JP3788587B2 - 基板露光装置 - Google Patents

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、「基板」と称する)を露光する露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の基板露光装置としては、例えばフォトレジスト液などの感光剤が塗布された基板の周縁部を露光するエッジ露光装置が知られている。このエッジ露光装置は現像処理前に基板の周縁部を露光しておくための基板露光装置であり、その従来例として例えば特開平9−326358号公報に記載されたものがある。この従来装置では、水銀キセノンランプなどの光源からの光線(一般的には紫外線)を光ファイバによってスポット光照射ユニット(露光ヘッド)に導き、このスポット光照射ユニットから基板の周縁部に光線を照射することによって、当該周縁部の感光剤を感光させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の基板露光装置では、スポット光照射ユニット内にレンズ系を装備し、光ファイバを介して導光されてきた光線をレンズ系によって基板表面に集光させており、露光幅はレンズ系の光学特性、特に倍率によって決まってくる。しかしながら、従来の基板露光装置においては、レンズ系の倍率は固定されており、露光幅を変更するためにはレンズ系の構成を変更する必要がある。しかも、そのレンズ系の変更に伴って光学的な調整を行う必要がある。そのため、従来の基板露光装置では、露光幅の変更に柔軟に対応することができなかった。
【0004】
また、従来の基板露光装置では、光源として上記したように水銀キセノンランプが用いられたり、これ以外にフラッシュランプが用いられることが多い。これらのランプ寿命は比較的短く、基板の露光処理に要求されるランプ性能を満足させることができる時間は、現状では平均して1000時間から2000時間程度であり、装置を24時間稼動させる場合には約1.5ヶ月から3ヶ月ごとにランプ交換が必要となる。そのため、この短期間でのランプ交換がメンテナンス性を低減させる主要因のひとつとなっている。また、ランプは消耗品であるため、ランプにかかるコストは大きく、ランニングコストの増大要因のひとつとなっている。
【0005】
また、ランプを収納したランプハウスを熱排気および重量などの問題から装置本体の下部に配置し、ランプハウスからの出射光を光ファイバでスポット光照射ユニットまで伝達している。この光ファイバ自体がかなり高価な部品であるため、光ファイバを用いることで装置コストがかかるという問題もある。
【0006】
また、スポット光照射ユニットから基板表面に照射される光線の照度はランプの経時変化などに伴って変動するため、従来の基板露光装置では受光器を装置内に設置して適当なタイミングでスポット光照射ユニットを露光処理位置から受光器まで移動させ、受光器による照度測定を行っている。したがって、スポット光照射ユニットの移動範囲内に受光器を設ける必要があり、受光器の設置スペースが必要となるとともに、その受光器の設置のために設計自由度が低下してしまうという問題がある。また、このようにスポット光照射ユニットを受光器まで相対的に移動させる必要があり、そのための駆動機構が必要となる。ここで、上記した従来装置では、スポット光照射ユニットを水平面内で二次元的に移動させる駆動機構が設けられているため、この駆動機構を利用してもよいのであるが、受光器まで移動可能に設定する必要があり、駆動機構の大型化を避けることができなくなってしまう。さらに、照度測定のたびに、スポット光照射ユニットを露光処理位置から移動させ、露光処理を中断する必要があるため、スループットの面でも不利である。
【0007】
さらに、感光剤の分光感度域は感光剤の種類によって異なることがあるが、分光感度域が互いに異なる感光剤に対して露光処理を行う場合、従来装置では感光剤の変更に伴いランプを交換する必要がある。このようなランプ交換は作業効率の低下を招くこととなるため、近年、感光剤の変更に対しても柔軟に対応することができる基板露光装置が強く要望されている。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、種々の露光条件(例えば露光幅、感光剤の分光感度域など)に柔軟に対応することができる基板露光装置を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、この発明は、優れたメンテナンス性を有する低コストの基板露光装置を提供することを第2の目的とする。
【0010】
さらに、この発明は、小型で、しかも優れたスループットを有する基板露光装置を提供することを第3の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる基板露光装置は、感光剤が塗布された基板の周縁部を所定の露光幅で露光する基板露光装置であって、上記目的を達成するため、少なくとも2本以上のレーザ光を出射するレーザ光源手段と、前記基板の周縁部における前記各レーザ光の照射位置が前記露光幅の幅方向において相互に相違するように、しかも前記各レーザ光の照射によって露光される露光領域が重なることなく前記露光幅の幅方向に沿って連続して配列するように、前記各レーザ光を前記基板の周縁部に導光する露光光学手段と、複数本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御して基板の周縁部における露光位置および/または露光幅を調整する露光幅調整手段とを備えている(請求項1)。
【0012】
このように構成された発明では、少なくとも2本以上のレーザ光が基板の周縁部に導光されて該周縁部が露光される。ここで、各レーザ光の照射によって露光される露光領域が重なることなく露光幅の幅方向に沿って連続して配列されることから、レーザ光のビーム径程度の分解能で露光幅および/または露光幅の幅方向における露光位置を制御することができ、高精度な露光処理を行うことができる。しかも、複数本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって、基板周縁部における露光幅を容易に、しかも迅速に変更することができるとともに露光位置の変更にも柔軟に対応することができる。
【0014】
また、複数本のレーザ光で基板を露光する場合、レーザ光源手段は複数本のレーザ光を発生させる必要があるが、例えばレーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源からのレーザ光を複数本のレーザ光に分割する第1ビームスプリッタとでレーザ光源手段を構成したり(請求項2)、レーザ光を出射するレーザ光源を複数個設けることでレーザ光源手段を構成することができる(請求項3)。
【0015】
また、露光条件の一つである露光位置を変更するためには、露光光学手段と基板とを相対的に移動させる移動手段を設けるのが望ましい(請求項4)。
【0017】
また、レーザ光源から出射されたレーザ光の一部を取出す第2ビームスプリッタと、第2ビームスプリッタによって取出された照度測定用レーザ光の光束を測定する受光器と、受光器で測定された測定結果に基づき基板の周縁部に照射される各レーザ光の照度を求める照度算出手段とをさらに設けてもよく(請求項5)、この場合、各レーザ光を基板の周縁部に照射しながら、同時に各レーザ光の照度を求めることができる。
【0018】
また、レーザ光源をチューナブルレーザで構成し、感光剤に応じてレーザ光源を制御してレーザ光源から出射されるレーザ光の波長を変更設定するようにしてもよい(請求項6)。このように構成することで、感光剤の変更に対して柔軟に対応することができる。
【0019】
また、露光光学手段が少なくとも1枚以上の反射ミラーを備え、反射ミラーによってレーザ光を反射して基板の周縁部に導光するように構成してもよく(請求項7)、光ファイバによって導光する従来技術に比べて装置コストの面で有利である。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明にかかる基板露光装置の第1実施形態を示す斜視図である。同図においては、水平面をX−Y面とし、鉛直方向をθ軸方向とする3次元座標系X−Y−θが定義されている。以下、基板露光装置の機構的構成について説明していく。
【0025】
この基板露光装置は、感光剤が塗布された基板Wの周縁部を露光する装置であり、基台1と、基板Wを回動駆動する回動駆動ユニット2と、基板Wの周縁部にレーザ光を照射露光する露光ユニット3と、エッジセンサ4と、装置全体を制御する制御ユニット(図3中の符号5)とを備えている。
【0026】
この回動駆動ユニット2は、吸着チャック21により基板Wを略水平に吸着保持し、θ軸用モータ22の駆動により基板Wを鉛直方向をθ軸として回動する。
【0027】
また、吸着チャック21により吸着保持された基板Wの上方側に、露光ユニット3が配置されており、この露光ユニット3から露光幅に応じて1または複数本のレーザ光が基板Wの周縁部に照射される。なお、露光ユニット3については、後で詳述する。
【0028】
さらに、エッジセンサ4は光センサであり、上下から回動駆動ユニット2の吸着チャック21上に保持された基板Wを挟むように投光部と受光部とを備えており、その基板Wのオリエンテーションフラットの検出および基板Wの回動駆動ユニット2の鉛直方向の回動軸θに対する基板Wの偏心量の検出を行う。
【0029】
次に、露光ユニット3の構成について図2を参照しつつ詳述する。図2は、図1の露光ユニットの機械・光学的構成を示す斜視図である。この露光ユニット3では、同図に示すように露光基台31上に、複数本のレーザ光を出射するレーザ光源部32と、複数チャンネルの音響光学素子(以下「マルチチャンネルAOM」という)33と、マルチチャンネルAOM33からのレーザ光を基板Wの周縁部に導光する露光光学部34と、ビームスプリッタ35と、フォトセンサ36とが配置されるとともに、これらの構成要素32〜36が露光カバー37によって覆われている。
【0030】
なお、この露光カバー37の側面には複数の開口部371が設けられており、これらの開口部371を介して露光基台31と露光カバー37とで囲まれた空間SP1に窒素ガスが供給されて光学的構成の構成要素32〜36等に対しパージを行っている。この結果、基板露光処理中に処理中に発生する気体成分、例えば感光剤を露光した際に発生する昇華物などが空間SP1に流れ込み、構成要素32〜36を汚染するのを効果的に防止することができる。
【0031】
レーザ光源部32はレーザ光源として紫外線レーザ321を備えており、この紫外線レーザ321から出射し、さらにビームスプリッタ35を透過したレーザ光Lが2枚の反射ミラー322,323およびレンズ324を介してビームスプリッタ325に導光している。このビームスプリッタ325は、本発明の「第1ビームスプリッタ」に相当するものであり、レーザ光Lを複数本、つまりm本(ただし、mは2以上の整数)に分割し、これらのレーザ光L1,…,LmをマルチチャンネルAOM33に向けて出射している。
【0032】
このマルチチャンネルAOM33は、レーザ光L1,…,Lmの各々を独立してON/OFF制御するものであり、制御ユニットの制御部(図3中の符号51)からの指令にしたがってレーザ光L1,…,Lmの全部あるいは一部を選択的に露光光学部34に導光するように構成されている。なお、マルチチャンネルAOM33の構成および動作については既に周知であるため、ここでは、それらについての説明は省略する。
【0033】
露光光学部34は、基本的にはレンズ341,342と、反射ミラー343と、レンズ344と、反射ミラー345とでマルチチャンネルAOM33から導光されてきたレーザ光を露光基台31に設けられた開口部(図示省略)を介して基板Wの周縁部に照射している。これらの構成要素341〜345のうち、レンズ341,342は空間SP1内において露光基台31に固定配置されているのに対し、反射ミラー343はカバー346により取り囲まれた空間SP2内で固定されており、カバー346と一体的にY軸駆動機構347によってY軸方向に移動可能となっている。また、レンズ344および反射ミラー345はカバー348により取り囲まれた空間SP3内で固定されており、露光ヘッド340として機能する。
【0034】
この露光ヘッド340は、Y軸駆動機構347によって反射ミラー343と同期してY軸方向に移動するのみにならず、独立してX軸駆動機構349によってX軸方向にも移動可能となっており、基板Wに対して相対的に移動可能となっている。このように、この実施形態では、Y軸駆動機構347およびX軸駆動機構349で本発明の「移動手段」が構成されており、露光光学部34から基板Wへのレーザ光の照射位置を変更調整することができる。また、露光ヘッド340のカバー348の側面には2つの開口部348aが設けられており、それらの開口部348aを介して窒素ガスが供給されて露光ヘッドの内部空間SP3を陽圧し、露光ヘッド内への昇華物などの流入を効果的に防止している。
【0035】
さらに、この実施形態では、露光ヘッド340から基板Wの周縁部に照射されるレーザ光の照度を求めるために、図2に示すように、紫外線レーザ321と反射ミラー322との間にビームスプリッタ35が配置されて紫外線レーザ321から出射されたレーザ光の一部を照度測定用レーザ光Loとして取出し、フォトセンサ36に導光している。そして、このフォトセンサ36が本発明の「受光器」として分割レーザ光Loの光束を測定し、その測定結果を、図3に示す電気的構成を有する制御ユニット5の制御部51に与えている。
【0036】
図3は、図1の基板露光装置の電気的構成を示す図である。この制御ユニット5は、CPU、ROMおよびRAMなどを備えた制御部51を備えている。この制御部51には、上記したようにフォトセンサ36が電気的に接続されており、フォトセンサ36からの信号、つまりフォトセンサ36による測定結果に関する信号が制御部51に与えられ、これを受けた制御部51がその測定結果に基づき基板Wの周縁部に照射される各レーザ光の照度を求める。このように、この実施形態では、制御部51が本発明の「照度算出手段」として機能している。
【0037】
また、制御部51には、マルチチャンネルAOM33が電気的に接続されており、制御部51からの指令に応じて各チャンネルを個別に制御して後述するようにビームスプリッタ325によって分割された複数本のレーザ光のうち1または複数本のレーザ光を基板Wの周縁部に照射し、処理内容に応じて露光幅および/または露光位置を調整する。このように、この実施形態では、制御部51およびマルチチャンネルAOM33が本発明の「露光幅調整手段」として機能している。
【0038】
また、制御部51には、上記フォトセンサ36およびマルチチャンネルAOM33以外にも、
・紫外線レーザ321を駆動するレーザ駆動回路52、
・X軸駆動機構349の駆動源たるX軸用モータ349aを駆動するX軸用モータ駆動回路53、
・Y軸駆動機構347の駆動源たるY軸用モータ347aを駆動するY軸用モータ駆動回路54、
・θ軸用モータ22を駆動するθ軸用モータ駆動回路55、
・ホストコンピュータなどの外部装置と通信するための通信インターフェース56、
・空間SP1,SP3への窒素ガスの供給を制御する電磁弁61,62、
と電気的に制御されており、予め制御部51のROMに組み込まれたプログラムにしたがって装置各部を制御部51が制御することで次に説明する動作を実現している。
【0039】
次に、上記のように構成された基板露光装置の動作および効果について説明する。この基板露光装置では適当なタイミングで制御部51がレーザ駆動回路52に点灯指令を出力し、これを受けてレーザ駆動回路52によって紫外線レーザ321がON状態に駆動されると、紫外線レーザ321からレーザ光が出射され、その一部がビームスプリッタ35によって照度測定用レーザ光Loとして取出されてフォトセンサ36に入射されるとともに、残りのレーザ光Lがビームスプリッタ325によって複数本、例えば5本に分割される。
【0040】
また、制御部51は、基板Wに対する露光処理内容に応じてマルチチャンネルAOM33に制御指令を与えて上記のようにして形成された5本のレーザ光L1〜L5のうちいずれのレーザ光を基板Wの周縁部に照射するのかを制御する。ここで、図4を参照しつつ具体例を示して詳述する。
【0041】
図4は、図1の基板露光装置の動作を説明するための模式図である。同図中の「1ch」〜「5ch」はそれぞれマルチチャンネルAOM33の各チャンネルを示しており、各チャンネルとも、「ON」状態で基板Wへのレーザ光の照射を許可し、「OFF」状態で基板Wへのレーザ光の照射を禁止している。したがって、露光幅E5で露光処理するために全てのチャンネルを「ON」状態にすると、全てのレーザ光L1〜L5が基板W側に導光され、同図(a)に示すように基板Wの周縁部では幅方向において一列に並んで5本のレーザ光が照射される。なお、同図中の斜線領域はレーザ光が照射されて露光された露光領域を示しており、また同図(b)および(c)中の破線領域はレーザ光が照射されずに未露光状態となっている領域を示している。
【0042】
こうして、露光幅E5で基板Wの周縁部に5本のレーザ光を照射した状態のままθ軸回りに基板Wを回動させることで基板Wの全周縁部がレーザ光で露光されて露光幅E5のエッジ露光処理が完了する。
【0043】
また、露光幅E3で露光処理する場合には、同図(b)に示すように、制御部51から与えられる制御指令に応じて連続する3つのチャンネルを「ON」状態にする一方、残りの2つのチャンネルを「OFF」状態とすればよい。こうすることで全レーザ光L1〜L5の一部(3本)が選択的に基板W側に導光されて露光幅は露光幅E5に比べてレーザ光2本分だけ短い露光幅E3となる。
【0044】
さらに、露光幅E4で露光処理する場合には、同図(c)に示すように、制御部51から与えられる制御指令に応じて連続する4つのチャンネルを「ON」状態にする一方、残りの1つのチャンネルを「OFF」状態とすればよい。こうすることで全レーザ光L1〜L5の一部(4本)が選択的に基板W側に導光されて露光幅は露光幅E5に比べてレーザ光1本分だけ短く、しかも露光幅E3よりもレーザ光1本分だけ長い露光幅E4となる。
【0045】
以上のように、この実施形態によれば、マルチチャンネルAOM33における各チャンネルを制御し、5本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって、基板Wの周縁部における露光幅を調整することができる。また、単に露光幅を調整することができるのみならず、基板Wの周縁部における露光位置を調整することが可能となっている。すなわち、図4に示すように、5本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって、露光領域を幅方向に変位させることができる。
【0046】
また、この実施形態によれば、光源としてレーザ光源を用い、レーザ光を基板Wの周縁部を導光して該周縁部を露光しているため、従来より水銀キセノンランプやフラッシュランプなどを光源として露光処理を行っていた従来装置に比べて、光源の交換頻度を少なくすることができ、メンテナンス性の向上、かつ低ランニングコスト化を図ることができる。
【0047】
また、レーザ光を反射ミラーおよびレンズによって基板Wの周縁部に導光するように構成しているため、光ファイバによって導光する従来技術に比べて装置コストを低減することができる。
【0048】
さらに、上記したようにレーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって露光位置の変更に対応することができ、露光幅および/または露光位置をレーザ光のビーム径程度の分解能で制御することができ、高精度な露光処理を行うことができる。しかも、この実施形態では、レーザ光のON/OFF制御による露光位置の調整に加えてX軸駆動機構349およびY軸駆動機構347による露光位置の調整が可能となっているため、次のような作用効果も得られる。
【0049】
すなわち、基板サイズが変化したり、基板Wのオリエンテーションフラット部分では、露光位置を大きく変更する必要があり、単にレーザ光の各々を独立してON/OFF制御しただけでは露光位置の変更に対応することが困難となることも考えられる。しかしながら、この実施形態ではX軸駆動機構349およびY軸駆動機構347を設けているため、X軸駆動機構349およびY軸駆動機構347によって露光ヘッド340などを基板Wに対して移動位置決めすることによって上記露光位置の変更に対しても柔軟に対応することができる。
【0050】
もちろん、露光ヘッド340のみを水平面(X−Y平面)内で移動位置決めする代わりに、基板Wを移動させたり、基板Wとともに露光ヘッド340を移動させることによって露光ヘッド340と基板Wとを相対的に移動位置決めするように構成してもよい。また、レーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって露光位置の変更に対応することができる場合には、露光ヘッド340と基板Wとを水平面内で相対的に移動させる機構(上記実施形態では、X軸駆動機構349およびY軸駆動機構347が相当する)は不要となり、装置構成を簡素化することができる。
【0051】
ところで、上記においては基板Wの周縁部に1〜5本のレーザ光を照射しているが、フォトセンサ36からの信号に基づき制御部51は各レーザ光の照度を求めている。すなわち、この実施形態では、レーザ光源たる紫外線レーザ321から出射されたレーザ光の一部を照度測定量レーザ光として取出し、その照度測定用レーザ光Loの光束をフォトセンサ(受光器)36で測定している。そして、その測定結果に基づき制御部51が基板Wの周縁部に照射される各レーザ光の照度を求めている。なお、この実施形態では、紫外線レーザ321の経時変化などに伴って照度変動が発生した場合には、適宜レーザ駆動回路52を制御して照度調整を行う。
【0052】
このように、従来装置のように照度測定のための受光器を露光ユニットの移動範囲内に設ける必要がなくなり、露光ユニット内に組み込むことができ、装置の小型化を図る上で有利となる。また、各レーザ光を基板Wの周縁部に照射しながら、同時に各レーザ光の照度を求めることができるため、照度測定のために露光処理の中断を余儀なくされていた従来装置に比べてスループットを大幅に向上させることができる。
【0053】
図5は、この発明にかかる基板露光装置の第2実施形態を示す電気的構成図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、レーザ光源部32に関する構成と、マルチチャンネルAOM33を設けていない点であり、その他の構成については第1実施形態と全く同一である。そこで、以下においては図5を参照しつつ相違点を中心に構成および動作などについて説明する。
【0054】
先の第1実施形態のレーザ光源部32では紫外線レーザ321から出射したレーザ光を5本に分割することによって5本のレーザ光L1〜L5を発生させていたのに対し、この第2実施形態のレーザ光源部32では予め5本の半導体レーザ326を設け、各半導体レーザ326から出射したレーザ光を直接、露光光学部34に入射するように構成している。この第2実施形態では、制御部51からの点灯指令にしたがってレーザ駆動回路52が5つの半導体レーザ326をそれぞれ個別にON/OFF制御して露光位置や露光幅に応じて1〜5本のレーザ光が出射される。例えば図4(a)に示すように露光幅E5で露光処理する場合、全ての半導体レーザ326を点灯させてレーザ光源部32から5本のレーザ光を出射させ、露光光学部34を介して基板Wの周縁部に照射する。また、露光幅E3で露光処理する場合には、連続する3つの半導体レーザ326を点灯させる一方、残りの2つの半導体レーザ326を消灯させる。
【0055】
このように、この実施形態では、半導体レーザ(レーザ光源)326を5個設けることで本発明の「レーザ光源手段」が構成されるとともに、制御部51が本発明の「露光幅調整手段」として機能しており、制御部51からの指令にしたがって5本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御して基板Wの周縁部における露光位置および/または露光幅を調整することができるため、単にレーザ光をON/OFF制御するのみで露光位置や露光幅の露光条件を容易に、しかも迅速に変更することが可能となる。
【0056】
図6は、この発明にかかる基板露光装置の第3実施形態を示す図である。この第3実施形態では、露光ユニット3に変倍ビームエキスパンダ391を設け、露光幅Eに応じて変倍ビームエキスパンダ391の倍率を変更することによって基板Wの周縁部に照射されるレーザ光のビーム径を変更し、これによって露光幅Eを変更させている。なお、その他の露光ユニット以外の基本的構成については、第1および第2実施形態と同一であるため、説明を省略し、以下、図6を参照しつつ第3実施形態における露光ユニットの構成および動作について詳述する。
【0057】
この基板露光装置の露光ユニット3では、図6に示すように、レーザ光源38から出射したレーザ光が変倍ビームエキスパンダ391および反射ミラー392からなる露光光学部39を介して基板Wの周縁部に照射されるように構成されている。この変倍ビームエキスパンダ391は、変倍望遠系として従来より良く知られているものであり、正のパワーを有する第1レンズ群391aと、負のパワーを有する第2レンズ群391bと、正のパワーを有する第3レンズ群391cとがこの順序でレーザ光源側(同図の左手側)より光軸上に配置されている。
【0058】
また、この変倍ビームエキスパンダでは、これら3つのレンズ群391a〜391cのうち少なくとも2つのレンズ群が光軸上を移動自在となっており、これらの移動レンズ群を適当に移動させて第1および第2レンズ群391a,391bの合成焦点位置Pabに第3レンズ群391cの前側焦点位置FPcが一致して、ビームエキスパンダ全体で望遠系が構成されている。また、この変倍ビームエキスパンダは、その状態(位置Pab,FPcが一致している状態)を維持しながら、第1および第2レンズ群391a,391bの間隔を変化させて両レンズ群391a,391bの合成焦点距離を変化させることで、変換倍率を変化させることができるようになっている。
【0059】
そこで、この実施形態では、移動レンズ群を移動させるためのレンズ駆動部57が設けられており、制御部51からの移動指令にしたがって移動レンズ群を移動させて倍率を変更する。このため、レーザ光源38からの出射されたレーザ光Lのビーム径が変倍ビームエキスパンダ391の倍率で拡大・縮小された状態で基板Wに照射されて露光幅Eを変更設定することができるようになっている。
【0060】
なお、このようにビーム径を変更した場合、単位面積当たりの照度が変化してしまうため、レーザ光Lのビーム径に応じて露光光学部39と基板Wとの相対移動速度を調整するのが望ましい。つまり、ビーム径を大きく露光幅を比較的広く設定した際には、単位面積当たりの照度が小さくなるため、θ軸(図1参照)回りの回動速度を遅くする一方、ビーム径を小さくして露光幅を比較的狭く設定した際には、単位面積当たりの照度が大きくなるため、θ軸回りの回動速度を早めるのがことによって、露光幅のサイズにかかわらず露光量をほぼ一定に保つことができ、好適である。
【0061】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1および第2実施形態では、レーザ光源部32から最大5本のレーザ光を出射させているが、レーザ光の本数はこれに限定されるものではなく、複数本のレーザ光をレーザ光源部32から出射するように構成してもよい。すなわち、最大m本(mは2以上の整数)のレーザ光で基板Wの周縁部を露光するために、第1実施形態ではビームスプリッタ325による分割本数をm本に設定すればよく、第2実施形態ではm個の半導体レーザを設けるようにすればよい。
【0062】
また、上記第1および第2実施形態では、図4に示すように各レーザ光の露光領域(斜線領域)が露光幅の幅方向に一列に配列するようにレーザ光が照射されるが、各レーザ光の露光領域の配列形状はこれに限定されるものではなく、露光幅の幅方向において相互に相違する限り任意の配列形状、例えば千鳥状、2列状などに露光領域を配列してもよい。
【0063】
また、上記第1ないし第3実施形態で使用したレーザ光源については、種々のレーザ光源を用いることができるが、特にチューナブルレーザを用いるのが望ましい。というのも、基板W上に塗布される感光剤は特定波長のレーザ光に対して感度を有しており、感光剤の種類が変更されることによってレーザ光の波長を変更しなければならない場合があるが、チューナブルレーザを用いることでこのような要望に柔軟に対応することができるからである。すなわち、レーザ光源がチューナブルレーザで構成されていると、本発明の「波長設定手段」として機能する制御部51からの波長指令に応じてチューナブルレーザから出射されるレーザ光の波長を容易に変更設定することができ、感光剤の変更に対して柔軟に対応することができる。
【0064】
さらに、上記第1ないし第3実施形態はいずれも基板Wの周縁部を露光する基板露光装置であるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、(1)第1および第2実施形態、ならびにそれらの変形態様に基づき説明したように複数本の光線を露光幅の幅方向において相互に相違するように基板に照射して露光する装置において露光幅および/または露光位置に応じて複数の光線の全部または一部を選択し、その選択した光線のみを基板に導光して露光するという技術思想、ならびに(2)第3実施形態およびその変形態様に基づき説明したように、露光幅に応じて変倍ビームエキスパンダの倍率を変更することによって基板の周縁部に照射されるレーザ光のビーム径を変更し、これによって露光幅を変更させるという技術思想については、いずれも露光幅の調整を必要とする基板露光装置全般にそのまま適用することができる。なお、上記した技術思想(1)および(2)については、光源としてレーザ光源に限定されるものではなく、露光処理に適した光源を用いてもよいことはいうまでもないが、基板の周縁部を露光処理する基板露光装置の場合と同様に、レーザ光源を用いるのが好ましい。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし7の発明によれば、少なくとも2本以上のレーザ光を基板の周縁部を導光して該周縁部を露光している。ここで、基板の周縁部における各レーザ光の照射位置が露光幅の幅方向において相互に相違するように、しかも各レーザ光の照射によって露光される露光領域が重なることなく露光幅の幅方向に沿って連続して配列されることから、レーザ光のビーム径程度の分解能で露光幅および/または露光幅の幅方向における露光位置を制御することができ、高精度な露光処理を行うことができる。さらに、複数のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御することによって、基板周縁部における露光位置や露光幅の露光条件を容易に、しかも迅速に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる基板露光装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の露光ユニットの機械・光学的構成を示す斜視図である。
【図3】図1の基板露光装置の電気的構成を示す図である。
【図4】図1の基板露光装置の動作を説明するための模式図である。
【図5】この発明にかかる基板露光装置の第2実施形態を示す電気的構成図である。
【図6】この発明にかかる基板露光装置の第3実施形態を示す図である。
【符号の説明】
3…露光ユニット
5…制御ユニット
32…レーザ光源部(光源ユニット)
33…マルチチャンネルAOM(露光幅調整手段、選択手段)
34,39…露光光学部(露光光学手段)
35…(第2)ビームスプリッタ
36…フォトセンサ(受光器)
38…レーザ光源
51…制御部(露光幅調整手段、速度調整手段、照度算出手段、波長設定手段、選択手段)
57…レンズ駆動部
321…紫外線レーザ
322,323,343,345,392…反射ミラー
341,342,344…レンズ
325…(第1)ビームスプリッタ
326…半導体レーザ(レーザ光源)
347…Y軸駆動機構(移動手段)
349…X軸駆動機構(移動手段)
391…変倍ビームエキスパンダ
L,L1,Lm…レーザ光
Lo…照度測定用レーザ光
W…基板

Claims (7)

  1. 感光剤が塗布された基板の周縁部を所定の露光幅で露光する基板露光装置において、
    少なくとも2本以上のレーザ光を出射するレーザ光源手段と、
    前記基板の周縁部における前記各レーザ光の照射位置が前記露光幅の幅方向において相互に相違するように、しかも前記各レーザ光の照射によって露光される露光領域が重なることなく前記露光幅の幅方向に沿って連続して配列するように、前記各レーザ光を前記基板の周縁部に導光する露光光学手段と、
    前記複数本のレーザ光の各々を独立してON/OFF制御して前記基板の周縁部における露光位置および/または前記露光幅を調整する露光幅調整手段と
    を備えたことを特徴とする基板露光装置。
  2. 前記レーザ光源手段は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を複数本のレーザ光に分割する第1ビームスプリッタとを備えた請求項1記載の基板露光装置。
  3. 前記レーザ光源手段は、レーザ光を出射するレーザ光源を複数個備えている請求項1記載の基板露光装置。
  4. 前記露光光学手段と前記基板とを相対的に移動させる移動手段をさらに備える請求項1ないし3のいずれかに記載の基板露光装置。
  5. 前記レーザ光源から出射されたレーザ光の一部を取出す第2ビームスプリッタと、
    前記第2ビームスプリッタによって取出された照度測定用レーザ光の光束を測定する受光器と、
    前記受光器で測定された測定結果に基づき前記基板の周縁部に照射される各レーザ光の照度を求める照度算出手段とをさらに備える請求項2記載の基板露光装置。
  6. 前記レーザ光源はチューナブルレーザであり、しかも、前記感光剤に応じて前記レーザ光源を制御して前記レーザ光源から出射されるレーザ光の波長を変更設定する波長設定手段をさらに備える請求項2または3記載の基板露光装置。
  7. 前記露光光学手段は少なくとも1枚以上の反射ミラーを備えており、前記反射ミラーによって前記レーザ光を反射して前記基板の周縁部に導光する請求項1ないし6のいずれかに記載の基板露光装置。
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