JP3804871B2 - ワークピースにローレットを形成する方法および装置、当該ワークピースを使って製品を成形する方法、並びに当該成形製品 - Google Patents

ワークピースにローレットを形成する方法および装置、当該ワークピースを使って製品を成形する方法、並びに当該成形製品 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、ワークピースにローレットを形成する方法および装置、ローレット形成済みワークピースを使って成形された製造工具、並びに当該製造工具を使って研磨製品を製造する方法および装置に関する。
背景技術
本発明は、構造化研磨コーティングが支持体上に塗布されている研磨製品を製造する際に有用である。この研磨コーティングは、支持体上に成形された精密な三次元研磨複合材料の形式の粒子と結合剤から成る。
構造化研磨剤は、研磨製品の主面上に支持体が搭載され、研磨複合材料が、結合剤中に分散した複数の研磨粒子を含む研磨製品の形態である。結合剤は、研磨粒子を分散させる媒体として作用し、研磨複合材料を支持体に結合する役割も果す。研磨複合材料は、予め決められた三次元の形状、たとえばピラミッド形を有する。一態様では、一定の複合材料の形状寸法を実質的に均一にして、この複合材料を予め決められた配列で配置することができる。予め決められた配列は、線形またはマトリックス形式で良い。
こうした構造化研磨製品は、一般に以下の方法により製造することができる。結合剤先駆物質と複数の研磨粒子の混合物を含むスラリーを、研磨複合材料の最終形状の陰型あるキャビティを有する製造工具上に塗布する。支持体を製造工具の露出面と接触させると、スラリーが支持体の第一主面を湿らせて、中間製品が形成される。次に、結合剤を少なくとも部分的に凝固、硬化、またはゲル化させた後、中間製品を製造工具の露出面から分離し、構造化研磨製品を形成する。次に、研磨製品を製造工具から取り外し、研磨製品が前のステップで完全に硬化していない場合は完全に硬化させる。あるいは、スラリーを支持体の第一主面に塗布し、製造工具を支持体の第一主面と接触させても良い。この研磨複合材料の精密性によって、高度な稠度を有する研磨製品が形成される。この稠度により、優れた性能をさらに得ることができる。
構造化研磨剤、並びにこうした構造化研磨剤を製造する方法および装置は、1992年10月6日に交付された米国特許第5,152,917号"Structured Abrasive Article"(Pieper等)に記載されており、この特許の全体の開示は、引用により本明細書に包含する。一実施例では、Pieper等は、正確に成形されて基材に接着され、研磨粒子と結合剤から成る研磨複合材料を具備する研磨製品を示唆している。Pieper等は、特に、上記に簡潔に記載した方法に一般に従って構造化研磨製品を製造する方法を示唆している。Pieper等は、製造工具はベルト、シート、コーティングロール、コーティングロール上に取り付けられたスリーブ、またはダイで良いが、好ましい製造工具はコーティングロールであることを示唆している。Peiper等は、場合によっては、熱可塑性樹脂をたとえば金属工具上に圧印加工することにより、プラスチック製造工具を元の工具から複製することができると示唆している。こうした金属工具は、所望の構成に機械加工したかもしくはその他の機械的手段で機械加工した複数の金属部品を束としてダイヤモンド旋削、彫刻、ホビング、結合、または電鋳することにより作成することができる。
構造化研磨剤並びにこれらの製造方法および装置は、1995年7月25日に交付された米国特許第5,435,816号"Method of Making an Abrasive Article"(Spurgeon等)に記載されており、この特許の全体の開示は、引用により本明細書に包含する。一実施例では、Spurgeon等は、上記に簡潔に記載した方法に一般に従って、正確に間隔を置いて配置および配向されて基材シートに接着された研磨複合材料を具備する研磨製品を製造する方法を示唆している。Spurgeon等は、その他の手順のほかに、以下の手順に従って熱可塑性製造工具を作成できることを示唆している。先ず、種工具を作成する。種工具は、ニッケルなどの金属から作成することが望ましい。種工具は、彫刻、ホビング、ローレット形成、電鋳、ダイヤモンド旋削、レーザー機械加工など、従来の任意の方法で作成することができる。種工具の表面は、製造工具のパターンと逆のパターンでなければならない。熱可塑性材料は、この種工具を使って圧印加工すると、パターンを形成することができる。圧印加工は、熱可塑性材料が流動可能状態の時に行うことができる。圧印加工した後、熱可塑性材料は冷却することができる。Spurgeon等も、製造工具は熱可塑性樹脂または放射線硬化樹脂から作成できることを示唆している。Spurgeon等は、種工具をローレット形成により作成できることを簡潔に記載しているが、種工具にローレットを形成する特定の方法は、Spurgeon等の特許に記載、示唆、または提案されていない。
ローレット形成の二つの一般的な方法は公知である。ローレット形成は、一般に、圧延ローレット形成または成形ローレット形成と呼ばれる第一のローレット形成工程により行われる。成形ローレット形成は、作用面にパターンを有するローレット形成ホイールをワークピースにプレスして行う。ローレット形成ホイールは、ワークピースに付与されるパターンと逆のパターンを有する。ローレット形成工具の作用面は、ワークピースの外面を冷間成形またはプレスして、ローレット形成ホイール上のパターンとほぼ一致させるのに十分な力を使ってワークピースにプレスされる。切削ローレット形成と呼ばれる第二のローレット形成工程は、ローレット形成ホイールが金属チップを除去することによりワークピースにパターンを切削するように、ワークピースに対してローレット形成ホイールを配向させて行われる。従来のこの二つのローレット形成工程では、一般に、複数のダイヤモンドが、円筒状ワークピースの長手方向軸線に対して垂直な方向に整列配置されるダイヤモンドベースパターンを付与する。従来のローレット形成工程は、方形ベースのパターンを付与する際にも使用されてきた。この場合、方形は、方形の側部がワークピースの長手方向軸線に対して45°になるように配向される。ダイヤモンドベースのパターンと同様、方形ベースのパターンも、円筒状ワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に整列配置される。これらの工程は、一般に、工具ハンドルに滑り止めパターンを付与したり、調節ノブなどを機械加工したりする際に使用される。
公知の従来の切削ローレット形成装置および方法の一つについて、図1〜図10を参照して説明する。図1および図2に示すように、ローレット形成工具10は、ワークピース30の円筒状外面にローレットパターンを形成するために使用される。第一ローレット形成ホイール12および第二ローレット形成ホイール14は、ローレット形成ホイールホルダー16に取り付けられている。図3に示すように、工具ホルダー16は、各々第一部分20と第二部分22を有する一対の取付ポストを具備する。キャップスクリュー18は、ローレット形成ホイールの中心開口部から取付ポストの第二部分22に挿入されて固定される。第一および第二ホイール12および14は各々、軸線26および28の周囲で回転することができる。ローレット形成ホイールホルダー16は、中心対称面24を有する。第一取付ポストの部分20は、平面24に平行である。第二取付ポストの部分22は、この中心面24から任意の角度にて傾斜させる。この配置によって、第一ローレット形成ホイール12の回転軸線26は、中心面24に対して角度(a)に傾斜する。角度(a)は、ページ面に対して垂直であって軸線26を含む平面とページに対して垂直な中心面24との間の角度として定義される。第二ホイール14の回転軸線28は、中心面24に対して角度(b)にて傾斜する。角度(b)は、ページ面に対して垂直であって軸線28を含む平面とページに対して垂直な中心面24との間の角度として定義される。また、図6に示すとおり、取付ポストの第二部分の向きによって、第一ローレット形成ホイールの軸線26は、角度(f1)だけワークピース30方向に傾斜する。角度(f1)は、第一ローレット形成ホイールの係合点にてワークピース面に接する第一面とページに対して垂直であって軸線26を含む第二面との間の角度として定義される。同様に、第二ローレット形成ホイールの軸線28は、図8に示す角度(f2)だけワークピース30方向に傾斜する。角度(f2)は、第二ローレット形成ホイールの係合点にてワークピース面に接する第一面とページに対して垂直であって軸線28を含む第二面との間の角度として定義される。
ローレット形成ホイール12について、図9および図10にさらに詳しく示す。ローレット形成ホイール12は、その外側作用面に沿って複数の歯44を有する。各々の歯44は、歯の山48、歯の谷50、および側面52を具備する。ホイール12も、対向する主面42を具備する(一方の主面のみ示す)。歯44の側面52が主面42に達する部分では、縁部46が形成される。歯44は、開先角度θの山を有する。第二ローレット形成ホイール14の歯44は、第一ローレット形成ホイール12の歯と同じ構成である。
一つの典型的なローレット形成工具10は、ペンシルバニア州、バースのEagle Rock Technologies Int'l Corp.からZeusTM切削ローレット形成工具、品番209として市販されている。図3に示すように、このローレット形成工具10は、一般に、第一および第二ローレット形成ホイール12、14が装備されており、歯44は個々のホイール軸線26、28に平行に配向されている。したがって、歯は、ホイールとワークピースとの接触点にて測定した開先角度(c)を有し、この角度は、角度(a)および(b)の和であり、中心面24の中心に位置する。角度(a)および(b)は一般に各々30°であるから、角度(c)は60°である。この配置では、ローレット形成工具10は、ダイヤモンドベースのローレットパターンを形成し、四つの側部を有するダイヤモンドベースが、対向する60°の隅と120°の隅を有する。このローレット形成工具10も、各々の取付ポストが、各々の第一部分20の長手方向軸線の周囲で回転できるように構成される。こうした回転の調節具合は、ワークピース30の直径に応じて校正される。この調節具合は、角度(a)、(b)、(f1)および(f2)を特定のワークピースに配向させて、様々なサイズのワークピースの切削ローレット形成を行うことができるように意図される。
公知の切削工具10の動作を図1および図2に示す。取付ポストは、角度(a)、(b)、(f1)および(f2)を調節するようにワークピースの直径に合わせて適切な校正に応じて枢支される。ワークピース30は、従来の旋盤駆動手段により方向Aに回転する。工具10は、歯44とワークピース30との間に所望の係合が得られるまで、ワークピース30方向に移動する。ワークピース30が方向Aに回転すると、ローレット形成ホイールは対向方向に回転する。工具10は、先行技術で周知の適切な工具駆動手段に取り付けられ、ワークピース30の長手方向軸線36に平行な方向Bに横断する。したがって、ローレット形成は、ワークピース34の第一端部32にて開始し、B方向に第二端部(図示しない)に向かって続く。歯の開先角度(c)の二等分線と切削工具10の中心面24はワークピースの長手方向軸線に平行なので、ワークピース30の長手方向軸線36に垂直な方向にダイヤモンドベースのローレットパターンが整列配置される。
上記のとおり、公知のローレット形成工具10は、方形ベースのローレットパターンをワークピースに付与することができる。これは、ローレット形成工具を図4に示すように配置して行う。図4のローレット形成工具が図3のローレット形成工具と異なる点は、ローレット形成ホイール12および14に代わって各々ローレット形成ホイール12'および14'が取り付けられている点だけである。第一ローレット形成ホイール12'では、歯44は、第一の歯の傾斜角(d)だけホイール軸線26から傾斜している。第二ローレット形成ホイール14'では、歯44は、第二の歯の傾斜角(e)だけホイール軸線28から傾斜している。角度(d)および(e)はどちらも、図示のとおり中心面24から離して軸線26、28に対して配向させるか、またはどちらも中心面24方向に配向させることが可能であることは周知である。したがって、各ホイール上の歯が形成する開先角度(c)は、角度(a)および(d)の和と角度(b)および(e)の和の合計に等しい。上記の公知の市販工具では、角度(a)および(b)は各々30°、角度(d)および(e)は各々15°である。したがって、ホイール12'および14'の歯は各々、中心面24から45°傾斜することになる。その結果、開先角度(c)は90°になり、その二等分線は中心面24に平行になる。図4の工具10の動作は、図3の工具を参照して上記で説明したとおりである。
図4の工具により付与されるパターンは方形ベースのパターンであり、このパターンは、ワークピース30の長手方向軸線36に垂直な方向に整列配置される。このパターンを図13に示す。このローレットパターンは、ワークピースの表面から外側に延在するピラミッド60から成る。ピラミッド60は、尖端62、側方縁部64、および側面66を有する。各ピラミッドの底部は、底部縁部68により画定される。底部縁部68が方形を形成するのは、90°の角度(c)である。角度(c)は平面24の中心にあるので、ピラミッド状パターンは、ワークピース30の長手方向軸線36に垂直に整列配置される。これは、隣接ピラミッド60の尖端62a、62bがワークピース30の長手方向軸線36に垂直な線上に整列配置されることに注目すると分かる。
上記の市販ローレット形成工具は、切削ローレット形成工具として意図されているが、本発明の発明者が細心に観察したところでは、第二切削ホイール14は、金属チップを除去することによりワークピースにパターンを切削するのではなく、パターンを冷間成形することが分かった。この点で、公知の装置および方法は、真の切削ローレット形成工具として作用しない。本明細書では、切削ローレット形成工程は、両方のローレット形成ホイールがチップを除去することにより金属を切削することである。公知のローレット形成方法の実際の動作について、図5〜図8を参照して説明する。
図5および図6は、ワークピース30に対する第一ローレット形成ホイール12の向きを示す。分かりやすくするため、工具10の他の部分は図示しない。図11から分かるとおり、歯44の山48とワークピース面との間には逃げ角αが形成される。図3に示すように、ワークピース30が方向Aに回転することにより、第一ローレット形成ホイール12は運動方向M1に回転する。ワークピースの回転Aは、次の二つの成分に分解することができる。1)ホイールの運動M1;およびワークピース面に対する接線運動T1。接線運動T1は、ワークピースの長手方向軸線36に平行であり、歯44がワークピースを縁部46と最初に係合させ、切削ローレット形成が行われる方向である。運動T1の接線成分は、正弦(a)に等しい。角度(a)がゼロに近くづと、接線成分T1がゼロに近づき、その結果、ワークピース面に対するローレット形成歯の切削縁部46の相対運動もゼロに近づく。
図5に示すとおり、ワークピースと第一ホイール12の相対運動により、ワークピースは先ず、個々の歯44の前縁46に係合する。図11は、この係合を示す部分拡大図である。この相対運動を矢印Cで示す。歯の側面52と主面42の交点にある縁部46は、ワークピースの表面34から材料を除去する切削縁部として作用する。すくい角βは、切削縁部46の移動方向に傾斜していることが分かる。これは「負のすくい角」と呼ばれ、切削縁部の移動方向から離れて傾斜する正のすくい角ほど効果的ではない。図3、図5、図6および図11は、第一切削ホイール12が実際に切削ローレット形成を行うことを示す。これは、角度(a)の値が十分に大きく、接線運動T1が切削ローレット形成を行うのに十分に大きい場合に可能である。
図7および図8は、ワークピース30に対する第二ローレット形成ホイール14の向きを示す。分かりやすくするため、工具10の他の部分は図示しない。図12に示すように、歯44の山48とワークピース面との間に逃げ角αが形成される。図3に示すように、ワークピース30が方向Aに回転することにより、第二ローレット形成ホイール14は運動方向M2に回転する。ワークピースの回転Aは、次の二つの成分に分解することができる。1)ホイールの運動M2、および2)ワークピース面に対する接線運動T2。接線運動T2は、ワークピースの長手方向軸線36に平行であり、歯44の縁部46は、ワークピースと係合する歯の第一の要素ではない。運動T2の接線成分は、正弦(b)に等しいことが分かる。角度(b)がゼロに近づくと、接線成分T1がゼロに近づく。
図7に示すように、ワークピースと第二ホイール14の相対運動により、歯の縁部46ではなく山48が最初にワークピースと係合する。図12は、この係合を示す拡大部分図である。この相対運動を矢印Cで示す。歯の側面52と主面42の交点にある縁部46は、相対運動方向の後ろに実際に引きずられる。したがって、ワークピースは先ず、縁部46から離れた山48と係合する。その結果、第二ホイール14は、金属をワークピース30から切削および除去するのではなく、プレスまたは成形を行う。
したがって、実際に切削ローレット形成することによりワークピースにローレットを形成するローレット形成装置および方法の必要性があることが分かる。また、ローレットパターンがワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に自動的に整列しないローレット形成装置および方法に対する必要性もある。さらに、所望の長さの連続して途切れない製造工具を経済的に製造できるワークピースを提供する必要性もある。さらに、正のすくい角を形成する切削ローレット形成ホイールを提供する必要性もある。
発明の開示
本発明の一態様では、ローレットパターンがワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に整列しないようにワークピースにローレットを形成する方法を提供する。この方法は、以下のステップから成る。
a)第一の複数の溝をワークピースに付与するステップであって、この第一の複数の溝が、ワークピースの長手方向軸線に垂直な基準面に対して第一開先ねじれ角を有するステップ、および
b)第二の複数の溝をワークピースに付与するステップであって、この第二の複数の溝が、該基準面に対して第二開先ねじれ角を有するステップ。第二の複数の溝は第一の複数の溝と交差し、その結果、ワークピースの外面にローレットパターンを付与する。この方法により付与されるパターンはワークピースの周囲に沿って連続して途切れず、第一および第二開先ねじれ角の大きさは実質的に等しくない。
上記の方法は、特に、ワークピースの外面に複数のピラミッドを形成することができ、この各々のピラミッドは、第一の溝が形成する第一の対向側面と、第二の溝が形成する第二の対向側面を含む。一実施例では、このピラミッドは多錘台である。この方法は、切削ローレット形成と成形ローレット形成の両方を含む。
本発明の他の態様では、上記の方法により形成されるローレット形成済みワークピースを提供する。
本発明のさらに他の態様では、上記の方法により作成されたワークピースを具備する成形品を成形する方法を提供する。成形品を成形する方法は、以下のステップから成る。
a)成形可能な材料をワークピースの外面に塗布するステップと、
b)成形可能な材料がワークピースと接触する際、成形可能材料に十分な力を付与し、ワークピースと接触する成形可能材料の第一面にワークピース外面のパターンと逆のパターンを付与するステップと、
c)成形可能材料をワークピースから取り除くステップ。
上記の方法を使用すると、成形品に付与されるローレットパターンと逆のパターンが成形品の長さだけ連続して途切れない所望の長さの成形品を作成することができる。こうした方法は、さらに以下のステップを含む。
d)ステップa)〜c)と同時にワークピースを少なくとも1回転させて、ワークピース周囲より長い成形品を成形し、成形品に付与されるパターンが成形品の長さに沿って連続して途切れないようにするステップ。
本発明の他の態様では、上記の方法に従って製造される成形品を提供する。
本発明のさらに他の態様では、ローレットパターンが、円筒状ワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に整列配置されないローレット形成済みのワークピースを提供する。ローレット形成済みワークピースは、以下から成る。
長手方向軸線と円筒状外面を有し、前記外面上にローレットパターンを有する円筒であって、
前記ローレットパターンが、
前記ワークピースの前記長手方向軸線に垂直な基準面に対して第一開先ねじれ角を有する第一の複数の溝と、
前記基準面に対して第二開先ねじれ角を有し、前記第一の複数の溝と交差する第二の複数の溝と
から成り、
前記ローレットパターンが、前記ワークピースの周囲に沿って連続して途切れず、前記第一および第二開先ねじれ角の大きさが実質的に等しくない円筒。
一実施例では、第一および第二の溝の交点は、ワークピースの外面に複数のピラミッドを形成し、各々のピラミッドは、第一の溝が形成した第一の対向側面と、第二の溝が形成した第二の対向側面とを有する。このピラミッドは多錘台で良い。
また、上記のローレット形成済みワークピースを具備する成形品を成形する方法を提供する。この方法は、以下のステップから成る。
a)成形可能材料をローレット形成済みワークピースの外面に塗布するステップと、
b)成形可能材料がローレット形成済みワークピースと接触する際、成形可能材料に十分な力を付与して、ローレット形成済みワークピースと接触する成形可能材料の第一面にローレット形成済みワークピース外面のパターンと逆のパターンを付与するステップと、
c)成形可能材料をローレット形成済みワークピースから取り除くステップ。
この方法を使用すると、成形品に付与されたローレット形成済みパターンと逆のパターンが成形品の長さだけ連続して途切れない所望の長さの成形品を成形することができる。この方法は、以下のステップをさらに含む。
d)ステップa)〜c)と同時にローレット形成済みワークピースを少なくとも1回転させて、ローレット形成済みワークピース周囲より長い成形品を成形するステップであって、成形品に付与されるパターンが成形品の長さに沿って連続して途切れないステップ。また、上記の方法に従って作成した成形品を提供する。
本発明のさらに他の態様では、ワークピースに切削ローレット形成を行う方法を提供する。この方法は、以下のステップから成る。
a)ワークピースを長手方向軸線周囲の第一回転方向に回転させるステップと、
b)ワークピースを第一ローレット形成ホイールと係合させるステップであって、第一ローレット形成ホイールがその作用面に複数の歯を備え、各々の歯がその第一端部に切削縁部を備え、第一ローレット形成ホイールが、ワークピースと歯の切削縁部とを係合させるように構成されているステップと、
c)第一ローレット形成ホイールをワークピースの長手方向軸線に平行な方向に移動させて、ワークピースに第一の複数の溝を形成するステップと、
d)第一ローレット形成ホイールをワークピースから解放するステップと、
e)ワークピースを第一回転方向に対向する第二回転方向に回転させるステップと、
f)ワークピースを第二ローレット形成ホイールと係合させるステップであって、第二ローレット形成ホイールが、その作用面に複数の歯を備え、各々の歯が、その第一端部に切削縁部を備え、第二ローレット形成ホイールが、ワークピースを歯の切削縁部に係合させるように構成されているステップと、
g)第二ローレット形成ホイールをワークピースの長手方向軸線に平行な方向に移動させて、ワークピースに第二の複数の溝を形成するステップであって、第二の複数の溝が第一の複数の溝と交差し、その結果、ワークピース外面にパターンを付与し、このパターンがワークピースの周囲で連続して途切れないステップ。
また、上記の方法に従って作成したワークピース、および上記の方法に従って作成したローレット形成済みワークピースを具備する成形品を成形する方法を提供する。
本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載する成形品を具備する構造化研磨製品を製造する方法および装置、並びにこうした研磨製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
本発明について、添付の図面を参照してさらに説明する。図面中、類似の構造は、いくつかの図面で類似の参照符号により示す。
図1は、ワークピースにローレットを形成する公知の装置および方法の部分概略端部図である。
図2は、図1の装置の上面図である。
図3は、公知のローレット形成工具および二つのローレット形成ホイールを図1の3-3線に沿って見た立面図である。
図4は、公知のローレット形成ホイールの別の実施例を示す、図3に類似の図である。
図5は、ワークピースを公知の方法で係合させる公知の第一ローレット形成ホイールの図であり、分かりやすくするためにホルダーを示さない。
図6は、図5のホイールを方向6に見た図である。
図7は、ワークピースを公知の方法で係合させる公知の第二ローレット形成ホイールの図であり、分かりやすくするためにホルダーを示さない。
図8は、図7のローレット形成ホイールを方向8に見た図である。
図9は、公知のローレット形成ホイールの平面図である。
図10は、図9のホイールの10−10線に沿って切った部分断面図である。
図11は、ワークピースに係合する公知の第一ホイールを公知の方法で使用する場合の拡大図である。
図12は、ワークピースに係合する公知の第二ホイールを公知の方法で使用する場合の拡大図である。
図13は、公知のローレット形成工具を公知の方法で使用してワークピースに付与されるパターンの平面図である。
図14は、本発明に基づくローレット形成工具の立面図である。
図15は、本発明に従ってワークピースにローレットを形成する装置および一ステップの部分概略端部図である。
図16は、図15の装置およびワークピースの上面図である。
図17は、本発明に基づく方法の第二ステップを示す図15に類似の図である。
図18は、図17の装置およびワークピースの上面図である。
図19は、本発明の装置および方法によりワークピースに付与されるパターンの平面図である。
図20は、図19のワークピースの20−20線に沿って切った部分断面図である。
図21は、本発明に基づくローレット形成ホイールの部分断面図である。
図22は、ワークピースに係合する図21のローレット形成ホイールの拡大図である。
図23は、本発明に基づく製造工具を作成する装置および方法の部分概略図である。
図24は、図23の製造工具の平面図である。
図25は、本発明の製造工具を使って研磨製品を製造する装置および方法の部分概略図である。
図26は、装置および方法の別の実施例の図25に類似の図である。
図27は、本発明に従って作成された研磨製品の平面図である。
図28は、図27の研磨製品の28−28線に沿って切った断面図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、ワークピースにローレットを形成する新しい方法および装置を提供する。結果として得られるワークピースを使用すると、構造化研磨製品を作成するための改良製造工具を作成することができる。当然、本明細書に記載する方法および装置は、他の目的でワークピースにローレットを形成するか、あるいは本明細書に記載する製造工具以外のワークピースから製品を製造するためにワークピースにローレットを形成する際に使用することができる。
ローレット形成方法および装置
図14は、本発明の望ましい一実施例に基づくローレット形成工具10を示す。ローレット形成工具10は、ワークピース30の円筒状外面34にローレットパターンを形成するために使用する。第一ローレット形成ホイール12'および第二ローレット形成ホイール14は、ローレット形成ホイールホルダー16上に取り付けられる。工具ホルダー16は、各々第一部分20と第二部分22から成る一対の取付ポストを具備する。キャップスクリュー18は、ローレット形成ホイールの中心開口部から挿入され、取付ポスト22の第二部分に固定される。第一および第二ホイール12'および14は、各々軸線26および28の周囲で回転することができる。ローレット形成ホイールホルダー16は、中心対称面24を有する。第一取付ポスト部分20は、平面24に平行である。第二取付ポスト部分22は、中心面24から任意の角度だけ傾斜する。この配置では、第一ローレット形成ホイール12の回転軸26は、中心面24に対して角度(a)だけ傾斜する。角度(a)は、ページ面に垂直であって軸線26を含む平面とページに垂直な中心面24との間の角度と定義される。第二ホイール14の回転軸28は、中心面24に対して角度(b)だけ傾斜する。角度(b)は、ページ面に対して垂直であって軸線28を含む平面とページに垂直な中心面24との間の角度と定義される。図3、図6および図8に示す先行技術の工具のように、取付ポストの第二部分の向きによって、第一ローレット形成ホイールの軸線26は、角度(f1)だけワークピース30方向に傾斜し、第二ローレット形成ホイールの軸線28は、角度(f2)だけワークピース30方向に傾斜する。ローレット形成工具10は、各取付ポストが、各々の第一部分20の長手方向軸線周囲で回転するように構成される。こうした回転の調節具合は、ワークピース30の直径に応じて校正される。調節は、様々なサイズのワークピースにローレットを形成できるように、角度(a)、(b)、(f1)および(f2)を特定のワークピースに合わせて行われる。
図9および図10に示すように、ローレット形成ホイールは各々、その外側作用面に沿って複数の歯44を有する。歯44は、歯の山48、歯の谷50、および側面52を有する。各々のホイールは、対向主面42も具備する(一方の主面のみ示す)。歯44の側面52が主面42に達する部分には、縁部46が形成される。歯は、山野開先角度θを有する。
一つの望ましい工具ホルダー16は、ペンシルバニア州、バースのEagle Rock Technologies Int'l Corp.からZeusTM切削ローレット形成工具、品番209として市販されている。角度(a)および(b)は各々ほぼ30°であるから、角度(c)は60°である。上記のとおり、このローレット形成工具10は、一般に、歯44が個々のホイール軸線26、28に平行に配向されているか、または各ホイールの歯が軸線26、28から等しい量だけオフセットしている第一および第二ローレット形成ホイールを具備する公知の方法で一般に作成される。したがって、工具10を公知の方法で装備する場合、歯は、中心面24の中心に位置する開先角度(c)を有する。この配置は、上記のワークピースの長手方向軸線36に垂直な方向に整列するローレットパターンを形成する。場合によっては、こうした配置は、本発明とともに使用するのに好ましい。
あるいは、図14に示すように、本発明は、第一ローレット形成ホイール12'および第二ローレット形成ホイール14が、傾斜角(d)および(e)が異なる歯のパターンを有するローレット形成工具10を提供する。たとえば、第一ホイール12'は、ホイール軸線26に対する歯の傾斜角(d)を有するように示され、第二ホイール14は、歯の傾斜角(e)が0°になるように、歯がホイール軸線28に整列配置するように示されている。その結果得られる各々の歯の間の開先角度(c)は、角度(a)および(d)の和と角度(b)の合計である。したがって、角度(c)の二等分線は、中心面24に平行な面24'を参照すると分かるように、角度(g)だけ中心面24に対し平行ではなくなる。角度(g)は、角度(d)の1/2であることが分かる。このオフセット角(g)により、ワークピースの長手方向軸線36に垂直な方向に整列配置されず、以下に詳しく述べるように長手方向軸線36に垂直な方向に対してねじれ角(h)を有するローレットパターンが形成される。
一つの望ましい配置では、第一ホイールの角度および第二ホイールの角度(a)および(b)は各々30°、第一ホイールの歯の傾斜角(d)は30°、第二ホイールの歯の傾斜角(e)は0°である。この場合、切削歯の開先角度(c)は90°になり、方形ベースのローレットパターンをワークピースに付与する。また、開先角度は、中心面24から角度(g)、つまり15°オフセットし、図19から良く分かるとおり、ねじれ角(h)をワークピース30のローレットパターンに付与する。歯の開先角度(c)のオフセット角(g)は、ワークピースのピラミッドのねじれ角(h)に等しくなる。しかし、本発明の発明者が観察したところでは、ワークピースのねじれ角(h)は歯のオフセット角(g)にほぼ等しいが、一般に歯のオフセット角(g)より多少小さかった。現在、ゼロではない角度(f1)および(f2)の影響により、角度(g)と(h)との間にこのわずかな差が生じると考えられている。
その他の配置も可能である。ホイール軸線の角度(a)および(b)は、上記の切削ローレット形成を維持するのに十分に大きい任意の所望の角度で良く、互いに等しくても等しくなくても良い。どちらか一方のローレット形成ホイールまたは両方のローレット形成ホイールに、歯の傾斜角(d)、(e)があっても良いし、どちらのローレット形成ホイールにも、歯の傾斜角(d)、(e)がなくても良い。ローレットパターンにゼロではないねじれ角(h)を付与するには、歯の開先角度(c)に多少のオフセット角(g)を付与する必要がある。これは、ホイール軸線の角度(a)および(b)と所望の歯の傾斜オフセット(d)および(e)の組合せを正しく選択するにより行うことができる。角度(a)および(b)が同じである場合、ホイール12および14の歯の傾斜角は異ならなければならない。歯の傾斜角が等しい場合、ホイールの角度(a)および(b)を等しくなくする必要がある。歯の傾斜角(d)および(e)は、ホイールの角度(a)および(b)が等しくない場合は同じで良く、ホイールの角度(a)および(b)の差が無効にならなければ異なっても良い。また、ローレットパターンにねじれ角(h)を付与するには、ローレット形成歯の開先角度(c)が平面24の中心に配置され、オフセット(g)を含まない工具10を使って、工具10全体をワークピース30の長手方向軸線36に対し回転させれば良いことが分かるであろう。
方形ベースのローレットパターンの場合、ホイールの角度(a)および(b)並びに歯の傾斜角(d)および(e)は、歯の開先角度(c)が90°になるように選択しなければならない。任意の所望の内角を有するダイヤモンドベースのローレットパターンは、角度(c)が90°以外になるようにホイールの角度および歯の傾斜角を選択することにより付与することができる。たとえば、上記のとおり、傾斜角(c)が60°の場合、ダイヤモンドベースが対向する60°の隅および対向する120°の隅を有するローレットパターンが形成される。
本発明に都合良く使用できる市販のその他の工具ホルダーとしては、テキサス州、イーストバーナードのDorian Tool, Internationalが市販しているCNC-107-100工具があるが、これだけに限らない。
本発明に従ってワークピースにローレットを形成する一つの望ましい方法を図15〜図18に示す。図15から分かるとおり、切削工具10には、先ず第一ローレット形成ホイール12'だけが装備され、第二ローレット形成ホイールは装備されていない。ワークピース30は、その長手方向軸線36周囲で方向Aに回転する。工具10は次に、ローレット形成ホイールとワークピース30との間に所望の係合が得られるまで、ワークピース30方向に移動する。ワークピースが方向Aに回転すると、第一ローレット形成ホイールが対向方向に回転する。図16に示すように、工具10は、第一端部32から開始して、ワークピースの軸線36と平行な方向Bに横断する。第一ホイール12'の歯44は、ワークピースの外面34に第一の螺旋溝パターンを形成する。ローレット形成歯の切削縁部46とワークピースとの係合を図11に示す。図3を参照して説明したとおり、ワークピース30の回転により、ローレット形成ホイールは方向M1に駆動する。この方向M1は、ローレット形成歯44の縁部46が先ずワークピース30と係合する方向の、ワークピース面に対する接線運動成分T1を有する。その結果、ホイール12'は、図15および図16を参照して説明したように使用する場合、ローレットを切削する。逃げ角αとすくい角βの値が小さい場合、ワークピースに切削される第一の複数の溝の開先角度は、ローレット形成歯の山の開先角度θにほぼ等しい。ワークピースの螺旋溝は、切削ホイールの歯の谷50に対応する第一の山38を有する。この溝は、第一ホイールの歯の山48に対応する第一の谷40も有する。第一の溝は、第一ホイールの角度(a)と歯の傾斜角(d)の和に実質的に等しいねじれ角を有する。第一の溝のねじれ角は、ワークピースの長手方向軸線36に垂直な基準線Rから反時計方向である場合に正として測定し、角度G1として図16に示す。ねじれ角G1の値、および本明細書に記載するすべてのねじれ角について、以下のように定義する。先ず、螺旋のリードを、1回転する際に螺旋が進行する距離として測定する。次に、ねじれ角は、螺旋のリードで除算した螺旋直径のπ倍の弧接線として定義する。添付の図面に示されたねじれ角は多少単純化されており、図示のために示されている。望ましい一実施例では、工具ホルダー16は、第一のホイール角度(a)が30°、第一ホイールの歯の傾斜角(d)が30°になるように構成され、したがって、第一の溝のねじれ角G1は実質的に60°に等しい。逃げ角α、および縁部46による切削係合を生じるワークピース30と第一ローレット形成ホイール12'との間の相対運動の方向は、基本的には、方向Bにおける比較的小さい移動量ではなく、回転方向Aにより決定される。したがって、工具10をワークピース30の第二端部から第一端部32方向に移動させて、第一螺旋溝パターンを切削ローレット形成により形成することも可能である。
第一の溝が形成された後、第一ホイール12'を取り外し、図17に示すように第二ホイール14をホルダー16に取り付ける。これで、ワークピース30は、第一ホイール12'が存在した時の方向に対向する方向A'に回転する。次に、工具10は、第二ローレット形成ホイール14とワークピース30との間に所望の係合が得られるまで、ワークピース30方向に動かす。ワークピースが方向A'に回転することにより、第二ローレット形成ホイールは対向方向に回転する。図18に示すように、工具10は、第一端部32から開始して、ワークピースの軸線36に平行な方向Bに移動する。最初の第二ホイール14の歯44は、ワークピースの外面34に第二の螺旋溝パターンを形成する。これらの溝は、第一の溝と交差する。ローレット形成歯の切削縁部46とワークピースとの係合を図11に示す。図3に記載した従来の方法で使用する場合のホイール14の説明を再度参照すると、接線運動T2によって、このホイールを従来の方法で使用した場合、切削ローレット形成ではなく、成形ローレット形成が行われることが分かる。しかし、ワークピースが、本発明に従って方向A'に回転する場合、ワークピースの回転により、第二ホイールが、図3に示す公知の方法の方向に対向する方向M2に回転する。ホイールのこの逆転運動成分M2は、ワークピース面に対する接線成分T2を有する。この接線成分T2は、歯の縁部46が最初にワークピースに係合する方向の長手方向軸線36に平行であるから、ホイール14は、本発明に従って使用した場合に切削ローレット形成を行うことができる。この場合、第一および第二ローレット形成ホイールの両方について切削ローレット形成が行われる。上記のとおり、逃げ角αおよびすくい角βの値が小さい場合、ワークピースに切削された溝の角度はローレット形成歯の山の開先角度θにほぼ等しくなる。ワークピースの第二の螺旋溝は、切削ホイールの歯の谷50に対応する第二の山38'を有する。第二の溝は、第一ホイールの歯の山48に対応する第二の谷40'も有する。第二の溝のねじれ角は、第二ホイールの角度(b)と第二ホイールの歯の傾斜角(e)の和に実質的に等しい。これは、基準線Rから反時計方向の場合に正として測定した第二の溝のねじれ角G2として図18に示されている。一つの望ましい実施例では、工具ホルダー16は、第二ホイールの角度(b)が30°、第二ホイールの歯の傾斜角(e)が0°になるように構成される。これで、第二の溝は第一の溝に垂直になり、ワークピース30に方形ベースのローレットパターンを形成する。第一切削ホイールと同様、逃げ角α、および縁部46による切削係合を生じるワークピース30と第二ローレット形成ホイール14との間の相対運動の方向は、基本的に、方向Bにおける比較的小さい移動量ではなく、回転方向A'によって決まる。したがって、工具10をワークピース30の第二端部から第一端部32の方向に移動させて、第二の螺旋溝パターンの切削ローレット形成を行うことも可能である。
上記の装置および方法を用いて真の切削ローレット形成を行うことができる場合、成形ローレット形成に比べて、以下の長所がある。切削ローレット形成では、成形ローレット形成で可能なワークピースより硬いワークピースにローレットパターンを付与することができる。したがって、比較的硬くて高度の耐蝕性を有する材料をワークピース30に使用することができる。さらに、切削ローレット形成は、成形ローレット形成の場合に比べて、工具ホルダーによりワークピースに付与される力が少なくても行うことができる。したがって、工具ホルダーおよびワークピースを比較的容易に製造することができ、工具ホルダーおよびワークピースの摩耗と歪が減少する。切削ローレット形成は、成形ローレット形成の場合のように、ワークピース30の外径を増加させることもない。さらに、切削ローレット形成の場合、ワークピースに画定される溝が、成形ローレット形成の場合に比べて優れ、ピラミッド60のサイズおよび構成をより良く調節することができる。また、切削ローレット形成は、上記のV形溝以外の溝の幾何学的形状を容易に形成することができるが、成形ローレット形成は、ワークピース内の材料の実質的な量をプレスまたは冷間成形する必要がある溝の幾何学的形状を形成するのには十分に適さない。
ワークピースの回転速度、ローレット形成工具の進行速度、および切削深さは、所望の結果が得られるように選択することができる。次のパラメーターは有用であることが分かったが、本発明は、これにより制限されるものではない。ワークピースの回転速度は、50〜100r.p.m;ワークピースが1回転するごとの工具の進行は、0.13〜0.25mm(0.005〜0.010in);およびローレットの溝の深さは、0.25〜0.91mm(0.010〜0.036in)。溝の完全な所望の深さは、ローレット形成工具を1回通過させて得られるか、または多数回通過させて深さを増し、所望の溝の深さにすることができる。さらに、第一および第二の溝が同じ深さであることが望ましい場合、上記の方法により比較的容易に行うことができる。この場合、一つのローレット形成ホイールを同時に使用する。ローレット形成は、先行技術で十分に周知のとおり、ローレット形成ホイール部分にてワークピース上に適切な潤滑剤/冷却水を導入して行うことが望ましい。
上記の方法および装置により形成されたローレットパターンを図19に示す。このローレットパターンは、ワークピース30から突出する複数のピラミッド60から成る。このピラミッドは各々、尖端64と、尖端から延在する側方縁部64と、底部縁部68と、側方縁部と底部縁部により囲まれた側面66とを有する。切削工具10が、角度(g)だけ中心面24に対して平行ではない二等分線を含む歯の開先角度(c)を有するように構成されている場合、この工具は、図19に示すように、角度(g)にほぼ等しいねじれ角(h)をローレットパターンに付与する。つまり、ねじれ角(h)は斜角であり(0°または90°ではない)、ワークピースの長手方向軸線に垂直な方向にワークピース周囲に整列配置される先行技術のローレットパターンとは対照的である。ピラミッド60の断面を図20に示す。第一の複数の溝は溝の側部66aを有し、この側部は、溝の側部66bを有する第二の複数の溝と交差する。したがって、二つの溝の交点がピラミッドを形成する。各々のピラミッドは、隣接する第一の溝が形成する一対の対向側部66aと、隣接する第二の溝が形成する一対の対向側部66bを有する。ローレット形成歯40が切削した溝は、逃げ角αおよびすくい角βの値が小さい場合のローレット形成歯の山の開先角度θに実質的に等しい角度θを有する。その結果、ピラミッドの尖端は、θに等しい内角φを有する。一つの望ましい実施例では、ローレット形成ホイールの歯の角度θは90°であるから、ピラミッドの尖端の内角φは90°である。90°以外の歯の角度θを使用すると、90°以外のピラミッドの尖端開先角度φを付与することができる。
ローレットパターンは、本明細書では、62の点に達するピラミッドの尖端として示される。これは、切削ホイールの歯44がその完全な深さまでワークピースに係合し、ワークピースが山48から谷50まで縁部46全体の範囲に係合する場合に形成される。本発明では、その他のパターンも可能である。たとえば、鋭利な尖端62ではなく平坦な上部を有するピラミッドである多錘台は、ローレット形成歯44の深さの一部だけを係合させることにより形成することができる。歯44が部分的な深さまで係合することにより、縁部46は、歯の谷50までは係合しない。その結果、ワークピースの外面34の一部は、ローレットを形成されない元の状態に残され、ピラミッド60に多錘台の上部を付与する。また、谷50の部分の歯44の間に平坦かもしくは曲線状の空間を有するか、または縁部の山以外の48の部分に平坦かもしくはその他の構成の歯44を使用することも可能である。
ゼロではないねじれ角(h)を有するローレットパターンも、成形ローレット形成により本発明に従って形成することができる。こうした構成では、ローレット形成工具10およびローレット形成ホイール12、14は、縁部46によるワークピース30に対する運動T1またはT2の接線成分があまり大きくならないように構成する。したがって、歯の縁部46を使って切削するのではなく、ローレットパターンは、歯の山48によりプレスまたは成形される。ローレットを成形またはプレスするには、ねじれ角(h)、角度(a)、(b)、(d)および(e)のパターンは、本明細書に記載するように、歯の開先角度(c)の二等分線が中心面24に平行ではなく、オフセット角(g)を含むように選択する。
本発明に基づくローレット形成ホイール12の他の実施例を図21に示す。この実施例では、ローレット形成ホイールの主面42は、54部分にてアンダーカットされている。アンダーカット54は、ホイール12の周囲全体に延在する弧面として示されている。このアンダーカットは、図22に示すように、改善されたすくい角βを形成する。アンダーカット54は、弧面ではなく平坦か、またはゼロもしくは正のすくい角を形成するその他の任意の構成で良い。アンダーカット54は、縁部46および主面42の切削特性を改善するために、一方向に山48まで延在し、山48から内側に十分に離れて、少なくとも歯の谷50まで延在することが望ましい。ゼロまたは正のすくい角βは、公知の切削ホイールを参照して上記で説明した負のすくい角よりも効率的な切削を行い、ワークピースのばりの量も減少させる。
ローレット形成歯44は、本明細書では48部分の山および50部分の谷を形成するように図示されているが、他の輪郭のローレット形成歯も、本発明とともに都合良く使用することができる。たとえば、山48および谷50は、線または縁部にするのではなく、平らな面、丸みのある面またはその他の輪郭にしても良い。また、歯の側面52は、平面ではなく曲線またはその他の輪郭でも良い。これらの別の歯の構成は、成形ローレット形成ではなく切削ローレット形成に使用するのに良く適するが、一定の構成は、条件によっては成形ローレット形成にも使用することができる。
成形品
ワークピースまたは種工具30を使用して製造工具のような成形品を作成する一つの望ましい方法を図23に示す。製造工具82は、ステーション100にて成形材料、できれば熱可塑性材料を種工具30のローレット形成済み外面34上に押し出して作成される。熱可塑性材料は、ニップ102にて表面34に対し圧出される。次に、製造工具82は種工具30から剥離され、マンドレル106上に巻き付けられる。この方法では、所望の長さの製造工具82が形成される。成形面86は、種工具30のローレット形成済み外面34上のパターンと逆のパターンを有する。種工具30の外面34に付与されたパターンが最終的に作成される構造化研磨製品または所望のその他製品のパターンの陽型である場合、成形面86上のパターンは最終製品のパターンと逆のパターンである。図24に示すように、製造工具の成形面86は、種工具30上のピラミッド60の逆である複数のピラミッド状ポケット88から成る。ピラミッド状ポケットは、底部点90と、側部縁部92と、側面94と、上部縁部96とを含む。種工具30が、ねじれ角(h)のローレットパターンを有する場合、成形品のピラミッド状ポケットパターンは、大きさが等しい成形品の長手方向軸線、かつ種工具の角度(h)の対向方向に対し角度(h)を有する。裏面84は、比較的平坦かつ滑らかである。製造工具82は完成品であることが望ましく、この場合、種工具30の外面34のパターンは、製造工具82上の所望最終パターンの陰型つまり逆である。
製造工具82を作成するのに使用できる熱可塑性材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、またはこれらの組合せがある。熱可塑性材料は、可塑剤、遊離基掃去剤または安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、およびその他の加工助剤のような添加剤を含むことができる。これらの材料は、紫外線および可視線に対して実質的に透過性であることが望ましい。
ワークピースまたは種工具30は、その周囲に沿って連続して途切れないローレットパターンを有するので、方向Dに所望の長さがあり、かつ成形パターン上に継ぎ目または遮断がない製造工具を経済的に成形することができる。したがって、連続した構造化研磨複合パターンを有する任意の長さの構造化研磨製品を製造することができる。こうした研磨製品は、製造工具の継ぎ目によりパターンに継ぎ目または遮断を有するその他の構造化研磨製品に比べて、殻が剥がれるような剥離が生じにくい。
製造工具82は、ローレット形成済み種工具30を使って成形用材料を圧印加工することにより成形することも可能である。これは、製造工具の成形面86にワークピースのローレットパターンの逆を付与するのに必要な力および温度にて行うことができる。こうした工程は、単一層または多層製造工具82とともに使用することができる。たとえば、多層製造工具の場合、成形面86は、所望のパターンに成形するのに適する材料から構成することができるが、裏面84は、製造工具82が使用中に暴露される条件において適度に強力または耐久性のある材料から構成することができる。
製造工具82は、硬化した熱硬化性樹脂から作成することも可能である。熱硬化性材料から作成される製造工具は、以下の手順に従って作成することができる。未硬化の熱硬化性樹脂を種工具30に塗布する。未硬化樹脂は、種工具の表面に存在する際、固化して種工具表面のパターンの逆形状を有するように硬化させるかまたは加熱により重合させることができる。次に、硬化した熱硬化性樹脂を種工具の表面から取り外す。製造工具は、アクリレートウレタンオリゴマーのような硬化した放射線硬化性樹脂から作成することが可能である。放射線硬化製造工具は、熱硬化性樹脂から作成される製造工具と同じ方法で作成されるが、紫外線などの放射線に暴露することにより硬化が行われる点が異なる。
本明細書に記載する本発明の方法および装置は、構造化研磨製品を製造する際に使用するのに特に適するが、本発明は、これにより制限されるものではない。たとえば、本明細書に記載する本発明のローレット形成方法および装置は、後続の工程に使用する種工具ではなく、独自の用途を有する完成品であるワークピース30に使用することができる。さらに、ワークピースが種工具である場合、その用途は、後続の工程に使用される製造工具を作成することに限定されない。つまり、ローレット形成済みワークピースを使って成形される成形品は、独自の用途を有する完成品の場合もある。さらに、ローレット形成済みワークピース30は、研磨製品またはその他の製品を製造するためのグラビアコーターとして使用することができる。
構造化研磨製品の製法
研磨コーティングを製造する第一のステップは、研磨スラリーを配合することである。研磨スラリーは、適切な混合技術により、結合剤先駆物質、研磨粒子および任意の添加剤を化合させて作る。混合技術の例としては、低剪断および高剪断混合があるが、高剪断混合が望ましい。超音波エネルギーを混合ステップと組み合わせて使用すると、研磨スラリーの粘度を低下させることもできる。一般に、研磨粒子は、結合剤先駆物質中に徐々に添加する。研磨スラリー中の気泡の量は、混合ステップで真空状態にすることにより最小限にすることができる。場合によっては、研磨スラリーを加熱して、その粘度を所望のレベルまで低下させることが好ましい。たとえば、スラリーは、約30℃〜70℃まで加熱することができる。しかし、スラリーの温度は、スラリーが塗布される支持体に悪影響を及ぼさないように選択すべきである。研磨スラリーは、良く塗布できて、かつ研磨粒子およびその他の充填剤が硬化しない流動性を有することが重要である。
本発明の研磨コーティングを製造する方法は、主に二通りある。第一の方法では、一般に、形状が精密な研磨複合材料が製造される。精密な形状を形成するには、結合剤先駆物質が少なくとも部分的に凝固するかまたはゲル化し、研磨スラリーが製造工具のキャビティ内に存在しなければならない。第二の方法では、一般に、形状が精密ではない研磨複合材料が製造される。第二の方法では、研磨スラリーは、製造工具のキャビティ内に塗布されて、研磨複合材料を形成する。しかし、研磨スラリーは、結合剤先駆物質が硬化または凝固する前に、製造工具から除去する。この工程の後、結合剤先駆物質を硬化または凝固させる。結合剤先駆物質は、製造工具のキャビティ内にある間は硬化しないので、研磨スラリーが流れて、研磨複合材料の形状が歪む。
どちらの方法の場合も、熱硬化性結合剤の先駆物質を使用する場合、エネルギー源は、結合剤先駆物質の化学的性質に応じて、熱エネルギーでも放射線エネルギーでも良い。どちらの方法の場合も、熱可塑性結合剤の先駆物質を使用する場合、熱可塑性樹脂を冷却して凝固させ、研磨複合材料を形成する。
図25は、研磨製品を製造する方法および装置110の略図を示す。上記の工程により作成した製造工具82は、成形面86と、裏面84と、二つの端部とを有するウェブの形式である。第一主面113および第二主面114を有する支持体112は、巻出しステーション115を出て行く。同時に、製造工具82が巻出しステーション116を出て行く。製造工具82の成形つまり接触面86には、コーティングステーション118にて研磨粒子と結合剤先駆物質の混合物が塗布される。この混合物を加熱すると、コーティングステップの前に、混合物の粘度を低下させることができる。コーティングステーション118は、ナイフコーター、ドロップダイコーター、カーテンコーター、真空ダイコーターまたは押出ダイコーターなど、従来のコーティング手段から構成することができる。製造工具82の成形面86にコーティングが塗布された後、支持体112と製造工具82が結合され、混合物が、支持体112の第一主面113を湿らせる。図25では、混合物は、接触ニップロール120を使って支持体112に圧接される。接触ニップロール120は、製造工具/混合物/基材構造を支持ドラム122にも圧接する。ニップロールに45lbsの力を付与すると効果的であることが分かったが、選択する実際の力は、先行技術で公知のいくつかの要素によって決まる。次に、十分な量のエネルギー、できれば放射線エネルギーを放射線エネルギー源124から製造工具82の裏面84を介して混合物に伝達し、結合剤先駆物質を少なくとも部分的に硬化させて、成形された取扱可能な構造物126を形成する。次に、製造工具82を、成形された取扱可能な構造物126から分離する。成形された取扱可能な構造物126から製造工具82を分離するのは、ローラー126にて行われる。製造工具82に適する材料の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリエチレンがある。熱可塑性材料から作成される製造工具によっては、研磨製品を製造する際の動作条件は、過度な熱が発生しないように設定しなければならない。過度な熱が発生すると、熱可塑性用具が歪んだり溶解したりする可能性がある。場合によっては、紫外線が熱を発生する。ローラー127は、必要に応じて製造工具を冷却するのに十分なサイズおよび温度のチルロールで良い。製造工具の接触面つまり成形面86は、製造工具から研磨製品を容易に剥離できる剥離コーティングを含む。こうした剥離コーティングの例としては、シリコンおよびフルオロケミカルがある。成形された取扱可能な構造物126とローラー127を通過した直後の製造工具82との間の角度γは、成形された取扱可能な構造物127を製造工具82からきれいに分離させる上で、30°を超えるような急勾配であることが好ましい。製造工具82は、マンドレル128に巻き取って再利用することができる。成形された取扱可能な構造物126は、マンドレル130に巻かれる。結合剤先駆物質が完全に硬化していない場合、結合剤先駆物質を熱エネルギー源または追加の放射線エネルギー源のような追加のエネルギー源に暴露して完全に硬化させ、塗布研磨製品を形成する。あるいは、追加のエネルギー源を使用しなくても、最終的には完全に硬化し、塗布研磨製品を形成することができる。本明細書で使用する場合、「完全な硬化」および類似の語句は、結合剤先駆物質が十分に硬化して、その結果得られる製品が、塗布研磨製品などの研磨製品として機能することを意味する。
研磨製品は、成形された後、曲げるかおよび/または加湿してから加工することができる。研磨製品は、円錐、エンドレスベルト、シート、ディスクなど、所望の形状に加工してから使用することができる。
図26は、研磨製品を作成する別の方法に適する装置140を示す。この装置では、製造工具82は、接触面つまり成形面86と裏面84を有するエンドレスベルトである。第一主面143と第二主面141を有する支持体142は、巻出ステーション145を出て行く。製造工具の成形面86には、コーティングステーション146にて研磨粒子と結合剤先駆物質の混合物が塗布される。この混合物は、接触ニップロール148により支持体142の第一面143に圧接される。また、接触ニップロール148は、製造工具/混合物/基材構造を支持ドラム150にも圧接するので、混合物は、支持体142の第一主面143を湿らせる。製造工具82は、3個の回転マンドレル152、154および156上で駆動される。次に、エネルギー、できれば放射線エネルギーを製造工具82の裏面84を介して混合物内に伝達し、結合剤先駆物質を少なくとも部分的に硬化させる。放射線エネルギー源は158は一つで良いが、第二の放射線エネルギー源160があっても良い。これらのエネルギー源は、同じタイプでも異なるタイプでも良い。結合剤先駆物質が少なくとも部分的に硬化した後、成形された取扱可能な構造物162は、製造工具82から分離し、マンドレル164上に巻かれる。製造工具82は、成形された取扱可能な構造物162からローラー165にて分離する。成形された取扱可能な構造物162とローラー165を通過した直後の製造工具82との間の角度γは、成形された取扱可能な構造物162を製造工具82からきれいに分離させる上で、30°を超えるような急勾配であることが好ましい。ローラーの一つ、たとえばローラー152は、必要に応じて製造工具82を冷却するのに十分なサイズおよび温度のチルロールで良い。結合剤先駆物質は、完全に硬化していない場合、熱エネルギー源または追加の放射線エネルギー源など、追加のエネルギー源に暴露して完全に硬化させ、塗布研磨製品を形成することができる。あるいは、追加のエネルギー源を使用しなくても最終的には完全に硬化し、塗布研磨製品を形成することができる。
研磨製品は、成形された後、曲げるかおよび/または加湿してから加工することができる。研磨製品は、円錐、エンドレスベルト、シート、ディスクなど、所望の任意の形状に加工して使用することができる。
どの実施例でも、多くの場合、製造工具の塗布面と基材の前面との間の空間に、研磨粒子と結合剤先駆物質の混合物を完全に充填することが望ましい。また、どの実施例でも、スラリーを製造工具内に塗布してスラリーを支持体112に接触させるのではなく、スラリーを支持体112に塗布してスラリーを製造工具に接触させることが可能である。
この実施例の望ましい方法では、放射線エネルギーは、製造工具82を介して混合物内に直接伝達される。製造工具82を作成する材料は、相当量の放射線エネルギーを吸収したり、放射線エネルギーによって悪化しないことが望ましい。たとえば、電子ビームエネルギーを使用する場合、製造工具はセルロース系材料から作成しないことが望ましい。電子はセルロースを悪化させるからである。紫外線または可視線を使用する場合、製造工具の材料は、所望レベルの硬化を達成するのに十分な紫外線または可視線を各々伝達しなければならない。あるいは、複合材料を接着する支持体112は、放射線エネルギーを支持体から伝達することができる。放射線が工具を介して伝達される場合、支持体を介して放射線エネルギーを伝達する必要がないため、放射線エネルギーを吸収する支持体を使用することができる。
製造工具82は、放射線源による悪化を避けるのに十分な粘度にて動作しなければならない。放射線源による悪化に対する耐性が比較的高い製造工具は、比較的低い粘度にて動作することができ、放射線源による悪化に対する耐性が比較的低い製造工具は、比較的高い粘度にて動作することができる。要するに、製造工具の適切な粘度は、製造工具を作成する材料によって決まる。複合研磨剤が接着される支持体は、製造工具と同じ速度で動作しなければならない。この速度、並びに温度および張力のようなその他のパラメーターは、支持体または製造工具に悪影響を与えないように選択すべきである。支持体速度は、15〜76m/min(50〜250feet/min)であると有利であることが分かったが、その他の速度も本発明の範囲に含まれる。
上記の方法に従って作成される研磨製品200の望ましい実施例を図27および図28に示す。研磨製品200は、第一主面113と第二主面114を有する支持体112を具備する。構造化研磨複合材料212は、支持体112の第一主面113に接着される。複合材料212は、結合剤214内に分散した研磨粒子を含む。表面215は、上記のように複合材料212の正確な形状を画定する。図28に示すように、複合材料212は、各々の底部にて互いに隣接することができる。複合材料212の構成は、ワークピース30上のピラミッド60の構成と実質的に同じであり、製造工具82上のピラミッド状ポケット88の実質的に逆である。種工具30のローレットパターンがねじれ角(h)を有する場合、研磨製品は、研磨製品の長手方向軸線に対して角度(h)のパターンで研磨複合材料が整列配置される。これは、研磨製品200により研磨される表面を「スクライビング」するのを避けるという点で機能的に有利である。スクライビングは、研磨複合材料212が、複合材料212のパターン内の複合材料212の尖端の線に沿って表面を著しく研磨するように整列配置されている場合に起こる可能性がある。角度(h)が十分に大きい場合、スクライビングは、研磨製品200を使って表面を研磨する際に避けることができる。
エネルギー源
研磨スラリーが熱硬化性結合剤先駆物質を含む場合、結合剤先駆物質は、硬化または重合する。この重合は、一般に、エネルギー源に暴露された後に開始する。エネルギー源の例としては、熱エネルギーおおび放射線エネルギーがある。エネルギーの量は、結合剤先駆物質の化学的性質、研磨スラリーの大きさ、研磨粒子の量と種類、任意の添加剤の量と種類など、いくつかの要素によって決まる。熱エネルギーの場合、温度は約30℃〜150℃の範囲で良いが、一般には40℃〜120℃である。時間は、約5分〜24時間で良い。放射線エネルギー源としては、電子ビーム、紫外線または可視線がある。電離線としても知られる電子ビーム放射線は、約0.1〜10Mradのエネルギーレベルで使用することができるが、約1〜10Mradのエネルギーレベルであれば好ましい。紫外線とは、約200〜約400nmの範囲の波長を有する非粒子状放射線であり、波長は、約250〜400nmの範囲であれば好ましい。300〜600W/inの紫外線を使用することが好ましい。可視線とは、約400〜約800nmの範囲の波長を有する非粒子状放射線であり、波長は、約400〜550nmの範囲であれば好ましい。その他のエネルギー源としては、赤外線およびマイクロ波がある。
支持体
本明細書に記載する研磨製品200の支持体112に適する材料としては、ポリマーフィルム、紙、布、金属フィルム、バルカンファイバー、不織支持体、並びにこれらの組合せおよびこれらを加工したものがある。ポリマーフィルム基材は、下塗りするか、または先行技術で公知のその他の方法により処理して、研磨コーティングの付着を改善することが好ましい。
研磨コーティング
本明細書に記載する方法に従って研磨製品を製造する際に使用するのに適する研磨コーティングは、精密に成形された複数の研磨複合材料200から成り、研磨複合材料は、結合剤214内に分散した複数の研磨粒子213を含む。結合剤は、研磨複合材料を支持体の第一主面に接着させることができる。研磨複合材料は、識別できる正確な形状を有することが望ましい。研磨粒子は、塗布研磨製品を使用する前は、形状面から突出しないことが好ましい。塗布研磨製品を使用して表面を研磨すると、複合材料が分解し、未使用の研磨粒子が露出する。
本明細書で使用する「精密に成形された研磨複合材料」という表現は、研磨粒子と硬化可能な結合剤の流動可能な混合物を硬化させることにより成形された形状を有する研磨複合材料を意味し、この混合物は、支持体上に塗布され、製造工具表面のキャビティ内に充填される。したがって、こうした精密に成形された研磨複合材料は、キャビティの形状と正確に同じ形状を有する。こうした複数の複合材料は、不規則なパターンで支持体表面から外側に突出する三次元の形状、つまり製造工具のパターンと逆のパターンを形成する。各々の複合材料は境界により画定され、境界の底部部分は、精密に成形された複合材料が付着する支持体との界面である。境界の他の部分は、複合材料が硬化した製造工具表面のキャビティにより画定される。複合材料全体の外面は、外面が形成される際に、支持体またはキャビティにより限定される。研磨複合材料は、結合剤先駆物質と呼ばれる硬化およびゲル化していない結合剤中に分散した複数の研磨粒子を含むスラリーから形成することができる。研磨複合材料は、硬化またはゲル化した後、予め決められた形状および予め決められた配列で固化つまり固着する。
研磨粒子対結合剤の重量比は、一般に約1:1〜4:1の範囲であるが、約2:1〜3:1であれば好ましい。この比率は、研磨粒子のサイズおよび使用する結合剤の種類によって決まる。
研磨粒子
研磨コーティングの研磨粒子213は、一般に約0.1〜1500μmの粒子サイズを有するが、約0.1〜400μmであれば好ましく、0.1〜100μmであればさらに好ましい。粒子サイズの分布が限られていると、研磨されるワークピース上に微細な仕上げを施す研磨製品を形成できることが多い。こうした研磨粒子の例としては、溶融酸化アルミニウム(ブラウン酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、ホワイト酸化アルミニウムを含む)、セラミック酸化アルミニウム、炭化珪素(グリーン、ホワイト、ブラックを含む)、クロミア、アルミナジルコニア、ダイヤモンド、酸化鉄、セリア、立方晶窒化硼素、炭化硼素、ガーネット、およびこれらの組合せがある。適切な熱処理酸化アルミニウムの一例であるグレードP-240は、ドイツ、ガスラーのH.C. Starck GmbH & Co.から市販されている。
「研磨粒子」という用語は、個々の研磨粒子が互いに結合して研磨凝集物を形成している状態も意味する。研磨凝集物は先行技術で公知であり、米国特許第4,311,489号(Kressner)、米国特許第4,652,275号(Bloecher等)および米国特許第4,799,939号(Bloecher等)に記載されている。
研磨粒子には、表面コーティングを施すことも可能である。表面コーティングは、多くの様々な機能を有する。場合によっては、表面コーティングは、結合剤に対する付着を高め、研磨粒子などの研磨特性を変える。表面コーティングの例としては、カップリング剤、ハリド塩、珪素を含む金属酸化物、窒化耐熱金属、炭化耐熱金属などがある。
研磨複合材料中には、希釈粒子も存在する。これらの希釈粒子の粒子サイズは、研磨粒子と同程度である。こうした希釈粒子の例としては、石膏、大理石、石灰石、フリント、シリカ、ガラス気泡、ガラスビード、アルミニウムシリケートなどがある。
結合剤
研磨粒子は、有機結合剤214中に分散して、研磨複合材料コーティングを形成する。結合剤は、研磨粒子が分散できる媒体とならなければならない。結合剤は、研磨製品を迅速に製造できるように、比較的迅速に硬化またはゲル化できることが好ましい。結合剤によっては比較的迅速にゲル化するが、完全に硬化するのに長時間を要するものがある。ゲル化は、硬化開始するまで、複合材料の形状を維持する。迅速に硬化またはゲル化する結合剤によって、高稠度の研磨複合材料を有する塗布研磨製品を作成することができる。有機結合剤は、熱可塑性結合剤で良いが、熱硬化性結合剤であることが好ましい。結合剤は、結合剤先駆物質から形成される。研磨コーティングを製造する際、熱硬化性結合剤先駆物質はエネルギー源に暴露され、重合または硬化工程が開始する。エネルギー源の例としては、熱エネルギー並びに電子ビーム、紫外線および可視線を含む放射線エネルギーがある。この重合工程の後、結合剤先駆物質は凝固結合剤に転換される。あるいは、熱可塑性結合剤先駆物質の場合、研磨製品を製造する際、結合剤先駆物質が凝固する程度まで熱可塑性結合剤先駆物質を冷却する。結合剤先駆物質が凝固すると、研磨複合材料が形成される。
研磨複合材料内の結合剤は、一般に、研磨複合材を支持体の第一主面に付着させる役割を果す。しかし、場合によっては、支持体の表面と研磨複合材との間にさらに接着層が存在する場合がある。この追加の接着剤は、本明細書に記載する各種結合剤から選択することができるが、その他の適切な結合剤でも良い。
熱硬化性樹脂は、主に2種類ある。縮合硬化樹脂と付加重合樹脂である。望ましい結合剤先駆物質は、放射線エネルギーに暴露することにより容易に硬化するという点で付加重合樹脂である。付加重合樹脂は、陽イオン機構または遊離基機構により重合することができる。使用するエネルギー源および結合剤先駆物質の化学的性質によっては、重合の開始を促進するという点で、硬化剤、開始剤または触媒が望ましいこともある。
典型的な結合剤先駆物質の例としては、フェノール樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アクリレートウレタン、アクリレートエポキシ、エチレン不飽和化合物、不飽和カルボニル側基を有するアミノプラスト誘導体、少なくとも一つのアクリレート側基を有するイソシアヌレート誘導体、少なくとも一つのアクリレート側基を有するイソシアナト誘導体、ビニルエーテル、エポキシ樹脂、並びにこれらの混合物および組合せがある。アクリレートという用語は、各種アクリレートおよびメタクリレートを含む。
フェノール樹脂は、その熱特性、利用性、コスト、扱いやすさの点で、研磨製品結合剤に広く使用されている。フェノール樹脂は、レゾールとノボラックの2種類ある。レゾールフェノール樹脂は、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が少なくとも1:1、一般的には1.5:1〜3:1である。ノボラック樹脂は、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が1:1未満である。市販のフェノール樹脂の例としては、Occidental Chemicals Corp.が"Durez"および"Varcum"の商標で市販しているもの、Monsantoの"Resinox"、Ashland Chemical Co.の"Aerofene"および"Arotap"がある。
アクリレートウレタンは、ヒドロキシルを末端基とするNCO増量ポリエステルまたはポリエーテルのジアクリレートエステルである。市販のアクリレートウレタンの例としては、Morton Thiokol Chemicalの"UVITHANE 782"、Radcure Specialtiesの"CMD 6600"、"CMD 8400"および"CMD 8805"がある。
アクリレートエポキシは、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルなど、エポキシ樹脂のジアクリレートエステルである。市販のアクリレートエポキシの例としては、Radcure Specialitiesが市販している"CMD 3500"、"CMD 3600"および"CMD 3700"がある。
エチレン不飽和樹脂としては、炭素、水素および酸素、並びに任意に窒素およびハロゲンの原子を含むモノマーまたはポリマー化合物などがある。酸素原子もしくは窒素原子またはこの両方は、一般に、エーテル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレア基に存在する。エチレン不飽和化合物は、約4,000未満の分子量を有することが好ましく、脂肪族モノヒドロキシ基または脂肪族ポリヒドロキシ基を含む化合物とアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸との反応から生成されるエスチルであることが好ましい。アクリレート樹脂の代表的な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびペンタエリトリトールテトラアクリレートがある。その他のエチレン不飽和樹脂としては、モノアリル、ポリアリルおよびポリメタリルエステル、並びにジアリルフタレート、ジアリルアジペートおよびN,N-ジアリルアジパミドのようなカルボン酸アミドがある。さらに、その他の窒素含有化合物としては、トリス(2-アクリロイル-オキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリ(2-メチアクリオキシエチル)-s-トリアジン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、およびN-ビニルピペリドンがある。
アミノプラスト樹脂は、分子またはオリゴマーごとに少なくとも一つのα、β-不飽和カルボニル側基を有する。こうした材料の例としては、N-(ヒドロキシメチル)-アクリルアミド、N,N'-オキシジメチレンビスアクリルアミド、オルトおよびパラアクリルアミドメタノール変性フェノール、アクリルアミドメタノール変性フェノールノボラック、およびこれらの組合せがある。これらの樹脂は先行技術で公知であり、米国特許第4,903,440(Larson等)および米国特許第5,236,472号(Kirk等)に記載されている。
少なくとも一つのアクリレート側基を有するイソシアヌレート誘導体および少なくとも一つのアクリレート側基を有するイソシアナト誘導体は、米国特許第4,652,274号(Beottcher等)に記載されている。好ましいイソシアヌレート材料は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートである。
エポキシ樹脂はオキシランであり、開環によって重合される。こうしたエポキシド樹脂としては、モノマーエポキシ樹脂およびオリゴマーエポキシ樹脂がある。好ましいエポキシ樹脂の例をいくつか挙げると、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)-フェニルプロパン](ビスフェノールのジグリシジルエーテル)、並びにShell Chemical Co.が"Epon 828"、"Epon 1004"および"Epon 1001F"の商標で市販している材料、およびDow Chemical Co.が"DER-331"、"DER-332"および"DER-334"の商標で市販している材料である。その他の適切なエポキシ樹脂としては、フェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテルがある(たとえば、Dow Chemical Co.が市販している"DEN-431"および"DEN-428")。
本発明のエポキシ樹脂は、適切な陽イオン硬化剤を加えることにより、陽イオン機構を介して重合させることができる。陽イオン硬化剤は、エポキシ樹脂の重合を開始させる酸源を生成する。これらの陽イオン硬化剤は、オニウム陽イオンを有する塩、および金属またはメタロイドの錯陰イオンを含むハロゲンを含むことができる。その他の陽イオン硬化剤としては、有機金属錯イオンを有する塩、および金属またはメタロイドの錯陰イオンを含むハロゲンがある。こうした硬化剤は先行技術で公知であり、米国特許第4,751,138号(Tumey等)に記載されている(特に、6列65行から9列45行)。先行技術で公知のもう一つの例は、米国特許第4,985,340号(Palazzotto)(特に、4列65行から14列50行)、欧州特許出願第306,161号(Brown-Wensley等)および欧州特許出願第306,162号(Palazzortto等)に記載されている有機金属塩およびオニウム塩である。先行技術で公知のさらに他の陽イオン硬化剤としては、有機金属錯体の陰イオン塩があり、この場合、金属は、欧州特許出願第109,851号(Palazzotto等)に記載されている周期律のIBV族、VB族、VIB族、VIIB族およびVIIIB族の要素から選択される。
遊離基硬化性樹脂については、場合によっては、研磨スラリーがさらに遊離基硬化剤を含むことが好ましい。しかし、電子ビームエネルギー源の場合、電子ビーム自体が遊離基を生成するので、硬化剤は必ずしも必要ではない。
遊離基熱開始剤の例としては、ベンゾイルペルオキシド、アゾ化合物、ベンゾフェノンおよびキノンなどのペルオキシドがある。紫外線または可視線の場合、この硬化剤は、光開始剤と呼ばれることもある。紫外線に暴露されると遊離基源を生成する開始剤の例としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アクリルハリド、ヒドロゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、アセトフェノン誘導体、およびこれらの混合物から成るグループから選択されるものがあるが、これらだけに限らない。紫外線とともに使用するのに好ましい光開始剤は、2,2-ジメトキシ-1,2-デフェニル-1-エタノンである。可視線に暴露されると遊離基源を生成する先行技術で公知の開始剤の例は、米国特許第4,735,632号(Oxman等)に記載されている。可視線ととともに使用するのに適する開始剤は、Ciba Geigy Corporationが市販している"Irgacure 369"である。
添加剤
研磨コーティングを製造するための研磨スラリーは、充填剤(研磨助剤を含む)、繊維、潤滑剤、湿潤剤、チキソプロティック材料、界面活性剤、顔料、染料、帯電防止剤、カップリング剤、剥離剤、可塑剤、沈殿防止剤、およびこれらの混合物など、任意の添加剤をさらに含むことができる。これらの材料の量は、所望の特性が得られるように選択する。これらの材料を使用すると、研磨複合材料の侵食性に影響する可能性がある。場合によっては、研磨複合材料の侵食性を高め、鈍くなった研磨粒子が取り除かれて新しい研磨粒子が露出するように添加剤を加えることがある。
充填剤という用語は、研磨業界で研磨助剤として周知の材料も含む。研磨助剤は、添加した場合に、化学的および物理的研磨過程に著しい影響を及ぼし、性能を改善する粒子状材料と定義される。研磨助剤の化学基としては、ワックス、有機ハリド化合物、ハリド塩、金属、およびこれらの合金がある。有機ハリド化合物は、一般に、研磨の際に分解し、ハロゲン酸または気体ハリド化合物を放出する。こうした材料の例としては、テトラクロロナフタレンおよびペンタクロロナフタレンのような塩素化ワックス並びにポリ塩化ビニルがある。ハリド塩の例としては、塩化ナトリウム、氷晶石カリウム、氷晶石ナトリウム、氷晶石アンモニウム、テトラフルオロボレートカリウム、テトラフルオロボレートナトリウム、弗化珪素、塩化カリウム、塩化マグネシウムがある。金属の例としては、錫、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、チタン鉄がある。その他の研磨助剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、黒鉛および金属硫化物がある。
帯電防止剤の例としては、黒鉛、カーボンブラック、酸化バナジウム、保湿剤などがある。これらの帯電防止剤は先行技術で公知であり、米国特許第5,061,294号(Harmer等)、米国特許第5,137,542号(Buchanan等)および米国特許第5,203,884号(Buchanan等)に記載されている。
カップリング剤は、結合剤先駆物質と充填剤粒子または研磨粒子との間に会合橋を形成する。カップリング剤を添加すると、研磨複合材料を形成するために使用するスラリーの塗布粘度が著しく低下する。カップリング剤の例としては、シラン、チタネートおよびジルコアルミネートがある。適切なシランカップリング剤の一例である3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシランは、Union Carbideが"A-174"の商標で市販している。研磨スラリーは、だいたい約0.01〜3重量%のカップリング剤を含むことが好ましい。
沈殿防止剤の例は、150m2/g未満の表面積を有する非晶質シリカであり、DeGussa Corp.が"OX-50"の商標で市販している。
研磨複合材料の粒子を製造することも、本発明の範囲である。一般に、この製造方法は、以下のステップから成る。a)研磨スラリーを製造工具内に塗布する、b)結合剤先駆物質を凝固させ、結合剤を形成し、研磨複合材料を形成する条件に研磨スラリーを暴露する、c)研磨複合材料を製造工具から取り除く、およびd)研磨複合材料を複合粒子に加工する。これらの研磨複合粒子は、接着研磨剤、塗布研磨剤および不織研磨剤に使用することができる。この製法は、国際出願第WO95/01241号に詳しく記載されており、この出願の全体の開示事項は、引用により本明細書に包含する。
本発明の作業について、以下に詳細な例を挙げてさらに説明する。これらの例は、特定かつ望ましい様々な実施例および技術をさらに示すために記載する。しかし、本発明の範囲を逸脱せずに多くの変形および変更を行うことができることを理解するべきである。
産業上の利用可能性
実施例1
ローレット形成工程
先ず、直径8in、長さ28inの1026軟鋼ワークピースに光沢ニッケルの薄い層をめっきして腐食を防ぎ、めっき銅に対する付着を改善した。次に、0.050in、240knoopの硬質銅を光沢ニッケルの上にめっきした。めっきしたワークピースの一方の端部を4ジョーチャックに取り付けて、低圧ポンプおよび水ベースの冷却水を装備したClausing普通旋盤の心押し台の中心で他方の端部を支持した。ワークピースの外面を滑らかに研磨して硬質銅を0.030in残した。
Zeus切削ローレット形成工具モデル209番に、高速度鋼("HSS")第一ローレット形成ホイール12'を装備した。第一ローレット形成ホイールは、歯が30°左に傾斜し、1インチ当たりの歯の数("TPI")が30個、歯の山における歯の開先角度が90°だった。この工具には、HSS第二ローレット形成ホイール14も装備した。第二ローレット形成ホイールは、歯の傾斜角度がO°、36TPI、歯の山における開先角度が90°だった。この二つのホイールの向きは、ホイール取付ポストを200mm(7.9in)のワークピースのO.D.位置に設定することにより調節した。ホイールの軸線は各々、工具の中心面24に対して約30°だった。次に、この切削ローレット形成工具を旋盤のクロススライドに取り付けた。工具の高さは、両方のホイールが同時にワークピースに接触するように調節した。次に、上のホイール12'を取り外した。冷却水を第二ホイール14に流して、形成されたチップを洗浄した。
1)第二ホイール14をワークピースと係合させた。旋盤は、ワークピースを方向A'に80rpmで回転させ、方向Bにおける工具の送り速度を右から左に0.010in/revにした。第一ホイール14の切削深さは、完全なローレットの約75%のローレットが形成されるように調節した。
2)次に、第二ホイール14を取り外して、第一ホイール12'を再び取り付けた。旋盤は、ワークピースを方向Aに上記と同じ条件で回転させ、工具を方向Bに右から左に送った。
3)第一ホイール12'を取り外し、第二ホイール14を再び取り付けた。このステップ3ではステップ1を繰り返したが、工具は、完全なローレットの深さを形成するように調節した。
4)第二ホイール14を取り外し、第一ホイール12'を再び取り付けた。このステップ4ではステップ2を繰り返したが、工具は、完全なローレットの深さを形成するように調節した。
5)第一ホイール12'を取り外し、第二ホイール14を再び取り付けた。このステップ5では、完全なローレットの深さにて再度ステップ3を繰り返した。
結果として得られたローレット形成済みワークピース面は、平均高さ0.0099inのピラミッドの底部縁部に平行な方向に測定して、1in当たり36.7個の方形べースのピラミッドのローレットパターンで覆われた。ピラミッドの上部は、ローレットホイールの丸みが付いた谷に対応して丸みが付けられた。ピラミッド状パターンの尖端は、ワークピースの長手方向軸線に垂直な平面に対して11.5°のねじれ角を有した。このワークピースは、腐食を防ぎ、ポリマーの剥離を改善するために無電解ニッケルの保護層を塗布してから使用した。
製造工具
ワークピースは、図23に示した工程により製造用具を作成するために使用した。先ず、ワークピースを30に取り付けた。ワークピースつまり種工具は60℃(140°F)、ロール102は21℃(70°F)に保った。214℃(417°F)のEscorene Polypropylene 3445を種工具上に押し出した。0.022in厚の継ぎ目のないフィルムが、3.6m/min(11.8f/min)の速度で収集された。このフィルムの表面には、ローレット形成済みワークピースのパターンの逆であるピラミッド状ポケットの連続したパターンが形成された。
研磨製品
図25に示した工程を使って、研磨製品を作成した。製造工具は、ポケットを86側にして構成要素82として取り付けた。支持体112は、X重量ポリコットンだった。この支持体は、表側113にラテックス/フェノール樹脂処理を施した(硬化樹脂ベースで85部/15部)。
すべての凝集固体が分散するまで次の表の成分を高度剪断ミキサーを使って混合し、放射線硬化性先駆物質を生成した。
Figure 0003804871
次に、上記の先駆物質を41.5重量%と、メリーランド州、ボルチモアのU.S.Electrofused Minerals, Inc.が市販しているグレード180のBT-Rを58.5重量%の割合で、高度剪断ミキサー内で1200rpmにて20分間混合し、放射線硬化性研磨スラリーを作成した。
51μm(2 mil)の隙間を有するナイフコーター118を使って、この研磨スラリーを製造工具のポケット内に塗布した。放射線源は、各々600W/inで作動する2個の可視ランプだった。この工程は、15m/min(50feet/min)で作動させた。研磨粒子を図25の装置から除去し、115℃(240°F)にて12時間加熱して、ラテックス/フェノール基材処理剤を完全に硬化させた。この構造化研磨剤を7.6cm(3in)×335cm(132in)のエンドレスベルトに加工し、バックスタンドグラインダーに304ステンレス鋼試験片を乗せて試験した。試験片の研磨面には、スクライビングまたは溝のパターンは観察されなかった。
実施例2
ローレット形成工程
直径8in、長さ28inの鋼ワークピースにめっきして、その表面に0.060inの軟鋼層を形成した。このワークピースを4ジョーチャックに取り付けて、低圧ポンプと水ベースの冷却水を装備したLodge and Shipley普通旋盤の心押し台の中心で他の端部を支持した。ワークピースの外面を滑らかに研磨して、0.015inの軟鋼を残した。Dorian CNC-107-3Mローレット形成工具に、2個のコバルトクロム切削ローレット形成ホイールを50TPI、歯の山の開先角度90°にて取り付けた。各々ホイールの歯の傾斜角は0°だった。ローレット形成工具の取付ポストは、ワークピースの中心面24に対して角度(a)43°にて第一ホイール12、−47°にて第二ホイール14に向いており、したがって歯の開先角度オフセット(g)は2°だった。ローレット形成工具は、旋盤のクロススライドに取り付けた。工具のシャンクを点検して、ワークピースに対して垂直であるかどうかを確認した。第二ホイール14を取り外した。冷却水をホイールに流し、形成されたチップを洗浄した。
1)旋盤を方向Aに66rpmにて作動させ、方向Bにおける工具の送り速度を右から左に0.010in/revにした。第一ホイール12の切削深さは、完全な深さになるように調節した。ホイールは、長さ1.5inのチップを形成した。
2)第一ホイール12を取り外し、第二ホイール14の位置に再び取り付けた。旋盤を方向A'に66rpmにて作動させ、左から右に方向Bにおける工具の送り速度を0.010in/revにした。切削深さは、完全な深さになるように調節した。ワークピースを検査したところ、第一の複数の溝にばりおよび歪みが見られた。
3)ホイールを第二位置から取り外し、第一位置に再び取り付けた。最初の切削と同じ深さにて、第一の複数の溝に沿って清掃するため、3回目のホイール横断を行った。ホイールは、正確に作動した。検査によると、第一の複数の溝からばりおよび歪みが除去され、鋭角かつ十分に画定されたピラミッドが残った。第二の複数の溝では、わずかな周期的なばりだけが見られた。
結果として得られたワークピースには、平均高さ0.0094inのピラミッドの底部縁部に平行な方向に測定して、1in当たり50個の方形ベースのピラミッドの配列が形成された。尖端は、ワークピースの長手方向軸線に垂直な平面に対して1.1°のねじれ角を有した。ワークピースは、腐食を防ぎ、ポリマーの剥離特性を改善するために無電解ニッケルの保護層を塗布してから使用した。
製造工具
ワークピースは、図23に示した工程により製造工具を作成するために使用した。先ず、ワークピースを30に取り付けた。ワークピースつまり種工具は60℃(140°F)、ロール102は21℃(70°F)に保った。214℃(417°F)のEscorene Polypropylene 3445を種工具上に押し出した。0.022in厚の継ぎ目のないフィルムが、3.6m/min(11.8f/min)の速度で収集された。このフィルムの表面には、ローレット形成済みワークピースのパターンの逆であるピラミッド状ポケットが形成された。
研磨製品
図26に示した工程を使って、研磨製品を作成した。製造用具のエンドレスベルトは、超音波溶接により作成した。このベルトは、ポケットを86側にして構成要素82として取り付けた。支持体142は、J重量レーヨンだった。この支持体には、143側にラテックス/フェノール樹脂処理を施した(硬化樹脂ベースで85部/15部)。研磨粒子は、例1に記載したように作成したが、研磨スラリーは、マサチューセッツ州、ニュートンのH.C. Stark, Inc.が市販しているP-320 F7TX鉱物を使って作成した。
76μm(3mi1)の隙間を有するナイフコーター146を使って、この研磨スラリーを製造工具のポケット内に塗布した。放射線源は、600W/inで作動する1個の可視ランプだった。この工程は、15m/min(50feet/min)で作動させた。研磨粒子を図26の装置から除去し、115℃(240°F)にて12時間加熱して、ラテックス/フェノール基材処理剤を完全に硬化させた。
この塗布研磨製品を7.6cm(3in)×335cm(132in)のエンドレスベルトに加工し、バックスタンドグラインダーに304ステンレス鋼試験片を乗せて試験した。試験片の表面には、0.020in間隔の波しわ、つまりスクライビングパターンが形成された。このサンプルのねじれ角は、構造化研磨製品上のピラミッドの尖端により試験片のスクライビングを防ぐという点で十分ではなかった。
実施例3
ローレット形成工程
直径8in、長さ28inの1026軟鋼ロールを4ジョーチャックに取り付けて、低圧ポンプおよび水ベースの冷却水を装備したLodge and Shipley普通旋盤の心押し台の中心で他方の端部を支持した。Zeus切削ローレット形成工具モデル209番に、HSS第一ローレット形成ホイール12'を装備した。第一ホイール12'は、歯が30°左に傾斜し、25TPI、歯の山における歯の開先角度が90°だった。HSS第二ローレット形成ホイール14は、歯の傾斜角が0°、25TPI、歯の山の開先角度90°だった。ホイール取付ポストは、ワークピースO.D.が200mm(7.9in)になるように調節した。この切削ローレット形成工具を取り付けて高さを調節した後、第一切削ホイール12'を取り外した。冷却水をホイールに流して、形成されたチップを洗浄した。
1)旋盤を方向A'に77rpmにて作動させ、工具の送り速度を右から左に0.010in/revにした。第二ホイール14の切削深さは、完全なローレットの約75%のローレットが形成されるように調節した。
2)次に、第二ホイール14を取り外して、第一ホイール12'を再び取り付けた。旋盤は、ステップ1と同じ条件で方向Aに作動させ、工具の送り速度もステップ1と同じにした。
3)第一ホイール12'を取り外し、第二ホイール14を再び取り付けた。このステップ3ではステップ1を繰り返したが、ローレット形成ホイールは、完全なローレットの深さを形成するように調節した。
4)第二ホイール14を取り外し、第一ホイール12'を再び取り付けた。このステップ4ではステップ2を繰り返したが、ローレット形成ホイールは、完全なローレットの深さを形成するように調節した。
5)第一ホイール12'を取り外し、第二ホイール14を再度取り付けた。このステップ5では、完全なローレットの深さにて再度ステップ3を繰り返した。
結果として得られたローレット形成済みワークピース面には、平均高さが0.0141inの鋭利な完全に成形された方形ベースのピラミッドが形成された。ピラミッドの尖端は、ワークピースの長手方向軸線に垂直な平面に対して11.5°のねじれ角を有した。ワークピースは、腐食を防ぎ、ポリマーの剥離特性を改善するために無電解ニッケルの保護層を塗布してから使用した。
製造工具および研磨製品
ローレット形成済みワークピースを使用して、例1に記載した工程により0.024in厚の製造工具を作成した。この製造工具は、図25に示した工程を使って塗布研磨製品を作成するために使用した。支持体112は、X重量ポリコットンで、例1と同じラテックス/フェノール樹脂処理を施した。この研磨スラリーは、放射線硬化性先駆物質を40.20%、メリーランド州、ボルチモアのU.S. Electrofused Minerals, Inc.が市販しているグレード150のBT-Rを59.80%配合した。
51μm(2mil)の隙間を有するナイフコーター118を使って、このスラリーを製造工具のポケット内に塗布した。放射線源は、各々600W/inで作動する2個の可視ランプだった。この工程は、30m/min(100feet/min)で作動させた。研磨粒子を図25の装置から除去し、115℃(240°F)にて12時間加熱して、ラテックス/フェノール基材処理剤を完全に硬化させた。
この塗布研磨製品を7.6cm(3in)×335cm(132in)のエンドレスベルトに加工した。この研磨製品について、バックスタンドグラインダーに304ステンレス鋼試験片を乗せて試験した。試験片の研磨面には、溝またはスクライビングのパターンは観察されなかった。
以上で、本発明のいくつかの実施例に関して本発明を説明してきた。上記の詳細な説明および例は、理解しやすくするためにのみ記載したに過ぎない。これらの説明および例によって不必要に制限されることはないものと考えるべきである。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱せずに、上記の実施例に多くの変更を加えることができることは明白である。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載した正確な詳細および構造に限定すべきではなく、請求の範囲の文言により記述する構造およびこうした構造と同等の構造に限定すべきである。

Claims (4)

  1. 長手方向軸線を有するワークピースにローレットを形成する方法であって、
    a) 第一の複数の溝をワークピースに付与するステップであって、該第一の複数の溝が、該ワークピースの長手方向軸線に垂直な基準面に対して第一の開先ねじれ角を有するステップと、
    b) 第二の複数の溝を該ワークピースに付与するステップであって、該第二の複数の溝が、該基準面に対して第二の開先ねじれ角を有し、該第二の複数の溝が該第一の複数の溝と交差し、その結果、該ワークピースの外面にローレットパターンが付与され、該ローレットパターンが、該ワークピースの周囲に沿って連続して途切れず、該第一および第二の開先ねじれ角が実質的に等しくない大きさであり、該ローレットパターンが該ワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に配列しないステップとを含む方法。
  2. 前記第一と第二の複数の溝が、第一と第二のローレット形成ホイールによってそれぞれワークピースに付与され、該第一と第二のローレット形成ホイールが、いずれも該ワークピースの長手方向軸線と平行でない回転中心軸を有する、請求項1に記載の方法。
  3. ローレット形成済みの円筒状外面を有するローレット形成済みワークピースであって、
    長手方向軸線と、円筒状の外面とを備え、前記外面がその上にローレットパターンを有する円筒状本体から成り、
    前記ローレットパターンが、
    前記ワークピースの前記長手方向軸線に垂直な基準面に対して第一開先ねじれ角を有する第一の複数の溝と、
    前記基準面に対して第二開先ねじれ角を有する第二の複数の溝であって、前記第二の複数の溝が前記第一の複数の溝と交差する第二の複数の溝とを備え、
    前記ローレットパターンが、前記ワークピースの周囲に沿って連続して途切れず、前記第一および第二の開先ねじれ角の大きさが実質的に等しくなく、該ローレットパターンが該ワークピースの長手方向軸線に垂直な方向に配列していない、ローレット形成済みワークピース。
  4. ローレット形成済みの円筒状外面を有するローレット形成済みワークピースを使って成形品を成形する方法であって、前記ローレット形成済みワークピースが:
    長手方向軸線と、円筒状の外面とを備え、前記外面がその上にローレットパターンを有する円筒状本体から成り、
    前記ローレットパターンが、
    前記ワークピースの前記長手方向軸線に垂直な基準面に対して第一開先ねじれ角を有する第一の複数の溝と、
    前記基準面に対して第二開先ねじれ角を有する第二の複数の溝であって、前記第二の複数の溝が前記第一の複数の溝と交差する第二の複数の溝とを備え、
    前記ローレットパターンが、前記ワークピースの周囲に沿って連続して途切れず、前記第一および第二の開先ねじれ角の大きさが実質的に等しくなく、
    前記方法が:
    a) 成形可能な材料をローレット形成済みワークピースの外面に塗布するステップと、
    b) 成形可能な材料がローレット形成済みワークピースと接触する際、該成形可能材料に十分な力を付与し、種工具と接触する該成形可能材料の第一面に該ローレット形成済みワークピースの外面のパターンと逆のパターンを付与するステップと、
    c) 該成形可能材料を該ローレット形成済みワークピースから取り除くステップと、
    を含む方法。
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