JP3797425B2 - Plating method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき方法に関し、詳細には、例えばコンピュータのハードディスク用モータに使用されるリング状磁石等の被めっき物の表面に、均一かつ緻密なめっき被膜を形成できるめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータなどに使用されるリング状磁石などのように比較的小型の被めっき物に電気めっきを行う場合は、バレルと呼ばれる容器に被めっき物を入れ、陰極をバレル内に配置してバレルを回転させながらめっきを施す「バレルめっき法」や、被めっき物を陰極を兼ねた治具に引っ掛けてめっきを施す「引っ掛けめっき法」によりめっきが行われてきた。
【0003】
しかし、バレルめっき法では、被めっき物を個別に制御できないことから、バッチ内でめっき製品ごとに膜厚のばらつきが生じやすいという問題がある。また、個々のめっき製品においても、均一な膜厚が得られず、部位により膜厚がばらつくことが多い。さらに、被めっき物の靭性(強度)が低い場合には、欠け割れを起こし易く、異物発生の原因となり易い。引っ掛けめっき法では、めっき製品に治具痕が残りやすく、均一かつ緻密なめっき被膜が得られないという問題がある。
【0004】
このため、バレルめっき法に関する改良技術としては、例えば特許3021728号公報等が、また引っ掛けめっき法に関する改良技術としては、例えば特開2001−131800号公報や特開2001−152388号公報等がそれぞれ提案されている。
【0005】
しかし、近年では、電子部品等のめっきに特に高い精度、すなわち、均一で、緻密な被膜形成が要求されるようになっており、従来のバレルめっき法や引っ掛けめっき法では、この要求に十分に応えることができない。特に、被めっき物がリング形状などの内周面を有する形状をしていると、電気的に影となる内周面の膜厚が極端に薄くなってしまうという問題がある。この問題への対策として、特開2001−73198号公報では、中空部を有する被めっき物の中空部内に補助陽極を配備してめっきを行うめっき方法が提案されているが、陽極が溶出し易い材質の場合、陽極自体が部分的に剥離して脱落し、異物の発生原因となるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、高いめっき精度が求められる電子部品などにめっきを施す場合において、被めっき物に緻密で均一な被膜を形成することが可能なめっき方法を提供することが求められている。これが本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のめっき方法の発明は、めっき浴中に被めっき物を浸漬し、表面に被膜を形成させるめっき方法であって、回動自在な支持体内部に配置する被めっき物を、前記支持体に設けた、外部と連通し、かつ被めっき物の落下防止手段を備えた部屋の中に個別に配置し、前記部屋は、前記支持体の回動時に転動する被めっき物を一定時間安定的に支持する少なくとも二つの安定位置を有し、前記支持体を回動させることにより、該少なくとも二つの安定位置のうち、一の安定位置から他の一の安定位置へ被めっき物が移動する途中で、前記部屋の壁面の少なくとも1箇所の当接部位に接触させて、被めっき物を前記支持体に対して一定方向に非連続的に回転させて、前記部屋の形状により被めっき物の回転量を制御し、めっきを施すことを特徴とする。
このめっき方法の発明によれば、被めっき物を一定方向に非連続的に回転させるようにしたので、めっき被膜の膜厚が均一になり、精度の高いめっきを施すことが可能になる。
すなわち、従来法であるバレルめっき法では、バレル内での被めっき物の動きを制御することが不可能であったため、均一な膜厚が得られず、部位により膜厚がばらつくという問題があったが、本発明では、被めっき物を必ず一方向に向けて回転させるため、膜厚を均一に制御することが可能になる。また、被めっき物を回転させることによって、引っ掛けめっき法のように、めっき製品に治具痕が残ることもない。さらに、支持体の回動を利用して被めっき物を回転させるようにしたので、簡単な機構で均一な被膜を容易に形成することができる。しかも、被めっき物の回転方向は一定であるため、回転量を制御しやすい。
【0008】
請求項2に記載のめっき方法の発明は、めっき浴中に被めっき物を浸漬し、表面に被膜を形成させるめっき方法であって、被めっき物を、回動自在な支持体内部に設けた、外部と連通し、かつ被めっき物の落下防止手段を備えた部屋の中に個別に配置し、前記部屋は、前記支持体の回動時に転動する被めっき物を一定時間安定的に支持する少なくとも二つの安定位置を有し、前記支持体を回動させることにより、該少なくとも二つの安定位置のうち、一の安定位置から他の一の安定位置へ被めっき物が移動する途中で、前記部屋の壁面の少なくとも1箇所の当接部位に接触させて、被めっき物を該支持体の回動ベクトル軸に対して直角なベクトルをもつ一定方向に回転させて、前記部屋の形状により被めっき物の回転量を制御し、めっきを施すことを特徴とする。
このめっき方法の発明によれば、被めっき物を支持体の回動ベクトル軸に対して直角なベクトルをもつ一定方向に回転させるようにしたので、めっき被膜の膜厚が均一になり、精度の高いめっきを施すことが可能になる。
すなわち、本発明では、被めっき物を必ず一方向に向けて回転させるため、膜厚を均一に制御しやすくなる。また、被めっき物を回転させることによって、引っ掛けめっき法のように、めっき製品に治具痕が残ることもない。さらに、支持体の回動を利用して被めっき物を回転させるようにしたので、簡単な機構で均一な被膜を容易に形成することができる。しかも、被めっき物の回転方向は一定であるため、回転量を制御しやすい。
【0010】
請求項1および2に記載の発明の特徴によれば、被めっき物を、回動自在な支持体に設けた部屋の中に個別に配置してめっきするので、めっき製品における被膜の膜厚を制御しやすく、製品ごとの膜厚のばらつきを抑えることができる。また、個別に配置することにより、被めっき物同士の衝突が起きず、靭性の低い材料でも欠け割れが起こり難い。
【0011】
また、請求項1および2に記載の発明の特徴によれば、部屋の形状によって被めっき物の回転量を制御するようにしたので、簡単な構造で所望の回転量に調整することが可能になり、膜厚の制御も容易に行うことができる。
【0012】
さらに、請求項1および2に記載の発明の特徴によれば、一の安定位置から他の一の安定位置へ被めっき物が移動する際の、部屋の壁面への接触を利用するという極めて簡単な構成で、被めっき物に回転を与えるため、回転の制御が容易である。
【0013】
請求項3に記載のめっき方法の発明は、請求項1または2において、前記部屋の形状は、前記支持体がどの回動位置に変位した状態においても、前記一の安定位置と前記他の一の安定位置とを結ぶ線が鉛直方向と重なることがない形状であることを特徴とする。
この特徴によれば、一の安定位置と他の一の安定位置とを結ぶ線が鉛直方向と重なることがない形状の部屋を用いることにより、容易に被めっき物の回転を制御できる。すなわち、支持体の回動動作の中で、被めっき物が重力により一の安定位置から他の一の安定位置へ移動する途中で部屋の壁面に接触する構造を容易に作り出すことができる。
【0014】
請求項4に記載のめっき方法の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、前記支持体の回動により、めっき浴の攪拌を行うことを特徴とする。
この特徴によれば、支持体の回動を利用してめっき浴を攪拌することにより、めっき浴を均一に混合する作用が得られる。このことより、めっき品質の向上が図られる。
【0015】
請求項5に記載のめっき方法の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、めっき方法が電気化学反応により、めっき浴中の金属イオンを被めっき物の表面に析出させて被膜を形成させる電気めっきであり、前記部屋の壁は非導電性の材質で形成されていることを特徴とする。
被めっき物を制御された回転状態の下でめっきする本発明の方法は、電気めっきにおいて特に優れた効果を奏する。そして、遮蔽作用を持つ非導電性の壁で仕切られた部屋の中で被めっき物に一定方向の回転を与えることにより、例えば内周面を有する被めっき物の場合、外周面を一律に遮蔽できるので、従来の電気めっきにおける課題であった電気的に影となる内周面の被膜形成と外周面の被膜形成が同等になるような制御が可能になり、内外周の膜厚差を小さくすることができる。
【0016】
請求項6に記載のめっき方法の発明は、請求項5において、前記部屋の上部および下部には電極が配備され、前記支持体が回動して上下に反転する動作に伴い、前記部屋内の被めっき物も上下に反転して、いずれかの電極に接触するようにしたことを特徴とする。
この特徴によれば、電気めっきにおいて、支持体の反転に伴い部屋内の被めっき物も反転させ、電極に接触させるようにしたので、めっき時間のほぼ全域を通して被めっき物に通電した状態が確保され、良好な被膜形成が可能になる。また、電極と接触する被めっき物の面は、反転動作に伴って入れ替わるため、両面の膜厚も均一に制御できる。更に片面のみが長時間電極に接することによって、めっき膜が電極に固着、剥離してしまうといった膜欠損も発生しない。
【0017】
請求項7に記載のめっき方法の発明は、請求項6において、前記電極が、前記落下防止手段を兼ねることを特徴とする。この特徴によれば、電極が落下防止手段を兼ねることにより、めっき方法に使用する治具の構成を簡易なものにすることができる。
【0018】
請求項8に記載のめっき方法の発明は、請求項7において、前記上部の電極と下部の電極との距離が、前記部屋の高さよりも短く形成されていることを特徴とする。
この特徴によれば、上部の電極と下部の電極との距離を、部屋の高さよりも短く形成したので、部屋の壁による遮蔽効果が確実になり、その結果均一な膜厚を得ることができる。つまり、落下防止手段を兼ねる電極によって支持される被めっき物は、部屋内に隠れた状態となるため、電気的に十分に均一な遮蔽効果が得られる。
【0019】
請求項9に記載のめっき方法の発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項において、被めっき物の形状が、内周面を有する形状であることを特徴とする。本発明方法は、被めっき物が内周面を有する形状の場合でも内外周の膜厚をほぼ均一に制御できるので、例えばリング形状や円筒形状をした被めっき物に対して特に有効である。
【0020】
請求項10に記載のめっき方法の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項において、被めっき物の材質が磁石であることを特徴とする。本発明方法は、金属に対しても、あるいは非金属に対しても良好なめっきを施すことができる方法であり、特に、通常の方法では精密なめっきを施しにくい材質である磁石(例えば焼結磁石、ボンド磁石、鋳造磁石等)に対しても精密な被膜形成が可能である。従って、本発明のめっき方法は、磁石へのめっきに最適な方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のめっき方法を実施するために適しためっき治具の一例の概要を示す斜視図である。このめっき治具100は、電気めっき用の治具であり、左右のフレーム13a、13bの間に回動自在に支持体としての2つのトレイ10a、10bを備えている。このトレイ10a、10bには、それぞれ被めっき物のワーク70を配置する部屋として複数のセル30が形成されている。
【0022】
図2は、めっき治具100を正面から見た状態であり、ここではトレイ10aおよび10bが略垂直に立った状態を示しており、各セル30にはワーク70が配置されている。
フレーム13aには、第1歯車21、第2歯車23、第3歯車25が互いに係合した状態で配備されている。第2歯車23はトレイ10aに、また第3歯車25はトレイ10bに、それぞれフレーム13aの貫通穴(図示せず)を通して連結されている。第1歯車21は、フレーム13aを挟んで反対側の駆動モータ27と接続している。
【0023】
めっき治具100の上部には支柱15が設けられ、この部分を把持して移動やめっき浴への浸漬を行うことができる。めっき治具100の正面側と背面側は開放されており、また、底部にも開口部19が設けられ、めっき浴中に浸漬した状態でセル30内にめっき液が容易に侵入できる構造になっている。
【0024】
めっき治具100の左右フレーム13a、13bの上部には、前後4箇所に金属などの導電性材料で構成される引っ掛け部17が設けられ、めっき浴に浸漬した状態でこの引っ掛け部17をめっき槽50に渡した棒状物に懸架できるようになっている(図6参照)。
【0025】
また、歯車23(歯車25)の中心部は、ここでは図示しない配線が接続可能に構成されており、トレイ10のシャフト34(図3参照)までを電気的に接続可能にしている。
【0026】
ここで、図3〜図5を参照しながら、トレイ10(10a、10b)の詳細を説明する。図3はトレイ10の斜視図、図4は同展開斜視図である。本例のトレイ10には、一列7個のセル30が二列に形成されている。セル30は、平面視で角を丸めた四角形形状であり、後述するように、トレイ10がどの回動位置に変位した状態においても、一の安定位置と他の一の安定位置とを結ぶ線が鉛直方向と重なることがないように、斜めに形成されている。
【0027】
トレイ10の両面には、同じ列のセル30のすべてに渡設した状態で、片面4本ずつの陰極線33が配設されている。陰極線33は、例えばステンレス、鉄、銅、チタン、カーボンなどの導電性材料で構成され、両端部において同様に導電性の材料で形成された固定具31a、31bまたは固定具32a、32bに接合している。
【0028】
陰極線33は、各セル30の天部(上部)および底部(下部)の空間において露出しており、セル30内に配置される被めっき物としてのワーク70に接触して通電させる作用とともに、ワーク70の落下を防止する落下防止手段としての機能も有している。ワーク70がめっき浴中に落下すると、ワーク70から金属が溶出し、めっき性能に悪影響を与えることがあるが、落下防止手段を設けることにより、かかる事態を防止することができる。また、めっき浴中でトレイ10を回動させると、ワーク70がセル30内で浮き上がり、下側の陰極線33から離れることがあるが、両面に陰極線33を配備することによって、浮き上がった状態でも上側の陰極線33に接触してワーク70の導通状態を確保できるという効果もある。なお、陰極線33の本数は、セル30の片側2本に限るものではなく、1本あるいは3本以上配備することもできる。また、陰極線33は並行な配置に限らず、例えば格子状に配備してもよい。
【0029】
前記したように、陰極線33は、セル30からワーク70が抜け落ちないように落下防止手段としても機能するが、陰極を他の位置、例えばセル30の内壁に配置するのであれば、陰極線33に替え、トレイ10の両側に落下防止手段として合成樹脂製の繊維や網などを配備することも可能である。
【0030】
固定具31a、31bは、それぞれシャフト34を備えている。このシャフト34は、回動軸として作用し、図示しない係合手段により第2歯車23または第3歯車25と係合できるようになっている。シャフト34は導電性を持つ固定具31a、31bと一体に形成されており、第2歯車23または第3歯車25の中心部を介して図示しない配線と電気的に接続可能になっている。また、固定具32a、32bは、シャフト34を有しない以外は固定具31a、31bと略同様の構成である。
【0031】
図4に示すように、トレイ10は2枚の基板11a、11bを重ね合わせた構造である。基板11a、11bは、セル30となる開口12が列状に形成されている。トレイ10を構成する基板11a、11bは、例えば合成樹脂などの非導電性材料により形成されているので、ワーク70を支持する機能のほか、遮蔽板としても作用する。また、トレイ10は、回動の際にめっき浴を攪拌する作用を十分に発揮させるために、開口12以外の面積も十分に確保した構造になっている。基板11a、11bの片面には、それぞれ陰極線33が埋設できるような溝16が設けられている。
【0032】
固定具31a、31b(32a、32b)は、金属製ボルト等により、ねじ穴36、および突片35に形成されたねじ穴38において、トレイ10を構成する基板11a(11b)に固定されている。そして、上下の固定具31aと固定具32a、および固定具31bと固定具32bは、二枚の樹脂板11a、11bを挟み込むようにして装着される。つまり、上下の固定具31aと固定具32aは、上下の突片35のねじ穴38を貫通する金属製ボルト等を介して電気的な接続状態が確保できるように構成されている。このようにトレイ10を構成する導電性を持った固定具に無駄な金属析出を抑えるための被覆を施しながら、金属製ボルト等を介しての通電を可能としている。
【0033】
図5は、トレイ10の要部断面図であり、セル30内にリング状のワーク70を配置した状態である。ワーク70は、下側の陰極線33c、33dと接触した状態でセル30内に置かれている。トレイ10が回動して天地反転した状態になると、ワーク70も天地反転し、陰極線33a、33bに接触することが理解される。
【0034】
セル30内のワーク70は、めっき中にセル30を構成する非導電性の基板11a、11bにより遮蔽される。特に、ワーク70の外周面70aがセル30の壁面に当接もしくは近接した状態になると、非導電性のセル30の壁により外周面70aにおける当接部位もしくは近接部位には被膜が形成されにくくなる。このため、例えばリング状など内周面70bと外周面70aを有するワーク70において、内外周の膜厚を均一に制御できるようになる。
【0035】
図5から見て取れるように、本例では十分な遮蔽効果を得るために、ワーク70の高さh1よりも、非導電性のセル30の壁面の高さHを大きくしている。例えば、h1=Hとした場合は、遮蔽が不十分になり、ワーク70の特に上下面付近の外周面において膜厚が厚く形成されてしまうことがある。
【0036】
また、同様に十分な遮蔽効果を得るために、陰極線33がセル30内に食い込むように配設されている。
すなわち、陰極線33は基板11aおよび11bに形成した溝16内に埋設されるように装着されており、セル30の内部に陰極線33が突出した状態になる。従って、上下の陰極線33間の距離h2は、セル30の壁面の高さHよりも小さくなる。その結果、陰極線33に支持されるワーク70は、セル30内に納まり、その壁面に隠れるようになるので、十分な遮蔽効果が得られる。また、基板11aおよび11bに形成した溝16内に陰極線33を埋設することで、しっかりと固定することが可能となり、撓みや歪み、ずれ等を防止できる。
【0037】
なお、本例では、上下の陰極線33間の距離h2とワーク70の高さh1との差を1mm程度に設定している。このh2とh1の差が大きくなり過ぎると、トレイ10の動作とは無関係にワーク70がセル30内で反転したり、縦横が入れ替わったりして、一方向の回転を制御できなくなることがあるので、ワーク70の形状に応じて上下の陰極線33間の距離h2を調整することが好ましい。
【0038】
図6は、めっき治具100をめっき槽50に配置した状態である。めっき治具100は、4箇所の引っ掛け部17において、棒60a、60bに掛架され、所定位置まで浸漬される。前記したようにシャフト34は第2歯車23または第3歯車25の中心部を介して外部と電気的に接続可能になっているため、該中心部まで配線を施すことにより、トレイ10a、10bの陰極線33まで通電される。そして、めっき治具100の両側に陽極41を配備することにより、電気化学反応が生じてめっき浴50中の金属イオンが陰極線33に接触しているワーク70の表面に析出して被膜が形成される。
【0039】
めっき治具100を用いてめっきを行う場合、第1歯車21は、駆動モータ27により所定の速度で回動する。第1歯車21の動きは、一方向への回転でも、正逆方向への回転でも、あるいは回転まで至らない揺動でもよい。なお、駆動モータ27を設けない場合は、この動作を手動で行うこともできる。第1歯車21の回動は、第2歯車23に伝達され、第2歯車23を回動させる。同様に第2歯車23の回動は、第3歯車25に伝えられ、第3歯車25を回動させる。例えば、第1歯車21が、図6中矢印で示す方向に回転するとき、第2歯車23、第3歯車25は、それぞれ矢印の方向に回転する。
【0040】
第2歯車23および第3歯車25の回動は、シャフト34を介してトレイ10a、10bにそのまま伝達され、トレイ10a、10bが回動(回転または揺動)する。
【0041】
図7に、トレイ10の回動と、セル30内のワーク70の動きを示す。なお、ここでは説明の便宜上、片側のセル30のみを図示することにした。まず、トレイ10が図7(a)に示すA位置からB位置まで、図中細い矢印で示す方向に回転する場合を考える。A位置では、セル30内のワーク70は、最も端部よりの位置、つまり、セル30の内壁面に当接した位置にある。トレイ10がB位置まで回転するに従って、セル30内のワーク70は、太い矢印で示す方向に向け、少しずつ基端側にセル30内を移動していく。より具体的には、ここでは図示しない陰極線33に摺接しながら移動することになる。
【0042】
トレイ10がC位置まで回転すると、セル30内のワーク70は完全に基端側よりの位置、つまりセル30における先の壁面とは対向する壁面に当接した状態になる。
【0043】
トレイ10が、図7(b)に示すD位置になるとワーク70は反転し、セル30の反対側の陰極線33に当接した状態になる。D位置から、さらにトレイ10が細い矢印方向に回転しE位置までくると、反転したワーク70は再びトレイ10の端部側へ向けセル30内を太い矢印で示す方向に移動していく。トレイ10がさらに回転してF位置までくると、ワーク70はセル30の内壁に当接した状態となり、やがて再び反転して図7(a)のA位置の状態まで戻る。このように、トレイ10の回転により、ワーク70はセル30内を移動するとともに、トレイ30が反転するとワーク70も反転する。なお、図7(a)、(b)における太い矢印は、セル30内におけるワーク70の動きの方向を示すものであるが、この動きは重力によって与えられる。
【0044】
図8は、本発明めっき方法におけるワーク70の動きを説明するための模式図である。ここでは、適宜図7も参照しながら説明する。なお、図8(a)〜(d)において、太い矢印は、ワーク70の移動方向を、細い円弧の矢印はワーク70の回転方向を示す。また、各図の側部に描かれた両端に矢印を持つ線Yは、トレイ10の基端部(回動中心)と端部を最短距離で結ぶ線方向を示している(以下、「Y軸」と記すことがある)。
【0045】
まず、図8(a)では、ワーク70はセル30内の一の安定位置に支持された状態である。このときセル30は図7(a)のA位置にあると仮定する。
【0046】
図8(a)の状態から、トレイ10が図7(a)のB位置を過ぎてC位置までに変位するに従い、セル30内のワーク70は、トレイ10の基端部側へ向けセル30内を移動していく。具体的には、セル30の下部に配設された陰極線33(図示せず)に摺接しながらセル30の対向壁面まで移動する。そして、対向部壁面に衝突したワーク70は、図8(b)に示すように、セル30内の対向壁面に沿うように回転しながら太い矢印で示す方向に移動していき、このセル30における他の安定位置まで到達する[図8(c)の位置]。
【0047】
さらにトレイ10を回転させ、図7(b)のD位置、E位置を経てF位置まで変位させた場合、ワーク70は天地反転し、図8(c)において太い矢印で示す方向に移動していく。具体的には下部に配設された電極に摺接しながらセル30の対向部壁面まで移動する。トレイ10の回転により、セル30の対向部壁面に衝突したワーク70は、対向部壁面に沿うように回転しながら、図8(d)中の太い矢印で示す方向に移動していき、このセル30における元の安定位置まで到達する[図8(a)の状態]。
【0048】
以上の動作を繰返すことにより、ワーク70はセル30中を一方向に非連続的に回転しながら移動していく。トレイ10を回転させたに限らず、360°未満の角度で揺動させた場合でも、ワーク70が自重によりセル30内を移動する角度であれば、同様に一方向の回転が得られる。この一方向の回転は、トレイ10の回動ベクトル軸に対して直角なベクトルを持つ回転である。この回転により、内周面70bを有するリング状のワーク70において、内外周に均一な膜厚のめっきが施される。
【0049】
すなわち、ワーク70の回転により、ワーク70の外周面70aがセル30の壁面と当接する部位が順次変わる結果、均一な遮蔽効果により外周面70aの膜厚は均一になる。
また、ワーク70の外周面70aはセル30の壁により適宜遮蔽されるので、被膜形成が抑制され、外周面70aのめっき被膜のみが厚くなることがなく、めっき被膜が形成されにくいワーク70の内周面70bとの膜厚差を小さく改善することができる。
さらに、ワーク70の端面における陰極線33との接触部位は、ワーク70の回転に伴って短時間で変わっていくため、陰極線33と固着することがない。通常、ワーク70の被膜が電極に固着すると、被膜の欠損(めっき剥がれ)を引き起こし、装飾めっきとしての外観的な不具合や金属系被めっき物の錆び発生要因となることが知られているが、本発明ではかかる事態を防止でき、治具痕も一切残らない。
【0050】
また、トレイ10が180℃以上回転する場合には、落下防止手段(陰極線33)をセル30の上下に配置することにより、ワーク70の両端面が交互に接触することになるため(図7参照)、ワーク70の両端面の膜厚も均一にすることが可能になる。
【0051】
図8では、平面視が四角形のセル30をY軸に対して斜めになるように、例えば角度θをもたせて配置しているが、同じ四角形でもY軸との角度θを変えることにより(これは、セル30の形状を変えることを意味する)回転量を調節できることは同図から容易に理解される。
【0052】
セル30の形状(平面視)は、四角形に限るものではない。図9に、セル30の形状(平面視)の例を示す。図中、(a)は平行四辺形、(b)は台形、(c)は5角形、(d)は三角形、(e)は楕円形、(f)はトラック形を示し、矢印はワーク70の移動方向を示す。矢印の長短は、移動距離の長短を示しており、破線は回転を伴わない移動を示す。図9から見て取れるように、セル30の形状によりワーク70の回転量を変化させることができる。また、セル30の形状が同じならば、ワーク70の回転は常に一方向である。
【0053】
本発明のめっき方法は、通常のめっき工程と条件に従い実施できる。本発明方法により電気めっきを行う場合の概要を例示すると、まず、ワーク70をセル30内にセットし、必要に応じて洗浄を行った後、所定電流の下で無光沢電気めっきや半光沢めっきもしくは光沢電気めっきを行う。めっき物は、洗浄した後、乾燥することにより、最終めっき製品が得られる。
【0054】
被めっき物としてのワーク70としては、例えば円板状、円筒状、リング状、球などのセル30内で周方向に回転し易い形状のものが好ましい。特に電気めっきにおいては、円筒状、リング状などの内周面70bを有し、通常の方法では内外周で膜厚が不均一になりやすい形状のワーク70に有効である。
【0055】
被めっき物の材質としては、金属でも非金属でもよいが、金属と非金属の複合物や空孔を伴う金属など、通常の方法では精密なめっきを施しにくい材質に対しても有効である。かかる材質としては、例えば焼結合金、樹脂と粉末金属の複合物、鋳造合金等を挙げることができ、より具体的には、例えば焼結磁石、ボンド磁石、鋳造磁石等が挙げられる。
【0056】
上記磁石原料としては、例えば以下の[1]〜[6]が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
[1]R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種)と、Coを主とする遷移金属とを基本成分とするもの。
[2]R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金属(TM)と、Bとを基本成分とするもの。
[3]R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金属(TM)と、Nを主とする格子間元素とを基本成分とするもの。
[4]R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種)とFe等の遷移金属(TM)とを基本成分とし、ソフト磁性相とハード磁性相とが相隣接して(粒界相を介して隣接する場合も含む)存在する複合組織(特に、ナノコンポジット組織と呼ばれるものがある)を有するもの。
[5]前記[1]〜[4]の組成のもののうち、少なくとも2種を混合したもの。
[6]前記[1]〜[4]の組成のもののうち、少なくとも1種とフェライト粉末(例えば、SrO・6Fe2O3等のSr―フェライト等)を混合したもの。
また、ボンド磁石に使用される結合樹脂(バインダー)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、一般的にナイロンと称されるポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0058】
本発明のめっき方法は、非常に均一なめっき被膜を簡易な器具で形成させることができるとともに、治具痕等に起因するめっき被膜の欠損が生じないことから、ハードディスク用モータに用いるリング状磁石などの高寸法精度、高防錆、防発塵等が要求される用途で使用されるワーク70のめっきに最適である。
【0059】
【作用】
図8に示すように、トレイ10の回動に伴ってセル30内におけるワーク70は重力によって移動する。この移動を利用し、ワーク70の移動経路がY軸[図8参照]と重ならないように工夫することにより、セル30内でワーク70を一定方向に回転させることが可能になる。このことは、トレイ10が回動途中で起立した状態になることを考えると容易に理解できる。トレイ10が起立した状態(図7のC位置、F位置)では、Y軸は鉛直方向と重なる。従って、例えばセル30内における安定位置を結ぶ線がY軸と重なる場合(例えば、平面視で真円や菱形の場合など)、セル30内のワーク70は、自由落下に近い状態でY軸に沿って最短距離で移動してしまう。このような動きの場合、セル30内でワーク70を一方向に回転させることは出来ない。仮に回転が生じたとしても、その方向を制御できないため、回転量の制御も不可能になる。
【0060】
しかし、ワーク70のセル30内における一の安定位置[図8(a)の位置]と他の一の安定位置[図8(c)の位置]を結ぶ直線がY軸(鉛直方向)と重ならないようにすれば、移動途中でワーク70をセル30の壁面に接触させて回転を与えることが可能になる。この回転は一定方向であるため、回転量の制御も容易になる。しかもワーク70の回転は、トレイ10の回動とセル30の形状により与えられるため、複雑な機構は必要としない。
【0061】
セル30内でワーク70を効率よく回転させるためには、図8および図9に例示したように、セル30の形状をY軸に対して非線対称な形状にすることが好ましい。このようにすると、一の安定位置である図8(a)の位置と、他の一の安定位置である図8(c)の位置とを結ぶ線が鉛直方向と重なることがない形状のセル30を容易に作り出すことができる。つまり、トレイ10の回動動作の中で、ワーク70が重力により一の安定位置から他の一の安定位置へ移動する途中で、セル30の壁面の少なくとも1箇所の当接部位に接触するような構造になりやすいので、被めっき物に回転を与えることが可能になる。このようにワーク70を配置するセル30の形状を制御することによって、所望の回転をワーク70に与え、均一な被膜を形成することが可能になる。
【0062】
【実施例】
次に、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0063】
本発明のめっき方法とバレル治具等を用いるめっき方法により、それぞれめっきを行い得られためっき製品の膜厚や外観を比較した。めっきの条件は以下の通りである。
【0064】
<被めっき物>
被めっき物には、外径19mm、内径17mm、高さ3.6mmのリング状希土類ボンド磁石を用いた。
この磁石においては、合金組成がR−TM−B系合金で構成される磁石粉末(MQI社製のMQP−B粉末)と、エポキシ樹脂と、少量のヒドラジン系酸化防止剤とを混合し、これらを常温で30分間混練して、ボンド磁石用組成物(コンパウンド)を作製した。
このとき、磁石粉末、エポキシ樹脂、ヒドラジン系酸化防止剤の配合比率(重量比率)は、それぞれ95wt%、4wt%、1wt%であった。
次いで、このコンパウンドを秤量してプレス装置の金型内に充填し、無磁場中にて、常温にて、圧力1370MPaで圧縮成形してから、170℃でエポキシ樹脂を加熱硬化させ、円筒状のボンド磁石を得た。このボンド磁石に対して、その高さ方向の研磨処理を施した。その後、ボンド磁石を、バレル研磨法により各稜がR0.2になるまで研磨し、これを磁石本体とした。
【0065】
<めっき条件>
(1)本発明方法:
被めっき物を図1のめっき治具にセットし、洗浄後、50℃の無光沢ワット浴を用いて無光沢電気めっきを2A/dm2で30分間行い、次いで50℃の光沢ワット浴で光沢電気めっきを2A/dm2で20分間行った。得られためっき製品は、超音波水洗浄、湯洗浄等の洗浄を行った後、乾燥した。
1バッチあたりの処理個数は28個とし、めっき中のトレイの回転速度は3〜4rpmとした。
【0066】
(2)バレル法:
バレル治具(既知の構成のもの)を用いた。被めっき物をバレル治具にセットし、洗浄後、50℃の無光沢ワット浴を用いて無光沢電気めっきを1A/dm2で100分間行い、次いで50℃の光沢ワット浴で光沢電気めっきを1A/dm2で60分間行った。得られためっき製品は、超音波水洗浄、湯洗浄等の洗浄を行った後、乾燥した。
【0067】
1バッチ(バレル)あたりの処理個数は30個とし、同時にバレル内に直径5mmのニッケル球を200ml投入した。また、めっき中のバレルの回転速度は3〜4rpmとした。
【0068】
(3)片面陰極治具によるめっき:
図10に示す構成の片面陰極のめっき治具を用いた。この治具は、合成樹脂等の非導電性板状部材(図4および図5の基板11に準じる)に形成されたセル130内に個別にワーク70を支持するものであり、ワーク70の下端が陰極線133に接触するように配置する。めっき浴中の陽極の配置は図3に準ずる。
【0069】
被めっき物をめっき治具にセットし、洗浄後、50℃の無光沢ワット浴を用いて無光沢電気めっきを2A/dm2で30分間行い、次いで50℃の光沢ワット浴で光沢電気めっきを2A/dm2で20分間行った。得られためっき製品は、超音波水洗浄、湯洗浄等の洗浄を行った後、乾燥した。
【0070】
1バッチあたりの処理個数は10個とし、めっき時間中は、30秒に1回の頻度で手動により揺動した。なお、ここでいう「揺動」は治具が陰極線133に固着しないように水平方向にずらすことをいう。揺動後は、セル130の壁面とのギャップが均等になるように、出来るだけセル130の中央にワーク70が位置するようにした。
【0071】
(4)補助陽極治具によるめっき:
図11に示す構成の補助陽極を備えためっき治具を用いた。この治具は、陰極を兼ねる円環状支持具131の中央にニッケル製の補助陽極135を備えるもので、ワーク70は、円環状支持具131に設けた3つのリブ137により外周において3点支持されて配置される。めっき浴中の陽極の配置は図3に準ずる。
【0072】
被めっき物をめっき治具にセットし、洗浄後、50℃の無光沢ワット浴を用いて無光沢電気めっきを1A/dm2で60分間行い、次いで50℃の光沢ワット浴で光沢電気めっきを2A/dm2で20分間行った。得られためっき製品は、超音波水洗浄、湯洗浄等の洗浄を行った後、乾燥した。
【0073】
1バッチあたりの処理個数は16個とし、めっき時間中は、静止状態に置いた。なお、外周にはリブ137との当接による治具痕が残るため、後述するめっき膜厚の測定ではその部分を避けて測定した。
【0074】
<測定および結果>
(1) 得られためっき製品について、外周面、内周面、端面A、端面Bの膜厚を測定するとともに外観を目視にて観察した。その結果を表1および図12に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1および図12から見て取れるように、本発明めっき方法を用いてめっきを施しためっき製品は、外周、内周、端面A、端面Bにおける膜厚差が少なく、均一であった。また、セル30内を転動することにより、治具痕も残らなかった。
【0077】
これに対して、バレル治具によるめっきでは、内周面と外周面の膜厚のばらつきが大きかった。また、片面陰極治具によるめっきでは、両端面の膜厚の不均一さが顕著であった。これは、下側の端面Aと上側の端面Bで遮蔽効果に差が生じるためと考えられる。
【0078】
補助陽極治具を用いためっきでは、膜厚のばらつきはさほど大きくないが、めっき製品への異物の付着が見られた。この異物は、補助陽極135に使用したニッケルが脱離したものと考えられる。また、前記したように外周面に治具痕が残った。
【0079】
なお、別途、補助陽極として不溶性陽極材料(SUS、チタン−白金、カーボンなど)を使用した場合についても試験を行ったが、陽極効果は殆ど得られず、内外周の膜厚差を改善することは出来なかった。
【0080】
(2)本発明方法によるめっき製品と、片面陰極治具によるめっき製品について部位による膜厚のばらつきを調べた。
【0081】
得られためっき製品の中から任意に抽出したサンプルについて、図13に示す12箇所における膜厚を測定した。本発明方法による場合の結果を図14に、片面陰極治具による場合の結果を図15に、それぞれ示す。
【0082】
この結果から、本発明方法により得られるめっき製品は、片面陰極治具を用いるめっき製品に比べて▲1▼内周、外周、端面A、端面Bにおける膜厚のばらつきが少なく、かつ▲2▼部位ごとの膜厚のばらつきも少ないことが示された。
【0083】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明のめっき方法によれば、めっき被膜の膜厚が均一になり、精度の高いめっきを施すことが可能になる。
すなわち、被めっき物を必ず一方向に向けて回転させるため、膜厚を均一に制御することができる。また、被めっき物を回転させるため、めっき製品に治具痕が残ることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用可能なめっき治具の一態様を示す斜視図である。
【図2】図1のめっき治具のトレイを起立させた状態の正面図である。
【図3】トレイの斜視図である。
【図4】トレイの展開斜視図である。
【図5】トレイの要部断面図である。
【図6】図1のめっき治具の使用状態の説明に供する図面である。
【図7】トレイの回動動作とワークの移動の説明に供する図面である。
【図8】セル内におけるワークの移動の説明に供する図面である。
【図9】セルの形状の例を説明する図面である。
【図10】片面陰極治具の説明に供する図面である。
【図11】補助陽極治具の説明に供する図面である。
【図12】めっき方法の相違による部位ごとの膜厚を示すグラフ図である。
【図13】めっきを施したリング状磁石の膜厚の測定部位を示す図面である。
【図14】本発明方法によりめっきを施した場合の部位ごとの膜厚を示すグラフ図である。
【図15】片面陰極治具を用いてめっきを施した場合の部位ごとの膜厚を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 トレイ
12 開口
30 セル
13 フレーム
15 把持部
16 溝
17 引っ掛け部
19 開口部
21 第1歯車
23 第2歯車
25 第3歯車
31a、31b 固定具
32a、32b 固定具
33 陰極線
34 シャフト
35 突片
36 ねじ穴
38 ねじ穴
41 陽極
50 めっき槽
51 めっき液
60a、60b 棒
70 ワーク
130 セル
131 円環状支持具
133 陰極線
135 補助陽極
137 リブ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a plating method, and more particularly to a plating method capable of forming a uniform and dense plating film on the surface of an object to be plated such as a ring magnet used in a hard disk motor of a computer.
[0002]
[Prior art]
When electroplating a relatively small object to be plated, such as a ring magnet used in motors, etc., place the object in a container called a barrel and place the cathode in the barrel to rotate the barrel. Plating has been performed by the “barrel plating method” in which plating is performed while the plating is performed, or by the “hook plating method” in which plating is performed by hooking an object to be plated on a jig that also serves as a cathode.
[0003]
However, in the barrel plating method, since the objects to be plated cannot be individually controlled, there is a problem that film thickness variations easily occur for each plated product in the batch. Even in individual plated products, a uniform film thickness cannot be obtained, and the film thickness often varies depending on the part. Furthermore, when the toughness (strength) of the object to be plated is low, chipping is likely to occur, and foreign matter is likely to be generated. In the hook plating method, there is a problem that jig traces are likely to remain on the plated product, and a uniform and dense plating film cannot be obtained.
[0004]
For this reason, as an improved technique related to the barrel plating method, for example, Japanese Patent No. 3021728 has been proposed, and as an improved technique related to the hook plating method, for example, Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 2001-131800 and 2001-152388 have been proposed. Has been.
[0005]
However, in recent years, particularly high precision, that is, uniform and dense film formation has been required for plating of electronic parts and the like, and conventional barrel plating methods and hook plating methods are sufficient to meet this requirement. I can't respond. In particular, when the object to be plated has a shape having an inner peripheral surface such as a ring shape, there is a problem that the film thickness of the inner peripheral surface that is electrically shaded becomes extremely thin. As a countermeasure against this problem, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-73198 proposes a plating method in which an auxiliary anode is disposed in a hollow portion of an object to be plated having a hollow portion. In the case of a material, there is a problem that the anode itself is partially peeled off and causes a foreign matter to be generated.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, there is a need to provide a plating method capable of forming a dense and uniform film on an object to be plated when plating is performed on electronic parts and the like that require high plating accuracy. This is the subject of the present invention.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problems, the invention of the plating method according to
According to the invention of this plating method, since the object to be plated is rotated discontinuously in a certain direction, the film thickness of the plating film becomes uniform, and it becomes possible to perform highly accurate plating.
That is, in the conventional barrel plating method, it is impossible to control the movement of the object to be plated in the barrel, so there is a problem that a uniform film thickness cannot be obtained and the film thickness varies depending on the part. However, in the present invention, since the object to be plated is always rotated in one direction, the film thickness can be controlled uniformly. Further, by rotating the object to be plated, jig traces are not left on the plated product as in the hook plating method. Furthermore, since the object to be plated is rotated by using the rotation of the support, a uniform film can be easily formed with a simple mechanism. And since the rotation direction of a to-be-plated object is constant, it is easy to control the amount of rotations.
[0008]
The invention of the plating method according to
According to the invention of this plating method, since the object to be plated is rotated in a fixed direction having a vector perpendicular to the rotation vector axis of the support, the film thickness of the plating film becomes uniform, and the accuracy is improved. High plating can be applied.
That is, in the present invention, since the object to be plated is always rotated in one direction, the film thickness can be easily controlled uniformly. Further, by rotating the object to be plated, jig traces are not left on the plated product as in the hook plating method. Furthermore, since the object to be plated is rotated by using the rotation of the support, a uniform film can be easily formed with a simple mechanism. And since the rotation direction of a to-be-plated object is constant, it is easy to control the amount of rotations.
[0010]
According to the features of the invention described in
[0011]
Further , according to the features of the invention described in
[0012]
Furthermore, according to the features of the invention described in
[0013]
According to a third aspect of the present invention, there is provided a plating method according to the first or second aspect , wherein the shape of the room is such that the one stable position and the other one are in any state where the support is displaced to any rotational position. It is characterized in that the line connecting the stable positions of the shapes does not overlap with the vertical direction.
According to this feature, the rotation of the object to be plated can be easily controlled by using a room having a shape in which a line connecting one stable position and another stable position does not overlap with the vertical direction. That is, it is possible to easily create a structure in which the object to be plated comes into contact with the wall surface of the room while moving from one stable position to another stable position by gravity during the rotation of the support.
[0014]
According to a fourth aspect of the present invention, in any one of the first to third aspects, the plating bath is agitated by the rotation of the support.
According to this feature, the action of uniformly mixing the plating bath can be obtained by stirring the plating bath using the rotation of the support. As a result, the plating quality can be improved.
[0015]
The invention of the plating method according to
The method of the present invention for plating an object to be plated under a controlled rotation state has a particularly excellent effect in electroplating. Then, in a room partitioned by a non-conductive wall having a shielding action, by rotating the object to be plated in a certain direction, for example, in the case of the object to be plated having an inner peripheral surface, the outer peripheral surface is uniformly shielded. As a result, it is possible to control the formation of an electrically shadowed inner peripheral surface film and the outer peripheral surface film, which was a problem in conventional electroplating, and reduce the difference in film thickness between the inner and outer surfaces. can do.
[0016]
According to a sixth aspect of the present invention, there is provided a plating method according to the fifth aspect , wherein electrodes are provided on the upper and lower portions of the room, and the support rotates and moves upside down. The object to be plated is also turned upside down to come into contact with any one of the electrodes.
According to this feature, in the electroplating, the object to be plated in the room is also reversed and brought into contact with the electrode as the support is reversed, so that the state in which the object to be plated is energized is ensured throughout almost the entire plating time. And good film formation is possible. Moreover, since the surface of the to-be-plated object which contacts an electrode changes with reversing operation, the film thickness of both surfaces can also be controlled uniformly. Furthermore, since only one surface is in contact with the electrode for a long time, film defects such that the plating film is fixed to the electrode and peeled off do not occur.
[0017]
The invention of the plating method according to
[0018]
The plating method according to an eighth aspect is characterized in that, in the seventh aspect , the distance between the upper electrode and the lower electrode is shorter than the height of the room.
According to this feature, since the distance between the upper electrode and the lower electrode is formed shorter than the height of the room, the shielding effect by the wall of the room is ensured, and as a result, a uniform film thickness can be obtained. . That is, since the object to be plated supported by the electrode that also serves as a fall prevention means is hidden in the room, an electrically sufficiently uniform shielding effect can be obtained.
[0019]
An invention of a plating method according to a ninth aspect is characterized in that, in any one of the first to eighth aspects, the shape of the object to be plated is a shape having an inner peripheral surface. The method of the present invention is particularly effective for an object to be plated having a ring shape or a cylindrical shape, for example, since the film thickness of the inner and outer periphery can be controlled almost uniformly even when the object to be plated has a shape having an inner peripheral surface.
[0020]
The invention of the plating method according to
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a perspective view showing an outline of an example of a plating jig suitable for carrying out the plating method of the present invention. The
[0022]
FIG. 2 shows a state in which the
The
[0023]
A
[0024]
At the upper part of the left and
[0025]
Further, the central portion of the gear 23 (the gear 25) is configured to be connectable with a wiring (not shown) here, so that the shaft 34 (see FIG. 3) of the
[0026]
Here, the details of the tray 10 (10a, 10b) will be described with reference to FIGS. FIG. 3 is a perspective view of the
[0027]
On both sides of the
[0028]
The
[0029]
As described above, the
[0030]
Each of the
[0031]
As shown in FIG. 4, the
[0032]
The
[0033]
FIG. 5 is a cross-sectional view of the main part of the
[0034]
The
[0035]
As can be seen from FIG. 5, in this example, in order to obtain a sufficient shielding effect, the height H of the wall surface of the
[0036]
Similarly, in order to obtain a sufficient shielding effect, the
That is, the
[0037]
In this example, the difference between the distance h2 between the upper and
[0038]
FIG. 6 shows a state in which the
[0039]
When plating is performed using the
[0040]
The rotation of the
[0041]
FIG. 7 shows the rotation of the
[0042]
When the
[0043]
When the
[0044]
FIG. 8 is a schematic diagram for explaining the movement of the
[0045]
First, in FIG. 8A, the
[0046]
As the
[0047]
When the
[0048]
By repeating the above operation, the
[0049]
That is, as a result of the rotation of the
In addition, since the outer
Further, the contact portion with the
[0050]
Further, when the
[0051]
In FIG. 8, the
[0052]
The shape (plan view) of the
[0053]
The plating method of this invention can be implemented according to a normal plating process and conditions. The outline of the case where electroplating is performed by the method of the present invention is illustrated. First, after setting the
[0054]
As the
[0055]
The material of the object to be plated may be metal or non-metal, but it is also effective for materials that are difficult to perform precise plating by ordinary methods such as a composite of metal and non-metal or a metal with voids. Examples of such a material include a sintered alloy, a composite of resin and powder metal, a cast alloy, and the like, and more specifically, for example, a sintered magnet, a bond magnet, and a cast magnet.
[0056]
Examples of the magnet raw material include the following [1] to [6], but are not particularly limited thereto.
[1] One having R (where R is at least one of rare earth elements including Y) and a transition metal mainly comprising Co as basic components.
[2] R (where R is at least one of rare earth elements including Y), transition metal (TM) mainly containing Fe, and B as basic components.
[3] R (wherein R is at least one of rare earth elements including Y), transition metal (TM) mainly composed of Fe, and interstitial elements mainly composed of N .
[4] R (where R is at least one of rare earth elements including Y) and a transition metal (TM) such as Fe, and the soft magnetic phase and the hard magnetic phase are adjacent to each other ( Those having a composite structure (including those called nanocomposite structures in particular) that exist (including cases where they are adjacent via a grain boundary phase).
[5] A mixture of at least two of the compositions of [1] to [4].
[6] A mixture of at least one of the above-mentioned compositions [1] to [4] and ferrite powder (for example, Sr-ferrite such as SrO.6Fe 2 O 3 ).
Examples of the binding resin (binder) used for the bonded magnet include thermoplastic resins and thermosetting resins. Examples of the thermoplastic resin include polyamide generally called nylon, thermoplastic polyimide, polyethylene terephthalate, and the like, and one or more of these can be used in combination.
[0057]
On the other hand, as a thermosetting resin, an epoxy resin, a phenol resin, a polyimide resin etc. are mentioned, for example, Among these, 1 type, or 2 or more types can be mixed and used.
[0058]
The plating method of the present invention can form a very uniform plating film with a simple tool and does not cause a defect of the plating film due to jig marks or the like. It is most suitable for plating of the
[0059]
[Action]
As shown in FIG. 8, the
[0060]
However, a straight line connecting one stable position [position of FIG. 8A] in the
[0061]
In order to efficiently rotate the
[0062]
【Example】
EXAMPLES Next, although an Example and a comparative example are given and this invention is demonstrated in detail, this invention is not restrict | limited to these.
[0063]
The film thickness and appearance of the plated products obtained by plating were compared by the plating method of the present invention and the plating method using a barrel jig or the like. The conditions for plating are as follows.
[0064]
<To be plated>
A ring-shaped rare earth bonded magnet having an outer diameter of 19 mm, an inner diameter of 17 mm, and a height of 3.6 mm was used as the object to be plated.
In this magnet, a magnetic powder (MQP-B powder manufactured by MQI) composed of an R-TM-B alloy, an epoxy resin, and a small amount of a hydrazine antioxidant are mixed. Was kneaded at room temperature for 30 minutes to prepare a bonded magnet composition (compound).
At this time, the blending ratio (weight ratio) of the magnet powder, the epoxy resin, and the hydrazine antioxidant was 95 wt%, 4 wt%, and 1 wt%, respectively.
Next, the compound is weighed and filled into a mold of a press machine, and compression-molded at room temperature and at a pressure of 1370 MPa in a non-magnetic field. Then, the epoxy resin is cured by heating at 170 ° C. A bonded magnet was obtained. The bonded magnet was subjected to polishing treatment in the height direction. Thereafter, the bonded magnet was polished by barrel polishing until each ridge became R0.2, and this was used as a magnet body.
[0065]
<Plating conditions>
(1) Method of the present invention:
Set the object to be plated on the plating jig shown in FIG. 1, and after washing, perform matte electroplating using a 50 ° C matte watt bath at 2 A / dm 2 for 30 minutes, and then gloss using a 50 ° C gloss watt bath. Electroplating was performed at 2 A / dm 2 for 20 minutes. The obtained plated product was dried after washing with ultrasonic water washing, hot water washing or the like.
The number of treatments per batch was 28, and the rotation speed of the tray during plating was 3 to 4 rpm.
[0066]
(2) Barrel method:
A barrel jig (having a known configuration) was used. Set the object to be plated in a barrel jig, and after washing, perform matte electroplating using a matte watt bath at 50 ° C for 100 minutes at 1 A / dm 2 , and then perform luster electroplating in a glossy watt bath at 50 ° C. The test was performed at 1 A / dm 2 for 60 minutes. The obtained plated product was dried after washing with ultrasonic water washing, hot water washing or the like.
[0067]
The number of treatments per batch (barrel) was 30, and at the same time, 200 ml of nickel balls having a diameter of 5 mm were put into the barrel. The rotation speed of the barrel during plating was 3 to 4 rpm.
[0068]
(3) Plating with single-sided cathode jig:
A single-sided cathode plating jig having the configuration shown in FIG. 10 was used. This jig individually supports the
[0069]
Set the object to be plated on a plating jig, and after washing, perform matte electroplating using a 50 ° C matte watt bath at 2 A / dm 2 for 30 minutes, and then perform gloss electroplating in a 50 ° C gloss watt bath. 20 minutes at 2 A / dm 2 . The obtained plated product was dried after washing with ultrasonic water washing, hot water washing or the like.
[0070]
The number of treatments per batch was 10, and during the plating time, it was manually swung once every 30 seconds. Here, “swing” refers to shifting the jig in the horizontal direction so that the jig does not adhere to the
[0071]
(4) Plating with auxiliary anode jig:
A plating jig provided with an auxiliary anode having the configuration shown in FIG. 11 was used. This jig is provided with an
[0072]
Set the object to be plated on a plating jig, and after washing, perform matte electroplating using a 50 ° C matte watt bath at 1 A / dm 2 for 60 minutes, and then perform gloss electroplating in a 50 ° C gloss watt bath. 20 minutes at 2 A / dm 2 . The obtained plated product was dried after washing with ultrasonic water washing, hot water washing or the like.
[0073]
The number of treatments per batch was 16, and the plate was kept stationary during the plating time. In addition, since a jig | tool trace by contact | abutting with the
[0074]
<Measurement and results>
(1) About the obtained plated product, while measuring the film thickness of an outer peripheral surface, an inner peripheral surface, the end surface A, and the end surface B, the external appearance was observed visually. The results are shown in Table 1 and FIG.
[0075]
[Table 1]
[0076]
As can be seen from Table 1 and FIG. 12, the plated products plated using the plating method of the present invention were uniform with little difference in film thickness at the outer periphery, inner periphery, end surface A, and end surface B. In addition, no jig marks were left by rolling in the
[0077]
On the other hand, in the plating with the barrel jig, the variation in film thickness between the inner peripheral surface and the outer peripheral surface was large. Further, in the plating with a single-sided cathode jig, the non-uniformity of the film thickness on both end faces was remarkable. This is considered to be because a shielding effect is different between the lower end surface A and the upper end surface B.
[0078]
In the plating using the auxiliary anode jig, the variation in the film thickness was not so large, but foreign matter adhered to the plated product. It is considered that this foreign matter is the nickel used for the
[0079]
In addition, the test was conducted separately when an insoluble anode material (SUS, titanium-platinum, carbon, etc.) was used as an auxiliary anode, but the anode effect was hardly obtained and the film thickness difference between the inner and outer circumferences was improved. I couldn't.
[0080]
(2) The variation in film thickness depending on the part of the plated product by the method of the present invention and the plated product by the single-sided cathode jig was examined.
[0081]
About the sample arbitrarily extracted from the obtained plating products, the film thickness in 12 places shown in FIG. 13 was measured. FIG. 14 shows the results obtained with the method of the present invention, and FIG. 15 shows the results obtained with the single-sided cathode jig.
[0082]
From this result, the plated product obtained by the method of the present invention has (1) less variation in film thickness on the inner periphery, outer periphery, end surface A, and end surface B than the plated product using the single-sided cathode jig, and (2) It was shown that there was little variation in film thickness from site to site.
[0083]
Although the present invention has been described with reference to various embodiments, the present invention is not limited to the above-described embodiments, and can be applied to other embodiments within the scope of the invention described in the claims. It is.
[0084]
【The invention's effect】
According to the plating method of the present invention, the film thickness of the plating film becomes uniform, and it becomes possible to perform highly accurate plating.
That is, since the object to be plated is always rotated in one direction, the film thickness can be controlled uniformly. Moreover, since the object to be plated is rotated, jig traces do not remain on the plated product.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing one embodiment of a plating jig that can be used in the method of the present invention.
2 is a front view of a state in which a tray of the plating jig of FIG. 1 is raised. FIG.
FIG. 3 is a perspective view of a tray.
FIG. 4 is a developed perspective view of a tray.
FIG. 5 is a cross-sectional view of the main part of the tray.
6 is a drawing for explaining a usage state of the plating jig of FIG. 1. FIG.
FIG. 7 is a diagram for explaining the tray turning operation and the movement of the workpiece.
FIG. 8 is a diagram for explaining the movement of a workpiece in a cell.
FIG. 9 is a diagram illustrating an example of a cell shape.
FIG. 10 is a drawing for explaining a single-sided cathode jig.
FIG. 11 is a drawing for explaining an auxiliary anode jig.
FIG. 12 is a graph showing the film thickness for each part due to the difference in plating method.
FIG. 13 is a drawing showing a part for measuring the film thickness of a plated ring-shaped magnet.
FIG. 14 is a graph showing the film thickness at each site when plating is performed by the method of the present invention.
FIG. 15 is a graph showing the film thickness at each site when plating is performed using a single-sided cathode jig.
[Explanation of symbols]
10
Claims (10)
回動自在な支持体内部に配置する被めっき物を、前記支持体に設けた、外部と連通し、かつ被めっき物の落下防止手段を備えた部屋の中に個別に配置し、
前記部屋は、前記支持体の回動時に転動する被めっき物を一定時間安定的に支持する少なくとも二つの安定位置を有し、
前記支持体を回動させることにより、該少なくとも二つの安定位置のうち、一の安定位置から他の一の安定位置へ被めっき物が移動する途中で、前記部屋の壁面の少なくとも1箇所の当接部位に接触させて、被めっき物を前記支持体に対して一定方向に非連続的に回転させて、前記部屋の形状により被めっき物の回転量を制御し、めっきを施すことを特徴とする、めっき方法。 A plating method in which an object to be plated is immersed in a plating bath to form a film on the surface,
The objects to be plated arranged inside the rotatable support body are individually arranged in a room provided on the support body, communicated with the outside, and provided with means for preventing the object to be dropped from falling,
The room has at least two stable positions for stably supporting an object to be plated, which rolls when the support is rotated, for a certain period of time,
By rotating the support, during the movement of the object to be plated from one stable position to the other stable position of the at least two stable positions, at least one contact of the wall surface of the room is performed. in contact with the contact portion, and characterized in that a non-continuously rotated in a certain direction the object to be plated to the support member, controls the rotation amount of the object to be plated by the shape of the room, plated Plating method.
被めっき物を、回動自在な支持体内部に設けた、外部と連通し、かつ被めっき物の落下防止手段を備えた部屋の中に個別に配置し、
前記部屋は、前記支持体の回動時に転動する被めっき物を一定時間安定的に支持する少なくとも二つの安定位置を有し、
前記支持体を回動させることにより、該少なくとも二つの安定位置のうち、一の安定位置から他の一の安定位置へ被めっき物が移動する途中で、前記部屋の壁面の少なくとも1箇所の当接部位に接触させて、被めっき物を該支持体の回動ベクトル軸に対して直角なベクトルをもつ一定方向に回転させて、前記部屋の形状により被めっき物の回転量を制御し、めっきを施すことを特徴とする、めっき方法。 A plating method in which an object to be plated is immersed in a plating bath to form a film on the surface,
The objects to be plated are individually arranged in a room provided inside a rotatable support body, communicated with the outside, and provided with means for preventing the objects to be plated from falling.
The room has at least two stable positions for stably supporting an object to be plated, which rolls when the support is rotated, for a certain period of time,
By rotating the support, during the movement of the object to be plated from one stable position to the other stable position of the at least two stable positions, at least one contact of the wall surface of the room is performed. The contacted part is contacted , the object to be plated is rotated in a fixed direction having a vector perpendicular to the rotation vector axis of the support, and the amount of rotation of the object to be plated is controlled by the shape of the room, and plating is performed. A plating method characterized by applying
前記部屋の壁は非導電性の材質で形成されていることを特徴とする、めっき方法。In any one of Claims 1-3 , the plating method is electroplating which deposits the metal ion in a plating bath on the surface of a to-be-plated object by an electrochemical reaction, and forms a film,
The plating method according to claim 1, wherein the walls of the room are made of a non-conductive material.
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