JP3796741B2 - オフセットされた楕円ガラスシール中に絶縁された真直ぐなピンを備えた密閉電気フィードスルー装置 - Google Patents

Description

本発明は、特にエアバッグ・イグナイター（点火器）の起爆剤又はスキブ（導火爆管）用の密閉電気フィードスルー装置に関する。

従来の技術

自動車の乗客を衝突時に保護するために使用されるエアバッグ装置は、ダッシュボード、あるいはステアリングホィールに搭載された膨張可能なバッグと、該バッグを膨張させるために気体を爆発させる気体発生装置と、衝突を示す電気信号を発生させるための加速度センサー、及び該バッグを膨張させる気体を発生させる主チャージを点火するための中空室のトリガーチャージを、加速度センサーに応答して点火するためのイグナイターとを備えている。
エアバッグ装置のイグナイターは所謂ヘッダーあるいはスキブから構成される。このヘッダーあるいはスキブは、例えば米国特許第５，２４３，４９２号、及び米国特許第５，７７２，２４３号に記載されているように、トリガーチャージを含む中空室に電流を供給する密閉電気フィードスルー装置と、該密閉電気フィードスルー装置に対して電気的に接続される細いブリッジワイヤとからなっている。このブリッジワイヤは、十分な電流がフィードスルー装置を介してトリガーチャージに流されると該トリガーチャージを点火する。密閉電気フィードスルー装置は他のタイプの装置にも使用される。

先行技術の密閉電気フィードスルー装置を製造する方法において、米国特許第５，７０９，７２４号、米国特許第６，２７４，２５２号、米国特許第５，２４３，４９２号、米国特許第５，１５７，８３１号、米国特許第４，６７８，３５８号及び米国特許第４，４３０，３７６号に記載されているように、金属絶縁体又はプラグには円形貫通口が設けられ、あるいは金属アイレットには円形キャビティが設けられている。絶縁されたピンと称される導電性ピンは貫通口又はキャビティに密閉された対金属ガラスシールによって密閉される。
対金属ガラスシールは、利点が金属とガラスの熱膨張特性の違いから得られる圧縮の多様性から得られてもよく、あるいは米国特許第５，７０９，７２４号、や米国特許第６，２７４，２５２号に記載されたように分子結合によるものでもよい。
密閉フィードスルー装置は、適切な熱膨張係数を有し中心孔を備えた、適当な大きさのガラスプレフォームを切断し、金属ディスクの貫通口にあるいは金属アイレットのキャビティにガラスプレフォームを配置し、該プレフォームの孔に導電性の絶縁されたピンを挿入し、ガラスプレフォームの軟化点以上の高温に該アセンブリーを加熱し、その後、全体のアセンブリーを冷却して該金属ディスク又はアイレットがガラスより収縮することにより対金属ガラス圧縮シールで製造される。米国特許第５，２４３，４９２号に記載されているように、接地ピンを該絶縁されたピンに略平行な金属ディスク又はアイレットに接続することができる。

米国特許第４，７８８，３８２号、及び同第５，１５７，８３１号に記載されているように、絶縁されたピン及び／又は接地ピンには貴金属コーティングを設けて腐食を防止することもできる。
結果として得られた電気フィードスルー装置は、例えば該電気フィードスルー装置の前面の絶縁されたピンとアイレット又は金属ディスクの本体との間のガラスシールに対してブリッジワイヤを接続することでエアバッグイグナイター用のヘッダー又はスキブを製造するために使用することができる。
先行技術の電気フィードスルー装置の導電性ピンは円形断面であり、先行技術金属リング又はアイレットの貫通口又はキャビティは円形である。絶縁されたピンが組立て時に金属リング又はアイレットの貫通口に中央に配置されるため、比較的狭い範囲の長さのブリッジワイヤだけが電気フィードスルー装置の前面に対して接続可能であり、例えばエアバッグのスキブ又は起爆剤になるのは不利なことである。従って、異なったサイズの貫通口と異なった直径の絶縁ピンを備えた電気フィードスルー装置の異なった実施形態は、例えば異なったエアバッグ装置製造者用にあるいは異なった起爆剤又はスキブ製造者用に製造することが必要である。この結果、異なった起爆剤用の種々の異なったタイプの密閉電気フィードスルー装置のために、保管、分配又は取り付け費用を含む比較的大きな製造コストになる。

本発明の目的は、特に、上記不具合を引き起こさないエアバッグ点火装置用の起爆剤又はスキブの改良された密閉電気フィードスルー装置を提供することである。
本発明の他の目的は、大きな範囲のブリッジワイヤ長さに対応でき、それによって異なったブリッジワイヤを要求する、スキブ又は起爆剤の異なった製造者であっても本発明に係る電気フィードスルー装置の同じ実施形態を使用できることとなる、少なくとも１本のブリッジワイヤを有する上記タイプのエアバッグ膨張装置の起爆剤又はスキブ用汎用性密閉電気フィードスルー装置を提供することでもある。
本発明の更なる目的は、導電性ピンがガラスシールでシールされ、歪分散がガラスシール全体で均一である上記タイプの密閉電気フィードスルー装置を提供することである。

本発明によれば、密閉電気フィードスルー装置は、
楕円あるいは長円貫通口が設けられ、前面と裏面とを有する導電性本体であって、前記楕円あるいは長円貫通口は前記導電性本体の中心からオフセット配置されている導電性本体と；
ガラスシールによって前記楕円あるいは長円貫通口の中央で密閉されて、前記導電性本体の裏面から外部に突出し、また一端が該導電性本体の前面からアクセス可能であるいは該前面にさらされている、導電性で真直ぐな絶縁されたピンと；
前記楕円あるいは長円貫通口に隣接して前記導電性本体の裏面に接続されており、前記絶縁されたピンに略平行に該導電性本体の裏面から外部に突出する導電性の真直ぐな接地ピンとからなり、
該楕円あるいは長円貫通口は、種々の長さの異なったブリッジワイヤが前記導電性本体の前面と、該導電性本体の前面からアクセス可能あるいは該前面にさらされた真直ぐな絶縁されたピンの一端と、の間で接続可能であるように、長軸と短軸を有する。

本発明に係る電気フィードスルー装置は、導電性本体の貫通口が楕円又は長円断面を有するため、該電気フィードスルー装置の前面に対して接続される１本又は２本以上のブリッジワイヤ長さの範囲を広くすることができる大きな利点がある。従って、１種類の電気フィードスルー装置の製造で、例えばエアバッグの膨張装置用のスキブ又は起爆剤を製造するために該電気フィードスルー装置を使用する多数の異なった製造者のニーズに対応できる。この電気フィードスルー装置の価格の安さは、構成要素の種類が低下したことによる容積の増大のためのものである。
さらに、ブリッジ長さが同じワイヤをガラスシールの四分円の各々に有利に溶接可能である。二重ブリッジワイヤを同時に容易に溶接可能である。さらに、シール領域が対象形であるので、ガラス内の歪分布がバランスされる。薄いヘッドを、同じかそれ以上の強度のガラスシールで製造することができる。
この発明の好ましい実施形態では、該導電性本体は円形金属ディスクあるいはアイレットであり、真直ぐで絶縁されたピンと真直ぐな接地ピンは金属からなり、円形横断面を有し、それにより該フィードスルー装置の製造が単純化される。

真直ぐな接地ピンはその自由端が、絶縁されたピンの自由端と、円形金属ディスクの裏面から少なくとも略同じ距離にあるように、真直ぐな絶縁されたピンに対して短くなっているのが好ましい。
真直ぐな絶縁されたピンの露出面と、ガラスシールの前面と、円形金属ディスクの前面は互いに略又は正確に平坦か、あるいは略又は正確に同一面にあるのが好ましい。
電気フィードスルーの製造と組立ては、絶縁されたピンと接地ピンが共に真直ぐなため、比較的容易である。しかし、真直ぐなピンを使用するため、貫通孔を円形金属ディスクの中心からオフセットしなければならない。外径と内径が同じに保持されると、特定のプロフィールも加圧も組立て品をシールするのに不要である。ガラスシールを作るために使用されるガラス予備成形物内の開口の直径は、先行技術のガラス予備成形物の開口と同じで有利であるが、ガラス予備成形物の外形が長円又は楕円に変えられる。
固定コストは、実施形態の種類が少ないため、また真直ぐなピンを使用しているために低減される。原料コストは、常温成形又は金属射出成形を円形金属ディスクやアイレットを製造するために使用できるために低減される。また、構成部品生産量が多いと原料コストが低下する。
ここで、この発明の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して以下の好ましい実施形態の説明に基づいてより詳細に説明する。

発明の実施形態

本発明に係る電気フィードスルー装置の単一で真直ぐなピンの実施形態を図面で示す。
図１及び図２は該密閉電気フィードスルー装置の真直ぐなピンの実施形態１０を示している。この電気フィードスルー装置は、中心からオフセットされた楕円又は長円貫通孔又は開口Ｏを設けた円形金属ディスク１１を備えている。用語「オフセット」は楕円又は長円貫通孔Ｏの中心が円形金属ディスク１１の中心に一致しないことを意味している。楕円又は長円の貫通孔又は開口Ｏの中心は、図面に図示された実施形態において円形金属ディスク１１の中心から該金属ディスクの端部までの略半分の距離である。

真直ぐな絶縁されたピン１３は円形金属ディスク１１の裏側から外部、後方（左側）へ突出している。絶縁されたピン１３は、ガラスシール１７で、円形金属ディスク又はアイレット１１の楕円又は長円開口Ｏでシールされている。このガラスシール１７は、オフセットされた楕円又は長円開口Ｏ内の絶縁されたピン１３と該金属ディスク１１との間のスペースを充填している。絶縁されたピン１３は円形横断面を有している。絶縁されたピン１３の前面（右側）の中心は、図示された実施形態の楕円又は長円開口Ｏの少なくとも略中心に配置されている。
真直ぐな接地ピン１５は、図１のディスク１１の表側に示された例えば矢印Ｂで示された軸方向Ｂに円形金属ディスク１１の裏側から外部、後方へ突出している。接地ピン１５はロウ付けリング１６で円形金属ディスク又はアイレット１１の裏面に取り付けられ、ロウ付けピンとも呼ばれている。
絶縁されたピン１３と接地ピン１５の双方が金属、例えばニッケル−鉄などの導電性材料から製造されており、パラジウムあるいは金などの別の金属でメッキして腐食防止を行うことができる。

図１及び図２に示した実施形態において、絶縁されたピン１３及び接地ピン１５は円形金属ディスク１１の裏面から延びており、互いに平行である。それら２つのピン１３，１５は円形金属ディスク１１の中心軸に関して反対側に配置されている。該接地ピン１５は、双方のピンの自由端が該円形金属ディスク１１の裏側から略同一距離にあるように、絶縁されたピン１３より短い。図１及び図２に示した実施形態では、ガラスシール１７に挿入された絶縁ピンの端部が円形金属ディスク１１とガラスシール１７の双方の前面に略平坦か同一面にある。この実施形態では、円形金属ディスク１１と、ガラスシールのそれぞれの前面と、絶縁されたピン１３の露出端部が略あるいは正確に同一平面にある。
イグナイターの一部としての使用では、細い金属ブリッジワイヤ１９（図２に破線で示した）がディスク１１の前面で延びており、絶縁されたピン１３を接地ピン１５に電気接続することになる。該細い金属ワイヤ１９が接続されている円形金属ディスク１１の前面の領域は、細いブリッジワイヤ１９が２つのピン間のギャップにブリッジをかけるため、ブリッジ領域と呼ばれる。しかしこの細いブリッジワイヤ１９は本発明の一部ではなく、そのため破線で示してある。該電気フィードスルー装置は、細いブリッジワイヤ１９を付けずに、エアバッグ膨張装置用の起爆剤又はスキブの種々の製造者に個別に販売される。該電気フィードスルー装置はエアバッグイグナイターの他に別の用途があると考えられる。

同様の密閉電気フィードスルー装置を、そのイグナイター装置に種々の長さの細いブリッジワイヤ１９を必要とする種々の製造者に販売することができる。その理由は、絶縁されたピン１３と円形金属ディスク１１のそれぞれの前面における距離が、貫通孔及びそれによるガラスシール１７が長円又は楕円であるために変化するからである。従って、本発明の密閉電気フィードスルー装置は、異なった製造者のエアバッグ・イグナイター用の汎用電気フィードスルー装置となり有利である。
図２に示したように、ガラスシール１７を横切る距離がヘッダーアセンブリーの表面で最大である長いブリッジ領域がある。また、ガラスシール１７を横切る距離がその最小であるヘッダーアセンブリーの表面で短いブリッジ領域がある。細いブリッジワイヤ１９は、ガラスシールを横切る距離が最短と最長の距離の間にある位置で図２に示されている。

このように、同じ密閉電気フィードスルー装置を、異なった長さの細いブリッジワイヤ１９をイグナイター装置に必要とする種々の製造者に販売することができる。従って、本発明の密閉電気フィードスルー装置は、種々の製造者のエアバッグ・イグナイター用の汎用フィードスルー装置であり、有利である。さらに、同じ長さのブリッジワイヤをガラスシールの四分円全てに溶接することができる。二重ブリッジワイヤを同時に容易に溶接することができる。
例えば、長円孔の長軸を３．０２ないし３．０７ｃｍの範囲とすることができ、長円孔の短軸を２．２６ないし２．３１ｃｍの範囲とすることができる。円形金属ディスク１１の中心から接地ピン１３の前面の中心までの距離は約１．５ｃｍであり、ピン双方間の距離は約３．０ｃｍである。
本発明の密閉電気フィードスルー装置のガラスシール１７は、この発明の背景部分に開示された方法、特に米国特許第６，２７４，２５２号、及び米国特許第５，７０９，７２４号に開示された方法によって製造することができる。請求されたフィードスルー装置における発明改良点は、主に、ピン断面及び／又は貫通口用に選択される形態にある。

この発明は密閉電気フィードスルー装置で具体化されたように例示し説明されたが、種々の改良や改造が本発明の趣旨からなんら逸脱することなくなされるため、図示された詳細に限定されるものではない。
他の分析がなくても、前の説明が本発明の要旨を非常に十分に示しているので、現在の知識を適用して、先行技術の観点からこの発明の包括的あるいは特定の態様の本質的特性をかなり構成する特徴を省略しないで種々の用途にこの発明を容易に適応することができる。

図２の断面線Ａ−Ａに沿ったこの発明に係る電気フィードスルー装置の第１実施形態の長手方向断面図である。 図１に示された電気フィードスルー装置の、図１の矢印Ｂで示された方向からの正面図である。

符号の説明

１１・・・導電性本体
１３・・・絶縁されたピン
１５・・・接地ピン
１７・・・ガラスシール

Claims (6)

1. 楕円あるいは長円貫通口（Ｏ）が設けられ、前面と裏面とを有する導電性本体（１１）であって、前記楕円あるいは長円貫通口（Ｏ）は前記導電性本体（１１）の中心からオフセット配置されている導電性本体（１１）と；
   ガラスシール（１７）によって前記楕円あるいは長円貫通口（Ｏ）の中央で密閉されていて、一端が前記導電性本体の裏面から外部に突出し、他端が該導電性本体（１１）の前面からアクセス可能であるか、あるいは該前面にさらされている、導電性で真直ぐな絶縁されたピン（１３）と；
   前記楕円あるいは長円貫通口に隣接する前記導電性本体（１１）の裏面に接続されており、前記絶縁されたピンに略平行な該導電性本体（１１）の裏面から外部に突出する導電性の真直ぐな接地ピン（１５）とからなり、
   該楕円あるいは長円貫通口（Ｏ）は、種々の長さの異なったブリッジワイヤが前記導電性本体（１１）の前面と、該導電性本体（１１）の前面からアクセス可能であるか、あるいは該前面にさらされた真直ぐな絶縁されたピン（１３）の一端との間で接続可能であるように、長軸（ａ）と短軸（ｂ）を有することを特徴とする密閉電気フィードスルー装置。
2. 前記導電性本体（１１）は円形金属ディスクであることを特徴とする請求項１に記載の密閉電気フィードスルー装置。
3. 前記真直ぐな絶縁されたピン（１３）と前記真直ぐな接地ピン（１５）は各々金属から作られ、円形横断面を有し、前記真直ぐな接地ピン（１５）は前記真直ぐな絶縁されたピン（１３）に対して、前記絶縁されたピンと前記接地ピンの自由端が前記円形金属ディスクの裏面から略同じ距離にあるように短くなっていることを特徴とする請求項２に記載の密閉電気フィードスルー装置。
4. 前記真直ぐな絶縁されたピン（１３）の前記一端と、前記ガラスシール（１７）と、前記円形金属ディスクの前記前面は、互いに少なくとも略平坦あるいは少なくとも略同一面にあるそれぞれ前面を有することを特徴とする請求項２に記載の密閉電気フィードスルー装置。
5. 前記真直ぐな接地ピン（１５）と前記真直ぐな絶縁されたピン（１３）は前記円形金属ディスクの前記中心に対して反対側に配置されていることを特徴とする請求項２に記載の密閉電気フィードスルー装置。
6. 前記真直ぐな接地ピン（１５）は前記円形金属ディスクにロウ付けリング（１６）によって接続されることを特徴とする請求項２に記載の密閉電気フィードスルー装置。
   
   
   

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