JP3780496B2 - Surface acoustic wave filter - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電基板上に複数の弾性表面波電極をラダー型に構成してなる弾性表面波フィルタに関し、特に、フィルタの通過帯域における低域側の肩特性を改善した弾性表面波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信機器において、高周波用の帯域フィルタとして、複数の弾性表面波電極を圧電基板上に構成してなる弾性表面波フィルタが知られている。例えば、特開平5−183380号公報には、圧電基板上に複数の弾性表面波電極によりラダー型フィルタ回路を構成した弾性表面波フィルタが開示されている。
【0003】
図8は、上記先行技術に開示されている弾性表面波フィルタを説明するための模式的な回路図である。
従来の弾性表面波フィルタ510は、矩形の圧電基板520を用いて構成されている。圧電基板520上には、弾性表面波電極(不図示)からなる共振子530,540,550,560が配設されている。すなわち、図に示すように、入力端子570と出力端子580との間に構成される直列腕において共振子530,540が直列に接続されている(各共振子530,540を直列共振子と称す。また、共振子530,540を併せて直列共振子群と称す。以下同じ。)。また、直列腕とグランド電極590との間に、共振子550,560が並列に接続されている(各共振子550,560を並列共振子と称す。また、共振子550,560を併せて並列共振子群と称す。以下、同じ。)。なお、直列共振子530,540と並列共振子550,560とは入出力間において交互に配置されており、各並列共振子550,560は夫々インダクタンス555,565を介してグランド電極590に接続されている。
この直列共振子530と並列共振子550の1組で1段のラダー型フィルタを構成しており、同様に直列共振子540と並列共振子560の1組で1段のラダー型フィルタを構成している。
【0004】
従来の弾性表面波フィルタ510の動作原理は以下の通りである。図9は直列・並列共振子530〜560を形成する各弾性表面波電極の構造を説明する図である。図では1ポート型弾性表面波共振子の電極部分のみが模式的に示されている。
【0005】
図において、700は弾性表面波電極である。弾性表面波電極700は中央に配置されたIDT710の両側に反射器720,730を配置した構造を有する。
IDT710は、複数の電極指711を有する櫛歯状電極710aと、複数の電極指712を有する櫛歯状電極710bとを、互いの電極指711,712が間挿し合うように交叉して配置した構造を有する。なお、例えば、櫛歯状電極710aは入出力電極に接続され、また櫛歯状電極710bはグランド電極に接続される。
【0006】
このような構造の弾性表面波電極700のIDT710に入力された信号により励振された表面波が、反射器720,730で反射されて定在波とされ、反射器720,730間に閉じ込められ高いQ値を有する共振子として動作する。この弾性表面波電極700のインピーダンス特性においては、周知のように、共振周波数でインピーダンスが低くなる極が存在し、反共振周波数においてインピーダンスが高くなる極が現れる共振特性を有するようになる。
【0007】
このような構造の直列・並列共振子530〜560を有した弾性表面波フィルタ510では、弾性表面波電極700のインピーダンス特性を利用して所望の帯域幅を有する通過帯域を得ている。すなわち、各直列共振子530,540の共振周波数と、各並列共振子550,560の反共振周波数とを略一致させることにより、この間の周波数付近において入出力インピーダンスを特性インピーダンスと整合させており、それによって通過帯域を構成している。特にラダー型フィルタ回路では、弾性表面波電極700は所定のインピーダンス特性を有するため、直列共振子530,540の反共振周波数付近では非常に高インピーダンスとなり、逆に並列共振子550,560の共振周波数付近では非常に低インピーダンスとなるため、この特性を利用してラダー型フィルタ回路では、高域側の阻止域から通過帯域を介して低域側の阻止域を形成した幅広のフィルタ特性を得ることになる。
【0008】
このようなラダー型フィルタ回路において減衰極の減衰量を改善する方法として共振子に弾性表面波電極で形成したLC回路を設けたり(特開平9−232906)、外部接続時のワイヤ長を変えることでワイヤ自体のもつインダクタンス値を変化させ減衰極の位置を変え減衰量を調整する(特開平11−55067)技術が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の移動体通信システムにおいては、電波の有効利用のために規格が決められており、例えば、米国のPCS規格では受信帯域が1930〜1990MHz、送信帯域が1850〜1910MHz、送受信フィルタの通過帯域同士の間隔は20MHzとなり、受信帯域に隣接して送信帯域が形成されているため、受信用フィルタにおいては、広帯域を維持しつつ、充分な減衰量と通過帯域における低挿入損失を確保することが必要となる。従って、隣接する受信帯域の低域側(左肩側)において阻止域から通過帯域の急峻な特性が必要となるが、上述の特開平9−232906や特開平11−55067の何れの技術でもってしてもフィルタ特性における広帯域化・左肩側の急峻化の達成は困難であった。
【0010】
本発明は上述の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、特別なLC回路等がなくても、広域化を維持しつつ、フィルタの通過帯域における低域側の急峻性を十分取ることができる弾性表面波フィルタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明は、圧電基板の表面に、入力端子と出力端子との間に複数の弾性表面波電極が直列接続された直列共振子群と、直列共振子群の各弾性表面波電極の入力端子側あるいは出力端子側とグランドとの間に複数の弾性表面波電極が並列に接続された並列共振子群とを配すると共に、直列共振子群の弾性表面波電極で形成される共振周波数と並列共振子群の弾性表面波電極で形成される反共振周波数を略一致させることでフィルタの通過帯域を形成した弾性表面波フィルタにおいて、
前記並列共振子群の弾性表面波電極のうち、一部の弾性表面波電極は、得られるQ値を他の弾性表面波電極で得られるQ値よりも劣化させたQ値劣化構造とすると共に、前記一部の弾性表面波電極で形成する共振周波数が他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する反共振周波数よりも低く、かつ他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する共振周波数よりも高くしたことを特徴とする弾性表面波フィルタを提供する。
【0012】
本発明の構成によれば、前記一部の弾性表面波電極はQ値劣化構造とし、その共振周波数が、他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する反共振周波数よりも低く、かつ他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する共振周波数よりも高くしたために、フィルタ特性において低域側の減衰極から通過帯域に入るまでの間に新たな減衰極が形成され、これによりフィルタの通過帯域が広帯域を確保しつつ、通過帯域の低域側の急峻度が大きくなり十分な肩特性を確保する事が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る弾性表面波フィルタの構造を示す図であり、図2は本発明の特徴を説明するための並列共振子の拡大図である。
図1において弾性表面波フィルタAは、圧電基板1の主面に、入力端子(IN)と出力端子(OUT)との間に複数の弾性表面波電極54,55,56が直列に接続された直列共振子群と、弾性表面波電極57,58,59,60が入出力端子(IN,OUT)とグランド(GND)に対して並列に接続された並列共振子群が形成されている。以下、直列共振子群の弾性表面波電極54〜56の夫々を直列共振子と称し、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の夫々を並列共振子と称す。
【0014】
直列共振子群の弾性表面波電極54,55,56及び並列共振子群の弾性表面波電極57,58,59,60は、何れも中央に櫛歯状のインターデジタルトランスデューサ(以下、IDT)54a〜60aを有し、その両側に反射器54b,54c,55b,55c・・・60b,60cを形成した構造を有する。
【0015】
圧電基板1は所定カット角、所定伝搬方向となるように矩形状に切断処理された水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム等から成る。
また、弾性表面波電極54,55,56及び弾性表面波電極57,58,59,60は、例えば、アルミニウム薄膜からなり、その厚みは0.1〜0.3μmで所定のパターンに被着形成されている。また、IDT54a〜60a及びその両側の反射器54b,54c,55b,55c・・・60b,60cの電極指幅及び電極指間隔は、例えば、弾性表面波の波長λに対して略1/4λとなっている。
【0016】
IDT54a〜60aの構造としては、例えば、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60のIDT57a〜60aの構造は図2(a)(b)に示すように、電極指A1及びそれに交叉する電極指A2が互いに交叉して配設されており、発生する弾性表面波の伝搬方向に直交して整列しており、例えば、電極指A1及び電極指A2の電極幅Pwと各電極指A1、A2の電極指間隔Ppは略同じ長さに設定されている。なお、本実施例では電極幅Pwと電極指間隔Ppの長さは略同じに設定したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、電極幅Pwと電極指間隔Ppの長さを異ならせたとしても本発明の同様の効果を得ることができる。
【0017】
61は入力端子であり、62は出力端子である。入力端子61から直列にIDT54a〜56aが接続され出力端子62につながっている。これらにIDT57a〜60aの一方側が各反射器57b,58c,59c,60bを通じて接続されており、他方側が各反射器57c,58b,59b,60cにより各グランド電極(GND)に接続されている。
【0018】
ここで、本発明では、図3に示すように、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の内、弾性表面波電極60は、得られるQ値を劣化させるQ値劣化構造となっている。更に、Q値劣化構造に加えて、弾性表面波電極60の共振周波数Frが並列共振子群の弾性表面波電極57〜59の反共振周波数Faよりも低く、かつ弾性表面波電極57〜59の共振周波数Frよりも高くになるようにした。
【0019】
ここで、Q値は一般的にQ=2πFL/R(F:共振周波数 L:インダクタンス R:共振抵抗)としてあらわされるが、本発明は、弾性表面波電極60の共振周波数Frがフィルタの通過帯域に近く、かつ弾性表面波電極60で得られるQ値を低くすることで通過帯域の左肩を急峻なものにすることを見出したものである。
【0020】
Q値を劣化させる程度としては、弾性表面波電極60の共振周波数Frでのインピーダンスが弾性表面波電極57〜59の共振特性中で共振周波数Frと反共振周波数Faで結ばれる軌跡に近づくように共振特性の挿入損失を劣化させると良い。
【0021】
Q値劣化構造としては、共振抵抗Rを高くするように形成すれば良く、高くするためには以下のような具体的構成とすると良い。
具体的に、弾性表面波電極60の各電極指A1、A2の対数が弾性表面波電極57〜59の各電極指A1、A2の対数に比べて少なくすることで共振抵抗Rが高くなりQ値を劣化させることができる。
また、弾性表面波電極60の各電極指A1、A2同士が交叉した長さPxが他の弾性表面波電極57〜59の各電極指同士が交叉した長さPxに比べて短くすることで共振抵抗Rを高くしてQ値を劣化させることができる。
【0022】
さらに、図4に示すように、弾性表面波電極601は櫛歯状電極から形成されたサブ電極61、62から構成され、そのサブ電極61、62が互いに直列に接続されている。この櫛歯状電極からなるサブ電極61は一方が入力端子(IN)と出力端子(OUT)を結ぶ線に接続される電極61aと、電極61aに対向する電極61bと、電極61aに接続するサブ電極62の一方の電極62aと、電極62aに対向してグランド側に接続される電極62bとが直列に接続されている。この直列接続のため、共振抵抗Rが図1の弾性表面波電極60に比べて高くなり、Q値を劣化させることができる。
【0023】
一方、弾性表面波電極60で形成する共振周波数Frが他の並列共振子群の弾性表面波電極57〜59で形成する反共振周波数Faよりも低く、かつ他の並列共振子群の弾性表面波電極57〜59で形成する共振周波数Frよりも高くする為の手段としては、図2に示すように、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の電極指の幅Pwと各電極指同士の電極指間隔Ppで構成する電極指ピッチを、弾性表面波電極60よりも他の弾性表面波電極57〜59が長くなるように形成するとよい。この場合、電極指ピッチを変えるのは、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の各電極指の幅Pwを略同じとし、各電極指同士の電極指間隔Ppを変更する方法、各電極指同士の電極指間隔Ppを略同じとし、各電極指の幅Pwを変える方法及び並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の各電極指の幅Pwを変更し、かつ各電極指同士の電極指間隔Ppを変更する方法があげられる。
【0024】
また、弾性表面波電極60のメタライゼーションレシオ(電極指ピッチに対する電極指幅Pwの比をいう。以下同じ)よりも他の並列共振子群の弾性表面波電極57〜59のメタライゼーションレシオが大きくなるように形成する方法がある。例えば、図2(a)に示す弾性表面波電極57〜59について、電極指A1、A2の電極指幅をPw=0.500μm、電極指間隔Pp=0.500μmとし、図2(b)に示す弾性表面波電極60について、電極指幅をPw=0.400μm、電極指間隔Pp=0.600μmとすることで、得られる共振周波数を異ならせることができる。
【0025】
また、他の方法としては、弾性表面波電極60の電極厚みを他の並列共振子群の弾性表面波電極57〜59の電極厚みに比べて薄くしても良い。
【0026】
なお、上述では並列共振子群の1つの弾性表面波電極60で並列共振子群の他の弾性表面波電極57〜59により形成される減衰極よりも高周波側に極を形成しているが、これに限定されることはなく並列共振子群の2つ以上の弾性表面波電極で形成してもよい。このような構成にしても同様の効果が得られる。
【0027】
かくして、本発明の弾性表面波フィルタAによれば、従来、並列共振子群の弾性表面波電極57〜60の減衰極が通過帯域の低域側の減衰極を形成するのに用いていたのに対して、並列共振子群の一つの弾性表面波電極60をQ値劣化構造とすると共に、その共振周波数Frが、他の弾性表面波電極57〜59の反共振周波数Faよりも低く、かつ他の弾性表面波電極57〜59の共振周波数Frよりも高くなるようにしたために、フィルタ特性において低域側の減衰極から通過帯域に入るまでの間で新たにもう1つの極が形成され、これによりフィルタの通過帯域が広帯域を確保しつつ、通過帯域の低域側の急峻度が大きくなり十分な肩特性を確保する事が可能となる。しかも、通過帯域減衰特性はほとんど変化しないため、従来の設計方法はそのまま使用できるものである。
【0028】
また、従来は外部引きまわし電極であるアルミ線ワイヤや金線ワイヤのワイヤ長を変えることでワイヤのもつインダクタンス値を変えて低域側の減衰域の減衰量を確保しており結線状態により極の位置が微妙にずれ、特性検査の歩留まりを落とす原因になっていたが、本発明によれば、そのようなものを利用せずに通過帯域低域側肩特性を急峻にできるため安定した歩留まりも確保できるものである。
【0029】
【実施例】
次に本発明の作用効果を確認するために本発明の実施例を示す。
(実施例1)
圧電基板1としては42°Y−Xタンタル酸リチウム基板を用い、その表面にAlまたはAl合金からなる直列共振子の弾性表面波電極54,55,56及び並列共振子の弾性表面波電極57,58,59,60を図1の配線のように形成した。これにより、中心周波数1.96GHzのラダー型SAWフィルタを製作した。
【0030】
この場合、直列共振子の弾性表面波電極54,55,56の交叉幅PxはPx=10〜15λ、並列共振子の弾性表面波電極57,58,59の交叉幅Pxは何れもPx=30λ、弾性表面波電極60の交差幅PxはPx=20λとした。また、直列共振子の弾性表面波電極54,55,56の電極対数を95対、並列共振子の弾性表面波電極57,58,59の電極対数を45対、弾性表面波電極60の電極対数を15対としている。
また、弾性表面波電極57、58,59の電極指幅Pw及び電極指間隔Ppの双方を、Pp、Pw=0.503μmとし弾性表面波電極60の電極指幅Pwと電極指間隔Ppの双方をPw、Pp=0.500μmとして弾性表面波電極57〜59よりも電極指ピッチを短くした。なお、直列共振子の弾性表面波電極54、55、56の電極指幅Pwと電極指間隔Ppの双方をPp、Pw=0.4845μmとし、電極幅Pw及び電極指間隔Ppは同じ長さに設定されている。
【0031】
このように形成した弾性表面波フィルタAのフィルタ特性を図5に示す。このとき、図5の縦軸は減衰量(5dB/div)であり、横軸は規格化周波数(中心周波数f0:1960MHz、span:196MHz)である。
【0032】
図5において0.97近傍に並列共振子の弾性表面波電極57〜59による減衰極が形成されている。さらに、1.04近傍に直列共振子の弾性表面波電極54,55,56による減衰極が形成されている。
【0033】
図5に示すように、通過帯域低域側の極の高周波側に並列共振子の弾性表面波電極60による減衰極Bが形成されることで低域側の通過域肩特性が急峻となり通過域特性が広帯域となっていることがわかる。
これに対し比較例として、直列共振子の弾性表面波電極54,55,56の交叉幅Pxは何れもPx=10〜15λ、並列共振子の弾性表面波電極57〜60の交叉幅Pxは何れもPx=30λとして同じ長さに形成し、また並列共振子の弾性表面波電極57〜60のPwおよびPpは何れもPw,Pp=0.503μmとした。
また、直列共振子の弾性表面波電極54,55,56の電極対数を95対、並列共振子の弾性表面波電極57〜60の電極対数を45対とし、電極幅Pw及び電極指間隔Ppを同じ長さに設定した比較例の弾性表面波フィルタを形成してフィルタ特性を図6に示した。図6の縦軸も減衰量(5dB/div)であり、横軸は規格化周波数(中心周波数f0:1960MHz、span:196MHz)とする。
このフィルタ特性によれば、通過帯域の低域側肩特性のスペックを十分満足するものが得られてないことがわかる。
(実施例2)
図1で示す弾性表面波電極60を図4で示す弾性表面波電極601(直列に接続されたサブ電極61、62の構造)とする以外は実施例1と同一条件で実験を行った。なお、サブ電極61、62の何れもが交叉幅PxはPx=20λ、電極指幅Pw及び電極指間隔Ppの双方をPp、Pw=0.5μmとした。また、電極対数を45対としている。
このように実験されたフィルタ特性を図7に示す。この結果でもサブ電極61,62で構成される直列共振子の弾性表面波電極601が図1で示した弾性表面波電極60に比べて共振抵抗が増加して弾性表面波電極601のQ値が他の並列共振子群の弾性表面波電極57〜59のQ値に比べて劣化しており、さらに弾性表面波電極60の共振周波数を、弾性表面波電極57〜59の反共振周波数よりも低く、かつ弾性表面波電極57〜59の共振周波数よりも高くしているので、通過帯域の左肩に新たな減衰極が発生し、通過帯域の低域側の急峻度が大きくなっていることが理解できる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、一部の弾性表面波電極はQ値劣化構造とし、その共振周波数を、他の弾性表面波電極の反共振周波数よりも低く、かつ他の弾性表面波電極の共振周波数よりも高くしたために、フィルタ特性において低域側の減衰極から通過帯域に入るまでの間に新たな減衰極が形成され、これによりフィルタの通過帯域が広帯域を確保しつつ、通過帯域の低域側の急峻度が大きくなり十分な肩特性を確保する事が可能となる弾性表面波フィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図2】(a)は弾性表面波電極57〜59を示す図、(b)は弾性表面波電極60の構成を示す図である。
【図3】本発明の弾性表面波電極57〜59と弾性表面波電極60との共振特性を示す図である。
【図4】本発明の他の弾性表面波フィルタを説明する回路図である。
【図5】本発明のフィルタ特性を示す特性図である。
【図6】比較例のフィルタ特性を示す特性図である。
【図7】本発明の他の弾性表面波フィルタにおいてのフィルタ特性を示す特性図である。
【図8】従来の弾性表面波フィルタを説明するための模式的平面図である。
【図9】1ポート型弾性表面波電極を説明するための拡大平面図である。
【符号の説明】
A:弾性表面波フィルタ
1:圧電基板
54〜56:直列共振子の弾性表面波電極
57〜60:並列共振子の弾性表面波電極
61:入力端子
62:出力端子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a surface acoustic wave filter in which a plurality of surface acoustic wave electrodes are formed in a ladder shape on a piezoelectric substrate, and more particularly to a surface acoustic wave filter having improved low-side shoulder characteristics in the pass band of the filter.
[0002]
[Prior art]
In mobile communication devices, a surface acoustic wave filter having a plurality of surface acoustic wave electrodes formed on a piezoelectric substrate is known as a high-frequency bandpass filter. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 5-183380 discloses a surface acoustic wave filter in which a ladder type filter circuit is configured by a plurality of surface acoustic wave electrodes on a piezoelectric substrate.
[0003]
FIG. 8 is a schematic circuit diagram for explaining the surface acoustic wave filter disclosed in the prior art.
A conventional surface
A single-stage ladder filter is configured by one set of the
[0004]
The operation principle of the conventional surface
[0005]
In the figure,
In the IDT 710, a comb-like electrode 710a having a plurality of
[0006]
The surface wave excited by the signal input to the IDT 710 of the surface
[0007]
In the surface
[0008]
In such a ladder type filter circuit, as a method of improving the attenuation amount of the attenuation pole, an LC circuit formed by a surface acoustic wave electrode is provided in the resonator (Japanese Patent Laid-Open No. 9-232906), or the wire length at the time of external connection is changed. The technique of adjusting the attenuation amount by changing the position of the attenuation pole by changing the inductance value of the wire itself (Japanese Patent Laid-Open No. 11-55067) is disclosed.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
However, in recent mobile communication systems, standards have been determined for effective use of radio waves. For example, in the US PCS standard, a reception band is 1930 to 1990 MHz, a transmission band is 1850 to 1910 MHz, and a transmission filter is passed. The interval between the bands is 20 MHz, and a transmission band is formed adjacent to the reception band. Therefore, in the reception filter, a sufficient attenuation amount and a low insertion loss in the pass band should be ensured while maintaining a wide band. Is required. Therefore, a steep characteristic of the pass band from the stop band is required on the low band side (left shoulder side) of the adjacent reception band. However, any of the above-mentioned techniques of Japanese Patent Laid-Open Nos. 9-232906 and 11-55067 is used. However, it has been difficult to achieve a broader filter characteristic and a sharper left shoulder.
[0010]
The present invention has been devised in view of the above-mentioned problems, and the object thereof is to reduce the steepness on the low band side in the pass band of the filter while maintaining a wide area without a special LC circuit or the like. An object of the present invention is to provide a surface acoustic wave filter that can be sufficiently taken.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-described problems, the present invention provides a series resonator group in which a plurality of surface acoustic wave electrodes are connected in series between an input terminal and an output terminal on the surface of a piezoelectric substrate, and each of the series resonator groups A parallel resonator group in which a plurality of surface acoustic wave electrodes are connected in parallel is arranged between the input terminal side or output terminal side of the surface acoustic wave electrode and the ground. In the surface acoustic wave filter in which the passband of the filter is formed by substantially matching the resonance frequency formed and the anti-resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of the parallel resonator group,
Among the surface acoustic wave electrodes of the group of parallel resonators, some of the surface acoustic wave electrodes have a Q value deterioration structure in which the obtained Q value is deteriorated more than the Q value obtained by other surface acoustic wave electrodes. The resonance frequency formed by the partial surface acoustic wave electrodes is lower than the anti-resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of the other parallel resonator groups, and is formed by the surface acoustic wave electrodes of the other parallel resonator groups. A surface acoustic wave filter characterized by having a resonance frequency higher than the resonance frequency is provided.
[0012]
According to the configuration of the present invention, the some surface acoustic wave electrodes have a Q value degradation structure, and a resonance frequency thereof is lower than an anti-resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of other parallel resonator groups, and Since it is higher than the resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of other parallel resonator groups, a new attenuation pole is formed in the filter characteristics before entering the passband from the low-frequency side attenuation pole. While the pass band of the filter is ensured to be wide, the steepness on the low band side of the pass band is increased and sufficient shoulder characteristics can be ensured.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
FIG. 1 is a diagram showing the structure of a surface acoustic wave filter according to an embodiment of the present invention, and FIG. 2 is an enlarged view of a parallel resonator for explaining the features of the present invention.
1, the surface acoustic wave filter A has a plurality of surface
[0014]
The surface
[0015]
The
The surface
[0016]
As the structure of the IDTs 54a to 60a, for example, the structure of the IDTs 57a to 60a of the surface
[0017]
61 is an input terminal, and 62 is an output terminal. IDTs 54 a to 56 a are connected in series from the
[0018]
Here, in the present invention, as shown in FIG. 3, among the surface
[0019]
Here, the Q value is generally expressed as Q = 2πFL / R (F: resonance frequency L: inductance R: resonance resistance). In the present invention, the resonance frequency Fr of the surface
[0020]
The degree of deterioration of the Q value is such that the impedance at the resonance frequency Fr of the surface
[0021]
The Q value deterioration structure may be formed so as to increase the resonance resistance R. In order to increase the Q resistance deterioration structure, the following specific configuration is preferable.
Specifically, the resonance resistance R is increased and the Q value is reduced by reducing the logarithm of each electrode finger A1, A2 of the surface
Further, the length Px where the electrode fingers A1 and A2 of the surface
[0022]
Further, as shown in FIG. 4, the surface acoustic wave electrode 601 is composed of sub-electrodes 61 and 62 formed of comb-like electrodes, and the sub-electrodes 61 and 62 are connected in series with each other. One of the sub-electrodes 61 made of comb-like electrodes is an
[0023]
On the other hand, the resonance frequency Fr formed by the surface
[0024]
Further, the metallization ratio of the surface
[0025]
As another method, the electrode thickness of the surface
[0026]
In the above description, one surface
[0027]
Thus, according to the surface acoustic wave filter A of the present invention, conventionally, the attenuation poles of the surface
[0028]
Conventionally, the inductance value of the wire is changed by changing the wire length of the aluminum wire wire or the gold wire wire that are externally drawn electrodes, so that the attenuation amount in the low-frequency side is ensured. However, according to the present invention, the low-pass shoulder characteristics of the passband can be sharpened without using such a thing, so a stable yield can be obtained. Can also be secured.
[0029]
【Example】
Next, examples of the present invention will be shown to confirm the effects of the present invention.
Example 1
As the
[0030]
In this case, the cross width Px of the surface
Further, both the electrode finger width Pw and the electrode finger interval Pp of the surface
[0031]
FIG. 5 shows the filter characteristics of the surface acoustic wave filter A thus formed. At this time, the vertical axis of FIG. 5 is the attenuation (5 dB / div), and the horizontal axis is the normalized frequency (center frequency f0: 1960 MHz, span: 196 MHz).
[0032]
In FIG. 5, attenuation poles by surface
[0033]
As shown in FIG. 5, the attenuation pole B by the surface
On the other hand, as a comparative example, the cross width Px of the surface
The number of electrode pairs of the surface
According to this filter characteristic, it can be seen that a filter that sufficiently satisfies the specifications of the low band side shoulder characteristic of the pass band cannot be obtained.
(Example 2)
Experiments were performed under the same conditions as in Example 1 except that the surface
FIG. 7 shows the filter characteristics thus experimentally performed. Even in this result, the surface acoustic wave electrode 601 of the series resonator composed of the sub-electrodes 61 and 62 has an increased resonance resistance as compared with the surface
[0034]
【The invention's effect】
According to the configuration of the present invention, some surface acoustic wave electrodes have a Q value degradation structure, the resonance frequency thereof is lower than the anti-resonance frequency of other surface acoustic wave electrodes, and the resonance of other surface acoustic wave electrodes. Since the frequency is higher than the frequency, a new attenuation pole is formed in the filter characteristics from the low-frequency side attenuation pole until it enters the passband, thereby ensuring a wide passband for the filter and reducing the passband. It is possible to provide a surface acoustic wave filter in which the steepness on the region side becomes large and sufficient shoulder characteristics can be secured.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view of a surface acoustic wave filter according to the present invention.
2A is a diagram illustrating surface
FIG. 3 is a diagram showing resonance characteristics of the surface
FIG. 4 is a circuit diagram illustrating another surface acoustic wave filter of the present invention.
FIG. 5 is a characteristic diagram showing filter characteristics of the present invention.
FIG. 6 is a characteristic diagram showing filter characteristics of a comparative example.
FIG. 7 is a characteristic diagram showing filter characteristics in another surface acoustic wave filter of the present invention.
FIG. 8 is a schematic plan view for explaining a conventional surface acoustic wave filter.
FIG. 9 is an enlarged plan view for explaining a 1-port surface acoustic wave electrode.
[Explanation of symbols]
A: surface acoustic wave filter 1:
Claims (7)
前記並列共振子群の弾性表面波電極のうち、一部の弾性表面波電極は、得られるQ値を他の弾性表面波電極で得られるQ値よりも劣化させたQ値劣化構造とすると共に、前記一部の弾性表面波電極で形成する共振周波数が他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する反共振周波数よりも低く、かつ他の並列共振子群の弾性表面波電極で形成する共振周波数よりも高くしたことを特徴とする弾性表面波フィルタ。A series resonator group in which a plurality of surface acoustic wave electrodes are connected in series between an input terminal and an output terminal on the surface of the piezoelectric substrate, and an input terminal side or an output terminal side of each surface acoustic wave electrode of the series resonator group A parallel resonator group in which a plurality of surface acoustic wave electrodes are connected in parallel is arranged between the ground and the ground, and the resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of the series resonator group and the elasticity of the parallel resonator group In the surface acoustic wave filter that forms the passband of the filter by substantially matching the anti-resonance frequency formed by the surface wave electrode,
Among the surface acoustic wave electrodes of the group of parallel resonators, some of the surface acoustic wave electrodes have a Q value deterioration structure in which the obtained Q value is deteriorated more than the Q value obtained by other surface acoustic wave electrodes. The resonance frequency formed by the partial surface acoustic wave electrodes is lower than the anti-resonance frequency formed by the surface acoustic wave electrodes of the other parallel resonator groups, and is formed by the surface acoustic wave electrodes of the other parallel resonator groups. A surface acoustic wave filter characterized by having a resonance frequency higher than the resonance frequency.
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