JP3807543B2 - レンズ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ制御装置に係り、特に、ズーム位置を操作する一軸二操作式コントローラからの位置指令信号と、ズーム速度を操作するズームデマンドからの速度指令信号とを切り替えてズーム制御を行うことができるレンズ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放送用テレビカメラに使用される箱型のズームレンズ装置(EFPレンズ)において、ズーム操作やフォーカス操作等のレンズ操作を手動で行うものと、電動で行うものとがある。手動で行うものでは一軸二操作式と呼ばれる手動操作方式が一般的であり、操作棒の押し引き操作でズーム操作を行うことができ、操作棒の回動操作でフォーカス操作を行うことができるようになっている。
【0003】
一方、レンズ操作を電動で行うものとしては、ズームレートデマンド(以下、ズームデマンド)やフォーカスポジションデマンド(以下、フォーカスデマンド)等の専用のコントローラからの指令信号によりサーボモータを駆動し、その駆動力によってズームレンズやフォーカスレンズを駆動させるサーボ方式と呼ばれる操作方式が知られている。
【0004】
また、実公昭60−27366号公報によれば、一軸二操作式の手動操作方式及びサーボ方式のいずれの操作方式でも撮影状況やカメラマンの好みに応じて選択できるようにするため、1台のズームレンズ装置に手動操作方式とサーボ方式の両方の駆動機構を設けたものが提案されている。
【0005】
ところで、従来のように一軸二操作式の手動操作方式とサーボ方式の両方の駆動機構を設けると、機構が複雑になりコストが高くなる等の欠点があった。このため、一軸二操作式の操作棒の押し引き位置及び回動位置を電気的に検出して、その検出した信号に基づいてズームレンズ及びフォーカスレンズをサーボ駆動できるようにし、サーボ駆動機構のみで一軸二操作式と従来のサーボ方式の両方の操作方式を適宜選択して使用できるようにしたものが提案されている(特開2000−227539号公報)。尚、一軸二操作式の操作棒の押し引き位置及び回動位置を電気的に検出してその検出信号を出力するようにした操作手段を一軸二操作式コントローラというものとする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一軸二操作式コントローラは、ズーム操作に関しては操作棒の押し引き位置に対応するズーム位置への移動を指令する位置指令用のレンズコントローラであるのに対し、ズームデマンドは、サムリングの回動位置に対応するズーム速度での移動を指令する速度指令用のレンズコントローラである点で相違する。このため、有効なコントローラをスイッチ等によってズームデマンドから一軸二操作式コントローラに切り替えた際に、即座に操作棒の押し引き位置にズームレンズの位置が移動する不具合があった。例えば、誤ってコントローラの切替操作を行ってしまった場合に、元のコントローラを有効に切替えてもズーム位置は元の位置から変化してしまっており、操作の取消しを行うことができない。また、一軸二操作式コントローラの操作に切り替えた際に、ズーム位置が急激に変化するため撮影画面に違和感が生じるという不具合もある。更に、一軸二操作式コントローラを有効にした際に元のズーム位置から継続して微調整等のズーム操作を行うことができないという不具合もある。
【0007】
このような不具合は、例えば、複数のコントローラから与えられる同一対象についての複数の指令信号のうち、いずれかの指令信号を選択してその指令信号に基づいてズーム制御やフォーカス制御などのレンズ制御を行う場合に生じ、特に位置指令信号を選択した場合のその位置指令信号への切替え時に同様に生じる問題である。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、同一対象(ズームレンズ等)についての複数の指令信号のうち、有効な指令信号を位置指令信号に切り替える際に生じる上記不具合を防止するレンズ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、有効にする指令信号の切替えを指示する切替指示手段と、前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にする切替えが前記切替指示手段によって指示されると、該切替えが指示された後、前記位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置の変化量が一定量を超えたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記一定量を超えないと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にせず、前記判定手段によって前記一定量を超えたと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、位置指令信号を有効にする切替えが指示されると、その位置指令信号により指令される位置の変化量が一定量を超えるまでは、その位置指令信号を有効にせず、一定量を超えると有効にするようにしたため、例えば、誤って指令信号の切替えを指示した場合でも元のレンズの位置が保持され、元の有効な指令信号への切替えを指示すれば元の状態に戻すことができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、有効にする指令信号の切替えを指示する切替指示手段と、前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にする切替えが前記切替指示手段によって指示されると、前記第1のコントローラからの位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置と、前記ズームレンズが実際に設定されている現在位置とが一致したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって一致しないと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にせず、前記判定手段によって一致したと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、位置指令信号を有効にする切替えが指示されると、その位置指令信号により指令される位置と、レンズが実際に設定されている位置とが一致するまでは、その位置指令信号を有効にせず、一致した時点で有効にするようにしたため、位置指令信号への切替時にレンズが位置指令信号により指令された位置に急激に移動する不具合を防止することができ、また、位置指令信号への切替前のレンズ位置から継続してレンズ位置を制御することができるようになる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、該速度指令信号により指令される前記ズームレンズの速度に変化があるか否かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって変化がないと判定された場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置と、前記ズームレンズが実際に設定されている現在位置とが一致したか否かを判定する第2の判定手段と、前記第2の判定手段によって一致すると判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明は、請求項2と同様の効果を奏するが、指令信号の切替えを指示する切替指示手段を不要としている点で相違している。
【0015】
以上の発明は、例えば、請求項4に記載のように、前記レンズは、ズームレンズであり、前記複数の指令信号は、操作棒の押し引き位置に基づいてズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、ズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号とからなる場合に適用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るレンズ制御装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明が適用されたテレビカメラシステム10の全体構成を示した斜視図である。同図のテレビカメラシステム10は、主としてレンズ装置12及びカメラ本体14から構成され、レンズ装置12は、雲台22に載置されたカメラ本体14の正面側に装着される。レンズ装置12の背面側(カメラ本体14に装着される面)には操作棒16が設置され、その操作棒16は、カメラ本体14に形成された操作棒挿通孔14Aを貫通してカメラ本体14の背面側に延設される。なお、操作棒16はレンズ装置12に対して着脱自在である。
【0018】
カメラマンは、ビューファインダ20に映る映像を見ながら、操作棒16のグリップ18を把持して操作棒16を押し引き操作することでズーム操作を行うことができ、また、グリップ18を回転操作し、操作棒16の軸を回転させることでフォーカス操作を行うことができる。尚、操作棒16は、ズームレンズ及びフォーカスレンズをサーボ駆動するための一軸二操作式コントローラの操作部材であり、この一軸二操作式コントローラは、ズーム操作及びフォーカス操作ともに、ズーム、フォーカスの移動すべき位置を指令する位置指令用のコントローラに相当する。
【0019】
雲台22から延設されたパンチルト棒24A、24Bには、ズームレートデマンド26(以下、ズームデマンド26という)とフォーカスポジションデマンド28(以下、フォーカスデマンド28という)が設置されている。ズームデマンド26は、ズームの移動速度(ズーム速度)を指令する速度指令用のコントローラであり、ズームデマンド26からはサムリング26Aの回動位置に対応したズーム速度でのズームレンズの移動を指令するズーム速度指令信号が出力される。一方、フォーカスデマンド28は、フォーカスの移動すべき位置を指令する位置指令用のコントローラであり、フォーカスデマンド28からはフォーカスノブ28Aの回動位置に対応したフォーカス位置へのフォーカスレンズの移動を指令するフォーカス位置指令信号が出力される。これらの指令信号はケーブルを介してレンズ装置12に送信される。
【0020】
カメラマンは、ズームデマンド26のサムリング26Aを親指で回動操作することによりズーム操作を行うことができ、フォーカスデマンド28のフォーカスノブ28Aを回動操作することでフォーカス操作を行うことができる。
【0021】
図2は、本発明に係るレンズ制御装置におけるズーム制御及びフォーカス制御に関連する構成を示したブロック図である。同図に示すようにレンズ装置12にはサーボ駆動により移動可能なズームレンズZL、フォーカスレンズFL等の光学部材が配置されると共に、ズームレンズZL及びフォーカスレンズFLをサーボ駆動するためのズーム用サーボモジュールZSやフォーカス用サーボモジュールFSが搭載されている。また、レンズ装置12にはマイコン40が内蔵されており、このマイコン40には、レンズ装置12に内蔵された一軸二操作式コントローラ42と、レンズ装置12の所定のコネクタを介して上記ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28とが同時に接続できるようになっている。
【0022】
一軸二操作式コントローラ42は、上記操作棒16をズーム操作用及びフォーカス操作用の操作部材とするものであり、ズーム及びフォーカスのいずれについても位置指令用のレンズコントローラに相当する。この一軸二操作式コントローラ42には、図3に示すように操作棒16の押し引き位置と、回転位置のそれぞれを検出するポテンショメータ50とポテンショメータ52が設置されており、ポテンショメータ50から出力された検出信号がズーム位置指令信号としてマイコン40に与えられ、ポテンショメータ52から出力された検出信号がフォーカス位置指令信号としてマイコン40に与えられるようになっている。
【0023】
一方、ズームデマンド26は、サムリング26Aの回動位置に対応したズーム速度でのズームレンズの移動を指令する速度指令用のレンズコントローラである。ズームデマンド26とレンズ装置12のマイコン40との間では、例えばシリアル通信により信号のやり取りが行えるようになっており、サムリング26Aの回動位置に対応したズーム速度でのズームレンズZLの移動を指令するズーム速度指令信号がマイコン40に送信される。
【0024】
また、フォーカスデマンド28は、フォーカスノブ28Aの回動位置に対応したフォーカス位置へのフォーカスレンズFLの移動を指令する位置指令用のレンズコントローラである。ズームデマンド26と同様にフォーカスデマンド28とマイコン40との間では、例えばシリアル通信により信号のやり取りが行えるようになっており、フォーカスノブ28Aの回動位置に対応したフォーカス位置へのフォーカスレンズFLの移動を指令するフォーカス位置指令信号がマイコン40に送信される。
【0025】
マイコン40は、詳細を後述するように一軸二操作式コントローラ42から取得したズーム位置指令信号とズームデマンド26から取得したズーム速度指令信号のうち、いずれか一方をズーム制御についての有効な指令信号とする。即ち、一軸二操作式コントローラ42とズームデマンド26のうち、いずれか一方をズーム操作についての有効なコントローラとする。一軸二操作式コントローラ42から取得したズーム位置指令信号を有効とした場合には、そのズーム位置指令信号により指令されたズーム位置にズームレンズZLが移動するように、そのズーム位置指令信号により指令されたズーム位置と、ズーム位置検出手段ZPから取得したズーム現在位置とを比較しながら適切なズーム速度でのズームレンズZLの移動を指令するズーム速度指令信号をズーム用サーボモジュールZSに送信する。一方、ズームデマンド26から取得したズーム速度指令信号を有効とした場合には、そのズーム速度指令信号をズーム用サーボモジュールZSに送信する。
【0026】
同様に、マイコン40は、一軸二操作式コントローラ42から取得したフォーカス位置指令信号とフォーカスデマンド28から取得したフォーカス位置指令信号のうち、いずれか一方をフォーカス制御についての有効な指令信号とする。即ち、一軸二操作式コントローラ42とフォーカスデマンド28のうち、いずれか一方をフォーカス操作についての有効なコントローラとする。一軸二操作式コントローラ42から取得したフォーカス位置指令信号を有効とした場合には、そのフォーカス位置指令信号により指令されたフォーカス位置にフォーカスレンズFLが移動するように、そのフォーカス位置指令信号により指令されたフォーカス位置と、フォーカス位置検出手段FPから取得したフォーカス現在位置とを比較しながら適切なフォーカス速度でのフォーカスレンズFLの移動を指令するフォーカス速度指令信号をフォーカス用サーボモジュールFSに送信する。一方、フォーカスデマンド28から取得したフォーカス位置指令信号を有効とした場合にも、そのフォーカス位置指令信号により指令されたフォーカス位置にフォーカスレンズFLが移動するように、そのフォーカス位置指令信号により指令されたフォーカス位置と、前記図示しないフォーカス位置検出手段から取得したフォーカス現在位置とを比較しながら適切なフォーカス速度でのフォーカスレンズFLの移動を指令するフォーカス速度指令信号をフォーカス用サーボモジュールFSに送信する。
【0027】
ズーム用サーボモジュールZSは、マイコン40から上記ズーム速度指令信号が与えられると、その指令信号により指令されたズーム速度でズームレンズZLが移動するようにズームレンズZLを図示しない動力伝達機構を介してモータによりサーボ駆動する。同様にフォーカス用サーボモジュールFSは、マイコン40から上記フォーカス速度指令信号が与えられると、その指令信号により指令されたフォーカス速度でフォーカスレンズFLが移動するようにフォーカスレンズFLを図示しない動力伝達機構を介してモータによりサーボ駆動する。
【0028】
次に、コントローラの切替えについて説明する。上述のようにズーム操作については、一軸二操作式コントローラ42における操作棒16の押し引き操作と、ズームデマンド26におけるサムリング26Aの回動操作により行うことが可能であり、フォーカス操作については、一軸二操作式コントローラ42における操作棒16の回動操作と、フォーカスデマンド28のフォーカスノブ28Aの回動操作により行うことが可能である。従って、ズーム操作及びフォーカス操作のいずれについても2つのコントローラが存在していることになる。同種の操作(ズーム操作又はフォーカス操作)について2つのコントローラが存在している場合、それらを同時に有効にすることはできないため、一方を有効としているときには、他方を無効にしておく必要がある。しかしながら、そのために、無効にするコントローラとレンズ装置12との接続を電気的又は物理的に切り離すのは、同種の操作について複数のコントローラを接続可能にした意味がなく、また、コントローラを切り替える際の手間も要するため、本実施の形態では、所望のコントローラを有効にするための簡単な切替指示操作をカメラマンが行うことによって有効にするコントローラと無効にするコントローラとをレンズ装置12のマイコン40に認識させ、マイコン40上の処理で有効にするコントローラの切替えを行うようにしている。尚、コントローラが有効とは、マイコン40において、そのコントローラから取得した指令信号を有効とし、有効とした指令信号に基づいてズーム用サーボモジュールZS又はフォーカス用サーボモジュールFSを介してズームレンズZL又はフォーカスレンズFLを駆動することを意味し、コントローラが無効とは、そのコントローラから取得した指令信号を無効とし、無効とした指令信号に基づいてはズームレンズZL又はフォーカスレンズFLを駆動しないことを意味するものとする。
【0029】
ところで、コントローラの切替えは、ズーム操作とフォーカス操作のそれぞれについて、▲1▼単独のみでコントローラの切替え(正確には切替指示、以下、同様)を可能にした場合、▲2▼同時のみでコントローラの切替えを可能にした場合、▲3▼単独と同時の両方でコントローラの切替えを可能にした場合、▲4▼コントローラの切替えを不可にした場合とが考えられる。具体的にズーム操作について説明すると、▲1▼の態様は、例えばズームデマンド26とフォーカスデマンド28が有効となっている場合にズーム操作についてのみ一軸二操作式コントローラ42を有効なコントローラとして切り替えることができる場合であり、この場合、ズーム操作についてのみ一軸二操作式コントローラ42を有効なコントローラとして切り替え、フォーカス操作についてはフォーカスデマンド28を有効なコントローラとした状態で維持することができる。▲2▼の態様は、例えば、ズームデマンド26とフォーカスデマンド28を一方の属(同属)のコントローラとし、一軸二操作式コントローラ42と他方の属のコントローラとして考え、コントローラの切替えは、ズーム操作とフォーカス操作の両操作について、同属のコントローラへの切替えを同時に行う場合のみに限られるとしたものである。即ち、ズーム操作及びフォーカス操作の両操作について、ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28への切替えを同時に行うか、又は、一軸二操作式コントローラ42への切替えを同時に行う場合に限られるとしたものである。この場合、▲1▼の態様のようにズーム操作についてのみ一軸二操作式コントローラ42を有効にするということはできないが、ズーム操作とフォーカス操作の両操作について同属のコントローラへの切替指示を個別に行う手間が削減されるという利点がある。▲3▼の態様は、▲1▼の態様と▲2▼の態様におけるコントローラの切替えのいずれも可能な場合である。▲4▼の態様については省略する。
【0030】
以上の▲1▼〜▲4▼の態様は、ズーム操作とフォーカス操作のそれぞれについて個別の態様として考えられるため、ズーム操作についての▲1▼〜▲4▼の態様とフォーカス操作についての▲1▼〜▲4▼の態様とを組み合わせたものが最終的に採用できる態様となる。尚、組み合わせの態様によっては、理論上矛盾するものもあり、例えば、ズーム操作については▲1▼の態様、フォーカス操作については▲2▼の態様という組み合わせの態様は理論上矛盾しており当然、採用することはできない。このような理論上矛盾する態様以外は採用することができる。
【0031】
▲1▼〜▲4▼の組み合わせの各態様のうち、どの態様が好適かは状況によって異なるため、有意義と思われるいくつかの態様を選択可能にするのが好ましく、本実施の形態では、ズーム操作とフォーカス操作の両操作について▲2▼とした態様と、ズーム操作については▲1▼、フォーカス操作については▲4▼とした態様の2態様を選択可能とする。即ち、前者は、ズームデマンド26とフォーカスデマンド28を一方の属(同属)のコントローラとし、一軸二操作式コントローラ42を他方の属のコントローラとして考え、コントローラの切替えは、ズーム操作とフォーカス操作の両操作について、同属のコントローラへの切替えを同時に行う場合のみに限られるとした態様であり、この態様を[Z+F]切替モードというものとする。一方、後者は、ズーム操作についてのみコントローラの切替えを可能としたもので、フォーカス操作についてはコントローラの切替えを不可にした態様であり、この態様を[Z]切替モードというものとする。この場合におけるモード選択スイッチ(以下、[Z+F]/[Z]選択スイッチという)の配置の一例を図4に示す。同図においてレンズ装置12には[Z+F]/[Z]選択スイッチ60が設けられている。[Z+F]/[Z]選択スイッチ60は、例えば、2位置式のスライドスイッチであり、スイッチのレバーは、[Z+F]切替モードを選択する位置と、[Z]切替モードを選択する位置とで切替えられるようになっている。この[Z+F]/[Z]選択スイッチ60の設定状態はマイコン40で読み取られ、マイコン40は、その設定状態が[Z+F]切替モードを選択する位置の場合には、[Z+F]切替モードにおけるコントローラの切替処理を行い、 [Z]切替モードを選択する位置の場合には、[Z]切替モードにおけるコントローラの切替処理を行う。
【0032】
また、同図に示すように、[Z+F]/[Z]選択スイッチ60と同様の[Z+F]/[Z]選択スイッチ62、64をそれぞれズームデマンド26やフォーカスデマンド28に配置し、それらのスイッチ62、64の設定状態をズームデマンド26やフォーカスデマンド28からマイコン40で取得するようにしてもよい。
【0033】
このように[Z+F]/[Z]選択スイッチは、マイコン40でその設定状態を読取可能な所望の位置に1又は複数配置することができるが、[Z+F]/ [Z]選択スイッチを複数配置した場合には、どの[Z+F]/[Z]選択スイッチの設定状態に従うかを予め決めておく必要がある。例えば、[Z+F]/ [Z]選択スイッチがレンズ装置12とズームデマンド26に配置されている場合には、ズームデマンド26に配置された[Z+F]/[Z]選択スイッチの設定状態に従うようにしてもよいし、最後に[Z+F]/[Z]選択スイッチの設定状態が切り替えられた方に従うとしてもよい。また、[Z+F]/[Z]選択スイッチの設定状態を複数設ける場合であっても任意の種類のものが使用可能なズームデマンド26やフォーカスデマンド28によってはそれらのデマンドに必ずしも[Z+F]/[Z]選択スイッチがあるとも限らないため、レンズ装置12に[Z+F]/[Z]選択スイッチを設置しておくことが望ましい。また、本実施の形態のように一軸二操作式コントローラ42がレンズ装置12に内蔵されていない場合には、一軸二操作式コントローラ42に[Z+F]/[Z]選択スイッチを配置するようにしてもよい。
【0034】
尚、ズーム操作についてのみコントローラの切替えを可能とした[Z]切替モードを選択可能としたのは、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16によりズーム操作及びフォーカス操作を行った後、ズームデマンド26を有効なコントローラとして切り替えてスローズームやプリセットを行う場合に、ズーム操作と共にフォーカス操作についてもフォーカスデマンド28が有効なコントローラとして切り替わると、一軸二操作式コントローラ42のフォーカス位置指令信号とフォーカスデマンド28のフォーカス位置指令信号が異なるためにフォーカスがぼけてしまうという不具合を防止するためである。
【0035】
次に、有効とするコントローラを切り替える際におけるコントローラの切替方式の態様について説明する。コントローラの切替方式の態様は、所望のコントローラを指定してそのコントローラを無効から有効に切り替えることを指示するためのコントローラの切替指示の態様と、その切替指示により無効から有効に切り替えると指定されたコントローラを実際に有効とするまでのコントローラの切替条件の態様とに分けられる。そこで、まず、コントローラの切替指示の態様について説明する。尚、以下、説明するコントローラの切替指示の態様及び切替条件の態様は、本実施の形態で適用される上記[Z+F]切替モード又は[Z]切替モードにおいて適用される場合に限られない。
【0036】
コントローラの切替指示の態様には、オート方式とマニュアル方式とがある。オート方式は、ズーム操作又はフォーカス操作について現在無効となっているコントローラによりズーム操作又はフォーカス操作を行うと、その操作についてコントローラを無効から有効に切り替える切替指示の操作が行われたものとする方式である。尚、上記[Z+F]切替モードが選択されている場合には、ズームデマンド26とフォーカスデマンド28を一方の属(同属)のコントローラとし、一軸二操作式コントローラ42を他方の属のコントローラとして考え、ズーム操作とフォーカス操作のそれぞれについて異なる属のコントローラを有効にすることは許容されないため、ズームデマンド26によるズーム操作が行われた場合には、ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28の両方を有効に切り替える切替操作が行われたとみなし、一方、一軸二操作式コントローラ42によるズーム操作が行われた場合には、ズーム操作及びフォーカス操作の両操作について一軸二操作式コントローラ42を有効に切り替える切替操作があったとみなすものとする。
【0037】
オート方式の場合、カメラマンは特にコントローラの切替えを意識することなく、使用したいコントローラによりズーム操作又はフォーカス操作を行うだけで、その操作によりズームレンズZL及びフォーカスレンズFLを駆動することができる。尚、オート方式は、基本的には、後に操作したコントローラがその操作について有効になるとした方式であるが、本実施の形態では、後に操作されたか先に操作されたかに関係なく同種の操作(ズーム操作又はフォーカス操作)について同時に2つ(異なる属)のコントローラが操作されている場合には、一軸二操作式コントローラ42よりもズームデマンド26又はフォーカスデマンド28を有効にするものとする。
【0038】
一方、マニュアル方式は、コントローラの切替指示のための特別の操作を必要とする方式であり、例えば、レンズ装置12等に設けられたコントローラ切替指示スイッチの設定状態を切り替えることによってコントローラの切替指示を行う場合が該当する。尚、マニュアル方式の例としては他の場合も考えられ、例えば、無効から有効に切り替えたいコントローラのズーム操作部材又はフォーカス操作部材を一旦、操作停止端まで操作することにより切替指示を行う場合等もコントローラ切替指示のための特別の操作を要し、マニュアル方式に該当するが、本実施の形態ではコントローラ切替指示スイッチを使用する場合に限ってマニュアル方式という。
【0039】
図5は、マニュアル方式を採用した場合におけるコントローラ切替指示スイッチの配置を示した図である。尚、図5に示すコントローラ切替指示スイッチの配置は、本実施の形態において選択可能とした上記[Z+F]切替モードと[Z]切替モードに対応したものである。また、いずれの切替モードにおいてもコントローラ切替指示スイッチを操作することによって、ズーム操作については一軸二操作式コントローラ42からズームデマンド26、又は、ズームデマンド26から一軸二操作式コントローラ42に切り替わるようになっているため、コントローラ切替指示スイッチで有効にするコントローラの指定は、ズーム操作についてのコントローラの指定により識別するものとする。例えば、[Z+F]切替モードが選択されている場合に、コントローラ切替指示スイッチによってズームデマンド26を有効にするものと指定した場合、同時にフォーカスデマンド28を有効にするものと指定したものとする。同図においてレンズ装置12にはコントローラ切替指示スイッチ70が設けられている。コントローラ切替指示スイッチ70は、例えば、2位置式のスライドスイッチであり、スイッチのレバーは、有効にするコントローラとして一軸二操作式コントローラ42を指定する位置と、ズームデマンド26を指定する位置とで切替えられるようになっている。このコントローラ切替指示スイッチ70の設定状態はマイコン40で読み取られ、マイコン40は、その設定状態が一軸二操作式コントローラ42を指定する位置に切り替えられたことを検出した場合には、詳細を後述するようにズーム操作について有効なコントローラを一軸二操作式コントローラ42に切り替える処理を行い、コントローラ切替指示スイッチ70の設定状態がズームデマンド26を指定する位置に切り替えられたことを検出した場合には、詳細を後述するようにズーム操作について有効なコントローラをズームデマンド26に切り替える処理を行う。尚、[Z]切替モードが選択されている場合にはフォーカス操作についてのコントローラの切替処理は行わないが、[Z+F]切替モードが選択されている場合には、ズーム操作についてのコントローラの切替処理と併せてフォーカス操作についてのコントローラの切替処理も行う。
【0040】
また、同図に示すように、コントローラ切替指示スイッチ70と同様のコントローラ切替指示スイッチ72、74をそれぞれズームデマンド26やフォーカスデマンド28に配置し、それらのスイッチ72、74の設定状態をズームデマンド26やフォーカスデマンド28からマイコン40で取得するようにしてもよい。
【0041】
このようにコントローラ切替指示スイッチは、マイコン40でその設定状態を読取可能な所望の位置に1又は複数配置することができるが、コントローラ切替指示スイッチを複数配置した場合には、どのコントローラ切替指示スイッチの設定状態に従うかを予め決めておく必要がある。例えば、コントローラ切替指示スイッチがレンズ装置12とズームデマンド26に配置されている場合には、ズームデマンド26に配置されたコントローラ切替指示スイッチの設定状態に従うようにしてもよいし、最後にコントローラ切替指示スイッチの設定状態が切り替えられた方に従うとしてもよい。また、コントローラ切替指示スイッチの設定状態を複数設ける場合であっても任意の種類のものが使用可能なズームデマンド26やフォーカスデマンド28によってはそれらのデマンドに必ずしもコントローラ切替指示スイッチがあるとも限らないため、レンズ装置12にコントローラ切替指示スイッチを設置しておくことが望ましい。また、本実施の形態のように一軸二操作式コントローラ42がレンズ装置12に内蔵されていない場合には、一軸二操作式コントローラ42にコントローラ切替指示スイッチを配置するようにしてもよい。
【0042】
尚、本実施の形態では採用しない切替モードとして、例えば、ズーム操作についてのコントローラの切替えとフォーカス操作についてのコントローラの切替えを可能にする場合には、上記コントローラ切替指示スイッチ70と同様のスイッチをズーム用とフォーカス用に2つ設けることが必要である。
【0043】
以上のようなオート方式とマニュアル方式とは、ズーム操作、フォーカス操作のそれぞれについてのコントローラ切替指示の態様として異なる方式を採用することができるものであり、例えば、ズーム操作についてのコントローラの切替指示にはオート方式を採用し、フォーカス操作についてのコントローラの切替指示にはマニュアル方式を採用するということも可能である。また、コントローラAとコントローラBがある場合にコントローラAからコントローラBへの切替指示にはオート方式を採用し、コントローラBからコントローラAへの切替指示にはマニュアル方式を採用するというように有効にするものとして指定するコントローラの種類に応じてオート方式とマニュアル方式とを使い分けるようにすることもできる。また、詳細を後述するコントローラの切替条件の複数の態様を選択可能にした場合には、その選択された態様に応じてオート方式とマニュアル方式とを使い分けることもできる。更に、オート方式とマニュアル方式とをカメラマンが選択スイッチにより適宜選択できるようにすることも可能である。例えば、オート方式とマニュアル方式を選択可能にした場合の選択スイッチ(オート/マニュアル選択スイッチ)の配置を図6に例示しておく。尚、オート/マニュアル選択スイッチについては、上記[Z+F]/[Z]選択スイッチやコントローラ切替指示スイッチで説明した内容と同様であるため簡単に説明すると、同図に示すようにレンズ装置12、ズームデマンド26、フォーカスデマンド28のいずれかに少なくとも1つのオート/マニュアル選択スイッチ80、82、84が配置される。オート/マニュアル選択スイッチ80、82、84は設定状態によりオート方式とマニュアル方式のいずれかを選択できるようになっており、マイコン40は、その設定状態がオート方式を選択している場合にはオート方式によるコントローラの切替処理を行い、マニュアル方式を選択している場合にはマニュアル方式によるコントローラの切替処理を行う。
【0044】
次に、コントローラの切替条件の態様について説明する。切替条件は、上記コントローラの切替指示があった後、その切替指示により指定されたコントローラを実際に有効にするための条件であり、以下の切替条件a〜cの態様が考えられる。
【0045】
切替条件aは、上記コントローラの切替指示があると、即座にその切替指示により指定されたコントローラを有効に切り替える態様であり、特別な切替条件が設定されていない場合に相当する。例えば、オート方式では、現在無効となっているコントローラによりズーム操作又はフォーカス操作を行うと、その操作についてそのコントローラが即座に有効に切り替わり、そのコントローラからの指令信号に従ってズームレンズ又はフォーカスレンズが駆動される。マニュアル方式では、ズーム操作又はフォーカス操作について現在無効となっているコントローラを有効に切り替えるための切替指示操作をコントローラ切替指示スイッチにより行うと、その切替指示により指定されたコントローラが即座に有効に切り替わり、そのコントローラからの指令信号に従ってズームレンズ又はフォーカスレンズが駆動される。
【0046】
このようにコントローラの切替指示操作によって有効にするものとして指定したコントローラが即座に有効に切り替わる場合には、迅速にコントローラの切替えを行うことができる利点がある。しかしながらその反面で、例えば、ズーム操作についてズームデマンド26から一軸二操作式コントローラ42を有効にするものとして切替指示操作したときに、実際にズームレンズZLが設定されているズーム位置と、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置が指令するズーム位置にずれがあると、ズームレンズZLがその一軸二操作式コントローラ42によって指令されたズーム位置に急激に移動するため、撮影画面が不自然になるおそれがあり、また、一軸二操作式コントローラ42を有効に切り替える前のズーム位置から継続して操作棒16によりズーム操作を行うことができないという欠点がある。また、例えばズーム操作について誤ってズームデマンド26から一軸二操作式コントローラ42を有効にするための切替指示操作を行ってしまった場合(オート方式においては、例えば意図せずに一軸二操作式コントローラ42の操作棒16に触れてしまった場合など)に、一軸二操作式コントローラ42により指令されるズーム位置にズームレンズZLが移動してしまい、切替指示の取消しが効かないという欠点がある。
【0047】
このような欠点は、切替指示により有効にするものとして指定したコントローラからの指令信号の形態が位置指令信号の場合に同様に生じ、フォーカスについては、一軸二操作式コントローラ42とフォーカスデマンド28からの指令信号の形態が、いずれも位置指令信号であるため、フォーカス操作についてのコントローラの切替方式として切替方式aを採用した場合にも上記欠点がある。尚、ズーム操作についての有効なコントローラを、一軸二操作式コントローラ42からズームデマンド26に切り替える場合には、ズームデマンド26からの指令信号の形態が速度指令信号であることから上述のような欠点は生じない。
【0048】
切替条件bは、コントローラの切替指示操作後、その切替指示により指定されたコントローラにおける操作(ズーム操作についてのコントローラの切替指示であればズーム操作)が一定操作量を超えたか否かを切替条件とする。即ち、切替指示により指定されたコントローラからの指令信号により指令されるズーム位置又はフォーカス位置の変化量が一定量を超えたか否かを切替条件とする。その指定されたコントローラにおける操作が一定操作量を超えるまでは指定されたコントローラを有効とせずにその操作を監視し、その指定されたコントローラにおける操作が一定操作量を超えた場合には、その指定されたコントローラを有効に切り替え、それ以後においてそのコントローラから与えられる指令信号に基づいてズームレンズZL又はフォーカスレンズFLを駆動する。例えば、ズーム操作について有効とするコントローラをズームデマンド26から一軸二操作式コントローラ42に切り替えるための切替指示操作を行った場合、その切替指示操作の後、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き操作が一定操作量を超えた場合にそれ以後、一軸二操作式コントローラ42の押し引き操作に基づいてズームレンズZLを駆動する。このような切替条件bを採用することにより、誤ってコントローラの切替指示操作を行っても切替条件bを満たすまではズームレンズZL又はフォーカスレンズFLは駆動されず、その切替指示操作前の状態を保持しておくことができる。
【0049】
切替条件cは、コントローラの切替指示操作後、その切替指示により指定されたコントローラにより指令されるズーム位置又はフォーカス位置が、ズームレンズZL又はフォーカスレンズFLが実際に設定されているズーム現在位置又はフォーカス現在位置に交差(一致)したか否かを切替条件とする。その指定されたコントローラにより指令されるズーム位置又はフォーカス位置がズーム現在位置又はフォーカス現在位置に交差(一致)するまでは指定されたコントローラを有効とせずにその操作を監視し、その指定されたコントローラが指令するズーム位置又はフォーカス位置がズーム現在位置又はフォーカス現在位置に交差(一致)した場合には、その指定されたコントローラを有効に切り替え、それ以後においてそのコントローラから与えられる指令信号に基づいてズームレンズZL又はフォーカスレンズFLを駆動する。例えば、ズーム操作についてズームデマンド26が有効なコントローラになっている場合に、一軸二操作式コントローラ42を有効なコントローラとするための切替指示操作を行ったとする。そして、この切替指示時において、図7(A)に示すように一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置が、ズームレンズZLが実際に設定されているズーム現在位置よりもワイド側であったとする。この場合、操作棒16を押し引き操作しても同図(B)に示すように操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置とズーム現在位置とが交差(一致)するまでは、一軸二操作式コントローラ42は有効とならず、ズームレンズZLは停止した状態を継続する。一方、操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置とズーム現在位置とが交差すると、その後は、一軸二操作式コントローラ42が有効に切り替わり、同図(C)に示すように操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置(一軸二操作式コントローラ42からのズーム位置指令信号)に従ってズームレンズZLが駆動され、ズーム現在位置が移動する。
【0050】
このような切替条件cを採用することにより、コントローラの切替後も切替前のズーム位置又はフォーカス位置から継続してズーム操作又はフォーカス操作を行うことができる。尚、切替条件cは、特に上記切替条件aにおける上述した欠点に対して有効であり、コントローラの切替指示により有効にするものと指定されたコントローラが位置指令信号を出力する場合に特に有効である。
【0051】
以上の説明のように、コントローラの切替指示の態様としてオート方式とマニュアル方式のいずれかを採用することができ、コントローラの切替条件として切替条件a〜cの態様のいずれかを採用することができる。したがって、コントローラの切替方式としては、これらの切替指示の態様と切替条件の態様とを組み合わせたうちのいずれかの態様を採用することができる。また、このような切替方式の態様のうち、いくつかの態様を選択可能にすることもできる。切替方式の態様を選択可能にする場合には、図6に示したようにコントローラの切替指示の態様を選択するためのオート/マニュアル選択スイッチ80、82、84の他に、コントローラの切替条件を選択するための選択スイッチをオート/マニュアル選択スイッチ80、82、84と同様に配置すればよい。また、このようにコントローラの切替指示の態様と切替条件の態様とを分けて所望の切替方式の態様を選択可能にするのではなく、切替指示の態様と切替条件の態様とを組み合わせた切替方式の態様そのものを選択可能にしてもよい。更に、有効なものとして切り替えるコントローラごとに異なる切替方式を採用することができると共に、切替方式を選択できるようにすることもできる。
【0052】
以下で説明するマイコン40のコントローラの切替処理においては、ズーム操作について一軸二操作式コントローラ42を有効なものとして切り替える場合の切替方式として、マニュアル方式と上記切替条件aとを組み合わせた態様と、マニュアル方式と上記切替条件cとを組み合わせた態様と、オート方式と上記切替条件cとを組み合わせた態様の3通りの態様を選択可能にする。これ以外のコントローラへの切替方式は、ズーム操作について一軸二操作式コントローラ42への切替方式として選択されている態様がオート方式であれば全てオート方式とし、一軸二操作式コントローラ42への切替方式として選択されている態様がマニュアル方式であれば全てマニュアル方式とする。また、ズーム操作についての一軸二操作式コントローラ42への切替条件以外は全て上記切替条件aを採用するものとする。この場合における切替方式の選択スイッチ(切替方式選択スイッチ)の配置を図8に例示する。尚、マニュアル方式と上記切替条件a とを組み合わせた態様を切替方式Aとし、マニュアル方式と上記切替条件cとを組み合わせた態様を切替方式Bとし、オート方式と上記切替条件cとを組み合わせた態様を切替方式Cとする。また、切替方式選択スイッチについては、上記[Z+F]/ [Z]選択スイッチやコントローラ切替指示スイッチ等で説明した内容と同様の内容が適用可能であるため簡単に説明する。同図に示すようにレンズ装置12、ズームデマンド26、フォーカスデマンド28のいずれかに少なくとも1つの切替方式選択スイッチ90、92、94が配置される。尚、上述した理由により少なくともレンズ装置12に切替方式選択スイッチ90を配置しておくことが望ましい。切替方式選択スイッチ90、92、94は、その設定状態により上記切替方式A、B、Cの3つの方式を選択することができるようになっており、マイコン40は、その設定状態が切替方式Aを選択している場合には切替方式Aによるコントローラの切替処理を行い、切替方式Bを選択している場合には切替方式Bによるコントローラの切替処理を行い、切替方式Cを選択している場合には切替方式Cによるコントローラの切替処理を行う。
【0053】
尚、上述のようにコントローラを切替えるための切替方式を上述のように切替指示の態様と切替条件の態様とに分けたのは、各態様間の相違を明確にする説明の便宜上の問題であって、コントローラの切替えのためのカメラマンの操作及びマイコン40の処理において、必ずしも切替指示のための操作と切替条件を満たすための操作とを区別する必要はない。特に、オート方式の場合、切替条件a〜cのいずれの組み合わせにおいても、有効なコントローラがあるコントローラから他のコントローラに切り替わるまで、一定の操作が継続して行われるため、切替指示と切替条件とを区別してコントローラの切替えの操作及び処理を行う必要はなく、例えば、ズーム操作について一軸二操作式コントローラ42を有効なコントローラに切り替える場合、オート方式では、ズームデマンド26におけるズーム操作を停止し、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き操作を行えば、最終的には一軸二操作式コントローラ42が有効に切り替わるため、どこまでが切替指示のための押し引き操作でどこからが切替条件を満たすための押し引き操作かを区別して操作及び処理することは不要である。
【0054】
次に、上記マイコン40におけるコントローラの切替処理について説明する。尚、図4 に示した[Z+F]/[Z]選択スイッチにより[Z+F]切替モードと[Z]切替モードの選択が可能であって、図8に示した切替方式選択スイッチにより上記切替方式Aと切替方式Bと切替方式Cの選択が可能な実施の形態について説明する。切替方式A、Bが選択された場合には、図5に示したコントローラ切替指示スイッチが使用される。図9は、マイコン40におけるメイン処理の概略を示したフローチャートである。まず、マイコン40は、コントローラの切替処理を実行し(ステップS10)、ズーム操作とフォーカス操作のそれぞれについて有効とするコントローラを設定する。即ち、一軸二操作式コントローラ42、ズームデマンド26、及び、フォーカスデマンド28からそれぞれ取得する指令信号のうち、ズーム制御について有効とする指令信号と、フォーカス制御について有効とする指令信号を設定する。尚、詳細は後述するが、コントローラの切替処理では、ズーム制御についてズームデマンドから取得したズーム速度指令信号を有効とする場合には、パラメータZManualが0に設定され、一軸二操作式コントローラ42から取得したズーム位置指令信号を有効とする場合には、パラメータZManualが2に設定される。上述のようにズーム操作について一軸二操作式コントローラ42を有効にするものと切替指示があった後、実際に有効とするまで(上記切替条件が満たされるまで)の監視状態では、パラメータZManualは1に設定される。フォーカス制御についてフォーカスデマンドから取得したフォーカス位置指令信号を有効とする場合には、パラメータFManualが0に設定され、一軸二操作式コントローラ42から取得したフォーカス位置指令信号を有効とする場合には、パラメータFManualが2に設定される。
【0055】
ステップS10の処理によりズーム制御とフォーカス制御のそれぞれについて有効とする指令信号を設定すると、続いて、ズーム処理及びフォーカス処理を実行する(ステップS12、S14)。以上の処理を繰り返し実行する。
【0056】
まず、ステップS12のズーム処理を図10のフローチャートを用いて説明する。まず、マイコン40は、ズームデマンド26からズーム速度指令信号を読み込む(ステップS20)。尚、その他、ズームデマンド26に設けられている各種スイッチの設定状態の信号等も読み込む。次に、上記ステップS10のコントローラ切替処理により設定されるZManualが0か否かを判定する(ステップS22)。YESと判定した場合には、ズームデマンド26用のズーム制御とする(ステップS24)。即ち、ステップS20においてズームデマンド26から取得したズーム速度指令信号を有効としてズーム制御を行うものとする。そして、ズームデマンド26から取得したズーム速度指令信号に基づいてズームレンズZLを実際に駆動する(ステップS34)。
【0057】
一方、上記ステップS22においてNOと判定した場合には、一軸二操作式コントローラ42から操作棒16の押し引き位置に応じたズーム位置指令信号を読み込む(ステップS26)。そして、一軸二操作式コントローラ42用のズーム制御とする(ステップS28)。即ち、一軸二操作式コントローラ42から取得したズーム位置指令信号とズームレンズZLが実際に設定されているズーム現在位置とに基づいて、そのズーム位置指令信号により指令されるズーム位置にズームレンズZLが移動するようにズーム速度指令信号を生成する。続いて、上記ステップS10のコントローラ切替処理により設定されるZManualが1か否かを判定する(ステップS30)。YESと判定した場合には、ステップS28において生成したズーム速度指令信号を無効とし、ズームレンズZLを停止させる制御を行う(ステップS32)。一方、NOと判定した場合には、ステップS28において生成したズーム速度指令信号に基づいてズームレンズZLを実際に駆動する(ステップS34)。以上の処理が終了すると、図9のメイン処理に戻る。
【0058】
次に、図9のステップS14のフォーカス処理を図11のフローチャートを用いて説明する。まず、マイコン40は、フォーカスデマンド28からフォーカス位置指令信号を読み込む(ステップS40)。尚、その他、フォーカスデマンド28に設けられている各種スイッチの設定状態の信号等も読み込む。次に、上記ステップS10のコントローラ切替処理により設定されるFManualが0か否かを判定する(ステップS42)。YESと判定した場合には、フォーカスデマンド26用のフォーカス制御とする(ステップS44)。即ち、ステップS40においてフォーカスデマンド28から取得したフォーカス位置指令信号を有効とし、フォーカスデマンド28から取得したフォーカス位置指令信号とフォーカスレンズFLが実際に設定されているフォーカス現在位置とに基づいて、そのフォーカス位置指令信号により指令されるフォーカス位置にフォーカスレンズFLが移動するようにフォーカス速度指令信号を生成する。そして、そのフォーカス速度指令信号に基づいてフォーカスレンズFLを実際に駆動する(ステップS50)。
【0059】
一方、上記ステップS42においてNOと判定した場合には、一軸二操作式コントローラ42から操作棒16の回動位置に応じたフォーカス位置指令信号を読み込む(ステップS46)。そして、一軸二操作式コントローラ42用のフォーカス制御とする(ステップS48)。即ち、一軸二操作式コントローラ42から取得したフォーカス位置指令信号とフォーカスレンズFLが実際に設定されているフォーカス現在位置とに基づいて、そのフォーカス位置指令信号により指令されるフォーカス位置にフォーカスレンズFLが移動するようにフォーカス速度指令信号を生成する。そして、そのフォーカス速度指令信号に基づいてフォーカスレンズFLを実際に駆動する(ステップS50)。以上の処理が終了すると、図9のメイン処理に戻る。
【0060】
次に、図9のステップS10のコントローラ切替処理を図12乃至図図17のフローチャートを用いて説明する。まず、図12に示すようにマイコン40は、切替方式選択スイッチにより選択されている切替方式を認識する(ステップS60)。尚、図8に示したように切替方式選択スイッチが複数設けられている場合には所定の規則でいずれかの切替方式選択スイッチの設定状態に従う。続いて、選択された切替方式が切替方式Aか否かを判定する(ステップS62)。YESと判定した場合には、切替方式Aの処理を実行し(ステップS64)、図9のメイン処理に戻る。上記ステップS62においてNOと判定した場合には、選択された切替方式が切替方式Bか否かを判定する(ステップS66)。YESと判定した場合には、切替方式Bの処理を実行し(ステップS68)、図9のメイン処理に戻る。上記ステップS66においてNOと判定した場合には、切替方式Cの処理を実行し(ステップS70)、図9のメイン処理に戻る。
【0061】
次に、図12のステップS64における切替方式Aの処理について図13のフローチャートを用いて説明する。切替方式Aにおいて、マイコン40は、まず、ズームデマンド26又はフォーカスデマンド28が接続されているか否か、及び、接続されたデマンド26、28に図5に示したコントローラ切替指示スイッチが設置されているか否かを判断する(ステップS80)。尚、両方にコントローラ切替指示スイッチが設置されている場合には、予め決めた規則に従い、いずれか一方のスイッチを有効とする。YESと判定した場合には、そのコントローラ切替指示スイッチがズームデマンド26を有効にするものとして指定しているか否かを判定する(ステップS82)。YESと判定した場合には、上記パラメータZManualを0とし(ステップS84)、FManualを0とする(ステップS86)。尚、ステップS86のようにFManualの値を設定するのは、コントローラ切替モードとして[Z+F]切替モードが選択されている場合であり、[Z]切替モードが選択されている場合には、FManualの値の設定は行わない。即ち、FManualを変更しないことによって、フォーカス操作についてのコントローラの切替えを行わないようにする。FManualの値を設定する他の処理についても同様であるため、以後説明を省略する([Z+F]切替モードが選択されているものとする)。このようにZManual及びFManualを0に設定することにより、図10のズーム処理で示したようにズームデマンド26及びフォーカスデマンド28が有効となる。
【0062】
一方、上記ステップS82においてNOと判定した場合には、上記パラメータZManualを2とし(ステップS88)、FManualを2とする(ステップS90)。このようにZManual及びFManualを2に設定することにより、図10のズーム処理で示したようにズーム操作及びフォーカス操作の両操作について一軸二操作式コントローラ42が有効となる。ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28が有効となる。
【0063】
上記ステップS80においてNOと判定した場合、ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28にはコントローラ切替指示スイッチがないため、レンズ装置12に設けられたコントローラ切替指示スイッチの設定状態に従い、そのコントローラ切替指示スイッチがズームデマンド26を有効にするものとして指定しているか否かを判定する(ステップS92)。YESと判定した場合には、ZManualを0とし(ステップS94)、FManualを0とする(ステップS96)。このようにZManual及びFManualを0に設定することにより、図10のズーム処理で示したようにズームデマンド26及びフォーカスデマンド28が有効となる。
【0064】
一方、上記ステップS92においてNOと判定した場合には、上記パラメータZManualを2とし(ステップS88)、FManualを2とする(ステップS90)。このようにZManual及びFManualを2に設定することにより、図10のズーム処理で示したようにズーム操作及びフォーカス操作の両操作について一軸二操作式コントローラ42が有効となる。
【0065】
以上の切替方式Aのようにコントローラ切替指示スイッチの設定状態に基づいて、ZManual及びFManualの値を0又は2に設定することによって、コントローラ切替指示スイッチにより有効にするコントローラを切り替えると、即座にそのコントローラが有効となる。
【0066】
次に、図12のステップS68における切替方式Bの処理について図14及び図15のフローチャートを用いて説明する。切替方式Bにおいて、マイコン40は、まず、図14に示したフローチャートの処理を実行する。ここで、図14に示した処理のうち、切替方式Aの処理を示した図13と同一の処理には、図13と同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。図14において図13と相違する処理は、ステップS102及びステップS104で示した「Manual Cross」の処理である。ステップS102及びステップS104は同じ処理内容であり、この処理では、切替方式Aのようにコントローラ切替指示スイッチが一軸二操作式コントローラ42を有効にするものと指定している場合であっても、ZManualを無条件で2に設定するのではなく、1又は2のいずれかに設定するための判断処理を行う。
【0067】
ステップS102又はステップS104における「Manual Cross」の処理を図15のフローチャートを用いて説明する。「Manual Cross」の処理では、まず、マイコン40は、この処理が、図14のステップS82又はステップS92において一軸二操作式コントローラ42を有効にするものとしてコントローラ切替指示スイッチが切り替えられた後の一回目の処理か否かを判定する(ステップS110)。YESと判定した場合には、ZManualを1に設定する(ステップS112)。即ち、図10のステップS30、ステップS32の処理に示したように、ズーム操作について一軸二操作式コントローラ42を有効とはせず、監視状態として、ズームレンズZLを停止させる状態に設定する。次に、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置(以下、単に操作棒16の押し引き位置という)が、ズームレンズZLが実際に設定されているズーム現在位置よりもワイド側にあるか否かを判定する(ステップS114)。YESと判定した場合には、DirManuCtrlを「Wide」に設定する(ステップS116)。一方、NOと判定した場合には、DirManuCtrlを「Tele」に設定する(ステップS118)。
【0068】
上記ステップS110においてNOと判定した場合、又は、上記ステップS116及びステップS118の処理が終了すると、次に、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置が、ズーム現在位置よりもワイド側にあるか否かを判定する(ステップS120)。YESと判定した場合、DirManuCtrlが「Tele」か否かを判定する(ステップS122)。もし、ここで、YESと判定した場合には、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差したことになるため、ZManualを2に設定し(ステップS124)、一軸二操作式コントローラ42を有効にする状態に切り替える。ステップS122においてNOと判定した場合には操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差していないため、ZManualを1にした状態で維持し、この「Manual Cross」の処理を終了する。
【0069】
上記ステップS120においてNOと判定した場合、DirManuCtrlが「Wide」か否かを判定する(ステップS126)。もし、ここで、YESと判定した場合には、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差したことになるため、ZManualを2に設定し(ステップS128)、一軸二操作式コントローラ42を有効にする状態に切り替える。ステップS126においてNOと判定した場合には操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差していないため、ZManualを1にした状態で維持し、この「Manual Cross」の処理を終了する。
【0070】
以上の切替方式Bの処理により、無効となっている一軸二操作式コントローラ42を有効にするものとして切替指示操作した後、操作棒16を押し引き操作し、その位置がズーム現在位置に交差すると、その後、操作棒16の押し引き操作によりズーム操作を行うことができるようになる。
【0071】
次に、図12のステップS70における切替方式Cの処理について図16及び図17のフローチャートを用いて説明する。図16に示すように切替方式Cの処理では、まず、マイコン40は、ズームデマンド26が操作されているか否かを判定する(ステップS130)。YESと判定した場合にはZManual及びFManualを0に設定する(ステップS132、S134)。これにより、ズームデマンド26が操作されているときには、ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28を有効とする。
【0072】
一方、ステップS130においてNOと判定した場合、切替方式2と同様にZManualを1又は2のいずれかに設定するための「Manual Cross 2」の処理を実行し(ステップS136)。FManualを2に設定する(ステップS138)。以上の処理により切替方式Cの処理を終了する。
【0073】
上記ステップS136における「Manual Cross 2」の処理について図17のフローチャートを用いて説明すると、「Manual Cross 2」の処理では、まず、マイコン40は、この処理が、図16のステップS130においてズームデマンド26の操作が停止した後の一回目の処理か否かを判定する(ステップS140)。YESと判定した場合には、ZManualを1に設定する(ステップS142)。即ち、図10のステップS30、ステップS32の処理に示したように、ズーム操作について一軸二操作式コントローラ42を有効とはせず、監視状態として、ズームレンズZLを停止させる状態に設定する。続いて、操作棒16の位置(現在の押し引き位置)を記憶する(ステップS144)。次に、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置に基づいて指令されるズーム位置(以下、単に操作棒16の押し引き位置という)が、ズームレンズZLが実際に設定されているズーム現在位置よりもワイド側にあるか否かを判定する(ステップS146)。YESと判定した場合には、DirManuCtrlを「Wide」に設定する(ステップS148)。一方、NOと判定した場合には、DirManuCtrlを「Tele」に設定する(ステップS150)。
【0074】
上記ステップS140においてNOと判定した場合、又は、上記ステップS148及びステップS150の処理が終了すると、次に、上記ステップS144において記憶した操作棒16の押し引き位置と現在の操作棒16の押し引き位置とにより、操作棒16の変化量(ズーム位置指令信号により指令されるズーム位置の変化量)を検出し(ステップS152)、その変化量が一定量を超えたか否かを判定する(ステップS154)。NOと判定した場合には、ZManualを1とした状態で、この「Manual Cross 2」の処理を終了する。一方、YESと判定した場合には、一軸二操作式コントローラ42の操作棒16の押し引き位置が、ズーム現在位置よりもワイド側にあるか否かを判定する(ステップS156)。YESと判定した場合、DirManuCtrlが「Tele」か否かを判定する(ステップS158)。もし、ここで、YESと判定した場合には、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差したことになるため、ZManualを2に設定し(ステップS160)、一軸二操作式コントローラ42を有効にする状態に切り替える。ステップS158においてNOと判定した場合には操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差していないため、ZManualを1にした状態で維持し、この「Manual Cross 2」の処理を終了する。
【0075】
上記ステップS156においてNOと判定した場合、DirManuCtrlが「Wide」か否かを判定する(ステップS162)。もし、ここで、YESと判定した場合には、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差したことになるため、ZManualを2に設定し(ステップS164)、一軸二操作式コントローラ42を有効にする状態に切り替える。ステップS162においてNOと判定した場合には操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差していないため、ZManualを1にした状態で維持し、この「Manual Cross 2」の処理を終了する。
【0076】
以上の切替方式Cの処理により、無効となっている一軸二操作式コントローラ42の操作棒16を押し引き操作し、その位置がズーム現在位置に交差すると、その後、操作棒16の押し引き操作によりズーム操作を行うことができるようになる。
【0077】
尚、ステップS154の判定処理により操作棒16の押し引き操作が一定量以上行われたことを一軸二操作式コントローラ42を有効にするための条件としているが、この「Manual Cross 2」の処理は、ズームデマンド26の操作が停止している場合に行われるものであるから、本来は、ズーム現在位置に変化はなく、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置とが交差したことを検出すれば十分である。即ち、ズームデマンド26の操作が停止しているとき(指令信号に変化がないとき)に操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置が交差した場合には、少なくとも操作棒16の押し引き操作が行われたと判断できるため、操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置が交差した操作棒16の押し引き位置とズーム現在位置が交差したことを検出した際に一軸二操作式コントローラ42を有効に切り替えれば、操作棒16の押し引き操作が行われたことを条件とする場合と同様の効果を得ることができる。但し、ノイズの影響や、自動画角補正(フォーカスの変化に伴う画角変化をズームにより補正する機能)が働いているときのズーム動作により、ズームデマンド26も操作棒16も操作していないにもかかわらず、操作棒16の位置とズーム現在位置が交差する場合があるため、ステップS154のような判定処理により確実に操作棒16が操作されたと判定される場合のみ一軸二操作式コントローラ42を有効なコントローラとして切り替えるようにするのが望ましい。例えば、操作棒16の押し引き位置の全範囲に対して約2パーセントの変化量を、操作棒16が確実に操作されたと判断できる量とする。
【0078】
以上、上記実施の形態では、一軸二操作式コントローラを有効なコントローラとして切り替える際の各種切替方式における処理について説明したが、他のコントローラを有効なコントローラとして切り替える際の各種切替方式の処理として同様に適用できる。
【0079】
また、上記実施の形態では、同種の制御(ズーム制御等)に使用する指令信号が2つある場合について説明したが、2つ以上の指令信号がある場合でも同様に本発明を適用できる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレンズ制御装置によれば、同時に与えられる複数の指令信号のうち、位置指令信号を有効にする切替えが指示されると、その位置指令信号により指令される位置の変化量が一定量を超えるまでは、その位置指令信号を有効にせず、一定量を超えると有効にするようにしたため、例えば、誤って指令信号の切替えを指示した場合でも元のレンズの位置を保持しておくことができ、元の有効な指令信号への切替えを指示すれば元の状態に戻すことができる。
【0081】
また、位置指令信号を有効にする切替えが指示されると、又は、所定の位置指令信号以外の指令信号により指令される位置又は速度に変化がなくなると、その位置指令信号により指令される位置と、レンズが実際に設定されている位置とが一致するまでは、その位置指令信号を有効にせず、一致した時点で有効にするようにしたため、位置指令信号への切替時にレンズが位置指令信号により指令された位置に急激に移動する不具合を防止することができ、また、位置指令信号への切替前のレンズ位置から継続してレンズ位置を制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明が適用されたテレビカメラシステムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係るレンズ制御装置におけるズーム制御及びフォーカス制御に関連する構成を示したブロック図である。
【図3】図3は、一軸二操作式コントローラにおける操作棒の押し引き位置及び回動位置を電気的に検出するポテンショメータを示した図である。
【図4】図4は、切替モードを選択可能にした場合におけるモード選択スイッチの配置を例示した図である。
【図5】図5は、マニュアル方式を採用した場合におけるコントローラ切替指示スイッチの配置を示した図である。
【図6】図6は、オート方式とマニュアル方式を選択可能にした場合の選択スイッチ (オート/マニュアル選択スイッチ)の配置を例示した図である。
【図7】図7は、コントローラの切替条件の説明に使用した説明図である。
【図8】図8は、コントローラの切替方式を選択可能とした場合における切替方式選択スイッチの配置を例示した図である。
【図9】図9は、マイコンにおけるメイン処理の概略を示したフローチャートである。
【図10】図10は、ズーム処理の手順を示したフローチャートである。
【図11】図11は、フォーカス処理の手順を示したフローチャートである。
【図12】図12は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【図13】図13は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【図14】図14は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【図15】図15は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【図16】図16は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【図17】図17は、コントローラ切替処理の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…テレビカメラシステム、12…レンズ装置、14…カメラ本体、16…操作棒、26…ズームデマンド、28…フォーカスデマンド、ZL…ズームレンズ、FL…フォーカスレンズ、ZS…ズーム用サーボモジュール、FS…フォーカス用サーボモジュール、40…マイコン、42…一軸二操作式コントローラ、60、62、64…[Z+F]/[Z]選択スイッチ、70、72、74…コントローラ切替指示スイッチ、80、82、84…オート/マニュアル選択スイッチ、90、92,94…切替方式選択スイッチ

Claims (3)

  1. 操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、
    有効にする指令信号の切替えを指示する切替指示手段と、
    前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にする切替えが前記切替指示手段によって指示されると、該切替えが指示された後、前記位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置の変化量が一定量を超えたか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段によって前記一定量を超えないと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にせず、前記判定手段によって前記一定量を超えたと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするレンズ制御装置。
  2. 操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、
    有効にする指令信号の切替えを指示する切替指示手段と、
    前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にする切替えが前記切替指示手段によって指示されると、前記第1のコントローラからの位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置と、前記ズームレンズが実際に設定されている現在位置とが一致したか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段によって一致しないと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にせず、前記判定手段によって一致したと判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするレンズ制御装置。
  3. 操作棒の押し引き位置に応じたズームレンズの位置を指令する第1のコントローラからの位置指令信号と、所定の操作部材の操作位置に応じたズームレンズの速度を指令する第2のコントローラからの速度指令信号のうち、いずれかの一方の指令信号を有効にし、該有効とした指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置又は速度をモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、
    前記第2のコントローラからの速度指令信号が有効となっている場合に、該速度指令信号により指令される前記ズームレンズの速度に変化があるか否かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段によって変化がないと判定された場合に、前記第1のコントローラからの位置指令信号によって指令される前記ズームレンズの位置と、前記ズームレンズが実際に設定されている現在位置とが一致したか否かを判定する第2の判定手段と、
    前記第2の判定手段によって一致すると判定された場合には、前記第1のコントローラからの位置指令信号を有効にし、該有効にした位置指令信号に基づいて前記ズームレンズの位置を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするレンズ制御装置。
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