JP3786957B2 - 加熱および冷却行程を備えた再生エンジン - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、可動再生器を用いる、熱的に再生される往復動形内燃エンジンに関する。
背景技術
熱的な再生とは、熱力学的サイクルから廃熱を獲得し、サイクル内、すなわちエンジン内でこのエネルギーを利用して、サイクル、すなわちエンジンの性能を高めることである。
ガソリンおよびディーゼルエンジンの作動は、オットーサイクルといわれる熱力学的サイクルに、ほぼ近い。原則として、オットーサイクルは熱的に再生できる。これは、膨張行程の終了時におけるガスからの熱を、圧縮行程の終了時において、次のサイクルのガスに伝達することによって行なわれる。得られる利点は大幅なものである。燃費が減少する。さらに再生されたオットーサイクルは、そのサイクル中に、熱力学的にガスの温度をより高くでき、そのために、効率と動力がかなり改善されることになる。
厄介な点は、圧縮、加熱および膨張工程の全てが1つのシリンダ内で発生することである。このために、サイクル中の異なる時間に、熱を獲得し、この熱を圧縮された空気に伝達することが困難になる。
別の例では、エンジン工程が再び行なわれるときのシリンダを別体とすることによって再生器を往復動形エンジンに組み入れるようとしてきた。この方法においては、エンジン部品の間に熱交換器を挿入することは比較的容易である。このことから、一般的に第1のシリンダにおいて圧縮が行なわれ、第2のシリンダにおいて燃焼と膨張が行なわれるようになっている、少なくとも2つのシリンダを含む多くのアプローチが導かれてきた。これらのシリンダを接続する流れ通路、またはシリンダのうちの1つには、再生器を形成する静止した状態の透過性材料がある。再生器は、交番流式熱交換器である。膨張した燃焼ガスが再生器を通り、熱エネルギーを再生器に伝達する。次のサイクルの間、圧縮された空気は再生器を通り、このエネルギーを吸収する。少しの空気と排気ガスが搬送通路内に常に収納収納されているため、所定の設計においてシリンダ間に“ブローダウン”の損失があるために、また全ての空気が再生的に加熱されたり冷却されたりするとは限らないために、すなわち最適な時間に適当な場所に存在するとは限らないために、これらのエンジン性能が低下する。
より新規なアプローチでは、シリンダヘッドとピストンとの間に配置された薄いディスク状の可動再生器を用いることによって、単一のシリンダ内でこれらの工程を行なうことができる。この可動な再生器は各エンジン作動サイクル中、シリンダの全内容積にわたって2度掃気する。再生器がシリンダ内のガスを通って動くとき、ガスとエネルギーを交換する。一回の掃気では、膨張した燃焼生成物からエネルギーを取り出す。2回目の掃気では、次の圧縮工程のほぼ終了時にこのエネルギーを圧縮された作動流体に伝達する。可動再生器に基づいた発明が、フェレンバーグ(1988年、米国特許第4、790、284号と1990年、同第4、928、658号)とミルマン(1981年、米国特許第4、280、468号)の特許に含まれている。
可動な再生器を用いて再生されるエンジンを、燃焼がピストンと再生器との間で発生する(ホットピストン設計)場合と、燃焼が再生器とシリンダヘッドとの間で発生する(クールすなわちコールドピストン設計)場合の2つの分類に分けることができる。
ミルマン(米国特許第4、280、468号)は4行程サイクルで作動するホットピストン式再生エンジンを開示する。このエンジンには再生用冷却行程がない。かわりに、再生器が静止し、シリンダヘッド内のバルブに近接したままであるが、一方でブローダウンおよび排気ガスが発生する。これは、再生器によって作動流体からエネルギーが引き出され、実質的にエンジンの性能を低下させるという点において効率的ではない。
フェレンバーク(米国特許第4、790、284号および同第4、928、658号)は2行程と4行程、およびホットおよびクールピストン再生エンジンを開示する。これらのエンジンは、またいくつかの基本的欠点を有する。一つは、再生器がブローダウンの間、静止したままであること、すなわちブローダウン前に再生のための冷却行程を実質的に完了できないことである。また、排気バルブは、吸気バルブが開く前に閉じる。短時間の間、同時に双方のバルブを開かせることは極めて有効である。これらの従来の再生エンジンはまた、サイクル中に、冷却行程を開始するのが遅すぎる。
本発明の開示
本発明は、シリンダといわれる複数の同じ作業ユニットからなる内燃、往復動形再生エンジンに関する。各作業ユニットは、一端がシリンダヘッドによって閉鎖されており、可動ピストンを含むシリンダからなる。作動流体の流れをシリンダから出し入れでき、制御する手段が設けられている。再生器といわれる交番流式熱交換器がシリンダ内でピストンとシリンダヘッドとの間に配置されている。この再生器は、エンジンの作動サイクル中、適当な時間に、ピストンとシリンダヘッドとの間を可動である。再生器のこの動きは、再生用加熱行程が、ピストンの圧縮行程のうち最後の1/4の間に開始するようになっている。この動きは、再生器の運動を通して、作動流体の流れが可能な限り最大限に、再生器の低温側から高温側にわたって再生器を流れ続けるような速度でありタイミングである。この再生器の動きは、またピストンの膨張行程の中間近くで開始され、排気手段が開く前か、直後に終了する。最後に、この再生用加熱行程中、燃料をシリンダに導入する手段が設けられている。
別の目的、利点および新規な特徴は、添付の図面に関して考慮して、以下の本発明の詳細な記載から明白になる。
【図面の簡単な説明】
図1は、クールピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図2は、ホットピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図3は、2行程サイクルで作動し、ピストンによってカバーされ、かつカバーされないポートからなる排気手段を用いるクールピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図4のa−hは、2行程サイクルで作動し、圧縮行程中シリンダに入る作動流体を有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図5のa−hは、2行程サイクルで作動し、圧縮行程中シリンダに入る新規な作動流体を有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図6のa−iは、4行程サイクルで作動し、早期に閉じる吸気バルブを有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図7のa−iは、4行程サイクルで作動し、遅れて閉じる吸気バルブを有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図8のa−iは、4行程サイクルで作動し、早期に閉じる吸気バルブを有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図9のa−iは、4行程サイクルで作動し、遅れて閉じる吸気バルブを有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図10は、低温側の燃料噴射が用いられるとき、ホットピストン再生エンジンおよびクールピストン再生エンジンの双方に関する燃料噴射器の可能な配置を表す図である。
図11は、吸気マニホルドの燃料噴射が用いられるとき、ホットピストン再生エンジンおよびクールピストン再生エンジンの双方に関する燃料噴射器の可能な配置を表す図である。
図12は、作動流体の吸気および排気に関する手段として、再生器駆動ロッドを用いる2つの可能な方法を示す図である。
図13のa−iは、4行程サイクルで作動するクールピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図14のa−iは、4行程サイクルで作動するホットピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図15のa−hは、2行程サイクルで作動するクールピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図16のa−hは、2行程サイクルで作動するホットピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図17は、異なる大きさの流れ通路を有する再生器材料が単一の再生器に用いられる2つの可能な手段を表す。
図18は、空気式リフターが再生器の位置決めと動きを制御するのに用いられることによる事象のシーケンスを表す。
図19は、ホットピストンエンジンの空気式リフターを表す。
図20は、シリンダに入る作動流体の量を減少させる手段としてスロットルを用いる再生エンジンを示す。
全図面を通して同じ要素には、同じ符号で示す。
本発明を実施するのに最良の形態
可動再生器を用いることによって、再生される往復動形内燃エンジンを本明細書に記載する。全ての実施例は、圧縮行程および膨張行程からなる2つの行程サイクルまたは、吸気、圧縮、膨張および排気行程からなる4行程サイクルのいずれかを用いる。各行程は、ピストンをその最上位置、すなわちシリンダヘッドに最も近接する上死点(TDC)位置から、最下位置、すなわちシリンダヘッドから最も離れている、すなわち反対方向の下死点(BDC)位置に動かすことによって行なわれる。
各実施例は再生のための加熱行程と再生のための冷却行程を有する。再生加熱行程中、再生器はピストンとシリンダの間に収納された作動流体を通って動き、熱をこの作動流体に伝達する。クールピストン再生エンジンに関しては、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で再生加熱行程が開始され、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で終了する。ホットピストン再生エンジンに関しては、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で、再生加熱行程が開始され、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で終了する。
再生冷却行程の間、再生器が反対側(加熱行程と較べて)方向に、ピストンとシリンダヘッド間に獲得された作動流体を通って移動し、作動流体から熱を吸収する。冷却ピストン再生エンジンについて、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で再生冷却行程が開始され、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で終了する。ホットピストン再生エンジンについて、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で、再生冷却行程が開始され、再生器がピストンに近接した状態で終了する。
これらの運動の時間の間、再生器はピストンに近接してピストンとともに動くか、あるいはシリンダヘッドに近接しているかのいずれかである。“近接して”とは、ピストンまたはシリンダヘッドに接触しているか、または対象物が同時に急速に動くことに対応して機械的および構造的な制約が与えられた部品に可能な限り近づくことを意味する。“に近い”とは、“に近接して”と同義である。再生器によって掃気されない内容積を最小にすることは有効であるが、小さな間隙領域、すなわち容積は、移動する部品間のダメージを与える衝撃を防ぐために必要であるということがわかる。例としては、再生器がシリンダヘッドまたはピストンに近接するときの、再生器とシリンダヘッドまたはピストンとの間の小さな間隙と、再生器の周辺とシリンダ壁との間に間隙とがある。
燃焼が発生する領域は、加熱容積すなわち加熱空間であり、再生器の他方側の容積は冷却容積すなわち冷却空間といわれる。これら双方の容積の大きさは、作動サイクル中、ピストンと再生器が動くにつれて変わる。ある場合には、このサイクル中にこれらの容積のそれぞれが非常に小さくなるか、またはゼロになる。加熱容積部に近接する再生器の側部は、再生器の最も熱い部分であり、再生器の高温側といわれる。反対側は低温側である。
一般的に用いられる作動流体は空気である。しかしながら、燃料と放熱化学反応をおこすことのできるのは、ガス、液体および固体の混合物でもよい。吸気マニホルドを通ってシリンダに導入される第1作動流体は、排気手段が閉じた後にシリンダに収納されている、または吸気マニホルド(すなわち排気ガス再循環)内のシリンダに加えられる、いくらかの残余反応でできた生成物を含む。燃焼後(または、エンジンに動力を与える別の放熱反応後)、作動流体は消費した作動流体、すなわち排気流体といわれる。
図1は、2行程式または4行程式のいずれかの手段で作動される、クールピストン式再生エンジンの1実施例を表す。シリンダ(1)はシリンダヘッド(2)よって一端が閉鎖されており、ピストンの線形の運動をシャフトの回転運動に変えるための適当な機構(5)によって、動力出力シャフト(4)に接続されるピストン(3)を含んでいる。機構(5)は図示したようにピストンロッドと偏心部からなる。
従来のポペットバルブとして示されている吸気バルブと(6)と排気バルブ(7)によって、作動流体を出入りさせるための手段が設けられる。これらのバルブは開いたとき、吸気マニホルド(13)と排気マニホルド(14)をピストンと再生器(8)の間に配置されているシリンダ容積部に接続する。これらの吸排気手段は冷却容積(12)と連通しなければならない。本明細書で用いる“と連通する”とは、吸気および排気手段が、直接的にか、または1つか2つ以上の流れ通路を通って冷却容積から流体が出入りできるように冷却容積と接続されなければならないことを意味する。このようにクールピストンエンジンについて、冷却容積部は、再生器とピストンの間に常に位置づけされている。このように、これらの吸気および排気手段は、シリンダ壁を通る流れ通路、ピストンおよび再生器またはこれらの組合せを備えなければならない。
シリンダ内には、再生器(8)と言われる有孔のディスク材料の構成要素が存在する。この再生器は、シリンダボアよりもわずかに小さい直径を有する。再生器が再生器駆動ロッド(9)によってピストンおよびシリンダヘッド間を前後に、シリンダの軸に平行に沿って動かされる。この駆動ロッドは、図1に示すようにシリンダヘッドを通ってもよく、またはピストンを通ってもよい。この駆動ロッドは、円形横断面である必要もないし、中身が詰まっている必要もない(すなわち管とすることができる)。ピストンおよびシリンダ壁の間の環状スリーブのような再生器を動かすための別の手段を用いてもよい。
直接噴射ディーゼルエンジンに通常用いられるような燃料噴射器(10)によって燃料が加熱容積に噴射される。この領域において作動流体が相当に熱いときに、燃料がこの領域に直接噴射されることによって、自然に点火される。
図2は、ホットピストン再生エンジンを表す。このエンジンは2行程か4行程サイクルのいずれかで作動できる。このエンジンは図1と非常に類似しており、シリンダヘッド(2)によって閉鎖されているシリンダ(1)、適当な機構(5)によってクランクシャンフト(4)に接続されているピストン(3)、吸気および排気マニホルド(13,14)を介してシリンダからの流れの出入りを制御する吸気および排気バルブ(6,7)、再生器(8)、再生器(9)を動かすため機構、および燃料噴射器(10)を有する。
図2のホットピストンエンジンと図1のクールピストンエンジンとの主な違いは、ピストンと再生器との間で燃焼が発生することである。これは、燃料噴射器が、加熱容積に燃料が噴射されるように配置されることを必要とする。また、シリンダの上側部分の冷却容積と直接連通する吸気及び排気手段を通って、作動流体がシリンダから出入りすることが必要とされる。このため、これら吸気および排気手段は、シリンダヘッドを通る流れ通路、シリンダ壁の上側部分、再生器駆動ロッド(9)またはこれらの組合せを備えなければならない。
全ての再生されたエンジンは、再生器に蓄えられた熱を作動流体に伝達するための再生加熱行程を有する。従来の発明では、燃料噴射の前とピストンの膨張行程の開始前に終了する再生加熱行程を有する。極めて薄い再生器を仮定する単純な熱力学的解析では、このシーケンスが最も好ましいタイミングであることを示しているが、わりに最近の考察では、この事象のシーケンスは好ましくないことを示している。加熱行程は、ピストンの圧縮行程の終了まじかに開始しなければならない。しかしながら、ピストンの膨張行程が十分に始まるまで、再生加熱行程が終了しない場合に、エンジンの性能が実質的に改善される。さらに、再生加熱行程の後に燃料を噴射するかわりに、本発明では、再生加熱行程の間に燃料を噴射する。さらには、シリンダ内の圧力が降下し始めると、ピストンの膨張行程が十分に始まるまで、再生加熱行程は終了しない。この再生加熱行程のタイミングは、従来の発明とは実質的に異なる。
再生加熱行程のタイミングにおいて、このように変化させる重要な理由の一つには、燃焼中にシリンダ内のガスが動くことがある。先行技術が示しているように燃料噴射と燃焼の間に、再生器がピストンまたはシリンダに近接する場合、燃焼のためにシリンダ内の高圧によって、加熱ガスが再生器に入る。このようなガスが再生器に入ると、再生器に熱が奪われ、このために動力が引き出されるときにシリンダ圧が低下することになる。改善された性能に加えて、再生器が燃料と作動流体(例えば燃焼ガス)の加熱作用要素が再生器に入らないような方法で動く場合に、再生器の加熱側の温度が低下(重要な再生器の耐久性の結果)する。従来の発明において提案された再生加熱行程のタイミングが適用されると、再生器は高温のため壊れてしまう。本明細書で述べる新しい再生加熱行程では、再生器が依然として用いられ、エンジン性能が実質的に改善される環境を提供する。
加熱燃焼ガスが再生器に入ることを防ぐために、再生加熱行程の動きと速度は空気が再生器から加熱容積に流れ続けるように決定されなければならない。これは、加熱面に対して発散冷却の形態として作用し、加熱容積内の極めて高温の作動流体が再生器に入らないようにする。再生器の高温側(燃焼が発生する領域に面する側)からの流れが再生加熱行程にわたって維持される場合には、加熱容積内の圧力が再生器内の圧力を越えることがないような速度で再生器が動くことが必要である。このことは、再生器の熱放出率(燃料噴射率)と動きのタイミングを注意深く調整する必要がある。膨張の間、シリンダ内の圧力が一旦降下しはじめると、流れは常に再生器から出ることになる。これは、再生器内の作動流体がより低圧の加熱容積に拡張するためであり、このために再生器の高温側からの作動流体の流れを安定させることになる。
圧縮行程の間、作動流体は圧縮されて再生器内に押し込まれる。最初に、この作動流体は冷たく再生器から熱を吸収する。しかしながら、圧縮行程の終了まじかに、再生器に入る空気は再生器の冷却側とほぼ同じ程度の熱さである。再生器内の空気の圧縮によって温度が再生器の温度を越える。これの影響は、正味加熱伝達が負となること、すなわち、再生器が圧縮された作動流体からの熱を吸収することである。これは極めて望ましくないことであり、これが発生する時に再生加熱行程を開始することによって防ぐことができる。再生器が動き始めると、わずかに冷たい相当量の作動流体が再生器に流れるので、作動流体をより加熱することになり、強い正の加熱伝達が発生することになる。このように、再生加熱行程は圧縮行程の最終部分の間に開始しなければならない。
まとめると、再生加熱行程の最適な運動とタイミングは次のようになる。
(1) 再生器からの加熱伝達が負(ピストンの圧縮行程の最後1/4の間)となるときに加熱行程を開始する。
(2) 作動流体の流れが常に加熱容積に入るような速度で再生器の動きを維持する。
(3) シリンダ内の圧力が膨張行程の間に降下し始めた(一般的にTDCの後2、30度内であるが、燃料噴射率と別の要素にかなり依存する)後、できるだけ早く再生加熱行程を終了する。
本発明の別の重要な特徴は、再生冷却行程である。ピストン膨張行程の間の所定の地点において、再生器はシリンダ内の作動流体にわたって掃気し、エネルギーを引き出す。この再生冷却行程を開始するのに最適な時期はピストンの膨張行程がほぼ半分終了したときである。
一方、ミルマン(米国特許第4、280、468号)の再生エンジンは再生器冷却行程を有さない。この再生器はシリンダヘッド内のバルブに近接する静止位置に単に保持されており、排気バルブが開き、急速な圧力降下(“ブローダウン”)が発生する。加熱ガスは再生器にわたってブローダウンする。先行技術のフェレンバーグの米国特許第4、790、204号と同第4、928、658号はピストンが下死点近くになるまで再生冷却行程を開始しない。
冷却行程の間、再生器が作動流体にわたって掃気するので、作動流体を冷し、圧力を低下させる。圧力が降下すると、エンジンの作業出力が減少する。このように、膨張がほぼ終了し、可能な限りの作業が作動流体から得られるまで、この冷却行程を遅らせることが好ましい。これは、フェレンバーグの先の発明において膨張行程の終了まじかまで再生冷却行程の開始を遅らせる根拠である。しかしながら、最近の計算方法では、再生器を動かすのに必要な作業を含む。再生器の冷却行程長さと速度が増大するにつれ、この作業はきわめて早くなる。このため、再生器の冷却前に完全に膨張させることによって得られる付加的な熱力学的作業に対して再生器を動かすのに必要な特別な作業を交換することが必要となってくる。この計算方法では、ピストンの膨張行程の中間近くで開始する再生冷却行程によって最適な機能を果たすことを示す。
これらの同様な計算方法は、再生冷却行程が終了するか、またはほぼ終了し、排気手段が開く前に、エンジンの性能が高まることを示している。これは、再生器がシリンダを通って掃気を終了する前にブローダウンが発生する場合に、加熱容積内に残余する作動流体が拡張し冷却されるために、重要である。作動流体は再生器の高温側よりも冷たくなり、このために再生器を通る時に再生器のより熱い部分から熱を実質的に取り除くことになる。このことは、エンジンの動力と効率を実質的に低減させるので、極めて好ましくない。ミルマンの米国特許第4、280、468号のエンジンは再生冷却行程を有していないため、またこれより先のフェレンバーグ米国特許4、790、204号および同第4、928、658号において、再生冷却行程の終了前に排気手段が長時間開いているために、再生器にわたって実質的なブローダウンが発生する。本明細書に開示した発明は、排気手段を開く前に再生冷却行程を終了させることによって防ぐことができる。
まとめると、再生冷却行程は、
(1) 膨張行程の開始の中間(上死点後45度と135度の間)地点の間に開始する。
(2) 排気手段が開く前に終了する。
もちろん、これらのガイドラインにはある程度の融通性がある。秒の単位では分析されておらず、別のエンジン設計と作動的な考察がこれらに影響を及ぼす。例えば、冷却行程の間、再生器をよりゆっくりと動かすことによって、再生器を動かすのに必要な動力が減少される。このために、排気手段が開いたわずか後まで再生冷却行程の終了を遅らせることが好ましい。これが有効であるか、ないかについては、エンジン幾何形状、バルブタイミング、および別の要素にかなり依存する。しかし、いかなる場合にも、再生器冷却行程は、排気バルブが開く前にほぼ完了していなければならない。
バルブを示した先のフェレンバーグの特許では、吸気バルブと排気バルブが同時に開くことはなかった。吸気バルブは、とくに排気バルブが開く前に閉じる。ミルマン(米国特許第4、280、468号)は、バルブの開閉について記述していないが、図面において、吸気が開く前に、排気バルブが閉じることを暗示している。これらの従来の発明には重大な欠点がある。再生エンジンに必要とされる特有で重要なことは、バルブをオーバラップさせることである。
高エンジン速度に変更するとき、バルブ機構部品の慣性、シリンダ内の作動流体の慣性、および吸気および排気行程がより短時間で行なわれることによって、吸気バルブが開いた後に、排気バルブを短時間の間、開位置に維持される。これは排気行程の終了まじかと吸気行程の開始に発生する。
吸気バルブが開いた後、わずかの時間の間、排気バルブを開いたままにすることによって消費した作動流体の除去を改善する。これは、いくらかの流体が再生器内に収納されたままなので、特に重要である。また再生器の存在がガス交換工程を遅らせる。排気流体を過度に保持することはエンジンの性能を低下させることになる。バルブの開口をオーバラップさせて、収納される排気流体を最小にすることによって、性能低下を最小にできる。
ほとんどの作動状態と燃料の種類について、燃料を導入するときの加熱容積の作動流体の温度と、その容積に近接する内面の温度は、燃料を短時間で点火するのに十分である。このように、点火源は、再生エンジンに一般的に必要とされない。再生器が適切な動きと空気の圧縮または別の手段が、再生器とシリンダを点火温度まで加熱するのに十分であるときには、開始には点火源は必要とされないと考えられる。このように、本明細書に記載した本発明は、いかなる点火手段(例えば、スパークプラグまたはグロープラグ)を有していない。
フェレンバーグの先の米国特許では、“ピストンとシリンダの間の大きな環状の間隙”すなわち“スロットまたは別の種類の流れ流路”を収納するために、ピストンの面から離れて配置されたリングを有するピストンを備えるものとしてクールピストンの好ましい実施例を示している。本明細書で開示した発明は、フラット面とピストンの面に近接したリングを備えた従来のものよりも優れたピストンを有する。これは、吸気および排気手段、すなわちこれらの手段とシリンダとの間の通路がシリンダ壁上のより高い場所に配置できる。このためピストンのまわり、またはピストンを通過する流れは必要とされない。
膨張された燃焼生成物と圧縮された作動流体との間により多くのエネルギーが伝達されるので、再生エンジンの効率が改良される。再生器の前後の温度差が大きくなるにつれ、この熱伝達も大きくなり、本実施例では、エンジン効率も高まる。
再生器の高温側の温度は、再生器の冷却工程中、再生器を通過する燃焼生成物の温度によって主に決定される。再生器の冷却側の温度は、再生器の加熱工程中に再生器を通過する圧縮された作動流体の温度によって、主に決定される。
この温度差を大きくする一つの方法は、圧縮工程中に作動流体を冷却することである。この理想的な状況は、等温圧縮である。このために、再生器の加熱工程が発生するときに圧縮された作動流体がより冷たくなり、再生器を通る温度差がより大きくなる。これは、再生加熱量を増大させ、エンジン燃焼効率を高めることになる。等温圧縮は、またエンジンの圧縮作業を減少する。
この等温圧縮がなされる一つの手段は、サイクルの停止から離れた位置、すなわちシリンダの外側において圧縮の一部を行なうことである。これは、燃焼によって加熱されるシリンダ壁の加熱を相当に省き、また圧縮と燃焼が同一のシリンダで発生するエンジンにおいて可能ではなかった圧縮装置内の特定の冷却特徴を用いることができる。これらの冷却特徴の例は、(a)熱を取り除くための、コンプレッサにおける薄壁の高導電性、(b)作動流体が圧縮されるときに作動流体と直接接触する、液体冷媒が流れる状態の冷却フィン、(c)圧縮装置の外面上の冷却フィン、(d)圧縮装置とエンジンシリンダ間の流れ通路内のアフタークーラの使用である。
この外部コンプレッサは別のシリンダおよびピストン、ターボ機械(例えばスーパーチャージャまたはターボチャージャ)、または十分な量で高圧空気を効率的に作りだす別の装置である。このコンプレッサは、マルティシリンダエンジンのいくつかのシリンダを“供給できる”。
これは、単にターボチャージャまたはスーパチャージャが取りつけられた再生エンジンではないことは明白である。この目的は、シリンダ内に発生するいくらかの圧縮を外部の冷却コンプレッサにおける圧縮と置き換えることである。次いで、吸気手段のタイミングは、エンジンのシリンダ内に発生する作動流体の圧縮を減少させるように調整される。例えば、ピストンの圧縮行程が部分的に終了するまで相当量の作動流体の導入が遅延することによって有効圧縮が減少する。
これの最も重要な特徴は、シリンダ内の有効な圧縮比がシリンダ内の有効な膨張比よりも小さいことである。有効圧縮比は、圧縮の開始時の作動流体によって占められた容積を、圧縮の終了時の作動流体に占められた容積で割ることによって得られる。圧縮の開始は、実質的に、吸気バルブまたは、ポートが閉じ、シリンダ内の圧力が上昇しはじめる時である。圧縮の終了時は、ピストンの圧縮行程が終了したときである。膨張比は、膨張行程の終了時に作動流体の容積を膨張行程の開始時の容積で割った値である。膨張行程は、排気手段が開いたり、またはピストンが下死点位置に達するときに終了する。この概念を用いる再生エンジンは、吸気手段のタイミングと、吸気マニホルド内の一般的に相当に高い圧力を除けば、別の再生エンジンと同じように作動する。
図3は、外部圧縮、および有効膨張比より小さい有効圧縮比を用いる、特別な種類のクールピストン再生エンジンを表す。このエンジンは2行程サイクルで作動する。エンジンは、ピストンが最下位置(下死点)に接近するとピストンによってカバーされず(開いた)、続いて圧縮行程の際にピストンが上方に向かった直後にピストンによってカバーされるポート(7)と排気バルブを置き替えていることを除いては、図1に示したクールピストンエンジンと同じ構成要素を全て有する。
図3のエンジンは、吸気マニホルドの高圧で作動する。これらの圧力は、エネルギーをエンジンの排気ガスから引き出すタービン(ターボチャージャ)またはエンジンのクランクシャフトから動力を直接取り出す(スーバチャージャ)ことによって動力が得られる、単一コンプレッサかまたは段コンプレッサのいずれかのコンプレッサ(図示せず)を用いることによって得られる。このコンプレッサは、シリンダコンプレッサにおける従来のピストンのように、摺動ベーン、遠心または回転式ルートブロワーおよびスーパチャージャを含む。
図4のa−hは、外部圧縮と、有効膨張比よりも小さい有効圧縮比の概念を用いて2工程式のクールピストン再生エンジンにおいて発生する段階または工程のシーケンスを表す。このエンジンは、実質的に図3に示したエンジンと同じであるが、主要な構成要素だけを示す。
図4を参照すると、圧縮工程の開始において(a)、排気ポートが開き、吸気バルブが閉じ、再生器がシリンダの最上部にあり、ピストンは下死点にある。再生器の高温側は、シリンダヘッドに近接しており、低温側はピストンに面する。ピストンが圧縮工程(b)において上方に動き始めるときに吸気バルブが開く。短時間の間、吸気バルブと排気ポートの双方が開き、吸気マニホルド内の高圧の新鮮な作動流体によってシリンダ内の残余する消費した作動流体のほとんどが排気ポートから押し出される。ピストンが上昇するにつれ、排気ポートがカバーされる(c)。ピストンが上昇し続けると、吸気ポートは所定の時間開いたままであり、このために別の加圧作動流体をシリンダ内に入れることができる。シリダン内の圧力が吸気マニホルド内のレベルにまでほぼ上昇すると、吸気バルブは(dの前)閉じる。理想的には、シリンダ内の圧力と吸気マニホルド内の圧力は吸気バルブが閉じるとき等しくなければならない。
ピストンが上死点位置に接近すると、再生器はンシリンダの上部からピストンの方向に向かって下方に動き始める(d)。これが行なわれるときに、圧縮された作動流体が再生器を通り、高温側から出て低温側に入り、熱を吸収する。燃料が、動く再生器とシリンダヘッドとの間にシリンダ内で新しく形成された加熱容積部内に噴射される(e)。この燃料は、加熱容積における高温により点火されて、作動流体と反応する。再生器は下方に動き続け、TDC後の所定の地点(例えば10ないし60度)においてピストンとぶつかる(f)。理想的には、再生器は、シリンダ内の圧力が膨張の間下降し始めるわずか後に、ピストンとぶつからなければならない。次いで、再生器は、膨張工程の間ピストンと共に下がり、ピストンが下死点に達する前、十分な時間をもって、所定の地点で分かれて、シリンダヘッドの方向に戻り始める(h)。再生器がシリンダのほぼ上部に達するときには、排気ポートはピストンによってカバーされていない。これで2行程サイクルが終了する。
図5のa−hは、外部圧縮と、有効膨張比よりも小さい有効圧縮比を用いて、2行程サイクルのホットピストン再生エンジンの事象のシーケンスを表す。このエンジンは、図2の排気バルブが排気ポート(7)と置き換えられることを除いては、図2と同じである。図2に示したエンジンは、また本明細書で記載したサイクルを達成することができる。
圧縮工程の開始時(a)に、ピストンがBDC位置にあり、排気ポートがカバーされず、再生器がピストンに近接して吸気バルブが閉じている。再生器の高温側はピストンに最も近く、低温側はシリンダヘッドに面する。ピストンと再生器が上方に動くにつれ、吸気バルブが開き(b)、加圧作動流体がシリンダに入って消費した作動流体を押し出すことになる。ピストンと再生器がさらに上昇すると、排気ポートがカバーされる(c)。圧力が吸気マニホルド内の圧力にほぼ近くなるまで、新鮮な作動流体がシリンダに入り続ける。次いで、バルブは閉じられる(d)。
ピストンと再生器がシリンダの上部に近接すると、再生器はピストンから離れてシリンダヘッドに向かって移動し始める(e)。再生器が動くと、圧縮された作動流体は再生器を通って低温側から高温側に押し出される。作動流体が再生器を通って動くので、作動流体は再生器から熱を吸収する。次いで、燃料が、移動する再生器とピストンとの間の加熱容積部に噴射される(f)。ピストンは圧縮工程を終了し膨張工程を開始する。ピストン膨張工程の最初の1/4の地点までの間、再生器はシリンダヘッドに達し、シリンダヘッドに近接したままである。ピストンが膨張工程の中間部分にあるとき、再生器はピストンに向かって動き始める(g)。再生器はピストンが排気ポートをカバーする時にピストンに追いつく(h)。
このエンジンのクールピストンまたはホットピストンのいずれかの変更例について、新鮮な作動流体がピストンの圧縮工程中にシリンダに導入されることが必要である。吸気流れに利用できる比較的短時間に、シリンダに十分な流れが入るようにするために、いくつかの大型の吸気バルブを用いることができる。外部コンプレッサによって得られる圧力が減少すると、エンジンの動力も低下する。しかしながら、エンジンの燃料効率は依然として高いままである。これは(1)圧縮比に対して膨張比がより大きいことが熱力学的により有効であること、(2)より低い後の圧縮温度によって再生の熱伝達がより良好になり、効率をさらに改良することになるからである。このように、膨張比より小さい有効圧縮比が再生エンジンに特に有効である。外部コンプレッサが取り除かれる場合でも(すなわち、自然に吸気されるエンジン)このアプローチの利点は実質的である。
図4と5のエンジンにおいて、吸気およびシリンダ圧が等しくなった後、吸気バルブが開いたままである場合には、吸気バルブを通る流れは逆になる。このために、いくらかの新しい作動流体が排除され、さらに有効圧縮比が減少することになる。このことは動力が低減するが効率性を高める。同様な効果は、圧力が等しくなる前にバルブを閉じることによって得られる。
図6のa−iはクールピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要となる段階のシーケンスを表している。圧縮比を減少させることは、吸気行程の間、吸気バルブを閉じることによって達成され、このために吸気バルブの閉鎖が遅れた場合に、シリンダ内にある作動流体の量が減少することになる。エンジン工程の記載に関して図6に示したエンジン設計は図1と同じである。
排気工程の開始において(a)、ピストンが下死点の位置にあり、再生器は、シリンダヘッドに近接しており吸気バルブは閉じられて、排気バルブがちょうど開かれている。ピストンは、バルブのちょうど下側にある上死点に移動しつつある。これが排気行程であり、これにより消費された作動流体がシリンダから排出される。ピストンが排気行程の終了に近づくと、吸気バルブが開かれる(b)。ピストンが下死点位置にまで動き始めると、排気バルブ閉じられ、吸気行程を実施し、これにより新鮮な作動流体がシリンダに導かれる。吸気行程(c)の間の所定の地点において、吸気バルブが閉じられる。このバルブを早期に閉じることによって、吸気バルブが長い時間の間、開かれた場合に較べて、シリンダ内に含まれている作動流体の量が減少する。これが、別の4行程再生エンジン作動サイクルの作動サイクルと異なる本発明の作動サイクルの最も独特な特徴である。
ピストンは、シリンダの底部に向かって動き続ける(d)。次いで、ピストンは下死点から上死点にまで動き、このために圧縮行程を行うことになり、作動流体が圧縮される。ピストンが上死点に近づくと、再生器は、シリンダヘッドから離れてピストンの方に動き始める(f)。再生器が動くと作動流体が再生器を通り、再生器の下側の冷却容積部から、これの上側の加熱容積部に動く。作動流体が再生器を通ると、流体は再生器から熱を吸収する。ピストンが上死点位置に近づき、続いて膨張行程(g)において下方に動き始めると、燃料が、動いている再生器の上側の加熱容積部に噴射される。再生器がピストンよりも早く下方に動いて、ピストンの膨張行程の最初の1/4の間(h)に、ピストンと接触する。次いで、再生器はピストンとともに、シリンダから離れる。ピストンの膨張行程の中間地点の間に、再生器は方向を変えてシリンダヘッドの方向に戻る(i)。再生器が排気流体を通って動くと、高温の排気流体が再生器を通って高温側から低温側に動き、再生器に熱を与える。再生器はシリンダヘッドに排気バルブがほぼ開くときに到達する。
図7のa−iはクールピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、圧縮行程の実質的な部分の間に吸気バルブを開いたままにし、いくらかの新鮮な作動流体をシリンダから出してシリンダ内の作動流体の量を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関して図7に示したエンジン設計は図1のものと同じである。
図7を参照すると、排気行程と吸気行程の1部分(aからb、bからc)は、図6と同一である。しかしながら、図7において、吸気バルブは、吸気行程を通して開いたままであり、続いて圧縮行程(dからe)にはいる。いくらかの作動流体が吸気マニホルドに戻された後(e)、吸気バルブは閉じる。残りのサイクル(fからi)は図6と同じである。
図8のa−iは、ホットピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、吸気行程の間に吸気バルブを閉じ、吸気の閉鎖が後れる場合にシリンダ内の作動流体の量を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関しては図6に示したエンジン設計は図2は示したものと同じである。
排気工程の開始(a)において、ピストンは下死点位置にあり、再生器はピストンに近接しており、吸気バルブは閉じられ排気バルブは開いている。再生器の高温側はピストンに面しており、低温側はシリンダヘッドに向いている。次いでピストンは上死点位置に動き、このためにシリンダから出た消費された作動流体を排気バルブに流すことができる。再生器はピストンに近接したままである。排気工程の終了まじかに(b)、吸気バルブが開き、新鮮な作動流体の流れをシリンダに通すようになる。ピストンが下死点位置に動き始めると排気バルブが閉じ、吸気行程が行われて、これにより別の新鮮な作動流体がシリンダに入ることになる(c)。再生器はピストンに近接したままである。吸気行程の間の所定のときに、吸気バルブが閉じ(d)、このために吸気バルブが長い時間開いたままの場合にシリンダに入る作動流体の量を減少させることになる。
吸気行程の後、ピストンは下死点位置(e)から上死点位置に動き、このために圧縮行程を行うことになる。再生器は、圧縮行程の終了まじかまでピストンに近接したまである。この地点で、再生器がピストンから離れてシリンダヘッド方向に動き始める(f)。ピストンが圧縮行程を完了し、続いて膨張行程を開始する(g)とき、燃料が、動いている再生器とピストンとの間に導入される。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間に再生器がシリンダヘッドに到達し(h)、ピストンが膨張行程の中間地点まじかになるまでシリンダヘッドに近接したまである。次いで、再生器は、ピストン方向に動き(i)、ピストンが下死点に近づくと、ピストンに到達してピストンに近接したままになる。これでサイクルは終了する。
図9のa−iは、ホットピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、圧縮行程の実質的な部分の間、吸気バルブを開いたままにし、いくらかの新鮮な作動流体をシリンダから出して、シリンダ内の作動流体を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関して図9に示したエンジン設計は図2と同じである。
図9を参照すると、排気工程と吸気工程の第1部分(aからb、bからc)は図8と同じである。しかしながら、吸気バルブは吸気行程の間、開いたままであり続いて圧縮行程(cからd)に入る。いくらかの作動流体が吸気マニホルドに戻されて(d)、吸気バルブが閉じる(e)。残りのサイクル(fからi)は図8と同じである。
先の再生エンジンは直接噴射式、すなわち燃料がシリンダの燃焼領域(加熱容積部)に直接噴射される。別の位置に燃料を導入することも可能である。このようなアプローチでは、再生器の低温側のシリンダに燃料を導入すること、シリンダへの通路に入る前に吸気マニホルド内の作動流体に燃料を噴射すること、および従来のキャブレターまたは燃料を噴霧し蒸発させて、吸気マニホルドに入る前に作動流体と混合させる別の装置を用いることを含む。
噴射の場所は、燃焼が発生する場所と同じでなくてもよいことが重要である。燃焼領域へ直接噴射が用いられない場合、反応物の混合(すなわち燃料と空気)は大体、主な放熱の前に再生器を通過しなければならない。再生器の加熱行程の開始まで再生器を通る流体の流れはないので、また燃焼は加熱行程のほぼ開始(またはわずかにこれの後に)に始まらなければならないので、再生器を通る流れの経過に基づく、混合物を点火させる手段を設けることが可能である。
再生器の高温側は反応物の混合物の点火源として利用できる。これに伴う問題は、点火が望まれるかなり前に、再生器の高温部分と、混合物が接触することである。このため、所望の時間まで点火を行わないという特徴を形成しなければならない。いくつかの可能性がある。第1に、加熱容積部は、再生器の加熱行程の開始まで存在しないので、再生器の高温側にさらされる反応物が再生器の孔構造に獲得される。これらの孔が十分に小さい場合には、火花止めのように作用し、混合物の点火を防ぐ(あるいは遅らせる)。次いで、再生器が動き始めると(加熱行程の開始)、相当に熱い混合物が再生器から送られて、自然に反応する。
適合な時間まで点火を遅らせる他の要因は、圧縮加熱と、圧縮行程の間、発生する反応物の混合物の圧力の上昇である。圧力と全体の反応温度が圧縮行程の終了まじかと再生加熱行程の開始に上昇すると、混合物はより早く反応する。このためにタイミング良く点火を行なうことができる。再生器の反応急冷効果から混合物を解放することを組み合わせると、点火を行なう簡単な手段が得られる。
最後に、再生器の高温側上(例えば加熱容積器内に)に配置されたグロープラグまたはスパークプラグのような点火源を、再生器を通って流れる反応物の混合物を点火するのに用いてもよい。
図10は、図1と図2の2つの再生エンジンを示しており、燃料噴射器(10)が冷却容積部(12)に燃料を噴射するようになっている。これによって燃料を冷却容積部の作動流体に燃料を直接噴射できる。この噴射は、排気バルブを閉じた後であればいつでも行うことができる。すなち吸気行程または圧縮行程の間に行うことができる。このアプローチは、また別の全種類の再生エンジンに適用できる。
図11は、図1および図2の2つの再生エンジンを表しており、燃料噴射器(10)が、吸気マニホルド(13)に燃料が噴射されるように動くようになっている。この方法において、作動流体が吸気バルブ(6)を通って冷却容積部(12)に入ると、燃料が蒸発され噴霧化されて作動流体を備えたシリンダに給送される。燃料は、また吸気マニホルドにおける別の場所に導かれる。作動流体を従来のキャブレターによって導入することもできる。このアプローチも全種類の再生エンジンに適用できる。
ほとんどの再生エンジン設計に伴う一つの主な問題は、吸気および排気手段の場所と大きさである。作動流体は冷却容積部に流れて冷却容積部から出なければならない。クールピストン再生エンジンについて、このことは、流れ通路がピストン、シリンダヘッドの下側のシリンダ壁、再生器またはこれらの組み合わせ内になければならないことを意味する。これらのいずれもが従来のエンジンにはないのが一般的であるが、ピストンによってカバーされたりカバーされないシリンダの壁にポートを有するエンジンは、多くの2行程エンジンについて一般的である。シリンダ壁内にバルブを配置すると、特に、図示されているように埋め込み式バルブを取り付けることは、厄介で努力を必要とする作業である。
ホットピストン再生エンジンについて、バルブを従来の配置であるシリンダヘッド内に配置できる。しかしながら、再生駆動ロッドがヘッドを貫通する場合には、これらのバルブに利用できる空間は小さくなる。より大きなバルブが容積効率を高めるのに常に望まれるので、問題があることになる。
このバルブの大きさと、ホットおよびコールドピストンエンジンの配置状況を改善するためには、再生器駆動ロッドを、作動流体をシリンダに入れたり出したり、または出したり入れるための手段として用いることができる。管を通る流れは、吸気または排気の流れの一部を供給するのみであり双方を供給できないと考えられる。しかしながら、吸気流れまたは排気の全ての流れ、または双方を、内径の大きな駆動ロッド、または複数の駆動ロッドによって供給できることがわかる。
図12は、作動流体を吸排気するための手段として機能もする再生器駆動ロッドの2つの異なる変更例を表す。それぞれは、駆動ロッドの両端部を表す。示されている2つの変更例は2つの可能性のある状況に適用できる。図12aにおいて、再生器駆動ロッドが再生器の高温側から再生器に取りつけられている(すなわち、ロッドが加熱容積部を通っている)。図12bにおいて、再生器駆動ロッドは再生器の冷却側から再生器に取り付けられている(すなわち、ロッドが冷却容積部を通っている)。例えば、図12aの構造は、駆動ロッドがシリンダヘッドを通ってシリンダに入る状態でクールピストン再生エンジンに適用できる。
図12aを参照すると、駆動ロッドの下側の端部に取り付けられ、再生器の低温側に埋められているフランジとして本実施例に示されている構造(20)の手段によって、再起器(8)は駆動ロッド(9)に取り付けられている。ロッド(実際には管)が再生器を貫通しており、管の内側から再生器の冷却側の冷却容積部まで開口(29)を形成する。管の内側には、以下チェックバルブ(21)といわれる流れ制御装置を含む。このチェックバルブは、シリンダ内の圧力が駆動ロッドの上側部分の圧力に等しいか、またはわずかに大きいときに、ロッドを通って流すことができるだけである。すなわち、シリンダ内の圧力が比較的低いときには、吸気行程および排気行程の間バルブが開く。
駆動ロッドの他端部の近くに、ロッドは、バルブ(22および23)によって吸気マニホルド(24)および排気マニホルド(25)に接続される開口(26、27)を有する。エンジン作動サイクルにおける適当な時に、吸気バルブ(22)または排気バルブ(23)のいずれかが開く。シリンダ内の圧力が十分に低下した場合、またはいずれかのバルブが開く場合には、流れがロッドを通るようになる。
図12bにおいて、再生器(8)が、駆動ロッドの下側端部に取り付けられており再生器の冷却側に埋められているフランジとして本実施例に示されている構造(20)を介してルッド(9)に取り付けられている。ロッドを通る流れは、冷却容積積部に入りこれから出なければならないので、孔(28)が再生器取り付け部分の上の所定の場所に管に設けられている。管の端部は、再生器に入ったり通ったりする流れがないように閉じられている。チェックバルブ(21)と駆動ロッドの上側端部は図12aと同じである。
再生器駆動ロッドを吸気流れの手段として用いることは、図3のエンジンに適用されるときに特に有効である。この場合において、駆動ロッドを通る流れを、吸気バルブを通る流れの全てまたは一部と置き換えることができる。駆動ロッドが吸気流れ通路のみを形成する場合には、図3に示されている吸気バルブは取り除かれる。再生器は吸気および排気工程にわたってシリンダ上に位置するので、シリンダの中央および上部に入る流れと底部の周辺で出る流れを有することによって行なわれる掃気は優れたものである。さらに、掃気を促進するために、ベーンおよび別の流れの分散または回転装置を所望であれば駆動ロッド内に取り付けることができる、
再生器は全シリンダ内容積部にわたって掃気できることが重要である。再生気が通過できない領域がシリンダ内に存在する場合には、作動流体の一部を再生加熱および冷却工程から“隠す”ことができる。これらの領域に収納されている圧縮作動流体を再生可能に加熱し、これらの領域内に収納されている加熱排気流体は、再生器によって得られる熱エネルギーを有することができない。
バルブを備えた従来のコールドピストン再生エンジンはこれららのバルブをシリンダに接続された通路に配置してきた。これらの通路は作動流体の一部を隠す。従って、これらの通路の大きさを最小にすることが熱望される。このことを行う一つの方法は、バルブが閉じられているときシリンダ壁に埋め込まれるようにバルブを取り付けることである。埋め込みすることは、バルブがシリンダの内壁の形状に完全に一致することを確実にし、これによりバルブとシリンダ間の流れ通路の容積をゼロにすることを意味する。
完全な埋込み取り付けは最終的な目的であり、これからのいくらかのずれは、最小の性能を失うことで受け入れることができる。例えば、平坦な底部で丸いポペットバルブを用いるために、バリブを収納して着座させる平坦な領域をシリンダの内壁に形成できる。これは、再生器によって掃気されることのないわずかに小さな領域のみを形成する。シリンダ壁に埋め込み式バルブ、すなわち上述したようにほぼ埋め込まれたバルブは、埋め込まれている、または、ほぼ、埋め込まれているといわれる。本実施例の目的において、これらの2つの記載は同じ意味を有する。
シリンダ壁内のポートまたは開口または環状スリーブは、また埋め込み式バルブとして有効に作用し、これらのバルブは作動流体を再生器から隠す容積を形成しない。
シリンダ壁内のバルブは、ピストン面またはピストンリングが、バルブの上を通っても、または通らないように配置すればよい。もちろん、バルブのタイミングは、バルブが開いたときピストンがバルブに作用しないようにバルブが配置されている場合には、特に重要である。シリンダから外方向に開くバルブを用いることも可能である。最後に、いかなるエンジンのバルブにも、従来のまたは油圧式リフターおよびローカーアーム、様々なタイミングを形成するバルブ機構(エンジン速度または荷重の関数として)、および電子機械的(ソレノイド作動式)機構を含む様々な機構によって作動できる。
バルブ開口オーバラップ、再生気加熱行程および運動、再生冷却行程および再生冷却行程タイミングおよび運動は、図13から16に示した作動シーケンスに含まれている。作動シーケンス%図4−9とは異なり、これらのエンジンは、有効膨張比とは実質的に異なる有効圧縮比を有するものではない。
図13のa−iは、4行程サイクルに関するクールピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表している。示されているエンジンは、主な構成要素だけしか示していないが、図1と同じである。これらは、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、吸気バルブ(6)、排気バルブ(7)、再生器(8)、再生器駆動ロッド(9)および燃料噴射器(10)である。
シーケンスは、ピストンが下死点の近くにあり、再生器がシリンダヘッドに近接しており、吸気バルブが閉じており、排気バルブがちょうど開いた状態で開始する(a)。ついで、ピストンは上死点位置に動き、排気行程を実施し、消費した排気流体が排気バルブから出されるようになる。排気行程の終了まじかに吸気バルブが開く(b)。次いで、ピストンは、吸気行程において上死点位置から離れるように動く。排気バルブは閉じて(c)、次いで、ピストンが下死点位置にまで動き、これにより吸気行程を終了して、新鮮な作動流体をシリンダに導く。ピストンの次に続く圧縮行程の早い時期の間、吸気バルブは開いたままである(d)。可能な限り作動流体がシリンダに入るのに十分に長い時間の間、吸気バルブは開いたままである。作動流体が吸気バルブから戻されるまでバルブが開いたままではない(図7に示したエンジンの作動のように)。
次いで、吸気バルブは閉じて、ピストンは残りの圧縮行程を実施するように進む(e)。この圧縮行程の終了直前に、再生器は再生加熱行程においてシリンダヘッドから離れてピストンの方向に動き始める。ピストンが圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が動いている再生器とシリンダヘッドの間の空間に噴射される(g)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はピストンの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが常に加熱容積部の方向であり燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の地点の間、再生器はピストンに追いつき、ピストンとともに動く(h)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると再生器は方向を逆転し再生冷却行程を行うようにシリンダヘッドの方向に戻り始める(i)。再生器は、ピスンが下死点位置に達し、排気バルブが開くとき、冷却行程を終了する。これで作動サイクルが終了する。
図14のa−iは、4行程サイクルに関して作動するホットピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。示されたエンジンは図2と同じであるが主な部分だけ示す。
作動サイクルは、ピストンがその下死点位置にあり、再生器がピストンに近接しており、吸気バルブが閉じて排気バルブがちょうど開いた状態で開始される(a)。次いでピストンは上死点位置にまで動き、これにより排気行程を実施して、消費した作動流体がシリンダから排出される。再生器はこの排気行程にわたってピストンに近接したままである。排気行程の終了まじかにおいて、吸気バルブが開く(b)。次いで、ピストンがその上死点から下死点位置にまで動き、これにより吸気行程を実施し、新鮮な作動流体を吸気バルブを通ってシリンダに導入する。この吸気行程のほぼ開始時に、排気バルブが閉じられる(c)。再生器はこの吸気行程にわたってピストンに近接したままである。ピストンの次の圧縮行程の早い時期の間、吸気バルブは開いたままである(d)。可能なかぎりの作動流体がシリンダに入るのに十分な時間の間、吸気バルブは開いたままである。作動流体が吸気バルブから押し戻されるのに十分な時間の間、吸気バルブを開いたままにするものではない(図9に示したエンジン作動の場合のように)。
次いで、吸気バルブは閉じて、ピストンは残りの圧縮行程を実施するように進む(e)。再生器はピストンに近接したままである。この圧縮行程が完了する直前に、再生器は、再生加熱行程においてピストンから離れてシリンダヘッドに動き始める(f)。ピストンが圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とピストンの間の空間に噴射される(g)。燃料が作動流体と反応して、膨張行程を続けていると、再生器はシリンダヘッドの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが常に加熱容積部の方向であり、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間、再生器はシリンダヘッドに達し、これに近接したままである(h)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると、再生器は、再生冷却行程においてピストンの方向に戻り始める(i)。ピストンが下死点位置に近接し、排気バルブが開くと、再生器はこの冷却行程を終了し、ピストンに達してピストンに近接したままである。
図15のa−iは、2行程サイクルに関して作動するクールピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。このエンジンの主な部分のみを示す。これらの部分は、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、吸気ポート(6)、排気ポート(7)、再生器(8)、再生器駆動ロッド(9)、および燃料噴射器(10)である。吸気および排気ポートのいずれか、または双方は、バルブと置き換えることができ、バルブの開閉時間により融通性をもたらす。吸気ポートは排気ポートよりもわずかに下側であり、排気ポートが吸気ポートの前にピストンによってカバーされないようになっている。
このシーケンスは、ピストンが下死点位置の近くにあり、再生器がシリンダヘッドに近接しており、吸排気ポートはちょうど開いた状態で開始される(a)。ピストンが下死点位置に、またはこれに近接しており、新鮮な作動流体が吸気ポートを通って流れ、消費した作動流体を排気ポートから排出する。次いで、このピストンは、吸気ポート、次に排気ポート(c)をカバーするシリンダヘッドの方向に動き始める(b)。次いで、ピストンはその上死点位置に動き、これにより圧縮行程を実施し、シリンダ内に収納された作動流体を圧縮する。この圧縮行程の終了直前に、再生器が再生加熱行程においてシリンダヘッドからピストンの方向に動き始める(d)。ピストンがその圧縮行程を終了し、膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とシリンダヘッドの間の空間に噴射される(e)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はピストンの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが加熱容積部の方向に常に向いており、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間に、再生器がピストンに追いつき、ピストンとともに動き続ける(g)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると、再生器はその方向を逆転させ、再生冷却行程においてシリンダヘッドに戻り始める(h)。再生器は、ピストンがその下死点位置に近づくと冷却行程を終了する。これで作動サイクルが終了する。
図16は、2行程について作動するホットピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。エンジンは図15に示したものと同一である。
作動サイクルは、ピストンがその下死点位置にあり、再生器がピストンに近接しており、吸気および排気ポートは丁度開いた状態で開始する(a)。ピストンと再生器はシリンダヘッドの方向に動き、これにより吸気ポートをカバーして、これに続き排気ポートをカバーする(b−c)。次いで、ピストンはその上死点位置(d)に動き、これにより残りの圧縮行程を実施する。再生器はピストンに近接したままである。この圧縮行程の終了直前に、再生器は、再生加熱行程においてピストンから離れて、シリンダヘッドの方向に動き始める(e)。ピストンがその圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とピストンとの間の空間に噴射される(f)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はシリンダヘッドの方向に動き始める。再生加熱行程の運動とタイミングは、再生器を通る流れが、加熱容積部の方向に常に向いており、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間、再生器がシリンダヘッドに達し、これに近接したままである。ピストンの膨張行程がほぼ半分終了すると、再生器は再生冷却行程においてピストンの方向に戻り始める(g)。再生器は、ピストンが下死点位置(h)に達すると、この冷却行程を終了しピストンに達してピストンに近接したままである。これで作業サイクルが終了する。
再生器は、優れた触媒支持構造を備える。これの表面積は大きく、作動流体のほぼ全部が各サイクルの間2度これを通過する。これは、多くの化学反応に好ましい高温である。触媒は、窒素酸化物のような環境汚染源を破壊することを促進するのに用いられ、また燃焼を促進したり開始するのにも用いられる。例えば、触媒は再生器上にまたは中に配置でき、これを通る流体の反応性を高めることができる。流体が燃料に含まれている場合には、反応性が増大することによって燃料を点火できる。あるいは、反応性の増大によって予備的な化学反応が発生し、作動流体が加熱容積部に流れるとき作動流体の点火、すなわち反応を高める。触媒は、また微粒子物質(例えば、すす)、あるいは再生器を通過する不完全に反応した燃料生成物の反応を促進するのに用いることができる。適当な触媒の前に炭化すすと再生器内に捕らえられた炭化水素も窒素の酸化物に対する減少剤として用いることができる。
触媒は、再生器の全表面または一部の表面上に堆積できる。高温で最高に機能する触媒を、再生器のより高温側部分内に配置でき、低温であることが必要なものは、低温側の部分内に配置できる。再生器前後の広い範囲の温度度合いによって温度変更の型を選択できる。触媒コーティングを有する再生器は燃焼を促進したり、遅らせたり(双方とも局部的および現在の温度に依存する)、または環境汚染物の破壊を促進(例えば窒素酸化物、不燃焼炭化物およびすす)するのに用いることができる。
再生器は、作動流体が流れて、エネルギーを再生器で交換する多孔性の材料である。作動流体が通過する再生器内の小さな開口を均一な形状と大きさにでき(ハチの巣状、またはスクリーン状)、または様々な形状および大きさ(網目フォームから形成されたセラミックフォームにおけるような)にできる。開口が均一な大きさ、または形状でない場合には、一般的に、所定の平均的な値が与えられる。例えば、不均一な大きさの孔を有する網状プラスチックフォームおよび誘導体は、インチあたりの孔の数、すなわち平均値で一般的に記録される。全ての孔はこの大きさではなく、1インチのフォームあたり平均で80個の孔が40個の孔よりも小さい流れ通路を有することになる。このように、再生器材料が均一な大きさで形状の流れ通路を有しているか、または不均一な大きさおよび形状を有していようと、このような各材料には平均すなわち流れ通路の大きさを表す値が与えられる。以下の記述において、流れ通路の大きさに関しては材料の平均流れ通路大きさとする。
再生器の設計をするとき、第1の方法は、再生器の加熱伝達および蓄積媒体に対して単一の材料を用いることである。しかしながら、以下の例において示されているように異なる再生器材料を用いるのには多くの理由がある。
全ての熱交換器に関して、急速に熱伝達を行なうように高温表面領域と、圧力低下を最小にするために大きな流れ通路を有することが有効である。不運なことには、大きな流れ通路のために、一般的に低温表面領域となる。温度がより低い再生器の領域において、ガスが流れる密度はより小さくなる。このことは、これらの冷たい領域におけるガスの速度がより遅くなり、これらの領域前後の圧力降下が極めて小さくなることを意味する。この現象は、熱伝達表面積を最小にし、圧力降下を最高にする再生器を構成するのに用いることができる。再生器が、冷たい領域においてより小さい大きさの流れ通路で構成されている場合には、圧力降下は最小となり、表面積は最大となる。
異なる平均大きさの流れ通路を有する材料を用いる別の利点は、微粒子(例えば、すす)がより小さい流れ通路の領域に急速に捕らえられることである。より小さい流れ通路材料を、有効な熱状態を備えた領域に配置することによってこれらの微粒子をその領域内で獲得して含むことが可能となる。これらの領域における温度が伝道されて微粒子の燃焼を行なう、すなわち獲得された微粒子と好ましい化学反応を促進する再生器の内面に触媒を用いるからである。
例として、図17aは、この原則に基づいた再生器の設計を表す。再生器(30)の上側領域は再生器の高温側上にある。上側領域は、より小さい流れ通路を有する材料(例えば、1インチのシリコン窒化物フォームあたり100個の孔)からなる。再生器の残り(31)はより大きい流れ通路を備えた材料(例えば、1インチの炭化シリコンフォームあたり70個の孔)からなる。ほとんどの燃焼で生成されたすすの粒子は、温度が最も高い高温側の領域より小さい流れ通路内に捕らえられる。このことは、すすの酸化を促進し、このためにエンジンからのすすのエミッションが減少されることになる。
より小さい通路は、再生器材料においてより大きな構造的な強度を与えることが多い。小さい流れ通路の領域は、再生器全体の堅さと強度を改善するように構成できる。例えば、再生器は、再生器の中心から外方向に延びるより小さい流れ通路フォームからなる狭い、半径方向のアームで構成できる。
最後に、再生加熱行程の間、再生器を通る流れは燃焼に有効な効果を与える。この効果は、再生器が燃焼の直前にまた燃焼中に、再生器が燃焼領域において作り出す乱流のためである。再生器は、また燃焼領域に入る作動流体に実質的なうずを形成するように構成できる。これは、再生器の異なる領域に流れ通路の大きさを変えることによってなされる。この趣旨は、所定の領域において再生器を通るより大きな流れを与え、別の領域においてはより小さな流れを与えることである。このために、燃焼領域により大きな乱流と渦ができることになる。
図17bは、この概念がいかに実際的に適用できるかを表している。再生器(30)の左側半分は、より小さい流れ通路を有する材料から構成される。再生器加熱行程の間、再生器を通る流れが、左側よりも右側の方が大きく、そのために加熱容積部にうず運動が発生することになる。
再生器に使用するのに新しい種類の材料が相当の将来性をもって提供される。“セラミックフォーム”といわれるこれらの材料は、一般的な、網状(開いたセル)プラスチック(例えば、ポリウレタン)フォームから形成され、これらの一般的な形状を有する。プラチックフォームは、炭素フォームと換えられて、セラミック、耐熱性、または他の材料でコーティングされる。次いで、炭素フォームが取り除かれ、セラミックのみを残す。コーティング工程は、セラミックスラリー堆積および化学的蒸気堆積または浸透を含むいくつかの方法で達成できる。この最終的な目的は、多量の不均一な、非整列の、相互に接続されたセルまたは固体材料の間膜によって分離されている孔からなる骨格を備えたセラミックフォームである。これらのセラミックフォームは、一般的な耐熱性金属、炭化けい素、炭化シリンコンおよびセラミックを含む多くの異なる材料から形成できる。このような最小の構造は、特に駆動ロッドに取り付けられるセラミックフォームを支持するのに必要である。
再生エンジンは、サイクルにおける適当な時間に再生器を動かすための駆動手段を必要とする。再生器は、シリンダヘッドまたはピストンを通る一つかそれ以上の駆動ロッドによって動かすことができる。これらのロッドの動きは、カム、チェーン(例えばタイミングチェーン)、ギア、リンケージ、油圧アクチュエータ、電気ソレノイド、これらの組合せまたは別の一般的な手段によって制御できる。
“ロンビック駆動”といわれるクランク装置のようなディスプレーサを動かすための、スターリングエンジンに用いられる手段のいずれも(所定のスターリングエンジンにおいて、ディスプレーサが再生器である)再生器駆動ロッドを動かすのに用いることができる。
再生器は、ピストンとシリンダ壁との間を通る円筒形環状スリーブによって動かしてもよい。スリーブの運動はカム、チェーン、ギア、リンケージ、油圧アクチュエータまたは電気ソレノイド、これらの組合せまたは一般的な手段によって制御できる。
再生器は、以下空気式再生リフターといわれる装置によって完全にまたは部分的に動かされる。空気圧リフターはシリンダ内の圧力と、再生器を動かして位置決めするのに必要とされる力の全て、または一部を与えるように再生器に作用する動的力を活用する。クールピストン再生エンジンにおいて、再生器は、ピストンに向かって下方に動く(再生加熱行程)および戻り行程(再生冷却行程)を除いては、シリンダヘッドに近接したままである。同様に、ホットピストンエンジン内の再生器はシリンダヘッドへの動きと戻りを除けば、ピストンに近接したままである。この空気式リフターは、再生器がこれらの動きを達成するときはどんなときでも、シリンダ圧は最高であるという事実に基づく。
空気式再生器リフターのこの方法を適用できる多くの手段がある。しかしながら、全てはここに記載する原則に基づく。空気式リフターの1実施例の基本的な特徴が図18に述べられている。図1と3のいずれかのエンジンに示されているようなクールピストン形再生エンジンにおいて、図4、6、7、13および15に示されているような本明細書に述べるクールピストン作動シーケンスのいずれかで作動する。圧縮および膨張行程のみが示されている。また、空気式リフターの作動シーケンスを示すのに必要とされる構成部品のみを示す。
全ての別の作動エンジンのように、このエンジンは、シリンダヘッド(2)によって一端が閉じられるシリンダ(1)内のピストン(3)(本明細書では大型の、すなわち主ピストンとする)を有する。このピストンは、一端(41)においてクランクケースに対して開いており、他端(42)においてシリンダの内側に対して開いている、小さな内部シリンダ(40)を含む。この内部シリンダの直径は、明確にするために図18において誇張されている。この小さな内部シリンダには、小さな、すなわち副ピストン(43)があり、これはピストン面における開口(42)を通って小さなシリンダを貫通する再生器駆動ロッド(9)に取り付けられている。ばね(44)が小ピストンに対する一端に、また小シリンダの上側に対して他端に取り付けられている。ばねが小ピストンに上方に十分な力を与えて、大ピストンがその下死点にあるときにシリンダの上側に再生器を維持する。小ピストン、駆動ロッド、および再生器(8)は、組み合わされたばねの力と、シリンダとクランクケースの間の圧力差を組み合わせることによって動く。複数のばねと、ばね形の装置が必要とされるか、または差の運動を制御するように有効に用いることができる。空気式リフターの概念の以下の記述では、単一のばねのみを仮定する。これは、明白にし、簡潔にするためになされる。
バネ(44)は内部シリンダ(40)の上側部分と小ピストン(43)の上側表面に取り付けられている。圧縮行程の開始時(a)に(2行程エンジンまたは4行程エンジンのいずれかにおいて)、大ピストンは下死点にある。そのとき、ばねは、ほぼ弛緩した状態であるが、再生器をシリンダの上部に維持するのに十分な張力を備えている。圧縮工程(aからb)の間、大ピストンは上昇し、ばねを伸張させ、再生器をシリンダヘッドに対してしっかり保持する。圧縮が生じるにつれ、シリンダ圧が上昇する。大ピストンが上死点位置に近接すると、圧力はばね張力にまさるのに十分な大きさとなり、内部ピストンを下方に下げる。小ピストンは、再生器にしっかりと取り付けるられので、再生器は主ピストン(bからc)の方向に動く。再生器が動くと、作動流体が再生器を通り加熱され、このためにシリンダ圧が上昇する。このように小ピストンは、主ピストン内の最下位点の方向に押されて、再生器は、大ピストンに対して保持され、極めてこれに近接する。再生器がピストンの方向に動くと、燃料が噴射され、解放された燃焼熱は圧力をさらに高める。膨張工程のほぼ半分の地点の間(cからd)、圧力は、再生器を大ピストンに近接するように維持するのに十分な大きさのままである。この点において、ばねの引張力は減少した圧力を越え、内部ピストンと再生器は上方に押される。再生器が上に上がると(e)、ガスの熱エネルギーは、再生器に伝達される。これは、シリンダ圧を減少させる、これにより、シリンダが上部に達するまで再生器をより高く上昇させる。
この空気式リフターを用いて再生器を動かすための方法は様々である。小ピストンの下側にばねを用い、引張ではなく圧縮を実施することも有効である。再生器の動きを最適にするために、また再生器が急速に加速したり停止することを防ぐために、内部ピストンまたは再生器駆動ロッドに作用する異なる大きさまたは設計のいくつかのばねを有することが好ましいし、また必要である。油圧式および空気式バネを用いてもよい。内部シリンダの直径と、小ピストンの圧力の大きさを制御するのに用いてもよく、ここでは再生器の動きを制御するのに用いる。また、大シリンダと小シリンダとの間の開口は、よりゆっくりと再生器に応答するために、圧力をゆっくりと小シリンダに“出す”ように設計できる。同様に、小シリンダとクランクケースの間の開口は、小ピストンの下方の運動を後退させるためのオリフィスとして用いることができる。
小シリンダの容積は、圧縮比に深刻な影響をおよぼさないように、また作動流体のヒートシンクとして用いるように可能なかぎり小さくしなければならない。再生器の動きは、空気力学的力がまさること(再生器にわたる圧力降下)と再生器の慣性のみを必要とし、これらの力は比較的小さいので、極めて小さな内部シリンダが適当とされる。実際、駆動ロッドはシリンダ圧に基づいて作用すると、再生器駆動ロッドを小ピストンとして使用することも可能である。このアプローチは、小シリンダ内のガス容積を最小にするので好ましい。
空気式リフターの概念は、小シリンダとピストンがシリンダヘッドに配置された状態で適用できる。次いで、再生器駆動ロッドはヘッドを貫通して延びており、再生器の上側に取り付けられる。
図19は、空気式リフターの別の実施例を表す。これはシリンダヘッドを通る再生器駆動ロッドを有するホットピストンエンジンに適用される。エンジンの主な構成要素のみを示す。すなわち、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、再生器(8)および再生器駆動ロッド(9)である。シリンダヘッドは、これを貫通する孔(50)を有しており再生器駆動ロッドを収納する。この孔は、共通のO−リングまたは金属ピストンリングのようなシール装置を有しており、シリンダからの漏れを防ぐようになっている。ロッドは、この駆動ロッドに取り付けられている小型のフランジ(51)に対して圧縮するばね(52)によって作用する。このばねは、常に圧縮される、すなわち全再生器の位置においてロッドに下方の力をかける。このように、ばねは常に再生器をピストンに近接するようにし、シリンダの圧力がばねの力に対向するようになっている。圧縮工程の最終部分と、膨張工程の半分の間、シリンダ内の圧力がばねの力よりも相当に大きくなる。この力は再生器をシリンダヘッドに対して上方に押し上げる。空気式再生器リフターのの変更例について、小さな内部ピストンを再生器駆動ロッドと取り換えた。より大きな圧力が必要である場合には、駆動ロッドに取り付けられており、主シリンダヘッド(2)内の小シリンダ内を動く小ピストンを加えることができる。
空気式リフターを使用することによって、いくつかの重要な利点を得ることができる。再生器を動かすための外部機構が必要ではないので、エンジンをより小型化できる。再生器を動かすのに、クランクシャフトから動力を取り出すのではなく、直接圧力を用いる。最も重要なことは、シリンダヘッドまたはピストンのいずれかから再生器を動かし位置決めするための手段を設けることである。加熱容積部から取り除かれるべき部品をシールし動かすことができるので、これは有効である。
空気式再生器リフターは可動再生器を用いるいかなる種類の再生式エンジンにも適用できる。これには、2行程、4行程エンジン、ホットおよびクールピストン再生式エンジン、直接型または間接型燃料噴射を用いる、または予め混合されている混合気(キャブレターまたは吸気マニホルド内の噴射)を利用するエンジン、およびスーパチャージ、ターボチャージまたは自然に吸引されるエンジンを含む。
従来のディーゼルエンジンに関する荷重が減少すると、空燃費が増大し、ピーク温度が下がる。この同じアプローチが、極めて低荷重で作動する再生器エンジンに適用される場合には、エンジン効率が低減するように温度が下がる。温度が低下しすぎることを防ぐために、ガソリンエンジンで通常なされているように、エンジンを通る空気の流れを減少させ、より小さい空燃費を維持することによってエンジンの動力を減少させることが有益である。これは、バルブまたは吸気マニホルドにおいて別の流れ絞り装置を用いることによってシリンダに入る作動流体の流れを減少させる(すなわち、絞る)ことによって行なうことができる。
図1のエンジン上のこのような絞り装置が、図20に示されている。より優れた吸気マニホルド(13)が示されている。吸気マニホルド内には、所定位置に動かされるときシリンダへの空気の流れを部分的にブロックし、別の場所ではわずかに妨害物となる装置(50)がある。このアプローチはいかなる再生エンジンにも適用できる。
より軽い荷重でシリンダへの作動流体を減少させる別のアプローチは、吸気行程の間に早期に吸気バルブを閉じる、すなわち、圧縮行程の遅れて吸気バルブを閉じることである。これは可変なバルブタイミングを有するエンジンに必要とされる。
再生エンジンの荷重または速度が変化すると、再生器の運動(すなわち、再生加熱および冷却行程、およびそれらの速度)を変えることが熱力学的に有効である。これは、可変バルブタイミングを用いてなされる。このような方法の一つでは、バルブの開閉運動を行なうための電子機械的装置を用いる。この種の装置のより大型の変更例が、可変再生運動を行なうのに有効に適用できる。可変バルブタイミングを提供する別の装置は、同様に再生器の運動を制御するのに適用できる。最後に、チェーン、ギア、カム、レバーおよび別の部品を用いる別の一般的な機構可変再生運動を行なうのに用いることができる。
燃料噴射前に発生する再生加熱のために、再生エンジンにおける燃焼の開始時の作動流体の温度は、同じ空燃比で作動する従来のエンジンにおける温度よりも高い。そのため、燃焼の間発生するシリンダ内のピーク作動流体温度も、かなり上昇する。この高温では、エンジン金属構造および部品を保護するために、内部面に低導電性材料およびコーティング材を用いることを必要とする。これらの熱バリヤによって、より高温のエンジン作動温度に対応するより大きな熱の損失を減少させる。これらの熱バリヤは、セラミックコーティング、または一体形プレートまたはシート、あるいは高温に耐えることができ、熱導電性の低い材料から形成される別の構造からなる。さらに、高温の潤滑材、ピストンリングおよび燃料噴射器を必要とできる。これらの熱バリヤおよび別の高温部品を用いるために再生センジンは水冷却システム(ラジエター、水ポンプ等)を必要としない。与えられた断熱のレベルに従って、再生エンジンを周囲の空気および油によって十分に冷却してもよい。このように、優れた再生エンジンはこれらの熱バリヤを用いる、低熱拒否(Low Heat Rejection)エンジンである。
本実施例における再生エンジンの全ての記載は、ピストンを含む単一のシリンダからなる単一の作業ユニットである。殆どの再生エンジンはこれらの多くを有する。
全ての再生エンジンは、新鮮な作動流体を導き、消費した作動流体をシリンダの冷却容積部から取り除くための手段を有していなければならない。これらの吸気および排気手段は、ポペットバルブ(図示するように)、回転式バルブ、摺動バルブ、ちょう形バルブ、ボールバルブ、スリーブバルブ、または適当な流れおよび作動特性を与える別の種類のバルブを備えていればよい。これらのバルブは、図1に示すように閉じたときシリンダ壁と同一の高さであり、シリンダから所定の短距離だけ離れた位置することができ、またポートまたは通路を介してシリンダに接続できる。これらの吸気および排気手段は、小型の2行程エンジン、おいて一般的になされるように、シリンダ内に配置されており、ピストンによってカバーされたりカバーされないことによって開閉される単純な開口(ポートいわれる)である。しかしながら、これらの吸気および排気手段は、作動流体を冷却容積部から出し入れできるように構成されて配置されていなればならない。単一の吸気または排気手段のみが示されているが、複数の手段を適用できる。例えば、図1における2つか3つ以上の吸気バルブがある。
バルブは、瞬間的に開いたり閉じたりできない。このように所定の時間をバルブの開閉に当てなければならない。また、より高速のエンジン速度で、クランク角を基本にして流量についてシリンダを出入りする流れは、より低速のエンジン速度の場合と較べてより遅い。従来のエンジンにおいて最大容積効率は、バルブを早期に開いて遅れて閉じることによってより高速で得られる。バルブタイミングは一つのエンジン速度に対して設定され(あるいは、時として可変バルブタイミングに関して2つ設定される)、あるいは別の速度における作動は最適なタイミングよりも小さい状態で実施されなければならない。この同じアプローチが再生エンジンに適用できる。このため、本実施例で示すバルブ開閉時間は、極めて多くの変更例があることを理解すればわかる。吸気または排気手段が、“実施的に”開いたり、閉じたりすると言われるとき、吸気または排気手段は、完全に開いたりまたはほぼ開いた、またはほぼ閉じたり閉じていることを、それぞれ意味する。吸気または排気手段が開閉を終了する時間の前または後にいくらかの時間があることがわかる。
この記述を通して、再生器は、薄い円筒形のディスクであることがわかる。平坦な面のピストンと平坦なシリンダヘッドを有するエンジンに関して、シリンダ内の全内容積を再生器によって掃気できるので、これは理想的な形状である。しかしながら、平坦ではない表面を有するピストンおよびヘッドを用いることも有効である。例えば、シリンダヘッドは、バルブにより空間を与えるために勾配になった面を有していることが多い。再生器が内シリンダ容積全体にわたって完全に掃気するために、再生器はピストンとシリンダヘッドの輪郭に密接に整合するように構成されていなればならない。すなわち、再生器の上部は、最低の間隙のみを有するシリンダヘッドに適合し、底部は最低の間隙のみを有してピストン面に適合しなければならない。
特定の作動条件と別の例では、これらの工程の事象のタイミングにおいて最低の変更を行なうことがある。
“燃料を導く手段”は、燃料が加熱容積部に入る全ての手段を含む。これは、加熱容積部、冷却容積部、これに続く再生器を通る燃料通路とに直接噴射を行って、作動流体がシリンダおよび再生器を通る燃料通路と、加熱容積部に入る前に燃料を作動流体に導くことを含む。
大きな点火の遅れを有するいくらかの燃料(例えば、プロパンおよび天然ガスのようなより軽量の炭化水素)と、所定の作動状況(例えば、開始、アイドリング、軽荷重)に関して、スパークプラグまたはグロープラグのような別の点火源を形成することが必要である。
全ての再生エンジンは、増圧した吸気圧を有するかまたは自然に吸引される。また、本明細書に表した全ての再生エンジンは、再生器とシリンダ壁との間で流れ通路を通って加熱および冷却容積部の間の漏れを防ぐためのシール装置を有さない再生器を用いる。再生器とシリンダ壁との間が合理的に密接性が維持されているかぎり、このような装置は必要とされないと考えられる。しかしながら、再生器の周辺に所定のシール手段を設けることが有効であることがわかる。このようなシール手段は、従来のピストンリング、ラビリンスシールまたは別の通常の種類のものとできる。
多くの変更例と変形例が上述の教唆からわかる。このように、本発明は特定に記載されたもの以外でも実施できることがわかる。
本発明は、可動再生器を用いる、熱的に再生される往復動形内燃エンジンに関する。
背景技術
熱的な再生とは、熱力学的サイクルから廃熱を獲得し、サイクル内、すなわちエンジン内でこのエネルギーを利用して、サイクル、すなわちエンジンの性能を高めることである。
ガソリンおよびディーゼルエンジンの作動は、オットーサイクルといわれる熱力学的サイクルに、ほぼ近い。原則として、オットーサイクルは熱的に再生できる。これは、膨張行程の終了時におけるガスからの熱を、圧縮行程の終了時において、次のサイクルのガスに伝達することによって行なわれる。得られる利点は大幅なものである。燃費が減少する。さらに再生されたオットーサイクルは、そのサイクル中に、熱力学的にガスの温度をより高くでき、そのために、効率と動力がかなり改善されることになる。
厄介な点は、圧縮、加熱および膨張工程の全てが1つのシリンダ内で発生することである。このために、サイクル中の異なる時間に、熱を獲得し、この熱を圧縮された空気に伝達することが困難になる。
別の例では、エンジン工程が再び行なわれるときのシリンダを別体とすることによって再生器を往復動形エンジンに組み入れるようとしてきた。この方法においては、エンジン部品の間に熱交換器を挿入することは比較的容易である。このことから、一般的に第1のシリンダにおいて圧縮が行なわれ、第2のシリンダにおいて燃焼と膨張が行なわれるようになっている、少なくとも2つのシリンダを含む多くのアプローチが導かれてきた。これらのシリンダを接続する流れ通路、またはシリンダのうちの1つには、再生器を形成する静止した状態の透過性材料がある。再生器は、交番流式熱交換器である。膨張した燃焼ガスが再生器を通り、熱エネルギーを再生器に伝達する。次のサイクルの間、圧縮された空気は再生器を通り、このエネルギーを吸収する。少しの空気と排気ガスが搬送通路内に常に収納収納されているため、所定の設計においてシリンダ間に“ブローダウン”の損失があるために、また全ての空気が再生的に加熱されたり冷却されたりするとは限らないために、すなわち最適な時間に適当な場所に存在するとは限らないために、これらのエンジン性能が低下する。
より新規なアプローチでは、シリンダヘッドとピストンとの間に配置された薄いディスク状の可動再生器を用いることによって、単一のシリンダ内でこれらの工程を行なうことができる。この可動な再生器は各エンジン作動サイクル中、シリンダの全内容積にわたって2度掃気する。再生器がシリンダ内のガスを通って動くとき、ガスとエネルギーを交換する。一回の掃気では、膨張した燃焼生成物からエネルギーを取り出す。2回目の掃気では、次の圧縮工程のほぼ終了時にこのエネルギーを圧縮された作動流体に伝達する。可動再生器に基づいた発明が、フェレンバーグ(1988年、米国特許第4、790、284号と1990年、同第4、928、658号)とミルマン(1981年、米国特許第4、280、468号)の特許に含まれている。
可動な再生器を用いて再生されるエンジンを、燃焼がピストンと再生器との間で発生する(ホットピストン設計)場合と、燃焼が再生器とシリンダヘッドとの間で発生する(クールすなわちコールドピストン設計)場合の2つの分類に分けることができる。
ミルマン(米国特許第4、280、468号)は4行程サイクルで作動するホットピストン式再生エンジンを開示する。このエンジンには再生用冷却行程がない。かわりに、再生器が静止し、シリンダヘッド内のバルブに近接したままであるが、一方でブローダウンおよび排気ガスが発生する。これは、再生器によって作動流体からエネルギーが引き出され、実質的にエンジンの性能を低下させるという点において効率的ではない。
フェレンバーク(米国特許第4、790、284号および同第4、928、658号)は2行程と4行程、およびホットおよびクールピストン再生エンジンを開示する。これらのエンジンは、またいくつかの基本的欠点を有する。一つは、再生器がブローダウンの間、静止したままであること、すなわちブローダウン前に再生のための冷却行程を実質的に完了できないことである。また、排気バルブは、吸気バルブが開く前に閉じる。短時間の間、同時に双方のバルブを開かせることは極めて有効である。これらの従来の再生エンジンはまた、サイクル中に、冷却行程を開始するのが遅すぎる。
本発明の開示
本発明は、シリンダといわれる複数の同じ作業ユニットからなる内燃、往復動形再生エンジンに関する。各作業ユニットは、一端がシリンダヘッドによって閉鎖されており、可動ピストンを含むシリンダからなる。作動流体の流れをシリンダから出し入れでき、制御する手段が設けられている。再生器といわれる交番流式熱交換器がシリンダ内でピストンとシリンダヘッドとの間に配置されている。この再生器は、エンジンの作動サイクル中、適当な時間に、ピストンとシリンダヘッドとの間を可動である。再生器のこの動きは、再生用加熱行程が、ピストンの圧縮行程のうち最後の1/4の間に開始するようになっている。この動きは、再生器の運動を通して、作動流体の流れが可能な限り最大限に、再生器の低温側から高温側にわたって再生器を流れ続けるような速度でありタイミングである。この再生器の動きは、またピストンの膨張行程の中間近くで開始され、排気手段が開く前か、直後に終了する。最後に、この再生用加熱行程中、燃料をシリンダに導入する手段が設けられている。
別の目的、利点および新規な特徴は、添付の図面に関して考慮して、以下の本発明の詳細な記載から明白になる。
【図面の簡単な説明】
図1は、クールピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図2は、ホットピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図3は、2行程サイクルで作動し、ピストンによってカバーされ、かつカバーされないポートからなる排気手段を用いるクールピストン再生エンジンの1実施例の概略図である。
図4のa−hは、2行程サイクルで作動し、圧縮行程中シリンダに入る作動流体を有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図5のa−hは、2行程サイクルで作動し、圧縮行程中シリンダに入る新規な作動流体を有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図6のa−iは、4行程サイクルで作動し、早期に閉じる吸気バルブを有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図7のa−iは、4行程サイクルで作動し、遅れて閉じる吸気バルブを有するクールピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図8のa−iは、4行程サイクルで作動し、早期に閉じる吸気バルブを有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図9のa−iは、4行程サイクルで作動し、遅れて閉じる吸気バルブを有するホットピストン再生エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図10は、低温側の燃料噴射が用いられるとき、ホットピストン再生エンジンおよびクールピストン再生エンジンの双方に関する燃料噴射器の可能な配置を表す図である。
図11は、吸気マニホルドの燃料噴射が用いられるとき、ホットピストン再生エンジンおよびクールピストン再生エンジンの双方に関する燃料噴射器の可能な配置を表す図である。
図12は、作動流体の吸気および排気に関する手段として、再生器駆動ロッドを用いる2つの可能な方法を示す図である。
図13のa−iは、4行程サイクルで作動するクールピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図14のa−iは、4行程サイクルで作動するホットピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図15のa−hは、2行程サイクルで作動するクールピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図16のa−hは、2行程サイクルで作動するホットピストン作動エンジンの作動シーケンスを表す図である。
図17は、異なる大きさの流れ通路を有する再生器材料が単一の再生器に用いられる2つの可能な手段を表す。
図18は、空気式リフターが再生器の位置決めと動きを制御するのに用いられることによる事象のシーケンスを表す。
図19は、ホットピストンエンジンの空気式リフターを表す。
図20は、シリンダに入る作動流体の量を減少させる手段としてスロットルを用いる再生エンジンを示す。
全図面を通して同じ要素には、同じ符号で示す。
本発明を実施するのに最良の形態
可動再生器を用いることによって、再生される往復動形内燃エンジンを本明細書に記載する。全ての実施例は、圧縮行程および膨張行程からなる2つの行程サイクルまたは、吸気、圧縮、膨張および排気行程からなる4行程サイクルのいずれかを用いる。各行程は、ピストンをその最上位置、すなわちシリンダヘッドに最も近接する上死点(TDC)位置から、最下位置、すなわちシリンダヘッドから最も離れている、すなわち反対方向の下死点(BDC)位置に動かすことによって行なわれる。
各実施例は再生のための加熱行程と再生のための冷却行程を有する。再生加熱行程中、再生器はピストンとシリンダの間に収納された作動流体を通って動き、熱をこの作動流体に伝達する。クールピストン再生エンジンに関しては、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で再生加熱行程が開始され、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で終了する。ホットピストン再生エンジンに関しては、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で、再生加熱行程が開始され、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で終了する。
再生冷却行程の間、再生器が反対側(加熱行程と較べて)方向に、ピストンとシリンダヘッド間に獲得された作動流体を通って移動し、作動流体から熱を吸収する。冷却ピストン再生エンジンについて、再生器がピストンに近接してピストンとともに動く状態で再生冷却行程が開始され、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で終了する。ホットピストン再生エンジンについて、再生器がシリンダヘッドに近接した状態で、再生冷却行程が開始され、再生器がピストンに近接した状態で終了する。
これらの運動の時間の間、再生器はピストンに近接してピストンとともに動くか、あるいはシリンダヘッドに近接しているかのいずれかである。“近接して”とは、ピストンまたはシリンダヘッドに接触しているか、または対象物が同時に急速に動くことに対応して機械的および構造的な制約が与えられた部品に可能な限り近づくことを意味する。“に近い”とは、“に近接して”と同義である。再生器によって掃気されない内容積を最小にすることは有効であるが、小さな間隙領域、すなわち容積は、移動する部品間のダメージを与える衝撃を防ぐために必要であるということがわかる。例としては、再生器がシリンダヘッドまたはピストンに近接するときの、再生器とシリンダヘッドまたはピストンとの間の小さな間隙と、再生器の周辺とシリンダ壁との間に間隙とがある。
燃焼が発生する領域は、加熱容積すなわち加熱空間であり、再生器の他方側の容積は冷却容積すなわち冷却空間といわれる。これら双方の容積の大きさは、作動サイクル中、ピストンと再生器が動くにつれて変わる。ある場合には、このサイクル中にこれらの容積のそれぞれが非常に小さくなるか、またはゼロになる。加熱容積部に近接する再生器の側部は、再生器の最も熱い部分であり、再生器の高温側といわれる。反対側は低温側である。
一般的に用いられる作動流体は空気である。しかしながら、燃料と放熱化学反応をおこすことのできるのは、ガス、液体および固体の混合物でもよい。吸気マニホルドを通ってシリンダに導入される第1作動流体は、排気手段が閉じた後にシリンダに収納されている、または吸気マニホルド(すなわち排気ガス再循環)内のシリンダに加えられる、いくらかの残余反応でできた生成物を含む。燃焼後(または、エンジンに動力を与える別の放熱反応後)、作動流体は消費した作動流体、すなわち排気流体といわれる。
図1は、2行程式または4行程式のいずれかの手段で作動される、クールピストン式再生エンジンの1実施例を表す。シリンダ(1)はシリンダヘッド(2)よって一端が閉鎖されており、ピストンの線形の運動をシャフトの回転運動に変えるための適当な機構(5)によって、動力出力シャフト(4)に接続されるピストン(3)を含んでいる。機構(5)は図示したようにピストンロッドと偏心部からなる。
従来のポペットバルブとして示されている吸気バルブと(6)と排気バルブ(7)によって、作動流体を出入りさせるための手段が設けられる。これらのバルブは開いたとき、吸気マニホルド(13)と排気マニホルド(14)をピストンと再生器(8)の間に配置されているシリンダ容積部に接続する。これらの吸排気手段は冷却容積(12)と連通しなければならない。本明細書で用いる“と連通する”とは、吸気および排気手段が、直接的にか、または1つか2つ以上の流れ通路を通って冷却容積から流体が出入りできるように冷却容積と接続されなければならないことを意味する。このようにクールピストンエンジンについて、冷却容積部は、再生器とピストンの間に常に位置づけされている。このように、これらの吸気および排気手段は、シリンダ壁を通る流れ通路、ピストンおよび再生器またはこれらの組合せを備えなければならない。
シリンダ内には、再生器(8)と言われる有孔のディスク材料の構成要素が存在する。この再生器は、シリンダボアよりもわずかに小さい直径を有する。再生器が再生器駆動ロッド(9)によってピストンおよびシリンダヘッド間を前後に、シリンダの軸に平行に沿って動かされる。この駆動ロッドは、図1に示すようにシリンダヘッドを通ってもよく、またはピストンを通ってもよい。この駆動ロッドは、円形横断面である必要もないし、中身が詰まっている必要もない(すなわち管とすることができる)。ピストンおよびシリンダ壁の間の環状スリーブのような再生器を動かすための別の手段を用いてもよい。
直接噴射ディーゼルエンジンに通常用いられるような燃料噴射器(10)によって燃料が加熱容積に噴射される。この領域において作動流体が相当に熱いときに、燃料がこの領域に直接噴射されることによって、自然に点火される。
図2は、ホットピストン再生エンジンを表す。このエンジンは2行程か4行程サイクルのいずれかで作動できる。このエンジンは図1と非常に類似しており、シリンダヘッド(2)によって閉鎖されているシリンダ(1)、適当な機構(5)によってクランクシャンフト(4)に接続されているピストン(3)、吸気および排気マニホルド(13,14)を介してシリンダからの流れの出入りを制御する吸気および排気バルブ(6,7)、再生器(8)、再生器(9)を動かすため機構、および燃料噴射器(10)を有する。
図2のホットピストンエンジンと図1のクールピストンエンジンとの主な違いは、ピストンと再生器との間で燃焼が発生することである。これは、燃料噴射器が、加熱容積に燃料が噴射されるように配置されることを必要とする。また、シリンダの上側部分の冷却容積と直接連通する吸気及び排気手段を通って、作動流体がシリンダから出入りすることが必要とされる。このため、これら吸気および排気手段は、シリンダヘッドを通る流れ通路、シリンダ壁の上側部分、再生器駆動ロッド(9)またはこれらの組合せを備えなければならない。
全ての再生されたエンジンは、再生器に蓄えられた熱を作動流体に伝達するための再生加熱行程を有する。従来の発明では、燃料噴射の前とピストンの膨張行程の開始前に終了する再生加熱行程を有する。極めて薄い再生器を仮定する単純な熱力学的解析では、このシーケンスが最も好ましいタイミングであることを示しているが、わりに最近の考察では、この事象のシーケンスは好ましくないことを示している。加熱行程は、ピストンの圧縮行程の終了まじかに開始しなければならない。しかしながら、ピストンの膨張行程が十分に始まるまで、再生加熱行程が終了しない場合に、エンジンの性能が実質的に改善される。さらに、再生加熱行程の後に燃料を噴射するかわりに、本発明では、再生加熱行程の間に燃料を噴射する。さらには、シリンダ内の圧力が降下し始めると、ピストンの膨張行程が十分に始まるまで、再生加熱行程は終了しない。この再生加熱行程のタイミングは、従来の発明とは実質的に異なる。
再生加熱行程のタイミングにおいて、このように変化させる重要な理由の一つには、燃焼中にシリンダ内のガスが動くことがある。先行技術が示しているように燃料噴射と燃焼の間に、再生器がピストンまたはシリンダに近接する場合、燃焼のためにシリンダ内の高圧によって、加熱ガスが再生器に入る。このようなガスが再生器に入ると、再生器に熱が奪われ、このために動力が引き出されるときにシリンダ圧が低下することになる。改善された性能に加えて、再生器が燃料と作動流体(例えば燃焼ガス)の加熱作用要素が再生器に入らないような方法で動く場合に、再生器の加熱側の温度が低下(重要な再生器の耐久性の結果)する。従来の発明において提案された再生加熱行程のタイミングが適用されると、再生器は高温のため壊れてしまう。本明細書で述べる新しい再生加熱行程では、再生器が依然として用いられ、エンジン性能が実質的に改善される環境を提供する。
加熱燃焼ガスが再生器に入ることを防ぐために、再生加熱行程の動きと速度は空気が再生器から加熱容積に流れ続けるように決定されなければならない。これは、加熱面に対して発散冷却の形態として作用し、加熱容積内の極めて高温の作動流体が再生器に入らないようにする。再生器の高温側(燃焼が発生する領域に面する側)からの流れが再生加熱行程にわたって維持される場合には、加熱容積内の圧力が再生器内の圧力を越えることがないような速度で再生器が動くことが必要である。このことは、再生器の熱放出率(燃料噴射率)と動きのタイミングを注意深く調整する必要がある。膨張の間、シリンダ内の圧力が一旦降下しはじめると、流れは常に再生器から出ることになる。これは、再生器内の作動流体がより低圧の加熱容積に拡張するためであり、このために再生器の高温側からの作動流体の流れを安定させることになる。
圧縮行程の間、作動流体は圧縮されて再生器内に押し込まれる。最初に、この作動流体は冷たく再生器から熱を吸収する。しかしながら、圧縮行程の終了まじかに、再生器に入る空気は再生器の冷却側とほぼ同じ程度の熱さである。再生器内の空気の圧縮によって温度が再生器の温度を越える。これの影響は、正味加熱伝達が負となること、すなわち、再生器が圧縮された作動流体からの熱を吸収することである。これは極めて望ましくないことであり、これが発生する時に再生加熱行程を開始することによって防ぐことができる。再生器が動き始めると、わずかに冷たい相当量の作動流体が再生器に流れるので、作動流体をより加熱することになり、強い正の加熱伝達が発生することになる。このように、再生加熱行程は圧縮行程の最終部分の間に開始しなければならない。
まとめると、再生加熱行程の最適な運動とタイミングは次のようになる。
(1) 再生器からの加熱伝達が負(ピストンの圧縮行程の最後1/4の間)となるときに加熱行程を開始する。
(2) 作動流体の流れが常に加熱容積に入るような速度で再生器の動きを維持する。
(3) シリンダ内の圧力が膨張行程の間に降下し始めた(一般的にTDCの後2、30度内であるが、燃料噴射率と別の要素にかなり依存する)後、できるだけ早く再生加熱行程を終了する。
本発明の別の重要な特徴は、再生冷却行程である。ピストン膨張行程の間の所定の地点において、再生器はシリンダ内の作動流体にわたって掃気し、エネルギーを引き出す。この再生冷却行程を開始するのに最適な時期はピストンの膨張行程がほぼ半分終了したときである。
一方、ミルマン(米国特許第4、280、468号)の再生エンジンは再生器冷却行程を有さない。この再生器はシリンダヘッド内のバルブに近接する静止位置に単に保持されており、排気バルブが開き、急速な圧力降下(“ブローダウン”)が発生する。加熱ガスは再生器にわたってブローダウンする。先行技術のフェレンバーグの米国特許第4、790、204号と同第4、928、658号はピストンが下死点近くになるまで再生冷却行程を開始しない。
冷却行程の間、再生器が作動流体にわたって掃気するので、作動流体を冷し、圧力を低下させる。圧力が降下すると、エンジンの作業出力が減少する。このように、膨張がほぼ終了し、可能な限りの作業が作動流体から得られるまで、この冷却行程を遅らせることが好ましい。これは、フェレンバーグの先の発明において膨張行程の終了まじかまで再生冷却行程の開始を遅らせる根拠である。しかしながら、最近の計算方法では、再生器を動かすのに必要な作業を含む。再生器の冷却行程長さと速度が増大するにつれ、この作業はきわめて早くなる。このため、再生器の冷却前に完全に膨張させることによって得られる付加的な熱力学的作業に対して再生器を動かすのに必要な特別な作業を交換することが必要となってくる。この計算方法では、ピストンの膨張行程の中間近くで開始する再生冷却行程によって最適な機能を果たすことを示す。
これらの同様な計算方法は、再生冷却行程が終了するか、またはほぼ終了し、排気手段が開く前に、エンジンの性能が高まることを示している。これは、再生器がシリンダを通って掃気を終了する前にブローダウンが発生する場合に、加熱容積内に残余する作動流体が拡張し冷却されるために、重要である。作動流体は再生器の高温側よりも冷たくなり、このために再生器を通る時に再生器のより熱い部分から熱を実質的に取り除くことになる。このことは、エンジンの動力と効率を実質的に低減させるので、極めて好ましくない。ミルマンの米国特許第4、280、468号のエンジンは再生冷却行程を有していないため、またこれより先のフェレンバーグ米国特許4、790、204号および同第4、928、658号において、再生冷却行程の終了前に排気手段が長時間開いているために、再生器にわたって実質的なブローダウンが発生する。本明細書に開示した発明は、排気手段を開く前に再生冷却行程を終了させることによって防ぐことができる。
まとめると、再生冷却行程は、
(1) 膨張行程の開始の中間(上死点後45度と135度の間)地点の間に開始する。
(2) 排気手段が開く前に終了する。
もちろん、これらのガイドラインにはある程度の融通性がある。秒の単位では分析されておらず、別のエンジン設計と作動的な考察がこれらに影響を及ぼす。例えば、冷却行程の間、再生器をよりゆっくりと動かすことによって、再生器を動かすのに必要な動力が減少される。このために、排気手段が開いたわずか後まで再生冷却行程の終了を遅らせることが好ましい。これが有効であるか、ないかについては、エンジン幾何形状、バルブタイミング、および別の要素にかなり依存する。しかし、いかなる場合にも、再生器冷却行程は、排気バルブが開く前にほぼ完了していなければならない。
バルブを示した先のフェレンバーグの特許では、吸気バルブと排気バルブが同時に開くことはなかった。吸気バルブは、とくに排気バルブが開く前に閉じる。ミルマン(米国特許第4、280、468号)は、バルブの開閉について記述していないが、図面において、吸気が開く前に、排気バルブが閉じることを暗示している。これらの従来の発明には重大な欠点がある。再生エンジンに必要とされる特有で重要なことは、バルブをオーバラップさせることである。
高エンジン速度に変更するとき、バルブ機構部品の慣性、シリンダ内の作動流体の慣性、および吸気および排気行程がより短時間で行なわれることによって、吸気バルブが開いた後に、排気バルブを短時間の間、開位置に維持される。これは排気行程の終了まじかと吸気行程の開始に発生する。
吸気バルブが開いた後、わずかの時間の間、排気バルブを開いたままにすることによって消費した作動流体の除去を改善する。これは、いくらかの流体が再生器内に収納されたままなので、特に重要である。また再生器の存在がガス交換工程を遅らせる。排気流体を過度に保持することはエンジンの性能を低下させることになる。バルブの開口をオーバラップさせて、収納される排気流体を最小にすることによって、性能低下を最小にできる。
ほとんどの作動状態と燃料の種類について、燃料を導入するときの加熱容積の作動流体の温度と、その容積に近接する内面の温度は、燃料を短時間で点火するのに十分である。このように、点火源は、再生エンジンに一般的に必要とされない。再生器が適切な動きと空気の圧縮または別の手段が、再生器とシリンダを点火温度まで加熱するのに十分であるときには、開始には点火源は必要とされないと考えられる。このように、本明細書に記載した本発明は、いかなる点火手段(例えば、スパークプラグまたはグロープラグ)を有していない。
フェレンバーグの先の米国特許では、“ピストンとシリンダの間の大きな環状の間隙”すなわち“スロットまたは別の種類の流れ流路”を収納するために、ピストンの面から離れて配置されたリングを有するピストンを備えるものとしてクールピストンの好ましい実施例を示している。本明細書で開示した発明は、フラット面とピストンの面に近接したリングを備えた従来のものよりも優れたピストンを有する。これは、吸気および排気手段、すなわちこれらの手段とシリンダとの間の通路がシリンダ壁上のより高い場所に配置できる。このためピストンのまわり、またはピストンを通過する流れは必要とされない。
膨張された燃焼生成物と圧縮された作動流体との間により多くのエネルギーが伝達されるので、再生エンジンの効率が改良される。再生器の前後の温度差が大きくなるにつれ、この熱伝達も大きくなり、本実施例では、エンジン効率も高まる。
再生器の高温側の温度は、再生器の冷却工程中、再生器を通過する燃焼生成物の温度によって主に決定される。再生器の冷却側の温度は、再生器の加熱工程中に再生器を通過する圧縮された作動流体の温度によって、主に決定される。
この温度差を大きくする一つの方法は、圧縮工程中に作動流体を冷却することである。この理想的な状況は、等温圧縮である。このために、再生器の加熱工程が発生するときに圧縮された作動流体がより冷たくなり、再生器を通る温度差がより大きくなる。これは、再生加熱量を増大させ、エンジン燃焼効率を高めることになる。等温圧縮は、またエンジンの圧縮作業を減少する。
この等温圧縮がなされる一つの手段は、サイクルの停止から離れた位置、すなわちシリンダの外側において圧縮の一部を行なうことである。これは、燃焼によって加熱されるシリンダ壁の加熱を相当に省き、また圧縮と燃焼が同一のシリンダで発生するエンジンにおいて可能ではなかった圧縮装置内の特定の冷却特徴を用いることができる。これらの冷却特徴の例は、(a)熱を取り除くための、コンプレッサにおける薄壁の高導電性、(b)作動流体が圧縮されるときに作動流体と直接接触する、液体冷媒が流れる状態の冷却フィン、(c)圧縮装置の外面上の冷却フィン、(d)圧縮装置とエンジンシリンダ間の流れ通路内のアフタークーラの使用である。
この外部コンプレッサは別のシリンダおよびピストン、ターボ機械(例えばスーパーチャージャまたはターボチャージャ)、または十分な量で高圧空気を効率的に作りだす別の装置である。このコンプレッサは、マルティシリンダエンジンのいくつかのシリンダを“供給できる”。
これは、単にターボチャージャまたはスーパチャージャが取りつけられた再生エンジンではないことは明白である。この目的は、シリンダ内に発生するいくらかの圧縮を外部の冷却コンプレッサにおける圧縮と置き換えることである。次いで、吸気手段のタイミングは、エンジンのシリンダ内に発生する作動流体の圧縮を減少させるように調整される。例えば、ピストンの圧縮行程が部分的に終了するまで相当量の作動流体の導入が遅延することによって有効圧縮が減少する。
これの最も重要な特徴は、シリンダ内の有効な圧縮比がシリンダ内の有効な膨張比よりも小さいことである。有効圧縮比は、圧縮の開始時の作動流体によって占められた容積を、圧縮の終了時の作動流体に占められた容積で割ることによって得られる。圧縮の開始は、実質的に、吸気バルブまたは、ポートが閉じ、シリンダ内の圧力が上昇しはじめる時である。圧縮の終了時は、ピストンの圧縮行程が終了したときである。膨張比は、膨張行程の終了時に作動流体の容積を膨張行程の開始時の容積で割った値である。膨張行程は、排気手段が開いたり、またはピストンが下死点位置に達するときに終了する。この概念を用いる再生エンジンは、吸気手段のタイミングと、吸気マニホルド内の一般的に相当に高い圧力を除けば、別の再生エンジンと同じように作動する。
図3は、外部圧縮、および有効膨張比より小さい有効圧縮比を用いる、特別な種類のクールピストン再生エンジンを表す。このエンジンは2行程サイクルで作動する。エンジンは、ピストンが最下位置(下死点)に接近するとピストンによってカバーされず(開いた)、続いて圧縮行程の際にピストンが上方に向かった直後にピストンによってカバーされるポート(7)と排気バルブを置き替えていることを除いては、図1に示したクールピストンエンジンと同じ構成要素を全て有する。
図3のエンジンは、吸気マニホルドの高圧で作動する。これらの圧力は、エネルギーをエンジンの排気ガスから引き出すタービン(ターボチャージャ)またはエンジンのクランクシャフトから動力を直接取り出す(スーバチャージャ)ことによって動力が得られる、単一コンプレッサかまたは段コンプレッサのいずれかのコンプレッサ(図示せず)を用いることによって得られる。このコンプレッサは、シリンダコンプレッサにおける従来のピストンのように、摺動ベーン、遠心または回転式ルートブロワーおよびスーパチャージャを含む。
図4のa−hは、外部圧縮と、有効膨張比よりも小さい有効圧縮比の概念を用いて2工程式のクールピストン再生エンジンにおいて発生する段階または工程のシーケンスを表す。このエンジンは、実質的に図3に示したエンジンと同じであるが、主要な構成要素だけを示す。
図4を参照すると、圧縮工程の開始において(a)、排気ポートが開き、吸気バルブが閉じ、再生器がシリンダの最上部にあり、ピストンは下死点にある。再生器の高温側は、シリンダヘッドに近接しており、低温側はピストンに面する。ピストンが圧縮工程(b)において上方に動き始めるときに吸気バルブが開く。短時間の間、吸気バルブと排気ポートの双方が開き、吸気マニホルド内の高圧の新鮮な作動流体によってシリンダ内の残余する消費した作動流体のほとんどが排気ポートから押し出される。ピストンが上昇するにつれ、排気ポートがカバーされる(c)。ピストンが上昇し続けると、吸気ポートは所定の時間開いたままであり、このために別の加圧作動流体をシリンダ内に入れることができる。シリダン内の圧力が吸気マニホルド内のレベルにまでほぼ上昇すると、吸気バルブは(dの前)閉じる。理想的には、シリンダ内の圧力と吸気マニホルド内の圧力は吸気バルブが閉じるとき等しくなければならない。
ピストンが上死点位置に接近すると、再生器はンシリンダの上部からピストンの方向に向かって下方に動き始める(d)。これが行なわれるときに、圧縮された作動流体が再生器を通り、高温側から出て低温側に入り、熱を吸収する。燃料が、動く再生器とシリンダヘッドとの間にシリンダ内で新しく形成された加熱容積部内に噴射される(e)。この燃料は、加熱容積における高温により点火されて、作動流体と反応する。再生器は下方に動き続け、TDC後の所定の地点(例えば10ないし60度)においてピストンとぶつかる(f)。理想的には、再生器は、シリンダ内の圧力が膨張の間下降し始めるわずか後に、ピストンとぶつからなければならない。次いで、再生器は、膨張工程の間ピストンと共に下がり、ピストンが下死点に達する前、十分な時間をもって、所定の地点で分かれて、シリンダヘッドの方向に戻り始める(h)。再生器がシリンダのほぼ上部に達するときには、排気ポートはピストンによってカバーされていない。これで2行程サイクルが終了する。
図5のa−hは、外部圧縮と、有効膨張比よりも小さい有効圧縮比を用いて、2行程サイクルのホットピストン再生エンジンの事象のシーケンスを表す。このエンジンは、図2の排気バルブが排気ポート(7)と置き換えられることを除いては、図2と同じである。図2に示したエンジンは、また本明細書で記載したサイクルを達成することができる。
圧縮工程の開始時(a)に、ピストンがBDC位置にあり、排気ポートがカバーされず、再生器がピストンに近接して吸気バルブが閉じている。再生器の高温側はピストンに最も近く、低温側はシリンダヘッドに面する。ピストンと再生器が上方に動くにつれ、吸気バルブが開き(b)、加圧作動流体がシリンダに入って消費した作動流体を押し出すことになる。ピストンと再生器がさらに上昇すると、排気ポートがカバーされる(c)。圧力が吸気マニホルド内の圧力にほぼ近くなるまで、新鮮な作動流体がシリンダに入り続ける。次いで、バルブは閉じられる(d)。
ピストンと再生器がシリンダの上部に近接すると、再生器はピストンから離れてシリンダヘッドに向かって移動し始める(e)。再生器が動くと、圧縮された作動流体は再生器を通って低温側から高温側に押し出される。作動流体が再生器を通って動くので、作動流体は再生器から熱を吸収する。次いで、燃料が、移動する再生器とピストンとの間の加熱容積部に噴射される(f)。ピストンは圧縮工程を終了し膨張工程を開始する。ピストン膨張工程の最初の1/4の地点までの間、再生器はシリンダヘッドに達し、シリンダヘッドに近接したままである。ピストンが膨張工程の中間部分にあるとき、再生器はピストンに向かって動き始める(g)。再生器はピストンが排気ポートをカバーする時にピストンに追いつく(h)。
このエンジンのクールピストンまたはホットピストンのいずれかの変更例について、新鮮な作動流体がピストンの圧縮工程中にシリンダに導入されることが必要である。吸気流れに利用できる比較的短時間に、シリンダに十分な流れが入るようにするために、いくつかの大型の吸気バルブを用いることができる。外部コンプレッサによって得られる圧力が減少すると、エンジンの動力も低下する。しかしながら、エンジンの燃料効率は依然として高いままである。これは(1)圧縮比に対して膨張比がより大きいことが熱力学的により有効であること、(2)より低い後の圧縮温度によって再生の熱伝達がより良好になり、効率をさらに改良することになるからである。このように、膨張比より小さい有効圧縮比が再生エンジンに特に有効である。外部コンプレッサが取り除かれる場合でも(すなわち、自然に吸気されるエンジン)このアプローチの利点は実質的である。
図4と5のエンジンにおいて、吸気およびシリンダ圧が等しくなった後、吸気バルブが開いたままである場合には、吸気バルブを通る流れは逆になる。このために、いくらかの新しい作動流体が排除され、さらに有効圧縮比が減少することになる。このことは動力が低減するが効率性を高める。同様な効果は、圧力が等しくなる前にバルブを閉じることによって得られる。
図6のa−iはクールピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要となる段階のシーケンスを表している。圧縮比を減少させることは、吸気行程の間、吸気バルブを閉じることによって達成され、このために吸気バルブの閉鎖が遅れた場合に、シリンダ内にある作動流体の量が減少することになる。エンジン工程の記載に関して図6に示したエンジン設計は図1と同じである。
排気工程の開始において(a)、ピストンが下死点の位置にあり、再生器は、シリンダヘッドに近接しており吸気バルブは閉じられて、排気バルブがちょうど開かれている。ピストンは、バルブのちょうど下側にある上死点に移動しつつある。これが排気行程であり、これにより消費された作動流体がシリンダから排出される。ピストンが排気行程の終了に近づくと、吸気バルブが開かれる(b)。ピストンが下死点位置にまで動き始めると、排気バルブ閉じられ、吸気行程を実施し、これにより新鮮な作動流体がシリンダに導かれる。吸気行程(c)の間の所定の地点において、吸気バルブが閉じられる。このバルブを早期に閉じることによって、吸気バルブが長い時間の間、開かれた場合に較べて、シリンダ内に含まれている作動流体の量が減少する。これが、別の4行程再生エンジン作動サイクルの作動サイクルと異なる本発明の作動サイクルの最も独特な特徴である。
ピストンは、シリンダの底部に向かって動き続ける(d)。次いで、ピストンは下死点から上死点にまで動き、このために圧縮行程を行うことになり、作動流体が圧縮される。ピストンが上死点に近づくと、再生器は、シリンダヘッドから離れてピストンの方に動き始める(f)。再生器が動くと作動流体が再生器を通り、再生器の下側の冷却容積部から、これの上側の加熱容積部に動く。作動流体が再生器を通ると、流体は再生器から熱を吸収する。ピストンが上死点位置に近づき、続いて膨張行程(g)において下方に動き始めると、燃料が、動いている再生器の上側の加熱容積部に噴射される。再生器がピストンよりも早く下方に動いて、ピストンの膨張行程の最初の1/4の間(h)に、ピストンと接触する。次いで、再生器はピストンとともに、シリンダから離れる。ピストンの膨張行程の中間地点の間に、再生器は方向を変えてシリンダヘッドの方向に戻る(i)。再生器が排気流体を通って動くと、高温の排気流体が再生器を通って高温側から低温側に動き、再生器に熱を与える。再生器はシリンダヘッドに排気バルブがほぼ開くときに到達する。
図7のa−iはクールピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、圧縮行程の実質的な部分の間に吸気バルブを開いたままにし、いくらかの新鮮な作動流体をシリンダから出してシリンダ内の作動流体の量を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関して図7に示したエンジン設計は図1のものと同じである。
図7を参照すると、排気行程と吸気行程の1部分(aからb、bからc)は、図6と同一である。しかしながら、図7において、吸気バルブは、吸気行程を通して開いたままであり、続いて圧縮行程(dからe)にはいる。いくらかの作動流体が吸気マニホルドに戻された後(e)、吸気バルブは閉じる。残りのサイクル(fからi)は図6と同じである。
図8のa−iは、ホットピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、吸気行程の間に吸気バルブを閉じ、吸気の閉鎖が後れる場合にシリンダ内の作動流体の量を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関しては図6に示したエンジン設計は図2は示したものと同じである。
排気工程の開始(a)において、ピストンは下死点位置にあり、再生器はピストンに近接しており、吸気バルブは閉じられ排気バルブは開いている。再生器の高温側はピストンに面しており、低温側はシリンダヘッドに向いている。次いでピストンは上死点位置に動き、このためにシリンダから出た消費された作動流体を排気バルブに流すことができる。再生器はピストンに近接したままである。排気工程の終了まじかに(b)、吸気バルブが開き、新鮮な作動流体の流れをシリンダに通すようになる。ピストンが下死点位置に動き始めると排気バルブが閉じ、吸気行程が行われて、これにより別の新鮮な作動流体がシリンダに入ることになる(c)。再生器はピストンに近接したままである。吸気行程の間の所定のときに、吸気バルブが閉じ(d)、このために吸気バルブが長い時間開いたままの場合にシリンダに入る作動流体の量を減少させることになる。
吸気行程の後、ピストンは下死点位置(e)から上死点位置に動き、このために圧縮行程を行うことになる。再生器は、圧縮行程の終了まじかまでピストンに近接したまである。この地点で、再生器がピストンから離れてシリンダヘッド方向に動き始める(f)。ピストンが圧縮行程を完了し、続いて膨張行程を開始する(g)とき、燃料が、動いている再生器とピストンとの間に導入される。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間に再生器がシリンダヘッドに到達し(h)、ピストンが膨張行程の中間地点まじかになるまでシリンダヘッドに近接したまである。次いで、再生器は、ピストン方向に動き(i)、ピストンが下死点に近づくと、ピストンに到達してピストンに近接したままになる。これでサイクルは終了する。
図9のa−iは、ホットピストン再生エンジンにおいて、膨張比よりも小さい有効圧縮比を有する4行程サイクルを実施するのに必要とされる段階のシーケンスを表す。圧縮比を減少させることは、圧縮行程の実質的な部分の間、吸気バルブを開いたままにし、いくらかの新鮮な作動流体をシリンダから出して、シリンダ内の作動流体を減少させることによって達成される。エンジン工程の記述に関して図9に示したエンジン設計は図2と同じである。
図9を参照すると、排気工程と吸気工程の第1部分(aからb、bからc)は図8と同じである。しかしながら、吸気バルブは吸気行程の間、開いたままであり続いて圧縮行程(cからd)に入る。いくらかの作動流体が吸気マニホルドに戻されて(d)、吸気バルブが閉じる(e)。残りのサイクル(fからi)は図8と同じである。
先の再生エンジンは直接噴射式、すなわち燃料がシリンダの燃焼領域(加熱容積部)に直接噴射される。別の位置に燃料を導入することも可能である。このようなアプローチでは、再生器の低温側のシリンダに燃料を導入すること、シリンダへの通路に入る前に吸気マニホルド内の作動流体に燃料を噴射すること、および従来のキャブレターまたは燃料を噴霧し蒸発させて、吸気マニホルドに入る前に作動流体と混合させる別の装置を用いることを含む。
噴射の場所は、燃焼が発生する場所と同じでなくてもよいことが重要である。燃焼領域へ直接噴射が用いられない場合、反応物の混合(すなわち燃料と空気)は大体、主な放熱の前に再生器を通過しなければならない。再生器の加熱行程の開始まで再生器を通る流体の流れはないので、また燃焼は加熱行程のほぼ開始(またはわずかにこれの後に)に始まらなければならないので、再生器を通る流れの経過に基づく、混合物を点火させる手段を設けることが可能である。
再生器の高温側は反応物の混合物の点火源として利用できる。これに伴う問題は、点火が望まれるかなり前に、再生器の高温部分と、混合物が接触することである。このため、所望の時間まで点火を行わないという特徴を形成しなければならない。いくつかの可能性がある。第1に、加熱容積部は、再生器の加熱行程の開始まで存在しないので、再生器の高温側にさらされる反応物が再生器の孔構造に獲得される。これらの孔が十分に小さい場合には、火花止めのように作用し、混合物の点火を防ぐ(あるいは遅らせる)。次いで、再生器が動き始めると(加熱行程の開始)、相当に熱い混合物が再生器から送られて、自然に反応する。
適合な時間まで点火を遅らせる他の要因は、圧縮加熱と、圧縮行程の間、発生する反応物の混合物の圧力の上昇である。圧力と全体の反応温度が圧縮行程の終了まじかと再生加熱行程の開始に上昇すると、混合物はより早く反応する。このためにタイミング良く点火を行なうことができる。再生器の反応急冷効果から混合物を解放することを組み合わせると、点火を行なう簡単な手段が得られる。
最後に、再生器の高温側上(例えば加熱容積器内に)に配置されたグロープラグまたはスパークプラグのような点火源を、再生器を通って流れる反応物の混合物を点火するのに用いてもよい。
図10は、図1と図2の2つの再生エンジンを示しており、燃料噴射器(10)が冷却容積部(12)に燃料を噴射するようになっている。これによって燃料を冷却容積部の作動流体に燃料を直接噴射できる。この噴射は、排気バルブを閉じた後であればいつでも行うことができる。すなち吸気行程または圧縮行程の間に行うことができる。このアプローチは、また別の全種類の再生エンジンに適用できる。
図11は、図1および図2の2つの再生エンジンを表しており、燃料噴射器(10)が、吸気マニホルド(13)に燃料が噴射されるように動くようになっている。この方法において、作動流体が吸気バルブ(6)を通って冷却容積部(12)に入ると、燃料が蒸発され噴霧化されて作動流体を備えたシリンダに給送される。燃料は、また吸気マニホルドにおける別の場所に導かれる。作動流体を従来のキャブレターによって導入することもできる。このアプローチも全種類の再生エンジンに適用できる。
ほとんどの再生エンジン設計に伴う一つの主な問題は、吸気および排気手段の場所と大きさである。作動流体は冷却容積部に流れて冷却容積部から出なければならない。クールピストン再生エンジンについて、このことは、流れ通路がピストン、シリンダヘッドの下側のシリンダ壁、再生器またはこれらの組み合わせ内になければならないことを意味する。これらのいずれもが従来のエンジンにはないのが一般的であるが、ピストンによってカバーされたりカバーされないシリンダの壁にポートを有するエンジンは、多くの2行程エンジンについて一般的である。シリンダ壁内にバルブを配置すると、特に、図示されているように埋め込み式バルブを取り付けることは、厄介で努力を必要とする作業である。
ホットピストン再生エンジンについて、バルブを従来の配置であるシリンダヘッド内に配置できる。しかしながら、再生駆動ロッドがヘッドを貫通する場合には、これらのバルブに利用できる空間は小さくなる。より大きなバルブが容積効率を高めるのに常に望まれるので、問題があることになる。
このバルブの大きさと、ホットおよびコールドピストンエンジンの配置状況を改善するためには、再生器駆動ロッドを、作動流体をシリンダに入れたり出したり、または出したり入れるための手段として用いることができる。管を通る流れは、吸気または排気の流れの一部を供給するのみであり双方を供給できないと考えられる。しかしながら、吸気流れまたは排気の全ての流れ、または双方を、内径の大きな駆動ロッド、または複数の駆動ロッドによって供給できることがわかる。
図12は、作動流体を吸排気するための手段として機能もする再生器駆動ロッドの2つの異なる変更例を表す。それぞれは、駆動ロッドの両端部を表す。示されている2つの変更例は2つの可能性のある状況に適用できる。図12aにおいて、再生器駆動ロッドが再生器の高温側から再生器に取りつけられている(すなわち、ロッドが加熱容積部を通っている)。図12bにおいて、再生器駆動ロッドは再生器の冷却側から再生器に取り付けられている(すなわち、ロッドが冷却容積部を通っている)。例えば、図12aの構造は、駆動ロッドがシリンダヘッドを通ってシリンダに入る状態でクールピストン再生エンジンに適用できる。
図12aを参照すると、駆動ロッドの下側の端部に取り付けられ、再生器の低温側に埋められているフランジとして本実施例に示されている構造(20)の手段によって、再起器(8)は駆動ロッド(9)に取り付けられている。ロッド(実際には管)が再生器を貫通しており、管の内側から再生器の冷却側の冷却容積部まで開口(29)を形成する。管の内側には、以下チェックバルブ(21)といわれる流れ制御装置を含む。このチェックバルブは、シリンダ内の圧力が駆動ロッドの上側部分の圧力に等しいか、またはわずかに大きいときに、ロッドを通って流すことができるだけである。すなわち、シリンダ内の圧力が比較的低いときには、吸気行程および排気行程の間バルブが開く。
駆動ロッドの他端部の近くに、ロッドは、バルブ(22および23)によって吸気マニホルド(24)および排気マニホルド(25)に接続される開口(26、27)を有する。エンジン作動サイクルにおける適当な時に、吸気バルブ(22)または排気バルブ(23)のいずれかが開く。シリンダ内の圧力が十分に低下した場合、またはいずれかのバルブが開く場合には、流れがロッドを通るようになる。
図12bにおいて、再生器(8)が、駆動ロッドの下側端部に取り付けられており再生器の冷却側に埋められているフランジとして本実施例に示されている構造(20)を介してルッド(9)に取り付けられている。ロッドを通る流れは、冷却容積積部に入りこれから出なければならないので、孔(28)が再生器取り付け部分の上の所定の場所に管に設けられている。管の端部は、再生器に入ったり通ったりする流れがないように閉じられている。チェックバルブ(21)と駆動ロッドの上側端部は図12aと同じである。
再生器駆動ロッドを吸気流れの手段として用いることは、図3のエンジンに適用されるときに特に有効である。この場合において、駆動ロッドを通る流れを、吸気バルブを通る流れの全てまたは一部と置き換えることができる。駆動ロッドが吸気流れ通路のみを形成する場合には、図3に示されている吸気バルブは取り除かれる。再生器は吸気および排気工程にわたってシリンダ上に位置するので、シリンダの中央および上部に入る流れと底部の周辺で出る流れを有することによって行なわれる掃気は優れたものである。さらに、掃気を促進するために、ベーンおよび別の流れの分散または回転装置を所望であれば駆動ロッド内に取り付けることができる、
再生器は全シリンダ内容積部にわたって掃気できることが重要である。再生気が通過できない領域がシリンダ内に存在する場合には、作動流体の一部を再生加熱および冷却工程から“隠す”ことができる。これらの領域に収納されている圧縮作動流体を再生可能に加熱し、これらの領域内に収納されている加熱排気流体は、再生器によって得られる熱エネルギーを有することができない。
バルブを備えた従来のコールドピストン再生エンジンはこれららのバルブをシリンダに接続された通路に配置してきた。これらの通路は作動流体の一部を隠す。従って、これらの通路の大きさを最小にすることが熱望される。このことを行う一つの方法は、バルブが閉じられているときシリンダ壁に埋め込まれるようにバルブを取り付けることである。埋め込みすることは、バルブがシリンダの内壁の形状に完全に一致することを確実にし、これによりバルブとシリンダ間の流れ通路の容積をゼロにすることを意味する。
完全な埋込み取り付けは最終的な目的であり、これからのいくらかのずれは、最小の性能を失うことで受け入れることができる。例えば、平坦な底部で丸いポペットバルブを用いるために、バリブを収納して着座させる平坦な領域をシリンダの内壁に形成できる。これは、再生器によって掃気されることのないわずかに小さな領域のみを形成する。シリンダ壁に埋め込み式バルブ、すなわち上述したようにほぼ埋め込まれたバルブは、埋め込まれている、または、ほぼ、埋め込まれているといわれる。本実施例の目的において、これらの2つの記載は同じ意味を有する。
シリンダ壁内のポートまたは開口または環状スリーブは、また埋め込み式バルブとして有効に作用し、これらのバルブは作動流体を再生器から隠す容積を形成しない。
シリンダ壁内のバルブは、ピストン面またはピストンリングが、バルブの上を通っても、または通らないように配置すればよい。もちろん、バルブのタイミングは、バルブが開いたときピストンがバルブに作用しないようにバルブが配置されている場合には、特に重要である。シリンダから外方向に開くバルブを用いることも可能である。最後に、いかなるエンジンのバルブにも、従来のまたは油圧式リフターおよびローカーアーム、様々なタイミングを形成するバルブ機構(エンジン速度または荷重の関数として)、および電子機械的(ソレノイド作動式)機構を含む様々な機構によって作動できる。
バルブ開口オーバラップ、再生気加熱行程および運動、再生冷却行程および再生冷却行程タイミングおよび運動は、図13から16に示した作動シーケンスに含まれている。作動シーケンス%図4−9とは異なり、これらのエンジンは、有効膨張比とは実質的に異なる有効圧縮比を有するものではない。
図13のa−iは、4行程サイクルに関するクールピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表している。示されているエンジンは、主な構成要素だけしか示していないが、図1と同じである。これらは、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、吸気バルブ(6)、排気バルブ(7)、再生器(8)、再生器駆動ロッド(9)および燃料噴射器(10)である。
シーケンスは、ピストンが下死点の近くにあり、再生器がシリンダヘッドに近接しており、吸気バルブが閉じており、排気バルブがちょうど開いた状態で開始する(a)。ついで、ピストンは上死点位置に動き、排気行程を実施し、消費した排気流体が排気バルブから出されるようになる。排気行程の終了まじかに吸気バルブが開く(b)。次いで、ピストンは、吸気行程において上死点位置から離れるように動く。排気バルブは閉じて(c)、次いで、ピストンが下死点位置にまで動き、これにより吸気行程を終了して、新鮮な作動流体をシリンダに導く。ピストンの次に続く圧縮行程の早い時期の間、吸気バルブは開いたままである(d)。可能な限り作動流体がシリンダに入るのに十分に長い時間の間、吸気バルブは開いたままである。作動流体が吸気バルブから戻されるまでバルブが開いたままではない(図7に示したエンジンの作動のように)。
次いで、吸気バルブは閉じて、ピストンは残りの圧縮行程を実施するように進む(e)。この圧縮行程の終了直前に、再生器は再生加熱行程においてシリンダヘッドから離れてピストンの方向に動き始める。ピストンが圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が動いている再生器とシリンダヘッドの間の空間に噴射される(g)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はピストンの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが常に加熱容積部の方向であり燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の地点の間、再生器はピストンに追いつき、ピストンとともに動く(h)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると再生器は方向を逆転し再生冷却行程を行うようにシリンダヘッドの方向に戻り始める(i)。再生器は、ピスンが下死点位置に達し、排気バルブが開くとき、冷却行程を終了する。これで作動サイクルが終了する。
図14のa−iは、4行程サイクルに関して作動するホットピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。示されたエンジンは図2と同じであるが主な部分だけ示す。
作動サイクルは、ピストンがその下死点位置にあり、再生器がピストンに近接しており、吸気バルブが閉じて排気バルブがちょうど開いた状態で開始される(a)。次いでピストンは上死点位置にまで動き、これにより排気行程を実施して、消費した作動流体がシリンダから排出される。再生器はこの排気行程にわたってピストンに近接したままである。排気行程の終了まじかにおいて、吸気バルブが開く(b)。次いで、ピストンがその上死点から下死点位置にまで動き、これにより吸気行程を実施し、新鮮な作動流体を吸気バルブを通ってシリンダに導入する。この吸気行程のほぼ開始時に、排気バルブが閉じられる(c)。再生器はこの吸気行程にわたってピストンに近接したままである。ピストンの次の圧縮行程の早い時期の間、吸気バルブは開いたままである(d)。可能なかぎりの作動流体がシリンダに入るのに十分な時間の間、吸気バルブは開いたままである。作動流体が吸気バルブから押し戻されるのに十分な時間の間、吸気バルブを開いたままにするものではない(図9に示したエンジン作動の場合のように)。
次いで、吸気バルブは閉じて、ピストンは残りの圧縮行程を実施するように進む(e)。再生器はピストンに近接したままである。この圧縮行程が完了する直前に、再生器は、再生加熱行程においてピストンから離れてシリンダヘッドに動き始める(f)。ピストンが圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とピストンの間の空間に噴射される(g)。燃料が作動流体と反応して、膨張行程を続けていると、再生器はシリンダヘッドの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが常に加熱容積部の方向であり、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間、再生器はシリンダヘッドに達し、これに近接したままである(h)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると、再生器は、再生冷却行程においてピストンの方向に戻り始める(i)。ピストンが下死点位置に近接し、排気バルブが開くと、再生器はこの冷却行程を終了し、ピストンに達してピストンに近接したままである。
図15のa−iは、2行程サイクルに関して作動するクールピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。このエンジンの主な部分のみを示す。これらの部分は、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、吸気ポート(6)、排気ポート(7)、再生器(8)、再生器駆動ロッド(9)、および燃料噴射器(10)である。吸気および排気ポートのいずれか、または双方は、バルブと置き換えることができ、バルブの開閉時間により融通性をもたらす。吸気ポートは排気ポートよりもわずかに下側であり、排気ポートが吸気ポートの前にピストンによってカバーされないようになっている。
このシーケンスは、ピストンが下死点位置の近くにあり、再生器がシリンダヘッドに近接しており、吸排気ポートはちょうど開いた状態で開始される(a)。ピストンが下死点位置に、またはこれに近接しており、新鮮な作動流体が吸気ポートを通って流れ、消費した作動流体を排気ポートから排出する。次いで、このピストンは、吸気ポート、次に排気ポート(c)をカバーするシリンダヘッドの方向に動き始める(b)。次いで、ピストンはその上死点位置に動き、これにより圧縮行程を実施し、シリンダ内に収納された作動流体を圧縮する。この圧縮行程の終了直前に、再生器が再生加熱行程においてシリンダヘッドからピストンの方向に動き始める(d)。ピストンがその圧縮行程を終了し、膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とシリンダヘッドの間の空間に噴射される(e)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はピストンの方向に動き続ける。再生加熱行程のこの部分の運動とタイミングは、再生器を通る流れが加熱容積部の方向に常に向いており、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間に、再生器がピストンに追いつき、ピストンとともに動き続ける(g)。ピストンの膨張行程が約半分終了すると、再生器はその方向を逆転させ、再生冷却行程においてシリンダヘッドに戻り始める(h)。再生器は、ピストンがその下死点位置に近づくと冷却行程を終了する。これで作動サイクルが終了する。
図16は、2行程について作動するホットピストン再生エンジンの作動のシーケンスを表す。エンジンは図15に示したものと同一である。
作動サイクルは、ピストンがその下死点位置にあり、再生器がピストンに近接しており、吸気および排気ポートは丁度開いた状態で開始する(a)。ピストンと再生器はシリンダヘッドの方向に動き、これにより吸気ポートをカバーして、これに続き排気ポートをカバーする(b−c)。次いで、ピストンはその上死点位置(d)に動き、これにより残りの圧縮行程を実施する。再生器はピストンに近接したままである。この圧縮行程の終了直前に、再生器は、再生加熱行程においてピストンから離れて、シリンダヘッドの方向に動き始める(e)。ピストンがその圧縮行程を終了し膨張行程を開始すると、燃料が、動く再生器とピストンとの間の空間に噴射される(f)。燃料が作動流体と反応しピストンが膨張行程を続けると、再生器はシリンダヘッドの方向に動き始める。再生加熱行程の運動とタイミングは、再生器を通る流れが、加熱容積部の方向に常に向いており、燃料が反応するようになっている。ピストンの膨張行程の最初の1/4の間、再生器がシリンダヘッドに達し、これに近接したままである。ピストンの膨張行程がほぼ半分終了すると、再生器は再生冷却行程においてピストンの方向に戻り始める(g)。再生器は、ピストンが下死点位置(h)に達すると、この冷却行程を終了しピストンに達してピストンに近接したままである。これで作業サイクルが終了する。
再生器は、優れた触媒支持構造を備える。これの表面積は大きく、作動流体のほぼ全部が各サイクルの間2度これを通過する。これは、多くの化学反応に好ましい高温である。触媒は、窒素酸化物のような環境汚染源を破壊することを促進するのに用いられ、また燃焼を促進したり開始するのにも用いられる。例えば、触媒は再生器上にまたは中に配置でき、これを通る流体の反応性を高めることができる。流体が燃料に含まれている場合には、反応性が増大することによって燃料を点火できる。あるいは、反応性の増大によって予備的な化学反応が発生し、作動流体が加熱容積部に流れるとき作動流体の点火、すなわち反応を高める。触媒は、また微粒子物質(例えば、すす)、あるいは再生器を通過する不完全に反応した燃料生成物の反応を促進するのに用いることができる。適当な触媒の前に炭化すすと再生器内に捕らえられた炭化水素も窒素の酸化物に対する減少剤として用いることができる。
触媒は、再生器の全表面または一部の表面上に堆積できる。高温で最高に機能する触媒を、再生器のより高温側部分内に配置でき、低温であることが必要なものは、低温側の部分内に配置できる。再生器前後の広い範囲の温度度合いによって温度変更の型を選択できる。触媒コーティングを有する再生器は燃焼を促進したり、遅らせたり(双方とも局部的および現在の温度に依存する)、または環境汚染物の破壊を促進(例えば窒素酸化物、不燃焼炭化物およびすす)するのに用いることができる。
再生器は、作動流体が流れて、エネルギーを再生器で交換する多孔性の材料である。作動流体が通過する再生器内の小さな開口を均一な形状と大きさにでき(ハチの巣状、またはスクリーン状)、または様々な形状および大きさ(網目フォームから形成されたセラミックフォームにおけるような)にできる。開口が均一な大きさ、または形状でない場合には、一般的に、所定の平均的な値が与えられる。例えば、不均一な大きさの孔を有する網状プラスチックフォームおよび誘導体は、インチあたりの孔の数、すなわち平均値で一般的に記録される。全ての孔はこの大きさではなく、1インチのフォームあたり平均で80個の孔が40個の孔よりも小さい流れ通路を有することになる。このように、再生器材料が均一な大きさで形状の流れ通路を有しているか、または不均一な大きさおよび形状を有していようと、このような各材料には平均すなわち流れ通路の大きさを表す値が与えられる。以下の記述において、流れ通路の大きさに関しては材料の平均流れ通路大きさとする。
再生器の設計をするとき、第1の方法は、再生器の加熱伝達および蓄積媒体に対して単一の材料を用いることである。しかしながら、以下の例において示されているように異なる再生器材料を用いるのには多くの理由がある。
全ての熱交換器に関して、急速に熱伝達を行なうように高温表面領域と、圧力低下を最小にするために大きな流れ通路を有することが有効である。不運なことには、大きな流れ通路のために、一般的に低温表面領域となる。温度がより低い再生器の領域において、ガスが流れる密度はより小さくなる。このことは、これらの冷たい領域におけるガスの速度がより遅くなり、これらの領域前後の圧力降下が極めて小さくなることを意味する。この現象は、熱伝達表面積を最小にし、圧力降下を最高にする再生器を構成するのに用いることができる。再生器が、冷たい領域においてより小さい大きさの流れ通路で構成されている場合には、圧力降下は最小となり、表面積は最大となる。
異なる平均大きさの流れ通路を有する材料を用いる別の利点は、微粒子(例えば、すす)がより小さい流れ通路の領域に急速に捕らえられることである。より小さい流れ通路材料を、有効な熱状態を備えた領域に配置することによってこれらの微粒子をその領域内で獲得して含むことが可能となる。これらの領域における温度が伝道されて微粒子の燃焼を行なう、すなわち獲得された微粒子と好ましい化学反応を促進する再生器の内面に触媒を用いるからである。
例として、図17aは、この原則に基づいた再生器の設計を表す。再生器(30)の上側領域は再生器の高温側上にある。上側領域は、より小さい流れ通路を有する材料(例えば、1インチのシリコン窒化物フォームあたり100個の孔)からなる。再生器の残り(31)はより大きい流れ通路を備えた材料(例えば、1インチの炭化シリコンフォームあたり70個の孔)からなる。ほとんどの燃焼で生成されたすすの粒子は、温度が最も高い高温側の領域より小さい流れ通路内に捕らえられる。このことは、すすの酸化を促進し、このためにエンジンからのすすのエミッションが減少されることになる。
より小さい通路は、再生器材料においてより大きな構造的な強度を与えることが多い。小さい流れ通路の領域は、再生器全体の堅さと強度を改善するように構成できる。例えば、再生器は、再生器の中心から外方向に延びるより小さい流れ通路フォームからなる狭い、半径方向のアームで構成できる。
最後に、再生加熱行程の間、再生器を通る流れは燃焼に有効な効果を与える。この効果は、再生器が燃焼の直前にまた燃焼中に、再生器が燃焼領域において作り出す乱流のためである。再生器は、また燃焼領域に入る作動流体に実質的なうずを形成するように構成できる。これは、再生器の異なる領域に流れ通路の大きさを変えることによってなされる。この趣旨は、所定の領域において再生器を通るより大きな流れを与え、別の領域においてはより小さな流れを与えることである。このために、燃焼領域により大きな乱流と渦ができることになる。
図17bは、この概念がいかに実際的に適用できるかを表している。再生器(30)の左側半分は、より小さい流れ通路を有する材料から構成される。再生器加熱行程の間、再生器を通る流れが、左側よりも右側の方が大きく、そのために加熱容積部にうず運動が発生することになる。
再生器に使用するのに新しい種類の材料が相当の将来性をもって提供される。“セラミックフォーム”といわれるこれらの材料は、一般的な、網状(開いたセル)プラスチック(例えば、ポリウレタン)フォームから形成され、これらの一般的な形状を有する。プラチックフォームは、炭素フォームと換えられて、セラミック、耐熱性、または他の材料でコーティングされる。次いで、炭素フォームが取り除かれ、セラミックのみを残す。コーティング工程は、セラミックスラリー堆積および化学的蒸気堆積または浸透を含むいくつかの方法で達成できる。この最終的な目的は、多量の不均一な、非整列の、相互に接続されたセルまたは固体材料の間膜によって分離されている孔からなる骨格を備えたセラミックフォームである。これらのセラミックフォームは、一般的な耐熱性金属、炭化けい素、炭化シリンコンおよびセラミックを含む多くの異なる材料から形成できる。このような最小の構造は、特に駆動ロッドに取り付けられるセラミックフォームを支持するのに必要である。
再生エンジンは、サイクルにおける適当な時間に再生器を動かすための駆動手段を必要とする。再生器は、シリンダヘッドまたはピストンを通る一つかそれ以上の駆動ロッドによって動かすことができる。これらのロッドの動きは、カム、チェーン(例えばタイミングチェーン)、ギア、リンケージ、油圧アクチュエータ、電気ソレノイド、これらの組合せまたは別の一般的な手段によって制御できる。
“ロンビック駆動”といわれるクランク装置のようなディスプレーサを動かすための、スターリングエンジンに用いられる手段のいずれも(所定のスターリングエンジンにおいて、ディスプレーサが再生器である)再生器駆動ロッドを動かすのに用いることができる。
再生器は、ピストンとシリンダ壁との間を通る円筒形環状スリーブによって動かしてもよい。スリーブの運動はカム、チェーン、ギア、リンケージ、油圧アクチュエータまたは電気ソレノイド、これらの組合せまたは一般的な手段によって制御できる。
再生器は、以下空気式再生リフターといわれる装置によって完全にまたは部分的に動かされる。空気圧リフターはシリンダ内の圧力と、再生器を動かして位置決めするのに必要とされる力の全て、または一部を与えるように再生器に作用する動的力を活用する。クールピストン再生エンジンにおいて、再生器は、ピストンに向かって下方に動く(再生加熱行程)および戻り行程(再生冷却行程)を除いては、シリンダヘッドに近接したままである。同様に、ホットピストンエンジン内の再生器はシリンダヘッドへの動きと戻りを除けば、ピストンに近接したままである。この空気式リフターは、再生器がこれらの動きを達成するときはどんなときでも、シリンダ圧は最高であるという事実に基づく。
空気式再生器リフターのこの方法を適用できる多くの手段がある。しかしながら、全てはここに記載する原則に基づく。空気式リフターの1実施例の基本的な特徴が図18に述べられている。図1と3のいずれかのエンジンに示されているようなクールピストン形再生エンジンにおいて、図4、6、7、13および15に示されているような本明細書に述べるクールピストン作動シーケンスのいずれかで作動する。圧縮および膨張行程のみが示されている。また、空気式リフターの作動シーケンスを示すのに必要とされる構成部品のみを示す。
全ての別の作動エンジンのように、このエンジンは、シリンダヘッド(2)によって一端が閉じられるシリンダ(1)内のピストン(3)(本明細書では大型の、すなわち主ピストンとする)を有する。このピストンは、一端(41)においてクランクケースに対して開いており、他端(42)においてシリンダの内側に対して開いている、小さな内部シリンダ(40)を含む。この内部シリンダの直径は、明確にするために図18において誇張されている。この小さな内部シリンダには、小さな、すなわち副ピストン(43)があり、これはピストン面における開口(42)を通って小さなシリンダを貫通する再生器駆動ロッド(9)に取り付けられている。ばね(44)が小ピストンに対する一端に、また小シリンダの上側に対して他端に取り付けられている。ばねが小ピストンに上方に十分な力を与えて、大ピストンがその下死点にあるときにシリンダの上側に再生器を維持する。小ピストン、駆動ロッド、および再生器(8)は、組み合わされたばねの力と、シリンダとクランクケースの間の圧力差を組み合わせることによって動く。複数のばねと、ばね形の装置が必要とされるか、または差の運動を制御するように有効に用いることができる。空気式リフターの概念の以下の記述では、単一のばねのみを仮定する。これは、明白にし、簡潔にするためになされる。
バネ(44)は内部シリンダ(40)の上側部分と小ピストン(43)の上側表面に取り付けられている。圧縮行程の開始時(a)に(2行程エンジンまたは4行程エンジンのいずれかにおいて)、大ピストンは下死点にある。そのとき、ばねは、ほぼ弛緩した状態であるが、再生器をシリンダの上部に維持するのに十分な張力を備えている。圧縮工程(aからb)の間、大ピストンは上昇し、ばねを伸張させ、再生器をシリンダヘッドに対してしっかり保持する。圧縮が生じるにつれ、シリンダ圧が上昇する。大ピストンが上死点位置に近接すると、圧力はばね張力にまさるのに十分な大きさとなり、内部ピストンを下方に下げる。小ピストンは、再生器にしっかりと取り付けるられので、再生器は主ピストン(bからc)の方向に動く。再生器が動くと、作動流体が再生器を通り加熱され、このためにシリンダ圧が上昇する。このように小ピストンは、主ピストン内の最下位点の方向に押されて、再生器は、大ピストンに対して保持され、極めてこれに近接する。再生器がピストンの方向に動くと、燃料が噴射され、解放された燃焼熱は圧力をさらに高める。膨張工程のほぼ半分の地点の間(cからd)、圧力は、再生器を大ピストンに近接するように維持するのに十分な大きさのままである。この点において、ばねの引張力は減少した圧力を越え、内部ピストンと再生器は上方に押される。再生器が上に上がると(e)、ガスの熱エネルギーは、再生器に伝達される。これは、シリンダ圧を減少させる、これにより、シリンダが上部に達するまで再生器をより高く上昇させる。
この空気式リフターを用いて再生器を動かすための方法は様々である。小ピストンの下側にばねを用い、引張ではなく圧縮を実施することも有効である。再生器の動きを最適にするために、また再生器が急速に加速したり停止することを防ぐために、内部ピストンまたは再生器駆動ロッドに作用する異なる大きさまたは設計のいくつかのばねを有することが好ましいし、また必要である。油圧式および空気式バネを用いてもよい。内部シリンダの直径と、小ピストンの圧力の大きさを制御するのに用いてもよく、ここでは再生器の動きを制御するのに用いる。また、大シリンダと小シリンダとの間の開口は、よりゆっくりと再生器に応答するために、圧力をゆっくりと小シリンダに“出す”ように設計できる。同様に、小シリンダとクランクケースの間の開口は、小ピストンの下方の運動を後退させるためのオリフィスとして用いることができる。
小シリンダの容積は、圧縮比に深刻な影響をおよぼさないように、また作動流体のヒートシンクとして用いるように可能なかぎり小さくしなければならない。再生器の動きは、空気力学的力がまさること(再生器にわたる圧力降下)と再生器の慣性のみを必要とし、これらの力は比較的小さいので、極めて小さな内部シリンダが適当とされる。実際、駆動ロッドはシリンダ圧に基づいて作用すると、再生器駆動ロッドを小ピストンとして使用することも可能である。このアプローチは、小シリンダ内のガス容積を最小にするので好ましい。
空気式リフターの概念は、小シリンダとピストンがシリンダヘッドに配置された状態で適用できる。次いで、再生器駆動ロッドはヘッドを貫通して延びており、再生器の上側に取り付けられる。
図19は、空気式リフターの別の実施例を表す。これはシリンダヘッドを通る再生器駆動ロッドを有するホットピストンエンジンに適用される。エンジンの主な構成要素のみを示す。すなわち、シリンダ(1)、シリンダヘッド(2)、ピストン(3)、再生器(8)および再生器駆動ロッド(9)である。シリンダヘッドは、これを貫通する孔(50)を有しており再生器駆動ロッドを収納する。この孔は、共通のO−リングまたは金属ピストンリングのようなシール装置を有しており、シリンダからの漏れを防ぐようになっている。ロッドは、この駆動ロッドに取り付けられている小型のフランジ(51)に対して圧縮するばね(52)によって作用する。このばねは、常に圧縮される、すなわち全再生器の位置においてロッドに下方の力をかける。このように、ばねは常に再生器をピストンに近接するようにし、シリンダの圧力がばねの力に対向するようになっている。圧縮工程の最終部分と、膨張工程の半分の間、シリンダ内の圧力がばねの力よりも相当に大きくなる。この力は再生器をシリンダヘッドに対して上方に押し上げる。空気式再生器リフターのの変更例について、小さな内部ピストンを再生器駆動ロッドと取り換えた。より大きな圧力が必要である場合には、駆動ロッドに取り付けられており、主シリンダヘッド(2)内の小シリンダ内を動く小ピストンを加えることができる。
空気式リフターを使用することによって、いくつかの重要な利点を得ることができる。再生器を動かすための外部機構が必要ではないので、エンジンをより小型化できる。再生器を動かすのに、クランクシャフトから動力を取り出すのではなく、直接圧力を用いる。最も重要なことは、シリンダヘッドまたはピストンのいずれかから再生器を動かし位置決めするための手段を設けることである。加熱容積部から取り除かれるべき部品をシールし動かすことができるので、これは有効である。
空気式再生器リフターは可動再生器を用いるいかなる種類の再生式エンジンにも適用できる。これには、2行程、4行程エンジン、ホットおよびクールピストン再生式エンジン、直接型または間接型燃料噴射を用いる、または予め混合されている混合気(キャブレターまたは吸気マニホルド内の噴射)を利用するエンジン、およびスーパチャージ、ターボチャージまたは自然に吸引されるエンジンを含む。
従来のディーゼルエンジンに関する荷重が減少すると、空燃費が増大し、ピーク温度が下がる。この同じアプローチが、極めて低荷重で作動する再生器エンジンに適用される場合には、エンジン効率が低減するように温度が下がる。温度が低下しすぎることを防ぐために、ガソリンエンジンで通常なされているように、エンジンを通る空気の流れを減少させ、より小さい空燃費を維持することによってエンジンの動力を減少させることが有益である。これは、バルブまたは吸気マニホルドにおいて別の流れ絞り装置を用いることによってシリンダに入る作動流体の流れを減少させる(すなわち、絞る)ことによって行なうことができる。
図1のエンジン上のこのような絞り装置が、図20に示されている。より優れた吸気マニホルド(13)が示されている。吸気マニホルド内には、所定位置に動かされるときシリンダへの空気の流れを部分的にブロックし、別の場所ではわずかに妨害物となる装置(50)がある。このアプローチはいかなる再生エンジンにも適用できる。
より軽い荷重でシリンダへの作動流体を減少させる別のアプローチは、吸気行程の間に早期に吸気バルブを閉じる、すなわち、圧縮行程の遅れて吸気バルブを閉じることである。これは可変なバルブタイミングを有するエンジンに必要とされる。
再生エンジンの荷重または速度が変化すると、再生器の運動(すなわち、再生加熱および冷却行程、およびそれらの速度)を変えることが熱力学的に有効である。これは、可変バルブタイミングを用いてなされる。このような方法の一つでは、バルブの開閉運動を行なうための電子機械的装置を用いる。この種の装置のより大型の変更例が、可変再生運動を行なうのに有効に適用できる。可変バルブタイミングを提供する別の装置は、同様に再生器の運動を制御するのに適用できる。最後に、チェーン、ギア、カム、レバーおよび別の部品を用いる別の一般的な機構可変再生運動を行なうのに用いることができる。
燃料噴射前に発生する再生加熱のために、再生エンジンにおける燃焼の開始時の作動流体の温度は、同じ空燃比で作動する従来のエンジンにおける温度よりも高い。そのため、燃焼の間発生するシリンダ内のピーク作動流体温度も、かなり上昇する。この高温では、エンジン金属構造および部品を保護するために、内部面に低導電性材料およびコーティング材を用いることを必要とする。これらの熱バリヤによって、より高温のエンジン作動温度に対応するより大きな熱の損失を減少させる。これらの熱バリヤは、セラミックコーティング、または一体形プレートまたはシート、あるいは高温に耐えることができ、熱導電性の低い材料から形成される別の構造からなる。さらに、高温の潤滑材、ピストンリングおよび燃料噴射器を必要とできる。これらの熱バリヤおよび別の高温部品を用いるために再生センジンは水冷却システム(ラジエター、水ポンプ等)を必要としない。与えられた断熱のレベルに従って、再生エンジンを周囲の空気および油によって十分に冷却してもよい。このように、優れた再生エンジンはこれらの熱バリヤを用いる、低熱拒否(Low Heat Rejection)エンジンである。
本実施例における再生エンジンの全ての記載は、ピストンを含む単一のシリンダからなる単一の作業ユニットである。殆どの再生エンジンはこれらの多くを有する。
全ての再生エンジンは、新鮮な作動流体を導き、消費した作動流体をシリンダの冷却容積部から取り除くための手段を有していなければならない。これらの吸気および排気手段は、ポペットバルブ(図示するように)、回転式バルブ、摺動バルブ、ちょう形バルブ、ボールバルブ、スリーブバルブ、または適当な流れおよび作動特性を与える別の種類のバルブを備えていればよい。これらのバルブは、図1に示すように閉じたときシリンダ壁と同一の高さであり、シリンダから所定の短距離だけ離れた位置することができ、またポートまたは通路を介してシリンダに接続できる。これらの吸気および排気手段は、小型の2行程エンジン、おいて一般的になされるように、シリンダ内に配置されており、ピストンによってカバーされたりカバーされないことによって開閉される単純な開口(ポートいわれる)である。しかしながら、これらの吸気および排気手段は、作動流体を冷却容積部から出し入れできるように構成されて配置されていなればならない。単一の吸気または排気手段のみが示されているが、複数の手段を適用できる。例えば、図1における2つか3つ以上の吸気バルブがある。
バルブは、瞬間的に開いたり閉じたりできない。このように所定の時間をバルブの開閉に当てなければならない。また、より高速のエンジン速度で、クランク角を基本にして流量についてシリンダを出入りする流れは、より低速のエンジン速度の場合と較べてより遅い。従来のエンジンにおいて最大容積効率は、バルブを早期に開いて遅れて閉じることによってより高速で得られる。バルブタイミングは一つのエンジン速度に対して設定され(あるいは、時として可変バルブタイミングに関して2つ設定される)、あるいは別の速度における作動は最適なタイミングよりも小さい状態で実施されなければならない。この同じアプローチが再生エンジンに適用できる。このため、本実施例で示すバルブ開閉時間は、極めて多くの変更例があることを理解すればわかる。吸気または排気手段が、“実施的に”開いたり、閉じたりすると言われるとき、吸気または排気手段は、完全に開いたりまたはほぼ開いた、またはほぼ閉じたり閉じていることを、それぞれ意味する。吸気または排気手段が開閉を終了する時間の前または後にいくらかの時間があることがわかる。
この記述を通して、再生器は、薄い円筒形のディスクであることがわかる。平坦な面のピストンと平坦なシリンダヘッドを有するエンジンに関して、シリンダ内の全内容積を再生器によって掃気できるので、これは理想的な形状である。しかしながら、平坦ではない表面を有するピストンおよびヘッドを用いることも有効である。例えば、シリンダヘッドは、バルブにより空間を与えるために勾配になった面を有していることが多い。再生器が内シリンダ容積全体にわたって完全に掃気するために、再生器はピストンとシリンダヘッドの輪郭に密接に整合するように構成されていなればならない。すなわち、再生器の上部は、最低の間隙のみを有するシリンダヘッドに適合し、底部は最低の間隙のみを有してピストン面に適合しなければならない。
特定の作動条件と別の例では、これらの工程の事象のタイミングにおいて最低の変更を行なうことがある。
“燃料を導く手段”は、燃料が加熱容積部に入る全ての手段を含む。これは、加熱容積部、冷却容積部、これに続く再生器を通る燃料通路とに直接噴射を行って、作動流体がシリンダおよび再生器を通る燃料通路と、加熱容積部に入る前に燃料を作動流体に導くことを含む。
大きな点火の遅れを有するいくらかの燃料(例えば、プロパンおよび天然ガスのようなより軽量の炭化水素)と、所定の作動状況(例えば、開始、アイドリング、軽荷重)に関して、スパークプラグまたはグロープラグのような別の点火源を形成することが必要である。
全ての再生エンジンは、増圧した吸気圧を有するかまたは自然に吸引される。また、本明細書に表した全ての再生エンジンは、再生器とシリンダ壁との間で流れ通路を通って加熱および冷却容積部の間の漏れを防ぐためのシール装置を有さない再生器を用いる。再生器とシリンダ壁との間が合理的に密接性が維持されているかぎり、このような装置は必要とされないと考えられる。しかしながら、再生器の周辺に所定のシール手段を設けることが有効であることがわかる。このようなシール手段は、従来のピストンリング、ラビリンスシールまたは別の通常の種類のものとできる。
多くの変更例と変形例が上述の教唆からわかる。このように、本発明は特定に記載されたもの以外でも実施できることがわかる。
Claims (5)
- 複数の同じ作業ユニットを有する内燃、往復動形再生エンンジンにおいて、
前記各作業ユニットは、
a) 一端がシリンダヘッド(2)によって閉鎖されており、往復運動可能に動き動力出力軸(4)に接続されている可動ピストン(3)を含むシリンダ(1)と、
b) 各作動サイクル中、所定の時間の間に新鮮な作動流体を前記シリンダ(1)に流すことのできる吸気手段(6)と、
c) 各作動サイクル中、第2の所定の時間の間に排気流体の流れを前記シリンダ(1)から出すことのできる排気手段(7)と、
d) 前記シリンダ(1)内で前記ピストン(3)と前記シリンダヘッド(2)との間に配置されており、前記ピストン(3)と前記シリンダヘッド(2)との間を可動な交番流式熱交換器である熱再生器(8)と、
を備えており、
前記再生器(8)の動きは、前記ピストン(3)の圧縮行程の最後の1/4の間に開始し、該ピストン(3)の膨張行程の最初の1/4の間に終了する再生加熱行程を含んでおり、該再生加熱行程は、この再生加熱行程にわたって、作動流体を前記再生器(8)の高温表面を通って前記再生器(8)から加熱容積部に最大限に流し続けるのに十分な速度とタイミングであり、
前記再生器(8)の動きは、前記ピストン(3)の膨張行程の半分の間に開始し前記排気手段(7)が開く前か、または開いたわずか後に終了する再生冷却行程を含んでおり、
e) 前記エンジンの作動サイクル中、別の所定の時間の間、前記再生器を動かす手段(9)と、
f) 燃料を前記シリンダに導く手段(10)と、
が設けられている内燃往復動形再生エンジン。 - 前記吸気手段(6)は前記排気手段(7)が閉じる前に開くことを特徴とする請求項1に記載の内燃エンジン。
- 4行程サイクルにおいて、吸気および排気手段(6、7)が再生器(8)とピストン(3)との間のシリンダ内容積と連通している請求項1に記載の内燃再生式エンジンを作動する方法において、
a) ピストン(3)が下死点近くにあり、吸気手段(6)が閉じており、再生器(8)がシリンダヘッド(2)に近接するとき、排気手段(7)を開き、
b) 前記ピストン(3)を前記シリンダヘッド(2)に近接した上死点に動かして、排気行程を実施し、新鮮な作動流体を前記シリンダ(1)から排出し、
c) 前記ピストン(3)が前記排気行程の終了に近づくと前記吸気手段(6)を開き、
d) 前記ピストン(3)をこれの上死点から下死点に動かし、吸気行程を実施して新鮮な作動流体を前記シリンダ(1)に導入し、
e) 前記吸気行程の早い時期の間に、前記排気手段(7)を閉じ、
f) 前記ピストン(3)を前記シリンダヘッド(2)の方向に動かし、圧縮行程を実施して前記シリンダ(1)内に獲得された前記作動流体が圧縮され、
g) 前記圧縮行程の半分の間に前記吸気手段(6)を閉じ、
h) 前記ピストン(3)が前記圧縮行程を終了し、該ピストン(3)の膨張行程において前記シリンダヘッド(2)から離れるように動き始めると、該シリンダヘッド(2)に近接した位置から前記ピストン(3)の方に前記再生器(8)を動かし、該再生器(8)の離れる動きは、前記ピストン(3)の圧縮行程の最後の1/4の間に開始され、前記再生器(8)が前記ピストン(3)に達すると、前記ピストン(3)の次の膨張行程の最初の1/4の間に終了し、さらに前記再生器(8)の動きは、該再生器(8)の動きにわたって、作動流体を前記再生器(8)の高温表面を通って該再生器(8)から最大限に流し続けるのに十分な速度とタイミングであり、
i) 前記ピストン(3)は圧縮行程を終了し、膨張行程において前記シリンダヘッド(2)から離れるように動き始める間、前記動いている再生器(8)と前記シリンダヘッド(2)との間の間隙に燃料を導き、
j) 前記再生器(8)と前記ピストン(3)を同じ速度で前記シリンダヘッド(2)から離れるようにともに動かし、
k) 前記ピストン(3)の膨張行程の中間部分の間に前記再生器(8)の動きを遅くし、前記再生器(8)と前記ピストン(3)との間の距離を大きくして、前記再生器(8)を前記シリンダヘッド(2)の方向に動かし始め、
l) 前記再生器(8)が前記シリンダヘッド(2)に近接する位置に動く間、前記ピストン(3)を下死点の方向に動かし続ける、
段階からなる方法。 - 4行程サイクルにおいて、吸気および排気手段(6、7)が再生器(8)とシリンダヘッド(2)との間のシリンダ内容積部と連通している請求項1に記載の内燃再生式エンジンを作動させる方法において、
a) ピストン(3)が下死点近くにあり、吸気手段(6)が閉じて再生器(8)がピストン(3)に近接するとき、前記排気手段(7)を開き、
b) 前記ピストン(3)と再生器(8)をともに前記シリンダヘッド(2)の方向に動かし、排気行程を実施して消費した作動流体を前記シリンダ(1)から排出し、
c) 前記ピストン(3)と前記再生器(8)が前記排気行程の終了に近づくと前記吸気手段(6)を開き、
d) 前記排気手段(7)を閉じ、
e) 前記ピストン(3)をこれの上死点から下死点の近くまで動かし、前記再生器(8)を前記ピストン(3)に近い状態に維持し、吸気行程を実施して新鮮な作動流体を前記シリンダ(1)に導き、
f) 前記ピストン(3)と前記再生器(8)をともに前記シリンダヘッド(2)の方向に動かし、圧縮行程を実施して前記シリンダ(1)内に獲得された空気が圧縮され、
g) 前記圧縮行程の半分の間に前記吸気手段(6)を閉じ、
h) 前記ピストン(3)が前記圧縮行程を終了し、前記ピストン(3)の膨張行程において前記シリンダヘッド(2)から離れるように動き始めるとき、前記再生器(8)を前記ピストン(3)に近接する位置から離れるように前記シリンダヘッド(2)の方向に動かし、前記再生器(8)の動きは、前記ピストン(3)の圧縮行程の最後の1/4の間に開始され、前記再生器(8)が前記シリンダヘッド(2)に達すると、前記ピストン(3)の次の膨張行程の最初の1/4の間に終了し、さらに前記再生器(8)の動きは、該再生器(8)の動きにわたって作動流体を前記再生器(8)の高温表面を通って該再生器(8)から最大限に流し続けるのに十分な速度とタイミングであり、
i) 前記ピストン(3)が圧縮行程を終了し、前記ピストン(3)の膨張行程において前記シリンダヘッド(2)から離れるように動き始めるとき、前記動いている再生器(8)と前記ピストン(3)との間の間隙に燃料を噴射し、
j) 前記シリンダヘッド(2)に近接する位置から前記ピストン(3)に近接する位置まで前記再生器(8)を動かし、前記運動は、前記ピストン(3)の膨張行程の半分の間に開始し、前記ピストン(3)が、該ピストン(3)の膨張行程の終了まじかに下死点に近接するとき終了する、
段階からなる方法。 - 前記再生器(8)は、少なくとも部分的にセラミックフォームから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃エンジン。
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