JP3809975B2 - ボイラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙道内に過熱器及び再熱器を配置してなるボイラ装置に係り、特に、再熱器よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に、従来より知られているこの種のボイラ装置の構成を示す。この図から明らかなように、本例のボイラ装置は、火炉1と、火炉出口2に備えられた煙道3と、煙道3内に備えられた第1、第2、第3の過熱器4,5,6と、再熱器7とから主に構成されている。第1及び第2の過熱器4,5は、所謂吊り下げ型の過熱器であって、煙道3の水平部3aを構成する天井壁8より吊り下げられ、その先端部は当該天井壁8と対向に設けられた副側壁底壁9との間に所要の空間を介して配置されている。一方、第3の過熱器6及び再熱器7は、所謂横置き型の過熱器及び再熱器であって、煙道3の垂直部3bを構成するケージ後壁10に取り付けられ、その先端部が当該ケージ後壁10と対向に設けられたケージ前壁11との間に所要の空間を介して配置されている。
【0003】
吊り下げ型の第1及び第2の過熱器4,5は、図6に示すように、天井壁8側の基部から副側壁底壁9側の先端部まで、煙道3の断面方向位置に関して伝熱面積がほぼ均一になるように構成されている。また、横置き型の第3の過熱器6及び再熱器7も、図7に示すように、ケージ後壁10側の基部からケージ前壁11側の先端部まで、煙道3の断面方向位置に関して伝熱面積がほぼ均一になるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、煙道3内を流れる燃焼ガスの温度分布は、燃焼負荷の増減や燃料の種類の変更によって変化する。即ち、燃焼負荷の増減を例にとって説明すると、高負荷時においては、図8(a),(b)に示すように、煙道水平部3aの中心より天井壁8側に片寄った部分並びに煙道垂直部3bの中心よりケージ後壁10側に片寄った部分が最も高温になる。これに対して、低負荷時においては、図9(a),(b)に示すように、煙道水平部3aの中心より副側壁底壁9側に片寄った部分並びに煙道垂直部3bの中心よりケージ前壁11側に片寄った部分が最も高温になる。
【0005】
然るに、従来のボイラ装置に備えられている過熱器は、図6及び図7に示したように、基部から先端部まで伝熱面積がほぼ均一に形成されているので、低負荷時における再熱器7の吸収熱量が小さく、再熱器7の出口蒸気温度が低くなるため、プラント全体の効率を上げることができないという問題がある。
【0006】
従来においては、ボイラ装置にガス再循環システムを備え、低負荷時に火炉1内に再循環される燃焼ガス量を増加して燃焼ガス温度を高温に保ち、もって低負荷時における再熱器7の出口蒸気温度の低下を防止するという手段が採られている。しかしながら、ガス再循環システム等の補助的手段をボイラ装置に備えると、ボイラ装置のシステム構成が複雑化、高コスト化すると共に、これら補助的手段を駆動するための所内動力が増加し、プラント全体の効率を効率的に上げることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の不備を解消するためになされたものであって、その課題とするところは、システム構成を複雑化、高コスト化することなく、低負荷時における再熱器の出口蒸気温度を上げることのできるボイラ装置を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、煙道内に過熱器と再熱器とを配置してなるボイラ装置において、前記再熱器の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器の全部又は一部を、当該過熱器の設定位置における前記煙道の断面方向に関して伝熱面積が段階的に変化する構造とし、当該過熱器の伝熱面積が大きな部分を高負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置し、伝熱面積が小さな部分を低負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置するという構成にした。
【0009】
煙道が水平部とこれに続く垂直部とから構成される場合には、過熱器の伝熱面積が大きな部分は前記水平部の上側又は前記垂直部の火炉からみて外側に配置され、過熱器の伝熱面積が小さな部分は前記水平部の下側又は前記垂直部の火炉からみて内側に配置される。
【0010】
図8(a),(b)に示したように、高負荷時においては、煙道3内を流れる燃焼ガスの温度分布は、水平部3aの上側(天井壁8側)及び垂直部3bの火炉からみて外側(ケージ後壁10側)が高くなる。したがって、再熱器7の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器4,5,6を、当該過熱器4,5,6の設定位置における煙道3の断面方向に関して伝熱面積が段階的に変化する構造とし、当該過熱器4,5,6の伝熱面積が大きな部分をこれら高負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置すると、過熱器4,5,6の吸収熱量ひいては出口蒸気温度を高く維持することができるため、プラントの効率を高く維持することができる。
【0011】
一方、図9(a),(b)に示したように、低負荷時においては、煙道3内を流れる燃焼ガスの温度分布は、水平部3aの下側(副側壁底壁9側)及び垂直部3bの火炉からみて内側(ケージ前壁11側)が高くなる。したがって、再熱器7の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器4,5,6の伝熱面積が小さな部分をこれら低負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置すると、過熱器4,5,6を通過して再熱器7に達する熱量が増加するため、再熱器7の吸収熱量ひいては出口蒸気温度が高くなり、低負荷時におけるプラント効率を高めることができる。よって、プラント全体の効率を高めることができる。
【0012】
かように、上記の構成によれば、過熱器4,5,6の構成を工夫することによってプラント全体の効率を高めることができ、ガス再循環システム等の補助的手段を省略できるので、ボイラ装置のシステム構成を簡略化、低コスト化できる。なお、仮にガス再循環システム等の補助的手段を備えた場合にも、これら補助的手段を駆動するための所内動力を減少できるので、プラントの高効率化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に、本発明に係るボイラ装置の一実施形態例を示す。図1はボイラ装置の構成図、図2は吊り下げ型過熱器の構成図、図3は横置き型過熱器の構成図である。
【0014】
図1から明らかなように、本例のボイラ装置も、全体的な構成については図5に示した従来のボイラ装置と同じであり、火炉1と、火炉出口2に備えられた煙道3と、煙道3内に備えられた第1、第2、第3の過熱器14,15,16と、再熱器7とから主に構成されている。第1及び第2の過熱器14,15は、所謂吊り下げ型の過熱器であって、煙道3の水平部3aを構成する天井壁8より吊り下げられ、その先端部は当該天井壁8と対向に設けられた副側壁底壁9との間に所要の空間を介して配置されている。一方、第3の過熱器16及び再熱器7は、所謂横置き型の過熱器及び再熱器であって、煙道3の垂直部3bを構成するケージ後壁10に取り付けられ、その先端部が当該ケージ後壁10と対向に設けられたケージ前壁11との間に所要の空間を介して配置されている。
【0015】
吊り下げ型の第1及び第2の過熱器14,15は、図2に示すように、天井壁8側の基部14a(15a)の伝熱面積が大きく、副側壁底壁9側の先端部14b(15b)の伝熱面積が小さく形成されている。一方、横置き型の第3の過熱器16は、図3に示すように、ケージ後壁10側の基部16aの伝熱面積が大きく、ケージ前壁11側の先端部16bの伝熱面積が小さく形成されている。前記基部14a,15a,16aの伝熱面積及び前記先端部14b,15b,16bの伝熱面積は、高負荷時において各過熱器14,15,16が所要の出口蒸気温度を得るに必要な熱量を吸収でき、かつ低負荷時において再熱器7が所要の出口蒸気温度を得るに必要な熱量を吸収できるように調整される。
【0016】
なお、再熱器7については、従来技術と同様に、ケージ後壁10側の基部からケージ前壁11側の先端部まで、煙道3の断面方向位置に関して伝熱面積がほぼ均一に構成される。
【0017】
図8(a),(b)に示したように、高負荷時においては、煙道3内を流れる燃焼ガスの温度分布が、煙道3の中心より各過熱器14,15,16の基部14a,15a,16aが配置される部分において高くなるので、各過熱器14,15,16より発生する出口蒸気の温度を高く維持することができる。一方、図9(a),(b)に示したように、低負荷時においては、煙道3内を流れる燃焼ガスの温度分布が、煙道3の中心より各過熱器14,15,16の先端部14b,15b,16bが配置される部分において高くなるので、過熱器14,15,16を通過して再熱器7に達する熱量が増加し、再熱器7の吸収熱量ひいては出口蒸気温度が高くなる。よって、低負荷時におけるプラント効率が高められ、プラント全体の効率を高めることができる。また、かかる構成によれば、過熱器14,15,16の構成を工夫することによってプラント全体の効率を高めることができ、ガス再循環システム等の補助的手段を省略できるので、ボイラ装置のシステム構成を簡略化、低コスト化できる。また、仮にガス再循環システム等の補助的手段を備えた場合にも、これら補助的手段を駆動するための所内動力を減少できるので、プラントの高効率化を図ることができる。
【0018】
なお、前記実施形態例においては、過熱器14,15,16を基部と先端部との2段構造としたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、過熱器14,15,16を3段以上の多段構造とすることもできる。図4は、過熱器14(15,16)を基部14a(15a,16a)と先端部14b(15b,16b)と中間部14c(15c,16c)とから構成し、基部の伝熱面積を最大とし、先端部の伝熱面積を最小とし、中間部の伝熱面積をその中間とした場合を示している。
【0019】
また、前記実施形態例においては、再熱器7の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置された全部の過熱器14,15,16について伝熱面積が段階的に変化する構造としたが、一部の過熱器についてのみ伝熱面積を段階的に変化させることもできる。
【0020】
また、本発明は、燃焼負荷を増減した場合のみならず、燃焼ガス温度が異なる2種以上の燃料を使用する場合にも有効である。例えば、ガス燃料と油燃料を切替て使用するタイプのボイラ装置を例にとって説明すると、ガス専焼時における燃焼ガス温度は同じ負荷の油専焼時における燃焼ガス温度よりも高いため、放射伝熱による伝熱量が油専焼時に比べて高くなる。放射伝熱は、煙道3及び過熱器14,15,16を構成する全ての伝熱面が有効に活用できるため、ガス専焼時には過熱器14,15,16の伝熱面積の変化による影響を余り受けない。これに対して、油専焼時には、同じ負荷のガス専焼時に比べて燃焼ガス温度が低いため、放射伝熱量がガス専焼時よりも減少し、対流伝熱の割合が増加する。対流伝熱は、ガス流路に配置された過熱器14,15,16の伝熱面積によって大きな影響を受ける。即ち、油専焼時には、煙道3内を流れる燃焼ガスの流速が、副側壁底壁9側及びケージ前壁11側で高くなるので、伝熱面積が小さな過熱器14,15,16の先端部における伝熱量が減少し、再熱器7における伝熱量が増加する。このため、再熱器7の出口蒸気温度が高められ、プラント効率が改善される。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、再熱器の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器の全部又は一部を、当該過熱器の設定位置における前記煙道の断面方向に関して伝熱面積が段階的に変化する構造とし、当該過熱器の伝熱面積が大きな部分を高負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置し、伝熱面積が小さな部分を低負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置するという構成にしたので、高負荷時におけるプラント効率を高く維持しつつ、低負荷時におけるプラント効率を高めることができるので、プラント全体の効率を高めることができる。よって、ガス再循環システム等の補助的手段が不要になり、ボイラ装置のシステム構成を簡略化、低コスト化できるか、仮にこれらの補助的手段を備えた場合にも、補助的手段を駆動するための所内動力を減少できるので、プラントの効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボイラ装置の構成図である。
【図2】本発明に係る吊り下げ型過熱器の構成図である。
【図3】本発明に係る横置き型過熱器の構成図である。
【図4】本発明に係る吊り下げ型過熱器の他の例を示す構成図である。
【図5】従来例に係るボイラ装置の構成図である。
【図6】従来例に係る吊り下げ型過熱器の構成図である。
【図7】従来例に係る横置き型過熱器の構成図である。
【図8】高負荷時における煙道内の温度分布を示す説明図である。
【図9】低負荷時における煙道内の温度分布を示す説明図である。
【符号の説明】
1 火炉
2 火炉出口
3 煙道
3a 煙道水平部
3b 煙道垂直部
7 再熱器
8 天井壁
9 副側壁底壁
10 ケージ後壁
11 ケージ前壁
14,15,16 過熱器
14a,15a,16a 基部
14b,15b,16b 先端部
14c,15c,16c 中間部
Claims (2)
- 煙道内に過熱器と再熱器とを配置してなるボイラ装置において、前記再熱器の設定位置よりも燃焼ガスの流れ方向に関して上流側に配置される過熱器の全部又は一部を、当該過熱器の設定位置における前記煙道の断面方向に関して伝熱面積が段階的に変化する構造とし、当該過熱器の伝熱面積が大きな部分を高負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置し、伝熱面積が小さな部分を低負荷時に燃焼ガス温度が最も高くなる流路中に配置したことを特徴とするボイラ装置。
- 請求項1に記載のボイラ装置において、前記煙道を水平部とこれに続く垂直部とから構成し、前記過熱器の伝熱面積が大きな部分を前記水平部の上側又は前記垂直部の火炉からみて外側に配置し、前記過熱器の伝熱面積が小さな部分を前記水平部の下側又は前記垂直部の火炉からみて内側に配置したことを特徴とするボイラ装置。
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JPH10281409A JPH10281409A (ja) | 1998-10-23 |
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