JP3809365B2 - ネットワークシステム、無線端末装置、及び無線中継装置 - Google Patents

ネットワークシステム、無線端末装置、及び無線中継装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はアマチュア無線を用いたデータ通信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アマチュア無線の世界においても、データの送受信を目的とするパケット通信が行われている。アマチュア無線によるパケット通信としては、リンク層プロトコルにアマチュア無線独自のAX.25というプロトコルを用いるものが代表例である。
【0003】
アマチュア無線により通信を行う場合、相手局をコールサインにより指定しなければならない。このため、このAX.25にあっては、パケットのへッダー部分にアマチュア無線局のコールサインを含めること等が規定されている。
【0004】
また、一部のアマチュア無線家の間では、アマチュア無線によるパケット通信を、TCP/IPプロトコル等によるネットワークとして運用する試みがなされている。しかし、現状においては、アマチュア無線に使用されるデータ通信用無線機やAX.25を実現する無線化モデムが低速であるため、満足できる接続が得られない状況にある。
【0005】
しかし、最近、高速伝送が可能なデータ通信用無線機やモデムの開発によって、高速のデータ通信が可能となりつつある。ただ、もう一つの問題として、従来におけるパケット通信にあっては、デー夕を無線化するモデムとコンピュータとがRS232Cという低速のインターフェースにより接続されていたため、いくら無線機やモデムの性能を向上させたとしても、既存のLAN等の伝送速度と比較して通信速度に限界がある。そこで、高速のデータ通信を可能とすべく、汎用的なLANに用いられているイーサネット(登録商標)を接続インターフェースとするモデムにより、アマチュア無線によるパケット通信を直接イーサネットに接続する試みがなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の試みにあっては、イーサネットを流れるデータからイーサネットヘッダを削除してAX.25へッダを付加する、もしくはその逆を行うというようなプロトコル変換の機能をモデムにもたせる必要がある。また、このようなデー夕リンク層以下のプロトコル変換を行うため、その上位層(TCP/IP等)によるルーター機能をモデムにもたせる必要があり、モデムにかなりの負荷が要求される。そのため、それらの処理のみを特別に行うプロトコルサーバー等を別途使用する必要があった。
【0007】
この発明は上記実状に鑑みてなされたもので、アマチュア無線を用いても、高速のデータ通信を可能とするネットワークシステムを提供することを目的とする。
また、この発明は、簡単な構成で、アマチュア無線を用いても、高速のデータ通信を可能とすることを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るネットワークシステムは、
各々LANに(直接又は間接的に)接続された複数のアマチュア無線端末装置と、各々が幹線にて接続されたアマチュア無線中継装置と、前記アマチュア無線中継装置の何れかに接続され、外部ネットワークに接続されたルータと、を含むネットワークシステムであって、
各アマチュア無線端末装置は、
自局コールサインおよび相手局コールサインが予め設定されており、
LANからLANフレームを受信し、受信したLANフレームに、少なくとも相手局コールサインおよび自局コールサインを含む無線へッダを付加した無線フレームを生成してアマチュア無線により送信し、
アマチュア無線から無線フレームを受信した場合には、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己に設定された自局コールサインと照合して一致するときには該無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成してLANに送信し、
各前記アマチュア無線中継装置は、
自己が管理するアマチュア無線端末装置のコールサインを記憶しており、
アマチュア無線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームを破棄もしくはアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
幹線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線にて送信し、一致しないときには破棄もしくは再び幹線に送信し、
該ルータが接続されたアマチュア無線中継装置は、該ルータのコールサインを記憶しており、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ルータのコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ルータに転送し、該ルータから無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
前記ルータは、前記アマチュア無線中継装置から転送されてきた無線フレーム中の送信元のコールサインと送信元又は送信先のネットワークアドレスとを少なくとも対応付けて蓄積し、受信したLANフレームに含まれている送信対象の情報に送信元と送信先のネットワークアドレスを付して前記外部ネットワークに出力し、前記外部ネットワークより情報を受信した場合に、受信した情報に付されているネットワークアドレスに対応するコールサインを、蓄積しているコールサインのなかから検索し、検索したコールサインを含む無線ヘッダを含む無線フレームを合成し、これを前記アマチュア無線中継装置に出力する。
【0010】
前記ネットワークシステムは、各アマチュア無線中継装置の何れかに接続されたネットワークアドレス割当部をさらに含んでもよい。
この場合、
該ネットワークアドレス割当部が接続されたアマチュア無線中継装置は、該ネットワークアドレス割当部のコールサインを記憶しており、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ネットワークアドレス割当部のコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ネットワークアドレス割当部に転送し、該ネットワークアドレス割当部から無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
前記ネットワークアドレス割当部は、該アマチュア無線中継装置から転送されてきた無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成し、該LANフレームがネットワークアドレスの割当を要求するものであるときには、ネットワークアドレス割当処理を行ってLANフレームを生成し、生成したLANフレームに無線へッダを付加して該アマチュア無線中継装置に転送する、
ように構成してもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る無線中継装置は、
自己が管理するアマチュア無線端末装置のコールサインを記憶するメモリと、
アマチュア無線で信号を送受信するアマチュア無線送受信手段と、
幹線との間で信号を授受する幹線インタフェースと、
アマチュア無線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを前記メモリに記憶されているコールサインと照合し、一致すると判別された際には、該無線フレームを破棄もしくはアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを前記幹線インタフェースを介して幹線に送信し、幹線から幹線インタフェースを介して無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームを前記アマチュア無線手段によりアマチュア無線にて送信し、一致しないときには破棄もしくは前記幹線インタフェースを介して幹線に送信する制御手段と、
外部ネットワークとの通信を可能とするルータと、を含み、
前記メモリは前記ネットワークアドレス割当部のコールサインを記憶しており、
前記制御手段は、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ネットワークアドレス割当部のコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ネットワークアドレス割当部に転送させ、該ネットワークアドレス割当部から無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
前記ネットワークアドレス割当部は、無線中継装置から転送されてきた無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成し、該LANフレームがネットワークアドレスの割当を要求するものであるときには、ネットワークアドレス割当処理を行い、生成したLANフレームに相手局コールサインを含む無線へッダを付加して無線中継装置に転送し、
前記無線中継装置は外部ネットワークとの通信を可能とするルータをさらに含み、
前記メモリは前記ルータのコールサインを記憶しており、
前記制御手段は、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ルータのコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ルータに転送させ、該ルータから無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
前記ルータは、無線中継装置から転送されてきた無線フレームからコールサインとネットワークアドレスとを抽出して記憶し、該当する情報をネットワーク上に出力し、ネットワーク上のシステムから情報を受信すると、その情報に含まれているネットワークアドレスから、予め記憶しておいたコールサインを判別し、判別したにコールサインを含む無線ヘッダと受信した情報を含むLANフレームとを備える無線フレームを合成して前記無線中継装置に出力する、
ことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るネットワークシステムを図面を参照して説明する。
この実施の形態のネットワークシステムは、図1に示すように、複数の無線中継局11(11〜11)と、無線端末13(1311〜131n、1321〜132m、1331〜133k)と、LAN15(1511〜151n、1521〜152m、1531〜153k)と、コンピュータ17(1711〜171n、1721〜172m、1731〜173k)、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)19(19〜19)と、ルータ21と、から構成されている。
【0017】
各無線端末(アマチュア無線端末装置)13は、アマチュア無線のコールサインが割り当てられており、所属するエリアを管轄する中継局11にアマチュア無線で接続され、データを送受信する1台又は複数台のコンピュータ17にLAN15を介して接続されている。
【0018】
各無線端末13は、図2に例示するように、LAN(ローカルエリアネットワーク)インターフェース(IF)131と、モデム132と、アマチュア無線送受信機136と、コントローラ137とを備える。また、モデム132は、無線ヘッダ処理部133とコールサイン照合部134と、を備える。
【0019】
LANインターフェース131は、全ての無線端末13に同一種類のものが使用される。
これは、ネットワークシステムが、各無線端末13に接続されるLAN15間を、物理層で接続する(LANフレーム自体の構造を変換しない)構成を有し、同一種類のLAN15が使用される必要があるためである。本実施形態にあっては、LAN15としてイーサネットを使用する。そのため、LANインターフェース131は、イーサネットインターフェース(10Base−T等)が採用されている。
【0020】
LANインターフェース131は、図2に例示するように、複数のコンピュータ17が接続されたLANの幹線(10Base−Tケーブル等)15等にブリッジ等を介して接続される。なお、LANインタフェース131は、1台のコンピュータ17のLANインターフェースに直接接続されてもよい。
【0021】
モデム132の無線ヘッダ処理部133は、データ送信元のコンピュータ17より、LANインターフェース131を介して、図3(a)に示すLANフレーム(イーサネットフレーム)を受信する。LANフレームは、通常知られているように、送信元のMAC(Media Access Control)アドレス及びIPアドレス、送信先のMACアドレス及びIPアドレスと、送信対象のデータ、等を含む。無線ヘッダ処理部133は、このLANフレームに、自局コールサインと相手局コールサインとを含む無線へッダを付加し、図3(b)に示す無線フレームを生成する。無線ヘッダ処理部133は、生成した無線フレームをアマチュア無線送受信機136に供給する。
【0022】
また、無線ヘッダ処理部133は、アマチュア無線送受信機136から図3(b)に示す無線フレームを受信し、コールサイン照合部134からの指示に従い、1)無線フレーム中の無線へッダを削除して、LANインタフェース131に提供し、或いは、2) 受信した無線フレームを破棄する。
【0023】
管理メモリ135は、図3(c)に示すように、自局コールサイン及び相手局の無線端末13のコールサイン(相手局コールサイン)とを予め記憶する。相手局コールサインは、コントローラ137により適宜設定される。
コールサイン照合部134は、アマチュア無線送受信機136から図3(b)に示す無線フレームを受信し、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインを自己のコールサインと照合する。コールサイン照合部134は、相手局コールサインが自己のコールサインに合致する場合には、無線ヘッダ処理部133に、無線へッダの削除を指示する。コールサイン照合部134は、相手局コールサインが自己のコールサインと異なる場合には、無線ヘッダ処理部133に、無線フレームの廃棄を指示する。
【0024】
各無線端末13のアマチュア無線送受信機136は、受信状態においては、受信した信号を復調して、モデム132に供給する。また、アマチュア無線送受信機136は、モデム132から供給された無線フレームを、アマチュア無線で送信する。なお、アマチュア無線送受信機136の送信チャネル及び受信チャネルは、コントローラ137により適宜設定される。
【0025】
コントローラ137は、LANに接続されたコンピュータ17のうちの1台又は他のコンピュータ(図2では、コンピュータ17)の外部接続端子、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子に接続される。コントローラ137は、コンピュータ17からの指示に従って、管理メモリ135に登録されている相手局コールサインを切り替え、アマチュア無線送受信機136の通信チャネルを設定する。
【0026】
このような構成により、各無線端末13は、データ送信元のコンピュータ17からの送信対象LANフレームをLANインターフェース131で受信し、モデム132で無線へッダを付加して無線フレームを生成し、アマチュア無線送受信機136から送信する。また、各無線端末13は、アマチュア無線送受信機136で、アマチュア無線信号を受信・復調し、モデム132で自己宛か否かを判別し、自己宛の場合には、無線へッダを削除してLANフレームを生成し、LANインターフェース131から、LAN15に出力する。
【0027】
図1の無線中継局(アマチュア無線中継装置)11は、幹線MLにより相互に接続されている。各無線中継局11は、図4に示すように、幹線MLに接続されたインタフェース(IF)111と、コールサイン照合部112と、アマチュア無線送受信機114とを有し、DHCP19に接続されている。なお、図1の無線中継局11については、図4に破線で示すように、ルータ21にも接続されている。
【0028】
インタフェース111は、幹線ML上を伝送される無線フレームを取り込んで、コールサイン照合部112に提供する。また、コールサイン照合部112から提供された無線フレームを幹線ML上に出力する。
【0029】
コールサイン照合部112は、管理メモリ113を備え、DHCP19及びルータ21(無線中継局11の場合)に接続されている。
【0030】
管理メモリ113には、図5(b)に示すように、この無線中継局11が管理する対象の無線端末(無線中継局11の管轄エリア内の登録済みの無線端末)13のコールサインと、この無線中継局11に接続されているDHCP19のコールサインとルータ21のコールサインとが予め登録されている。なお、ルータ21が接続されていない無線中継局11については、管理メモリ113は、図5(a)に示すように、管理する管轄無線端末13のコールサインと、この無線中継局11に接続されているDHCP19のコールサインとを記憶し、ルータ21のコールサインは記憶していない。
【0031】
コールサイン照合部112は、インタフェース111から無線フレームを受信し、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインと管理メモリ113に登録されている管理対象コールサインとを照合し、一致する場合には、その無線フレームをアマチュア無線送受信機114に供給する。一方、コールサイン照合部112は、一致しないと判別した場合には、他のエリアに属する無線端末宛であると判断して該無線フレームを破棄もしくは幹線MLに再送出する(幹線の種類に従う)。
【0032】
一方、コールサイン照合部112は、アマチュア無線送受信機114から無線フレームを受信すると、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインと管理メモリ113に登録されている管理対象コールサインとを照合し、無線端末のコールサインのいずれかと一致する場合には、予め定められた基準に従って、その無線フレームをアマチュア無線送受信機114に返送又は破棄する。なお、返送するか破棄するかは、例えば、無線端末間のPtoPによる直接通信が可能な場合は破棄し、無線中継局11を経由する必要がある場合はアマチュア無線により送信するというような基準に従って、予め設定されている。
【0033】
また、コールサイン照合部112は、相手局コールサインが管理メモリ113に登録されているDHCP19のコールサイン又はルータ21のコールサインに一致する場合には、それらに、その無線フレームを提供する。さらに、コールサイン照合部112は、相手局コールサインが管理メモリ113に登録されているコールサインのいずれとも一致しない場合には、インタフェース111に、その無線フレームを提供する。
【0034】
アマチュア無線送受信機114は、自己の管轄エリア内の無線端末13とアマチュア無線により、全二重の通信が可能な無線装置である。
【0035】
なお、幹線MLは、無線フレームを、その無線フレームの無線ヘッダに含まれている相手局コールサインを管理する無線中継局11に、そのままの形で届けることができるものであれば、どのような通信回線もしくは接続形態であってもよく、有線であっても無線であってもよい。
【0036】
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol; ネットワークアドレス割当部)19は、LAN15の端末(コンピュータ)17にIP(Internet Protocol)アドレス(ネットワークアドレス)を割り当てるためのものであり、コールサインが設定されているとともに、無線へッダの付加や削除を行う機能を有する。
【0037】
具体的には、DHCP19は、図6に示すように、インタフェース191と、無線ヘッダ処理部193と、IPアドレス割当処理部195とを備える。
インタフェース191は、無線中継局11との間で信号を授受するための装置であり、DHCP19のコールサインを記憶し、無線中継局11から提供された無線フレームを無線ヘッダ処理部193に提供する。また、インタフェース191は、無線ヘッダ処理部193から供給された無線フレームを、無線中継局11に送信する。
【0038】
無線ヘッダ処理部193は、インタフェース191から送信された無線フレーム(図3(b))の無線ヘッダ部を記憶すると共に削除して、LANフレーム(図3(a))を生成し、IPアドレス割当処理部195に出力する。
【0039】
また、IPアドレス割当処理部195から供給されたLANフレーム(図3(a))に、先に削除した無線ヘッダに含まれていた自局及び相手局コールサインとをそれぞれ相手局及び自局コールサインとして含む無線ヘッダを付加して無線フレーム(図3(b))を生成し、インタフェース191に供給する。
【0040】
IPアドレス割当処理部195は、無線ヘッダ処理部193から供給されたLANフレーム中のIPアドレス割当要求に応答して、要求元のコンピュータ17にIPアドレスを割り当てる。IPアドレス割当処理部195は、新規IPアドレスを含むLANフレームを生成し、無線ヘッダ処理部193に送信する。
【0041】
このような構成とすることにより、各無線端末13に、相手局コールサインの1つとして自エリアのDHCP19のコールサインを設定し、その無線端末13に接続された新規コンピュータ17から、IPアドレス割当要求を発信すると、この要求がDHCP19に届き、このDHCP19によりIPアドレスが発行され、コンピュータ17がIPアドレスを取得することが可能になる。
【0042】
ルータ21は、一部の無線中継局11に接続され、このネットワークシステムを外部のインターネットに接続するための装置であり、コールサインが設定されているとともに、無線へッダの付加や削除を行う機能を有する。
【0043】
具体的には、ルータ21は、図7(a)に示すように、インタフェース211と、無線ヘッダ処理部213と、ゲートウエイ(GW)215とを備える。
【0044】
インタフェース211は、無線中継局11との間で信号を授受するための装置であり、ルータ21のコールサインを記憶し、無線中継局11から提供された無線フレームを無線ヘッダ処理部213に提供する。また、インタフェース211は、無線ヘッダ処理部213から供給された無線フレームを、無線中継局11に送信する。
【0045】
無線ヘッダ処理部213は、コールサインと送信元のIPアドレスとを対応付ける図7(b)に示すような対照表を記憶する。無線ヘッダ処理部213は、インタフェース211から送信された無線フレーム(図3(b))を解析し、送信元のコールサインとIPアドレスとを求め、対照表に追加的に記憶する。無線フレーム中の無線ヘッダを削除して、LANフレーム(図3(a))を生成し、GW215に出力する。
【0046】
また、無線ヘッダ処理部213は、GW215から供給されたLANフレームを解析し、送信先のコンピュータ17のIPアドレスを求める。続いて、このIPアドレスに対応するコールサインを対照表から求め、これを相手局コールサインとし、この相手局コールサインと自局コールサインを含む無線へッダを生成して、LANフレームに付加した無線フレームを生成し、インタフェース211に供給する。
【0047】
GW215は、無線ヘッダ処理部213から供給されたLANフレームに従って、所定のプロトコル変換やルーティング処理を実行する。また、GW215は、インターネット23上の情報を受け付けて、無線ヘッダ処理部213に送信する。なお、LANがイーサネットの場合には、GW215は、例えば、通常のイーサネットルータから構成される。
【0048】
このような構成とすることにより、各無線端末13に、相手局コールサインの1つとしてルータ21のコールサインを設定し、その無線端末13に接続された新規コンピュータ17から、任意の情報を発信すると、この情報がインターネット23上に出力され、また、インターネット23から提供された情報が、要求元のコンピュータ17に提供される。
【0049】
次に、上記構成のネットワークシステムの動作を説明する。
1.[IPアドレスの取得動作]
図1の示すシステムにコンピュータ17が新規に導入されると、そのコンピュータ17に固定又は一時的なIPアドレスが割り当てられる。IPアドレスを割り当てる手法は任意である。例えば、LAN15上の管理装置(ルータやサーバ)がIPアドレスを割り振るようにしてもよい。
【0050】
ただし、LAN15上にIPアドレスを割り当てるシステムが用意されていない場合には、DHCP19によるIPアドレスの割り当てを利用できる。
【0051】
以下、コンピュータ1711が新規に導入され、DHCP19によるIPアドレスの取得する方法を説明する。
この場合には、まず、無線端末1311のコールサイン照合部134の管理メモリ135に、相手局コールサインとして、同一エリア内のDHCP19のコールサインを登録する。
【0052】
次に、コンピュータ1711から、IPアドレスの発行要求を含むLANフレームをLAN1511上に出力する。このLANフレームは、無線端末1311のLANIF131を介してモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、管理メモリ135の内容に従って、相手局コールサインとしてDHCP19のコールサインを含み、自局コールサインとして無線端末1311のコールサインを含む無線ヘッダを生成してLANフレームに付加し、無線フレームを生成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0053】
無線中継局11は、自己の管轄エリア(エリア1)内の無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信し、無線フレームを復号して、コールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているDHCP19のコールサインに一致することを判別し、該無線フレームを、DHCP19に提供する。
【0054】
DHCP19は、無線中継局11からの無線フレームをIF191で受信し、無線ヘッダ処理部193に供給する。無線ヘッダ処理部193は、無線ヘッダ内の自局コールサインを抽出して記憶し、LANフレームをIPアドレス割当処理部195に供給する。IPアドレス割当処理部195は、LANフレームの内容を解析し、要求に応答して、IPアドレスをコンピュータ1711に割り当て、割り当てたIPアドレスを含むLANフレームを無線ヘッダ処理部193に送信する。無線ヘッダ処理部193は、先に記憶しておいたコールサインを相手局コールサイン、自己のコールサインを自局コールサインとして含む無線ヘッダを生成する。無線ヘッダ処理部193は、生成した無線ヘッダをLANフレームに付加して無線フレームを生成し、インタフェース191を介して無線中継局11に供給する。
【0055】
無線中継局11のコールサイン照合部112は、DHCP19からの無線フレームを受信し、その無線ヘッダ内の相手局コールサインが管理メモリ113に登録されているコールサインに一致するか判別する。この例では、無線端末1311のコールサインに一致する。従って、コールサイン照合部112は、DHCP19からの無線フレームをアマチュア無線送受信機114に供給し、アマチュア無線送受信機114がこれを管轄エリア内の無線端末1311〜131nに送信する。
【0056】
無線端末1311〜131nは、このアマチュア無線信号をアマチュア無線送受信機136で受信し、復調した無線フレームをモデム132に供給する。
【0057】
無線端末1312〜131nのモデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインが自己のコールサインに一致しないことを判別して、その旨を無線ヘッダ処理部133に通知する。無線ヘッダ処理部133は、この無線フレームを破棄する。
【0058】
一方、無線端末1311のモデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインが自己のコールサインに一致すると判別し、その旨を無線ヘッダ処理部133に通知する。無線ヘッダ処理部133は、無線フレームから無線ヘッダを削除し、LANフレームを再生して、LANIF131、LAN1511を介してコンピュータ1711に提供する。コンピュータ1711には、LANフレームを解析し、IPアドレスを取得する。
【0059】
このようにして、各コンピュータ17は、自エリア内のDHCP19からIPアドレスを取得することができる。
【0060】
2.[同一エリアのコンピュータ17間の通信]
同一エリアに属すコンピュータ17同士でデータ通信を行う方法としては、無線端末13同士が直接アマチュア無線通信を行ってデータ通信を行う方法と、無線中継局11を介す場合とがある。
【0061】
2−1.無線端末13同士がデータ通信を直接行う方法
まず、無線端末13同士が直接アマチュア無線通信を行うことにより、同一エリア内のコンピュータ17同士がデータ通信を行う方法を、LAN1511上のコンピュータ1711とLAN1512上のコンピュータ1712とがデータ通信を行う場合を例に説明する。
【0062】
この場合、予め、無線端末1311の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1312のコールサインを設定し、無線端末1312の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1311のコールサインを設定しておく。さらに、無線中継局11のコールサイン照合部112に、アマチュア無線送受信機114で復号された無線フレームの無線ヘッダ中の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている同一エリア内の無線端末1311〜131nのコールサインである場合には、その無線フレームを廃棄する旨を設定しておく。また、無線端末1311の送信チャネルと受信チャネルとを、無線端末1312の受信チャネルと送信チャネルとにそれぞれ一致させる。
【0063】
このような設定とすることにより、LAN1511とLAN1512とは、直接接続されたに等価な状態になり、LAN1511上のコンピュータ1711とLAN1512上のコンピュータ1712とは、LAN1511と無線端末1311と無線端末1312とLAN1512とを介して任意にデータを送受信することができる。
【0064】
具体的に説明すると、例えば、コンピュータ1711がコンピュータ1712にデータを送信するとする。この場合、コンピュータ1711は、コンピュータ1712のMACアドレス及びIPアドレス、自己のMACアドレス及びIPアドレス、送信対象データ、等を含むLANフレームを生成して、LAN1511に出力する。
【0065】
このLANフレームは、無線端末13のLANIF131を介してモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、管理メモリ135の内容に従って、相手局コールサインとして無線端末1312のコールサインを含み、自局コールサインとして無線端末1311のコールサインを含む無線ヘッダを生成してLANフレームに付加し、無線フレームを生成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0066】
無線端末1312〜131nは、無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機136で受信すると、無線フレームを復号して、モデム132に提供する。モデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、自己のコールサインに一致するか否かを判別する。すると、無線端末1312のコールサイン照合部134だけが、一致すると判別し、他は不一致と判別する。
【0067】
従って、無線端末1312の無線ヘッダ処理部133は、受信した無線フレームから無線ヘッダを削除して、LANフレームを再生し、LANIF131を介してLAN1512上に出力する。LAN1512上のコンピュータ1712は、伝送されているLANフレームの宛先アドレスをチェックし、自己宛であれば、これを取り込んで処理し、自己宛でなければ、これを無視する。
【0068】
また、無線中継局11は、無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信すると、無線フレームを復号して、モデム132に提供する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている自己の管轄エリア内の無線端末1312のコールサインに一致すると判別し、この無線フレームを破棄する。
【0069】
このようにして、同一エリア内のコンピュータ17は、無線端末13間のアマチュア無線による直接通信によりデータ転送が可能である。このとき、無線中継局11によるデータの再送信等による妨害も存在しない。
【0070】
2−2.無線端末13同士が無線中継局11を介してデータ通信を直接行う方法次に、無線端末13同士が無線中継局11を介してデータ通信を行うことにより、同一エリア内のコンピュータ17同士がデータ通信を行う方法を、LAN1511上のコンピュータ1711とLAN1512上のコンピュータ1712とがデータ通信を行う場合を例に説明する。
【0071】
この場合、予め、無線端末1311の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1312のコールサインを設定し、無線端末1312の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1311のコールサインを設定しておく。さらに、無線中継局11のコールサイン照合部112に、アマチュア無線送受信部114で復号された無線フレームの無線ヘッダ中の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている同一エリア内の無線端末1311〜131nのコールサインである場合には、その無線フレームをアマチュア無線送受信機114により再送信する旨を設定しておく。また、無線端末1311〜131nの送信チャネルと受信チャネルとを、無線中継局11の受信チャネルと送信チャネルとにそれぞれ一致させる。
【0072】
このような設定とすることにより、LAN1511とLAN1512とは、直接接続されたに等価な状態になり、LAN1511上のコンピュータ1711とLAN1512上のコンピュータ1712とは、LAN1511と無線端末1311と無線端末1312とLAN1512とを介して任意にデータを送受信することができる。
【0073】
具体的に説明すると、例えば、コンピュータ1711がコンピュータ1712にデータを送信するとする。この場合、コンピュータ1711は、コンピュータ1712のMACアドレス及びIPアドレス、自己のMACアドレス及びIPアドレス、送信対象データ、等を含むLANフレームを、LAN1511に出力する。
【0074】
このLANフレームは、無線端末13のモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、管理メモリ135の内容に従って、相手局コールサインとして無線端末1312のコールサイン、自局コールサインとして無線端末1311のコールサインを設定して、無線フレームを生成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0075】
このとき、通信チャネルの関係で、無線端末1312〜131nは、無線端末1311からの無線信号を受信できない。
一方、無線中継局11は、自己の管轄エリア内の無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信し、無線フレームを復号して、コールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている無線端末1312のコールサインに一致することを判別し、無線フレームをアマチュア無線送受信機114で再送する。
【0076】
無線端末1311〜131nは、無線中継局11からの無線信号をアマチュア無線送受信機136で受信し、無線フレームを復号して、モデム132に提供する。モデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、自己のコールサインに一致するか否かを判別する。すると、無線端末1312のコールサイン照合部134だけが、一致すると判別し、他は不一致と判別する。
【0077】
以後の動作は、前述の直接通信の場合と同一であり、無線端末1312だけが、受信した無線フレームからLANフレームを再生し、LAN1512上に出力する。
【0078】
このようにして、同一エリア内のコンピュータ17は、無線端末13間のアマチュア無線による直接通信によりデータ転送が可能である。このとき、無線中継局11によるデータの再送信等による妨害も存在しない。
【0079】
3.他エリアのコンピュータ間で、データ通信を行う方法
次に、異なるエリアに属すコンピュータ17同士がデータ通信を行う方法を、エリア1に属すLAN1511上のコンピュータ1711とエリア2に属すLAN1521上のコンピュータ1721とがデータ通信を行う場合を例に説明する。
【0080】
この場合、予め、無線端末1311の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1321のコールサインを設定し、無線端末1321の管理メモリ135に、相手局コールサインとして無線端末1311のコールサインを設定しておく。
【0081】
このような設定とすることにより、LAN1511とLAN1521とは、直接接続されたに等価な状態になり、LAN1511上のコンピュータ1711とLAN1521上のコンピュータ1721とは、LAN1511と無線端末1311と無線中継局11と幹線MLと無線中継局11と無線端末1321とLAN1521とを介して任意にデータを送受信することができる。
【0082】
具体的に説明する。例えば、コンピュータ1711がコンピュータ1721にデータを送信するとする。この場合、コンピュータ1711は、コンピュータ1721のMACアドレス及びIPアドレス、自己のMACアドレス及びIPアドレスなどを含むLANフレームを生成して、LAN1511に出力する。
【0083】
このLANフレームは、無線端末1311のモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、管理メモリ135の内容に従って、相手局コールサインとして無線端末1321のコールサインを含み、自局コールサインとして無線端末1311のコールサインを含む無線ヘッダを生成して、無線フレームを合成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0084】
無線中継局11は、自己の管轄エリア内の無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信し、無線フレームを復号して、コールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているコールサインに一致しないと判別し、宛先が他のエリアであると判断する。コールサイン照合部112は、無線フレームをIF111を介してそのまま幹線ML上に出力する。無線フレームは、幹線ML上を伝送される(伝送方法は、幹線MLの方式による)。
【0085】
各無線中継局11〜11はこの無線フレームをIF111を介して取り込みコールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、受信した無線フレーム内の無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているコールサインに一致するか否かを判別する。
【0086】
この例では、無線中継局11以外の無線中継局11は、一致しないと判別し、この無線フレームを破棄するか又はIF111を幹線MLに再度出力する(破棄するか再送するかは、幹線MLの仕様による)。
【0087】
一方、この無線フレームが無線中継局11に到達し、無線中継局11がこれを取り込むと、コールサイン照合部112が、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている無線端末1321のコールサインに一致すると判別する。すると、コールサイン照合部112は、受信した無線フレームをアマチュア無線送受信機114でエリア2内の無線端末1321〜132mに送信する。
【0088】
無線端末1321〜132mは、無線中継局11からのアマチュア無線信号をアマチュア無線送受信機136で受信し、復調した無線フレームをモデム132に供給する。
【0089】
無線端末1321〜132mのモデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインと自己のコールサインとを比較し、無線端末1321だけが、一致すると判別する。従って、
【0090】
無線端末1321の無線ヘッダ処理部133だけが、受信した無線フレームからLANフレームを再生して、LANIF131を介して、LAN1521上に出力する。LAN1521上のコンピュータ1721は、伝送されているLANフレームの宛先アドレスをチェックし、自己宛であれば、これを取り込んで処理し、自己宛でなければ、これを無視する。
【0091】
このようにして、異なるエリアに属すコンピュータ17であっても、アマチュア無線により、データ転送が可能である。
【0092】
4.ネットワークシステム内のコンピュータとシステムの外部のコンピュータとの間で、データ通信を行う方法
次に、ネットワークシステム内のコンピュータとシステムの外部のコンピュータとの間で、データ通信を行う方法を、エリア1に属すLAN1511上のコンピュータ1711とインターネット上に位置するコンピュータとがデータ通信を行う場合を例に説明する。
【0093】
この場合、予め、無線端末1311の管理メモリ135に、相手局コールサインとしてルータ21のコールサインを設定しておく。
【0094】
このような設定とすることにより、LAN1511とルータ21とが、直接接続されたに等価な状態になり、LAN1511上のコンピュータ1711をインターネットに接続することが可能となる。
【0095】
具体的に説明する。例えば、ルータ21が位置するエリア2とは異なるエリア1に位置するコンピュータ1711がインターネット23上の任意のサイトのホームページにアクセスするとする。この場合、コンピュータ1711は、参照したいホームページ等のIPアドレスを指定し、このIPアドレスを含むLANフレームをLAN1511に出力する。
【0096】
このLANフレームは、無線端末1311のモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、管理メモリ135の内容に従って、相手局コールサインとしてルータ21のコールサインを含み、自局コールサインとして無線端末1311のコールサインを含む無線ヘッダを生成して、無線フレームを合成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0097】
無線中継局11は、無線端末1311からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信し、無線フレームを復号して、コールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているコールサインに一致しないと判別し、無線フレームをIF111を介してそのまま幹線ML上に出力する。
無線フレームは、幹線ML上を伝送される(伝送方法は、幹線MLの方式による)。
【0098】
この無線フレームが無線中継局11に到達し、無線中継局11がこれを取り込むと、コールサイン照合部112が、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているルータ21のコールサインに一致すると判別する。すると、コールサイン照合部112は、受信した無線フレームをルータ21に転送する。
【0099】
ルータ21は、IF211を介してこの無線フレームを受信する。無線ヘッダ処理部213は、無線ヘッダに含まれている自局コールサインとLANフレームに含まれている送信元のIPアドレス(コンピュータ1711のIPアドレス)とを読み出し、対照表に対応付けて登録する。続いて、LANフレームを抽出し、GW215に供給する。
【0100】
GW215は、プロトコル変換などを行った後、要求をインターネット23上に出力する。
【0101】
インターネット23上の、アクセス対象のホームページを格納したサーバは、要求に応答して、ホームページをこのルータ21に送信する。
ルータ21のGW215は、このホームページを受信し、LANフレームを構築し、無線ヘッダ処理部213に供給する。
【0102】
無線ヘッダ処理部213は、LANフレーム内の送信先のIPアドレスを抽出し、これをキーとして対照表を検索し、コールサインを検出する。即ち、このホームページを要求したコンピュータ1711が接続されている無線端末1311のコールサインを読み出す。無線ヘッダ処理部213は、読み出したコールサインを相手局コールサインとし、自己のコールサインを自局コールサインとして無線ヘッダを生成し、無線フレームを合成して無線中継局11に供給する。
【0103】
無線中継局11のコールサイン照合部は、管理メモリ113を参照して、相手局コールサインが自己の管轄エリアに存在しないと判別し、無線フレームを幹線ML上に出力する。
【0104】
この無線フレームが無線中継局11に到達し、無線中継局11がこれを取り込むと、コールサイン照合部112が、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されている無線端末1311のコールサインに一致すると判別する。すると、コールサイン照合部112は、受信した無線フレームをアマチュア無線送受信機114に転送する。無線送受信機114は、無線フレームをアマチュア無線で送信する。
【0105】
無線端末1311〜131nは、無線中継局11からのアマチュア無線信号をアマチュア無線送受信機136で受信し、復調した無線フレームをモデム132に供給する。
【0106】
無線端末1311〜131nのモデム132のコールサイン照合部134は、無線ヘッダに含まれている相手局コールサインと自己のコールサインとを比較し、無線端末1311だけが、一致すると判別する。従って、無線端末1311の無線ヘッダ処理部133だけが、受信した無線フレームからLANフレームを再生して、LANIF131を介して、LAN1511上に出力する。LAN1511上のコンピュータ1711は、伝送されているLANフレームの宛先アドレスをチェックし、自己宛であると判断して、これを取り込んで処理し、ホームページを表示する。
【0107】
次に、ルータ21が位置するエリア2に位置するコンピュータ1721がインターネット23上の任意のサイトのホームページにアクセスするとする。この場合、コンピュータ1721等は、参照したいホームページのIPアドレスを含むLANフレームを生成し、LAN1511に出力する。
【0108】
このLANフレームは、無線端末1321のモデム132に送信される。モデム132の無線ヘッダ処理部133は、相手局コールサインとしてルータ21のコールサインを含む無線ヘッダを生成して、無線フレームを合成する。この無線フレームは、アマチュア無線送受信機136によりアマチュア無線により送信される。
【0109】
無線中継局11は、無線端末1321からの無線信号をアマチュア無線送受信機114で受信し、無線フレームを復号して、コールサイン照合部112に供給する。コールサイン照合部112は、無線ヘッダ内の相手局コールサインが、管理メモリ113に登録されているコールサインに一致すると判別し、無線フレームをルータ21に出力する。
【0110】
ルータ21は、この無線フレームを受信し、無線ヘッダに含まれている自局コールサインとLANフレームに含まれている送信元のIPアドレスとを読み出し、対照表に対応付けて登録する。続いて、LANフレームを抽出し、GW215に供給する。
【0111】
無線ヘッダ処理部213は、LANフレーム内の送信先のIPアドレスを抽出し、これをキーとして対照表を検索し、コールサインを検出する。即ち、このホームページを要求したコンピュータ1721が接続されている無線端末1321のコールサインを読み出す。無線ヘッダ処理部213は、読み出したコールサインを相手局コールサインとして無線ヘッダを生成し、無線フレームを合成して無線中継局11に供給する。
【0112】
無線中継局11のコールサイン照合部112は、管理メモリ113を参照して、相手局コールサインが自己の管轄エリアであると判別し、受信した無線フレームをアマチュア無線送受信機114に転送する。アマチュア無線送受信機114は、無線フレームをアマチュア無線で送信する。
【0113】
この無線信号を、無線端末1321だけが再生し、LAN1521上に出力する。このようにして、コンピュータ1721は要求したホームページを取得するすることができる。
【0114】
以上説明したように、この実施の形態によれば、単に無線へッダの付加や削除を行うだけで、LANフレームの構造をそのままの形で他のLANに転送するようにしたので、無線端末装置に、プロトコル変換やルーター機能をもたせる必要がなく、余分な負荷がかからない。そのため、プロトコルサーバー等を別途設ける必要がない。
【0115】
また、中継装置に、相手局コールサインに基づくルーティング機能をもたせたので、無線フレームを再度組み立てたりする処理を行う必要なしに、広域なネットワークを実現することができる。
【0116】
中継装置にネットワークアドレス割当部を設けたので、各無線端末に接続されたLAN間で共用することができる。
【0117】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、LAN15をイーサネットで構成する例を示したが、LAN15の仕様は任意であり、例えば、トークンリング方式のLANなどから構成されてもよい。
【0119】
上記実施の形態では、無線端末13の管理メモリ135に登録される相手局コールサインを1台のコンピュータ17のUSBで変更する例を示したが、LAN15に接続されている任意のコンピュータ17から、管理メモリ135に登録されている相手局コールサインを変更できるようにしてもよい。このためには、例えば、図8に示すように、LAN15上を伝送されるコマンドを解析するコマンド解析部141と、コマンド解析部141が解析したコマンドに応答して、管理メモリ135やアマチュア無線送受信機136を制御するコントローラ142とを配置する。そして、コンピュータ17から相手局コールサインや通信チャネルを指定できるようにする。
【0120】
この場合、例えば、コンピュータ17から相手局コールサインや通信チャネルを変更するコマンドを発行すると、コマンド解析部141がこのコマンドを解析し、コントローラ142がコマンドに従って、相手局コールサインを変更し、或いは、通信チャネルの割り当てを変更する。このような構成によれば、コンピュータ17で任意の相手局と通信チャネルを指定し、且つ、そのコンピュータ17から送信対象のデータ等を送信するようなことも可能となる。
【0121】
図7において、対照表にコールサイン(無線端末13のコールサイン)とIPアドレス(コンピュータ17のIPアドレス)との対を登録したが、例えば、コールサインとアクセス先(インターネット23上のサイトのIPアドレス)との対、或いは、コールサインとアクセス元及びアクセス先のIPアドレスとの3つを対応付けて登録してもよい。さらに、コールサインとMACアドレス、或いは、これらとIPアドレスとを対応付けて登録してもよい。また、送信元の無線端末13のコールサインを特定できるならば、任意のデータを登録可能であり、さらに、他の手法を採用することも可能である。
【0122】
例えば、上記実施の形態においては、全ての無線中継局11にDHCP19を接続したが、1台の無線中継局11にシステム全体のIPアドレスを管理するDHCP19を接続するようにしてもよい。また、上記実施の形態においては、1台の無線中継局11にルータ21を接続したが、複数台又は全ての無線中継局11にインターネット21に接続するためのルータを接続してもよい。
【0123】
また、上記実施の形態で例示したシステム構成、ハードウエア構成、動作等は、実質的に同一の機能を実現できるならば、任意に変更可能である。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、簡単な構成で、アマチュア無線を用いてた、高速データ通信が可能となる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、アマチュア無線を用いてデータ通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークシステムの全体の構成を示す図である。
【図2】図1に示す無線端末の構成の一例を示す図である。
【図3】LANフレーム、無線フレーム、管理メモリの内容を示す図である。
【図4】図1に示す無線中継局の構成を示す図である。
【図5】図5に示す無線中継局の管理メモリに格納される情報を例示する図である。
【図6】図1に示すDHCPの構成を示す図である。
【図7】図1に示すルータの構成を示す図である。
【図8】無線中継局の構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
11 無線中継局
13 無線端末
15 LAN
17 コンピュータ(データ処理装置)
19 DHCP(ネットワークアドレス割当部)
21 ルータ

Claims (3)

  1. 各々LANに接続された複数のアマチュア無線端末装置と、各々が幹線にて接続されたアマチュア無線中継装置と、前記アマチュア無線中継装置の何れかに接続され、外部ネットワークに接続されたルータと、を含むネットワークシステムであって、
    各アマチュア無線端末装置は、
    自局コールサインおよび相手局コールサインが予め設定されており、
    LANからLANフレームを受信し、受信したLANフレームに、少なくとも相手局コールサインおよび自局コールサインを含む無線へッダを付加した無線フレームを生成してアマチュア無線により送信し、
    アマチュア無線から無線フレームを受信した場合には、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己に設定された自局コールサインと照合して一致するときには該無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成してLANに送信し、
    各前記アマチュア無線中継装置は、
    自己が管理するアマチュア無線端末装置のコールサインを記憶しており、
    アマチュア無線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームを破棄もしくはアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
    幹線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線にて送信し、一致しないときには破棄もしくは再び幹線に送信し、
    前記アマチュア無線中継装置の何れかに接続され、外部ネットワークに接続されたルータをさらに含み、
    該ルータが接続されたアマチュア無線中継装置は、該ルータのコールサインを記憶しており、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ルータのコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ルータに転送し、該ルータから無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
    前記ルータは、前記アマチュア無線中継装置から転送されてきた無線フレーム中の送信元のコールサインと送信元又は送信先のネットワークアドレスとを少なくとも対応付けて蓄積し、受信したLANフレームに含まれている送信対象の情報に送信元と送信先のネットワークアドレスを付して前記外部ネットワークに出力し、前記外部ネットワークより情報を受信した場合に、受信した情報に付されているネットワークアドレスに対応するコールサインを、蓄積しているコールサインのなかから検索し、検索したコールサインを含む無線ヘッダを含む無線フレームを合成し、これを前記アマチュア無線中継装置に出力する、
    ことを特徴とするネットワークシステム。
  2. 前記アマチュア無線中継装置の何れかに接続されたネットワークアドレス割当部をさらに含み、
    該ネットワークアドレス割当部が接続されたアマチュア無線中継装置は、該ネットワークアドレス割当部のコールサインを記憶しており、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ネットワークアドレス割当部のコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ネットワークアドレス割当部に転送し、該ネットワークアドレス割当部から無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
    前記ネットワークアドレス割当部は、該アマチュア無線中継装置から転送されてきた無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成し、該LANフレームがネットワークアドレスの割当を要求するものであるときには、ネットワークアドレス割当処理を行ってLANフレームを生成し、生成したLANフレームに無線へッダを付加して該アマチュア無線中継装置に転送する、
    ことを特徴とする請求項に記載のネットワークシステム。
  3. 自己が管理するアマチュア無線端末装置のコールサインを記憶するメモリと、
    アマチュア無線で信号を送受信するアマチュア無線送受信手段と、
    幹線との間で信号を授受する幹線インタフェースと、
    アマチュア無線から無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを前記メモリに記憶されているコールサインと照合し、一致すると判別された際には、該無線フレームを破棄もしくはアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを前記幹線インタフェースを介して幹線に送信し、幹線から幹線インタフェースを介して無線フレームを受信し、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームを前記アマチュア無線送受信手段によりアマチュア無線にて送信し、一致しないときには破棄もしくは前記幹線インタフェースを介して幹線に送信する制御手段と、
    ネットワークアドレス割当部と、
    外部ネットワークとの通信を可能とするルータと、を含み、
    前記メモリは前記ネットワークアドレス割当部のコールサインを記憶しており、
    前記制御手段は、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ネットワークアドレス割当部のコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ネットワークアドレス割当部に転送させ、該ネットワークアドレス割当部から無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
    前記ネットワークアドレス割当部は、無線中継装置から転送されてきた無線フレームから無線へッダを除去してLANフレームを生成し、該LANフレームがネットワークアドレスの割当を要求するものであるときには、ネットワークアドレス割当処理を行い、生成したLANフレームに相手局コールサインを含む無線へッダを付加して無線中継装置に転送し、
    前記メモリは前記ルータのコールサインを記憶しており、
    前記制御手段は、幹線もしくはアマチュア無線から受信した無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインが該ルータのコールサインと一致するときには、該無線フレームを該ルータに転送させ、該ルータから無線フレームが転送されてきたときには、該無線フレームの無線へッダに含まれる相手局コールサインを自己が管理するコールサインと照合し、一致するときには該無線フレームをアマチュア無線により送信し、一致しないときには該無線フレームを幹線に送信し、
    前記ルータは、無線中継装置から転送されてきた無線フレームからコールサインとネットワークアドレスとを抽出して記憶し、該当する情報をネットワーク上に出力し、ネットワーク上のシステムから情報を受信すると、その情報に含まれているネットワークアドレスから、予め記憶しておいたコールサインを判別し、判別したにコールサインを含む無線ヘッダと受信した情報を含むLANフレームとを備える無線フレームを合成して前記無線中継装置に出力する、
    ことを特徴とする無線中継装置。
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