JP3797357B2 - 電池パック - Google Patents

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Description

この発明は、絶縁ケースに二次電池が内蔵され、該絶縁ケースの外表面に少なくとも正極および負極が外部端子として設けられた電池パックに関する。
軽量、高容量、且つ充電可能な二次電池として、例えばリチウムイオン二次電池が、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型電話機等の移動体電源として目覚しい勢いで普及している。しかしながら、リチウムイオン二次電池は、決められた上限の電圧を超えて充電する(過充電)とリチウムを析出し、下限を超えて放電する(過放電)と内部ショートを発生するといった不具合が発生する問題があった。
そのため、リチウムイオン二次電池の場合、他のアルカリ系二次電池とは異なり、その端子電圧を検知し、出力線を遮断するような保護回路と電池セルとが一体化された電池パックの形で世に供給されるのが一般的である。この出力線を遮断するためには、一般的に半導体スイッチが使用されている。
なお従来、リチウムイオン電池の出力電圧は約3.0V〜4.2Vと高く、汎用の一次電池の出力電圧1.0V〜1.5Vよりかなり高く使用しにくい問題点を解決することを目的とし、電池パックの出力電圧を変換する電圧変換器を内蔵したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−185824号公報
しかしながら、半導体スイッチはメカスイッチより格段に大きな抵抗値を持ち、損失が発生していると言う問題点があった。
また、リチウムイオン二次電池を電源として駆動する電子機器は、リチウムイオン二次電池の端子電圧をそのまま使用しているわけではない。例えば携帯型電話機を例に取ると、近年増加しているTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルを採用するモデルでは、TFT液晶パネル駆動用として正電源の+15V電源、負電源の−10V電源が必要となる。その他にマイコン(マイクロコンピュータ)駆動用として+3V電源が必要となり、ディジタルカメラCCD(Charge Coupled Device)素子用電源およびスピーカ駆動用電源として+5V電源が必要となり、さらに、アンテナ電波発生器用電源として+2.9V〜+4.2Vの電源が必要である。
しかしながら、従来の二次電池を内蔵した電池パックは、出力端子が2端子であり、出力電圧として電池電圧か、特許文献1に記載のような変換された単一の定電圧を出力する構成であった。したがって、電子機器本体にて電圧変圧器にて必要とされる電圧を作る必要があった。
また、電圧変換器の一例として、DC(Direct Current)−DCコンバータを使用した場合、そのエネルギー変換効率は、70%〜90%である。言い換えると、10%〜30%がDC−DCコンバータの発熱として失われているという問題があった。
さらに、電池パックの外装缶と、内装されるリチウムイオン二次電池との隙間(クリアランス)や、内装されるリチウムイオン二次電池の支え等が衝撃によって溶接箇所が剥がれる問題があった。
従って、この発明の目的は、二次電池と電圧変換器とを熱結合させることで電圧変換器の発熱を抑制することができ、それによって電圧変換器を小型化することができるので、電圧変換器を内蔵しても従来と同等サイズにでき、且つ従来より衝撃に強くすることができる電池パックを提供することにある。
上述した課題を達成するために、この発明は、二次電池が内蔵された電池パックにおいて、1以上の電圧変換器と、2以上の異なる電圧を出力する複数の出力端子とを有し、二次電池と電圧変換器とを熱的に結合させるようにした電池パックである。
この発明に依れば、二次電池と電圧変換器とを熱結合させることによって電圧変換器の発熱を抑制することができる。このように、電圧変換器のヒートシンクとして二次電池を利用することができるので、電圧変換器の小型化を図ることができる。また、電圧変換器の発熱が二次電池へ供給されるので、二次電池の低温特性を改善することができる。
さらに、この発明に依れば、二次電池と電圧変換器とを熱結合させることによって、電子機器で必要とされる電圧変換器の小型化を図ることができるので、電池パックに内蔵しても従来と同等サイズの電池パックとすることができる。また、従来電池パックで必要とされた電圧検出回路、半導体スイッチ等を不要とすることができるので、コストの低下を図ることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、この発明の説明を容易とするために、従来の電池パックの構成を説明する。図1に電池パックの従来例を示す。参照符号1で示す二次電池からプラス電極2およびマイナス電極3が導出されている。このプラス電極2は、基板4に設けられている金属板5と抵抗溶接される。同様に、マイナス電極3は、基板4に設けられている金属板6と抵抗溶接される。
基板4には、二次電池1を過充電および過放電から保護するための保護回路7を構成する電子部品、例えばIC(Integrated Circuit)、FET(Field Effect Transistor)、コンデンサ、、抵抗器等が実装されている。これらの電子部品は、基板4に半田付けれる。また、基板4には、プラス外部端子8およびマイナス外部端子9が設けられている。なお、基板4は、一例としてガラスエポキシ基板である。
上ケース11には、プラス外部端子8およびマイナス外部端子9を露出するための、切り欠き部12が2箇所設けられている。上ケース11および下ケース13は、超音波溶着によって固着される。なお、接着剤や両面テープによって上ケース11および下ケース13を固着するようにしても良い。この上ケース11および下ケース13は、同じ深さであり、それぞれ材質は、例えばプラスチックからなる。
これらの構成部品を組み立てた外観図を図2に示す。図2に示すように、二次電池1は、上ケース11および下ケース13で覆われ、露出していない。ただし、上ケース11の2箇所の切り欠き部12からプラス外部端子8およびマイナス外部端子9が露出している。
図3に従来の電池パックの他の例を示す。この図3に示す電池パックは、上ケース16は浅く、下ケース17は深い。また、上ケース16は、略々板状のものを適用しても良い。
この上ケース16および下ケース17を用いて組み立てた外観図を図4に示す。図4に示すように、二次電池1は、上ケース16および下ケース17で覆われ、露出していない。ただし、上ケース16の2箇所の切り欠き部12からプラス外部端子8およびマイナス外部端子9が露出している。
ここで、図5を参照して、この発明が適用された電池パックの概略を説明する。参照符号21で示す電池パックは、二次電池1および電圧変換器22からなり、外部端子23、24、および25が導出される。二次電池1の正極および負極は、電圧変換器22の入力側と接続される。電圧変換器22の出力側は、外部端子23および24が接続される。
一例として、二次電池1は、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、リチウム金属二次電池等を用いることができる。リチウムイオン二次電池の場合、例えば角形電池の構成とされ、二次電池1が全体として鉄の電池缶で被覆されている。また、リチウムポリマー二次電池の場合には、アルミニウムのラミネートフィルムで封止された構成とされている。また、今後開発される種類の二次電池であっても同様に用いることができる。
電圧変換器22としては、種々の構成のものを使用できる。例えば、コンデンサとスイッチ素子を用いたチャージャーポンプ方式、ダイオードとインダクタとコンデンサとスイッチ素子を用いたステップアップコンバータ(ステップダウンコンバータ)、またはトランスとスイッチ素子を用いたスイッチングレギュレータを使用できる。さらに、圧電トランスを用いた圧電インバータ、またはバイポーラトランジスタ素子を用いたシリーズレギュレータを電圧変換器22として使用しても良い。
また、この実施形態では、電圧変換器22は、二次電池1の外装面に対して、後述するように熱伝導性の高い接着剤によって固定され、電圧変換器22のヒートシンクとして二次電池1が使用される。
ここで、この実施形態の回路の一例を図6に示す。二次電池1の正極と外部端子25が接続され、その負極と外部端子23が接続される。外部端子25および23の間には、二次電池1の電池電圧が直接出力される。例えば二次電池1の電池電圧は、2.5V〜4.3Vが適正状態の電圧値、すなわち過放電および過充電の何れでもない状態の電圧値と設定されている。
電圧変換器22の一方の電源端子が二次電池1の正極と接続され、その他方の電源端子が二次電池1の負極と接続される。なお、以下の説明でも同様であるが、電圧変換器の電源端子に供給される直流電圧は、電圧変換器の入力直流電圧となる。電圧変換器22の出力端子が外部端子24として導出される。外部端子24および23の間には、電圧変換器22によって定電圧制御され、電池電圧と異なる値の出力電圧が取り出される。
なお、二次電池1および電圧変換器22は、熱的に結合させるために、熱伝導性の高い接着剤が塗布される。それによって、二次電池を電圧変換器と熱結合されることで、放熱板として利用し電圧変換器を小型化できる。
図7を参照して、この実施形態における回路の他の例について説明する。二次電池1の正極は、放電用の電圧変換器26の一方の電源端子と接続され、その負極は、電圧変換器26の他方の電源端子と接続される。また、二次電池1の負極は、外部端子23と接続される。電圧変換器26から異なる出力電圧が取り出される2つの外部端子27および28が導出される。
また、二次電池1の電池電圧が所定値以下、いわゆる過放電になるような場合、電圧変換器26の動作を停止させて、二次電池1を過放電から保護することができる。
充電用電圧変換器29の入力端子は充電電圧が供給される外部端子30と接続され、その他方の電源端子は外部端子23と接続される。また、充電用電圧変換器29の他方の電源端子は、二次電池1の負極と接続される。充電用電圧変換器29の出力端子は、二次電池1の正極と接続される。
充電用電圧変換器29では、充電器(図示なし)から外部端子23および30から充電電圧が供給され、供給された充電電圧に応じて二次電池1が充電される。
また、充電器から過充電となる電圧および電流が供給されても、充電用電圧変換器29で最適な電圧および電流を二次電池1に対して供給することができるので、二次電池1を過充電から保護することができる。
このように図7に示す回路の他の例では、電圧変換器26によって二次電池1を過放電から保護することができ、充電用電圧変換器29によって二次電池1を過充電から保護することができる。従って、放電制御用のFETおよび充電制御用のFETを省略できる。
実施形態における回路のさらに他の例の構成を図8に示す。この図8の回路は、図6の回路に充電保護回路および放電保護回路を設けたものである。二次電池1の正極と外部端子25が接続され、その負極と外部端子23が放電電流用のスイッチ32および充電電流用のスイッチ34を介して接続される。外部端子25および23の間には、二次電池1の電池電圧が直接出力される。例えば二次電池1の電池電圧は、2.5V〜4.3Vが適正状態の電圧値、すなわち、過放電および過充電の何れでもない状態の電圧値と設定されている。
スイッチ32および34は、例えばNチャンネル型のFETにより構成され、スイッチ32および34と並列に寄生ダイオード33および35が接続される。スイッチ32および34が保護回路31からの放電制御信号36および充電制御信号37によってそれぞれ制御される。
保護回路31は、一般的な回路構成であり、保護回路31によってスイッチ32および34が制御され、過充電保護、過放電保護および過電流保護がなされる。電池電圧が設定電圧範囲内の通常状態であれば、放電制御信号36および充電制御信号37が共に"1"(論理的なレベルを意味する)となり、スイッチ32および34がオン状態とされる。したがって、二次電池1から負荷への放電と、充電器から二次電池1への充電が自由に行える。
電池電圧が設定電圧範囲より低いと、放電制御信号36が"0"(論理的なレベルを意味する)となり、スイッチ32がオフとされ、放電電流が流れることを禁止する。その後充電器を接続すると、寄生ダイオード33を介して充電がなされる。
設定電圧範囲より電池電圧が高いと、充電制御信号37が"0"となり、スイッチ34がオフとされ、充電が禁止される。負荷への放電は、寄生ダイオード35を介して行われる。
さらに、外部端子25および23の間が短絡されると、過大放電電流が流れ、FETが破壊される可能性があるので、放電電流が所定の電流値に達すると、放電制御信号36が"0"となり、スイッチ32がオフとされ、放電電流が流れることを禁止する。
電圧変換器22の一方の電源端子が二次電池1の正極と接続され、その他方の電源端子がスイッチ32および34を介して二次電池1の負極と接続される。電圧変換器22の出力端子が外部端子24として導出される。外部端子24および23の間には、電圧変換器22によって定電圧制御され、電池電圧と異なる値の出力電圧が取り出される。
次に、上述した電圧変換器22等の回路部を二次電池1と熱的に結合させるための構成の幾つかの例を説明する。図9は、この発明の第1の実施形態を示す。図9Aは、電池パックの平面図を表し、図9Bは、電池パックの側面図を表す。プラス外部端子41(外部端子25)、電圧変換外部端子42(外部端子24)、およびマイナス外部端子43(外部端子23)は、例えば基板4と半田付けされ、基板4および二次電池1の間に、電圧変換器22が介在される。
このように、二次電池1の外装面に電圧変換器22が接触するように構成される。この二次電池1の外装面と電圧変換器22との間に、熱伝導性の高い接着剤が塗布される。さらに、必要に応じて二次電池1、基板4、および電圧変換器22とそれらの周囲のケースとの隙間に、熱伝導性の高い充填剤が充填される。
この発明の第2の実施形態を図10に示す。図10Aは、電池パックの平面図を表し、図10Bは、電池パックの側面図を表す。二次電池1と、基板4とは、プラス端子46およびマイナス端子47を介して接続される。
二次電池1の外装面に電圧変換器22がマウントされた基板4が接触するように構成される。この二次電池1と基板4との間に、熱伝導性の高い接着剤が塗布される。さらに、必要に応じて二次電池1、基板4、および電圧変換器22とそれらの周囲のケースとの隙間に、熱伝導性の高い充填剤が充填される。
次に、図8に示した回路例をこの発明を適用した、この発明の第3の実施形態を図11および図12に示す。この図11に示す基板4には、二次電池1を過充電および過放電から保護するための保護回路を構成する電子部品51、例えばFET、コンデンサ、抵抗器、電圧変換器、チョークコイル等が実装されている。この基板4に実装される電圧変換器は、電圧変換器22である。
チャージャーポンプ方式の電圧変換器、スイッチングレギュレータとして、4mm角程度の非常に小型のものが開発されており、電池パックに電子部品51の1つとして電圧変換器22を内蔵するのは比較的容易である。これらの電子部品51は、基板4に半田付けされる。また、基板4には、プラス外部端子52、電圧変換外部端子53、およびマイナス外部端子54が設けられている。
上ケース55には、プラス外部端子52(外部端子25)、電圧変換外部端子53(外部端子24)、およびマイナス外部端子54(外部端子23)を露出するための、切り欠き部56が3箇所設けられている。上ケース55は浅く、下ケース57は深い。また、上ケース55は、略々板状のものを適用しても良い。上ケース55および下ケース57は、超音波溶着によって固着される。なお、接着剤や両面テープによって上ケース55および下ケース57を固着するようにしても良い。この上ケース55および下ケース57の材質は、例えばプラスチックからなる。
これらの構成部品を組み立てた外観図を図12に示す。図12に示すように、二次電池1は、上ケース55および下ケース57で覆われ、露出していない。ただし、上ケース55の3箇所の切り欠き部56からプラス外部端子52、電圧変換外部端子53、およびマイナス外部端子54が露出している。このように、二次電池1と電圧変換器22とが共通のケースに収納されている。
この第3の実施形態の電池パックは、組み立て時に、熱伝導性の高い充填剤を充填するような場合、下ケース57が深いので充填剤が外部にはみ出難い。上述した図1および図2に示すように、下ケース13が浅いと、組み立て時に、充填剤を大量に塗布した場合、充填剤がケースの外部にはみ出し、外観不良になってしまう不都合があるが、この図11および図12に示すように下ケース57が深いとその不都合を解消することができる。
このように、上ケース55および下ケース57の内部(隙間)に、熱伝導性の高い充填剤を充填して二次電池1および基板4、並びに上ケース55および下ケース57を固定させるため、衝撃に強い電池パックを構成することができる。さらに、基板4の近傍に大量の熱伝導性の高い接着剤を塗布することによって、電圧変換器22と二次電池1とは熱的により強く結合する。
なお、図示しないが上ケース55および下ケース57に、放熱用の空隙、スリット等を設けるようにしても良い。
このように、電池パック内に熱伝導性の良い樹脂を封入するので、ケースと内容物を一体化することができる。従って、振動および落下強度を改善することができ、従来の電池パックより衝撃に強い電池パックとすることができる。さらに、外部からの異物の混入を回避することができるので、電池パック内の回路のショート(短絡)を回避することができる。また、有機電解液の流出、いわゆる電池の液漏れを防ぐことができるので、有機電解液が基板へ付着することを回避することができる。従って、発火および発煙を防止することができる。
この発明の第4の実施形態の外観図を図13に示す。図13Aは、二次電池1等の平面図を示し、図13Bは、二次電池1等の側面図を示す。図13に示すように、基板4の一面には電圧変換器22、電圧検出回路、半導体スイッチ等が設けられ、その他面にはプラス外部端子52、電圧変換外部端子53、マイナス外部端子54、金属板5および6が設けられる。この金属板5および6には、二次電池1から導出されるプラス電極2およびマイナス電極3が接続される。
二次電池1の端部に設けられたテラス部61には、電圧変換器22等が配置される。言い換えると、このテラス部61は、基板4の一面に設けられた電圧変換器22等を配置可能な大きさとされる。このテラス部61は、二次電池1の端部に設けられた金属フィルム、例えばラミネートフィルムの溶着部である。そして、二次電池1と電圧変換器22を熱的により強く結合させるために、テラス部61と電圧変換器22との間に、熱伝導性の高い接着剤が塗布される。
なお、必要に応じて二次電池1、基板4、電圧変換器22等とそれらの周囲のケースとの隙間に、熱伝導性の高い充填剤を充填するようにしても良い。
この発明の第5の実施形態の外観図を図14に示す。図14Aは、二次電池1等の平面図を示し、図14Bは、二次電池1等の側面図を示す。なお、図14Bにおいて、タブ63および64は省略する。図14に示すように、基板4の一面には電圧変換器22や電圧検出回路、半導体スイッチ等が設けられ、その他面にはプラス外部端子52、電圧変換外部端子53、マイナス外部端子54等が設けられる。
二次電池1の端部に設けられたテラス部61には、電圧変換器22等が配置される。言い換えると、このテラス部61は、基板4の一面に設けられた電圧変換器22等を配置可能な大きさとされる。このテラス部61は、二次電池1の端部に設けられた金属フィルム、例えばラミネートフィルムの溶着部である。そして、二次電池1と電圧変換器22を熱的により強く結合させるために、テラス部61と電圧変換器22との間に、熱伝導性の高い接着剤が塗布される。
基板4の他面に設けられる金属板5(図示なし)および二次電池1の負極は、タブ63を介して接続される。一例として、タブ63は、抵抗溶接またはスポット溶接等が施され、金属板5および二次電池1の負極と接続される。同様に、基板4の他面に設けられる金属板5(図示なし)および二次電池1の負極は、タブ64によって接続される。一例として、タブ64は、抵抗溶接またはスポット溶接等が施され、金属板5および二次電池1の負極と接続される。
なお、必要に応じて二次電池1、基板4、電圧変換器22等とそれらの周囲のケースとの隙間に、熱伝導性の高い充填剤を充填するようにしても良い。
この実施形態で使用される接着剤や充填剤について説明する。図15に示す特性図は、ケースと二次電池1との隙間に接着剤を塗布し、電池パックの周囲温度である雰囲気温度45℃における高負荷電流5.8Aの放電をしたときの二次電池1の温度曲線a、b、およびcと、電池パックのプラス外部端子52およびマイナス外部端子54の間の電圧曲線dとを示す。
温度曲線aは、ソニーケミカル株式会社製のSC901を使用したときの温度変化を示す。このSC901は、熱伝導率が0.84W/m・K(2.0×10-3cal/cm・sec・℃)、比重が1.65、金属粉(アルミニウム粉)が50重量%、接着力(引っ張り強さ)が2.9MPaであり、乾燥時に体積膨張しないシリコン接着剤である。時間経過と共に二次電池1の温度が上昇し、放電末期における二次電池1の温度は約57.6℃になる。
温度曲線bは、セメダイン株式会社製のスーパーXを使用したときの温度変化を示す。このスーパーXは、熱伝導率は0.2W/m・K(0.48×10-3cal/cm・sec・℃)であり、極めて熱伝導性の悪い接着剤である。時間経過と共に二次電池1の温度が上昇し、放電末期における二次電池1の温度は約61.6℃になる。
温度曲線cは、熱伝導率が0.4W/m・K(0.96×10-3cal/cm・sec・℃)の接着剤を使用したときの温度変化を示す。この接着剤は、金属粉(アルミニウム粉)が20重量%、シリコーン80重量%のものであり、接着力は2MPa以上であり、乾燥時に体積拡張しない接着剤である。時間経過と共に二次電池1の温度が上昇し、放電末期における二次電池1の温度は約60.2℃になる。
このように、接着剤の熱伝導率の差によって放電末期における二次電池1の温度が異なる。そこで、この実施形態では、電圧変換器22と二次電池1とをより強く熱的に結合させるために、熱伝導性の高い接着剤として、例えば熱伝導率が0.4W/m・K(0.96×10-3cal/cm・sec・℃)以上のものが使用される。
この実施形態で使用される接着剤および充填剤の幾つかの例を以下に示す。まず、2液加熱硬化型放熱用シリコーンゲルの一例として、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSE4445CV A/Bがある。このSE4445CV A/Bは、型に流し込んで、長時間加熱し、硬化し、製作した板形状のゲルシートである。硬化物シートは密着性、追随性、粘着性に優れた難燃タイプであり、熱伝導率は、1.26W/m・Kであり、また電気絶縁性にも優れている。そのため、様々な隙間(クリアランス)に対応することができる。
また、1成分形温硬化型シリコーン接着剤の一例として、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSE9184WHITE RTVがある。このSE9184WHITE RTVの熱伝導率は、0.84W/mK(2.0×10-3cal/cm・sec・℃)と高く、放熱性にも優れている。また、体積抵抗率は、1×1015Ω・cmであり、電気絶縁性に優れている。
また、1成分オキシム形の液状シリコーンゴムの一例として、ジーイー東芝シリコーン株式会社製のTSE3843−Wがある。このTSE3843−Wは、塗布して、乾燥後は、固体化する。熱伝導率は、0.8W/mK(1.9×10-3cal/cm・sec・℃)と高く、放熱性にも優れている。また、体積抵抗率は、2×1015Ω・cmであり、電気絶縁性に優れている。チューブから押し出すだけで常温で硬化し、ゴム状弾性体になる。
また、ゲル状の板の一例として、株式会社ジェルテック製のラムダゲルがある。このラムダゲルの熱伝導率は、1.8W/mKと高く、放熱性にも優れている。また、体積抵抗率は、3.4×1012Ω・cmであり、電気絶縁性に優れている。ゲル状なので、凹凸部品の隙間を埋め、密着し、接触面に空気層を形成しないものである。
また、接着剤の一例として、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSE4486がある。このSE4486の熱伝導率は、1.59W/mK(3.8×10-3cal/cm・sec・℃)と高い。
また、両面テープの一例として、株式会社寺岡製作所製の熱伝導性両面テープNo7090がある。この熱伝導性両面テープNo7090は、熱伝導率が1.0×10-3cal/cm・sec・℃である。
このように、熱伝導率の高い接着剤を使用することによって、基板4上に設けられた電圧変換器22および二次電池1は、より強く熱的に結合することができる。
この実施形態では、電池パックから出力される電圧は、異なる2つの電圧としたが、3つ以上の異なる電圧を出力するようにしても良い。その場合、複数の電圧変換器を基板に設けるようにしても良いし、1つの電圧変換器から複数の異なる電圧を出力するようにしても良い。
この発明は、上述したこの発明の実施形態等に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
従来の電池パックの構成図である。 従来の電池パックの構成図である。 従来の電池パックの構成図である。 従来の電池パックの構成図である。 この発明が適用された電池パックの概略について説明するための略線図である。 この発明が適用される実施形態の回路の一例について説明するための回路図である。 この発明が適用される実施形態における回路の他の例について説明するための回路図である。 この発明が適用される実施形態における回路のさらに他の例について説明するための回路図である。 この発明が適用される第1の実施形態について説明するための構成図である。 この発明が適用される第2の実施形態について説明するための構成図である。 この発明が適用される第3の実施形態について説明するための構成図である。 この発明が適用される第3の実施形態について説明するための構成図である。 この発明が適用される第4の実施形態について説明するための外観図である。 この発明が適用される第5の実施形態について説明するための外観図である。 この発明に適用される充填剤について説明するための特性図である。
符号の説明
1 二次電池
2 プラス電極
3 マイナス電極
4 基板
5、6 金属板
7 保護回路
8 プラス外部端子
9 マイナス外部端子
12 切り欠き部
16 上ケース
17 下ケース
22 電圧変換器
23、24、25 外部端子
41 プラス外部端子
42 電圧変換外部端子
43 マイナス外部端子

Claims (7)

  1. 二次電池が内蔵された電池パックにおいて、
    1以上の電圧変換器と、
    2以上の異なる電圧を出力する複数の出力端子とを有し、
    上記二次電池と上記電圧変換器とを熱的に結合させるようにした電池パック。
  2. 上記二次電池と上記電圧変換器とが共通のケース内に収納された請求項1に記載の電池パック。
  3. 上記電圧変換器が設けられた基板が上記二次電池の外装面に接触する請求項1に記載の電池パック。
  4. 上記電圧変換器が設けられた基板が熱伝導性の接着剤を介して上記二次電池の外装面に接触する請求項1に記載の電池パック。
  5. 上記二次電池の端部の金属フィルム溶着部に接して上記電圧変換器が配置された請求項1に記載の電池パック。
  6. 上記二次電池と上記電圧変換器とを熱伝導性の接着剤で熱的に結合させるようにした請求項1に記載の電池パック。
  7. 上記二次電池と上記電圧変換器とを熱伝導性のゲル状の充填剤で熱的に結合させるようにした請求項1に記載の電池パック。
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