JP3787770B2 - 調整可能な流量係数を持つボールバルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調整可能な流量係数を持つボールバルブに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ボールバルブは、中でもHVACおよび工業プロセス適用例において流体の制御を調整するために使用される。
【0003】
全開したボールバルブは、そのサイズに比較して非常に大きい流量係数(CV値)を持つ。これは、このバルブが同一サイズの管に接続され、かつ流量がその管サイズに対して通常指定される範囲内である場合、全開時にボールバルブによって生じる圧力低下が非常に小さいことを意味する。
【0004】
管および制御対象、例えば熱交換器、コイル等の圧力低下はずっと大きい。これは、ボールバルブが閉じ始めるときに流量に対する影響力をほとんど持たないことを意味する。バルブは、流量の有意の低下が起こる前に、結合された制御対象および管とほぼ同じ大きさの圧力低下を生じる程度に閉じる必要がある。
【0005】
これは、バルブの動作範囲の大部分が無駄であることを意味する。流量の制御は、動作範囲のうち閉鎖位置付近の非常に小さい部分で起こるだけである。したがって、作動器が正確な流量を供給する厳密な位置にバルブを作動させることは難しい。小さい動きでさえも接続された伝熱装置からの出力に不釣合いに大きい変化を引き起こし、制御安定性を達成することが難しい。
【0006】
流量係数は、流量(GPM)に流体の比重の平方根を掛け、次いで全開バルブ前後の差圧(PSI)の平方根で割ることによって計算される。
【0007】
バルブの寸法決定は流量係数に基づく。バルブは、必要な最大流量を供給することができるように、充分に大きい流量係数を持たなければならない。しかし、大きすぎると制御に問題を生じるので、大きすぎてはならない。
【0008】
典型的ボールバルブの非常に大きい流量係数は、バルブ内のボールの口径と相互作用する、基本的にV字形の開口を持つ特徴的円板を取り付けることによって低下させることができる。これはバルブの流動特性をも決定する。米国特許第6,039,304号明細書はそのような円板を記載している。
【0009】
円板をより小さい、またはより大きい開口を持つ円板に変更することによって、バルブを交換することなく、流量係数を変更することができる。
【0010】
円板は非常によく作用するが、バルブの費用も増加し、流量係数を変更する必要がある場合、新しい円板を注文して取り付ける必要がある。特に、高温および高圧プロセス適用例で使用される円板は、比較的高価である。
【0011】
代替策として、特別の形状の開口を持つボールを使用することが可能である。流量係数を変更する必要がある場合、異なる形状の開口を持つ新しいボールが取り付けられる。しかし、これは高価な代替策である。
【0012】
流量係数の計算の元になるデータはしばしば信頼できず、実際の作動状態を反映しないので、流量係数を変更することが必要になるのは一般的である。
【0013】
取り付けられた流量係数は最初に取り付けられたときには正確であっても、将来の動作条件の変化は、流量係数の変更を必要とするかもしれない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
標準ボールバルブでは、ボールの口径の長さ軸は、ボールを回転させる弁棒の長さ軸に垂直である。
【0015】
本発明は、従来の直角回しボールバルブである。その弁棒は0〜90度回転し、90度で最大限に開口し、0度で閉鎖する標準ボールバルブとしてボールを作動させる。新規性は、ボールの口径の長さ軸が弁棒に対して垂直とは異なる角度を取ることである。
【0016】
これは、ボールが傾斜した向きで作動し、口径の長さ軸が弁体の長さ軸と決して一列に並ばないことを意味する。たとえ軸が90度の位置に移動したときでさえ、そうである。流量係数は、ボールを傾斜させることによって低下する。この低下は、ボールが大きく傾斜するほど大きくなる。
【0017】
ボールは、一通りにだけ取り付けることができるようにように配置することができ、そこでそれは1つの特定の角度数だけ傾斜(偏位)される。この結果、ボールバルブの流量係数は、ボールのサイズに対して標準的なものより小さくなる。例えば流量係数は、同一サイズの標準グローブバルブに一般的な値にまで低下することができる。
【0018】
代替的に、ボールは、ボールを多数の異なる傾斜位置に取り付けることができるように配置される。ボールを多数の異なる傾斜位置に取り付けることによって、同じバルブが様々な流量係数の選択対象範囲を提供することができる。これは適用に最も適する流量係数の選択を可能にし、必要ならば簡単に変更することができる。
【0019】
多くの異なる種類のボールバルブがある。二部品ボールバルブは、2つの部品を備えた弁体を有する。最も一般的で最も安価な二部品ボールバルブは、部品の一方を他方にねじ込み、例えばエポキシ樹脂によって固定するものである。このバルブは分解することが難しく、したがって1つの傾斜位置だけで取り付けるボールに最も適している。
【0020】
三部品ボールバルブは、ボールおよび2つのコネクタ(「エンドキャップ」)を含む中間部(弁体)を有する。3つの部品はひとつにボルト止めされる。バルブが配管系に取り付けられている場合でも、中間部は容易に取り外すことができる。これは、ボールを様々な傾斜位置に調整するのを助長する。したがって三部品ボールバルブは、多数の位置に取り付けることができるボールによく適している。しかし、どんな種類のボールバルブも本発明を使用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に照らして本発明を説明する。
【0022】
図1aはボールバルブの断面図を示す。弁体は2つの部品(1および2)から成る。配管用の2つの連結部(3および4)がある。2つの連結部(3および4)の間に流体流路がある。流体流路内にボール(5)が取り付けられる。ボール(5)内を貫通する口径(12)がある。ボール(5)は2つの弁座(8および9)の間に懸吊される。ボール(5)は多数の溝(10および16)を有する。第1溝(10)はボール(5)の口径(12)の長さ軸に対して90度の角度である。第2溝(16)は、第1溝(10)に対して多少の角度偏位する。外部作動器によって作動できる弁棒(6)は、本体(1)内を通過する。Oリング(11)は本体(1)に対して弁棒(6または13)を密封する。
【0023】
弁棒(6)の端に、溝(10または16)と嵌合するブレード(15)がある。ブレード(15)が第1溝(10)に挿入されるように弁が組み立てられたとき、ボール(5)は標準位置にあり、そこではボールは全く傾斜しない。したがって、バルブは標準ボールバルブとして挙動し、最大流量係数が提供される。
【0024】
ブレード(15)が第2溝(16)に挿入されるように弁が組み立てられたとき、ボール(5)は傾斜位置にある。したがって、流量係数は低下した値になる。(この位置を図1aに示す。)
【0025】
図1bに、弁棒の代替版も示す。この弁棒(13)は、片側に偏位しかつ弁棒(13)の中心線に対して傾斜して示されるブレード(14)を有する。この弁棒(13)が使用される場合、ブレード(14)が第1溝(10)に挿入されたときに、ボール(5)はすでに傾斜している。
【0026】
ブレード(14)が第2溝(16)に挿入されると、ボールは非常に大きく傾斜する。第2溝(16)およびブレード(14)のオフセット角は相互に加算される。その結果、流量係数は非常に大きく低下する。これを図1cで見ることができる。
【0027】
弁棒(13)を180度回転し、ブレード(14)を第2溝(16)に挿入してボール(5)を取り付けることによって、第2溝(16)およびブレード(14)のオフセット角は相互に減算されるので、第3流量係数が提供される。実際には、ブレード(14)が第1溝(10)に挿入された場合、異なる角度で、同じことが起きる。ボール(5)および弁棒(13)は4つの異なる位置に取り付けて、4つの異なる流量を提供することができる。
【0028】
追加の溝をボールに、例えばボールの底部に追加することができる。
【0029】
図2は、ボールが90度の位置にあるときに、ボール(5)の開口(12)と弁座(8、9)がどのように相互作用するかを示す。左側が側面図であり、右側が端面図である。流動のための断面積は、ボール(5)がどれだけ傾斜しているかによって異なる。
【0030】
端面図から分かるように、断面は弁座(8および9)の内径のみによって画定され、それはボール(5)の開口(12)とほぼ同一であるので、偏位が無いときに断面は最大になる。
【0031】
楕円(12aおよび12b)は開口(12)が弁座(8および9)の開口とどのように相互作用するかを示す。第1楕円(12a)は比較的小さい角度だけ偏位したボールの開口を示し、したがって開口(12)と弁座(8および9)との間の自由面積(free area)はわずかに減少する。
【0032】
第2楕円(12b)は比較的大きい角度だけ偏位したボールの開口を示し、したがって開口(12)と弁座(8および9)との間の自由面積は大幅に減少する。
【0033】
図3は左側に、バルブが開いているときのボール(5)、その開口(12)、弁棒(6)、および弁座(8および9)の側面図を示す。右側は、弁棒(6)がボール(5)を閉鎖に近い位置まで回転した場合の端面図である。2つの楕円(12aおよび12b)がある。それらは、弁棒位置は同じであるがボールの傾斜が異なるボールの開口を表わす。
【0034】
第1楕円(12a)は傾斜が無いボール(5)に属する。開口(12a)と弁座(8または9)との間の自由面積は比較的大きい。それは、点「a」−「b」間の半円および点「a」−「b」間の半楕円によって画定される。
【0035】
第2楕円(12b)は傾斜したボール(5)に属する。開口(12b)と弁座(8または9)との間の自由面積は比較的小さい。それは、点「c」−「d」間の半円および点「c」−「d」間の半楕円によって画定される。
【0036】
理解できるように、ボールを傾斜すると、動作範囲0〜90度の全体にわたって自由面積および流量係数は減少していく。図5を参照。
【0037】
図4は、ボール(5)の側面図を示す。上部には二つの溝(10aおよび10b)があり、底部には二つの溝(10cおよび10d)がある。
【0038】
口径の長さ軸を中心にボール(5)を180度回転することによって、上部溝(10aおよび10b)および底部溝(10cおよび10d)は位置が入れ替わる。
【0039】
偏位していないブレード(15)付きの弁棒(6)を使用する場合、ボール(5)は4通りに取り付けることができ、結果としてオフセット0に加えて3種類のオフセット角が得られる。
【0040】
偏位したブレード(14)付きの弁棒(13)は、ブレードを2通り180度正対する位置にして取り付けることができる。4つの溝を持つボールを使用する場合、ボール(5)は8通りに取り付けることができ、結果として8通りの流量係数が得られる。
【0041】
ボール(5)は、ボールの表面が許す限りいくらでも実用的な数の溝を持つことができる。しかし、弁座(8および9)と抵触するほど大きく偏位する溝の位置は避けなければならない。
【0042】
図5は、弁棒(6または13)の動きと0〜90度の様々な位置で結果的に得られるCV値との関係のグラフを示す。
【0043】
ボールは、弁棒(6または13)に対して様々な傾斜位置に取り付けられる。様々な位置を位置1〜位置4と標示する。
【0044】
位置1ではボール(5)の傾斜は無い。位置4でボールのオフセットは最大になる。
【0045】
典型的なボールバルブの固有流動特性は等比率特性に近く、これは多くの制御用途に望ましい。流量係数が減少する場合、等比率特性は基本的に維持されるが、その曲率はより平坦になる。
【0046】
図6aは、別個のブレード(17)が取り付けられた弁棒(6)を示す。ボールの溝と係合する部分は片側に偏位する。
【0047】
図6bは、図6aの側面図である。
【0048】
図6cは、ブレード(17)がボールの溝(18)の1つに係合された状態のボール(5)と弁棒(6)を示す。
【0049】
図6dは、ボール(5)の1対の溝(18)に係合された二重ブレード(17)を持つ弁棒(6)を示す。第2対の溝(19)はボール(5)の反対側に位置する。第1対の溝(18)は、ボールの流体の流路の中心線がボールの回転軸に垂直になるようにボールを方向付ける。
【0050】
第2対の溝(19)は、ボールの流体の流路の中心線がボールの回転軸に対して垂直とは異なる角度になるようにボールを方向付ける。
【0051】
溝(18)と係合するブレード(17)の部分は、図6cおよび図6dでは、弁棒(6)の長さ軸と平行に示されている。
【0052】
しかし、溝の角度に合致する任意の適切な角度を使用することができる。
【0053】
ブレード(17)はボールの2つの溝と係合する2つの部分を、弁棒の中心線の両側に1つずつ、持つことができる。ブレード(17)は、ブレードが溝の側部に押し付けられ、それによって遊びが除去されるように、多少のばね作用を持つことができる。
【0054】
【発明の効果】
特殊な形状の開口を持つ円板またはボールを使用せずに、流量係数は、制御を調整するのに役立つ値に低下させることができる。費用が削減される。
【0055】
ボール(および弁棒)が、ボールを異なるオフセット角度で取り付ることができるように配置された場合、部品を交換または追加する必要なしに、流量係数を現場で選択的に変更することができる。流量係数は変更されるが、基本的に等比率流動特性は維持される。
【0056】
1つのバルブが多くのCV値をカバーするので、製造から流通チェーンまであらゆるレベルで在庫品が減少する。また、エンドユーザの保守部門の在庫品も減少する。それは簡単に変更することができるので、間違った(過小)CV値を指定する懸念も低下する。動作条件の将来の変化に簡単に対応することができる。
【0057】
以上、本発明の特定の実施形態を幾分詳細に説明したが、発明の形態または精神から逸脱することなく、例証した実施形態に対し変更および変形を施すことができる。したがって、請求の範囲は全ての均等な変形および異形を、請求の範囲によって定義される発明の範囲内として完全に含むつもりである。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 図1aはボールバルブの断面図を示す。
【図1b】 図1bに、弁棒の代替版を示す。
【図1c】 これを図1cで見ることができる。
【図2】 図2は、ボールが90度の位置にあるときに、ボール(5)の開口(12)と弁座(8、9)がどのように相互作用するかを示す。
【図3】 図3は左側に、バルブが開いているときのボール(5)、その開口(12)、弁棒(6)、および弁座(8および9)の側面図を示す。
【図4】 図4はボール(5)の側面図を示す。
【図5】 図5は、弁棒(6または13)の動きと0〜90度の様々な位置で結果的に得られるCV値との関係のグラフを示す。
【図6a】 図6aは、別個のブレード(17)が取り付けられた弁棒(6)を示す。
【図6b】 図6bは、図6aの側面図である。
【図6c】 図6cは、ブレード(17)がボールの溝(18)の1つに係合された状態のボール(5)と弁棒(6)を示す。
【図6d】 図6dは、ボール(5)の1対の溝(18)に係合された二重ブレード(17)を持つ弁棒(6)を示す。
Claims (4)
- 流体管路に接続される開口を備えたケーシングと、
前記流体管路に接続するための少なくとも1つの入口および1つの出口を備え、前記入口と出口間にセンターラインをもつ流体流路を画定する弁室と、
前記入口と出口間に伸びる流体流路のセンターラインに直交する回転軸を有する弁棒と、
前記弁室内に組み付けられた流体流路を有するボールとからなり、
前記ボールの流体流路は、前記ボールのセンターライン上に伸長し、前記ボールは、前記弁棒と嵌合するための少なくとも二つの凹みを有し、前記弁棒を前記ボールの少なくとも異なる二つの位置に固定できるように構成し、前記した位置の少なくとも一つの位置において、前記ボール内に伸長する流体流路のセンターラインが、前記弁棒に対して、垂直とは異なる角度に保持されることを特徴とするバルブ。 - 前記弁棒は端部品を具備し、この端部品が前記ボールの凹みと嵌合し、この端部品が弁棒の長さ軸に対して偏位した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
- 前記端部品が、前記ボールの1つまたはそれ以上の凹みと嵌合することを特徴とする請求項2に記載のバルブ。
- 前記端部品が、前記弁棒に固定された別個の部品であることを特徴とする請求項3に記載のバルブ。
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