JP3778873B2 - 医療用具挿入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用カテーテルまたは医療用電極リードなどの医療用具を、患者の体内における所望の位置まで導入するための医療用具挿入装置に係り、さらに詳しくは、医療用具を患者の体腔における湾曲を通して患者の心血管系などの所望位置まで案内するため、医療用具のルーメン内に挿入されて、医療用具の先端部分に所望の動力学的湾曲を加えるための医療用具挿入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的長いカテーテルまたはリードを体内の所定位置に挿入するためには、カテーテル又はリードをその進入方向に対して種々の角度で枝血管内に前進させる必要がある。
【0003】
たとえばペースメーカーリードは、蓄積される応力によってリード本体が破壊されることがないように、心臓及び他の筋肉の動きに従って撓むことができる程度の可撓性を長手方向に沿って備えている必要がある。そのため、リードは、多くの場合、静脈系を通して内部の所望位置まで前進させるには軟らか過ぎる。このため、挿入に際しては、リードのルーメン内部に、スタイレット(医療用具挿入装置)を挿入してリードの剛性を向上させ、その状態で、リードを、冠状静脈洞のような患者の心室内の所望位置まで適正に導入する。リードの先端部を所定位置まで案内した後、スタイレットを抜き取り、リードのみを残す。
【0004】
このような用途に用いられるスタイレットとして、先端にJ字形状、U字形状または円形状の曲折部が形成されたワイヤ単体から成るスタイレットが知られている。このスタイレットによれば、先端に曲折部が形成してあることから、リードの先端にも曲折部が形成され、ワイヤ単体から成るスタイレットを軸芯廻りに回転させることで、曲折部の向きを変化させることができる。そのため、リードをその進入方向に対して種々の角度で枝血管内に前進させることができる。
【0005】
しかしながら、ワイヤ単体から成るスタイレットでは、挿入時の初期からリードの先端に曲折部が形成され、先端に曲折部を有するリードを体腔内で前進させることは、比較的に難しい操作となる。また、その先端曲折部の曲率半径をコントロールすることが困難であり、挿入中の方向性の操作や、適切な位置調節が難しく、挿入性に難点を有している。
【0006】
そこで、先端に曲折部が形成されたコアワイヤを外筒内部に軸方向移動自在に挿入させているスタイレットが開発されている。リードを体腔内部で真っ直ぐに侵入させる場合には、外筒の内部にコアワイヤを完全に収容し、スタイレットを真っ直ぐな状態とする。また、リードの先端が体腔の分岐部や曲折部に差し掛かった場合には、外筒の先端からコアワイヤの先端を導き出し、コアワイヤの先端部に元々記憶してある曲折形状を復元させ、その形状に合わせて、リードの先端を曲折させる。
【0007】
この外筒とコアワイヤとから成るスタイレットでは、外筒の先端から突出されるコアワイヤの突出量を調節することで、リードの先端に付与される曲折形状の曲率半径を調節することができる。このため、リードの挿入特性が向上する。
【0008】
しかしながら、このようなスタイレットでは、コアワイヤが外筒に対して軸方向に移動自在に挿入されていることから、外筒の手元側に装着してあるハンドルを回転させたとしても、その回転トルクがコアワイヤに伝達し難い。コアワイヤに対して回転トルクが伝達しないと、コアワイヤの先端曲折部の向きを自由に制御することが困難になる。
【0009】
このような不都合を解消するために、たとえば特開平9−164208号公報に示すように、コアワイヤの断面形状を、楕円、三角、四角などの異形状に成形し、且つ外筒のルーメンを、コアワイヤの断面形状に合わせた異形状に成形したスタイレットが提案されている。このスタイレットでは、外筒とコアワイヤとの回転方向の位置ズレが防止され、外筒に加わる回転トルクがコアワイヤに対して良好に伝達し、コアワイヤの先端曲折部の向きを自由に制御することが可能になる。
【0010】
しかしながら、この公報に示すスタイレットでは、コアワイヤの断面形状を、楕円、三角、四角などの異形状に成形してあるために、コアワイヤの曲がり方に異方性を生じてしまう。すなわち、コアワイヤの断面が異形状であるために、断面から見て所定方向には曲がりやすいが、その他の方向には曲がりにくいという不都合がある。スタイレットは、患者の体腔内部の曲折形状に合わせて、あらゆる方向に容易に曲げられることが必要である。
【0011】
また、上記公報に示すスタイレットでは、外筒のルーメンの断面形状とコアワイヤの断面形状とを、共に異形状に成形し、これらの係合により回転トルクを伝達する構造であるために、外筒とコアワイヤとの軸方向の滑り特性が低下するおそれがある。外筒とコアワイヤとの軸方向の滑り特性を向上させるために、外筒とコアワイヤとの隙間を大きくすると、これらの係合が外れやすく成り、回転トルクが伝達しにくくなるという課題もある。
【0012】
また、上記公報に示すスタイレットでは、その製造に際し、コアワイヤの断面形状を、楕円、三角、四角などの異形状に成形する作業を必要とする。たとえば比較的に細い断面円形のコアワイヤの断面を四角形状に研磨処理することは、かなり困難な作業であり、スタイレットの製造コストを増大させる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、外筒とコアワイヤとの間で回転トルクの伝達が可能であるにもかかわらず、コアワイヤの曲がり方向に異方性が少なく、しかも、コアワイヤと外筒との軸方向移動がスムーズであり、製造が容易で安価な医療用具挿入装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る医療用具挿入装置は、
実質的に円形の横断面を持つと共に長手方向に略等しい曲げ剛性を持ち、予め先端に曲がり形状が記憶してあるコアワイヤと、
前記コアワイヤを軸方向移動自在に収容する挿通路を持つ外筒と、を有する医療用具挿入装置であって、
前記外筒の軸方向に沿って少なくとも一部には、横断面が扁平な扁平挿通路が形成してあり、
前記外筒の軸芯廻りの回転トルクを前記コアワイヤに伝達するために、前記扁平挿通路の内部に位置する前記コアワイヤの一部に、前記扁平挿通路の扁平方向に沿って波状またはジグザグ形状に曲折してある回転トルク伝達部が形成してあり、
前記回転トルク伝達部は、前記コアワイヤにおいて前記曲がり形状が予め記憶してある部分より後端側に形成されており、
前記外筒を軸芯廻りに回転させる際に、前記回転トルク伝達部が前記扁平挿通路に係合可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る医療用具挿入装置では、外筒における扁平挿通路の内部に位置するコアワイヤの一部に、扁平挿通路の扁平方向に沿って波状またはジグザグ形状に曲折してある回転トルク伝達部が形成してある。このため、扁平挿通路と回転トルク伝達部が係合し、外筒とコアワイヤとの間で回転方向の位置ズレが無くなり、回転トルクの伝達が可能になる。回転トルクの伝達が可能になれば、外筒の後端側に固定してあるハンドルなどを操作して外筒を軸芯廻りに回転操作することにより、コアワイヤも、外筒の回転に追随して軸芯廻りに回転し、コアワイヤの先端曲がり形状の向きを自由に変化させることができる。したがって、この医療用具挿入装置を用いて、カテーテルやリードなどの医療用具を患者の体腔内部に挿入する際に、医療用具の先端曲折部の向きを自由に変化させることが可能になり、挿入性が向上する。
【0016】
しかも本発明では、コアワイヤにおける回転トルク伝達部は、コアワイヤを波状またはジグザグ形状に曲折してあるのみであり、コアワイヤは、あらゆる方向に自由に曲折することが可能である。むしろ、コアワイヤにおける直線部に比較して、波状またはジグザグ形状の回転トルク伝達部は、可撓性が向上している。本発明では、コアワイヤの曲折に際して異方性がないために、本発明の医療用具挿入装置は、患者の血管などの曲がりくねった体腔に追随してあらゆる方向に曲折することができ、挿入特性が向上する。
【0017】
しかも、本発明では、コアワイヤの断面が異形状に成るように加工する必要もなく、その製造が容易である。コアワイヤの一部を波状またはジグザグ形状に折り曲げ加工することは、コアワイヤの断面を異形状に加工する方法に比較して、極めて容易である。その結果、本発明の医療用具挿入装置の製造コストの削減に寄与する。
【0018】
また、本発明では、特開平9−164208号公報に示す発明と異なり、コアワイヤの回転トルク伝達部が、波状またはジグザグ形状の曲折部であり、その部分では、コアワイヤの全外周に対して外筒が覆い被さる構成ではない。そのため、コアワイヤの回転トルク伝達部と外筒との間の摩擦が少なく、コアワイヤは、外筒に対して軸方向にスムーズに相対移動することが可能である。したがって、コアワイヤの先端を外筒の先端から出し入れするための操作力の低減を図り、操作性の向上にも寄与する。
【0019】
好ましくは、前記扁平挿通路が前記外筒の先端側に形成してある。この場合には、特に外筒の先端部において、外筒とコアワイヤとの回転方向のズレが少なくなる。
【0020】
あるいは、前記扁平挿通路は、前記外筒の後端側に形成してもよい。この場合には、特に外筒の後端部において、外筒とコアワイヤとの回転方向のズレが少なくなる。
【0021】
あるいは、前記扁平挿通路は、前記外筒の軸方向に沿って複数位置に形成してもよい。この場合には、外筒とコアワイヤとの回転方向のズレを防止する効果が高まる。
【0022】
好ましくは、前記外筒の後端部には、第1ハンドルが装着してあり、
前記コアワイヤの後端には、前記第1ハンドルに対して相互に位置を制約しつつ移動可能な第2ハンドルが装着してあり、
前記第1および第2ハンドルを相互に相対移動させることで、前記外筒の内部で前記コアワイヤを軸方向に相対移動させることが可能になっており、その結果、前記外筒の先端から、前記コアワイヤの先端を出し入れ可能になっている
好ましくは、前記第2ハンドルは、前記第1ハンドルの長手方向に沿ってスライド移動自在になっており、前記第2ハンドルの前記第1ハンドルに対する移動位置から、前記外筒の先端からの前記コアワイヤの先端の突出長さ、および/または前記コアワイヤの先端の曲がり方向が確認可能になっている。この場合には、操作する側である手元側(後端側)において、外筒の先端からのコアワイヤの先端の突出長さ、および/または前記コアワイヤの先端の曲がり方向を、容易に確認することができ、操作性が向上する。
【0023】
好ましくは、前記外筒における前記扁平挿通路の軸方向長さは、前記コアワイヤにおける回転トルク伝達部の軸方向長さに、前記外筒の先端から前記コアワイヤの先端の最大可能突出長さを加えた長さ以上である。このような長さとすることで、コアワイヤは、外筒に対して軸方向にスムーズに相対移動することが可能となる。したがって、コアワイヤの先端を外筒の先端から出し入れするための操作力の低減を図り、操作性の向上にも寄与する。
【0024】
好ましくは、前記扁平挿通路は、前記外筒を構成する断面円形のチューブの一部を潰し加工することにより形成される。この場合には、扁平挿通路を容易且つ低コストで形成することができる。
【0025】
好ましくは、前記扁平挿通路の横断面における短幅に対する長幅の割合が、1.1〜1.5倍である。この割合が小さすぎると、コアワイヤと外筒との回転方向のズレ防止の効果が少なくなる傾向にある。また、逆に、この割合が大きすぎると、外筒の最大外径が大きく成りすぎ、外筒の曲がり方向に異方性が生じるおそれがある傾向にある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る医療用具挿入装置としてのスタイレットの全体側面図、図1(B)および図1(C)は図1(A)に示すスタイレットの先端部の動きを示す要部側面図、図2は図1に示す外筒における扁平挿通路の要部縦断面図、図3(A)は図2に示すIIIA−IIIA線に沿う断面図、図3(B)は図2に示すIIIB−IIIB線に沿う断面図、図3(C)は図2に示すIIIC−IIIC線に沿う断面図、図4は扁平通路の変形例を示す横断面図である。
【0027】
図1(A)に示すように、本発明の一実施形態に係る医療用具挿入装置としてのスタイレット2は、外筒4と、外筒4の後端が接合して固定される操作部6とを有する。外筒4の内部には、軸方向に沿って挿通路(ルーメン)が形成してあり、その挿通路の内部には、コアワイヤ8が軸方向に沿って相対移動自在に収容してある。
【0028】
コアワイヤ8の先端には、ボール部10が固定してある。たとえばコアワイヤ8の先端に溶接処理を施し、略球形または略半円形のボール部10を形成することができる。ボール部10の外径は、外筒4の先端側挿通路の内径よりも大きく、ストッパとしての機能を有し、コアワイヤ8の先端が外筒4の内部に完全に引き込まれることを防止する。ただし、ボール部10の外径は、あまり大きすぎても、材料の無駄なので、外筒4の先端側外径と略同程度またはそれよりも多少大きい程度がよい。
【0029】
コアワイヤ8の後端は、外筒4の後端から飛び出し、操作部6における操作部本体16の内部で、スライド軸12の先端に対して接続固定してある。操作部6の操作部本体16の後端部には、その外周の180度対称位置に、第1ハンドル13が固定してある。スライド軸12は、操作部本体16の内部を長手方向Aに沿ってスライド移動自在になっており、スライド軸12の後端には、第2ハンドル14が固定してある。
【0030】
操作部6の操作部本体16の先端には、フリーロータなどで構成されるアダプタ20が固定してある。アダプタ20には、外筒4の後端が接続固定され、調節ネジ22により、外筒4の内部でのコアワイヤ8の軸方向移動を阻止または解除可能になっている。
【0031】
調節ネジ22を解除した状態で、第2ハンドル14を操作部本体16に沿って軸方向Aに移動させると、コアワイヤ8は、外筒4の内部挿通路内で軸方向に相対移動し、外筒4の先端からコアワイヤ8の先端を、図1(B)または図1(C)に示すように出し入れすることが可能になる。
【0032】
なお、図1(B)または図1(C)に示すように、コアワイヤ8の先端には、略U字形状またはループ形状などの曲折形状が記憶してあり、外筒4の先端から飛び出した状態で、その形状を回復するようになっている。図1(A)に示すように、コアワイヤ8の先端が外筒4の内部に引き込まれた状態では、コアワイヤ8の先端曲折形状は、外筒4の剛性により引き延ばされて略直線形状となる。コアワイヤ8の先端に、略U字形状またはループ形状などの曲折形状を記憶させるための手段としては、曲付け加工法などの方法が例示される。
【0033】
コアワイヤ8は、たとえばステンレス線、バネ鋼線、ニッケル・チタン合金線などで構成されるが、特に限定されない。また、外筒4は、たとえば中空のステンレス線、バネ鋼線、ニッケル・チタン合金線などで構成されるが、特に限定されない。コアワイヤ8と外筒4との間には、フッ素樹脂系ポリマーコーティング処理、シリコンオイル焼き付け処理、DLC蒸着処理などの滑動性向上処理を施し、両者間の滑りを向上させることが望ましい。
【0034】
図1(A)、図2および図3に示すように、外筒4の軸方向途中位置には、横断面が扁平な扁平挿通路40が形成してある。また、この扁平挿通路40の内部に位置するコアワイヤ8の一部に、扁平挿通路40の扁平方向に沿って波状またはジグザグ形状に曲折してある回転トルク伝達部8aが形成してある。
【0035】
回転トルク伝達部8aの軸方向長さL1は、特に限定されないが、好ましくは5〜50mmである。扁平挿通路40の軸方向長さL0は、長さL1に、距離L2を足した長さである。すなわち、L0=L1+L2である。距離L2は、図1(B)に示すように、外筒4の先端からコアワイヤ8の先端が最大に突出する最大可能突出長さL3と同じ長さ、またはそれ以上の長さである。具体的には、最大可能突出長さL3は、好ましくは10〜200mmである。
【0036】
本実施形態では、コアワイヤ8の先端には、略U字形状またはループ形状などの曲折形状が記憶してあり、その曲折形状の直ぐ後ろに、回転トルク伝達部8aが形成してある。本実施形態では、略U字形状またはループ形状などの曲折形状の曲折平面と、回転トルク伝達部8aを構成する波形またはジグザグ形の凹凸の曲折形状とは、同一平面となるように構成してあるが、必ずしも同一平面である必要はない。ただし、曲折加工の容易性などを考えると、同一平面となるようにすることが好ましい。回転トルク伝達部8aは、略U字形状またはループ形状などの曲折形状と同時に同様な方法で形成することができる。
【0037】
回転トルク伝達部8aにおける波形またはジグザグ形の凹凸数は、特に限定されないが、凹凸を一周期として、好ましくは1〜5周期/10mmである。また、凹凸の高さは、図3(B)に示す扁平挿通路40の長幅W2に略等しいか、またはそれよりも小さく、好ましくは0.1〜1mmである。扁平挿通路40における短幅W1は、コアワイヤ8の外径に略等しい。
【0038】
扁平挿通路40の横断面における短幅W1に対する長幅W2の割合(W2/W1)は、好ましくは1.1〜1.5倍である。この割合が小さすぎると、コアワイヤ8と外筒4との回転方向のズレ防止の効果が少なくなる傾向にある。また、逆に、この割合が大きすぎると、外筒4の最大外径が大きく成りすぎ、外筒4の曲がり方向に異方性が生じるおそれがある傾向にある。なお、コアワイヤ8の線径は、好ましくは0.2〜0.5mmである。図2および図3では、図示の容易化から扁平挿通路40の扁平度合を強調して描いてあるが、実際には、その扁平度合(W2/W1)は、上記の範囲のように小さい。
【0039】
外筒4における扁平挿通路40以外の挿通路は、図3(A)に示すように、断面円形であり、その内径は、コアワイヤ8の外径よりも僅かに(好ましくは10〜50μm程度に)大きい。外筒4の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10〜100μmである。
【0040】
本実施形態の扁平挿通路40は、外筒4の軸方向一部を潰し加工することにより形成されるが、図4に示すように、断面円形の外筒4aの内部に予め成形してあっても良い。
【0041】
本実施形態に係るスタイレット2では、外筒4における扁平挿通路40の内部に位置するコアワイヤ8の一部に、扁平挿通路40の扁平方向に沿って波状またはジグザグ形状に曲折してある回転トルク伝達部8aが形成してある。このため、扁平挿通路40と回転トルク伝達部8aが係合し、外筒4とコアワイヤ8との間で回転方向の位置ズレが無くなり、回転トルクの伝達が可能になる。回転トルクの伝達が可能になれば、外筒4の後端側に固定してある操作部6を外筒と共に軸芯廻りに回転操作することにより、コアワイヤ8も、外筒4の回転に追随して軸芯廻りに回転し、図1(A)または図1(B)に示すコアワイヤ8の先端曲がり形状の向きを自由に変化させることができる。したがって、このスタイレット2を用いて、カテーテルやリードなどの医療用具を患者の体腔内部に挿入する際に、医療用具の先端曲折部の向きを自由に変化させることが可能になり、挿入性が向上する。また、コアワイヤ8の先端曲がり形状の向きを、操作部6の第1ハンドル13の取付位置に合わせておくことで、コアワイヤ8の先端曲がり形状の向きを、第1ハンドル13の位置から確認することができる。
【0042】
しかも本実施形態では、コアワイヤ8における回転トルク伝達部8aは、コアワイヤ8を波状またはジグザグ形状に曲折してあるのみであり、コアワイヤ8は、あらゆる方向に自由に曲折することが可能である。むしろ、コアワイヤ8における直線部に比較して、波状またはジグザグ形状の回転トルク伝達部8aは、可撓性が向上している。本実施形態では、コアワイヤ8の曲折に際して異方性がないために、本実施形態のスタイレット2は、患者の血管などの曲がりくねった体腔に追随してあらゆる方向に曲折することができ、挿入特性が向上する。
【0043】
しかも、本実施形態では、コアワイヤ8の断面が異形状に成るように加工する必要もなく、その製造が容易である。コアワイヤ8の一部を波状またはジグザグ形状に折り曲げ加工することは、コアワイヤ8の断面を異形状に加工する方法に比較して、極めて容易である。その結果、本実施形態のスタイレット2の製造コストの削減に寄与する。
【0044】
また、本実施形態では、特開平9−164208号公報に示す発明と異なり、コアワイヤ8の回転トルク伝達部8aが、波状またはジグザグ形状の曲折部であり、その部分では、コアワイヤ8の全外周に対して外筒4が覆い被さる構成ではない。そのため、コアワイヤ8の回転トルク伝達部8aと外筒4との間の摩擦が少なく、コアワイヤ8は、外筒4に対して軸方向にスムーズに相対移動することが可能である。したがって、コアワイヤ8の先端を外筒4の先端から出し入れするための操作力の低減を図り、操作性の向上にも寄与する。
【0045】
さらに、本実施形態では、第2ハンドル14が、操作部6の長手方向に沿ってスライド移動自在になっており、第2ハンドル14の第1ハンドル13に対する移動位置から、外筒4の先端からのコアワイヤ8の先端の突出長さ(および/または先端の曲がり方向)が確認可能になっている。したがって、操作する側である手元側(後端側)において、外筒4の先端からのコアワイヤ8の先端の突出長さや曲がり方向を、容易に確認することができ、操作性が向上する。
【0046】
さらにまた、本実施形態では、外筒4における扁平挿通路40の軸方向長さL0は、コアワイヤ8における回転トルク伝達部8aの軸方向長さL1に、外筒4の先端からコアワイヤ8の先端の最大可能突出長さL3(=L2)を加えた長さ以上である。このような長さとすることで、コアワイヤ8は、外筒4に対して軸方向にスムーズに相対移動することが可能となる。したがって、コアワイヤ8の先端を外筒4の先端から出し入れするための操作力の低減を図り、操作性の向上にも寄与する。
【0047】
しかも、本実施形態では、扁平挿通路40は、外筒4を構成する断面円形のチューブの一部を潰し加工することにより形成される。したがって、扁平挿通路40を容易且つ低コストで形成することができる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0049】
たとえば、上述した実施形態では、外筒4の先端側における外筒4とコアワイヤ8との回転方向のズレを無くすために、扁平挿通路40を、外筒4の先端に形成してあるが、扁平挿通路40は外筒4の後端側に形成しても良い。この場合には、特に外筒4の後端部において、外筒4とコアワイヤ8との回転方向のズレが少なくなる。あるいは、扁平挿通路40は、外筒4の軸方向に沿って複数位置に形成してもよい。この場合には、外筒4とコアワイヤ8との回転方向のズレを防止する効果が高まる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、外筒とコアワイヤとの間で回転トルクの伝達が可能であるにもかかわらず、コアワイヤの曲がり方向に異方性が少なく、しかも、コアワイヤと外筒との軸方向移動がスムーズであり、製造が容易で安価な医療用具挿入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は本発明の一実施形態に係る医療用具挿入装置としてのスタイレットの全体側面図、図1(B)および図1(C)は図1(A)に示すスタイレットの先端部の動きを示す要部側面図である。
【図2】 図2は図1に示す外筒における扁平挿通路の要部縦断面図である。
【図3】 図3(A)は図2に示すIIIA−IIIA線に沿う断面図、図3(B)は図2に示すIIIB−IIIB線に沿う断面図、図3(C)は図2に示すIIIC−IIIC線に沿う断面図である。
【図4】 図4は扁平通路の変形例を示す横断面図である。
【符号の説明】
2… スタイレット
4… 外筒
6… 操作部
8… コアワイヤ
8a… 回転トルク伝達部
10… ボール部
13… 第1ハンドル
14… 第2ハンドル
16… 操作部本体
40… 扁平挿通路
Claims (4)
- 実質的に円形の横断面を持つと共に長手方向に略等しい曲げ剛性を持ち、予め先端に曲がり形状が記憶してあるコアワイヤと、
前記コアワイヤを軸方向移動自在に収容する挿通路を持つ外筒と、を有する医療用具挿入装置であって、
前記外筒の軸方向に沿って少なくとも一部には、横断面が扁平な扁平挿通路が形成してあり、
前記外筒の軸芯廻りの回転トルクを前記コアワイヤに伝達するために、前記扁平挿通路の内部に位置する前記コアワイヤの一部に、前記扁平挿通路の扁平方向に沿って波状またはジグザグ形状に曲折してある回転トルク伝達部が形成してあり、
前記回転トルク伝達部は、前記コアワイヤにおいて前記曲がり形状が予め記憶してある部分より後端側に形成されており、
前記外筒を軸芯廻りに回転させる際に、前記回転トルク伝達部が前記扁平挿通路に係合可能であることを特徴とする医療用具挿入装置。 - 前記外筒の後端部には、第1ハンドルが装着してあり、
前記コアワイヤの後端には、前記第1ハンドルに対して相互に位置を制約しつつ移動可能な第2ハンドルが装着してあり、
前記第1および第2ハンドルを相互に相対移動させることで、前記外筒の内部で前記コアワイヤを軸方向に相対移動させることが可能になっており、その結果、前記外筒の先端から、前記コアワイヤの先端を出し入れ可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の医療用具挿入装置。 - 前記第2ハンドルは、前記第1ハンドルの長手方向に沿ってスライド移動自在になっており、前記第2ハンドルの前記第1ハンドルに対する移動位置から、前記外筒の先端からの前記コアワイヤの先端の突出長さ、および/または前記コアワイヤの先端の曲がり方向が確認可能になっていることを特徴とする請求項2に記載の医療用具挿入装置。
- 前記扁平挿通路の横断面における短幅に対する長幅の割合が、1.1〜1.5倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用具挿入装置。
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