JP3803471B2 - はんだ付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプ稼働条件の設定に特徴を有するはんだ付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
噴流式またはリフロー式のはんだ付け装置によりプリント基板の全面に対する一括式はんだ付けを完了した後の工程で、部分的に比較的大形の電気部品を後付けする場合がある。この場合、既にはんだ付け済みの部位は、後付け用の溶融はんだに晒したくないので、局所はんだ付けを行う必要がある。
【0003】
この局所はんだ付けは、溶融はんだを噴流するための複数の局所ノズルを用いると、能率良く行える。その場合、複数の局所ノズルに複数のポンプから個々に溶融はんだを供給し、さらに、複数のポンプを複数の制御手段により個々に制御することが望ましい。
【0004】
このとき、例えば噴流開始までの待ち時間、噴流開始時の噴流波高を上昇させる加速時間、一定の噴流波高を維持する個別噴流時間、噴流終了時の噴流波高を下降させる減速時間、噴流波高を調整するポンプ制御信号などの種々の制御パラメータを、個々の局所ノズルに応じて適切に変えることが、高精度の局所はんだ付けを行う上で望ましい。
【0005】
このような場合、従来は、図9に示されるように、複数の局所ノズルと対応する複数のポンプの制御パラメータを個々に制御するために、(一つのポンプを制御するための制御パラメータ数)×(ポンプ数)の多数のデジタルスイッチDSを用意し、これらのデジタルスイッチDSを1枚のパネルPNに取付け、これらのデジタルスイッチDSにより個々のポンプ稼働条件を設定するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来例では、多数のデジタルスイッチDSを用意する必要があり、また、それらのパネルPNへの組付け、配線などの作業が煩雑となる。
【0007】
さらに、パネルPNに取付けられた多数のデジタルスイッチDSが大形の入力装置となり、場所を取る問題がある。
【0008】
また、多数のデジタルスイッチDSを個々に操作する必要があり、ポンプ稼働条件の設定が容易でない。
【0009】
加えて、ポンプ稼働条件を設定するデジタルスイッチDSと、実際の局所ノズルとの対応関係が明確でなく、例えば、ある局所ノズルに対するポンプ稼働条件を設定または変更する場合に、実際の局所ノズルと、その局所ノズルを特定する番号との間に思い違いなどの誤りがあっても、その誤りに気がつかないおそれが大きい。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、複数のノズルに対応する複数のポンプ稼働条件を、小形の入力手段で容易にかつ正確に設定できるはんだ付け装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、溶融はんだを噴流するための複数のノズルと、複数のノズルに個々に溶融はんだを供給する複数のポンプと、複数のポンプをそれぞれ制御する複数の制御手段と、複数のノズルの配置パターンを画面で表示するとともにこの表示された配置パターンの特定のノズルと対応するポンプの制御手段を選択してポンプ稼働条件を設定する入力装置とを備え、この入力装置は、複数のノズルの配置パターンを表示するとともに特定のノズルと対応する位置のノズル表示部位を指示することにより特定のポンプの制御手段を選択することが可能であり他の画面に切替えてポンプ稼働条件を設定することが可能である主画面と、切替えられた主画面にてポンプ稼働条件を設定している間も複数のノズルの配置パターンを表示する子画面とを具備したはんだ付け装置である。
【0012】
そして、複数のノズルの配置パターンを画面で表示する入力装置を用いて、特定のノズルと対応するポンプの制御手段を選択し、さらに、その制御手段にポンプ稼働条件を設定する。その際、複数のノズルの配置パターンを主画面および子画面で表示する入力装置を用いて、主画面で特定のノズルと対応するポンプの制御手段を選択し、さらに、子画面でノズルの配置パターンを表示しながら、選択されたポンプの制御手段にポンプ稼働条件を設定する。すなわち、主画面にて、特定のノズルと対応する位置のノズル表示部位を指示することにより特定のポンプの制御手段を選択し、さらに、切替えられた画面により、選択されたポンプの制御手段にポンプ稼働条件を設定するときも、引続き、子画面で複数のノズルの配置パターンを表示する。
【0013】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のはんだ付け装置におけるノズルを局所はんだ付け用の局所ノズルとし、ポンプを電磁誘導ポンプとしたものである。
【0014】
そして、複数の局所ノズルの配置パターンを画面で表示する入力装置を用いて、特定の局所ノズルと対応する電磁誘導ポンプの制御手段を選択し、さらに、その制御手段にポンプ稼働条件を設定する。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載のはんだ付け装置における制御手段が、ポンプ稼働条件として、はんだ付けされるワークを搬送するワーク搬送手段からタイミング信号が入力された時点からの待ち時間と、ノズルからの噴流を開始する際に噴流波高を上昇させる加速時間と、一定の噴流波高を維持する個別噴流時間と、ノズルからの噴流を終了する際に噴流波高を下降させる減速時間と、噴流波高を調整するポンプ制御信号とを制御するものである。
【0016】
そして、ノズルの配置パターンを画面で表示する入力装置を用いて、選択されたポンプの制御手段に、ポンプ稼働条件としての待ち時間、加速時間、個別噴流時間、減速時間、噴流波高調整用のポンプ制御信号をそれぞれ設定する。
【0017】
請求項4に記載された発明は、請求項3記載のはんだ付け装置における制御手段が、噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させるとともに、噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させるものである。
【0018】
そして、入力装置の画面によりポンプの制御手段に加速時間および減速時間をそれぞれ設定すると、制御手段は、設定された加速時間内で噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させ、また、設定された減速時間内で噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図1乃至図8に示された実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図7に示されるように、はんだ槽11の下部に複数の電磁誘導ポンプ21,22,23,24,25,26が上下方向に設けられ、これらの電磁誘導ポンプ21〜26の吐出口に、電磁誘導ポンプ21〜26より圧送された溶融はんだを噴流させて局所はんだ付けを行うための局所ノズル31,32,33,34,35,36がそれぞれ設けられ、はんだ槽11内に収容された錫、インジウムなどの導電性を有する溶融はんだSの表面から突出されている。これらの局所ノズル31〜36は、はんだ付けされるワークWの限られた場所に溶融はんだを供給する。
【0021】
図8に示されるように、はんだ槽11は、多数の一括はんだ付け電子部品とともに後付け部品Pを表面実装したプリント基板などのワーク(以下、ワークは「部品実装基板」を意味する)Wを搬送するワーク搬送手段としてのコンベヤ40の下側であって、ワーク搬送を停止する位置の下側に、図示されない昇降手段により昇降可能に設けられている。
【0022】
このはんだ槽11は、底板部41と、この底板部41の周囲から高さ方向に垂直に立上げ形成された板状の縦板部42とにより、ポンプ槽部43が形成され、また、このポンプ槽部43の上側に位置する水平板部44と、その周囲から高さ方向に立上げ形成された縦板部45と、この縦板部45の上部にて外側へ折曲形成された上縁部46とにより、上面を開口した溶融はんだ噴流槽部47が形成されている。
【0023】
複数の電磁誘導ポンプ21〜26は、はんだ槽11における縦板部42の外側面に沿って上下方向に、多数の誘導コイル48の巻回されたE形積層鉄心からなる一次鉄心49を縦板部42に密着させてそれぞれ配置し、各縦板部42の内側に、溶融はんだ上昇間隙50を介して上下方向に、I形積層鉄心からなる二次鉄心51をそれぞれ配置したものである。
【0024】
各二次鉄心51の下端部には吸込口52がそれぞれ設けられ、各二次鉄心51の上端部にはノズル取付台部53がそれぞれ一体に設けられ、これらの取付台部53の付け根部分に吐出口54がそれぞれ形成され、これらの吐出口54にダクト55がそれぞれ接続され、これらのダクト55の上部に、前記局所ノズル31〜36がそれぞれ設けられている。
【0025】
ポンプ槽部43の中央部には、複数の電磁誘導ポンプ21〜26に共通の、はんだ溶融用のヒータ56が上下方向に配置されている。このヒータ56はワーク搬送方向(図8の紙面に対し垂直方向)に長尺のシーズヒータである。
【0026】
はんだ槽11の上部には、溶融はんだSの表面に不活性ガスを供給して溶融はんだSの酸化を防止する不活性ガス供給手段61が設けられている。
【0027】
この不活性ガス供給手段61は、はんだ槽11の上部にて、前記局所ノズル31〜36と嵌合するノズル挿入穴62が設けられた覆い板63が設置され、この覆い板63の下面から四方の縦板部45の内側へ突出された突板64の下部が溶融はんだS中に浸漬され、これらの覆い板63および突板64により囲まれた溶融はんだ面上の空間65内に、窒素ガスなどの不活性ガスを供給するための不活性ガス供給管66が挿入されている。
【0028】
前記覆い板63の上側には、前記コンベヤ40が設けられている。このコンベヤ40は、左右のガイドレール67にそれぞれ回行自在に組込まれた左右の無端チェン(図示されない)より多数のワーク搬送爪68を所定ピッチで突出させ、左右の無端チェンを同期させて回行駆動することにより、左右のワーク搬送爪68を同一方向へ等速で移動させ、これらのワーク搬送爪68間に係止されたワークWを搬送する。
【0029】
この図7および図8に示されたはんだ槽11の作用を説明する。
【0030】
電磁誘導ポンプ21〜26は、溶融はんだ上昇間隙50に沿って上下方向に配列した誘導コイル48に3相交流などの位相のずれた交流電流を供給することにより、溶融はんだ上昇間隙50内に移動磁界を生じさせ、溶融はんだ上昇間隙50内の導電性溶融はんだSに電磁誘導による起電力を生じさせ、溶融はんだSの起電力による電流が移動磁界の磁束の中で流れることにより、溶融はんだ上昇間隙50内の溶融はんだSに上方への推力を発生させ、溶融はんだSを上昇移動させる。
【0031】
これにより、共通のヒータ56により溶融した溶融はんだSは、各々の電磁誘導ポンプ21〜26によりそれぞれの吸込口52から吸込まれ、はんだ槽11の縦板部42に沿って溶融はんだ上昇間隙50を上昇し、それぞれの吐出口54から吐出し、ダクト55を経て局所ノズル31〜36より噴流し、ワークWの基板実装部品PのリードLを基板下面にはんだ付けし、覆い板63のノズル挿入穴62を経て溶融はんだ噴流槽部47に落下し、ポンプ槽部43に循環する。
【0032】
溶融はんだ噴流槽部47の溶融はんだSの表面は、不活性ガス供給手段61により供給された窒素ガスなどの不活性ガスにより覆われているので、この溶融はんだSの表面での酸化が防止される。前記突板64は、はんだ槽11の上縁部46と覆い板63との間から不活性ガスが漏出することを防止し、不活性ガスの消費量を抑制するとともに、空間の不活性ガス濃度を維持する働きがある。
【0033】
次に、図1乃至図6を参照しながら、前記電磁誘導ポンプ21〜26の制御装置を説明する。
【0034】
図1に示されるように、溶融はんだを噴流するための複数の局所ノズル31〜36に個々に溶融はんだを供給する複数の電磁誘導ポンプ21〜26は、これらの電磁誘導ポンプ21〜26の誘導コイル48にそれぞれ電線70を介し接続された複数の制御手段としてのインバータ71,72,73,74,75,76により、個々に制御される。
【0035】
これらのインバータ71〜76には、電線77を介して入力装置としてのタッチパネル81が接続されている。
【0036】
このタッチパネル81は、図7に示された複数の局所ノズル31〜36の実際の配置状態と近似したノズル配置パターンのノズル表示部位P1,P2,P3,P4,P5,P6を、画面82で二次元的(平面的)または三次元的(立体的)に表示して容易に視認できるようにしたものであるとともに、特定の局所ノズル31〜36と対応する電磁誘導ポンプ21〜26を制御するインバータ71〜76を選択して、そのインバータ71〜76にポンプ稼働条件を設定するものである。
【0037】
タッチパネル81は、複数の局所ノズル31〜36の配置パターンと対応するノズル表示部位P1〜P6を、電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76を選択するときの主画面82A (図2)と、ポンプ稼働条件を設定するときの子画面82B (図3)とに、それぞれ表示する。
【0038】
すなわち、図2に示されるように、タッチパネル81の画面1では、主画面82A にて、複数の局所ノズル31〜36に対応するノズル表示部位P1〜P6を表示するとともに、特定の局所ノズル31〜36と対応する特定のノズル表示部位P1〜P6に指先を接触させて入力指示することにより、特定の電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76を選択する。
【0039】
この画面1では、主画面82A に、個別運転、一括運転、運転停止および設定画面の各表示部位83,84,85,86がそれぞれ表示され、これらの表示部位83,84,85,86に指先を接触させると、それらをスイッチ・オンとすることができる。
【0040】
また、図3に示されるように、タッチパネル81の切替えられた画面2では、主画面82A にてポンプ稼働条件を設定している間も、子画面82B にて、複数の局所ノズル31〜36と対応するノズル表示部位P1〜P6を表示する。
【0041】
この画面2には、主画面82A にて現在設定中のノズルを表示する表示部位87およびそのパターンを反転表示した子画面82B と、設定画面、一括画面、個別画面および決定の各表示部位88,89,90,91と、噴流周波数、待ち時間、加速時間、個別噴流時間および減速時間の各確定数値を表示する表示部位92,93,94,95,96と、これらの各数値を設定操作するために仮数値を表示する表示部位92a ,93a ,94a ,95a ,96a と、仮数値の各桁を前進させるための(+)表示および後退させるための(−)表示の各表示部位97,98が表示されている。
【0042】
これらの画面2の各表示部位のうち、設定画面、一括画面、個別画面、決定、噴流周波数、待ち時間、加速時間、個別噴流時間および減速時間を設定操作するための(+)表示および(−)表示の表示部位88,89,90,91,97,98は、それらに指先を接触させることにより、それらをスイッチ・オンとすることができる。
【0043】
また、前記インバータ71〜76は、中央演算処理装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および入出力部などを内蔵した制御装置であり、そのリードオンリメモリ(ROM)は、図4に示される制御プログラムを格納している。
【0044】
すなわち、図2に示された画面1において(図4のステップ1)、設定画面の表示部位86に指先を接触させ(ステップ2)、かつ噴流条件を設定または変更しようとする特定の局所ノズル31〜36と対応するノズル表示部位P1〜P6に指先を接触させると、その特定の局所ノズル31〜36と対応する電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76が選択され(ステップ3)、条件設定の受入れ準備がなされるとともに、図3に示された画面2に切替わる(ステップ4)。
【0045】
この画面2の上で、各種のポンプ稼働条件の数値を入力する。すなわち、各ポンプ稼働条件の表示部位92〜96の下側に表示された各桁の(+)表示部位97または(−)表示部位98に指先を必要回数だけ繰返し接触させることにより、それらの間に表示された仮数値の表示部位92a 〜96a の数字を希望値に設定する(ステップ5)。そして、決定の表示部位91に指先を接触させることにより、各種のポンプ稼働条件の数値を確定させる(ステップ6)。これらのポンプ稼働条件は、各インバータ71〜76のランダムアクセスメモリ(RAM)に格納される。
【0046】
その後、一括画面の表示部位89または個別画面の表示部位90に指先を接触させることにより(ステップ7)、画面2を画面1に戻し(ステップ8)、この画面1で一括運転の表示部位84に指先を接触させることにより、全部の局所ノズル31〜36に対応する全部の電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76による自動運転を開始し、また、個別運転の表示部位83に指先を接触させてから、局所ノズル31〜36の配置パターンを示すノズル表示部位P1〜P6の一つに指先を接触させることにより、対応する電磁誘導ポンプ21〜26の個別運転を開始する(ステップ9)。
【0047】
図5は、インバータ71〜76のランダムアクセスメモリ(RAM)に格納されたポンプ稼働条件の一例を示し、はんだ付けされるワークWを搬送するコンベヤ40からタイミング基準信号が入力された時点からの待ち時間To 、局所ノズル31〜36からの噴流を開始する際に噴流波高を上昇させる加速時間T1 、一定の噴流波高Hを維持する個別噴流時間T2 、局所ノズル31〜36からの噴流を終了する際に噴流波高を下降させる減速時間T3 、噴流波高Hを調整するポンプ制御信号などを、それぞれ記憶することができる。
【0048】
この波高調整用のポンプ制御信号は、電磁誘導ポンプ21〜26の誘導コイル48に供給される電流の噴流周波数fまたは噴流電圧Vなどである。
【0049】
さらに、インバータ71〜76には、図6に示されるように、加速時間T1 が与えられると、噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させるとともに、減速時間T3 が与えられると、噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させる機能が、プログラムにより付与されている。
【0050】
次に、図1乃至図6に示された実施形態の作用を説明する。
【0051】
先ず、複数の局所ノズル31〜36の配置パターンを示すノズル表示部位P1〜p6を、二次元的または三次元的に容易に視認できる主画面82A または子画面82B で表示するタッチパネル81を用いて、複数の電磁誘導ポンプ21〜26の中から、特定のノズル31〜36と対応する電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76を選択し、さらに、その特定のインバータ71〜76にポンプ稼働条件を設定する。
【0052】
すなわち、既に説明した操作により、画面1の主画面82A にて、特定の局所ノズル31〜36と対応する配置パターンのノズル表示部位P1〜p6を、指先の接触指示でスイッチオン入力することにより、特定の電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76を選択し、さらに、切替えられた画面2により、選択された電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76に個々のポンプ稼働条件を設定または変更するときも、引続き、子画面82B により表示されたノズル表示部位P1〜p6を見ながら、画面2の主画面82A を用いて設定、変更操作を行う。その操作方法は既に説明したから省略する。
【0053】
図5に示されたポンプ稼働条件の待ち時間To は、コンベヤ40によりワークWがはんだ槽11に搬入される直前に、一定のワーク搬入位置で、コンベヤ40側から発信されたタイミング信号により開始する。
【0054】
また、加速時間T1 は、電磁誘導ポンプ21〜26の立ち上げに必要な時間を確保する。個別噴流時間T2 は、ワークWに搭載された基板実装部品Pの熱容量に応じた時間を確保する。減速時間T3 は、溶融はんだの離脱速度を考慮して決定する。噴流波高Hは、噴流周波数fなどのポンプ制御信号により設定する。これらの各条件は、ワークWのはんだ付け部位に応じて個別に設定する。
【0055】
図6(A)(B)に示されるように、タッチパネル81の画面82により電磁誘導ポンプ21〜26のインバータ71〜76に加速時間T1 および減速時間T3 をそれぞれ設定すると、インバータ71〜76は、設定された加速時間T1 内で噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させ、また、設定された減速時間T3 内で噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させる。
【0056】
図6(A)は、加速時の上昇速度および減速時の下降速度を2段変速させた例(T11,T12およびT31,T32)を示し、図6(B)は、加速時の上昇速度および減速時の下降速度を無段変速させた例を示す。
【0057】
この図6(A)(B)に示されるように、加速時に噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させることにより、電磁誘導ポンプ21〜26の起動負荷を軽減することができる。また、減速時に噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させることにより、限られた時間内にワークWからの噴流はんだの離脱を緩やかに行うことができ、基板実装部品PのリードL間が溶融はんだにより短絡する所謂ブリッジの発生を防止できる。
【0058】
このようにして、はんだ槽11に設けられた電磁誘導ポンプ21〜26のポンプ稼働条件を制御し、各電磁誘導ポンプ21〜26から局所ノズル31〜36に供給される溶融はんだSの噴流条件を制御し、ワークWにおける複数のはんだ付け部位を、それぞれに適する条件で局所はんだ付けする。
【0059】
なお、入力装置としては、実際の局所ノズル31〜36の配置パターンと対応するノズル表示部位P1〜P6などを二次元または三次元的に表示できる表示用画面と、入力デバイスとが一体化されたタッチパネル81が操作性に優れている点で望ましいが、同等の機能を持つものであれば、タッチパネル81に限定されるものではない。
【0060】
例えば、表示用画面としてのパーソナルコンピュータの表示装置(CRT、液晶など)と、入力デバイスとしてのマウス、トラックボールまたはX−Y座標を有するタブレットなどとを組合せるようにしても良い。
【0061】
さらに、局所ノズル31〜36に溶融はんだを供給するポンプは、例えばシロッコファン形の回転羽根により溶融はんだを吸込口より吸込むとともに吐出口より吐出する回転羽根式ポンプを用いても良い。この場合、回転羽根の回転軸を駆動する電動モータの回転数を電気的に制御するための信号(電圧、周波数など)が、噴流波高を調整するポンプ制御信号となる。
【0062】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、複数のノズルの配置パターンを画面で表示するとともに特定のノズルと対応するポンプの制御手段を選択してポンプ稼働条件を設定する入力装置を具備したから、複数のノズルに対応する複数のポンプ稼働条件を、一つの画面で処理できる小形の入力装置により、容易にかつ正確に設定または変更できる。その際、主画面によりポンプの制御手段を容易に選択でき、また、子画面で表示された複数のノズルの配置パターンを見ながら、特定のノズルと対応するポンプの制御手段にポンプ稼働条件を確実に設定でき、実際のノズルと、条件設定の対象となるポンプの制御手段との対応関係に狂いが生ずるおそれを確実に防止でき、入力時の誤操作を防止できる。すなわち、主画面により特定のノズルと対応するポンプの制御手段を容易にかつ確実に選択でき、また、切替えられた画面にてポンプ稼働条件を設定する場合でも、子画面に表示された複数のノズルの配置パターンを見ながらポンプ稼働条件を正確に設定できるから、実際のノズルと、条件設定の対象となるポンプの制御手段との対応関係に狂いが生ずるおそれを確実に防止できる。
【0063】
請求項2記載の発明によれば、複数の局所ノズルに対応する複数の電磁誘導ポンプのポンプ稼働条件を、一つの画面で処理できる小形の入力装置により、容易にかつ正確に設定または変更できる。特に、小形で一つのはんだ槽に多数を設置できる電磁誘導ポンプは、多数の局所ノズルによる局所はんだ付けを行う際に適する。
【0064】
請求項3記載の発明によれば、待ち時間と、加速時間と、個別噴流時間と、減速時間と、噴流波高とをそれぞれ調整して、良好なはんだ付けを確保できる適切なポンプ稼働条件を設定できる。また、ポンプ稼働条件の中に、ワーク搬送手段からタイミング信号が入力された時点からの待ち時間を含むので、ワーク搬送手段との関係においてポンプ稼働を自動化できる。さらに、加速時間により、ポンプの立ち上げに必要な時間を確保でき、個別噴流時間により、ワークの熱容量に応じた時間を確保でき、減速時間により、溶融はんだの適切な離脱速度を確保できる。
【0065】
請求項4記載の発明によれば、噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させることにより、電磁誘導ポンプの起動負荷を軽減することができる。また、噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させることにより、ワークからの噴流はんだの離脱を緩やかに行うことができ、基板実装部品のリード間が溶融はんだにより短絡する所謂ブリッジの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るはんだ付け装置の実施の一形態を示す配線図である。
【図2】 同上はんだ付け装置におけるタッチパネルの画面1の表示例である。
【図3】 同上はんだ付け装置におけるタッチパネルの画面2の表示例である。
【図4】 同上はんだ付け装置におけるタッチパネルの操作例を示すフローチャートである。
【図5】 同上はんだ付け装置における各ノズルに対するポンプ稼働条件の設定例を示す特性図である。
【図6】 (A)は同上ポンプ稼働条件の他の設定例を示す特性図、(B)はさらに別の設定例を示す特性図である。
【図7】 同上はんだ付け装置におけるはんだ槽の実施の一形態を示す斜視図である。
【図8】 同上はんだ槽の断面図である。
【図9】 従来のポンプ稼働条件の設定手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
21〜26 電磁誘導ポンプ
31〜36 局所ノズル
40 ワーク搬送手段としてのコンベヤ
71〜76 制御手段としてのインバータ
81 入力装置としてのタッチパネル
82 画面
82A 主画面
82B 子画面
W ワーク
S 溶融はんだ
P1〜P6 ノズル配置パターンのノズル表示部位
Claims (4)
- 溶融はんだを噴流するための複数のノズルと、
複数のノズルに個々に溶融はんだを供給する複数のポンプと、
複数のポンプをそれぞれ制御する複数の制御手段と、
複数のノズルの配置パターンを画面で表示するとともにこの表示された配置パターンの特定のノズルと対応するポンプの制御手段を選択してポンプ稼働条件を設定する入力装置とを備え、
この入力装置は、
複数のノズルの配置パターンを表示するとともに特定のノズルと対応する位置のノズル表示部位を指示することにより特定のポンプの制御手段を選択することが可能であり他の画面に切替えてポンプ稼働条件を設定することが可能である主画面と、
切替えられた主画面にてポンプ稼働条件を設定している間も複数のノズルの配置パターンを表示する子画面と
を具備したことを特徴とするはんだ付け装置。 - ノズルは局所はんだ付け用の局所ノズルであり、
ポンプは電磁誘導ポンプである
ことを特徴とする請求項1記載のはんだ付け装置。 - 制御手段は、
ポンプ稼働条件として、はんだ付けされるワークを搬送するワーク搬送手段からタイミング信号が入力された時点からの待ち時間と、ノズルからの噴流を開始する際に噴流波高を上昇させる加速時間と、一定の噴流波高を維持する個別噴流時間と、ノズルからの噴流を終了する際に噴流波高を下降させる減速時間と、噴流波高を調整するポンプ制御信号とを制御する
ことを特徴とする請求項1または2記載のはんだ付け装置。 - 制御手段は、
噴流波高の上昇速度を低速から高速に変化させるとともに、噴流波高の下降速度を低速から高速に変化させる
ことを特徴とする請求項3記載のはんだ付け装置。
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