JP3783234B2 - 温度測定システム、それを用いた加熱装置及びシリコン単結晶ウェーハの製造方法 - Google Patents

温度測定システム、それを用いた加熱装置及びシリコン単結晶ウェーハの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体から放射される特定波長帯の熱線を効率的に反射する熱線反射材料に関し、さらに、それを用いた加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−121252号公報
【特許文献2】
特表2001−524749号公報
【特許文献3】
特表2001−521296号公報
【特許文献4】
特表2001−521284号公報
【特許文献5】
特表2001−514441号公報
【特許文献6】
特表2001−510274号公報
【特許文献7】
特表2000−513508号公報
【0003】
シリコン単結晶ウェーハの製造プロセスやそのシリコン単結晶ウェーハを用いたデバイス製造プロセスにおいては、シリコン単結晶ウェーハを数百℃〜千数百℃程度に加熱するプロセスがあり、抵抗加熱式(ヒータ加熱式)やランプ加熱式などの様々な方式の熱処理炉が用途に応じて用いられている。近年、C−MOSを用いたICやLSIの集積度が高まるにつれ、ゲートに使用する酸化膜の厚さが小さくなる傾向にあり、特に2nm以下の極薄の酸化膜については、枚葉式のランプ加熱を用いた急速熱処理(RTP:RapidThermal Processing)装置による熱酸化膜形成法(RTO:Rapid Thermal Oxidation)が用いられている。RTO処理は枚葉式のため、バッチ内での温度履歴の差が生じず、昇降温速度は抵抗加熱炉よりも10倍以上早いため能率的であり、大口径のウェーハにも有利である。また、処理室の容積が小さいため雰囲気制御が容易であり、入炉時の自然酸化膜形成が抑制できるので、上記のような極薄の酸化膜形成に適している。他方、RTPは、このようなRTO処理以外にも、急速熱アニーリング(RTA:RapidThermal Annealing)、急速熱クリーニング(RTC:Rapid Thermal Cleaning)、急速熱化学気相堆積(RTCVD::RapidThermal Chemical Vapour Deposition)、及び急速熱窒化(RTN:Rapid Thermal Nitridation)などにも適用されている。
【0004】
RTP装置の具体例は、特許文献1〜特許文献7等の種々の公報に開示されているが、いずれもほぼ共通の構造を有している。すなわち、容器内に収容されたウェーハの上面に、ハロゲンランプ等で構成された複数の加熱ランプが、加熱空隙を介して対向配置される。これらの複数の加熱ランプは、ウェーハの全面を均等に加熱するために、ウェーハ主表面とほぼ平行な面内方向に、二次元的に配列する形で配置される。
【0005】
上記RTPは加熱ランプからの熱線による輻射加熱であるため、ウェーハの表面状態やデバイス構造などによって熱線の吸収率ε(あるいは反射率γ(=1−ε))が異なり、加熱ムラの原因となる問題がある。実際の装置では、ウェーハの下面側に放射温度計(パイロメータ、高温計)を配置してウェーハの温度をモニタしつつ、ランプの出力を調整することにより、加熱制御を行っている。しかし、高温計もまたウェーハから輻射される熱線を検出して温度測定するものであるから、ウェーハの状態により輻射率がばらついていると誤差を生じやすく、温度制御に支障をきたすことになる。
【0006】
そこで、特許文献1〜特許文献7には、次のような方法が開示されている。すなわち、ウェーハ下面との間に反射空隙を形成する形で反射部材を対向配置し、この反射部材を貫通するグラスファイバにより熱線を取り出して高温計でこれを検出する。このようにすると、反射部材とウェーハとの間で種々のモードで多重反射された熱線が重ね合わされて、ウェーハの見かけの輻射率(有効輻射率)が高くなり、表面状態等による実輻射率のウェーハ間のばらつきや、ウェーハ内分布の影響が軽減され、正確な温度測定が可能となる。有効輻射率εeffは、反射部材の反射率γが大きくなるほど高められる。
【0007】
上記方法においてウェーハの有効輻射率を高めるためには、反射部材表面での熱線の反射率を可及的に高めることが重要である。例えば、特許文献1には、Al基材の表面を、化学的に安定な金属であるAuにより被覆した反射部材を用い、反射率を高める構造が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金属を反射部材として用いる方法では、自由電子散乱による熱線吸収の影響により、反射率向上には一定の限界がある。従って、例えばシリコン単結晶ウェーハの製造を例に取れば、特に温度制御が問題となる極薄の酸化膜形成や、シリコン単結晶薄膜の気相成長に適用する場合、温度測定精度が必ずしも十分に確保できない問題がある。
【0009】
本発明の課題は、被測定物の温度を、放射温度計を用いて測定する際に、被測定物の輻射率のばらつきの影響を受けにくく、ひいては被測定物の表面状態によらずその温度を正確に測定でき、しかも測定系の構成を簡略化できる温度測定システムと、その温度測定システムを用いて被処理物の温度を正確にモニタすることが可能であり、ひいてはその加熱制御を高精度に実施できる加熱装置、さらには、その加熱装置を用いて高品質なシリコン単結晶ウェーハを製造可能なシリコン単結晶ウェーハの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の温度測定システムは、加熱装置内に、板状の被処理物としてシリコン単結晶ウェーハを配置し、該シリコン単結晶ウェーハを当該加熱装置内にて100〜1200℃に加熱処理するシリコン単結晶ウェーハの製造方法に使用され、かつ、シリコン単結晶ウェーハの温度を、該シリコン単結晶ウェーハから輻射される熱線を検出することにより測定するシステムであって、上記の課題を解決するために、
シリコン単結晶ウェーハの温度測定面に対し、該温度測定面との間に反射空隙を形成する形で対向配置され、熱線を自身と温度測定面との間で多重反射させるために、反射面を含む部分が特定波長帯の熱線を反射する熱線反射材料にて構成された反射部材と、
一方の端が温度測定面に臨むように、反射部材を貫通して配置される熱線取出通路部と、
熱線取出通路部を介して反射空隙より取り出される熱線を検出することにより、温度測定面におけるシリコン単結晶ウェーハの温度を測定する温度検出部とを備え、
熱線反射材料を、互いに隣接するSi層とSiO層とからなり、反射対象となる熱線の波長域で1次元フォトニックバンドギャップ構造を形成するようにSi層とSiO層との厚さが定められた積層周期単位を、基体表面に2周期以上形成したものとして構成され、
かつ、温度検出部によるシリコン単結晶ウェーハの測定温度が1000℃以上1200℃以下に定められてなることを特徴とする。
【0011】
上記の温度測定システムは、被測定物の温度測定面との間に反射空隙を形成する形で反射部材を対向配置し、この反射部材を貫通する熱線取出通路部により熱線を取り出し、放射温度計等で構成された温度検出部でこれを検出することにより温度測定する。この方式を採用する目的は、温度測定面と反射部材との間で熱線を多重反射させて温度測定面の有効輻射率を高め、被測定物間の実輻射率の相違や、同じ被測定物の輻射率ばらつきの影響を軽減して、正確な温度測定を行なうことにある。その際、反射部材の反射率を極力高めることが特に重要であることを既に説明した。
【0012】
上記本発明の温度測定システムにおいては、反射部材の反射面を構成する熱線反射材料を、従来使用されていたAu等の金属に代え、以下のような特有の積層体を採用する。すなわち、熱線に対して透光性を有し、該熱線に対する屈折率が互いに異なり、かつ、その屈折率差が1.1以上となる要素反射層の組合せにとして該積層体を構成する。このような、屈折率差の大きい要素反射層同士の積層体を用いることにより、熱線を極めて高い反射率にて反射することができる。その結果、被測定物の温度を熱線検出により測定する際に、被測定物の輻射率のばらつきの影響を受けにくく、ひいては被測定物の表面状態によらずその温度を正確に測定できる。また、しかも測定系の構成を簡略化できる。また、隣接する要素反射層間の屈折率差を1.1以上に大きくすることにより、要素反射層の積層数をそれほど多くしなくとも、上記金属等よりはるかに高い反射率を実現でき、安価に形成が可能である。従って、測定系の構成を簡略化できる利点も享受できる。
【0013】
熱線反射材料をなす隣接する要素反射層の屈折率差が1.1未満では、反射率の低下が避けがたくなり、また、反射率を向上させるために積層周期数を多くすることは、コスト上昇につながる。なお、組み合わせる要素反射層間の屈折率差は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上確保されていることが望ましい。
【0014】
なお、「透光性を有する」とは、物体が光などの電磁波を通す性質を有していることとして定義されるが、本発明においては、反射させるべき熱線の透過率が、使用される層の厚さにおいて、80%以上となる透光性を有していることが望ましい。透過率が80%未満であると熱線の吸収率が高まり、本発明の熱線反射材料による熱線の反射効果が十分に得られなくなるおそれがある。上記の透過率は90%以上が好ましく、さらに望ましくは100%であるのがよい。この場合の透過率100%とは、通常の透過率測定方法における測定限界(例えば誤差1%以内)の範囲で、ほぼ100%であるとみなしうる程度のものをいう。
【0015】
そして、反射部材により反射させる熱線の特定波長帯は、1〜10μmの範囲内から選択すれば、種々の用途の加熱処理に必要な熱線の波長帯をカバーでき、本発明の効果を享受することができる。
【0016】
熱線反射材料を構成する前記積層体は、屈折率の異なる互いに隣接した第一及び第二の要素反射層を含み、該第一及び第二の要素反射層を含む積層周期単位が、基体表面に2周期以上に形成されたものとすることができる。積層体の屈折率を、このように層厚方向において周期的に変化させることにより、熱線の反射率をさらに高めることができる。この場合、積層周期単位を構成する複数種類の材料の屈折率差が大きいほど反射率γが大きくなり、前記した有効反射率εeffを高める効果が大きくなる。例えば、積層周期単位を最も簡単に構成するには、熱線に対する屈折率が互いに異なる第一要素反射層と第二要素反射層との2層構造とすることができる。この場合、両層の屈折率の差が大きいほど、熱線の反射率を十分に高く確保する上での、必要な積層周期単位数を削減することができる。なお、積層周期単位を構成する要素反射層の層数は3層以上であってもよい。
【0017】
熱線反射材料を、上記積層周期単位の積み重ねにより形成する場合、第一の要素反射層と第二の要素反射層のうち、高屈折率層の厚さをt1、低屈折率層の厚さをt2として、t1<t2に設定する、すなわち高屈折率層の厚さを低屈折率層の厚さよりも小さく設定すると、熱線に対する特定波長帯の反射率がさらに高められる。
【0018】
そして、反射すべき熱線に対する高屈折率層の屈折率をn1、同じく低屈折率層の屈折率をn2として、t1×n1+t2×n2が、反射させるべき熱線の波長λの1/2に等しくなっているとき、その波長を含んだ比較的広い波長帯域にて反射率がほぼ100%に近い(記載を明確化するために、本明細書では99%以上と定義しておく)完全反射帯域が形成され、本発明の効果が最大限に高められる。以下、さらに詳しく説明する。
【0019】
周期的に屈折率が変化する積層体の層厚方向には、光量子化された電磁波エネルギーに対し、結晶内の電子エネルギーと類似したバンド構造(以下、フォトニックバンド構造という)が形成され、屈折率変化の周期に応じた特定波長の電磁波が積層体構造中に侵入することが妨げられる。この現象は、フォトニックバンド構造において、一定エネルギー域(つまり、一定波長域)の電磁波の存在自体が禁止されることを意味し、電子のバンド理論との関連からフォトニックバンドギャップとも称される。多層膜の場合、屈折率変化が層厚方向にのみ形成されるので、狭義には一次元フォトニックバンドギャップともいう。その結果、該積層体は、該波長の熱線に対する選択的な反射率が向上した熱線反射材料層として機能する。
【0020】
フォトニックバンドギャップを形成するための、各層の厚さおよび周期数は、反射すべき波長帯の範囲により、計算または実験的に決定することができる。その骨子は以下の通りである。フォトニックバンドギャップの中心波長をλmとしたとき、屈折率変化の1周期の厚さθは、波長λmの熱線が1/2波長分(あるいはその整数倍でもよいが、その分膜厚が多く必要である。以下、1/2波長の場合で代表させる)だけ存在できるように設定する。これは、層の1周期内に入射した熱線が定在波を形成するための条件であり、結晶中の電子波が定在波を形成するブラッグ反射条件と同様である。電子のバンド理論では、このブラッグ反射条件を満足する逆格子の境界位置にエネルギーギャップが現れるが、フォトニックバンド理論でもこれは全く同様である。
【0021】
ここで、要素反射層に入射した熱線は、層の屈折率にほぼ逆比例して波長が短くなる。厚さがt、屈折率nの要素反射層層に波長λの熱線が垂直に入射すると、その波長はλ/nとなるから、層厚方向の波数はn・t/λとなる。これは、屈折率1、厚さn・tの層に波長λの熱線が入射した場合と同じであり、n・tを屈折率nの要素反射層の換算厚さと呼ぶことにする。
【0022】
熱線反射材料層においては、反射すべき熱線に対する高屈折率層の屈折率をn1、同じく低屈折率層の屈折率をn2とすれば、高屈折率層の換算厚さはt1×n1となり、同じく低屈折率層の換算厚さはt2×n2となる。従って、1周期の換算厚さθ’はt1×n1+t2×n2にて表される。この値が、反射させるべき熱線の波長λの1/2に等しくなっているとき、前記した高反射率帯が極めて顕著に現れる。特に、t1×n1=t2×n2の条件を満たす場合は、1周期の換算厚さθ’の2倍の波長を中心として、ほぼ左右対称な形で完全反射帯域が形成される。
【0023】
フォトニックバンドギャップの形成により、反射部材の反射率γをほぼ1とでき、有効輻射率εffを最大限に向上させることができる。その結果、熱線取出経路部での検出熱線強度Iは被測定物の輻射率εの影響を非常に受けにくくなり、被測定物の輻射率εの個体間ばらつきや、同一の被測定物内でのばらつきの影響が効果的に排除されて、被測定物の表面状態によらずその温度を正確に測定でき、本発明の温度測定システムの効果を最大限に引き出すことが可能となる。
【0024】
熱線反射材料における積層周期単位の各層の厚さおよび周期数は、反射すべき波長帯の範囲により、計算または実験的に決定することができる。そして、本発明のように屈折率差が1.1以上の材料の組合せを採用することにより、こうした完全反射に近い熱線反射率を有する積層周期構造を、比較的小さい積層周期単位の形成周期数、具体的には、5周期以下にて簡便に実現することができる。特に、屈折率差が1.5以上の組合せを用いると、4周期、3周期、あるいは2周期程度の形成周期数でも上記のような大きな熱線反射率を実現できるようになる。
【0025】
なお、反射すべき波長帯の範囲は、熱源の温度に依存する。すなわち、ある一定温度の下において物体表面の単位面積から単位時間に放射される放射エネルギーのうち、最大限度の大きさを示すものは完全黒体から放射される単色放射能である。これを式で表すと次式となる(プランクの法則)。
bλ=Aλ−5(eB/λT−1)−1〔W/(μm)
ここで、Ebλ:黒体の単色放射能〔W/(μm)〕、λ:波長〔μm〕、T:物体表面の絶対温度〔K〕、A:3.74041×10−16〔W・m〕、B:1.4388×10−2〔m・K〕である。図10は、物体表面の絶対温度Tを変化させたときの黒体の単色放射能(Ebλ)と波長との関係を示すグラフである。Tが低くなるにつれて、単色放射能のピークが低下し、長波長側にシフトすることがわかる。
【0026】
積層体を構成する要素反射層の材料は、高温に対して安定な材料であって、かつ赤外線反射のために必要十分な屈折率差を確保できる材質の組合せを選択することが望ましい。また、積層体は、屈折率が3以上の半導体又は絶縁体からなる層を、高屈折率層となる第一の要素反射層として含むものとして構成することができる。屈折率が3以上の半導体又は絶縁体を第一の要素反射層として用いることにより、これと組み合わされる第二の要素反射層との間の屈折率差を大きく確保することが容易となる。表1に本発明に適用可能な要素反射層材料の屈折率をまとめて示す。屈折率が3以上の物質として、Si、Ge、6h−SiC、及びSb、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaP、ZnTe等の化合物半導体を例示できる。半導体及び絶縁体の場合、反射すべき熱線のフォトンエネルギーに近いバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型のものは、熱線吸収を起こしやすいので、熱線のフォトンエネルギーよりも十分大きいバンドギャップエネルギー(例えば2eV以上)を有するものを使用することが望ましい。他方、これよりもバンドギャップエネルギーが小さいものであっても、間接遷移型のもの(例えばSiやGeなど)であれば熱線吸収を低くとどめることができ、本発明に好適に使用できる。このうちSiは比較的安価で薄層化も容易であり、屈折率も3.5と高い値を示す。従って、第一の要素反射層をSi層とすることで、反射率の高い積層構造を安価に実現することができる。
【0027】
次に、第二の要素反射層を構成する低屈折率材料としては、SiO、BN、AlN、Al、Si及びCN等を例示できる。この場合、選択した第一の要素反射層の材料種別に応じて、屈折率差が1.1以上となるように、第二の要素反射層の材料選定を行なう必要がある。なお、下記表1は、赤外領域における上記材質の、室温での屈折率の代表的な値をまとめたものである。このうち、特にSiO層、BN層あるいはSi層を採用することが、屈折率差を大きく確保する上で有利である。SiO層は屈折率が1.5と低く、例えばSi層からなる第一の要素反射層との間に特に大きな屈折率差を付与することができる。また、Si層の熱酸化等により形成が容易である利点がある。他方、BN層は、結晶構造や方位により差を生ずるが、その屈折率は1.65〜2.1の範囲である。また、Si層は、膜の品質によっても異なるが、1.6〜2.1程度の屈折率を示す。これらはSiOと比較すれば多少大きい値であるが、それでもSiとの間には1.4〜1.85もの大きな屈折率差を付与することができる。例えば、シリコンウェーハの製造において通常用いられる温度域(400〜1400℃)を考慮すると、前記熱反射層がSi層を必須としてさらにSiO層及びBN層の少なくともいずれかを含むように構成すること、例えば要素反射層としてSi層とSiO層及び/又はBN層とを含むように構成することが、その輻射熱を効率的に反射する上で有効である。なお、BNは融点がSiOと比較して相当高く、超高温用の用途に好適である。さらにBNは、高温で分解されてもガスとして出てくるのはNであって、ホウ素は半金属的な状態で表面に残存するため、シリコン単結晶ウェーハの電気特性に影響を及ぼさない利点がある。表2に、温度帯別の好適な材料の組合せの例を示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003783234
【0029】
【表2】
Figure 0003783234
【0030】
以下、SiとSiOを用いて一次元フォトニックバンドギャップ構造を形成することにより、赤外領域をほぼ完全に反射することができる条件を、計算により検討した結果について説明する。Siは屈折率が約3.5であり、その薄膜は波長約1.1〜10μmの赤外領域の光に対して透明である。また、SiOは屈折率が約1.5で、その薄膜は波長約0.2〜8μm(可視から赤外領域)の光に対して透明である。図4は、Si基体100上に、100nmのSi層Aと233nmのSiO層Bの2層からなる積層周期単位を4周期形成した熱線反射材料層を形成した反射部材の断面図である。このような構造であれば、図5のように1〜2μm帯での赤外線の反射率がほぼ100%となり、赤外線の透過は禁止される。なお、基体を別材質(例えば石英(SiO))にて構成し、その上に別のSi層を形成して、以降、同様のSi層AとSiO層Bの2層からなる積層周期単位を形成してもよい。
【0031】
例えば、1600℃の熱源の最大強度は1〜2μm帯にあるが、2μm〜3μm帯(1000〜1200℃程度の熱源からの、熱線スペクトルのピーク波長域に相当する)までカバーしようとすると、反射可能な波長帯の異なる別の周期性のある組合せを付加すればよい。すなわち、前述の100nm(Si)/233nm(SiO)の組合せ(図4のA/B)に、それぞれの層厚さを増加させた157nm(Si)/366nm(SiO)の組合せ(図6のA’/B’)を付加した図6のような構成とすればよい。
【0032】
このような構成にすると、図7に示すように、前述の100nm(Si)/233nm(SiO)の4周期構造が1〜2μm帯での赤外線の反射率がほぼ100%となるのに対して、157nm(Si)/366nm(SiO)の4周期構造は2〜3μm帯での赤外線の反射率がほぼ100%となる。従って、これらを重ねた図6の構造では、1〜3μm帯の反射率がほぼ100%の材料が得られる。
【0033】
同様に、3〜4.5μm帯については、Si層およびSiO層ともにさらに厚い膜の組合せを適宜選択して4周期構造を形成すればよい。SiとSiOの屈折率差よりも屈折率差の小さい層の組合せでは、必要な周期数を増加させる必要が生ずる場合もあるため、選択する2つの層としては屈折率差が大きい方が有利である。上記組合せでは全体の層の厚さを1.3μmとすることにより、1〜2μmの波長帯を、また、全体の層の厚さを3.4μmとすることにより、1〜3μm帯を、それぞれほぼ完全に反射する。
【0034】
一方、図8は、SiとSiO同様に、比較的屈折率差の大きい6h−SiC(屈折率3.2)とh−BN(屈折率1.65)とを選択し、94nm(SiC)/182nm(BN)の4周期構造を形成した熱反射層の反射率の計算結果である。この場合は、1〜1.5μm帯での光(熱線)の反射率がほぼ100%となることがわかる。
【0035】
上記本発明の温度測定システムを用いれば、以下のような本発明の加熱装置を実現することができる。すなわち、該加熱装置は、
内部に被処理物収容空間が形成された容器と、
被処理物収容空間内の被処理物としてのシリコン単結晶ウェーハを加熱するための加熱源と、
シリコン単結晶ウェーハを被測定物として、反射部材が該被測定物と対向するように配置された上記本発明の温度測定システムと、
その温度測定システムが検出する温度情報に基づいて、加熱源の出力を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0036】
該本発明の加熱装置は、被処理物の温度を本発明の温度測定システムにより測定し、その検出される温度情報に基づいて、加熱源の出力が制御される。既に詳しく説明した通り、本発明の温度測定システムを用いると、被処理物(被測定物)の輻射率εの個体間ばらつきや、同一の被処理物内での輻射率εのばらつきの影響を極めてくけにくく、被処理物の表面状態によらず温度を正確にモニタできる。従って、被処理物の温度を常時的確に把握しながら加熱源の出力調整を適切に行なうことができるから、被処理物の加熱制御を極めて精密に行なうことができる。
【0037】
加熱源は、被処理物を挟んで反射部材と反対側に配置することができる。この方法によると、反射部材を加熱源と分離して配置できるため、測定側の熱線の反射面積が増大し、被処理部の有効輻射率を高めて測定精度を向上させる効果がより顕著となる。ただし、被処理物の加熱側の表面と温度測定側の表面とが領域分離されるので、加熱に対する測温の応答性を高めるためには、加熱側表面から温度測定側表面への被処理物内の熱伝達ができるだけ速やかになされる必要がある。従って、被処理物が板状であるか熱伝導性の良好な材料からなる場合に有効な方法であるといえる。
【0038】
例えば、被処理物が板状である場合、反射部材は該板状の被処理物の第一主表面とほぼ平行に対向する反射板として構成され、加熱源は被処理物の第二主表面と加熱空隙を介して対向配置される加熱ランプとすることができる。ランプ加熱方式は熱線輻射により迅速加熱が可能であるから、加熱制御を行なう場合も、その温度測定を迅速かつ正確に行なう必要がある。板状の被処理物であれば、第二主表面側でランプ加熱を行ったとき、第一主表面側への熱伝達も速やかに進行する。従って、該側で本発明の温度測定システムにより温度測定すれば、急速加熱であるにもかかわらず、その加熱制御を極めて精密に行なうことができる。
【0039】
特に、複数の加熱ランプの各光照出部が、被処理物の第二主表面とほぼ平行な面内方向に、二次元的に配列する形で配置する、前述のRTP処理の装置構成に適用すると、シリコン単結晶ウェーハの製造工程のおいてRTPを用いて行われる種々の加熱処理を、迅速かつ正確に行なうことができ、ひいては得られるシリコン単結晶ウェーハの品質の向上、不良率の低減及び製造能率の向上に大きく寄与する。すなわち、本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方法は、板状の被処理物としてシリコン単結晶ウェーハを配置し、該シリコン単結晶ウェーハを当該加熱装置内にて加熱処理することを特徴とする。
【0040】
この場合、本発明の加熱装置は、第一主表面側での温度測定を複数箇所にて行い、複数の加熱ランプは、各測温位置に対応して配置されたものを、独立して出力制御できるように構成しておくとよい。すなわち、ランプ加熱の場合、被処理物の第二主表面側の状態によって熱線の吸収率(輻射率)εが異なる場合は、同じ出力で加熱を行っても、被処理物への入熱量が異なり、加熱ムラにつながる。しかし、上記の加熱装置の構成によれば、輻射率の影響を受けにくい本発明の温度測定システムにより、第一主表面側の複数位置において実温を正確にモニタできるから、第二主表面側での入熱にムラが生じていると、その情報はすぐに、第一主表面側の対応する測温位置の温度測定結果に反映される。そこで、その温度ムラが解消されるように、各測温位置に対応する加熱ランプの出力を個別に制御すれば(例えば、(1)温度が過度に上昇した領域のランプ出力を下げる、(2)温度上昇の程度が過度に小さいランプ出力を上げる、あるいは(1)及び(2)の組合せなど)、板状の被処理物の加熱を一層均一にかつ迅速に行なうことができる。
【0041】
本発明の適用対象はシリコン単結晶ウェーハ(シリコン単結晶基板上にシリコン単結晶薄膜を気相成長したシリコンエピタキシャルウェーハを概念として含む)である。具体的には、急速熱酸化膜形成法(RTO:熱酸化膜の成長)、急速熱アニーリング(RTA:シリコン単結晶をウェーハに加工した後の、欠陥除去や不純物拡散のための熱処理、あるいはドナーキラー処理など)、急速熱化学気相堆積(RTCVD:シリコン単結晶薄膜あるいはCVD酸化膜の気相成長)、あるいは急速熱窒化(RTN:キャパシタ容量膜、酸化マスク材、パッシベーション膜などの形成)など、シリコン単結晶ウェーハの製造において用いられる、あらゆるRTP処理に適用することができる。
【0042】
特に、RTO処理の場合は、加熱処理を、シリコン単結晶ウェーハの表面に酸化膜を形成するために、酸素含有雰囲気中にて行なう。このような熱酸化膜を前述のように2nm以下の極薄に形成する場合は、僅かな過熱ムラや温度ずれでも、得られる熱酸化膜の厚さやその面内分布にも大きな誤差やバラツキを生じ、歩留まりの低下に直結してしまう問題がある。しかし、上記本発明の加熱装置を採用すれば、温度制御を極めて精密に行なうことができ、こうした極薄の熱酸化膜形成における不良低減に大きく寄与する。
【0043】
また、シリコンエピタキシャルウェーハを製造する場合は、シリコン単結晶ウェーハの表面にシリコン単結晶薄膜を気相成長するために、容器内に該シリコン単結晶薄膜の原料ガスを導入しながら加熱処理を行なうこととなる。この場合、シリコン単結晶ウェーハの温度ムラは、その上に気相成長されるシリコン単結晶薄膜の膜厚分布や残留応力に大きな影響を及ぼす。例えば、膜厚分布の幅や残留応力による基板の反りが大きくなると、シリコンエピタキシャルウェーハ主表面の平坦度のばらつきが激しくなり、例えばICやLSIなどのデバイス製造時において、フォトリソグラフィー工程の露光精度に大きな影響を及ぼす。また、過度の残留応力はウェーハにスリップ転位などの欠陥をもたらし、歩留まり低下やデバイスの動作不良を引き起こす場合がある。しかし、本発明の方法を採用すると、シリコン単結晶ウェーハの温度ムラを小さくでき、シリコン単結晶薄膜の膜厚制御や反り防止等を容易に行なうことが可能となる。1μm以下の極薄のシリコン単結晶薄膜を成長する場合には特に有効である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置1であり、RTP用の加熱装置として構成されている。該加熱装置1において被処理物はシリコン単結晶ウェーハ16であり、該ウェーハ16の収容空間14が形成された容器2と、収容空間14内のウェーハ16を加熱するためのタングステン−ハロゲンランプなどで構成された加熱ランプ46と、反射板(反射部材)28がウェーハ16と対向するように配置された温度測定システム3とを備える。収容空間14の内部は、排気ポート71により真空排気される。反射板28はウェーハ16の第一主表面(図面において下面側)とほぼ平行に対向し、加熱ランプ46はウェーハ16の第二主表面(図面において上面側)と、加熱空隙15を介して対向配置されている。反射板28は、反射面35aを構成する部分が、図4に示すような、1次元フォトニックバンドギャップ構造をなすSi/SiOの積層周期構造からなる熱線反射材料24とされている。この実施形態では、2μm〜3μm帯(ウェーハ16の目標加熱温度を1000〜1200℃程度としたとき、該ウェーハ16からの熱源スペクトルのピーク波長域に相当する)の熱線をほぼ完全反射できるようにするため、膜厚の組合せを157nm(Si)/366nm(SiO)とした4周期構造としている(つまり、図6のA’/B’と等価である)。また、基体100はSiであるが、石英基板上にSi層を形成した基体を用いてもよい。
【0045】
加熱ランプ46は複数設けられ、各ランプの光照出部44が、ウェーハ16の第二主表面とほぼ平行な面内方向に、二次元的に配列する形で配置されている。また、ウェーハ16は、収容空間14内において、支持リング18により保持される。この支持リング18は、図示しない回転駆動機構により回転する石英製の回転シリンダ20に結合され、自身が保持するウェーハ16を、収容空間14内にて面内方向に回転させる。
【0046】
図2は図1の加熱装置1の断面構造を示すものである。反射板28は、ウェーハ16の第一主表面を温度測定面として、該第一主表面との間に反射空隙35を形成する形で対向配置されている。そして、ウェーハ16からの熱線を自身と温度測定面との間で多重反射させるために、反射面35aを含む部分が特定波長帯の熱線を反射する熱線反射材料にて構成されている。また、熱線取出通路部として機能するグラスファイバ30が、一方の端がウェーハ16の第一主表面に臨むように、反射板28を貫通して配置される。
【0047】
ウェーハ16の第一主表面側での温度測定を複数箇所にて行なうことができるよう、熱線取出通路部となるグラスファイバ30も複数本設けられている。そして、複数の加熱ランプ46は、グラスファイバ30による各測温位置に対応して配置されたものが、独立して出力制御できるようにしてある。この場合、全ての加熱ランプ46を独立して出力制御できるようにしてもよいし、1つのグラスファイバ30(熱線取出通路部)に複数個の加熱ランプ46の組を対応付け、組毎に独立して出力制御できるようにしてもよい。
【0048】
グラスファイバ30を介して反射空隙35より取り出される熱線は、温度検出部をなす周知の放射温度計34により個別に検出され、温度情報を反映した電気信号(以下、温度信号という)に変換される。図3は、加熱装置1の制御系の電気的構成の一例を示すブロック図である。制御部は、入出力インターフェース54、CPU55、加熱制御プログラムを記憶したROM57、CPU55のワークエリアとなるRAM56等を備えたコンピュータとして構成されている。入出力インターフェース54には、個別のD/A変換器52とランプ電源51とを介して各加熱ランプ46が接続されている(図面では、簡略化のためD/A変換器52、ランプ電源51及び加熱ランプ46の組を1つのみ描いている)。また、入出力インターフェース54には、グラスファイバ30にて構成された個々の熱線取出通路部を介して温度検出する放射温度計34が、A/D変換器53を介して接続されている。
【0049】
図9は、熱線反射材料24の製造フローを示している。まず、熱線反射材料の基体23となる材料を選択し、必要な形状に加工する(図9(a))。図9において、基体23の材料としては、機械的強度のある耐熱性の基体であることが好ましく、Si、SiO、SiC、BNなどが適している。これらは、半導体デバイスを作製するための基板や、それらの基板を熱処理する一般的な熱処理装置の反応管や熱処理治具等に用いられており、汎用性が高く、様々な形状に加工が可能である。
【0050】
次に、この基体23の表面に発熱体から放射される熱線に対して透明な第一の要素反射層Bを形成する(図9:工程(b))。その後、第一の要素反射層Bの表面に、該第一の要素反射層Bとは屈折率が異なる第二の要素反射層Aを形成する(図9:工程(c))。これらの層の形成方法は特に限定されないが、CVD法を用いればSi、SiO、SiC、BN、Siなどの様々な種類の層を形成することができる。また、基体23がSi基板の場合には、熱酸化により第一の要素反射層となるSiO層の第1層目を形成することができる。同様に、第一又は第二の要素反射層をSi層とした場合にも、熱酸化によりその表面に他の要素反射層としてのSiO層を形成することができる。次に、これら第一および第二の要素反射層を2周期以上形成した周期構造24を作製することにより、本発明の熱線反射材料20が形成される(図9:工程(d))。
【0051】
以下、加熱装置1の動作について説明する。すなわち、図2の収容空間14にて支持リング18上にウェーハ16を配置し、収容空間14を真空吸引する。その後、図示しないガス導入口から収容空間14に水素ガスを導入する。この状態で、図3の制御部のCPU55は、制御プログラムの実行を開始する。すなわち、予め記憶装置58に記憶されたヒートパターン58(保持目標温度の設定値を含む:例えばキーボード等で構成された入力部59より入力可能である)に従い、各加熱ランプ46へ出力指示信号を出力する。この信号は、D/A変換器52にてアナログ電圧指示値に変換され、各ランプ電源51に入力される。各ランプ電源51は、このアナログ電圧指示値に対応する出力にて対応する加熱ランプ46を駆動する。これにより、ウェーハ16は図2に示すように、第二主表面側にて複数の加熱ランプ46により加熱される。
【0052】
他方、ウェーハ16の温度は、第一主表面側においてグラスファイバ30により各位置から取り出される熱線を、放射温度計34により個別に検出する形で測定される。放射温度計34は、検出した各位置の輻射熱線強度を、付属の図示しないセンサ周辺回路を介して直読可能な温度信号として出力し、これがA/D変換器53によりデジタル変換されて、制御部に入力される。
【0053】
制御部は、各位置の温度信号を受けてこれをヒートパターンが与える目標温度値と比較し、その差が縮小するように加熱ランプへの出力指示値を調整するフィードバック制御を行なう。なお、オーバーシュートやハンチングなどの制御の不安定化を抑制するために、温度信号の微分あるいは積分に関してもフィードバックを行なうPID制御を行なうこともできる。なお、各位置の温度信号は、それぞれ特定の加熱ランプ46と予め対応付けがなされており、上記の制御がそれぞれ独立に行われる。なお、本実施形態では、ウェーハ16を面内方向に回転させるようにしており、ウェーハ16の周方向には平均化された温度測定情報しかえられないが、半径方向においては、該半径方向に配列したグラスファイバ30により所望の位置にて測温できる。従って、その結果を受けて、該半径方向に配列する複数の加熱ランプ46の出力を調整することにより、ウェーハ16の半径方向の温度分布を自由に調整でき、例えばウェーハ中心部と周辺部との温度差を縮小するなどの効果を得ることができる。
【0054】
例えば、熱酸化膜の形成処理であれば、収容空間14に水素ガスとともに酸素あるいは水蒸気などの酸素含有ガスを適量流通させながら加熱処理を行なう。他方、シリコン単結晶薄膜のCVD気相成長であれば、水素ガスをキャリアガスとして、トリクロロシランなどの薄膜の原料ガスを適量流通させながら加熱処理を行なう。この加熱処理の制御に対して、熱線反射材料24がどのように寄与するかは、「課題を解決するための手段及び作用・効果」の欄にて既に詳しく説明したので、ここでは繰り返さない。重要な点は、反射板28の熱線反射率が熱線反射材料24の採用によりほぼ1となることで、ウェーハ16の有効熱輻射率が飛躍的に高められ、表面状態等により次々に処理されるウェーハ16の実輻射率が個体間でばらついていたり、あるいはウェーハ16内にて実輻射率が分布を有している場合でも、その影響をほとんど受けなくなり、常に正確な温度測定が実現することである。その結果、上記のようなシリコン単結晶ウェーハの製造にあっては、極薄の酸化膜でも均一にかつ高歩留まりにて形成可能となり、また、膜厚の均一なシリコン単結晶薄膜を気相成長できるようになる。
【0055】
なお、本発明の温度測定システムは、輻射率により温度測定結果が影響を受けやすい被測定物であれば、どのようなものであっても測定精度向上の効果を有効に発揮しうる。例えば、酸化等により輻射率が変化しやすい高温金属部材の温度測定にも好適に使用できる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明で使用した熱線反射材料の、効果確認のために行った実験結果について説明する。直径150mmのシリコンウェーハに1000℃のドライ酸化により233nm熱酸化膜を形成した。その後、熱酸化膜表面に減圧CVD法により厚さ205nmの多結晶シリコン層を堆積した。そして、再度熱酸化を行い、100nmの多結晶シリコンを残して233nmの熱酸化膜を形成した。
【0057】
その後、厚さ205nmの多結晶シリコン層、厚さ233nmの熱酸化膜の形成を2回繰り返し、最後に100nmの多結晶シリコン層を堆積して、図4に示すような多結晶シリコン層/熱酸化膜の4周期構造を形成した。これはプロセスの都合上ウェーハの両面に形成した。
【0058】
このウェーハに赤外光を照射し、透過光を測定することにより吸収スペクトルを測定した。また、リファレンスとして周期構造の層を形成しないシリコンウェーハの吸収スペクトルを測定した。そして、これらの差スペクトルを取り、図11に示した。図11の結果から、波長帯約1〜2μm(1000〜2000nm)の差スペクトル強度が大きいことがわかる。これは、ウェーハ表面の周期構造により波長1〜2μm帯の反射率が増大したため、その波長帯の光の透過率が減少したことによって、見かけ上、その波長帯の吸収が増大したように見えるスペクトルが得られたものである。すなわち、本発明のウェーハは、リファレンスに比べて波長帯約1〜2μmの赤外光の反射率が極めて高いことを示している。これは、図5の計算結果とほぼ一致するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 RTP装置として構成した本発明の加熱装置の一実施形態を示す部分断面斜視図。
【図2】 図1の内部構造を示す断面図。
【図3】 図1の加熱装置の制御部の電気的構成例を示すブロック図。
【図4】 本発明のSi層とSiO層の4周期構造を有する熱線反射材料の断面図である。
【図5】 図4の構造を有する熱線反射材料の熱線反射率特性を示す図である。
【図6】 図4の4周期構造に、厚さの異なるSiとSiOの4周期構造を積層した構造を有する熱線反射材料の断面図である。
【図7】 図6の構造を有する熱線反射材料の熱線反射率特性を示す図である。
【図8】 本発明の6h−SiC層とh−BNの4周期構造を有する熱線反射材料の熱線反射率特性を示す図である。
【図9】 本発明に用いる熱線反射材料の製造フローを示す図である。
【図10】 物体表面の絶対温度Tを変化させたときの黒体の単色放射能(Ebλ)と波長との関係を示すグラフである。
【図11】 本発明の実施例における熱線反射材料とリファレンスとの吸収率の差スペクトルを示す図。
【符号の説明】
1 加熱装置
2 容器
3 温度測定システム
14 収容空間
15 加熱空隙
16 シリコン単結晶ウェーハ(被処理物、被測定物)
24 熱線反射材料
28 反射板(反射部材)
30 グラスファイバ(熱線取出通路部)
35 反射空隙
35a 反射面
44 光照出部
46 加熱ランプ

Claims (11)

  1. 加熱装置内に、板状の被処理物としてシリコン単結晶ウェーハを配置し、該シリコン単結晶ウェーハを当該加熱装置内にて1000〜1200℃にて加熱処理するシリコン単結晶ウェーハの製造方法に使用され、かつ、前記シリコン単結晶ウェーハの温度を、該シリコン単結晶ウェーハから輻射される熱線を検出することにより測定するシステムであって、
    前記シリコン単結晶ウェーハの温度測定面に対し、該温度測定面との間に反射空隙を形成する形で対向配置され、前記熱線を自身と前記温度測定面との間で多重反射させるために、反射面を含む部分が特定波長帯の熱線を反射する熱線反射材料にて構成された反射部材と、
    一方の端が前記温度測定面に臨むように、前記反射部材を貫通して配置される熱線取出通路部と、
    前記熱線取出通路部を介して前記反射空隙より取り出される前記熱線を検出することにより、前記温度測定面における前記シリコン単結晶ウェーハの温度を測定する温度検出部とを備え、
    前記熱線反射材料を、互いに隣接するSi層とSiO層とからなり、反射対象となる熱線の波長域で1次元フォトニックバンドギャップ構造を形成するように前記Si層とSiO層との厚さが定められた積層周期単位を、基体表面に2周期以上形成したものとして構成され、
    かつ、前記温度検出部による前記シリコン単結晶ウェーハの測定温度が1000℃以上1200℃以下に定められてなることを特徴とする温度測定システム。
  2. 前記熱線の前記特定波長帯が、1〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の温度測定システム。
  3. 前記積層周期単位の形成周期数が5周期以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温度測定システム。
  4. 前記積層周期単位の形成周期数が4周期以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  5. 内部に被処理物収容空間が形成された容器と、
    前記被処理物収容空間内の被処理物としてのシリコン単結晶ウェーハを加熱するための加熱源と、
    前記シリコン単結晶ウェーハを前記被測定物として、前記反射部材が該被測定物と対向するように配置された請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の温度測定システムと、
    前記温度測定システムが検出する温度情報に基づいて、前記加熱源の出力を、前記シリコン単結晶ウェーハが1000〜1200℃に加熱されるように制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする加熱装置。
  6. 前記加熱源は、前記被処理物を挟んで前記反射部材と反対側に配置されることを特徴とする請求項5記載の加熱装置。
  7. 前記被処理物は板状であり、前記反射部材は該板状の被処理物の第一主表面とほぼ平行に対向する反射板として構成され、前記加熱源は前記被処理物の第二主表面と加熱空隙を介して対向配置される加熱ランプであることを特徴とする請求項6記載の加熱装置。
  8. 複数の前記加熱ランプの各光照出部が、前記被処理物の第二主表面とほぼ平行な面内方向に、二次元的に配列する形で配置されてなる請求項7記載の加熱装置。
  9. 請求項7又は8記載の加熱装置内に、板状の前記被処理物として前記シリコン単結晶ウェーハを配置し、該シリコン単結晶ウェーハを当該加熱装置内にて1000〜1200℃にて加熱処理することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  10. 前記加熱処理を、前記シリコン単結晶ウェーハの表面に酸化膜を形成するために、酸素含有雰囲気中にて行なうことを特徴とする請求項9記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  11. 前記シリコン単結晶ウェーハの表面にシリコン単結晶薄膜を気相成長するために、前記容器内に該シリコン単結晶薄膜の原料ガスを導入しながら前記加熱処理を行なうことを特徴とする請求項9記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
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