JP3785790B2 - 動力発生装置と食器洗い機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用および産業用などの回転機械に使用される動力発生装置と家庭などで使用される食器洗い機に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の動力発生装置について図面を参照しながら説明する。図5は、従来の、いわゆる単相の誘導電動機を用いた動力発生装置の構成を示す回路図である。図5において、動力発生装置は、100V、60Hzの交流電源1と、開閉手段2と、進相コンデンサ3と、誘導電動機4とによって構成されている。
【0003】
誘導電動機4は、鉄心にアルミニウムを鋳込んで作成した、かご形と呼ばれる回転子と、主巻線5と、補助巻線6とを備え、主巻線5と補助巻線6とは、いずれも2極で互いに電気角90度となる位置に巻回することにより、2相巻線を構成している。
【0004】
上記構成における動作について説明する。開閉手段2が開放されている状態においては、交流電源1の出力が切断されていて、誘導電動機4の主巻線5および補助巻線6には電流が供給されず、停止した状態となる。つぎに、開閉手段2の接点が閉じて導通状態となると、誘導電動機4の主巻線5には交流電源1から100V、60Hzの電圧が供給され、また、補助巻線6には交流電源1から進相コンデンサ3を通じて交流電源1よりも位相が進んだ電庄が供給される。したがって、誘導電動機4は、内部に楕円状の回転磁界を生じ、かご形の回転子はその回転磁界に引きずられるようにして回転運動を行い、外部に接続された機械的な負荷に動力を供給する。
【0005】
ここで、前記回転磁界の回転速度は、交流電源1の周波数と誘導電動機4の極数とによって決まり、図5の場合には、交流電源1は商用の60Hzとし、誘導電動機4は2極の構成としていることにより、前記回転磁界の回転速度は毎分3600回転となり、回転子の回転速度は前記回転磁界の回転速度から滑りを持ってやや低い回転速度で運転される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の動力発生装置では、かご形の誘導電動機4により構成していることにより、安価で堅牢と言う特徴を備えている反面、回転速度の上限が商用の交流電源1の周波数である60Hzの場合、毎分3600回転以下と言う制限があり、これ以上の回転速度では運転できないため、高速回転が必要な機器への使用が不可能となり、また装置の小形化なども困難であると言う問題があった。
【0007】
また、他の動力発生装置として、インバータと称される可変周波数の電源を用いて誘導電動機を高速回転で運転するものも存在しているが、この場合にはインバータを構成するために多数のスイッチング素子が必要となり、また交流電源を一旦、直流電源に変換するための整流平滑回路なども必要となることにより、装置が複雑となり、かつ価格も高いものとなると言う問題があった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するもので、交流電源の周波数と誘導電動機の極数とで決まる回転数以上の高速で回転できる動力発生装置と、それを用いた食器洗い機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、交流電源と、前記交流電源の電圧波形を歪ませて3次高調波を発生する高調波発生回路と、3次高調波の周波数付近に共振周波数を持つ共振コンデンサを備えた共振回路と、2極の誘導電動機とを備え、前記誘導電動機は、前記共振回路から前記3次高調波の周波数の電流を供給されて回転する動力発生装置である。
【0010】
本発明により、前記誘導電動機は、前記共振回路から前記交流電源の周波数よりも高い周波数の電力を供給されて高速回転する。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、交流電源と、前記交流電源の電圧波形を歪ませて3次高調波を発生する高調波発生回路と、3次高調波の周波数付近に共振周波数を持つ共振コンデンサを備えた共振回路と、2極の誘導電動機とを備え、前記誘導電動機は、前記共振回路から前記3次高調波の周波数の電流を供給されて回転する動力発生装置であり、高調波発生回路は、交流電源の電圧波形を歪ませて高調波を発生させる回路であり、実施例においては、トライアックに交流電源の電圧を交流電源の周波数に同期して開閉することにより高調波を発生させる。この場合、高調波を偶数次の高調波とするか奇数次の高調波とするかは開閉の仕方に依存するが、実施例においては交流電源の零電圧時点を基準に開閉して奇数次の高調波を発生させる。また、共振回路は、発生した奇数次の高調波のうちの特定次数の高調波に共振する回路であり、実施例では3次の高調波、すなわち第3高調波に共振する共振回路を共振コンデンサとインダクタンスとにより構成する。この場合、共振周波数は前記共振コンデンサの容量と前記インダクタンスの値とのみで決まるのではなく、接続する誘導電動機の動作中における巻線のインダクタンスと進相コンデンサとによる等価インダクタンスも関与するので、これらの値を含めて設定する。また、共振回路を共振コンデンサを備えた構成とするが、最も簡単な構成として共振コンデンサのみとし、誘導電動機の主巻線および補助巻線のインダクタンスと進相コンデンサとによる等価インダクタンスと共振させる。また、誘導電動機として安価で堅牢な2極の誘導電動機を使用する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動力発生装置と、前記動力発生装置により駆動されるポンプとを備えた食器洗い機であり、これにより高温の湯を循環させるポンプを高速回転で駆動する。これにより、ポンプおよび誘導電動機を高速低トルクのものとして小型軽量化することができる。
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の動力発生装置の実施例1について説明する。
【0015】
図1は本実施例の構成を示す回路図である。図1において、動力発生装置は、100V、60Hzの商用の交流電源1と、交流電源1の出力を歪ませて3次の高調波、すなわち第3高調波を豊富に含む出力を発生する高調波発生回路7と、前記高調波の周波数である180Hz付近に共振周波数を持つ共振回路8と、2極の誘導電動機4とを備えている。誘導電動機4は、共振回路8から交流電源1の周波数である60Hzよりも高い180Hzの周波数の電流を供給されて回転する構成としている。
【0016】
高調波発生回路7は、トライアック9と、トライアック9のゲート端子に接続されたゲート駆動回路10とにより構成され、ゲート駆動回路10は、誘導電動機4の運転を停止する場合、トライアック9のゲートからは一切、電流の引き抜きを行わないが、誘導電動機4を運転する場合には、交流電源1の瞬時電圧が零になった時点から、4.5msec後にトライアック9のゲートから50mAのゲート電流を100μsecの間は引き抜くと言う動作を行うものとしており、これによって交流電源1の3倍の周波数成分を豊富に含んだ出力を発生するものとしている。
【0017】
また、共振回路8は、共振コンデンサ11とインダクタンス12とによって構成している。また、誘導電動機4を一般にコンデンサラン方式としているので、誘導電動機4内には、主巻線5と補助巻線6とを備え、進相コンデンサ3を設けることにより補助巻線6に流れる電流の位相を主巻線5に対して進相とし、これによって楕円の回転磁界を発生させている。
【0018】
上記構成における動作について説明する。図2は本実施例の動作を示す波形図である。図2において、(ア)は交流電源1の出力電圧Vin、(イ)は高調波発生回路7の出力電圧V1、(ウ)は誘導電動機4の主巻線5に供給される電圧波形V2を示す。ゲート駆動回路10は、交流電源1の零電圧時点からt1=4.5msec後にトライアック9をオンとさせることにより、(イ)に示したような電圧波形が出力され、この電圧波形には第3高調波に相当する180Hzの成分が豊富に含まれている。共振回路8は、180Hzで共振するように共振コンデンサ11の容量とインダクタンス12のインダクタンス値とが設定されており、(ウ)に示したように、180Hz成分が増幅された電圧波形が誘導電動機4の主巻線5に印加される。
【0019】
なお、共振動作は、共振回路8の構成要素以外に、誘導電動機4の主巻線5と補助巻線6、さらに進相コンデンサ3の影響も受け、さらに誘導電動機4の機械的負荷の影響も受ける。したがって、本実施例においては、実使用上で瀕繁に使用される負荷条件下の誘導電動機4の定数の影響を考慮して共振回路8の構成要素である共振コンデンサ11の定数とインダクタンス12の定数とを定めている。
【0020】
以上の構成により、2極の誘導電動機4が180Hzで駆動される状態となり、同期速度を毎分10800回転と言う高速回転にすることができる。一般に誘導電動機4の出力パワー(仕事率)は、回転速度とトルクとの積に比例するので、同等の出力パワーを実現する場合、回転速度が大であればあるほどトルクは小となり、装置の小型化が可能となる。したがって、安価で堅牢な誘導電動機4を使用しながらも高速化を実現できるとともに、小型化も可能な動力発生装置を実現することができる。
【0021】
(実施例2)
以下、本発明の動力発生装置の実施例2について図面を参照しながら説明する。図3は本実施例の構成を示す回路図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、共振回路8を共振コンデンサ11のみとしていることにある。
【0022】
図において、共振回路8を共振コンデンサ11のみで構成し、共振コンデンサ11の定数と誘導電動機4のインピーダンス定数とにより180Hz付近の共振周波数となるように構成している。なお、交流電源1、高調波発生回路7、誘導電動機4、進相コンデンサ3の構成要素については、実施例1と同じものである。この場合、共振の強さQが実施例1に比べては低く、したがって180Hz成分の増幅作用が実施例1よりも小さいことにより、動力発生装置としての出力および効率の点では若干劣るものとなるとともに、機械的負荷の変動に対する影響も実施例1と比較して受け易くなると言う傾向はある。
【0023】
以上のように本実施例によれば、共振回路8を共振コンデンサ11のみで構成することにより、実施例1に比べて構成部品点数が少ないことにより組立を簡単にすることができ、小形かつ低コスト化にも有利となる。
【0024】
なお、本実施例では、共振コンデンサ11を誘導電動機4の主巻線5と並列に接続しているが、とくに並列に限るものではなく、直列、すなわちトライアック9に直列になるように共振コンデンサ11を設けてもよい。
【0025】
また、実施例1および実施例2において、共振回路の共振周波数を180Hzとしているが、日本国内では50Hzの地域と60Hzの地域とが混在していることにより、いずれの地域でも同等の共振性能を確保するため、たとえば、共振周波数を165Hzとし、いずれの地域においても第3高調波とほぼ同等の共振を行わせるなどの構成としたものであってもよい。その場合、高調波発生回路7についても、交流電源1の周波数に応じて、トライアック9のゲートタイミングを変えることにより、第3高調波が多く発生するように工夫をするなどは自由である。また、第3高調波を用いたが、とくに3次に限定されるものではなく、整数の値であれば、他の次数でもかまわない。
【0026】
(実施例3)
以下、本発明の食器洗い機の一実施例について図面を参照しながら説明する。図4は、本実施例の構成を示す断面図である。図4において、3は進相コンデンサ、4は誘導電動機、13は給水弁、14はポンプ、15は冷却ファン、16は駆動回路、17は回転ノズル、18は出水口、19は電気ヒータ、20は食器、21は電源コード、22はホースである。
【0027】
ホース22から供給される水道水は、給水弁13を通じて機体内に取り込まれ、電気ヒータ19および誘導電動機4には、電源コード21から駆動回路16を介して電力が供給される。また、電源コード21は、家庭用のコンセントに接続され、100V、60Hzの交流電源が供給されている。駆動回路16は、電気ヒータ19および誘導電動機4への通電を制御し、誘導電動機4に高周波の電力を供給するために、トライアック9による高調波発生回路7と共振コンデンサ11を備えた構成としている。
【0028】
上記構成における動作について説明する。機体内に取り込まれた水道水は、電気ヒータ19によって摂氏75度に加熱されて湯になる。ポンプ14は、たとえば実施例1に示した動力発生装置を構成する誘導電動機4によって、およそ毎分9200回転と言う高速で回転し、回転ノズル17に設けた複数の出水口18から前記湯を吹き出させることにより、循環させている。
【0029】
出水口18は、前記湯を真上から45度傾いた方向に噴出させる構造としていることにより回転ノズル17に反動トルクが発生し、これにより回転運動を行うので、庫内の食器20には満遍なく前記湯が当たり、良好な洗浄機能を備えたものとなっている。また、冷却ファン15は、誘導電動機4の軸に取り付けられ、ポンプ14と同時に回転することにより誘導電動機4を冷却し、主巻線5、補助巻線6、およびベアリング式の軸受けなどの構成部品の温度上昇を規定値以下に抑えるように作用している。
【0030】
以上の動作により、食器20の洗浄を行うとともに、食中毒などの原因となる菌なども高温の湯を当てて殺すと言う動作も行っている。ここで、ポンプ14に必要な出力パワーは50ワット程度となるが、本実施例では、180Hzを誘導電動機4に供給し、また誘導電動機4を2極としていることにより、毎分9200回転と高速にすることにより、トルク値は0.53kgcmと言う低い値とすることができる。したがって、ポンプ14は高速低トルクの仕様となって小型化を実現し、また誘導電動機4についても低トルクと言う仕様となって、やはり小型化を可能としている。
【0031】
以上のように本実施例によれば、誘導電動機4を交流電源1よりも高周波の電力で駆動することにより、駆動するポンプ14を高速低トルクとして小型化できるとともに、誘導電動機4自体も高速低トルクとして小型化することができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、交流電源と、前記交流電源の電圧波形を歪ませて3次高調波を発生する高調波発生回路と、3次高調波の周波数付近に共振周波数を持つ共振コンデンサを備えた共振回路と、2極の誘導電動機とを備え、前記誘導電動機は、前記共振回路から前記3次高調波の周波数の電流を供給されて回転する動力発生装置とすることにより、交流電源の周波数で決まる同期速度よりも高い同期速度の高速回転を可能とし、また同じ出力パワーにおける必要トルクを低減するので、装置の小型化を可能とする。また、安価で堅牢な誘導電動機を高速で回転させることができる。
【0033】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動力発生装置と、前記動力発生装置により駆動されるポンプとを備えた食器洗い機とすることにより、ポンプおよび誘導電動機を高速低トルクのものとして小型軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の動力発生装置の実施例1の構成を示す回路図
【図2】 同実施例の動作を示す波形図
【図3】 本発明の動力発生装置の実施例2の構成を示す回路図
【図4】 本発明の食器洗い機の一実施例の構成を示す断面図
【図5】 従来の動力発生装置の構成を示す回路図
【符号の説明】
1 交流電源
2 開閉手段
3 進相コンデンサ
4 誘導電動機
5 主巻線
6 補助巻線
7 高調波発生回路
8 共振回路
9 トライアック
10 ゲート駆動回路
11 共振コンデンサ
12 インダクタンス
13 給水弁
14 ポンプ
15 冷却ファン
16 駆動回路
17 回転ノズル
18 出水口
19 電気ヒータ
20 食器
21 電源コード
22 ホース
Claims (2)
- 交流電源と、前記交流電源の電圧波形を歪ませて3次高調波を発生する高調波発生回路と、3次高調波の周波数付近に共振周波数を持つ共振コンデンサを備えた共振回路と、2極の誘導電動機とを備え、前記誘導電動機は、前記共振回路から前記3次高調波の周波数の電流を供給されて回転する動力発生装置。
- 請求項1に記載の動力発生装置と、前記動力発生装置により駆動されるポンプとを備えた食器洗い機。
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JP05173098A JP3785790B2 (ja) | 1998-03-04 | 1998-03-04 | 動力発生装置と食器洗い機 |
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