの時間管理を行うための時計手段である。そして、制御部10は、中央処理装置(CPU)にメモリ部12から制御プログラムとデータを読み込んで実行する機能実現手段である。
【0040】
15は懸濁液を誘電泳動フィルター部1に導く流入管、16は処理液か分離した懸濁微粒子を回収するための流出管、16Aは処理液を回収するための処理液回収管、16Bは懸濁微粒子を回収するための微粒子回収管である。懸濁微粒子を回収するときにポンプ6を用いると、捕集した懸濁微粒子に懸濁液が加わって捕集対象としない異物微粒子が混入することがあるから、ポンプ6を使わずヘッド差で回収するのがよい。17は血球計算盤等の微粒子数カウンタである。但し、微粒子数カウンタ17は必ずしも設置する必要なない。なお、微粒子数カウンタ17として、誘電泳動を利用して懸濁微粒子の濃度を上げ、その上昇勾配を検出することで懸濁粒子濃度を算出する誘電泳動利用のカウンタを採用することもできる。この場合誘電泳動フィルター装置の電源部5や制御部10、時計手段14といったほとんどの部品をカウンタ用に共用でき、表示部13に濃度表示させることができる。
【0041】
図2(a)(b)において、1A,1Bは1対の電極、1Cは誘電体粒子である。電極1A,1Bは平板であり、実施の形態1においては正方形をしているとともに、中央にそれぞれ流入管15と流出管16に接続するための開口が設けられている。電極1A,1Bとしてはステンレス鋼鈑や銅板,アルミニウム板等の材質の板材が適当である。誘電体粒子1Cはガラスやプラスチック、セラミック等の誘電体からなる球状のビーズ、多面体形状の粒子、ポリマー繊維の不織布等である。中でも球形の誘電体粒子1Cが、電界特異部の数を多くするこことができ、圧力損失も小さく、対称であるため扱うのがきわめて容易で、製造も容易であって適当である。誘電体粒子1Cは後述するように小さければ小さいほど誘電泳動力が大きくなるため、100μm以下、できれば10μm以下の平均径の粒子を収容することが望ましい。このようにすることにより、フィルター室1F(後述する)内に粒径100μmの球形ビーズが数百万個といった膨大な数を充填できる。なお、誘電体粒子1Cはすべて同一形状のものが適当であるが、異形の誘電体粒子1Cを混在させることもできる。
【0042】
1Dは、電極1A,1Bを所定間隔で設置し、内部に誘電体粒子1Cを収容する誘電泳動フィルター部1のフィルター室1Fを構成するスペーサ、1Eはフィルター室1Fの外部を覆うフィルターケーシングである。1Fは、誘電体粒子1Cの周囲の電界強度が最大または最小となる側面位置(本発明の第 1 の側面位置、第2の側面位置)付近に、これと接触または接近しておかれた誘電体粒子1Cとの間で電界特異部を形成し、この電界特異部に誘電泳動させるフィルター室である。電界最大位置付近の電界特異部(本発明の第 1 の電界特異部)のとき正の誘電泳動力、または電界最小位置付近の電界特異部(本発明の第2の電界特異部)のとき負の誘電泳動力が作用する。図2(b)に示すように、実施の形態1の誘電泳動フィルター部1は正方形の矩形断面であり、スペーサ1D、フィルターケーシング1Eも正方形の筒体形状であるが、電極1A,1Bと誘電体1Cを収容するために分解可能に構成される。スペーサ1Dは、シリコンゴム、PET等で構成するのがフィルター室を密閉空間にするため適当である。洗浄用の配管を設けるのもよい。スペーサ1Dはフィルター室1Fの外周部だけでなく、その内部に配置することも可能で、これによりフィルター室1Fの内部における懸濁液の流れを整える機能を持たせることもできる。
【0043】
次に、誘電泳動フィルター部1内に誘電体粒子1Cを置いたときの誘電体粒子1C表面の電界分布がどのように作用するかを説明する。図3(a)は電極間に1個の誘電体粒子を置いたときの粒子表面の電界分布図、図3(b)は電極間に1個の誘電体粒子を置いたときの粒子の半径と誘電泳動力の関係図、図4は電極間に複数の誘電体粒子を置いたときの誘電泳動力分布図、図5は電極間に複数の誘電体粒子を置いたときの誘電体粒子表面の微粒子捕捉写真図である。図3(a)の電界分布は、誘電泳動フィルター1を2次元として算出した理論分布で、200μm離して置かれた電極に、半径50μmの誘電体粒子を1個配置し、+10Vの電圧を加えたものである。交流電圧を加えたときは、時間的に交互に正負逆になった電圧分布が誘電体粒子表面に現れる。
【0044】
図3(a)に示すように、電界方向で流入側を起点に誘電体粒子1Cの90°,270°の側面位置の電界強度が最大、0°,180°の側面位置の電界強度が最小となっており、外部電界方向と直角方向が最大、平行方向が最小となる不平等電界が形成されることが分かる。また、図3(b)は10Vの交流電圧を加えたとき、誘電体粒子1Cの半径が小さくなるほど誘電泳動力が指数関数的に増加することを示している。
【0045】
図4には、複数の誘電体粒子1Cを接触させながら充填した場合の誘電泳動力の分布状態が示されているが、上述した1個の場合の理論分布通りに、電界強度が最大となる側面位置で最大の誘電泳動力が形成されている。また、これは図5に示した写真の微粒子(イースト菌)の捕捉状況をみても、平行な電極板と平行に、すなわち外部電方向と直角方向に微粒子のパールチェーンが形成され、誘電体粒子1Cの側面位置付近のみに捕捉された微粒子が確認される。
【0046】
以上の説明から分かるように、本実施の形態1の誘電泳動フィルター及び誘電泳動フィルター装置は、1対の電極1A,1B間に微小な100μオーダー以下の多数の誘電体粒子を充填し、交流電圧を印加することにより、液中に懸濁している細菌や微生物、生体由来の物質等といったμオーダーもしくはそれ以下の微粒子を多数の誘電体粒子表面で捕捉することができる。なお、このとき交流電圧の印加により誘電体粒子表面の電界が周期的に形成されるため、最大電界強度付近の電界特異部の方向に向かう正の誘電泳動力だけでなく、最小電界強度付近の電界特異部に向かう負の誘電泳動力(図11参照)も利用することが可能となる。
【0047】
そして、本実施の形態1の誘電泳動フィルター装置の捕集能力はフィルター室内の電界特異部の数に依存し、電界特異部は隣接する誘電体粒子が電極1A,1Bに平行な方向で接触した点であるため、充填する誘電体粒子の径が小さい方が、図4に示すように電界特異部の数が多くなり、(数1)からも分かるように誘電泳動力も大きくなる。従来の誘電泳動の電界特異部は、櫛歯状の薄膜電極で形成したり、ガラス基板にスリットを開けて形成するもので、基本的に櫛歯の数やスリットの数に依存し、数を増すにも限度があった。これは平面上に電界特異部を分布させるためである。また、電界特異部の位置も電極に依存して固定的である。これに対し、本発明の誘電体粒子の充填による電界特異部は径を小さくすることで、粒子数に比例して電界特異部の数を増加させることができる。また、立体的に電界特異部を分布させることができ、きわめて容易に数百万個以上の電界特異部を形成できる。粒子径を変えるだけで電界特異部の数も位置も自由に変えることができる。
【0048】
ところで、誘電泳動フィルター部1はどのような場合も無制限に懸濁微粒子を捕捉できるものではなく、捕集できない場合も発生する。すなわち、捕集するとき、誘電体粒子1Cの周囲には懸濁液が流されるため、懸濁微粒子には液の粘性力による摩擦力が作用し、せっかく誘電泳動力によって捕捉した懸濁微粒子が再び懸濁液中に剥落することも起こる。従って、懸濁微粒子の大きさや、懸濁液の物性によると懸濁微粒子の捕集が難しい場合には、誘電体粒子1Cの径や誘電特性、印加する電圧を適宜選択し、あるいは懸濁液の流速を下げることにより、誘電泳動力を大きくするか、流体抵抗を下げる必要がある。
【0049】
また、本実施の形態1の誘電泳動フィルター装置によれば、フィルター室1Fで分離した懸濁微粒子を回収容器4に回収するとき、回収がきわめて容易である。従来のメンブランフィルターでは機械的に懸濁微粒子をトラップするため、回収するとき目詰まりのため回収率が悪いし、作業が難しい。しかし、誘電泳動フィルター装置は、誘電泳動力で捕集した後、例えば圧力損失が所定量増した時点、流量が所定量低下した時点、あるいは経験的に得られた所定時間が経過した時点に、電極1A,1Bに印加している電圧を低下すればよい。これによってそれまで電気的に捕集していた懸濁微粒子は一挙に誘電泳動力を失い、誘電泳動フィルター部1から放出され、回収容器4に回収される。このように、誘電泳動フィルター装置は分離した懸濁微粒子を回収するのがきわめて容易に行える。
【0050】
以上説明した実施の形態1の誘電泳動フィルター装置によって、イースト菌懸濁液からイースト菌を捕集した場合の測定結果について説明する。図6は本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置でイースト菌を捕集したときの捕集特性図である。
【0051】
図2(a)(b)に示すように、測定に使用した誘電泳動フィルターは、電極1A,1Bが縦横10cm×10cmで厚さが2mmのステンレス鋼鈑であり、スペーサ1Dは、肉厚300μm,高さ300μmの矩形形のシリコンゴムで形成されている。電極1A,1B間のギャップは300μmで、フィルター室内には誘電体粒子として平均径100μmの球形ガラスビーズが約100万個充填されている。懸濁液に含まれるイースト菌の大きさは10μmである。また懸濁粒子濃度は10個/mLであり、流量は50mL/hで誘電泳動フィルター部1を通過させた。菌濃度の経時変化は微粒子数カウンタ17の血球計算盤で測定した。電極1A,1B間には、実効値100V、周波数100kHzの交流電圧を印加した。
【0052】
図6において、破線は比較のためのデータであって、電圧を印加しないで懸濁粒子濃度を測定したデータである。実線は上記交流電圧を加えたときの懸濁粒子濃度の経時変化を示している。これをみると、電圧をかけないときには常時ほぼ懸濁粒子濃度10個/mLに保たれていることが分かる。そして、電圧を加えた場合には、懸濁粒子濃度10個/mLで測定開始したものが、印加開始から10分間で急速に懸濁粒子濃度が低下し、初期濃度の3%である懸濁粒子濃度3×10個/mLになっている。その後ほぼ安定して初期濃度の5%程度である5×10個/mL前後で推移している。従って印加開始から電圧を加えた30分間の領域▲1▼が、誘電泳動フィルター装置の捕集機能を示す領域である。
【0053】
電圧印加から30分後の時点で印加電圧を0Vにすると、一挙に懸濁粒子濃度9×10個/mLに跳ね上り、40分後には3×10個/mL、45分後にも2×10個/mLで比較値10個/mLを越えている。これは、30分後の時点にイースト菌回収のため印加電圧を0Vにしたとき、フィルター室内に捕集されていたイースト菌が一挙に放出されたことを示している。この領域▲2▼が誘電泳動フィルター装置の回収機能を示す領域である。従って回収のためには電圧印加を停止すればよく、20分程度できわめて容易に回収が可能になることが分かる。
【0054】
なお、電圧印加から10分間の捕集機能が低下している理由は、誘電泳動されて間がなく、電界特異部の領域を広げる作用も有すパールチェーンも十分形成されていないためであって、懸濁粒子濃度10個/mLのオーダーであるが、約10分で平衡状態に入る。この平衡状態で誘電泳動フィルター装置は約95%の除去効率を示すことになる。そして、回収に際しては、これらパールチェーンが一挙に崩れて放出されるために数分で大量の懸濁微粒子が回収されていることが分かる。
【0055】
次いで、本実施の形態1の誘電泳動フィルター装置の選別捕集機能について説明する。懸濁液の誘電率、導電率、懸濁微粒子の誘電率、印加電圧の大きさ、周波数で誘電泳動力が変わるから、懸濁液と捕集対象とする懸濁微粒子、捕集対象としない異物微粒子ごとに印加電圧、周波数の最適値を実験により入手して捕集データテーブル12aを作成しておくのがよい。メモリ部12にこの捕集データテーブル12aを格納しておけば、懸濁液名と捕集対象とする懸濁微粒子、捕集対象としない異物微粒子名を入力部11から入力することで、簡単に選択捕集することが可能になる。
【0056】
そこで、具体的に選択捕集した事例として、イースト菌懸濁液からイースト菌の生菌と死菌とを選択捕集した測定結果について説明する。図7は本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置のイースト菌の生菌捕集の周波数依存性を示す図、図8は本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置のイースト菌の死菌捕集の周波数依存性を示す図、図9は本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置がイースト菌の生菌・死菌混合懸濁液から生菌を選択的に除去する除去特性図である。
【0057】
微生物の誘電特性は、その活性のために通常生菌と死菌で誘電泳動力に差を生じる。例えば、大腸菌の生菌は周波数1MHzで誘電泳動できるが、死菌には誘電泳動は作用しない。測定を行うイースト菌の場合も同様である。すなわち、図7に示すように、実効値100Vで、周波数100kHzと1MHzの電圧を電極間に印加したとき、生菌は同じように捕集され、印加から10分で懸濁粒子濃度(3〜4)×10個/mLに低下し、この状態で平衡状態となっている。
【0058】
これに対し、図8においては、死菌に対して実効値100V、周波数100kHzの電圧を電極間に印加したとき、死菌は生菌と同様に捕集され、印加から10分で懸濁粒子濃度4×10個/mLに低下し、この状態でほぼ平衡状態となっている。しかし、実効値100V、周波数1MHzの電圧を電極間に印加したときは、ほとんど誘電泳動力は誘起されておらず、捕集されない。
【0059】
図9においては、実効値100V、周波数100kHzの電圧を印加した場合、イースト菌の生菌・死菌混合懸濁液から生菌と死菌がともに誘電泳動力で除去されていることが分かる。実効値100V、周波数1MHzの電圧を電極間に印加したときは、除去効率50%を意味する懸濁粒子濃度5×10個/mLに低下して平衡状態となっている。これは上記した図8,図9の結果からも分かるように、生菌だけが選択的に捕集され、死菌は捕集されないため、50%程度の除去効率となったことが分かる。このように、実施の形態1の誘電泳動フィルター装置は、周波数と電圧を選ぶことにより、捕集対象とする懸濁微粒子を捕集対象としない異物微粒子と分別して懸濁液から選択的に捕集できることが分かる。
【0060】
続いて、本実施の形態1の誘電泳動フィルター装置を運転したときの動作について説明する。図1に示す誘電泳動フィルター装置において、電源スイッチ(図示しない)を入れ、入力部11から懸濁液と捕集対象とする懸濁微粒子、捕集対象としない異物微粒子を指定し、処理量を入力する。制御部10はメモリ部12の捕集データテーブル12aから印加電圧、印加する周波数を読み出し、処理量から捕集と回収のサイクルのスケジューリングを行い、処理開始スイッチ(図示いない)が押されるまで待機する。なお、捕集データテーブル12aに懸濁液,捕集対象とする懸濁微粒子、捕集対象としない異物微粒子に対応した情報が格納されていないような場合には、入力部11から印加電圧と周波数を直接入力して電源部5を制御する。
【0061】
処理開始スイッチが押されると、制御部10は三方切換弁9によって流出管16を処理液回収管16Aに接続し、ポンプ6の運転を開始する。処理を開始した時間を時計手段14にセットし、その後の捕集と回収は制御部10のスケジューリングに基づいて時計手段14により時間管理される。また、制御部10は電源部5を制御し、捕集データテーブル12aから読み出した印加電圧と周波数、もしくは直接入力部11から入力された印加電圧と周波数の交流電圧を電極1A,1Bに印加する。流量検出部7、圧力検出部8A,8B、微粒子数カウンタ17も検出を開始し、検出値はA/D変換して制御部10に渡される。
【0062】
交流電圧が印加された電極1A,1Bは、フィルター室内に充填された誘電体粒子のために不平等電界を生成し、百万個オーダーの電界特異部を形成する。時間の経過とともに誘電泳動で電界特異部に対象の懸濁微粒子が捕捉され、多数がパールチェーンを形成し、10分程度で安定して捕集される状態になる。流量検出部7、圧力検出部8A,8B、微粒子数カウンタ17の検出結果に基づき、あるいは時計手段14によって設定時間が経過したら、制御部10は電極1A,1Bに電圧を印加するのをいったん停止し、捕集した懸濁微粒子を回収容器4に回収するため、三方切換弁9を微粒子回収管16B側に切り換える。
【0063】
ポンプ6が停止され、捕集した懸濁微粒子はヘッド差で回収される。濃縮された懸濁微粒子は流出管16から微粒子回収管16Bを経由して回収容器4に回収される。時計手段14によって回収用の設定時間の経過がカウントされたら、制御部10は、捕集と回収のサイクルのスケジューリングに従い、次のサイクルの捕集処理を行う必要がある場合には、三方切換弁9を切り換え、ポンプ6の運転を開始し、電極1A,1Bに所定の電圧と周波数の交流電圧を印加する。その後捕集と回収のサイクルを繰り返し、懸濁液の予定の処理量がすべて処理されたとき処理を終了する。
【0064】
ところで、周波数設定であるが、懸濁液の中に対象とする1種類の懸濁微粒子が含まれる場合や、対象とする2種類以上の懸濁微粒子が含まれておりこの全部の懸濁微粒子を回収する場合には、1種類の懸濁微粒子もしくは2種類以上の懸濁微粒子全部を誘電泳動可能な周波数を選択して交流電圧を印加すれば回収が可能になる。また懸濁液が、捕集対象とする1種類以上の懸濁微粒子と捕集対象としない異物微粒子を含んでおり、この1種類以上の捕集対象懸濁微粒子だけに選択的に回収したい場合は、この1種類以上の捕集対象懸濁微粒子だけ誘電泳動力を与え、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動力を与えない周波数を選んで印加すれば選択的回収が可能になる。
【0065】
以上説明したように、実施の形態1の誘電泳動フィルターは十分な誘電泳動力が作用するのであれば、充填した誘電体粒子間の隙間よりも小さい細菌や微生物、生体由来の物質、油中の微小水滴等であっても、捕集することができ、従来のフィルターのように機械的に濾し取るものではないため、圧力損失が小さなフィルターとすることができる。また、捕集対象物と懸濁液の誘電特性の違いから、印加する電圧の周波数等を選択することで、対象の懸濁微粒子だけを選択的に捕集し回収することができる。また、捕集後回収するには、印加している電圧を低下させれば簡単に回収することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の誘電泳動フィルター装置は、誘電体粒子の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置において隣接する別の誘電体粒子間に第1、第2の電界特異部が多数形成され、電界最大位置付近の 1 電界特異部のとき正の誘電泳動力、または電界最小位置付近の第2の電界特異部のとき負の誘電泳動力を作用させて懸濁微粒子を高効率で捕集でき、目詰まりを起こし難く、電気的に捕集するため回収が容易で、実用性の高いフィルター装置を提供できる。周波数により捕集対象としない異物微粒子には作用せず、捕集対象とする懸濁微粒子だけに選択的に誘電泳動力が作用して、選択的な捕集が可能になる。
【0067】
また、入力部と制御部を備えることにより、入力部から懸濁微粒子を誘電泳動するための設定をすることができ、実用性が高い誘電泳動フィルター装置とすることができる。そして、誘電泳動力で捕捉し、機械的に捕捉するのではないため、圧力損失が小さく、効率的な懸濁微粒子の分離を行うことができる。
【0068】
誘電体粒子の平均径が100μm以下のため、多くの電界特異部を形成して懸濁微粒子を大きな誘電泳動力で捕捉でき、効率的に懸濁微粒子の分離を行うことができる。誘電体粒子が球形の場合には、電界特異部の数を多くするとともに、圧力損失が小さく、対称であるため扱うのがきわめて容易であり、製造も容易である。捕集データテーブルを設けておき、懸濁液と捕集対象とする懸濁微粒子を入力すれば、捕集データテーブルから誘電泳動させるための情報を読み出し、自動的に捕集対象とする懸濁微粒子を分離することができる。捕集テーブルに、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動を起こさせない情報が格納されておれば、懸濁液と捕集対象とする懸濁微粒子と捕集対象としない異物微粒子を入力すれば、捕集データテーブルから捕集対象としない異物微粒子には作用せず、捕集対象とする懸濁微粒子だけ誘電泳動させるための情報を読み出し、自動的且つ選択的に捕集対象とする懸濁微粒子だけを分離することができる。
【0069】
本発明の誘電泳動による懸濁微粒子除去方法は、誘電体粒子の数に比例して電解特異部の数を増加させると共に、誘電体粒子の平均径を小さくして誘電泳動力を増して捕集するから、多くの電界特異部を形成して懸濁微粒子を大きな誘電泳動力によって高効率に捕捉でき、機械的に捕捉するのではないため、圧力損失が小さく、効率的な懸濁微粒子の分離を行うことができる。誘電体粒子の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置において隣接する別の誘電体粒子間に第1、第2の電界特異部が多数形成され、電界最大位置付近の 1 電界特異部のとき正の誘電泳動力、または電界最小位置付近の第2の電界特異部のとき負の誘電泳動力を作用させて懸濁微粒子を高効率で捕集でき、目詰まりを起こし難く、電気的に捕集するため回収が容易で、実用性の高い分離を行うことができる。捕集対象とする懸濁微粒子は誘電泳動させ、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動を起こさせない周波数の交流電圧を印加すれば、捕集対象としない異物微粒子には作用せず、捕集対象とする懸濁微粒子だけを選択的に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置の構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置の誘電泳動フィルター流れ方向の断面図
(b)本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置の誘電泳動フィルター流れ方向の横断面図
【図3】(a)電極間に1個の誘電体粒子を置いたときの粒子表面の電界分布図
(b)電極間に1個の誘電体粒子を置いたときの粒子の半径と誘電泳動力の関係図
【図4】電極間に複数の誘電体粒子を置いたときの誘電泳動力分布図
【図5】電極間に複数の誘電体粒子を置いたときの粒子表面微粒子捕捉写真図
【図6】本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置でイースト菌を捕集したときの捕集特性図
【図7】本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置のイースト菌の生菌捕集の周波数依存性を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置のイースト菌の死菌捕集の周波数依存性を示す図
【図9】本発明の実施の形態1における誘電泳動フィルター装置がイースト菌の生菌・死菌混合懸濁液から生菌を選択的に除去する除去特性図
【図10】(a)従来の微生物を捕集するメンブラン濾過器の構成図
(b)(a)のメンブラン濾過器に接続する流量制御装置の構成図
【図11】懸濁粒子の誘電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図
【符号の説明】
1 誘電泳動フィルター部
1A,1B 電極
1C 誘電体粒子
1D スペーサ
1E フィルターケーシング
1Fフィルター室
2 懸濁液容器
3 処理液容器
4 回収容器
5 電源部
6 ポンプ
7 流量検出部
8A,8B 圧力検出部
9 三方切換弁
10 制御部
11 入力部
12 メモリ部
12a 捕集データテーブル
13 表示部
14 時計手段
15 流入管
16 流出管
16A 処理液回収管
16B 微粒子回収管
17 微粒子数カウンタ

Claims (9)

  1. 懸濁液を収容して懸濁微粒子を捕集することができるフィルター室と、前記フィルター室内に設けられた対向する1対の電極と、前記フィルター室内の前記電極間に充填され該電極間に形成される電界を局所的に集中または低下させるための複数の誘電体粒子と、前記懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を前記電極間に印加する電源部を備え、前記誘電体粒子が、周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させられると共に、前記第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 電界特異部、前記第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部が形成され、前記第 1 電界特異部には前記懸濁微粒子に正の誘電泳動力が作用させられ、前記第2の電界特異部においては前記懸濁微粒子に負の誘電泳動力が作用させられて、前記第1または第2の電界特異部に誘電泳動で懸濁微粒子が集められることを特徴とする誘電泳動フィルター装置。
  2. 前記電源部が、捕集対象とする懸濁微粒子に対しては誘電泳動力を作用させるとともに、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動力を作用させないような周波数の交流電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の誘電泳動フィルター装置。
  3. 懸濁微粒子を誘電泳動させるための設定入力ができる入力部と、前記電源部を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の誘電泳動フィルター装置。
  4. 懸濁液を収容して懸濁微粒子を捕集することができるフィルター室と、前記フィルター室内に設けられた対向する1対の電極と、前記フィルター室内の前記電極間に充填され該電極間に形成される電界を局所的に集中または低下させるための100μm以下の平均径を有する複数の誘電体粒子と、前記懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を前記電極間に印加する電源部を備えた誘電泳動フィルター装置であって、前記誘電体粒子が周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させられると共に、前記第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、前記第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部が形成され、前記第1、第2の電界特異部が前記誘電体粒子の数に比例して形成され、前記平均径が100μm以下のため前記電界特異部に大きな誘電泳動力で懸濁微粒子が集められることを特徴とする誘電泳動フィルター装置。
  5. 前記誘電体粒子が球形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘電泳動フィルター装置。
  6. 懸濁液と懸濁微粒子に対して該懸濁微粒子を誘電泳動させるための情報を格納した捕集データテーブルをメモリ部内に備え、前記入力部から懸濁液と懸濁微粒子を入力すると、前記制御部が前記捕集データテーブルから情報を読み出して制御することを特徴とする請求項記載の誘電泳動フィルター装置。
  7. 懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、前記フィルター室内の前記電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、前記第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、前記第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、対象とする懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を前記電極間に印加し、前記第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって懸濁微粒子を集めて捕集する誘電泳動による懸濁微粒子除去方法であって、前記誘電体粒子の数に比例して前記第1、第2の電解特異部の数を増加させると共に、前記誘電体粒子の平均径を小さくして誘電泳動力を増して捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法。
  8. 懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、前記フィルター室内の前記電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき 周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、前記第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、前記第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、対象とする懸濁微粒子に対して正または負の誘電泳動力を作用させることができる周波数の交流電圧を前記電極間に印加し、前記第 1 電界特異部には正の誘電泳動力、前記第2の電界特異部には負の誘電泳動力を作用させ、前記第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって懸濁微粒子を集めて捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法。
  9. 懸濁液を収容するフィルター室内に1対の電極を対向して配設し、前記フィルター室内の前記電極間に複数の誘電体粒子を該電極間に電圧が印加されたとき周囲の電界強度が最大となる第1の側面位置と最小となる第2の側面位置でそれぞれ他の誘電体粒子と接触または接近させるように充填し、前記第1の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第 1 の電界特異部、前記第2の側面位置付近の隣接誘電体粒子間に第2の電界特異部を形成し、捕集対象とする懸濁微粒子に対しては誘電泳動力を作用させるとともに、捕集対象としない異物微粒子には誘電泳動力を作用させない周波数の交流電圧を印加し、前記第 1 電界特異部には正の誘電泳動力、前記第2の電界特異部には負の誘電泳動力を作用させ、前記第1または第2の電界特異部に誘電泳動によって捕集対象とする懸濁微粒子を選択的に集めて捕集することを特徴とする誘電泳動による懸濁微粒子除去方法。
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