JP3790866B2 - 内視鏡用洗浄機能付き透明フード - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用内視鏡の先端に装着する透明フードに直接洗浄機能を付加すること、また、付加された洗浄機能は内視鏡の鉗子孔を使用せずに洗浄を可能にすることにより、処置・治療と洗浄の同時施行が可能になることで内視鏡による処置・治療を容易にする技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
内視鏡下で処置・治療行為をする場合、患者の呼吸変動が強く目的となる病変部位と一定の距離を保てない場合や、内視鏡本体を如何に操作しようとも目的となる病変部位を正面視できない場合がある。従来の内視鏡の先端に装着する透明フードでは、この透明フードを装着した内視鏡の先端部を病変部付近に押し当てることで、病変部と一定の距離を保つことや病変部を正面視しすることが出来た。つまり、内視鏡先端からの距離を保つことで病変部の良好な視野を確保することが目的であった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の透明フードでは、病変部の粘液や出血などの汚れを解決することによる視野の確保は考慮されていなかった。通常、病変部の粘液や出血などの汚れは内視鏡本体の鉗子孔に洗浄水を満たしたシリンジを嵌め込んで洗浄水を注入することで解決するが、内視鏡本体の鉗子孔はひとつであるため、その鉗子孔をもちいてのみ施行可能な病変の洗浄行為と処置・治療行為は、どちらかひとつのみしか出来なかった。臓器内の病変は粘液や出血が多く、先ず病変部を洗浄してから内視鏡の鉗子孔に処置・治療器具を挿入し処置・治療に移行するが、それらの器具挿入中に粘液や出血が増悪して視野が保てず、処置・治療を続行できない場合にしばしば遭遇する。特に、出血性病変の止血処置の場合、従来の透明フードではキャップ部の中に出血した血液が貯留し却って視野を増悪させる場合がある。このような場合、これまでは病変部の洗浄と処置・治療の続行のために、ひとつの内視鏡の鉗子孔で何度も処置・治療器具を抜き差しして、洗浄と処置・治療を交互にしていた。そこで、本発明は病変との距離を保つことでのみ視野を確保していた透明キャップ自体に洗浄行為を可能にする機能を付加し、付加された洗浄機能は内視鏡の鉗子孔を使用せずに洗浄を可能にすることで、この抜き差しをなくし、処置・治療行為と洗浄行為を同時に出来るようにすることを課題とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
従来の透明フードのキャップ部に側孔をあけ、そこにキャップ部の外側から洗浄用のチューブを接着する。本発明である内視鏡用洗浄機能付き透明フードを従来通り内視鏡の先端に被せ、チューブは内視鏡本体にテープ固定する。チューブ反対側にはコネクターを取り付け、そこから洗浄水を注入することで、透明フード内ではチューブを介して常に洗浄可能となる。このチューブは内視鏡本体に外付けすることで内視鏡の鉗子孔を使用せずに洗浄が可能となるため、内視鏡本体の鉗子孔は処置・治療器具専用となり、処置・治療行為と洗浄行為を同時に出来ようになる。
【０００５】
【発明の実施の形態】
従来の透明フードのキャップ部１に該当する部分に２ミリメートル未満の斜孔５をあけ、そこにその径にぴったり嵌る内視鏡本体より長い１８０から２３０センチメートルのチューブ３を接着する。キャップ部１に開ける斜孔３は、注入される洗浄水の水線先端（想像線６）と内視鏡本体の鉗子孔より出される処置・治療器具の先端（想像線７）とキャップの先端が交わるように角度を設定する。チューブ３は、内視鏡本体の外側にテープ固定するので内視鏡の被験者への挿入に障害にならぬように２ミリメートル未満の外径を設定する。一方、チューブ３の反対側には通常のシリンジの先端を装着できるコネクター４を取り付ける。この完成したフードは従来通り内視鏡の先端に内視鏡装着部２を被せ、チューブ３は本体に５カ所程度でテープ固定し、洗浄水を満たしたシリンジの先端をコネクター部４にはめ込んで装置の準備完了とし、実際の処置・治療行為にあたる。これにより、キャップ部内１ではチューブ３を介して常に洗浄可能となり、内視鏡本体の鉗子孔は処置・治療器具専用となり、処置・治療行為と洗浄行為を同時に出来る。
【０００６】
【実施例】
消化管の出血性病変の止血術を実施する場合、本発明である内視鏡用洗浄機能付き透明フードを上記のように装着して内視鏡を被験者へ挿入する。止血処置用の器具、例えばクリップ装置を内視鏡本体の鉗子孔に挿入して内視鏡先端部よりクリップ装置の先端を出してクリップを開き、いつでも挟めるような準備状態にしてキャップ部内１に収める。内視鏡本体を操作して出血部位（点）の直上に開いたクリップが位置したところで、キャップ部１の先端部を消化管壁に押し当てる。洗浄水を満たしたシリンジより洗浄水を注入しつつ出血部位（点）を洗浄することで視野を確保しながらクリップを挟み確実に止血する。
【０００７】
【発明の効果】
本発明である内視鏡用洗浄機能付き透明フードは、処置・治療行為と洗浄行為を同時に出来るようにすることで、処置・治療を容易にする環境を作り、しかも、検査時間、処置・治療時間の短縮を可能にする。また、出血性病変では出血量の減少にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図１】キャップ部を平面よりみた全体図である。
【図２】キャップ部を側面よりみた全体図である。
【図３】透明フードを側面よりみた断面図である。
【符号の説明】
１ キャップ部
２ 内視鏡装着部
３ チューブ
４ コネクター
５ 斜孔部
６ 水線（水の流れ）の想像線
７ 内視鏡本体の鉗子孔より出る処置・治療器具の通る想像線

Claims (1)

1. 非装着時には内視鏡本体が汎用の１チャンネル内視鏡としての通常使用を可能にするため着脱自在で、且つ、内視鏡の先端に装着して使用することにより内視鏡本体の送水機能及びチャンネルを用いずに洗浄を可能にする独立した洗浄用チューブを直接キャップ部に取り付けたフードで、且つ、キャップ部を押し当てることにより処置・治療部位と適確な距離を保ちながら処置・治療と洗浄の同時施行を可能にし、且つ、洗浄用チューブから流出する洗浄液と内視鏡本体から出される処置具等が交差するよう、また、洗浄液と処置具と処置・治療部位の３者が一点に集中できるよう、キャップ部の中途に開けた側孔にキャップの外側から洗浄チューブを貫通させた透明フード

Images