JP3798738B2 - 発熱・発火の防止剤及びその防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱・発火の防止剤及びその防止方法に関するものであり、より詳細には、石炭やカーボンブラックなどの炭素質塊粉体(粉粒体から比較的大きな塊状物を含む。)が積重或いは積載される場合に生じる自然発熱又は自然発火を防止することのできる発熱・発火の防止剤及びその防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所、製鉄所などで、大量の石炭、カーボンブラック類を貯蔵する際に、積載した石炭の内部で発熱や発火を生じたりするため、発熱・発火の防止剤を用いて、積重された石炭の自然発火を防止している。
従来からこのような発熱・発火の防止剤としては、ラジカル捕捉剤及び酸素捕捉剤から選ばれる少なくとも1つの物質を含む昇温・自然発火抑制剤や、ノニオン性界面活性剤の1種類以上を含ませた昇温・自然発火抑制剤等が提案されている。
【0003】
また、屋内サイロへの貯炭は、一点積みの場合は積み付け時の安息角が35乃至45度となり、塊炭はサイロ壁の周囲に堆積しやすい。これらのサイロ周囲に多く或いは長期間滞留して存在すると、払出口で塊炭同士の隙間から空気が吸い込まれ、塊炭と粉炭との境目が最も発生しやすい場所となっている。また、回転する積み付け機で均等に積重した場合は、一点積みと比較すると、空気の流入が少ないため、発熱はやや遅いものの、発熱する箇所は、特定することができないことに特徴がある。発熱により塊炭内の水分が蒸発すると、サイロ上部まで空気の通り道がいっそうできやすくなり、通気性がよくなる結果、サイロ上部の空気の温度と塊炭との温度差による煙突効果も生じ、自然通風が更に自然発火を助長、加速する。
【0004】
ところで、従来のラジカル捕捉剤及び酸素捕捉剤等からなる発熱・発火防止では、炭素質の改質という点で一定の効果が見られるものの、積載或いは積重される炭素質の塊体の通気路を遮断することはできない。このため、発熱・発火防止を十分に阻止できない。また、このような発熱・発火防止剤にあってはサイロ下の払出口に噴霧しても、基本的にサイロ壁の周囲に堆積した塊炭に何らの影響を与えず十分な発熱・発火を防止することができない。また、このような化学製品の使用は高コストとなる課題を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術等の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、石炭、カーボンブラック類の炭素質塊粉体の積重貯蔵時、特に、サイロ等の積重貯蔵時における発熱・発火を十分に抑制することができる炭素質塊粉体の発熱・発火の防止剤及びその防止方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術等の課題について、鋭意検討した結果、工業用、食品加工用に頻繁されるアルギン酸ナトリウム水溶液は溶液の粘度調整が容易であり、またゲル化が容易に制御でき、そのゲルの硬さ等を適宜に調整できることから、サイロ等の石炭が露出している部分からの通気を遮断するために、アルギン酸のゲル化による石炭の露出面の被覆を効率良くできることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0007】
即ち、本発明に係る発熱・発火の防止剤及びその防止方法は、以下の構成及び構造を特徴とする。
本発明に係る発熱・発火の防止剤は、アルギン酸水溶液からなることを特徴とするものである。
アルギン酸は若芽や昆布に含まれる多糖類であり、工業的に精製されて、食品、化粧品、医薬品等に使用されるものである。アルギン酸は遊離酸の状態では冷水に不溶であり、熱水に微溶である。また、アルギン酸はアルカリ金属及びアンモニウム塩は通常、水に溶けて粘ちょう溶液となるがゲルは生成しない。このため、本発明におけるアルギン酸水溶液はアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の水溶液である。従って、上記水溶液中のアルギン酸は、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の水溶液として溶解させてあることが望ましい。
【0008】
上記アルギン酸水溶液は、塩酸等を少量入れて溶液中に遊離アルギン酸を生成すると容易にゲル化し、また、アルカリ金属以外の他の金属塩、例えば、カルシウム等のアルカリ土類金属によっても容易にゲル化する。
アルギン酸水溶液を炭素質の積重塊粉炭に直接散布をすると、積重塊粉炭同士の空隙に粘ちょうなアルギン酸水溶液が入り、これに更に上記酸或いはカルシウム等の金属を硬化剤として散布すると、空隙にアルギン酸がゲル化して被膜を形成する。これにより、積重塊粉炭内へのエア等の浸入が防止され、これにより積重或いは積載された炭素質の塊粉炭の発熱・発火を防止することができる。
【0009】
上記アルギン酸水溶液に使用する硬化剤は、酸又はアルカリ金属以外の金属塩であることが望ましい。特に、硬化剤にカルシウム等のアルカリ土類金属を使用することが望ましい。例えば、硬化剤として塩化カルシウムを使用した場合には、塩酸等の酸を使用した場合に比べて、ゲル化したものは、乾燥と共に消失することなく、柔軟性のある被膜を形成し、乾燥しても被膜は残存し、再度、水を散布して被膜を水に浸漬しても消失したり膨潤せず、被膜機能を十分に維持することができる。
【0010】
従って、本発明に係る発熱・発火の防止方法は、アルギン酸水溶液とアルギン酸をゲル化する硬化剤と用いて、積重された炭素質塊粉体にゲル被膜を形成することを特徴とすることができる。
本発明に係る発熱・発火の防止方法は、炭素質塊粉体が積載されている貯炭場、又は上部から炭素質塊粉体が供給され、下部のコンベア等から払い出しされる積重サイロ等に使用することができ、エアの通路が生じやすいサイロ内に積重している炭素質塊粉体に使用することが望ましい。特に、上記アルギン酸水溶液を、炭素質塊粉体の積重サイロの払出口に積重される炭素質塊粉炭に用いると、サイロ内に貯留している炭素質塊粉体のエアの流れを効率良く遮断して発熱・発火を十分に防止する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用される貯炭場の斜視図である。図2は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロが設置された石炭貯蔵基地の一部を示した概略図である。図3は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの側断面図である。図4は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの正断面図である。図5は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの払い出し付近の斜視図である。図6は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロ内のポイントを示す概略図である。
【0012】
本発明に係る炭素質の積重塊粉炭の発熱・発火の防止剤は、アルギン酸水溶液からなることを特徴とする。
上記アルギン酸水溶液は、主に、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルカリ金属塩又はアンモニウムを水に溶解させたものである。アルギン酸ナトリウム等は若芽や昆布に含まれる多糖類であり、工業的に精製されて、食品、化粧品、医薬品等に使用されるものである。具体的には、食品添加物用のダックアルギンNSPH2、ダックアルギンNSPH(紀文フードケミファ(株))や汎用工業用のアルギテックスM(キミカ(株))等を挙げることができる。
【0013】
本発明の発熱・発火の防止剤として、上記アルギン酸水溶液中におけるアルギン酸の濃度は0.5乃至3.0%水溶液の範囲とすることが望ましく、特に、0.8乃至1.5%水溶液の範囲とすることが望ましい。アルギン酸濃度が上記範囲を下回ると、散布後にアルギン酸をゲル化しても十分な量が存在しないため、積重される塊粉炭に被膜が十分に形成されないおそれがある。また、上記範囲を上回ると、アルギン酸水溶液が粘ちょうとなり、その取り扱い及び製造が簡単に出来なくなる。
【0014】
本発明において、アルギン酸水溶液は、使用する塊粉炭の大きさにもよるが、その使用時の粘度が300乃至10000cpの範囲にあることが望ましい。アルギン酸水溶液の粘度はそのアルギン酸濃度、温度によって影響を受けるが、その使用時における粘度は使用される塊粉炭の大きさによっても適値が異なる。例えば、塊粉炭径(長径部分の径)が30mm未満の場合には、アルギン酸水溶液の粘度は300乃至500cpの範囲にあることが望ましく、塊粉炭径(長径部分の径)が30乃至50mm未満のものを含む場合には、アルギン酸水溶液の粘度は500乃至1000cpの範囲にあることが望ましく、塊粉炭径(長径部分の径)が50mm以上のものを含む場合には、アルギン酸水溶液の粘度は3000cp以上、特に10000cp以上であることが望ましい。塊粉炭の径が大きくなれば、その積重される塊粉炭の空隙も比較的大きくなるため、この場合には散布するアルギン酸水溶液は粘度が高いことが好ましい。
【0015】
本発明において対象となる炭素質塊粉体としては、例えば、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭などの石炭、石油コークス、化学プラントから副生するカーボンブラック、有機物を炭化して得られるカーボンブラック、木炭などエネルギー源として用いられるものが挙げられる。その使用が好ましいものは石炭である。このような塊粉体は、産炭地によっては70mm径のものが存在し、一般的には最大粒径で30乃至50mm径のものが主流をなす。
【0016】
本発明において、アルギン酸水溶液の散布回数は、特に制限はないが、後述する硬化剤と交互に2回以上、特に5回以上散布することが望ましい。散布した後、数時間程度置いて水分を蒸散し、被膜の強度がある程度上がってところで、再度散布することにより、即ち、数回繰り返すことによって、強固な被膜を形成させることができる。このような散布は最大径が50mm径をオーバーするような塊粉炭に用いることが特に望ましい。
【0017】
本発明において、上述したように上記アルギン酸水溶液をゲル化する硬化剤は酸又はアルカリ金属以外の金属塩であることを特徴とする。
アルギン酸は通常、遊離酸としては殆ど水に難溶であり、アルギン酸水溶液に塩酸等の酸を添加することによりアルギン酸をゲル化させることができる。また、アルカリ金属以外の金属塩をアルギン酸水溶液に加えてもゲル化が生じる。このようなアルギン酸の性質から、上記酸又はアルカリ金属以外の金属塩をアルギン酸水溶液の硬化剤として有効に用いることができる。
特に、硬化剤として塩化カルシウムなどを用いると、塊粉炭の表面にゲル被膜を十分に形成するだけでなく、安定なゲル被膜が得られる。硬化剤としての塩化カルシウム水溶液の濃度は、3乃至20質量%の範囲で用いることが望ましい。
【0018】
本発明に係る発熱・発火の防止方法は、上記発熱・発火の防止剤を用いるものであり、アルギン酸水溶液とアルギン酸をゲル化する硬化剤と用いて、積重された炭素質塊粉体にゲル被膜を形成することを特徴とする。
アルギン酸水溶液を積重される炭素質塊粉体に散布する方法は、その積重塊粉体の表面に均一に散布できる方法であれば、それが高圧ノズルによる噴霧でも良く、また表面に塗布するものであっても良い。被膜が均一且つ十分に形成される限り、散布方法に制限されない。
また、アルギン酸水溶液と硬化剤とはほぼ同時に散布しても良く、またアルギン酸水溶液と硬化剤とを交互に散布する方法でもよい。そして、積重塊粉炭面のゲル化被膜に応じて散布を繰り返すことが望ましい。
【0019】
上記積重塊粉体は、後述する屋内のサイロに積載されたものに限らず、例えば、図1に示すように、堤状に形成される屋外の積載貯炭場1に使用することができる。このような積載貯炭場1にあっては、底部1aから高さ5乃至6m程度の石炭表面1bに上記アルギン酸水溶液を散布し、次に硬化剤を散布する。そして、このような積載貯炭場1にあっては、その上部にゲル被膜2が形成され、下方からの空気の吸い込みを遮断するので、発熱を防止することができる。
【0020】
本発明にあっては、上記アルギン酸水溶液を、炭素質塊粉体のサイロの払出口に積重される炭素質塊粉炭に用いることを特徴とすることができる。
図2乃至図5は本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用される塊炭のサイロの概略断面図である。
図2に示すように、石炭貯蔵基地には、複数の円筒状の石炭貯蔵用サイロ3が並設され、各サイロ3は4つの払い出しトンネルライン4上に設けられている。各払い出しトンネルライン4の端部は払い出し機メンテナンス用クレーンレール5を介して循環集合トンネルライン6に接続されている。
【0021】
図3及び図4に示すように、石炭貯蔵用サイロ3の屋根10には供給路11が設けられ、図示しない供給路11内のコンベアを介して、天井の略中央からサイロ3内に石炭が供給される。また、図2に示すように石炭貯蔵用サイロ3の屋根10にはホイストライン13が設けられている。
サイロ3の下部には上述した各払い出しトンネルライン4が配され、トンネルライン4内には、落し込みホッパー14と、そのホッパー内の規制レール15と、ホッパー下方のコンベア16が設けられている。
【0022】
図5に示すように、落し込みホッパー14のテーブル部17と規制レール15との間は略400mm程度の幅の払出口18が形成され、払出口18から塊炭がコンベア16上に払い出しされている。この場合、サイロ3の内壁近傍の領域には比較的大粒径の塊炭19が貯留、或いは停留し、内壁から離れた位置に比較的小粒径な粉炭が存在する。このため、サイロ3の内壁近傍の払出口18からエアが取り込まれ、サイロ3の内壁近傍の領域Aは加熱、発熱し易くなっている。
【0023】
本発明に係る発火・発熱の防止方法にあっては、規制レール15の下端部の側面に噴霧管21が設けられ、管21には噴霧ノズルが形成されている。噴霧ノズルから発熱・発火の防止剤である上述のアルギン酸水溶液が散布される。特に、サイロ3の内壁面に近接する規制レール15の下端部に必須設置される。また、同様に、規制レール15の下端部に他の噴霧管22が設けられ、他の管22には噴霧ノズルが形成されている。噴霧ノズルからは硬化剤である塩化カルシウム水溶液が散布される。
【0024】
このような構成にあっては、アルギン酸水溶液と塩化カルシウム水溶液とは別々に散布しても良く、また、塊粉体が比較的大粒、例えば50mm以上、特に70mmの粒径のものを含む場合であれば、アルギン酸水溶液と塩化カルシウム水溶液とをほぼ同時に散布することが望ましい。また、このような大粒の塊粉体の処理であれば、アルギン酸水溶液の粘度は3000cp以上、特に10000cp以上であることが望ましい。このような同時散布及び高粘度のアルギン酸水溶液を使用すれば、塊粉体の比較的大きな隙間を効率良く塞ぎ、被膜を形成することができる。
また、塊粉体の表面に十分に被膜を形成するため、アルギン酸水溶液及び塩化カルシウム水溶液の散布を複数回繰り返しても良い。
【0025】
このような発熱・発火の防止方法により、サイロ3の内周壁の近傍における積重塊炭表面にはエアを通過させないアルギン酸ゲル被膜が形成される。このため、積重塊炭内には払出口18からのエアが浸入せず、塊炭は空気の通路としての役割を果たすことができず、石炭は発熱を起こすことがなく、自然発火のおそれもない。
このようなアルギン酸水溶液からなる発熱・発火の防止剤或いはその防止方法にあっては、「(1)石炭発熱防止に効果的である。
(2)サイロ内での発熱を抑制することで石炭発熱量損失を軽減できる。
(3)食品添加物を使うので安全性に優れている。
(4)塊炭同士の固着が発生しないため取り扱いが容易である。
(5)低コストである。
(6)工法上、設備の自動化が容易である。」等の効果がみられる。
【0026】
尚、上記実施形態では、アルギン酸水溶液を散布するのに、ホース型の噴霧ノズルを規制レール15に設けたが、これに限るものではなく、アルギン酸水溶液の散布が均一にできるのであれば、その他の噴霧ノズルを使用し、或いは噴射ポンプを使用して散布しても良い。
また、アルギン酸の劣化を避けるために、水溶液中にアルギン酸の安定剤、防腐剤等を添加することが望ましい。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
自然発熱が早いインドネシア炭貯炭時に、図6(a)に示すようにサイロ3のコンベア5の近傍にある空気吸い込み量が多い内壁面に近接するポイント32において、アルギン酸ナトリウム1%溶液と硬化剤として3.6%の塩酸溶液とを使用した。双方の溶液を交互に3回塗布してゲル化皮膜を形成し、自然発熱の指標の一つである貯炭表面における空気流入量の確認を風速計により実施した。
【0029】
ゲル化皮膜形成前は、風速計で0.8m/秒であり、このポイントからの空気流入量は、断面積が0.8m2であることから、0.64m3/秒であったが、ゲル皮膜形成後は、風速計で0.05m/sであり、空気流入量は、0.04m3/秒と15分の1以下に減少し、本方法の有効性が確認できた。
【0030】
(実施例2)
更に、自然発熱が比較的早いオーストラリア炭で34日間の長期貯炭試験を行った。サイロの空気吸い込み量が多い内壁面に近接する16ポイント(図(b)に示す31乃至46)のうちポイント32については、そのままとし、残り15ポイントについては、各アルギン酸ナトリウム溶液と硬化剤とを交互に3乃至8回散布し、ゲル皮膜を形成し、自然発熱の状況を観察した。
【0031】
この結果、34日目において、ゲル化皮膜を形成していないポイント32のサイロ上部より温度50℃の蒸気が発生すると共に、石炭の発煙した際に発生する異臭が、当該ポイントのサイロ上部及び下部で発生したことから試験を中断した。
このように、サイロ3のうち、空気吸い込み量が多い内壁面に近接するポイントを確実にゲル化皮膜により覆うことで、空気の流入が遮断でき、自然発熱を効率的に抑制できることが確認できた。
【0032】
尚、硬化剤として塩酸を使用した場合は、ゼリー状にゲル化し、乾燥とともに消失するのに対して、塩化カルシウムを硬化剤として使用した場合は、柔軟性のある皮膜が形成され、乾燥しても皮膜として残り、再度、水に浸潰しても皮膜が消失し膨潤しないことが分かった。また、安全面からも塩化カルシウム溶液がより優れていることが理解できた。
【0033】
【発明の効果】
本発明の発熱・発火の防止剤はアルギン酸水溶液からなるので、また、本発明の発火及び発熱を防止する発熱・発火の防止方法は、このようなアルギン酸水溶液とアルギン酸をゲル化する硬化剤と用いて、積重された炭素質塊粉体にゲル被膜を形成するので、石炭、カーボンブラック類の炭素質塊粉体の積重貯蔵時、特に、サイロ等の積重貯蔵時における発熱・発火を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用される貯炭場の斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロが設置された石炭貯蔵基地の一部を示した概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの側断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの正断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロの払い出し付近の斜視図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、本発明に係る発熱・発火の防止方法が適用されるサイロ内のポイントを示す概略図である。
【符号の説明】
1 貯炭場
2 ゲル被膜
3 サイロ
4 払い出しトンネル
14 落し込みホッパー
15 規制レール
16 コンベア
18 払出口
19 塊炭
21 噴霧管
22 噴霧管
Claims (4)
- アルギン酸水溶液と、該アルギン水溶液をゲル化する硬化剤を含む硬化剤溶液とからなり、該硬化剤が酸又はアルカリ金属以外の金属塩の溶液であることを特徴とする炭素質の積重塊粉炭の発熱・発火の防止剤。
- 上記アルギン酸水溶液の粘度が300乃至10000cpの範囲である請求項1記載の発熱・発火の防止剤。
- 請求項1又は2記載の防止剤を使用して発火及び発熱を防止する発熱・発火の防止方法において、積重された炭素質塊粉体に上記アルギン酸水溶液と硬化剤溶液とを同時に、又は交互に散布して該積重炭素質塊粉体にゲル被膜を形成することを特徴とする発火及び発熱を防止する発熱・発火の防止方法。
- 上記積重炭素質塊粉体が、積重サイロの払出口に積重された積重炭素質塊粉炭であることを特徴とする請求項3記載の発熱・発火の防止方法。
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