JP3786736B2 - 動物プランクトンの連続培養方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、種苗生産過程における魚類および甲殻類等の初期餌料としての、ワムシ(シオミズツボワムシ)、ミジンコ、コペポーダ等の餌料用動物プランクトンの培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
栽培漁業の成否に影響を与える要因の1つに餌料生物の生産性がある。魚類および甲殻類等の栽培漁業における種苗生産時の初期餌料としては、一般的に動物プランクトンが使用されている。たとえば、ワムシ(シオミズツボワムシ)は栽培漁業における稚魚等の、初期種苗生産過程における有力な餌料生物であり、したがってワムシを効率的にかつ大量に生産することは、ワムシを餌料生物として用いる稚魚の種苗生産過程の成否に直接係わる重要な課題である。
【0003】
同様に、ミジンコの生産性の良否も、主として淡水魚の稚魚の種苗生産過程の成否に大きな影響を持つ。
従来のワムシ等の動物プランクトンの大量培養は、培養期間、接種量、給餌量などの培養条件を一定にして、最初の接種量から所定の密度にまで培養して、原則として中間で間引きを行うことなく収穫する種継ぎ法、すなわちバッチ法が主流であった。
【0004】
また、これの発展型の間引き法として、1日または数日置きに培養槽中のワムシの1部を収穫する方法も行われて来た。
しかしながら、これらのバッチ法や間引き法は、原則として培養期間中は培養液の大幅な入替えを行わないシステムであるため、以下にのべる様な欠点があり、培養条件の変化に起因する動物プランクトンの増殖不良や、急激に個体数の減少する問題点が指摘されていた。
【0005】
1)動物プランクトンの排泄物、残餌料などが残留して、水質環境が悪化する。
2)餌料が経時的に変化し、時間とともに餌料の栄養価が低下する。
【0006】
3)給餌の過不足が避けられず、培養時間の経過に対して初期は過剰気味に、後期は不足気味になる。
4)水温等の物理化学的条件の変動がある。
【0007】
5)培養液中の微生物等の生物的条件の変動がある。
等である。
以上の培養方法の持つ欠点を改善したものとして、特開平3−39021号公報にはワムシの連続培養方法が開示されている。この技術はワムシの培養水槽中に、所定の量の餌料を含む海水を定量的に供給する一方で、培養水槽内のワムシを定量的に収穫して、ワムシの個体数を一定に保ちつつ、ワムシを増殖させるという技術である。
【0008】
この方法によると、新鮮な培養水が培養水槽中に一定量、絶えず入ることになり、また、動物プランクトンの排泄物も絶えず水槽中から除かれることになるため、水槽内の水質、餌料、物理化学的、生物的条件を一定に保つことが、バッチ式に比較して容易である。また、水温の管理も比較的容易である。
【0009】
この連続培養方法においては、培養水槽内の動物プランクトンの密度を一定に保つことが、原則とされており、培養水槽内の動物プランクトンの個体数を一定に維持するために、動物プランクトンを含んだ培養水の排出量と同量の餌料混入海水(または、別個に培養水槽中に供給された餌料と濾過海水)が餌料供給ポンプにより送られ、動物プランクトンの密度が希釈される割合と、培養水槽内で動物プランクトンが増殖して、個体数が増加していく割合とが釣り合わなくてはならない。
【0010】
この連続培養方法は、安定して動物プランクトンが収穫できる画期的な方法であるが、なお以下のような問題点を有している。すなわち、動物プランクトンの増殖に影響を与える因子は、この連続培養方法による場合も、バッチ法に比較すると改善されているとは言えもちろん存在する。
【0011】
たとえば、培養水槽内で、有害な他の生物(原生動物)が、繁殖する可能性があり、動物プランクトンの個体数が減少する場合もある。また、増殖目的の動物プランクトンの餌料を捕食する原生動物が繁殖する可能性もある。バッチ法に比較して少なくなったとは言え、残存する老廃物が悪影響を与える可能性もある。
【0012】
従来はこの動物プランクトンの個体数の増減に対して、たとえば、個体数の増加に対しては収穫率(収穫率とは、培養水槽内の全培養液量に対する動物プランクトンを収穫するための1日あたりの排水量の割合を指すものとする。したがって、収穫率が”1”とは、1日の排水量が、培養水槽内の培養水の量と等しいことを意味する。)を上げ、個体数の減少に対しては収穫率を下げ、したがって、培養水槽内の動物プランクトンの個体数を、なるべく一定に保つ方向で制御を行うことが、最適の培養方法とされてきた。
【0013】
問題点を改めて示すと、
1)動物プランクトンの比増殖速度がバッチ法に比較すると平均化されてはいるが、なお変動する。〔ここで、比増殖速度とは、以下の式で示される値である。比増殖速度が、”1”とは、1日で個体数が2.7倍になることを意味する。
【0014】
比増殖速度=収穫率+ln(培養水槽内の動物プランクトンの密度/前回観測時の培養水槽内の動物プランクトンの密度)
なお、前回観測時は通常は24時間前〕
2)動物プランクトンの個体数を絶えず測定し、比増殖速度の変動に対応して、注水量、排水量、給餌量の調整を絶えず行う必要があり、経費と手間がかかる。
【0015】
そして、実際に起こった例として、
イ)培養水槽内の動物プランクトンの個体数の減少→収穫率、給餌量の調整(減少)→動物プランクトンの個体数の増加
といったパターンをとらず、
ロ)動物プランクトンの個体数の減少→水質の悪化が進行→収穫率、給餌量の調整(減少)→動物プランクトンの個体数の再度の減少
といったパターンをとることも観察された。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記の連続培養方法における現象の改善方法として、動物プランクトンの収穫率を減少させた場合の水質の維持のために、動物プランクトンの収穫と平行して、排水を行う技術も開発された。特開平6−16525号公報や特開平6−16527号公報に開示された技術がそれであり、動物プランクトンを培養水槽中から除くことなく、培養水槽内の水を抜き取る装置が示されている。
【0017】
この装置を用いることにより、たとえば、排泄物や餌料が過剰になった場合の水質を、動物プランクトンの増殖が好調な場合と同等に保つことが可能になると期待された。
【0018】
しかしながら、この装置により動物プランクトンの収穫率に係わらず、一定の培養水の交換率とした場合にもなお、上記したような、
ロ)動物プランクトンの個体数の減少→水質の悪化が進行→収穫率、給餌量の調整(減少)→動物プランクトンの個体数の再度の減少
といったパターンをとることもあり、また、動物プランクトンの個体数が再び増加に転じた場合も、その増加の速度が著しく遅いと言った傾向が認められた。
【0019】
以上の述べた様に、従来の動物プランクトンの連続培養方法には、なお問題点がある。本発明の目的は、安定した収量の動物プランクトンを連続的にかつ、低コストで得ることができる連続培養方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の様な問題点を解決するためになされたもので、動物プランクトンを高能率にかつ、一定の速度で収穫するための技術である。動物プランクトンの増殖は、個体群の年齢組成が安定しており、環境収容力に制限がない場合は、与えられた環境条件下におけるその種の、最大可能な増加率を示すと考えられる。この時の理想的な比増殖速度を内的自然増加率と呼ぶ。しかし、通常のバッチ培養では実行上の種々の制約から、内的自然増加率までの比増殖速度は得られない。このため、通常のバッチ培養を行った培養水槽内で得られた最大の比増殖速度を、最大比増殖速度と定義している。
【0021】
本発明の基本は、従来行われてきたバッチ培養での最大比増殖速度(条件を整え、バッチ培養で最大限に増殖を行わせた場合の増殖速度であり、動物プランクトンの種、株により異なる固有の値がある。)に対応する収穫率を採用する方法、すなわち、最大限に増殖させて収穫する方法に比較して、低い収穫率を設定し、給餌量の調整により培養水槽内の動物プランクトンの密度を所定の値とする事により、培養中におこる動物プランクトンの密度のミクロの変動に対しては、培養水槽内の系を平衡状態に戻す方向への復元力に委ねることが、最良の結果を生むとの実験結果を基に、研究を重ねて完成したものである。
【0022】
参考方法は、動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、動物プランクトンの連続培養方法において、動物プランクトンの収穫率を、最大比増殖速度より低い値とする方法である。
【0023】
第一の方法は、動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、前記培養水槽より前記動物プランクトンを含んだ前記培養液を取水して、前記動物プランクトンを収穫し、前記培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、動物プランクトンの連続培養方法において、前記動物プランクトンの収穫率を、最大比増殖速度より低く設定し、前記培養水槽内の前記動物プランクトンの目標密度を設定し、この設定した前記動物プランクトンの前記目標密度に対して、あらかじめ設定した量の餌料を連続的に給餌する方法である。
【0024】
また、第二の方法は、動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、第一の方法に記載の動物プランクトンの連続培養方法において、動物プランクトンの収穫率を、最大比増殖速度の0.5〜0.8倍とする方法である。
【0025】
また、第三の方法は、動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、第一または第二の方法に記載の動物プランクトンの連続培養方法において、前記動物プランクトンをワムシとする方法である。
【0026】
また、第四の方法は、動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、第一〜第三のいずれか一つの方法に記載の動物プランクトンの連続培養方法において、培養水槽中の餌料のクロレラの密度を1×104 〜5×106 個/mlとする方法である。
【0027】
また、第五の方法は、動物プランクトン培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、第三または第四の方法に記載の動物プランクトンの連続培養方法において、培養水槽中のワムシの目標密度を2000〜7000個体/mlとする方法である。
【0028】
収穫率を最大比増殖速度に対応する値とした場合は、動物プランクトンの密度の減少時(原因を問わない。)に餌量が著しく過剰になる確率が高くなり、その結果、水質の悪化が急速に起こり、動物プランクトンを含まない培養水を排出して、老廃物を除去しても元の平衡状態に復帰させることは困難になる。
【0029】
これに対して、収穫率を最大比増殖速度未満とし、また給餌量も設定した動物プランクトンの密度に見合った値とすることにより、平衡状態への復元力を働かせることができる。
【0030】
たとえば、ワムシの岡山株の場合は、最大比増殖速度は、1.0〜1.2程度であるが、収穫率を最大比増殖速度の0.5〜0.8倍とすることが最適である。したがって、比増殖速度が1.2×0.9=0.96を越えるとワムシがミクロ変化に対応できない危険性が増大する。なお、この比増殖速度の上限は、最大比増殖速度が動物プランクトン(ワムシ)の種により異なるため当然異なってくる。
【0031】
収穫率の下限を、最大比増殖速度の0.5とする理由は、この値未満の場合は、動物プランクトンの収穫量が減り、また、水質を悪化させる可能性が高くなることによる。
【0032】
次に給餌量についてのべる。動物プランクトンの個体数に対して、給餌量が多い場合は、動物プランクトンの密度は増大する。そして、動物プランクトンの密度が高く成りすぎ、餌量が不足するようになると、動物プランクトンの密度は餌量に見合った値まで減少するが、本発明はこの平衡作用が十分に働くための環境条件を設定したことにある。
【0033】
すなわち、動物プランクトンの収穫率を、最大比増殖速度より低く設定した上で、培養水槽内の動物プランクトンの密度を設定し、この設定した動物プランクトンの密度に対して、あらかじめ設定した量の給餌を行う方法である。
【0034】
たとえば、ワムシの連続培養方法においては、ワムシの収穫率を、最大比増殖速度の0.5〜0.8倍の範囲内に設定した上で、培養水槽内のワムシの密度を例えば、5000個体/mlと設定し、その時の給餌量を図2より13リットル/日とする。なお、図2における給餌量は、培養水槽の容量が1m3 の場合におけるクロレラを含む液体の量を表している。餌料中のクロレラの個数は、150億個/mlである。もちろん、給餌量は培養水槽の容量(培養水の量)に比例する。
【0035】
培養水槽内のワムシの密度を5000個体/mlとした場合の給餌量を,図2より求めた13リットル/日とすると、やがてワムシの密度は、(5000+α)個体/mlになり、この給餌量を維持するとワムシの密度は(5000+α)個体/mlで平衡状態になる。
【0036】
連続培養中の培養水槽内における、クロレラの密度は1×104 〜5×106 個/mlとする。この密度が絶えず確保されている様に、給餌を行う。密度が1×104 /ml未満の場合は、ワムシの密度が低くなり経済性が劣る。5×106 個/mlを越えると残存する餌料が増え、水質が悪化する確率が大きくなる。
【0037】
培養水槽内のワムシの密度を2000〜7000個体/mlとする理由は、7000個体/mlを越える密度とすると、密度の変化に対する抵抗力が低下するためである。すなわち、老廃物が増えた状態で、餌料が大量に残る可能性が増大し、また、酸素が不足しがちになる。
【0038】
密度の下限は特に定める必要はないが、2000個体/ml未満にすると、経済性が劣り、現実的でない。
連続培養に移行した後のワムシの密度の増加は、3〜5日をかけて行い、平衡状態にする。3日未満の短時間で急激に給餌量を増加させると、餌料が余ることが多くなり水質が悪化し、ワムシの密度の減少が起こる確率が大きくなる。上限は特に定める必要はないが、6日以上かけることは、経済性の悪化につながり現実的でない。
【0039】
本発明に用いる培養水には、濾過した海水を用いる。海水中には目的とする動物プランクトンの増殖に有害な他の微生物(プランクトンや原生動物等)や、培養目的の動物プランクトンと餌料が競合する微生物(プランクトンや原生動物等)が繁殖する可能性があり、これらを海水中より除去しておく必要がある。
【0040】
第六の方法は、動物プランクトン培養水槽に餌料および培養液を供給し、この培養水槽より動物プランクトンを含んだ培養液を取水して、動物プランクトンを収穫し、培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、第一から第五の方法のいずれかに記載の動物プランクトンの連続培養方法において、供給する培養液に平均の孔径が0.5μm以下で、最大の孔径が1μm以下の濾過手段により純化した培養水を用いる方法である。
【0041】
濾過に用いるフィルターの孔径には、ばらつきがあり、平均の孔径が0.5μmをこえると、最大の孔径が1μmを越える確率が高くなる。上記の動物プランクトンの増殖に有害な他の微生物や、餌料が競合する微生物が、培養水槽内の混入する確率は、フィルターの最大の孔径が1μmを越えると急激に大きくなるため、上記の濾過手段を用いる。なお、濾過手段には中空糸濾過手段が最適である。
【0042】
上記の動物プランクトンの増殖に有害な微生物は、増殖の時期(過程)に関わらず、培養水槽内に混入しない様に注意する必要があることは言うまでもない。一方、餌料が競合する微生物は、培養水槽内への混入が、動物プランクトンが十分に増殖し、相当の密度になった後の場合はその影響は小さくなる。したがって、濾過は培養の初期においてより完全に行う必要がある。
【0043】
本発明の実施の形態をワムシの連続培養を例に説明する。
1)上面に、対象とする微生物の大きさ以下のメッシュ(1μm以下)の覆いを持つワムシ培養水槽、ワムシ収穫水槽、フロック除去水槽を用意し、
2)培養水槽に有害な微生物を含まない中空糸濾過海水890リットル、上水110リットルを注水し、(量は1例である。ほぼ10対1の割合。なお、上水には、塩分濃度を下げワムシの増殖を盛んにさせる作用がある。)
3)各水槽に蓋をして、各水槽の水温を30℃に設定し、加熱を開始し、
4)各水槽に蓋をして、空気を吹き込み飽和させ、以後この状態を維持し、
5)有害な微生物を含まない種ワムシを100個体/mlとなるように培養水槽内に入れ、 随時、給餌を行い止水培養を行い、
6)有害な微生物を含まない空気、餌料をワムシの培養水槽内に送りつつ、ワムシの増殖行い、ワムシの密度の測定を行い、
5)ワムシの密度を2000個体/ml程度以上にし、
6)ワムシの密度が2000個体/ml以上になった後、連続培養法に移行し、ワムシ培養水槽内に有害な微生物を含まない空気、有害な微生物を含まない餌料、海水の注入を開始し、同時に、培養水槽の液面を一定に保つ様に、上記のワムシの収穫率を、ワムシの最大比増殖速度より低く保ちつつ排水し、
7)引続き、ワムシの設定した密度に見合った餌料を供給し、ワムシ培養水槽内のワムシの密度を目標の密度にまで、3〜5日かけて増大させる様に、給餌量を徐々に増加し、餌料の密度を1×104 〜5×106 個/ml、ワムシの密度を2000〜7000個体数/mlで平衡状態とし、
8)この平衡状態を一定期間維持する。
【0044】
なお、この実施に先立って、先ず、前処理として以下に示す工程を経るものとする。
1)培養水槽、収穫水槽、フロック除去水槽に付着している、埃、金属屑等を濾過海水で洗浄する。各水槽の蓋は中空糸濾過海水で洗浄する。
2)各水槽に濾過海水を満水レベルまで注水する。
3)水槽中の濾過海水中の塩素の濃度を100ppmにする量の次亜塩素酸(10%)を、各水槽に添加する。
4)各水槽に蓋をせずに空気を十分に吹き込み、攪拌を行い塩素を除く。
5)各水槽の海水をすべて排水する。
6)中空糸濾過海水で各水槽を洗浄し、洗浄後に各水槽を中空糸濾過海水で満水になるまで注水する。
7)各水槽に蓋をして、空気を十分に吹き込む。
8)各水槽の海水をすべて排水する。
【0045】
これらは培養水槽等に付着した、微生物等を除く処理である。
【0046】
【実施例】
図1に本発明を実施するためのワムシの培養システムの概略を示す。ワムシ培養水槽3に、海水濾過装置1より導管13を介して、新鮮な培養水を供給する。この海水濾過装置は、培養水槽に供給する培養水にワムシの培養に有害な微生物が混入することのないように、海水を精密濾過するものである。
【0047】
また、培養水槽に餌料槽2から、導管23を経て、餌料を適当量に制御して供給する。また、培養水槽はワムシ収穫水槽5に導管35でつながれている。4はフロック除去槽であり、34は培養水槽からフロック除去槽への、45はフロック除去槽からワムシ収穫槽への導管である。
【0048】
なお、フロック除去槽は、培養水中のフロックを除去する装置であり、フロックを除去した、ワムシを含む培養水は収穫槽に導きワムシの収穫を行う。もちろん、各導管にはポンプが接続されており、これらのポンプはコンピュターにより制御されている。
【0049】
その他に、培養水槽等には、培養水中等に空気を吹き込む系が付属されている。空気は海水と同様に、空気フィルター6により微生物等を除いて純化した後に導管61を通して培養水槽等に吹き込まれる。
【0050】
次にワムシの連続培養方法の実施例を示す。
まず、ワムシ培養水槽中に、精密濾過(または煮沸、滅菌、減圧脱ガス等の処理)を行った海水を所定の量(1m3 )注入した。この量は、培養期間中はほぼ一定に保つ。次に、フィルターにより純化した、空気を培養水に吹き込み、培養水の酸素量を飽和値近くに高めた。
【0051】
次に、培養水槽中に種ワムシを100個体/ml投入し止水培養を開始した。ワムシの密度が2000個体/mlになるまでは、濾過海水の注入、ワムシを含む培養水の取り出し(収穫水槽への移送)、排水は行わなず、ワムシ密度の増加を待った。
【0052】
ワムシの密度が、2000個体/ml(ワムシの密度の測定は、原則として朝9時の一回行った)となった時点(3日後)で、連続培養に移行させ、ワムシの収穫を開始した。これは、上記した様に、ワムシを含んだ培養水を収穫水槽に移し、ワムシを濾過することにより行った。この時、ワムシを含んだ培養水を収穫水槽に移す速度と、等しい速度で濾過海水を培養水槽に供給し、培養水槽中の液面が一定になる様に制御した。また、給餌量を図2に示す様に、2000個体/mlに対応する給餌量の8リットル/日とした。なお、収穫率は0.7とし、以後のこの値を維持した。
【0053】
次の日に(連続培養法を開始後の24時間経過後)にワムシの密度を測定し、3000個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を11リットル/日とした。
【0054】
3日目(48時間経過後)にワムシの密度を測定し、4000個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量の13リットル/日とした。
4日目(72時間経過後)にワムシの密度を測定し、5500個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を14リットル/日とした。
【0055】
5日目(96時間経過後)にワムシの密度を測定し、6000個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を15リットル/日とした。
6日目(120時間経過後)にワムシの密度を測定し、6200個体/ml程度の密度になっていることを確認し、餌料を前日の給餌量の15リットル/日とし、以後この給餌量を維持し、6200±300個体/mlの密度をその後、30日間維持した。
【0056】
次に比較例について述べる。
1〜5日目までは、実施例と同一の条件で、同様の経過をたどり、6日目にワムシの密度が6500個体/ml程度になっていることを確認し、給餌量を17リットル/日とした。
【0057】
7日目(144時間経過後)にワムシの密度を測定し、7500個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を18リットル/日とした。
8日目(168時間経過後)にワムシの密度を測定し、6000個体/ml程度に下がっていたため、給餌量を15リットル/日に下げた。
【0058】
9日目には、ワムシの密度が、4000個体/mlと減少したため、給餌量を12リットル/日とした。
10日目には、ワムシの密度が、2000個体/mlと減少したため、給餌量を8リットル/日とした。
【0059】
11日目には、ワムシの密度が、500個体/mlと減少したため、培養を中止した。
上記の比較例は、先の特開平6−16525号公報や、特開平6−16527号公報に開示された技術であるワムシを培養水槽から除くことなく、培養水槽内の培養水を抜き取る方法を行わなかった場合である。
【0060】
次に示す比較例は、この培養水を抜き取る方法を行った場合である。
1〜5日目までは、実施例と同一の条件で、同様の経過をたどり、6日目にワムシの密度が6500個体/ml程度になっていることを確認し、給餌量を17リットル/日とした。
【0061】
7日目(144時間経過後)にワムシの密度を測定し、7500個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を18リットル/日とした。
8日目(168時間経過後)にワムシの密度を測定し、6000個体/ml程度の密度になっていたため、給餌量を15リットル/日に下げた。また、ワムシを含まない培養水の排出を、9時、12時、3時にいずれも100リットル行った。(当然、新しい培養水の供給を行っている。)
9日目には、ワムシの密度が、5500個体/mlと減少したため、給餌量を14リットル/日とした。また、ワムシを含まない培養水の排出を、9時、12時、3時にいずれも100リットル行った。
【0062】
10日目には、ワムシの密度が、4000個体/mlと減少したため、給餌量を12リットル/日とした。
11日目には、ワムシの密度が、1500個体/mlと減少したため、給餌量を8リットル/日とした。
【0063】
12日目にも、ワムシの密度は、1500個体/mlと変化はなく、給餌量は8リットル/日を維持した。
13〜30日間は、ワムシの密度は、1500±300個体/mlと変化はなく、給餌量は8リットルを維持した。
【0064】
また、実施例に対して、収穫率を最大比増殖速度に等しくした場合の比較例を以下に示す。
連続培養への移行は、実施例と同様であり、ただし、餌料を図2に示す様に、2000個体/mlに対応する給餌量の8リットル/日より多く、10リットル/日とした。次の日のワムシの密度を測定し、3000個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を13リットル/日とした。
【0065】
3日目にワムシの密度を測定し、4500個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を16リットル/日とした。
4日目にワムシの密度を測定し、6000個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を18リットル/日とした。
【0066】
5日目にワムシの密度を測定し、7500個体/ml程度の密度になっていることを確認し、給餌量を19リットル/日とした。
6日目にワムシの密度を測定し、4000個体/ml程度に減少していたため、給餌量を12リットル/日とした。
【0067】
7日目にワムシの密度を測定し、1000個体/ml程度に減少していたため、給餌量を5リットル/日とした。
8日目にワムシの密度を測定し、500個体/ml程度に減少していたため、培養を中止した。
【0068】
【発明の効果】
本発明の完成により、栽培漁業の成否に影響を与えるワムシ等の動物プランクトンを、効率的にかつ安定して大量に生産することが可能になったことの意義は、極めて大きい。特に、従来の連続培養方法が、高い収穫率を得るために、極めて煩雑な、また高コストの管理を行った場合も、安定した収穫が得られなっかた状態を考慮すると、本発明の完成により、動物プランクトンの収穫が安定して、比較的簡単にかつ、経済的に可能となったことの意義は極めて大きいと言って良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための装置の概略を示す図である。
【図2】本発明の方法を実施における、ワムシの設定密度とその時の給餌量の関係図である。
【符号の説明】
1 海水濾過装置
13 海水濾過装置からワムシ培養水槽への導管
2 餌料槽
23 餌料槽からワムシ培養水槽への導管
3 ワムシ培養水槽
34 ワムシ培養水槽からフロック除去槽への導管
35 ワムシ培養水槽からワムシ収穫水槽への導管
4 フロック除去槽
45 フロック除去槽からワムシ収穫水槽への導管
5 ワムシ収穫水槽
6 空気フィルター
61 空気吹き込み導管
7 海水導管
8 排水管
Claims (6)
- 動物プランクトンの培養水槽に餌料および培養液を供給し、前記培養水槽より前記動物プランクトンを含んだ前記培養液を取水して、前記動物プランクトンを収穫し、前記培養水槽中の液面を一定に保った状態で培養する、動物プランクトンの連続培養方法において、
前記動物プランクトンの収穫率を、最大比増殖速度より低く設定し、前記培養水槽内の前記動物プランクトンの目標密度を設定し、この設定した前記動物プランクトンの前記目標密度に対して、あらかじめ設定した量の餌料を連続的に給餌することを特徴とする動物プランクトンの連続培養方法。 - 前記動物プランクトンの前記収穫率を、最大比増殖速度の0.5〜0.8倍の範囲内とする、請求項1に記載の動物プランクトンの連続培養方法。
- 前記動物プランクトンをワムシとする、請求項1または2に記載の動物プランクトンの連続培養方法。
- 前記培養水槽中の前記餌料のクロレラの密度を1×104 〜5×106 個/mlの範囲内とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の動物プランクトンの連続培養方法。
- 前記培養水槽中の前記ワムシの目標密度を2000〜7000個体/mlの範囲内とする、請求項3または4に記載の動物プランクトンの連続培養方法。
- 前記培養水槽に供給する前記培養液に平均の孔径が0.5μm以下で、最大の孔径が1μm以下の濾過手段により純化した培養水を用いる、請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の動物プランクトンの連続培養方法。
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