JP3789812B2 - 宇宙航行光学機器及びその汚染物質除去方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は人工衛星に搭載する宇宙望遠鏡などの宇宙航行光学機器に係り、特に光学機器を構成する筐体に汚染物質を宇宙空間に排出する機構を設けた宇宙航行光学機器及びその汚染物質除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の宇宙航行光学機器である宇宙望遠鏡の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は観測運用前を示し、(b)は軌道上での観測運用時を示している。当該宇宙望遠鏡は、所定の軌道上を周回する人工衛星などに設けられる。図において、100a〜100cは宇宙望遠鏡を構成する光学部品であって、図示の例では観測対象物Aからの観測光Bを入射する反射光学系を構成する。101は光学部品100a〜100cを収納する鏡筒で、熱、汚染物質(例えば、鏡筒101内に設けたCFRP構造物(carbon fiber reinforced plastics)及び有機材料などから、真空環境下において発生する揮発性物質や水分などがある)、及び、放射線などの過酷な宇宙環境から内部の光学部品100a〜100cを保護する。102は観測対象物Aからの観測光Bを光学部品100a〜100cに導くための観測用の開口部(入射瞳)に設けたトップドアであって、ヒンジ部103によって鏡筒101に支持される。このトップドア102は、ヒンジ部103を中心に回転して開閉自在に動作する。また、104は鏡筒101を被覆する断熱材であって、MLI(Multi Layer Insulation)と呼ばれる宇宙用断熱材である。
【0003】
次に動作について説明する。
当該宇宙望遠鏡を搭載した衛星を打ち上げて所定の軌道上を周回するようになると、先ず、図6(a)に示すように、宇宙望遠鏡の光学部品100a〜100cからなる光学系の光軸を観測対象物Aからの観測光Bの光軸に指向させる。このあと、図6(b)に示すように、トップドア102を開放して光学部品100a〜100cに観測光Bを受光させることで、観測運用が開始される。
【0004】
ここで、例えば可視光領域の波長を観測光Bとして取り込む宇宙望遠鏡においては、太陽光吸収率(以下、「α値」と呼ぶ)によって、反射光学系の光学部品鏡面の吸収熱量が決定される。この吸収熱量の大小によって反射鏡などの光学的性質も影響を受けるため、宇宙望遠鏡が軌道上運用時において要求性能を満足するか否かは、上記α値の劣化量(α値が大きくなること)を如何に抑えることができるかにかかっている。
【0005】
上述した光学部品鏡面におけるα値の劣化は、主に上記汚染物質の付着によって引き起こされる。また、汚染物質が付着した鏡面に紫外線が照射されると、汚染物質に含まれる有機物質が分解して黒色化し、光学望遠鏡として致命的な不具合が生じる可能性もある。
【0006】
そこで、光学部品鏡面における汚染物質管理については、先ず、衛星打ち上げ前に、地上において製造、組立、試験、打ち上げの各工程ごとに汚染物質を管理する定量的な評価が必要である。また、軌道上での観測運用時においても汚染物質管理に関して定量的に評価する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の宇宙航行光学機器は以上のように構成されているので、一度宇宙空間に配置されてしまうと光学部品鏡面における汚染物質を除去することができないことから、汚染物質による不具合に対処することができないという課題があった。
【0008】
上記課題を具体的に説明すると、上述したような衛星打ち上げ前に、汚染物質を管理する定量的な評価を行うことは、実際には非常に困難である。例えば、大気圧下では発生しなくても超高真空下の宇宙空間におかれると、気化してくる汚染物質については評価することができない。また、そもそも大気圧下では光学部品鏡面に水などの様々な吸着分子が存在し、宇宙空間における表面状態とは大きく異なっている。
【0009】
一方、衛星の打ち上げ直後から軌道上での観測運用に至るまでの期間における光学部品鏡面への汚染物質付着量の予測も困難である。つまり、衛星の打ち上げ直後から軌道上での観測運用に至るまでに鏡筒101内に発生する汚染物質分子や光学部品鏡面の汚染物質付着量を定量する手段がない。
【0010】
このような状況において、図6(a)、(b)に示すような従来の宇宙望遠鏡の運用方法を採用すれば、光学部品鏡面に汚染物質が付着した状態でトップドア102を展開することになる。このため、上述したような不具合が発生して宇宙望遠鏡の運用初期段階において要求性能を満足できなくなるばかりでなく、α値の劣化の程度次第では観測不能となる危険性も十分にある。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、上述したように、軌道上での観測運用直前までの光学部品鏡面への汚染物質付着量の定量評価が不可能である(汚染物質管理が不可能である)という現実を踏まえ、光学部品を収納する筐体に、宇宙空間へ汚染物質を排出する機構を設けることで、観測運用直前(光学部品鏡面への受光直前)に、光学部品鏡面に付着した汚染物質を除去することができる宇宙航行光学機器を得ることを目的とする。
【0012】
また、この発明は上記宇宙航行光学機器から汚染物質を効率的に除去することができる汚染物質除去方法を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、光学部品を収納する筐体と、該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部とを備えるものである。
【0014】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、筐体内を高温部とし宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成させる熱勾配形成手段を備えるものである。
【0015】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、光学部品を加熱する加熱手段を備えるものである。
【0016】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、汚染物質除去用ドア部が宇宙空間に熱を放出する放熱手段を備えるものである。
【0017】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を収納する筐体と、該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部とを備えた宇宙航行光学機器に対して、その筐体内を高温部とし宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成すると共に、汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放して汚染物質を排出するものである。
【0018】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を加熱して筐体内で該光学部品を高温部とし筐体内壁を低温部とする熱勾配を形成するものである。
【0019】
この発明に係る汚染物質除去方法は、汚染物質除去用ドア部を放熱させることで筐体内壁における最低温部とするものである。
【0020】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を加熱しながら筐体内部を宇宙空間に開放するものである。
【0021】
この発明に係る汚染物質除去方法は、宇宙航行光学機器は、汚染物質除去用ドア部とは別に、観測対象物からの観測光を筐体内部の光学部品に導く観測系側ドア部を有し、観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放するものである。
【0022】
この発明に係る汚染物質除去方法は、観測系側ドア部を開放した際に観測光が入射しない姿勢に光学機器を制御して、光学部品を加熱しながら観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放して汚染物質を排出するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は(a)の状態における汚染物質の挙動を概略的に示し、(c)は軌道上での観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、1a〜1cは当該宇宙望遠鏡の光学系を構成する光学部品であって、図示の例では観測対象物Aからの観測光Bを入射する反射光学系を構成する。2は光学部品1a〜1cを収納する鏡筒(筐体)で、熱、汚染物質7、及び、放射線などの過酷な宇宙環境から内部の光学部品1a〜1cを保護する。3は観測対象物Aからの観測光Bを光学部品1a〜1cに導くために観測用の開口部(入射瞳)に設けられたトップドア(観測系側ドア部)であって、ヒンジ部4aによって鏡筒2に支持されて外部環境から鏡筒2内部を保護する。このトップドア3は、ヒンジ部4aを中心に回転して開閉自在に動作する。
【0024】
また、5はトップドア4とは別に鏡筒2に設けられたサイドドア(汚染物質除去用ドア部)であって、鏡筒2の外表面のうち、軌道上、宇宙空間(およそ3K程度)と輻射熱結合している割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部分に開口部を設け、これを覆うようにして設けられる。このサイドドア5は、ヒンジ部4bにより鏡筒2に支持されており、該ヒンジ部4bを中心に回転して開閉自在に動作する機構となっている。6は鏡筒2を被覆する断熱材(熱勾配形成手段)であって、MLI(Multi Layer Insulation)と呼ばれる宇宙用断熱材などで実現される。7は鏡筒2内に発生した汚染物質で、例えば、鏡筒2内に設けたCFRP構造物(carbon fiber reinforced plastics)及び有機材料などから真空環境下において発生する揮発性物質や水分などがある。
【0025】
次に動作について説明する。
軌道上での観測運用前では、図1(a)に示すように、宇宙望遠鏡の光学部品1a〜1cからなる光学系の光軸を観測対象物Aからの観測光Bの光軸に指向させている。また、トップドア3も閉じた状態となっており、観測光Bは光学部品鏡面に受光されない。このとき、鏡筒2の内壁や光学部品鏡面などには、汚染物質が付着していると共に、鏡筒2内の気相にも汚染物質分子が浮遊している。これらの気相に浮遊する汚染物質分子が鏡筒2の内壁や光学部品鏡面などに衝突することで、さらに汚染物質の付着が進む。
【0026】
そこで、この実施の形態1では、トップドア3を開いて観測光Bを光学部品鏡面に受光する前に、図1(b)に示すように、サイドドア5のみを開放する。この動作によって、光学部品1a〜1cを含む鏡筒2の内部が、サイドドア5の開口部を介してある視野角で極低温の宇宙空間(3K程度)と空間的・熱的に結合することになる。鏡筒2の外周は断熱材6によって極低温の宇宙空間から熱的に切り離されており、内部は極低温より高温の状態にある。このため、サイドドア5のみを開放することで、鏡筒2内部と宇宙空間との間にサイドドア5の開口部を介して温度差(熱勾配)が生じる。
【0027】
ここで、汚染物質(例えば、水分子や有機材料からの揮発性物質など)7は、真空環境下において高温部から低温部へ半球状に移動(浮遊)することが知られている。このような汚染物質7の挙動を考慮すれば、図1(b)に示す状態を実現することにより、宇宙望遠鏡内部、特に光学部品鏡面に付着した汚染物質7を宇宙空間に排出することができる(図1(b)中の破線の矢印の部分を参照)。
【0028】
この図1(b)に示す状態を、宇宙望遠鏡に対して十分な時間維持したあと、図1(c)に示すように、トップドア3を開放することによって、観測光Bを光学部品1a〜1cに受光し観測運用が開始される。
【0029】
以上のように、この実施の形態1によれば、光学部品1a〜1cを収納する鏡筒2と、該鏡筒2の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、内部を宇宙空間に開放するサイドドア5とを備えたので、鏡筒2内壁や光学部品鏡面に付着した汚染物質を宇宙空間に排出することができる。
【0030】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は軌道上での観測運用時を示し、(c)は軌道上での観測運用前の他の状態を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、8,9は光学部品1a〜1cの近傍に設置されたデコンタミヒータ(加熱手段)であって、光学部品1a〜1cをそれぞれ加熱する。このデコンタミヒータ8,9は、例えば光学部品1a〜1cを構成する反射鏡の裏面に平面上に発熱素子を取り付けた構成などが考えられる。また、この発熱素子の電源を太陽電池で供給するようにしてもよい。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前においては、図2(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させる。また、トップドア3、及びサイドドア5は閉じた状態で、デコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを充分な時間加熱する(以下、軌道上ベーキングと呼ぶ)。このように、デコンタミヒータ8,9で加熱することによって、光学部品1a〜1cの温度を鏡筒2内部の他の構成品(鏡筒2も含む)より上昇させて温度差(熱勾配)を形成させる。これにより、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7は、光学部品1a〜1cの表面から脱離する(図2(a)中の破線の矢印参照)。
【0032】
十分な時間、軌道上ベーキングが実施されると、光学部品1a〜1cから脱離した汚染物質7は、鏡筒2内壁部に付着することになる。続いて、図2(b)に示すように、トップドア3及びサイドドア5を同時に開放することで、鏡筒2内部から2つの開口部を介して汚染物質7が宇宙空間へ排出される(図2(b)中の破線の矢印参照)。この場合、上記実施の形態1と比較して、トップドア3及びサイドドア5が開放されることから宇宙空間とのコンダクタンスが大きく汚染物質7の排出効率がよい。
【0033】
また、図2(c)に示すように、観測運用前において、サイドドア5は開放した状態でデコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを十分な時間加熱する軌道上ベーキングを行っても良い。この場合も上記と同様に、デコンタミヒータ8,9で加熱することにより、汚染物質7を光学部品1a〜1cから脱離させ、且つ、サイドドア5を開放することにより生じた開口部から汚染物質7が宇宙空間に排出される。ここで、サイドドア5を開放した後もデコンタミヒータ8,9による加熱を継続する。この軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、トップドア3を開放して宇宙望遠鏡の観測を開始する。このように、軌道上ベーキング時に既にサイドドア5を開放しておくことで、鏡筒2内部の汚染物質を宇宙空間へ効率よく排出することができる。
【0034】
以上のように、この実施の形態2によれば、光学部品1a〜1cを加熱するデコンタミヒータ8,9を設けたので、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配をより急峻にすることができ、光学部品鏡面に付着した汚染物質を効率よく宇宙空間に排出することができる。
【0035】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態を示し、(b)は観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、10,11はトップドア3及びサイドドア5の外表面(宇宙空間に暴露された面)にそれぞれ設けたα/ε値が小さい熱制御材(又は表面処理)(放熱手段)であって、トップドア3及びサイドドア5自身を放熱面として低温板化する。これにより、トップドア3及びサイドドア5自身を、それぞれ汚染物質7のトラップ用板として機能させることが可能となる。ここで、αは太陽光吸収率、εは赤外線放射率である。また、α/ε値が小さい熱制御材(又は表面処理)10,11は、例えばα/ε値が小さい粘着物質を用いた粘着テープであるシルバーテフロン(登録商標)、OSR(Optical Solar Reflector)、ホワイトペイントなどを施すことによって実現される。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前において、図3(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、α/ε値が小さい熱制御材10,11を施したトップドア3及びサイドドア5を閉じた状態にする。このとき、トップドア3及びサイドドア5の温度は、α/ε値が小さい熱制御材10,11によって鏡筒2又は鏡筒2内部の各構成品の温度と比較して数十度下がることになる。つまり、光学部品1a〜1cの温度より両ドア3,5の方が数十度低くなる。このため、光学部品鏡面に付着していた汚染物質7は、両ドア3,5の方へ移動(浮遊)して吸着する。このように、トップドア3及びサイドドア5の外表面にα/ε値が小さい熱制御材を実装することで、汚染物質7を吸着させる機能を持たせることが可能となる。
【0037】
上述のようにして、光学部品鏡面などに付着した汚染物質をトップドア3及びサイドドア5に吸着させたあと、図3(b)に示すように、これらを同時に開放する。これによって汚染物質7が排出されると共に、宇宙望遠鏡の観測運用を開始することができる。
【0038】
以上のように、この実施の形態3によれば、トップドア3及びサイドドア5を低温板化する熱制御材10,11を設けることにより、トップドア3及びサイドドア5を汚染物質7のトラップとして機能させることが可能となる。これにより、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を効率よく排除することができる。
【0039】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は軌道上での観測運用時を示し、(c)は軌道上での観測運用前の他の状態を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図4に示す宇宙航行光学機器は、図3の構成にデコンタミヒータ8,9を追加したものに相当する。
【0040】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前においては、図4(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、α/ε値が小さい熱制御材10,11を施したトップドア3及びサイドドア5を閉じた状態にする。ここで、デコンタミヒータ8,9を発熱させて光学部品1a〜1cを加熱(軌道上ベーキング)し、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7をその表面から脱離させる。このとき、光学部品1a〜1cの表面から脱離した汚染物質7は、熱制御材10,11によって低温板化されたドア3,5に直ちにトラップされる。このように、光学部品1a〜1cの温度を上昇させることで光学部品鏡面からの汚染物質7の排除量を多くさせると共に、熱制御材10,11によって光学部品1a〜1cと両ドア3,5との温度差(熱勾配)を大きくすることで、上記実施の形態3と比較して汚染物質7の両ドア3,5に対する吸着効率を向上させることができる。
【0041】
上述のような軌道上ベーキングを十分な時間実施したあと、トップドア3及びサイドドア5を開放して、図4(b)に示すように、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を宇宙空間に排出し、宇宙望遠鏡の観測運用を開始する。
【0042】
また、観測運用前において、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、トップドア3及びサイドドア5を閉じた状態で、デコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを充分な時間加熱する軌道上ベーキングを行っても良い。この場合も上記と同様に、デコンタミヒータ8,9で加熱することにより、汚染物質7を光学部品1a〜1cから脱離させると共に、低温板化しているトップドア3及びサイドドア5に汚染物質7を吸着させる。この軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、図4(c)に示すように、サイドドア5のみ開放し、サイドドア5に吸着した汚染物質7及び鏡筒2内部の汚染物質7を宇宙空間に排出する。このサイドドア5の開放後もデコンタミヒータ8,9による軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、トップドア3を開放して宇宙望遠鏡の観測を開始する。このように、軌道上ベーキング時に既にサイドドア5を開放しておくことで、鏡筒2内部の汚染物質を宇宙空間へ効率よく排出することができる。
【0043】
以上のように、この実施の形態4によれば、光学部品1a〜1cを他の構成部品より高温化するデコンタミヒータ8,9と、トップドア3及びサイドドア5を低温板化する熱制御材10,11とを設けることにより、光学部品鏡面から脱離した汚染物質7を効率よくトップドア3及びサイドドア5にトラップさせることができる。これにより、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を効率よく排除することができる。
【0044】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態を示し、(b)は観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、図5に示す宇宙航行光学機器は、全て図2に記載されたものと同一である。上記実施の形態2との相違点は、ドア3,5の運用方法にある。
【0045】
次に動作について説明する。
図5(a)に示すように、観測運用前において、トップドア3を開放した後であっても、光学部品1a〜1cにて観測光Bが受光しないように宇宙望遠鏡の指向軸(姿勢)を制御する。このとき、光学部品1a〜1cでは、観測光Bを受光しないため熱吸収がない。これにより、鏡筒2内部の温度は観測運用時と比較して下がることになる。この姿勢で、デコンタミヒータ8,9を発熱させることで光学部品1a〜1cを加熱(軌道上ベーキング)し、トップドア3及びサイドドア5を開放する。つまり、姿勢制御によって鏡筒2内部の温度を観測運用時と比較して下げることで、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配がより急峻になる。これにより、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7は、より確実に排除される。
【0046】
上記軌道上ベーキングを十分な時間実施したあと、図5(b)に示すように、宇宙望遠鏡の指向軸(姿勢)を観測光の光軸に合わせて観測運用を開始する。
【0047】
以上のように、この実施の形態5によれば、トップドア3を開放した際に観測光Bが入射しない姿勢に光学機器を制御して、光学部品1a〜1cを加熱しながらトップドア3及び/又はサイドドア5によって鏡筒2内部を宇宙空間に開放して汚染物質7を排出するので、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配をより急峻にすることができ、光学部品鏡面に付着した汚染物質を効率よく宇宙空間に排出することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、光学部品を収納する筐体に、宇宙空間へ汚染物質を効率よく排出する機構を設けたので、宇宙航行中に光学部品の汚染物質を除去することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態5による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図6】 従来の宇宙航行光学機器である宇宙望遠鏡の概略的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1a〜1c 光学部品、2 鏡筒(筐体)、3 トップドア(観測系側ドア部)、4a,4b ヒンジ部、5 サイドドア(汚染物質除去用ドア部)、6 断熱材(熱勾配形成手段)、7 汚染物質、8,9 デコンタミヒータ(加熱手段)、10,11 熱制御材(又は表面処理)(放熱手段)。
【発明の属する技術分野】
この発明は人工衛星に搭載する宇宙望遠鏡などの宇宙航行光学機器に係り、特に光学機器を構成する筐体に汚染物質を宇宙空間に排出する機構を設けた宇宙航行光学機器及びその汚染物質除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の宇宙航行光学機器である宇宙望遠鏡の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は観測運用前を示し、(b)は軌道上での観測運用時を示している。当該宇宙望遠鏡は、所定の軌道上を周回する人工衛星などに設けられる。図において、100a〜100cは宇宙望遠鏡を構成する光学部品であって、図示の例では観測対象物Aからの観測光Bを入射する反射光学系を構成する。101は光学部品100a〜100cを収納する鏡筒で、熱、汚染物質(例えば、鏡筒101内に設けたCFRP構造物(carbon fiber reinforced plastics)及び有機材料などから、真空環境下において発生する揮発性物質や水分などがある)、及び、放射線などの過酷な宇宙環境から内部の光学部品100a〜100cを保護する。102は観測対象物Aからの観測光Bを光学部品100a〜100cに導くための観測用の開口部(入射瞳)に設けたトップドアであって、ヒンジ部103によって鏡筒101に支持される。このトップドア102は、ヒンジ部103を中心に回転して開閉自在に動作する。また、104は鏡筒101を被覆する断熱材であって、MLI(Multi Layer Insulation)と呼ばれる宇宙用断熱材である。
【0003】
次に動作について説明する。
当該宇宙望遠鏡を搭載した衛星を打ち上げて所定の軌道上を周回するようになると、先ず、図6(a)に示すように、宇宙望遠鏡の光学部品100a〜100cからなる光学系の光軸を観測対象物Aからの観測光Bの光軸に指向させる。このあと、図6(b)に示すように、トップドア102を開放して光学部品100a〜100cに観測光Bを受光させることで、観測運用が開始される。
【0004】
ここで、例えば可視光領域の波長を観測光Bとして取り込む宇宙望遠鏡においては、太陽光吸収率(以下、「α値」と呼ぶ)によって、反射光学系の光学部品鏡面の吸収熱量が決定される。この吸収熱量の大小によって反射鏡などの光学的性質も影響を受けるため、宇宙望遠鏡が軌道上運用時において要求性能を満足するか否かは、上記α値の劣化量(α値が大きくなること)を如何に抑えることができるかにかかっている。
【0005】
上述した光学部品鏡面におけるα値の劣化は、主に上記汚染物質の付着によって引き起こされる。また、汚染物質が付着した鏡面に紫外線が照射されると、汚染物質に含まれる有機物質が分解して黒色化し、光学望遠鏡として致命的な不具合が生じる可能性もある。
【0006】
そこで、光学部品鏡面における汚染物質管理については、先ず、衛星打ち上げ前に、地上において製造、組立、試験、打ち上げの各工程ごとに汚染物質を管理する定量的な評価が必要である。また、軌道上での観測運用時においても汚染物質管理に関して定量的に評価する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の宇宙航行光学機器は以上のように構成されているので、一度宇宙空間に配置されてしまうと光学部品鏡面における汚染物質を除去することができないことから、汚染物質による不具合に対処することができないという課題があった。
【0008】
上記課題を具体的に説明すると、上述したような衛星打ち上げ前に、汚染物質を管理する定量的な評価を行うことは、実際には非常に困難である。例えば、大気圧下では発生しなくても超高真空下の宇宙空間におかれると、気化してくる汚染物質については評価することができない。また、そもそも大気圧下では光学部品鏡面に水などの様々な吸着分子が存在し、宇宙空間における表面状態とは大きく異なっている。
【0009】
一方、衛星の打ち上げ直後から軌道上での観測運用に至るまでの期間における光学部品鏡面への汚染物質付着量の予測も困難である。つまり、衛星の打ち上げ直後から軌道上での観測運用に至るまでに鏡筒101内に発生する汚染物質分子や光学部品鏡面の汚染物質付着量を定量する手段がない。
【0010】
このような状況において、図6(a)、(b)に示すような従来の宇宙望遠鏡の運用方法を採用すれば、光学部品鏡面に汚染物質が付着した状態でトップドア102を展開することになる。このため、上述したような不具合が発生して宇宙望遠鏡の運用初期段階において要求性能を満足できなくなるばかりでなく、α値の劣化の程度次第では観測不能となる危険性も十分にある。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、上述したように、軌道上での観測運用直前までの光学部品鏡面への汚染物質付着量の定量評価が不可能である(汚染物質管理が不可能である)という現実を踏まえ、光学部品を収納する筐体に、宇宙空間へ汚染物質を排出する機構を設けることで、観測運用直前(光学部品鏡面への受光直前)に、光学部品鏡面に付着した汚染物質を除去することができる宇宙航行光学機器を得ることを目的とする。
【0012】
また、この発明は上記宇宙航行光学機器から汚染物質を効率的に除去することができる汚染物質除去方法を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、光学部品を収納する筐体と、該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部とを備えるものである。
【0014】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、筐体内を高温部とし宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成させる熱勾配形成手段を備えるものである。
【0015】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、光学部品を加熱する加熱手段を備えるものである。
【0016】
この発明に係る宇宙航行光学機器は、汚染物質除去用ドア部が宇宙空間に熱を放出する放熱手段を備えるものである。
【0017】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を収納する筐体と、該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部とを備えた宇宙航行光学機器に対して、その筐体内を高温部とし宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成すると共に、汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放して汚染物質を排出するものである。
【0018】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を加熱して筐体内で該光学部品を高温部とし筐体内壁を低温部とする熱勾配を形成するものである。
【0019】
この発明に係る汚染物質除去方法は、汚染物質除去用ドア部を放熱させることで筐体内壁における最低温部とするものである。
【0020】
この発明に係る汚染物質除去方法は、光学部品を加熱しながら筐体内部を宇宙空間に開放するものである。
【0021】
この発明に係る汚染物質除去方法は、宇宙航行光学機器は、汚染物質除去用ドア部とは別に、観測対象物からの観測光を筐体内部の光学部品に導く観測系側ドア部を有し、観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放するものである。
【0022】
この発明に係る汚染物質除去方法は、観測系側ドア部を開放した際に観測光が入射しない姿勢に光学機器を制御して、光学部品を加熱しながら観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放して汚染物質を排出するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は(a)の状態における汚染物質の挙動を概略的に示し、(c)は軌道上での観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、1a〜1cは当該宇宙望遠鏡の光学系を構成する光学部品であって、図示の例では観測対象物Aからの観測光Bを入射する反射光学系を構成する。2は光学部品1a〜1cを収納する鏡筒(筐体)で、熱、汚染物質7、及び、放射線などの過酷な宇宙環境から内部の光学部品1a〜1cを保護する。3は観測対象物Aからの観測光Bを光学部品1a〜1cに導くために観測用の開口部(入射瞳)に設けられたトップドア(観測系側ドア部)であって、ヒンジ部4aによって鏡筒2に支持されて外部環境から鏡筒2内部を保護する。このトップドア3は、ヒンジ部4aを中心に回転して開閉自在に動作する。
【0024】
また、5はトップドア4とは別に鏡筒2に設けられたサイドドア(汚染物質除去用ドア部)であって、鏡筒2の外表面のうち、軌道上、宇宙空間(およそ3K程度)と輻射熱結合している割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部分に開口部を設け、これを覆うようにして設けられる。このサイドドア5は、ヒンジ部4bにより鏡筒2に支持されており、該ヒンジ部4bを中心に回転して開閉自在に動作する機構となっている。6は鏡筒2を被覆する断熱材(熱勾配形成手段)であって、MLI(Multi Layer Insulation)と呼ばれる宇宙用断熱材などで実現される。7は鏡筒2内に発生した汚染物質で、例えば、鏡筒2内に設けたCFRP構造物(carbon fiber reinforced plastics)及び有機材料などから真空環境下において発生する揮発性物質や水分などがある。
【0025】
次に動作について説明する。
軌道上での観測運用前では、図1(a)に示すように、宇宙望遠鏡の光学部品1a〜1cからなる光学系の光軸を観測対象物Aからの観測光Bの光軸に指向させている。また、トップドア3も閉じた状態となっており、観測光Bは光学部品鏡面に受光されない。このとき、鏡筒2の内壁や光学部品鏡面などには、汚染物質が付着していると共に、鏡筒2内の気相にも汚染物質分子が浮遊している。これらの気相に浮遊する汚染物質分子が鏡筒2の内壁や光学部品鏡面などに衝突することで、さらに汚染物質の付着が進む。
【0026】
そこで、この実施の形態1では、トップドア3を開いて観測光Bを光学部品鏡面に受光する前に、図1(b)に示すように、サイドドア5のみを開放する。この動作によって、光学部品1a〜1cを含む鏡筒2の内部が、サイドドア5の開口部を介してある視野角で極低温の宇宙空間(3K程度)と空間的・熱的に結合することになる。鏡筒2の外周は断熱材6によって極低温の宇宙空間から熱的に切り離されており、内部は極低温より高温の状態にある。このため、サイドドア5のみを開放することで、鏡筒2内部と宇宙空間との間にサイドドア5の開口部を介して温度差(熱勾配)が生じる。
【0027】
ここで、汚染物質(例えば、水分子や有機材料からの揮発性物質など)7は、真空環境下において高温部から低温部へ半球状に移動(浮遊)することが知られている。このような汚染物質7の挙動を考慮すれば、図1(b)に示す状態を実現することにより、宇宙望遠鏡内部、特に光学部品鏡面に付着した汚染物質7を宇宙空間に排出することができる(図1(b)中の破線の矢印の部分を参照)。
【0028】
この図1(b)に示す状態を、宇宙望遠鏡に対して十分な時間維持したあと、図1(c)に示すように、トップドア3を開放することによって、観測光Bを光学部品1a〜1cに受光し観測運用が開始される。
【0029】
以上のように、この実施の形態1によれば、光学部品1a〜1cを収納する鏡筒2と、該鏡筒2の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、内部を宇宙空間に開放するサイドドア5とを備えたので、鏡筒2内壁や光学部品鏡面に付着した汚染物質を宇宙空間に排出することができる。
【0030】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は軌道上での観測運用時を示し、(c)は軌道上での観測運用前の他の状態を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、8,9は光学部品1a〜1cの近傍に設置されたデコンタミヒータ(加熱手段)であって、光学部品1a〜1cをそれぞれ加熱する。このデコンタミヒータ8,9は、例えば光学部品1a〜1cを構成する反射鏡の裏面に平面上に発熱素子を取り付けた構成などが考えられる。また、この発熱素子の電源を太陽電池で供給するようにしてもよい。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前においては、図2(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させる。また、トップドア3、及びサイドドア5は閉じた状態で、デコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを充分な時間加熱する(以下、軌道上ベーキングと呼ぶ)。このように、デコンタミヒータ8,9で加熱することによって、光学部品1a〜1cの温度を鏡筒2内部の他の構成品(鏡筒2も含む)より上昇させて温度差(熱勾配)を形成させる。これにより、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7は、光学部品1a〜1cの表面から脱離する(図2(a)中の破線の矢印参照)。
【0032】
十分な時間、軌道上ベーキングが実施されると、光学部品1a〜1cから脱離した汚染物質7は、鏡筒2内壁部に付着することになる。続いて、図2(b)に示すように、トップドア3及びサイドドア5を同時に開放することで、鏡筒2内部から2つの開口部を介して汚染物質7が宇宙空間へ排出される(図2(b)中の破線の矢印参照)。この場合、上記実施の形態1と比較して、トップドア3及びサイドドア5が開放されることから宇宙空間とのコンダクタンスが大きく汚染物質7の排出効率がよい。
【0033】
また、図2(c)に示すように、観測運用前において、サイドドア5は開放した状態でデコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを十分な時間加熱する軌道上ベーキングを行っても良い。この場合も上記と同様に、デコンタミヒータ8,9で加熱することにより、汚染物質7を光学部品1a〜1cから脱離させ、且つ、サイドドア5を開放することにより生じた開口部から汚染物質7が宇宙空間に排出される。ここで、サイドドア5を開放した後もデコンタミヒータ8,9による加熱を継続する。この軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、トップドア3を開放して宇宙望遠鏡の観測を開始する。このように、軌道上ベーキング時に既にサイドドア5を開放しておくことで、鏡筒2内部の汚染物質を宇宙空間へ効率よく排出することができる。
【0034】
以上のように、この実施の形態2によれば、光学部品1a〜1cを加熱するデコンタミヒータ8,9を設けたので、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配をより急峻にすることができ、光学部品鏡面に付着した汚染物質を効率よく宇宙空間に排出することができる。
【0035】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態を示し、(b)は観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、10,11はトップドア3及びサイドドア5の外表面(宇宙空間に暴露された面)にそれぞれ設けたα/ε値が小さい熱制御材(又は表面処理)(放熱手段)であって、トップドア3及びサイドドア5自身を放熱面として低温板化する。これにより、トップドア3及びサイドドア5自身を、それぞれ汚染物質7のトラップ用板として機能させることが可能となる。ここで、αは太陽光吸収率、εは赤外線放射率である。また、α/ε値が小さい熱制御材(又は表面処理)10,11は、例えばα/ε値が小さい粘着物質を用いた粘着テープであるシルバーテフロン(登録商標)、OSR(Optical Solar Reflector)、ホワイトペイントなどを施すことによって実現される。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前において、図3(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、α/ε値が小さい熱制御材10,11を施したトップドア3及びサイドドア5を閉じた状態にする。このとき、トップドア3及びサイドドア5の温度は、α/ε値が小さい熱制御材10,11によって鏡筒2又は鏡筒2内部の各構成品の温度と比較して数十度下がることになる。つまり、光学部品1a〜1cの温度より両ドア3,5の方が数十度低くなる。このため、光学部品鏡面に付着していた汚染物質7は、両ドア3,5の方へ移動(浮遊)して吸着する。このように、トップドア3及びサイドドア5の外表面にα/ε値が小さい熱制御材を実装することで、汚染物質7を吸着させる機能を持たせることが可能となる。
【0037】
上述のようにして、光学部品鏡面などに付着した汚染物質をトップドア3及びサイドドア5に吸着させたあと、図3(b)に示すように、これらを同時に開放する。これによって汚染物質7が排出されると共に、宇宙望遠鏡の観測運用を開始することができる。
【0038】
以上のように、この実施の形態3によれば、トップドア3及びサイドドア5を低温板化する熱制御材10,11を設けることにより、トップドア3及びサイドドア5を汚染物質7のトラップとして機能させることが可能となる。これにより、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を効率よく排除することができる。
【0039】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態、(b)は軌道上での観測運用時を示し、(c)は軌道上での観測運用前の他の状態を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図4に示す宇宙航行光学機器は、図3の構成にデコンタミヒータ8,9を追加したものに相当する。
【0040】
次に動作について説明する。
先ず、観測運用前においては、図4(a)に示すように、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、α/ε値が小さい熱制御材10,11を施したトップドア3及びサイドドア5を閉じた状態にする。ここで、デコンタミヒータ8,9を発熱させて光学部品1a〜1cを加熱(軌道上ベーキング)し、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7をその表面から脱離させる。このとき、光学部品1a〜1cの表面から脱離した汚染物質7は、熱制御材10,11によって低温板化されたドア3,5に直ちにトラップされる。このように、光学部品1a〜1cの温度を上昇させることで光学部品鏡面からの汚染物質7の排除量を多くさせると共に、熱制御材10,11によって光学部品1a〜1cと両ドア3,5との温度差(熱勾配)を大きくすることで、上記実施の形態3と比較して汚染物質7の両ドア3,5に対する吸着効率を向上させることができる。
【0041】
上述のような軌道上ベーキングを十分な時間実施したあと、トップドア3及びサイドドア5を開放して、図4(b)に示すように、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を宇宙空間に排出し、宇宙望遠鏡の観測運用を開始する。
【0042】
また、観測運用前において、宇宙望遠鏡の姿勢を観測対象物Aに指向させ、トップドア3及びサイドドア5を閉じた状態で、デコンタミヒータ8,9をそれぞれ発熱させ、各光学部品1a〜1cを充分な時間加熱する軌道上ベーキングを行っても良い。この場合も上記と同様に、デコンタミヒータ8,9で加熱することにより、汚染物質7を光学部品1a〜1cから脱離させると共に、低温板化しているトップドア3及びサイドドア5に汚染物質7を吸着させる。この軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、図4(c)に示すように、サイドドア5のみ開放し、サイドドア5に吸着した汚染物質7及び鏡筒2内部の汚染物質7を宇宙空間に排出する。このサイドドア5の開放後もデコンタミヒータ8,9による軌道上ベーキングを十分な時間実施した後、トップドア3を開放して宇宙望遠鏡の観測を開始する。このように、軌道上ベーキング時に既にサイドドア5を開放しておくことで、鏡筒2内部の汚染物質を宇宙空間へ効率よく排出することができる。
【0043】
以上のように、この実施の形態4によれば、光学部品1a〜1cを他の構成部品より高温化するデコンタミヒータ8,9と、トップドア3及びサイドドア5を低温板化する熱制御材10,11とを設けることにより、光学部品鏡面から脱離した汚染物質7を効率よくトップドア3及びサイドドア5にトラップさせることができる。これにより、光学部品鏡面に付着した汚染物質7を効率よく排除することができる。
【0044】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図であり、(a)は軌道上での観測運用前の状態を示し、(b)は観測運用時を示している。また、この図では、宇宙航行光学機器として宇宙望遠鏡を例に挙げている。図において、図5に示す宇宙航行光学機器は、全て図2に記載されたものと同一である。上記実施の形態2との相違点は、ドア3,5の運用方法にある。
【0045】
次に動作について説明する。
図5(a)に示すように、観測運用前において、トップドア3を開放した後であっても、光学部品1a〜1cにて観測光Bが受光しないように宇宙望遠鏡の指向軸(姿勢)を制御する。このとき、光学部品1a〜1cでは、観測光Bを受光しないため熱吸収がない。これにより、鏡筒2内部の温度は観測運用時と比較して下がることになる。この姿勢で、デコンタミヒータ8,9を発熱させることで光学部品1a〜1cを加熱(軌道上ベーキング)し、トップドア3及びサイドドア5を開放する。つまり、姿勢制御によって鏡筒2内部の温度を観測運用時と比較して下げることで、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配がより急峻になる。これにより、光学部品1a〜1cに付着した汚染物質7は、より確実に排除される。
【0046】
上記軌道上ベーキングを十分な時間実施したあと、図5(b)に示すように、宇宙望遠鏡の指向軸(姿勢)を観測光の光軸に合わせて観測運用を開始する。
【0047】
以上のように、この実施の形態5によれば、トップドア3を開放した際に観測光Bが入射しない姿勢に光学機器を制御して、光学部品1a〜1cを加熱しながらトップドア3及び/又はサイドドア5によって鏡筒2内部を宇宙空間に開放して汚染物質7を排出するので、光学部品1a〜1cを高温部とする熱勾配をより急峻にすることができ、光学部品鏡面に付着した汚染物質を効率よく宇宙空間に排出することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、光学部品を収納する筐体に、宇宙空間へ汚染物質を効率よく排出する機構を設けたので、宇宙航行中に光学部品の汚染物質を除去することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態5による宇宙航行光学機器の概略的な構成を示す断面図である。
【図6】 従来の宇宙航行光学機器である宇宙望遠鏡の概略的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1a〜1c 光学部品、2 鏡筒(筐体)、3 トップドア(観測系側ドア部)、4a,4b ヒンジ部、5 サイドドア(汚染物質除去用ドア部)、6 断熱材(熱勾配形成手段)、7 汚染物質、8,9 デコンタミヒータ(加熱手段)、10,11 熱制御材(又は表面処理)(放熱手段)。
Claims (10)
- 光学部品を収納する筐体と、
該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、上記筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部と
を備えた宇宙航行光学機器。 - 筐体内を高温部とし、宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成させる熱勾配形成手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の宇宙航行光学機器。
- 光学部品を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の宇宙航行光学機器。
- 汚染物質除去用ドア部は、宇宙空間に熱を放出する放熱手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の宇宙航行光学機器。
- 光学部品を収納する筐体と、該筐体の外周部のうち、宇宙航行中に宇宙空間と輻射熱結合する割合が最も大きく、外部からの熱入力が最も小さい部位に設けられ、上記筐体内部を宇宙空間に開放する汚染物質除去用ドア部とを備えた宇宙航行光学機器に対して、その筐体内を高温部とし上記宇宙空間を低温部とする熱勾配を形成すると共に、上記汚染物質除去用ドア部によって上記筐体内部を上記宇宙空間に開放して汚染物質を排出する宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。
- 光学部品を加熱して筐体内で該光学部品を高温部とし上記筐体内壁を低温部とする熱勾配を形成することを特徴とする請求項5記載の宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。
- 汚染物質除去用ドア部を放熱させることで筐体内壁における最低温部とすることを特徴とする請求項5記載の宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。
- 光学部品を加熱しながら筐体内部を宇宙空間に開放することを特徴とする請求項5記載の宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。
- 宇宙航行光学機器は、汚染物質除去用ドア部とは別に、観測対象物からの観測光を筐体内部の光学部品に導く観測系側ドア部を有し、
上記観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放することを特徴とする請求項5記載の宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。 - 観測系側ドア部を開放した際に観測光が入射しない姿勢に光学機器を制御し、光学部品を加熱しながら上記観測系側ドア部及び/又は汚染物質除去用ドア部によって筐体内部を宇宙空間に開放して汚染物質を排出することを特徴とする請求項9記載の宇宙航行光学機器の汚染物質除去方法。
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