JP3792287B2 - アンカー部材 - Google Patents

Description

【０００１】
この発明は請求項１のプリアンブルに記載のアンカー部材に関する。
多軸骨ねじとして形成されたアンカー部材はドイツ特許４３ ０７ ５７６に開示されている。この装置を使って、ねじ部材のシート部分に対する位置は、ねじ部材のヘッドに作用し、挿入された補正ロッドおよびロッドロッキングねじによってねじ部材のねじに対して付勢される圧力ディスクによって固定される。これにより、ロッドおよびアンカー部材の相対的な位置決めのためにロッドロッキングねじを緩めた場合に、シート部分に対するねじ部材のヘッドのロックも同時に解除されてしまうという問題が生じる。したがって、脊椎を接続するロッド上のシート部分の位置を調整し直すたびに、シート部分もねじ部材のヘッドに対して動いてしまい、これは不都合である。
【０００２】
この発明の目的は、シート部材のロッドに対する位置を調整するときにねじ部材のヘッドとシート部分との間にロックを保持するアンカー部材を提供することである。
【０００３】
この目的は請求項１に規定されたアンカー部材によって達成される。
この発明の他の実施例は従属クレームに規定されている。
【０００４】
この発明の他の特徴および利点は、図面を参照する以下の実施例の説明から明らかになるであろう。
【０００５】
【実施例の説明】
図２および３に最もよく示されているように、アンカー部材はねじが切られたシャフト２とヘッド３とを有する適切なねじ部材１を含む。ヘッド３は、ねじが切られたシャフト２に隣接する領域の球状の部分として形成される。ヘッド３の軸方向の長さはヘッドの半径より大きい。ヘッド３は、ねじが切られたシャフト２と反対側に窪み４を有し、その窪みの面で六角形のソケットねじキーと係合する。
【０００６】
このアンカー部材はさらにねじ部材１のヘッド３を受入れるためのシート部分５を含む。シート部分５は第１の端部６および反対の第２の端部７ならびに第１および第２の端部を通る対称軸８を含む。ボア９は対称軸と同軸であり、ねじが切られたシャフトを第１の端部からの方向に通す。第１の端部６に隣接する第１の領域では、シート部分５は対称軸８について対称なＵ形状の窪み１０を有し、この窪み１０は第２の端部７の方に向けられた底部と第１の端部の方に延びる２つの自由側脚１１、１２とを有する。脚１１、１２の領域では、ボアは円筒状であり、シート部分は内部ねじ山１３と外部ねじ山１４とを有する。Ｕ形状の窪み１０によって形成された溝は、複数のこのようなアンカー部材を接続するロッド１５を嵌合するのに十分なだけのサイズを有する。第２の端部７に隣接する第２の領域では、ボア９の円筒状の部分に続いて、約４°のテーパ角度で第２の端部７に向かって先細になる部分１６がある。この部分１６の軸長はヘッド３の軸寸法に実質的に対応する。
【０００７】
第２の端部では、ボア９の直径は、ねじが切られたシャフトの直径よりかなり大きく、それにより、ねじが切られたシャフトは、挿入された状態で、テーパ角度内で対称軸８を中心として回転可能である。
【０００８】
ねじ部材のヘッド３に作用し、かつヘッド３から離れた第１の面２１と反対の第２の面２２とを有する圧力部材２０が、ヘッド３の位置をシート部分５内に決めるために設けられる。第１の面２１に隣接して、圧力部材は、シート部分５のボア９内での圧力部材の軸摺動を可能にするように選択された外径を有する実質的に円筒状の第１の部分２３を有する。圧力部材２０は、さらに第１の部分２３および第２の面２２に隣接する第２の部分２４を含む。第２の部分２４は、シート部分５内のボア９の部分１６のテーパ角度に対応するテーパ角度で第２の面２２に向かって円錐形に先細になる外表面を有する。ヘッド３を受入れるための球部分形状の窪み２５が第２の面２２に同軸上に形成され、第２の面２２に向かって開く。球部分形状の窪み２５はヘッド３の半径に実質的に対応する半径を有する。窪み２５の軸方向に延びる長さはその半径より大きい。圧力部材２０の壁は、周辺から等距離の態様で配置され、軸に平行な４つのスリットを有し、これらのスリットは第２の面２２に向かって開き、窪み２５の半径より大きい軸長を有する。
【０００９】
圧力部材２０はさらに、その円筒状の第１の部分２３において、窪み４と係合するねじ締め工具のための通路を与えるボア２６を含む。ボア２６は円筒軸と同軸であり、窪み２５につながる。円筒部分の形状を有し、第１の部分２３の円筒軸と垂直に延在する窪み２７が圧力部材の表面の第１の面２１のところに形成される。その曲率中心は対称軸上にある。この窪みの深さは窪みの半径ほど大きくはない。窪み２７の曲率半径はシート部分５のＵ形状の窪み１０の底部の曲率半径に対応する。縦スリット２８は、ヘッド３を包み込む圧力部材の円錐部分２４を上に曲げ、圧力部材２０の球部分形状の窪み２５がねじのヘッド３に押しつけられるようにする目的に役立つ。
【００１０】
対称軸に垂直に延びるさら穴２９が圧力部材２０のジャケット上でお互いに対向して設けられる。対応のクリンプボア１７がシート部分５のジャケットに形成される。
【００１１】
さらに、２つの側脚１１、１２の外側を包む部材が設けられる。この部材は、受入れるべきロッド１５を位置決めするためのスイベルナットとして形成され、シート部分５の２つの脚の所で外部ねじ山１４に対応する内部ねじ山を有する。さらに、ロッキング部材４５がねじが切られたねじ部材として形成される。ロッキング部材４５は脚１１、１２の内部ねじ山と協働して、ロッキング部材をシート部分５のＵ形状の窪み１０にねじ込むための外部ねじ山４６を有する。ロッキング部材４５はさらにねじ締め工具と係合するための六角形の窪み４７を有する。
【００１２】
記載されたアンカー部材のすべての構成要素は物理的によく知られた材料、特にチタンから製造される。
【００１３】
まず、圧力部材２０がヘッド３に押しつけられ、ヘッドが球部分形状の窪み２５のエッジによって包み込まれるようにする。押しつける際に発生する力は縦スリット２８のところで圧力部材を僅かに分離するように曲げる作用をし、ねじのヘッド３が球部分形状の窪み２５に挿入できるようにし、圧力部材はヘッド３にカチッと締まる。その後、圧力部材を僅かに圧縮することによって、球部分形状の窪み２５のエッジとねじのヘッド３との間の確実な接続が得られる。
【００１４】
次にねじが切られたシャフト２が第１の端部６からシート部分に挿入され、圧力部材２０の第２の部分２４の円錐形の外表面がボア９の円錐形の部分１６の壁と摩擦を生じて係合するようになる。この間、圧力部材２０は、部分的に円筒状の窪み２７の軸がシート部分５のＵ形状の溝１０のちょうど対称面になるように回される。この位置は、圧力部材２０がシート部分の対称軸８の方向に十分移動するのを妨げることなく、クリンプボア１７、２９による僅かな圧着によってロックされる。
【００１５】
動作において、ねじ部材はねじ込まれ、ロッド１５は外側からＵ形状の窪み１０に挿入されることによってシート部分５に据えられる。アンカー部材をロッド１５に対して所望の位置に調整した後、ロッドはスイベルナット４０をしっかり締めることによって固く固定される。図１に特に示されるように、スイベルナット４０をしっかり締めることにより、力Ｆが対称軸８の方向にロッド１５を介して圧力部材２０にかかり、圧力部材２０がねじのヘッド３とともにシート部分に押し込まれ、圧力部材２０の円錐形の第２の部分２４をシート部分のボア９の円錐形の部分１６に完全に押し込むようにする。
【００１６】
圧力部材の第２の部分２４の円錐形の表面すべてがシート部分のボア９の表面に密着すると、シート部分は、特に図１に示されるように、対称軸８に関して半径方向に力Ｆ_res を圧力部材にかける。この力は、たとえスイベルナット４０がロッド１５のシート部分５に対する位置を再調整するために緩められても、窪み２５内のねじのヘッドの動きを妨げる。したがって、ねじ部材１のシート部分５に対する角度位置は先にロッドがロックされたときに固定されたままである。
【００１７】
ボアの部分１６の円錐形の表面と圧力部材の部分２４との間に形成された接続の自己ロッキングを生じるようにテーパ角度が選択されるので、この接続はそれ自体で緩むことはない。むしろ、緩むのを妨げるように作用する摩擦力に打ち勝つにはかなりの程度の付加的な外力が必要である。
【００１８】
動作において、対応のアンカー部材が脊柱の複数の隣接セグメントの各々に配置され、それによって、ロッドの長さ方向の軸に対して、ロッドにおける個々のアンカー部材の係合位置を調整するためにセグメントごとに正確な調整が行なわれる。シート部分のロッドに対する位置を正確に調整するために、スイベルナット４０を再び緩めることが可能である。なぜなら、シート部分のロッドに対する位置を主に調整するためにシート部分内のねじのヘッドの位置を調整する場合には、圧力部材はシート部分５にしっかりと押し込まれ、それによってねじのヘッド３の位置をロックし、このロックはその自己ロッキング作用のために通常動作では解除できないからである。
【００１９】
正確な調整によって得られるシート部分５のロッド１５に対する位置が確定した後、スイベルナットは再びしっかりと締められる。それに従って、ロッキング部材４５はロッドに向かう方向に脚１１、１２間に締め込まれ、スイベルナットをロックする。
【００２０】
好ましくは、上述のテーパ角度は２°と１０°との間の範囲である。この角度については２°と５°との間の範囲が特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図１】部分的に断面で示した、アンカー部材とその中に置かれるロッドの断面図である。
【図２】詳細に分解図の形で示したアンカー部材の図である。
【図３】挿入されたねじ部材および圧力部材とともにアンカー部材を示す一部断面図である。
【符号の説明】
１ ねじ部材
２ ねじが切られたシャフト
３ ヘッド
４ 窪み
５ シート部分
８ 対称軸
１０ Ｕ形状の窪み

Claims (12)

1. アンカー部材であって、
   ねじが切られた部分（２）と球部分形状の部分を有するヘッド（３）とを有するねじ部材（１）と、前記ねじ部材の前記ヘッド（３）と前記アンカー部材に接続されるべきロッド（１５）とを受入れるためのシート部分（５）と、前記ねじ部材（１）のヘッド（３）の側面を包み込む圧力部材（２０）とを有し、
   前記シート部分（５）は、第１およびその反対側の第２の端部（６、７）と、前記第１および第２の端部を通る対称軸（８）と、前記ねじが切られた部分（２）を通すための前記対称軸と同軸に配置されたボア（９）と、前記第１の端部（６）に隣接し、その中に挿入されるべきロッド（１５）を受入れるための内部ねじ山（１３）を有する２つの自由脚（１１、１２）とともに実質的にＵ形状の窪みを有する第１の領域とを有し、
   前記ボア（９）は前記第２の端部に隣接し、前記第２の端部（７）に向けて先細になる第２の領域（１６）においてテーパ角度を有し、前記圧力部材（２０）の外表面は前記ねじのヘッド（３）を横方向に取囲む部分（２４）で前記第２の端部（７）に向かって円錐形に先細になるように形成され、前記圧力部材の前記テーパ角度は前記第２の領域（１６）のテーパ角度に対応することを特徴とする、アンカー部材。
2. 前記テーパ角度は約２°から約１０°の範囲内であることを特徴とする、請求項１に記載のアンカー部材。
3. 前記テーパ角度は約４°であることを特徴とする、請求項１または２に記載のアンカー部材。
4. 前記圧力部材は第１およびその反対側の第２の面（２１、２２）ならびに前記第１の面（２１）に隣接する実質上円筒状の第１の部分（２３）を有し、前記第１の部分は前記ボア（９）内の前記圧力部材の摺動を可能にするように選択された外径を有し、前記圧力部材は前記第１の部分（２３）に隣接する第２の部分（２４）を有し、前記第２の部分は前記第２の面（２２）に向かって円錐形に先細になる外表面を有する先端を切られた円錐として形成されることを特徴とする、請求項１から３のいずれかに記載のアンカー部材。
5. 前記圧力部材（２０）は前記圧力部材の前記第２の部分（２４）に前記ねじのヘッド（３）を受入れるための窪み（２５）を有し、前記窪みは球状の部分として形作られ、前記第２の面に向かって開くことを特徴とする、請求項４に記載のアンカー部材。
6. 前記圧力部材（２０）は前記ねじのヘッド（３）と係合するようにねじ締め工具を通すためのボアを有し、前記ボアは前記第１の部分（２３）の円筒軸と同軸であり、前記球部分形状の窪み（２５）とつながることを特徴とする、請求項５に記載のアンカー部材。
7. 前記圧力部材（２０）は前記ねじのヘッド（３）から離れた側に窪み（２７）を有し、前記窪みは、前記対称軸（８）に垂直な円筒軸と、前記シート部分の前記２つの脚（１１、１２）によって規定された前記Ｕ形状の窪み（１０）の底部の曲率半径に対応する曲率半径とを有する円筒部分として形成されることを特徴とする、請求項１から６のいずれかに記載のアンカー部材。
8. 前記圧力部材（２０）は、前記第２の面（２２）に向かって開き、前記第１の部分（２３）の前記円筒軸に平行な縦軸を有する複数の縦スリット（２８）を有することを特徴とする、請求項５から７のいずれかに記載のアンカー部材。
9. ２つの対向する縦スリット（２８）があり、その縦軸は、前記第１の円筒部分（２３）の前記円筒軸を通りかつ前記窪み（２７）の前記円筒軸に垂直に延在する面にあり、前記縦スリットは前記圧力部材の前記第１の面（２１）に近接して延びることを特徴とする、請求項８に記載のアンカー部材。
10. 前記ねじのヘッド（３）が中に置かれた前記圧力部材（２０）は圧着によって前記シート部分（５）内で回転しないようにされることを特徴とする、請求項１から９のいずれかに記載のアンカー部材。
11. 前記窪み（２５）の軸方向の深さは前記窪みの半径より大きいことを特徴とする、請求項５から１０のいずれかに記載のアンカー部材。
12. スイベルナット（４０）として形成され、前記２つの自由脚（１１、１２）の外側を包み込む部材が設けられ、前記部材の内部ねじ山は前記脚の領域の外部ねじ山（１４）と協働し、前記スイベルナット（４０）をロックするためのロッキング部材（４５）が設けられ、前記ロッキング部材は前記脚（１１、１２）の前記内部ねじ山（１３）と係合する外部ねじ山を有することを特徴とする、請求項１から１１のいずれかに記載のアンカー部材。

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