JP3794870B2 - 回収ボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙パルプ等の排液から熱エネルギーを回収するための回収ボイラに関し、節炭器を下方に配置し、スペースを有効利用することによりコンパクトな構造とし、据付面積を小さくするようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は紙パルププラントに用いられている回収ボイラの一般的な構成図である。図において、20は回収ボイラ火炉であり、21はドラム、22は過熱器であり蒸気を発生するもの、23は一次節炭器、24は二次節炭器であり排ガスにより給水を加熱するものである。25,26はそれぞれホッパで排ガス中のNa、アルカリ成分を含む灰やダストを落下させて除去する。27は電気集じん器で微細なダストを集塵するもの、28は誘引ファン(IDF)、29は給水ヒータで排ガスの排熱により給水を加熱するもの、30は煙突である。
【0003】
上記構成の回収ボイラにおいて、回収ボイラ火炉20の底部にはチャー40が滞留しており、紙パルプの排液である黒液42がノズルより回収ボイラ火炉20内に噴射され、流入する燃焼用空気41とで加熱状態のチャー40により点火して燃焼し、その排ガスとしての燃焼ガス50により過熱器22を加熱し、蒸気を発生させる。過熱器22を過熱したガス50aは二次節炭器24に50bのように流れ、二次節炭器24を通る給水を加熱し、50cのように一次節炭器23へ流入し、50d,50eのように一次節炭器23内の給水を加熱して50fのようにダクトから流出する。この過程において、排ガス中に含まれる灰分はホッパ25,26で集塵されるが、灰分は燃料中には50%程度含まれており、これらを効果的に除去しないと排ガスの通路が狭くなり熱効率の低下をまねくことになる。
【0004】
ダクトから流出したガス50fは電気集じん器27で微細な塵が取り除かれ、50gのように誘引ファン28で吸引され、給水ヒータ29を通って煙突30より大気へ排出される。給水ヒータ29では給水を排ガスの排熱により加熱し、脱気器31へ導き、脱気された後の給水はポンプ32で一次節炭器23へ送られ、一次節炭器23で加熱され、更に二次節炭器24へ流入し、ここで再度加熱されてドラム21へ導かれる。また、回収ボイラ火炉20で加熱され発生した蒸気はドラム21で汽水分離後、過熱器22で過熱され外部の系統へ導かれ、発電等に有効利用される。又、ドラム21で気水分離された水は図示省略の下降管を通って回収ボイラ火炉20の底部へ導かれ、底部を冷却及び熱交換を行う。
【0005】
図5は上記に説明した回収ボイラの詳細な構成を示す図であり、回収ボイラ火炉20、ドラム21、過熱器22、一次、二次節炭器23,24、ホッパ25,26及び下降管33のすべては支持構造61の枠組内に収納されており、特に長尺形状の一次節炭器23は上部の梁60から懸吊する構造であり、その支持構造の梁60も重量が大きく、その据付もかなりの工数を必要としており、支持構造61も強固な構造にする必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来の回収ボイラの構造は、長尺の一次節炭器が上部の支持構造より懸吊する構造であり、支持構造の重量も大きくせざるを得ず、又、上部での据付にはかなりの工数を必要としていた。又、図5に示すように一次、二次節炭器23,24のホッパ25,26からのダストは灰処理シュート34,35,36,37により上部より下部へ集める構造であり、長い経路の配管を必要とし、支持構造61内の機器の配置、配管も複雑となり、回収ボイラ全体の配置をコンパクトにし、簡略化することが望まれていた。
【0007】
そこで本発明では、長尺形状の一次節炭器を下部に配置して上部の支持構造の負担を軽減し、灰処理のシュートにも改良を加えて配管数を少なくして組立、据付の工数を少なくできると共に据付面積を小さくしてコンパクトな構成とし、更に支持構造中に煙突も組み込むことのできる回収ボイラを提供することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の(1),(2),(3)の手段を提供する。
【0009】
(1)本体支持構造枠内にボイラ、過熱器、一次節炭器、二次節炭器及び一次、二次節炭器のホッパを配設して収納し、前記ボイラ内にパルプからの排液である黒液を噴射して空気と共に燃焼させた排ガスで前記過熱器、一次及び二次節炭器を加熱して蒸気を発生させ、その排ガスを煙突から大気へ放出する回収ボイラにおいて、前記一次節炭器は前記本体支持構造枠内で前記二次節炭器よりも下方に配設すると共に、同一次節炭器の上方の前記本体支持構造枠内に前記煙突を突設させて、同本体支持構造枠にて同煙突を支持させてなることを特徴とする回収ボイラ。
【0010】
(2)(1)に記載の回収ボイラにおいて、前記二次節炭器ホッパの出口は前記一次節炭器ホッパの出口とほぼ同じレベルに位置し、両ホッパを並設したことを特徴とする回収ボイラ。
(3)(1)または(2)に記載の回収ボイラにおいて、前記排ガスが、前記本体支持構造枠の上部に配置した前記二次節炭器から下方に流れて、同本体支持構造枠の下部に配置した前記一次節炭器へ流入するように構成されてなることを特徴とする回収ボイラ。
【0011】
本発明の(1)においては、一次節炭器を従来の上部支持構造から下部へ移動したので、上部の支持構造の負担を軽減でき、上部のスペースには煙突を挿通するようにし、本体支持構造枠により煙突を支持したので、回収ボイラを煙突と共に一体化することができる。又、節炭器内を流れる排ガスは、まず上部の二次節炭器を流れ、続いて下方へ流れて一次節炭器へ流入するので従来のように上部に両節炭器を支持する構造と比べ排ガス流れがスムーズになり、灰付着低減の効果を有するものである。
【0012】
本発明の(2)ではさらに、一次節炭器、二次節炭器のホッパが本体支持構造枠内の下部へ集約され、従来存在していたホッパに接続する配管類が省略され灰を効果的に集めることができると共に、スペースの有効利用がなされ、全体としてコンパクトな構成となる。
また、本発明の(3)ではさらに、排ガスの流れがスムーズになり、灰付着低減の効果が高い。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る回収ボイラの構成図である。図において、符号20〜24,30,33の各機器構成は図5に示す従来の構造と同じ機器であり、本発明の特徴部分は符号1,2,10の構成にある。これに加えて一次節炭器23を上部から下部へ移動し、一次節炭器23を下方へ移動したスペースに煙突30を配置した構成であり、次に詳しく説明する。
【0014】
図1において、支持構造10内には、回収ボイラ火炉20、ドラム21、過熱器22、二次節炭器24、下降管33が配置されており、これらは図5に示す従来例と同じ配置としている。一次節炭器23は、従来の上部より下部に移動し、一次節炭器23のホッパ1は支持構造10の下部に設置しており、従来のように灰処理シュート34,35も不要となっている。
【0015】
又、二次節炭器24のホッパ2も一次節炭器23の前面に配設し、ホッパ1,2を下部に集約して、ホッパ出口の位置は両ホッパ共同一レベルにして、従来のような灰処理シュート36,37を不要としている。更に、一次節炭器23を下方に移設した後のスペースには煙突30を収納し、支持構造10の枠内に煙突を組み込んで、これを支持する構成とし、コンパクトな回収ボイラの構成としている。
【0016】
このような構成にすると、回収ボイラ火炉20からの排ガスとしての燃焼ガス50は、50aのように流れて過熱器22を加熱し、50bのように二次節炭器24に流れ、その後下方に50hのように流れて一次節炭器23へ流入し、50j,50kのように一次節炭器23を加熱して流出する。この過程において、排ガス中に含まれている灰をホッパ2に向かって下方へ流れる排ガスと共に、灰分を落下させ、更に一次節炭器23を流れる過程において、下部のホッパ1へも灰を落下させる。
【0017】
図2は図1におけるホッパ部の拡大詳細図であり、図3は図2のX−X矢視図、図4はY−Y矢視図である。これら図において、ホッパ1の底部は図2の紙面及び図4に示すように先細形状で、又、ホッパ2の形状も図3に示すように薄形でかつ先細の形状であって排ガス中の塵を集めやすい形状となっている。
【0018】
又、二次節炭器24を流出し、一次節炭器23へ流入するガス50hは図示のようにホッパ2を形成する前流のテーパ部2aに沿って、もしくはテーパ部20aに接触して流れ、この流れの過程において排ガス中の灰がテーパ部2aに衝突してホッパ2へ落下し、ホッパ2への集塵を効果的に行うことができる。
【0019】
以上、説明の本発明の実施の形態によれば、長尺形状の一次節炭器23を、従来のような上部支持梁から懸吊する支持構造を改めて下方に配置し、下方に従来からあった灰処理シュート34〜37等をなくしてホッパ1,2を集約して下部に配置するような構成とし、一次節炭器23を下方に移設して空所となったスペースに煙突30を収納するような構成とする。これにより、煙突30を支持構造10の枠内で支持すると共に、支持構造10の上部鉄骨の重量が軽減され、又、一次節炭器23の組立、据付工数が低減し、更に、回収ボイラ本体が煙突30を含み、コンパクトな構造となることから、全体の据付面積を小さくすることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の回収ボイラは、(1)本体支持構造枠内にボイラ、過熱器、一次節炭器、二次節炭器及び一次、二次節炭器のホッパを配設して収納し、前記ボイラ内にパルプからの排液である黒液を噴射して空気と共に燃焼させた排ガスで前記過熱器、一次及び二次節炭器を加熱して蒸気を発生させ、その排ガスを煙突から大気へ放出する回収ボイラにおいて、前記一次節炭器は前記本体支持構造枠内で前記二次節炭器よりも下方に配設すると共に、同一次節炭器の上方の前記本体支持構造枠内に前記煙突を突設させて、同本体支持構造枠にて同煙突を支持させてなることを特徴としている。このような構成においては、一次節炭器を従来の上部支持構造から下部へ移動したので、上部の支持構造の負担を軽減でき、上部のスペースには煙突を挿通するようにし、本体支持構造枠により煙突を支持したので、回収ボイラを煙突と共に一体化することができる。又、節炭器内を流れる排ガスは、まず上部の二次節炭器を流れ、続いて下方へ流れて一次節炭器へ流入するので従来のように上部に両節炭器を支持する構造と比べ排ガス流れがスムーズになり、灰付着低減の効果を有するものである。
【0021】
本発明の(2)ではさらに、一次節炭器、二次節炭器のホッパを本体支持構造枠内の下部へ集約され、従来存在していたホッパに接続する灰処理設備が省略され灰を効果的に集めることができると共に、スペースの有効利用がなされ、全体としてコンパクトな構成となり、(3)ではさらに、排ガスの流れがスムーズになり、灰付着低減の効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態に係る回収ボイラの構成図である。
【図2】 図1に示す回収ボイラのホッパ部の拡大詳細図である。
【図3】 図2におけるX−X矢視図である。
【図4】 図2におけるY−Y矢視図である。
【図5】 従来の回収ボイラの構成図である。
【図6】 回収ボイラプラントの全体のシステムを示す構成図である。
【符号の説明】
1,2 ホッパ
2a テーパ部
10 支持構造
20 回収ボイラ火炉
21 ドラム
22 過熱器
23 一次節炭器
24 二次節炭器
Claims (3)
- 本体支持構造枠内にボイラ、過熱器、一次節炭器、二次節炭器及び一次、二次節炭器のホッパを配設して収納し、前記ボイラ内にパルプからの排液である黒液を噴射して空気と共に燃焼させた排ガスで前記過熱器、一次及び二次節炭器を加熱して蒸気を発生させ、その排ガスを煙突から大気へ放出する回収ボイラにおいて、前記一次節炭器は前記本体支持構造枠内で前記二次節炭器よりも下方に配設すると共に、同一次節炭器の上方の前記本体支持構造枠内に前記煙突を突設させて、同本体支持構造枠にて同煙突を支持させてなることを特徴とする回収ボイラ。
- 請求項1に記載の回収ボイラにおいて、前記二次節炭器ホッパの出口は前記一次節炭器ホッパの出口とほぼ同じレベルに位置し、両ホッパを並設したことを特徴とする回収ボイラ。
- 請求項1または請求項2に記載の回収ボイラにおいて、前記排ガスが、前記本体支持構造枠の上部に配置した前記二次節炭器から下方に流れて、同本体支持構造枠の下部に配置した前記一次節炭器へ流入するように構成されてなることを特徴とする回収ボイラ。
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JP19179099A Expired - Lifetime JP3794870B2 (ja) | 1999-07-06 | 1999-07-06 | 回収ボイラ |
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