JP3802512B2 - 表示装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関する。特に、画素毎に発光素子を配置し、該発光素子の発光を制御するトランジスタが設けられたアクティブマトリクス型の表示装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光素子を有する表示装置の開発が近年進められている。特に、画素毎に発光素子と、該発光素子の発光を制御するトランジスタが設けられたアクティブマトリクス型の表示装置の開発が進められている。
【0003】
アクティブマトリクス型の表示装置には、各画素への輝度情報の入力を電圧信号で行う手法と電流信号で行う手法のいずれかが主に用いられている。前者は電圧書き込み型、後者は電流書き込み型と呼ばれる。これらの構成及び駆動方法について、以下に詳しく説明する。
【0004】
始めに、電圧書き込み型の画素の一例を図26に示し、その構成及び駆動方法について説明する。各画素には、2つのTFT(選択TFT3001及び駆動TFT3004)と、保持容量3007と、EL素子3006とが設けられている。ここで、EL素子3006の第1の電極3006aを画素電極と呼び、第2の電極3006bを対向電極と呼ぶ。
【0005】
上記画素の駆動方法について説明する。ゲート信号線3002に入力される信号によって選択TFT3001がオンの状態になると、ソース信号線3003に入力される映像信号の電圧によって、保持容量3007に電荷が蓄積され、保持される。保持容量3007に保持された電荷に応じた量の電流が、電源線3005からEL素子3006に駆動TFT3004を介して流れ、EL素子3006が発光する。
【0006】
電圧書き込み型の画素において、ソース信号線3003に入力される映像信号は、アナログ方式の場合と、デジタル方式の場合とがある。アナログ方式の映像信号を用いた場合の駆動をアナログ方式、デジタル方式の映像信号を用いた場合の駆動をデジタル方式と呼ぶ。
【0007】
電圧書き込み型アナログ方式では、各画素の駆動TFT3004のゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)は、アナログの映像信号によって制御される。そして該ゲート電圧に見合った値のドレイン電流がEL素子3006に流れることで、輝度を制御し、階調を表示している。このため、一般的に電圧書き込み型アナログ方式では、中間調を表示するために、ゲート電圧に対してドレイン電流の変化が大きな領域において、駆動TFT3004を動作させる。
【0008】
一方、電圧書き込み型デジタル方式では、EL素子3006を発光させるか否かをデジタルの映像信号により選択することで、EL素子の発光期間を制御し、階調を表示している。つまり駆動TFT3004は、スイッチとしての働きを担うことになる。このため一般的に電圧書き込み型デジタル方式では、EL素子3006を発光させる際に、駆動TFT3004を線型領域、より詳しくは線型領域の中でも特にゲート電圧の絶対値が大きな領域で動作させる。
【0009】
電圧書き込み型デジタル方式及び電圧書き込み型アナログ方式での、駆動TFTの動作領域について、図27を用いて詳しく説明する。図27(A)は、簡単のため、図26に示す画素のうち駆動TFT3004、電源線3005及びEL素子3006のみを示した図である。図27(B)における曲線3101a、曲線3101bそれぞれは、駆動TFT3004のゲート電圧Vgsに対するドレイン電流Idの値を示している。曲線3101aに対して曲線3101bは、駆動TFT3004の閾値電圧が変化した場合の特性を示している。
【0010】
電圧書き込み型アナログ方式では、駆動TFT3004は図中(1)で示した動作領域において動作する。動作領域(1)では、ゲート電圧Vgs1を印加したときに、駆動TFT3004の電流特性が3101aから3101bへばらつくと、ドレイン電流がId1からId2へと変化する。つまり、電圧書き込み型アナログ方式は、駆動TFT3004の電流特性がばらつくとドレイン電流がばらつくため、EL素子3006の輝度が画素間でばらつくという問題がある。
【0011】
一方、電圧書き込み型デジタル方式における駆動TFTは図中(2)で示した動作領域において動作する。動作領域(2)は線型領域に相当する。線型領域で動作する駆動TFT3004は、同じゲート電圧Vgs2が印加されている場合には、移動度や閾値電圧等の特性のばらつきに起因したドレイン電流のばらつきは小さく、ほぼ一定の電流Id3を流す。よって、駆動用TFT3004が動作領域(2)で動作する電圧書き込み型デジタル方式では、駆動TFT3004の電流特性が3101aから3101bへばらついても、EL素子3006を流れる電流がばらつきにくく、発光輝度のばらつきも抑えられる。
【0012】
よって、駆動TFT3004の電流特性のばらつきに起因するEL素子の輝度のバラツキは、電圧書き込み型アナログ方式よりも電圧書き込み型デジタル方式の方が小さいと言える。
【0013】
次いで、電流書き込み型の画素の構成及び駆動方法について説明する。
【0014】
電流書き込み型の表示装置では、ソース信号線より各画素に映像信号の電流(信号電流)が入力される。当該信号電流は、輝度情報に線型に対応する電流値を有する。当該入力された信号電流は、画素の有するTFTのドレイン電流となる。当該TFTのゲート電圧を、画素の有する容量部において保持する。信号電流が入力されなくなった後も、該保持されたゲート電圧によってTFTのドレイン電流が一定に保たれ、該ドレイン電流をEL素子に入力することによりEL素子が発光する。このように、電流書き込み型の表示装置では、前記信号電流の大きさを変化させることによってEL素子に流れる電流を変化させ、EL素子の発光輝度を制御して階調を表現する。
【0015】
以下に、電流書き込み型の画素の構成を2つ例示し、その構成と駆動方法についてより詳細に説明する。
【0016】
【特許文献1】
特表2002−517806号公報
【非特許文献1】
IDW‘00 p235−p238:Active Matrix PolyLED Displays
【0017】
図28に、特許文献1や非特許文献1に記載されている画素の構成を示す。図28に示す画素は、EL素子3306、選択TFT3301、駆動TFT3303、保持容量3305、保持TFT3302、発光TFT3304を有する。また、3307はソース信号線、3308は第1のゲート信号線、3309は第2のゲート信号線、3310は第3のゲート信号線、3311は電源線である。ソース信号線3307に入力する信号電流の電流値は、映像信号入力電流源3312により制御される。
【0018】
図28の画素の駆動方法について図29を用いて説明する。なお、図29において選択TFT3301、保持TFT3302及び発光TFT3304は、スイッチとして図示する。
【0019】
期間TA1において、選択TFT3301及び保持TFT3302がオンの状態となる。このとき、電源線3311が駆動TFT3303及び保持容量3305を介してソース信号線3307と接続される。ソース信号線3307には、映像信号入力電流源3312によって定められた電流量IVideoが流れる。そのため時間が経過し定常状態となると、駆動TFT3303のドレイン電流はIVideoとなる。またドレイン電流IVideoに対応するゲート電圧は、保持容量3305に保持される。駆動TFT3303のドレイン電流がIVideoに定まった後、期間TA2が開始され、保持TFT3302がオフの状態となる。
【0020】
次に期間TA3が開始され、選択TFT3301がオフの状態となる。更に期間TA4において、発光TFT3304がオンの状態となると、信号電流IVideoが電源線3311より駆動TFT3303を介してEL素子3306に入力される。こうして、EL素子3306は信号電流IVideoに応じた輝度で発光する。図28に示す画素では、信号電流IVideoをアナログ的に変化させることによって、階調を表現することができる。
【0021】
上記の電流書き込み型の表示装置では、駆動TFT3303のドレイン電流は、ソース信号線3307より入力される信号電流によって定められており、なおかつ駆動TFT3303は飽和領域で動作する。そのため、駆動TFT3303の特性にバラツキがあっても発光素子に一定のドレイン電流を流す様に、駆動TFT3303のゲート電圧は自動的に変化する。こうして、電流書き込み型の表示装置では、TFTの特性がばらついてもEL素子に流れる電流のばらつきを抑制することができる。その結果、発光輝度のばらつきを抑えることができる。
【0022】
次に、電流書き込み型の画素の、図28とは異なるもう1つの例について説明する。図30(A)に、下記特許文献2に記載されている画素を示す。
【0023】
【特許文献2】
特開2001−147659号公報
【0024】
図30(A)に示す画素は、EL素子2906、選択TFT2901、駆動TFT2903、カレントTFT2904、保持容量2905、保持TFT2902、ソース信号線2907、第1のゲート信号線2908、第2のゲート信号線2909、電源線2911によって構成される。駆動TFT2903とカレントTFT2904は同じ極性を有する必要がある。ここでは簡単のため、駆動TFT2903とカレントTFT2904のId−Vgs特性(ドレイン電流とゲート・ソース間電圧の関係)が同じであると仮定する。また、ソース信号線2907に入力する信号電流の電流値は、映像信号入力電流源2912により制御される。
【0025】
図30(A)に示した画素の駆動方法について、図30(B)〜(D)を用いて説明する。なお、図30(B)〜(D)において選択TFT2901及び保持TFT2902は、スイッチとして示す。
【0026】
期間TA1において、選択TFT2901及び保持TFT2902がオンの状態となると、電源線2911は、カレントTFT2904、選択TFT2901、保持TFT2902及び保持容量2905を介してソース信号線2907と接続される。ソース信号線2907には、映像信号入力電流源2912によって定められた電流量IVideoが流れる。そのため十分に時間が経過し定常状態となるとカレントTFT2904のドレイン電流はIVideoとなり、ドレイン電流IVid eoに対応するゲート電圧が保持容量2905に保持される。
【0027】
カレントTFT2904のドレイン電流がIVideoに定まった後、期間TA2が開始され、保持TFT2902がオフの状態となる。このとき駆動TFT2903には、IVideoのドレイン電流が流れている。こうして信号電流IVideoが、電源線2911から駆動TFT2903を介してEL素子2906に入力される。EL素子2906は信号電流IVideoに応じた輝度で発光する。
【0028】
次に期間TA3が開始されると、選択TFT2901がオフの状態となる。選択TFT2901がオフ状態となった後も、信号電流IVideoが、電源線2911から駆動TFT2903を介してEL素子2906に入力され続け、EL素子2906は発光し続ける。図30(A)に示した画素は、信号電流IVideoをアナログ的に変化させることによって、階調を表現することができる。
【0029】
図30(A)に示した画素では、駆動TFT2903は飽和領域で動作する。駆動TFT2903のドレイン電流は、ソース信号線2907より入力される信号電流によって定められている。そのため、同じ画素内の駆動TFT2903とカレントTFT2904の電流特性が揃っていれば、駆動TFT2903の特性にバラツキがあっても発光素子に一定のドレイン電流を流し続ける様に、駆動TFT2903のゲート電圧は自動的に変化する。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
EL素子において、その両電極間の電圧と流れる電流量の関係(I−V特性)は、環境温度や経時劣化等の影響によって変化する。そのため、上述した電圧書き込み型デジタル方式のような駆動TFTを線型領域で動作させる表示装置では、EL素子の両電極間の電圧値が同じであっても、EL素子の両電極間を流れる電流量は変動してしまう。
【0031】
図31は、電圧書き込み型デジタル方式において、EL素子のI−V特性が劣化等により変化した場合の動作点の変化を示した図である。なお図31において、図26と同じ部分は同じ符号を付す。
【0032】
図31(A)は、簡単のため、図26における駆動TFT3004とEL素子3006のみを示した図である。駆動TFT3004のソース・ドレイン間電圧をVdsで示す。EL素子3006の両電極間の電圧をVELで示す。EL素子3006を流れる電流をIELで示す。電流IELは、駆動TFT3004のドレイン電流Idに等しい。電源線3005の電位をVddで示す。また、EL素子3006の対向電極の電位は0(V)とする。
【0033】
図31(B)において、3202aは、劣化前のEL素子3006の電圧VELと、電流量IELの関係(I−V特性)を示す曲線である。一方、3202bは劣化後のEL素子3006のI−V特性を示す曲線である。3201は、図27(B)におけるゲート電圧がVgs2の場合の駆動TFT3004のソース・ドレイン間電圧Vdsとドレイン電流Id(IEL)の関係を示す曲線である。駆動TFT3004及びEL素子3006の動作条件(動作点)は、この2つの曲線の交点によって定まる。つまり、図中に示す線型領域での曲線3202aと曲線3201の交点3203aによって、EL素子3006の劣化前の駆動TFT3004及びEL素子3006の動作条件が定まる。また、図中に示す線型領域での曲線3202bと曲線3201の交点3203bによって、EL素子3006の劣化後の駆動TFT3004及びEL素子3006の動作条件が定まる。動作点3203a及び3203bを比較する。
【0034】
発光状態を選択された画素において、駆動TFT3004はオンの状態である。このときEL素子3006の両電極間の電圧はVA1である。EL素子3006が劣化しそのI−V特性が変化すると、EL素子3006の両電極間の電圧がVA1とほぼ同じであっても、流れる電流がIEL1からIEL2に変化する。つまり、各画素のEL素子3006の劣化の度合いにより、EL素子3006に流れる電流がIEL1からIEL2に変化するため、発光輝度がバラついてしまう。
【0035】
その結果、駆動TFTを線型領域で動作させるタイプの画素を有する表示装置では、画像の焼きつきが生じやすい。
【0036】
一方、図28や図30に示した電流書き込み型の画素では、上記画像の焼きつきは低減される。これは、電流書き込み型の画素においては、駆動TFTは常にほぼ一定の電流を流すように動作するためである。
【0037】
電流書き込み型の画素において、EL素子のI−V特性が劣化等によって変化した場合の動作点の変化について、図28の画素を例に挙げ説明する。図32は、電流書き込み型において、EL素子のI−V特性が劣化等により変化した場合の動作点の変化を示した図である。なお図32において、図28と同じ部分は同じ符号を付す。
【0038】
図32(A)は、簡単のため、図28における駆動TFT3303とEL素子3306のみを示した図である。駆動TFT3303のソース・ドレイン間電圧をVdsで示す。EL素子3306の陰極と陽極間の電圧をVELで示す。EL素子3306を流れる電流をIELで示す。電流IELは、駆動TFT3303のドレイン電流Idに等しい。電源線3305の電位をVddで示す。また、EL素子3306の対向電極の電位は0(V)とする。
【0039】
図32(B)において、3701は駆動TFT3303のソース・ドレイン間電圧とドレイン電流の関係を示す曲線である。3702aは劣化前のEL素子3306のI−V特性を示す曲線である。一方、3702bは劣化後のEL素子3306のI−V特性を示す曲線である。EL素子3306の劣化前の駆動TFT3303及びEL素子3306の動作条件は、曲線3702aと曲線3701の交点3703aで定まる。EL素子3306の劣化後の駆動TFT3303及びEL素子3306の動作条件は、曲線3702bと曲線3701の交点3703bで定まる。ここで、動作点3703a及び3703bを比較する。
【0040】
電流書き込み型の画素では、駆動TFT3303は飽和領域で動作している。EL素子3306の劣化前後において、EL素子3306の両電極間の電圧はVB1からVB2に変化するが、EL素子3306を流れる電流はほぼ一定のIEL1に保たれる。こうしてEL素子3306の劣化に対しても、EL素子3306に流れる電流はほぼ一定に保たれる。よって画像の焼きつきの問題は低減される。
【0041】
しかし、従来の電流書き込み型の駆動方法では、信号電流に応じた電荷を各画素の保持容量に保持する必要がある。保持容量に所定の電荷を保持する動作は、当該信号電流を流す配線の交差容量等のために、信号電流が小さな場合ほど長い時間を必要とする。そのため、信号電流の素早い書き込みが困難である。また信号電流が小さな場合は、信号電流の書き込みが行われる画素と同じソース信号線に接続された複数の画素から生じる漏れ電流等のノイズの影響が大きい。そのため、正確な輝度で画素を発光させることができない危険性が高い。
【0042】
また図30に示した画素に代表されるカレントミラー回路を有する画素では、カレントミラー回路を構成する1対のTFTの電流特性が揃うことが望ましい。しかし実際には、これらの対となるTFTの電流特性を完全に揃えることは難しく、ばらつきが生じてしまう。
【0043】
図30に示す画素において、駆動TFT2903とカレントTFT2904の閾値がそれぞれVtha、Vthbであるとする。両トランジスタの閾値Vtha、Vthbがばらついて、Vthaの絶対値|Vtha|が、Vthbの絶対値|Vthb|より小さくなってしまったときに、黒表示を行う場合について考察する。カレントTFT2904を流れるドレイン電流は、映像信号入力電流源2912によって定められた電流値IVideoに相当し、0であるとする。しかし、カレントTFT2904にドレイン電流が流れなくても、保持容量2905には|Vthb|よりやや小さい程度の電圧が保持されている可能性がある。ここで|Vthb|>|Vtha|であるため、駆動TFT2903のドレイン電流は0ではない可能性がある。こうして黒表示を行う場合においても、駆動TFT2903にはドレイン電流が流れEL素子2906が発光してしまう危険性があり、コントラストが低下するという問題が生じる。
【0044】
更に、従来の電流書き込み型の表示装置では、各画素に信号電流を入力する映像信号入力電流源は列毎(画素列毎)に設けられる。それら全ての映像信号入力電流源の電流特性を揃えて、且つ、出力する電流値をアナログ的に正確に変化させる必要がある。しかしながら、多結晶半導体などを用いたトランジスタでは、トランジスタの特性のばらつきが大きいため、電流特性の揃った映像信号入力電流源を作製するのは困難である。よって従来の電流書き込み型の表示装置では、映像信号入力電流源は単結晶IC基板上に作製される。一方、画素が形成される基板は、コスト等の面からガラス等の絶縁基板上に作製されるのが一般的である。そこで、画素が形成された基板上に、映像信号入力電流源が作製された単結晶IC基板を貼り付ける必要がある。このような構成の表示装置は、コストが高い、単結晶IC基板の貼り付けの際に必要となる面積が大きく額縁の面積を小さくすることができない等の問題がある。
【0045】
上述の実情を鑑み、本発明は、経時劣化の影響を受けずに一定の輝度で発光素子を発光させることができる表示装置及びその駆動方法の提供を課題とする。また本発明は、正確な階調表現が可能で、また、各画素に対する映像信号の書き込みを高速化することが可能で、且つ、漏れ電流等のノイズの影響を抑制した表示装置及びその駆動方法を提供する。さらに本発明は、低コストで、且つ、額縁面積を小さくして小型化を実現した表示装置及びその駆動方法の提供を課題とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
【0047】
まず本発明の概要について説明する。本発明の表示装置の有する各画素は、複数のスイッチ部と複数の電流源回路とを有する。1つのスイッチ部と1つの電流源回路はペアになって動作する。以下、1つのスイッチ部と1つの電流源回路の組をペアと呼ぶ。そのペアは1画素中に複数組存在する。
【0048】
複数のスイッチ部の各々は、デジタルの映像信号によってオン・オフが選択される。スイッチ部がオン(導通状態)になると、該スイッチ部に対応する電流源回路から発光素子に電流が供給され、発光素子は発光する。1つの電流源回路から発光素子に供給される電流は一定である。キルヒホッフの電流法則に従い、発光素子に流れる電流値は、導通状態のスイッチ部に対応する全ての電流源回路から発光素子にそれぞれ供給される電流を加算した値に相当する。本発明の画素は、複数のスイッチ部のうちどのスイッチ部を導通状態とするかによって、発光素子に流れる電流値を変化させ、階調を表現することができる。一方、電流源回路は、常にある一定の電流を出力するように設定される。そのため、発光素子に流れる電流のばらつきを防ぐことができる。
【0049】
本発明の画素の構成及びその動作について、本発明の表示装置の画素の構成を模式的に示した図1を用いて説明する。図1において、画素は、2つの電流源回路(図1中、電流源回路a、電流源回路b)と、2つのスイッチ部(図1中、スイッチ部a、スイッチ部b)と、発光素子とを有する。なお、図1では1画素中にスイッチ部と電流源回路のペアが2組ある画素を例示したが、1画素中のペアの数は任意の数とすることができる。
【0050】
スイッチ部(スイッチ部a、スイッチ部b)は、入力端子と出力端子を有する。デジタルの映像信号によって、スイッチ部の入力端子と出力端子間の導通・非導通が制御される。スイッチ部の入力端子と出力端子間が導通の状態にあることをスイッチ部がオンすると呼ぶ。また、スイッチ部の入力端子と出力端子間が非導通の状態にあることをスイッチ部をオフすると呼ぶ。各スイッチ部は、対応するデジタル映像信号によってオン・オフが制御される。
【0051】
電流源回路(電流源回路a、電流源回路b)は、入力端子と出力端子とを有し、入力端子と出力端子の間に一定電流を流す機能を有する。電流源回路aは、制御信号aにより、一定の電流Iaを流すように制御されている。また電流源回路bは、制御信号bにより、一定の電流Ibを流すように制御されている。当該制御信号は、映像信号とは異なる信号であっても良い。また制御信号は、電流信号であってもよいし電圧信号であってもよい。このように制御信号によって電流源回路を流れる電流を定める動作を、電流源回路の設定動作もしくは画素の設定動作と呼ぶ。電流源回路の設定動作を行うタイミングは、スイッチ部の動作と同期していても、非同期であってもよく、任意のタイミングで設定することができる。また設定動作は、1つの電流源回路に対してのみ行ない、設定動作を行なった電流源回路の情報を、他の電流源回路と共有させるようにしても良い。電流源回路の設定動作により、電流源回路が出力する電流のばらつきを抑制することができる。
【0052】
例えば、電流源回路に入力される制御信号を電流信号とした場合の本発明の表示装置の画素の例を挙げる。画素は、制御電流が供給され、前記制御電流に対応した一定電流を出力電流とする複数の電流源回路と、デジタルの映像信号によって、前記複数の電流源回路各々から発光素子への前記出力電流の入力を選択する複数のスイッチ部とを有する。
【0053】
または、前記複数の電流源回路それぞれは、トランジスタと、前記トランジスタのドレイン電流として前記制御電流を選択的に入力する第1の手段と、前記トランジスタのゲート電圧を保持する第2の手段と、前記トランジスタのゲートとドレインの接続を選択する第3の手段と、前記保持されたゲート電圧に対応する前記トランジスタのドレイン電流を前記出力電流とする第4の手段とを有する構成であってもよい。
【0054】
または、前記複数の電流源回路のうち1つは、第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのドレイン電流として前記制御電流を選択的に入力する第1の手段と、前記第1のトランジスタのゲート電圧を保持する第2の手段と、前記第1のトランジスタのゲートとドレインの接続を選択する第3の手段と、前記保持されたゲート電圧に対応する前記第1のトランジスタのドレイン電流を前記出力電流とする第4の手段とを有し、前記複数の電流源回路のうち別の1つは、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのドレイン電流として前記制御電流を選択的に入力する第5の手段と、前記第2のトランジスタのゲート電圧を保持する第6の手段と、前記第2のトランジスタのゲートとドレインの接続を選択する第7の手段と、前記保持された第2のトランジスタのゲート電圧をゲート電圧とした前記第3のトランジスタのドレイン電流を前記出力電流とする第8の手段とを有する構成であってもよい。
【0055】
または、前記複数の電流源回路のうち1つは、第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのドレイン電流として前記制御電流を選択的に入力する第1の手段と、前記第1のトランジスタのゲート電圧を保持する第2の手段と、前記第1のトランジスタのゲートとドレインの接続を選択する第3の手段と、前記保持されたゲート電圧に対応する前記第1のトランジスタのドレイン電流を前記出力電流とする第4の手段とを有し、前記複数の電流源回路のうち別の1つは、第2のトランジスタ及び、前記第2のトランジスタと直列に接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのドレイン電流として前記制御電流を選択的に入力する第5の手段と、前記第2のトランジスタのゲート電圧を保持する第6の手段と、前記第2のトランジスタのゲートとドレインの接続を選択する第7の手段と、前記保持された第2のトランジスタのゲート電圧の一部をゲート電圧とする前記第3のトランジスタのドレイン電流を前記出力電流とする第8の手段とを有する構成であってもよい。
【0056】
発光素子とは、その両電極間に流れる電流量によって輝度が変化する素子を意味する。発光素子としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子や、FE(Field Emission)素子等が挙げられる。ただし、発光素子のかわりに、電流や電圧などによって、状態を制御する任意の素子を用いた場合にも、本発明を応用することが可能である。
【0057】
発光素子の2つの電極(陽極と陰極)のうち、一方の電極(第1の電極)は、スイッチ部a及び電流源回路aを順に介して電源線に電気的に接続される。さらに当該第1の電極は、スイッチ部b及び電流源回路bを順に介して電源線に電気的に接続される。なお、スイッチ部aがオフになった際、電流源回路aによって定まる電流が発光素子間に流れないようにし、且つ、スイッチ部bがオフになった際、電流源回路bによって定まる電流が発光素子間に流れないようにする回路構成であれば、図1の回路構成に限定されない。
【0058】
本発明では、1つの電流源回路と1つのスイッチ部とはペアとなっており、それらは直列に接続されている。図1の画素では、そのようなペアが2組あり、2組のペアは互いに並列に接続されている。
【0059】
次いで、図1に示した画素の動作について説明する。
【0060】
図1に示すように、2つのスイッチ部と2つの電流源回路とを有する画素では、発光素子に入力される電流の経路は全部で3通り存在する。1つ目の経路は、2つのうちいずれか一方の電流源回路から供給される電流が発光素子に入力される経路である。2つ目の経路は、1つ目の経路において電流を供給した電流源回路と異なるもう一方の電流源回路から供給される電流が発光素子に入力される経路である。3つ目の経路は、2つの電流源回路から供給される電流が、共に発光素子に入力される経路である。3つ目の経路の場合、各電流源回路から供給される電流を加算した電流が、発光素子に供給されることになる。
【0061】
より具体的に説明すると、1つ目の経路は、電流源回路aを流れる電流Iaのみ発光素子に入力される経路である。この経路は、デジタルの映像信号a及びデジタルの映像信号bによって、スイッチ部aがオン、スイッチ部bがオフとなった場合に選択される。2つ目の経路は、電流源回路bを流れる電流Ibのみ発光素子に入力される経路である。この経路は、デジタルの映像信号a及びデジタルの映像信号bによって、スイッチ部aがオフ、スイッチ部bがオンとなった場合に選択される。3つ目の経路は、電流源回路aを流れる電流Iaと電流源回路bを流れる電流Ibとを加算した電流Ia+Ibが、発光素子に入力される経路である。この経路は、デジタルの映像信号a及びデジタルの映像信号bによって、スイッチ部aおよびスイッチ部bが両方ともオンとなった場合に選択される。即ち、デジタルの映像信号a及びデジタルの映像信号bによって電流Ia+Ibが発光素子に流れるようになるため、画素はデジタル/アナログ変換と同様の動作を行っていることになる。
【0062】
続いて、本発明の表示装置における階調表現のための基本的な手法について説明する。まず、電流源回路の設定動作によって各電流源回路を流れる一定の電流が適宜定められる。各画素が有する複数の電流源回路は、電流源回路毎に異なる電流値を設定することが可能である。発光素子は流れる電流量(電流密度)に応じた輝度で発光するので、どの電流源回路から電流を供給するか制御することによって、発光素子の輝度を設定することができる。ゆえに、発光素子に入力される電流の経路を選択することによって、発光素子の輝度を複数の輝度レベルから選択することができる。こうして、各画素の発光素子の輝度をデジタルの映像信号によって、複数の輝度レベルから選択する(以下、各発光状態を選択するという)ことができる。なお、デジタルの映像信号によって全てのスイッチ部をオフにした場合、発光素子に電流が入力されないため、輝度をゼロとする(以下、非発光状態を選択するという)ことができる。こうして、各画素の発光素子の輝度を変化させ階調を表現することができる。
【0063】
しかし、上述の方法だけでは階調数が少ない場合がある。そこで多階調化を図るために、他の階調方式と組み合わせることもできる。その方式には大きく分けて2つある。
【0064】
1つ目は時間階調方式と組み合わせる手法である。時間階調方式は、1フレーム期間内に発光する期間を制御することによって、階調を表現する方法である。1フレーム期間とは1画面分の画像を表示する期間に相当する。具体的には、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割し、サブフレーム期間毎に各画素の発光状態または非発光状態を選択する。こうして、画素の発光した期間及び発光輝度の組み合わせによって、階調を表現する。2つ目は、面積階調方式と組み合わせる手法である。面積階調方式は、1画素中の発光する部分の面積を変化させることによって、階調を表現する方法である。例えば、各画素を複数のサブ画素によって構成する。ここで、各サブ画素の構成は上述した本発明の表示装置の画素構成と同じである。各サブ画素において、発光状態または非発光状態を選択する。こうして、画素の発光する部分の面積及び発光輝度の組み合わせによって、階調を表現する。なお、時間階調方式と組み合わせる手法と面積階調方式と組み合わせる手法とを、組み合わせてもよい。
【0065】
次いで、上述の階調表示の手法において、輝度ばらつきを更に低減するのに有効な手法を示す。これは、例えばノイズなどによって、画素間において同じ階調を表現する場合にも輝度がばらついてしまう場合に有効な手法である。
【0066】
各画素の有する複数の電流源回路のうち2つ以上の各電流源回路が、互いに同じ一定の電流を出力するように設定する。そして、同じ階調を表現する際に、同じ一定の電流を出力する電流源回路を使い分ける。このようにすれば、仮に電流源回路の出力電流がばらついても、発光素子に流れる電流は時間的に平均化される。そのため、各画素間の電流源回路の出力電流のばらつきによる輝度のばらつきを視覚的に低減することができる。
【0067】
本発明では、画像表示を行う際に発光素子に流れる電流は所定の一定電流に保たれるため、発光素子を劣化等による電流特性の変化によらず一定の輝度で発光させることができる。デジタルの映像信号でスイッチ部のオン・オフ状態を選択することによって各画素の各発光状態または非発光状態を選択するので、画素への映像信号の書き込みを速くすることができる。映像信号により非発光状態が選択された画素においては、スイッチ部によって発光素子に入力される電流は完全に遮断されるので、正確な階調を表現することができる。つまり、漏れ電流によって起こる、黒表示をする際のコントラスト低下の問題を解消することができる。また本発明は、電流源回路を流れる一定電流の電流値をある程度大きく設定することができるため、小さな信号電流を書き込む際に生じるノイズの影響を低減することができる。さらに本発明の表示装置は、各画素に配置した電流源回路を流れる電流の値を変化させるための駆動回路は必要無く、単結晶IC基板等の別基板上に作製された外付けの駆動回路は必要ないため、低コスト化及び小型化を実現することができる。
【0068】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図2を用いて説明する。本実施の形態では、1画素にペアが2つある場合について説明する。
【0069】
図2(A)において、各画素100は、スイッチ部101a、101b、電流源回路102a、102b、発光素子106、映像信号入力線Sa、Sb、走査線Ga、Gb、電源線Wを有する。スイッチ部101aと電流源回路102aは直列に接続され、1つのペアを形成する。スイッチ部101bと電流源回路102bが直列に接続され、1つのペアを形成する。この2つのペアが並列に接続されている。また、この2つの並列な回路は、発光素子106と直列に接続されている。
【0070】
図2に示す画素には2つのペアが設けられているが、以下、スイッチ部101aと電流源回路102aのペアに注目し、該電流源回路102aと該スイッチ部101aの構成について図2を用いて説明する。
【0071】
まず、電流源回路102aについて、図2(A)を用いて説明する。図2(A)において、電流源回路102aは、円と円の中の矢印とによって示される。矢印の向きに正の電流が流れると定義する。また端子Aの電位は、端子Bの電位より高いと定義する。次いで、電流源回路102aの詳しい構成について、図2(B)を用いて説明する。電流源回路102aは、電流源トランジスタ112、電流源容量111を有する。なお、電流源容量111は、電流源トランジスタ112のゲート容量等を用いることにより、省略することも可能である。ゲート容量とは、トランジスタのゲートとチャネルの間で形成される容量とする。電流源トランジスタ112のドレイン電流は、電流源回路102aの出力電流となる。電流源容量111は、電流源トランジスタ112のゲート電位を保持する。
【0072】
電流源トランジスタ112のソース端子およびドレイン端子の一方は、端子Aと電気的に接続され、もう一方は端子Bと電気的に接続される。また電流源トランジスタ112のゲート電極は、電流源容量111の一方の電極に電気的に接続されている。電流源容量111のもう一方の電極は、端子A'に電気的に接続されている。なお、電流源回路102aを構成する電流源トランジスタ112は、Nチャネル型でもPチャネル型でもよい。
【0073】
電流源トランジスタ112としてPチャネル型トランジスタを用いる場合には、そのソース端子は端子Aと電気的に接続され、ドレイン端子は端子Bと電気的に接続される。また、電流源トランジスタ112のゲートとソース間の電圧を保持させるため、端子A'は、電流源トランジスタ112のソース端子と電気的に接続されることが望ましい。よって、端子A'は端子Aと電気的に接続されることが望ましい。
【0074】
一方、電流源トランジスタ112としてNチャネル型トランジスタを用いる場合には、電流源トランジスタ112のドレイン端子は端子Aと電気的に接続され、ソース端子は端子Bと電気的に接続される。また、電流源トランジスタ112のゲートとソース間の電圧を保持させるため、端子A'は、電流源トランジスタ112のソース端子と電気的に接続されることが望ましい。よって、端子A'は端子Bと電気的に接続されることが望ましい。
【0075】
なお、電流源トランジスタ112としてPチャネル型トランジスタを用いる場合もNチャネル型トランジスタを用いる場合も、端子A'は、電流源トランジスタ112のゲート電極の電位を保持できる様に接続されていれば良い。よって、端子A'は、少なくとも所定の期間は一定の電位に保たれた配線に接続されていてもよい。ここでいう一定の時間とは、電流源回路が電流を出力する期間、及び、電流源回路の出力する電流を定める制御電流が電流源回路に入力される期間である。
【0076】
なお実施の形態1では、電流源トランジスタ112として、Pチャネル型トランジスタを用いる場合について説明する。
【0077】
続いて、スイッチ部101aについて、図2(A)を用いて説明する。スイッチ部101aは、端子Cと端子Dを有する。デジタルの映像信号によって、端子Cと端子Dの間の導通・非導通状態が選択される。端子Cと端子Dの間の導通・非導通状態を選択することによって、発光素子106に流す電流を変化させる。ここで、スイッチ部101aをオンするとは、端子Cと端子Dの間の導通状態を選択することをいう。スイッチ部101aをオフするとは、端子Cと端子D間の非導通状態を選択することをいう。次いで、スイッチ部101aの詳しい構成について、図2(C)を用いて説明する。スイッチ部101aは、第1のスイッチ181、第2のスイッチ182及び保持手段183を有する。
【0078】
図2(C)において、第1のスイッチ181は、制御端子rと、端子eと、端子fとを有する。第1のスイッチ181では、制御端子rに入力される信号によって、端子eと端子fの間における導通・非導通状態が選択される。ここで、端子eと端子f間が導通状態となる場合は、第1のスイッチ181がオンすると呼ぶ。また、端子eと端子f間が非導通状態となる場合は、第1のスイッチ181がオフすると呼ぶ。第2のスイッチ182についても同様である。
【0079】
前記第1のスイッチ181は、画素へのデジタルの映像信号の入力を制御する。つまり、走査線Gaの信号を第1のスイッチ181の制御端子rに入力して、第1のスイッチ181のオン・オフが選択される。
【0080】
第1のスイッチ181がオンすると、映像信号入力線Saから画素にデジタルの映像信号が入力される。画素に入力されたデジタルの映像信号は、保持手段183によって保持される。なお、保持手段183は、第2のスイッチ182を構成するトランジスタのゲート容量などを利用することにより、省略することが可能である。また、画素に入力されたデジタルの映像信号は、第2のスイッチ182の制御端子rに入力される。こうして、第2のスイッチ182のオン・オフが選択される。第2のスイッチ182がオンすると、端子Cと端子D間が導通状態となり、電流源回路102aから発光素子106に電流が供給される。第1のスイッチ181がオフした後も、保持手段183にはデジタルの映像信号が保持され続け、第2のスイッチ182はオン状態を維持する。
【0081】
次いで、発光素子106の構成について説明する。発光素子106は2つの電極(陽極および陰極)を有する。発光素子106は、2つの電極間に流れる電流に応じた輝度で発光する。発光素子106の2つの電極のうち、一方は電源基準線(図示せず)に電気的に接続される。電源基準線によって電位Vcomが与えられている電極を対向電極106bと呼び、もう一方の電極を画素電極106aと呼ぶ。
【0082】
発光素子として、エレクトロルミネッセンスを利用したEL素子が注目されている。EL素子は、陽極と、陰極と、陽極と陰極に間に挟まれたEL層とを有する構成である。陽極と陰極間に電圧を印加することによって、EL素子は発光する。EL層は有機物によって形成されていても良いし、無機物によって形成されていても良い。また、有機物と無機物の両方より形成されていてもよい。また、EL素子は1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するものと、3重項励起子からの発光(燐光)を利用するものの一方、又は両方を含むものとする。
【0083】
続いて、画素の構成要素の接続関係について図2(A)を用いて説明する。再び、スイッチ部101aと電流源回路102aのペアに注目する。端子Aは電源線Wに電気的に接続され、端子Bは端子Cに電気的に接続され、端子Dは発光素子106の画素電極106aに電気的に接続される。発光素子には、画素電極106aから対向電極106bの方向に電流が流れる。画素電極106aは陽極であり、対向電極106bは陰極である。電源線Wの電位は、電位Vcomより高く設定される。
【0084】
なお画素の構成要素の接続関係は、図2(A)に図示した構成に限定されない。スイッチ部101aと電流源回路102aは直列に接続されていればよい。また、発光素子106の陽極と陰極が反転した構成であってもよい。つまり、画素電極106aが陰極、対向電極106bが陽極となった構成であってもよい。なお、端子Aから端子Bに正の電流が流れると定義したため、画素電極106aが陰極、対向電極106bが陽極となった構成では、端子Aと端子Bが入れ替わった構成となる。即ち、端子Aがスイッチ部101aの端子Cと電気的に接続され、端子Bが電源線Wと電気的に接続された構成となる。電源線Wの電位は、電位Vcomより低く設定される。
【0085】
なお本実施の形態では、各画素には2つのペアが設けられる。各ペアの構成は上記のとおりであるが、これらのペアの接続は、次の点を考慮する必要がある。それは、電流源回路102aと電流源回路102bの各電流源回路から供給される電流の総和が発光素子に入力されるようにする点、つまり、2つのペアは並列に接続され、更に発光素子と直列に接続される点である。なお、電流源回路102aの電流を流す方向と電流源回路102bの電流を流す方向とは、同じ方向であることが望ましい。つまり、電流源回路102aを流れる正の電流と電流源回路102bを流れる正の電流との加算が、発光素子に流れることが望ましい。このようにすると、画素においてデジタル/アナログ変換と同様の動作を行うことができる。
【0086】
次いで、画素の動作の概要について説明する。デジタルの映像信号によって、端子Cと端子D間の導通・非導通状態が選択される。電流源回路は一定の電流を流すように設定されている。電流源回路から供給される電流は、端子Cと端子D間の導通状態となったスイッチ部を介して、発光素子に入力される。なお、1つのデジタルの映像信号は、1つのスイッチ部を制御する。従って、複数のペアでは、複数のスイッチ部があるため、各々に対応したデジタルの映像信号によって複数のスイッチ部が制御される。複数のスイッチ部のうち、どのスイッチ部がオンとなるかによって、発光素子に流れる電流値が異なる。こうして、発光素子に流れる電流を変化させて、階調を表現し、画像表示を行う。
【0087】
続いて、上述の画素の動作についてより詳細に説明する。説明では、スイッチ部101aと電流源回路102aのペアを例に挙げ、その動作について説明する。
【0088】
まず、スイッチ部101aの動作について説明する。スイッチ部101aには、走査線Gaから行選択信号が入力される。行選択信号は、画素にデジタルの映像信号を入力するタイミングを制御する信号である。また、走査線Gaが選択されているときに、デジタルの映像信号は映像信号入力線Saから画素に入力される。つまりオン状態となった第1のスイッチ181を介して、デジタルの映像信号は第2のスイッチ182に入力される。第2のスイッチ182のオン又はオフ状態は、該デジタルの映像信号によって選択される。また、保持手段183によってデジタルの映像信号は保持されるため、第2のスイッチ182のオン又はオフ状態は維持される。
【0089】
次いで電流源回路102aの動作について説明する。特に、制御信号が入力された際の電流源回路102aの動作について説明する。制御信号によって、電流源トランジスタ112のドレイン電流が定まる。電流源トランジスタ112のゲート電圧は電流源容量111によって保持される。電流源トランジスタ112は飽和領域で動作する。飽和領域で動作するトランジスタは、ゲート電圧が同じであれば、ドレイン・ソース間電圧が変わってもドレイン電流は一定に保たれる。従って、電流源トランジスタ112は一定の電流を出力する。このようにして、電流源回路102aは制御信号によって定まる一定の電流を流す。電流源回路102aの一定の出力電流は発光素子に入力される。一旦、画素の設定動作を行った後は、電流源容量111の放電に応じて画素の設定動作を繰り返す。
【0090】
各ペアの動作は上記のとおりである。なお、本発明の表示装置において、画素の有する各ペアのスイッチ部に入力されるデジタルの映像信号は、同じでも異なっていてもよい。また、各ペアの電流源回路に入力される制御信号は同じでも異なっていてもよい。
【0091】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の表示装置において、画素の有する各ペアのスイッチ部の具体的な構成例を示す。また、そのスイッチ部を有する画素の動作について説明する。
【0092】
スイッチ部の構成例を、図3に示す。スイッチ部101は、選択トランジスタ301、駆動トランジスタ302、消去トランジスタ304と、保持容量303とを有する。なお、保持容量303は、駆動トランジスタ302のゲート容量などを用いることにより省略することも可能である。スイッチ部101を構成するトランジスタは、単結晶トランジスタでも、多結晶トランジスタでも、非晶質トランジスタでもよい。また、SOIトランジスタでもよい。バイポーラトランジスタでもよい。有機物、例えばカーボンナノチューブを用いたトランジスタでもよい。
【0093】
選択トランジスタ301のゲート電極は走査線Gに接続されている。選択トランジスタ301のソース端子とドレイン端子の一方は、映像信号入力線Sに接続されて、もう一方は駆動トランジスタ302のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ302のソース端子とドレイン端子の一方は、端子Cに接続され、もう一方は端子Dに接続されている。保持容量303の一方の電極は、駆動トランジスタ302のゲート電極に接続され、もう一方の電極は配線Wcoに接続されている。なお保持容量303は駆動トランジスタ302のゲート電位を保持できればよい。よって、図3において保持容量303の電極のうち配線Wcoに接続された電極は、配線Wco以外の、少なくともある一定期間中は電圧が一定である配線に接続されていてもよい。消去トランジスタ304のゲート電極は、消去用信号線RGに接続される。消去トランジスタ304のソース端子とドレイン端子の一方は、駆動トランジスタ302のゲート電極に接続され、もう一方は配線Wcoに接続されている。なお、消去トランジスタ304をオンすることによって、駆動トランジスタ302がオフすればよいので、配線Wco以外に接続していてもよい。
【0094】
次いで、このスイッチ部101の基本的な動作について、図3を参照して説明する。消去トランジスタ304が非導通の状態で、走査線Gに入力される行選択信号によって選択トランジスタ301がオン状態となると、映像信号入力線Sよりデジタルの映像信号は駆動トランジスタ302のゲート電極に入力される。入力されたデジタルの映像信号の電圧は保持容量303において保持される。入力されたデジタルの映像信号によって、駆動トランジスタ302のオン・オフが選択され、スイッチ部101の端子Cと端子D間の導通・非導通状態が選択される。次に、消去トランジスタ304がオンになると、保持容量303に保持された電荷が放電され、駆動トランジスタ302はオフ状態となり、スイッチ部101の端子Cと端子D間は非導通状態となる。なお、上記動作において、選択トランジスタ301、駆動トランジスタ302、消去トランジスタ304は、単なるスイッチとして働く。よって、これらのトランジスタは、オン状態において線型領域で動作する。
【0095】
なお、駆動トランジスタ302は、飽和領域で動作させてもよい。駆動トランジスタ302を飽和領域で動作させることによって、電流源トランジスタ112の飽和領域特性を補うことが可能である。ここで、飽和領域特性とは、ソース・ドレイン端子間電圧に対してドレイン電流が一定に保たれる特性を示すものとする。また、飽和領域特性を補うとは、飽和領域で動作する電流源トランジスタ112においても、ソース・ドレイン端子間電圧が増加するに従ってドレイン電流が増加してしまうのを抑制することを意味する。なお、上記効果を得るためには、駆動トランジスタ302と電流源トランジスタ112は同極性でなくてはならない。
【0096】
上記の飽和領域特性を補う効果について以下に説明する。例えば、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間電圧が増加する場合に注目する。電流源トランジスタ112と駆動トランジスタ302は直列に接続されている。よって、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間電圧の変化によって、駆動トランジスタ302のソース端子の電位が変化する。電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間電圧が増加すると、駆動トランジスタ302のソース・ゲート間電圧の絶対値は小さくなる。すると、駆動トランジスタ302のI―V曲線が変化する。この変化の方向は、ドレイン電流が減少する方向である。こうして、駆動トランジスタ302に直列に接続された電流源トランジスタ112のドレイン電流は減少する。同様に、電流源トランジスタのソース・ドレイン端子間電圧が減少すると、電流源トランジスタのドレイン電流は増加する。このようにして、電流源トランジスタを流れる電流を一定に保つような効果が得られる。
【0097】
なお、1つのペアのスイッチ部に注目しその基本的な動作について説明したが、その他のスイッチ部の動作についても同様である。各画素が複数のペアを有する場合、それぞれのペアに応じて走査線及び映像信号入力線が設けられる。
【0098】
次に、階調表示の手法について説明する。本発明の表示装置において階調の表現は、スイッチ部のオン・オフの制御により行なわれる。例えば、各画素の有する複数の電流源回路の出力する電流の大きさの比を20:21:22:23:…とすることによって、D/A変換の役割を画素に持たせることが出来、多階調を表現することが可能となる。ここで、スイッチ部と電流源回路のペアが、1画素中に十分な数設けられれば、これらによる制御のみによって階調を十分に表現できる。その場合、後述する時間階調方式と組み合わせた動作を行う必要がないため、各スイッチ部に消去トランジスタを設けなくとも良い。
【0099】
次いで、上記階調表示の手法と時間階調方式とを組み合わせ、更に多階調化する手法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0100】
図4に示すように、1フレーム期間Fを第1のサブフレーム期間SF1〜第n(nは自然数)のサブフレーム期間SFnに分割する。各サブフレーム期間において、各画素の走査線Gが順に選択される。選択された走査線Gに対応する画素では、映像信号入力線Sよりデジタルの映像信号が入力される。ここで、表示装置が有する全ての画素にデジタルの映像信号を入力する期間をアドレス期間Taと表記する。特に、第k(kはn以下の自然数)のサブフレーム期間に対応するアドレス期間をTakと表記する。アドレス期間において入力されたデジタルの映像信号によって、各画素は発光状態または非発光状態となる。この期間を表示期間Tsと表記する。特に、第kのサブフレーム期間に対応する表示期間をTskと表記する。図4中、第1のサブフレーム期間SF1〜第k―1のサブフレーム期間SFk-1それぞれにおいて、アドレス期間と表示期間が設けられている。
【0101】
異なる画素行の走査線Gを同時に選択しデジタルの映像信号の入力を行うことはできないため、アドレス期間を重複させることはできない。そこで以下の手法を用いることによって、アドレス期間を重複させずにアドレス期間よりも表示期間を短くすることが可能になる。
【0102】
各画素にデジタルの映像信号が書き込まれ、所定の表示期間が経過した後、消去用信号線RGを順に選択する。消去用信号線を選択する信号を消去用信号と呼ぶ。消去用信号により消去トランジスタ304をオンにすると、各画素行を順に非発光状態にすることができる。このようにして全ての消去用信号線RGを選択し、全ての画素を非発光の状態にするまでの期間をリセット期間Trと表記する。特に、第kのサブフレーム期間に対応するリセット期間をTrkと表記する。また、リセット期間Tr後画素が一律に非発光となる期間を、非表示期間Tusと表記する。特に、第kのサブフレーム期間に対応する非表示期間をTuskと表記する。上記リセット期間及び非表示期間を設けることによって、次のサブフレーム期間が始まる前に画素を非発光の状態とすることができる。こうして、アドレス期間より短い表示期間を設定することができる。図4では、第kのサブフレーム期間SFk〜第nのサブフレーム期間SFnにおいてリセット期間及び非表示期間を設け、アドレス期間より短い表示期間Tsk〜Tsnを設定している。ここで各サブフレーム期間の表示期間の長さは、適宜定めることが出来る。
【0103】
こうして、1フレーム期間を構成する各サブフレーム期間の表示期間の長さを設定する。このように、本発明の表示装置は、時間階調方式と組み合わせて多階調化を図ることができる。
【0104】
次いで、図3に示したスイッチ部と、消去トランジスタ304の配置の仕方が異なる構成、及び消去トランジスタを設けない構成について説明する。図3と同じ部分は、同じ符号を用いて示し説明は省略する。
【0105】
図5(A)にスイッチ部の一例を示す。図5(A)では、消去トランジスタ304を発光素子に電流を入力する経路上に直列に配置し、消去トランジスタ304をオフすることによって発光素子に電流が流れないようにする。なお、発光素子に電流を入力する経路上に直列であれば、消去トランジスタ304はどこに配置してもよい。消去トランジスタ304をオフ状態とすることによって、画素を一律に非発光の状態とすることができる。こうして、リセット期間及び非表示期間を設定することができる。なお図5(A)に示したような構成のスイッチ部の場合、画素が有する複数のペアそれぞれのスイッチ部に消去トランジスタ304を配置せず、まとめて配置することもできる。こうして、画素内のトランジスタの数を抑えることができる。図35に、複数のペアで消去トランジスタ304を共有している場合の画素の構成を示す。なおここでは、2つのペアを有する画素を例に説明するが、これに限定されない。図35において、図2(A)及び図3と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、スイッチ部101aに対応する部分には、図3の符号の後にaをつけて表記する。また、スイッチ部101bに対応する部分には、図3の符号の後にbをつけて表記する。図35では、消去トランジスタ304をオフすることによって、電流源回路102a及び電流源回路102bから出力される電流の両方を同時に遮断することができる。
【0106】
なお、複数のスイッチ部で共有した消去トランジスタ304は、電源線Wと電流源回路102a及び102bとを接続する経路上に配置してもよい。つまり、電源線Wと電流源回路102a及び102bとが、複数のスイッチ部で共有した消去トランジスタ304を介して接続されていてもよい。複数のスイッチ部で共有した消去トランジスタ304は、電流源回路102a及び電流源回路102bから出力される電流の両方が同時に遮断される位置であれば、どこに設けてもよい。例えば、図35中経路Xの部分に消去トランジスタ304を配置しても良い。つまり、消去トランジスタ304によって、電源線Wと電流源回路102aの端子A及び電流源回路102bの端子Aとの接続を選択する構成としてもよい。
【0107】
図5(B)に、スイッチ部の別の構成を示す。図5(B)では、消去トランジスタ304のソース・ドレイン端子間を介して駆動トランジスタ302のゲート電極に所定の電圧を印加し、駆動トランジスタをオフ状態とする手法である。この例では、消去トランジスタ304のソース端子またはドレイン端子の一方は、駆動トランジスタのゲート電極に接続され、もう一方は配線Wrに接続される。配線Wrの電位を適当に定める。こうして、消去トランジスタを介して配線Wrの電位がゲート電極に入力された駆動トランジスタは、オフ状態となるようにする。
【0108】
また、図5(B)に示す構成において、消去トランジスタ304の代わりに、ダイオードを用いても良い。この構成を図5(C)に示す。配線Wrの電位を変化させる。こうして、ダイオード3040の2つの電極のうち、駆動トランジスタ302のゲート電極に接続されていない側の電極の電位を変化させる。これによって、駆動トランジスタのゲート電圧を変化させ、駆動トランジスタをオフ状態とすることができる。なお、ダイオード3040はダイオード接続(ゲート電極とドレイン端子を電気的に接続)したトランジスタを用いてもよい。この際、トランジスタとしてはNチャネル型トランジスタでもPチャネル型トランジスタでもよい。
【0109】
なお、配線Wrの代わりに、走査線Gを用いてもよい。図5(D)に、図5(B)において配線Wrの代わりに走査線Gを用いた構成を示す。ただしこの場合、走査線Gの電位を考慮して、選択トランジスタ301の極性に注意する必要がある。
【0110】
次いで、消去トランジスタを設けずに、リセット期間及び非表示期間を設ける手法について説明する。
【0111】
1つ目の手法は、保持容量303において駆動トランジスタ302のゲート電極と接続されていない側の電極の電位を変化させることによって、駆動トランジスタ302を非導通状態とする手法である。この構成を図6(A)に示す。保持容量303において駆動トランジスタ302のゲート電極と接続されていない側の電極は、配線Wcoに接続されている。配線Wcoの信号を変化させ、保持容量303の一方の電極の電位を変化させる。すると保持容量に保持された電荷は保存されるため、保持容量303のもう一方の電極の電位も変化する。こうして、駆動トランジスタ302のゲート電極の電位を変化させて、駆動トランジスタ302をオフ状態とすることが出来る。
【0112】
2つ目の手法について説明する。1本の走査線Gが選択される期間を前半と後半に分割する。前半(ゲート選択期間前半と表記)には、映像信号入力線Sにデジタルの映像信号を入力し、後半(ゲート選択期間後半と表記)には、映像信号入力線Sに消去用信号を入力することを特徴とする。本手法での消去用信号とは、駆動トランジスタ302のゲート電極に入力された際に、駆動トランジスタ302をオフ状態とするような信号であるとする。こうして、書き込み期間より短い表示期間を設定することが可能となる。以下、この2つ目の手法についてより詳細に説明する。
【0113】
まず、上記手法を用いる際の表示装置全体の構成について説明する。説明には、図6(B)を用いる。表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する画素部901と、画素部901に信号を入力する映像信号入力線駆動回路902と、第1の走査線駆動回路903Aと、第2の走査線駆動回路903Bと、切り換え回路904Aと、切り換え回路904Bとを有する。画素部901の有する各画素は、図6(A)に示すようなスイッチ部101と電流源回路とを複数有している。ここで、第1の走査線駆動回路903Aは、ゲート選択期間前半に各走査線Gに信号を出力する回路であるとする。また、第2の走査線駆動回路903Bは、ゲート選択期間後半に各走査線Gに信号を出力する回路であるとする。切り換え回路904Aと切り換え回路904Bによって、第1の走査線駆動回路903Aと各画素の走査線Gとの接続または、第2の走査線駆動回路903Bと各画素の走査線Gとの接続が選択される。映像信号入力線駆動回路902は、ゲート選択期間前半では映像信号を出力する。一方、ゲート選択期間後半では、消去用信号を出力する。
【0114】
次いで、上記構成の表示装置の駆動方法について説明する。説明には、図6(C)のタイミングチャートを用いる。なお、図4と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。図6(C)において、ゲート選択期間991は、ゲート選択期間前半991Aとゲート選択期間後半991Bに分割される。書き込み期間Taに相当する903Aにおいて、第1の走査線駆動回路によって各走査線が選択され、デジタルの映像信号が入力される。リセット期間Trに相当する903Bにおいて、第2の走査線駆動回路によって各走査線が選択され、消去用信号が入力される。こうして、アドレス期間Taより短い表示期間Tsを設定することができる。
【0115】
なお、図6(C)ではゲート選択期間後半に消去用信号が入力されているが、そのかわりに次のサブフレーム期間のデジタルの映像信号を入力してもよい。
【0116】
3つ目の手法について説明する。3つ目の手法は、発光素子の対向電極の電位を変化させることによって、非表示期間を設ける手法である。つまり、表示期間は、対向電極の電位を電源線の電位との間に所定の電位差を有する様に設定する。一方、非表示期間では、対向電極の電位を電源線の電位とほぼ同じ電位に設定する。こうして、非表示期間では、画素に保持されたデジタルの映像信号に関わらず、画素を一律に非発光の状態とすることができる。なお、この手法では、非表示期間に全画素にデジタルの映像信号を入力する。即ち、非表示期間中にアドレス期間を設ける。
【0117】
上記構成のスイッチ部を有する画素において、各配線は共有することができる。こうして、画素の構成を簡単にし、また、画素の開口率を増大させることができる。以下に、各配線を共有する例について説明する。説明では、図3に示した構成を有するスイッチ部を、図2に示した画素に適用した構成において、配線を共有した例を用いる。なお以下の構成は、図5や図6に示した構成を有するスイッチ部に対しても、自由に適用することができる。
【0118】
以下、配線の共有について説明する。配線の共有の例を6つ挙げる。なお、説明には図7及び図8を用いる。図7及び図8において、図2及び図3と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
【0119】
図7(A)に、複数のスイッチ部の配線Wcoを共有した画素の構成を例示する。図7(B)に、配線Wcoと電源線Wを共有した画素の構成を例示する。図7(C)に、配線Wcoのかわりに他の画素行の走査線を使用した画素の構成を例示する。図7(C)の構成は、映像信号の書き込みを行っていない間、走査線Ga、Gbの電位が一定の電位に保たれることを利用している。図7(C)では、配線Wcoのかわりに、1つ前の画素行の走査線Gai-1及びGbi-1を用いている。ただしこの場合、走査線Ga、Gbの電位を考慮して、選択トランジスタ301の極性に注意する必要がある。図8(A)に、信号線RGaと信号線RGbを共有した画素の構成を例示する。これは、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部を、同時にオフさせてもよいためである。共有した信号線をまとめてRGaと表記する。図8(B)に、走査線Gaと走査線Gbを共有した画素の構成を例示する。共有した走査線をまとめてGaと表記する。図8(C)に、映像信号入力線Saと映像信号入力線Sbを共有した画素の構成を例示する。共有した映像信号入力線をまとめてSaと表記する。
【0120】
図7(A)〜図7(C)と図8(A)〜図8(C)を組み合わせることも可能である。なお、これに限定されず、画素を構成する各配線は適宜共有することができる。また、画素間の各配線を適宜共有することができる。
【0121】
なお、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0122】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置の各画素が有する電流源回路の構成及び動作について詳細に説明する。
【0123】
各画素が有する複数のペアのうち、1つのペアの電流源回路について注目し、構成を詳細に説明する。本実施の形態では、電流源回路の構成例を5つ挙げるが、電流源として動作する回路であれば別の構成例でもよい。なお、電流源回路を構成するトランジスタは、単結晶トランジスタでも、多結晶トランジスタでも、非晶質トランジスタでもよい。また、SOIトランジスタでもよい。バイポーラトランジスタでもよい。有機物、例えばカーボンナノチューブを用いたトランジスタでもよい。
【0124】
まず第1の構成の電流源回路について図9(A)を用いて説明する。なお、図9(A)において、図2と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0125】
図9(A)に示した第1の構成の電流源回路は、電流源トランジスタ112と、該電流源トランジスタ112と対になってカレントミラー回路を構成するカレントトランジスタ1405とを有する。スイッチとして機能する電流入力トランジスタ1403、電流保持トランジスタ1404を有する。ここで、電流源トランジスタ112、カレントトランジスタ1405、電流入力トランジスタ1403、電流保持トランジスタ1404は、Pチャネル型でもNチャネル型でもよい。しかし、電流源トランジスタ112とカレントトランジスタ1405は、極性が揃っていることが望まれる。ここでは、電流源トランジスタ112とカレントトランジスタ1405は、Pチャネル型トランジスタの例を示す。また、電流源トランジスタ112とカレントトランジスタ1405の電流特性も揃っていることが望ましい。電流源トランジスタ112及びカレントトランジスタ1405のゲート電位を保持する電流源容量111を有する。なお、トランジスタのゲート容量等を積極的に用いることによって、電流源容量111を省略することも可能である。さらに、電流入力トランジスタ1403のゲート電極に信号を入力する信号線GN、電流保持トランジスタ1404のゲート電極に信号を入力する信号線GHを有する。また、制御信号が入力される電流線CLを有する。
【0126】
これらの構成要素の接続関係を説明する。電流源トランジスタ112とカレントトランジスタ1405のゲート電極が接続されている。電流源トランジスタ112のソース端子は端子Aに接続され、ドレイン端子は端子Bに接続されている。電流源容量111の一方の電極は、電流源トランジスタ112のゲート電極に接続され、もう一方の電極は端子Aに接続されている。カレントトランジスタ1405のソース端子は端子Aに接続され、ドレイン端子は電流入力トランジスタ1403を介して電流線CLと接続されている。また、カレントトランジスタ1405のゲート電極とドレイン端子は、電流保持トランジスタ1404を介して接続されている。電流保持トランジスタ1404のソース端子またはドレイン端子は、電流源容量111及びカレントトランジスタ1405のドレイン端子と接続されている。しかし、電流保持トランジスタ1404のソース端子またはドレイン端子で電流源容量111と接続されていない側が、電流線CLに接続された構成であってもよい。この構成を図36に示す。なお図36において、図9(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。この構成によって、電流保持トランジスタ1404がオフ状態のときに電流線CLの電位を調節することによって、電流保持トランジスタ1404のソース・ドレイン端子間電圧を小さくすることができる。その結果、電流保持トランジスタ1404のオフ電流を小さくすることができる。こうして、電流源容量111からの電荷の漏れを小さくすることができる。
【0127】
また、図9(A)に示した電流源回路の構成において、電流源トランジスタ112とカレントトランジスタ1405をNチャネル型トランジスタとした場合の例を、図33(A)に示す。なお、図9(A)に示した構成の電流源回路に対して、図33(A)に示した構成の電流源回路では、電流源回路102の設定動作の際にカレントトランジスタ1405のソース・ドレイン間を介して電流線CLと端子A間を流れる電流を、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン間や端子Bに流れないようにするため、トランジスタ1441、1442を設ける必要がある。また、表示動作において端子A・端子B間に一定の電流を流す際にカレントトランジスタ1405のソース・ドレイン間に電流が流れないようにするため、トランジスタ1443を設ける必要がある。こうして、電流源回路102は、所定の電流値の電流を正確に出力することができる。
【0128】
また、図9(A)に示した構成の回路において、電流保持トランジスタ1404の配置を変え、図9(B)に示すような回路構成としてもよい。図9(B)では、カレントトランジスタ1405のゲート電極と電流源容量111の一方の電極とが、電流保持トランジスタ1404を介して接続される。このときカレントトランジスタ1405のゲート電極とドレイン端子とは配線によって接続されている。
【0129】
次いで、上記第1の構成の電流源回路の設定動作について説明する。なお図9(A)と図9(B)ではその設定動作は同様である。ここでは図9(A)に示す回路を例にその設定動作について説明する。説明には図9(C)〜図9(F)を用いる。第1の構成の電流源回路では、図9(C)〜図9(F)の状態を順に経て設定動作が行われる。説明では簡単のため、電流入力トランジスタ1403及び電流保持トランジスタ1404をスイッチとして表記した。ここで、電流源回路102を設定する制御信号は制御電流である例を示す。また図において電流が流れる経路を太矢印で示す。
【0130】
図9(C)に示す期間TD1において、電流入力トランジスタ1403および電流保持トランジスタ1404をオン状態とする。この段階ではカレントトランジスタ1405のソース・ゲート間電圧が小さく、カレントトランジスタ1405がオフしているので、電流線CLより図示した経路より電流が流れて、電流源容量111に電荷が保持される。
【0131】
図9(D)に示す期間TD2において、電流源容量111に保持された電荷によってカレントトランジスタ1405のゲート・ソース間の電圧が閾値電圧以上となる。すると、カレントトランジスタ1405のソース・ドレイン端子間を介して電流が流れる。
【0132】
十分時間が経過し定常状態となると、図9(E)に示す期間TD3のように、カレントトランジスタ1405のソース・ドレイン端子間を流れる電流が、制御電流に定まる。こうして、制御電流をドレイン電流とする際のゲート電圧は電流源容量111に保持される。
【0133】
図9(F)に示す期間TD4において、電流保持トランジスタ1404及び電流入力トランジスタ1403がオフ状態となる。こうして、画素に制御電流が入力されなくなる。なお、電流保持トランジスタ1404をオフするタイミングは、電流入力トランジスタ1403をオフするタイミングに対して、早いかまたは同時であることが好ましい。これは、電流源容量111に保持された電荷を放電させないようにするためである。期間TD4の後、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間に電圧が印加されると、制御電流に対応したドレイン電流が流れる。つまり、端子Aと端子B間に電圧が印加されると、電流源回路102は、制御電流に対応した電流を出力する。
【0134】
ここで、電流源トランジスタ112のチャネル幅とチャネル長の比W1/L1を、カレントトランジスタ1405のチャネル幅とチャネル長の比W2/L2に対して変化させてもよい。こうして、画素に入力される制御電流に対して、電流源回路102が出力する電流の電流値を変化させることができる。例えば、電流源回路102が出力する電流に対して、画素に入力する制御電流が大きくなるように各トランジスタを設計する。こうして、大きな電流値の制御電流を用いて電流源回路102の設定動作を行う。その結果、電流源回路の設定動作を速くすることができる。また、ノイズの影響の低減に対しても有効である。
【0135】
こうして、電流源回路102は所定の電流を出力する。
【0136】
なお、上記構成の電流源回路では、信号線GHに信号が入力され電流保持トランジスタがオン状態である場合に、電流線CLは常に一定電流を流すように設定されていなくてはならない。これは、電流線CLに電流が入力されていない期間に、電流保持トランジスタ1404及び電流入力トランジスタ1403が両方オン状態となると、電流源容量111に保持された電荷が放電してしまうためである。そのため、全ての画素に対応する複数の電流線CLに選択的に一定電流を入力し画素の設定動作を行う場合、つまり、電流線CLに一定の電流が常には入力されていない場合には、以下の構成の電流源回路を用いる。
【0137】
図9(A)や図9(B)において示した電流源回路において、電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子の接続を選択するためのスイッチング素子を追加する。このスイッチング素子は、信号線GHに入力される信号とは異なる信号によって、オン・オフが選択される。図33(B)に上記構成の一例を示す。図33(B)では、点順次トランジスタ1443及び点順次線CLPを設けている。こうして、任意の画素を1画素ずつ選択し、少なくとも、当該選択された画素の電流線CLには一定の電流が入力されるようにして、画素の設定動作を行う。
【0138】
第1の構成の電流源回路の各信号線は、共有することができる。例えば図9(A)や図9(B)及び図33に示す構成において、電流入力トランジスタ1403と電流保持トランジスタ1404は、同じタイミングでオン・オフが切りかえられれば動作上問題無い。そのため、電流入力トランジスタ1403と電流保持トランジスタ1404の極性を同じとし、信号線GHと信号線GNを共有することができる。
【0139】
次いで、第2の構成の電流源回路について説明する。なお、説明には図10を参照する。図10(A)において、図2と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0140】
第2の構成の電流源回路の構成要素について説明する。第2の構成の電流源回路は、電流源トランジスタ112を有する。また、スイッチとして機能する電流入力トランジスタ203、電流保持トランジスタ204、電流停止トランジスタ205を有する。ここで、電流源トランジスタ112、電流入力トランジスタ203、電流保持トランジスタ204、電流停止トランジスタ205は、Pチャネル型でもNチャネル型でもよい。ここでは、電流源トランジスタ112はPチャネル型トランジスタの例を示す。さらに、電流源トランジスタ112のゲート電位を保持する電流源容量111を有する。なお、トランジスタのゲート容量等を積極的に用いることによって、電流源容量111を省略することも可能である。また、電流停止トランジスタ205のゲート電極に信号を入力する信号線GSと、電流保持トランジスタ204のゲート電極に信号を入力する信号線GHと、電流入力トランジスタ203のゲート電極に信号を入力する信号線GNとを有する。また、制御電流を入力する電流線CLを有する。
【0141】
これらの構成要素の接続関係を説明する。電流源トランジスタ112のゲート電極は、電流源容量111の一方の電極に接続されている。電流源容量111のもう一方の電極は、端子Aに接続されている。電流源トランジスタ112のソース端子は端子Aに接続されている。電流源トランジスタ112のドレイン端子は、電流停止トランジスタ205を介して端子Bと接続され、また、電流入力トランジスタ203を介して電流線CLと接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子は、電流保持トランジスタ204を介して接続されている。
【0142】
なお、図10(A)に示した構成において、電流保持トランジスタ204のソース端子またはドレイン端子は、電流源容量111及び電流源トランジスタ112のドレイン端子と接続されている。しかし、電流保持トランジスタ204の電流源容量111と接続されていない側が、電流線CLに接続された構成であっても良い。上記構成を、図34(A)に示す。この構成によって、電流保持トランジスタ204がオフ状態のときに電流線CLの電位を調節することによって、電流保持トランジスタ204のソース・ドレイン端子間電圧を小さくすることができる。その結果、電流保持トランジスタ204のオフ電流を小さくすることができる。こうして、電流源容量111からの電荷の漏れを小さくすることができる。
【0143】
次いで、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路の設定方法について説明する。説明には図10(B)〜図10(E)を用いる。第2の構成の電流源回路では、図10(B)〜図10(E)の状態を順に経て設定動作が行われる。説明では簡単のため、電流入力トランジスタ203、電流保持トランジスタ204及び電流停止トランジスタ205をスイッチとして表記した。ここで、電流源回路102を設定する制御信号は制御電流である例を示す。また図において、電流が流れる経路を太矢印で示す。
【0144】
図10(B)に示す期間TD1において、電流入力トランジスタ203および電流保持トランジスタ204をオン状態とする。また、電流停止トランジスタ205はオフ状態である。こうして、電流線CLから図示した経路より電流が流れて、電流源容量111に電荷が保持される。
【0145】
図10(C)に示す期間TD2において、保持された電荷によって電流源トランジスタ112のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上となる。すると、電流源トランジスタ112にドレイン電流が流れる。
【0146】
十分時間が経過し定常状態となると、図10(D)に示す期間TD3のように、電流源トランジスタ112のドレイン電流が制御電流に定まる。こうして、制御電流をドレイン電流とする際の電流源トランジスタ112のゲート電圧が、電流源容量111に保持される。
【0147】
図10(E)に示す期間TD4において、電流入力トランジスタ203および電流保持トランジスタ204がオフ状態となる。こうして、画素に制御電流が入力されなくなる。なお、電流保持トランジスタ204をオフするタイミングは、電流入力トランジスタ203をオフするタイミングに対して、早いかまたは同時であることが好ましい。これは、電流源容量111に保持された電荷を放電させないようにするためである。更に、電流停止トランジスタ205がオン状態となる。期間TD4の後、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間に電圧が印加されると、制御電流に対応したドレイン電流が流れる。つまり、端子Aと端子B間に電圧が印加されると、電流源回路102は、制御電流に対応したドレイン電流を流す。こうして、電流源回路102は所定の電流を出力する。
【0148】
なお、電流停止トランジスタ205は必ずしも必要ない。例えば、端子Aまたは端子Bの少なくとも一方が開放状態にある時にのみ設定動作を行う場合は、電流停止トランジスタ205は必要ない。具体的には、ペアとなるスイッチ部がオフの状態の場合のみ設定動作を行う電流源回路では、電流停止トランジスタ205は必要ない。
【0149】
また、上記構成の電流源回路では、信号線GHに信号が入力され電流保持トランジスタ204がオン状態である場合に、電流線CLは常に一定電流を流すように設定されていなくてはならない。これは、電流線CLに電流が入力されていない期間に、電流保持トランジスタ204及び電流入力トランジスタ203が両方オン状態となると、電流源容量111に保持された電荷が放電してしまうためである。そのため、全ての画素に対応する複数の電流線CLに選択的に一定電流を入力し画素の設定動作を行う場合には、つまり、電流線CLに一定の電流が常には入力されていない場合には、以下の構成の電流源回路を用いる。
【0150】
電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子の接続を選択するためのスイッチング素子を追加する。このスイッチング素子は、信号線GHに入力される信号とは異なる信号によって、オン・オフが選択される。図34(B)に上記構成の一例を示す。図34(B)では、点順次トランジスタ245及び点順次線CLPを設けている。こうして、任意の画素を1画素ずつ選択し、少なくとも、当該選択された画素の電流線CLには一定の電流が入力されるようにして、画素の設定動作を行う。
【0151】
第2の構成の電流源回路の各信号線は、共有することができる。例えば、電流入力トランジスタ203と電流保持トランジスタ204は、同じタイミングでオン・オフが切りかえられれば動作上問題無い。そのため、電流入力トランジスタ203と電流保持トランジスタ204の極性を同じとし、信号線GHと信号線GNを共有することができる。また、電流停止トランジスタ205は、電流入力トランジスタ203がオフになると同時に、オンになっても動作上問題ない。そのため、電流入力トランジスタ203と電流停止トランジスタ205の極性を異ならせ、信号線GNと信号線GSを共有することができる。
【0152】
また、電流源トランジスタ112がNチャネル型トランジスタの場合の構成例を図37に示す。なお、図10と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0153】
次いで、第3の構成の電流源回路について説明する。なお、説明には図11を参照する。図11(A)において、図2と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0154】
第3の構成の電流源回路の構成要素について説明する。第3の構成の電流源回路は、電流源トランジスタ112を有する。また、スイッチとして機能する電流入力トランジスタ1483、電流保持トランジスタ1484、発光トランジスタ1486、電流基準トランジスタ1488を有する。ここで、電流源トランジスタ112、電流入力トランジスタ1483、電流保持トランジスタ1484、発光トランジスタ1486、電流基準トランジスタ1488は、Pチャネル型でもNチャネル型でもよい。ここでは、電流源トランジスタ112は、Pチャネル型トランジスタの例を示す。さらに、電流源トランジスタ112のゲート電位を保持する電流源容量111を有する。なお、トランジスタのゲート容量等を積極的に用いることによって、電流源容量111を省略することも可能である。また、電流入力トランジスタ1483のゲート電極に信号を入力する信号線GN、電流保持トランジスタ1484のゲート電極に信号を入力する信号線GH、発光トランジスタ1486のゲート電極に信号を入力する信号線GE、電流基準トランジスタ1488のゲート電極に信号を入力する信号線GCとを有する。さらに、制御信号が入力される電流線CLと、一定の電位に保たれた電流基準線SCLとを有する。
【0155】
これらの構成要素の接続関係を説明する。電流源トランジスタ112のゲート電極とソース端子は、電流源容量111を介して接続されている。電流源トランジスタ112のソース端子は、発光トランジスタ1486を介して端子Aと接続され、また、電流入力トランジスタ1483を介して電流線CLと接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子は、電流保持トランジスタ1484を介して接続されている。電流源トランジスタ112のドレイン端子は端子Bと接続され、また、電流基準トランジスタ1488を介して電流基準線SCLと接続されている。
【0156】
なお、電流保持トランジスタ1484のソース端子またはドレイン端子の電流源容量111と接続されていない側は、電流源トランジスタ112のドレイン端子と接続されているが、電流基準線SCLに接続されていても良い。上記構成を、図38に示す。この構成によって、電流保持トランジスタ1484がオフ状態のときに電流基準線SCLの電位を調節することによって、電流保持トランジスタ1484のソース・ドレイン端子間電圧を小さくすることができる。その結果、電流保持トランジスタ1484のオフ電流を小さくすることができる。こうして、電流源容量111から漏れる電荷を小さくすることができる。
【0157】
次いで、上記第3の構成の電流源回路の設定方法について説明する。説明には図11(B)〜図11(E)を用いる。第3の構成の電流源回路では、図11(B)〜図11(E)の状態を順に経て設定動作が行われる。説明では簡単のため、電流入力トランジスタ1483、電流保持トランジスタ1484、発光トランジスタ1486及び電流基準トランジスタ1488をスイッチとして表記した。ここで、電流源回路102を設定する制御信号は、制御電流である例を示す。また図において、電流が流れる経路を太矢印で示す。
【0158】
図11(B)に示す期間TD1において、電流入力トランジスタ1483、電流保持トランジスタ1484及び電流基準トランジスタ1488をオン状態とする。こうして、図示した経路より電流が流れて、電流源容量111に電荷が保持される。なお、発光トランジスタ1486はオフ状態である。
【0159】
図11(C)に示す期間TD2において、電流源容量111に保持された電荷によって電流源トランジスタ112のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上となる。すると、電流源トランジスタ112にドレイン電流が流れる。
【0160】
十分時間が経過し定常状態となると、図11(D)に示す期間TD3のように、電流源トランジスタ112のドレイン電流が制御電流に定まる。こうして、制御電流をドレイン電流とする際のゲート電圧が、電流源容量111に保持される。
【0161】
図11(E)に示す期間TD4において、電流入力トランジスタ1483、電流保持トランジスタ1484がオフ状態となる。こうして、画素に制御電流が入力されなくなる。なお、電流保持トランジスタ1484をオフするタイミングは、電流入力トランジスタ1483をオフするタイミングに対して、早いかまたは同時であることが好ましい。これは、電流源容量111に保持された電荷を放電させないようにするためである。さらに、電流基準トランジスタ1488がオフ状態となる。その後、発光トランジスタ1486がオン状態となる。期間TD4の後、電流源トランジスタ112のソース・ドレイン端子間に電圧が印加されると、電流源トランジスタ112には制御電流に対応したドレイン電流が流れる。つまり、端子Aと端子B間に電圧が印加されると、電流源回路102は制御電流に対応した電流を流す。こうして、電流源回路102は所定の電流を出力する。
【0162】
なお、電流基準トランジスタ1488及び電流基準線SCLは必ずしも必要ない。例えば、ペアとなるスイッチ部がオンの状態の場合のみ設定動作を行う電流源回路では、期間TD1〜期間TD3において電流基準線SCLに電流を流すのではなく端子Bに電流を流せばよいので、電流基準トランジスタ1488及び電流基準線SCLは必要ない。
【0163】
第3の構成の電流源回路の各信号線は共有することができる。例えば、電流入力トランジスタ1483と電流保持トランジスタ1484は、同じタイミングでオン・オフが切り替えられれば動作上問題無い。そのため、電流入力トランジスタ1483と電流保持トランジスタ1484の極性を同じとし、信号線GHと信号線GNを共有することができる。また、電流基準トランジスタ1488と電流入力トランジスタ1483は、同じタイミングでオン・オフが切り替えられれば動作上問題無い。そのため、電流基準トランジスタ1488と電流入力トランジスタ1483の極性を同じとし、信号線GNと信号線GCを共有することができる。さらに、発光トランジスタ1486がオン状態となると同時に、電流入力トランジスタ1483がオフ状態となっても動作上問題ない。そこで、発光トランジスタ1486と電流入力トランジスタ1483の極性を異ならせ、信号線GEと信号線GNを共有することができる。
【0164】
また、電流源トランジスタ112がNチャネル型トランジスタの場合の構成例を図39(A)に示す。なお、図11と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお図39(A)の構成において、電流保持トランジスタ1484のソース端子またはドレイン端子の電流源容量111と接続されていない側は、電流源トランジスタ112のドレイン端子と接続されているが、電流線CLに接続されていても良い。上記構成を、図39(B)に示す。この構成によって、電流保持トランジスタ1484がオフ状態のときに電流線CLの電位を調節することによって、電流保持トランジスタ1484のソース・ドレイン端子間電圧を小さくすることができる。その結果、電流保持トランジスタ1484のオフ電流を小さくすることができる。こうして、電流源容量111からの電荷の漏れを小さくすることができる。
【0165】
次いで、第4の構成の電流源回路について説明する。なお、説明には図12を参照する。図12(A)において、図2と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0166】
第4の構成の電流源回路の構成要素について説明する。第4の構成の電流源回路は、電流源トランジスタ112と電流停止トランジスタ805を有する。また、スイッチとして機能する電流入力トランジスタ803、電流保持トランジスタ804を有する。ここで、電流源トランジスタ112、電流停止トランジスタ805、電流入力トランジスタ803、電流保持トランジスタ804は、Pチャネル型でもNチャネル型でもよい。但し、電流源トランジスタ112と電流停止トランジスタ805は、同じ極性である必要がある。ここでは、電流源トランジスタ112及び電流停止トランジスタ805は、Pチャネル型トランジスタの例を示す。また、電流源トランジスタ112と電流停止トランジスタ805は、電流特性が等しいことが望まれる。さらに、電流源トランジスタ112のゲート電位を保持する電流源容量111を有する。なお、トランジスタのゲート容量等を積極的に用いることによって、電流源容量111を省略することも可能である。また、電流入力トランジスタ803のゲート電極に信号を入力する信号線GNと、電流保持トランジスタ804のゲート電極に信号を入力する信号線GHを有する。さらに、制御信号が入力される電流線CLを有する。
【0167】
これらの構成要素の接続関係を説明する。電流源トランジスタ112のソース端子は端子Aと接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極とソース端子は、電流源容量111を介して接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極は、電流停止トランジスタ805のゲート電極と接続され、また、電流保持トランジスタ804を介して電流線CLと接続されている。電流源トランジスタ112のドレイン端子は、電流停止トランジスタ805のソース端子と接続され、また、電流入力トランジスタ803を介して、電流線CLに接続されている。電流停止トランジスタ805のドレイン端子は、端子Bに接続されている。
【0168】
なお、図12(A)において、電流保持トランジスタ804の配置を変え、図12(B)に示すような回路構成としてもよい。図12(B)では、電流保持トランジスタ804は、電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子の間に接続されている。
【0169】
次いで、上記第4の構成の電流源回路の設定方法について説明する。なお図12(A)と図12(B)では、その設定動作は同様である。ここでは図12(A)に示す回路を例に、その設定動作について説明する。説明には図12(C)〜図12(F)を用いる。第4の構成の電流源回路では、図12(C)〜図12(F)Sの状態を順に経て設定動作が行われる。説明では簡単のため、電流入力トランジスタ803、電流保持トランジスタ804をスイッチとして表記した。ここで、電流源回路を設定する制御信号は、制御電流である例を示す。また図において、電流が流れる経路を太矢印で示す。
【0170】
図12(C)に示す期間TD1において、電流入力トランジスタ803及び電流保持トランジスタ804をオン状態とする。なおこの際、電流停止トランジスタ805はオフ状態である。これは、オン状態となった電流保持トランジスタ804及び電流入力トランジスタ803によって、電流停止トランジスタ805のソース端子とゲート電極の電位が等しく保たれているためである。つまり、ソース・ゲート間電圧がゼロのときにオフ状態となるトランジスタを電流停止トランジスタ805に用いることで、期間TD1において電流停止トランジスタ805をオフ状態とする。こうして、図示した経路より電流が流れて、電流源容量111に電荷が保持される。
【0171】
図12(D)に示す期間TD2において、保持された電荷によって電流源トランジスタ112のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上となる。すると、電流源トランジスタ112にドレイン電流が流れる。
【0172】
十分時間が経過し定常状態となると、図12(E)に示す期間TD3のように、電流源トランジスタ112のドレイン電流が制御電流に定まる。こうして、制御電流をドレイン電流とする際の電流源トランジスタ112のゲート電圧が、電流源容量111に保持される。その後、電流保持トランジスタ804がオフ状態となる。すると、電流源容量111に保持された電荷が、電流停止トランジスタ805のゲート電極にも分配される。こうして、電流保持トランジスタ804がオフ状態となると同時に、自動的に電流停止トランジスタ805がオン状態となる。
【0173】
図12(F)に示す期間TD4において、電流入力トランジスタ803がオフ状態となる。こうして、画素に制御電流が入力されなくなる。なお、電流保持トランジスタ804をオフするタイミングは、電流入力トランジスタ803をオフするタイミングに対して、早いかまたは同時であることが好ましい。これは、電流源容量111に保持された電荷を放電させないようにするためである。期間TD4の後、端子Aと端子Bの間に電圧が印加されている場合、電流源トランジスタ112及び電流停止トランジスタ805を介して、一定の電流が出力される。つまり、電流源回路102が一定の電流を出力する際は、電流源トランジスタ112と電流停止トランジスタ805が、1つのマルチゲート型トランジスタのように機能する。そのため、入力する制御電流に対して、出力する一定電流の値を小さく設定することができる。従って、電流源回路の設定動作を速くすることができる。なお、電流停止トランジスタ805と電流源トランジスタ112の極性は同じとする必要がある。また、電流停止トランジスタ805と電流源トランジスタ112の電流特性は同じとすることが望ましい。これは、第4の構成を有する各電流源回路102において、電流停止トランジスタ805と電流源トランジスタ112の特性が揃っていない場合、電流源回路の出力電流にばらつきを生じるためである。
【0174】
なお、第4の構成の電流源回路では、電流停止トランジスタ805だけではなく、制御電流が入力され、入力された制御電流を対応するゲート電圧に変換するトランジスタ(電流源トランジスタ112)も用いて、電流源回路102から電流を出力している。一方、第1の構成の電流源回路では、制御電流が入力され、入力された制御電流を対応するゲート電圧に変換するトランジスタ(カレントトランジスタ)と、該ゲート電圧をドレイン電流に変換するトランジスタ(電流源トランジスタ)が全く別であった。よって、第1の構成よりは、第4の構成の方がトランジスタの電流特性ばらつきが電流源回路102の出力電流へ与える影響を低減することができる。
【0175】
第4の構成の電流源回路の各信号線は、共有することができる。例えば、電流入力トランジスタ803と電流保持トランジスタ804は、同じタイミングでオン・オフが切り替えられれば動作上問題無い。そのため、電流入力トランジスタ803と電流保持トランジスタ804の極性を同じとし、信号線GHと信号線GNを共有することができる。
【0176】
次いで、第5の構成の電流源回路について説明する。なお、説明には図13を参照する。図13(A)において、図2と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
【0177】
第5の構成の電流源回路の構成要素について説明する。第5の構成の電流源回路は、電流源トランジスタ112と発光トランジスタ886を有する。また、スイッチとして機能する電流入力トランジスタ883、電流保持トランジスタ884、電流基準トランジスタ888を有する。ここで、電流源トランジスタ112、発光トランジスタ886、電流入力トランジスタ883、電流保持トランジスタ884、電流基準トランジスタ888は、Pチャネル型でもNチャネル型でもよい。但し、電流源トランジスタ112と発光トランジスタ886は、同じ極性である必要がある。ここでは、電流源トランジスタ112及び発光トランジスタ886は、Pチャネル型トランジスタの例を示す。また、電流源トランジスタ112と発光トランジスタ886は、電流特性が等しいことが望まれる。さらに、電流源トランジスタ112のゲート電位を保持する電流源容量111を有する。なお、トランジスタのゲート容量等を積極的に用いることによって、電流源容量111を省略することも可能である。また、電流入力トランジスタ883のゲート電極に信号を入力する信号線GNと、電流保持トランジスタ884のゲート電極に信号を入力する信号線GHを有する。更に、制御信号が入力される電流線CLと、一定の電位に保たれる電流基準線SCLとを有する。
【0178】
これらの構成要素の接続関係を説明する。電流源トランジスタ112のソース端子は端子Bに接続され、また、電流基準トランジスタ888を介して電流基準線SCLに接続されている。電流源トランジスタ112のドレイン端子は、発光トランジスタ886のソース端子に接続され、また、電流入力トランジスタ883を介して電流線CLに接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極とソース端子は、電流源容量111を介して接続されている。電流源トランジスタ112のゲート電極と発光トランジスタ886のゲート電極は接続され、電流保持トランジスタ884を介して電流線CLと接続されている。発光トランジスタ886のドレイン端子は、端子Aに接続されている。
【0179】
なお、図13(A)において、電流保持トランジスタ884の配置を変え、図13(B)に示すような回路構成としてもよい。図13(B)では、電流保持トランジスタ884は、電流源トランジスタ112のゲート電極とドレイン端子の間に接続されている。
【0180】
次いで、上記第5の構成の電流源回路の設定方法について説明する。なお図13(A)と図13(B)では、その設定動作は同様である。ここでは図13(A)に示す回路を例に、その設定動作について説明する。説明には図13(C)〜図13(F)を用いる。第5の構成の電流源回路では、図13(C)〜図13(F)の状態を順に経て設定動作が行われる。説明では簡単のため、電流入力トランジスタ883、電流保持トランジスタ884、電流基準トランジスタ888をスイッチとして表記した。ここで、電流源回路を設定する制御信号は、制御電流である例を示す。また図において、電流が流れる経路を太矢印で示す。
【0181】
図13(C)に示す期間TD1において、電流入力トランジスタ883、電流保持トランジスタ884及び電流基準トランジスタ888をオン状態とする。なお、この際発光トランジスタ886はオフ状態である。これは、オン状態となった電流保持トランジスタ884及び電流入力トランジスタ883によって、発光トランジスタ886のソース端子とゲート電極の電位が等しく保たれているためである。つまり、ソース・ゲート間電圧がゼロのときオフ状態となるトランジスタを発光トランジスタ886に用いることで、期間TD1において発光トランジスタ886をオフ状態とする。こうして、図示した経路より電流が流れて、電流源容量111に電荷が保持される。
【0182】
図13(D)に示す期間TD2において、電流源容量111に保持された電荷によって電流源トランジスタ112のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上となる。すると、電流源トランジスタ112にドレイン電流が流れる。
【0183】
十分時間が経過し定常状態となると、図13(E)に示す期間TD3のように、電流源トランジスタ112のドレイン電流が制御電流に定まる。こうして、制御電流をドレイン電流とする際の電流源トランジスタ112のゲート電圧が、電流源容量111に保持される。その後、電流保持トランジスタ884はオフ状態となる。すると、電流源容量111に保持された電荷が、発光トランジスタ886のゲート電極にも分配される。こうして、電流保持トランジスタ884がオフ状態となると同時に、自動的に発光トランジスタ886がオン状態となる。
【0184】
図13(F)に示す期間TD4において、電流基準トランジスタ888及び電流入力トランジスタ883がオフ状態となる。こうして、画素に制御電流が入力されなくなる。なお、電流保持トランジスタ884をオフするタイミングは、電流入力トランジスタ883をオフするタイミングに対して、早いかまたは同時であることが好ましい。これは、電流源容量111に保持された電荷を放電させないようにするためである。期間TD4の後、端子Aと端子Bの間に電圧が印加されると、電流源トランジスタ112及び発光トランジスタ886を介して、一定の電流が出力される。つまり、電流源回路102が一定の電流を出力する際は、電流源トランジスタ112と発光トランジスタ886が、1つのマルチゲート型トランジスタのように機能する。そのため、入力する制御電流に対して、出力する一定電流の値を小さく設定することができる。こうして、電流源回路の設定動作を速くすることができる。なお、発光トランジスタ886と電流源トランジスタ112の極性は同じとする必要がある。また、発光トランジスタ886と電流源トランジスタ112の電流特性は同じとすることが望ましい。これは、第5の構成を有する各電流源回路102において、発光トランジスタ886と電流源トランジスタ112の特性が揃っていない場合、出力電流にばらつきを生じるためである。
【0185】
なお、第5の構成の電流源回路では、制御電流が入力され、入力された制御電流を対応するゲート電圧に変換するトランジスタ(電流源トランジスタ112)も用いて、電流源回路102からの電流を出力している。一方、第1の構成の電流源回路では、制御電流が入力され、入力された制御電流を対応するゲート電圧に変換するトランジスタ(カレントトランジスタ)と、該ゲート電圧をドレイン電流に変換するトランジスタ(電流源トランジスタ)が全く別であった。よって、第1の構成よりは、トランジスタの電流特性ばらつきが電流源回路102の出力電流へ与える影響を低減することができる。
【0186】
なお、設定動作の際の期間TD1〜期間TD3において端子Bに電流を流す場合は、電流基準線SCL及び電流基準トランジスタ888は必要ない。
【0187】
第5の構成の電流源回路の各信号線は、共有することができる。例えば、電流入力トランジスタ883と電流保持トランジスタ884は、同じタイミングでオン・オフが切りかえられれば動作上問題無い。そのため、電流入力トランジスタ883と電流保持トランジスタ884の極性を同じとし、信号線GHと信号線GNを共有することができる。また、電流基準トランジスタ888と電流入力トランジスタ883は、同じタイミングでオン・オフが切りかえられれば動作上問題無い。そのため、電流基準トランジスタ888と電流入力トランジスタ883の極性を同じとし、信号線GNと信号線GCを共有することができる。
【0188】
次いで、上述した第1の構成乃至第5の構成の電流源回路を、特徴毎にもう少し大きな枠組みでまとめる。
【0189】
上述の5つの電流源回路は、大きく分けて、カレントミラー型の電流源回路と、同一トランジスタ型の電流源回路と、マルチゲート型の電流源回路に分類される。これらについて、以下に説明する。
【0190】
カレントミラー型の電流源回路としては、第1の構成の電流源回路が挙げられる。カレントミラー型の電流源回路において、発光素子に入力される信号は、画素に入力される制御電流を所定の倍率で増減した電流である。そのため、制御電流をある程度大きく設定することが可能となる。よって、各画素の電流源回路の設定動作を早く行うことが可能である。しかし、電流源回路の有するカレントミラー回路を構成する一対のトランジスタの電流特性が異なると、画像表示がばらつく問題がある。
【0191】
同一トランジスタ型の電流源回路としては、第2の構成及び第3の構成の電流源回路が挙げられる。同一トランジスタ型の電流源回路において、発光素子に入力される信号は、画素に入力される制御電流の電流値と等しい。ここで、同一トランジスタ型の電流源回路では、制御電流が入力されるトランジスタと、発光素子に電流を出力するトランジスタが同一である。そのため、トランジスタの電流特性のばらつきによる画像むらは低減される。
【0192】
マルチゲート型の電流源回路としては、第4の構成及び第5の構成の電流源回路が挙げられる。マルチゲート型の電流源回路において、発光素子に入力される信号は、画素に入力される制御電流を所定の倍率で増減した電流である。そのため、制御電流をある程度大きく設定することが可能となる。よって、各画素の電流源回路の設定動作を早く行うことが可能である。また、制御電流が入力されるトランジスタと、発光素子に電流を出力するトランジスタの一部を共有している。そのため、トランジスタの電流特性のばらつきによる画像むらは、カレントミラー型の電流源回路と比較して低減される。
【0193】
次いで、上述した3つの分類の電流源回路それぞれにおいて、その設定動作と、ペアとなるスイッチ部の動作との関連について説明する。
【0194】
カレントミラー型の電流源回路の場合の設定動作と、対応するスイッチ部の動作との関連を以下に示す。カレントミラー方式の電流源回路の場合、制御電流が入力されている間も、所定の一定電流を出力することができる。そのため、ペアとなるスイッチ部の動作と電流源回路の設定動作を同期させて行う必要がない。
【0195】
同一トランジスタ型の電流源回路の場合の設定動作と、対応するスイッチ部の動作との関連を以下に示す。同一トランジスタ型の電流源回路の場合、制御電流が入力される間は、一定電流を出力することができない。そのため、ペアとなるスイッチ部の動作と電流源回路の設定動作を同期させて行う必要が生じる。例えば、スイッチ部がオフの状態にのみ、電流源回路の設定動作を行うことが可能である。
【0196】
マルチゲート型の電流源回路の場合の設定動作と、対応するスイッチ部の動作との関連を以下に示す。マルチゲート型の電流源回路の場合、制御電流が入力される間は、一定電流を出力することができない。そのため、ペアとなるスイッチ部の動作と電流源回路の設定動作を同期させて行う必要が生じる。例えば、スイッチ部がオフの状態にのみ、電流源回路の設定動作を行うことが可能である。
【0197】
次いで、電流源回路の設定動作とペアとなるスイッチ部の動作とを同期させる場合に、時間階調方式と組み合わせる際の動作について詳細に説明する。
【0198】
ここでは、スイッチ部がオフ状態の場合のみ、電流源回路の設定動作を行う場合に注目する。なお、時間階調方式の詳細な説明については、実施の形態2に示した手法と同様であるので、ここでは説明は省略する。時間階調方式を用いる場合、スイッチ部が常にオフ状態となるのは非表示期間である。よって、非表示期間において、電流源回路の設定動作を行うことができる。
【0199】
非表示期間は、リセット期間において各画素行を順に選択することによって始まる。ここで、走査線を順に選択する周波数と同じ周波数で、各画素行の設定動作を行うことができる。例えば、図3に示した構成のスイッチ部を用いる場合に注目する。走査線Gや消去用信号線RGを順に選択する周波数と同じ周波数で、各画素行を選択し電流源回路の設定動作を行うことができる。
【0200】
ただし、1行分の選択期間の長さでは、電流源回路の設定動作を十分に行うことが難しい場合がある。そのときは、複数行分の選択期間を用いて、ゆっくりと電流源回路の設定動作を行ってもよい。ゆっくりと電流源回路の設定動作を行うとは、電流源回路が有する電流源容量に、所定の電荷を蓄積する動作を長い時間をかけてゆっくりと行うことを示すものとする。
【0201】
このように、複数行分の選択期間を用いて、且つ、リセット期間での消去用信号線RG等を選択する周波数と同じ周波数を用いて、各行を選択していくため、行をとびとびに選択していくことになる。よって、全ての行の画素の設定動作を行うためには、複数の非表示期間において設定動作を行う必要がある。
【0202】
次いで、上記手法を用いる際の表示装置の構成及び駆動方法について詳細に説明する。まず、複数本の走査線が選択される期間と同じ長さの期間を用いて、1行の画素の設定動作を行う駆動方法について説明する。説明には、図14を用いる。図では例として、10本の走査線が選択される期間に、1行の画素の設定動作を行うタイミングチャートを示した。
【0203】
図14(A)に、各フレーム期間における各行の動作を示す。なお、実施の形態2において図4で示したタイミングチャートと同じ部分は、同じ符号を用いて示し説明は省略する。ここでは、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間SF1〜SF3に分割した例を示した。なお、サブフレーム期間SF2及びSF3においてそれぞれ、非表示期間Tusが設けられる構成とする。非表示期間Tus中に、画素の設定動作が行われる(図中期間A及び期間B)。
【0204】
次いで、期間A及び期間Bの動作について、詳細に説明する。説明には、図14(B)を用いる。なお図中では、画素の設定動作を行う期間を、信号線GNが選択される期間で示した。一般に、i(iは自然数)行目の画素の信号線GNをGNiで示した。まず、第1のフレーム期間F1の期間Aにおいて、GN1、GN11、GN21、…ととびとびに選択される。こうして、1行目、11行目、21行目、…の画素の設定動作が行われる(期間1)。次いで、第1のフレーム期間F1の期間Bにおいて、GN2、GN12、GN22、…が選択される。こうして、2行目、12行目、22行目、…の画素の設定動作が行われる(期間2)。上記動作を5フレーム期間繰り返すことによって、全ての画素の設定動作が一通り行われる。
【0205】
ここで、1行の画素の設定動作に用いることができる期間をTcと表記する。上記駆動方法を用いる場合、Tcを走査線Gの選択期間の10倍に設定することが可能である。こうして、1画素あたりの設定動作に用いる時間を長くすることができる。また、効率良く、正確に、画素の設定動作を行うことができる。
【0206】
なお、一通りの設定動作では十分でない場合に、上記動作を複数回繰り返し、徐々に画素の設定動作を行っても良い。
【0207】
次いで、上記駆動方法を用いる際の駆動回路の構成について、図15を用いて説明する。なお、図15では信号線GNに信号を入力する駆動回路を示した。しかし、電流源回路が有するその他の信号線に入力される信号についても同様である。画素の設定動作を行うための駆動回路の構成例を2つ挙げる。
【0208】
第1の例は、シフトレジスタの出力を切り替え信号によって切り替え、信号線GNに出力する構成の駆動回路である。この駆動回路(設定動作用駆動回路)の構成の例を、図15(A)に示す。設定動作用駆動回路5801は、シフトレジスタ5802と、AND回路と、インバータ回路(INV)等によって構成される。なおここでは、シフトレジスタ5802のパルス出力期間の4倍の期間、1本の信号線GNを選択する構成の駆動回路を例に示した。
【0209】
設定動作用駆動回路5801の動作について説明する。シフトレジスタ5802の出力は、切り替え信号5803によって選択され、AND回路を介して信号線GNに出力される。
【0210】
第2の例は、シフトレジスタの出力により、特定の行を選択する信号をラッチする構成の駆動回路である。この駆動回路(設定動作用駆動回路)の構成の例を図15(B)に示す。設定動作用駆動回路5811は、シフトレジスタ5812と、ラッチ1回路5813と、ラッチ2回路5814とを有する。
【0211】
設定動作用駆動回路5811の動作について説明する。シフトレジスタ5812の出力により、ラッチ1回路5813は行選択信号5815を順に保持する。ここで、行選択信号5815は、シフトレジスタ5812の出力のうち任意の出力を選択する信号である。ラッチ1回路5813に保持された信号は、ラッチ信号5816によってラッチ2回路5814に転送される。こうして、特定の信号線GNに信号が入力される。
【0212】
なお、表示期間中であっても、カレントミラー型の電流源回路の場合は、設定動作を行うことができる。また、同一トランジスタ型の電流源回路やマルチゲート型の電流源回路でも、表示期間を一旦中断して、電流源回路の設定動作を行い、その後、表示期間を再開するような駆動方法を用いても良い。
【0213】
本実施の形態は、実施の形態1及び実施の形態2と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0214】
(実施の形態4)
本実施の形態では、各画素の構成と動作について説明する。なお、各画素が2つのペアを有する場合を例にする。そして、2つのペアの2つの電流源回路の構成を、実施の形態3に示した5つの電流源回路の構成から選択し組み合わせる場合を例に説明する。
【0215】
第1の組み合わせ例を示す。第1の組み合わせ例では、画素が有する2つの電流源回路(第1の電流源回路と第2の電流源回路)はどちらも、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路である。なお、これら電流源回路の構成は、実施の形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0216】
図16に、第1の組み合わせ例の画素の構成を示す。なお、図16において図10(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、第1の電流源回路に対応する部分は図10(A)の符号の後にaを付けて示し、第2の電流源回路に対応する部分は図10(A)の符号の後にbを付けて示した。また、それぞれのペアのスイッチ部(第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部)の構成は、実施の形態2を参照し、ここでは説明は省略する。
【0217】
ここで、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで、配線や素子を共有することができる。例えば、信号線GNaと信号線GNbを共有することができる。また、信号線GHaと信号線GHbを共有することができる。さらに、信号線GSaと信号線GSbを共有することができる。この構成を図17(A)に示す。または、電流線CLaと電流線CLbを共有することができる。この構成を図17(B)に示す。なお、図17(A)、図17(B)の構成は自由に組み合わせることができる。
【0218】
電流源回路102aと102bそれぞれの設定の仕方は、実施の形態3と同様である。電流源回路102aと102bは、同一トランジスタ型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期して行うことが望ましい。また、電流停止トランジスタ205a、205bは、駆動方法によっては無くても良い。
【0219】
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0220】
(実施の形態5)
本実施の形態では、各画素の構成と動作について説明する。なお、各画素が2つのペアを有する場合を例にする。そして、2つのペアの2つの電流源回路の構成を、実施の形態3に示した5つの電流源回路の構成から選択し組み合わせる場合を例に説明する。
【0221】
なお、実施の形態4に示した第1の組み合わせ例とは異なる、第2の組み合わせ例について説明する。第2の組み合わせ例では、画素が有する2つの電流源回路のうちの1つ(第1の電流源回路)は、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路である。もう1つの電流源回路(第2の電流源回路)は、図9(A)に示した第1の構成の電流源回路である。なお、これら電流源回路の構成は、実施の形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0222】
図18に、第2の組み合わせ例の画素の構成を示す。なお、図18において図10(A)及び図9(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、第1の電流源回路に対応する部分は、図10(A)の符号の後にaを付けて示した。また、第2の電流源回路に対応する部分は、図9(A)の符号の後にbを付けて示した。また、それぞれのペアのスイッチ部(第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部)の構成は、実施の形態2を参照することができるので、ここでは説明は省略する。
【0223】
ここで、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで、配線や素子を共有することができる。また、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで電流源容量111を共有することができる。この構成を、図40に示す。なお、図18と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、異なる画素間で、カレントトランジスタ1405bを共有することも可能である。
【0224】
また、信号線を共有することができる。例えば、信号線GNaと信号線GNbを共有することができる。また、信号線GHaと信号線GHbを共有することができる。この構成を図19(A)に示す。または、電流線CLaと電流線CLbを共有することができる。この構成を図19(B)に示す。また、電流線CLaの代わりに、信号線Sbを用いることができる。この構成を図19(C)に示す。なお、図40、図19(A)〜図19(C)の構成は自由に組み合わせることができる。
【0225】
電流源回路102aと102bそれぞれの設定の仕方は、実施の形態3と同様である。電流源回路102aは、同一トランジスタ型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。また、電流停止トランジスタ205は、駆動方法によっては無くても良い。一方、電流源回路102bは、カレントミラー型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と非同期で行うことができる。
【0226】
本実施の形態の画素構成において、各画素の同一トランジスタ型の電流源回路、及びカレントミラー型の電流源回路それぞれが出力する電流の電流値を異ならせる場合、同一トランジスタ型の電流源回路の出力電流の電流値をカレントミラー型の電流源回路の出力電流の電流値と比較して、大きく設定するのが望ましい。その理由を以下に説明する。
【0227】
実施の形態3において説明したように、同一トランジスタ型の電流源回路では出力電流との電流値の等しい制御電流を入力する必要があるが、カレントミラー型の電流源回路では出力電流の電流値に対して大きい電流値の制御電流を入力することが可能である。大きい電流値の制御電流を用いることによって、速く、また、ノイズの影響等を受けにくいため正確に、電流源回路の設定動作が可能である。そのため、仮に同じ電流値の出力電流を設定した場合、カレントミラー型の電流源回路よりも同一トランジスタ型の電流源回路の方が、電流源回路の設定動作が遅くなる。そこで、同一トランジスタ型の電流源回路では、カレントミラー型の電流源回路よりも出力電流の電流値を大きくして、制御電流の電流値を大きくし、速く且つ正確に電流源回路の設定動作をすることが望ましい。
【0228】
また実施の形態3において説明したように、カレントミラー型の電流源回路は、同一トランジスタ型の電流源回路と比較して、出力電流のばらつきが大きい。電流源回路の出力電流は、その電流値が大きいほど、ばらつきの影響が大きく現れる。そのため、仮に同じ電流値の出力電流を設定した場合、同一トランジスタ型の電流源回路よりもカレントミラー型の電流源回路の方が、出力電流のばらつきが大きくなる。そこで、カレントミラー型の電流源回路では、同一トランジスタ型の電流源回路よりも出力電流の電流値を小さくして、出力電流のばらつきを小さくすることが望ましい。
【0229】
以上により、本実施の形態の画素構成において、各画素の同一トランジスタ型の電流源回路、及びカレントミラー型の電流源回路それぞれが出力する電流の電流値を異ならせる場合、同一トランジスタ型の電流源回路の出力電流の電流値をカレントミラー型の電流源回路の出力電流の電流値と比較して、大きく設定するのが望ましい。
【0230】
また、図40の画素構成を用いる場合は、電流源回路102aの出力電流は、電流源回路102bの出力電流よりも大きく設定するのが望ましい。こうして、設定動作を行う電流源回路102aの出力電流を大きくして、速く設定動作を行うことができる。また、制御電流が入力されるトランジスタと異なるトランジスタ112bのドレイン電流を出力電流とする電流源回路102bでは、出力電流を小さく設定することによってばらつきの影響を小さくすることができる。
【0231】
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0232】
(実施の形態6)
本実施の形態では、各画素の構成と動作について説明する。なお、各画素が2つのペアを有する場合を例にする。そして、2つのペアの2つの電流源回路の構成を、実施の形態3に示した5つの電流源回路の構成から選択し組み合わせる場合を例に説明する。
【0233】
なお、実施の形態4及び実施の形態5に示した第1の組み合わせ例及び第2の組み合わせ例とは異なる、第3の組み合わせ例について説明する。第3の組み合わせ例では、画素が有する2つの電流源回路のうちの1つ(第1の電流源回路)は、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路である。もう1つの電流源回路(第2の電流源回路)は、図11(A)に示した第3の構成の電流源回路である。なお、これら電流源回路の構成は、実施の形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0234】
図20に、第3の組み合わせ例の画素の構成を示す。なお、図20において図10(A)及び図11(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、第1の電流源回路に対応する部分は、図10(A)の符号の後にaを付けて示し、第2の電流源回路に対応する部分は、図11(A)の符号の後にbを付けて示した。また、それぞれのペアのスイッチ部(第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部)の構成は、実施の形態2を参照することができるので、ここでは説明は省略する。
【0235】
ここで、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで、配線や素子を共有することができる。また第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで電流源容量を共有することができる。この構成は、図40と同じとすることができる。なお、図20と同じ部分は同じ符号を用いて示す。また、信号線を共有することができる。例えば、信号線GNaと信号線GNbを共有することができる。また、信号線GHaと信号線GHbを共有することができる。さらに、信号線GSaと信号線GEbを共有することができる。この構成を図21(A)に示す。または、電流線CLaと電流線CLbを共有することができる。この構成を図21(B)に示す。なお、図40、図21(A)、図21(B)の構成は自由に組み合わせることができる。
【0236】
電流源回路102aと102bそれぞれの設定の仕方は、実施の形態3と同様である。電流源回路102a及び電流源回路102bは、同一トランジスタ型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。また、電流停止トランジスタ205aは、駆動方法によっては無くても良い。
【0237】
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0238】
(実施の形態7)
本実施の形態では、各画素の構成と動作について説明する。なお、各画素が2つのペアを有する場合を例にする。そして、2つのペアの2つの電流源回路の構成を、実施の形態3に示した5つの電流源回路の構成から選択し組み合わせる場合を例に説明する。
【0239】
なお、実施の形態4乃至実施の形態6に示した第1の組み合わせ例乃至第3の組み合わせ例とは異なる、第4の組み合わせ例について説明する。第4の組み合わせ例では、画素が有する2つの電流源回路のうちの1つ(第1の電流源回路)は、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路である。もう1つの電流源回路(第2の電流源回路)は、図12(A)に示した第4の構成の電流源回路である。なお、これら電流源回路の構成は、実施の形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0240】
図22に、第4の組み合わせ例の画素の構成を示す。なお、図22において図10(A)及び図12(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、第1の電流源回路に対応する部分は、図10(A)の符号の後にaを付けて示し、第2の電流源回路に対応する部分は、図12(A)の符号の後にbを付けて示した。また、それぞれのペアのスイッチ部(第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部)の構成は、実施の形態2を参照することができるので、ここでは説明は省略する。
【0241】
ここで、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで、配線や素子を共有することができる。例えば、信号線を共有することができる。例えば、信号線GNaと信号線GNbを共有することができる。また、信号線GHaと信号線GHbを共有することができる。この構成を図23(A)に示す。または、電流線CLaと電流線CLbを共有することができる。この構成を図23(B)に示す。また、電流線CLaの代わりに、信号線Saを用いることができる。この構成を図23(C)に示す。なお、図23(A)〜図23(C)の構成は自由に組み合わせることができる。
【0242】
電流源回路102aと102bそれぞれの設定の仕方は、実施の形態3と同様である。電流源回路102aは、同一トランジスタ型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。また、電流源回路102bは、マルチゲート型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。また、電流停止トランジスタ205aは、駆動方法によっては無くても良い。
【0243】
本実施の形態の画素構成において、各画素の同一トランジスタ型の電流源回路、及びマルチゲート型の電流源回路それぞれが出力する電流の電流値を異ならせる場合、同一トランジスタ型の電流源回路の出力電流の電流値をマルチゲート型の電流源回路の出力電流の電流値と比較して、大きく設定するのが望ましい。その理由を以下に説明する。
【0244】
実施の形態3において説明したように、同一トランジスタ型の電流源回路では出力電流との電流値の等しい制御電流を入力する必要があるが、マルチゲート型の電流源回路では出力電流の電流値に対して大きい電流値の制御電流を入力することが可能である。大きい電流値の制御電流を用いることによって、速く、また、ノイズの影響等を受けにくいため正確に、電流源回路の設定動作が可能である。そのため、仮に同じ電流値の出力電流を設定した場合、マルチゲート型の電流源回路よりも同一トランジスタ型の電流源回路の方が、電流源回路の設定動作が遅くなる。そこで、同一トランジスタ型の電流源回路では、マルチゲート型の電流源回路よりも出力電流の電流値を大きくして、制御電流の電流値を大きくし、速く且つ正確に電流源回路の設定動作をすることが望ましい。
【0245】
また実施の形態3において説明したように、マルチゲート型の電流源回路は、同一トランジスタ型の電流源回路と比較して、出力電流のばらつきが大きい。電流源回路の出力電流は、その電流値が大きいほど、ばらつきの影響が大きく現れる。そのため、仮に同じ電流値の出力電流を設定した場合、同一トランジスタ型の電流源回路よりもマルチゲート型の電流源回路の方が、出力電流のばらつきが大きくなる。そこで、マルチゲート型の電流源回路では、同一トランジスタ型の電流源回路よりも出力電流の電流値を小さくして、出力電流のばらつきを小さくすることが望ましい。
【0246】
以上により、本実施の形態の画素構成において、各画素の同一トランジスタ型の電流源回路、及びマルチゲート型の電流源回路それぞれが出力する電流の電流値を異ならせる場合、同一トランジスタ型の電流源回路の出力電流の電流値をマルチゲート型の電流源回路の出力電流の電流値と比較して、大きく設定するのが望ましい。
【0247】
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0248】
(実施の形態8)
本実施の形態では、各画素の構成と動作について説明する。なお、各画素が2つのペアを有する場合を例にする。そして、2つのペアの2つの電流源回路の構成を、実施の形態3に示した5つの電流源回路の構成から選択し組み合わせる場合を例に説明する。
【0249】
なお、実施の形態4乃至実施の形態7に示した第1の組み合わせ例乃至第4の組み合わせ例とは異なる、第5の組み合わせ例について説明する。第5の組み合わせ例では、画素が有する2つの電流源回路のうちの1つ(第1の電流源回路)は、図10(A)に示した第2の構成の電流源回路である。もう1つの電流源回路(第2の電流源回路)は、図13(A)に示した第5の構成の電流源回路である。なお、これら電流源回路の構成は、実施の形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0250】
図24に、第5の組み合わせ例の画素の構成を示す。なお、図24において図10(A)及び図13(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示す。なお、第1の電流源回路に対応する部分は、図10(A)の符号の後にaを付けて示した。また、第2の電流源回路に対応する部分は、図13(A)の符号の後にbを付けて示した。また、それぞれのペアのスイッチ部(第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部)の構成は、実施の形態2を参照することができるので、ここでは説明は省略する。
【0251】
ここで、第1の電流源回路102aと第2の電流源回路102bで、配線や素子を共有することができる。例えば、信号線を共有することができる。例えば、信号線GNaと信号線GNbを共有することができる。また、信号線GHaと信号線GHbを共有することができる。この構成を図25(A)に示す。または、電流線CLaと電流線CLbを共有することができる。この構成を図25(B)に示す。なお、図25(A)、図25(B)の構成は自由に組み合わせることができる。
【0252】
電流源回路102aと102bそれぞれの設定の仕方は、実施の形態3と同様である。電流源回路102aは、同一トランジスタ型の電流源回路である。よって、その設定動作は、スイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。電流源回路102bは、マルチゲート型の電流源回路である。よって、その設定動作はスイッチ部の動作と同期させて行うことが望ましい。また、電流停止トランジスタ205aは、駆動方法によっては無くても良い。
【0253】
本実施の形態の画素構成において、各画素の同一トランジスタ型の電流源回路、及びマルチゲート型の電流源回路それぞれが出力する電流の電流値を異ならせる場合、同一トランジスタ型の電流源回路の出力電流の電流値をマルチゲート型の電流源回路の出力電流の電流値と比較して、大きく設定するのが望ましい。その理由は実施の形態7と同様であるので、説明は省略する。
【0254】
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0255】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の画素構成において、時間階調方式と組み合わせて階調を表現する場合の具体例を4つ示す。なお時間階調方式に関する基本的な説明は、実施の形態2で行ったのでここでは説明は省略する。本実施の形態では、64階調を表現する場合を例示する。
【0256】
第1の例を示す。各画素の有する複数の電流源回路の出力電流を適当に定めることによって、発光素子に流れる電流の電流値(I)を1:2の比に変化させる。このとき、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間に分割し、各サブフレーム期間の表示期間の長さ(T)の比が1:4:16となるように設定する。こうして表1に示すように、発光素子に流れる電流(電流Iと表記)と表示期間の長さ(期間Tと表記)の組み合わせによって、64階調を表現することができる。
【0257】
【表1】
【0258】
第2の例を示す。各画素の有する複数の電流源回路の出力電流を適当に定めることによって、発光素子に流れる電流の電流値(I)を1:4の比に変化させる。このとき、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間に分割し、各サブフレーム期間の表示期間の長さ(T)の比が1:2:16となるように設定する。こうして、表2に示すように、発光素子に流れる電流Iと期間Tの組み合わせによって、64階調を表現することができる。
【0259】
【表2】
【0260】
第3の例を示す。各画素の有する複数の電流源回路の出力電流を適当に定めることによって、発光素子に流れる電流の電流値(I)を1:2:4の比に変化させる。このとき、1フレーム期間を2つのサブフレーム期間に分割し、各サブフレーム期間の表示期間の長さ(T)の比が1:8となるように設定する。こうして、表3に示すように、発光素子に流れる電流Iと期間Tの組み合わせによって、64階調を表現することができる。
【表3】
【0261】
第4の例を示す。各画素の有する複数の電流源回路の出力電流を適当に定めることによって、発光素子に流れる電流の電流値(I)を1:4:16の比に変化させる。このとき、1フレーム期間を2つのサブフレーム期間に分割し、各サブフレーム期間の表示期間の長さ(T)の比が1:2となるように設定する。こうして、表4に示すように、発光素子に流れる電流Iと期間Tの組み合わせによって、64階調を表現することができる。
【0262】
【表4】
【0263】
なお、本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態8と自由に組み合わせて実施することができる。
【0264】
(実施の形態10)
実施の形態1〜実施の形態9では、各画素が、電流源回路とスイッチ部のペアを複数有する構成を示した。しかし、各画素が電流源回路とスイッチ部のペアを1つだけ有する構成としてもよい。
【0265】
各画素にペアが1つの場合は、2階調が表現できる。なお、他の階調表示方法と組み合わせることによって多階調化も可能である。例えば、時間階調方式と組み合わせて階調表示を行うことも可能である。
【0266】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態9と自由に組み合わせて実施することができる。
【0267】
(実施の形態11)
各画素が、3つ以上の電流源回路を有する構成としてもよい。例えば、実施の形態4〜実施の形態8に示した、第1の組み合わせ例〜第5の組み合わせ例において、実施の形態3で示した5つの構成の電流源回路のうち任意の回路を追加することができる。
【0268】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態10と自由に組み合わせて実施することができる。
【0269】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の表示装置において、各画素に制御電流を入力する駆動回路の構成について説明する。
【0270】
各画素に入力する制御電流がばらつくと、各画素の電流源回路が出力する電流の電流値もばらついてしまう。そのため、各電流線にほぼ一定の制御電流を出力する構成の駆動回路が必要となる。そのような駆動回路の例を以下に示す。
【0271】
例えば、特願2001―333462号、特願2001―333466号、特願2001―333470号、特願2001―335917号または特願2001―335918号に示す構成の信号線駆動回路を用いることができる。つまり、該信号線駆動回路の出力電流を制御電流として各画素に入力することができる。
【0272】
本発明の表示装置において、上記の信号線駆動回路を適用することによって、各画素にほぼ一定の制御電流を入力することができる。こうして、画像の輝度のばらつきを更に低減することが可能である。
【0273】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態11と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0274】
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明を応用した表示システムについて説明する。
【0275】
ここで表示システムとは、表示装置に入力される映像信号を記憶するメモリや、表示装置の各駆動回路に入力する制御信号(クロックパルス、スタートパルス等)を出力する回路、それらを制御するコントローラ等を含むものとする。
【0276】
表示システムの例を図41に示す。表示システムは、表示装置の他に、A/D変換回路、メモリ選択スイッチA、メモリ選択スイッチB、フレームメモリ1、フレームメモリ2、コントローラ、クロック信号発生回路、電源発生回路を有する。
【0277】
表示システムの動作について説明する。A/D変換回路は、表示システムに入力された映像信号をデジタルの映像信号に変換する。フレームメモリAまたはフレームメモリBは、該デジタルの映像信号が記憶される。ここで、フレームメモリAまたはフレームメモリBを期間毎(1フレーム期間毎、サブフレーム期間毎)に使い分けることによって、メモリへの信号の書き込み及びメモリからの信号の読み出しに余裕を持たせることができる。フレームメモリAまたはフレームメモリBの使い分けは、コントローラによってメモリ選択スイッチA及びメモリ選択スイッチBを切りかえることによって行われる。また、クロック発生回路はコントローラからの信号によってクロック信号等を発生させる。電源発生回路はコントローラからの信号によって、所定の電源を発生させる。メモリから読み出された信号、クロック信号、電源等は、FPCを介して表示装置に入力される。
【0278】
なお、本発明を応用した表示システムは、図41に示した構成に限定されない。公知のあらゆる構成の表示システムにおいて、本発明を応用することができる。
【0279】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態12と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0280】
(実施の形態14)
本発明は、様々な電子機器に適用することができる。つまり、様々な電子機器が有する画像表示を行う部分(表示部)に本発明の構成要素を適用することができる。
【0281】
本発明の電子機器の一例として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)等が挙げられる。
【0282】
なお、上記電子機器に限定されず様々な電子機器に本発明を適用することが可能である。
【0283】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態13と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0284】
(実施の形態15)
本発明の表示装置では、電流源トランジスタは飽和領域で動作する。そこで、本実施の形態では、表示装置の消費電力を抑えることができ、なおかつ電流源トランジスタの飽和領域における動作の線形性を保つことができる、電流源トランジスタのチャネル長の最適な範囲について説明する。
【0285】
本発明の表示装置の有する電流源トランジスタは、飽和領域で動作し、そのドレイン電流Idは以下の式1で表される。なお、Vgsをゲート電圧、μを移動度、C0を単位面積あたりのゲート容量、Wをチャネル幅、Lをチャネル長、Vthを閾値、ドレイン電流をIdとする。
【0286】
【式1】
Id=μC0W/L(Vgs−Vth)2/2
【0287】
式1から、μ、C0、Vth、Wの値が固定されている場合、IdがVdsの値に依存せずに、LとVgsの値で定まることがわかる。
【0288】
ところで、消費電力は電流と電圧の積に相当する。またIdは発光素子の輝度に比例するので、輝度が定まるとIdの値は固定される。よって消費電力の低減を考慮した場合、|Vgs|は低い方が望ましく、したがってLは小さい値が望ましいことがわかる。
【0289】
しかしLの値が小さくなると、アーリー効果またはキンク効果により徐々に飽和領域の線形性が保たれなくなる。つまり、電流源トランジスタの動作が上記式1に従わなくなり、Idの値が次第にVdsに依存するようになる。Vdsの値は発光素子の劣化によるVELの減少に伴って増加するため、連鎖的にIdの値が発光素子の劣化に左右されやすくなる。
【0290】
つまりLの値は、飽和領域の線形性を考慮すると小さすぎるのは望ましくなく、かといって大きすぎると消費電力を抑えることができない。Lの値は、飽和領域の線形性が保たれる範囲内でより小さくするのが最も好ましい。
【0291】
図42に、W=4μm、Vds=10Vのときの、Pチャネル型TFTにおけるLとΔIdの関係を示す。ΔIdはIdをLで微分した値であり、Lに対するIdの傾きに相当する。よってΔIdの値が小さいほど飽和領域におけるIdの線形性が保たれることを意味する。そして図42に示すように、Lを大きくしていくと、Lが100μm程度からΔIdの値が飛躍的に小さくなっているのがわかる。よって飽和領域の線形性を保つためには、Lが100μm程度かそれより大きい値が望ましいことがわかる。
【0292】
そして消費電力を考慮するとLは小さい方がより望ましいので、両方の条件を満たすために、Lは100±10μmとするのが最も望ましい。つまりLの範囲を90μm≦L≦110μmとすることで、電流源トランジスタを有する表示装置の消費電力を抑えなおかつ電流源トランジスタの飽和領域における線形性を保つことができる。
【0293】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態14と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0294】
(実施の形態16)
本実施の形態では、課題を解決する手段において述べた輝度ばらつきを更に低減する駆動方法、即ち、同じ階調を表現する際に、同じ出力電流に設定された複数の電流源回路を使い分ける駆動方法を用いる画素の構成例を示す。
【0295】
本実施の形態で示す画素は、電流源回路を複数有し、当該複数の電流源回路とペアになるスイッチ部を共有した構成である。各画素に1つのデジタルの映像信号を入力し、複数の電流源回路を選択的に用いて画像表示を行う。こうして、各画素の有する素子の数を減らし、開口率を増大させることができる。なお、スイッチ部を共有した複数の電流源回路は、互いに同じ一定の電流を出力するように設定される。そして、同じ階調を表現する際に、同じ一定の電流を出力する電流源回路を使い分ける。このようにすれば、仮に電流源回路の出力電流がばらついても、発光素子に流れる電流は時間的に平均化される。そのため、各画素間の電流源回路の出力電流のばらつきによる輝度のばらつきを視覚的に低減することができる。
【0296】
図43に、本実施の形態の画素の構成を示す。なお、図7や図8と同じ部分は、同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
【0297】
図43(A)は、電流源回路に対応するスイッチ部101a、101bにおいて、選択トランジスタ301を共有した構成である。また、図43(B)は、電流源回路102a、102bに対応するスイッチ部101a、101bにおいて、選択トランジスタ301及び駆動トランジスタ302を共有した構成である。なお、図43では図示しないが、実施の形態2で示したような消去トランジスタ304を設けてもよい。画素中での消去トランジスタ304の接続の仕方は、実施の形態2と同様にすることができる。
【0298】
電流源回路102a、102bとして、実施の形態3に示した第1の構成乃至第5の構成の電流源回路を自由に適用することができる。ただし、本実施の形態のように複数の電流源回路とペアになるスイッチ部を共有した構成では、電流源回路102a、102b自体それぞれに、端子A・端子B間の導通・非導通を選択する機能が必要である。その理由は、複数の電流源回路に対して1つ配置されたスイッチ部によって、複数の電流源回路102a、102bの中から発光素子に電流を供給する電流源回路を選択することはできないからである。
【0299】
例えば、実施の形態3において図10、図11、図12、図13等に示した第2の構成乃至第5の構成の電流源回路は、電流源回路102自体に端子A・端子B間の導通・非導通を選択する機能がある。即ち、このような構成の電流源回路では、電流源回路の設定動作の際には端子A・端子B間を非導通とし、画像表示を行う際には端子A・端子B間を導通とすることができる。一方、実施の形態3において、図9等に示した第1の構成の電流源回路は、電流源回路102自体に端子A・端子B間の導通・非導通を選択する機能は無い。即ち、このような構成に電流源回路では、電流源回路の設定動作の際にも画像表示を行う際にも、端子A・端子B間は導通状態である。よって、図43に示したような本実施の形態の画素の電流源回路として、図9に示したような構成の電流源回路を用いる場合、デジタルの映像信号とは別の信号によって、各電流源回路の端子A・端子B間の導通・非導通を制御する手段を設ける必要がある。
【0300】
本実施の形態の構成の画素では、スイッチ部を共有した複数の電流源回路のうち、1つの電流源回路の設定動作をしている間に、別の電流源回路を用いて表示動作を行うことができる。そのため、本実施の形態の画素構成であれば、電流源回路の設定動作と電流出力とを同時に行うことができない第2の構成乃至第5の構成の電流源回路を用いる場合も、電流源回路の設定動作と表示動作とを同時に行うことができる。
【0301】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態15と自由に組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態17)
本実施の形態では、実施の形態4において図10(A)に示した構成の画素において、図3に示したスイッチ部の構成を適用した例を示す。
【0302】
本実施の形態の画素構成を図44(A)に示す。なお、図3、図10(A)と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。また、図44(A)において、発光素子の陽極と陰極を入れかえた構成の画素を図44(B)に示す。
【0303】
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態16と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0304】
【発明の効果】
本発明の表示装置では、画像表示を行う際に発光素子を流れる電流は所定の一定電流に保たれるため、発光素子を劣化等による電流特性の変化によらず一定の輝度で発光させることが可能である。また、デジタルの映像信号でスイッチ部のオン・オフ状態を選択することによって、各画素の各発光状態または非発光状態を選択する。そのため、画素への映像信号の書き込みを速くすることができる。更に、映像信号により非発光状態が選択された画素においては、スイッチ部によって発光素子に入力される電流は完全に遮断されるので、正確な階調表現が可能である。
【0305】
従来の電流書き込み型アナログ方式の画素構成では、画素に入力する電流を輝度に応じて小さくする必要があった。そのため、ノイズの影響が大きいという問題があった。一方、本発明の表示装置の画素構成では、電流源回路を流れる一定電流の電流値をある程度大きく設定すれば、ノイズの影響を低減することができる。
【0306】
また、発光素子を、劣化等による電流特性の変化によらず一定の輝度で発光させることが可能で、且つ、各画素への信号の書き込み速度が速く、正確な階調が表現可能で、また、低コストで、小型化可能な表示装置及びその駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の画素の構成を示す模式図。
【図2】本発明の表示装置の画素の構成を示す模式図。
【図3】本発明の表示装置の画素のスイッチ部の構成を示す図。
【図4】本発明の表示装置の駆動方法を示す図。
【図5】本発明の表示装置の画素のスイッチ部の構成を示す図。
【図6】本発明の表示装置の画素のスイッチ部の構成及び駆動方法を示す図。
【図7】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図8】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図9】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成及び駆動方法を示す図。
【図10】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成及び駆動方法を示す図。
【図11】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成及び駆動方法を示す図。
【図12】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成及び駆動方法を示す図。
【図13】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成及び駆動方法を示す図。
【図14】本発明の表示装置の駆動方法を示す図。
【図15】本発明の表示装置の駆動回路の構成を示す図。
【図16】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図17】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図18】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図19】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図20】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図21】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図22】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図23】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図24】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図25】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図26】従来の表示装置の画素の構成を示す図。
【図27】従来の表示装置の駆動TFTの動作領域を示す図。
【図28】従来の表示装置の画素の構成を示す図。
【図29】従来の表示装置の画素の動作を示す図。
【図30】従来の表示装置の画素の構成及び動作を示す図。
【図31】従来の表示装置の駆動TFTの動作領域を示す図。
【図32】従来の表示装置の駆動TFTの動作領域を示す図。
【図33】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図34】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図35】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図36】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図37】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図38】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図39】本発明の表示装置の画素の電流源回路の構成を示す図。
【図40】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図41】本発明の表示システムの構成を示す模式図。
【図42】チャネル長LとΔIdの関係を示すグラフ。
【図43】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
【図44】本発明の表示装置の画素の構成を示す図。
Claims (9)
- 制御電流が供給され、前記制御電流に対応した一定電流を出力電流とする複数の電流源回路と、デジタルの映像信号によって、前記複数の電流源回路各々から発光素子への前記出力電流の入力を選択する複数のスイッチ部とを有する画素を含み、
前記複数の電流源回路各々に、個別に前記制御電流を供給することを特徴とする表示装置。 - 請求項1において、
前記複数の電流源回路各々の前記出力電流の電流値は、互いに異なる値に設定されていることを特徴とする表示装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記複数の電流源回路各々に入力される前記制御電流の電流値は、互いに異なる値に設定されていることを特徴とする表示装置。 - 発光素子と、複数の電流源回路と、複数のスイッチ部とを有する画素を含み、
前記複数の電流源回路各々に個別に制御電流を供給する第1の動作と、
前記複数の電流源回路各々は、前記制御電流に対応した一定電流を出力電流とし、前記複数のスイッチ部各々は、デジタルの映像信号によって、前記複数の電流源回路各々から前記発光素子への前記出力電流の入力を選択する第2の動作とを有することを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 請求項4において、
前記第1の動作と前記第2の動作は、同期して行われることを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 請求項4において、
前記第1の動作は、前記第2の動作が行われていないときに行われることを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 請求項4乃至請求項6のいずれか一項において、
前記複数の電流源回路各々において、入力される前記制御電流と前記出力電流とは、電流値が等しいことを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 請求項4乃至請求項7のいずれか一項において、
前記複数の電流源回路各々の前記出力電流の電流値は、互いに異なる値に設定されていることを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 請求項4乃至請求項8のいずれか一項において、
前記複数の電流源回路に入力される前記制御電流の電流値は、互いに異なる値に設定されていることを特徴とする表示装置の駆動方法。
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