JP3799384B2 - 競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置に関し、更に詳しくは競艇場の水面に設けられている消波装置の水面下部分に付着した牡蠣、藤壷、昆布等の水性動植物により重量が増加して沈下した場合、排水ポンプを介して沈下した分だけ排水して浮力を復元、調整する競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
競艇場に於いては、競走水面に300mの間隔で設けられた1番と2番のターン・マークを6隻のレース艇が楕円形を描きながら1周約35秒で3周回一斉に航走し、直線区間では最高速度約80〜83km/hの高速度で航走して競走する。
【0003】
これらレース艇が同士が航走中衝突してバランスを失い転覆する事故もあり、又、航走により造波する引き波の外に、風等の自然条件により発生する波が岸壁、その他の競艇場内の機器に衝突し、跳ね返って来た返し波と干渉して大きな波となり、この大きな波が高速で航走するレース艇の航走の障害となり、各レース艇の転覆の原因となる場合もある。
【0004】
前述の通り、各レース艇は、約80〜83km/hの高速度で航走するから、コーナ部のターンの際各レース艇は横滑りして岸壁、ポール、塔、その他の機器に衝突したり、又、バランスを失ってレース艇から投出された選手は、岸壁或いはこれらの機器に衝突して負傷し、最悪の場合はレース艇のバウが他の艇の選手の身体に衝突して死亡事故に至る事がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
)
そこで競艇場の競走水面には公知の消波装置が設けられているが、それには次の様な諸欠陥が生じた。
(1)競艇場水面に浮遊状態で設けられている消波装置は、長さ4m、幅2m、高さ1.5mで約200Kgの重量を有し、その底面やその他の水面下部には、水中で成育する牡蠣、藤壷、昆布等の水性動植物が付着し易く、特に牡蠣や藤壷の死骸に次々に新たな牡蠣、藤壷、海草等が付着するから該消波装置の重量が増加し、水面(W.L.)より約10cm以上も水没するので消波効果が著しく減少し、大きな波の消波が出来なくなる。
【0006】
(2)その結果、該消波装置の牡蠣、藤壷、海草等の除去作業が必要であり、少なくとも1年に1回はその除去作業を実施する必要がある。
【0007】
(3)そのため、該消波装置の連結部を外し、水面上を所要箇所まで曳航して陸揚げし、牡蠣、藤壷、海草等の死骸や、生きた牡蠣、藤壷、海草等の人海戦術による除去作業(特に牡蠣落し作業)を実施し、組立後水面に戻し、再び元の水面迄曳航して該消波装置同士を連結、固定するが、陸揚げ器材と多数の人員を必要とし、その労力、費用等の著しい増加が避けられなかった。
【0008】
(4)しかし、この牡蠣、藤壷、海草等の除去作業は、水上で実施するものであるから天候の影響を受けやすく、しかも、競艇の非開催日を選んで実施するので作業日数も極めて制限される。
従って、前述の通り、多数の熟練労働者、例えば漁師、引退した漁師等を動員して実施している状態であるから所要水上作業人員の確保が容易でない。
【0009】
(5)又、該消波装置から取除いた牡蠣、藤壷の死骸や、生きた牡蠣、藤壷、海草等は、相当の悪臭を発するから、一般の産業廃棄物として廃棄処分出来ず、埋立地に投棄せざるを得ないので、廃棄箇所が極めて制限されており、その廃棄場所の確保に苦慮している状態である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
しかし、この発明者は、牡蠣、藤壷等は、ある程度該消波装置に付着するとそれ以上付着しないことを発見し、牡蠣、藤壷等の付着により該消波装置の重量が増加して全体が水面(W.L.)に対する所要深度より沈下した場合、排水ポンプを介して沈下した分だけ排水して浮力を調整(装置を浮かせ)し、該消波装置の低下した消波効果を復元、増大するものである。
【0011】
この発明は、前述の消波装置の牡蠣、藤壺等の付着により沈下する欠陥を除去するものであり、その第1要旨は、断面三角形競走水面側消波体と断面三角形岸壁側消波体とを連結金具を介し連結してU字形消波空間を形成した一対の消波本体を長手方向に所要個数接続し、該競走水面側消波体の表面板を乗越えて来た波を該U字形消波空間内に落下させて巻込みながら消波させる消波装置に於いて、所要容積を有し、その天板の所要個所にドレイン孔を、側板の所要個所に蓋を有する給水孔を夫々穿設した浮力調整用の複数個の水タンクを該連結金具の下面に一体に設けて成り、排水ポンプを介して該消波装置が沈下した分だけ排水して浮力を調整する競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置である。
【0012】
その第2要旨は、浮力調整用水タンクをU字形消波空間の長手方向に長方形水タンクとし、該長方形水タンクの該天板の所要個所に浮力調整用のドレイン孔を、側板の所要個所に蓋を有する給水孔を夫々穿設し、該長方形水タンク内の長手方向所要個所にバルク・ヘッドを設け、該バルク・ヘッドの下部で底板に接して通水孔を設けて成る競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置である。
【0013】
その第3要旨は、浮力調整用水タンクをU字形消波空間の垂直方向に上下動自在として成る競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明に係る消波装置の浮力調整装置の形態を競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置について説明する。
【0015】
【実施例】
特許請求の範囲の各請求項記載の発明の実施例を図面について説明する。図1〜5に於いて、消波装置Aは、共にガラス繊維強化プラスッチック製断面三角形競走水面側消波体Bと断面三角形岸壁側消波体Cとを連結金具Dを介して連結してU字形消波空間Eを形成した一対の該消波体B、CをC形鋼12、12を介して長手方向に所要個数接続する。
【0016】
該競走水面側消波体Bの傾斜板10の鋸歯状表面板10aを乗越えて来た波を該U字形消波空間E内に落下させて巻込みながら消波させ、更に該U字形消波空間Eの底部に所要間隔で波落下用開口部14・・を設けて水中に落下させて消波させ、該岸壁側消波体Bの傾斜板10の鋸歯状表面板10aにも長手方向に溝10bを形成して波を該傾斜板10の下側に導いて消波する構成とする。
【0017】
そして、該連結金具C上に設けられたシリンダ16内に圧縮スプリング18aを挿入し、該圧縮スプリング18a内に挿入したボルト18の一端をシリンダ16の内壁に固着し、該ボルト18の他端にピストン20の一端を固着し、該ピストン20の他端にL字形枠体22を接続して該競走水面側消波体A側に突出させ、該L字形枠体22にガード・レイル24を設け、該ガード・レイル24を常時コース側に付勢させる構成とする。
【0018】
尚、該断面三角形競走水面側消波体Aと該断面三角形岸壁側消波体Bとの下面に発泡ウレタン樹脂製フロート26を夫々一体に設ける。
【0019】
請求項1記載の競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置10に於いて、該連結金具Cの下面に一体に設けられ、且つ該該U字形消波空間Dに位置して水面(W.L.)に浮遊される浮力調整装置Fは、特に図3〜5に示す通り、所要容積を有する複数個の浮力調整用水タンク30の天板30aの所要個所に、ドレイン孔30bを夫々穿設し、これら浮力調整用水タンク30の側板30cに給水孔30dを穿設し、所要個所に設置後蓋を外して該各給水孔30dから該浮力調整装置F内に給水し、所要深度で安定次第該蓋を嵌合する構成とする。
【0020】
図6〜8に示す通り、請求項2記載の発明の実施例に於いては、浮力調整用水タンクFを該U字形消波空間Dの長手方向に長い立方体タンク40を1個とし、該長方形水タンク40の該天板40aの所要箇所に浮力調整用ドレイン孔40bを穿設し、該長方形水タンク40内の長手方向所要箇所にバルク・ヘッド42を設けて補強し、該各バルク・ヘッド42下部で底板に接して通水孔42dを穿設して成り、該連結金具Cの下面に該浮力調整装置F(40)を一体に設け、水面(W.L.)に浮遊させる。
【0021】
従って、該天板40aの該浮力調整用ドレイン孔40b内に排水ポンプに接続されたホース(共に図示せず)の先端を挿入し、該排水ポンプを介して沈下した分だけ排水すれば、該各バルク・ヘッド42下部の該各通水孔42dから排水されて浮力を調整する。
【0022】
図9に示す通り、請求項3記載の発明の実施例に於いては、該各浮力調整用水タンク30、40を該U字形消波空間Eの垂直方向に上下動自在として成る構成とする。
【0023】
具体的には、該連結金具Dのいずれかの側面で長手方向両端近くの該U字形消波空間Eに臨む箇所に所定間隔でナット52、52を固着し、該各ナット52内に2本のボルト50を螺合して垂直に設け、該ボルト50の下端に該浮力調整装置F(30、40)を一体に設け、該ボルト50、52の回転により水面(W.L.)に対して該浮力調整装置F(30、40)を上下動させてその高さを調節自在とする。
【0024】
【発明の作用】
前述の構成を有するこの発明の競艇場に於ける消波装置Aの浮力調整装置F(30、40)は、該消波装置Aの水面下部分に付着した牡蠣、藤壷等の付着により該消波装置Aの重量が増加して全体が水面に対する所要深度より沈下した場合、該浮力調整用水タンク30、40の該天板30a、40aの該浮力調整用ドレイン孔30b、40b内にポンプに接続されたホース(共に図示せず)の先端を挿入し、該消波装置Aの水面下部分に付着した牡蠣、藤壷、海草等の水性動植物により重量が増加して沈下した場合、排水ポンプを介して該浮力調整用水タンク30、40から沈下した分だけ排水して浮力を調整(消波装置を浮かせる)する競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置Fである。
【0025】
【発明の効果】
(1)前述の通り、この発明の競艇場に於ける消波装置Aの浮力調整装置Fは、該消波装置Aの水面下部分に付着した牡蠣、藤壷、海草等の付着により該消波装置Aの重量が増加して全体が水面(W.L.)に対する所要深度より沈下した場合、該浮力調整用水タンク30の該浮力調整用ドレイン孔30b内に排水ポンプに接続されたホース(共に図示せず)の先端を挿入し、該排水ポンプを介して沈下した分だけ排水して浮力を調整するから、該牡蠣、藤壷、海草等の人海戦術による除去作業が不要となる。
【0026】
(2)そして、浮力調整用水タンク30の該給水孔30dの蓋を取外せば、該浮力調整用水タンク30内に水を給水可能となる。
【0027】
(3)請求項2記載の発明の実施例に於いては、複数の該浮力調整用水タンク30の代わりに該長方形水タンク40を1個設けたので、該連結金具Dの下面への取付けが容易となり、更に該長方形水タンク40内の所要箇所にバルク・ヘッド42を設けたので水の片寄りによる重量アンバランスを防止する。
【0028】
(4)該天板40aの該浮力調整用ドレイン孔40b内にポンプに接続されたホース(共に図示せず)の先端を挿入し、該排水ポンプを介して沈下した分だけ排水して浮力を調整する。
【0029】
(5)請求項3記載の発明の実施例に於いては、該各水タンク30、40を該U字形消波空間Eの垂直方向に上下動自在としたので、該水タンク30、40からの排水ポンプによる浮力の調整の外に、該ボルト50を介して該各水タンク30、40を機械的に上下動自在となるので浮力の調整が更に容易となる。
【0030】
(6)従って、定期的な該消波装置Aの曳航、分解、陸揚、牡蠣落とし作業、再組立、曳航、設置等も不要となるので、従来の牡蠣落とし作業の労力、費用等の著しい増加を避ける事が出来る。
【0031】
(7)その結果、該消波装置Aから除去した該牡蠣、藤壺、海草等の埋立地への投棄の必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る請求項1記載の複数の浮力調整装置を消波空間内に設けた競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置を上側から見た一部切欠部分透視平面略図。
【図2】 図1に示す消波装置の11−11線一部切欠断面略図。
【図3】 図1に示す消波装置から取外した浮力調整装置の平面略図。
【図4】 図3の浮力調整装置の平面略図。
【図5】 図4の浮力調整装置のV−V線断面略図。
【図6】 この発明に係る請求項2記載の1個の浮力調整装置を消波空間内に設けた競艇場に於ける消波装置を上側から見た部分透視平面略図。
【図7】 図6の1個の浮力調整装置を消波装置から取出した一部透視平面略図。
【図8】 図7の浮力調整装置のV111−V111線断面略図。
【図9】 この発明に係る請求項3記載の浮力調整装置をU字形消波空間の垂直方向に上下動自在とした実施例の部分断面略図。
【符号の説明】
A ・・・ 消波装置;
B ・・・ 断面三角形競走水面側消波体;
C ・・・ 断面三角形岸壁側消波体;
D ・・・ 連結金具;
E ・・・ U字形消波空間;
F ・・・ 浮力調整装置;
30、40 ・・・ 浮力調整用水タンク;
30a、40a ・・・ 天板;
30b、40b ・・・ 浮力調整用水ドレイン孔;
30c、40c ・・・ 側板;
30d、40d ・・・ 給水孔;
42 ・・・ バルク・ヘッド;
42a ・・・ バルク・ヘッドの底部の浮力調整用の通水孔;
50 ・・・ ボルト;
52 ・・・ ナット。
Claims (3)
- 断面三角形競走水面側消波体と断面三角形岸壁側消波体とを連結金具を介し連結してU字形消波空間を形成した一対の消波本体を長手方向に所要個数接続し、該競走水面側消波体の表面板を乗越えて来た波を該U字形消波空間に落下させて巻込みながら消波させる消波装置に於いて;
所要容積を有し、その天板の所要個所にドレイン孔を、側板の所要個所に蓋を有する給水孔を夫々穿設した複数個の浮力調整用水タンクを該連結金具の下面に一体に設けて成り;
排水ポンプを介して該消波装置が沈下して分だけ排水して浮力を調整する競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置。 - 該浮力調整用水タンクを該U字形消波空間の長手方向に長方形水タンクとし、該長方形水タンクの該天板の所要個所に浮力調整用のドレイン孔を、側板の所要個所に蓋を有する給水孔を夫々穿設し、該長方形水タンク内の長手方向所要個所にバルク・ヘッドを設け、該バルク・ヘッドの下部で底板に接して通水孔を設けて成る請求項1記載の競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置。
- 該浮力調整用水タンクを該U字形消波空間の垂直方向に上下動自在として成る請求項1又は請求項2記載の競艇場に於ける消波装置の浮力調整装置。
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