JP3787460B2 - 湿度制御容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素イオン導電性の固体高分子電解質を用いた湿度制御器を備えた湿度制御容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3(a)は、例えば特開平6−63343号公報で開示された湿度制御容器の構成を示す概略図、図3(b)は図3(a)に示す湿度制御容器に備えられた湿度制御器の構成を示す概略図である。図において、100は従来の湿度制御器であり、例えば箱状の容器2の開口部に備え付けられている。従来の湿度制御器100の反応部は、以下に示す素子と電源で構成されている。すなわち、10は水素イオン導電性の固体高分子電解質膜、11はステンレス繊維で構成された基材に白金黒を含む触媒をペーストして構成された陽極、12は同じくステンレス繊維で構成された基材に白金黒を含む触媒をペーストして構成された陰極であり、固体高分子電解質膜10、陽極11及び陰極12は、ホットプレスで加温、加圧され、素子を形成している。13は電源であり、外部電圧3Vを使用している。14はリード線である。
従来の温度制御容器は、湿度制御器100に通電し、陽極11で水の分解反応、陰極12で水の生成反応を行わせ、水(水分;湿気)を陽極11面に接する容器内空間5から陰極12面に接する容器外空間4へ移動させることにより、容器2内の除湿を行い、容器2内の湿度を制御するよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の湿度制御容器は以上のように構成されているため、容器2の材質が金属のように水分不透過性の材質である場合は除湿効果(湿度制御効果)を示すが、容器2がアクリル材質のように水分透過性の材質である場合は、湿度制御器100によって容器2外へ水分を排出しても、容器2の壁を透過する水分の影響で容器2内の湿度が下がりにくくなるという欠点があった。また、容器2内外の汚損成分が陽極11、陰極12の両電極表面へ付着することにより、経時的に電極の反応効率が低下し、除湿能力の低下が早まるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、水分移動能力に優れ、長期間の使用に耐えうる湿度制御容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる湿度制御容器は、陽極及び陰極により挟持された水素イオン導電性の固体高分子電解質膜と、両電極間に直流電圧を印加する電源を有し、電気化学反応により陽極で水を電気分解し、陰極で水を生成する湿度制御器を備えた密閉または半密閉の容器よりなる湿度制御容器において、容器内壁の全面またはほぼ全面に撥水層を被覆形成するとともに、陽極及び陰極のいずれか一方または両方の近傍に、超親水性層で被覆された面を設けたものである
また、密閉または半密閉の容器は、その一部に光透過面が設けられ、撥水層及び超親水性層のいずれか一方または両方に、光触媒が分散されているものである。
さらに、撥水層及び超親水性層のいずれか一方または両方に、吸着剤が分散されているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は、本発明の実施の形態1における湿度制御容器の構成を示す概略図、図(b)は図1(a)に示す湿度制御容器に備えられた湿度制御器の構成を示す概略図である。図において、1は本実施の形態による湿度制御器であり、例えばアクリル材よりなる箱状の容器2の開口部に備え付けられている。3は容器2の内壁の全面またはほぼ全面に被覆形成された撥水層、4は容器外空間、5は容器内空間、6は容器2の一部に設けられた光透過面である。また、本実施の形態による湿度制御器1の反応部は、以下に示す素子と電源で構成されている。すなわち、10は水素イオン導電性の固体高分子電解質膜、11は陽極、12は陰極であり、それぞれ白金メッキTiで構成された基材に白金黒を含む触媒をぺ−ストして構成されている。固体高分子電解質膜10、陽極11及び陰極12は、ホットプレスで加温、加圧され、素子を形成している。また、13は電源であり、外部電圧3Vを使用している。14はリード線である。さらに、110、120は、陽極11及び陰極12近傍にそれぞれ設けられた超親水性シートであり、撥水層3及び超親水性シート110、120には、光触媒及び吸着剤が分散されている。
【0007】
本実施の形態における湿度制御容器は、陽極11及び陰極12により挟持された水素イオン導電性の固体高分子電解質膜10と、両電極間に直流電圧を印加する電源13を有し、電気化学反応により陽極11で水を電気分解し、陰極12で水を生成する湿度制御器1を備えた密閉または半密閉の容器2よりなる湿度制御容器であって、容器2内壁の全面またはほぼ全面に撥水層3を被覆形成し、さらに、陽極11及び陰極12の近傍に、超親水性層で被覆された面である超親水性シート110、120を設けたものである。また、容器2は、その一部に光透過面6が設けられ、撥水層3及び超親水性シート110、120には、光触媒及び吸着剤が分散されている。なお、本実施の形態では、撥水層3は、光触媒TiOと吸着剤である活性炭微粒子を低温乾燥型のコーティング剤と共にスプレーで塗布し、80℃で乾燥したものである。また、超親水性シート110、120は、カーボンペーパーで構成された基材に、固体高分子電解質膜(商品名:ナフィオン117、デュポン杜製)を用い、固体膜陰極にて白金黒を含む触媒を分散させ、その後、紫外線を照射することにより超親水性を発現させたものである(参考資料:光クリーン革命;藤島他、;株式会社シーエムシー(1997発行))。
【0008】
次に、本実施の形態における湿度制御容器の動作について説明する。本実施の形態による湿度制御容器は、湿度制御器1に通電し、陽極11で水の分解反応、陰極12で水の生成反応を行わせ、水(水分;湿気)を陽極11面に接する容器内空間5から陰極12面に接する容器外空間4へ移動させることにより、容器2内の除湿を行い、容器2内の湿度を制御するよう構成されている。なお、本実施の形態では、水分透過性のアクリル材よりなる容器2を用いているが、容器2内壁に撥水層3が形成されているため、容器2の壁を水分が透過し難く、容器2内に外部から水分が侵入するのを防ぎ、容器2内の湿度を効率的に下げることができる。また、陽極11及び陰極12近傍に設けられた超親水性シート110、120及び容器2内壁に形成された撥水層3に分散された吸着剤及び光触媒により、容器2内外に発生する汚損成分が吸着され、容器2の一部に設けられた光透過面6から入射する紫外光の存在下で上記汚損成分が分解される。
【0009】
本実施の形態における湿度制御容器と従来のアクリル材の湿度制御容器における容器内の湿度変化を図2に示す。本実施の形態における湿度制御容器は、容器2の材質が水分透過性のアクリル材であるにもかかわらず、内壁に表面処理を施し撥水層3を形成することにより、十分な湿度制御(除湿)効果が得られた。さらに、陽極11、陰極12の両電極近傍に超親水性シート110、120を設け、上記シートと撥水層3に容器2内外の汚損成分を吸着する吸着材と、上記汚損成分を光透過面6からの紫外光の存在下で分解する光触媒を分散させることにより、電極表面上への汚損成分の蓄積を防止することができ、使用寿命の延長効果も得られた。
【0010】
なお、本実施の形態では、容器2内壁に撥水層3を被覆形成したが、撥水層3の代わりに超撥水層を形成してもよい。また、撥水層3または超撥水層は、容器2内壁に部分的に形成しても良いが、全面に形成することにより大きな効果が得られる。さらに、本実施の形態では、陽極11及び陰極12両方の近傍に超親水性シート110、120を設けたが、超親水性シート110、120の代わりに親水性シートを設けても良い。また、陽極11または陰極12の両方ではなく、いずれか一方の近傍にのみ超親水性シートまたは親水性シートを設けてもよい。また、本実施の形態では、撥水層3及び超親水性シート110、120の両方に光触媒及び吸着剤を分散させたが、撥水層3または超親水性シート110、120のいずれかに分散させても良い。
【0011】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、陽極及び陰極により挟持された水素イオン導電性の固体高分子電解質膜と、両電極間に直流電圧を印加する電源を有し、電気化学反応により陽極で水を電気分解し、陰極で水を生成する湿度制御器を備えた密閉または半密閉の容器よりなる湿度制御容器において、容器内壁の全面またはほぼ全面に撥水層を被覆形成したので、水分透過性の容器を用いた場合においても水分が容器を透過し難く、容器内に外部から水分が侵入するのを防ぐことができ、容器内の湿度を効率的に下げることが可能である。
【0012】
また、陽極及び陰極のいずれか一方または両方の近傍に、超親水性層で被覆された面を設けると共に、容器の一部に光透過面を設け、撥水層及び超親水性層のいずれか一方または両方に吸着剤及び触媒を分散させることにより、容器内外に発生する汚損成分を吸着させ、紫外光の存在下で上記汚損成分を分解することができるため、電極表面上への汚損成分の蓄積を防止することができ、使用寿命の延長効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における湿度制御容器及び湿度制御器の構成を示す概略図である。
【図2】 本発明の実施の形態1における湿度制御容器と従来の湿度制御容器の容器内の湿度変化を示す図である。
【図3】 従来の湿度制御容器及び湿度制御器の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1、100 湿度制御器、2 容器、3 撥水層、4 容器外空間、
5 容器内空間、6 光透過面、10 固体高分子電解質膜、11 陽極、
12 陰極、13 電源、14 リード線、
110、120 超親水性シート。

Claims (3)

  1. 陽極及び陰極により挟持された水素イオン導電性の固体高分子電解質膜と、上記両電極間に直流電圧を印加する電源を有し、電気化学反応により上記陽極で水を電気分解し、上記陰極で水を生成する湿度制御器を備えた密閉または半密閉の容器よりなる湿度制御容器において、上記容器内壁の全面またはほぼ全面に撥水層を被覆形成するとともに、上記陽極及び上記陰極のいずれか一方または両方の近傍に、超親水性層で被覆された面を設けたことを特徴とする湿度制御容器。
  2. 上記密閉または半密閉の容器は、その一部に光透過面が設けられ、上記撥水層及び上記超親水性層のいずれか一方または両方に、光触媒が分散されていることを特徴とする請求項1記載の湿度制御容器。
  3. 上記撥水層及び上記超親水性層のいずれか一方または両方に、吸着剤が分散されていることを特徴とする請求項1記載の湿度制御容器。
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