JP3789755B2 - 不飽和第四級アンモにウム塩の水溶液の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は水の存在下で、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DAMEA)と、化学式(II):
R−Cl (II)
(ここで、Rはメチルまたはベンジル基を表す)
の四級化剤とを反応させて、化学式(I):
【化2】
Figure 0003789755
(ここで、Rは上記と同じ意味を有する)
に対応する不飽和第四級アンモにウム塩(以下、四級塩という)の水溶液を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記の四級塩(I)の水溶液は水処理用カチオン凝集剤として使用されるポリマーの製造で用いられる。
欧州特許第EP−B−250,325号には化学式(I)の四級塩を含む水溶液の製造方法が開示されている。この方法は少なくとも1種の重合抑止剤の存在下で、
第1段階(a)でDAMEAを反応に必要な四級化剤の5〜20重量%と反応させるか、変形例(a')として、DAMEAをDAMEAの重量に対して5〜20重量%の第四級アンモにウム塩の水溶液(50〜85重量%の四級塩を含む)と反応させ、
第2段階(b)で所望の水中濃度の四級塩が得られるまで水と四級化剤とを連続的に添加する。
【0003】
段階(a)および段階(b)の間、温度を30〜60℃に保つ。また、段階(a)および段階(b)の間、特に反応の終点近くで反応器の入口から導入する酸素流に対する反応器出口から排出される全ガス量の容積比(流量比)が100以下となるように反応混合物中に酸素含有ガス流を維持する。
この方法では室温で1年以上安定な四級塩の水溶液が製造できるが、得られた水溶液中に不純物、特に[化3]、[化4]:
【0004】
【化3】
Figure 0003789755
【0005】
【化4】
Figure 0003789755
【0006】
およびDAMEAが高い含有率で含まれるという欠点がある。さらに、この方法は反応時間が長いため、経済的に不利である。
国際出願第WO89/07,588号には、上記の第四級化反応での不純物の生成量を減らす方法が提案されている。この方法は反応を10〜80℃の温度で行い、
(a)第1段階で反応に必要な四級化剤(反応条件下で液体状態にある)の全てまたは一部を反応器に導入し、
(b)次に、DAMEAを添加し、
(c)DAMEAの化学量論量の0〜30%を反応器に導入したときに、四級化剤の残部とDAMEAの残部と所望濃度の四級塩が得られるまでの水とを同時に連続的に添加し、
(d)四級化剤を反応温度でガス状態で導入する場合は、酸素の存在下で反応を行い、四級化剤が反応温度で液体状態になるように圧力を加え、反応終了時には、圧力を徐々に減圧して大気圧にし、同時に反応器の入口から導入される酸素の流量に対する反応器出口から排出される全ガス量の流量比を100以下にする。
【0007】
この国際特許WO89/07,588号の方法はEP−B−250,325号の方法に比べて大幅に改良されるが、得られる四級塩の純度はまだ不十分である。すなわち、水性媒体中でのDAMEAとCH3Clとの反応時に不純物としてDAMEAの加水分解で生じるアクリル酸(AA)の他に、塩(以下、ADAMQUAT MC)と、化学式(1)で表されるこのADAMQUAT MCの二量体:
【0008】
【化5】
Figure 0003789755
【0009】
とが生じる。
重合の反応性に関する一連の試験によってこれらの不純物がADAMQUATから得られるカチオンポリマーの品質を損なうということを分かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、上記不純物量を最小限に抑えて、分析品質が非常に高い塩(I)水溶液を得ることができる、化学式(I)の塩の水溶液の製造条件を見い出した。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明の対象は下記(a)および(b)を特徴とする新規な方法にある:
(a)密閉反応器に収容した全量のDAMEAを空気または貧空気で0.5〜3バールに加圧し、35〜65℃の温度で四級化剤(II)と水とを所望の水中濃度の塩(I)が得られるまで連続的に導入して反応させ、水の導入は反応に必要な量の四級化剤(II)の0〜20重量%を添加した後に開始し、反応終了時の圧力は9バール以下にし、
(b)反応器を減圧すると同時に空気を導入して酸素含有率を一定に維持し、大気圧へ戻した後に残留した四級化剤を除去する。
【0012】
【実施の態様】
本発明方法の他の具体的特徴は下記にある:
1) 四級化剤を1〜7時間かけて導入し、水は2〜8時間かけて導入する。
2) 反応をDAMEAに対する四級化剤のモル比を一般に1〜1.1、好ましくは1〜1.05にして行う。
3) 反応を水/四級化剤の平均流量比を0.1〜1.2、特に0.3〜0.8にして行う。
【0013】
本発明方法では特に四級塩(I)の濃度が50〜85重量%で、下記〔表1〕に示すように不純物の量が非常に少ない水溶液を製造することができる。
本発明方法はさらに、3,5−ジ(tert-ブチル)−4− ヒドロキシトルエン、ハイドロキノンメチルエーテル、ハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジンおよびこれらの混合物からなる群の中から選択される少なくとも1種の安定化剤の存在下で行うことができる。この安定化剤の含有率は四級塩(I)の水溶液に対して20〜2000ppm、好ましくは100〜1200ppmである。
【0014】
さらに、反応媒体にジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩、N−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸およびN−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩からなる群の中から選択される少なくとも1種の金属イオン封鎖剤を添加することができるこの金属イオン封鎖剤の含有率は四級塩(I)の水溶液に対して1〜100ppm、好ましくは 5〜30ppmである。一般に金属イオン封鎖剤は水溶液で入手できるので、一般にそのままの状態で添加する。すなわち、商品名Versenex80で市販のジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩を約40重量%水溶液の状態で用意する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。以下の実施例において特に記載のない限り%は重量%である。
【0015】
実施例1
温度計、気/液攪拌機(中空軸を有するタービン)、10バールにセットされた弁、破裂ディスクおよび各種反応物を導入するための浸漬管を取付けた、特別に耐圧設計された1リットル容のジャケット付きガラス反応器中に429gのDAMEAを導入した。反応器を密閉した後、1バールの貧空気(air appauvri)で加圧し、攪拌と加熱を開始した。
温度が40℃に達した時に(設定温度:47℃)、CH3Clの導入を159g/ 時の流量で開始した。15gのCH3Cl(すなわちCH3Clの化学量論量の10%)を添加した時に、CH3Clの添加を続けながら水の導入を60g/時の流量で開始した。H2O/CH3Cl流量比は反応全体を通じて0.37で一定に維持した。全ての水(すなわち143g)を導入し終った時に下記手順に従って反応器を大気圧に戻した:
【0016】
1) 過剰なCH3Clを30分間脱気しながら、それと同時に反応物中に空気を導入する(流量:3Nl/時)、
2) 徐々に大気圧に戻す。
次に、痕跡量のCH3Clを空気でストリッピングして30分間除去した(流量:5Nl/時)。最後に反応器を冷却し、空けた。
【0017】
粗反応混合物(716g)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、アクリル酸と化合物(1)の含有率を求めた。結果は〔表1〕に示してある。
反応の各段階の継続時間は下記の通り:
CH3Clの導入:1時間
2Oの導入 :2.3時間
脱気 :0.5時間
ストリッピング :0.5時間
従って、合計継続時間は約3.5時間。
【0018】
実施例2〜4(比較例)
実施例1と同じ操作で製造したがCH3Clの流量を変えた。
結果は〔表1〕に示してある。
実施例5〜7(比較例)
実施例3と同じ操作で製造したが最初から水の導入を開始した。
実施例8〜10(比較例)
実施例3と同じ操作で製造したが温度を変えた。
結果は〔表1〕に示してある。
【0019】
【表1】
Figure 0003789755

Claims (11)

  1. 水の存在下で、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DAMEA)と、化学式(II):
    R−Cl (II)
    (ここで、Rはメチルまたはベンジル基を表す)
    の四級化剤とを反応させて、化学式(I):
    Figure 0003789755
    (ここで、Rは上記と同じ意味を有する)
    に対応する不飽和第四級アンモにウム塩の水溶液を製造する方法において、
    下記(a)および(b)を特徴とする方法:
    (a)密閉反応器に収容した全量のDAMEAを空気または貧空気で0.5〜3バールに加圧し、35〜65℃の温度で四級化剤(II)と水とを所望の水中濃度の塩(I)が得られるまで連続的に導入して反応させ、水の導入は反応に必要な量の四級化剤(II)の0〜20重量%を添加した後に開始し、反応終了時の圧力は9バール以下にし、
    (b)反応器を減圧すると同時に空気を導入して酸素含有率を一定に維持し、大気圧へ戻した後に残留した四級化剤を除去する。
  2. 反応を40〜60℃の温度で行う請求項1に記載の方法。
  3. 反応終了時の圧力を4〜7バールにする請求項1または2に記載の方法。
  4. 反応に必要な量の四級化剤(II)の5〜15重量%を添加した後に水の導入を開始する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 四級化剤を1〜7時間かけて導入し、水を2〜8時間かけて導入する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. DAMEAに対する四級化剤のモル比を1〜1.1にして反応させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 水/四級化剤の平均流量比を0.1〜1.2にして反応させる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 得られる四級塩(I)の水溶液の濃度を50〜85重量%にする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 反応を3,5−ジ(tert-ブチル)−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノンメチルエーテル、ハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジンおよびこれらの混合物からなる群の中から選択される少なくとも1種の安定化剤の存在下で行い、安定化剤の含有率を四級塩(I)の水溶液に対して特に20〜2000ppmにする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 反応をジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩、N−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸およびN−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩からなる群の中から選択される少なくとも1種の金属イオン封鎖剤の存在下で行い、この金属イオン封鎖剤の含有率を四級塩(I)の水溶液に対して1〜100ppmにする請求項9に記載の方法。
  11. 残留した四級化剤を空気でストリッピングして除去する請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
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